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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】油圧供給装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 51/00 20060101AFI20240402BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20240402BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F04B51/00
F04B49/10 311
F04B49/06 311
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020153840
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047837
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 康弘
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-166340(JP,A)
【文献】特開2012-246826(JP,A)
【文献】特開2006-177316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 51/00
F04B 49/10
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータによって駆動されることによりオイルを吐出するオイルポンプとを有する電動オイルポンプと、
前記電動オイルポンプに前記オイルが逆流することを防ぐ逆止弁と、
前記モータを駆動するインバータ回路と、上位制御装置から入力される制御指令信号に基づいて前記インバータ回路を制御する制御部とを有するモータ制御装置と、
を備え、
前記モータ制御装置は、前記インバータ回路の入力電圧を検出する電圧検出部を有し、
前記制御部は、前記制御指令信号によって前記モータの停止指令を受ける状態において前記インバータ回路の所定相の少なくとも上側スイッチを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を行い、前記スイッチング制御中に前記電圧検出部によって検出される前記インバータ回路の前記入力電圧に基づいて前記逆止弁が故障状態にあるか否かを判断する
油圧供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記スイッチング制御中に前記電圧検出部によって検出される前記インバータ回路の前記入力電圧が所定の閾値を超え、且つ前記入力電圧が前記閾値を超えた状態が所定時間継続した場合に、前記逆止弁が故障状態にあると判断する
請求項1に記載の油圧供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記逆止弁が故障状態にあると判断した場合に、前記スイッチング制御を停止する、
請求項1または請求項2に記載の油圧供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記逆止弁が故障状態にあると判断した場合、前記逆止弁の故障診断結果を前記上位制御装置に通知する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の油圧供給装置。
【請求項5】
前記モータ制御装置は、前記モータの各相の端子電圧を検出する端子電圧検出部を有し、
前記制御部は、前記スイッチング制御中に前記端子電圧検出部によって検出される前記モータの各相の端子電圧に基づいて断線故障の有無を判断する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の油圧供給装置。
【請求項6】
前記モータ制御装置は、前記インバータ回路の前段回路への電流の逆流を防止するダイオードを有する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の油圧供給装置。
【請求項7】
内燃機関によって駆動されることにより前記オイルを吐出する機械オイルポンプと、
前記機械オイルポンプと前記電動オイルポンプとの一方から吐出される前記オイルを対象装置に供給する油圧回路と、
をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の油圧供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両には、自動変速機に油圧を供給する油圧供給装置として、内燃機関によって駆動される機械オイルポンプと、モータによって駆動される電動オイルポンプとを備える油圧供給装置が搭載される。このような油圧供給装置では、機械オイルポンプが作動不能となる内燃機関の停止時に電動オイルポンプを作動させることによって自動変速機に必要な油圧を供給することができる。また、油圧供給装置は、機械オイルポンプから吐出されるオイルが電動オイルポンプに逆流することを防ぐ逆止弁を備える。
【0003】
特許文献1には、エンジン再始動時に逆止弁が閉塞したときに電動オイルポンプが過負荷状態にあると判断して電動オイルポンプへの電流を遮断することにより、電動オイルポンプの電力消費量を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-185500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
逆止弁が故障すると、(a)機械オイルポンプの効率が低下する、(b)機械オイルポンプから吐出されるオイルが電動オイルポンプに逆流することにより、電動オイルポンプに負荷がかかり、電動オイルポンプを正常に起動できない、などの問題が生じる。そのため、逆止弁の故障を検知することが望まれる。
【0006】
電動オイルポンプの作動中であれば、圧力変動を検出することにより逆止弁の故障を検知することが可能である。しかしながら、電動オイルポンプの停止中では圧力変動を正確に検出することが困難であるため、電動オイルポンプの停止中に逆止弁の故障を検知することは困難である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて、電動オイルポンプの停止中に逆止弁の故障を検知可能な油圧供給装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の油圧供給装置における一つの態様は、電動オイルポンプと、逆止弁と、モータ制御装置と、を備える。電動オイルポンプは、モータと、モータによって駆動されることによりオイルを吐出するオイルポンプとを有する。逆止弁は、電動オイルポンプにオイルが逆流することを防ぐ。モータ制御装置は、モータを駆動するインバータ回路と、上位制御装置から入力される制御指令信号に基づいてインバータ回路を制御する制御部とを有する。モータ制御装置は、インバータ回路の入力電圧を検出する電圧検出部をさらに有する。制御部は、制御指令信号によってモータの停止指令を受ける状態においてインバータ回路の所定相の少なくとも上側スイッチを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を行い、スイッチング制御中に電圧検出部によって検出されるインバータ回路の入力電圧に基づいて逆止弁が故障状態にあるか否かを判断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、電動オイルポンプの停止中に逆止弁の故障を検知可能な油圧供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態における油圧供給装置の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態におけるモータ制御装置の回路構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態におけるセンサレス120°通電方式で使用される通電パターン及び位相パターンの一例を示す図である。
図4図4は、センサレス120°通電方式に基づくモータ40の通電制御が行われた場合の各スイッチ及び各信号の状態を示すタイミングチャートである。
図5図5は、内燃機関が動作状態にあり、且つ電動オイルポンプが停止中に制御部が実行する逆止弁の故障診断処理を示すフローチャートである。
図6図6は、逆止弁の故障診断処理が行われた場合のU相上側スイッチ及び各信号の状態などを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態における油圧供給装置1の構成を模式的に示す図である。油圧供給装置1は、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSに基づいて、自動変速機3に油圧を供給する。本実施形態において「油圧を供給する」とは、後述のオイルポンプから吐出されるオイル、すなわちオイルポンプによって加圧されたオイルを対象装置に供給することを意味する。本実施形態では、油圧供給装置1によって油圧を供給される対象装置として自動変速機3を例示するが、対象装置は自動変速機3に限定されない。
【0012】
油圧供給装置1、上位制御装置2、及び自動変速機3は、例えばハイブリッド車両に搭載される。ハイブリッド車両にはプラグインハイブリッド車両も含まれる。上位制御装置2は、ハイブリッド車両に搭載される複数の電子制御装置(ECU)のうち、例えば自動変速機3を制御するECUである。図1に示すように、油圧供給装置1は、オイルパン10と、機械オイルポンプ20と、電動オイルポンプ30と、逆止弁60と、リリーフ弁70と、モータ制御装置80と、を備える。
【0013】
オイルパン10は、自動変速機3の作動に必要なオイルFを貯留する容器である。オイルパン10は、ハイブリッド車両の上下方向の上側に向かって開口する。オイルパン10は、例えばハイブリッド車両において自動変速機3の下部に配置される。オイルFは、ATフルード或いは作動油と呼ばれる場合がある。
【0014】
機械オイルポンプ20は、不図示の内燃機関によって駆動されることによりオイルFを吐出するポンプである。具体的には、内燃機関のクランクシャフトの回転運動が、不図示の動力伝達機構を介して機械オイルポンプ20のポンプロータに伝達される。すなわち、クランクシャフトの回転力によって機械オイルポンプ20のポンプロータが駆動される。機械オイルポンプ20は、例えば内接型ギアポンプなどのギアポンプである。内燃機関は、例えばハイブリッド車両に搭載されるガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、或いはLNGエンジンなどである。
【0015】
機械オイルポンプ20は、油路11と油路12との間に配置される。油路11は、オイルパン10から機械オイルポンプ20の吸入口21へオイルFを移送する配管である。油路12は、機械オイルポンプ20の吐出口22から自動変速機3へオイルFを移送する配管である。機械オイルポンプ20は、内燃機関によって駆動されることにより、油路11を介してオイルパン10から吸入口21へオイルFを吸い込み、加圧されたオイルFを吐出口22から油路12へ吐出する。機械オイルポンプ20の吐出口22から吐出されたオイルFは、油路12を介して自動変速機3に移送される。
【0016】
電動オイルポンプ30は、モータ40と、モータ40によって駆動されることによりオイルFを吐出するオイルポンプ50と、を有する。モータ40は、例えばインナーロータ型の三相ブラシレスDCモータであり、且つホールセンサ等の位置センサを有しないセンサレスモータである。モータ40は、モータ制御装置80と電気的に接続され、モータ制御装置80から供給される三相電力によって回転するロータシャフト41を有する。ロータシャフト41は、オイルポンプ50のポンプロータと機械的に接続される。すなわち、ロータシャフト41の回転力によってオイルポンプ50のポンプロータが駆動される。オイルポンプ50は、例えば内接型ギアポンプなどのギアポンプである。
【0017】
オイルポンプ50は、油路13と油路14との間に配置される。油路13は、オイルパン10からオイルポンプ50の吸入口51へオイルFを移送する配管である。油路14は、オイルポンプ50の吐出口52から逆止弁60の入口61へオイルFを移送する配管である。オイルポンプ50は、モータ40によって駆動されることにより、油路13を介してオイルパン10から吸入口51へオイルFを吸い込み、加圧されたオイルFを吐出口52から油路14へ吐出する。オイルポンプ50の吐出口52から吐出されたオイルFは、油路14を介して逆止弁60に移送される。
【0018】
逆止弁60は、電動オイルポンプ30にオイルFが逆流することを防ぐ弁である。逆止弁60は、油路14と油路15との間に配置される。油路15は、逆止弁60の出口62と油路12とを結ぶ配管である。逆止弁60は、入口61に流入するオイルFを出口62へ通過させるが、出口62に流入するオイルFを入口61へ通過させない。すなわち、油路14を介して電動オイルポンプ30から逆止弁60に移送されるオイルFは、逆止弁60を通過し、油路15及び油路12を介して自動変速機3に移送される。一方、油路15を介して機械オイルポンプ20から逆止弁60に移送されるオイルFは、逆止弁60によって堰き止められ、電動オイルポンプ30へ移送されない。
【0019】
リリーフ弁70は、電動オイルポンプ30と逆止弁60との間の油路14の圧力が規定値を超えたときに自動的に圧力を開放する安全弁である。リリーフ弁70は、油路16と油路17との間に配置される。油路16は、リリーフ弁70の入口71と油路14とを結ぶ配管である。油路17は、リリーフ弁70の出口72からオイルパン10へオイルFを移送する配管である。リリーフ弁70は、油路14の圧力が規定値を超えたときに開弁する。リリーフ弁70が開弁すると、電動オイルポンプ30から吐出されるオイルFは、油路16、リリーフ弁70、及び油路17を介してオイルパン10に移送される。
【0020】
上記のように、油圧供給装置1は、機械オイルポンプ20と電動オイルポンプ30との一方から吐出されるオイルFを自動変速機3に供給する油圧回路を備える。本実施形態における油圧回路は、少なくとも、オイルパン10と、油路11から油路15までの油路と、機械オイルポンプ20と、電動オイルポンプ30と、逆止弁60と、を含む。
【0021】
モータ制御装置80は、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSに基づいて、電動オイルポンプ30のモータ40をホールセンサ等の位置センサ無しで制御する。すなわち、モータ制御装置80は、モータ40の逆起電圧を利用してモータ40の位相を検出し、その位相検出結果に基づいてモータ40の通電制御を行う。以下、図2を参照しながらモータ制御装置80の構成について詳細に説明する。
【0022】
図2は、本実施形態におけるモータ制御装置80の回路構成を示す図である。図2に示すように、モータ制御装置80は、インバータ回路81と、ダイオード82と、電圧検出部83と、U相端子電圧検出部84と、V相端子電圧検出部85と、W相端子電圧検出部86と、制御部87と、を有する。モータ制御装置80によって制御されるモータ40は、U相端子42uと、V相端子42vと、W相端子42wと、U相コイル43uと、V相コイル43vと、W相コイル43wと、を有する。
【0023】
U相端子42u、V相端子42v及びW相端子42wは、それぞれモータ40のハウジングの表面から露出する金属端子である。U相端子42u、V相端子42v及びW相端子42wは、それぞれインバータ回路81と電気的に接続される。U相コイル43u、V相コイル43v及びW相コイル43wは、それぞれモータ40のステータに設けられた励磁コイルである。U相コイル43u、V相コイル43v及びW相コイル43wは、モータ40の内部でスター結線される。
【0024】
U相コイル43uは、U相端子42uと中性点Nとの間に電気的に接続される。V相コイル43vは、V相端子42vと中性点Nとの間に電気的に接続される。W相コイル43wは、W相端子42wと中性点Nとの間に電気的に接続される。U相コイル43u、V相コイル43v及びW相コイル43wの通電状態がモータ制御装置80によって制御されることにより、ロータシャフト41を回転させるのに必要な電磁力が発生する。
【0025】
インバータ回路81は、モータ40を駆動する電力変換回路である。インバータ回路81は、入力端子81aと、コモン端子81bと、U相上側スイッチQUHと、V相上側スイッチQVHと、W相上側スイッチQWHと、U相下側スイッチQULと、V相下側スイッチQVLと、W相下側スイッチQWLと、を有する。本実施形態においてインバータ回路81に含まれる各スイッチは、例えばMOS-FETまたはIGBTなどの大電力用スイッチング素子である。
【0026】
インバータ回路81の入力端子81aは、ダイオード82と電磁リレー4とを介して車載バッテリ5の正極端子と電気的に接続される。インバータ回路81のコモン端子81bは、車載バッテリ5の負極端子と電気的に接続される。車載バッテリ5は、ハイブリッド車両に搭載される複数のバッテリの一つであり、モータ40の駆動に必要な直流電圧である電源電圧Vをインバータ回路81に供給する。なお、車載バッテリ5の負極端子は車内グランドと電気的に接続される。
【0027】
ハイブリッド車両のイグニションスイッチがオン状態に切り替えられると、上位車両システムにより高電圧系システムの安全が確認された後、上位車両システムからの制御によって電磁リレー4はオン状態に切り替えられる。一方、イグニションスイッチがオフ状態に切り替えられると、上位車両システムにより高電圧系システムの終了処理が行われた後、上位車両システムからの制御によって電磁リレー4はオフ状態に切り替えられる。つまり、イグニションスイッチがオン状態のときに、車載バッテリ5はインバータ回路81と電気的に接続され、イグニションスイッチがオフ状態のときに、車載バッテリ5はインバータ回路81と電気的に絶縁される。
【0028】
U相上側スイッチQUH及びU相下側スイッチQULは、入力端子81aとコモン端子81bとの間に直列に接続される。U相上側スイッチQUHとU相下側スイッチQULとの間のノードであるU相ノードNuは、モータ40のU相端子42uと電気的に接続される。
【0029】
V相上側スイッチQVH及びV相下側スイッチQVLは、入力端子81aとコモン端子81bとの間に直列に接続される。V相上側スイッチQVH及びV相下側スイッチQVLを含む直列回路は、U相上側スイッチQUH及びU相下側スイッチQULを含む直列回路に対して並列に接続される。V相上側スイッチQVHとV相下側スイッチQVLとの間のノードであるV相ノードNvは、モータ40のV相端子42vと電気的に接続される。
【0030】
W相上側スイッチQWH及びW相下側スイッチQWLは、入力端子81aとコモン端子81bとの間に直列に接続される。W相上側スイッチQWH及びW相下側スイッチQWLを含む直列回路は、V相上側スイッチQVH及びV相下側スイッチQVLを含む直列回路に対して並列に接続される。W相上側スイッチQWHとW相下側スイッチQWLとの間のノードであるW相ノードNwは、モータ40のW相端子42wと電気的に接続される。
【0031】
詳細は後述するが、U相上側スイッチQUHのゲート端子、V相上側スイッチQVHのゲート端子、及びW相上側スイッチQWHのゲート端子は、それぞれ制御部87のゲートドライバ87bと電気的に接続される。また、U相下側スイッチQULのゲート端子、V相下側スイッチQVLのゲート端子、及びW相下側スイッチQWLのゲート端子も、それぞれ制御部87のゲートドライバ87bと電気的に接続される。
【0032】
上記のように、インバータ回路81は、3つの上側スイッチと3つの下側スイッチとを有する3相フルブリッジ回路である。インバータ回路81に含まれる各スイッチが制御部87によってスイッチング制御されることにより、インバータ回路81は車載バッテリ5から供給される直流電力を三相電力に変換してモータ40に出力する。
【0033】
ダイオード82は、インバータ回路81の入力端子81aと電磁リレー4との間に電気的に接続される。ダイオード82のカソード端子は、インバータ回路81の入力端子81aと電気的に接続され、ダイオード82のアノード端子は、電磁リレー4と電気的に接続される。ダイオード82は、インバータ回路81に流れる電流がインバータ回路81の前段回路へ逆流することを防止する。インバータ回路81の前段回路は、電磁リレー4及び車載バッテリ5などを含む回路である。
【0034】
電圧検出部83は、インバータ回路81の入力電圧を検出する回路である。インバータ回路81の入力電圧とは、入力端子81aとコモン端子81bとの間の電圧Vpsである。以下では、インバータ回路81の入力電圧をインバータ入力電圧Vpsと呼称する。電圧検出部83は、第1抵抗器83a及び第2抵抗器83bを有する抵抗分圧回路である。第1抵抗器83a及び第2抵抗器83bは、インバータ回路81の入力端子81aと車内グランドとの間に直列に接続される。第1抵抗器83aと第2抵抗器83bとの間のノードN1は、制御部87のMCU87aと電気的に接続される。電圧検出部83は、ノードN1の電圧V’psを、インバータ入力電圧Vpsの検出結果を示す電圧信号として制御部87のMCU87aに出力する。
【0035】
U相端子電圧検出部84は、モータ40のU相端子42uの電圧であるU相端子電圧Vuを検出する回路である。U相端子電圧検出部84は、第1抵抗器84a及び第2抵抗器84bを有する抵抗分圧回路である。第1抵抗器84a及び第2抵抗器84bは、モータ40のU相端子42uと車内グランドとの間に直列に接続される。すなわち、第1抵抗器84a及び第2抵抗器84bは、インバータ回路81のU相ノードNuと車内グランドとの間に直列に接続される。第1抵抗器84aと第2抵抗器84bとの間のノードN2は、制御部87のMCU87aと電気的に接続される。U相端子電圧検出部84は、ノードN2の電圧V’uを、U相端子電圧Vuの検出結果を示す電圧信号として制御部87のMCU87aに出力する。
【0036】
V相端子電圧検出部85は、モータ40のV相端子42vの電圧であるV相端子電圧Vvを検出する回路である。V相端子電圧検出部85は、第1抵抗器85a及び第2抵抗器85bを有する抵抗分圧回路である。第1抵抗器85a及び第2抵抗器85bは、モータ40のV相端子42vと車内グランドとの間に直列に接続される。すなわち、第1抵抗器85a及び第2抵抗器85bは、インバータ回路81のV相ノードNvと車内グランドとの間に直列に接続される。第1抵抗器85aと第2抵抗器85bとの間のノードN3は、制御部87のMCU87aと電気的に接続される。V相端子電圧検出部85は、ノードN3の電圧V’vを、V相端子電圧Vvの検出結果を示す電圧信号として制御部87のMCU87aに出力する。
【0037】
W相端子電圧検出部86は、モータ40のW相端子42wの電圧であるW相端子電圧Vwを検出する回路である。W相端子電圧検出部86は、第1抵抗器86a及び第2抵抗器86bを有する抵抗分圧回路である。第1抵抗器86a及び第2抵抗器86bは、モータ40のW相端子42wと車内グランドとの間に直列に接続される。すなわち、第1抵抗器86a及び第2抵抗器86bは、インバータ回路81のW相ノードNwと車内グランドとの間に直列に接続される。第1抵抗器86aと第2抵抗器86bとの間のノードN4は、制御部87のMCU87aと電気的に接続される。W相端子電圧検出部86は、ノードN4の電圧V’wを、W相端子電圧Vwの検出結果を示す電圧信号として制御部87のMCU87aに出力する。
上記のように、モータ制御装置80は、モータ40の各相の端子電圧を検出する3つの端子電圧検出部を有する。
【0038】
制御部87は、入力信号に基づいてインバータ回路81を制御する。入力信号には、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSと、電圧検出部83の出力電圧V’psと、U相端子電圧検出部84Vの出力電圧V’uと、V相端子電圧検出部85の出力電圧V’vと、W相端子電圧検出部86の出力電圧V’wとが含まれる。具体的には制御部87は、上記の入力信号に基づいてインバータ回路81に含まれる各スイッチのスイッチング制御を行う。スイッチング制御とは、スイッチの状態をオフ状態とオン状態との間で切り替える制御である。
【0039】
制御部87は、MCU(Microcomputer Unit)87aと、ゲートドライバ87bと、を有する。MCU87aは、上記の入力信号に基づいて、インバータ回路81の各スイッチのスイッチングタイミングを表すタイミング信号を生成してゲートドライバ87bに出力する。スイッチングタイミングとは、インバータ回路81に含まれる各スイッチの状態がオフ状態からオン状態に切り替わるタイミングと、オン状態からオフ状態に切り替わるタイミングである。タイミング信号は、例えばパルス幅変調された矩形波信号である。
【0040】
具体的には、MCU87aは、U相上側スイッチQUHのスイッチングタイミングを表すU相上側タイミング信号HPUをゲートドライバ87bに出力するとともに、U相下側スイッチQULのスイッチングタイミングを表すU相下側タイミング信号LPUをゲートドライバ87bに出力する。
また、MCU87aは、V相上側スイッチQVHのスイッチングタイミングを表すV相上側タイミング信号HPVをゲートドライバ87bに出力するとともに、V相下側スイッチQVLのスイッチングタイミングを表すV相下側タイミング信号LPVをゲートドライバ87bに出力する。
さらに、MCU87aは、W相上側スイッチQWHのスイッチングタイミングを表すW相上側タイミング信号HPWをゲートドライバ87bに出力するとともに、W相下側スイッチQWLのスイッチングタイミングを表すW相下側タイミング信号LPWをゲートドライバ87bに出力する。
【0041】
ゲートドライバ87bは、インバータ回路81に含まれる各スイッチのゲート端子と電気的に接続される。ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力される各タイミング信号に基づいて、インバータ回路81に含まれる各スイッチのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するゲート駆動信号を生成して各スイッチのゲート端子に出力する。
【0042】
具体的には、ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるU相上側タイミング信号HPUに基づいて、U相上側スイッチQUHのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するU相上側ゲート駆動信号HGUを生成してU相上側スイッチQUHのゲート端子に出力する。U相上側ゲート駆動信号HGUは、U相上側タイミング信号HPUと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
また、ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるU相下側タイミング信号LPUに基づいて、U相下側スイッチQULのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するU相下側ゲート駆動信号LGUを生成してU相下側スイッチQULのゲート端子に出力する。U相下側ゲート駆動信号LGUは、U相下側タイミング信号LPUと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
【0043】
ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるV相上側タイミング信号HPVに基づいて、V相上側スイッチQVHのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するV相上側ゲート駆動信号HGVを生成してV相上側スイッチQVHのゲート端子に出力する。V相上側ゲート駆動信号HGVは、V相上側タイミング信号HPVと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
また、ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるV相下側タイミング信号LPVに基づいて、V相下側スイッチQVLのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するV相下側ゲート駆動信号LGVを生成してV相下側スイッチQVLのゲート端子に出力する。V相下側ゲート駆動信号LGVは、V相下側タイミング信号LPVと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
【0044】
ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるW相上側タイミング信号HPWに基づいて、W相上側スイッチQWHのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するW相上側ゲート駆動信号HGWを生成してW相上側スイッチQWHのゲート端子に出力する。W相上側ゲート駆動信号HGWは、W相上側タイミング信号HPWと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
また、ゲートドライバ87bは、MCU87aから入力されるW相下側タイミング信号LPWに基づいて、W相下側スイッチQWLのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有するW相下側ゲート駆動信号LGWを生成してW相下側スイッチQWLのゲート端子に出力する。W相下側ゲート駆動信号LGWは、W相下側タイミング信号LPWと同じデューティ比を有する矩形波信号である。
【0045】
詳細は後述するが、制御部87は、本実施形態の特徴的な機能として、制御指令信号CSによってモータ40の停止指令を受ける状態においてインバータ回路81の所定相の少なくとも上側スイッチを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を行い、そのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsに基づいて逆止弁60が故障状態にあるか否かを判断する機能を有する。
【0046】
以下では、上記のように構成された油圧供給装置1の動作について図3から図6を参照しながら説明する。
まず、ハイブリット車両の内燃機関が停止状態にある場合の油圧供給装置1の動作について説明する。本実施形態において「内燃機関が停止状態にある」とは、イグニションスイッチがオン状態にあるままで、アイドリングストップ機能またはコーストストップ機能などが働くことにより内燃機関のピストンが停止した状態にあることを指す。従って、内燃機関が停止状態にある場合でも、電磁リレー4がオン状態にあるため、車載バッテリ5はモータ制御装置80のインバータ回路81と電気的に接続された状態にある。
【0047】
このように内燃機関が停止状態にある場合、内燃機関によって機械オイルポンプ20を駆動できないため、機械オイルポンプ20によって自動変速機3に油圧を供給できない。従って、内燃機関が停止状態にある場合には、電動オイルポンプ30によって自動変速機3に油圧を供給するために、上位制御装置2は電動オイルポンプ30のモータ40を目標回転速度で回転させる制御指令信号CSをモータ制御装置80に出力する。
【0048】
モータ制御装置80は、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSに基づいてモータ40の通電制御を行うことにより、モータ40を目標回転速度で回転させる。本実施形態では、モータ制御装置80が、センサレス120°通電方式に基づいてモータ40の通電制御を行う場合を例示する。なお、以下で説明するセンサレス120°通電方式は、あくまで一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0049】
センサレス120°通電方式を用いる場合、モータ制御装置80の制御部87は、図3に示す通電パターンに従って、インバータ回路81に含まれる各スイッチのスイッチング制御を行う。図3に示すように、センサレス120°通電方式の通電パターンは、6つの通電パターンPA1、PA2、PA3、PA4、PA5及びPA6を含む。図3において、「QUH」から「QWL」までの列に並ぶ「1」及び「0」のうち、「1」は該当するスイッチがオン状態に制御されることを意味し、「0」は該当するスイッチがオフ状態に制御されることを意味する。
【0050】
図4において、時刻t10から時刻t11までの通電期間P1は、各スイッチが通電パターンPA1に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P1では、U相上側スイッチQUHとW相下側スイッチQWLとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P1では、U相上側スイッチQUHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P1では、U相端子42uからW相端子42wに向かってU相コイル43u及びW相コイル43wに駆動電流が流れる。
【0051】
図4において、時刻t11から時刻t12までの通電期間P2は、各スイッチが通電パターンPA2に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P2では、U相上側スイッチQUHとV相下側スイッチQVLとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P2でも、U相上側スイッチQUHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P2では、U相端子42uからV相端子42vに向かってU相コイル43u及びV相コイル43vに駆動電流が流れる。
【0052】
図4において、時刻t12から時刻t13までの通電期間P3は、各スイッチが通電パターンPA3に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P3では、W相上側スイッチQWHとV相下側スイッチQVLとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P3では、W相上側スイッチQWHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P3では、W相端子42wからV相端子42vに向かってW相コイル43w及びV相コイル43vに駆動電流が流れる。
【0053】
図4において、時刻t13から時刻t14までの通電期間P4は、各スイッチが通電パターンPA4に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P4では、W相上側スイッチQWHとU相下側スイッチQULとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P4でも、W相上側スイッチQWHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P4では、W相端子42wからU相端子42uに向かってW相コイル43w及びU相コイル43uに駆動電流が流れる。
【0054】
図4において、時刻t14から時刻t15までの通電期間P5は、各スイッチが通電パターンPA5に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P5では、V相上側スイッチQVHとU相下側スイッチQULとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P5では、V相上側スイッチQVHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P5では、V相端子42vからU相端子42uに向かってV相コイル43v及びU相コイル43uに駆動電流が流れる。
【0055】
図4において、時刻t15から時刻t16までの通電期間P6は、各スイッチが通電パターンPA6に基づいてスイッチング制御される期間を示す。この通電期間P6では、V相上側スイッチQVHとW相下側スイッチQWLとがオン状態となり、且つ残りのスイッチがオフ状態となる。通電期間P6でも、V相上側スイッチQVHのみ目標回転速度に応じたスイッチングデューティ比でスイッチング制御される。通電期間P6では、V相端子42vからW相端子42wに向かってV相コイル43v及びW相コイル43wに駆動電流が流れる。
【0056】
以上のような6つの通電パターンに従って各スイッチがスイッチング制御されることにより、モータ40のロータシャフト41を一定方向に360°回転させる回転磁界が発生する。その結果、時刻t10から時刻t16までの期間において、モータ40のロータシャフト41は一定方向に360°回転する。言い換えれば、通電期間P1から通電期間P6までのそれぞれの期間において、モータ40のロータシャフト41は一定方向に60°回転する。
【0057】
図4に、モータ40のU相端子42u、V相端子42v及びW相端子42wのそれぞれに現れる電圧の波形を示す。図4において、「Vu」は、U相端子42uに現れるU相端子電圧である。「Vv」は、V相端子42vに現れるV相端子電圧である。「Vw」は、W相端子42wに現れるW相端子電圧である。なお、実際のU相端子電圧Vu、V相端子電圧Vv、及びW相端子電圧Vwの波形は、スイッチングデューティ比と同じデューティ比を有する波形となるが、図4では便宜上、電圧波形の包絡線のみを示す。
【0058】
U相端子電圧Vuは、通電期間P1及びP2においてスイッチングデューティ比で決定される実効電圧値となり、通電期間P4及びP5においてグランドレベルの値、つまり0Vとなる。V相端子電圧Vvは、通電期間P5及びP6においてスイッチングデューティ比で決定される実効電圧値となり、通電期間P2及びP3において0Vとなる。W相端子電圧Vwは、通電期間P3及びP4においてスイッチングデューティ比で決定される実効電圧値となり、通電期間P1及びP6において0Vとなる。このように、センサレス120°通電方式では、モータ40の駆動に必要な駆動電圧が印加される相が120°ごとに切り替わる。
【0059】
通電期間P3においてU相コイル43uに駆動電流は流れないが、U相コイル43uに蓄積されたエネルギーによってU相下側スイッチQULのボディダイオードを介してU相コイル43uに一定時間だけ還流電流が流れる。その結果、通電期間P3の開始時点から一定時間だけU相端子電圧Vuが0Vになるリンギング現象が発生する。その後、U相端子電圧Vuは、U相コイル43uに発生する逆起電圧と一致する。通電期間P3において逆起電圧は、通電期間P3の中央、つまり通電期間P3の開始時点からモータ40が30°回転したタイミングで、中性点Nの電圧である中性点電圧Vに対して高圧側から低圧側へ向かって交差する。
【0060】
同様に、通電期間P6においてU相コイル43uに駆動電流は流れないが、U相コイル43uに蓄積されたエネルギーによってU相上側スイッチQUHのボディダイオードを介してU相コイル43uに一定時間だけ還流電流が流れる。その結果、通電期間P6の開始時点から一定時間だけU相端子電圧Vuが電源電圧Vになるリンギング現象が発生する。その後、U相端子電圧Vuは、U相コイル43uに発生する逆起電圧と一致する。通電期間P6において逆起電圧は、通電期間P6の中央、つまり通電期間P6の開始時点からモータ40が30°回転したタイミングで中性点電圧Vに対して低圧側から高圧側へ向かって交差する。
【0061】
上記のように、モータ40が360°回転する間に、通電期間P3及びP6にのみU相端子42uに逆起電圧が露出する。同様の原理により、モータ40が360°回転する間に、通電期間P1及びP4にのみV相端子42vに逆起電圧が露出し、通電期間P2及びP5にのみW相端子42wに逆起電圧が露出する。センサレス120°通電方式では、モータ40の位相を検出するために、中性点電圧Vと逆起電圧とが交差する点であるゼロクロス点を検出する必要がある。
【0062】
図4において、「Zu」は、U相端子42uに露出する逆起電圧が中性点電圧V以下になるタイミングでローレベルとなり、U相端子42uに露出する逆起電圧が中性点電圧Vより高くなるタイミングでハイレベルとなるU相ゼロクロス点検出信号である。「Zv」は、V相端子42vに露出する逆起電圧が中性点電圧V以下になるタイミングでローレベルとなり、V相端子42vに露出する逆起電圧が中性点電圧Vより高くなるタイミングでハイレベルとなるV相ゼロクロス点検出信号である。「Zw」は、W相端子42wに露出する逆起電圧が中性点電圧V以下になるタイミングでローレベルとなり、W相端子42wに露出する逆起電圧が中性点電圧Vより高くなるタイミングでハイレベルとなるW相ゼロクロス点検出信号である。
【0063】
制御部87のMCU87aは、電圧検出部83の出力電圧V’psから認識可能な中性点電圧Vと、U相端子電圧検出部84の出力電圧V’uから認識可能なU相端子電圧Vuとに基づいて、上記のU相ゼロクロス点検出信号Zuを生成する。
また、制御部87のMCU87aは、電圧検出部83の出力電圧V’psから認識可能な中性点電圧Vと、V相端子電圧検出部85の出力電圧V’vから認識可能なV相端子電圧Vvとに基づいて、上記のV相ゼロクロス点検出信号Zvを生成する。
さらに、制御部87のMCU87aは、電圧検出部83の出力電圧V’psから認識可能な中性点電圧Vと、W相端子電圧検出部86の出力電圧V’wから認識可能なW相端子電圧Vwとに基づいて、上記のW相ゼロクロス点検出信号Zwを生成する。
【0064】
図4において、「Hu」は、U相ゼロクロス点検出信号Zuに対して30°の位相遅れを有するU相位相検出信号である。「Hv」は、V相ゼロクロス点検出信号Zvに対して30°の位相遅れを有するV相位相検出信号である。「Hw」は、W相ゼロクロス点検出信号Zwに対して30°の位相遅れを有するW相位相検出信号である。
【0065】
なお、時間軸上で隣り合う2つのゼロクロス点の間の時間に、モータ20は60°回転する。そのため、MCU87aは、時間軸上で隣り合う2つのゼロクロス点の間の時間を計測し、その計測結果の半分の時間だけU相ゼロクロス点検出信号Zuを遅らせることにより、U相ゼロクロス点検出信号Zuに対して30°の位相遅れを有するU相位相検出信号Huを生成する。MCU87aは、V相位相検出信号Hv及びW相位相検出信号Hwについても同様の方法で生成する。
【0066】
図4に示すように、U相位相検出信号Hu、V相位相検出信号Hv及びW相位相検出信号Hwの電圧レベルは、6つの通電パターンに依存して規則的に変化することがわかる。以下では、U相位相検出信号Hu、V相位相検出信号Hv及びW相位相検出信号Hwの電圧レベルが通電パターンに依存して変化するパターンを位相パターンと呼称する。図3に示すように、センサレス120°通電方式の位相パターンは、6つの位相パターンPB1、PB2、PB3、PB4、PB5及びPB6を含む。図3において、「H」、「H」及び「H」の列に並ぶ「1」及び「0」のうち、「1」は該当する位相検出信号がハイレベルであることを意味し、「0」は該当する位相検出信号がローレベルであることを意味する。
【0067】
センサレス120°通電方式では、MCU87aは、3つの位相検出信号Hu、Hv及びHwに基づいて通電期間ごとに位相パターンを認識し、位相パターンの認識結果に基づいて次の通電期間で使用する通電パターンを決定する。そして、MCU87aは、位相パターンが変化するタイミングで通電パターンを次の通電パターンに切り替える。
【0068】
図4に示すように、例えば通電期間P1において、MCU87aは、位相検出信号Hu、Hv及びHwから通電期間P1の位相パターンは位相パターンPB1であることを認識し、通電パターンPA2を次の通電期間P2で使用する通電パターンとして決定する。そして、MCU87aは、位相パターンPB1が変化するタイミング、すなわちV相位相検出信号Hvに立下りエッジが発生するタイミングで、通電パターンを通電パターンPA1から通電パターンPA2に切り替える。
【0069】
以上のように、センサレス120°通電方式では、制御部87が、上記のような位相パターンの認識、通電パターンの決定、及び通電パターンの切り替えを、モータ40に発生する逆起電圧を利用して生成された位相検出信号Hu、Hv及びHwに同期して行うことにより、ホールセンサ等の位置センサ無しでモータ40の回転速度を目標回転速度に制御することができる。その結果、内燃機関が停止状態にある場合において、モータ40によってオイルポンプ50が駆動されるため、電動オイルポンプ30から自動変速機3へ油圧を供給することができる。
【0070】
次に、ハイブリット車両の内燃機関が動作状態にある場合の油圧供給装置1の動作について説明する。本実施形態において「内燃機関が動作状態にある」とは、内燃機関のピストンが往復運動する状態を指す。従って、内燃機関が動作状態にある場合でも、電磁リレー4がオン状態にあるため、車載バッテリ5はモータ制御装置80のインバータ回路81と電気的に接続された状態にある。このように内燃機関が動作状態にある場合、内燃機関によって機械オイルポンプ20を駆動できるため、機械オイルポンプ20から自動変速機3に油圧を供給できる。従って、内燃機関が動作状態にある場合には、電動オイルポンプ30を作動させる必要はない。
【0071】
しかしながら、内燃機関が動作状態にある場合に逆止弁60が故障すると、(a)機械オイルポンプの効率が低下する、(b)機械オイルポンプ20から吐出されるオイルFが電動オイルポンプ30に逆流することにより、電動オイルポンプ30に負荷がかかり、電動オイルポンプ30を正常に起動できない、などの問題が生じる。本実施形態では、内燃機関が動作状態にある場合に、以下で説明する故障診断処理を制御部87のMCU87aが実行することにより、電動オイルポンプ30の停止中に逆止弁60の故障を検知する。
【0072】
内燃機関が動作状態にある場合に、上位制御装置2は、モータ40を停止させる制御指令信号CSをモータ制御装置80に出力する。制御部87のMCU87aは、例えば図6に示す時刻t0に制御指令信号CSによってモータ40の停止指令を受けると、図5に示すフローチャートに従って故障診断処理を開始する。
【0073】
図5に示すように、MCU87aは、時刻t0に故障診断処理を開始すると、まず、インバータ回路81の所定相の少なくとも上側スイッチを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を開始する(ステップS1)。図6に示すように、本実施形態においてMCU87aは、例えばV相上側スイッチQVHを所定周期Tでオン状態に切り替えるスイッチング制御を行う。図6においてオン期間TONは、所定周期TのうちV相上側スイッチQVHがオン状態となる期間である。
【0074】
具体的には、時刻t0以降、MCU87aは、デューティ比がTON/Tに設定された矩形波信号であるV相上側タイミング信号HPVをゲートドライバ87bに出力する。また、時刻t0以降、ゲートドライバ87bは、V相上側スイッチQVHのゲートを駆動するのに必要な電圧値を有し、且つV相上側タイミング信号HPVと同じデューティ比を有する矩形波信号であるV相上側ゲート駆動信号HGVを生成してV相上側スイッチQVHのゲート端子に出力する。
【0075】
なお、図6では図示を省略するが、時刻t0以降、MCU87aは、V相上側スイッチQVH以外の全てのスイッチの状態をオフ状態に維持する。つまり、時刻t0以降、MCU87aは、V相上側タイミング信号HPV以外の全てのタイミング信号のレベルをローレベルに固定し、ゲートドライバ87bは、V相上側ゲート駆動信号HGV以外の全てのゲート駆動信号のレベルをローレベルに固定する。
【0076】
図5に示すように、MCU87aは、V相上側スイッチQVHを所定周期Tでオン状態に切り替えるスイッチング制御を開始した後、電圧検出部83の出力電圧V’ps、つまり電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsに基づいて逆止弁60が故障状態にあるか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、ステップS2においてMCU87aは、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTHを超えたか否かを判定する。
【0077】
ステップS2においてMCU87aは、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTHを超えたと判定した場合(「Yes」の場合)、ステップS3の処理に移行する。一方、ステップS2においてMCU87aは、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTH以下であると判定した場合(「No」の場合)、一定の時間間隔でステップS2の処理を繰り返す。
【0078】
図6に示すように、所定の閾値VTHは、車載バッテリ5の定格電圧(電源電圧V)よりも高い値に設定される。例えば、図6に示す時刻t1において逆止弁60の状態が正常状態から故障状態に変化したと仮定する。この場合、時刻t0から時刻t1までの期間では逆止弁60の状態が正常状態であるので、機械オイルポンプ20から吐出されたオイルFは電動オイルポンプ30のオイルポンプ50に逆流せず、モータ40は正常に停止したままである。従って、時刻t0から時刻t1までの期間では、インバータ入力電圧Vpsは多少変動するものの、ほぼ車載バッテリ5の定格電圧付近で推移する。
【0079】
このようにモータ40が正常に停止した状態にある時刻t0から時刻t1までの期間では、MCU87aは、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTH以下であると判定するため、一定の時間間隔でステップS2の処理が繰り返される。
【0080】
一方、時刻t1に逆止弁60の状態が正常状態から故障状態に変化すると、機械オイルポンプ20から吐出されたオイルFが電動オイルポンプ30のオイルポンプ50に逆流し、モータ40は逆回転し始める。モータ40が逆回転すると、スイッチング制御されているV相上側スイッチQVHを通じて回生電流がインバータ回路81に流れる。その結果、図6に示すように、時刻t1以降、インバータ入力電圧Vpsは車載バッテリ5の定格電圧付近から徐々に増大する。例えば、図6に示す時刻t2においてインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えたと仮定する。
【0081】
時刻t1から時刻t2までの期間では逆止弁60の状態が故障状態にあるものの、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えないため、MCU87aは、スイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTH以下であると判定する。従って、時刻t1から時刻t2までの期間においても、一定の時間間隔でステップS2の処理が繰り返される。
【0082】
一方、時刻t2においてインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えると、時刻t2以降に最初に実行するステップS2においてMCU87aは、スイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTHを超えたと判定し、ステップS3の処理に移行する。
【0083】
図5に示すように、ステップS3においてMCU87aは、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続したか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3においてMCU87aは、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続したと判定した場合(「Yes」の場合)、ステップS4の処理に移行する。一方、ステップS3においてMCU87aは、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続しないと判定した場合(「No」の場合)、ステップS2の処理に戻る。
【0084】
例えば、図6に示す時刻t3においてインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続したと仮定する。この場合、時刻t3においてMCU87aは、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続したと判定し、ステップS4の処理に移行する。ステップS4においてMCU87aは、逆止弁60が故障状態にあると判断し、上位制御装置2に逆止弁60の故障診断結果を通知する(ステップS4)。上位制御装置2は、時刻t3にMCU87aから逆止弁60が故障状態にあることの通知を受けると、図6に示すように時刻t3に車両警告を発出することにより、ユーザ(運転者)にハイブリッド車両の油圧供給装置1に異常があることを報知する。
【0085】
逆止弁60が正常であるにもかかわらず、ノイズ等が原因でインバータ入力電圧Vpsが瞬間的に閾値VTHを超えた後、再度、閾値VTH以下の値に戻る可能性がある。その場合、仮にインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた時点で逆止弁60が故障状態にあるとMCU87aに判断させると、逆止弁60が正常であるにもかかわらず、MCU87aは逆止弁60が故障状態にあると誤判断する虞がある。そこで、上記のように、MCU87aが、インバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超え、且つインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続した場合に逆止弁60が故障状態にあると判断することで、より正確に逆止弁60が故障状態にあることを検知することができる。
【0086】
図5に示すように、MCU87aは、ステップS4にて逆止弁60が故障状態にあると判断した場合、断線故障の有無を確認した後、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御を停止する(ステップS5)。逆止弁60が故障状態にあるにもかかわらず、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御を続けると、インバータ入力電圧Vpsが際限なく上昇する。そこで、MCU87aが、逆止弁60が故障状態にあると判断した場合にV相上側スイッチQVHのスイッチング制御を停止することにより、インバータ入力電圧Vpsの過上昇による回路の破損を防止できる。
【0087】
ステップS5においてMCU87aは、スイッチング制御中に各端子電圧検出部によって検出されるモータ40の各相の端子電圧に基づいて断線故障の有無を判断する。図6に示すように、モータ40及びインバータ回路81に断線故障が無い場合、U相端子電圧検出部84によって検出されるU相端子電圧Vuと、V相端子電圧検出部85によって検出されるV相端子電圧Vvと、W相端子電圧検出部86によって検出されるW相端子電圧Vwとのそれぞれに、V相上側スイッチQVHのオン期間TONの間だけ高い電圧が現れる。この場合、MCU87aは、断線故障無しと判断する。
【0088】
一方、モータ40及びインバータ回路81に断線故障が有る場合、U相端子電圧検出部84によって検出されるU相端子電圧Vuと、V相端子電圧検出部85によって検出されるV相端子電圧Vvと、W相端子電圧検出部86によって検出されるW相端子電圧Vwとの少なくとも1つに、V相上側スイッチQVHのオン期間TONの間だけ高い電圧が現れない。この場合、MCU87aは、断線故障有りと判断する。MCU87aは、断線故障有りと判断した場合、上位制御装置2に断線故障の診断結果を通知する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置80は、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSによってモータ40の停止指令を受ける状態においてインバータ回路81のV相上側スイッチQVHを所定周期Tでオン状態に切り替えるスイッチング制御を行い、そのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsに基づいて逆止弁60が故障状態にあるか否かを判断する制御部87を有する。このような本実施形態によれば、電動オイルポンプ30の停止中に逆止弁60の故障を検知可能な油圧供給装置1を提供することができる。
【0090】
また、本実施形態において、制御部87は、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に電圧検出部83によって検出されるインバータ入力電圧Vpsが所定の閾値VTHを超え、且つインバータ入力電圧Vpsが閾値VTHを超えた状態が所定時間Trefだけ継続した場合に、逆止弁60が故障状態にあると判断する。これにより、上述したように、電動オイルポンプ30の停止中に、より正確に逆止弁60が故障状態にあることを検知することができる。
【0091】
また、本実施形態において、制御部87は、逆止弁60が故障状態にあると判断した場合に、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御を停止する。これにより、上述したように、インバータ入力電圧Vpsの過上昇による回路の破損を防止できる。
【0092】
また、本実施形態において、制御部87は、逆止弁60が故障状態にあると判断した場合、逆止弁60の故障診断結果を上位制御装置2に通知する。これにより、上位制御装置2が逆止弁60の故障診断結果に基づき車両警告を発出することにより、ユーザ(運転者)にハイブリッド車両の油圧供給装置1に異常があることを報知することができる。
【0093】
また、本実施形態において、制御部87は、V相上側スイッチQVHのスイッチング制御中に各端子電圧検出部によって検出されるモータ40の各相の端子電圧に基づいて断線故障の有無を判断する。これにより、逆止弁60の故障だけでなく、断線が発生しているか否かの診断を行うことが可能である。
【0094】
また、本実施形態において、モータ制御装置80は、インバータ回路81の前段回路への電流の逆流を防止するダイオード82を有する。これにより、逆止弁60の故障によってモータ40が逆回転したときに生じる回生電流がインバータ回路81の前段回路に逆流することを防止できる。
【0095】
さらに、本実施形態において、油圧供給装置1は、内燃機関によって駆動されることによりオイルFを吐出する機械オイルポンプ20と、機械オイルポンプ20と電動オイルポンプ30との一方から吐出されるオイルFを自動変速機3に供給する油圧回路と、を備える。これにより、ハイブリッド車両において、内燃機関が停止状態にある場合及び内燃機関が動作状態にある場合のどちらでも自動変速機3に油圧を供給できる。
【0096】
〔変形例〕
本発明は上記実施形態に限定されず、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
例えば、上記実施形態では、上位制御装置2から入力される制御指令信号CSによってモータ40の停止指令を受ける状態においてインバータ回路81のV相上側スイッチQVHを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を行う場合を例示した。しかしながら、V相上側スイッチQVHに替えて、U相上側スイッチQUHまたはW相上側スイッチQWHを所定周期でオン状態に切り替えるスイッチング制御を行ってもよい。
【0097】
例えば、ゲートドライバとして、チャージポンプ動作が必要(ブートストラップコンデンサの充電動作が必要)なゲートドライバを使う場合には、上側スイッチよりも先に下側スイッチを所定時間オンにさせるスイッチング制御をしてもよい。
【0098】
例えば、上記実施形態では、油圧供給装置1が油圧を供給する対象装置として自動変速機3を例示したが、本発明の油圧供給装置が油圧を供給する対象装置は自動変速機に限定されない。油圧によって作動する対象装置であれば、本発明の油圧供給装置によって自動変速機以外の対象装置に油圧を供給することができる。
【0099】
上記実施形態では、センサレス制御の方式として、センサレス120°通電方式を用いる場合を例示したが、本発明におけるセンサレス制御の方式はセンサレス120°通電方式に限定されない。位置センサを使わない制御方式であれば、180°通電方式などの別の方式を使用してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…油圧供給装置、2…上位制御装置、3…自動変速機(対象装置)、4…電磁リレー、5…車載バッテリ、10…オイルパン、11…油路、12…油路、13…油路、14…油路、15…油路、16…油路、17…油路、20…機械オイルポンプ、30…電動オイルポンプ、40…モータ、50…オイルポンプ、60…逆止弁、70…リリーフ弁、80…モータ制御装置、81…インバータ回路、82…ダイオード、83…電圧検出部、84…U相端子電圧検出部、85…V相端子電圧検出部、86…W相端子電圧検出部、87…制御部、87a…MCUと、87b…ゲートドライバ、QUH…U相上側スイッチ、QVH…V相上側スイッチ、QWH…W相上側スイッチ、QUL…U相下側スイッチ、QVL…V相下側スイッチ、QWL…W相下側スイッチ、F…オイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6