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特許7463923X線動態画像表示装置、プログラム、X線動態画像表示方法及びX線動態画像表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】X線動態画像表示装置、プログラム、X線動態画像表示方法及びX線動態画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240402BHJP
【FI】
A61B6/00 530A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020154220
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048411
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角森 昭教
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217479(JP,A)
【文献】特開2019-181138(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193955(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/026145(WO,A1)
【文献】特開平07-124126(JP,A)
【文献】特開平11-276443(JP,A)
【文献】特開2018-011807(JP,A)
【文献】特開2012-245222(JP,A)
【文献】特開2004-041605(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141067(WO,A1)
【文献】特開2020-081088(JP,A)
【文献】特開2020-028310(JP,A)
【文献】特開2005-304905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線動態画像表示装置において、
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する取得手段と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる連動表示手段と、
を有し、
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動表示手段は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させることを特徴とするX線動態画像表示装置。
【請求項2】
前記動態解析結果は、動態解析画像であること、
を特徴とする請求項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項3】
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像と前記動態解析結果の両方を含むこと、
を特徴とする請求項又はに記載のX線動態画像表示装置。
【請求項4】
前記カメラ画像関連情報は、前記カメラ画像と、前記カメラ画像を解析して得られたカメラ画像解析結果と、の少なくとも一方を含むこと、
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項5】
前記カメラ画像解析結果は、カメラ画像解析画像であること、
を特徴とする請求項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項6】
前記カメラ画像関連情報は、前記カメラ画像と、前記カメラ画像解析結果と、の両方を含むこと、
を特徴とする請求項又はに記載のX線動態画像表示装置。
【請求項7】
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報それぞれは、連動表示に関連する情報を含み、
前記連動表示手段は、前記連動表示に関連する情報に基づいて、前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させること、
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項8】
連動表示に関する情報を受け付ける受付手段を有し、
前記連動表示手段は、前記連動表示に関する情報に基づいて、前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させること、
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項9】
前記X線動態撮影と前記カメラ撮影は、連動撮影制御手段により連動して撮影がなされ、
前記連動表示手段は、前記連動撮影制御手段により連動して撮影された前記X線動態撮影と前記カメラ撮影とに基づいて、前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報を連動して表示すること、
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項10】
前記カメラ画像関連情報は、前記カメラ撮影により得られた動画像を含むこと、
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項11】
前記動画像は、前記X線動態撮影における被写体の撮影部位を含むこと、
を特徴とする請求項10に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項12】
前記連動表示手段は、前記X線動態画像と、前記カメラ撮影により得られた動画像とを連動表示させること、
を特徴とする請求項10に記載のX線動態画像表示装置。
【請求項13】
コンピュータに、
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する処理と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる処理と、
を実行させ
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動させて表示させる処理は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記動態解析結果は、動態解析画像であること、
を特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記カメラ画像関連情報は、前記カメラ画像と、前記カメラ画像を解析して得られたカメラ画像解析結果と、の少なくとも一方を含むこと、
を特徴とする請求項13又は14のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記カメラ画像解析結果は、カメラ画像解析画像であること、
を特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記カメラ画像関連情報は、前記カメラ撮影により得られた動画像を含むこと、
を特徴とする請求項1315のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記動画像は、前記X線動態撮影における被写体の撮影部位を含むこと、
を特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記連動させて表示させる処理は、前記X線動態画像と、前記カメラ撮影により得られた動画像とを連動表示させること、
を特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項20】
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する工程と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる工程と、
を含み、
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動させて表示させる工程は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる、
ことを特徴とするX線動態画像表示方法。
【請求項21】
X線動態撮影を行う撮影装置と、
カメラ撮影を行うカメラと、
請求項1~12のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置と、
を備えることを特徴とするX線動態画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線動態画像表示装置、プログラム、X線動態画像表示方法及びX線動態画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、注目部位を撮影したX線画像やX線動態画像等の画像診断が行われている。また、例えば、特許文献1には、X線撮影時に被写体をビデオカメラで撮影し、得られた画像にX線画像を重畳表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-34300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、臨床医が呼吸等の診断を行う際には、画像診断だけでなく、対面での問診、視触診などで表情や体の動きを観察しながら、治療効果を主観的に観察することで診断が行われている。
しかし、従来は、表面上の体の動きと体内の臓器等の動きを同時に評価することができていなかったため、疾患の原因の特定や、治療効果の確認を客観的に評価することができず、効果的な医療を患者に提供することができなかった。
【0005】
また、病気やケガの治療には、リハビリテーションが重要なものが多い。例えば、呼吸リハビリテーションは、呼吸困難、運動耐容能、不安や抑うつを改善し、健康関連QOLや健康状態を向上させ、入院を予防するエビデンスの確立された治療的介入であるとされている(植木純等, “呼吸リハビリテーションに関するステートメント”, 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ,2018年 第27巻 第2号 95-114参照)。呼吸リハビリテーションとして、例えば、COPDの患者に対しては「口すぼめ呼吸」や「腹式呼吸」により呼吸困難感を改善することが行われている。また、呼吸困難感が強い場合は、肩で呼吸するなど通常とは異なる筋肉を動かし、呼吸をすることも知られている。
【0006】
しかし、リハビリテーションにも課題がある。例えば、理学療法士がリハビリテーション対象者にリハビリテーションの仕方を教える際に、主に言葉での伝達や実演にて行い、真似をさせることで行っている。また、そのリハビリテーションの効果確認は、リハビリテーション対象者(患者)からの症状のヒヤリングや、例えば呼吸リハビリテーションの場合は手で胸郭の動きを主観的に観察することで評価をしている。
しかし、リハビリテーションの方法の説明や評価の仕方は主観的なものが多く、また理学療法士のスキルによるところが多く、さらにリハビリテーション対象者も自身のリハビリテーションの効果を客観的に把握することができずモチベーションの維持が難しく、効果的な医療をリハビリテーション対象者に提供することができなかった。
【0007】
特許文献1では、カメラの映像にX線画像を重畳しているが、X線撮影時の位置決めを効率よく行うためのものであり、これを医師や理学療法士が観察しても、表面上の体の動きと体内の臓器等の動きを同時に評価することはできず、効果的な医療を患者に提供することはできない。
【0008】
本発明の課題は、効果的な医療を患者に提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
X線動態画像表示装置において、
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する取得手段と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる連動表示手段と、
を有し、
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動表示手段は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する処理と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる処理と、
を実行させ
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動させて表示させる処理は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる、
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るX線動態画像表示方法は、
X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得する工程と、
前記X線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる工程と、
を含み、
前記X線動態画像関連情報は、前記X線動態画像を解析して得られた動態解析結果を含み、
前記カメラ画像は、前記X線動態画像に含まれる被写体の部位と関連する当該被写体の部位の画像を含み、
前記カメラ画像に含まれる被写体の部位は、呼吸に関連する部位であり、
前記連動させて表示させる工程は、前記動態解析結果と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示させる、
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るX線動態画像表示システムは、
カメラ撮影を行うカメラと、
請求項1~12のいずれか一項に記載のX線動態画像表示装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、効果的な医療を患者に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態における動態画像表示システムの全体構成を示す図である。
図2図1のカメラの配置例を示す図である。
図3図1の動態画像表示システムにおいて実行される動態画像撮影表示シーケンスAの流れを示す図である。
図4】X線撮影の撮影部位が胸部の場合の動態解析結果の一例を示す図である。
図5】X線撮影の撮影部位が胸部の場合の動態解析画像の一例を示す図である。
図6】X線撮影の撮影部位が胸部の場合のカメラ画像解析画像の一例を示す図である。
図7】X線撮影の撮影部位が肘の場合のカメラ画像解析画像の一例を示す図である。
図8】X線撮影の撮影部位が嚥下に関する部位の場合の動態解析結果の一例を示す図である。
図9】X線撮影の撮影部位が嚥下に関する部位の場合の動態解析画像の一例を示す図である。
図10】診断用コンソールに表示される連動表示画面の一例を示す図である。
図11】携帯端末に表示される連動表示画面の一例を示す図である。
図12図1の動態画像表示システムにおいて実行される動態画像撮影表示シーケンスBの流れを示す図である。
図13図1の診断用コンソールの制御部により実行される連動表示開始位置特定処理Aの流れを示すフローチャートである。
図14図1の診断用コンソールの制御部により実行される連動表示開始位置特定処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0034】
<第1の実施形態>
〔動態画像表示システム100の構成〕
まず、本発明の第1の実施形態における構成を説明する。
図1に、本実施形態における動態画像表示システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、動態画像表示システム100は、撮影装置1及びカメラ4と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3と、汎用端末5と、携帯端末6と、がLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続可能に構成されている。動態画像表示システム100を構成する各装置のうち、撮影装置1、撮影用コンソール2及び診断用コンソール3は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、これらの装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
【0035】
動態画像表示システム100は、撮影装置1によりX線動態撮影を行って被写体Mの撮影部位の動態を示すX線動態画像を取得するとともに、X線動態撮影中に被写体Mの上記撮影部位に関連する部位をカメラ4により撮影(動画撮影)してその動態を示すカメラ画像を取得し、得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報とを連動させて表示することで、診断やリハビリテーションを支援し、効果的な医療を患者に提供するシステムである。
【0036】
ここで、X線動態画像関連情報は、X線動態画像と当該X線動態画像を解析して得られた動態解析結果の少なくとも一方を含む情報である。X線動態画像と動態解析結果の両方を含んでいてもよい。X線動態画像は、X線動態撮影により得られたX線動態画像であって、動態解析前のものである。但し、一般的なノイズ除去やエッジ処理等の処理をしたものはX線動態画像に含めてもよい。動態解析結果とは、X線動態撮影により得られたX線動態画像に対して動態解析を行うことによって得られたものであり、動態解析画像や当該画像以外(グラフ、数値)が含まれる。
【0037】
また、カメラ画像関連情報は、カメラ画像と、当該カメラ画像を解析して得られたカメラ画像解析結果の少なくとも一方を含む情報である。カメラ画像とカメラ画像解析結果の両方を含んでいてもよい。カメラ画像は、カメラ4によるカメラ撮影により得られたカメラ画像であって、画像解析前のものである。但し、一般的なノイズ除去やエッジ処理等の処理をしたものはカメラ画像に含めてもよい。カメラ画像解析結果とは、カメラ撮影により得られたカメラ画像に対して画像解析を行うことによって得られたものであり、カメラ画像解析画像や当該画像以外(グラフ、数値)が含まれる。また、カメラ画像解析結果の例としては、例えば、撮影部位の形状解析や角度解析が含まれる。
【0038】
また、「連動させて表示(連動表示)」とは、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報のうち画像撮影時のタイミングが一致する情報を一緒に表示することである。「タイミングが一致する」には、厳密な一致に限定されず、多少の誤差を含んでいてもよい。例えば、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報を動画表示する場合、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報の開始位置(再生を開始する時間軸上の位置)、表示位置(フレーム)、位相をあわせてもよい。
【0039】
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、X線動態撮影を行う装置である。X線動態撮影とは、動きのある被写体Mを連続的に複数回撮影して、被写体Mの動態を表す複数のフレーム画像からなるX線動態画像を取得することを指す。撮影装置10は、被写体Mに対し、放射線(X線)をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体のX線動態画像を取得する。なお、以下の実施形態では、パルス照射によりX線動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
【0040】
放射線源11は、被写体Mを挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
【0041】
放射線検出部13は、FPD等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
【0042】
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
【0043】
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
【0044】
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1によるX線照射及び放射線画像の読み取り動作を制御する。また、第1の実施形態では、カメラ4による撮影開始及び終了を制御する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
【0045】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する動態画像撮影表示シーケンスの撮影コンソール2側の処理を始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。制御部21は、連動撮影制御手段として機能する。
【0046】
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図3に示す動態画像撮影表示シーケンスの撮影コンソール2側の処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、撮影部位に対応する放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0047】
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。さらに、操作部23には、曝射スイッチが設けられている。
【0048】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
【0049】
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0050】
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2からX線動態画像を取得するとともに、X線動態撮影中にカメラ4において撮影されたカメラ画像を取得し、取得したX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と取得したカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報を連動表示させて、医師の診断やリハビリテーション(リハビリともいう)の支援を行うためのX線動態画像表示装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0051】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、後述する動態画像撮影表示シーケンスの診断用コンソール3側の処理を始めとする各種処理を実行し、診断用コンソール3各部の動作を集中制御する。制御部31は、取得手段、連動表示手段として機能する。
【0052】
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で各種処理を実行するための各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図3に示す動態画像撮影表示シーケンスの診断用コンソール3側の処理を実行するためのプログラムを記憶している。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0053】
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0054】
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
【0055】
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0056】
〔カメラ4の構成〕
カメラ4は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Device)カメラ等の光学カメラにより構成され、X線動態撮影中に被写体MのX線動態撮影の撮影部位に関連する部位(領域)を動画撮影して複数のフレーム画像からなるカメラ画像を取得し、診断用コンソール3に送信する。X線動態撮影の撮影部位に関連する部位とは、例えば、その部位を動かすことによりX線動態画像の撮影部位の動きに影響を与えることのできる部位(連動している部位)である。
カメラ4は、被写体MのX線動態撮影の撮影部位に関連する部位を撮影可能な位置に配置されていればよく、その位置は特に限定されない。例えば、図2に示すように、放射線源11の近傍に配置されていてもよいし、放射線検出部13側に配置されていてもよい。また、カメラ4は、必要に応じて複数台備えられていてもよい。
【0057】
〔汎用端末5、携帯端末6の構成〕
汎用端末5は、患者が使用可能なPC(Personal Computer)等により構成され、診断用コンソール3から送信されたX線動態画像関連情報及びカメラ画像関連情報を表示する。
携帯端末6は、患者が使用可能なスマートフォン、タブレット端末等により構成され、診断用コンソール3から送信されたX線動態画像関連情報及びカメラ画像関連情報を表示する。
【0058】
〔動態画像表示システム100の動作〕
次に、第1の実施形態における動態画像表示システム100の動作について説明する。
図3は、動態画像表示システム100において実行される動態画像撮影表示シーケンス(動態画像撮影表示シーケンスAとする)の流れを示す図である。図3を参照して、動態画像撮影表示シーケンスの流れについて説明する。
【0059】
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、X線動態撮影の撮影対象(被写体M)の患者情報(患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)や撮影部位が入力されると、撮影用コンソール2において、被写体Mに対する検査情報が生成される(ステップS1)。
【0060】
次いで、撮影用コンソール2において、撮影部位に応じた放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
【0061】
次いで、撮影用コンソール2において、カメラ4の撮影部位が決定される(ステップS3)。
上述したように、カメラ4の撮影部位は、X線動態撮影の撮影部位に関連する部位であり、例えば、その部位を動かすことによりX線動態撮影の撮影部位の動きに影響を与えることのできる部位である。
例えば、X線動態撮影の撮影部位とカメラ4の撮影部位を対応付けたテーブルを記憶部22に記憶しておき、ステップS3においては、制御部21により上記テーブルが参照され、X線動態撮影の撮影部位に基づいてカメラ4の撮影部位が決定される。
なお、上記テーブルにX線動態撮影の撮影部位に対応するカメラ4の撮影部位が複数存在する場合は、複数の撮影部位を表示部24に表示し、複数の撮影部位の中から撮影実施者により選択された部位をカメラ4の撮影部位として決定することとしてもよい。
【0062】
例えば、呼吸リハビリテーションでは、COPDの患者に対しては「口すぼめ呼吸」や「腹式呼吸」により呼吸困難感を改善することが行われている。また、呼吸困難感が強い場合は、肩で呼吸するなど通常とは異なる筋肉を動かし、呼吸をすることも知られている。そこで、例えば、X線動態撮影の撮影部位が胸部である場合、カメラ4の撮影部位の候補としては、呼吸に関連する部位、例えば、唇のみ、照射野相当(胸部)等が挙げられる。
また、X線動態撮影の撮影部位が整形外科で扱われる部位、例えば関節を含む部位である場合、カメラ4の撮影部位は、例えば、その関節に関連する部位(例えば、肘関節なら肘、膝関節なら膝)が挙げられる。
また、X線動態撮影の撮影部位が嚥下に関連する部位である場合(嚥下検査の場合)、カメラ4の撮影部位は、嚥下に関連する部位、例えば、バリウムなどの造影剤を含んだ食事を飲み込む際の口元等が挙げられる。
決定されたカメラ4の撮影部位は、例えば、表示部24に表示される。
【0063】
カメラ4の撮影部位が決定されると、カメラ4においては、ユーザー操作による撮影部位の設定が受け付けられる(ステップS4)。
ここで、カメラ4の撮影部位が決定されると、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行うとともに、カメラ4の撮影範囲内にステップS3で決定された撮影部位が入るように、カメラ4の設定操作を行う。撮影準備が整った時点で、撮影実施者は、曝射スイッチを押下する。
なお、撮影体位は立位PA/AP、座位PA/AP、臥位のいずれであってもよい。
【0064】
撮影用コンソール2において、曝射スイッチの押下(ON)が検出されると(ステップS5;YES)、放射線照射制御装置12、読取制御装置14、及びカメラ4に曝射信号が送信される(ステップS6)。曝射信号が受信されると、撮影装置1においては、X線動態撮影が開始され(ステップS7)、カメラ4においては、動画撮影(カメラ撮影)が開始される(ステップS8)。
このように、曝射スイッチが押下されると、撮影用コンソール2の制御部21は、放射線照射制御装置12、読取制御装置14及びカメラ4に曝射信号を送信して連動して撮影が開始されるように制御する。
【0065】
なお、X線動態撮影では、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得され、取得されたフレーム画像に、連動表示に関連する情報として撮影日時の情報が付帯される(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれる)。
【0066】
撮影用コンソール2において、曝射スイッチの解除(OFF)が検出されると(ステップS9;YES)、放射線照射制御装置12、読取制御装置14、及びカメラ4に撮影終了信号が送信され(ステップS10)、X線動態撮影及びカメラ撮影が終了される(ステップS11、12)。
【0067】
撮影装置1においては、X線動態撮影により取得されたX線動態画像のフレーム画像が撮影用コンソール2に送信される(ステップS13)。なお、X線動態画像のフレーム画像は、放射線検出部13により取得されたものから順次撮影用コンソール2に送信することとしてもよい。
【0068】
撮影用コンソール2においては、撮影装置1から取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、X線動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、撮影部位、放射線照射条件、画像読取条件等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS14)。
【0069】
カメラ4においては、撮影により取得されたカメラ画像(動画像)の一連のフレーム画像のそれぞれに、連動表示の情報として少なくとも撮影日時の情報が付帯され、診断用コンソール3に送信される(ステップS15)。
【0070】
診断用コンソール3においては、通信部35によりX線動態画像及びカメラ画像が受信されると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報の表示準備が行われる(ステップS16)。
【0071】
上述のように、X線動態画像関連情報は、X線動態画像と当該X線動態画像を解析して得られた動態解析結果の少なくとも一方を含む情報である。そこで、X線動態画像関連情報として動態解析結果を表示する場合、ステップS16では、X線動態画像が解析され、動態解析結果(動態解析画像、グラフ、値等)が取得される。X線動態画像関連情報をX線動態画像とする場合は、ステップS16においては何も処理をしなくてもよいが、一般的なノイズ除去やエッジ処理等の画像処理を施してもよい。
また、上述のように、カメラ画像関連情報は、カメラ画像と、当該カメラ画像を解析して得られたカメラ画像解析結果の少なくとも一方を含む情報である。そこで、カメラ画像関連情報としてカメラ画像解析結果を表示する場合、ステップS16では、カメラ画像が解析され、カメラ画像解析結果(カメラ画像解析画像、グラフ、値等)が取得される。カメラ画像関連情報をカメラ画像とする場合は、ステップS16においては何も処理をしなくてもよいが、一般的なノイズ除去やエッジ処理等の画像処理を施してもよい。
【0072】
なお、X線動態画像関連情報、カメラ画像関連情報としてそれぞれどのような情報を表示するかは、操作部33からユーザーが選択可能としてもよいし、X線動態画像の撮影部位、カメラ画像の撮影部位に応じて予め設定されていてもよい。
【0073】
ステップS16におけるX線動態画像の解析手法、カメラ画像の解析手法は、特に限定されず、公知の解析手法を用いることができる。
例えば、胸部を撮影したX線動態画像では、呼吸に伴って横隔膜の位置(肺尖と横隔膜との距離)、胸郭幅、肺野の面積等が変化する。また、呼吸に伴って肺野の画素信号値が変化する(最大呼気位では濃度が低く、最大吸気位では濃度が高くなる)。そこで、撮影部位が胸部の場合、ステップS16では、X線動態画像を解析して、例えば、横隔膜、胸郭、肺野等の動き情報や動態解析画像(換気解析画像、血流解析画像)を取得する。
【0074】
例えば、横隔膜の位置(肺尖と横隔膜との距離)、胸郭幅、又は肺野の面積等をX線動態画像のフレーム画像ごとに求め、求めた値や求めた値の時間変化を表すグラフ等を動態解析結果として取得する。図4に、横隔膜の位置の時間変化を示すグラフの一例を示す。
あるいは、X線動態画像のフレーム画像ごとに、横隔膜の位置や胸郭の幅を示すアノテーションを重畳して動態解析画像を生成してもよい(図10参照)。
あるいは、X線動態画像の各フレーム画像から肺野領域を抽出し、抽出した肺野領域を複数の小領域に分割し、各小領域をフレーム画像間で対応づけて(例えば、同じ位置の小領域を対応付けて)時間方向のローパスフィルター処理を施し、隣接するフレーム画像間の画素信号値の差分値又は基準フレーム画像と各フレーム画像との画素信号値の差分値を小領域ごとに求め、求めた差分値に応じた色を各フレーム画像に重畳した動態解析画像(換気解析画像)を生成してもよい。図5に、換気解析画像の一例を示す。
あるいは、X線動態画像の各フレーム画像から肺野領域を抽出し、抽出した肺野領域を複数の小領域に分割し、各小領域をフレーム画像間で対応づけて(例えば、同じ位置の小領域を対応付けて)時間方向のハイパスフィルター処理を施し、隣接するフレーム画像間の画素信号値の差分値又は基準フレーム画像と各フレーム画像との画素信号値の差分値を小領域ごとに求め、求めた差分値に応じた色を各フレーム画像に重畳した動態解析画像(血流解析画像)を生成してもよい。
【0075】
また、胸部のX線動態撮影とともに撮影されたカメラ画像の撮影部位が唇である場合は、カメラ画像を解析して、例えば、唇の形状情報、口角の角度情報、唇の形状や口角を表すカメラ画像解析画像を取得する。
例えば、カメラ画像の各フレーム画像において、唇を認識し、左右の口角と唇の上下の頂点のそれぞれを結んで唇の形状情報Lを生成し、これを各フレーム画像に重畳したカメラ画像解析画像を生成する。図6に、唇の形状情報Lを重畳したカメラ画像解析画像の一例を示す。または、口角の角度θや、上唇と下唇の頂点間の距離Dの値をカメラ画像解析結果として取得してもよい。あるいは、口角の角度θや、上唇と下唇の頂点間の距離Dの値の時間変化を示すグラフをカメラ画像解析結果として取得してもよい。
【0076】
また、X線動態画像の撮影部位がいずれかの関節である場合、X線動態画像の各フレーム画像から関節部の角度を計測し、関節部の角度の値やその時間変化を示すグラフを動態解析結果として取得する。あるいは、X線動態画像のフレーム画像ごとに関節の角度を示すアノテーションを重畳した動態解析画像を生成してもよい。
カメラ画像についても同様に、撮影部位がいずれかの関節である場合、カメラ画像の各フレーム画像から関節部の角度を計測し、関節部の角度の値やその時間変化を示すグラフをカメラ画像解析結果として取得する。あるいは、カメラ画像のフレーム画像ごとに関節の角度を示すアノテーションを重畳したカメラ画像解析画像を生成してもよい(図7参照)。
【0077】
また、X線動態画像の撮影部位が嚥下に関する部位(例えば、バリウムなどの造影剤を含んだ食事を飲み込んだときの口元~食道を含む部位)である場合、X線動態画像の各フレーム画像から、例えば、食道を認識して食道の幅を計測し、食道の幅の値やその時間変化を示すグラフ(図8参照)を動態解析結果として取得する。あるいは、図9に示すように、X線動態画像のフレーム画像ごとに、食道の幅を示すアノテーション(図9の矢印)を重畳して動態解析画像を生成してもよい。
また、カメラ画像の撮影部位がバリウムなどの造影剤を含んだ食事を飲み込む際の口元である場合、カメラ画像の各フレーム画像から口(口の開口部)の縦方向の長さを計測し、その値やその時間変化を示すグラフをカメラ画像解析結果として取得する。あるいは、カメラ画像のフレーム画像ごとに、口の縦方向の長さを示すアノテーションを重畳したカメラ画像解析画像を生成してもよい。
【0078】
そして、診断用コンソール3において、表示準備が終了すると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とが表示部34に連動表示され(ステップS17)、動態画像撮影表示シーケンスは終了する。
【0079】
ステップS17では、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報のうち画像撮影時のタイミングが一致するフレーム画像に関する情報を一緒に表示する。なお、「タイミングが一致する」には、厳密な一致に限定されず、多少の誤差を含んでいてもよい。
【0080】
ここで、動態画像撮影表示シーケンスAでは、上述のように、曝射スイッチの押下に応じてX線動態撮影及びカメラ撮影が開始し、曝射スイッチの解放(OFF)に応じてX線動態撮影及びカメラ撮影が終了するよう制御されている。すなわち、X線動態画像とカメラ画像が撮影された期間は一致している。そのため、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報が画像である場合、両画像が同じフレームレートで撮影されているのであれば、制御部31は、同時に表示を開始して、同じ速度でフレーム画像(又はフレーム画像に対応する解析結果)を切り替え表示すれば、連動表示を行うことができる。両画像が同じフレームレートで撮影されていない場合は、制御部31は、画像撮影時のタイミングが一致するフレーム画像に関する情報が一緒に表示されるように、フレームレートに応じて表示のタイミングを制御する。例えば、一方の画像が15フレーム/秒で撮影され、他方が30フレーム/秒で撮影された場合は、30フレームの方の画像を倍速で切り替え表示されるよう制御する。
【0081】
なお、表示するX線動態画像関連情報又はカメラ画像関連情報がグラフの場合は、グラフ上の強調表示位置(例えば、図10のT)を上述の画像の切り替えと同様に撮影時のフレームレートに応じた速度で切り替える。また、X線動態画像関連情報又はカメラ画像関連情報が数値の場合は、上述の画像の切り替えと同様に撮影時のフレームレートに応じた速度で表示する数値を切り替える。
【0082】
図10は、ステップS17で表示される連動表示画面341の一例を示す図である。図10に示すように、連動表示画面341には、患者ID、患者名、年齢等の患者情報341aと、X線動態画像関連情報(横隔膜の位置及び胸郭の幅を示す動態解析画像)341bと、X線動態画像関連情報(横隔膜の位置の時間変化を示すグラフ)341cと、X線動態画像関連情報(胸郭の幅の時間変化を示すグラフ)341dと、カメラ画像関連情報(口すぼめ呼吸のカメラ画像)341eと、連動表示ボタン341fと、が表示されている。X線動態画像関連情報及びカメラ画像関連情報については、例えば、連動表示の開始位置の情報が表示されており、連動表示ボタン341fが押下されると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報の連動表示が開始される。
したがって、カメラ画像関連情報(図10では、口すぼめ呼吸の動画)とX線動態画像関連情報(図10では横隔膜の位置、胸郭の幅)が連動して表示されるので、医師や理学療法士が、体表の動き(図10では口すぼめ呼吸の唇の動き)と体内の動き(図10では横隔膜と胸郭の動き)とを同時に観察して、治療や呼吸リハビリの効果を客観的に評価することができ、効果的な医療を患者に提供することが可能となる。
【0083】
なお、ステップS17では、過去のX線動態画像関連情報及び/又はカメラ画像関連情報を併せて表示することで、医師や理学療法士が経時的な変化を確認できるようにしてもよい。
【0084】
また、診断用コンソール3の制御部31は、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報を連動表示する連動表示画面を通信部35により患者の汎用端末5や携帯端末6に送信することとしてもよい。その際、医師や理学療法士などのコメディカルスタッフからのコメントの入力を受け付けてコメントの情報を含む連動表示画面を生成して汎用端末5や携帯端末6に送信することとしてもよい。
【0085】
図11は、携帯端末6に送信されて表示された連動表示画面641の一例を示す図である。図11においては、X線動態画像関連情報(胸部のX線動態画像)641aと、X線動態画像関連情報(胸郭幅の時間変化のグラフ)641bと、カメラ画像関連情報(カメラ画像)641cと、医師又は理学療法士などのコメディカルスタッフによるコメント641dと、連動表示ボタン641eと、が表示されている。X線動態画像関連情報(胸郭幅の時間変化のグラフ)641bとしては、現在と過去の胸郭幅の時間変化のグラフが並列表示されている。X線動態画像関連情報及びカメラ画像関連情報については、例えば、連動表示の開始位置の情報が表示されており、連動表示ボタン641eが押下されると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報の連動表示が開始される。
したがって、カメラ画像関連情報(図11では、口すぼめ呼吸の動画)とX線動態画像関連情報(図11では胸部X線動態画像及び胸郭の幅)が連動して表示されるので、ユーザー(患者)は、体表の動き(図11では口すぼめ呼吸の唇の動き)と体内の動き(図11では肺野及び胸郭等の動き)とを同時に観察して、治療やリハビリの効果を客観的に評価することができる。患部の状態が改善されている場合には、患者が客観的に患部が改善されていることを認識できるため、患者のモチベーションアップにつながる。また、リハビリの仕方で問題がある(あまり改善されていない)場合には、例えば、医師や理学療法士などのコメディカルスタッフがコメントで、あるいは口頭により、X線動態画像関連情報及びカメラ画像関連情報を用いて改善効果の低い動作を指摘しながら動作の改善事項を患者に客観的にわかりやすく説明することができる。すなわち、どのような動作をすれば患部の内部的な動きが改善されるのか(又は改善されないのか)を客観的に示すことができ、効果的な医療を患者に提供することが可能となる。
【0086】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、曝射スイッチの押下(ON)に応じて、X線動態撮影及びカメラ撮影が開始され、曝射スイッチの開放(OFF)に応じて、X線動態撮影及びカメラ撮影が終了する場合を例にとり説明したが、第2の実施形態では、曝射スイッチとは別に、カメラ4へ撮影を指示するカメラスイッチが設けられている場合を例にとり説明する。
【0087】
すなわち、第2の実施形態において、カメラ4には、カメラスイッチが接続されている。本実施形態において、カメラスイッチは、曝射スイッチの近傍に配置され、曝射スイッチとカメラスイッチを撮影実施者が同時に押下できるようになっている。
動態画像表示システム100のその他の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態における動態画像表示システム100の動作について説明する。
【0088】
図12は、第2の実施形態において動態画像表示システム100において実行される動態画像撮影表示シーケンス(動態画像撮影表示シーケンスBとする)の流れを示す図である。図12を参照して、動態画像撮影表示シーケンスBの流れについて説明する。
【0089】
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、X線動態撮影の撮影対象(被写体M)の患者情報(患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)や撮影部位が入力されると、撮影用コンソール2において、被写体Mに対する検査情報が生成される(ステップS21)。
【0090】
次いで、撮影用コンソール2において、撮影部位に応じた放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS22)。
【0091】
次いで、撮影用コンソール2において、カメラ4の撮影部位が決定される(ステップS23)。
ステップS23の処理は、図3のステップS3で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0092】
カメラ4においては、ユーザー操作に応じて撮影部位の設定が受け付けられる(ステップS24)。
ここで、カメラ4の撮影部位が決定されると、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行うとともに、カメラ4の撮影範囲内にステップS23で決定された撮影部位が入るように、カメラ4の設定操作を行う。撮影準備が整った時点で、撮影実施者は、曝射スイッチ及びカメラスイッチを同時に押下する。
【0093】
撮影用コンソール2において、曝射スイッチの押下(ON)が検出されると(ステップS25;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に曝射信号が送信され(ステップS26)、X線動態撮影が開始される(ステップS27)。
また、カメラ4において、カメラスイッチの押下(ON)が検出されると(ステップS28;YES)、動画撮影(カメラ撮影)が開始される(ステップS29)。
撮影実施者は、撮影終了タイミングが到来すると、曝射スイッチ及びカメラスイッチを同時に開放(OFF)する。
【0094】
撮影用コンソール2において、曝射スイッチの解除(OFF)が検出されると(ステップS30;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影終了信号が送信され(ステップS31)、X線動態撮影が終了される(ステップS32)。
また、カメラ4において、カメラスイッチの解除(OFF)が検出されると(ステップS33;YES)、カメラ撮影が終了される(ステップS34)。
【0095】
撮影装置1においては、X線動態撮影により取得されたX線動態画像のフレーム画像が撮影用コンソール2に送信される(ステップS35)。なお、X線動態画像のフレーム画像は、放射線検出部13により取得されたものから順次撮影用コンソール2に送信することとしてもよい。
【0096】
撮影用コンソール2においては、撮影が終了すると、読取制御装置14から取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、X線動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、撮影部位、放射線照射条件、画像読取条件、等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS36)。
【0097】
カメラ4においては、撮影が終了すると、撮影により取得されたカメラ画像(動画像)の一連のフレーム画像のそれぞれに連動表示に関する情報として少なくとも撮影日時の情報が付帯され、診断用コンソール3に送信される(ステップS37)。
【0098】
診断用コンソール3においては、通信部35によりX線動態画像及びカメラ画像が受信されると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報の表示準備が行われる(ステップS38)。
ステップS38の処理は、図3のステップS16と同様であるので説明を援用する。
【0099】
そして、診断用コンソール3において、表示準備が終了すると、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とが表示部34に連動表示され(ステップS39)、動態画像撮影表示シーケンスBは終了する。
ステップS39の処理は、図3のステップS17と同様であるので説明を援用する。
【0100】
このように、第2の実施形態では、曝射スイッチとは別に、カメラ4に撮影を指示するカメラスイッチが設けられている場合であっても、同じタイミングでX線動態画像及びカメラ画像を撮影することができるので、容易にX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを連動表示することが可能となる。したがって、第1の実施形態と同様に、効果的な医療を患者に提供することが可能となる。
【0101】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
第1及び第2の実施形態では、X線動態撮影とカメラ撮影が連動して行われ、同じ期間のX線動態画像とカメラ画像が取得される場合を例にとり説明したが、第3の実施形態では、診断用コンソール3で同じ期間に撮影されたX線動態画像とカメラ画像を特定して連動表示されるように制御する例について説明する。
【0102】
第3の実施形態における動態画像表示システム100の構成は、第2の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第3の実施形態における動態画像表示システム100の動作について説明する。
【0103】
第3の実施形態における動態画像撮影表示シーケンスは、第2の実施形態において図12を用いて説明したものと略同様であるが、少なくともX線動態撮影中のカメラ画像が得られるのであれば、曝射スイッチとカメラスイッチが同時に押下及び開放されなくてもよい。例えば、先にカメラ撮影を開始しておき、カメラ撮影中にX線動態撮影を行うこととしてもよい。そして、ステップS38の表示準備において、制御部31は、画像処理や解析処理と併せて、後述する連動表示開始位置特定処理を実行し、X線動態画像の撮影開始時刻と同じタイミングで撮影されたカメラ画像のフレーム画像を特定する。そして、ステップS39で連動表示する際には、連動表示開始位置特定処理の処理結果に基づいてX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを連動表示させる。
【0104】
連動表示開始位置特定処理としては、例えば、以下の連動表示開始位置特定処理A~連動表示開始位置特定処理Cのいずれかを適用することができる。
【0105】
(連動表示開始位置特定処理A)
図13は、診断用コンソール3の制御部31において実行される連動表示開始位置特定処理Aの流れを示すフローチャートである。以下、図13を参照して連動表示開始位置特定処理Aについて説明する。
【0106】
まず、X線動態画像の先頭(1フレーム目)のフレーム画像の付帯情報から、X線動態撮影の撮影開始時刻が取得される(ステップS41)。
【0107】
次いで、カメラ画像の付帯情報に基づいて、カメラ画像内のフレーム画像のうち、X線動態撮影の撮影開始時刻と同じ時刻で撮影されたフレーム画像が探索され(ステップS42)、探索により得られたフレーム画像がカメラ画像の連動表示の開始位置として特定されてそのフレーム番号がRAM等に記憶され(ステップS43)、連動表示開始位置特定処理Aは終了する。
【0108】
X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報を連動表示する際には、X線動態画像関連情報についてはX線動態画像の1フレーム目のフレーム画像に基づくX線動態画像関連情報を先頭として、カメラ画像関連情報についてはカメラ画像のステップS43で特定されたフレーム画像に基づくカメラ画像関連情報を先頭として、表示が行われる。このとき、X線動態撮影とカメラ撮影のフレームレートが同じであれば、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報が同じタイミングで切替されることで、連動表示が行われる。フレームレートが異なる場合は、フレームレートを考慮して、同じタイミングで撮影されたX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報が同じタイミングで表示されるように制御部31は制御を行う。
【0109】
(連動表示開始位置特定処理B)
図14は、診断用コンソール3の制御部31において実行される連動表示開始位置特定処理Bの流れを示すフローチャートである。以下、図14を参照して連動表示開始位置特定処理Bについて説明する。
【0110】
まず、X線動態画像の動態解析結果から、撮影部位の動態の時間変化が取得される(ステップS51)。X線動態撮影の撮影部位の動態の時間変化は、例えば、撮影部位が胸部である場合は、横隔膜の位置の時間変化、胸郭の幅の時間変化、肺野面積の時間変化等が挙げられる。
【0111】
次いで、カメラ画像解析結果から、撮影部位の動態の時間変化が取得される(ステップS52)。例えば、カメラ撮影の撮影部位の動態の時間変化は、例えば、カメラ画像の撮影部位が唇である場合は、口角の角度等の時間変化が挙げられる。
【0112】
次いで、X線動態撮影の撮影開始時刻におけるX線動態画像の撮影部位の動態の時間変化の位相を取得し、カメラ画像の撮影部位の動態の時間変化から、X線動態撮影開始時刻周辺で、X線動態画像の撮影開始時刻と位相が一致する位置が探索される(ステップS53)。
【0113】
ここで、カメラ画像の撮影部位の動態とX線動態画像の撮影部位の動態は連動している(カメラ画像の撮影部位の動きによりX線動態撮影の撮影部位の動きに影響する)ため、これらの2つの動態の時間変化の周期は一致し、同じタイミングにおけるカメラ画像の撮影部位の動態とX線動態画像の撮影部位の動態の位相(一周期における位置)は一致しているはずである。そこで、X線動態撮影の撮影開始時刻におけるX線動態画像の撮影部位の動態の時間変化の位相と一致する位置が、カメラ画像の撮影部位の動態の時間変化のX線動態撮影開始時刻周辺から探索される。
【0114】
そして、カメラ画像における、ステップS53で探索された位置に対応するフレーム画像がカメラ画像の連動表示の開始位置として特定されてそのフレーム番号がRAM等に記憶され(ステップS54)、連動表示開始位置特定処理Bは終了する。
【0115】
X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報を連動表示する際には、X線動態画像関連情報についてはX線動態画像の1フレーム目のフレーム画像に基づくX線動態画像関連情報を先頭として、カメラ画像関連情報についてはカメラ画像のステップS54で特定されたフレーム画像に基づくカメラ画像関連情報を先頭として、表示が行われる。このとき、X線動態撮影とカメラ撮影のフレームレートが同じであれば、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報が同じタイミングで切替されることで、連動表示が行われる。フレームレートが異なる場合は、フレームレートを考慮して、同じタイミングで撮影されたX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報が同じタイミングで表示されるように制御部31は制御を行う。
【0116】
(連動表示開始位置特定処理C)
連動表示開始位置特定処理A、Bにおいては、診断用コンソール3の制御部31が自動的に連動表示の開始位置とするフレーム画像を特定することとしたが、連動表示開始位置特定処理Cにおいては、ユーザーによる連動表示に関する情報(ここでは、連動表示開始位置の情報)の入力を受け付けて、入力された情報に基づいて連動表示を行う場合を例にとり説明する。
【0117】
連動表示開始位置特定処理Cにおいては、まず、診断用コンソール3において、制御部31により表示部34に開始位置選択画面(図示せず)が表示される。開始位置選択画面には、例えば、X線動態画像の一連のフレーム画像のサムネイル画像と、カメラ画像の一連のフレーム画像のサムネイル画像が、時間軸に沿って並べて表示されている。開始位置選択画面においてユーザーが操作部33のマウス等により連動表示の開始位置とするフレーム画像をそれぞれクリックすると、制御部31により、クリックされたフレーム画像の位置が連動表示の開始位置として設定され、設定された開始位置に基づいてX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とが連動表示される。あるいは、開始位置選択画面においてユーザーが操作部33のマウス等により連動表示するフレーム画像の範囲を指定すると、ユーザーが指定した範囲に対応するX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを連動表示するようにしてもよい。なお、連動表示開始位置特定処理Cは、連動表示開始位置特定処理A又は連動表示開始位置特定処理Bによる自動調整の調整用に、ユーザー操作に応じて実行できるようにしてもよい。
【0118】
第3の実施形態によれば、X線動態撮影とカメラ撮影を連動して撮影されていない場合においても、X線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを連動表示させることができる。
【0119】
以上説明したように、診断用コンソール3によれば、制御部31は、X線動態撮影により得られたX線動態画像に関連するX線動態画像関連情報と、カメラ撮影により得られたカメラ画像に関連するカメラ画像関連情報と、を取得し、取得したX線動態画像関連情報と前記カメラ画像関連情報とを連動させて表示部34に表示させる。
したがって、医師や理学療法士が、体表の動きと体内の動きとを同時に観察して、治療やリハビリの効果を客観的に評価することができるため、効果的な医療を患者に提供することができる。
【0120】
例えば、X線動態画像の撮影部位が胸部であり、カメラ画像の撮影部位が呼吸に関連する部位である場合、カメラ画像をX線動態画像と連動表示することにより、理学療法士がリハビリ対象者に、例えば呼吸動作を客観的に説明でき、カメラ画像を動態解析結果と連動表示すれば、医師や理学療法士がリハビリ対象者に例えば呼吸リハビリでの効果を客観的に説明でき、より効率的にリハビリを提供できる。
【0121】
また、例えば、X線動態画像の撮影部位が整形に関連する部位であり、カメラ画像に含まれる撮影部位が整形に関連する部位である場合、カメラ画像をX線動態画像と連動表示することにより、理学療法士がリハビリ対象者に例えば関節の動きを客観的に説明でき、カメラ画像をX線動態解析結果と連動表示することにより、理学療法士がリハビリ対象者に例えば関節の治療効果を客観的に説明でき、より効率的にリハビリを提供できる。
【0122】
また、例えば、X線動態画像の撮影部位が嚥下に関連する部位であり、カメラ画像に含まれる撮影部位が嚥下に関連する部位である場合、カメラ画像をX線動態画像と連動表示することにより、理学療法士がリハビリ対象者に例えば口の動きを客観的に説明でき、カメラ画像をX線動態解析結果と連動表示することにより、理学療法士がリハビリ対象者に例えば嚥下の治療効果を客観的に説明でき、より効率的にリハビリを提供できる。
【0123】
なお、本実施形態における記述は、本発明に係る好適な動態画像表示システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0124】
例えば、上記第1~第3の実施形態では、連動表示の開始位置のフレーム画像を特定し、それ以降のフレーム画像に対応するX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とをそれぞれ切替表示することとして説明したが、開始位置以降の全てのフレーム画像に対応するX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを連動する必要はない。例えば、関節部を撮影した場合、関節を最も伸ばしたタイミングと最も縮めたタイミングのフレーム画像に対応するX線動態画像関連情報とカメラ画像関連情報とを取り出して連動表示させてもよい。
【0125】
また、上記実施形態で説明した動態解析結果やカメラ画像解析結果は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0126】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM
等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0127】
その他、動態画像表示システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0128】
100 動態画像表示システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス
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