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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240402BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G03G15/20 525
G03G21/00 512
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020051328
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149048
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-191570(JP,A)
【文献】特開2003-057985(JP,A)
【文献】特開2020-038278(JP,A)
【文献】特開2013-105105(JP,A)
【文献】特開2015-203848(JP,A)
【文献】特開2007-065328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着モードにおいて未定着像を保持して搬送されてきた用紙を加熱することにより該未定着像を該用紙上に定着する定着部と、
前記定着部を清掃して汚れを蓄積する清掃部と、
前記清掃部の汚れを推計して汚れ推計値を算出する推計部と、
前記定着モードとは異なる時間に実行される吐出しモードにおいて前記清掃部に蓄積された汚れを前記定着部に吐き出し該定着部に通紙して用紙上に汚れを移す吐出し制御を行う吐出し制御部とを備え、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行い、かつ、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって1回の前記吐出しモード内において汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行い、かつ、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける通紙間隔を広げることにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記吐出しモードが、前記定着部を通紙なしで動作させる空回転を行ない、該空回転の後に通紙するモードであって、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける空回転時の前記定着部の温度を高めることにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記吐出しモードが、前記定着部を通紙なしで動作させる空回転を行ない、該空回転の後に通紙するモードであって、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける空回転の時間を延長することにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける通紙枚数を増やすことにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
定着モードにおいて未定着像を保持して搬送されてきた用紙を加熱することにより該未定着像を該用紙上に定着する定着部と、
前記定着モードとは異なる時間に実行される清掃モードにおいて前記定着部を清掃する清掃部と、
前記定着部の汚れを推計する推計部と、
前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行う清掃制御部とを備え、
前記推計部が、前記定着部に用紙が接触した状態での用紙搬送停止が発生するたびに該
用紙搬送停止による汚れを推計して今回の用紙搬送停止に起因する該定着部の汚れを表す
個別推計値を求め該個別推計値の累積値を前記汚れ推計値とすることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
前記清掃制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって次回の前記清掃モードへの移行までの間隔を狭めることによって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記清掃制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記清掃モード1 回あたりの動作時間を延長することによって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記推計部が、用紙に保持されて搬送されてきた未定着像がふちあり画像かふちなし画像かの別、該未定着像の搬送方向の寸法、該未定着像の画像密度、用紙搬送停止時における定着部に残存する用紙の枚数、および定着部に用紙が残存した状態での用紙搬送停止回数の少なくとも1つを変数として前記個別推計値を算出することを特徴とする請求項5から7のうちいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記推計部が、前記定着部を通過した用紙の累積枚数を少なくとも1つの変数として前記汚れ推計値を算出することを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記推計部が、前記累積枚数として、用紙に保持されて搬送されてきた未定着像がふちあり画像かふちなし画像かの別、該未定着像の搬送方向の寸法、および該未定着像の画像密度のうちの少なくとも1つで重みづけされた用紙の累積枚数を採用して前記汚れ推計値を算出することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか1項に記載の定着装置と、未定着像を形成して用紙に保持させ該用紙を前記定着装置に送り込む未定着像形成装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクによる未乾燥の画像(インク画像)やトナーによる粉体画像(トナー像)などの未定着像を保持して搬送されてきた用紙に接してその未定着像を用紙上に定着する、例えば定着ロールなどからなる定着部と、その定着部を清掃するクリーニングロールなどからなる清掃部とを備えた定着装置が知られている。このタイプの定着装置では、例えば画像形成50枚ごと、あるいは用紙搬送不良(ジャム)の発生時など、予め定められたタイミングで清掃部を作動させる清掃モードに移行して定着部を清掃することが一般的である。また、1回の清掃モードにおける清掃部の作動時間は予め固定的に定められていることが一般的である。
【0003】
また、多数枚の用紙に画像を形成していると清掃部に汚れが蓄積され、清掃部に汚れが蓄積能力限界まで蓄積されると定着部の汚れが清掃されずに、また、清掃部に蓄積された汚れが定着部に逆流して、用紙を汚すことがある。このような場合に備えて、清掃部に蓄積されている汚れを定着部に吐き出させて用紙を通過させ、用紙で定着部の汚れを拭いとる吐出しモードを用意しておき、ユーザの操作に応じて吐出しモードに移行することが行われている。この吐出しモードにおける動作シーケンスは、予め固定的に定められていることが一般的である。
【0004】
ここで、特許文献1には、予め決められた回数以上、連続して給紙エラーが発生した際に、給紙用ローラを清掃するか否かをユーザに判断させることが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、用紙搬送不良(ジャム)の種別毎に想定される異常を関連付けおき、ジャムに応じて想定される異常を通知することが提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、用紙搬送不良(ジャム)が発生した際に定着器に白紙を通過させて定着器をクリーニングするにあたり、クリーニングを行うための予め設定された用紙枚数から搬送経路上に残存する用紙枚数を差し引いた枚数を表示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-159727号公報
【文献】特開2009-214969号公報
【文献】特開2015-219467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
清掃モードに移行するタイミングや1回の清掃モードの動作時間が固定的に定められていると、清掃部の汚れ蓄積能力に余裕があっても不完全な清掃に終わり、用紙を汚すおそれがある。例えば、定着部に用紙が挟まったままジャムが発生し、その用紙に多量のインクが付着しあるいはその用紙にトナーが保持されていた場合などに、清掃が不完全となるおそれがある。また、経時的に定着部や清掃部が劣化して清掃能力が低下した場合などにも、清掃が不完全となるおそれがある。常に完全に清掃されるように清掃モードに移行する頻度を上げたり1回の清掃モードにおいて十分に長い動作時間を確保することが考えられるが、この場合、清掃モードにあるときには画像形成が行われないため画像生産能力が低下するおそれがある。また、この場合、定着部や清掃部の劣化を速めるおそれがある。
【0009】
また、吐出しモードに関しては、ユーザが用紙の汚れに気づくのを待つのではなく、汚れが発生する前に吐出しモードへの移行をユーザに提案し、あるいは自動的に吐出しモードに移行することが考えられる。ただし、この吐出しモードへの移行を、どのような条件下であっても用紙の汚れが発生することがないように頻度を上げ、あるいは例えば汚れを拭い取るための通紙枚数を余裕を持った枚数とするなど、1回の吐出しモードで吐出しが常に十分に行われるようにすると、用紙の浪費となり、また、画像生産能力が低下し、さらに定着部や清掃部の劣化を速めるおそれがある。
【0010】
本発明は、清掃モードや吐出しモードへの移行に伴う、例えば画像生産能力の低下等の不都合を抑えることと、必要な清掃あるいは吐出しを行うことを両立させた定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様に係る発明は、
定着モードにおいて未定着像を保持して搬送されてきた用紙を加熱することにより該未定着像を該用紙上に定着する定着部と、
前記定着モードとは異なる時間に実行される清掃モードにおいて前記定着部を清掃する清掃部と、
前記定着部の汚れを推計する推計部と、
前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行う清掃制御部とを備えたことを特徴とする定着装置である。
【0012】
第2態様に係る発明は、前記清掃制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって次回の前記清掃モードへの移行までの間隔を狭めることによって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行うことを特徴とする第1態様に記載の定着装置である。
【0013】
第3態様に係る発明は、前記清掃制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記清掃モード1 回あたりの動作時間を延長することによって前記定着部の清掃を強めた清掃制御を行うことを特徴とする第1または第2態様に記載の定着装置である。
【0014】
第4態様に係る発明は、
定着モードにおいて未定着像を保持して搬送されてきた用紙を加熱することにより該未定着像を該用紙上に定着する定着部と、
前記定着部を清掃して汚れを蓄積する清掃部と、
前記清掃部の汚れを推計して汚れ推計値を算出する推計部と、
前記定着モードとは異なる時間に実行される吐出しモードにおいて前記清掃部に蓄積された汚れを前記定着部に吐き出し該定着部に通紙して用紙上に汚れを移す吐出し制御を行う吐出し制御部とを備え、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする定着装置である。
【0015】
第5態様に係る発明は、
前記吐出し制御部が、前記吐出しモードの実行を促す表示を行う表示部を備え、ユーザの指示を受けて該吐出し制御を実行するものであって、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記表示部への次回の前記吐出しモードの実行を促す表示を行うまでの間隔を狭めることによって汚れの吐出しを強めた吐出しを促すことを特徴とする第4態様に記載の定着装置である。
【0016】
第6態様に係る発明は、前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって次回の前記吐出しモードへの移行までの間隔を狭めることによって汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第4態様に記載の定着装置である。
【0017】
第7態様に係る発明は、前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって1回の前記吐出しモード内において汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第4から第6態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置である。
【0018】
第8態様に係る発明は、
前記吐出しモードが、前記定着部を通紙なしで動作させる空回転を行ない、該空回転の後に通紙するモードであって、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける空回転時の前記定着部の温度を高めることにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第7態様に記載の定着装置である。
【0019】
第9態様に係る発明は、
前記吐出しモードが、前記定着部を通紙なしで動作させる空回転を行ない、該空回転の後に通紙するモードであって、
前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける空回転の時間を延長することにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第7または第8態様に記載の定着装置である。
【0020】
第10態様に係る発明は、前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける通紙枚数を増やすことにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第7から第9態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置である。
【0021】
第11態様に係る発明は、前記吐出し制御部が、前記推計部で推計された汚れ推計値の増加にしたがって前記吐出しモードにおける通紙間隔を広げることにより汚れの吐出しを強めた吐出し制御を行うことを特徴とする第7から第10態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置である。
【0022】
第12態様に係る発明は、前記推計部が、前記定着部に用紙が接触した状態での用紙搬送停止が発生するたびに該用紙搬送停止による汚れを推計して今回の用紙搬送停止に起因する該定着部の汚れを表す個別推計値を求め該個別推計値の累積値を前記汚れ推計値とすることを特徴とする第1から第11態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置である。
【0023】
第13態様に係る発明は、前記推計部が、用紙に保持されて搬送されてきた未定着像がふちあり画像かふちなし画像かの別、該未定着像の搬送方向の寸法、該未定着像の画像密度、用紙搬送停止時における定着部に残存する用紙の枚数、および定着部に用紙が残存した状態での用紙搬送停止回数の少なくとも1つを変数として前記個別推計値を算出することを特徴とする第12態様に記載の定着装置である。
【0024】
第14態様に係る発明は、前記推計部が、前記定着部を通過した用紙の累積枚数を少な
くとも1つの変数として前記汚れ推計値を算出することを特徴とする第1から第13態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置である。
【0025】
第15態様に係る発明は、前記推計部が、前記累積枚数として、用紙に保持されて搬送されてきた未定着像がふちあり画像かふちなし画像かの別、該未定着像の搬送方向の寸法、および該未定着像の画像密度のうちの少なくとも1つで重みづけされた用紙の累積枚数を採用して前記汚れ推計値を算出することを特徴とする第14態様に記載の定着装置。
【0026】
第16態様に係る発明は、第1から第15態様のうちのいずれか1態様に記載の定着装置と、未定着像を形成して用紙に保持させ該用紙を前記定着装置に送り込む未定着像形成装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0027】
第1から第3態様に係る定着装置および第16態様に係る画像形成装置によれば、画像生産能力の低下等の不都合を抑えることと、必要な清掃を行うことを両立させることができる。
【0028】
第4から第7態様に係る定着装置および第16態様に係る画像形成装置によれば、画像生産能力の低下等の不都合を抑えることと、必要な吐出しを行うことを両立させることができる。
【0029】
第8から第11態様に係る定着装置によれば、それぞれ、空回転時の温度の制御、空回転時間の制御、通紙枚数の制御、通紙間隔の制御により、不都合の抑制と必要な吐出しとを両立させることができる。
【0030】
第12態様に係る定着装置によれば、個別推計値自体を汚れ推計値とするよりも、汚れの推計の精度が向上する。
【0031】
第13態様に係る定着装置によれば、第13態様に挙げた項目を変数としない場合と比べ、個別推計値の精度が向上する。
【0032】
第14態様に係る定着装置によれば、用紙の累積枚数を変数としない場合と比べ、汚れ推計値の精度が向上する。
【0033】
第15態様に係る定着装置によれば、用紙の枚数を単純に計数する場合と比べ、汚れ推計値の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
図2図1に示したプリンタに備えられている定着器の模式図である。
図3】清掃モードおよび吐出しモードの基本シーケンスを示した図である。
図4】ジャム発生時の各要素とカウント値との対応関係を表した図である。
図5】ふち有り画像とふち無し画像の説明図である。
図6】ジャム発生時の、図4に示した要素とは異なる要素とカウント値との対応関係を表した図である。
図7】清掃モードにおける、集計カウント値と係数との対応関係を示した図である。
図8】集計カウント値と吐出しモード実行タイミングとの対応関係を示した図である。
図9】これまでの合計の集積カウント値と、吐出モードのシーケンスの変更要素を示した図である。
図10】これまでの合計の集積カウント値と、吐出モードのシーケンスの、図9とは異なる変更要素を示した図である。
図11】画像形成枚数と倍率との対応関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。このプリンタには、本発明の一実施形態としての定着装置が搭載されている。
【0037】
図1に示すプリンタ10は、いわゆる電子写真方式を採用したモノクロプリンタであり、このプリンタ10とは別の装置、例えばパーソナルコンピュータ等で作成された、画像を表す画像信号が、不図示の信号ケーブル等を介してこのプリンタ10に入力される。プリンタ10には、このプリンタ10内の各構成要素の動きを制御する制御部11が備えられており、画像信号はこの制御部11に入力される。そして、プリンタ10では、この制御部11の制御の下で画像信号に基づく画像の形成が行われる。
【0038】
この制御部11は、プログラムを実行するCPUやメモリなどからなる情報処理装置としての機能を備えている。そして、このプリンタ10は、制御部11内での制御プログラムの実行により、画像形成のための動作が制御される。また、この制御部11には、本実施形態の後述する特徴に関係する要素として、ジャム検知部11a、ジャム計数部11b、集計部11c、および枚数計数部11dが備えられている。
【0039】
ジャム検知部11aは、ジャム(紙詰まり)が発生したことを検知する要素である。ここでは、プリンタ10内のジャムの発生個所や後述する定着器18に用紙が何枚詰まっているか、といった、ジャムの詳細情報も収集される。
【0040】
また、ジャム計数部11bは、過去のジャムの発生件数を計数するカウンタである。
【0041】
さらに、集計部11cは、後述する集計カウント値(例えば、図7参照)を算出して記憶しておく要素である。
【0042】
さらに、枚数計数部11dは、過去の画像生成の枚数を計数するカウンタである。
【0043】
また、このプリンタ10には、その外壁面に、操作・表示部29が備えられている。この操作・表示部では、このプリンタ10への電源のオン/オフ等の各種操作や、このプリンタ10の状態、例えばプリント中、プリント終了等の各種の表示が行われる。
【0044】
プリンタ10の下部には用紙トレイ21が備えられていて、用紙トレイ21には、用紙Pが積み重なった状態に収容されている。用紙トレイ21は、用紙Pの補給のために、引出し自在に構成されている。
【0045】
用紙トレイ21内の用紙Pは、ピックアップロール22およびさばきロール23により待機ロール24へと送られる。待機ロール24に到達した用紙Pは、搬送のタイミングが調整されてさらに搬送される。
【0046】
このプリンタ10には、矢印Aで示す向きに回転する円筒状の感光体12が備えられ、その感光体12の周囲に、帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、および感光体クリーナ17が配備されている。感光体12、帯電器13、露光器14、現像器15、および転写器16を併せたものが、本発明に言う未定着像形成装置の一例に相当する。
【0047】
帯電器13は、感光体12の表面を帯電させ、露光器14は、制御部11から送られてくる画像信号に従って感光体12の表面を露光して静電潜像を形成する。静電潜像は現像器15により現像されてトナー像が形成される。このプリンタ10には着脱式のトナーカートリッジ151が備えられており、現像器15内のトナーが消費されるとトナーカートリッジ151内のトナーが現像器15に補給される。
【0048】
ここで、上記の待機ロール24は、感光体12上のトナー像が、転写器16に対面した位置に達するタイミングに合わせてその位置に到達するように用紙Pを送り出す。そして、感光体12上に形成されたトナー像は、転写器16の作用を受け、その送り出されてきた用紙P上に転写される。これにより、用紙P上に未定着トナー像が形成される。
【0049】
未定着トナー像が形成された用紙Pは、さらに矢印B方向に進み、定着器18を通過する際に加熱および加圧を受けてその用紙P上にトナー像が定着される。この定着器18は、内部に熱源111を備えた加熱ロール110と、無端ベルト121を加熱ロール110に押し当てる押当部材122を内部に備えた加圧ベルト120とを有する。そして、定着器18を通過する用紙Pは、それらの加熱ロール110と加圧ベルト120とに挟まれたニップ領域N(図2参照)を通過する。その結果、用紙P上には定着トナー像からなる画像が形成される。この定着器18は、本発明の定着装置の一実施形態に相当する。
【0050】
定着器18を通過した用紙Pは、排出器19に向かって矢印C方向に進み、さらに、その排出器19によってさらに矢印D方向に送られて排紙台20上に排出される。
【0051】
図2は、図1に示したプリンタに備えられている定着器の模式図である。
【0052】
この定着器18は、前述の通り、加熱ロール110と加圧ベルト120とを備えている。そして、この定着器18は、トナー像を保持して搬送されてきた用紙を、加熱ロール110と、加圧ベルト120を構成している無端ベルト121との間に挟んでニップ領域Nを通過させ、その間に用紙上のトナー像を加熱および加圧することにより、そのトナー像を用紙上に定着させる。
【0053】
加熱ロール110は中空の円筒形状を有し、矢印R1方向に回転する。その加熱ロール110の内部には、電力の投入を受けて加熱ロール110をその内側から熱する熱源111が配置されている。
【0054】
また、加圧ベルト120は、無端ベルト121と、その無端ベルト121の内側に配置された、押当部材122およびフェルト部材123を有する。
【0055】
無端ベルト121は、加熱ロール110に押し当てられ、加熱ロール110の矢印R1方向への回転に伴って矢印R2方向に従動回転する部材である。
【0056】
また、押当部材122は、加熱ロール110の回転方向(矢印R1方向)についての相対的な下流側(ここではニップ領域Nの出口付近)と相対的な上流側(ここではニップ領域Nの入口付近)との双方において無端ベルト121を加熱ロール110に押し当てる部材である。
【0057】
また、フェルト部材123には、潤滑剤が含浸されていて、無端ベルト121の回転により、その無端ベルト121の内面に潤滑剤を塗布する役割を担っている。
【0058】
これら加熱ロール110および加圧ベルト120は、本発明にいう定着部の一例に相当する。
【0059】
また、この定着器18には、クリーニングロール131とサポートロール132とからなる定着クリーナ130が2つ備えられている。クリーニングロール131は、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120の外表面に接触して、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120の表面の移動に伴って従動回転する。そして、このクリーニングロール131は、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に付着したトナー等による汚れをクリーニングロール131自身に移す役割の部材である。また、サポートロール132は、クリーニングロール131に接触して、クリーニングロール131の回転に伴って従動回転する。そして、このサポートロール132は、クリーニングロール131を加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に押し当てる役割を担っている。さらに、このサポートロール132は、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120からクリーニングロール131に移った汚れをさらにそのサポートロール132自身が受け取る。その受け取った汚れは、そのサポートロール132に蓄積される。
【0060】
クリーニングロール131は、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に常に接している。したがって、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120のクリーニングは画像形成中であっても行われる。ただし、それだけではクリーニングが十分には行われないため、本実施形態では、クリーニングを行う目的で、画像形成を中断したまま定着器18を稼働させる清掃モードが設定されている。
【0061】
また、サポートロール132への汚れの蓄積が進むと、サポートロール132がそれ以上汚れを蓄積できない飽和状態となる。この飽和状態のまま使い続けると、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120が汚れたままとなる。また、サポートロール132に蓄積された汚れが加熱ロール110あるいは加圧ベルト120の戻ることもある。この状態になると画像形成中の用紙を汚すおそれがある。このため、本実施形態では、吐出しモードが設定されている。吐出しモードでは、画像形成を中断した状態において定着器18の温度を通常の定着時の温度よりも高い温度にまで上昇させてトナー等からなる汚れの粘度を下げる。これにより、サポートロール132に蓄積された汚れを、クリーニングロール131を経由して加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に戻し、白紙を、加熱ロール110と加圧ベルト120との間を通過させて、その白紙で汚れを拭き取る。
【0062】
これら清掃モードおよび吐出しモードは画像形成を中断させて実行されるモードである。このため、これらのモードを必要以上に実行させると、画像の生産性を低下させるおそれがある。また、吐出しモードでは、定着器18の温度を上昇させて白紙を通紙する。このため、温度上昇により定着器18の劣化を速めるおそれがあり、また、画像形成に必要のない用紙を無駄に消費することになる。一方、これらのモードの実行が不足すると、画像形成中の用紙を汚すおそれがある。そこで、本実施形態では、清掃モードおよび吐出しモードの実行の過不足を抑えるために、以下のアルゴリズムにしたがって、清掃モードあるいは吐出しモードへの移行タイミング、および、1回の清掃モードあるいは吐出しモードにおける清掃あるいは吐出しのシーケンスを決定している。
【0063】
図3は、清掃モードおよび吐出しモードの基本シーケンスを示した図である。
【0064】
図3(A)は、本実施形態における清掃モードの基本シーケンスである。この基本シーケンスとしての清掃モードでは、定着器18を130°Cに保って、30秒間、画像形成することなく、定着器18の空回転が行われる。
【0065】
この実施形態では、清掃モードへは、基本的には、例えば、プリンタ10に電源を入れた直後、画像形成50枚ごと、1つのジョブ(1回の画像形成の指示)の画像形成が終了したとき、および、ジャムが発生して詰まった用紙が取り除かれた後に行われる。プリンタ10の電源がオフの時は、クリーニングロール131は加熱ロール110あるいは加圧ベルト120の同じ位置に接触したままの状態にある。このため、その接触した部分が汚れている可能性があり、プリンタ10に電源を入れた直後に清掃モードが挿入される。また、画像形成50枚ごと、および1つのジョブ(1回の画像形成の指示)の画像形成が終了したときに清掃モードを挿入するのは、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120を常に汚れのない状態に保つためである。ただし、今回のジョブの画像形成枚数が例えば52枚など、50枚で区切ると残りがわずかな枚数となるときは、そのジョブの終了を待って清掃モードを実行するなど、その場の状況に応じた変更がある。また、ジャムが発生して詰まった用紙が取り除かれた後に清掃モードを挿入するのは、ジャムが発生すると未定着のトナーが加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に多量に移る可能性があり、特に念入りに清掃する必要があるからである。ジャムが発生するとその発生状況によって念入りに清掃する必要のある程度が異なってくる。また、定常状態においても、経時変化により清掃能力が低下するおそれもある。そこで、本実施形態では、後述するアルゴリズムにしたがって過不足のない清掃を行っている。
【0066】
図3(B)は、本実施形態における吐出しモードの基本シーケンスである。この基本シーケンスとしての吐出しモードでは、定着器18の温度を210°Cにまで上昇させて120秒間空回転し、その後、加熱ロール110と加圧ベルト120との間に白紙の用紙を5sec.間隔で通紙する。通紙の枚数は、基本的には5枚である。通紙の後は、定着器18の温度を130°Cにまで下げつつ65秒間空回転する。
【0067】
この実施形態では、吐出しモードへは、基本的には、画像形成1,000枚ごとに行われる。ただし、例えばジャムが発生すると1回のジャムで多量の汚れが蓄積されるなど、基本の枚数を待たずに吐出しモードに移行する必要を生じる場合がある。また、経時変化により汚れの蓄積の能力が低下するおそれもある。そこで、本実施形態では、吐出しモードについても、以下に説明するアルゴリズムにしたがって過不足のない吐出しを行っている。
【0068】
以下では、先ず、ジャムからの回復時の清掃モードおよび吐出しモードのアルゴリズムについて説明し、その後、定常状態における清掃モードおよび吐出しモードのアルゴリズムについて説明する。
【0069】
図4は、ジャム発生時の各要素とカウント値との対応関係を表した図である。カウント値の取扱いの詳細については、後述する。
【0070】
図4(A)は、ジャム時に形成されていた画像のふち無し/ふち有りによるカウント値を示している。ふち有り画像の場合はカウント値「1」、ふち無し画像の場合はカウント値「2」である。
【0071】
図5は、ふち有り画像とふち無し画像の説明図である。
【0072】
ふち有り画像は、図5(A)に示す通り、用紙のふちの部分を白紙のまま残し用紙のふちよりも内側の部分に形成された画像である。一方、ふち無し画像は、図5(B)に示す通り、用紙のふちまで埋め尽くすように形成された画像である。
【0073】
図4に戻って説明を続ける。
【0074】
ふち無し画像の場合にカウント値が高いのは、画像の縁の部分のトナーが加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に移りやすいからである。
【0075】
図4(B)は、画像の、用紙搬送方向の長さ(インチ)に応じたカウント値を示している。長い画像ほど汚れが大きいことが予想されるからである。
【0076】
図4(C)画像密度に応じたカウント値を示している。画像密度が高いほど汚れが大きいことが予想されるからである。
【0077】
図6は、ジャム発生時の、図4に示した要素とは異なる要素とカウント値との対応関係を表した図である。
【0078】
図6(D)は、ジャム発生時に、定着器18に残っていた用紙の枚数に応じたカウント値を示している。例えば加圧ベルト120に用紙が巻き付き、さらに次の用紙が定着器18にまで到達して停止するなど、ジャム発生時に複数枚の用紙が定着器18に留まっていることがある。定着器18に留まっている用紙枚数が多いと、それだけ汚れが大きいことが予想される。
【0079】
図6(E)は、今回のジャムを含む、過去のジャムの発生回数の応じたカウント値を示している。本実施形態では、ジャムが発生しても、定着器18に用紙が残っていないときは、カウント値は「0」のままである。
【0080】
本実施形態では、図4(A)~(C)および図6(A)~(B)で求められるカウント値が全て掛け算される。ここでは、その掛け算されたカウント値を、ここでは「集計カウント値」と称する。
【0081】
図7は、清掃モードにおける、集計カウント値と係数との対応関係を示した図である。
【0082】
係数1.0は、図3(A)の基本シーケンス通りの清掃モードを実行することを意味している。また、係数1.5は、図3(A)の基本シーケンスの場合は空回転の時間が30sec.であるのに対し、1.5倍の時間、すなわち45sec.間、空回転することを意味している。ほかの係数も同様である。
【0083】
図8は、集計カウント値と吐出しモード実行タイミングとの対応関係を示した図である。
【0084】
本実施形態では、ユーザによる初期設定で、操作・表示部29(図1参照)に、吐出しモードの実行を促す表示を行いユーザからの指示を待って吐出しモードを実行するモードと、自動的に吐出しモードを実行するモードとが選択される。また、この集計カウント値は記憶され、ジャムが次に発生したときは、記憶しておいた集計カウント値に次のジャムの発生時の集計カウント値が加算されて記憶される。この記憶された集計カウント値は、吐出モードの動作が実際に実行されると消去される。吐出しモードに関しては、このようにして順次加算された集計カウント値が用いられる。
【0085】
この図8に示す、例えば「あと4回で実行」は、ジャムがあと4回発生したら吐出しモードの実行を促す表示を行う、あるいは、自動的に吐出しモードの動作を実行することを意味している。これは、今回のジャムの集計カウント値とあと4回のジャムの集計カウント値の全ての合計の集計カウント値が6以下に留まる場合である。例えば、今回の集計カウント値と次にジャムが発生したときの集計カウント値との合計の集計カウント値が50だったときは、「あと1回で実行」に移行し、合計の集計カウント値が100だったときは、「ただちに実行」に移行することになる。
【0086】
図9は、これまでの合計の集積カウント値と、吐出モードのシーケンスの変更要素を示した図である。
【0087】
ここで、図9(A)は、これまでの合計の集積カウント値と通紙前の空回転の時間の倍率との対応関係を示している。例えば係数1.2は、図3に示す基本のシーケンス中の、通紙前の空回転の時間120sec.を1.2倍した、144sec.に延長することを意味している。空回転の時間が長いほど、蓄積されていたトナー等の汚れの軟化が進み、汚れが加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に移りやすくなる。
【0088】
また、図9(B)は、これまでの合計の集積カウント値と定着器の加算温度との対応関係を示している。加算温度5°Cは、基本の温度210°C(図3参照)に5°Cを加えた215°Cにまで上昇させることを意味している。温度が高いほど、蓄積されていたトナー等の汚れの軟化が進み、汚れが加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に移りやすくなる。
【0089】
図10は、これまでの合計の集積カウント値と、吐出モードのシーケンスの、図9とは異なる変更要素を示した図である。
【0090】
図10(A)は、これまでの合計の集積カウント値と通紙の加算枚数との対応関係を示している。例えば、加算枚数「1」は、基本の通紙枚数である5枚に1枚を足した6枚、通紙することを意味している。通紙枚数が増えると、その分、加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に移った汚れが拭き取られやすいからである。
【0091】
図10(B)は、これまでの合計の集積カウント値と通紙間隔の加算時間との対応関係を示している。例えば、加算時間4sec.は、基本の通紙時間間隔5sec.に4sec.を足した9sec.間隔で通紙することを意味している。通紙間隔を空けると加熱ロール110あるいは加圧ベルト120に移る汚れが増えやすいからである。
【0092】
本実施形態では、ジャム発生時には、以上のアルゴリズムにしたがって清掃モードあるいは吐出しモードに移行し、また、清掃モードあるいは吐出しモードでのシーケンスが決定される。
【0093】
次に、ジャムが発生していない定常状態における清掃モードおよび吐出しモードへの移行のアルゴリズムおよびシーケンスについて説明する。
【0094】
図11は、画像形成枚数と倍率との対応関係を示した図である。この図は、清掃モードと吐き出しモードとに共通に使用される。
【0095】
清掃モードの基本シーケンスは、図3(A)に示すように、130°Cで30sec.空回転させることである。図11を参照すると、累積の画像形成枚数が10,000枚を超えると倍率が1.3となる。この場合、空運転の時間が30sec.ではなく、30×1.3=39sec.に変更される。あるいは、空運転の時間は30sec.のままとし、基本的には画像形成枚数50枚ごとに挿入される清掃モードを、50/1.3=38枚ごとに挿入することとしてもよい。この図11に示すほかの画像形成枚数や倍率についても同様である。
【0096】
また、吐出しモードについては、ジャムが発生していなくても画像形成枚数1,000枚ごとに実行されるが、その倍率に応じて、図9および図10を参照して説明したように、空回転時間、加算温度、加算枚数、白紙通紙間隔が変更される。あるいは、吐出しモードにおけるシーケンスは基本のシーケンスのままとし、例えば、累積の画像形成枚数が10,000枚を超えて倍率が1.3になると、画像を、1,000/1.3=769枚形成するたびに吐出しモードを挿入することとしてもよい。ほかの画像形成枚数や倍率についても同様である。
【0097】
また、ここでは、画像形成枚数を単純に計数しているが、図4(A)~(C)に示した要素に応じて重みづけされた用紙搬送枚数を計数してもよい。例えば、今回の1枚に形成された画像が、ふち無し、画像長さ8インチ、画像密度0.8%だったとすると、2×4×0.2=1.6枚と数えてもよい。この場合、図11に示した画像形成枚数と倍率との関係は、その重みづけの体系の応じて適切に調整される。
【0098】
なお、ここでは、ジャム発生時と定常状態とに分けて説明したが、清掃モードや吐出しモードへの移行のタイミングを決めるアルゴリズムや清掃モードや吐出しモードにおける動作シーケンスを互いに影響し合うように定めてもよい。例えば、ジャムの発生を起因とした清掃モードの実行の直後に定常状態における清掃モード挿入タイミングが到来する状況の場合、定常状態における清掃モードを1回省いてもよい。吐出しモードについても同様である。また、清掃モードと吐出しモードとの間でも同様である。例えば、清掃モード挿入の直後に吐出しモードが挿入される状況の場合は、清掃モード挿入を省いて吐出しモードを実行してもよい。
【0099】
なお、ここでは、定着クリーナ130を、加熱ロール110と加圧ベルト120との双方に配備した例について説明したが、定着クリーナ130は、例えば加圧ロール110側のみなど、一方にのみ備えられていてもよい。また、ここでは、図1に示すモノクロプリンタ10に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、例えばタンデム型のカラープリンタ等にも同様に適用することができる。
【0100】
また、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に限られるものではなく、例えば、インクによる未乾燥の画像(未定着のインク画像)を保持して搬送されてきた用紙に接してその未定着インク画像を用紙上に定着する、インクジェット方式の画像形成装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 プリンタ
12 感光体
18 定着器
110 加熱ロール
120 加圧ベルト
121 無端ベルト
122 押当部材
130 定着クリーナ
131 クリーニングロール
132 サポートロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11