(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20240402BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/04 Z
H01F17/04 F
(21)【出願番号】P 2020085092
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】乾 京介
(72)【発明者】
【氏名】外海 透
(72)【発明者】
【氏名】小柳 佑市
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225590(JP,A)
【文献】特開2018-107198(JP,A)
【文献】特開2017-191941(JP,A)
【文献】特開2017-201718(JP,A)
【文献】特開2016-058418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23
H01F 27/26-27/30
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 38/42-41/04
H01F 41/08
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子と、樹脂と、を含む素体と、
前記素体の外面の一部である電極対向部に形成してある樹脂電極層と、を有し、
前記樹脂電極層が、樹脂成分と導体粉末とを含み、
前記電極対向部は、前記素体の最表面において前記樹脂が除去されて、最表面に位置する前記金属粒子の外周縁の一部が露出している露出部を有しており、
前記電極対向部は、前記素体の内部に位置する導体の一部が露出している取出電極部と、前記樹脂が除去されていない非露出部と、をさらに有し、
前記電極対向部の平面方向において、前記取出電極部の周囲には前記露出部が位置してあり、
前記非露出部は、前記露出部の周囲の外側に位置し、
前記樹脂電極層
が、前記電極対向部の前記露出部
および前記非露出部の双方に接合してある電子部品。
【請求項2】
前記樹脂電極層の前記導体粉末は、粒径がマイクロメートルオーダの第1粒子と、粒径がナノメートルオーダの第2粒子とを含む請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記露出部の最表面では、前記金属粒子の間に、前記樹脂電極層の前記第2粒子が入り込んでいる請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記樹脂電極層の前記導体粉末は、粒径がナノメートルオーダの第2粒子を含んでおり、
前記露出部の最表面では、前記金属粒子の間に、前記第2粒子が入り込んでいる請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記素体に含まれる前記金属粒子は、平均粒径が異なる少なくとも2種以上の粒子群で構成してある請求項1~4のいずれかに記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子電極を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の一類型として、素体の外面に端子電極(外部電極と呼ばれる場合もある)が形成してある電子部品が知られている。このような電子部品において、端子電極は、一般的に、素体の外面に導電性ペーストを塗布して焼き付け処理することで形成される。また、メッキ法やスパッタリング法などによって形成される場合もある。ただし、コイル装置の素体に樹脂成分が含まれる場合には、素体の外面に対して端子電極が十分に密着せずに、端子電極の接合強度が十分に確保できないことがある。
【0003】
一方、特許文献1では、素体の一部をダイサーで切削することで、素体の外面に端子電極との接触部分を形成する技術を開示している。ダイサーで加工した場合、素体の内部に含まれる金属粒子自体も削り取られ、素体の外面に、金属粒子の断面が露出する。その結果、ダイサーで加工した部分にメッキ膜からなる端子電極を形成し易くなる。しかしながら、特許文献1の技術では、素体の外面において、金属粒子の断面のみならず、素体に含まれる樹脂成分も多く露出することとなる。(特許文献1の
図4参照)そのため、特許文献1の技術では、素体の外面に対する端子電極の接合強度が未だ十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情を鑑みてなされ、その目的は、素体に対する端子電極の接合強度を向上させた電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、
金属粒子と、樹脂と、を含む素体と、
前記素体の外面の一部である電極対向部に形成してある樹脂電極層と、を有し、
前記樹脂電極層が、樹脂成分と導体粉末とを含み、
前記電極対向部は、前記素体の最表面において前記樹脂が除去されて、最表面に位置する前記金属粒子の外周縁の一部が露出している露出部を有しており、
前記樹脂電極層と、前記電極対向部の前記露出部と、が接合してある。
【0007】
本発明の電子部品では、上記の構成を有することにより、電極対向部で露出している金属粒子の間に、樹脂電極層の一部が入り込むこととなり、素体の電極対向部に対する端子電極(樹脂電極層)の接合強度が向上する。また、本発明の電子部品において、露出部に位置する金属粒子の表面には、絶縁被膜が残存していてもよい。この場合、露出部の最表面には、金属粒子の絶縁被膜が露出する。すなわち、本発明のコイル装置では、電極対向部において、金属粒子の絶縁被膜を除去しなくとも、端子電極の接合強度を十分に確保することができる。なお、本発明の電子部品において、樹脂電極層が端子電極の少なくとも一部を構成する。
【0008】
好ましくは、前記樹脂電極層の前記導体粉末は、粒径がマイクロメートルオーダの第1粒子と、粒径がナノメートルオーダの第2粒子とを含む。上記の構成を有することで、樹脂電極層では、第2粒子が第1粒子の間に充填されることとなる。その結果、端子電極の抵抗値を低減することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記素体に含まれる前記金属粒子は、平均粒径が異なる少なくとも2種以上の粒子群で構成してある。上記の構成を有することで、素体に含まれる金属粒子の充填率を向上させることができ、電極対向部で露出する樹脂の割合を低減することができる。その結果、電極対向部と樹脂電極層との密着性が増し、端子電極の接合強度をより向上させることができる。
【0010】
また、前記露出部の最表面では、前記金属粒子の間に、前記樹脂電極層に含まれる前記第2粒子が入り込んでいることが好ましい。露出部の最表面に位置する金属粒子の間に、特に、ナノメートルオーダの第2粒子が入り込むことで、電極対向部と樹脂電極層との密着性が増し、端子電極の接合強度をより向上させることができる。
【0011】
前記電極対向部は、前記露出部の他に、導体が露出している取出電極部と、前記樹脂が除去されていない非露出部と、をさらに有することができる。この場合、前記電極対向部の平面方向において、前記取出電極部の周囲には、前記露出部が位置していることが好ましい。なお、前記非露出部は、前記電極対向部の平面方向において、前記露出部の外側に位置することができる。上記の構成を有することで、取出電極部と端子電極との密着性が増し、端子電極の接合強度をより向上させることができる。また、端子電極の抵抗値を低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すコイル装置を実装面側からみた場合の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、素子本体(電極対向部)と端子電極との界面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る電子部品としてのインダクタ2は、略直方体形状(略六面体)からなる素子本体4を有する。
【0015】
素子本体4は、上面4aと、上面4aとはZ軸方向の反対側に位置する底面4bと、4つの側面4c~4fとを有する。素子本体4の寸法は、特に限定されない。たとえば、素子本体4のX軸方向の寸法を1.2~6.5mmとすることができ、Y軸方向の寸法を0.6~6.5mmとすることができ、高さ(Z軸)方向の寸法を、0.5~5.0mmとすることができる。
【0016】
図1および
図2に示すように、素子本体4の底面4bには、一対の端子電極8が形成してある。一対の端子電極8は、X軸方向で離反して形成してあり、互いに絶縁してある。本実施形態のインダクタ2では、この端子電極8に対して、図示しない配線などを介して外部回路が接続可能となっている。また、インダクタ2は、はんだや導電性接着剤などの接合部材を用いて、回路基板などの各種基板の上に実装可能となっている。基板に実装する場合、素子本体4の底面4bが実装面となり、端子電極8と基板とが、接合部材により接合される。
【0017】
また、素子本体4は、その内部において、コイル部6αを有している。このコイル部6αは、導体としてのワイヤ6をコイル状に巻回することで構成してある。本実施形態の
図1において、コイル部6αは、一般的なノーマルワイズで巻回された空芯コイルであるが、ワイヤ6の巻回方式は、これに限定されない。たとえば、ワイヤ6をα巻きした空芯コイルや、エッジワイズ巻きした空芯コイルであってもよい。あるいは、ワイヤ6は、後述する巻芯部41b(
図3A参照)に直接に巻回してもよい。
【0018】
コイル部6αを構成するワイヤ6は、主として銅を含む導体部61と、その導体部の外周を覆う絶縁層62とで構成してある。より具体的に、導体部61は、無酸素銅やタフピッチ銅などの純銅、リン青銅や黄銅、丹銅、ベリリウム銅、銀-銅合金などの銅を含む合金、もしくは、銅被覆鋼線で構成される。一方、絶縁層62は、電気絶縁性を有していればよく、特に限定されない。たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ナイロン、ポリエステルなど、もしくは、上記のうち少なくとも2種の樹脂を混合した合成樹脂が例示される。また、本実施形態において、ワイヤ6は、
図1および
図3Aに示すように、丸線であり、導体部の断面形状が、円形となっている。
【0019】
図1および
図3Aに示すように、本実施形態における素子本体4は、第1コア部41と、第2コア部42とを有する。この第1コア部41および第2コア部42は、いずれも、金属粒子12と、樹脂14とを含む圧粉体で構成することができる。
【0020】
各コア部41,42に含まれる金属粒子12は、磁性材料であればよく、特に限定されない。たとえば、Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al合金、Feを含むアモルファス合金、Feを含むナノ結晶合金など、その他の軟磁性合金が例示される。なお、金属粒子12には、適宜、副成分が添加してあってもよい。
【0021】
また、第1コア部41および第2コア部42は、たとえば同種の金属粒子12で構成して、第1コア部41の比透磁率μ1と、第2コア部42の比透磁率μ2とを等しくしてもよい。また、第1コア部41と第2コア部42とを、それぞれ材質が異なる金属粒子12で構成してもよい。
【0022】
また、第1コア部41または第2コア部42に含まれる金属粒子12については、そのメディアン径(D50)を5μm~50μm程度とすることができる。特に、本実施形態において、第2コア部42に含まれる金属粒子12は、D50が異なる複数の粒子群を混ぜ合わせて構成することが好ましい。たとえば、第2コア部42の金属粒子12は、D50が8μm~15μmの大粒子12aと、D50が1μm~5μmの中粒子12bと、D50が0.3μm~0.9μmの小粒子12cとを混ぜ合わせて構成することが好ましい。上記のような3種の粒子群の組合せの他に、大粒子12aと中粒子12bとの組み合わせ、大粒子12aと小粒子12cとの組み合わせ、中粒子12bと小粒子12cとの組み合わせなどであってもよい。なお、大粒子12aと中粒子12bと小粒子12cとは、全て同種の材質で構成することができ、異なる材質で構成することもできる。
【0023】
上記のように複数の粒子群を混ぜ合わせる場合、各粒子群の含有割合は、特に制限されない。たとえば、3種の粒子群(大粒子12aと中粒子12bと小粒子12c)を混ぜ合わせる場合、素子本体4の断面において、大粒子12a、中粒子12b、および小粒子12cが占める面積の総和を100%とすると、大粒子12aが占める面積は50%~90%とすることが好ましく、中粒子12bが占める面積は0%~30%とすることが好ましく、小粒子12cが占める面積は5%~30%とすることが好ましい。
【0024】
また、第1コア部41の金属粒子12についても、上記と同様に、D50が異なる複数の粒子群を混ぜ合わせて構成してもよい。上記のように、第1コア部41または第2コア部42に含まれる金属粒子12を、複数の粒子群で構成することで、素子本体4に含まれる金属粒子12の充填率を高めることができる。その結果、透磁率や渦電流損失、直流重畳特性などのインダクタ2の諸特性が向上する。
【0025】
なお、金属粒子12の粒径、および、各粒子群が占める面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)などで素子本体4の断面を観察し、得られた断面写真をソフトウェアにより画像解析することで測定できる。その際、金属粒子12の粒径は、円相当径換算で計測することが好ましい。
【0026】
また、素子本体4に含まれる金属粒子12は、当該粒子間が互いに絶縁されていることが好ましい。絶縁する方法としては、たとえば、粒子表面に絶縁被膜を形成する方法が挙げられる。絶縁被膜としては、樹脂または無機材料で形成する被膜、および、熱処理により粒子表面を酸化して形成する酸化被膜が挙げられる。樹脂または無機材料で絶縁被膜を形成する場合、樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。無機材料としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガンなどのリン酸塩、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩(水ガラス)、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、硫酸塩ガラスなどが挙げられる。なお、金属粒子12の絶縁被膜の厚みは、5nm~20nmであることが好ましい。絶縁被膜を形成することで、粒子間の絶縁性を高めることができ、インダクタ2の耐電圧を向上させることができる。
【0027】
また、各コア部41,42に含まれる樹脂14としては、特に制限されないが、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂、または、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0028】
図1に示すように、第1コア部41は、鍔部41aと、巻芯部41bと、切り欠き部41cとを有する。鍔部41aは、素子本体4の各側面4c~4fに向かって突出しており、各側面4c~4fに対応して4つ形成してある。この鍔部41aの上面には、コイル部6αが搭載されており、鍔部41aがコイル部6αを支持している。ここで、X軸方向に沿って突出する2つの鍔部41aを、それぞれ、第1鍔部41axとし、Y軸方向に沿って突出する2つの鍔部41aを、それぞれ第2鍔部41ayとする。第1鍔部41axの厚みは、第2鍔部41ayの厚みよりも、薄くなっており、第1鍔部41axの下方には、リード部6aの一部を収容するスペースが存在する。
【0029】
巻芯部41bは、鍔部41aよりもZ軸方向の上方に位置し、鍔部41aと一体的に形成してある。また、巻芯部41bは、Z軸の上方に向かって突出する略楕円柱からなり、コイル部6αの内側に挿入されている。巻芯部41bの形状は、
図1および
図3Aに示す様態に限定されず、コイル部6αの巻回形状に合わせた形状とすればよい。たとえば、円柱状、角柱状とすることができる。
【0030】
切り欠き部41cは、各鍔部41aの間に位置し、X-Y平面の四隅に4つ形成してある。すなわち、切り欠き部41cは、素子本体4の各側面4c~4fが互いに交差する箇所の付近に形成してある。この切り欠き部41cは、コイル部6αから引き出されたリード部6aが通過するための通路として利用される。また、切り欠き部41cは、製造過程において、第2コア部42を構成する成形材料が、第1コア部41の表面側から裏面側に流動する際の通路としても機能する。
図1において、切り欠き部41cは、略正方形状に切り欠かれているが、その形状は、リード部6aおよび上述した成形材料が通過する形状であればよく、特に制限されない。たとえば、切り欠き部41cは、鍔部41aの表裏面を貫通する貫通孔であってもよい。
【0031】
第2コア部42は、
図3Aに示すように、第1コア部41を覆っている。より具体的に、第2コア部は、鍔部41aの上方においてコイル部6αと巻芯部41bとを覆うとともに、切り欠き部41cおよび第1鍔部41axの下方に存在するスペースに充填してある。なお、
図2に示すように、第2鍔部41ayの下面は、素子本体4の底面4bの一部を構成しており、この第2鍔部41ayの下方には、第2コア部42が充填されていない。
【0032】
図1に示すように、一対のリード部6aは、それぞれ、第1鍔部41axの上方において、コイル部6αからY軸に沿って引き出されている。また、一対のリード部6aは、それぞれ、素子本体4の側面4cの近傍で折り返されて、第1鍔部41axの下方において、側面4c側から側面4d側に向かって延びている。
【0033】
ここで、素子本体4の底面4bから第1鍔部41axまでのZ軸方向の高さhは、
図3Aおよび
図4Aに示すように、リード部6aの外径よりも小さい。そのため、第1鍔部41axの下方において、リード部6aの大半は、素子本体4(とりわけ第2コア部42)の内部に収容してあるが、リード部6aの外周縁の一部は、素子本体4の底面4bに露出している。リード部6aは、いずれもワイヤ6で構成してあるが、底面4bに露出した箇所では、ワイヤ6の外周側に存在する絶縁層62が除去されて、ワイヤ6の導体部61が露出している。
【0034】
図2および
図4Aに示すように、端子電極8は、底面4bに露出したリード部6aの導体部61を覆うように形成してある。そして、リード部6aの導体部61は、端子電極8に対して電気的に接続されている。本実施形態では、端子電極8と接している素子本体4側の外面を、電極対向部20と称する。特に、本実施形態では、端子電極8が第2コア部42の底面に形成してあり、電極対向部20は、第2コア部42の底面の一部に存在する。
【0035】
本実施形態において、端子電極8は、少なくとも樹脂電極層81を有する。また、端子電極8は、樹脂電極層81とその他の電極層とを有する積層構造であってもよい。端子電極8を積層構造とする場合、樹脂電極層81は、素子本体4の電極対向部20と接触する部分に位置し、その他の電極層は、樹脂電極層81の外側、すなわち、樹脂電極層81を挟んで電極対向部20の反対側に積層される。その他の電極層は、単層でも複数層でもよく、その材質は特に限定されない。たとえば、その他の電極層は、Sn、Au、Cu、Ni、Pt、Ag、Pdなどの金属、または、これらの金属元素のうち少なくとも1種を含む合金で構成することができ、メッキやスパッタリングにより形成することができる。また、端子電極8の全体の厚みは、平均で、3μm~60μmとすることが好ましく、樹脂電極層81の厚みは、1μm~50μmとすることが好ましい。
【0036】
図4Bおよび
図4Cに示すように、樹脂電極層81には、樹脂成分82と導体粉末83とが含まれる。樹脂電極層81における樹脂成分82は、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂で構成される。一方、導体粉末83は、Ag、Au、Pd、Pt、Ni、Cu、Snなどの金属粉末、または、上記のうち少なくとも1種を含む合金の金属粉末で構成することができ、特にAgを主成分として含むことが好ましい。
【0037】
さらに、本実施形態において、樹脂電極層81の導体粉末83は、粒度分布が異なる2つの粒子群、第1粒子83aと、第2粒子83bとで構成してあることが好ましい。第1粒子83aは、粒径がマイクロメートルオーダの粒子群である。本実施形態において「マイクロメートルオーダの粒子」とは、平均粒径が、0.05μm以上、数十μm以下である粒子を意味する。本実施形態の第1粒子83aは、樹脂電極層81の断面において、平均粒径が1μm~10μmであることが好ましく、3μm~5μmであることがより好ましい。
【0038】
また、第1粒子83aの形状は、球に近い形状、長球状、不規則なブロック状、針状、扁平状とすることができ、特に、針状もしくは扁平状であることが好ましい。本実施形態において、扁平状の粒子とは、樹脂電極層81の断面において、アスペクト比(短手方向の長さに対する長手方向の長さの比)が2~30である粒子を意味する。なお、第1粒子83aの平均粒径は、SEMやSTEMで樹脂電極層81の断面を観察し、得られる断面写真を画像解析することで測定できる。その測定に際して、第1粒子83aの平均粒径は、最大長さ換算で算出する。
【0039】
一方、第2粒子83bは、第1粒子83aよりも平均粒径が小さいナノメートルオーダの粒子群である。この第2粒子83bは、第1粒子83aの外周近傍や、第1粒子83aの粒子間隙において、凝集して存在している。STEMにより第2粒子83bの凝集部分を拡大して観察すると、第2粒子83bは、粒径が少なくとも100nm以下である微小粒の集合体として認識される。なお、第2粒子83bは、樹脂電極層81の原材料であるペーストの製造過程において、形状が略球状で、平均粒径が5nm~30nmであるナノ粒子として添加されることが好ましい。
【0040】
上記のように、樹脂電極層81が、第1粒子83aと第2粒子83bとを含むことで、樹脂電極層81の接触抵抗を低減することができる。なお、樹脂電極層81において、第1粒子83aおよび第2粒子83bは、所定の比率で配合してあることが好ましい。具体的に、樹脂電極層81の断面において、樹脂成分82および導体粉末83が占める合計面積を100%とすると、導体粉末83が占める面積は、60%以下であることが好ましい。
【0041】
なお、上記において各要素が占める面積は、樹脂電極層81の断面をSEMもしくはSTEMで観察し、得られる断面画像を画像解析することで測定できる。SEMを用いる場合は、反射電子像で観測することが好ましく、STEMを用いる場合は、BF像で観測することが好ましい。上記の観察像では、コントラストが暗い部分が樹脂成分82であり、コントラストが明るい部分が導体粉末83である。また、上記の観測において、1視野当たりの観察視野は、0.04μm2~0.36μm2とすることが好ましく、各要素が占める面積は、少なくとも10視野以上観測した平均値として算出することが好ましい。
【0042】
上記のような構成を有する樹脂電極層81は、素子本体4側の電極対向部20に直に接合してある。本実施形態において、この電極対向部20は、
図4Aに示すように、取出電極部20aと、露出部20bと、非露出部20cと、を有する。
【0043】
取出電極部20aは、底面4bに露出しているリード部6aの外周縁の一部により構成される。すなわち、底面4bに露出している導体部61の表層部分が取出電極部20aである。この取出電極部20aと樹脂電極層81との界面では、導体部61の金属成分と樹脂電極層81の金属成分とを含む拡散層A(図示しない)が形成してあることが好ましい。この拡散層Aは、導体部61の金属成分が、樹脂電極層81の導体粉末83側に拡散し、合金化することで形成され得る。取出電極部20aと樹脂電極層81との界面に拡散層が存在することで、端子電極8の接触抵抗を低減することができる。
【0044】
露出部20bは、X-Y平面において、取出電極部20aの周囲を取り囲むように存在している。この露出部20bは、端子電極8の形成前に、素子本体4の底面4bの一部をレーザ加工することで形成される。そのため、露出部20bの表面は、底面4bの端子電極8と接していない箇所と比べて、表面粗さが粗くなっている。
【0045】
図4Bは、素子本体4側の露出部20bと樹脂電極層81との界面を拡大した断面図である。
図4Bに示すように、素子本体4側の露出部20bでは、レーザの照射により、素子本体4に含まれる樹脂14が除去されて、最表面に位置する金属粒子12の外周縁の一部が露出している。すなわち、露出部20bの最表面に位置する金属粒子12は、切削加工されることなく、その金属粒子12の外周縁の一部が、素子本体4の外側に突出して樹脂電極層81と接触している。
【0046】
特に、本実施形態の
図4Bは、金属粒子12を大粒子12aと中粒子12bと小粒子12cとで構成した場合の断面図を示している。この場合、露出部20bの最表面では、大粒子12aの外周縁の一部と、中粒子12bの外周縁の一部とが、主として露出する。小粒子12cについては、レーザの照射によって、樹脂14と共に素子本体4の底面4bから除去されやすい。そのため、露出部20bで露出する小粒子12cの割合は、大径粉12aまたは中径粉12bに比べて少ない。
【0047】
また、
図4Bに示すように、露出部20bと樹脂電極層81との界面では、樹脂電極層81が、露出部20bの最表面に位置する金属粒子12の間に入り込んでいる。特に、本実施形態では、樹脂電極層81にナノメートルオーダの第2粒子83bが含まれており、主として、この第2粒子83bが、露出部20bの最表面に位置する金属粒子12の間に入り込んでいる。さらに、第2粒子83bは、マイクロメートルオーダの粒子よりも高い反応性を示すため、露出部20bと樹脂電極層81との界面では、拡散層B(図示しない)が形成してあってもよい。この場合の拡散層Bは、素子本体4側の金属粒子12と樹脂電極層81の第2粒子83bとが接する位置に形成され得る。
【0048】
また、金属粒子12の表面に絶縁被膜を形成した場合、素子本体4の外側に露出した金属粒子12の外周縁では、絶縁被膜(図示しない)が残存していてもよい。この場合、露出部20bの最表面には、露出した金属粒子12の絶縁被膜が存在し、この絶縁被膜が、樹脂電極層81に接している。
【0049】
一方、非露出部20cは、
図4Aに示すように、電極対向部20の端縁に位置し、露出部20bとは異なり、レーザ加工が施されていない。そのため、非露出部20cの表面は、素子本体4の成形時に形成された面の状態となっており、その表面粗さは、底面4bの端子電極8と接していない箇所と同程度である。なお、非露出部20cの形成箇所は、
図4Aに示す様態に限定されず、電極対向部20の平面方向(X-Y平面)において、露出部20cの外側に位置していればよい。
【0050】
図4Cは、素子本体4側の非露出部20cと樹脂電極層81との界面を拡大した断面図である。
図4Cに示すように、非露出部20cの表面では、樹脂14が除去されていない。そのため、非露出部20cに位置する金属粒子12は、素子本体4の外側に突出しておらず、樹脂14に覆われて素子本体4の内部に埋設された状態となっている。すなわち、非露出部20cと樹脂電極層81との界面では、樹脂電極層81に対して素子本体4の樹脂14が接する領域が、多く存在する。
【0051】
図4Aに示すような断面において、電極対向部20と樹脂電極層81との境界線の長さを100%とすると、露出部20bの長さの割合は、60%~85%とすることが好ましい。一方、非露出部20cの長さの割合は、15%以下に留めることが好ましい。
【0052】
次に、本実施形態のインダクタ2の製造方法について、説明する。
【0053】
まず、第1コア部41を、加熱加圧成形などのプレス法や、射出成形法によって作製する。第1コア部41の作製においては、金属粒子12の原料粉と、バインダ、溶媒などを混練して顆粒とし、その顆粒を成形用の原料として用いる。第1コア部41の金属粒子12を複数の粒子群で構成する場合には、粒度分布が異なる原料粉を準備して、所定の比率で混合すればよい。
【0054】
次に、得られた第1コア部41に、コイル部6αを搭載する。コイル部6αは、予めワイヤ6を所定の形状に巻回した空芯コイルであって、この空芯コイルを、第1コア部41の巻芯部41bに挿入する。もしくは、第1コア部41の巻芯部41bにワイヤ6を直接巻回して、コイル部6αを形成してもよい。第1コア部41とコイル部6αを組み合わせた後、
図1に示すように、コイル部6αから一対のリード部6aを引き出して、第1鍔部41axの下方に配置する。
【0055】
次に、第2コア部42を、インサート射出成形により作製する。第2コア部42の作製においては、まず、コイル部6αを搭載した第1コア部41を、成形用金型の内部に設置する。この成形用金型の内面には、予め離型用フィルムを敷き詰めておくことが好ましい。離型用フィルムとしては、PETフィルムなど、可撓性のあるシート状の部材を用いることができる。離型用フィルムを用いることで、第1コア部41を成形用金型に設置した際に、第1鍔部41axの下方に位置するリード部6が、離型用フィルムに密着する。その結果、リード部6aの外周縁の一部が離型用フィルムで覆われることとなり、第2コア部42の作成後、素子本体4の底面4bから、リード部6aの外周縁の一部が突出する。
【0056】
第2コア部42を構成する原料としては、成形時に流動性がある複合材料が用いられる。具体的には、金属粒子12の原料粉と、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのバインダとを混錬した複合材料を用いる。この複合材料には、適宜、溶媒、分散剤などが添加してあってもよい。また、
図4Bおよび
図4Cに示すように、第2コア部42の金属粒子12を、大粒子12aと中粒子12bと小粒子12cとで構成する場合、金属粒子12の原料粉全体に占める各粒子の配合比率は、所定の比率であることが好ましい。具体的に、大粒子12aの配合比率が70wt%~80wt%であることが好ましく、中粒子12bの配合比率が10wt%~15wt%であることが好ましく、小径粉12cの配合比率が10wt%~15wt%であることが好ましい。
【0057】
また、インサート射出成形においては、上記の複合材料をスラリー化した状態で、成形用金型内に導入する。その際、導入されたスラリーは、第1コア部41の切り欠き部41cを通過して、第1鍔部41axの下方にも充填される。また、射出成形時においては、使用するバインダの材質に応じて、適宜熱が加えられる。こうして、第1コア部41と、第2コア部42と、コイル部6αとが一体化された素子本体4が得られる。
【0058】
次に、素子本体4の底面4bの一部に、レーザを照射して取出電極部20aと露出部20bとを形成する。このレーザ照射によって、底面4bに突出しているリード部6aの絶縁層62が除去されて、導体部61が露出し、取出電極部20aが形成される。また、レーザ照射によって、底面4bの最表面では、素子本体4(第2コア部42)に含まれる樹脂14が除去され、底面4bのレーザを照射した箇所に、露出部20bが形成される。
【0059】
なお、上記で使用するレーザは、波長が400nm以下であることが好ましい。すなわち、照射するレーザは、グリーンレーザ(波長:532nm)よりも短波長なUVレーザなどであることが好ましい。上記のように短波長なレーザを使用することで、大粒子12aや中粒子12bなどの金属粒子12は除去されずに、樹脂14およびリード部6aの絶縁層62が選択的に除去される。また、上記の短波長なレーザを使用した場合、金属粒子12の表面に形成した絶縁被膜は、ほとんど除去されず、残存する傾向となる。
【0060】
次に、素子本体4の底面4bの一部に、樹脂電極用ペーストを、印刷法などの手法によって塗布する。この際、樹脂電極用ペーストは、レーザを照射した箇所を覆うように塗布する。すなわち、取出電極部20aおよび露出部20bが樹脂電極用ペーストにより覆われる。こうすることで、
図2に示すX-Y平面において、形成された樹脂電極層81の面積が、レーザを照射した面積よりも大きくなる。また、底面4bの樹脂電極層81と接触する箇所のうち、レーザが照射されていない箇所が、非露出部20cとなる。
【0061】
なお、樹脂電極用ペーストには、樹脂成分82となるバインダと、導体粉末83となる金属原料粉末が含まれている。本実施形態において、金属原料粉末は、粒径がマイクロメートルオーダのマイクロ粒子と、粒径がナノメートルオーダのナノ粒子とで構成してある。マイクロ粒子は、ペーストの硬化処理後に第1粒子83aとなる粒子であって、平均粒径が1μm~10μmであることが好ましく、3μm~5μmであることがより好ましい。一方、ナノ粒子は、ペーストの硬化処理後に第2粒子83bとなる粒子であって、平均粒径が、好ましくは5nm~30nm、より好ましくは5nm~15nmである。
【0062】
素子本体4に樹脂電極用ペーストを塗布した後、素子本体4を所定の条件で加熱処理し、ペースト中のバインダ(樹脂成分82)を硬化させる。加熱処理の条件は、使用するバインダの種類により適宜設定すればよい。こうして、素子本体4の底面4bに樹脂電極層81が形成される。
【0063】
また、樹脂電極層81の外面には、適宜、メッキ膜やスパッタ膜を形成してもよい。例えば、樹脂電極層81の外面に、Ni、Cu、Snなどのメッキ膜を形成しておくことで、半田に対する濡れ性が向上する。
【0064】
以上のような製造方法によって、素子本体4に一対の端子電極8が形成されたインダクタ2が得られる。
【0065】
(実施形態のまとめ)
本実施形態のインダクタ2において、端子電極8と接する素子本体4の電極対向部20には、露出部20bが存在しており、この露出部の最表面では、樹脂14が除去されて、最表面に位置する外周縁の一部が露出している。そして、本実施形態のインダクタ2では、端子電極8の樹脂電極層81と、電極対向部20の露出部20bとが、接合してある。
【0066】
上記の構成を有することにより、露出部20bと樹脂電極層81との界面では、樹脂電極層81が、露出部20bの最表面に位置する金属粒子12の間に入り込むこととなる。その結果、露出部20bと樹脂電極層81との密着性が向上し、端子電極8が素子本体4に対して強固に接合される。
【0067】
また、露出部20bの最表面に位置する金属粒子12の表面には、絶縁被膜が残存していてもよい。すなわち、電極対向部20の最表面において、金属粒子12の絶縁被膜を除去する必要がない。本実施形態のインダクタ2では、絶縁被膜を除去しなくとも、端子電極8の接合強度を十分に確保することができる。
【0068】
また、本実施形態では、樹脂電極層81の導体粉末83が、粒径がマイクロメートルオーダの第1粒子83aと、粒径がナノメートルオーダの第2粒子83bとを含む。上記の構成を有することで、樹脂電極層81の内部では、第2粒子83bが、第1粒子83aの粒子間隙で凝集して、第1粒子83aの間を電気的に接続する役割を果たす。その結果、端子電極8の接触抵抗をより低くすることができる。
【0069】
さらに、樹脂電極層81に第2粒子83bが含まれることで、露出部20bの最表面では、第2粒子83bが、露出している金属粒子12の間に入り込むこととなる。その結果、露出部20bと樹脂電極層81との密着性がより向上し、素子本体4に対する端子電極8の接合強度をより高めることができる。
【0070】
また、本実施形態において、素子本体4に含まれる金属粒子12は、平均粒径およびD50が異なる少なくとも2種以上の粒子群で構成してある。上記の構成を有することで、素子本体4に含まれる金属粒子12の充填率を向上させることができ、電極対向部20bで露出する樹脂の割合を低減することができる。その結果、露出部20bと樹脂電極層81との密着性が増し、端子電極8の接合強度をより向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態の電極対向部20は、露出部20bの他に、リード部6aの導体部61が露出している取出電極部20aと、樹脂14が除去されていない非露出部20cとを有する。そして、電極対向部20の平面方向(X-Y平面)において、取出電極部20aの周囲には、露出部20bが位置している。本実施形態のインダクタ2では、上述したように、露出部20bと樹脂電極層81とが強固に密着しているため、取出電極部20aの周囲に露出部20bが存在することで、取出電極部20aと樹脂電極層81との密着性も向上する。その結果、端子電極8の接合強度がより向上するとともに、端子電極8の接触抵抗を低減することができる。
【0072】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0073】
たとえば、
図1~
図3Aにおいて、コイル部6αは、丸線のワイヤ6で構成してあるが、ワイヤ6の種類は、これに限定されず、
図3Bに示すような、導体部の断面形状が略長方形である平角線であってもよい。もしくは、四角線や、細線を撚り合わせたリッツ線であってもよい。さらに、コイル部6αは、導電性の板材を積層して構成してもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、端子電極8が素子本体4の底面4bに形成してあったが、端子電極8の形成箇所は、これに限定されず、上面4aや側面4c~4fに形成してあってもよく、複数の面に跨って形成してあってもよい。
【0075】
また、素子本体4を構成する第1コア部41は、フェライト粉末または金属磁性粉末の焼結体とすることもできる。さらに、素子本体4自体を、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、トロイダル型、ポット型、カップ型の圧粉体コアとし、その圧粉体コアにコイルを巻回してインダクタ素子を構成してもよい。この場合、リード部は、素子本体の内部に埋設してある必要はなく、コアの外周に沿って引き出され、端子電極8の外面に接続してあってもよい。
【0076】
また、本発明に係る電子部品は、インダクタに限定されず、トランス、チョークコイル、コモンモードフィルタなどの電子部品、もしくは、インダクタ素子とコンデンサ素子などの他の素子とを組み合わせた複合電子部品であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 … インダクタ
4 … 素子本体
4a … 上面
4b … 底面
4c~4f … 側面
41 … 第1コア部
41a … 鍔部
41b … 巻芯部
41c … 切り欠き部
42 … 第2コア部
6α … コイル部
6 … ワイヤ
61 … 導体部
62 … 絶縁層
6a … リード部
8 … 端子電極
81 … 樹脂電極層
82 … 樹脂成分
83 … 導体粉末
83a … 第1粒子
83b … 第2粒子
20 … 電極対向部
20a … 取出電極部
20b … 露出部
20c … 非露出部