(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】売電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240402BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240402BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240402BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/00 B
(21)【出願番号】P 2020097683
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 武
(72)【発明者】
【氏名】山本 健
(72)【発明者】
【氏名】長岡 鉄也
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特許第6516905(JP,B1)
【文献】特開2011-083084(JP,A)
【文献】特開2016-214029(JP,A)
【文献】特開2013-031304(JP,A)
【文献】特開2018-133967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168516(US,A1)
【文献】特開2011-234483(JP,A)
【文献】特開2021-010204(JP,A)
【文献】特開2021-164303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナーを有する再生可能エネルギー発電システムに取り付け可能な売電システムであって、
電力を蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池から電力の供給を受ける売電装置と、
前記蓄電池から前記売電装置への電力の供給を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、余剰電力の見込みに基づいて前記売電装置に供給可能な前記蓄電池の充電量の閾値を規定する閾値規定部と、
前記蓄電池の実際の充電量を取得する充電量取得部と、
決定された閾値と取得した実際の充電量とを比較して、前記蓄電池から前記売電装置への電力の供給を管理する電力供給管理部と、
を備える売電システム。
【請求項2】
前記パワーコンディショナーと前記蓄電池との間に接続される第1電力量計と、
前記蓄電池と前記売電装置との間に接続される第2電力量計と、
をさらに備え、
前記充電量取得部は、前記パワーコンディショナーから前記売電装置に向かう方向の流れを順潮流として、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から潮流電力量を取得するとともに、前記蓄電池の充電量を算出する請求項1に記載の売電システム。
【請求項3】
前記充電量取得部は、
(前記第1電力量計の順潮流電力量)-(前記第1電力量計の逆潮流電力量+前記第2電力量計の順潮流電力量)
を算出することで、前記蓄電池の充電量を取得する請求項2に記載の売電システム。
【請求項4】
前記閾値規定部は、
前記再生可能エネルギー発電システムによる発電量の見込みを算出する発電量見込算出部と、
前記再生可能エネルギー発電システムに接続される負荷装置による電力消費量の見込みを算出する消費量見込算出部と、
算出された発電量の見込みと算出された電力消費量の見込みと需要家の買電予定電力量とに基づいて前記蓄電池の充電量の閾値を決定する閾値決定部と、
を備える請求項1から3のいずれかに記載の売電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー(例えば、太陽光発電エネルギー)の固定価格買い取り制度の期間満了(卒FIT)に伴い、買い取り価格の低下が見込まれている。そのため、再生可能エネルギーの自家消費を選択する家庭等が増えるものと推測される。そこで、再生可能エネルギーを蓄電可能な蓄電池の導入が加速されるものと考えられる。
【0003】
昨今では、蓄電池の高性能化及び低価格化が進んでおり、導入への閾は過去に比べて低くなっていると考えられる。そこで、蓄電池を用いた装置として、太陽光発電装置の予測される発電量と蓄電池の予測される電池残量とを用いて、負荷の動作を制御する制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓄電池が満充電になった場合には、さらに充電することはできない。そのため、発電された電力は、電力会社等に比較的安い単価で売電されることになる。特許文献1では、蓄電池が満充電となった場合には、売電することもできない。これに対し、売電装置(充電スタンド等)を用いて比較的高い単価で売電することが考えられる。しかしながら、売電しすぎてしまうと、電力会社から電力を購入することになる。そこで、売電する電力量を適切に制御できれば好適である。
【0006】
本発明は、売電する電力量を適切に制御可能な売電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パワーコンディショナーを有する再生可能エネルギー発電システムに取り付け可能な売電システムであって、電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池から電力の供給を受ける売電装置と、前記蓄電池から前記売電装置への電力の供給を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、余剰電力の見込みに基づいて前記売電装置に供給可能な前記蓄電池の充電量の閾値を規定する閾値規定部と、前記蓄電池の実際の充電量を取得する充電量取得部と、決定された閾値と取得した実際の充電量とを比較して、前記蓄電池から前記売電装置への電力の供給を管理する電力供給管理部と、を備える売電システムに関する。
【0008】
また、売電システムは、前記パワーコンディショナーと前記蓄電池との間に接続される第1電力量計と、前記蓄電池と前記売電装置との間に接続される第2電力量計と、をさらに備え、前記充電量取得部は、前記パワーコンディショナーから前記売電装置に向かう方向の流れを順潮流として、前記第1電力量計及び前記第2電力量計から潮流電力量を取得するとともに、前記蓄電池の充電量を算出するのが好ましい。
【0009】
また、前記充電量取得部は、(前記第1電力量計の順潮流電力量)-(前記第1電力量計の逆潮流電力量+前記第2電力量計の順潮流電力量)を算出することで、前記蓄電池の充電量を取得するのが好ましい。
【0010】
また、前記閾値規定部は、前記再生可能エネルギー発電システムによる発電量の見込みを算出する発電量見込算出部と、前記再生可能エネルギー発電システムに接続される負荷装置による電力消費量の見込みを算出する消費量見込算出部と、算出された発電量の見込みと算出された電力消費量の見込みと需要家の買電予定電力量とに基づいて前記蓄電池の充電量の閾値を決定する閾値決定部と、を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、売電する電力量を適切に制御可能な売電システムを提供することが可能な売電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る売電システムを含む充電システムを示す概略図である。
【
図2】一実施形態の売電システムのシステム構成を示す概略構成図である。
【
図3】一実施形態の売電システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態の売電システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る売電システム1について、
図1から
図4を参照して説明する。
まず、本実施形態の売電システム1を含む充電システム100の概要について説明する。
充電システム100は、例えば、
図1に示すように、蓄電池を所有する所有者10が蓄電池を登録することで、電気自動車を所有する需要家20に売電可能なシステムである。充電システム100は、例えば、蓄電池の充電量を所有者10の電力量計(スマートメータ)から取得することで、所有者10が所有する蓄電池のいずれから充電可能かを需要家20にスマホアプリ等を用いて案内可能なシステムである。これにより、余剰となる電力の売買を促進することができる。
【0014】
蓄電池を所有する所有者10は、例えば、再生可能エネルギー発電システム30(例えば、太陽光発電システム)を有する。再生可能エネルギー発電システム30は、
図2に示すように、ソーラーパネル31と、パワーコンディショナー32と、配電盤33と、負荷装置34と、主電力量計35と、を備える。
【0015】
ソーラーパネル31は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。
パワーコンディショナー32は、ソーラーパネル31に接続される。パワーコンディショナー32は、変換された電力を制御する。パワーコンディショナー32は、ソーラーパネル31から発電された電力の供給を受ける。
【0016】
配電盤33は、パワーコンディショナー32に接続される。配電盤33は、パワーコンディショナー32で制御された電力を配電可能に構成される。
負荷装置34は、配電盤33に接続される。負荷装置34は、配電盤33を通して電力の供給を受ける。
主電力量計35は、配電盤33と電力会社の系統200との間に接続される。主電力量計35は、例えば、スマートメータである。主電力量計35は、電力会社から売電する電力量を計測及び制御する。また、主電力量計35は、配電盤33を通して売電する電力量を計測及び制御する。
【0017】
次に、本実施形態に係る売電システム1について説明する。
本実施形態に係る売電システム1は、例えば、蓄電池所有者10ごとに設置されるシステムである。売電システム1は、例えば、
図2に示すように、再生可能エネルギー発電システム30(本実施形態では、太陽光発電システム)に接続される。具体的には、売電システム1は、再生可能エネルギー発電システム30のパワーコンディショナー32に取り付けられる。これにより、売電システム1は、充電システム100に売却する電力量を管理する。売電システム1は、
図2に示すように、蓄電池11と、売電装置12と、第1電力量計13と、第2電力量計14と、制御装置15と、を備える。
【0018】
蓄電池11は、電力を蓄電する。蓄電池11は、例えば、パワーコンディショナー32で制御される電力から順潮流によって供給される電力を蓄電する。また、蓄電池11は、パワーコンディショナー32を介して、電力会社の系統200に逆潮流によって電力を売電可能に構成される。
【0019】
売電装置12は、例えば、電気スタンドである。売電装置12は、蓄電池11から電力の供給を受ける。また、売電装置12は、例えば、電気自動車に対して蓄電池11から電力を供給する。
【0020】
第1電力量計13は、例えば、スマートメータである。第1電力量計13は、パワーコンディショナー32と蓄電池11との間に接続される。第1電力量計13は、パワーコンディショナー32から蓄電池11に向けて流れる順潮流電力量を計測可能に構成される。また、第1電力量計13は、蓄電池11からパワーコンディショナー32に向けて流れる逆潮流電力量を計測可能に構成される。
【0021】
第2電力量計14は、例えば、スマートメータである。第2電力量計14は、蓄電池11と売電装置12との間に接続される。第2電力量計14は、蓄電池11から売電装置12に向けて流れる順潮流電力量を計測可能に構成される。すなわち、第2電力量計14は、蓄電池11から売電装置12に供給される電力量を計測可能に構成される。また、第2電力量計14は、蓄電池11から売電装置12への電力供給の実施又は遮断を切替可能に構成される。
【0022】
制御装置15は、例えば、電子計算機である。制御装置15は、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を制御する。制御装置15は、
図3に示すように、閾値規定部151と、充電量取得部155と、電力供給管理部156と、を備える。
【0023】
閾値規定部151は、例えば、CPUが動作することにより実現される。閾値規定部151は、余剰電力の見込みに基づいて売電装置12に供給可能な蓄電池11の充電量の閾値を規定する。閾値規定部151は、例えば、ソーラーパネル31による発電見込み量と、負荷装置34による消費見込み量とに基づいて、売電装置12に供給可能な充電池の充電量の閾値を規定する。閾値規定部151は、例えば、
図3に示すように、発電量見込算出部152と、消費量見込算出部153と、閾値決定部154と、を備える。
【0024】
発電量見込算出部152は、再生可能エネルギー発電システム30による発電量の見込みを算出する。発電量見込算出部152は、例えば、当日の天気及び気温等の気象条件に基づいて発電量の見込みを算出する。発電量見込算出部152は、例えば、30分から1時間ごとに変化する発電量の見込みを算出する。
なお、発電量見込算出部152は、発電量の見込みと充電量や消費量の記録を比較し、差分を算出可能とする。発電量見込算出部152は、差分を用いて、発電量の見込み算出方法を補正することで、より精緻な見込み算出を可能とする。
【0025】
消費量見込算出部153は、再生可能エネルギー発電システム30に接続される負荷装置34による電力消費量の見込みを算出する。消費量見込算出部153は、例えば、過去の使用量傾向に基づいて、負荷装置34による電力消費量の見込みを算出する。消費量見込算出部153は、例えば、主電力量計35の過去の消費量の記録(例えば、30分ごとの記録)に基づいて、電力消費量の見込みを算出する。
【0026】
閾値決定部154は、算出された発電量の見込みと算出された電力消費量の見込みと需要家20の買電予定電力量とに基づいて売電装置12に供給可能な蓄電池11の充電量の閾値を決定する。閾値決定部154は、例えば、昼間の晴天の予報で今後の発電量が見込めるとともに、今後の電力消費量よりもより多くの発電量を見込める場合に、より低い閾値を決定する。一方、閾値決定部154は、例えば、昼間の雨天で今後の発電量が見込めないとともに、今後の電力消費量よりもより少ない発電力を見込む場合に、より高い閾値を決定する。閾値決定部154は、より低い閾値を決定することで、より多くの電力量を売電装置12に供給可能とする。また、閾値決定部154は、より高い閾値を決定することで、より少ない電力量を売電装置12に供給可能とする。
【0027】
充電量取得部155は、例えば、CPUが動作することにより実現される。充電量取得部155は、蓄電池11の実際の充電量を取得する。充電量取得部155は、例えば、パワーコンディショナー32から売電装置12に向かう方向の流れを順潮流として、第1電力量計13及び第2電力量計14から潮流電力量を取得するとともに、蓄電池11の充電量を算出する。具体的には、充電量取得部155は、
(第1電力量計13の順潮流電力量)-(第1電力量計13の逆潮流電力量+第2電力量計14の順潮流電力量)
を算出することで、蓄電池11の充電量を取得する。
また、充電システム100が蓄電池11の充電量を直接取得できる場合は、定期的に充電量取得部155が算出した充電量と比較し、補正を行うこととする。
【0028】
電力供給管理部156は、例えば、CPUが動作することにより実現される。電力供給管理部156は、決定された閾値と取得した実際の充電量とを比較して、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を管理する。電力供給管理部156は、例えば、決定された閾値よりも実際の充電量が多い場合に、第2電力量計14に対して、蓄電池11から売電装置12への電力供給を実施させる。一方、電力供給管理部156は、例えば、決定された閾値よりも実際の充電量が少ない場合に、第2電力量計14に対して、蓄電池11から売電装置12への電力供給を遮断させる。
【0029】
次に、本実施形態に係る売電システム1の動作について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、発電量見込算出部152は、今後の発電量の見込みを算出する(ステップS1)。次いで、消費量見込算出部153は、今後の消費電力量の見込みを算出する(ステップS2)。次いで、閾値決定部154は、蓄電池11の充電量の閾値を決定する(ステップS3)。次いで、充電量取得部155は、蓄電池11の実際の充電量を取得する(ステップS4)。
【0030】
ステップS5において、電力供給管理部156は、決定された閾値と実際の充電量とを比較する。閾値よりも充電量が多い場合(ステップS5:YES)、処理は、ステップS6に進む。一方、閾値よりも充電量が少ない場合(ステップS5:NO)、処理は、ステップS9に進む。
【0031】
ステップS6において、電力供給管理部156は、第2電力量計14に、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を許可する。次いで、売電装置12による売電が実行される(ステップS7)。
【0032】
ステップS8において、電力供給管理部156は、売電装置12における売電が完了したか否かを判断する。売電が完了した場合(ステップS8:YES)、処理は、ステップS1に戻る。一方、充電が完了していない場合(ステップS8:NO)、処理は、ステップS8を繰り返す。
【0033】
ステップS9において、電力供給管理部156は、第2電力量計14に、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を停止させる。次いで、ステップS10において、蓄電池11から売電装置12への電力供給を停止するか否かが判断される。停止する場合(ステップS10:YES)、本フローによる処理は収容する。一方、続行される場合(ステップS10:NO)、処理は、ステップS1に戻る。
【0034】
次に、閾値の設定例について説明する。
(設定例1)
以下の気象条件において、売電システム1を動作させる場合を仮定した。そして、3時間ごとに見込み量を再度算出して閾値を変更した。
季節:春
天候:晴れ
気温:25℃/15℃
曜日:平日(朝から夕方まで不在)
閾値
09:00 10% 以後夕方まで不在のため、天気予報が変わらない限り、
最低限の充電量を残し売電にシフト
12:00 10% 引き続き発電が続くため、最大限売電を継続
15:00 30% 夕方以降電気の使用量が増えるため閾値を引き上げるが、
発電も引き続き行われるため引き上げ幅は小さめ
18:00 50% 発電が終了、家族全員帰宅し使用量が大きく増えるため閾値を
高めに設定する
21:00 20% 就寝とともに電気の使用が減るため、閾値を再度引き下げる
このように閾値を用いて充電量を管理することで、売電装置12への電力量の供給過多を抑制できる。
【0035】
(設定例2)
また、以下の気象条件において、売電システム1を動作させる場合を仮定した。そして、3時間ごとに見込み量を再度算出して閾値を変更した。
季節:冬
天候:曇り時々晴れ
気温:10℃/0℃
曜日:休日(在宅)
閾値
09:00 50% 休日は在宅傾向があり、天気予報も思わしくないため、閾値は高
めに設定
12:00 40% 晴れ間で発電があり、気温が上がり暖房の使用が小さくなるため
閾値を下げて売電を可能にする
15:00 50% 夜以降に向けて閾値を高めに設定する
18:00 60% 暖房機器の使用が予想されるため、再度閾値を引き上げ
21:00 30% 翌日の天気予報(晴れ)を加味して閾値を引き下げる
このように閾値を用いて充電量を管理することで、売電装置12への電力量の供給過多を抑制できる。
【0036】
以上、一実施形態の売電システム1によれば、以下の効果を奏する。
(1)パワーコンディショナー32を有する再生可能エネルギー発電システム30に取り付け可能な売電システム1であって、電力を蓄電する蓄電池11と、蓄電池11から電力の供給を受ける売電装置12と、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を制御する制御装置15と、を備え、制御装置15は、余剰電力の見込みに基づいて売電装置12に供給可能な蓄電池11の充電量の閾値を規定する閾値規定部151と、蓄電池11の実際の充電量を取得する充電量取得部155と、決定された閾値と取得した実際の充電量とを比較して、蓄電池11から売電装置12への電力の供給を管理する電力供給管理部156と、を備える。これにより、売電する電力量を適切に制御することができる。したがって、売電装置12で売電した後に蓄電池11の充電力が足りなくなることを抑制できる。
【0037】
(2)売電システム1は、パワーコンディショナー32と蓄電池11との間に接続される第1電力量計13と、蓄電池11と売電装置12との間に接続される第2電力量計14と、をさらに備え、充電量取得部155は、パワーコンディショナー32から売電装置12に向かう方向の流れを順潮流として、第1電力量計13及び第2電力量計14から潮流電力量を取得するとともに、蓄電池11の充電量を算出する。これにより、蓄電池11の充電量が得られない場合であっても、第1電力量計13及び第2電力量計14の値から、蓄電池11の充電量を得ることができる。また、蓄電池11から売電装置12に供給される電力量、及び蓄電池11から再生エネルギー発電システムに供給される電力量を把握することができる。
【0038】
(3)充電量取得部155は、
(第1電力量計13の順潮流電力量)-(第1電力量計13の逆潮流電力量+第2電力量計14の順潮流電力量)
を算出することで、蓄電池11の充電量を取得する。これにより、具体的な蓄電池11の充電量を取得することができる。また、2つの電力量計を用いて蓄電池11の充電量を算出するので、算出精度を向上することができる。また、蓄電池11の能力(例えば、充電量の計測能力の有無)に依らずに充電量を計測することができるので、汎用性を向上することができる。
【0039】
(4)閾値規定部151は、再生可能エネルギー発電システム30による発電量の見込みを算出する発電量見込算出部152と、再生可能エネルギー発電システム30に接続される負荷装置34による電力消費量の見込みを算出する消費量見込算出部153と、算出された発電量の見込みと算出された電力消費量の見込みと需要家20の買電予定電力量とに基づいて蓄電池11の充電量の閾値を決定する閾値決定部154と、を備える。これにより、発電量の見込み及び消費電力量の見込みから柔軟に閾値を変更することができる。したがって、売電装置12に供給する電力量を最適化することができる。
【0040】
以上、本発明の売電システムの好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態において、第1電力量計13及び第2電力量計14は、主電力量計35に対してペアリングされてもよい。主電力量計35は、第1電力量計13及び第2電力量計14の値をまとめて制御装置15に送信してもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、発電量の見込み量と、消費量の見込み量とは、リアルタイムで更新されてもよい。また、閾値についてもリアルタイムで更新されてもよい。これにより、突然の天候の変化等で発電量が得られない場合であっても、閾値を早期に変更できるので、より柔軟性の高い売電システム1を提供することができる。
【0043】
また、上記実施形態において、再生可能エネルギー発電システム30としては、太陽光発電システムに限定されず、風力発電等の他の再生可能エネルギーを用いた発電システムであってよい。
【0044】
また、上記実施形態において、需要家20が買電する電力量を充電システム100へ、スマホアプリ等を用いて、予め登録しておくことを可能とし、閾値の算出に活用可能とする。
【符号の説明】
【0045】
1 売電システム
11 蓄電池
12 売電装置
13 第1電力量計
14 第2電力量計
15 制御装置
30 再生可能エネルギー発電システム
32 パワーコンディショナー
34 負荷装置
151 閾値規定部
152 発電量見込算出部
153 消費量見込算出部
154 閾値決定部
155 充電量取得部
156 電力供給管理部