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特許7463870車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/00 20220101AFI20240402BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240402BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04L69/00
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020101979
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021197602
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088568(JP,A)
【文献】特開2004-343456(JP,A)
【文献】特開2002-044179(JP,A)
【文献】特開2014-199988(JP,A)
【文献】特開2019-186644(JP,A)
【文献】特開2008-271040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 69/00
B60R 16/023
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置であって、
制御部と、
前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部とを備え、
前記制御部は、前記通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択し、前記送信部に、選択した伝送路を介して前記通信情報を送信させ
前記第2の伝送路は、スリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移してから、通信可能となるまでに要する時間が前記第1の伝送路よりも短く、
前記制御部は、前記送信部を起動することにより前記第1の伝送路および前記第2の伝送路を介した前記他の車載装置への前記通信情報の送信が可能な状態とし、前記他の車載装置を起動するための前記通信情報である起動用通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する、車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記起動用通信情報の送信後、前記第1の伝送路が通信可能となるまでの待機動作を行うことなく、前記第2の伝送路を選択し、前記送信部に、選択した前記第2の伝送路を介して起動後の前記他の車載装置へ他の前記通信情報を送信させる、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記制御部は、起動直後の前記他の車載装置への前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する、請求項に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第2の伝送路は、前記第1の伝送路よりもスループットが低く、
前記制御部は、特定の種類の前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として、前記第1の伝送路を選択する一方で、前記第2の伝送路を選択しない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記他の車載装置へ送信すべき前記通信情報の優先度に応じて、前記第1の伝送路および前記第2の伝送路の両方を前記通信情報の送信に用いるか、または前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のいずれか一方を前記通信情報の送信に用いるかを選択する、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御部は、車両を退避走行させるための前記通信情報および他の車載装置の故障時に送信すべき前記通信情報の少なくともいずれか一方の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路の両方を選択し、
前記車両の通常走行時に送信すべき前記通信情報および前記車両の運転支援制御を行うための前記通信情報の少なくともいずれか一方の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路を選択し、
他の車載装置の故障診断用の前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する、請求項4または請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記第1の伝送路は、イーサネットの規格に従う伝送路であり、
前記第2の伝送路は、CAN(Controller Area Network)の規格に従う伝送路である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載装置
【請求項8】
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、
前記他の車載装置へ送信すべき通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択するステップと、
選択した前記伝送路を介して前記他の車載装置へ前記通信情報を送信するステップとを含み、
前記第2の伝送路は、スリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移してから、通信可能となるまでに要する時間が前記第1の伝送路よりも短く、
前記通信情報の送信に用いる前記伝送路を選択するステップにおいては、前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部を起動することにより前記第1の伝送路および前記第2の伝送路を介した前記他の車載装置への前記通信情報の送信が可能な状態とし、前記他の車載装置を起動するための前記通信情報である起動用通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信線を介して接続され、当該複数の通信線を介してメッセージの送受信を行う2つの車載装置を備える車載通信システムが提案されている。たとえば、特許文献1(特開2019-186644号公報)には、以下のような車載通信システムが開示されている。すなわち、車載通信システムは、通信線がそれぞれ接続される複数の接続部を有し、前記接続部に接続された複数の通信線を介したメッセージの送受信を中継する車載中継装置を2つ備え、2つの前記車載中継装置は、2つ以上の通信線を介して接続され、前記車載中継装置は、他の車載中継装置へ送信すべきメッセージを、前記2つ以上の通信線から1つの通信線を所定の順番で選択して送信するメッセージ送信部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-186644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に記載の技術では、複数の通信線を用いることより通信負荷を低減することができるが、今後多様な通信情報の送受信が行われ得る車載ネットワークにおいて、複数の伝送路をより効果的に用いる技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることが可能な車載装置、車載通信システムおよび通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の車載装置は、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置であって、制御部と、前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部とを備え、前記制御部は、前記通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択し、前記送信部に、選択した伝送路を介して前記通信情報を送信させる。
【0007】
(8)本開示の車載通信システムは、中央車載装置と、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して前記中央車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、前記複数の周辺車載装置の各々は、前記第1の伝送路を介して前記中央車載装置に1対1で接続され、前記複数の周辺車載装置のうちの少なくとも一部は、前記第2の伝送路を介して前記中央車載装置にバス型接続される。
【0008】
(10)本開示の通信制御方法は、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、前記他の車載装置へ送信すべき通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択するステップと、選択した前記伝送路を介して前記他の車載装置へ前記通信情報を送信するステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECUの構成を示す図である。
図3図3は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
図4図4は、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECUが通信情報を統合ECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図5図5は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUが通信情報をゾーンECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図6図6は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信処理のシーケンスの一例を示す図である。
図7図7は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
図8図8は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0013】
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置であって、制御部と、前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部とを備え、前記制御部は、前記通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択し、前記送信部に、選択した伝送路を介して前記通信情報を送信させる。
【0014】
このように、送信すべき通信情報の内容に応じて伝送路を選択し、選択した伝送路を介して通信情報を送信する構成により、伝送路ごとの特徴を考慮して、通信情報ごとにより好ましい伝送路を介して通信情報を送信することができるため、たとえば、通信負荷の低減、および異常発生時における通信の信頼性の向上等を実現することができる。したがって、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0015】
(2)好ましくは、前記第2の伝送路は、スリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移してから、通信可能となるまでに要する時間が前記第1の伝送路よりも短く、前記制御部は、前記他の車載装置を起動するための前記通信情報である起動用通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する。
【0016】
このような構成により、他の車載装置が起動するまでの時間を短縮することができるため、たとえばスリープ機能を有する車載通信システムにおいて、起動時の応答性能を高めることができる。
【0017】
(3)より好ましくは、前記制御部は、起動直後の前記他の車載装置への前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する。
【0018】
このような構成により、第1の伝送路が通信可能となるまで待機することなく、通信情報を他の車載装置へ送信することができるため、応答性能をより高めることができる。
【0019】
(4)好ましくは、前記第2の伝送路は、前記第1の伝送路よりもスループットが低く、前記制御部は、特定の種類の前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として、前記第1の伝送路を選択する一方で、前記第2の伝送路を選択しない。
【0020】
このような構成により、すべての通信情報の送信に第1の伝送路および第2の伝送路の両方を選択する場合と比べて、第2の伝送路における通信負荷を低減することができる。
【0021】
(5)好ましくは、前記制御部は、前記他の車載装置へ送信すべき前記通信情報の優先度に応じて、前記第1の伝送路および前記第2の伝送路の両方を前記通信情報の送信に用いるか、または前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のいずれか一方を前記通信情報の送信に用いるかを選択する。
【0022】
このような構成により、たとえば優先度が低い通信情報の送信に第1の伝送路および第2の伝送路のいずれか一方を用い、優先度が高い通信情報の送信に第1の伝送路および第2の伝送路の両方を用いることにより、優先度の高い通信情報をより確実に他の車載装置へ送信しつつ、通信負荷を低減することができる。
【0023】
(6)より好ましくは、前記制御部は、車両を退避走行させるための前記通信情報および他の車載装置の故障時に送信すべき前記通信情報の少なくともいずれか一方の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路の両方を選択し、前記車両の通常走行時に送信すべき前記通信情報および前記車両の運転支援制御を行うための前記通信情報の少なくともいずれか一方の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路を選択し、他の車載装置の故障診断用の前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第2の伝送路を選択する。
【0024】
このような構成により、第1の伝送路および第2の伝送路の通信の特徴ならびに車両および車載装置の状態を考慮して、より好ましい伝送路を介して通信情報を送信することができる。
【0025】
(7)好ましくは、前記第1の伝送路は、イーサネット(登録商標)の規格に従う伝送路であり、前記第2の伝送路は、CAN(Controller Area Network)(登録商標)の規格に従う伝送路である。
【0026】
このような構成により、イーサネットの規格に従う伝送路およびCANの規格に従う伝送路により構成される車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0027】
(8)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、中央車載装置と、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して前記中央車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、前記複数の周辺車載装置の各々は、前記第1の伝送路を介して前記中央車載装置に1対1で接続され、前記複数の周辺車載装置のうちの少なくとも一部は、前記第2の伝送路を介して前記中央車載装置にバス型接続される。
【0028】
このように、複数の周辺車載装置が第2の伝送路を介して中央車載装置にバス型接続される構成により、周辺車載装置が第2の伝送路を介して中央車載装置に1対1で接続される構成と比べて、中央車載装置において、第2の伝送路が接続される通信ポートおよび通信用IC等の、第2の伝送路を用いた通信に必要な部品点数を低減することができる。したがって、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0029】
(9)好ましくは、すべての前記複数の周辺車載装置は、1つの前記第2の伝送路を介して前記中央車載装置にバス型接続される。
【0030】
このような構成により、中央車載装置において、第2の伝送路が接続される通信ポートおよび通信用IC等の、第2の伝送路を用いた通信に必要な部品点数をより一層低減することができる。
【0031】
(10)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置における通信制御方法であって、前記他の車載装置へ送信すべき通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択するステップと、選択した前記伝送路を介して前記他の車載装置へ前記通信情報を送信するステップとを含む。
【0032】
このように、送信すべき通信情報の内容に応じて伝送路を選択し、選択した伝送路を介して通信情報を送信する方法により、伝送路ごとの特徴を考慮して、通信情報ごとにより好ましい伝送路を介して通信情報を送信することができるため、たとえば、通信負荷の低減、および異常発生時における通信の信頼性の向上等を実現することができる。したがって、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0033】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0034】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、車載通信システム301は、統合ECU(Electronic Control Unit)201と、ゾーンECU101A,101B,101C,101D,101Eと、エンドECU71A,71B,71C,71D,71E,71Fと、センサ81A,81B,81C,81D,81E,81Fと、アクチュエータ91A,91B,91C,91D,91E,91Fとを備える。車載通信システム301は、車両1に搭載される。
【0035】
以下、ゾーンECU101A,101B,101C,101D,101Eの各々をゾーンECU101とも称し、エンドECU71A,71B,71C,71D,71E,71Fの各々をエンドECU71とも称する。統合ECU201は、車載装置の一例であり、かつ中央車載装置の一例である。ゾーンECU101は、車載装置の一例であり、かつ周辺車載装置の一例である。
【0036】
ゾーンECU101は、伝送線3を介して統合ECU201に接続される。より詳細には、ゾーンECU101は、伝送線3を介して統合ECU201に1対1で接続される。また、ゾーンECU101は、伝送線5を介して統合ECU201に接続される。より詳細には、ゾーンECU101は、伝送線5を介して統合ECU201に1対1で接続される。
【0037】
エンドECU71A,71Fは、それぞれ対応の伝送線5を介してゾーンECU101Aに接続される。エンドECU71Bは、伝送線5を介してゾーンECU101Bに接続される。エンドECU71Cは、伝送線5を介してゾーンECU101Cに接続される。エンドECU71Dは、伝送線5を介してゾーンECU101Dに接続される。エンドECU71Eは、伝送線5を介してゾーンECU101Eに接続される。
【0038】
センサ81Aおよびアクチュエータ91Aは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Aに接続される。センサ81Bおよびアクチュエータ91Bは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Bに接続される。センサ81Cおよびアクチュエータ91Cは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Cに接続される。センサ81Dおよびアクチュエータ91Dは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Dに接続される。センサ81Eおよびアクチュエータ91Eは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Eに接続される。センサ81Fおよびアクチュエータ91Fは、それぞれ対応の伝送線7を介してエンドECU71Fに接続される。以下、センサ81A,81B,81C,81D,81E,81Fの各々をセンサ81とも称し、アクチュエータ91A,91B,91C,91D,91E,91Fの各々をアクチュエータ91とも称する。
【0039】
伝送線3,5は、たとえば、CAN、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)、イーサネット、およびLIN(Local Interconnect Network)のうちのいずれかの規格に従う伝送路である。伝送線7は、たとえば、アナログ信号を伝送可能な信号線である。
【0040】
伝送線3および伝送線5は、異なる種類の伝送路である。伝送線3は、第1の伝送路の一例である。伝送線5は、第2の伝送路の一例である。以下では、伝送線3はイーサネットの規格に従う伝送路であり、伝送線5はCANの規格に従う伝送路であるとする。
【0041】
なお、車載通信システム301は、2つ以上の統合ECU201を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、1つ、2つ、3つ、4つまたは6つ以上のゾーンECU101を備える構成であってもよい。
【0042】
エンドECU71は、自己に接続されたセンサ81による計測結果を取得する。たとえば、センサ81は、カメラ、照度センサ、車速センサおよびスマートキーセンサ等の各種計測機器である。センサ81は、定期的または不定期に計測を行い、計測結果を示すアナログ信号を伝送線7経由で対応のエンドECU71へ送信する。エンドECU71は、自己に接続されたセンサ81からアナログ信号を受信し、当該アナログ信号を所定のサンプリング周期でAD(Analog Digital)変換することにより、計測結果を示す計測情報を生成する。たとえば、エンドECU71は、定期的に、生成した計測情報を自己に接続されたゾーンECU101へ送信する。あるいは、エンドECU71は、生成した計測情報が所定条件を満たす場合に、検知情報を生成し、生成した検知情報を自己に接続されたゾーンECU101へ送信する。より詳細には、エンドECU71は、生成した計測情報または検知情報をCANフレームに格納して伝送線5経由で対応のゾーンECU101へ送信する。
【0043】
たとえば、センサ81Aは、スマートキーから出力される電波を計測可能なスマートキーセンサである。エンドECU71Aは、センサ81Aから計測結果を取得し、取得した計測結果を示す計測情報を生成する。たとえば、エンドECU71Aは、生成した計測情報が所定条件を満たす場合、スマートキーが車両1の近傍に存在する旨を示す検知情報であるキー検知情報を生成し、生成したキー検知情報をゾーンECU101Aへ送信する。
【0044】
たとえば、センサ81Fは、車速センサである。エンドECU71Fは、センサ81Fから計測結果を取得し、取得した計測結果を示す計測情報である車速情報を生成する。たとえば、ECU71Fは、定期的に、生成した計測情報をゾーンECU101Fへ送信する。
【0045】
また、エンドECU71は、自己に接続されたアクチュエータ91を駆動する。より詳細には、ゾーンECU101は、アクチュエータ91を制御するための制御情報をCANフレームに格納して伝送線5経由で対応のエンドECU71へ送信する。エンドECU71は、受信した制御情報に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を伝送線7経由で対応のアクチュエータ91へ送信する。アクチュエータ91は、エンドECU71から受信した駆動信号に従って動作する。
【0046】
たとえば、アクチュエータ91Eは、ドアロックアクチュエータである。アクチュエータ91Eは、ECU71Eから駆動信号を受信し、受信した駆動信号に従ってドアをロックまたはアンロックする。
【0047】
車載通信システム301のネットワーク構成は、セントラルエリア型である。より詳細には、各ゾーンECU101は、自己に接続されたエンドECU71から受信した計測情報または検知情報を統合ECU201へ送信する。統合ECU201は、ゾーンECU101から受信した計測情報および検知情報を処理する中央装置である。統合ECU201は、アクチュエータ91を制御するための制御情報を生成し、生成した制御情報をゾーンECU101へ送信する。ゾーンECU101は、統合ECU201から受信した制御情報を、自己に接続されたECU71へ送信する。計測情報、検知情報および制御情報は、通信情報の一例である。セントラルエリア型のネットワーク構成では、統合ECU201のファームウェアを更新する等の簡易な方法により車載通信システム301に新たな機能を追加することができるため、車載通信システム301への機能追加のニーズに柔軟に対応することができる。
【0048】
[ゾーンECU]
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECUの構成を示す図である。図2を参照して、ゾーンECU101は、通信ポート13,15と、通信部30と、記憶部50と、制御部60とを備える。通信部30は、イーサネット通信部33と、CAN通信部35とを含む。制御部60は、取得部10と、選択部20と、駆動部40とを含む。通信部30および制御部60は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって実現される。イーサネット通信部33およびCAN通信部35は、たとえば通信用IC(Integrated Circuit)である。記憶部50は、たとえば不揮発性メモリである。通信部30は、送信部の一例である。
【0049】
通信ポート13は、伝送線3を介して統合ECU201に接続され、通信ポート15は、伝送線5を介して統合ECU201に接続される。
【0050】
通信部30は、統合ECU201から制御情報を受信する。より詳細には、通信部30におけるイーサネット通信部33は、制御情報が格納されたイーサネットフレームを伝送線3および通信ポート13経由で統合ECU201から受信する。イーサネット通信部33は、受信したイーサネットフレームから制御情報を取得して記憶部50に保存する。また、通信部30におけるCAN通信部35は、制御情報が格納されたCANフレームを伝送線5および通信ポート15経由で統合ECU201から受信する。CAN通信部35は、受信したCANフレームから制御情報を取得して記憶部50に保存する。
【0051】
駆動部40は、通信部30により制御情報が記憶部50に保存されると、記憶部50から制御情報を取得し、取得した制御情報をCANフレームに格納して伝送線5経由で対応のエンドECU71へ送信する。
【0052】
取得部10は、検知情報または計測情報をエンドECU71から受信する。取得部10は、受信した検知情報または計測情報を記憶部50に保存する。たとえば、ゾーンECU101Aにおける取得部10は、エンドECU71Fから車速情報を受信し、受信した車速情報を記憶部50に保存する。また、たとえば、ゾーンECU101Aにおける取得部10は、エンドECU71Aからキー検知情報を受信し、受信したキー検知情報を記憶部50に保存する。
【0053】
通信部30は、統合ECU201へ検知情報または計測情報等の通信情報を送信する。制御部60は、通信情報の内容に応じて、当該通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択し、通信部30に、選択した伝送路を介して通信情報を送信させる。
【0054】
より詳細には、制御部60における選択部20は、記憶部50から検知情報または計測情報等の通信情報を取得し、取得した通信情報を通信部30へ出力する。通信部30は、選択部20から受けた通信情報を統合ECU201へ送信する。選択部20は、統合ECU201へ送信すべき通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として、イーサネットの規格に従う伝送線3およびCANの規格に従う伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する。
【0055】
たとえば、選択部20は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3のみを選択した場合、当該通信情報を通信部30におけるイーサネット通信部33のみへ出力する。また、たとえば、選択部20は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5のみを選択した場合、当該通信情報を通信部30におけるCAN通信部35のみへ出力する。また、たとえば、選択部20は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5を選択した場合、当該通信情報をイーサネット通信部33およびCAN通信部35の両方へ出力する。
【0056】
通信部30におけるイーサネット通信部33は、選択部20から通信情報を受けると、メッセージとして当該通信情報を含み、かつ宛先MACアドレスとして統合ECU201のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信ポート13および伝送線3経由で統合ECU201へ送信する。また、通信部30におけるCAN通信部35は、選択部20から通信情報を受けると、メッセージとして当該通信情報を含むCANフレームを生成し、生成したCANフレームを通信ポート15および伝送線5経由で統合ECU201へ送信する。
【0057】
[統合ECU]
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。図3を参照して、統合ECU201は、通信ポート23A,23B,23C,23D,23Eと、通信ポート25A,25B,25C,25D,25Eと、通信部110と、記憶部140と、制御部150とを備える。制御部150は、処理部120と、選択部130とを含む。通信部110、処理部120および選択部130は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサによって実現される。記憶部140は、たとえば不揮発性メモリである。通信部110は、通信ポート23ごとに設けられた図示しない複数のイーサネット通信部と、通信ポート25ごとに設けられた図示しない複数のCAN通信部とを含む。当該複数のイーサネット通信部および当該複数のCAN通信部は、たとえば通信用ICである。通信部110は、送信部の一例である。
【0058】
通信ポート23Aは、伝送線3を介してゾーンECU101Aに接続され、通信ポート25Aは、伝送線5を介してゾーンECU101Aに接続される。通信ポート23Bは、伝送線3を介してゾーンECU101Bに接続され、通信ポート25Bは、伝送線5を介してゾーンECU101Bに接続される。通信ポート23Cは、伝送線3を介してゾーンECU101Cに接続され、通信ポート25Cは、伝送線5を介してゾーンECU101Cに接続される。通信ポート23Dは、伝送線3を介してゾーンECU101Dに接続され、通信ポート25Dは、伝送線5を介してゾーンECU101Dに接続される。通信ポート23Eは、伝送線3を介してゾーンECU101Eに接続され、通信ポート25Eは、伝送線5を介してゾーンECU101Eに接続される。以下、通信ポート23A,23B,23C,23D,23Eの各々を通信ポート23とも称し、通信ポート25A,25B,25C,25D,25Eの各々を通信ポート25とも称する。
【0059】
通信部110は、ゾーンECU101から通信情報を受信する。より詳細には、通信部110におけるイーサネット通信部は、通信情報が格納されたイーサネットフレームを伝送線3および通信ポート23経由で対応のゾーンECU101から受信し、受信したイーサネットフレームから検知情報または計測情報を取得して記憶部140に保存する。また、通信部110におけるCAN通信部は、検知情報または計測情報が格納されたCANフレームを伝送線5および通信ポート25経由で対応のゾーンECU101から受信し、受信したCANフレームから検知情報または計測情報を取得して記憶部140に保存する。
【0060】
たとえば、通信部110は、ゾーンECU101Aから車速情報を受信し、受信した車速情報を記憶部140に保存する。また、たとえば、通信部110は、ゾーンECU101Aからキー検知情報を受信し、受信したキー検知情報を記憶部50に保存する。
【0061】
処理部120は、記憶部140から検知情報または計測情報を取得し、取得した検知情報または計測情報を処理することにより、アクチュエータ91を制御するための制御情報を生成する。処理部120は、生成した制御情報および宛先のゾーンECU101のMACアドレスを示す宛先情報を選択部130へ出力する。たとえば、処理部120は、記憶部140からキー検知情報を取得し、取得したキー検知情報を処理することにより、ドアロックアクチュエータであるアクチュエータ91Eを制御するための制御情報を生成する。そして、処理部120は、生成した制御情報およびゾーンECU101EのMACアドレスを示す宛先情報を選択部130へ出力する。
【0062】
また、処理部120は、記憶部140から検知情報または計測情報を取得し、取得した検知情報または計測情報をそのまま選択部130へ出力してもよい。具体的には、処理部120は、記憶部140からキー検知情報を取得し、取得したキー検知情報および宛先情報を選択部130へ出力する。
【0063】
通信部110は、ゾーンECU101へ通信情報を送信する。制御部150は、通信情報の内容に応じて、当該通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択し、通信部110に、選択した伝送路を介して通信情報を送信させる。
【0064】
より詳細には、制御部60における選択部130は、処理部120から制御情報、検知情報および計測情報等の通信情報と宛先情報とを受けて、受けた通信情報および宛先情報を通信部110へ出力する。通信部110は、選択部130から受けた通信情報を宛先情報が示すゾーンECU101へ送信する。選択部130は、ゾーンECU101へ送信すべき通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として、イーサネットの規格に従う伝送線3およびCANの規格に従う伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する。
【0065】
たとえば、選択部130は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3のみを選択した場合、当該通信情報および宛先情報を通信部110におけるイーサネット通信部のみへ出力する。また、たとえば、選択部130は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5のみを選択した場合、当該通信情報および宛先情報を通信部110におけるCAN通信部のみへ出力する。また、たとえば、選択部130は、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5を選択した場合、当該通信情報および宛先情報をイーサネット通信部およびCAN通信部の両方へ出力する。
【0066】
通信部110におけるイーサネット通信部は、選択部130から通信情報および宛先情報を受けると、メッセージとして当該通信情報を含み、かつ宛先MACアドレスとして宛先情報が示すMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信ポート23および伝送線3経由で宛先のゾーンECU101へ送信する。また、通信部110におけるCAN通信部は、選択部130から通信情報および宛先情報を受けると、メッセージとして当該通信情報を含むCANフレームを生成し、生成したCANフレームを通信ポート25および伝送線5経由で宛先のゾーンECU101へ送信する。
【0067】
(選択部による選択例1)
CANの規格に従う伝送線5は、スリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移してから、通信可能となるまでに要する時間がイーサネットの規格に従う伝送線3よりも短い。
【0068】
たとえば、ゾーンECU101における通信部30および統合ECU201における通信部110は、車両1のイグニッション電源がオフの状態においてスリープ状態または停止状態となる。
【0069】
(ゾーンECUにおける選択部)
ゾーンECU101における選択部20は、統合ECU201を起動するための通信情報であるキー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。
【0070】
より詳細には、選択部20は、取得部10により記憶部50にキー検知情報が保存されると、通信部30を起動するための起動情報をイーサネット通信部33およびCAN通信部35へ出力する。そして、選択部20は、通信部30を監視し、たとえばCAN通信部35が起動して通信情報を送信可能な状態となると、記憶部50からキー検知情報を取得してCAN通信部35へ出力する。キー検知情報は、起動用通信情報の一例である。
【0071】
(統合ECUにおける選択部)
統合ECU201における選択部130は、ゾーンECU101を起動するための通信情報であるキー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。
【0072】
より詳細には、選択部130は、処理部120からキー検知情報を受けると、通信部110を起動するための起動情報を通信部110におけるイーサネット通信部およびCAN通信部へ出力する。そして、選択部130は、通信部110を監視し、たとえばCAN通信部が起動して通信情報を送信可能な状態となると、キー検知情報をCAN通信部へ出力する。
【0073】
(選択部による選択例2)
(ゾーンECUにおける選択部)
選択部20は、起動直後の統合ECU201への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。
【0074】
ゾーンECU101Aにおける選択部20は、CAN通信部35によりキー検知情報が統合ECU201へ送信されてから所定時間が経過するまでの期間において、記憶部50から車速情報を取得すると、取得した車速情報をCAN通信部35へ出力する。
【0075】
選択部20は、キー検知情報を受信した統合ECU201がスリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移した後、記憶部50から車速情報を取得してCAN通信部35へ出力する。
【0076】
たとえば、統合ECU201における通信部110は、通信部110におけるCAN通信部により受信されたゾーンECU101からのキー検知情報によりスリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移すると、当該キー検知情報に対する応答として、起動完了情報を伝送線5経由で当該ゾーンECU101へ送信する。ゾーンECU101の通信部30におけるCAN通信部33は、通信ポート15経由で統合ECU201から起動完了情報を受信すると、受信した起動完了情報を記憶部50に保存する。選択部20は、CAN通信部33により記憶部50に起動完了情報が保存されると、統合ECU201が起動したことを認識し、記憶部50から車速情報を取得してCAN通信部35へ出力する。
【0077】
あるいは、選択部20は、通信部30におけるCAN通信部33によりキー検知情報が統合ECU201へ送信されてから所定期間経過した後、統合ECU201が起動したとみなし、記憶部50から車速情報を取得してCAN通信部35へ出力する。
【0078】
(統合ECUにおける選択部)
選択部130は、起動直後のゾーンECU101への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。
【0079】
統合ECU201における選択部130は、通信部110におけるCAN通信部によりキー検知情報がゾーンECU101へ送信されてから所定時間が経過するまでの期間において、処理部120から車速情報を受けると、受けた車速情報を通信部110におけるCAN通信部へ出力する。
【0080】
選択部130は、キー検知情報を受信したゾーンECU101がスリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移した後、車速情報をCAN通信部へ出力する。
【0081】
たとえば、ゾーンECU101における通信部30は、CAN通信部35により受信された統合ECU201からのキー検知情報によりスリープ状態または停止状態から起動状態へ遷移すると、当該キー検知情報に対する応答として、起動完了情報を伝送線5経由で統合ECU201へ送信する。統合ECU201の通信部110におけるCAN通信部は、通信ポート25経由でゾーンECU101から起動完了情報を受信すると、受信した起動完了情報を記憶部140に保存する。選択部130は、CAN通信部により記憶部140に起動完了情報が保存されると、ゾーンECU101が起動したことを認識し、処理部120から受けた車速情報をCAN通信部へ出力する。
【0082】
あるいは、選択部130は、通信部110におけるCAN通信部によりキー検知情報がゾーンECU101へ送信されてから所定期間経過した後、当該ゾーンECU101が起動したとみなし、処理部120から受けた車速情報をCAN通信部へ出力する。
【0083】
(選択部による選択例3)
たとえば、CANの規格に従う伝送線5は、イーサネットの規格に従う伝送線3よりもスループットが低い。選択部20,130は、特定の種類の通信情報の送信に用いる伝送路として、伝送線3を選択する一方で、伝送線5を選択しない。
【0084】
(ゾーンECUにおける選択部)
ゾーンECU101における選択部20は、記憶部50から特定の種類の通信情報を取得すると、取得した通信情報をイーサネット通信部33へ出力する一方で、CAN通信部35へ出力しない。
【0085】
たとえば、選択部20は、統合ECU201へ送信すべき通信情報の優先度に応じて、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いるかを選択する。
【0086】
より詳細には、統合ECU201へ送信する通信情報には、通信情報の種類に応じた優先度が設定されている。選択部20は、たとえば優先度が所定値以上の通信情報を記憶部50から取得すると、取得した通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5の両方を選択し、当該通信情報をイーサネット通信部33およびCAN通信部35の両方へ出力する。一方、選択部20は、たとえば優先度が所定値未満の通信情報を記憶部50から取得すると、取得した通信情報の送信に用いる伝送路としてイーサネット通信部33およびCAN通信部35のいずれか一方を選択し、当該通信情報を当該一方へ出力する。
【0087】
たとえば、選択部20は、車両1を退避走行させるための通信情報C1および他の車載装置の故障時に送信すべき通信情報C2の少なくともいずれか一方の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5の両方を選択する。より詳細には、車両1を退避走行させるための通信情報C1および他の車載装置の故障時に送信すべき通信情報C2には、高い優先度が設定されている。選択部20は、通信情報C1または通信情報C2を記憶部50から取得すると、取得した通信情報をイーサネット通信部33およびCAN通信部35の両方へ出力する。
【0088】
また、たとえば、選択部20は、車両1の通常走行時に送信すべき通信情報C3および車両1の運転支援制御を行うための通信情報C4の少なくともいずれか一方の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する。より詳細には、通常走行時に送信すべき通信情報C3および運転支援制御を行うための通信情報C4には、低い優先度が設定されている。選択部20は、通信情報C3または通信情報C4を記憶部50から取得すると、取得した通信情報をイーサネット通信部33へ出力する。具体的には、選択部20は、通信情報C4の一例である、先進運転支援(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)機能に関する通信情報を記憶部50から取得すると、取得した通信情報をイーサネット通信部33へ出力する。
【0089】
また、たとえば、選択部20は、他の車載装置の故障診断用の通信情報C5の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。より詳細には、他の車載装置の故障診断用の通信情報C5には、低い優先度が設定されている。選択部20は、通信情報C5を記憶部50から取得すると、取得した通信情報C5をCAN通信部35へ出力する。
【0090】
なお、選択部20は、通信情報C1,C2の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のいずれか一方を選択する構成であってもよい。また、選択部20は、通信情報C3,C4の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であってもよい。また、選択部20は、通信情報C5の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。
【0091】
(統合ECUにおける選択部)
統合ECU201における選択部130は、処理部120から特定の種類の通信情報を受けると、取得した通信情報をイーサネット通信部へ出力する一方で、CAN通信部へ出力しない。
【0092】
たとえば、選択部130は、ゾーンECU101へ送信すべき通信情報の優先度に応じて、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いるかを選択する。
【0093】
より詳細には、ゾーンECU101へ送信する通信情報には、通信情報の種類に応じた優先度が設定されている。選択部130は、たとえば優先度が所定値以上の通信情報を処理部120から受けると、受けた通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5の両方を選択し、当該通信情報を通信部110におけるイーサネット通信部およびCAN通信部の両方へ出力する。一方、選択部130は、たとえば優先度が所定値未満の通信情報を処理部120から受けると、受けた通信情報の送信に用いる伝送路としてイーサネット通信部およびCAN通信部のいずれか一方を選択し、当該通信情報を当該一方へ出力する。
【0094】
たとえば、選択部130は、車両1を退避走行させるための通信情報C11および他の車載装置の故障時に送信すべき通信情報C12の少なくともいずれか一方の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5の両方を選択する。より詳細には、車両1を退避走行させるための通信情報C11および他の車載装置の故障時に送信すべき通信情報C12には、高い優先度が設定されている。選択部130は、通信情報C11または通信情報C12を処理部120から受けると、受けた通信情報をイーサネット通信部およびCAN通信部の両方へ出力する。
【0095】
また、たとえば、選択部130は、車両1の通常走行時に送信すべき通信情報C13および車両1の運転支援制御を行うための通信情報C14の少なくともいずれか一方の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する。より詳細には、通常走行時に送信すべき通信情報C13および運転支援制御を行うための通信情報C14には、低い優先度が設定されている。選択部130は、通信情報C13または通信情報C14を処理部120から受けると、受けた通信情報をイーサネット通信部へ出力する。具体的には、選択部130は、通信情報C14の一例である、先進運転支援機能に関する通信情報を処理部120から受けると、受けた通信情報をイーサネット通信部へ出力する。
【0096】
また、たとえば、選択部130は、他の車載装置の故障診断用の通信情報C15の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する。より詳細には、他の車載装置の故障診断用の通信情報C15には、低い優先度が設定されている。選択部130は、通信情報C15を処理部120から受けると、受けた通信情報C15をCAN通信部へ出力する。
【0097】
なお、選択部130は、通信情報C11,C12の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のいずれか一方を選択する構成であってもよい。また、選択部130は、通信情報C13,C14の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であってもよい。また、選択部130は、通信情報C15の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。
【0098】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0099】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECUが通信情報を統合ECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0100】
図4を参照して、まず、ゾーンECU101は、エンドECU71からの通信情報を待ち受け(ステップS102でNO)、エンドECU71から通信情報を受信すると(ステップS102でYES)、受信した通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として、イーサネットの規格に従う伝送線3およびCANの規格に従う伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する(ステップS104)。
【0101】
次に、ゾーンECU101は、選択した伝送線を介して統合ECU201へ通信情報を送信する(ステップS106)。
【0102】
次に、ゾーンECU101は、エンドECU71からの新たな通信情報を待ち受ける(ステップS102でNO)。
【0103】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUが通信情報をゾーンECUへ送信する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0104】
図5を参照して、まず、統合ECU201は、ゾーンECU101からの通信情報を待ち受け(ステップS202でNO)、ゾーンECU101から通信情報を受信すると(ステップS202でYES)、受信した通信情報を処理することにより、アクチュエータ91を制御するための制御情報、すなわちゾーンECU101宛の通信情報を生成する(ステップS204)。
【0105】
次に、統合ECU201は、生成した通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として、イーサネットの規格に従う伝送線3およびCANの規格に従う伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する(ステップS206)。
【0106】
次に、統合ECU201は、選択した伝送線を介してゾーンECU101へ通信情報を送信する(ステップS208)。
【0107】
次に、統合ECU201は、ゾーンECU101からの新たな通信情報を待ち受ける(ステップS202でNO)。
【0108】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0109】
図6を参照して、まず、ゾーンECU101A,101Eおよび統合ECU201は、たとえば車両1のイグニッション電源がオフに切り替わることにより起動状態からスリープ状態へ遷移する(ステップS302)。
【0110】
次に、たとえば、ゾーンECU101Aは、エンドECU71Aからキー検知情報を受信する(ステップS304)。
【0111】
次に、ゾーンECU101Aは、キー検知情報の送信に用いる伝送路として、CANの規格に従う伝送線5を選択する(ステップS306)。
【0112】
次に、ゾーンECU101Aは、通信部30におけるCAN通信部35が起動して通信情報を送信可能な状態となると、伝送線5を介してキー検知情報を統合ECU201へ送信する(ステップS308)。
【0113】
次に、統合ECU201は、ゾーンECU101Aからキー検知情報を受信すると、当該キー検知情報の送信に用いる伝送路として、CANの規格に従う伝送線5を選択する(ステップS310)。
【0114】
次に、統合ECU201は、通信部110におけるCAN通信部が起動して通信情報を送信可能な状態となると、伝送線5を介してキー検知情報をゾーンECU101Eへ送信する(ステップS312)。
【0115】
また、統合ECU201は、伝送線5を介して起動完了情報をゾーンECU101Aへ送信する(ステップS314)。
【0116】
次に、統合ECU201は、キー検知情報を処理することにより、ドアロックアクチュエータであるアクチュエータ91Eを制御するための制御情報を生成する(ステップS316)。
【0117】
次に、ゾーンECU101Eは、通信部30におけるCAN通信部35が起動して通信情報を送信可能な状態となると、伝送線5を介して起動完了情報を統合ECU201へ送信する(ステップS318)。
【0118】
次に、統合ECU201は、ゾーンECU101Eから起動完了情報を受信することによりゾーンECU101Eが起動したことを認識し、伝送線5を介して制御情報をゾーンECU101Eへ送信する(ステップS320)。
【0119】
次に、ゾーンECU101Eは、統合ECU201から制御情報を受信すると、エンドECU71Eにアクチュエータ91Eを用いてドアロックを解除させるために、当該制御情報をエンドECU71Eへ送信する(ステップS322)。
【0120】
次に、たとえば、ゾーンECU101Aは、エンドECU71Fから車速情報を受信する(ステップS324)。
【0121】
次に、ゾーンECU101Aは、車速情報の送信に用いる伝送路として、イーサネットの規格に従う伝送線3およびCANの規格に従う伝送線5の両方を選択する(ステップS326)。
【0122】
次に、ゾーンECU101Aは、伝送線3,5を介して車速情報を統合ECU201へ送信する(ステップS328)。
【0123】
なお、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、ゾーンECU101における選択部20は、キー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部20は、キー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU201における選択部130は、キー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部130は、キー検知情報の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。
【0124】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、ゾーンECU101における選択部20は、起動直後の統合ECU201への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部20は、起動直後の統合ECU201への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU201における選択部130は、起動直後のゾーンECU101への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部130は、起動直後のゾーンECU101への通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3を選択する構成であってもよい。
【0125】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、ゾーンECU101における選択部20は、特定の種類の通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択しない構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部20は、すべての種類の通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であってもよい。また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU201における選択部130は、特定の種類の通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択しない構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部130は、すべての種類の通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線5を選択する構成であってもよい。
【0126】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、ゾーンECU101における選択部20は、統合ECU201へ送信すべき通信情報の優先度に応じて、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いるかを選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部20は、送信すべき通信情報の優先度に関わらず、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いる構成であってもよい。また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU201における選択部130は、ゾーンECU101へ送信すべき通信情報の優先度に応じて、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いるかを選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。選択部130は、送信すべき通信情報の優先度に関わらず、伝送線3および伝送線5の両方を通信情報の送信に用いるか、または伝送線3および伝送線5のいずれか一方を通信情報の送信に用いる構成であってもよい。
【0127】
ところで、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることを可能とする技術が望まれる。
【0128】
これに対して、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECU101は、異なる種類の伝送路である伝送線3および伝送線5を介して統合ECU201に接続される。ゾーンECU101では、通信部30は、統合ECU201へ通信情報を送信する。制御部60は、通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択し、通信部30に、選択した伝送路を介して通信情報を送信させる。
【0129】
また、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECU201は、異なる種類の伝送路である伝送線3および伝送線5を介してゾーンECU101に接続される。統合ECU201では、通信部110は、ゾーンECU101へ通信情報を送信する。制御部150は、通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択し、通信部110に、選択した伝送路を介して通信情報を送信させる。
【0130】
また、本開示の第1の実施の形態に係る通信制御方法は、異なる種類の伝送路である伝送線3および伝送線5を介して統合ECU201に接続されるゾーンECU101における通信制御方法である。この通信制御方法では、まず、ゾーンECU101が、統合ECU201へ送信すべき通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する。次に、ゾーンECU101が、選択した伝送路を介して統合ECU201へ通信情報を送信する。
【0131】
また、本開示の第1の実施の形態に係る通信制御方法は、異なる種類の伝送路である伝送線3および伝送線5を介してゾーンECU101に接続される統合ECU201における通信制御方法である。この通信制御方法では、まず、統合ECU201が、ゾーンECU101へ送信すべき通信情報の内容に応じて、通信情報の送信に用いる伝送路として伝送線3および伝送線5のうちの少なくともいずれか一方を選択する。次に、統合ECU201が、選択した伝送路を介してゾーンECU101へ通信情報を送信する。
【0132】
このように、送信すべき通信情報の内容に応じて伝送路を選択し、選択した伝送路を介して通信情報を送信する構成および方法により、伝送路ごとの特徴を考慮して、通信情報ごとにより好ましい伝送路を介して通信情報を送信することができるため、たとえば、通信負荷の低減、および異常発生時における通信の信頼性の向上等を実現することができる。
【0133】
したがって、本開示の第1の実施の形態に係るゾーンECU101、統合ECU201では、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0134】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0135】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車載通信システム301と比べて、ゾーンECU101の少なくとも一部が伝送線5を介して統合ECU201にバス型接続される車載通信システム302に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システム301と同様である。
【0136】
図7は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。図7を参照して、ゾーンECU101は、伝送線3を介して統合ECU201に1対1で接続される。また、ゾーンECU101A,101Bは、伝送線5である伝送線5Aを介して統合ECU201にバス型接続される。また、ゾーンECU101C,101D,101Eは、伝送線5である伝送線5Bを介して統合ECU201にバス型接続される。
【0137】
図8は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の他の例を示す図である。図8を参照して、すべてのゾーンECU101は、伝送線5を介して統合ECU201にバス型接続される。
【0138】
上述のように、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システム302では、ゾーンECU101は、伝送線3を介して統合ECU201に1対1で接続される。ゾーンECU101A,101Bは、伝送線5Aを介して統合ECU201にバス型接続される。ゾーンECU101C,101D,101Eは、伝送線5Bを介して統合ECU201にバス型接続される。
【0139】
このように、複数のゾーンECU101が伝送線5を介して統合ECU201にバス型接続される構成により、ゾーンECU101が伝送線5を介して統合ECU201に1対1で接続される構成と比べて、統合ECU201において、伝送線5が接続される通信ポートおよび通信用IC等の、伝送線5を用いた通信に必要な部品点数を低減することができる。
【0140】
したがって、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムでは、車載ネットワークにおいて複数の伝送路をより効果的に用いることができる。
【0141】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0142】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置であって、
制御部と、
前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部とを備え、
前記制御部は、前記通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択し、前記送信部に、選択した伝送路を介して前記通信情報を送信させ、
前記第1の伝送路は、イーサネットの規格に従う伝送路であり、
前記第2の伝送路は、CANの規格に従う伝送路であり、
前記第2の伝送路を介して前記他の車載装置にバス型接続される、車載装置。
【0143】
[付記2]
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して他の車載装置に接続される車載装置であって、
制御部と、
前記他の車載装置へ通信情報を送信する送信部とを備え、
前記制御部は、前記通信情報の内容に応じて、前記通信情報の送信に用いる前記伝送路として前記第1の伝送路および前記第2の伝送路のうちの少なくともいずれか一方を選択し、前記送信部に、選択した伝送路を介して前記通信情報を送信させ、
前記制御部および前記送信部は、プロセッサにより実現される、車載装置。
【0144】
[付記3]
中央車載装置と、
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して前記中央車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、
前記複数の周辺車載装置の各々は、前記第1の伝送路を介して前記中央車載装置に1対1で接続され、
前記複数の周辺車載装置のうちの少なくとも一部は、前記第2の伝送路を介して前記中央車載装置にバス型接続され、
前記第1の伝送路は、イーサネットの規格に従う伝送路であり、
前記第2の伝送路は、CANの規格に従う伝送路であり、
前記周辺車載装置は、センサによる計測結果を示す計測情報、または前記計測情報が所定条件を満たすことを示す検知情報を前記中央車載装置へ送信し、
前記中央車載装置は、前記周辺車載装置から受信した前記計測情報および前記検知情報の少なくともいずれか一方に基づいて、アクチュエータを制御するための制御情報を生成し、生成した前記制御情報を前記周辺車載装置へ送信する、車載通信システム。
【0145】
[付記4]
中央車載装置と、
異なる種類の伝送路である第1の伝送路および第2の伝送路を介して前記中央車載装置に接続される複数の周辺車載装置とを備え、
前記複数の周辺車載装置の各々は、前記第1の伝送路を介して前記中央車載装置に1対1で接続され、
前記複数の周辺車載装置のうちの少なくとも一部は、前記第2の伝送路を介して前記中央車載装置にバス型接続され、
前記第1の伝送路は、イーサネットの規格に従う伝送路であり、
前記第2の伝送路は、CANの規格に従う伝送路であり、
前記中央車載装置は、統合ECUであり、
前記周辺車載装置は、ゾーンECUである、車載通信システム。
【符号の説明】
【0146】
1 車両
3,5,7 伝送線
10 取得部
13,15 通信ポート
20 選択部
23,25 通信ポート
30 通信部
33 イーサネット通信部
35 CAN通信部
40 駆動部
50 記憶部
60 制御部
71 エンドECU
81 センサ
91 アクチュエータ
101 ゾーンECU
110 通信部
120 処理部
130 選択部
140 記憶部
150 制御部
201 統合ECU
301,302 車載通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8