(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】シリンジポンプ用固定ラック
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20240402BHJP
【ＦＩ】
A61M5/145 500
【請求項の数】
5
(21)【出願番号】P 2020096354
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186399
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 元晴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀典
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１９－０６３２５２（ＪＰ，Ａ）
【文献】国際公開第２０１３／１６１７１２（ＷＯ，Ａ１）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ６１Ｍ ５／１４５
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジポンプをポールに固定可能なシリンジポンプ用固定ラックであって、本体と、
前記本体の前面に形成され、シリンジポンプの少なくとも一部を受け入れる収容部と、
鉛直方向に延びる前記ポールに前記本体を取り付けるためのクランプが固定されるクランプ固定部分とを備え、
前記クランプ固定部分は、第１の固定部分と、前記第１の固定部分に対して前後方向にシフトした位置に設けられた第２の固定部分とを含む、シリンジポンプ用固定ラック。
【請求項2】
前記クランプ固定部分は、前記本体の側面に形成される、請求項１に記載のシリンジポンプ用固定ラック。
【請求項3】
前記第１の固定部分は、前記シリンジポンプ用のクランプに対して前後方向に離れた位置に形成され、前記第２の固定部分は、前後方向において前記シリンジポンプ用のクランプと重なる位置に形成される、請求項１または請求項２に記載のシリンジポンプ用固定ラック。
【請求項4】
前記収容部は鉛直方向に並ぶように複数形成され、複数の前記収容部の各々が１つの前記シリンジポンプを受け入れる、請求項１から請求項３のいずれかに記載のシリンジポンプ用固定ラック。
【請求項5】
前記シリンジポンプおよび前記固定ラックは、前記ポールの軸心よりも前方に突出するように固定される、請求項１から請求項４のいずれかに記載のシリンジポンプ用固定ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンジポンプ用固定ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
正確な量の薬液をシリンジから投与するためにシリンジポンプが用いられる。特許文献１（特開２０１３－７４９１７号公報）には、複数台のシリンジポンプを垂直方向に沿って積み重ねるようにポールに固定する構造が開示されている（当該文献の図１６）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１３－７４９１７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
１つの局面では、シリンジポンプおよびその固定ラックのポールへの取付け作業を行ないやすい構造が求められる。他の局面では、シリンジポンプおよびその固定ラックを取付けたポールの安定性が高い構造が求められる。したがって、固定ラックの取付け位置の自由度が高いことが求められる。
【0005】
本開示の目的は、取付け位置の自由度が高いシリンジポンプ用固定ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るシリンジポンプ用固定ラックは、シリンジポンプをポールに固定可能なシリンジポンプ用固定ラックであって、本体と、上記本体の前面に形成され、シリンジポンプの少なくとも一部を受け入れる収容部と、鉛直方向に延びる上記ポールに上記本体を取り付けるためのクランプが固定されるクランプ固定部分とを備え、上記クランプ固定部分は、第１の固定部分と、上記第１の固定部分に対して前後方向にシフトした位置に設けられた第２の固定部分とを含む。
【0007】
一つの実施態様では、上記シリンジポンプ用固定ラックにおいて、上記クランプ固定部分は、上記本体の側面に形成される。
【0008】
一つの実施態様では、上記シリンジポンプ用固定ラックにおいて、上記第１の固定部分は、上記シリンジポンプ用のクランプに対して前後方向に離れた位置に形成され、上記第２の固定部分は、前後方向において上記シリンジポンプ用のクランプと重なる位置に形成される。
【0009】
一つの実施態様では、上記シリンジポンプ用固定ラックにおいて、上記収容部は鉛直方向に並ぶように複数形成され、複数の上記収容部の各々が１つの上記シリンジポンプを受け入れる。
【0010】
一つの実施態様では、上記シリンジポンプ用固定ラックにおいて、上記シリンジポンプおよび上記固定ラックは、上記ポールの軸心よりも前方に突出するように固定される。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るシリンジポンプ用固定ラックによれば、シリンジポンプの取付け位置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の１つの実施の形態に係るシリンジポンプ用固定ラックを用いてシリンジポンプをポールに固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0014】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0015】
図１は、本実施の形態に係る固定ラック１００を用いてシリンジポンプ１をポール２に固定した状態を示す図である。図１に示すように、シリンジポンプ１は、固定ラック１００に支持される。固定ラック１００は、ポールクランプ１００Ａを用いて鉛直方向（図中Ｙ軸方向）に延びるポール２に固定される。
【0016】
図２は、シリンジポンプ１、固定ラック１００、およびポール２をＸ軸方向から見た図である。図２に示すように、固定ラック１００は、ポールクランプ１００Ａを用いてポール２に固定される。固定ラック１００は、本体１１０と、本体１１０の前面に形成された収容部１２０とを含む。シリンジポンプ１は、その一部が収容部１２０に受け入れられることで固定ラック１００に支持されている。シリンジポンプ１に取り付けられたポールクランプ１Ａは、シリンジポンプ１をポール２に直接取り付けるときに使用される。
【0017】
図３は、シリンジポンプ１および固定ラック１００をＸ軸方向から見た図である。図３に示すように、固定ラック１００の本体１１０の側面には、ポールクランプ１００Ａを取り付けるためのクランプ固定部分１３０が設けられる。クランプ固定部分１３０は、第１の固定部分１３１と、第２の固定部分１３２とを含む。第１の固定部分１３１（１３１Ａ，１３１Ｂ）は、鉛直方向（Ｙ軸方向）にならぶ複数箇所（図３の例では２箇所）に形成されている。第２の固定部分１３２（１３２Ａ，１３２Ｂ）も、鉛直方向（Ｙ軸方向）にならぶ複数箇所（図３の例では２箇所）に形成されている。第１の固定部分１３１と、第２の固定部分１３２とは、本体１１０の前後方向（Ｚ軸方向）にならぶように形成されている。すなわち、第１の固定部分１３１および第２の固定部分１３２は、互いに前後方向にシフトした位置に設けられる。
【0018】
【0019】
【0020】
また、図１～図３の例では、シリンジポンプ１の一部（後方部分）が固定ラック１００の収容部１２０（凹部）に受け入れられているが、シリンジポンプ１のほぼ全体が収容部１２０内に受け入れられるようにしてもよい。すなわち、収容部１２０は、シリンジポンプ１の全体を収納可能に構成され得る。
【0021】
次に、図４、図５を用いて、固定ラック１００の固定位置をシフトさせることによる重心位置とポール２との関係について説明する。図４は、第１の固定部分１３１において固定ラック１００をポール２に固定した状態、図５は、第２の固定部分１３２において固定ラック１００をポール２に固定した状態を各々Ｙ軸方向から見た図である。
【0022】
図４に示すように、第１の固定部分１３１において固定ラック１００をポール２に固定した場合、シリンジポンプ１を固定した固定ラック１００の重心Ｇは、ポール２の軸心よりも一定距離前方側（図４中の下側）に位置する。
【0023】
図５に示すように、第２の固定部分１３２において固定ラック１００をポール２に固定した場合、シリンジポンプ１を固定した固定ラック１００の重心Ｇは、図４の例よりも、ポール２の軸心に近い位置、すなわち図４の例よりも後方側（図４中の上側）に位置する。
【0024】
図４，図５に示すように、ポール２は脚部２Ａを含む。固定ラック１００を取り付けたポール２は、脚部２Ａにより自立する。シリンジポンプ１および固定ラック１００をポール２に固定した状態におけるポール２の安定性の観点からは、図５のように、重心Ｇがポール２の軸心に近い位置にあることが望ましい。すなわち、第２の固定部分１３２において固定ラック１００をポール２に固定することが好ましい。
【0025】
別の観点からは、第１の固定部分１３１において固定ラック１００をポール２に固定することが好ましい場合がある。たとえば、第２の固定部分１３２において固定ラック１００をポール２に固定する場合、シリンジポンプ１用のポールクランプ１Ａの固定位置と、固定ラック１００用のポールクランプ１００Ａの固定位置とが前後方向（Ｚ軸方向）に重なることになる。このとき、シリンジポンプ１用のポールクランプ１Ａがポール２と干渉しないように操作する必要がある。固定ラック１００をポール２に取り付ける際の作業性の観点から、第１の固定部分１３１において固定ラック１００をポール２に固定することが好ましい場合がある。
【0026】
上述のとおり、作業性を優先するか、安定性を優先するかなど、シリンジポンプ１および固定ラック１００の使用状況により、当該装置への要請は異なる。本実施の形態に係る固定ラック１００によれば、本体１１０の前後方向に互いにシフトした複数箇所（一例として２箇所）にポールクランプ１００Ａ用の第１の固定部分１３１と第２の固定部分１３２とを設けることにより、固定ラック１００の取付け位置の自由度を高めることができ、装置の使用状況に応じた多様な要請に応えることが可能となる。
【0027】
本実施の形態に係るシリンジポンプ１用の固定ラック１００について要約すると、以下のとおりである。すなわち、固定ラック１００は、シリンジポンプ１をポール２に固定可能なものあって、本体１１０と、本体１１０の前面に形成され、シリンジポンプ１の少なくとも一部を受け入れる収容部１２０と、鉛直方向（Ｙ軸方向）に延びるポール２に本体１１０を取り付けるためのポールクランプ１００Ａが固定されるクランプ固定部分１３０とを備える。クランプ固定部分１３０は、第１の固定部分１３１と、第１の固定部分１３１に対して前後方向（Ｚ軸方向）にシフトした位置に設けられた第２の固定部分１３２とを含む。
【0028】
上記の例において、クランプ固定部分１３０は、本体１１０の側面に形成される。また、上記の例において、第１の固定部分１３１は、シリンジポンプ１用のポールクランプ１Ａに対して前後方向（Ｚ軸方向）に離れた位置に形成され、第２の固定部分１３２は、前後方向（Ｚ軸方向）においてシリンジポンプ１用のポールクランプ１Ａと重なる位置に形成される。
【0029】
上記の例において、収容部１２０は鉛直方向（Ｙ軸方向）に並ぶように複数（一例として３つ）形成され、複数の収容部１２０の各々が１つのシリンジポンプ１を受け入れる。
【0030】
上記の例において、シリンジポンプ１および固定ラック１００は、ポール２の軸心よりも前方に突出するように固定される。
【0031】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
１ シリンジポンプ、１Ａ ポールクランプ、２ ポール、２Ａ 脚部、１００ 固定ラック、１００Ａ ポールクランプ、１１０ 本体、１２０ 収容部、１３０ クランプ固定部分、１３１，１３１Ａ，１３１Ｂ 第１の固定部分、１３２，１３２Ａ，１３２Ｂ 第２の固定部分。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】