(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240402BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65G1/04 541
B65G1/00 511J
(21)【出願番号】P 2020171323
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】冨山 好史
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-100153(JP,A)
【文献】特開2003-246421(JP,A)
【文献】特開2009-143668(JP,A)
【文献】特開平2-48308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 ー 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を自動的に入出庫する自動倉庫と、
前記自動倉庫から出庫された荷物を出荷口まで搬送する搬送装置と、
前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御するコントローラであって、前記自動倉庫による荷物の出庫を制限しない通常モードと、前記自動倉庫による荷物の出庫を制限する制限モードとに切り替え可能なコントローラと、
前記出荷口に配置され、荷物が前記出荷口まで搬送されたことを示す確認信号を前記コントローラに出力する出荷確認部と、を備え、
前記コントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から予め設定された所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御する
自動倉庫システム。
【請求項2】
前記自動倉庫システムは、さらに、前記通常モードから前記制限モードに切り替えられた際に、前記通常モードで出庫される予定であった荷物の一覧を示す残処理リストの中から、前記制限モードで前記自動倉庫から出庫したい荷物を選択するユーザの操作を受け付ける受付部を備え、
前記コントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から前記ユーザにより選択された荷物の中から前記所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記ユーザにより選択された荷物の中から、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記自動倉庫を制御する
請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記受付部は、さらに、前記制限モードで前記自動倉庫から出庫したい荷物として、前記残処理リストに含まれない荷物を選択する前記ユーザの操作を受け付ける
請求項2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記自動倉庫における荷物の在庫を管理する第1のコントローラと、
前記第1のコントローラからの指示に基づいて、前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御する第2のコントローラと、を含み、
前記第1のコントローラは、前記通常モードと前記制限モードとに切り替え可能であり、
前記第1のコントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から前記所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記第2のコントローラに指示する
請求項1~3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記所定の個数は、1個である
請求項1~4のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫において荷物を入出庫する自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカクレーンにより、ラックに対して荷物を入出庫する自動倉庫システムが知られている。特許文献1に開示された自動倉庫システムでは、停電時にラックから荷物を出庫する際には、まず、作業者は、出庫したい荷物が保管されたラックの特定の棚の前までスタッカクレーンを手動で移動させる。
【0003】
次に、当該作業者は、スタッカクレーンに付設された梯子を特定の棚の高さまで登り、他の作業者は、スタッカクレーンの下部でマニュアルウインチを操作して、補助昇降台を特定の棚の高さまで上昇させる。そして、梯子上の当該作業者が所望の荷物を特定の棚から補助昇降台に移載し、他の作業者がスタッカクレーンの下部でマニュアルウインチを操作して、補助昇降台を下降させる。以上のようにして、ラックから荷物を手作業で出庫することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の自動倉庫システムでは、停電時には自動倉庫システムの運転が完全に停止してしまうため、作業者は、ラックから荷物を手作業で出庫した後に、ラックにおける荷物の在庫状況を示す在庫データベース等を手作業で更新する必要があり、非常に手間がかかるという課題が生じる。
【0006】
そこで、停電時に備えて、自動倉庫システムに対して非常用の電力を供給するための自家発電設備を設置することが考えられる。しかしながら、自家発電設備の規模が小さい場合には、自家発電設備により自動倉庫システムの運転を継続することが難しい場合がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、消費電力を抑えながら自動倉庫から荷物を自動的に出庫することができる自動倉庫システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る自動倉庫システムは、荷物を自動的に入出庫する自動倉庫と、前記自動倉庫から出庫された荷物を出荷口まで搬送する搬送装置と、前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御するコントローラであって、前記自動倉庫による荷物の出庫を制限しない通常モードと、前記自動倉庫による荷物の出庫を制限する制限モードとに切り替え可能なコントローラと、前記出荷口に配置され、荷物が前記出荷口まで搬送されたことを示す確認信号を前記コントローラに出力する出荷確認部と、を備え、前記コントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から予め設定された所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御する。
【0009】
本態様によれば、制限モードでは、コントローラは、自動倉庫から予め設定された所定の個数の荷物を出庫し、出荷確認部からの確認信号を受信する毎に、自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、自動倉庫及び搬送装置を制御する。これにより、消費電力を抑えながら、自動倉庫から荷物を自動的に出庫することができる。その結果、例えば停電等が発生した場合であっても、自家発電装置からの非常用の電力を利用して、自動倉庫システムの運転を継続することができる。また、自動倉庫システムの運転を継続することにより、自動倉庫における荷物の在庫状況を示す在庫データベース等を自動的に更新することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る自動倉庫システムにおいて、前記自動倉庫システムは、さらに、前記通常モードから前記制限モードに切り替えられた際に、前記通常モードで出庫される予定であった荷物の一覧を示す残処理リストの中から、前記制限モードで前記自動倉庫から出庫したい荷物を選択するユーザの操作を受け付ける受付部を備え、前記コントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から前記ユーザにより選択された荷物の中から前記所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記ユーザにより選択された荷物の中から、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記自動倉庫を制御するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、ユーザは、残処理リストの中から、例えば災害時等に必要な緊急性の高い荷物を選択することができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る自動倉庫システムにおいて、前記受付部は、さらに、前記制限モードで前記自動倉庫から出庫したい荷物として、前記残処理リストに含まれない荷物を選択する前記ユーザの操作を受け付けるように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、ユーザは、残処理リストに含まれていない、例えば災害時等に必要な緊急性の高い荷物を選択することができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係る自動倉庫システムにおいて、前記コントローラは、前記自動倉庫における荷物の在庫を管理する第1のコントローラと、前記第1のコントローラからの指示に基づいて、前記自動倉庫及び前記搬送装置を制御する第2のコントローラと、を含み、前記第1のコントローラは、前記通常モードと前記制限モードとに切り替え可能であり、前記第1のコントローラは、前記制限モードにおいて、前記自動倉庫から前記所定の個数の荷物を出庫し、前記出荷確認部からの前記確認信号を受信する毎に、前記自動倉庫から新たな荷物の出庫を開始するように、前記第2のコントローラに指示するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、第1のコントローラが通常モードと制限モードとに切り替え可能であるので、第1のコントローラから第2のコントローラへの指示のみを制御することにより、第2のコントローラ、自動倉庫及び搬送装置を制限モードで動作させることができる。その結果、第2のコントローラ、自動倉庫及び搬送装置として既存の設備を利用することができ、自動倉庫システムの導入を容易に行うことができる。
【0016】
例えば、本発明の一態様に係る自動倉庫システムにおいて、前記所定の個数は、1個であるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、消費電力を最低限に抑えながら、自動倉庫から荷物を出庫することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る自動倉庫システムによれば、消費電力を抑えながら自動倉庫から荷物を自動的に出庫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムの概要を示す上面図である。
【
図2】実施の形態に係る自動倉庫システムにおける給電系統を示す概略図である。
【
図3】実施の形態に係る自動倉庫システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る自動倉庫システムの基本動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】通常モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】制限モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】端末装置に表示される残処理リストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
(実施の形態)
[1.自動倉庫システムの概要]
まず、
図1及び
図2を参照しながら、実施の形態に係る自動倉庫システム2の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム2の概要を示す上面図である。
図2は、実施の形態に係る自動倉庫システム2における給電系統を示す概略図である。
【0022】
図1に示すように、自動倉庫システム2は、自動倉庫4と、搬送装置6と、コントローラ8とを備えている。自動倉庫システム2は、例えば倉庫等の建物内に配置されている。なお、
図1において、建物の幅方向をX軸方向、建物の奥行き方向をY軸方向、建物の高さ方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0023】
自動倉庫4は、ラック10a,10b,10c,10d,10e,10fと、スタッカクレーン12a,12b,12cとを有している。すなわち、自動倉庫4は、電力を利用して動作するスタッカクレーンを複数有している。自動倉庫4は、荷物14を自動的に入出庫するためのものである。自動倉庫4による荷物14の入庫及び出庫については、後述する。
【0024】
荷物14は、パレット18と、パレット18に載置された複数の物品20とを含んでいる。物品20は、例えば段ボールに梱包された商品等である。
【0025】
ラック10a,10b,10c,10d,10e,10fは、X軸方向に沿って並列に配置されている。具体的には、ラック10a,10bは、スタッカクレーン12aの走行通路21a(後述する)を挟むように、X軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。ラック10b,10cは、X軸方向に沿って互いに隣接して配置されている。ラック10c,10dは、スタッカクレーン12bの走行通路21b(後述する)を挟むように、X軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。ラック10d,10eは、X軸方向に沿って互いに隣接して配置されている。ラック10e,10fは、スタッカクレーン12cの走行通路21c(後述する)を挟むように、X軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。
【0026】
ラック10aには、荷物14を保管するための複数の棚16aが配置されている。複数の棚16aは、ラック10aの長手方向(Y軸方向)に複数列、且つ、ラック10aの高さ方向(Z軸方向)に複数段配置されている。ラック10bには、荷物14を保管するための複数の棚16bが配置されている。複数の棚16bは、ラック10bの長手方向に複数列、且つ、ラック10bの高さ方向に複数段配置されている。
【0027】
ラック10cには、荷物14を保管するための複数の棚16cが配置されている。複数の棚16cは、ラック10cの長手方向に複数列、且つ、ラック10cの高さ方向に複数段配置されている。ラック10dには、荷物14を保管するための複数の棚16dが配置されている。複数の棚16dは、ラック10dの長手方向に複数列、且つ、ラック10dの高さ方向に複数段配置されている。
【0028】
ラック10eには、荷物14を保管するための複数の棚16eが配置されている。複数の棚16eは、ラック10eの長手方向に複数列、且つ、ラック10eの高さ方向に複数段配置されている。ラック10fには、荷物14を保管するための複数の棚16fが配置されている。複数の棚16fは、ラック10fの長手方向に複数列、且つ、ラック10fの高さ方向に複数段配置されている。
【0029】
スタッカクレーン12aは、ラック10aとラック10bとの間に敷設された走行通路21aに沿って走行可能である。スタッカクレーン12aは、ラック10a又はラック10bに荷物14を入庫する。この入庫の際には、スタッカクレーン12aは、入庫コンベヤ19a(後述する)から荷物14を移載した後に、走行通路21aに沿ってラック10a,10bに向けて走行し、荷物14をラック10a又はラック10bに移載する。また、スタッカクレーン12aは、ラック10a又はラック10bに保管されている荷物14を出庫する。この出庫の際には、スタッカクレーン12aは、ラック10a又はラック10bに保管されている荷物14を取り出した後に、走行通路21aに沿って出庫コンベヤ22a(後述する)に向けて走行し、取り出した荷物14を出庫コンベヤ22aに移載する。
【0030】
スタッカクレーン12bは、ラック10cとラック10dとの間に敷設された走行通路21bに沿って走行可能である。スタッカクレーン12bは、ラック10c又はラック10dに荷物14を入庫する。この入庫の際には、スタッカクレーン12bは、入庫コンベヤ19b(後述する)から荷物14を移載した後に、走行通路21bに沿ってラック10c,10dに向けて走行し、荷物14をラック10c又はラック10dに移載する。また、スタッカクレーン12bは、ラック10c又はラック10dに保管されている荷物14を出庫する。この出庫の際には、スタッカクレーン12bは、ラック10c又はラック10dに保管されている荷物14を取り出した後に、走行通路21bに沿って出庫コンベヤ22b(後述する)に向けて走行し、取り出した荷物14を出庫コンベヤ22bに移載する。
【0031】
スタッカクレーン12cは、ラック10eとラック10fとの間に敷設された走行通路21cに沿って走行可能である。スタッカクレーン12cは、ラック10e又はラック10fに荷物14を入庫する。この入庫の際には、スタッカクレーン12cは、入庫コンベヤ19c(後述する)から荷物14を移載した後に、走行通路21cに沿ってラック10e,10fに向けて走行し、荷物14をラック10e又はラック10fに移載する。また、スタッカクレーン12cは、ラック10e又はラック10fに保管されている荷物14を出庫する。この出庫の際には、スタッカクレーン12cは、ラック10e又はラック10fに保管されている荷物14を取り出した後に、走行通路21cに沿って出庫コンベヤ22c(後述する)に向けて走行し、取り出した荷物14を出庫コンベヤ22cに移載する。
【0032】
搬送装置6は、入庫コンベヤ19a,19b,19cと、出庫コンベヤ22a,22b,22cと、搬送台車24と、複数の出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dとを有している。搬送装置6は、自動倉庫4に入庫すべき荷物14を自動倉庫4まで搬送し、且つ、自動倉庫4から出庫された荷物14を出荷口27(後述する)まで搬送するためのものである。
【0033】
入庫コンベヤ19aは、ラック10a,10bに対応して配置されている。入庫コンベヤ19aは、荷物14をY軸のプラス側に搬送し、搬送した荷物14をスタッカクレーン12aに移載する。
【0034】
入庫コンベヤ19bは、ラック10c,10dに対応して配置されている。入庫コンベヤ19bは、荷物14をY軸のプラス側に搬送し、搬送した荷物14をスタッカクレーン12bに移載する。
【0035】
入庫コンベヤ19cは、ラック10e,10fに対応して配置されている。入庫コンベヤ19cは、荷物14をY軸のプラス側に搬送し、搬送した荷物14をスタッカクレーン12cに移載する。
【0036】
なお、図示しないが、入庫コンベヤ19a,19b,19cにはそれぞれ、リフタが昇降可能に配置されている。各リフタが下降している状態で、入庫コンベヤ19a,19b,19cから各リフタに荷物14を移載する。その後、各リフタが上昇することにより、各リフタからスタッカクレーン12a,12b,12cに荷物14が載置される。
【0037】
出庫コンベヤ22aは、ラック10a,10bに対応して配置され、入庫コンベヤ19aと並列に配置されている。出庫コンベヤ22aは、スタッカクレーン12aから移載された荷物14をY軸のマイナス側に搬送し、搬送した荷物14を搬送台車24に移載する。なお、図示しないが、出庫コンベヤ22aには、リフタが昇降可能に配置されている。リフタが上昇している状態で、スタッカクレーン12aからリフタ上に荷物14を載置する。その後、リフタが下降することにより、リフタから出庫コンベヤ22a上に荷物14が移載される。
【0038】
出庫コンベヤ22bは、ラック10c,10dに対応して配置され、入庫コンベヤ19bと並列に配置されている。出庫コンベヤ22bは、スタッカクレーン12bから移載された荷物14をY軸のマイナス側に搬送し、搬送した荷物14を搬送台車24に移載する。なお、図示しないが、出庫コンベヤ22bには、リフタが昇降可能に配置されている。リフタが上昇している状態で、スタッカクレーン12bからリフタ上に荷物14を載置する。その後、リフタが下降することにより、リフタから出庫コンベヤ22b上に荷物14が移載される。
【0039】
出庫コンベヤ22cは、ラック10e,10fに対応して配置され、入庫コンベヤ19cと並列に配置されている。出庫コンベヤ22cは、スタッカクレーン12cから移載された荷物14をY軸のマイナス側に搬送し、搬送した荷物14を搬送台車24に移載する。なお、図示しないが、出庫コンベヤ22cには、リフタが昇降可能に配置されている。リフタが上昇している状態で、スタッカクレーン12cからリフタ上に荷物14を載置する。その後、リフタが下降することにより、リフタから出庫コンベヤ22c上に荷物14が移載される。
【0040】
搬送台車24は、レール28に沿って走行する有軌道台車である。レール28は、出庫コンベヤ22a,22b,22cの各搬送方向下流端を横切るように、X軸方向に沿って直線状に延びている。搬送台車24は、当該搬送台車24上に載置された荷物14をY軸のマイナス側に搬送するための移載コンベヤ(図示せず)を有している。
【0041】
搬送台車24は、出庫コンベヤ22a,22b,22cのうちいずれかの出庫コンベヤから移載された荷物14を、出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dのいずれかの出荷コンベヤに移載する。例えば、出庫コンベヤ22aから出荷コンベヤ26dに荷物14を搬送する場合には、搬送台車24は、レール28に沿って出庫コンベヤ22aの搬送方向下流端に対向する位置まで走行し、出庫コンベヤ22aから荷物14を移載する。その後、搬送台車24は、レール28に沿って出荷コンベヤ26dの搬送方向上流端に対向する位置まで走行し、荷物14を出荷コンベヤ26dに移載する。
【0042】
出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dは、搬送台車24のレール28を挟んで出庫コンベヤ22a,22b,22cと反対側に配置されており、X軸方向に沿って並列に配置されている。出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dは、搬送台車24から移載された荷物14を、Y軸のマイナス側に搬送する。出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dの各搬送方向下流端には、自動倉庫システム2における荷物14の最終搬送位置である出荷口27が規定されている。作業者(ユーザの一例)は、出荷口27まで搬送された荷物14を手作業で受け取り、当該荷物14の出荷作業を行う。
【0043】
出荷口27には、作業者により押下される完了ボタン30a,30b,30c,30d(出荷確認部の一例)が配置されている。完了ボタン30a,30b,30c,30dはそれぞれ、出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dの各搬送方向下流端の近傍に配置されている。完了ボタン30a,30b,30c,30dはそれぞれ、作業者によって押下されることにより、荷物14が出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dの各搬送方向下流端(すなわち、出荷口27)まで搬送されたことを示す確認信号をコントローラ8に送信(出力)する。
【0044】
コントローラ8は、自動倉庫4及び搬送装置6を制御するためのコンピュータである。コントローラ8の機能については後述する。
【0045】
図2に示すように、自動倉庫システム2における給電系統は、商用電源32と、自家発電装置34と、切替器36とを備えている。
【0046】
商用電源32は、電力会社からの電力が供給される外部電源である。自家発電装置34は、自動倉庫システム2が配置された建物に設置されており、停電時等に当該建物の設備(例えば自動倉庫システム2及び各種生産設備等)に対して非常用の電力を供給する。なお、本実施の形態では、自家発電装置34を自動倉庫システム2が配置された建物に設置したが、これに限定されず、例えば自動倉庫システム2が配置された建物とは別の建物に設置してもよい。
【0047】
切替器36は、自動倉庫システム2への給電元を、商用電源32と自家発電装置34とに切り替える。例えば停電時には、切替器36は、自動倉庫システム2への給電元を、商用電源32から自家発電装置34に切り替える。
【0048】
[2.自動倉庫システムの機能構成]
図3を参照しながら、実施の形態に係る自動倉庫システム2の機能構成について説明する。
図3は、実施の形態に係る自動倉庫システム2の機能構成を示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、自動倉庫システム2は、機能構成として、倉庫管理コントローラ38(第1のコントローラの一例)と、倉庫設備コントローラ40(第2のコントローラの一例)と、クレーンコントローラ42と、出庫コンベヤコントローラ44と、台車コントローラ46と、出荷コンベヤコントローラ48と、端末装置50(受付部の一例)とを備えている。なお、図示しないが、自動倉庫システム2は、機能構成として、入庫コンベヤ19a,19b,19cの動作を制御するための入庫コンベヤコントローラを備えている。
【0050】
なお、上述したコントローラ8は、倉庫管理コントローラ38及び倉庫設備コントローラ40により実現される。本実施の形態では、倉庫管理コントローラ38及び倉庫設備コントローラ40をそれぞれ別個のハードウェアとして構成したが、これに限定されず、これらを1つのハードウェアとして構成してもよい。
【0051】
倉庫管理コントローラ38は、自動倉庫4における荷物14の在庫を管理するためのWMS(Warehouse Management System)である。倉庫管理コントローラ38は、データベース52を有している。データベース52には、自動倉庫4における荷物14の在庫状況を示す在庫データベースと、自動倉庫4から出庫される予定の荷物14の一覧を示す残処理データベースとが格納されている。
【0052】
倉庫管理コントローラ38は、端末装置50又は客先コンピュータ(図示せず)からの出庫要求(後述する)に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを検索することにより、荷物14の荷掴み位置(FROM地点)及び荷降ろし位置(TO地点)を示すFROM-TO情報を生成し、生成したFROM-TO情報を倉庫設備コントローラ40に送信する。また、倉庫管理コントローラ38は、自動倉庫4による荷物14の出庫を制限しない通常モードと、自動倉庫4による荷物14の出庫を制限する制限モードとに切り替え可能である。なお、制限モードは、BCP(Business Continuity Plan)モードともいう。通常モード及び制限モードにおける自動倉庫システム2の動作については、後述する。
【0053】
倉庫設備コントローラ40は、自動倉庫4及び搬送装置6を制御するためのWCS(Warehouse Control System)である。倉庫設備コントローラ40は、倉庫管理コントローラ38からのFROM-TO情報に基づいて、荷物14の搬送ルートを決定し、クレーンコントローラ42、出庫コンベヤコントローラ44、台車コントローラ46及び出荷コンベヤコントローラ48に搬送指令を送信する。
【0054】
クレーンコントローラ42は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、スタッカクレーン12a,12b,12cの動作を制御する。
【0055】
出庫コンベヤコントローラ44は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、出庫コンベヤ22a,22b,22cの動作を制御する。
【0056】
台車コントローラ46は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、搬送台車24の動作を制御する。
【0057】
出荷コンベヤコントローラ48は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dの動作を制御する。なお、出荷コンベヤコントローラ48には、上述した完了ボタン30a,30b,30c,30dが接続されている。
【0058】
端末装置50は、作業者の操作を受け付けるパーソナルコンピュータ等であり、倉庫管理コントローラ38に接続されている。端末装置50は、出庫すべき荷物14を選択する作業者の操作を受け付けた際に、当該選択された荷物14の出庫を要求するための出庫要求を倉庫管理コントローラ38に送信する。
【0059】
また、端末装置50には、後述するように通常モードから制限モードに切り替えられた際に、通常モードで自動倉庫4から出庫される予定であった荷物14の一覧を示す残処理リスト54(後述する
図7参照)が表示される。残処理リスト54は、倉庫管理コントローラ38により、データベース52に格納された残処理データベースに基づいて生成される。
【0060】
[3.自動倉庫システムの動作]
[3-1.自動倉庫システムの基本動作]
図4を参照しながら、実施の形態に係る自動倉庫システム2の基本動作について説明する。以下で説明する自動倉庫システム2の基本動作は、自動倉庫4から荷物14を出庫する動作であり、通常モードと制限モードとで共通の動作である。
図4は、実施の形態に係る自動倉庫システム2の基本動作の流れを示すシーケンス図である。
【0061】
以下、ラック10aの棚16a(例えばラック10aの第2列、第3段の棚16a)に保管されている荷物14を、出荷コンベヤ26aに搬送する場合における自動倉庫システム2の基本動作について説明する。
【0062】
倉庫管理コントローラ38は、通常モードでは客先コンピュータからの出庫要求を受信し、制限モードでは端末装置50からの出庫要求を受信する。
図4に示すように、倉庫管理コントローラ38は、受信した出庫要求に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを検索することにより、荷物14の荷掴み位置(ラック10aの第2列、第3段の棚16a)及び荷降ろし位置(出荷コンベヤ26a)を示すFROM-TO情報を生成し、生成したFROM-TO情報を倉庫設備コントローラ40に送信する(S101)。
【0063】
倉庫設備コントローラ40は、倉庫管理コントローラ38からのFROM-TO情報に基づいて、荷物14の搬送ルートを決定し、クレーンコントローラ42に搬送指令を送信する(S102)。ここで、搬送ルートとは、自動倉庫4及び搬送装置6において荷物14が搬送される経路である。本実施の形態では、倉庫設備コントローラ40は、荷物14の搬送ルートとして、「ラック10a→スタッカクレーン12a→出庫コンベヤ22a→搬送台車24→出荷コンベヤ26a」という経路を決定する。後述するように、倉庫設備コントローラ40は、決定した搬送ルートに基づいて、クレーンコントローラ42、出庫コンベヤコントローラ44、台車コントローラ46及び出荷コンベヤコントローラ48に順次搬送指令を送信する。
【0064】
クレーンコントローラ42は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、スタッカクレーン12aの動作(スタッカクレーン12aの加速、走行及び減速等)を制御する(S103)。これにより、スタッカクレーン12aは、ラック10aの第2列、第3段の棚16aに保管されている荷物14を取り出した後に、走行通路21aに沿って出庫コンベヤ22aに向けて走行し、取り出した荷物14を出庫コンベヤ22aに移載する。
【0065】
クレーンコントローラ42は、スタッカクレーン12aから出庫コンベヤ22aへの荷物14の移載が完了した際に、スタッカクレーン12aによる荷物14の搬送が完了したことを示す処理完了報告を倉庫設備コントローラ40に送信する(S104)。倉庫設備コントローラ40は、クレーンコントローラ42からの処理完了報告を、倉庫管理コントローラ38に転送する(S105)。
【0066】
倉庫管理コントローラ38は、倉庫設備コントローラ40からの処理完了報告に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを更新する(S106)。これにより、在庫データベースにおいて、荷物14の所在を示す情報が更新される。
【0067】
次に、倉庫設備コントローラ40は、出庫コンベヤコントローラ44に搬送指令を送信する(S107)。
【0068】
出庫コンベヤコントローラ44は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、出庫コンベヤ22aの動作(出庫コンベヤ22aのローラの回転、リフタの昇降等)を制御する(S108)。これにより、出庫コンベヤ22aは、スタッカクレーン12aから移載された荷物14を搬送する。
【0069】
出庫コンベヤコントローラ44は、荷物14が出庫コンベヤ22aの搬送方向下流端まで搬送された際に、出庫コンベヤ22aによる荷物14の搬送が完了したことを示す処理完了報告を倉庫設備コントローラ40に送信する(S109)。倉庫設備コントローラ40は、出庫コンベヤコントローラ44からの処理完了報告を、倉庫管理コントローラ38に転送する(S110)。
【0070】
倉庫管理コントローラ38は、倉庫設備コントローラ40からの処理完了報告に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを更新する(S111)。これにより、在庫データベースにおいて、荷物14の所在を示す情報が更新される。
【0071】
次に、倉庫設備コントローラ40は、台車コントローラ46に搬送指令を送信する(S112)。
【0072】
台車コントローラ46は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、搬送台車24の動作(搬送台車24の加速、走行及び減速等)を制御する(S113)。これにより、搬送台車24は、レール28に沿って出庫コンベヤ22aの搬送方向下流端に対向する位置まで走行し、出庫コンベヤ22aから荷物14を移載する。この移載時、出庫コンベヤ22a及び搬送台車24の移載コンベヤは、同時に動作する。その後、搬送台車24は、レール28に沿って出荷コンベヤ26aの搬送方向上流端に対向する位置まで走行し、荷物14を出荷コンベヤ26aに移載する。この移載時、出荷コンベヤ26a及び搬送台車24の移載コンベヤは、同時に動作する。
【0073】
台車コントローラ46は、搬送台車24から出荷コンベヤ26aへの荷物14の移載が完了した際に、搬送台車24による荷物14の搬送が完了したことを示す処理完了報告を倉庫設備コントローラ40に送信する(S114)。倉庫設備コントローラ40は、台車コントローラ46からの処理完了報告を、倉庫管理コントローラ38に転送する(S115)。
【0074】
倉庫管理コントローラ38は、倉庫設備コントローラ40からの処理完了報告に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを更新する(S116)。これにより、在庫データベースにおいて、荷物14の所在を示す情報が更新される。
【0075】
次に、倉庫設備コントローラ40は、出荷コンベヤコントローラ48に搬送指令を送信する(S117)。
【0076】
出荷コンベヤコントローラ48は、倉庫設備コントローラ40からの搬送指令に基づいて、出荷コンベヤ26aの動作(出荷コンベヤ26aのローラの回転等)を制御する(S118)。これにより、出荷コンベヤ26aは、搬送台車24から移載された荷物14を出荷口27まで搬送する。
【0077】
作業者は、出荷コンベヤ26aにより荷物14が出荷口27まで搬送された際に、出荷コンベヤ26aに対応して配置された完了ボタン30aを押下する(S119)。これにより、完了ボタン30aは、荷物14が出荷コンベヤ26aの搬送方向下流端(すなわち、出荷口27)まで搬送されたことを示す確認信号を、出荷コンベヤコントローラ48に送信する(S120)。
【0078】
出荷コンベヤコントローラ48は、完了ボタン30aからの確認信号を、倉庫設備コントローラ40に送信する(S121)。倉庫設備コントローラ40は、出荷コンベヤコントローラ48からの確認信号を、倉庫管理コントローラ38に転送する(S122)。
【0079】
倉庫管理コントローラ38は、倉庫設備コントローラ40からの確認信号に基づいて、データベース52に格納された在庫データベースを更新する(S123)。これにより、在庫データベースにおいて、荷物14の所在を示す情報が更新される。
【0080】
[3-2.通常モードにおける自動倉庫システムの動作]
図5を参照しながら、通常モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システム2の動作について説明する。
図5は、通常モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システム2の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0081】
図5に示すように、作業者は、例えば端末装置50を操作することにより、倉庫管理コントローラ38を通常モードに切り替える(S201)。通常モードでは、
図2に示す切替器36は、自動倉庫システム2への給電元を商用電源32に切り替えている。これにより、商用電源32からの電力が、切替器36を介して自動倉庫システム2に供給される(S202)。
【0082】
倉庫管理コントローラ38は、客先コンピュータからの出庫要求を受信する(S203)。出庫要求には、出庫すべき荷物14に関する情報が複数含まれている。倉庫管理コントローラ38は、受信した出庫要求に基づいて、複数の荷物14の荷掴み位置及び荷降ろし位置をそれぞれ示す複数のFROM-TO情報を生成し、生成した複数のFROM-TO情報を倉庫設備コントローラ40に順次送信する。
【0083】
通常モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4による荷物14の出庫を制限しない。具体的には、倉庫設備コントローラ40は、倉庫管理コントローラ38からの複数のFROM-TO情報に基づいて、複数の荷物14の搬送ルートを順次決定し、各荷物14について、上述した自動倉庫システム2の基本動作と同様に、クレーンコントローラ42、出庫コンベヤコントローラ44、台車コントローラ46及び出荷コンベヤコントローラ48に搬送指令を順次送信する。
【0084】
これにより、通常モードでは、i)複数のFROM-TO情報が倉庫設備コントローラ40に次々と送信され、ii)スタッカクレーン12a,12b,12cが次々と動作し、iii)出庫コンベヤ22a,22b,22c、搬送台車24、及び、複数の出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dも荷物14が到着次第、次々と動作する。すなわち、通常モードでは、ある荷物14が自動倉庫4から出庫された場合、当該荷物14が出荷口27に搬送されるのを待つことなく、新たな荷物14が自動倉庫4から次々と出庫されるため、自動倉庫4及び搬送装置6において、常に複数の荷物14が同時並行で搬送されている状態となる。その結果、通常モードでは、複数の荷物14を搬送する動作が同時並行で行われる(S204)。
【0085】
これにより、例えば、a)荷物14をラック10aの棚16aから出荷コンベヤ26aに搬送する動作、b)荷物14をラック10bの棚16bから出荷コンベヤ26bに搬送する動作、c)荷物14をラック10cの棚16cから出荷コンベヤ26cに搬送する動作、及び、d)荷物14をラック10dの棚16dから出荷コンベヤ26dに搬送する動作が同時並行で行われる。すなわち、スタッカクレーン12a,12b,12c、出庫コンベヤ22a,22b,22c、搬送台車24、及び、複数の出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dが同時並行で動作するようになる。
【0086】
客先コンピュータからの出庫要求に含まれる全ての荷物14が出荷口27に搬送されていない場合には(S205でNO)、上述したステップS204に戻る。客先コンピュータからの出庫要求に含まれる全ての荷物14が出荷口27に搬送された場合には(S205でYES)、自動倉庫システム2は動作を終了する。
【0087】
[3-3.制限モードにおける動作]
図6及び
図7を参照しながら、制限モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システム2の動作について説明する。
図6は、制限モードにおける、実施の形態に係る自動倉庫システム2の動作の流れを示すフローチャートである。
図7は、端末装置50に表示される残処理リスト54の一例を示す図である。
【0088】
図6に示すように、自動倉庫システム2が通常モードで動作中に停電が発生した際には(S301)、
図2に示す切替器36は、自動倉庫システム2への給電元を、商用電源32から自家発電装置34に切り替える。これにより、自家発電装置34からの非常用の電力が、切替器36を介して自動倉庫システム2に供給される(S302)。なお、本実施の形態では、切替器36が自動倉庫システム2への給電元を切り替えるようにしたが、これに限定されず、作業者が自動倉庫システム2への給電元を手動で切り替えるようにしてもよい。
【0089】
作業者は、例えば端末装置50を操作することにより、自動倉庫システム2の動作モードを通常モードから制限モードに切り替える(S303)。これにより、倉庫管理コントローラ38は、通常モードから制限モードに切り替えられる。なお、本実施の形態では、作業者が自動倉庫システム2の動作モードを通常モードから制限モードに切り替えるようにしたが、これに限定されず、例えば切替器36からの停電の発生を示す信号等に基づいて、倉庫管理コントローラ38が通常モードから制限モードに自動で切り替えられるようにしてもよい。この時、
図7に示すように、端末装置50には、残処理リスト54が表示される。残処理リスト54には、通常モードで客先コンピュータからの出庫要求に応じて自動倉庫4から出庫される予定であったが、停電の発生により出庫できずに残った荷物14の一覧(例えば、荷物A、荷物B、荷物C及び荷物D等)が表示されている。
【0090】
作業者は、端末装置50を操作することにより、残処理リスト54の中から、制限モードで出庫したい荷物14を複数選択する(S304)。これにより、端末装置50は、作業者により選択された複数の荷物14の出庫を要求するための出庫要求を倉庫管理コントローラ38に送信する。
【0091】
なお、残処理リスト54には含まれていないが、緊急で出庫する必要のある荷物14(例えば、災害時に必要な物資等)が存在する場合には、作業者は、端末装置50を操作することにより、残処理リスト54に含まれない荷物14を複数選択してもよい。
【0092】
制限モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4による荷物14の出庫を制限する。具体的には、制限モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4から1個(予め設定された所定の個数の一例)の荷物14を出庫し、完了ボタン30a,30b,30c,30dのいずれかからの確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、自動倉庫4及び搬送装置6を制御する。すなわち、制限モードでは、1個の荷物14が自動倉庫4から出庫された後、当該1個の荷物14が出荷口27に搬送されて初めて、新たな1個の荷物14が自動倉庫4から出庫される。これにより、制限モードでは、自動倉庫4及び搬送装置6において、常に1個の荷物14のみが搬送されている状態となる。
【0093】
倉庫管理コントローラ38は、端末装置50からの出庫要求に基づいて、作業者により選択された複数の荷物14のうち、まず第1番目の1個の荷物14の荷掴み位置及び荷降ろし位置を示す1つのFROM-TO情報のみを生成し、生成した1つのFROM-TO情報を倉庫設備コントローラ40に送信する。換言すると、倉庫管理コントローラ38は、制限モードにおいて、後述するように、自動倉庫4から1個の荷物14を出庫し、完了ボタン30a,30b,30c,30dのいずれかからの確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、倉庫設備コントローラ40に指示する。
【0094】
倉庫設備コントローラ40は、倉庫管理コントローラ38からのFROM-TO情報に基づいて、第1番目の1個の荷物14の搬送ルートを決定する。倉庫設備コントローラ40は、当該第1番目の1個の荷物14について、上述した自動倉庫システム2の基本動作と同様に、クレーンコントローラ42、出庫コンベヤコントローラ44、台車コントローラ46及び出荷コンベヤコントローラ48に搬送指令を順次送信する。これにより、自動倉庫4及び搬送装置6は、第1番目の1個の荷物14を搬送する動作を開始する(S305)。なお、この時点では、倉庫管理コントローラ38は、予め設定された所定の個数(1個)を超える荷物14に関する搬送指令、すなわち第2番目の1個の荷物14の搬送指令をまだ送信しない。
【0095】
例えば、自動倉庫4及び搬送装置6は、第1番目の1個の荷物14をラック10aの棚16aから出荷コンベヤ26aに搬送する。この間、荷物14の位置に応じて、まず、i)スタッカクレーン12a,12b,12cのうちスタッカクレーン12aのみが動作し、次に、ii)出庫コンベヤ22a,22b,22cのうち出庫コンベヤ22aのみが動作し、次に、iii)搬送台車24が動作し、最後に、iv)出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dのうち出荷コンベヤ26aのみが動作する。
【0096】
第1番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送されるまでの間(S306でNO)、自動倉庫4及び搬送装置6による第1番目の1個の荷物14の搬送動作が行われる。
【0097】
第1番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送された際には(S306でYES)、作業者は、完了ボタン30a,30b,30c,30dのうちいずれか(例えば完了ボタン30a)を押下する(S307)。作業者により選択された全ての荷物14が出荷口27に搬送されていない(出荷されていない)場合には(S308でNO)、上述したステップS305に戻る。
【0098】
次に、倉庫管理コントローラ38は、作業者により選択された複数の荷物14のうち、第2番目の1個の荷物14の荷掴み位置及び荷降ろし位置を示す1つのFROM-TO情報のみを生成し、生成した1つのFROM-TO情報を倉庫設備コントローラ40に送信する。
【0099】
倉庫設備コントローラ40は、倉庫管理コントローラ38からのFROM-TO情報に基づいて、第2番目の1個の荷物14の搬送ルートを決定する。倉庫設備コントローラ40は、当該第2番目の1個の荷物14について、上述した自動倉庫システム2の基本動作と同様に、クレーンコントローラ42、出庫コンベヤコントローラ44、台車コントローラ46及び出荷コンベヤコントローラ48に搬送指令を順次送信する。これにより、自動倉庫4及び搬送装置6は、第2番目の1個の荷物14を搬送する動作を開始する(S305)。なお、この時点では、倉庫管理コントローラ38は、予め設定された所定の個数(1個)を超える荷物14に関する搬送指令、すなわち第3番目の1個の荷物14の搬送指令をまだ送信しない。
【0100】
例えば、2番目の1個の荷物14がラック10cに保管されていたとする。この場合、自動倉庫4及び搬送装置6は、第2番目の1個の荷物14をラック10cの棚16cから出荷コンベヤ26cに搬送する。この間、荷物14の位置に応じて、まず、i)スタッカクレーン12a,12b,12cのうちスタッカクレーン12bのみが動作し、次に、ii)出庫コンベヤ22a,22b,22cのうち出庫コンベヤ22bのみが動作し、次に、iii)搬送台車24が動作し、最後に、iv)出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dのうち出荷コンベヤ26cのみが動作する。
【0101】
第2番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送されるまでの間(S306でNO)、自動倉庫4及び搬送装置6による第2番目の1個の荷物14の搬送動作が行われる。
【0102】
第2番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送された際には(S306でYES)、作業者は、完了ボタン30a,30b,30c,30dのうちいずれか(例えば完了ボタン30c)を押下する(S307)。
【0103】
以下、作業者により選択された全ての荷物14が出荷口27に搬送されるまで、上述したステップS305~S308が繰り返し実行される。作業者により選択された全ての荷物14が出荷口27に搬送された場合には(S308でYES)、自動倉庫システム2は動作を終了する。
【0104】
上述したように、制限モードでは、例えば第1番目の1個の荷物14の搬送が開始してから、当該第1番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送されるまでの間は、第2番目の1個の荷物14の搬送は開始されない。また、例えば第2番目の1個の荷物14の搬送が開始してから、当該第2番目の1個の荷物14が出荷口27に搬送されるまでの間は、第3番目の1個の荷物14の搬送は開始されない。
【0105】
このように、制限モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4による荷物14の出庫を制限する。すなわち、制限モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4から1個の荷物14を出庫し、完了ボタン30a,30b,30c,30dのいずれかからの確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、自動倉庫4及び搬送装置6を制御する。
【0106】
[4.効果]
上述したように、制限モードでは、コントローラ8は、自動倉庫4から1個の荷物14を出庫し、完了ボタン30a,30b,30c,30dのいずれかからの確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、自動倉庫4及び搬送装置6を制御する。
【0107】
これにより、消費電力を抑えながら、自動倉庫4から荷物14を出庫することができる。その結果、例えば停電等が発生した場合であっても、自家発電装置34からの非常用の電力を利用して、自動倉庫システム2の動作を継続することができる。また、自動倉庫システム2の動作を継続することにより、データベース52に格納された在庫データベースを自動的に更新することができる。
【0108】
(変形例等)
以上、本発明の自動倉庫システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0109】
上記実施の形態では、コントローラ8は、制限モードにおいて、自動倉庫4から1個(予め設定された所定の個数の一例)の荷物14を出庫し、確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、自動倉庫4及び搬送装置6を制御したが、これに限定されない。上記所定の個数は、例えば2個又は3個等でもよい。例えば所定の個数を2個とした場合には、コントローラ8は、制限モードにおいて、自動倉庫4から2個の荷物14を同時に出庫し、1個の荷物14が出荷口27まで搬送されたことを示す確認信号を受信する毎に、自動倉庫4から新たな1個の荷物14の出庫を開始するように、自動倉庫4及び搬送装置6を制御する。これにより、制限モードでは、自動倉庫4及び搬送装置6において、常に2個の荷物14のみが搬送されている状態となる。
【0110】
上記実施の形態では、搬送装置6は、出庫コンベヤ22a,22b,22c,22dと、搬送台車24と、複数の出荷コンベヤ26a,26b,26c,26dとを有するようにしたが、これに限定されず、例えば天井走行車及びAGV(Automated Guided Vehicle)等を有するようにしてもよい。すなわち、荷物14が保管されている自動倉庫4から、作業者が荷物14を待つ出荷口27まで搬送する電力利用装置であれば、どのような装置の組み合わせであってもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、出荷確認部を完了ボタン30a,30b,30c,30dで構成したが、これに限定されず、例えば出荷口27に配置された、荷物14が出荷口27に到着したことを検出するセンサで構成してもよい。この場合、センサは、荷物14が出荷口27に到着したことを検出した際に、確認信号をコントローラ8に送信する。
【0112】
また、スタッカクレーン12a,12b,12cは、ラック10a,10b,10c,10d,10e,10fの各段に配置されたシャトル台車であってもよい。この場合、1つの段の1台のシャトル台車毎に動作が制御される。
【0113】
また、スタッカクレーン12a,12b,12c又は搬送装置6は、2個の荷物14を同時に搬送可能なツインフォーククレーン等であってもよい。この場合、2個の荷物14の搬送が1台の装置により制御される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、例えば自動倉庫において荷物を入出庫するための自動倉庫システム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
2 自動倉庫システム
4 自動倉庫
6 搬送装置
8 コントローラ
10a,10b,10c,10d,10e,10f ラック
12a,12b,12c スタッカクレーン
14 荷物
16a,16b,16c,16d,16e,16f 棚
18 パレット
19a,19b,19c 入庫コンベヤ
20 物品
21a,21b,21c 走行通路
22a,22b,22c 出庫コンベヤ
24 搬送台車
26a,26b,26c,26d 出荷コンベヤ
27 出荷口
28 レール
30a,30b,30c,30d 完了ボタン
32 商用電源
34 自家発電装置
36 切替器
38 倉庫管理コントローラ
40 倉庫設備コントローラ
42 クレーンコントローラ
44 出庫コンベヤコントローラ
46 台車コントローラ
48 出荷コンベヤコントローラ
50 端末装置
52 データベース
54 残処理リスト