(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】浴室機器システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240402BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H02J1/00 309Q
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2020055014
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 要
(72)【発明者】
【氏名】林 勇樹
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-252923(JP,A)
【文献】特開2005-328627(JP,A)
【文献】実開昭56-051432(JP,U)
【文献】特開2000-081241(JP,A)
【文献】特開2009-178029(JP,A)
【文献】中国実用新案第203588167(CN,U)
【文献】特開2009-159684(JP,A)
【文献】特開2002-095169(JP,A)
【文献】特開2001-327010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K3/02-4/00
E04H1/00-1/14
G06F1/26-1/3296
H02G3/08-3/20
H02J1/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の浴室関連機器と、
住宅内に設けられる分電盤を介して供給される交流電力から前記複数の浴室関連機器を動作させるための動作電力を生成する動作用電源部と、
前記複数の浴室関連機器に設けられ、前記動作用電源部から供給される前記動作電力を前記複数の浴室関連機器毎に制御する複数の電力制御部と、
前記動作用電源部に過電流が流れた場合に、前記動作用電源部における通電を遮断可能な第1過電流保護装置と、
前記複数の浴室関連機器内に設けられ、前記動作用電源部と前記複数の
電力制御部との間に
位置し、前記複数の浴室関連機器への通電をそれぞれ遮断可能な複数の第2過電流保護装置と
を備え、
前記浴室関連機器は、浴室に設けられる機器、前記住宅内に設けられて前記機器を制御する操作装置、および前記機器と端末装置との間で信号を送受信する通信装置のいずれか1つを含み、
前記複数の第2過電流保護装置は、前記浴室関連機器に過電流が流れた場合に、前記第1過電流保護装置よりも先に、過電流が流れた前記浴室関連機器への通電を遮断する
ことを特徴とする浴室機器システム。
【請求項2】
前記複数の第2過電流保護装置における過電流閾値は、前記第1過電流保護装置における過電流閾値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室機器システム。
【請求項3】
前記複数の第2過電流保護装置における過電流判定時間は、前記第1過電流保護装置における過電流判定時間よりも短い
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、浴室機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットの天井裏に、漏電遮断器を有する電源ボックスを配置する浴室機器システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記する浴室機器システムでは、電源ボックスから電力が供給される機器のいずれか1つに過電流が流れた場合に、全ての機器に対し電力の供給が停止され、全ての機器が動作停止するおそれがある。
【0005】
実施形態の一態様は、過電流が流れた機器以外の機器の動作停止を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る浴室機器システムは、複数の浴室関連機器と、住宅内に設けられる分電盤を介して供給される交流電力から前記複数の浴室関連機器を動作させるための動作電力を生成する動作用電源部と、前記動作用電源部から供給される前記動作電力を前記複数の浴室関連機器毎に制御する複数の電力制御部と、前記動作用電源部に過電流が流れた場合に、前記動作用電源部における通電を遮断可能な第1過電流保護装置と、前記動作用電源部と前記複数の浴室関連機器との間に設けられ、前記複数の浴室関連機器への通電をそれぞれ遮断可能な複数の第2過電流保護装置とを備える。前記浴室関連機器は、浴室に設けられる機器、前記住宅内に設けられて前記機器を制御する操作装置、および前記機器と端末装置との間で信号を送受信する通信装置のいずれか1つを含み、前記複数の第2過電流保護装置は、前記浴室関連機器に過電流が流れた場合に、前記第1過電流保護装置よりも先に、前記過電流が流れた前記浴室関連機器への通電を遮断する。
【0007】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器が使用可能となる。すなわち、浴室機器システムは、過電流が流れた浴室関連機器以外の浴室関連機器の動作停止を抑制することができる。例えば、浴室に設けられる機器に過電流が流れた場合に、過電流が流れていない通信装置は、使用可能である。この場合、例えば、ユーザは、住宅外から、過電流が流れた機器に関する情報を端末装置によって取得することができ、浴室に設けられた機器の故障に対する対処を素早く行うことができる。
【0008】
また、前記複数の第2過電流保護装置における過電流閾値は、前記第1過電流保護装置における過電流閾値よりも小さい。
【0009】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器は使用可能となる。
【0010】
また、前記複数の第2過電流保護装置における過電流判定時間は、前記第1過電流保護装置における過電流判定時間よりも短い。
【0011】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器は使用可能となる。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、過電流が流れた機器以外の機器の動作停止を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る浴室機器システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る浴室を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電源ボックスの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第1過電流保護装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る各浴室関連機器の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る第2過電流保護装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る第1過電流保護装置の通電遮断処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る第2過電流保護装置の通電遮断処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する浴室機器システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
実施形態に係る浴室機器システム1について
図1を参照し説明する。
図1は、実施形態に係る浴室機器システム1の構成を示すブロック図である。なお、
図1などのブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0016】
換言すれば、
図1などのブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0017】
図1に示すように、浴室機器システム1は、複数の浴室関連機器2と、電源ボックス3と、通信ボックス4とを備える。複数の浴室関連機器2には、浴室100(
図2参照)に設けられる機器、例えば、浴室洗浄装置10、自動排水栓11、AV機器12が含まれる。また、複数の浴室関連機器2には、操作装置13、および通信装置14が含まれる。なお、浴室関連機器2は、これに限られることはない。浴室関連機器2には、照明などが含まれてもよい。
【0018】
浴室洗浄装置10は、浴室100を洗浄する洗浄機能を有する。例えば、浴室洗浄装置10は、浴室100の床103(
図2参照)に除菌水や水(または湯)を散布することで、浴室100の床103を洗浄する。浴室洗浄装置10には、浴槽105(
図2参照)を洗浄する浴槽洗浄装置が含まれてもよい。
【0019】
自動排水栓11は、浴槽105の排水弁を開閉する。自動排水栓11は、開くことで浴槽105内の水(または湯)を排出し、閉じることで例えば浴槽105において湯張りなどを開始可能な状態にする。
【0020】
AV機器12は、例えば、オーディオコンポであり、音声の再生機能を有する。なお、AV機器12は、映像の再生機能を有していてもよい。AV機器12には、例えば、テレビが含まれてもよい。
【0021】
操作装置13は、浴室100に設けられる機器(浴室洗浄装置10など)を操作するための装置である。すなわち、操作装置13は、浴室100に設けられる機器を制御する装置である。操作装置13は、リモコンである。操作装置13は、ユーザの操作により、浴室洗浄装置10などを制御する制御信号を送信する。操作装置13から送信された制御信号は、対応する浴室洗浄装置10などへ出力される。操作装置13は、給湯器などを制御してもよい。
【0022】
通信装置14は、無線通信による制御信号を無線ルータ5から受信し、受信された制御信号を、有線通信を介して浴室100に設けられる機器など(正確には通信ボックス4)へ送信する。通信装置14としては、例えばゲートウェイ装置を用いることができる。
【0023】
浴室機器システム1では、通信装置14が無線ルータ5と無線通信可能である。また、無線ルータ5は、インターネット網などの通信ネットワークNを介して端末装置6に通信可能に接続される。
【0024】
無線ルータ5は、端末装置6から送信された制御信号を受信し、受信した制御信号を無線通信により通信装置14へ送信する。また、無線ルータ5は、浴室100に設けられる機器の作動状態に関する信号を、通信装置14を介して無線通信により受信し、受信した信号を、通信ネットワークNを介して端末装置6へ送信する。無線ルータ5における無線通信としては、例えばWiFi(登録商標)などを用いることができるが、これに限られず、Bluetooth(登録商標)などその他の種類の無線通信を用いてもよい。
【0025】
端末装置6は、ユーザによって利用される端末装置である。端末装置6としては、スマートフォンなどの携帯端末装置を用いることができるが、これに限定されるものではない。例えば、端末装置6は、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータなどその他の装置であってもよい。端末装置6は、複数であってもよい。
【0026】
端末装置6は、浴室100に設けられる機器、例えば、浴室洗浄装置10を制御する制御信号を浴室洗浄装置10へ送信することができる。例えば、端末装置6は、ユーザの操作により、浴室洗浄装置10の制御を行うためのアプリケーションが起動されて浴室洗浄装置10を制御する制御信号を送信する。制御信号は、無線ルータ5、通信装置14および通信ボックス4を介して浴室洗浄装置10に入力される。
【0027】
また、端末装置6は、浴室100に設けられる機器、例えば、浴室洗浄装置10の作動状態に関する信号を、通信ボックス4、通信装置14、および無線ルータ5を介して受信することができる。
【0028】
電源ボックス3は、複数の浴室関連機器2を動作させるための動作電力を生成する。電源ボックス3の詳細については後述する。
【0029】
通信ボックス4は、複数の浴室関連機器2と有線で接続される。通信ボックス4は、電源ボックス3から供給される動作電力を、複数の浴室関連機器2に供給する。また、通信ボックス4は、複数の浴室関連機器2を接続するハブとして機能する。通信ボックス4は、通信装置14から有線通信で送信された制御信号を、制御信号に対応する浴室100に設けられる機器へ送信する。
【0030】
複数の浴室関連機器2、電源ボックス3、および通信ボックス4は、例えば、
図2に示すように、浴室100に配置される。
図2は、実施形態に係る浴室100を示す概略図である。浴室100は、例えば、ユニットバスである。
【0031】
浴室100は、複数数(例えば4枚)の壁101と、天井102と、床103とを備える。壁101、天井102、および床103は、例えばユニットバスを構成する専用のパネル(例えば鋼板パネル)などによって形成される。
【0032】
浴室100の内部には、壁101、天井102および床103によって囲まれた浴室空間104が形成される。浴室空間104には、浴槽105や図示しないシャワー水栓などの水回り設備が配置される。浴室100の外部には、商用電源から交流電力が供給される分電盤110が配置される。
【0033】
通信装置14、電源ボックス3、および通信ボックス4は、天井裏、すなわち天井102の上面に設けられる。また、浴室洗浄装置10の電力制御ボックス31、自動排水栓11の電力制御ボックス41、AV機器12の電力制御ボックス51は、天井裏に設けられる。各電力制御ボックス31、41、51は、通信ボックス4と有線で接続され、対応する浴室関連機器2に供給される動作電力を制御する。
【0034】
操作装置13は、浴室100の壁101に設けられる。天井102には、点検口102aが設けられる。作業者などは、点検口102aから、電源ボックス3や、通信ボックス4や、電力制御ボックス31、41、51や、通信装置14などにアクセスし、作業を行うことができる。
【0035】
次に、電源ボックス3について
図3を参照し説明する。
図3は、実施形態に係る電源ボックス3の構成を示すブロック図である。
【0036】
電源ボックス3は、住宅内に設けられた分電盤110から交流電力が供給される。電源ボックス3は、動作用電源部20と、第1過電流保護装置21とを備える。
【0037】
動作用電源部20は、分電盤110を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。具体的には、動作用電源部20は、交流電力から複数の浴室関連機器2を動作させるための動作電力を生成する。動作用電源部20は、例えば、分電盤110から供給された電力における電圧を24Vの直流電圧に変換する。
【0038】
動作用電源部20によって生成された動作電力は、通信ボックス4を介して複数の浴室関連機器2(
図1参照)に供給される。
【0039】
第1過電流保護装置21は、動作用電源部20に過電流が流れた場合に、動作用電源部20の通電を遮断する。具体的には、第1過電流保護装置21は、動作用電源部20に、第1閾値(過電流閾値)以上の電流が第1判定時間(過電流判定時間)以上流れる場合に、動作用電源部20の通電を遮断する。第1閾値、および第1判定時間は、予め設定された値である。第1過電流保護装置21によって動作用電源部20の通電が遮断された場合には、複数の浴室関連機器2への通電が全て遮断される。
【0040】
第1過電流保護装置21は、
図4に示すように、電流検出部22と、スイッチ23と、電流遮断部24と備える。
図4は、実施形態に係る第1過電流保護装置21の構成を示すブロック図である。
【0041】
電流検出部22は、例えば、電流検出回路である。電流検出部22は、動作用電源部20に流れる電流を検出する。
【0042】
スイッチ23は、動作用電源部20の通電状態を切り替える。具体的には、スイッチ23は、「ON」の場合に動作用電源部20に通電を行う。スイッチ23は、「OFF」の場合に動作用電源部20への通電を遮断する。
【0043】
電流遮断部24は、記憶部25と、制御部26とを備える。記憶部25は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの記憶装置である。
【0044】
制御部26は、判定部26Aと、計測部26Bと、指示部26Cとを備える。制御部26は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0045】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御部26の判定部26A、計測部26B、および指示部26Cとして機能する。判定部26A、計測部26B、および指示部26Cの少なくともいずれか一つまたは全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。電流遮断部24は、電気回路によって構成されてもよい。
【0046】
判定部26Aは、電流検出部22によって検出された電流が第1閾値以上であるか否かを判定する。判定部26Aは、計測部26Bによって計測された時間が第1判定時間以上であるか否かを判定する。
【0047】
計測部26Bは、電流検出部22によって検出された電流が第1閾値以上である場合に、第1閾値以上の電流が流れている時間を計測する。具体的には、計測部26Bは、第1閾値以上の電流が連続して流れている時間を計測する。
【0048】
指示部26Cは、計測部26Bによって計測された時間が第1判定時間以上である場合に、スイッチ23を「OFF」にする。すなわち、指示部26Cは、第1閾値以上の電流が第1判定時間以上流れた場合に、動作用電源部20への通電を遮断する。
【0049】
次に、各浴室関連機器2について
図5を参照し説明する。
図5は、実施形態に係る各浴室関連機器2の構成を示すブロック図である。
【0050】
浴室洗浄装置10は、浴室洗浄装置10の本体部30と、電力制御ボックス31とを備える。浴室洗浄装置10の本体部30は、浴室100を洗浄する洗浄機能を発揮させる各構成を含む。電力制御ボックス31は、電力制御部31Aと、第2過電流保護装置31Bとを備える。電力制御部31Aは、浴室洗浄装置10に供給される動作電力を制御する。
【0051】
ここで、第2過電流保護装置31Bについて
図6を参照し説明する。
図6は、実施形態に係る第2過電流保護装置31Bの構成を示すブロック図である。
【0052】
第2過電流保護装置31Bは、電力制御部31A(
図5参照)に過電流が流れた場合に、浴室洗浄装置10の通電を遮断する。具体的には、第2過電流保護装置31Bは、電力制御部31Aに、第2閾値(過電流閾値)以上の電流が第2判定時間(過電流判定時間)以上流れた場合に、電力制御部31Aの通電を遮断する。第2閾値は、予め設定された値であり、第1閾値よりも小さい。第2判定時間は、予め設定された時間であり、第1判定時間よりも短い。
【0053】
第2過電流保護装置31Bは、電流検出部32と、スイッチ33と、電流遮断部34と備える。電流検出部32は、例えば、電流検出回路である。電流検出部32は、電力制御部31Aに流れる電流を検出する。
【0054】
スイッチ33は、電力制御部31Aへの通電状態を切り替える。具体的には、スイッチ33は、「ON」の場合に電力制御部31Aに通電を行う。スイッチ33は、「OFF」の場合に電力制御部31Aへの通電を遮断する。
【0055】
電流遮断部34は、記憶部35と、制御部36とを備える。記憶部35は、RAM、フラッシュメモリなどの記憶装置である。
【0056】
制御部36は、判定部36Aと、計測部36Bと、指示部36Cとを備える。制御部36は、たとえば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0057】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御部36の判定部36A、計測部36B、および指示部36Cとして機能する。判定部36A、計測部36B、および指示部36Cの少なくともいずれか一つまたは全部は、ASIC、GPU、FPGA等のハードウェアで構成されてもよい。電流遮断部34は、電気回路によって構成されてもよい。
【0058】
判定部36Aは、電流検出部32によって検出された電流が第2閾値以上であるか否かを判定する。判定部36Aは、計測部36Bによって計測された時間が第2判定時間以上であるか否かを判定する。
【0059】
計測部36Bは、電流検出部32によって検出された電流が第2閾値以上である場合に、第2閾値以上の電流が流れている時間を計測する。具体的には、計測部36Bは、第2閾値以上の電流が連続して流れている時間を計測する。
【0060】
指示部36Cは、計測部36Bによって計測された時間が第2判定時間以上である場合に、スイッチ33を「OFF」にする。すなわち、指示部36Cは、第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れた場合に、電力制御部31Aへの通電を遮断する。
【0061】
図5に戻り、自動排水栓11は、自動排水栓11の本体部40と、電力制御ボックス41とを備える。自動排水栓11の本体部40は、浴槽105の排水弁を開閉させる各構成を含む。電力制御ボックス41は、電力制御部41Aと、第2過電流保護装置41Bとを備える。電力制御部41Aは、浴室洗浄装置10に供給される動作電力を制御する。
【0062】
第2過電流保護装置41Bは、電力制御部41Aに過電流が流れた場合に、自動排水栓11の通電を遮断する。具体的には、第2過電流保護装置41Bは、電力制御部41Aに、第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れた場合に、電力制御部41Aの通電を遮断する。なお、自動排水栓11における第2閾値、および第2判定時間は、浴室洗浄装置10における第2閾値、および第2判定時間とは異なる値であってもよい。第2過電流保護装置41Bの具体的な構成は、浴室洗浄装置10における第2過電流保護装置31Bと同じであり、詳しい説明は省略する。
【0063】
AV機器12は、AV機器12の本体部50と、電力制御ボックス51とを備える。AV機器12の本体部50は、例えば、オーディオコンポの各構成を含む。電力制御ボックス51は、電力制御部51Aと、第2過電流保護装置51Bとを備える。電力制御部51Aは、AV機器12に供給される動作電力を制御する。
【0064】
第2過電流保護装置51Bは、電力制御部51Aに過電流が流れた場合に、電力制御部51AのAV機器12を遮断する。具体的には、第2過電流保護装置51Bは、電力制御部51Aに、第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れた場合に、電力制御部51Aの通電を遮断する。なお、AV機器12における第2閾値、および第2判定時間は、浴室洗浄装置10などにおける第2閾値、および第2判定時間とは異なる値であってもよい。第2過電流保護装置51Bの具体的な構成は、浴室洗浄装置10における第2過電流保護装置31Bと同じであり、詳しい説明は省略する。
【0065】
操作装置13は、操作装置13の本体部60と、電力制御部61Aと、第2過電流保護装置61Bとを備える。操作装置13の本体部60は、浴室100に設けられる機器、例えば、浴室洗浄装置10に対する操作を受け付け、浴室洗浄装置10を制御する制御信号を生成する各構成を含む。電力制御部61Aは、操作装置13に供給される動作電力を制御する。
【0066】
第2過電流保護装置61Bは、電力制御部61Aに過電流が流れた場合に、操作装置13の通電を遮断する。具体的には、第2過電流保護装置61Bは、電力制御部61Aに、第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れた場合に、電力制御部61Aの通電を遮断する。なお、操作装置13における第2閾値、および第2判定時間は、浴室洗浄装置10などにおける第2閾値、および第2判定時間とは異なる値であってもよい。第2過電流保護装置61Bの具体的な構成は、浴室洗浄装置10における第2過電流保護装置31Bと同じであり、詳しい説明は省略する。
【0067】
通信装置14は、通信装置14の本体部70と、電力制御部71Aと、第2過電流保護装置71Bとを備える。通信装置14の本体部70は、制御信号を送受信する各構成を含む。電力制御部71Aは、通信装置14に供給される動作電力を制御する。
【0068】
第2過電流保護装置71Bは、電力制御部71Aに過電流が流れた場合に、通信装置14の通電を遮断する。具体的には、第2過電流保護装置71Bは、電力制御部71Aに、第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れた場合に、電力制御部71Aの通電を遮断する。なお、AV機器12における第2閾値、および第2判定時間は、浴室洗浄装置10などにおける第2閾値、および第2判定時間とは異なる値であってもよい。第2過電流保護装置71Bの具体的な構成は、浴室洗浄装置10における第2過電流保護装置31Bと同じであり、詳しい説明は省略する。
【0069】
次に、実施形態に係る通電遮断処理について
図7、および
図8を参照し説明する。
図7は、実施形態に係る第1過電流保護装置21の通電遮断処理を説明するフローチャートである。
図8は、実施形態に係る第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bの通電遮断処理を説明するフローチャートである。
【0070】
まず、第1過電流保護装置21の通電遮断処理について説明する。
【0071】
第1過電流保護装置21は、電流検出部22によって動作用電源部20に流れる電流を検出する(S100)。第1過電流保護装置21は、検出した電流が第1閾値以上であるか否かを判定する(S101)。
【0072】
第1過電流保護装置21は、検出した電流が第1閾値以上である場合には(S101:Yes)、第1閾値以上の電流が連続して流れている時間を計測する(S102)。
【0073】
第1過電流保護装置21は、計測した時間が第1判定時間以上であるか否かを判定する(S103)。第1過電流保護装置21は、計測した時間が第1判定時間よりも短い場合には(S103:No)、ステップS100に戻り、上記処理を継続する。
【0074】
第1過電流保護装置21は、計測した時間が第1判定時間以上である場合には(S103:Yes)、スイッチ23を開放する(S104)。これにより、動作用電源部20、すなわち全ての浴室関連機器2に流れる電流が遮断される。
【0075】
次に、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bの通電遮断処理について説明する。ここでは、浴室洗浄装置10における通電遮断処理を一例として説明するが、自動排水栓11などにおける通電遮断処理も同じである。
【0076】
第2過電流保護装置31Bは、電流検出部32によって電力制御部31Aに流れる電流を検出する(S200)。第2過電流保護装置31Bは、検出した電流が第2閾値以上であるか否かを判定する(S201)。
【0077】
第2過電流保護装置31Bは、検出した電流が第2閾値以上である場合には(S201:Yes)、第2閾値以上の電流が連続して流れている時間を計測する(S202)。
【0078】
第2過電流保護装置31Bは、計測した時間が第2判定時間以上であるか否かを判定する(S203)。第2過電流保護装置31Bは、計測した時間が第2判定時間よりも短い場合には(S203:No)、ステップS200に戻り、上記処理を継続する。
【0079】
第2過電流保護装置31Bは、計測した時間が第2判定時間以上である場合には(S203:Yes)、スイッチ33を開放する(S204)。これにより、電力制御部31A、すなわち浴室洗浄装置10に流れる電流が遮断される。第2閾値は、第1閾値よりも小さく、かつ第2判定時間は、第1判定時間よりも短い。そのため、浴室洗浄装置10に過電流が流れた場合には、第1過電流保護装置21よりも先に第2過電流保護装置31Bによって浴室洗浄装置10の通電が遮断される。この場合、浴室洗浄装置10以外の浴室関連機器2への通電は遮断されない。そのため、浴室洗浄装置10以外の浴室関連機器2は、使用可能である。
【0080】
第2過電流保護装置31Bは、検出した電流が第2閾値よりも小さい場合には(S201:No)、計測している時間をリセットする(S205)。
【0081】
次に、浴室機器システム1における効果について説明する。
【0082】
浴室機器システム1は、複数の浴室関連機器2と、動作用電源部20と、複数の電力制御部31A、41A、51A、61A、71Aと、第1過電流保護装置21と、複数の第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bとを備える。動作用電源部20は、住宅内に設けられる分電盤110を介して供給される交流電力から複数の浴室関連機器2を動作させるための動作電力を生成する。複数の電力制御部31A、41A、51A、61A、71Aは、動作用電源部20から供給される動作電力を、複数の浴室関連機器2毎に制御する。第1過電流保護装置21は、動作用電源部20に過電流が流れた場合に、動作用電源部20における通電を遮断可能である。複数の第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bは、複数の浴室関連機器2と、動作用電源部20との間に設けられ、複数の浴室関連機器2への通電をそれぞれ遮断可能である。複数の第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bは、浴室関連機器2に過電流が流れた場合に、第1過電流保護装置21よりも先に、過電流が流れた浴室関連機器2への通電を遮断する。
【0083】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器2への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器2は使用可能である。すなわち、浴室機器システム1は、過電流が流れた浴室関連機器2以外の浴室関連機器2の動作停止を抑制することができる。
【0084】
例えば、浴室100に設けられる機器に過電流が流れた場合に、過電流が流れていない通信装置14は、使用可能である。この場合、例えば、ユーザは、住宅外から、過電流が流れた機器に関する情報を端末装置6によって取得することができ、浴室100に設けられた機器の故障に対する対処を素早く行うことができる。
【0085】
第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bにおける第2閾値は、第1過電流保護装置21における第1閾値よりも小さい。
【0086】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器2への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器2は使用可能である。
【0087】
第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bにおける第2判定時間は、第1過電流保護装置21における第1判定時間よりも短い。
【0088】
これにより、過電流が流れた浴室関連機器2への通電のみが遮断され、過電流が流れていない浴室関連機器2は使用可能となる。
【0089】
変形例に係る浴室機器システム1は、第1過電流保護装置21、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bの少なくとも一部としてヒューズが用いられてもよい。ヒューズが用いられる過電流保護装置は、過電流が流れた場合の溶断電流と、定常電流との間に十分なマージンを確保でき、かつ他の過電流保護装置の閾値(第1閾値、または第2閾値)と定常電流との差異を十分に確保できる過電流保護装置である。ヒューズが用いられる過電流保護装置は、ヒューズの製品誤差によって、ヒューズの溶断しない定常電流を有する過電流保護装置である。
【0090】
これにより、変形例に係る浴室機器システム1は、過電流保護装置にかかるコストを低減することができる。
【0091】
変形例に係る浴室機器システム1は、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bにおいて第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れる場合に、第2閾値よりも低い電流に制限する電流制限部を第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bに設けてもよい。電流制限部は、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bのいずれか1つ以上に設けられてもよい。
【0092】
これにより、変形例に係る浴室機器システム1は、例えば、過電流が流れた浴室関連機器2に対し過電流を発生させていた原因が解消された場合に、再び浴室関連機器2に電力を供給することができる。例えば、浴室洗浄装置10において過電流が流れ、過電流を発生させていた原因が解消された場合に、再び、浴室洗浄装置10が使用可能となる。
【0093】
変形例に係る浴室機器システム1は、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bにおいて第2閾値以上の電流が第2判定時間以上流れる場合に、第1過電流保護装置21においてスイッチ23がOFFになることを一時的に防止してもよい。これにより、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bにおける過電流の発生によって、第1過電流保護装置21のスイッチ23がOFFになることを抑制することができる。
【0094】
変形例に係る浴室機器システム1は、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bを、浴室関連機器2とは別に設けてもよい。例えば、変形例に係る浴室機器システム1は、第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bの少なくとも1つを通信ボックス4に設けてもよい。また、変形例に係る浴室機器システム1は、複数の第2過電流保護装置31B、41B、51B、61B、71Bを一体に設けてもよい。
【0095】
これにより、変形例に係る浴室機器システム1は、浴室関連機器2が配置されるスペースを小さくすることができる。例えば、変形例に係る浴室機器システム1は、電力制御ボックス31、41、51を小型化し、天井裏のスペースを有効的に活用することができる。また、例えば、作業者は、電力制御ボックス31、41、51の施工を容易に行うことができる。
【0096】
また、変形例に係る浴室機器システム1は、浴室乾燥暖房機などの機器を備えてもよい。また、変形例に係る浴室機器システム1は、浴室関連機器2の一部が設けられないシステムであってもよい。また、変形例に係る浴室機器システム1は、通信ボックス4を介さずに、浴室関連機器2が電源ボックス3に接続されてもよい。
【0097】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 浴室機器システム
2 浴室関連機器
3 電源ボックス
4 通信ボックス
6 端末装置
10 浴室洗浄装置
11 自動排水栓
12 AV機器
13 操作装置
14 通信装置
20 動作用電源部
21 第1過電流保護装置
31A、41A、51A、61A、71A 電力制御部
31B、41B、51B、61B、71B 第2過電流保護装置