(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】通信端末、位置検出システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20240402BHJP
【FI】
G06F21/32
(21)【出願番号】P 2020146571
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安永 豊
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晋弥
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-048470(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017440(WO,A1)
【文献】特開2015-121904(JP,A)
【文献】特開2020-035234(JP,A)
【文献】特開平03-138898(JP,A)
【文献】特開平02-068899(JP,A)
【文献】特開2021-174434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末であって、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するメモリーと、
ユーザー認証を実行するコントローラーと、
前記識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を備え、
前記コントローラーは、
前記ユーザー認証に成功している場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げず、
前記ユーザー認証に成功していない場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げ
、
前記通信インターフェースが前記識別情報を含む前記信号を発信することは、電波を利用して前記識別情報を含む前記信号を発信することを含み、
前記通信端末は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材をさらに備え、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げることは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げないことは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、通信端末。
【請求項2】
前記通信端末は、前記ユーザーの身体に装着可能であり、
前記コントローラーは、前記通信端末が前記ユーザーの身体に装着された場合に、前記ユーザー認証を実行する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
通信端末であって、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するメモリーと、
ユーザー認証を実行する機器から当該ユーザー認証の結果を取得するコントローラーと、
前記識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を備え、
前記コントローラーは、
前記ユーザー認証に成功している場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げず、
前記ユーザー認証に成功していない場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げ
、
前記通信インターフェースが前記識別情報を含む前記信号を発信することは、電波を利用して前記識別情報を含む前記信号を発信することを含み、
前記通信端末は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材をさらに備え、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げることは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げないことは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、通信端末。
【請求項4】
前記通信端末は、前記ユーザーの身体に装着可能であり、
前記コントローラーは、前記通信端末が前記ユーザーの身体に装着された場合に、前記機器から前記結果を取得する、請求項3に記載の通信端末。
【請求項5】
前記ユーザーの身体に前記通信端末を装着させるための装着部材をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
前記通信端末は、腕時計型、ネックレス型、または、サングラス型の端末である、請求項5に記載の通信端末。
【請求項7】
前記ユーザーの生体情報を計測するセンサーをさらに備え、
前記コントローラーは、前記センサーの検出出力を用いて、前記通信端末が前記ユーザーの身体に装着されているか否かを判断する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項8】
前記センサーは、体温および心拍の少なくとも一方を検出する、請求項7に記載の通信端末。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記ユーザー認証が失敗であった場合、または、前記通信端末が前記ユーザーの身体から外された場合に、前記ユーザー認証に成功していないと判断する、請求項7または請求項8に記載の通信端末。
【請求項10】
前記妨害部材は、金属で構成される部材、または、電波を吸収する要素を含む部材である、請求項
1~請求項9に記載の通信端末。
【請求項11】
前記通信インターフェースは、RF(Radio Frequency)ID(Identifier)デバイス
、ビーコン発信器、および、WiFiモジュールの中の少なくとも1つによって構成される、請求項1~請求項
10のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項12】
前記RFIDデバイスは、パッシブタイプのRFタグ、セミパッシブタイプのRFタグ、またはアクティブタイプのRFタグを含む、請求項
11に記載の通信端末。
【請求項13】
第1の通信端末と、
前記第1の通信端末と通信可能な第2の通信端末と、
サーバー装置と、を備え、
前記第1の通信端末は、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納する第1のメモリーと、
ユーザー認証を実行するコントローラーと、
前記識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を含み、
前記コントローラーは、
前記ユーザー認証に成功している場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げず、
前記ユーザー認証に成功していない場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げ、
前記第2の通信端末は、
前記第2の通信端末を識別する装置情報を格納する第2のメモリーを含み、
前記第1の通信端末から前記識別情報を受信したことに応じて、前記識別情報と前記装置情報とを前記サーバー装置へ送信し、
前記サーバー装置は、
前記第2の通信端末から前記識別情報と前記装置情報とを受信したことに応じて、前記識別情報によって特定される前記ユーザーが前記装置情報によって特定される前記第2の通信端末に対応する場所に位置していることを特定
し、
前記通信インターフェースが前記識別情報を含む前記信号を発信することは、電波を利用して前記識別情報を含む前記信号を発信することを含み、
前記第1の通信端末は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材をさらに備え、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げることは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げないことは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、位置検出システム。
【請求項14】
第1の通信端末と、
前記第1の通信端末と通信可能な第2の通信端末と、
前記第1の通信端末と通信可能な第3の通信端末と、
サーバー装置と、を備え、
前記第1の通信端末は、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納する第1のメモリーを含み、
前記第3の通信端末は、
ユーザー認証を実行し、
前記第1の通信端末は、
前記第3の通信端末から前記ユーザー認証の結果を取得するコントローラーと、
前記識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を含み、
前記コントローラーは、
前記ユーザー認証に成功している場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げず、
前記ユーザー認証に成功していない場合、前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げ、
前記第2の通信端末は、
前記第2の通信端末を識別する装置情報を格納する第2のメモリーを含み、
前記第1の通信端末から前記識別情報を受信したことに応じて、前記識別情報と前記装置情報とを前記サーバー装置へ送信し、
前記サーバー装置は、
前記第2の通信端末から前記識別情報と前記装置情報とを受信したことに応じて、前記識別情報によって特定される前記ユーザーが前記装置情報によって特定される前記第2の通信端末に対応する場所に位置していることを特定
し、
前記通信インターフェースが前記識別情報を含む前記信号を発信することは、電波を利用して前記識別情報を含む前記信号を発信することを含み、
前記第1の通信端末は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材をさらに備え、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げることは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記コントローラーが前記通信インターフェースによる前記信号の発信を妨げないことは、前記コントローラーが前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、位置検出システム。
【請求項15】
コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、前記
プロセッサーに、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するステップと、
ユーザー認証を実行するステップと、
通信インターフェースに、電波を利用して前記識別情報を含む信号を発信
させるステップと、
前記ユーザー認証に成功しているか否かを判断するステップと、
前記ユーザー認証に成功している場合
、前記信号の発信を妨げな
い制御
を行うステップと、
前記ユーザー認証に成功していない場合
、前記信号の発信を妨げ
る制御
を行うステップと、を実行させ
、
前記信号の発信を妨げる制御は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記信号の発信を妨げない制御は、前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、プログラム。
【請求項16】
コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、前記
プロセッサーに、
ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するステップと、
他の機器からユーザー認証の結果を取得するステップと、
通信インターフェースに、電波を利用して前記識別情報を含む信号を発信
させるステップと、
前記ユーザー認証に成功しているか否かを判断するステップと、
前記ユーザー認証に成功している場合
、前記信号の発信を妨げな
い制御
を行うステップと、
前記ユーザー認証に成功していない場合
、前記信号の発信を妨げ
る制御
を行うステップと、を実行させ、
前記信号の発信を妨げる制御は、前記通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、
前記信号の発信を妨げない制御は、前記妨害部材と前記通信インターフェースとの離間距離を前記閾値よりも広げることを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザーが携帯する通信端末、当該通信端末を利用したユーザーの位置を検出するシステム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RF(Radio Frequency)タグなどの識別情報を提供する通信端末が、人または物体の位置検出に利用されている。たとえば、特表2008-541244号公報(特許文献1)は、個人にRFタグが埋め込まれた衣類を提供し、識別情報を含むRFタグの位置を検出することにより、上記個人の位置を検出する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、RFタグが意図された個人によって身に付けられているか否かは検討されていない。一般に、意図された個人であるかの特定には認証技術が用いられる。こうした認証技術としては、IDやパスワードの入力による認証や、指紋等の生体情報による認証が挙げられる。このことから、RFタグに認証部を付加し、認証結果をRFタグの識別情報と紐づけることで特定された位置が意図された個人の位置であることの信頼性を高めることが考えられる。
【0005】
しかしながら、ある時点でRFタグとユーザーを紐づけしたとしても、認証後にRFタグを誰かに渡したり、落として他のユーザーに拾われたり、あるいは盗まれたり、といった場合に、データだけではその事実を検出することができず、本来特定すべきユーザーとは異なるユーザーの位置をRFタグで検出することになってしまっていた。
【0006】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、位置検出システムの検出結果の信頼性を高めるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、通信端末が提供される。通信端末は、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するメモリーと、ユーザー認証を実行するコントローラーと、識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を備える。コントローラーは、ユーザー認証に成功している場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げず、ユーザー認証に成功していない場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げる。
【0008】
好ましくは、通信端末は、ユーザーの身体に装着可能であり、コントローラーは、通信端末がユーザーの身体に装着された場合に、ユーザー認証を実行する。
【0009】
本開示の他の局面に従うと、通信端末が提供される。通信端末は、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するメモリーと、ユーザー認証を実行する機器から当該ユーザー認証の結果を取得するコントローラーと、識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を備える。コントローラーは、ユーザー認証に成功している場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げず、ユーザー認証に成功していない場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げる。
【0010】
好ましくは、通信端末は、ユーザーの身体に装着可能であり、コントローラーは、通信端末がユーザーの身体に装着された場合に、機器から結果を取得する。
【0011】
好ましくは、通信端末は、ユーザーの身体に通信端末を装着させるための装着部材をさらに備える。
【0012】
好ましくは、通信端末は、腕時計型、ネックレス型、または、サングラス型の端末である。
【0013】
好ましくは、通信端末は、ユーザーの生体情報を計測するセンサーをさらに備える。コントローラーは、センサーの検出出力を用いて、通信端末がユーザーの身体に装着されているか否かを判断する。
【0014】
好ましくは、センサーは、体温および心拍の少なくとも一方を検出する。
【0015】
好ましくは、コントローラーは、ユーザー認証に失敗した場合、または、通信端末がユーザーの身体から外された場合に、ユーザー認証に成功していないと判断する。
【0016】
好ましくは、通信インターフェースが識別情報を含む信号を発信することは、電波を利用して識別情報を含む信号を発信することを含む。通信端末は、通信インターフェースによる電波の受発信を妨害するための妨害部材をさらに備える。コントローラーが通信インターフェースによる信号の発信を妨げることは、コントローラーが妨害部材と通信インターフェースとの離間距離を閾値以下に狭めることを含み、コントローラーが通信インターフェースによる信号の発信を妨げないことは、コントローラーが妨害部材と通信インターフェースとの離間距離を閾値よりも広げることを含む。
【0017】
好ましくは、妨害部材は、金属で構成される部材、または、電波を吸収する要素を含む部材である。
【0018】
好ましくは、コントローラーが通信インターフェースによる信号の発信を妨げることは、コントローラーが通信インターフェースに電流を供給することを含み、コントローラーが通信インターフェースによる信号の発信を妨げないことは、コントローラーが通信インターフェースへの電流の供給を停止することを含む。
【0019】
好ましくは、通信インターフェースは、RF(Radio Frequency)ID(Identifier)デバイス、ビーコン発信器、および、WiFiモジュールの中の少なくとも1つによって構成される。
【0020】
好ましくは、RFIDデバイスは、パッシブタイプのRFタグ、セミパッシブタイプのRFタグ、またはアクティブタイプのRFタグを含む。
【0021】
本開示の他の局面に従うと、位置検出システムが提供される。位置検出システムは、第1の通信端末と、第1の通信端末と通信可能な第2の通信端末と、サーバー装置と、を備える。第1の通信端末は、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納する第1のメモリーと、ユーザー認証を実行するコントローラーと、識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を含む。コントローラーは、ユーザー認証に成功している場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げず、ユーザー認証に成功していない場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げる。第2の通信端末は、第2の通信端末を識別する装置情報を格納する第2のメモリーを含み、第1の通信端末から識別情報を受信したことに応じて、識別情報と装置情報とをサーバー装置へ送信する。サーバー装置は、第2の通信端末から識別情報と装置情報とを受信したことに応じて、識別情報によって特定されるユーザーが装置情報によって特定される第2の通信端末に対応する場所に位置していることを特定する。
【0022】
本開示の他の局面に従うと、位置検出システムが提供される。位置検出システムは、第1の通信端末と、第1の通信端末と通信可能な第2の通信端末と、第1の通信端末と通信可能な第3の通信端末と、サーバー装置と、を備える。第1の通信端末は、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納する第1のメモリーを含む。第3の通信端末は、ユーザー認証を実行する。第1の通信端末は、第3の通信端末からユーザー認証の結果を取得するコントローラーと、識別情報を含む信号を発信する通信インターフェースと、を含む。コントローラーは、ユーザー認証に成功している場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げず、ユーザー認証に成功していない場合に、通信インターフェースによる信号の発信を妨げる。第2の通信端末は、第2の通信端末を識別する装置情報を格納する第2のメモリーを含み、第1の通信端末から識別情報を受信したことに応じて、識別情報と装置情報とをサーバー装置へ送信する。サーバー装置は、第2の通信端末から識別情報と装置情報とを受信したことに応じて、識別情報によって特定されるユーザーが装置情報によって特定される第2の通信端末に対応する場所に位置していることを特定する。
【0023】
本開示の他の局面に従うと、プログラムが提供される。プログラムは、コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、コンピューターに、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するステップと、ユーザー認証を実行するステップと、識別情報を含む信号を発信するステップと、ユーザー認証に成功しているか否かを判断するステップと、ユーザー認証に成功している場合に、コンピューターを、信号の発信を妨げない状態に制御するステップと、ユーザー認証に成功していない場合に、コンピューターを、信号の発信を妨げる状態に制御するステップと、を実行させる。
【0024】
本開示の他の局面に従うと、プログラムが提供される。プログラムは、コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、コンピューターに、ユーザーに関連付けられた識別情報を格納するステップと、他の機器からユーザー認証の結果を取得するステップと、識別情報を含む信号を発信するステップと、ユーザー認証に成功しているか否かを判断するステップと、ユーザー認証に成功している場合に、コンピューターを、信号の発信を妨げない状態に制御するステップと、ユーザー認証に成功していない場合に、コンピューターを、信号の発信を妨げる状態に制御するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、通信端末は、ユーザー認証に成功している場合に、ユーザーに関連付けられた識別情報を発信する。これにより、通信端末が識別情報を発信するときに通信端末が意図されたユーザーによって携帯されていることの信頼度が高められ、発信された識別情報を利用する位置検出システムの検出結果の信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】位置検出システムの第1の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【
図2】位置検出システムが利用される場面の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態の認証端末のハードウェアブロックの一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態の認証端末の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図5】妨害部材および第1通信I/Fの正面図を模式的に示した図である。
【
図6】ユーザー認証に成功している場合の、妨害部材と第1通信I/Fとの位置関係を示す図である。
【
図7】ユーザー認証に成功していない場合の、妨害部材と第1通信I/Fとの位置関係を示す図である。
【
図8】第1の例を採用する第1の実施の形態の認証端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図9】ユーザー認証に成功している場合を示す図である。
【
図10】ユーザー認証に成功していない場合を示す図である。
【
図11】第2の例を採用する第1の実施の形態の認証端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図12】位置検出システムの第2の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【
図13】第2の実施の形態の通信端末のハードウェアブロックの一例を示す図である。
【
図14】第2の実施の形態の通信端末の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図15】第1の例を採用する第2の実施の形態の通信端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図16】第2の例を採用する第2の実施の形態の通信端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照しつつ、位置検出システムの実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能は同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0028】
<第1の実施の形態>
[1.位置検出システムの構成]
図1は、位置検出システムの第1の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【0029】
図1に示されるように、位置検出システムは、認証端末10と、RFIDリーダー20と、位置情報検出用サーバー30と、ユーザー情報管理サーバー40と、位置検出統合サーバー50とを含む。
【0030】
位置検出システムは、2以上の認証端末10を含むことができる。認証端末10は、「通信端末」または「第1の通信端末」の一例であり、当該認証端末10を識別する情報(端末ID)を含む信号を発信する。位置検出システムでは、端末IDは、ユーザー情報管理サーバー40においてユーザー名と関連付けられる。ユーザー名は、各ユーザーを識別する情報である。したがって、位置検出システムでは、端末IDは、ユーザーに関連付けられた識別情報の一例といえる。
【0031】
認証端末10は、ユーザーの腕に装着する腕時計型の端末装置である。認証端末10は、ユーザーの腕に装着するためのベルト112を含む。ベルト112は「装着部材」の一例である。これにより、ユーザーは、当該ユーザーの身体に認証端末10を装着し得る。第1の実施の形態では、認証端末10は、ウェアラブル端末によって実現されるが、必ずしもユーザーの身体に装着されるための構成を含む必要はない。認証端末10は、本明細書において説明されるような機能を実現するためのアプリケーションプログラムをインストールされたスマートフォンなどの端末によって実現されてもよい。
【0032】
認証端末10は、ユーザー認証に利用される第1センサー120(たとえば、指紋センサー)と、ユーザーによる認証端末10の装着の継続の検出に利用される第2センサー130(たとえば、体温センサー)とを含む。認証端末10の構成の詳細は、
図3等を参照して後述される。
【0033】
認証端末10は、第1通信インターフェース150(インターフェースは、「I/F」とも表記され得る)を含む。第1通信I/F150は、たとえば、パッシブタイプのRFタグを含むRFIDデバイスによって実現される。一般的に、パッシブタイプのRFタグは、RFIDリーダー20から発信された電波を受信して電力を発生させ、その電力を動力にして電波を発信する。第1通信インターフェース150は、RFIDリーダー20から発信された電波を受信して電力を発生させ、その電力を動力にして端末IDを含む信号を電波に乗せて発信する。RFIDリーダー20は、第1通信インターフェース150が発信した電波を受信して、端末IDを読み取る。認証端末10は、認証端末10が正当なユーザーによって装着されている場合(「ユーザー認証に成功している場合」に相当)に限り、信号を発信できる仕組みを備えている。当該仕組みにより、RFIDリーダー20は、ユーザー認証に成功している場合に限り、端末IDを取得することができる。
【0034】
位置検出システムは、2以上のRFIDリーダー20を含むことができる。RFIDリーダー20は、「第2の通信端末」の一例である。各RFIDリーダー20は、認証端末10から上記信号を受信すると、各RFIDリーダー20を識別する情報(RFIDなどであり、「装置情報」に相当)と上記信号に含まれる端末IDとを、互いに関連付けて位置情報検出用サーバー30へ送信する。RFIDは、RFIDリーダー20のメモリーに格納されている。RFIDリーダー20は、さらに認証端末10から上記信号を受信した時刻を特定する情報を、位置情報検出用サーバー30へ送信してもよい。
【0035】
位置情報検出用サーバー30は、各RFIDリーダー20から受信した情報を、位置検出統合サーバー50へ送信する。
【0036】
ユーザー情報管理サーバー40は、2以上のユーザー名のそれぞれと、2以上の認証端末10のそれぞれの端末IDとを、一対一で関連付ける情報(ユーザーデータベース)を管理する。ユーザー情報管理サーバー40は、ユーザーデーターベースを位置検出統合サーバー50へ送信する。位置検出統合サーバー50は、「サーバー装置」の一例である。
【0037】
位置検出統合サーバー50は、位置情報検出用サーバー30から、RFIDに関連付けられた端末IDを取得し、また、ユーザー情報管理サーバー40から、ユーザーデーターベース(各端末IDに関連付けられたユーザー名)を取得する。
【0038】
位置検出統合サーバー50は、ユーザーデーターベースを参照することにより、位置情報検出用サーバー30から取得したRFIDに関連付けられた端末IDについて、当該端末IDに関連付けられたユーザーIDを取得する。これにより、各RFIDリーダー20と通信可能な範囲に位置したユーザーのユーザー名を特定し得る。
【0039】
認証端末10による信号の発信はユーザー認証に成功している場合に限られるので、RFIDリーダー20による端末IDの取得もまた、ユーザー認証に成功している場合に限られる。これにより、認証端末10が意図されたユーザーによって携帯されていることの信頼度が高められるので、発信された識別情報を利用する位置検出システムの検出結果の信頼性が高められる。
【0040】
[2.位置検出システムの利用例]
図2は、位置検出システムが利用される場面の一例を示す図である。
図2の例において、ユーザー999は、腕に認証端末10を装着している。
【0041】
図2の例において、ユーザーの位置検出の対象となる領域が、領域ARとして示されている。領域AR内の複数箇所のそれぞれに、RFIDリーダー20が設置されている。
図2では、各RFIDリーダー20に、互いに異なる符号(20-A,20-B,20-C,20-D)が付されている。
【0042】
図2に示された状態では、ユーザー999は、RFIDリーダー20-Aの近傍に位置している。認証端末10は、ユーザー999の認証に成功すると、当該認証端末10の端末IDを含む信号を発信する。RFIDリーダー20-Aは、当該信号を受信し、RFIDリーダー20-AのIDとともに位置情報検出用サーバー30へ送信する。位置情報検出用サーバー30は、受信した信号を位置検出統合サーバー50へ送信し、位置検出統合サーバー50は、位置情報検出用サーバー30から受信した信号を利用して、ユーザー999がRFIDリーダー20-Aの近傍に位置することを特定する。
【0043】
図2に示されたように、位置検出システムは、たとえば、セキュリティーエリア内でどのユーザーがどこに位置しているかを特定したり、あるユーザーの位置履歴を生成したりするのに利用され得る。ただし、これらは、位置検出システムの利用方法の単なる一例である。
【0044】
[3.ハードウエア構成]
図3は、第1の実施の形態の認証端末10のハードウェアブロックの一例を示す図である。
図3に示されるように、認証端末10は、コントローラー110、メモリー111、第1センサー120、第2センサー130、電源140、第1通信I/F150、第2通信I/F160、表示装置170、および入力装置180を含む。
【0045】
コントローラー110は、認証端末10の動作を制御する。一実現例では、コントローラー110は、CPU(Central Processing Unit)を含み、コントローラー110は、当該CPUに所与のプログラムを実行させることによって、認証端末10の動作を制御する。他の実現例では、コントローラー110は、制御用の回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field-Programmable Gate Array)を含み、コントローラー110は、このような回路の動作に基づいて、認証端末10の動作を制御する。
【0046】
メモリー111は、認証端末10の制御に利用される種々のデータ(たとえば、端末ID)を格納する。
【0047】
第1センサー120は、ユーザー認証に用いる生体情報を検出する。例えば、認証端末10は、心拍パターンを用いてユーザーを認証してもよく、この場合、第1センサー120は、心拍センサーによって実現され得る。また、認証端末10は、手首や指などにおける静脈パターンを用いてユーザーを認証してもよく、この場合、第1センサー120は、近赤外光センサーによって実現され得る。
【0048】
第2センサー130は、認証端末10がユーザーに装着されているか否かの判定に用いる生体情報を検出する。一実現例では、認証端末10は、第2センサー130によって検出される温度が人間の体温に相当する温度であるか否かによって、認証端末10がユーザーに装着されているか否かを判断し得る。例えば、認証端末10には、予め人間の体温に相当する温度の範囲が登録されており、認証端末10は、第2センサー130によって検出される温度が当該範囲内である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていると判断し、第2センサー130によって検出される温度が当該範囲外である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていないと判断する。この場合、第2センサー130は、温度センサーによって実現され得る。他の実現例では、認証端末10は、第2センサー130によって検出される心拍数が人間の心拍数に相当する心拍数であるか否かによって、認証端末10がユーザーに装着されているか否かを判断し得る。例えば、認証端末10には、予め人間の心拍数に相当する心拍数の範囲が登録されており、認証端末10は、第2センサー130によって検出される心拍数が当該範囲内である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていると判断し、第2センサー130によって検出される心拍数が当該範囲外である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていないと判断する。この場合、第2センサー130は、心拍センサーによって実現される。
【0049】
電源140は、種々の形式の電池によって実現されることができ、認証端末10内の種々の要素に電力を供給し得る。
【0050】
第1通信I/F150は、
図1で説明したので、ここでは説明を繰り返さない。
【0051】
第2通信I/F160は、無線LANやBluetooth(登録商標)によるデータ通信のためのインターフェースであり、たとえば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4無線モジュールまたはBluetooth通信用のインターフェースによって実現される。
【0052】
表示装置170は、認証端末10の状態などを表示する。表示装置170は、液晶表示装置などの表示用のユニットによって実現されてもよいし、LED(Light Emitting Diode)などの要素によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0053】
入力装置180は、認証端末10への情報の入力を受け付ける。入力装置180は、ハードウェアキーによって実現されてもよいし、表示装置170に表示されるソフトウェアキーによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0054】
[4.機能的構成]
図4は、第1の実施の形態の認証端末10の機能的な構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、認証端末10は、その機能として、認証部11、認証用生体情報取得部12、装着状態取得部13、電源制御部14、電波制御部15、発信制御部16、電波発信部17、および、通信部18を含む。
【0055】
認証部11は、認証端末10を装着しているユーザーが認証端末10の本来のユーザーであることを特定するために、ユーザー認証を実行する。認証部11は、コントローラー110によって実現される。認証端末10には、ユーザー認証に利用される照合用情報が登録されており、認証部11は、認証用に入力された情報と照合用情報とを照合し、当該照合の結果に基づいて、ユーザー認証が成功したか否かを判断する。
【0056】
一実現例では、ユーザー認証としてユーザーの心拍による生体認証が実行される。この場合、認証端末10には、予め照合用情報として特定ユーザーの心拍パターン情報が登録される。認証部11は、入力された心拍情報と照合用情報として登録されている心拍パターン情報とを照合することによりこれらの一致度を特定し、一致度が予め定められた閾値以上となった場合に、ユーザー認証に成功したと判断し、一致度が上記閾値未満であればユーザー認証に失敗したと判断する。
【0057】
認証用生体情報取得部12は、認証部11が生体情報によってユーザー認証を実行する場合に、認証用の生体情報を取得し、認証部11へ出力する。認証用生体情報取得部12は、第1センサー120によって実現される。なお、認証部11がユーザー認証に生体情報を利用しない場合(たとえば、ユーザーをパスワードで認証する場合)、認証用生体情報取得部12は省略され得、その代わりに、認証端末10は、パスワードなどの認証用の情報を取得する機能を含む。当該機能は、たとえば、入力装置180によって実現され得る。
【0058】
装着状態取得部13は、認証端末10がユーザーによって装着されているか否かを表すデータを取得し、当該データを認証部11へ出力する。装着状態取得部13は、第2センサー130によって実現される。
【0059】
電源制御部14は、電源140から認証端末10内の各要素への電力の供給を制御(電圧調整など)する。電源制御部14は、たとえば、コントローラー110に含まれる電気回路によって実現される。
【0060】
電波制御部15は、RFタグとして機能する認証端末10が送信する電波を制御する。電波制御部15は、たとえば、コントローラー110に含まれる電気回路によって実現される。一実現例では、認証端末10には、認証端末10を識別する端末IDが登録されている。電波制御部15は、認証端末10が発信する信号に端末IDを特定する情報を含める。
【0061】
発信制御部16は、RFタグとして機能する認証端末10による信号の発信を制御する。発信制御部16は、たとえば、コントローラー110に含まれる電気回路によって実現される。発信制御部16は、ユーザー認証に成功している場合には、第1通信I/F150による信号の発信を妨げず、ユーザー認証に成功していない場合には、第1通信I/F150による信号の発信を妨げる。
【0062】
発信制御部16は、たとえば、第1通信I/F150と後述の妨害部材との離間距離を変えることにより、認証端末10による信号の発信を制御する。一実現例では、発信制御部16は、ユーザー認証に成功している場合には、第1通信I/F150と妨害部材との離間距離を広げ、ユーザー認証に成功していない場合には、第1通信I/F150と妨害部材との離間距離を狭める。
【0063】
また、他の例として、発信制御部16は、第1通信I/F150への電流の供給有無を切り替えることにより、認証端末10による信号の発信を制御する。一実現例では、発信制御部16は、ユーザー認証に成功している場合には、第1通信I/F150に電流を供給せず、ユーザー認証に成功していない場合には、第1通信I/F150に電流を供給する。
【0064】
電波発信部17は、RFタグの主な機能を実現し、たとえば、第1通信I/F150によって実現される。一実現例では、電波発信部17は、RFIDリーダー20から電波を受信すると、認証端末10に登録されている端末IDを含む信号を電波に乗せて発信する。電波発信部17により発信された信号は、RFIDリーダー20によって受信される。
【0065】
通信部18は、端末IDや後述の照合用情報等の、認証端末10に登録されるデータを受信する。通信部18は、たとえば、第2通信I/F160、第1通信I/F150、またはこれらの双方によって、実現される。
【0066】
第1の実施の形態の位置検出システムでは、通信部18は、ユーザー情報管理サーバー40からネットワークを介してデータを受信する。なお、通信部18への端末ID等のデータの登録は、ユーザー情報管理サーバー40以外の装置から行われてもよいし、認証端末10が操作されることによって行われてもよい。
【0067】
[5.登録される情報の種類]
位置検出システムの各要素において登録される情報の種類の一例を説明する。
【0068】
(1)ユーザー情報管理サーバー40
ユーザー情報管理サーバー40は、ユーザーごとに、ユーザー名と、端末IDと、照合用情報とが登録される。
【0069】
一実現例では、位置検出システムの管理者は、各ユーザーに端末を貸与する際に、各ユーザーのユーザー名と端末IDとを関連付けてユーザー情報管理サーバー40に登録する。各ユーザーは、照合用情報を管理者に申請する。管理者は、ユーザー情報管理サーバー40に、さらに、各ユーザーのユーザー名に関連付けて、照合用情報を登録する。
【0070】
(2)認証端末10
認証端末10は、端末IDと照合用情報とが登録される。
【0071】
一実現例では、認証端末10には、その製造時に端末IDが登録される。位置検出システムの管理者は、認証端末10をユーザーに貸与する際に、ユーザーから申請された照合用情報を認証端末10に登録する。これにより、ユーザーは、当該ユーザーが申請した照合用情報が格納された認証端末10を貸与される。
【0072】
[6.認証端末10による信号の発信を制御する仕組みの第1の例]
図5~
図8を参照して、認証端末10による信号の発信を制御する仕組みの第1の例について説明する。第1の例では、発信制御部16は、第1通信I/F150と妨害部材との離間距離を変えることによって、認証端末10による信号の発信を制御する。
【0073】
図5は、妨害部材503および第1通信I/F150の正面図を模式的に示した図である。
図6は、ユーザー認証に成功している場合の、妨害部材503と第1通信I/F150との位置関係を示す図である。
図7は、ユーザー認証に成功していない場合の、妨害部材503と第1通信I/F150との位置関係を示す図である。
図6および
図7には、妨害部材503および第1通信I/F150の側面図が模式的に示されている。
【0074】
認証端末10は、第1通信I/F150、妨害部材503、および妨害部材503をスライドさせるための機構を備える。妨害部材503は、第1通信I/F150による電波の受発信を妨害するための部材である。妨害部材503は、電波を吸収または/および反射する要素を含む。一例として、妨害部材503は、金属で構成される部材である。他の例として、妨害部材503は、電波を吸収する要素と当該要素を収容する容器とによって構成される部材である。電波を吸収する要素の一例は水などの液体であり、このような例では、妨害部材503は、当該液体がペットボトルなどのプラスチック製容器に収容されることによって実現される。電波を吸収する要素の他の例は、ゲル状の電波吸収材である。妨害部材503をスライドさせるための機構とは、レール501およびモーター502である。妨害部材503は、モーター502の駆動により、レール501に沿って、
図5に示す矢印の方向に移動する。発信制御部16は、モーター502を駆動させて妨害部材503をスライドさせることにより、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を変える。
【0075】
離間距離として採用される値の一例は、第1通信I/F150の面のうち妨害部材503と対向する面(
図6および
図7に示す、面A)の外周上の各点と妨害部材503との最短距離の中で最も大きな値である。
図6および
図7では、離間距離の算出方法の一例として、第1通信I/F150の面A上のn個の点のそれぞれと妨害部材503との最短距離が、距離L1,L2,・・・Ln(nは3以上の整数))として示されている。
図6の例では、距離Lnが面Aの外周上の各点と妨害部材503との最短距離の中で最も大きな値であることから、距離Lnが離間距離となる。
図7の例では、距離L1,L2,・・・Lnはいずれも同じであり、この同じ距離が離間距離となる。
【0076】
図6に示すように、妨害部材503と第1通信I/F150とが離れている場合には、第1通信I/F150による信号の発信は妨げられないが、
図7に示すように、妨害部材503と第1通信I/F150とが接近している場合には、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられる。これは、妨害部材503と第1通信I/F150とが接近している場合には、RFIDリーダー20から発信される電波や、第1通信I/F150が発信する電波が妨害部材503によって妨害されるためである。
【0077】
妨害部材503が金属で構成される部材である場合には、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離が閾値以下となると、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられる。具体的には、第1通信I/F150が妨害部材503に貼り付いているような場合には、RFIDリーダー20から電波が発信されたとしても第1通信I/F150の表面で電界成分がゼロとなるため、第1通信I/F150は信号を発信することができない。また、第1通信I/F150が妨害部材503に貼り付いていない場合であっても、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離が閾値以下である場合には、RFIDリーダー20から発信されて第1通信I/F150の表面で反射した電波(応答波)が、RFIDリーダー20から発信されて妨害部材503の表面で反射した電波によって打ち消されるため、第1通信I/F150は信号を発信することができない。上記閾値は、RFIDリーダー20から発信されて第1通信I/F150の表面で反射した電波(応答波)と、RFIDリーダー20から発信されて妨害部材503の表面で反射した電波とが干渉し合うか否かに基づいて定められる。
【0078】
妨害部材503が電波を吸収する要素を含む部材である場合には、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離が閾値以下となると、RFIDリーダー20から発信された電波が妨害部材503に吸収されてしまう。そのため、第1通信I/F150は信号を発信することができない。上記閾値は、RFIDリーダー20から発信された電波が妨害部材503に吸収されるか否かに基づいて定められる。
【0079】
そこで、認証端末10は、ユーザー認証に成功している場合には、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を閾値よりも広げて、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられないようにし、ユーザー認証に成功していない場合には、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を閾値以下に狭めて、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられるようにする。これにより、認証端末10はユーザー認証に成功している場合にのみ信号を発信することが可能となるので、認証端末10による端末IDの発信はユーザー認証に成功している場合に限られる。
【0080】
なお、
図5~
図7に示す例では、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を変えるために、妨害部材503を第1通信I/F150に対し水平方向に移動させたが、他の例として、妨害部材503を第1通信I/F150に対し垂直方向に移動させてもよい。また、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を変えるために、妨害部材503を移動させるのではなく、第1通信I/F150を移動させてもよい。妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を変えるために、第1通信I/F150を移動させる場合には、第1通信I/F150を妨害部材503に対し垂直方向または水平方向に移動させる。また、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を変えるために、妨害部材503と第1通信I/F150との両方を移動させてもよい。
【0081】
図8は、第1の例を採用する第1の実施の形態の認証端末10において実行される処理を示すフローチャートである。認証端末10は、たとえば、コントローラー110のプロセッサーに所与のプログラムを実行させることによって、
図8の処理を実行する。
【0082】
ステップS810にて、認証端末10は、位置検出の開始を指示されたか否かを判断する。認証端末10が当該認証端末10への電源投入開始と同時に位置検出に利用されるように構成されている場合、認証端末10は、電源投入時の起動処理が終了したことに応じて、位置検出の開始を指示されたと判断する。認証端末10が所定の操作によって位置検出に利用されるように構成されている場合、認証端末10は、当該所定の操作がなされたことに応じて、位置検出の開始を指示されたと判断する。認証端末10は、位置検出の開始を指示されたと判断すると(ステップS810にてYES)、ステップS820へ制御を進め、そうでなければ(ステップS810にてNO)、ステップS810に制御を留める。
【0083】
ステップS820にて、認証端末10は、モーター502を駆動させて、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を閾値以下に狭める。一例として、ステップS820の処理により、妨害部材503と第1通信I/F150とは
図7に示すような位置関係となる。これにより、第1通信I/F150は、信号を発信することができなくなる。なお、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離が既に閾値以下である場合には、認証端末10は、ステップS820の制御をすることなく、ステップS830へ制御を進める。
【0084】
ステップS830にて、認証端末10は、認証端末10がユーザーの身体に装着されているか否かを判定する。一例として、第2センサー130が温度センサーであり、認証端末10に予め人間の体温に相当する温度の範囲が登録されている場合、ステップS830にて、認証端末10は、第2センサー130に温度を検出させ、第2センサー130によって検出された温度が登録されている温度の範囲内であるか否かを判定する。認証端末10は、第2センサー130によって検出された温度が当該範囲内である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていると判断し、第2センサー130によって検出された温度が当該範囲外である場合には、認証端末10がユーザーに装着されていないと判断する。認証端末10は、認証端末10がユーザーの身体に装着されていると判断すると(ステップS830にてYES)、ステップS840へ制御を進め、そうでなければ(ステップS830にてNO)、ステップS830に制御を留める。
【0085】
ステップS840にて、認証端末10は、ユーザー認証を実行する。一例として、ユーザー認証に生体情報(たとえば、心拍)を用いる場合、ステップS840にて、認証端末10は、第1センサー120(たとえば、心拍センサー)を介して、認証用の情報として心拍を検出し、照合用情報として登録されている心拍パターンと照合する。
【0086】
ステップS850にて、認証端末10は、ステップS840における認証の結果が成功であるか否かを判断する。ステップS850にてYESと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功している場合」に相当する。ステップS840における認証の結果が成功であると判断すると(ステップS850にてYES)、ステップS860へ制御を進め、そうでなければ(ステップS850にてNO)、ステップS840へ制御を戻す。
【0087】
ステップS860にて、認証端末10は、モーター502を駆動させて、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を閾値よりも広げる。一例として、ステップS860の処理により、妨害部材503と第1通信I/F150とは
図6に示すような位置関係となる。これにより、第1通信I/F150は、信号を発信することができるようになる。
【0088】
位置検出システムでは、認証端末10を携帯するユーザーが領域AR(
図2)に位置する場合、ユーザーの近傍に位置するRFIDリーダー20(
図2のRFIDリーダー20-A~20-Dのいずれか)が認証端末10から発信された信号を受信する。
【0089】
ステップS871にて、認証端末10は、認証端末10がユーザーの身体に装着されているか否かを判定する。ステップS871の処理は、ステップS830と同様の処理である。ステップS871にてNOと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。認証端末10は、認証端末10がユーザーの身体に装着されていると判断すると(ステップS871にてYES)、ステップS873へ制御を進め、そうでなければ(ステップS871にてNO)、ステップS880へ制御を進める。
【0090】
ステップS873にて、認証端末10は、ユーザー認証を実行する。ステップS873の処理は、ステップS840と同様の処理である。
【0091】
ステップS875にて、認証端末10は、ステップS873における認証の結果が成功であるか否かを判断する。ステップS875にてNOと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。認証端末10は、ステップS873における認証の結果が成功であると判断すると(ステップS875にてYES)、ステップS877へ制御を進め、そうでなければ(ステップS875にてNO)、ステップS880へ制御を進める。
【0092】
ステップS877にて、認証端末10は、位置検出の終了を指示されたか否かを判断する。一例として、認証端末10は、当該認証端末10の電源オフを指示された場合に、位置検出の終了を指示されたと判断する。なお、認証端末10は、認証端末10において位置検出用のアプリケーションの終了指示が入力された場合に、位置検出の終了を指示されたと判断してもよい。ステップS877にてYESと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。認証端末10は、位置検出の終了を指示されたと判断すると(ステップS877にてYES)、ステップS880へ制御を進め、そうでなければ(ステップS877にてNO)、ステップS871へ制御を戻す。
【0093】
ステップS880にて、認証端末10は、モーター502を駆動させて、妨害部材503と第1通信I/F150との離間距離を閾値以下に狭める。ステップS880の処理は、ステップS820と同様の処理である。ステップS880の処理により、第1通信I/F150は、信号を発信することができなくなる。
【0094】
ステップS880の後、認証端末10は、
図8に示す一連の処理を終了する。
【0095】
[7.認証端末10による信号の発信を制御する仕組みの第2の例]
図9~
図11を参照して、認証端末10による信号の発信を制御する仕組みの第2の例について説明する。第2の例では、発信制御部16は、第1通信I/F150への電流の供給有無を切り替えることによって、認証端末10による信号の発信を制御する。
【0096】
図9は、ユーザー認証に成功している場合を示す図である。
図10は、ユーザー認証に成功していない場合を示す図である。認証端末10は、電気回路900を備える。電気回路900は、第1通信I/F150に電流を供給するための機構の一例である。電気回路900は、第1通信I/F150、電源140、およびスイッチ901を備える。発信制御部16は、スイッチ901を開閉させて、電流が第1通信I/F150に供給される状態と電流が第1通信I/F150に供給されない状態とを切り替える。
【0097】
図9に示すように、ユーザー認証に成功している場合には、電流が第1通信I/F150に供給されないように、スイッチ901が開かれている。一方、
図10に示すように、ユーザー認証に成功していない場合には、電流が第1通信I/F150に供給されるように、スイッチ901が閉じられている。
【0098】
電流が第1通信I/F150に供給されると、電波が発生し、発生した電波がRFIDリーダー20から発信される電波や、第1通信I/F150が発信する電波を打ち消してしまう。そのため、第1通信I/F150は、信号を発信することができない。一方、電流が第1通信I/F150に供給されていない場合には、RFIDリーダー20から発信される電波や、第1通信I/F150が発信する電波を妨害する電波が発生しない。そのため、第1通信I/F150は、信号を発信することができる。
【0099】
そこで、認証端末10は、ユーザー認証に成功している場合には、第1通信I/F150への電流の供給を停止して、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられないようにし、ユーザー認証に成功していない場合には、電流を第1通信I/F150に供給して、第1通信I/F150による信号の発信が妨げられるようにする。これにより、認証端末10はユーザー認証に成功している場合にのみ信号を発信することが可能となるので、認証端末10による端末IDの発信はユーザー認証に成功している場合に限られる。
【0100】
図11は、第2の例を採用する第1の実施の形態の認証端末10において実行される処理を示すフローチャートである。認証端末10は、たとえば、コントローラー110のプロセッサーに所与のプログラムを実行させることによって、
図11の処理を実行する。
図8の処理と比較して、
図11の処理は、認証端末10による信号の発信を制御するために行われる制御の内容が異なる。より具体的には、
図11の処理は、
図8の処理におけるステップS820,S860,S880の代わりに、ステップS820A,S860A,S880Aを含む。
【0101】
ステップS820Aにて、認証端末10は、スイッチ901を閉じて、第1通信I/F150に電流を供給する。これにより、第1通信I/F150は、信号を発信することができなくなる。
【0102】
ステップS860Aにて、認証端末10は、スイッチ901を開いて、第1通信I/F150への電流の供給を停止する。これにより、第1通信I/F150は、信号を発信することができるようになる。
【0103】
ステップS880Aにて、認証端末10は、スイッチ901を閉じて、第1通信I/F150に電流を供給する。ステップS880Aの処理は、ステップS820Aと同様の処理である。ステップS880Aの処理により、第1通信I/F150は、信号を発信することができなくなる。
【0104】
以上説明された第1の実施の形態では、認証端末10は、認証端末10がユーザーの身体に装着されていることを条件にユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功した場合に限り、端末IDを含む信号を発信することができる。また、認証端末10は、ユーザー認証に失敗したり、認証端末10がユーザーの身体から外されたり、位置検出の終了を指示されたりした場合には、端末IDを含む信号を発信することができない。
【0105】
したがって、ユーザーが認証端末10を外した場合には、信号の発信は停止される。
【0106】
また、他のユーザーが認証端末10を装着した場合には、取得される生体情報は登録されている照合用情報とは異なるため、ユーザー認証が成功することはない。その結果、信号の発信は停止される。
【0107】
このような仕組みにより、認証端末が本来のユーザーから離れた場合や、他のユーザーがなりすましている場合等による、誤った位置検出を防ぐことができる。
【0108】
<第2の実施の形態>
[1.位置検出システムの構成]
図12は、位置検出システムの第2の実施の形態の構成の一例を示す図である。
【0109】
位置検出システムの第2の実施の形態では、ユーザーは、通信端末10Aと認証端末10Bとを携帯する。たとえば、ユーザーは、通信端末10Aを一方の腕に装着し、認証端末10Bを他方の腕に装着する。通信端末10Aは、「通信端末」または「第1の通信端末」の一例であり、当該通信端末10Aを識別する情報(端末ID)を含む信号を発信する。認証端末10Bは、「第3の通信端末」の一例であり、ユーザー認証を実行し、ユーザー認証の結果を通信端末10Aに通知する。すなわち、通信端末10Aと認証端末10Bとによって、第1の実施の形態の認証端末10の機能が実現され得る。また、RFIDリーダー20は「第2の通信端末」の一例であり、位置検出統合サーバー50は「サーバー装置」の一例である。
【0110】
[2.ハードウエア構成]
図13は、第2の実施の形態の通信端末10Aのハードウェアブロックの一例を示す図である。
図3に示された認証端末10のハードウェアブロックと比較して、通信端末10Aは、ユーザー認証を実行する必要がないため、第1センサー120を含まない。その他の点については、通信端末10Aは、認証端末10と同様の構成を有する。
【0111】
認証端末10Bは、ユーザー認証を実行する要素(たとえば、CPU等のプロセッサー、および、生体情報等を取得するためのセンサーまたはパスワードの入力を受け付けるための入力装置)と、通信端末10Aにユーザー認証の結果を通知する要素(通信インターフェース)とを含む。
【0112】
[3.機能的構成]
図14は、第2の実施の形態の通信端末10Aの機能的な構成の一例を示す図である。
図4に示された認証端末10の機能的な構成と比較して、通信端末10Aは、認証部11、認証用生体情報取得部12、および通信部18を含まず、認証結果取得部19を含む。
【0113】
認証結果取得部19は、認証端末10Bからユーザー認証の結果を取得する。認証結果取得部19は、第1通信I/F150または第2通信I/F160によって実現される。
【0114】
一方、認証端末10Bは、認証部11、認証用生体情報取得部12、および通信部18に相当する機能を有し、さらに、認証部11によるユーザー認証の結果を通信端末10Aへ通知するための要素(通知用要素)を含む。認証部11は、通信端末10Aからの要求に応じて、ユーザー認証を実行してもよい。上記通知用要素は、たとえば、認証端末10Bに設けられた通信インターフェースによって実現される。
【0115】
[4.登録される情報の種類]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の認証端末10に登録された種類の情報のうち、RFタグとして出力される信号に含まれる情報は通信端末10Aに登録され、ユーザー認証に利用される情報は認証端末10Bに登録される。すなわち、一実現例では、ユーザー情報管理サーバー40において管理される(ユーザー名と関連付けられる)端末IDは、通信端末10Aに登録され、ユーザー認証に利用される照合用情報は、認証端末10Bに登録される。
【0116】
[5.処理の流れ]
通信端末10Aは、信号の発信を制御する仕組みとして、第1の実施の形態で説明した第1の例または第2の例を採用することができる。
図15は、第1の例を採用する第2の実施の形態の通信端末10Aにおいて実行される処理を示すフローチャートである。通信端末10Aは、たとえば、コントローラー110のプロセッサーに所与のプログラムを実行させることによって、
図15の処理を実行する。
【0117】
図8の処理と比較して、
図15の処理は、ユーザー認証に関連する制御等の内容が異なる。より具体的には、
図15の処理は、
図8の処理におけるステップS830,S840,S850,S871,S873,S875,S877の代わりに、ステップS830B,S840B,S850B,S871B,S873B,S875B,S877Bを含む。
【0118】
ステップS830Bにて、通信端末10Aは、通信端末10Aがユーザーの身体に装着されているか否かを判定する。通信端末10Aは、通信端末10Aがユーザーの身体に装着されていると判断すると(ステップS830BにてYES)、ステップS840Bへ制御を進め、そうでなければ(ステップS830BにてNO)、ステップS830Bに制御を留める。
【0119】
ステップS840Bにて、通信端末10Aは、認証端末10Bに対してユーザー認証の実行を要求し、当該要求に応じて実行されたユーザー認証の結果を認証端末10Bから取得する。
【0120】
ステップS850Bにて、通信端末10Aは、ステップS840Bにおいて取得した結果がユーザー認証の成功であるか否かを判断する。ステップS850BにてYESと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功している場合」に相当する。通信端末10Aは、ステップS840Bにおいて取得した結果がユーザー認証の成功であれば(ステップS850BにおいてYES)、ステップS860へ制御を進め、そうでなければ(ステップS850BにおいてNO)、ステップS840Bへ制御を戻す。
【0121】
ステップS871Bにて、通信端末10Aは、通信端末10Aがユーザーの身体に装着されているか否かを判定する。ステップS871Bの処理は、ステップS830Bと同様の処理である。ステップS871BにてNOと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。通信端末10Aは、通信端末10Aがユーザーの身体に装着されていると判断すると(ステップS871BにてYES)、ステップS873Bへ制御を進め、そうでなければ(ステップS871BにてNO)、ステップS880へ制御を進める。
【0122】
ステップS873Bにて、通信端末10Aは、認証端末10Bに対してユーザー認証の実行を要求し、当該要求に応じて実行されたユーザー認証の結果を認証端末10Bから取得する。ステップS873Bの処理は、ステップS840Bと同様の処理である。
【0123】
ステップS875Bにて、通信端末10Aは、ステップS873Bにおいて取得した結果がユーザー認証の成功であるか否かを判断する。ステップS875BにてNOと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。通信端末10Aは、ステップS873Bにおいて取得した結果がユーザー認証の成功であると判断すると(ステップS875BにてYES)、ステップS877Bへ制御を進め、そうでなければ(ステップS875BにてNO)、ステップS880へ制御を進める。
【0124】
ステップS877Bにて、通信端末10Aは、位置検出の終了を指示されたか否かを判断する。一例として、通信端末10Aは、当該通信端末10Aの電源オフを指示された場合に、位置検出の終了を指示されたと判断する。なお、通信端末10Aは、通信端末10Aにおいて位置検出用のアプリケーションの終了指示が入力された場合に、位置検出の終了を指示されたと判断してもよい。ステップS877BにてYESと判断される場合というのは、「ユーザー認証に成功していない場合」の一例である。通信端末10Aは、位置検出の終了を指示されたと判断すると(ステップS877BにてYES)、ステップS880へ制御を進め、そうでなければ(ステップS877BにてNO、)、ステップS871Bへ制御を戻す。
【0125】
図16は、第2の例を採用する第2の実施の形態の通信端末10Aにおいて実行される処理を示すフローチャートである。通信端末10Aは、たとえば、コントローラー110のプロセッサーに所与のプログラムを実行させることによって、
図16の処理を実行する。
【0126】
図11の処理と比較して、
図16の処理は、ユーザー認証に関連する制御等の内容が異なる。より具体的には、
図16の処理は、
図11の処理におけるステップS830,S840,S850,S871,S873,S875,S877の代わりに、
図15で説明したステップS830B,S840B,S850B,S871B,S873B,S875B,S877Bを含む。
【0127】
以上説明された第2の実施の形態では、通信端末10Aは、通信端末10Aがユーザーの身体に装着されていることを条件に認証端末10Bからユーザー認証の結果を取得し、取得した結果がユーザー認証の成功である場合に限り、端末IDを含む信号を発信することができる。また、通信端末10Aは、取得した結果がユーザー認証の失敗であったり、通信端末10Aがユーザーの身体から外されたり、位置検出の終了を指示されたりした場合には、端末IDを含む信号を発信することができない。その結果、通信端末が本来のユーザーから離れた場合や、他のユーザーがなりすましている場合等による、誤った位置検出を防ぐことができる。
【0128】
<変形例>
以下に、変形例を示す。
【0129】
上記の実施の形態において、認証端末10(または通信端末10A)はベルト112を有し、ユーザーの腕に装着する腕時計型の端末装置であったが、ユーザーが装着するタイプの端末であれば腕時計型に限定されない。認証端末10(または通信端末10A)は、ネックレス型であってもよいし、サングラス型であってもよい。ネックレス型である場合、認証端末10(または通信端末10A)は、「装着部材」として、ユーザーの首にかけるための紐状の部分を含む。サングラス型である場合、認証端末10(または通信端末10A)は、「装着部材」として、ユーザーの顔面に装着されるための要素を含む。また、認証端末10(または通信端末10A)は、ユーザーの持ち物や衣服にぶら下げるタイプの端末(キーホルダー型の端末)であってもよい。キーホルダー型である場合、認証端末10(または通信端末10A)は、「装着部材」として、ユーザーの持ち物や衣服にぶら下げるためのフックを含む。
【0130】
上記の実施の形態において、認証端末10(または通信端末10A)には、ユーザーに関連付けられた識別情報として、端末IDが格納されていたが、これに限定されない。認証端末10(または通信端末10A)に、ユーザー名またはユーザーID等、ユーザーに関連付けられた他の識別情報が格納されていてもよく、認証端末10(または通信端末10A)は、端末IDの代わりに、または、端末IDに加えて、ユーザーの位置検出用に当該他の識別情報を含む信号を発信してもよい。
【0131】
上記の実施の形態において、第1通信I/F150は、たとえば、パッシブタイプのRFタグを含むRFIDデバイスによって実現されるとしたが、これに限定されない。第1通信I/F150は、セミパッシブタイプのRFタグを含むRFIDデバイスによって実現されてもよいし、アクティブタイプのRFタグを含むRFIDデバイスによって実現されてもよい。また、第1通信I/F150は、端末IDを含むビーコンを発信するビーコン発信器であってもよいし、WiFi規格に従って端末IDを含む信号を発信するWiFiモジュールであってもよい。
【0132】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組み合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0133】
10,10B 認証端末、10A 通信端末、20,20-A~20-D RFIDリーダー、30 位置情報検出用サーバー、40 ユーザー情報管理サーバー、50 位置検出統合サーバー、110 コントローラー、111 メモリー、112 ベルト、120 第1センサー、130 第2センサー、140 電源、150 第1通信I/F、501 レール、502 モーター、503 妨害部材、900 電気回路、901 スイッチ、999 ユーザー。