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特許7463829電動ステープラ、後処理装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電動ステープラ、後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B27F 7/36 20060101AFI20240402BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B27F7/36
B65H37/04 D
G03G15/00 432
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020080671
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172069
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利行
(72)【発明者】
【氏名】千明 義雄
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-016596(JP,A)
【文献】特開2007-261700(JP,A)
【文献】特開2008-127119(JP,A)
【文献】特開昭54-150229(JP,A)
【文献】特開2001-219405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27F 7/36
B65H 37/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、前記第1壁部が前記第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、前記第1壁部と前記第2壁部との間に用紙束が挿入された後、前記第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、前記用紙束を前記第1壁部と前記第2壁とで把持するクランプ部と、
前記クランプ部により把持された前記用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、
前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げて前記用紙束を綴じるクリンチ部と、
前記クランプ部で前記用紙束を把持した状態から前記第1壁部が前記第2壁部に対して前記離れる方向に移動して前記用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、
前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことが検出された後、前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と
前記クランプ部に挿入される前記用紙束の用紙束厚情報を取得する用紙束厚情報取得部とを備え、
前記把持解放検出部は、前記用紙束厚情報に基づいて前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを検出する
電動ステープラ。
【請求項2】
所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、前記第1壁部が前記第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、前記第1壁部と前記第2壁部との間に用紙束が挿入された後、前記第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、前記用紙束を前記第1壁部と前記第2壁部とで把持するクランプ部と、
前記クランプ部により把持された前記用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、
前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げて前記用紙束を綴じるクリンチ部と、
前記クランプ部で前記用紙束を把持した状態から前記第1壁部が前記第2壁部に対して前記離れる方向に移動して前記用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、
前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことが検出された後、前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と、
前記クランプ部に挿入される前記用紙束の用紙枚数情報を取得する用紙枚数取得部とを備え、
前記把持解放検出部は、前記用紙枚数情報に基づいて前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを検出する
電動ステープラ。
【請求項3】
所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、前記第1壁部が前記第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、前記第1壁部と前記第2壁部との間に用紙束が挿入された後、前記第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、前記用紙束を前記第1壁部と前記第2壁部とで把持するクランプ部と、
前記クランプ部により把持された前記用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、
前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げて前記用紙束を綴じるクリンチ部と、
前記クランプ部で前記用紙束を把持した状態から前記第1壁部が前記第2壁部に対して前記離れる方向に移動して前記用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、
前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことが検出された後、前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と、
前記第1壁部を移動させるモータと、
前記クランプ部が前記第1壁部と前記第2壁部とで前記用紙束を把持するときの前記モータの負荷変動を検出する負荷変動検出部と、
前記負荷変動に基づき、前記用紙束の厚さを推定する厚さ推定部とを備え、
前記把持解放検出部は、前記推定された前記用紙束の厚さに基づいて前記用紙束が前記クランプ部による把持から解放されたことを検出する
電動ステープラ。
【請求項4】
前記第1壁部を移動させるモータを備え、
前記第1壁部は、前記モータの回転量に対応して移動し、
前記把持解放検出部は、前記モータの回転量に基づき前記用紙束が把持から解放されたことを検出する
請求項1または請求項2に記載の電動ステープラ。
【請求項5】
前記負荷変動は、前記モータの電流値に基づいて検出される
請求項に記載の電動ステープラ。
【請求項6】
前記負荷変動は、前記モータの回転に伴い生成されるパルスのパルス幅に基づいて検出される
請求項に記載の電動ステープラ。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電動ステープラを備え、
前記把持解放信号に基づく処理を行う
後処理装置。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電動ステープラを備え、前記把持解放信号に基づく処理を行う後処理装置と、
画像形成装置を備えた
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
用紙束をステープルで綴じる電動ステープラ、電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置及び後処理装置を備えた画像形成システムにおいて、後処理装置には、ステープルで用紙束を綴じる電動ステープラを搭載したものがある。
【0003】
電動ステープラは、モータにより駆動されるギアの回転位置を検出するホームポジションセンサを備え、用紙束をクランプするクランプ工程、用紙束にステープルを貫通させる貫通工程及びステープルを折り曲げるクリンチ工程が終了して、クランプが解放された後、ホームポジションセンサの出力が所定の出力となるように構成されている。
【0004】
電動ステープラでは、綴じられた用紙束が排出可能になったことをホームポジションセンサの出力から検出し、後処理装置に出力している。後処理装置では、電動ステープラから綴じられた用紙束が排出可能になった通知を受けると、用紙束の排出処理を実行している。
【0005】
これに対し、ホームポジションセンサによる検出と、時間の経過で用紙束を排出可能となるタイミングを判断する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-201662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電動ステープラでは、クリンチ工程が終了し、クランプが解放する動作が開始すると、用紙束の排出が可能となる。しかし、綴じられた用紙束が排出可能になったことを、ホームポジションセンサの出力から検出する方式では、実際には用紙束が排出可能な状態になっているにもかかわらず、ホームポジションセンサからの出力信号を受信するまでは排出が行われないため、排出可能な状態からホームポジションセンサからの出力信号を受信するまでの間、無駄な待機時間を生じる。
【0008】
また、クリンチ工程が終了するまでの時間は、負荷(例えば用紙束が薄いか/厚いか)の大小によって変化する。これにより、時間の経過で用紙束を排出可能となるタイミングを判断する方式では、負荷が小さい場合(例えば用紙束が薄い場合)を基準として、時間の経過で用紙束を排出可能となるタイミングを判断すると、負荷が大きい場合には、クリンチ工程の終了前に、用紙束の排出が開始される可能性がある。このような場合、ステープラが用紙束をクランプしているにも関わらず、後処理装置が用紙束の排出を開始してしまい、ジャムや機械故障の要因となる。
【0009】
そこで、最適な用紙束の排出タイミングを検出することが可能な電動ステープラを提供する。また、このような電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本開示に係る電動ステープラは、所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、第1壁部が第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、第1壁部と第2壁部との間に用紙束が挿入された後、第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、用紙束を第1壁部と第2壁とで把持するクランプ部と、クランプ部により把持された用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、用紙束を貫通したステープルを折り曲げて用紙束を綴じるクリンチ部と、クランプ部で用紙束を把持した状態から第1壁部が第2壁部に対して離れる方向に移動して用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことが検出された後、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と、クランプ部に挿入される用紙束の用紙束厚情報を取得する用紙束厚情報取得部を備え、把持解放検出部は、用紙束厚情報に基づいて用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを検出する電動ステープラである。
また、本開示に係る電動ステープラは、所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、第1壁部が第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、第1壁部と第2壁部との間に用紙束が挿入された後、第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、用紙束を第1壁部と第2壁部とで把持するクランプ部と、クランプ部により把持された用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、用紙束を貫通したステープルを折り曲げて用紙束を綴じるクリンチ部と、クランプ部で用紙束を把持した状態から第1壁部が第2壁部に対して離れる方向に移動して用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことが検出された後、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と、クランプ部に挿入される用紙束の用紙枚数情報を取得する用紙枚数取得部を備え、把持解放検出部は、用紙枚数情報に基づいて用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを検出する電動ステープラである。
さらに、本開示に係る電動ステープラは、所定の間隔を開けて対向する第1壁部と第2壁部とを含み、第1壁部が第2壁部に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成されるクランプ部であって、第1壁部と第2壁部との間に用紙束が挿入された後、第1壁部を前記第2壁部に近づく方向に移動させることで、用紙束を第1壁部と第2壁部とで把持するクランプ部と、クランプ部により把持された用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、用紙束を貫通したステープルを折り曲げて用紙束を綴じるクリンチ部と、クランプ部で用紙束を把持した状態から第1壁部が第2壁部に対して離れる方向に移動して用紙束が把持から解放されたことを検出する把持解放検出部と、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことが検出された後、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを示す把持解放信号を外部に出力する出力部と、第1壁部を移動させるモータと、クランプ部が第1壁部と第2壁部とで用紙束を把持するときのモータの負荷変動を検出する負荷変動検出部と、負荷変動に基づき、用紙束の厚さを推定する厚さ推定部とを備え、把持解放検出部は、推定された用紙束の厚さに基づいて用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを検出する電動ステープラである。
【0011】
上記電動ステープラでは、用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを検出すると、把持解放信号が外部に出力され、把持解放信号に基づく処理が行われる。
【発明の効果】
【0012】
上述した電動ステープラによれば、実際に用紙束がクランプ部による把持から解放されたことを検出して把持解放信号が出力されるので、最適な用紙束の排出タイミングを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態の電動ステープラの一例を示す側面図である。
図2】駆動部の一例を示す側断面図である。
図3】電動ステープラの制御機能の一例を示すブロック図である。
図4】本実施の形態の画像形成システムの概要を示す構成図である。
図5】従来の電動ステープラの動作例を示すタイムチャートである。
図6】本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すタイムチャートである。
図7】本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すタイムチャートである。
図8】本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の電動ステープラ、電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムの実施の形態について説明する。
【0015】
<本実施の形態の電動ステープラの構成例>
図1は、本実施の形態の電動ステープラの一例を示す側面図である。
【0016】
電動ステープラ1Aは、用紙束Pを把持するクランプ部2と、用紙束Pにステープル10を貫通させる貫通部3と、用紙束Pを貫通したステープル10を折り曲げて用紙束Pを綴じるクリンチ部4を備える。また、電動ステープラ1Aは、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4を駆動するモータ5を備える。
【0017】
電動ステープラ1Aは、貫通部3が設けられる打出ユニット30と、クリンチ部4が設けられる綴じユニット40を備える。
【0018】
クランプ部2は、所定の間隔を開けて対向する第1壁部21と第2の壁部22とを含む。クランプ部2は、綴じユニット40の打出ユニット30と対向する部位で第1壁部21が構成される。また、クランプ部2は、打出ユニット30の綴じユニット40と対向する部位で第2壁部22が構成される。
【0019】
綴じユニット40は、軸31を支点とした回転動作で、打出ユニット30に対して近づく方向及び離れる方向に移動する。
【0020】
これにより、クランプ部2は、第1壁部21が第2壁部22に対して近づく方向と離れる方向に移動する。クランプ部2は、第1壁部21が第2壁部22に対して近づく方向に移動することで、第1壁部21と第2壁部22との間に用紙束Pを挟持する。また、第1壁部21が第2壁部22に対して離れる方向に移動することで、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pを解放する。
【0021】
打出ユニット30は、ステープル10が連結された形態で収容されるカートリッジ100が着脱可能に取り付けられる。貫通部3は、カートリッジ100に収容されるステープル10の最先端の1本を分離し、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pに打ち込んで、用紙束Pを貫通させる。
【0022】
なお、打出ユニット30は、カートリッジ100に収容されるステープル10を、貫通部3により打ち出し可能な位置に送る機構を備える。また、打出ユニット30は、シート状に連結されたステープルがカートリッジ100に収容されて供給される形態では、ステープル10をコ(ほぼU)字状に成形する機構を備える。
【0023】
クリンチ部4は、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pを貫通したステープル10を、所定の方向に折り曲げる。なお、綴じユニット40は、用紙束Pを貫通したステープル10の針足をカットする機構を備えてもよい。
【0024】
図2は、駆動部の一例を示す側断面図である。電動ステープラ1Aは、モータ5の回転をクランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4に伝達する駆動部50を備える。駆動部50は、モータ5の回転を、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4に伝達する駆動ギア51と、モータ5の回転を駆動ギア51に伝達する中間ギア52を備える。
【0025】
駆動部50は、モータ5のモータ軸5aの回転が、中間ギア52を介して駆動ギア51に伝達され、駆動ギア51が回転する。駆動部50は、駆動ギア51の回転が図示しないカム等に伝達されることで、綴じユニット40を打出ユニット30に対して近づく方向及び離れる方向に移動させ、クランプ2の開閉を行う。また、駆動部50は、駆動ギア51の回転が図示しないカム等に伝達されることで、貫通部3及びクリンチ部4を駆動する。
【0026】
電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に回転する動作で、綴じユニット40が打出ユニット30に近づく方向に移動して、用紙束Pをクランプ部2で挟持する。
【0027】
また、電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に回転する動作で、カートリッジ100Aに収納されたステープル10を繰り出し、繰り出されたステープル10の最先端の1本を、クランプ部2で挟持された用紙束Pに貫通部3で打ち込んで、用紙束Pに貫通させる。
【0028】
更に、電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に回転する動作で、用紙束Pを貫通したステープル10を、クリンチ部4で折り曲げ、更に駆動ギア51が一方向に回転する動作で、綴じユニット40が打出ユニット30から離れる方向に移動して、クランプ部2での用紙束Pの挟持を解放する。
【0029】
そして、電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に一回転する動作で、クランプ部2による用紙束Pの挟持を行うクランプ工程、貫通部3によりステープル10を用紙束Pに打ち込む貫通工程、クリンチ部4によりステープル10を折り曲げるクリンチ工程、クランプ部2により挟持した用紙束Pの解放を行うリターン工程が行われる。
【0030】
次に、モータ5及び駆動ギア51の回転方向の位置及び回転量を検出する構成について説明する。
【0031】
電動ステープラ1Aにおいて、モータ5のモータ軸5aの回転方向に沿った位置を、モータ5の回転位置と称す。また、駆動ギア51の回転方向に沿った位置を、駆動ギア51の回転位置と称す。
【0032】
駆動部50は、駆動ギア51が中間ギア52と噛み合い、中間ギア52がモータ軸5aの図示しないギアと噛み合っているため、駆動ギア51の回転数は、モータ5の回転数に対して所定の減速比で減速した値となる。これにより、駆動ギア51の回転位置及び回転量は、モータ5の回転位置及び回転量に比例する。
【0033】
そこで、モータ5及び駆動ギア51の回転位置については、駆動ギア51の回転位置を検出するホームポジションセンサ101(第1位置検出部)を備える。また、モータ5及び駆動ギア51の回転量については、ブラシレスモータで構成されるモータ5の図示しないロータの位置検出で用いられる磁気センサ102(回転量検出部)の出力から、モータ5の回転量を検出する。
【0034】
電動ステープラ1Aは、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4を、所定のホームポジションで待機させるため、ホームポジションセンサ101で駆動ギア51の回転位置を検出する。
【0035】
そして、電動ステープラ1Aは、モータ5の駆動を停止する際に、駆動ギア51の回転位置が所定の位置で停止するようにするため、また、用紙束Pを排出するタイミングを検出するため、駆動ギア51の周方向の所定の範囲に停止目標範囲SEが設定される。
【0036】
電動ステープラ1Aは、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に、停止目標範囲SEの始点となる停止目標範囲始点位置PSが到達すると、ホームポジションセンサ101の出力が例えば0(OFF)から1(ON)に変化するよう構成される。
【0037】
また、電動ステープラ1Aは、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に、停止目標範囲SEの終点となる停止目標範囲終点位置PEが到達すると、ホームポジションセンサ101の出力が例えば1(ON)から0(OFF)に変化するよう構成される。
【0038】
これにより、電動ステープラ1Aは、ホームポジションセンサ101が駆動ギア51の停止目標範囲SEを検出可能に構成される。
【0039】
電動ステープラ1Aは、停止目標範囲SE内に駆動ギア51の停止目標位置P1が設定される。電動ステープラ1Aは、駆動ギア51の停止目標位置P1がホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置すると、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4がそれぞれホームポジションに位置する。
【0040】
電動ステープラ1Aは、駆動ギア51の停止目標位置P1がホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置する状態から、モータ5の正転により、駆動ギア51が矢印Fで示す正方向に回転すると、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に停止目標範囲終点位置PEが到達する。
【0041】
矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、停止目標範囲終点位置PEから所定の範囲が、クランプ工程において、クランプ部2による用紙束Pの挟持を行うクランプ範囲CLとなる。また、クランプ範囲CLの次に、貫通工程において、貫通部3によりステープル10を用紙束Pに打ち込む貫通範囲THとなる。なお、貫通範囲THの次に、クリンチ工程におけるクリンチ範囲、次に、リターン工程におけるクランプ解除範囲が設定されて、停止目標範囲始点位置PSに戻る。
【0042】
図3は、ステープラの制御機能の一例を示すブロック図である。電動ステープラ1Aは、モータ5を制御する制御部110と、モータ5を駆動するモータ駆動回路111を備える。
【0043】
制御部110(把持解放検出部、用紙束厚情報取得部、用紙枚数取得部、出力部、負荷変動検出部、厚さ推定部を実現する)は、CPU110aを備え、記憶部110bに記憶されたプログラムを実行することにより、電動ステープラ1Aによる綴じ処理を実行する。駆動回路111は、磁気センサ102から出力される図示しないロータの位置情報に基づき、公知のPWM制御によりモータ5を駆動する。
【0044】
制御部110は、ホームポジションセンサ101で検出された駆動ギア51の回転位置と、磁気センサ102で検出されたモータ5の回転量、すなわち、駆動ギア51の回転量に基づき、用紙束Pが排出可能となるタイミングを検出する。
【0045】
<画像形成システム及び後処理装置の構成例>
図4は、本実施の形態の画像形成システムの概要を示す構成図である。本実施の形態の画像形成システム500Aは、画像形成装置501Aと、少なくとも1種類の処理が可能な後処理装置502Aを備える。画像形成装置501Aは、装置内または外部の図示しない給紙部から繰り出した用紙に画像を形成して出力する。画像形成装置501Aは、本例では、走査露光による静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像、トナーの用紙への転写及び定着により用紙に画像を形成する。後処理装置502Aは、綴じ部503Aに上述した電動ステープラ1Aを備える。
【0046】
電動ステープラ1Aは、図3に示す制御部110のCPU110aが、後処理装置502Aの図示しない制御部、及び、画像形成装置501Aの図示しない制御部と接続される。画像形成装置501Aは、図示しない操作部で、用紙束Pを綴じる綴じ処理を行うことが選択されると、後処理装置502Aに綴じ処理の実行を指示する。後処理装置502Aは、画像形成装置501Aから出力される所定枚数の用紙を揃える用紙揃え処理を行い、用紙揃え処理が終了すると、ステープラ1Aに対して綴じ指令を出力する。また、後処理装置502Aは、ステープラ1Aにおいて用紙束Pが綴じられ、後述する所定のタイミングで綴じ完了の通知を受信すると、綴じられた用紙束Pの排出処理を行う。また、次に綴じられる用紙がある場合、次に綴じられる用紙を揃える用紙揃え処理を行う。
【0047】
<従来の電動ステープラの動作例及び課題>
図5は、従来の電動ステープラの動作例を示すタイムチャートであり、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載の課題の具体例について説明する。図5(a)は、ホームポジションセンサのON-OFF-ON検知で用紙束Pを排出可能となるタイミングを判断する例である。なお、従来の電動ステープラの構成については、図1等を流用する。
【0048】
電動ステープラ1Aは、ホームポジションセンサ101が、図2に示す駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出(HPセンサOFFの検知)してから、クランプ工程、貫通工程、クリンチ工程が終了し、クランプ部2が開いた後、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出(HPセンサONの検知)するように構成されている。
【0049】
しかし、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出(HPセンサONの検知)するタイミングより前に、クリンチ工程が終了し、かつ、クランプ部2が開く動作が開始しており、実際には用紙束Pを排出可能となっている。このため、図5(a)の(5)に示すように、実際に用紙束Pを排出可能となってから、HPセンサONの検知までの間に、無駄な待機時間を生じる。
【0050】
図5(b)は、ホームポジションセンサOFFの検知からの時間の経過で用紙束Pを排出可能となるタイミングを判断する例である。
【0051】
負荷が小さい場合、用紙束Pにステープル10を貫通させるための力が、負荷が大きい場合と比較して小さい。これにより、ステープル処理でのモータ5の回転速度が速くなる。これに対し、負荷が大きい場合、用紙束Pにステープル10を貫通させるための力が、負荷が小さい場合と比較して大きい。これにより、ステープル処理でのモータ5の回転速度が遅くなる。
【0052】
このため、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出(HPセンサOFFの検知)してから、クリンチ工程が終了するまでの時間は、負荷の大小によって変化する。通常、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出(HPセンサOFFの検知)してから、クリンチ工程が終了するまでの時間は、負荷が小さい場合の方が負荷が大きい場合と比較して短くなる。
【0053】
これにより、図5(b)に示すように、負荷が小さい場合を基準として、ホームポジションセンサ101のOFF検知からの時間の経過で用紙束Pを排出可能となるタイミングを判断すると、負荷が大きい場合には、クリンチ工程の終了前に、用紙束Pの排出が開始される可能性がある。このような場合、ステープラが用紙束をクランプしているにも関わらず、後処理装置が用紙束の排出を開始してしまい、ジャムや機械故障の要因となる。
【0054】
<本実施の形態の電動ステープラの動作例>
図6は、本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すタイムチャートであり、図6(a)は、用紙の綴じ枚数が少ない等により負荷が小さい場合、図6(b)は、用紙の綴じ枚数が多い等により負荷が大きい場合を示す。
【0055】
図4に示す後処理装置502Aは、用紙揃え処理が終了すると、ステープラ1Aに綴じ指令を出力する。ステープラ1Aの制御部110は、後処理装置502Aにおけるフィニッシャ処理で、用紙揃え処理が終了し、綴じ指令があるまで、モータ5を駆動せず、ステープラ処理を実行しない。
【0056】
制御部110は、図6(1)の綴じ指令で、後処理装置502Aから綴じ指令を受けると、モータ5を正転させることにより、図2に示す駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる。
【0057】
制御部110は、図6(2)のHPセンサOFFの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出すると、磁気センサ102からのパルス数のカウントを開始する。パルス数のカウント開始で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。回転量情報D1は、モータ5の回転に伴い位置情報に基づき生成されるパルスをカウントしたパルス数である。
【0058】
本例では、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、クランプ工程、貫通工程、クリンチ工程が終了した後、第1壁部21が第2壁部22から離れる方向に移動を開始してクランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるまでのモータ5の回転量(パルス数)は予め決まっており、その回転量は例えば電動ステープラ1において綴じ処理が可能な最大枚数の用紙束Pの挟持が解放可能となったときのモータ5の回転量である。駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、クリンチ工程が終了し、クランプ部2が開いて用紙束Pを排出可能となるまでのモータ5の回転量を排出可能回転量D2と称す。ただし、排出可能回転量D2はホームポジションセンサがONになる手前に設定される。
【0059】
制御部110(の把持解放検出部)は、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき取得した回転量情報D1が、排出可能回転量D2に到達すると、用紙束Pは挟持(把持)から解放されと判断し、図6(3)のカウント完了で、後処理装置502Aに綴じ完了通知(把持解放信号)を出力する。なお、本例では、用紙束Pが排出可能となるモータ5の回転量、すなわちパルス数は一定であるが、図6(a)の(2)-(3)に示すように、用紙束Pが薄い場合等、負荷が小さい場合はモータ5は早く回転し、図6(b)の(2)-(3)に示すように、用紙束Pが厚い場合等、負荷が大きい場合はモータ5の回転は負荷が小さい場合に比して遅くなる。
【0060】
後処理装置502Aは、ステープラ1Aから綴じ完了通知を受けると、用紙束Pの排出処理を行う。また、用紙束Pの排出処理が終了すると、次に綴じられる用紙がある場合、次に綴じられる用紙を揃える用紙揃え処理を行う。
【0061】
制御部110は、図6(4)のHPセンサONの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。この制動制御を、ブレーキ、ブレーキをかけるとも称す。
【0062】
制御部110は、図6(4)のHPセンサONの検知から、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置するようにして、図5(5)のモータ停止で、モータ5の回転を停止させる。これにより、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4がホームポジションで停止する。
【0063】
以上説明したように、クリンチ工程が終了した後、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるタイミングを、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき取得した回転量情報で判断することで、負荷が変化しても、最適な用紙束の排出タイミングを検出できる。これにより、ホームポジションセンサのON-OFF-ON検知で用紙束Pを排出可能となるタイミングを判断する従来技術で課題であった、無駄な待機時間を低減することができる。また、ホームポジションセンサOFFの検知からの時間の経過で用紙束Pを排出可能となるタイミングを判断する従来技術で課題であった、クリンチ工程の終了前に、用紙束Pの排出が開始される可能性を排除できる。なお、負荷変動の要因としては、用紙束の厚さ、紙種、用紙の湿度、モータの温度、電圧変動、機械個体差、機械経年劣化等が挙げられる。
【0064】
図7は、本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すタイムチャートである。第2の動作例では、画像形成装置501A、後処理装置502Aから用紙束Pの厚さを特定する情報を取得し、用紙束Pの厚さに応じて用紙束Pを排出するタイミングを判断する。図7(a)は、用紙の綴じ枚数が多い等により用紙束の厚さが厚い場合、図7(b)は、用紙の綴じ枚数が少ない等により用紙束の厚さが薄い場合を示す。
【0065】
制御部110(の用紙束厚情報取得部)は、画像形成装置501Aや後処理装置502Aから用紙束Pの厚さ情報を取得すると、それに基づき用紙束Pの挟持が解放される排出可能回転量D3(後述)を算出する。なお、用紙束Pの厚さ情報としては、用紙束Pの厚さそのものの情報の他、綴じる用紙の枚数、紙質、坪量等がある。
【0066】
後処理装置502Aは、用紙束Pの厚さ情報をステープル1Aに出力するとともに、用紙揃え処理が終了すると、ステープラ1Aに綴じ指令を出力する。ステープラ1Aの制御部110は、後処理装置502Aにおけるフィニッシャ処理で、用紙揃え処理が終了し、綴じ指令があるまで、モータ5を駆動せず、ステープラ処理を実行しない。
【0067】
制御部110は、図7(1)の綴じ指令で、後処理装置502Aから綴じ指令を受けると、モータ5を正転させることにより、図2に示す駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる。
【0068】
制御部110は、図7(2)のHPセンサOFFの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出すると、パルス数のカウントを開始し、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。回転量情報D1は、モータ5の回転に伴い位置情報に基づき生成されるパルスをカウントしたパルス数である。
【0069】
ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、クランプ工程、貫通工程、クリンチ工程が終了した後、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるまでのモータ5の回転量(パルス数)は、綴じられる用紙束Pの厚さで決まっている。駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、クリンチ工程が終了し、クランプ部2が開いて用紙束Pを排出可能となるまでの、用紙束の厚さ情報に応じたモータ5の回転量を排出可能回転量D3と称す。制御部110は、用紙束の厚情報に応じた排出可能回転量D3が設定される。
【0070】
制御部110(の把持解放検出部)は、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき取得した回転量情報D1が、後処理装置502Aから取得した用紙束の厚さ情報に応じた排出可能回転量D3に到達すると、用紙束Pが挟持(把持)から解放されたと判断し、図7(3)のカウント完了で、後処理装置502Aに綴じ完了通知を出力する。
【0071】
後処理装置502Aは、ステープラ1Aから綴じ完了通知を受けると、用紙束Pの排出処理を行う。また、用紙束Pの排出処理が終了すると、次に綴じられる用紙がある場合、次に綴じられる用紙を揃える用紙揃え処理を行う。
【0072】
制御部110は、図7(4)のHPセンサONの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。
【0073】
制御部110は、図7(4)のHPセンサONの検知から、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置するようにして、図7(5)のモータ停止で、モータ5の回転を停止させる。これにより、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4がホームポジションで停止する。
【0074】
クリンチ工程が終了した後、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるタイミングを、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき取得した回転量情報と、画像形成装置501Aから取得した用紙束の厚さ情報で判断することで、用紙束の厚さに応じた最適な用紙束Pの排出タイミングを検出できる。例えば、図7(a)に示す用紙束Pの厚さが厚い場合と比較して、図7(b)に示す用紙束Pの厚さが薄い場合、より早いタイミングでクランプが解放される。これにより、用紙束Pの厚さに応じてより早期にステープラ1Aから綴じ完了通知を後処理装置502Aに出力できる。また、第1の動作例で説明したように、負荷が変化しても、最適な用紙束Pの排出タイミングを検出できる。
【0075】
なお、用紙束Pの厚さは、綴じる用紙の枚数によっても規定される。そこで、図4に示す画像形成装置501Aは、綴じる用紙の枚数を特定する用紙枚数情報を後処理装置502Aに出力する。後処理装置502Aは、用紙枚数情報をステープル1Aに出力し、ステープル1Aの制御110(の用紙枚数取得部)は用紙枚数情報を取得する。
【0076】
制御部110(の把持解放検出部)は、用紙枚数情報に応じた排出可能回転量D3が設定され、回転量情報D1が、後処理装置502Aから取得した用紙枚数情報に応じた排出可能回転量D3に到達すると、用紙束Pが挟持(把持)から解放されたと判断し、図7(3)のカウント完了で、後処理装置502Aに綴じ完了通知を出力する。
【0077】
図8は、本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すタイムチャートである。第3の動作例では、用紙束Pの厚さを負荷から検出し、用紙束Pの厚さに応じて用紙束Pを排出するタイミングを判断する。図8(a)は、用紙の綴じ枚数が多い等により用紙束Pの厚さが厚い場合、図8(b)は、用紙の綴じ枚数が少ない等により用紙束Pの厚さが薄い場合を示す。
【0078】
図4に示す後処理装置502Aは、用紙揃え処理が終了すると、ステープラ1Aに綴じ指令を出力する。ステープラ1Aの制御部110は、後処理装置502Aにおけるフィニッシャ処理で、用紙揃え処理が終了し、綴じ指令があるまで、モータ5を駆動せず、ステープラ処理を実行しない。
【0079】
制御部110は、図8(1)の綴じ指令で、後処理装置502Aから綴じ指令を受けると、モータ5を正転させることにより、図2に示す駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる。
【0080】
制御部110は、図8(2)のHPセンサOFFの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出すると、パルス数のカウントを開始し、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。回転量情報D1は、モータ5の回転に伴い位置情報に基づき生成されるパルスをカウントしたパルス数である。制御部110(の負荷変動検出部)は、図8(2)のHPセンサOFFの検知から、図8(3)の範囲においてモータ5の回転に伴い生成されるパルスをカウントすると共に、この範囲におけるパルス幅の変動を検出し、パルス幅の変動によって負荷の大小を判断する。なお、制御部110は、モータ5に流れる電流の変動で、負荷の大小を判断しても良い。
【0081】
ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、クランプ工程、貫通工程、クリンチ工程が終了した後、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるまでのモータ5の回転量(パルス数)は、綴じられる用紙束Pの厚さで決まっている。そこで、用紙束Pのクランプ開始から解放までのパルス数αを算出する。
【0082】
図8(a)に示すように、用紙束Pが厚い場合、(3)の範囲においてパルス幅の負荷が変動する(パルス幅が大きくなっている部分がある)。一方、図8(b)に示すように、用紙束Pの厚さが薄い場合、(3)の範囲において負荷変動が無い、または小さく、パルス幅の変動は所定の範囲内となる。パルス幅の変動が所定の範囲内であると、負荷変動無と判断する。このように、制御部110(の厚さ推定部)は、負荷変動に応じた用紙束Pの厚さを推定し、推定した用紙束Pの厚さ情報に応じて、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるまでのモータ5の回転量である排出可能回転量D4(パルス数)を設定する。
【0083】
制御部110は、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出してから、図8(4)のパルス数カウントで、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1(パルス数α)を取得する。制御部110は、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき、回転量情報D1が負荷に応じた用紙束厚情報D4に到達すると、図8(5)のカウント完了で、後処理装置502Aに綴じ完了通知を出力する。
【0084】
後処理装置502Aは、ステープラ1Aから綴じ完了通知を受けると、用紙束Pの排出処理を行う。また、用紙束Pの排出処理が終了すると、次に綴じられる用紙がある場合、次に綴じられる用紙を揃える用紙揃え処理を行う。
【0085】
制御部110は、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。
【0086】
クリンチ工程が終了した後、クランプ部2が開き、用紙束Pを排出可能となるタイミングを、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき取得した回転量情報と、負荷に応じた用紙束厚情報で判断することで、用紙束の厚さに応じた最適な用紙束の排出タイミングを検出できる。例えば、図8(a)に示す負荷が大きく用紙束の厚さが厚い場合と比較して、図8(b)に示す負荷が少なく用紙束の厚さが薄い場合、より早いタイミングでクランプが解放される。これにより、用紙束Pの厚さに応じてより早期にステープラ1Aから綴じ完了通知を後処理装置502Aに出力できる。また、第1の動作例で説明したように、負荷が変化しても、最適な用紙束の排出タイミングを検出できる。更に、第2の動作例と異なり、画像形成装置501Aから用紙束厚情報の取得が不要である。
【符号の説明】
【0087】
1A・・・電動ステープラ、2・・・クランプ部、21・・・第1壁部、22・・・第2壁部、3・・・貫通部、4・・・クリンチ部、5・・・モータ、51・・・駆動ギア、101・・・ホームポジションセンサ、102・・・磁気センサ(回転量検出部)、110・・・制御部(把持解放検出部、用紙束厚情報取得部、用紙枚数取得部、出力部、負荷変動検出部、厚さ推定部)、SE・・・停止目標範囲、PS・・・停止目標範囲始点位置、PE・・・停止目標範囲終点位置、P1・・・停止目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8