(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】スプロケットホイール及びコンベヤ装置の駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 55/30 20060101AFI20240402BHJP
F16H 7/02 20060101ALI20240402BHJP
B65G 23/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F16H55/30 Z
F16H7/02 A
B65G23/06 A
(21)【出願番号】P 2020048844
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-10-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 信也
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-202728(JP,A)
【文献】特開2011-252592(JP,A)
【文献】特開2007-223775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/30
F16H 7/02
B65G 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバースソータコンベヤ装置の駆動に用いられるスプロケットホイールであって、
回転軸が挿通される筒部材と、
前記筒部材に所定間隔を空けて保持され、複数の軽減孔を有する一対の円板部材と、
前記一対の円板部材の外周縁に所定角度間隔を空けて且つ前記一対の円板部材に跨って固着され、掛け回される歯付きベルトの係合歯に噛み合う噛合部材と、
を備え
、
前記一対の円板部材は、歯付きベルトの係合歯に噛み合うピッチにて前記噛合部材の一部が入り込む切欠き部を全周に複数有し、
隣り合う前記噛合部材を平行に貼り付けられた金属テープが前記一対の円板部材の外周に巻き掛けられることで、前記噛合部材は前記一対の円板部材の外周縁に設けられた前記切欠き部へ配置されていることを特徴とするスプロケットホイール。
【請求項2】
請求項
1に記載のスプロケットホイールにおいて、
前記噛合部材は、円筒形状又は円柱形状の部材であることを特徴とするスプロケットホイール。
【請求項3】
請求項
2に記載のスプロケットホイールにおいて、
前記切欠き部は、円弧形状の切欠き部であることを特徴とするスプロケットホイール。
【請求項4】
請求項
3に記載のスプロケットホイールにおいて、
前記一対の円板部材は、各円板部材が有する前記切欠き部の中心を結ぶ線が挿通される回転軸と方向が一致するように、前記筒部材に保持されることを特徴とするスプロケットホイール。
【請求項5】
請求項
1に記載のスプロケットホイールにおいて、
前記噛合部材は、前記切欠き部へ配置された状態でスポット溶接により前記一対の円板部材に固定されていることを特徴とするスプロケットホイール。
【請求項6】
駆動側スプロケット又は従動側スプロケットの少なくともいずれか一方として用いられる、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のスプロケットホイールと、
前記スプロケットホイールに掛け回されるタイミングベルトと、
前記駆動側スプロケットを回転させるアクチュエータと、
を有することを特徴とするコンベヤ装置の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の搬送体を上下に配置された直線路を含む搬送路内で循環させながら、複数の搬送体に載置された物品(搬送物)を目的の払出し部に払い出すリバースソータコンベヤ装置に用いられるスプロケットホイール及びコンベヤ装置の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仕分けコンベヤ装置として、配置形状による分類では、ライン形仕分けコンベヤと、ループ形仕分けコンベヤとがあり、分岐形式では、水平押出し形、コンベヤ送出し形、傾斜滑降形などがある。このうち、ループ形仕分けでコンベヤ送出し形の中にベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置がある(JIS B 8825参照)。
【0003】
ベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置は、無端状に連結した多数の搬送台車を搬送路に沿って移動させるものである。この仕分けコンベヤ装置の各搬送台車は、搬送台車の移動方向に直交する方向に走行するコンベヤ(クロスソータコンベヤ)を有する。クロスソータコンベヤを搬送台車が有することで、搬送台車は、移動過程で搬送物を載せ込む又は搬送物を送り出すことが可能となる。
【0004】
このような仕分けコンベヤ装置には、例えば高さ方向に積層した2つの直線状の経路と、2つの直線状の経路の両端部を接続する曲線状の経路とを含むループ状の搬送路内で、搬送台車を循環させるリバースソータコンベア装置が提供される(特許文献1参照)。リバースソータコンベヤ装置では、装置本体における長手方向の両端部に配置したスプロケットホイールの対(スプロケットホイール対)が、装置本体における幅方向に所定間隔を開けて配置される。なお、スプロケットホイール対には、無端状のチェーン又はタイミングベルトが掛け回される。そして、各搬送体は、例えば走行方向に対する左前端部を、二対のスプロケットホイール対の一方に巻き掛けられる無端状のチェーンに、走行方向に対する右後端部を二対のスプロケットホイール対の他方に巻き掛けられる無端状のチェーンに各々軸支される。これにより、各搬送体は、無端状のチェーンの走行に合わせて走行し、また、2つの直線路の間を移動する際に反転せずに移動することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リバースソータコンベヤ装置に配設される駆動モータの出力(モータ容量)は、リバースソータコンベヤ装置の各搬送体の重量、搬送体にて搬送される搬送物の重量、スプロケットホイールの直径や、スプロケットホイールに掛け回されるタイミングベルトの引張り強さなどを考慮して決定される。また、スプロケットホイールの強度は、掛け回されるタイミングベルトの張力やタイミングベルト(歯付きベルト)の歯数などにより決定される。したがって、掛け回されるタイミングベルトの張力やそれに基づく回転トルクに基づいてスプロケットホイールを鋳造し切削して製造すると、スプロケット径が大きくなりスプロケットホイールが重くなる。また、スプロケットホイールの回転軸や、該回転軸を軸支する軸受け部に多大な荷重が掛かるため、駆動時の耐久性を鑑みると、スプロケットホイールに見合った性能を有する部材を必要とする。さらに、このようなスプロケットホイールを用いることで、リバースソータコンベヤ装置に配設される駆動モータは、モータ容量が大きい駆動モータの使用を必要とする。その結果、リバースソータコンベヤ装置の駆動時における消費電力が増大してしまう。
【0007】
本発明は、リバースソータコンベヤ装置の駆動時における消費電力の抑制に寄与するとともに、耐久性に富んだスプロケットホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のスプロケットホイールは、回転軸が挿通される筒部材と、前記筒部材に所定間隔を空けて保持され、複数の軽減孔を有する一対の円板部材と、前記一対の円板部材の外周縁に所定角度間隔を空けて且つ前記一対の円板部材に跨って固着され、掛け回される歯付きベルトの係合歯に噛み合う噛合部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記一対の円板部材は、前記噛合部材の一部が入り込む切欠き部を複数有することが好ましい。また、前記噛合部材は、円筒形状又は円柱形状の部材であることが好ましい。このとき、前記切欠き部は、円弧形状の切欠き部であることが好ましい。さらに、前記一対の円板部材は、各円板部材が有する前記切欠き部の中心を結ぶ線が挿通される回転軸と方向が一致するように、前記筒部材に保持されることが好ましい。
【0010】
前記一対の円板部材は、歯付きベルトの係合歯に噛み合うピッチにて前記噛合部材の一部が入り込む切欠き部を全周に有し、隣り合う前記噛合部材を平行に貼り付けられた金属テープが前記一対の円板部材の外周に巻き掛けられることで、前記噛合部材は前記一対の円板部材の外周縁に設けられた前記切欠き部へ配置されていることが好ましい。そして、前記噛合部材は、前記切欠き部へ配置された状態でスポット溶接により前記一対の円板部材に固定されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のコンベヤ装置の駆動装置は、駆動側スプロケット又は従動側スプロケットの少なくともいずれか一方として用いられる、上記記載のスプロケットホイールと、前記スプロケットホイールに掛け回されるタイミングベルトと、前記駆動側スプロケットを回転させるアクチュエータと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リバースソータコンベヤ装置の駆動時における消費電力の抑制に寄与するとともに、耐久性に富んだスプロケットホイールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のリバースソータコンベヤ装置の一例を示す上面図である。
【
図2】
図1に示すリバースソータコンベヤ装置の側面図である。
【
図5】集電装置及びトロリー線の構成を示す一部断面図である。
【
図6】(a)駆動側スプロケット近傍の説明図、(b)従動側スプロケット近傍の説明図である。
【
図7】スプロケットホイールの一例を示す斜視図である。
【
図9】スプロケットホイールのボス及びプレートの形状を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のリバースソータコンベヤ装置の一例を説明する。本発明のリバースソータコンベヤ装置10は、上下方向に配置した2つの直線路を含むループ状の搬送路内で、複数の搬送台車20を反転させずに循環させる。リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、投入コンベヤ装置15から搬送物100を目的の搬送台車20に載せ込む。また、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、搬送台車20に載せ込んだ搬送物100を払出しコンベヤ装置16や払出しシュート17に払い出す。なお、
図1における符号18は、投入コンベヤ装置15から載せ込まれた搬送物100が搬送台車20から落下することを防止する落下防止板である。
【0015】
ここで、
図1において、投入コンベヤ装置15は、上下方向に配置した2つの直線路のうち、上段側に設けた直線路(往路)を走行する搬送台車20に搬送物100を投入することを目的としている。また、払出しコンベヤ装置16は、下段側に設けた直線路(復路)を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。さらに、払出しシュート17は、往路を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。しかしながら、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16及び払出しシュート17を配置する位置や、配置する数は、適宜設定されるものである。
【0016】
以下、往路における搬送台車20の移動方向をX方向とした場合について説明する。
【0017】
図1から
図6に示すように、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20、機枠21、駆動装置22を含む。
【0018】
搬送台車20は、側部フレーム31,32、懸架部材33,34及びクロスソータコンベヤ35を有する。側部フレーム31,32及び懸架部材33,34は、搬送台車20の骨格をなす部材である。
【0019】
側部フレーム31は、搬送台車20の移動方向における先端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。また、側部フレーム32は、搬送台車20の移動方向における後端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。
【0020】
懸架部材33は、搬送台車20の幅方向における一端側(
図3中右端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。懸架部材34は、搬送台車20の幅方向における他端側(
図3中左端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。つまり、懸架部材33,34は、長手方向が搬送台車20の移動方向に沿った方向となる。
【0021】
落下防止板36は、側部フレーム31に固定され、前段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する。落下防止板37は、側部フレーム32に固定され、後段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する。
【0022】
懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ40を軸支する。また、懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における後端側となる端部に、ガイドローラ対41を軸支する。ガイドローラ対41の軸部41aは、後述する駆動タイミングベルト107に軸支される。なお、ガイドローラ40の回転中心と、ガイドローラ対41の回転中心とは、同一の高さである。
【0023】
懸架部材34は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ対42を軸支する。ここで、ガイドローラ対42の軸部42aは、後述する駆動タイミングベルト106に軸支される。また、懸架部材34は、搬送台車20の後端側となる端部に、ガイドローラ43を軸支する。なお、ガイドローラ対42の回転中心とガイドローラ43の回転中心とは、同一の高さである。ここで、懸架部材33に軸支されるガイドローラ40は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ対42と同軸線上に軸支されている。同様にして、懸架部材33に軸支されるガイドローラ対41は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ43と同軸線上に軸支されている。
【0024】
ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材75の上面を転動する。ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材87の上面を転動する。なお、搬送台車20が往路から復路へと移動する過程では、ガイドローラ40は機枠21に設けたガイドレール125(
図6(a)参照)に入りこみ、該ガイドレール125に沿って移動する。
【0025】
一方、ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材76の上面を転動する。ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材88の上面を転動する。なお、搬送台車20が復路から往路へと移動する過程では、ガイドローラ43は、機枠21に設けたガイドレール126(
図6(b)参照)に入りこみ、該ガイドレール126に沿って移動する。
【0026】
クロスソータコンベヤ35は、駆動プーリ46、従動プーリ47、複数のプーリ48及び無端ベルト49を含む。駆動プーリ46は、搬送台車20の幅方向における一端側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。駆動プーリ46は、例えば駆動モータが内蔵されたモータプーリである。
【0027】
従動プーリ47は、搬送台車20の幅方向において、駆動プーリ46が軸支される一端とは反対側となる端部側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。複数のプーリ48は、駆動プーリ46及び従動プーリ47との間に配置される。ここで、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの回転軸方向が、搬送台車20の移動方向に平行となるように配置される。また、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの頂点が同一の水平面上に位置するように各々配置される。
【0028】
無端ベルト49は、駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられる。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられた状態では、駆動プーリ46及び従動プーリ47間に配置された複数のプーリ48は、無端ベルト49の上部(搬送物が載置される部分)を下方から支持する。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられることで、無端ベルト49は、搬送台車20の幅方向に沿った方向に走行する。
【0029】
集電装置51は、搬送台車20の下部に設けられる。集電装置51は、側部フレーム31,32に跨って固定される保持部材52に固定される。集電装置51は、トロリー線79又はトロリー線89(
図3参照)に沿って移動するときに、地上側からの電力を駆動プーリ46に供給する。集電装置51は、クロスソータコンベヤ35を動作させるべき投入コンベヤ15、払出しコンベヤ16、払出シュート17などの前後に所定長さ加えてトロリー線79又はトロリー線89を延長敷設している(
図1参照)。
【0030】
集電装置51は、集電子53,54の他、回転支持機構55,56、ベース板57を含む。
【0031】
集電子53は、搬送台車20がトロリー線79に沿って移動するときに、トロリー線79のガイド溝80a内に入り込み、ガイド溝80aに沿って移動する。その際に、ガイド溝80a内に設けられた導体81又は絶縁体82のいずれか一方と摺接する。また、集電子53は、搬送台車20がトロリー線89に沿って移動するときに、トロリー線89のガイド溝90aに入り込み、該ガイド溝90aに沿って移動する。その際に、ガイド溝90a内に設けられた導体91又は絶縁体(図示省略)のいずれか一方と摺接する。
【0032】
集電子54は、搬送台車20がトロリー線79に沿って移動するときに、トロリー線79のガイド溝80b内に入り込み、ガイド溝80bに沿って移動する。その際に、ガイド溝80b内に設けられた導体83又は絶縁体84のいずれか一方と摺接する。また、集電子54は、搬送台車20がトロリー線89に沿って移動するときに、トロリー線89のガイド溝89bに入り込み、該ガイド溝89bに沿って移動する。その際に、ガイド溝89b内に設けられた導体93又は絶縁体(図示省略)のいずれか一方と摺接する。
【0033】
これら集電子53,54はケーブル58,59に接続されている。ケーブル58,59は、駆動プーリ46に内蔵されたモータのケーブル(図示省略)に接続される。したがって、トロリー線79の導体81,83又はトロリー線89の導体91,93に給電が各々行われているときに、集電子53、54がトロリー線79の導体81,83又はトロリー線89の導体91,93に摺接されると、駆動プーリ46に給電が行われる。その結果、駆動プーリ46が回転する。
【0034】
なお、この場合アース線なしの単相電源とモータケーブルとのトロリー線79,89を介した給電を示すが、集電子53,54のほかにアース線のトロリー線79,89全長にわたる導体との接続や、三相電源でのもう一つの集電子の並行設置する場合があることはもちろんである。
【0035】
詳細は図示を省略するが、回転支持機構55は、ベース板57の垂直方向を回動軸として回転する回転座、回転座の回転軸に直交する方向を回動軸として回動する支持アーム、及び集電子53を突出する方向に付勢する付勢手段を有する。なお、回転支持機構55の支持アームは集電子53を回動自在に保持する。したがって、集電子53は、トロリー線79のガイド溝80aに設けた導体81又は絶縁体82に向けて、又はトロリー線89のガイド溝89aに設けた導体91又は絶縁体92に向けて付勢される。その結果、集電子53とトロリー線79又はトロリー線89の接触状態が、良好に保持される。
【0036】
同様に、回転支持機構56は、ベース板57の垂直方向を回動軸として回転する回転座、回転座の回転軸に直交する方向を回動軸として回動する支持アーム、及び集電子54を突出する方向に付勢する付勢手段を有する。なお、回転支持機構56の支持アームは集電子54を回動自在に保持する。したがって、集電子54は、トロリー線79のガイド溝80bに設けた導体83又は絶縁体84に向けて、又はトロリー線89のガイド溝90b(
図5参照)に設けた導体93又は絶縁体94に向けて付勢される。その結果、集電子54とトロリー線79又はトロリー線89の接触状態が、良好に保持される。
【0037】
機枠21は、リバースソータコンベヤ装置10の骨格をなす部材である。機枠21は、2つの梯子枠状のフレーム71,72と、これらフレーム71,72を上下方向に所定の間隔を開けて保持する支持材73とを有する。
【0038】
フレーム71は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状枠部材である。フレーム71の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材74が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材74は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム71は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム71の内側に、支持部材75,76を有する。支持部材75は、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する。支持部材76は、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する。
【0039】
フレーム71は、その補強材74の中央近辺にトロリー線79を固定する。トロリー線79は、側方に開口するガイド溝80a,80b,80cを有する絶縁枠体80を有する。ガイド溝80aは、溝内の所定の範囲に導体81を、それ以外の範囲に絶縁体82を各々配置する。また、ガイド溝80bは、溝内の所定の範囲に導体83を、それ以外の範囲に絶縁体84を各々配置する。さらに、ガイド溝80cは、溝内に絶縁体85を配置する。ここで、導体81,83の長さは、例えば搬送物100を搬送台車20に載せ込む場合には、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の載せ込みを行った際に、搬送台車20上のクロスソータコンベヤ35が駆動し続ける場合に搬送台車20が移動する距離である。また、導体81,83の長さは、例えば搬送物100を搬送台車20から払い出す場合には、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の払い出しを行った際に、搬送台車20上のクロスソータコンベヤ35が駆動し続ける場合に搬送台車20が移動する距離である。上述したトロリー線79の両端部には、ピックアップガイドが取り付けられる。
【0040】
フレーム72は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状部材である。フレーム72の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材86が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材86は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム72は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム72の内側に、支持部材87,88を有する。支持部材87は、搬送台車20が走行する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する。支持部材88は、搬送台車20が走行する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する。
【0041】
フレーム72は、その補強材86の中央近辺にトロリー線89を固定する。トロリー線89は、側方に開口する3つのガイド溝90a,90b,90cを有する絶縁枠体90を有する。ガイド溝90aは、溝内の所定の範囲に導体91を、それ以外の範囲に絶縁体92を各々配置する。また、ガイド溝90bは、溝内の所定の範囲に導体93を、それ以外の範囲に絶縁体94を各々配置する。さらに、ガイド溝90cは、溝内に絶縁体95を配置する。ここで、導体91,93の長さは、導体81,83の長さと同一である。図示は省略するが、上述したトロリー線79、89の両端部には、ピックアップガイドが取り付けられる。
【0042】
駆動装置22は、駆動モータ101、駆動側スプロケット102,103、従動側スプロケット104,105、駆動タイミングベルト106,107を含む。
【0043】
駆動モータ101は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に配置される。駆動モータ101は、例えばホローシャフト(中空軸)を回転軸としたホローシャフト型のモータである。ホローシャフトの内部には、両端部に駆動プーリ111,112を固着した回転軸113が嵌入される。なお、回転軸113は、両端部を保持する軸受け部材(図示省略)を介して機枠21に軸支される。
【0044】
駆動側スプロケット102は、従動プーリ115を一端に保持した回転軸116に固定される。なお、回転軸116は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に軸支される。なお、符号117は、駆動プーリ111及び従動プーリ115に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0045】
駆動側スプロケット103は、従動プーリ118を一端に保持した回転軸119に固定される。なお、回転軸119は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における左側縁に軸支される。なお、符号120は、駆動プーリ112及び従動プーリ118に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0046】
なお、駆動側スプロケット103は、駆動側スプロケット102に対して、機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対42の回転中心からガイドローラ対41の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0047】
従動側スプロケット104は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット102が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における右側縁で軸支される。従動側スプロケット105は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット103が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における左側縁で軸支される。なお、従動側スプロケット104は、従動側スプロケット105に対して機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対41の回転中心からガイドローラ対42の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0048】
駆動タイミングベルト106は、例えば歯付きベルトである。駆動タイミングベルト106は、駆動側スプロケット102及び従動側スプロケット104に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト106は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対42の軸部42aを軸支する.
駆動タイミングベルト107は、例えば歯付きベルトである。駆動タイミングベルト107は、駆動側スプロケット103及び従動側スプロケット105に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト107は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対41の軸部41aを軸支する。
【0049】
つまり、駆動モータ101が駆動すると、駆動プーリ111,112が回転する。駆動プーリ111及び従動プーリ115には、タイミングベルト117が巻き掛けられ、駆動プーリ112及び従動プーリ118には、タイミングベルト120が巻き掛けられている。その結果、従動プーリ115,118が各々回転する。また、従動プーリ115と駆動側スプロケット102は回転軸116に固定されている。また、従動プーリ118と、駆動側スプロケット103は回転軸119に固定されている。したがって、従動プーリ115の回転により、駆動側スプロケット102が回転する。また、従動プーリ118の回転により駆動側スプロケット103が回転する。なお、駆動側スプロケット102の回転方向と、駆動側スプロケット103の回転方向とは同一方向である。したがって、駆動タイミングベルト106,107は、同一方向に移動する。その結果、搬送台車20が、駆動タイミングベルト106,107の走行方向と同一方向に移動する。
【0050】
機枠21は、機枠21の幅方向において、上述した駆動側スプロケット102が配置される端部とは反対側の端部に、ガイドローラ40をガイドするガイドレール125を有する。また、機枠21は、機枠21の幅方向において、上述した従動側スプロケット105が配置される端部とは反対側の端部に、ガイドローラ43をガイドするガイドレール126を有する。
【0051】
したがって、搬送台車20が往路から復路に移動するときには、搬送台車20は駆動タイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール125によってガイドされるガイドローラ40の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、往路から復路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて移動する。
【0052】
同様に、搬送台車20が復路から往路に移動するときには、搬送台車20は駆動タイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール126によってガイドされるガイドローラ43の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、往路から復路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて移動する。
【0053】
次に、上述したリバースソータコンベヤ装置10に用いられる駆動側スプロケット102,103及び従動側スプロケット104,105について説明する。なお、駆動側スプロケット102,103及び従動側スプロケット104,105は、同一形状のスプロケットホイールが使用される。
図7から
図9に示すように、スプロケットホイール150は、ボス(請求項に記載の筒部材に相当)151、プレート(請求項に記載の一対の円板部材に相当)152,153及びパイプ(請求項に記載の噛合部材に相当)154を有する。なお、
図7においては、図面の煩雑さを解消するため、プレート152,153の外周に固着されるパイプ154の一部にのみ、符号を付して説明している。
【0054】
ボス151は、スプロケットホイール150の回転軸に固着される部材である。ボス151は、例えばSS400などの一般構造圧延鋼を用いて削り出しや鋳造にて製造される。ボス151は、外径の異なる複数の円筒を軸方向に組み合わせた形状である。例えば、ボス151は、軸方向における一端側から、小径部151a、大径部151b、小径部151cの順で設けられる。小径部151aの外径D1は、小径部151cの外径D3と同一の直径である。また、大径部151bの外径D2は、小径部151aの外径D1よりも大きい。したがって、小径部151aと大径部151bとの間、及び大径部151bと小径部151cとの間には、直径の際に基づいた段差部151e、151fが形成される。符号151gは、スプロケットホイール150の回転軸が挿通される挿通孔である。挿通される回転軸は例えばキー及び回転軸と挿通孔に施されるキー溝により回動不能に固定される。
【0055】
プレート152は、円板形状の部材である。プレート152は、例えば熱間圧延鋼板を用いて製造される。プレート152は、回転中心と同軸となる開口152aを有する。開口152aは、ボス151の小径部151aを挿通する。したがって、開口152aの内径D4は、小径部151aの外径D1と同一の直径である。プレート152は、開口152aの外周部に、プレート152の回転中心を中心とする同一円上に、所定角度ピッチ間隔(例えば60°間隔)で、軽減孔152bを複数有する。プレート152が複数の軽減孔152bを有することで、プレート152が軽量化される。プレート152は、複数の凹部(請求項に記載の切欠き部に相当)152cを外周縁に有する。ここで、凹部152cは、例えば円弧形状の凹部である。なお、詳細は図示を省略するが、凹部152cの直径D8は、パイプ154の外径D10と同一の直径である。また、凹部152cは、各凹部152cの中心が、プレート152の回転中心を中心とする同一円上に、所定角度ピッチ間隔(例えば6°間隔)で配置される。
【0056】
プレート153は、プレート152と同様に、円板形状の部材である。なお、プレート153の外径は、プレート152の外径と同一の直径である。プレート153は、例えば熱間圧延鋼板を用いて製造される。プレート153は、回転中心と同軸となる開口153aを有する。開口153aは、ボス151の小径部151cを挿通する。したがって、開口153aの内径D5は、小径部151cの外径D3と同一の直径である。プレート153は、開口153aの外周部に、プレート153の回転中心を中心とする同一円上に所定角度ピッチ間隔(例えば60°間隔)で、軽減孔153bを複数有する。プレート153が複数の軽減孔153bを有することで、プレート153が軽量化される。プレート153は、複数の凹部(切欠き部)153cを外周縁に有する。ここで、凹部153cは、例えば円弧形状の凹部である。なお、詳細は図示を省略するが、凹部153cの直径D9は、パイプ154の外径D10と同一の直径である。また、凹部153cは、各凹部153cの中心が、プレート152の回転中心を中心とする同一円上に、所定角度ピッチ間隔(例えば6°間隔)で配置される。
【0057】
上述したプレート152、153は、外周縁に設けた凹部152c、153cの中心を結ぶ線が挿通孔151gに挿通される回転軸と方向が一致する(軸方向が平行)となるようにボス151に固着される。なお、プレート152,153がボス151に固着された状態では、プレート152とプレート153との間に中空空間155が設けられる。なお、中空空間の厚み(幅)D6は、例えば、大径部151bの厚みD7と同一である。
【0058】
パイプ154は、ボス151に固着したプレート152,153に跨って固着される部材である。パイプ154は、例えば円筒形状の部材である。パイプ154をプレート152,153に固着する方法は、例えば溶接である。パイプ154は、例えば炭素鋼管を用いる。上述したように、プレート152の外周縁に設けられる複数の凹部152c、及びプレート153の外周縁に設けられる複数の凹部153cは所定角度ピッチ間隔で配置され、また、プレート152,153がボス151に固着された状態では、凹部152c及び凹部153cの中心が一致する(同軸となる)ように配置される。したがって、パイプ154は、軸方向がボス151の回転軸方向と平行となるように配置される。パイプ154がプレート152,153に跨って固着されることで、複数のパイプ154は、タイミングベルトの歯と噛み合う歯部として機能する。なお、複数のパイプの配置間隔(所定角度ピッチ間隔)は、タイミングベルトのピッチに依存して決定されるものである。ここで、タイミングベルトの歯と噛み合う歯部として機能する噛合部材としてパイプを例に挙げているが、パイプではなく、円筒形状のピンであってもよい。
【0059】
スプロケットホイール150の製造方法は以下の通りである。まず、プレート152がボス151に固着される。ボス151の小径部151aがプレート152の開口152aに挿通される。このとき、プレート152は、ボス151の段差部151eに当接された状態で保持される。この状態で、プレート152とボス151とが溶接などにより固着される。次に、プレート153がボス151に固着される。
【0060】
ボス151の小径部151cがプレート153の開口153aに挿通される。このとき、プレート153は、外周縁に設けた凹部153cの中心と、プレート152の外周縁に設けた凹部152cの中心とが一致させる。同時に、プレート153は、ボス151の段差部151fに当接された状態で保持される。なお、プレート153とプレート152との位置決めは、専用の治具を用いればよい。この状態で、プレート153とボス151とが溶接などにより固着される。最後に、パイプ154がプレート152,153の外周縁に、これらプレート152,153に跨って溶接などにより固着される。パイプ154が、プレート152,153の外周縁に溶接などにより固着されることで、例えばパイプ154がプレート152,153の外周縁にボルト及びナットにより締結される場合に比べ、部品点数を抑制することができる。また、ボルト及びナットによる締結では、該締結が緩む事象や、ボルトやナットが脱落する事象が発生することが想定されるが、溶接による固着を採用することで、これら事象の発生を想定する必要がなくなる。
【0061】
上述したように、プレート152は、ボス151の小径部151aを挿通する開口152aの外周に、複数の軽減孔152bを有する。また、プレート153は、ボス151の小径部151cを挿通する開口153aの外周に、複数の軽減孔153bを有する。さらに、これらプレート152,153をボス151に固着した状態では、プレート152とプレート153との間に中空空間155が設けられる。これにより、プレート152,153が軽量化されるだけでなく、スプロケットホイール150全体が軽量化される。
【0062】
ボス151により中心軸を固定されているものの、2枚のプレート152,153は個別では周辺で薄くたわみや座屈に弱いのだが、パイプ154が全周長にわたり短ピッチで多点溶接されることで、周辺が撓まずリジッドに固定され、座屈やたわみに対し非常に強固になっている。
【0063】
また、隣り合う前記噛合部材を各々平行に金属テープに貼付けておき、前記一対の円板部材は、歯付きベルトの係合歯に噛み合うピッチにて前記噛合部材の一部が入り込む切欠き部を全周に施され、前記金属テープを巻き掛けることで前記噛合部材を前記切欠き部へ配置することが好ましい。そして、前記噛合部材は前記切欠き部へ配置された状態でスポット溶接により円板部材に固定されることが好ましい。
【0064】
上述したように、スプロケットホイール150は、駆動側スプロケット102,103及び従動側スプロケット104,105として、リバースソータコンベヤ装置10に組み込まれる。したがって、リバースソータコンベヤ装置10の駆動時における消費電力は、スプロケットの慣性力の減少や、駆動すべき全体重量の減少により抑制される。また、駆動側スプロケット102,103及び従動側スプロケット104,105として、軽量化を図ったスプロケットホイール150を採用することで、駆動側スプロケット102,103及び従動側スプロケット104,105の回転軸の軸受け耐久性能が向上する。
【符号の説明】
【0065】
10…リバースソータコンベヤ装置、102,103…駆動側スプロケット、104,105…従動側スプロケット,150…スプロケットホイール、151…ボス、152,153…プレート、154…パイプ