(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】車両のセンターコンソール
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B60R7/04 C
(21)【出願番号】P 2020078105
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】大山 諒
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177225(JP,A)
【文献】特開2010-036714(JP,A)
【文献】実開昭57-177856(JP,U)
【文献】特開2006-298222(JP,A)
【文献】特開2008-080828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内において、車両前後方向に延びるセンターコンソールであって、
前記車両前後方向に延び、上部に開口を有するコンソールボックスと、
前記コンソールボックスの前記開口を覆うアームレストと、
前記コンソールボックスと前記アームレストとを連結し、前記コンソールボックスの車幅方向外側を支点に前記コンソールボックスの前記開口に対して前記アームレストを開閉可能とする開閉機構と、
前記コンソールボックスの車両前方側に設けられ、物品を収容する収容部
であって、前記車両前方側から車両後方側へと行くのに従って漸次車両下方側へと低くなるように傾斜した下面を有する前記収容部と、
を備え、
前記開閉機構は、前記コンソールボックスの前記開口に対する前記アームレストの前記支点となるヒンジ部を有し、
前記アームレストは、前記コンソールボックスの前端部から車両前方に向けて延び、当該アームレストの前部が前記収容部の上方を覆うように配置され、
前記アームレストの内部には、当該アームレストを構成する部材よりも高剛性であって、前記アームレストの前記前部から前記ヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられている、
車両のセンターコンソール。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のセンターコンソールにおいて、
前記開閉機構は、前記ヒンジ部で軸支され、車両前方側に延びるシャフト部と、前記シャフト部と前記アームレストとを係合する係合部と、を更に有し、
前記補強部材は、前記アームレストに固定される
第1固定部を前記係合部の車幅方向内側、且つ車両前後方向で前記係合部と略同じ位置に配置されている、
車両のセンターコンソール。
【請求項3】
車両の車室内において、車両前後方向に延びるセンターコンソールであって、
前記車両前後方向に延び、上部に開口を有するコンソールボックスと、
前記コンソールボックスの前記開口を覆うアームレストと、
前記コンソールボックスと前記アームレストとを連結し、前記コンソールボックスの車幅方向外側を支点に前記コンソールボックスの前記開口に対して前記アームレストを開閉可能とする開閉機構と、
前記コンソールボックスの車両前方側に設けられ、物品を収容する収容部と、
を備え、
前記開閉機構は、前記コンソールボックスの前記開口に対する前記アームレストの前記支点となるヒンジ部と、前記ヒンジ部で軸支され、車両前方側に延びるシャフト部と、前記シャフト部と前記アームレストとを係合する係合部と、を有し、
前記アームレストは、前記コンソールボックスの前端部から車両前方に向けて延び、当該アームレストの前部が前記収容部の上方を覆うように配置され、
前記アームレストの内部には、当該アームレストを構成する部材よりも高剛性であって、前記アームレストの前記前部から前記ヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられており、
前記補強部材は、前記アームレストに固定される第1固定部が前記係合部の車幅方向内側、且つ車両前後方向で前記係合部と略同じ位置に配置されている、
車両のセンターコンソール。
【請求項4】
請求項1
から請求項3の何れかに記載の車両のセンターコンソールにおいて、
前記補強部材は、前記ヒンジ部よりも車両後方側で前記アームレストに固定される
第2固定部を有する、
車両のセンターコンソール。
【請求項5】
請求項1から
請求項4の何れかに記載の車両のセンターコンソールにおいて、
前記アームレストは、車両上下方向の上方側に配された上側アームレスト部材と、車両上下方向の下側に配された下側アームレスト部材と、を有し、
前記ヒンジ部は、前記下側アームレスト部材に連結されており、
前記補強部材は、前記上側アームレスト部材と前記下側アームレスト部材との間に配されているとともに、前記下側アームレスト部材に固定されている、
車両のセンターコンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のセンターコンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、運転席と助手席との間の部分からインストルメントパネルの下方にかけて車両前後方向に延びるセンターコンソールが設けられたものがある。センターコンソールは、運転席と助手席との間の部分に設けられたアームレストや、アームレストの前方部分に設けられたカップホルダ等を有する。
【0003】
特許文献1には、車両前後方向にスライド可能なアームレストを有するセンターコンソールが開示されている。特許文献1に開示のセンターコンソールでは、コンソールボックスの上部開口を覆う蓋を上側蓋部材と下側蓋部材とで構成し、上側蓋部材と下側蓋部材とをスライド部材で連結している。そして、特許文献1に開示のセンターコンソールでは、スライド部材の左右両側に係合手段を設けることにより、下側蓋部材に対して上側蓋部材をスライド可能としながら、蓋の剛性を確保しようとしている。
【0004】
なお、特許文献1に開示のセンターコンソールでは、コンソールボックスの開口縁と蓋とがヒンジ部で連結されており、後端を支点に蓋が開閉可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の車両においては、乗員の利便性向上のために、種々の物品を収容する収容部が設けられている。例えば、携帯端末を収容する収容部であって、ワイヤレス給電装置を備える収容部をセンターコンソールに設ける場合もある。
【0007】
このようにセンターコンソールに種々の収容部を設けようとする場合であっても、アームレストの位置は運転席や助手席の乗員との関係で決められるため、あまり後方に設置することはできない。よって、アームレストの前部が、コンソールボックスの前方側に設けられた収容部の上方を覆うような構造を採用する場合も生じ得る。
【0008】
しかしながら、乗員がアームレストに載せた前腕に体重をかけた場合には、アームレストに大きな荷重が入力されることになるため、アームレストの破損を防止するための方策を講じる必要がある。特に、上記のようにアームレストの前部が収容部の上方を覆うような構造を採用しようとする場合には、アームレストの前部の下方が空間であるため、当該アームレストの前部に入力された荷重により、前部よりも後方の部分に大きな力が作用することになるため、アームレストの開閉に係るヒンジ部などの破損を防止するための方策を講じることが重要となる。
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、前部が収容部の上方を覆うように設けられたアームレストを有しながらも、アームレストの高い剛性を確保することができる車両のセンターコンソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る車両のセンターコンソールは、車両の車室内において、車両前後方向に延びるセンターコンソールであって、前記車両前後方向に延び、上部に開口を有するコンソールボックスと、前記コンソールボックスの前記開口を覆うアームレストと、前記コンソールボックスと前記アームレストとを連結し、前記コンソールボックスの車幅方向外側を支点に前記コンソールボックスの前記開口に対して前記アームレストを開閉可能とする開閉機構と、前記コンソールボックスの車両前方側に設けられ、物品を収容する収容部であって、前記車両前方側から車両後方側へと行くのに従って漸次車両下方側へと低くなるように傾斜した下面を有する前記収容部と、を備え、前記開閉機構は、前記コンソールボックスの前記開口に対する前記アームレストの前記支点となるヒンジ部を有し、前記アームレストは、前記コンソールボックスの前端部から車両前方に向けて延び、当該アームレストの前部が前記収容部の上方を覆うように配置され、前記アームレストの内部には、当該アームレストを構成する部材よりも高剛性であって、前記アームレストの前記前部から前記ヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられている。
【0011】
上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、アームレストの内部において、前部からヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられている。このため、乗員が前腕に体重をかけることでアームレストの前部に荷重が入力されても、入力された荷重が補強部材に分散されることになる。よって、アームレストの前部が収容部の上方を覆う構造を採用しながら、アームレストの高い剛性を確保することができる。
【0012】
ここで、上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、補強部材がヒンジ部よりも車両後方側まで延びるように設けられているので、入力された荷重によりヒンジ部が破損するような事態も回避可能である。即ち、上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、補強部材への荷重の分散により、ヒンジ部への荷重の集中を抑制することができ、ヒンジ部の破損を防ぐことができる。
【0015】
上記態様に係る車両のセンターコンソールにおいて、前記開閉機構は、前記ヒンジ部で軸支され、車両前方側に延びるシャフト部と、前記シャフト部と前記アームレストとを係合する係合部と、を更に有し、前記補強部材は、前記アームレストに固定される第1固定部を前記係合部の車幅方向内側、且つ車両前後方向で前記係合部と略同じ位置に配置されている、ことにしてもよい。
【0016】
上記のように、車両前後方向で係合部と略同じ位置に第1固定部を設けることとする場合には、アームレストの前部に対して車幅方向の荷重が入力された場合にも、補強部材への荷重の分散により係合部への荷重の集中も抑制される。よって、上記構成を採用する場合には、アームレストの前部に車幅方向の荷重が入力された場合にも、係合部、および当該係合部とシャフト部を介して接続されるヒンジ部の破損を更に効果的に防ぐことができる。
本発明の別態様に係る車両のセンターコンソールは、車両の車室内において、車両前後方向に延びるセンターコンソールであって、前記車両前後方向に延び、上部に開口を有するコンソールボックスと、前記コンソールボックスの前記開口を覆うアームレストと、前記コンソールボックスと前記アームレストとを連結し、前記コンソールボックスの車幅方向外側を支点に前記コンソールボックスの前記開口に対して前記アームレストを開閉可能とする開閉機構と、前記コンソールボックスの車両前方側に設けられ、物品を収容する収容部と、を備え、前記開閉機構は、前記コンソールボックスの前記開口に対する前記アームレストの前記支点となるヒンジ部と、前記ヒンジ部で軸支され、車両前方側に延びるシャフト部と、前記シャフト部と前記アームレストとを係合する係合部と、を有し、前記アームレストは、前記コンソールボックスの前端部から車両前方に向けて延び、当該アームレストの前部が前記収容部の上方を覆うように配置され、前記アームレストの内部には、当該アームレストを構成する部材よりも高剛性であって、前記アームレストの前記前部から前記ヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられており、前記補強部材は、前記アームレストに固定される第1固定部が前記係合部の車幅方向内側、且つ車両前後方向で前記係合部と略同じ位置に配置されている。
上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、アームレストの内部において、前部からヒンジ部よりも車両後方側まで延びる補強部材が設けられている。このため、乗員が前腕に体重をかけることでアームレストの前部に荷重が入力されても、入力された荷重が補強部材に分散されることになる。よって、アームレストの前部が収容部の上方を覆う構造を採用しながら、アームレストの高い剛性を確保することができる。
ここで、上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、補強部材がヒンジ部よりも車両後方側まで延びるように設けられているので、入力された荷重によりヒンジ部が破損するような事態も回避可能である。即ち、上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、補強部材への荷重の分散により、ヒンジ部への荷重の集中を抑制することができ、ヒンジ部の破損を防ぐことができる。
また、上記態様に係る車両のセンターコンソールでは、車両前後方向で係合部と略同じ位置に第1固定部を設けているので、アームレストの前部に対して車幅方向の荷重が入力された場合にも、補強部材への荷重の分散により係合部への荷重の集中も抑制される。よって、上記構成を採用する場合には、アームレストの前部に車幅方向の荷重が入力された場合にも、係合部、および当該係合部とシャフト部を介して接続されるヒンジ部の破損を更に効果的に防ぐことができる。
上記態様に係る車両のセンターコンソールにおいて、前記補強部材は、前記ヒンジ部よりも車両後方側で前記アームレストに固定される第2固定部を有する、ことにしてもよい。
上記のように、補強部材が第2固定部(アームレストにおけるヒンジ部よりも車両後方側の固定部)でアームレストに対して固定されるという構成を採用する場合には、アームレストの前部に入力された荷重が補強部材によりヒンジ部よりも後方側まで分散されることになり、ヒンジ部の破損を防ぐのに更に有効である。
【0017】
上記態様に係る車両のセンターコンソールにおいて、前記アームレストは、車両上下方向の上方側に配された上側アームレスト部材と、車両上下方向の下側に配された下側アームレスト部材と、を有し、前記ヒンジ部は、前記下側アームレスト部材に連結されており、前記補強部材は、前記上側アームレスト部材と前記下側アームレスト部材との間に配されているとともに、前記下側アームレスト部材に固定されている、ことにしてもよい。
【0018】
上記のように、ヒンジ部が下側アームレスト部材に連結されているとともに、補強部材も下側アームレスト部材に固定されているという構成を採用する場合には、補強部材を下側アームレスト部材に固定することにより入力された荷重の分散を図り、同じく下側アームレスト部材に連結されたヒンジ部の破損を直接的に防ぐために更に有効である。
【発明の効果】
【0019】
上記の各態様に係る車両のセンターコンソールでは、前方部分が収容部の上方を覆うように設けられたアームレストを有しながらも、アームレストの高い剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両におけるセンターコンソールおよびその周辺を示す斜視図である。
【
図3】アームレストを上方から平面視した平面図である。
【
図5】アームレストの構成の内、補強部材および下側アームレスト部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0022】
なお、図中の「Fr」は車両前方、「Re」は車両後方、「Le」は車両左方、「Ri」は車両右方、「Up」は車両上方、「Lo」は車両下方をそれぞれ指す。
【0023】
[実施形態]
1.車両1の車室1a内の構成
図1は、本発明の実施形態に係る車両1の車室1a内におけるセンターコンソール2およびその周辺を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、車両1の車室1a内には、車両前後方向延びるセンターコンソール2が設けられているセンターコンソール2は、前方側がインストルメントパネル3の下方まで延びている。なお、センターコンソール2の左右に配されている運転席および助手席については、図示を省略している。
【0025】
センターコンソール2には、車両前後方向の前端部分に、小物を置いておくためのトレー部25が設けられている。トレー部25は、表面に滑り止め加工がなされた矩形底面を有する凹部である。トレー部25の後方には、2つのカップホルダ24が設けられている。
【0026】
センターコンソール2におけるカップホルダ24が設けられた部分の後方には、シフトレバー4が植設されており、さらに後方には、入力部5が設けられている。入力部5のさらに後方には、前席に着座した乗員が前腕を乗せるためのアームレスト6が設けられている。アームレスト6は、センターコンソール2におけるカップホルダ24や入力部5などが設けられた部分よりも上方に設けられている。
【0027】
本実施形態に係る車両1では、アームレスト6はアームレスト左部6Lとアームレスト右部6Rとを有する。アームレスト左部6Lおよびアームレスト右部6Rは、車幅方向外側を支点としてそれぞれ開閉可能となっている。即ち、アームレスト左部6Lとアームレスト右部6Rとは、観音開きできるようになっている。
【0028】
2.アームレスト6およびその周辺の構造
図2は、アームレスト6の構成を示す断面図である。
図3は、アームレスト6を上方から平面視した平面図である。
【0029】
図2に示すように、センターコンソール2は、後部にコンソールボックス7を備える。コンソールボックス7は、物品を収容可能な内部空間7aを有する。内部空間7aの上方には、開口7bが設けられている。アームレスト6は、閉じた状態において、コンソールボックス7の開口7bを覆うようになっている。
【0030】
センターコンソール2において、コンソールボックス7の前端部(車両前方側の端部)7cには、アームレスト6に設けられた係合爪部11と係合する爪受部12が設けられている。係合爪部11と爪受部12とは、アームレスト6が閉じた状態では係合した状態となっている。乗員は、アームレスト6の前部6aから車両前方に向けて突出するロック解除ボタン10を矢印Aのように押し込むことで、矢印Bのように係合爪部11と爪受部12との係合を解除することができ、アームレスト6を開くことができる。
【0031】
ここで、
図3に示すように、本実施形態に係るセンターコンソール2においては、アームレスト6は、車幅方向左側に設けられたアームレスト左部6Lと、車幅方向右側に設けられたアームレスト右部6Rと、で構成されている。アームレスト左部6Lは、車幅方向外側(左側)の側辺6La側の部分を支点に内辺6Lbが開閉可能となっている。同様に、アームレスト右部6Rは、車幅方向外側(右側)の側辺6Ra側の部分を支点に内辺6Rbが開閉可能となっている。即ち、アームレスト左部6Lとアームレスト右部6Rとは、観音開きできるようになっている。
【0032】
なお、本実施形態に係るセンターコンソール2において、上記のようにアームレスト左部6Lとアームレスト右部6Rとからアームレスト6を構成し、観音開きできるようにすることにより、アームレスト左部6Lおよびアームレスト右部6Rを開いた場合に内辺6Lb,6Rbが高さ方向に低く抑えられるようにするためである。これにより、アームレスト左部6Lおよびアームレスト右部6Rを開いても、車室1a内で邪魔になりにくい。
【0033】
図2に戻って、センターコンソール2において、コンソールボックス7の前端部7cの前方側には、携帯端末500を収容するための収容部13が設けられている。なお、本実施形態に係るセンターコンソール2では、収容部13に収容する物品の一例として携帯端末500を採用することとしているが、本発明は、これに制限を受けるものではない。種々の物品を収容することが可能である。
【0034】
また、図示を省略しているが、収容部13の周囲には、携帯端末500に対してワイヤレス充電が可能なワイヤレス充電装置が備えられている。
【0035】
アームレスト6は、上方に配された上側アームレスト部材8と、下方に配された下側アームレスト部材9とを有する。なお、ここでの上下は、アームレスト6を閉じた状態での方向である。
【0036】
上側アームレスト部材8と下側アームレスト部材9とは、その間に空間を構成するように接合されている。そして、上側アームレスト部材8と下側アームレスト部材9との間の空間には、上述のロック解除ボタン10などが収容されている。本実施形態に係るアームレスト6では、乗員の前腕が載せられる上側アームレスト部材8について、クッション性を持たせている。これにより、乗員の快適性を確保している。
【0037】
図2に示すように、アームレスト6の前部6aは、収容部13の上方を覆うように車両前方側に張り出している。このようなレイアウトを採用することにより、センターコンソール2に収容部13を設けながら、運転席および助手席との関係で適正な位置にアームレスト6を設けることが可能である。また、本実施形態のレイアウトを採用することにより、センターコンソール2の車両前後方向の長さを、運転席と助手席との間の部分からインストルメントパネル3の下方までの間に収まるようにすることも可能となる。
【0038】
さらに、収容部13の上方をアームレスト6の前部6aが覆うようにすることで、収容部13に収容した携帯端末500が、車両1の外部から視認し難くできるというセキュリティ上のメリットもある。
【0039】
ここで、アームレスト6に対しては、乗員が前腕を載せた状態で当該前腕に体重をかける場合がある。そして、本実施形態に係るアームレスト6では、前部6aが収容部13の上方を覆うように前方に張り出しているので、矢印F1のような荷重が入力されることもある。本実施形態に係るアームレスト6においては、前部6aに荷重F1が入力された場合にも、アームレスト6の剛性を高くし、アームレスト6の開閉に係るヒンジ部の破損を防ぐことができる構造が採用されている。当該構造について、以下で説明する。
【0040】
3.アームレスト6の内部構造
図4は、
図3のIV-IV断面を示す断面図である。
図5は、アームレスト6の構成の内、上側アームレスト部材8の図誌を省略し、補強部材14および下側アームレスト部材9を示す平面図である。
【0041】
図4に示すように、アームレスト6における上側アームレスト部材8と下側アームレスト部材9との間の空間(アームレスト6の内部)には、補強部材14が設けられている。補強部材14は、アームレスト6を構成する上側アームレスト部材8および下側アームレスト部材9よりも高剛性である。
【0042】
本実施形態では、一例として、ポリプロピレン(PP)を用いて上側アームレスト部材8が形成され、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)を用いて下側アームレスト部材9が形成されている。また、本実施形態では、一例として、グラスファイバー強化ナイロンを用いて補強部材14が形成されている。
【0043】
なお、本実施形態では、上記のように上側アームレスト部材8および下側アームレスト部材9に対して、異なる材料からなる補強部材14を採用することにより、当該補強部材14の剛性を高くすることとしているが、他の手段、例えば、リブなどを設けるなどの構造により補強部材14の剛性を高くすることも可能である。
【0044】
補強部材14は、アームレスト6の内部の空間における前方端である前端部6bから、当該アームレスト6の車両前後方向の中程部分まで延びるように設けられている。
【0045】
コンソールボックス7とアームレスト6との間には、当該コンソールボックス7とアームレスト6とを連結し、コンソールボックス7に対してアームレスト6を開閉可能とする開閉機構15が設けられている。
図5に示すように、開閉機構15は、ヒンジ部16と、シャフト部17と、ばね部18とを有する。ヒンジ部16は、コンソールボックス7に対するアームレスト6の開閉の支点となる部位であって、コンソールボックス7に固定されている。シャフト部7は、ヒンジ部16で一端部が軸支され、他端部が下側アームレスト部材9に設けられた係合部9aで軸支(係合)されている。ばね部18は、シャフト部17の周りに巻回されており、一端部がヒンジ部16に取り付けられ、他端部が下側アームレスト部材9に取り付けられている。
【0046】
補強部材14は、板状部材である。補強部材14は、車両前後方向の長さの方が車幅方向の幅よりも長い、平面視で略長方形状を有している。補強部材14の前方部分14dは、アームレスト6の前端部6bに相当する下側アームレスト部材9の前端部9bに位置し、後部14bは、ヒンジ部16よりも車両後方側に位置している。ここで、本実施形態では、補強部材14は平板板状ではなく、板厚方向に凹凸を有する。これにより、更に剛性の向上を図ることができる。
【0047】
補強部材14は、5箇所の固定部14a,14b,14c,14e,14fで下側アームレスト部材9に固定されている。下側アームレスト部材9に対する補強部材14の固定は、ビス19~23を用いてなされている。5箇所の固定部14a,14b,14c,14e,14fの内、後側固定部14a,14bは、ヒンジ部16よりも後方の後方部分14gに設けられている。後側固定部14a,14bが第2固定部に該当する。
【0048】
5箇所の固定部14a,14b,14c,14e,14fの内、前側固定部14e,14fは、補強部材14の前方部分14dに設けられている。中間固定部14cは、補強部材14の長手方向(車両前後方向)の中程部分に設けられており、下側アームレスト部材9の係合部9aの近傍に位置している。
【0049】
なお、アームレスト6を閉じた状態において、補強部材14の中間固定部14cは、車幅方向で係合部9aの内側、且つ車両前後方向で係合部9aと略同じ位置に配置されている。中間固定部14cは、第1固定部に該当する。
【0050】
図5では、アームレスト左部6Lを一例に内部構造を図示しているが、アームレスト右部6Rも同様の構造を有する。
【0051】
4.効果
本実施形態に係るセンターコンソール2では、アームレスト6の内部において、当該アームレスト6の前部6aからヒンジ部16よりも後方側まで延びる補強部材14が設けられている。このため乗員が体重をかけることでアームレスト6の前部6aに荷重が入力されても(
図2,4の矢印F
1)、入力された荷重が補強部材14にも分散されることになる。よって、アームレスト6の前部6aが収容部13の上方を覆うように張り出して設けられていても、アームレスト6の高い剛性を確保することができる。
【0052】
図5に示すように、補強部材14は、その後部14gが開閉機構15のヒンジ部16よりも後方に位置するように設けられているので、入力された荷重F
1によりヒンジ部16が破損するような事態も回避可能である。これは、前後方向において、ヒンジ部16の周辺部分についても補強部材14に荷重が分散され、ヒンジ部
16への荷重の集中を抑制することができるためである。
【0053】
また、本実施形態に係るセンターコンソール2では、補強部材14が後側固定部(後方部分14gに設けられた固定部)14a,14bでアームレスト6の下側アームレスト部材9に対して固定されるという構成を採用しているので、アームレスト6の前部6aに入力された荷重F1が、ヒンジ部16よりも後方側まで分散されることになり、ヒンジ部16の破損を防ぐのに有効である。
【0054】
また、本実施形態に係るセンターコンソール2では、アームレスト6を閉じた状態において、補強部材14の中間固定部14cが、車幅方向で係合部
9aの内側、且つ車両前後方向で係合部9aと略同じ位置に配置されているので、アームレスト6の前部6aに対して車幅方向外側から内側に向けた荷重F
2(
図5を参照。)が入力された場合にも、係合部9aの周辺部分においても、補強部材14に確実に荷重が分散される。よって、センターコンソール2では、アームレスト6の前部6aに車幅方向の荷重F
2が入力された場合にも、下側アームレスト部材9の係合部9a、および当該係合部9aとシャフト部17を介して接続されるヒンジ部16の破損を更に効果的に防ぐことができる。
【0055】
また、本実施形態に係るセンターコンソール2では、補強部材14が下側アームレスト部材9に固定されているので、アームレスト6に入力された荷重F1を補強部材14に確実に分散させ、シャフト部17を介して下側アームレスト部材9に連結されたヒンジ部16の破損を確実に防ぐことができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るセンターコンソール2では、前部6aが収容部13の上方を覆うように設けられたアームレスト6を有しながらも、アームレスト6の高い剛性を確保することができ、開閉機構15におけるヒンジ部16の破損を防ぐことができる。
【0057】
[変形例]
上記実施形態では、補強部材14を、アームレスト6の前端部6bから前後方向の中程まで設けることにしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。アームレスト6における上側アームレスト部材8と下側アームレスト部材9との間の空間において、アームレスト6の長手方向(車両1の前後方向)の前端部から後端部まで設けることにしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、板状の補強部材14を設けることにしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。棒状(中実、中空)の補強部材を設けることにしてもよい。
【0059】
上記実施形態では、アームレスト6が2つの部位(アームレスト左部6L、アームレスト右部6R)から構成されることにしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、1つの部位からなるアームレストを採用することもできる。
【0060】
上記実施形態では、アームレスト6の下側アームレスト部材9に対して補強部材14を固定することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。補強部材を上側アームレスト部材に固定することにしてもよいし、上側アームレスト部材および下側アームレスト部材の両方の部材に固定することにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、アームレスト6の下側アームレスト部材9に対する補強部材14の固定をビス19~23を用いて行うことにしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ブラインドリベットなど他の固定部材を用いてアームレストに固定することにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
1a 車室
2 センターコンソール
6 アームレスト
6a 前方部分
7 コンソールボックス
7b 開口
7c 前端部
8 上側アームレスト部材
9 下側アームレスト部材
13 収容部
14 補強部材
14a,14b 後側固定部(第2固定部)
14c 中間固定部(第1固定部)
15 開閉機構
16 ヒンジ部
17 シャフト部
19~23 ビス
500 携帯端末