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特許7463891ワークの姿勢変更具、ワークの姿勢変更装置、及び梱包体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ワークの姿勢変更具、ワークの姿勢変更装置、及び梱包体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B65G47/248 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020119722
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016786
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】早川 俊文
(72)【発明者】
【氏名】山岡 一郎
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-105218(JP,U)
【文献】米国特許第05630696(US,A)
【文献】特開2010-030744(JP,A)
【文献】実開昭54-128272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状のワークの姿勢を変更する用途に用いられるワークの姿勢変更具であって、
横姿勢の前記ワークの前記第1主面を支持する第1支持部と縦姿勢の前記ワークの下端部を支持する第2支持部とを有する姿勢変更具本体と、
縦姿勢の前記ワークの上端部が前記第1支持部から離間する方向に移動することを規制する移動規制部を有する移動規制部材と、を備え
前記移動規制部材は、前記移動規制部を前記姿勢変更具本体に回動可能に支持する回動支持部をさらに備え、
前記移動規制部は、横姿勢の前記ワークを前記第2支持部とは反対側から前記第1支持部に沿って前記姿勢変更具本体に搬入又は前記姿勢変更具本体から搬出可能な規制解除位置と、
前記姿勢変更具本体に搬入された前記ワークの移動を規制する規制位置とに回動可能である、ワークの姿勢変更具。
【請求項2】
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状のワークの姿勢を変更する用途に用いられるワークの姿勢変更具であって、
横姿勢の前記ワークの前記第1主面を支持する第1支持部と縦姿勢の前記ワークの下端部を支持する第2支持部とを有する姿勢変更具本体と、
縦姿勢の前記ワークの上端部が前記第1支持部から離間する方向に移動することを規制する移動規制部を有する移動規制部材と、を備え、
前記第2支持部及び前記移動規制部は、縦姿勢の前記ワークの下端部を前記第2支持部から離脱させる第1の操作と、前記第1の操作の後に前記ワークを下方に移動させることで、前記移動規制部による前記ワークの規制を解除する第2の操作とが可能となるように配置されている、ワークの姿勢変更具。
【請求項3】
前記移動規制部材は、前記姿勢変更具本体の前記第1支持部と前記移動規制部との間隔寸法を調整可能な間隔調整機構を有する、請求項1又は請求項に記載のワークの姿勢変更具。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のワークの姿勢変更具と、前記姿勢変更具が装着される基台と、を備えるワークの姿勢変更装置であって、
前記基台に対して前記姿勢変更具本体を回動可能に支持する回動支持機構を備え、
前記姿勢変更具本体は、前記回動支持機構により回動されることで、横姿勢と縦姿勢とに変更可能に構成されている、ワークの姿勢変更装置。
【請求項5】
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状のワークの姿勢を変更する用途に用いられるワークの姿勢変更具と、前記姿勢変更具が装着される基台と、を備えるワークの姿勢変更装置であって、
前記姿勢変更具は、横姿勢の前記ワークの前記第1主面を支持する第1支持部と縦姿勢の前記ワークの下端部を支持する第2支持部とを有する姿勢変更具本体と、
縦姿勢の前記ワークの上端部が前記第1支持部から離間する方向に移動することを規制する移動規制部を有する移動規制部材と、を備え、
前記姿勢変更装置は、前記基台に対して前記姿勢変更具本体を回動可能に支持する回動支持機構を備え、
前記姿勢変更具本体は、前記回動支持機構により回動されることで、横姿勢と縦姿勢とに変更可能に構成され、
前記基台は、縦姿勢の前記姿勢変更具本体を、前記第1支持部側を前方として前進及び後退させる移動機構を備える、ワークの姿勢変更装置。
【請求項6】
前記姿勢変更具本体を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させる駆動部を有する、請求項又は請求項に記載のワークの姿勢変更装置。
【請求項7】
ワークと、前記ワークを梱包するためのパレットとを備える梱包体の製造方法であって、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のワークの姿勢変更具を用いて横姿勢から縦姿勢に変更した前記ワークを前記パレットに搬入する搬入工程を備える、梱包体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの姿勢変更具、ワークの姿勢変更装置、及び梱包体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状のワークを横姿勢から縦姿勢に変更する装置として、多関節吸着ロボットを備える装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-030744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような多関節吸着ロボットを備える装置では、ワークの姿勢を安定させて変更できるものの、ロボットアームの駆動制御部やワークの吸着機構等の構造が複雑化し、例えば、装置のコストの増大を招いている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構造により板状のワークの姿勢を安定させて変更することのできる姿勢変更具、ワークの姿勢変更装置、及び梱包体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するワークの姿勢変更具は、第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状のワークの姿勢を変更する用途に用いられるワークの姿勢変更具であって、横姿勢の前記ワークの前記第1主面を支持する第1支持部と縦姿勢の前記ワークの下端部を支持する第2支持部とを有する姿勢変更具本体と、縦姿勢の前記ワークの上端部が前記第1支持部から離間する方向に移動することを規制する移動規制部を有する移動規制部材と、を備える。
【0007】
この構成によれば、姿勢変更具本体の第1支持部により、横姿勢のワークの第1主面を支持することができる。また、横姿勢の姿勢変更具本体を縦姿勢に変更することで、ワークを横姿勢から縦姿勢に変更することができる。このとき、ワークの下端部は、姿勢変更具本体の第2支持部により支持されるため、ワークの下方への移動を規制することができる。また、移動規制部材の移動規制部によってワークの上端部が第1支持部から離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、縦姿勢のワークが第2主面側に倒れることを移動規制部によって抑えることができるため、横姿勢から縦姿勢に変更したワークを安定させることができる。なお、姿勢変更具は、縦姿勢の姿勢変更具本体を横姿勢に変更して縦姿勢のワークを横姿勢に変更する用途にも用いることができる。この場合であっても、縦姿勢のワークが第2主面側に倒れることを移動規制部によって抑えることができるため、縦姿勢で安定されたワークを横姿勢に変更することができる。
【0008】
上記ワークの姿勢変更具において、前記移動規制部材は、前記移動規制部を前記姿勢変更具本体に回動可能に支持する回動支持部をさらに備え、前記移動規制部は、横姿勢の前記ワークを前記第2支持部とは反対側から前記第1支持部に沿って前記姿勢変更具本体に搬入又は前記姿勢変更具本体から搬出可能な規制解除位置と、前記姿勢変更具本体に搬入された前記ワークの移動を規制する規制位置とに回動可能であることが好ましい。この構成によれば、例えば、移動規制部を回動させることで、移動規制部によるワークの移動規制を円滑に行うことができる。
【0009】
上記ワークの姿勢変更具において、前記第2支持部及び前記移動規制部は、縦姿勢の前記ワークの下端部を前記第2支持部から離脱させる第1の操作と、前記第1の操作の後に前記ワークを下方に移動させることで、前記移動規制部による前記ワークの規制を解除する第2の操作とが可能となるように配置されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、縦姿勢のワークを姿勢変更具本体の第1支持部に支持させながら、ワークの下端部を姿勢変更具本体の第2支持部から離脱させる第1の操作を安定して行うことができる。また、第2の操作において、ワークの下方への移動を開始する際には、ワークの上端部の移動は、移動規制部材の移動規制部により規制されているため、縦姿勢のワークが倒れることを抑えた状態で、第2の操作を安定して開始することができる。すなわち、縦姿勢のワークを安定させて姿勢変更具から搬出することができる。
【0011】
上記ワークの姿勢変更具において、前記移動規制部材は、前記姿勢変更具本体の前記第1支持部と前記移動規制部との間隔寸法を調整可能な間隔調整機構を有することが好ましい。この構成によれば、姿勢変更具本体の第1支持部と移動規制部との間隔寸法をワークWの厚さに適した間隔寸法にすることができるため、異なる厚さのワークWの姿勢の変更に好適に用いることができる。
【0012】
ワークの姿勢変更装置は、上記ワークの姿勢変更具と、前記姿勢変更具が装着される基台と、を備えるワークの姿勢変更装置であって、前記基台に対して前記姿勢変更具本体を回動可能に支持する回動支持機構を備え、前記姿勢変更具本体は、前記回動支持機構により回動されることで、横姿勢と縦姿勢とに変更可能に構成されていることが好ましい。この構成によれば、姿勢変更具本体を容易に回動させることができる。
【0013】
上記ワークの姿勢変更装置において、前記基台は、縦姿勢の前記姿勢変更具本体を、前記第1支持部側を前方として前進及び後退させる移動機構を備えることが好ましい。この構成によれば、ワークを支持させた縦姿勢の姿勢変更具本体を基台の移動機構により前進させることで、例えば、ワークをパレットの載置面上まで移動させることができる。
【0014】
上記ワークの姿勢変更装置は、前記姿勢変更具本体を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させる駆動部を有することが好ましい。この構成によれば、サイズが比較的大きく、重量が比較的重いワークであっても、横姿勢から縦姿勢に容易に変更することができる。
【0015】
梱包体の製造方法は、ワークと、前記ワークを梱包するためのパレットとを備える梱包体の製造方法であって、上記ワークの姿勢変更具を用いて横姿勢から縦姿勢に変更した前記ワークを前記パレットに搬入する搬入工程を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な構造により板状のワークの姿勢を安定させて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態におけるワークの姿勢変更装置を示す概略側面図である。
図2】姿勢変更装置の動作を説明する概略側面図である。
図3】姿勢変更装置の動作を説明する概略側面図である。
図4】姿勢変更装置の動作を説明する概略側面図である。
図5】(a)~(c)は、ワークの姿勢変更具からワークを搬出する操作を説明する概略図である。
図6】姿勢変更具の部分拡大図である。
図7】姿勢変更具の部分拡大図である。
図8】(a)は、姿勢変更装置の動作を説明する概略側面図であり、(b)は、梱包体を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ワークの姿勢変更具、ワークの姿勢変更装置、及び梱包体の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0019】
図1図4に示すように、本実施形態のワークWの姿勢変更装置11は、ワークWの姿勢を横姿勢から縦姿勢に変更する用途に用いられる。姿勢変更装置11は、ワークWの姿勢変更具12と、姿勢変更具12が装着される基台13とを備えている。ワークWは、第1主面W1と、第1主面W1とは反対側の第2主面W2とを有する板状のワークである。ワークWとしては、例えば、ガラス板が挙げられるが、ガラス以外の材料から形成された板状のワークであってもよい。
【0020】
ワークWは、例えば、コンベア装置14により第1主面W1及び第2主面W2が水平方向に沿うように配置された横姿勢で搬送される。姿勢変更装置11は、コンベア装置14の下流側に隣り合うように配置される。姿勢変更装置11に対してコンベア装置14の反対側には、ワークWを梱包するためのパレットPLが配置される。パレットPLは、縦姿勢のワークWが載置される載置面PL1と、縦姿勢のワークWの第2主面W2側を支持する支持面PL2とを有している。
【0021】
姿勢変更具12は、姿勢変更具本体15と、ワークWの移動を規制する移動規制部材16とを備えている。姿勢変更具本体15は、横姿勢のワークWの第1主面W1を支持する第1支持部15aと、縦姿勢のワークWの下端部を支持する第2支持部15bとを有している。図1及び図2に示すように、姿勢変更具本体15の第1支持部15aは、ワークWの第1主面W1に接する接触面を有している。第1支持部15aは、姿勢変更具本体15へのワークWの搬入を円滑に行うという観点から、ローラーコンベアにより構成されることが好ましい。なお、第1支持部15aは、ワークWを支持可能な形状であればよく、例えば、ガイドレール等により構成することもできる。
【0022】
図3に示すように、姿勢変更具本体15の第2支持部15bは、縦姿勢のワークWの下端面に接する接触面を有している。第2支持部15bは、ワークWの下端面全体を支持するように構成されてもよいし、ワークWの下端面の一部を支持するように構成されてもよい。
【0023】
図1図4に示すように、姿勢変更具12の移動規制部材16は、移動規制部16aを有している。移動規制部16aは、縦姿勢のワークWの上端部が第1支持部15aから離間する方向に移動することを規制する。移動規制部16aは、ワークWの第2主面W2に接触可能な接触面を有している。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態の移動規制部材16は、移動規制部16aを姿勢変更具本体15に回動可能に支持する回動支持部16bをさらに備えている。移動規制部材16の移動規制部16aは、ワークWを姿勢変更具本体15に搬入可能な規制解除位置P1と、姿勢変更具本体15に搬入されたワークWの移動を規制する規制位置P2とに回動可能である。本実施形態の移動規制部材16は、手動で回動することができるが、回動支持部16bにモータ等を連結することで、スイッチ操作等により自動で回動するように構成してもよい。図1に示すように、移動規制部16aを規制解除位置P1にした場合、横姿勢のワークWを第2支持部15bとは反対側から第1支持部15aに沿って姿勢変更具本体15に搬入することができる。
【0025】
図1図4に示すように、姿勢変更装置11の基台13は、基台本体13aと、基台本体13a上に設けられる移動台13bと、基台本体13aに対して移動台13bを移動可能にする移動機構13cとを備えている。基台本体13aは、床面の所定の位置に位置決めされている。
【0026】
姿勢変更装置11は、基台13の移動台13bに対して姿勢変更具本体15を回動可能に支持する回動支持機構18を備えている。図2及び図3に示すように、姿勢変更具本体15は、回動支持機構18により回動されることで、横姿勢と縦姿勢とに変更可能である。回動支持機構18は、回動軸18aと、回動軸18aを支持する軸支部18bとを備えている。
【0027】
本実施形態の姿勢変更装置11は、回動支持機構18を駆動する駆動装置19を備えている。駆動装置19は、姿勢変更具本体15を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させる駆動部19aを有している。駆動部19aとしては、例えば、基台13の移動台13bと、姿勢変更具本体15とを連結するエアシリンダ装置を用いることができる。また、駆動装置19は、駆動部19aを操作する操作部19bを備えている。この操作部19bによって駆動部19aをリモコン操作することで、姿勢変更具本体15を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させることができる。
【0028】
図3及び図4に示すように、基台13の移動機構13cは、縦姿勢の姿勢変更具本体15を、姿勢変更具本体15の第1支持部15a側を前方として前進及び後退させるように移動台13bを移動させる機構である。移動機構13cとしては、例えば、ラックアンドピニオン機構等の周知の直動機構を用いることができる。移動機構13cは、図示を省略したハンドル操作部を備え、作業者のハンドル操作により手動で移動台13bを移動させることができる。なお、移動機構13cにモータ等を連結することで、スイッチ操作等により自動で姿勢変更具本体15を移動するように構成してもよい。
【0029】
姿勢変更具本体15の第2支持部15b及び移動規制部材16の移動規制部16aは、図5(a)に示されるワークWの第1の操作と、図5(b)に示されるワークWの第2の操作とが可能となるように配置されている。第1の操作は、縦姿勢のワークWの下端部を第2支持部15bから離脱させる操作である。第2の操作は、第1の操作の後にワークWを下方に移動させることで、移動規制部16aによるワークWの規制を解除する操作である。
【0030】
図6は、図5(c)中の領域Aの姿勢変更具12を拡大し、ワークWとの関係を示している。ワークWの厚さを厚さTとした場合、姿勢変更具本体15の第1支持部15aと移動規制部16aとの間隔寸法D1は、上記第1の操作及び第2の操作を容易に行うという観点から、T×2以上であることが好ましい。また、上記間隔寸法D1は、ワークWの移動距離をより小さくし、縦姿勢のワークWをより安定させるという観点から、T×10以下であることが好ましい。
【0031】
図6に示すように、移動規制部材16は、姿勢変更具本体15の第1支持部15aと移動規制部16aとの間隔寸法D1を調整可能な間隔調整機構17を有している。間隔寸法D1は、例えば、ワークWの厚さTに応じて変更することができる。
【0032】
図7は、図5(c)中の領域Bの姿勢変更具12を拡大し、ワークW及びパレットPLとの関係を示している。図7に示すように、姿勢変更具12の第1支持部15aから第2支持部15bが突出する突出長さD2は、ワークWの脱離を抑えるという観点から、T×1.5以上であることが好ましい。また、上記突出長さD2は、上記第1の操作及び第2の操作を容易に行うという観点から、T×10以下であることが好ましい。なお、図示を省略するが、第2支持部15bの突出長さD2を調整可能に構成してもよい。
【0033】
図6及び図7に示すように、姿勢変更具本体15と移動規制部16aとの間に挿入されるワークWの挿入長さD3は、ワークWが載置されるパレットPLの載置面PL1から第2支持部15bの上面までの高さD4よりも短く設定される。これにより、移動規制部16aによるワークWの規制を解除する第2の操作を行うことができる。
【0034】
以上の間隔寸法D1、突出長さD2、挿入長さD3等の寸法は、一例であり、ワークWの寸法に応じて決定することができる。例えば、対象のワークWを第1の操作及び第2の操作する際のワークWの動作シミュレーションに基づいて決定することができる。
【0035】
ワークWの形状は、例えば、一辺が1000mm以上、1500mm以上等の寸法を有する四辺形状である。ワークWの厚さTは、例えば、3mm以上、8mm以下の範囲内である。
【0036】
次に、梱包体の製造方法を姿勢変更装置11の動作とともに説明する。
図8(b)に示すように、梱包体20は、ワークWと、ワークWを梱包するためのパレットPLとを備えている。梱包体20は、図示を省略した梱包資材を備えている。梱包資材としては、例えば、複数のワークWの間に配置される保護シートや、脱落や移動を抑えるバンド等が挙げられる。
【0037】
図1図4に示すように、本実施形態の梱包体20の製造方法は、姿勢変更装置11を用いて横姿勢から縦姿勢としたワークWをパレットPLに搬入する搬入工程を備えている。縦姿勢のワークWは、ワークWの第1主面W1及び第2主面W2が上下方向に沿うように配置された姿勢であり、パレットPLの支持面PL2は、傾斜面となっている。
【0038】
図1及び図2に示すように、まず、横姿勢の姿勢変更具12にコンベア装置14からワークWを搬入する。このとき、姿勢変更具本体15の第1支持部15aにより、ワークWの第1主面W1を支持することができる。次に、図2に示すように、移動規制部16aを規制解除位置P1から規制位置P2に回動させる。
【0039】
続いて、図2及び図3に示すように、横姿勢の姿勢変更具本体15を縦姿勢に変更することで、ワークWを横姿勢から縦姿勢に変更ことができる。本実施形態では、姿勢変更装置11における駆動装置19の操作部19bを利用して駆動部19aをリモコン操作することで、姿勢変更具本体15を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させる。
【0040】
このとき、ワークWの下端部は、姿勢変更具本体15の第2支持部15bにより支持されるため、ワークWの下方への移動を規制することができる。また、移動規制部材16の移動規制部16aによってワークWの上端部が第1支持部15aから離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、図3に二点鎖線で示すように、縦姿勢のワークWが第2主面W2側に倒れることを移動規制部16aによって抑えることができる。
【0041】
次に、図4に示すように、本実施形態の姿勢変更装置11では、縦姿勢のワークWを支持させた姿勢変更具本体15を基台13の移動機構13cによりパレットPLに向けて前進させることで、ワークWをパレットPLの載置面PL1上まで移動させることができる。続いて、図5(a)~図5(c)に示すように、姿勢変更具12からワークWを搬出し、パレットPLの所定の位置にワークWを載置する。まず、図5(a)に示すように、縦姿勢のワークWの下端部を姿勢変更具本体15の第2支持部15bから離脱させる第1の操作を行う。この第1の操作では、ワークWを持ち上げてワークWの下端を第2支持部15bよりも外方に位置するようにワークWを傾斜させる。
【0042】
続いて、図5(b)に示すように、第1の操作の後、ワークWを下方に移動させることで、移動規制部16aによるワークWの規制を解除する第2の操作を行う。次に、図5(c)に示すように、パレットPLの載置面PL1及び支持面PL2に対して所定の位置となるようにワークWをパレットPLに載置する。
【0043】
次に、ワークWを搬出した後の縦姿勢の姿勢変更具12を図3に示す位置まで後退させてパレットPLから離間させる。これにより、姿勢変更具12を縦姿勢から横姿勢に変更するスペースを確保することができる。続いて、姿勢変更具12を縦姿勢から図1及び図2に示す横姿勢に変更するとともに、移動規制部16aを規制位置P2から規制解除位置P1に回動させる。すなわち、図1の状態の姿勢変更装置11を用いて、パレットPLにワークWを搬入する搬入工程を繰り返すことで、図8(a)に示すように、ワークWをパレットPLに順次載置する。
【0044】
なお、ワークWのパレットPLへの搬入については、ワークWを縦姿勢にした後、移動規制部16aをワークWと干渉しない位置まで回動させてから行ってもよい。
ここで、姿勢変更装置11の基台13における移動機構13cは、パレットPLの載置面PL1上のワークWの枚数に応じて、姿勢変更具本体15を停止させる位置を調整することができる。すなわち、移動機構13cは、パレットPLの載置面PL1上のワークWの枚数が増えるにつれて、パレットPLの支持面PL2からより離れた位置の載置面PL1上にワークWを搬出するように姿勢変更具本体15を移動させることができる。このようにパレットPLに載置したワークWの枚数に応じて、姿勢変更具本体15を調整することで、パレットPLに載置したワークWと姿勢変更具本体15との接触を回避し、かつワークWをパレットPLの所定の位置に近づけて搬出することが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ワークWの姿勢変更具12は、姿勢変更具本体15と、ワークWの移動を規制する移動規制部材16とを備えている。姿勢変更具本体15は、横姿勢のワークWの第1主面W1を支持する第1支持部15aと、縦姿勢のワークWの下端部を支持する第2支持部15bとを有している。姿勢変更具12の移動規制部材16は、縦姿勢のワークWの上端部が姿勢変更具本体15の第1支持部15aから離間する方向に移動することを規制する移動規制部16aを有している。
【0046】
この構成によれば、姿勢変更具本体15の第1支持部15aにより、ワークWの第1主面W1を支持することができる。また、横姿勢の姿勢変更具本体15を縦姿勢に変更することで、ワークWを横姿勢から縦姿勢に変更ことができる。このとき、ワークWの下端部は、姿勢変更具本体15の第2支持部15bにより支持されるため、ワークWの下方への移動を規制することができる。また、移動規制部材16の移動規制部16aによってワークWの上端部が第1支持部15aから離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、縦姿勢のワークWが第2主面W2側に倒れることを移動規制部16aによって抑えることができる。このように上記姿勢変更具12によれば、簡素な構造により板状のワークの姿勢を安定させて変更することができる。
【0047】
(2)ワークWの姿勢変更具12の移動規制部材16は、移動規制部16aを姿勢変更具本体15に回動可能に支持する回動支持部16bをさらに備えている。移動規制部16aは、横姿勢のワークWを姿勢変更具本体15の第2支持部15bとは反対側から第1支持部15aに沿って姿勢変更具本体15に搬入可能な規制解除位置P1と、姿勢変更具本体15に搬入されたワークWの移動を規制する規制位置P2とに回動可能である。
【0048】
この場合、移動規制部16aを規制解除位置P1から規制位置P2に回動させることで、移動規制部16aによるワークWの移動規制を円滑に行うことができる。従って、ワークWの姿勢を変更する作業の効率を高めることができる。
【0049】
(3)姿勢変更具12において、姿勢変更具本体15の第2支持部15b及び移動規制部材16の移動規制部16aは、第1の操作と第2の操作とが可能となるように配置されている。第1の操作は、縦姿勢のワークWの下端部を第2支持部15bから離脱させる操作である。第2の操作は、第1の操作の後にワークWを下方に移動させることで、移動規制部16aによるワークWの規制を解除する操作である。
【0050】
この場合、縦姿勢のワークWを姿勢変更具本体15の第1支持部15aに支持させながら、ワークWの下端部を姿勢変更具本体15の第2支持部15bから離脱させる第1の操作を安定して行うことができる。また、第2の操作において、ワークWの下方への移動を開始する際には、ワークWの上端部の移動は、移動規制部材16の移動規制部16aにより規制されているため、縦姿勢のワークWが倒れることを抑えた状態で、第2の操作を安定して開始することができる。すなわち、縦姿勢のワークWを安定させて姿勢変更具12から搬出することができる。
【0051】
(4)姿勢変更具12の移動規制部材16は、姿勢変更具本体15の第1支持部15aと移動規制部16aとの間隔寸法D1を調整可能な間隔調整機構17を有している。この場合、上記間隔寸法D1をワークWの厚さに適した間隔寸法にすることができるため、異なる厚さのワークWの姿勢の変更に好適に用いることができる。
【0052】
(5)ワークWの姿勢変更装置11は、姿勢変更具12と、姿勢変更具12が装着される基台13とを備えている。姿勢変更装置11は、基台13に対して姿勢変更具本体15を回動可能に支持する回動支持機構18を備えている。姿勢変更具本体15は、回動支持機構18により回動されることで、横姿勢と縦姿勢とに変更可能に構成されている。この場合、姿勢変更具本体15を容易に回動させることができる。
【0053】
(6)姿勢変更装置11の基台13は、縦姿勢の姿勢変更具本体15を、姿勢変更具本体15の第1支持部15a側を前方として前進及び後退させる移動機構13cを備えている。
【0054】
この場合、ワークWを支持させた縦姿勢の姿勢変更具本体15を基台13の移動機構13cにより前進させることで、例えば、ワークWをパレットPLの載置面PL1上まで移動させることができる。従って、パレットPLの載置面PL1上で姿勢変更具12からワークWを搬出する作業を行うことができるため、パレットPLにワークWを効率的に搬入することができる。
【0055】
(7)姿勢変更装置11は、姿勢変更具本体15を横姿勢から縦姿勢に回転駆動させる駆動部19aを有している。この場合、サイズが比較的大きく、重量が比較的重いワークWであっても、横姿勢から縦姿勢に容易に変更することができる。従って、サイズの比較的大きいワークWであっても、ワークWの姿勢を変更する工程を効率的に行うことができる。
【0056】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・姿勢変更具12の移動規制部材16における間隔調整機構17を省略してもよい。
・姿勢変更装置11は、回動支持機構18を駆動する駆動装置19を備えているが、駆動装置19を省略してもよい。なお、姿勢変更装置11は、回動支持機構18の回転運動のエネルギーを減衰するダンパーを備えることで、ワークWに加わる衝撃を抑えることができる。
【0058】
・姿勢変更装置11の移動機構13cは、移動台13bを移動させるように構成されているが、基台13の全体を走行させる車輪等の移動機構に変更することもできる。但し、基台本体13aを利用して姿勢変更装置11全体を位置決めすることができることから、基台13は、基台本体13a及び移動台13bを備えることが好ましい。
【0059】
・姿勢変更具12は、姿勢変更装置11の一部を構成しているが、姿勢変更具12を単独で作業者が把持して操作することもできる。例えば、コンベア装置14の下流側に設置した作業台上に姿勢変更具12を横姿勢で載置して、コンベア装置14から横姿勢のワークWを姿勢変更具本体15に搬入する。次に、移動規制部16aを規制解除位置P1から規制位置P2に回動させた後、作業者が姿勢変更具本体15を起立させるように持ち上げて縦姿勢に変更すればよい。
【0060】
・姿勢変更具12は、上述したようにワークWの第1の操作及び第2の操作を行うことで、移動規制部16aによるワークWの規制を解除している。すなわち、移動規制部16aを規制位置P2に配置した状態で、ワークWを姿勢変更具本体15から搬出しているが、移動規制部16aを規制解除位置P1に回動させた後、ワークWを姿勢変更具本体15から搬出してもよい。この場合、姿勢変更具12の第2支持部15b及び移動規制部16aは、上述したワークWの第1の操作及び第2の操作を不能とする位置に配置されていてもよい。
【0061】
・姿勢変更具12の移動規制部材16は、移動規制部16aと、移動規制部16aを姿勢変更具本体15に取り付ける取付部とを備えていてもよい。すなわち、移動規制部材16を姿勢変更具本体15に着脱可能に構成し、移動規制部材16を姿勢変更具本体15に取り付けることで、移動規制部16aをワークWの移動の規制する規制位置P2に配置する構成であってもよい。
【0062】
・姿勢変更具12の移動規制部材16は、移動規制部16aが規制位置P2となるように固定された構成であってもよい。この場合、コンベア装置14により搬送されたワークWを持ち上げてワークWの一端部を姿勢変更具本体15と移動規制部16aとの間に挿入するとともに、ワークWの第1主面W1を姿勢変更具本体15の第1支持部15aに支持させればよい。
【0063】
・姿勢変更装置11は、縦姿勢のワークWをパレットPL以外の場所に載置する用途に用いることもできる。例えば、ワークWを検査する検査装置やワークWを加工する加工装置にワークWを搬入する用途に姿勢変更装置11を用いてもよい。
【0064】
・上記姿勢変更装置11の用途は、ワークWの姿勢を横姿勢から縦姿勢に変更する用途に限定されず、ワークWの姿勢を縦姿勢から横姿勢に変更する用途であってもよい。すなわち、上記姿勢変更装置11は、例えば、パレットPLに縦姿勢で載置されたワークWを横姿勢に変更してコンベア装置14のコンベア上に載置する用途に用いることもできる。この場合、例えば、移動規制部16aを規制解除位置P1にした姿勢変更具本体15にワークWを搬入し、移動規制部16aを規制位置P2に回動させる。次に、姿勢変更具本体15を縦姿勢から横姿勢にした後、移動規制部16aを規制位置P2から規制解除位置P1に回動させる。これにより、横姿勢のワークWを第2支持部15bとは反対側から第1支持部15aに沿って姿勢変更具本体15から搬出可能となる。
【符号の説明】
【0065】
11…姿勢変更装置
12…姿勢変更具
13…基台
13c…移動機構
15…姿勢変更具本体
15a…第1支持部
15b…第2支持部
16…移動規制部材
16a…移動規制部
16b…回動支持部
17…間隔調整機構
18…回動支持機構
19a…駆動部
20…梱包体
P1…規制解除位置
P2…規制位置
PL…パレット
W…ワーク
W1…第1主面
W2…第2主面
図1
図2
図3
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図5
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図8