(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240402BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20240402BHJP
H01F 7/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F16K31/06 305D
F16K31/06 305K
F16K31/06 305A
F16K31/06 305B
H01F7/16 R
H01F7/06 M
H01F7/16 E
(21)【出願番号】P 2020058534
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶多
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140843(JP,A)
【文献】特開2002-310323(JP,A)
【文献】特開2007-255523(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138270(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0089352(US,A1)
【文献】特開2019-220561(JP,A)
【文献】特開2018-049859(JP,A)
【文献】特開2019-175972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06 - 31/11
H01F 7/06 - 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸回りに巻き回されたコイルと、
前記コイルの軸方向一方側に位置し、前記中心軸を囲む磁性体製の環状部と、
前記コイルの軸方向他方側に位置する磁性体部と、
前記コイルの径方向外側において前記コイルを囲む磁性体製の筒状部と、
少なくとも一部が磁性体製であり、前記コイルの径方向内側において軸方向に移動可能に配置された可動子と、
前記可動子の軸方向一方側に位置し、前記可動子の移動に伴って開閉される弁部と、
前記コイルを覆う被覆部を有する樹脂部材と、
を備え、
前記樹脂部材は、単一部材であり、前記環状部と前記弁部とを保持し、
軸方向に見て、前記環状部の径方向外縁部は、
前記中心軸回りの周方向に延びる円弧状の第1外縁部と、
前記中心軸からの径方向距離が前記第1外縁部よりも小さい第2外縁部と、
を有し、
前記第2外縁部は、前記樹脂部材から露出している、電磁弁。
【請求項2】
前記第2外縁部の径方向外側面は、平坦面を含む、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記第2外縁部は、軸方向に見て、直線状である、請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記環状部は、前記環状部を軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記樹脂部材は、前記貫通孔の内部に位置する連結部を有し、
前記連結部は、前記樹脂部材のうち前記弁部を保持する部分と前記被覆部とを繋いでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記中心軸を囲む筒状のボビンと、
前記コイルに電気的に接続された端子と、
をさらに備え、
前記ボビンは、前記端子を保持する端子保持部を有し、
前記環状部は、前記端子保持部を周方向に挟む一対の壁部を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記磁性体部および前記筒状部を有し、前記コイルおよび前記被覆部を内部に収容する収容ケースをさらに備え、
前記第2外縁部は、前記収容ケースによって径方向外側から覆われている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルと、コイルの内側で移動可能な可動子と、可動子の移動に伴って開閉される弁部と、を備える電磁弁が知られている。例えば、特許文献1には、流体流路を切り換えるスプールを備える電磁弁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電磁弁においては、コイルを保持する部材と弁部を保持する部材とを互いに固定して組み立てる等の必要があり、組み立てる際の工数および時間が大きくなる場合があった。そのため、電磁弁の生産性を十分に向上しにくい場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、生産性を向上できる構造を有する電磁弁を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁弁の一つの態様は、軸方向に延びる中心軸回りに巻き回されたコイルと、前記コイルの軸方向一方側に位置し、前記中心軸を囲む磁性体製の環状部と、前記コイルの軸方向他方側に位置する磁性体部と、前記コイルの径方向外側において前記コイルを囲む磁性体製の筒状部と、少なくとも一部が磁性体製であり、前記コイルの径方向内側において軸方向に移動可能に配置された可動子と、前記可動子の軸方向一方側に位置し、前記可動子の移動に伴って開閉される弁部と、前記コイルを覆う被覆部を有する樹脂部材と、を備える。前記樹脂部材は、単一部材であり、前記環状部と前記弁部とを保持している。軸方向に見て、前記環状部の径方向外縁部は、前記中心軸回りの周方向に延びる円弧状の第1外縁部と、前記中心軸からの径方向距離が前記第1外縁部よりも小さい第2外縁部と、を有する。前記第2外縁部は、前記樹脂部材から露出している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電磁弁の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電磁弁を示す断面図であって、弁部が開いた状態を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の電磁弁を示す断面図であって、弁部が閉じた状態を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のボビン、端子、ガイド部材、および収容ケースを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のボビン、コイル、端子、およびガイド部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態のインサート成形体を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の電磁弁の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明においては、各図に適宜示すZ軸と平行な方向を上下方向とする。Z軸の正の側を上側とし、Z軸の負の側を下側とする。各図に適宜示す仮想軸である中心軸Jは、Z軸方向、すなわち上下方向と平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、軸方向と直交する方向のうち各図に適宜示すX軸と平行な方向を「幅方向X」と呼び、軸方向と直交する方向のうち各図に適宜示すY軸と平行な方向を「突出方向Y」と呼ぶ。幅方向Xと突出方向Yとは、互いに直交する方向である。
【0010】
本実施形態において、下側は、「軸方向一方側」に相当し、上側は、「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、突出方向、幅方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1および
図2に示すように、本実施形態の電磁弁10は、ボビン20と、コイル26と、端子80と、ガイド部材30と、樹脂部材40と、収容ケース50と、可動子70と、弾性部材73と、弁部60と、を備える。
図3に示すように、ボビン20は、中心軸Jを囲む筒状である。ボビン20は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ボビン20には、コイル26が巻き回されている。本実施形態においてボビン20は、樹脂製である。ボビン20は、ボビン本体部21と、上側フランジ部22と、下側フランジ部23と、端子保持部24と、スペーサ部25と、を有する。
【0012】
ボビン本体部21は、コイル26が巻き回された筒状である。ボビン本体部21は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ボビン本体部21の外周面には、周方向に延びる溝が軸方向に並んで複数設けられている。コイル26を構成するコイル線は、当該溝に沿って巻き回されている。
【0013】
上側フランジ部22は、ボビン本体部21のうちコイル26よりも上側に位置する部分から径方向外側に突出している。本実施形態において上側フランジ部22は、ボビン本体部21の上側の端部から径方向外側に突出している。上側フランジ部22は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。上側フランジ部22は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。
【0014】
下側フランジ部23は、ボビン本体部21のうちコイル26よりも下側に位置する部分から径方向外側に突出するフランジ部である。本実施形態において下側フランジ部23は、ボビン本体部21の下側の端部から径方向外側に突出している。下側フランジ部23は、例えば、中心軸Jを中心とする環状である。下側フランジ部23は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。
【0015】
本実施形態において下側フランジ部23の外形は、軸方向に見て、円形の一部が切り欠かれた形状である。下側フランジ部23は、例えば、軸方向に見て、円形の複数箇所が直線によって切り欠かれた形状である。これにより、下側フランジ部23の径方向外縁部は、軸方向に見て直線状の直線部23aを複数有する。複数の直線部23aは、周方向に沿って間隔を空けて配置されている。直線部23aは、例えば、3つ設けられている。
【0016】
3つの直線部23aのうち2つの直線部23aは、下側フランジ部23の径方向外縁部のうち幅方向Xの両側に位置する部分であり、突出方向Yに延びている。残りの1つの直線部23aは、下側フランジ部23の径方向外縁部のうち突出方向Yの一方側(-Y側)に位置する部分であり、幅方向Xに延びている。
【0017】
なお、本明細書において「或る対象の外形が、軸方向に見て、円形の一部が切り欠かれた形状である」とは、或る対象の軸方向に見た外形が、円形の一部が欠損したような形状であればよく、或る対象の外形がどのように作られたかについては限定されない。或る対象の外形は、或る対象に切削加工が施されることで作られてもよいし、射出成形およびダイカスト等によって成形されてもよい。
【0018】
端子保持部24は、下側フランジ部23の径方向外縁部のうち突出方向Yの他方側(+Y側)の部分から、突出方向Yの他方側に突出している。
図4に示すように、端子保持部24は、基部24aと、一対の凸部24b,24cと、を有する。基部24aは、例えば、直方体状である。基部24aは、例えば、突出方向Yに見て、幅方向Xに長い長方形状である。
【0019】
基部24aは、基部24aのうち突出方向Yの他方側(-Y側)の端面から突出方向Yの一方側(+Y側)に窪む穴部24dを有する。穴部24dには、端子80の一部が挿し込まれて保持されている。これにより、端子保持部24は、端子80を保持する。穴部24dは、幅方向Xに間隔を空けて一対設けられている。穴部24dは、例えば、底部を有する穴である。一対の凸部24b,24cは、基部24aの幅方向Xの両端部から下側に突出している。凸部24b,24cは、板面が幅方向Xに向く長方形板状である。
【0020】
図1および
図2に示すように、スペーサ部25は、ボビン本体部21の下側の端部から下側に突出している。図示は省略するが、スペーサ部25は、例えば、中心軸Jを囲む環状である。スペーサ部25の径方向外側面は、ボビン本体部21の外周面よりも径方向外側に位置する。スペーサ部25の上側の端部は、下側フランジ部23の下側の面にも繋がっている。スペーサ部25は、端子保持部24の基部24aと繋がっている。スペーサ部25の下側の面と基部24aの下側の面とは、互いに繋がり、軸方向と直交する平坦面を構成している。
【0021】
コイル26は、軸方向に延びる中心軸J回りに巻き回されている。本実施形態においてコイル26は、ボビン20のボビン本体部21の外周面に巻き回されている。コイル26は、例えば、中心軸Jを中心として軸方向両側に開口する円筒状である。コイル26の外周面は、上側フランジ部22の径方向外縁部および下側フランジ部23の径方向外縁部よりも径方向内側に位置する。図示は省略するが、コイル26からは、コイル26を構成するコイル線の端部が引き出されている。引き出されたコイル線の端部は、端子80の後述するコイル線保持部83に接続されている。コイル26からコイル線保持部83に延びるコイル線は、例えば、凸部24b,24cに引っ掛けられている。これにより、樹脂部材40をインサート成形する際に、コイル26からコイル線保持部83に延びるコイル線が樹脂の圧力で流されることを抑制でき、コイル線が断線することを抑制できる。
【0022】
図3に示すように、本実施形態において端子80は、幅方向Xに並んで一対設けられている。一対の端子80は、互いに幅方向Xに対称な形状である。一対の端子80は、それぞれボビン20の端子保持部24に保持されている。より詳細には、一対の端子80は、端子保持部24に設けられた一対の穴部24dのそれぞれに、一部が挿し込まれて保持されている。端子80は、金属製である。端子80は、例えば、板状の金属部材に対してプレス加工が施されて作られている。各端子80は、基部81と、接続端子部82と、コイル線保持部83と、を有する。
【0023】
基部81は、突出方向Yに延びている。基部81のうち突出方向Yの一方側(-Y側)の部分は、端子保持部24の穴部24dに挿入されている。基部81のうち突出方向Yの一方側(-Y側)の部分は、例えば、穴部24dに圧入されて固定されている。基部81は、端子保持部24から突出方向Yの他方側(+Y側)に突出している。接続端子部82は、基部81のうち突出方向Yの他方側の端部から上側に延びている。
【0024】
コイル線保持部83は、基部81のうち端子保持部24から突出した部分に繋がっている。コイル線保持部83は、基部81に対して、幅方向Xにおいて他方の端子80が位置する側と逆側に配置されている。コイル線保持部83は、コイル26から引き出された図示しないコイル線の端部を把持する。コイル線保持部83とコイル線の端部とは、例えば、レーザ溶接等により接合されている。コイル線保持部83とコイル線の端部とが接続されることで、端子80は、コイル26に電気的に接続されている。
【0025】
なお、上述した説明では、樹脂製のボビン20を作製してからボビン20に端子80を取り付ける構成としたが、これに限られない。ボビン20は、例えば、端子80をインサート部材とするインサート成形によって作られてもよい。
【0026】
ガイド部材30は、軸方向に延びる筒状の部材である。
図1および
図2に示すように、ガイド部材30は、ボビン20に下側から挿入されている。本実施形態においてガイド部材30は、単一部材である。ガイド部材30は、例えば、ダイカスト等により成形されている。ガイド部材30は、磁性体製である。ガイド部材30は、ガイド筒部31と、環状部32と、を有する。これにより、電磁弁10は、ガイド筒部31と、環状部32と、を備える。本実施形態ではガイド部材30が単一部材であるため、ガイド筒部31と環状部32とは、一体成形されている。また、ガイド部材30が磁性体製の単一部材であるため、ガイド筒部31および環状部32も磁性体製である。
【0027】
ガイド筒部31は、軸方向に延びる筒状である。ガイド筒部31は、例えば、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ガイド筒部31は、ボビン20の径方向内側に挿入されている。本実施形態においてガイド筒部31は、ボビン20の径方向内側に嵌め合わされている。より詳細には、ガイド筒部31は、ボビン本体部21の下側部分の径方向内側に嵌め合わされている。ガイド筒部31は、ボビン20の径方向内側において可動子70を囲んでいる。ガイド筒部31は、コイル26の径方向内側に位置する。ガイド筒部31は、コイル26の径方向内側において可動子70を囲んでいる。ガイド筒部31は、可動子70を軸方向に移動可能に支持している。
【0028】
環状部32は、コイル26の下側に位置する。環状部32は、中心軸Jを囲んでいる。
図3および
図4に示すように、環状部32は、例えば、中心軸Jを中心とする略円環状である。本実施形態において環状部32は、ガイド筒部31の下側の端部から径方向外側に突出している。
図1および
図2に示すように、環状部32の径方向内縁部の上面は、スペーサ部25の下端面と接触している。これにより、環状部32は、ボビン20に下側から接触している。環状部32は、下側フランジ部23の下側に離れて位置する。環状部32と下側フランジ部23との間の軸方向距離は、スペーサ部25の軸方向の寸法と同じである。
【0029】
図3および
図4に示すように、環状部32の外形は、軸方向に見て、円形の一部が切り欠かれた形状である。軸方向に見て、環状部32の径方向外縁部は、第1外縁部32a,32bと、第2外縁部32cと、第3外縁部32dと、を有する。
【0030】
第1外縁部32a,32bは、中心軸J回りの周方向に延びる円弧状である。第1外縁部32aと第1外縁部32bとは、中心軸Jを幅方向Xに挟んで配置されている。第1外縁部32aと第1外縁部32bとは、中心軸Jを中心とする同心で、かつ、半径が互いに同じ円弧状である。第1外縁部32a,32bは、それぞれ第2外縁部32cと第3外縁部32dとを周方向に繋いでいる。
【0031】
第2外縁部32cは、環状部32の径方向外縁部のうち突出方向Yの一方側(-Y側)に位置する部分である。第2外縁部32cは、一対の第1外縁部32a,32b同士の周方向の間に位置し、一対の第1外縁部32a,32b同士を周方向に繋いでいる。第2外縁部32cは、中心軸Jからの径方向距離が第1外縁部32a,32bよりも小さい。言い換えれば、第2外縁部32cは、第1外縁部32a,32bよりも径方向内側に位置する。
【0032】
本実施形態において第2外縁部32cは、軸方向に見て、直線状である。第2外縁部32cは、例えば、幅方向Xに延びている。第2外縁部32cは、Dカット部である。
図5に示すように、本実施形態において第2外縁部32cの径方向外側面は、平坦面を含む。本実施形態では、第2外縁部32cの径方向外側面の全体が平坦面である。第2外縁部32cの径方向外側面は、例えば、径方向と直交し、幅方向Xに長い長方形状である。
【0033】
図3に示すように、第3外縁部32dは、環状部32の径方向外縁部のうち突出方向Yの他方側(+Y側)に位置する部分である。第3外縁部32dは、突出方向Yの一方側(-Y側)に窪む凹部である。第3外縁部32dの内部は、例えば、軸方向に見て、幅方向Xに長い長方形状である。第3外縁部32dが設けられていることで、第3外縁部32dの幅方向Xの両側には、一対の壁部32e,32fが設けられている。これにより、環状部32は、一対の壁部32e,32fを有する。
【0034】
一対の壁部32e,32fは、突出方向Yの他方側(+Y側)に突出している。
図4に示すように、一対の壁部32e,32fは、一対の凸部24b,24cの幅方向Xの両側にそれぞれ位置する。これにより、一対の壁部32e,32fは、端子保持部24を周方向に挟んでいる。一対の凸部24b,24cと一対の壁部32e,32fとは、それぞれ周方向に間隔を空けて配置されている。
【0035】
図5に示すように、環状部32の径方向外縁部の少なくとも一部は、樹脂部材40から露出している。本実施形態において第1外縁部32a,32bおよび第2外縁部32cは、樹脂部材40から露出している。一方、第3外縁部32dは、樹脂部材40から露出していない。本実施形態において環状部32の径方向外縁部は、第3外縁部32dを除いた全周が樹脂部材40から露出している。以下の説明においては、環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分を、露出部32hと呼ぶ。
【0036】
なお、本明細書において「或る対象が他の対象から露出している」とは、或る対象および他の対象を外部から見た際に、或る対象が他の対象によって覆われず視認可能となっていればよく、或る対象が他の対象以外の対象によって覆われていてもよい。例えば、本実施形態において「第2外縁部32cが樹脂部材40から露出している」とは、
図5に示すように、第2外縁部32cおよび樹脂部材40を見た際に、第2外縁部32cが樹脂部材40によって覆われず視認可能であればよく、第2外縁部32cが他の部材によって覆われていてもよい。
図1および
図2に示すように、本実施形態において第2外縁部32cは、収容ケース50によって径方向外側から覆われている。
図6に示すように、第1外縁部32a,32bは、収容ケース50によって径方向外側から覆われている。本実施形態では、露出部32hの全体が、収容ケース50によって径方向外側から覆われている。
【0037】
図3および
図4に示すように、環状部32は、環状部32を軸方向に貫通する貫通孔32gを有する。貫通孔32gは、例えば、円形状の孔である。本実施形態において貫通孔32gは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。貫通孔32gは、例えば、6つ設けられている。
【0038】
貫通孔32gは、下側フランジ部23の径方向外縁部よりも径方向内側に位置する。貫通孔32gは、下側フランジ部23の下側に位置する。貫通孔32gは、軸方向に見て、下側フランジ部23と重なっている。
図6に示すように、貫通孔32gの一部は、例えば、スペーサ部25によって上側から覆われている。より詳細には、貫通孔32gのうち径方向内側の端部は、スペーサ部25の径方向外縁部によって上側から覆われている。
【0039】
図1および
図2に示すように、樹脂部材40は、コイル26が装着されたボビン20と、端子80が保持されたガイド部材30と、弁部60と、を連結する樹脂製の部材である。樹脂部材40は、単一部材である。樹脂部材40は、例えば、コイル26が装着されたボビン20、端子80が保持されたガイド部材30、および弁部60をインサート部材とするインサート成形によって作られている。以下の説明においては、当該インサート成形によって作られた成形体をインサート成形体11と呼ぶ。インサート成形体11は、樹脂部材40と、コイル26と、ボビン20と、端子80と、ガイド部材30と、弁部60と、を有する。樹脂部材40は、被覆部41と、ノズル部42と、コネクタ部43と、を有する。
【0040】
被覆部41は、中心軸Jを囲む筒状である。被覆部41は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。被覆部41には、ボビン20およびコイル26が埋め込まれている。本実施形態においてボビン20の内周面およびボビン20の上側の端面は、樹脂部材40から露出している。ボビン20の上側の端面は、上側フランジ部22の上側の面を含む。ボビン20のうち内周面および上側の端面を除く部分は、全体が樹脂部材40に埋め込まれており、樹脂部材40から露出していない。被覆部41は、コイル26を覆っている。より詳細には、被覆部41は、コイル26の外周面の全体を覆っている。コイル26の全体は、樹脂部材40から露出していない。
【0041】
ノズル部42は、弁部60を保持する部分である。ノズル部42は、被覆部41の下側に位置する。ノズル部42は、軸方向に延びている。ノズル部42は、中心軸Jを囲む筒状である。ノズル部42は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。ノズル部42は、下側に開口している。ノズル部42は、インポート42aと、アウトポート42bと、ドレインポート42cと、を有する。インポート42aは、ノズル部42の下側の開口部である。
【0042】
図5に示すように、アウトポート42bは、例えば、ノズル部42の壁部を内周面から外周面まで幅方向Xに貫通している。アウトポート42bは、例えば、幅方向Xに見て、突出方向Yに長い長方形状である。アウトポート42bは、例えば、中心軸Jを幅方向Xに挟んで一対設けられている。
【0043】
ドレインポート42cは、アウトポート42bよりも上側に位置する。ドレインポート42cは、例えば、ノズル部42の壁部を内周面から外周面まで幅方向Xに貫通している。ドレインポート42cは、例えば、幅方向Xに見て、突出方向Yに長い長方形状である。ドレインポート42cは、例えば、中心軸Jを幅方向Xに挟んで一対設けられている。
【0044】
図1および
図2に示すように、ノズル部42は、弁部60によって開閉される流路として、第1流路91と、第2流路92と、を有する。第1流路91の内部および第2流路92の内部は、ノズル部42の内部によって構成されている。第1流路91は、インポート42aからアウトポート42bまで延びている。第1流路91は、インポート42aに接続される図示しない流入流路と、アウトポート42bに接続される図示しない流出流路と、を接続する流路である。第2流路92は、アウトポート42bからドレインポート42cまで延びている。第2流路92は、アウトポート42bに接続される図示しない流出流路と、ドレインポート42cに接続される図示しない排出流路と、を接続する流路である。
【0045】
ノズル部42は、外周面に環状溝42d,42eを有する。環状溝42d,42eは、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。環状溝42dは、ノズル部42のうちアウトポート42bとドレインポート42cとの軸方向の間に位置する部分の外周面に設けられている。環状溝42eは、ノズル部42のうちアウトポート42bよりも下側に位置する部分の外周面に設けられている。環状溝42dおよび環状溝42eのそれぞれには、環状のOリング100が嵌め込まれている。
【0046】
コネクタ部43は、被覆部41から径方向外側に突出している。コネクタ部43が突出する方向は、例えば、突出方向Yである。コネクタ部43は、基部43aと、コネクタ筒部43bと、を有する。基部43aは、被覆部41から径方向外側に突出している。基部43aは、例えば、略直方体状である。基部43aには、端子80の一部が埋め込まれている。より詳細には、基部43aには、例えば、端子80のうち接続端子部82を除く部分が埋め込まれている。基部43aの下側の端部は、例えば、ノズル部42の上側の端部と繋がっている。
【0047】
コネクタ筒部43bは、基部43aの径方向外側の端部から上側に延びている。コネクタ筒部43bは、上側に開口する筒状である。
図5に示すように、コネクタ筒部43bは、例えば、四角筒状である。
図1および
図2に示すように、コネクタ筒部43bの内部には、接続端子部82が露出している。接続端子部82は、基部43aから上側に突出してコネクタ筒部43bの内部に露出している。コネクタ部43には、図示しない外部電源が接続される。コネクタ部43に接続された外部電源は、接続端子部82と電気的に接続される。これにより、外部電源から端子80を介してコイル26に電流が流れ、電磁弁10に電力が供給される。
【0048】
図6に示すように、樹脂部材40は、連結部44を有する。連結部44は、貫通孔32gの内部に位置する。本実施形態において連結部44は、貫通孔32gの内部全体に充填されている。連結部44は、例えば、軸方向に延びる円柱状である。連結部44は、被覆部41からノズル部42まで貫通孔32gを軸方向に貫通して延びている。これにより、連結部44は、樹脂部材40のうち弁部60を保持する部分と被覆部41とを繋いでいる。連結部44は、貫通孔32gごとに設けられている。これにより、本実施形態において連結部44は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。連結部44は、例えば、6つ設けられている。
【0049】
図1および
図2に示すように、収容ケース50は、ボビン20、コイル26、および被覆部41を内部に収容している。収容ケース50は、磁性体製である。収容ケース50は、例えば、単一部材である。収容ケース50は、ケース本体部51と、コア部52と、を有する。
【0050】
ケース本体部51は、軸方向に延び、中心軸Jを囲む筒状である。ケース本体部51は、例えば、中心軸Jを中心とし、下側に開口する円筒状である。ケース本体部51は、蓋部51aと、筒状部51bと、支持部51cと、を有する。これにより、収容ケース50は、蓋部51aと、筒状部51bと、支持部51cと、を有する。また、電磁弁10は、蓋部51aと、筒状部51bと、支持部51cと、を備える。収容ケース50が磁性体製の単一部材であるため、蓋部51a、筒状部51b、およびコア部52も磁性体製である。
【0051】
蓋部51aは、コイル26の上側に位置する。蓋部51aは、例えば、中心軸Jを中心とする円板状である。蓋部51aの外径は、被覆部41の外径よりも大きい。蓋部51aは、ボビン20および被覆部41の上側の全体を覆っている。蓋部51aは、ボビン20の上側の開口部を塞いでいる。蓋部51aは、例えば、ボビン20の上側の端面および被覆部41の上側の端面の上側に隙間を空けて配置されている。本実施形態において蓋部51aは、コイル26の上側に位置する「磁性体部」に相当する。
【0052】
筒状部51bは、蓋部51aの径方向外縁部から下側に延びている。筒状部51bは、例えば、中心軸Jを中心とし、下側に開口する円筒状である。筒状部51bは、被覆部41の径方向外側に位置する。筒状部51bは、被覆部41を囲んでいる。筒状部51bの内周面と被覆部41の外周面との間には、例えば、僅かに隙間が設けられている。筒状部51bは、コイル26の径方向外側においてコイル26を囲んでいる。本実施形態において筒状部51bは、露出部32hの径方向外側において露出部32hを囲んでいる。つまり、本実施形態において環状部32は、筒状部51bの径方向内側に位置する。
【0053】
図3に示すように、筒状部51bは、筒状部51bの壁部を径方向に貫通する孔部51eを有する。孔部51eは、筒状部51bのうち突出方向Yの他方側(+Y側)に位置する部分に設けられている。孔部51eは、例えば、下側に開口している。孔部51eは、突出方向Yに見て、矩形状である。
図1および
図2に示すように、孔部51eには、コネクタ部43の基部43aおよびボビン20の端子保持部24が突出方向Yに通されている。
【0054】
図6に示すように、筒状部51bは、内周面に段差部51fを有する。段差部51fは、筒状部51bの内周面のうち下側の端部に設けられている。段差部51fは、筒状部51bの内周面を上側から下側に辿る際に、径方向外側に窪む段差である。
図3に示すように、本実施形態において段差部51fは、周方向に延びている。段差部51fは、孔部51eが設けられた部分を除いて、筒状部51bの内周面の全周に設けられている。
図6に示すように、段差部51fは、下側を向く段差面51gを有する。段差面51gは、周方向に延びている。段差面51gは、環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分の上側の面と接触している。段差部51fが設けられていることで、筒状部51bの下側の端部は、径方向の厚さが小さくなる薄肉部51dとなっている。
【0055】
本実施形態において支持部51cは、薄肉部51dの下側の端部、すなわち筒状部51bの下側の端部が径方向内側にカシメられたカシメ部である。支持部51cは、薄肉部51dの内周面から径方向内側に突出している。支持部51cの径方向内側の端部は、筒状部51bの内周面のうち段差部51fより上側に位置する部分よりも径方向内側に位置する。本実施形態において支持部51cは、板面が軸方向を向く板状である。
図3に示すように、支持部51cは、周方向に延びている。支持部51cは、孔部51eが設けられた部分を除いて、筒状部51bの下端部の全周に設けられている。
【0056】
図6に示すように、支持部51cは、露出部32hの下側に位置する。支持部51cは、露出部32hの下側の面と接触している。これにより、支持部51cは、環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分を下側から支持している。本実施形態において支持部51cは、露出部32hの周方向の全体を下側から支持している。本実施形態において露出部32hは、段差面51gと支持部51cとによって軸方向に挟まれている。つまり、段差面51gは、支持部51cとの間で環状部32を軸方向に挟んでいる。
【0057】
カシメ部である支持部51cは、カシメられる際に、露出部32hを下側から段差面51gに押し付ける。これにより、筒状部51bが露出部32hに固定される。このように、本実施形態において収容ケース50は、支持部51cがカシメられて環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分に固定されている。
【0058】
図1および
図2に示すように、コア部52は、蓋部51aから下側に突出している。コア部52は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。コア部52は、筒状部51bの径方向内側に位置する。コア部52は、ボビン20の径方向内側に上側から挿入されている。コア部52は、ボビン20の内部のうち上側部分に位置する。コア部52の外周面とボビン20の内周面との間には、例えば、僅かな隙間が設けられている。コア部52の下側の端部は、ガイド筒部31の上側の端部から上側に離れて配置されている。
【0059】
本実施形態において可動子70は、軸方向に延びている。可動子70は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。可動子70は、コイル26の径方向内側において軸方向に移動可能に配置されている。本実施形態において可動子70は、可動子本体71と、ピン72と、を有する。可動子70は、少なくとも一部が磁性体製である。本実施形態では、可動子70の一部のみが磁性体製である。本実施形態では、可動子本体71が磁性体製であり、ピン72は非磁性体製である。
【0060】
本実施形態において可動子本体71は、軸方向に延びる筒状である。可動子本体71は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。可動子本体71は、ガイド筒部31の径方向内側に隙間嵌めされている。可動子本体71は、ガイド筒部31によって軸方向に移動可能に支持されている。可動子本体71の上側の端部は、ガイド筒部31よりも上側に位置する。可動子本体71の上側の端部は、外径が大きくなる拡径部71aである。拡径部71aの外径は、ガイド筒部31の内径よりも大きい。
【0061】
ピン72は、軸方向に延びる柱状である。ピン72は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。ピン72は、可動子本体71に固定されている。ピン72の上側の端部は、可動子本体71の内部の下側部分に位置する。ピン72は、可動子本体71の内側に、例えば圧入されて固定されている。なお、可動子本体71とピン72との固定方法は、特に限定されない。
【0062】
ピン72は、可動子本体71よりも下側に延びている。ピン72の下側部分は、ノズル部42の内部の上側部分に挿入されている。本実施形態においてピン72の下側部分は、第2流路92内に位置する。ピン72の下側の端部は、外径が小さくなる縮径部72aである。縮径部72aの下端面は、弁部60の後述する弁体62に上側から接触可能である。
【0063】
弾性部材73は、可動子70とコア部52との軸方向の間に位置する。弾性部材73は、例えば、軸方向に延びるコイルスプリングである。本実施形態において弾性部材73は、可動子本体71の内部のうちピン72よりも上側の部分に位置する。弾性部材73の下側の端部は、ピン72の上側の端面に接触している。弾性部材73の上側の端部は、コア部52の下側の端面に接触している。弾性部材73は、可動子70に対して下側向きの弾性力を加えている。
【0064】
弁部60は、可動子70の下側に位置する。本実施形態において弁部60は、ノズル部42の内部のうち軸方向の中央部分に保持されている。これにより、樹脂部材40は、環状部32と弁部60とを保持している。弁部60は、例えば、幅方向Xに見てアウトポート42bと重なる。弁部60は、一部がノズル部42に埋め込まれて保持されている。弁部60は、弁室部材61と、弁体62と、を有する。
【0065】
弁室部材61は、内部に弁体62が収容された弁室65を有する。弁室65は、第1流路91の一部および第2流路92の一部を構成している。弁室部材61は、インポート接続孔63aと、アウトポート接続孔63bと、ドレインポート接続孔63cと、を有する。インポート接続孔63aは、弁室部材61のうち下側の壁部に設けられている。インポート接続孔63aは、ノズル部42の内部のうち弁部60よりも下側に位置する部分を介して、弁室65内とインポート42aとを接続可能である。インポート接続孔63aの上側の端部には、弁体62が着座可能な下側弁座部64aが設けられている。
【0066】
アウトポート接続孔63bは、例えば、弁室部材61のうち突出方向Yの両側の壁部にそれぞれ設けられている。アウトポート接続孔63bは、弁室65内とアウトポート42bとを接続可能である。
【0067】
ドレインポート接続孔63cは、弁室部材61のうち上側の壁部に設けられている。ドレインポート接続孔63cは、ノズル部42の内部のうち弁部60よりも上側に位置する部分を介して、弁室65内とドレインポート42cとを接続可能である。ドレインポート接続孔63cの下側の端部には、弁体62が着座可能な上側弁座部64bが設けられている。ドレインポート接続孔63cには、可動子70の縮径部72aが上側から挿入されている。
【0068】
弁室部材61は、例えば、2つの部材が軸方向に互いに組み付けられて構成されている。具体的に本実施形態において弁室部材61は、インポート接続孔63aおよびアウトポート接続孔63bが設けられた第1部材61aと、ドレインポート接続孔63cが設けられた第2部材61bと、が軸方向に互いに組み付けられて構成されている。第2部材61bは、第1部材61aの上側に位置する。
【0069】
弁体62は、弁室65内において軸方向に移動可能に配置されている。弁体62は、例えば、球体である。弁体62は、下側弁座部64aに上側から着座した状態と、上側弁座部64bに下側から着座した状態と、の間で切り換えられる。
図1に示すように、弁体62が上側弁座部64bに着座した状態においては、インポート接続孔63aが開放された状態となり、弁室65内を介してインポート42aとアウトポート42bとが接続される。これにより、弁部60が開いた状態、かつ、第1流路91が開放された状態となり、インポート42aからアウトポート42bまでの流体の流れが許容される。弁体62が上側弁座部64bに着座した状態においては、弁体62によってドレインポート接続孔63cが塞がれる。これにより、第2流路92が遮断された状態となり、アウトポート42bからドレインポート42cへの流体の流れが阻止される。
【0070】
一方、
図2に示すように、弁体62が下側弁座部64aに着座した状態においては、インポート接続孔63aが塞がれた状態となり、インポート42aとアウトポート42bとの間が遮断される。これにより、弁部60が閉じた状態、かつ、第1流路91が遮断された状態となり、インポート42aからアウトポート42bまでの流体の流れが阻止される。弁体62が下側弁座部64aに着座した状態においては、ドレインポート接続孔63cが開放された状態となり、弁室65内を介してアウトポート42bとドレインポート42cとが接続される。これにより、第2流路92が開放された状態となり、アウトポート42bからドレインポート42cへの流体の流れが許容される。
【0071】
以上のようにして、第1流路91および第2流路92は、弁部60によって遮断と開放とが切り換えられる。弁部60の開閉状態は、可動子70によって切り換えられる。電磁弁10に電力が供給されていない状態においては、
図2に示すように、可動子70が弾性部材73の弾性力によって下側に押されて、可動子70の先端部、すなわち縮径部72aの先端部が弁体62を下側弁座部64aに上側から押し付けた状態となる。これにより、電磁弁10に電力が供給されていない状態においては、弁部60が閉じて、第1流路91が遮断された状態となる。なお、電磁弁10に電力が供給されず、弁部60が閉じた状態においては、可動子70の上端面は、コア部52の下端面の下側に離れて位置する。本実施形態において可動子70の上端面は、可動子本体71の上端面である。
【0072】
一方、電磁弁10に電力が供給されると、コイル26に電流が流れ、コイル26の径方向内側において軸方向に磁束が流れる磁界が生じる。これにより、電磁弁10の磁性体製の各部を通る磁気回路が構成される。具体的には、例えば、コイル26の磁界による磁束がコイル26の径方向内側を下側から上側に流れる場合、磁束が、可動子本体71から、コア部52、蓋部51a、筒状部51b、および環状部32をこの順に通って可動子本体71に戻る磁気回路が構成される。これにより、磁性体製の各部が励磁され、可動子本体71とコア部52との間に、互いに引き合う磁力が生じる。したがって、電磁弁10に十分な電力を供給して、可動子本体71とコア部52との間に生じる磁力を弾性部材73の弾性力よりも大きくすることで、可動子70を弾性部材73の弾性力に抗して上側に移動させることができる。
【0073】
可動子70が上側に移動すると、縮径部72aによる弁体62の押し付けが解除される。そのため、弁体62が上側に移動可能となる。この状態においてインポート42aから第1流路91内に流体が流入すると、流体の圧力によって弁体62が上側に押し上げられる。これにより、弁体62が上側弁座部64bに着座した状態となり、弁部60が開いた状態となる。したがって、電磁弁10に電力が供給された状態においては、弁部60が開き、第1流路91が開放された状態となる。
【0074】
なお、電磁弁10に電力が供給されて、弁部60が開いた状態においては、可動子70の上端面は、コア部52の下端面と接触する。この状態において、可動子本体71の上端面とコア部52の下端面とは、磁力によって貼りついた状態となっている。また、電磁弁10に電力が供給されて、弁部60が開いた状態においては、可動子70下端部、すなわち縮径部72aの下端部は、例えば、弁体62から上側に離れた状態となる。なお、電磁弁10に電力が供給されて、弁部60が開いた状態において、可動子70下端部は、弁体62と接触していてもよい。
【0075】
電磁弁10への電力の供給を停止すると、磁気回路が消失し、可動子本体71とコア部52との間の磁力が消失する。そのため、弾性部材73の弾性力によって可動子70が下側に移動する。これにより、可動子70によって弁体62が下側に押されて、弁部60が閉じられる。
【0076】
以上のようにして、本実施形態では、電磁弁10に供給される電力のON/OFFを切り換えることで、可動子70を軸方向に移動させることができ、可動子70の移動に伴って弁部60を開閉することができる。
【0077】
なお、上述した磁気回路の例示において、環状部32を通る磁束は、ガイド筒部31を介して可動子本体71に戻ってもよい。また、コイル26によって生じる磁界は、磁束がコイル26の径方向内側を上側から下側に流れる磁界であってもよい。この場合、磁束が、コア部52から、可動子本体71、環状部32、筒状部51b、および蓋部51aをこの順に通って可動子本体71に戻る磁気回路が構成される。このような磁気回路であっても、磁性体製の各部が励磁されることで、磁力によって可動子70を上側に移動させることができる。また、この場合において、可動子本体71を通る磁束は、ガイド筒部31を介して環状部32に流れてもよい。
【0078】
本実施形態によれば、コイル26を覆う被覆部41を有する樹脂部材40は、単一部材であり、環状部32と弁部60とを保持している。そのため、コイル26を覆う単一部材である樹脂部材40を利用して、環状部32と弁部60とを保持できる。これにより、磁気回路の一部を構成する磁性体製の環状部32を保持する部材、および弁部60を保持する部材を、別途設ける必要がない。したがって、電磁弁10の部品点数を少なくできる。そのため、組み立て工数を少なくでき、電磁弁10の組み立て性を向上できる。これにより、電磁弁10の生産性を向上できる。
【0079】
具体的に本実施形態では、コイル26が装着されたボビン20、端子80が保持されたガイド部材30、および弁部60をインサート部材とするインサート成形によって樹脂部材40を作ることで、インサート部材とする各部品を組み付ける工程が不要となる。また、インサート成形体11に対して、可動子70、弾性部材73、および収容ケース50を組み付けることで、電磁弁10を製造できる。本実施形態では、作業者等は、樹脂部材40に保持された状態のボビン20の内部に上側から可動子70および弾性部材73を挿し込んだ後、インサート成形体11に収容ケース50を上側から被せる。作業者等は、インサート成形体11に被せられた収容ケース50における筒状部51bの下端部を径方向内側にカシメて支持部51cを作り、収容ケース50をインサート成形体11に固定する。これにより、電磁弁10が製造される。
【0080】
なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、簡易かつ少ない組み立て工数によって、電磁弁10を製造することができる。そのため、電磁弁10の生産性を好適に向上でき、電磁弁10の製造コストを低減できる。また、環状部32および弁部60を保持する部材を金属製とする場合に比べて、電磁弁10を軽量化できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、ガイド筒部31と環状部32とは、一体成形されている。そのため、電磁弁10の部品点数をより少なくできる。また、環状部32を樹脂部材40によって保持することで、可動子70を軸方向に移動可能に支持するガイド筒部31を別途組み付けることなく、樹脂部材40に保持させることができる。これにより、電磁弁10の組み立て性をより向上できる。また、ガイド筒部31を磁性体製にできるため、ガイド筒部31によっても磁気回路の一部を作ることができる。そのため、電磁弁10に電力が供給された際に、磁気回路をより好適に生じさせることができる。具体的に本実施形態では、環状部32から可動子本体71に流れる磁束の経路、可動子本体71から環状部32に流れる磁束の経路を、ガイド筒部31によって広くすることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、電磁弁10は、コイル26が巻き回された筒状のボビン20を備え、ガイド筒部31は、ボビン20の径方向内側に嵌め合わされている。そのため、ボビン20を介して、コイル26と、ガイド筒部31を有するガイド部材30と、を1つにまとめた状態で、インサート成形を行うことができる。これにより、インサート成形を行う際に、金型内における複数のインサート部材の配置を容易にできる。したがって、インサート成形によって樹脂部材40を作る際の工数および時間を少なくできる。そのため、電磁弁10の生産性をより向上できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、樹脂部材40は、環状部32に設けられた貫通孔32gの内部に位置する連結部44を有する。連結部44は、樹脂部材40のうち弁部60を保持する部分と被覆部41とを繋いでいる。そのため、連結部44を介して、環状部32を樹脂部材40に強固に保持させることができる。また、環状部32の径方向外側に被覆部41とノズル部42とを繋ぐ部分を設けなくても、連結部44によって被覆部41とノズル部42とを強固に繋げることができる。そのため、樹脂部材40の外周面を環状部32よりも径方向内側にしやすく、樹脂部材40を径方向に小型化しやすい。これにより、電磁弁10を径方向に小型化しやすい。また、環状部32の径方向外縁部の少なくとも一部を、樹脂部材40から露出させることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、ボビン20は、ボビン本体部21のうちコイル26よりも下側に位置する部分から径方向外側に突出するフランジ部として下側フランジ部23を有する。貫通孔32gは、軸方向に見て、下側フランジ部23と重なる。そのため、例えば、貫通孔32gを下側フランジ部23よりも径方向外側に配置する場合に比べて、貫通孔32g内に配置された連結部44を有する樹脂部材40全体を径方向に小さくしやすい。これにより、電磁弁10を径方向に小型化しやすい。一方、樹脂部材40をインサート成形する際において、樹脂が貫通孔32gを下側から上側に通過する場合、貫通孔32gを通過した樹脂は下側フランジ部23に当たる。そのため、樹脂の流れが阻害されて、コイル26の周囲に樹脂が流れにくくなる虞がある。
【0086】
これに対して、本実施形態によれば、下側フランジ部23の外形は、軸方向に見て、円形の一部が切り欠かれた形状である。そのため、インサート成形を行う際に、下側フランジ部23の外形が軸方向に見て円形である場合に比べて、下側フランジ部23の径方向外側面と金型の径方向内側面との隙間を部分的に大きくできる。これにより、インサート成形時に、貫通孔32gを通過して下側フランジ部23に当たった樹脂を、下側フランジ部23の径方向外側面と金型の径方向内側面との隙間を介してコイル26の周囲に流しやすくできる。したがって、貫通孔32gを下側フランジ部23と軸方向に重なる位置に設けて電磁弁10を径方向に小型化しつつ、コイル26を覆う被覆部41を好適に作ることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、電磁弁10は、磁性体部としての蓋部51aおよび筒状部51bを有し、コイル26および被覆部41を内部に収容する収容ケース50を備える。そのため、収容ケース50をインサート成形体11に取り付けることで、磁気回路の一部を構成する蓋部51aおよび筒状部51bを容易に配置することができる。これにより、電磁弁10の組み立て性をより向上できる。したがって、電磁弁10の生産性をより向上できる。また、収容ケース50によって被覆部41を保護できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、樹脂部材40のうち弁部60を保持するノズル部42は、弁部60によって遮断と開放とが切り換えられる流路として、第1流路91および第2流路92を有する。そのため、電磁弁10を他の機器に取り付ける際、他の機器に設けられた流路に第1流路91および第2流路92を介してノズル部42を接続することで、電磁弁10を他の機器に対して容易に取り付けることができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、環状部32の径方向外縁部の少なくとも一部は、樹脂部材40から露出している。収容ケース50は、コイル26の上側に位置する蓋部51aと、蓋部51aの径方向外縁部から下側に延び、被覆部41を囲む筒状部51bと、環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分を下側から支持する支持部51cと、を有する。そのため、蓋部51aと支持部51cとによって、コイル26、環状部32、弁部60、および樹脂部材40を含むインサート成形体11を軸方向に挟むことができる。これにより、収容ケース50がインサート成形体11から外れることを抑制できる。また、支持部51cが磁性体製の環状部32を支持するため、樹脂部材40に対して磁性体製の収容ケース50を強固かつ安定して取り付けることができる。
【0090】
また、例えば、収容ケースによって2つ以上の部材を挟み込んで収容ケースを取り付ける場合、収容ケースによって挟み込まれる2つ以上の部材同士の組立公差等によって全体の寸法に大きくバラつきが生じやすい。具体的には、例えば、弁部を保持する部材が環状部と別体の場合に、収容ケースの一部をカシメて弁部を保持する部材と環状部とを挟み込んで、収容ケースを取り付ける場合がある。この場合、弁部を保持する部材と環状部との組立公差等によって、カシメ部によって各部材同士を好適に固定できない場合がある。そのため、収容ケースを取り付けた後に収容ケースと各部材との間にガタが生じる等、収容ケースを好適に取り付けにくい場合がある。これにより、電磁弁の品質にばらつきが生じる虞があった。
【0091】
これに対して、本実施形態によれば、樹脂部材40によって一体とされたインサート成形体11に対して収容ケース50を取り付けることができる。そのため、2つ以上の部材を収容ケース50によって固定しつつ収容ケース50を取り付ける場合に比べて、収容ケース50とインサート成形体11との間にガタが生じることを抑制できる。具体的には、環状部32と弁部60とが共に樹脂部材40によって保持されているため、弁部60を保持する部材を環状部32と共に支持部51cによって挟み込む必要がない。これにより、支持部51cによって好適に環状部32を支持することができ、収容ケース50とインサート成形体11との間にガタが生じることを抑制できる。したがって、収容ケース50を好適に取り付けることができる。そのため、電磁弁10における品質の安定性を向上できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、環状部32は、筒状部51bの径方向内側に位置する。支持部51cは、筒状部51bの下側の端部が径方向内側にカシメられたカシメ部である。そのため、収容ケース50をインサート成形体11に上側から被せ、筒状部51bの下端部を径方向内側にカシメることによって、収容ケース50をインサート成形体11に容易に取り付けることができる。これにより、電磁弁10の組み立て性をより向上できる。したがって、電磁弁10の生産性をより向上できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、筒状部51bは、内周面に段差部51fを有する。段差部51fは、支持部51cとの間で環状部32を軸方向に挟む段差面51gを有する。そのため、磁性体製の環状部32を磁性体製の収容ケース50の支持部51cと段差面51gとによって挟んで、収容ケース50を環状部32に対して強固に固定できる。これにより、収容ケース50をより強固かつ安定して取り付けることができる。したがって、電磁弁10における品質の安定性をより向上できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、ガイド筒部31は、ボビン20の径方向内側に嵌め合わされ、ガイド筒部31と環状部32とは、一体成形されている。そのため、ガイド筒部31を介して、環状部32をボビン20に支持させることができる。これにより、樹脂部材40に環状部32を安定して保持できる。したがって、環状部32を介して、インサート成形体11に収容ケース50をより安定して取り付けることができる。したがって、電磁弁10における品質の安定性をより向上できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、収容ケース50は、蓋部51aから下側に突出する磁性体製のコア部52を有する。コア部52は、ボビン20の径方向内側に上側から挿入されている。ここで、収容ケース50は支持部51cを介して環状部32に取り付けられているため、環状部32に一体成形されたガイド筒部31に対して、収容ケース50を相対位置精度よく配置できる。これにより、ガイド筒部31が嵌め合わされたボビン20に対して収容ケース50のコア部52を精度よく配置することができ、コア部52をボビン20の径方向内側に好適に配置しやすい。したがって、コア部52を利用して好適に磁気回路を生じさせやすい。そのため、可動子70を軸方向に好適に移動させることができ、弁部60の開閉を好適に行うことができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、環状部32の径方向外縁部は、中心軸J回りの周方向に延びる円弧状の第1外縁部32a,32bと、中心軸Jからの径方向距離が第1外縁部32a,32bよりも小さい第2外縁部32cと、を有する。そのため、軸方向に見た環状部32の外形は、円形の一部が切り欠かれた形状となる。また、第2外縁部32cは、樹脂部材40から露出している。そのため、樹脂部材40をインサート成形する際に、円形の一部が切り欠かれてできた形状を有する第2外縁部32cに金型を接触させる成形方法を採用できる。これにより、インサート成形時に、第2外縁部32cを金型で押さえることができ、環状部32が中心軸J回りに回転することを抑制できる。したがって、環状部32の周方向位置がずれることを抑制できる。また、インサート成形時に環状部32が周方向に動くことを抑制できるため、環状部32によって樹脂の流れが阻害されにくい。これにより、成形不良が生じることを抑制できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第2外縁部32cの径方向外側面は、平坦面を含む。そのため、インサート成形時に、第2外縁部32cの径方向外側面のうち平坦面に金型を接触させることで、環状部32が回転することを容易に抑制できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第2外縁部32cは、軸方向に見て、直線状である。そのため、第2外縁部32cの形状を単純な形状にできる。これにより、第2外縁部32cを作りやすい。具板的には、例えば、円形状に成形された環状部32の一部を直線状に切り欠くことで、第2外縁部32cを容易に作ることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、ノズル部42と被覆部41とを繋ぎ、貫通孔32gの内部に位置する連結部44が設けられている。そのため、インサート成形時には、貫通孔32gの内部を樹脂が流れる。これにより、環状部32が押さえられていない状態では、貫通孔32g内を通る樹脂の圧力によって、環状部32が特に回転しやすい。これに対して、本実施形態によれば、露出する第2外縁部32cを押さえることで、環状部32が回転することを抑制できる。したがって、インサート成形時において環状部32の回転を抑制できる効果は、樹脂部材40が貫通孔32gの内部に位置する連結部44を有する構成において、特に有用に得られる。
【0100】
また、本実施形態によれば、ボビン20は、端子80を保持する端子保持部24を有する。環状部32は、端子保持部24を周方向に挟む一対の壁部32e,32fを有する。この場合、インサート成形時に、仮に環状部32が回転すると、壁部32e,32fが端子保持部24に衝突し、端子保持部24が損傷する虞がある。これに対して、本実施形態によれば、インサート成形時において環状部32が回転することを抑制できるため、環状部32が端子保持部24に衝突することを抑制できる。これにより、端子保持部24が損傷することを抑制できる。
【0101】
また、本実施形態によれば、第2外縁部32cは、収容ケース50によって径方向外側から覆われている。そのため、樹脂部材40から露出した第2外縁部32cを収容ケース50によって保護できる。本実施形態では、収容ケース50は、露出部32hの全体を径方向外側から覆っている。そのため、環状部32のうち樹脂部材40から露出した部分の全体を保護できる。
【0102】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。樹脂部材は、被覆部を有する単一部材であり、環状部と弁部とを保持しているならば、どのような形状であってもよい。樹脂部材のうち弁部を保持する部分は、流路を有するノズル部でなくてもよい。ガイド筒部と環状部とは、互いに別体であってもよい。この場合、ガイド筒部は、非磁性体製であってもよい。ガイド筒部は、設けられなくてもよい。この場合、例えば、樹脂部材に可動子を軸方向に移動可能に支持する部分が設けられてもよいし、ボビンによって可動子が軸方向に移動可能に支持されてもよい。
【0103】
ボビン本体部のうちコイルよりも軸方向一方側に位置する部分から径方向外側に突出するフランジ部は、軸方向に見た外形が切り欠かれていない円形状であってもよい。フランジ部は、設けられなくてもよい。ボビンは、設けられなくてもよい。この場合、コイルの全体が、樹脂部材に埋め込まれて覆われてもよい。
【0104】
環状部は、環状部を軸方向に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。この場合、樹脂部材は、貫通孔の内部に位置する連結部を有しない。また、この場合、樹脂部材は、環状部の径方向外側を通って、樹脂部材のうち弁部を保持する部分と被覆部とを繋ぐ部分を有してもよい。
【0105】
環状部に設けられた第2外縁部は、中心軸からの径方向距離が第1外縁部よりも小さければ、どのような形状であってもよい。第2外縁部は、例えば、上述した実施形態の第3外縁部32dのような凹部であってもよい。第2外縁部は、軸方向に見てV字状の切り込み形状であってもよい。第2外縁部は、軸方向に見て、曲線状であってもよいし、直線と曲線とによって作られる形状であってもよいし、複数の直線によって作られる形状であってもよい。第2外縁部の径方向外側面は、平坦面を含まなくてもよい。第2外縁部は、収容ケースによって覆われていなくてもよい。環状部の径方向外縁部は、全体が樹脂部材から露出してもよい。環状部は、端子保持部を周方向に挟む一対の壁部を有しなくてもよい。
【0106】
磁性体部および筒状部は、収容ケースの一部でなくてもよい。磁性体部および筒状部は、互いに別体であってもよい。磁性体部および筒状部は、収容ケースの内部に収容されてもよい。磁性体部および筒状部は、樹脂部材に埋め込まれて保持されてもよい。環状部のうち樹脂部材から露出した部分を軸方向一方側から支持する支持部は、カシメ部でなくてもよい。支持部は、ダイカストによって成形された部分であってもよい。収容ケースの筒状部の内周面には、段差部が設けられなくてもよい。収容ケースは、支持部を有しなくてもよい。収容ケースは、コア部を有しなくてもよい。コア部は、収容ケースと別体として設けられてもよい。収容ケースは、樹脂部材に対してどのように取り付けられてもよい。収容ケースは、設けられなくてもよい。
【0107】
弁部は、可動子の軸方向の移動に伴って開閉されるならば、どのような種類の弁であってもよい。可動子は、全体が磁性体製であってもよい。可動子は、例えば、軸方向の移動によって他の部材を移動させ、他の部材を介して弁部を開閉してもよい。例えば、上述した実施形態において、可動子本体71とピン72とが互いに分離されて、それぞれ独立して軸方向に移動可能であってもよい。この場合、可動子本体71が可動子に相当し、ピン72は、可動子によって移動させられる他の部材に相当する。
【0108】
本発明が適用される電磁弁の用途は、特に限定されない。電磁弁は、車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。以上に本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0109】
10…電磁弁、20…ボビン、24…端子保持部、26…コイル、32…環状部、32a,32b…第1外縁部、32c…第2外縁部、32e,32f…壁部、32g…貫通孔、40…樹脂部材、41…被覆部、44…連結部、50…収容ケース、51a…蓋部(磁性体部)、51b…筒状部、60…弁部、70…可動子、80…端子、J…中心軸