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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】X線撮影システムおよび異物確認方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/12 20060101AFI20240402BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B6/12
A61B6/03 560Z
A61B6/03 550M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020173585
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064766
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】細見 直正
(72)【発明者】
【氏名】胡 尓重
(72)【発明者】
【氏名】中矢 知宏
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141498(WO,A1)
【文献】特開2005-013252(JP,A)
【文献】特開2014-204783(JP,A)
【文献】特開2015-131009(JP,A)
【文献】特開2004-195212(JP,A)
【文献】特開2006-109990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部によって検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するX線画像生成部と、
前記X線画像に基づいて、手術後の前記被検体の体内に取り残された異物が含まれる領域を推定し、推定した前記領域における前記異物の確かさの度合いに応じて、前記領域の色が変化された異物画像を生成する異物画像生成部と、
前記X線画像および前記異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部と、を備えるX線撮影装置を備え、
前記X線撮影装置とは別個に設けられ、前記X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、前記第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、前記異物画像を表示させるように構成されている、X線撮影システム。
【請求項2】
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられており、前記第1表示部よりも画面解像度が高いか、または、前記第1表示部よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項3】
前記異物画像生成部は、手術後の前記被検体の体内に取り残された前記異物を強調する画像処理が行い、前記異物画像を生成するように構成されており、
前記X線撮影装置は、前記異物画像生成部による前記異物画像の生成後に、前記異物画像を前記ネットワークに出力するように構成されており、
前記第2表示部には、前記X線撮影装置から出力された前記異物画像が前記ネットワークから転送されることにより、前記異物画像が自動的に表示されるように構成されている、請求項1または2に記載のX線撮影システム。
【請求項4】
前記X線撮影装置に対する撮影完了の操作に基づいて、前記異物画像が前記X線撮影装置から前記ネットワークに出力されるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項5】
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられたモニタ台車において、互い隣り合うように配置される第1ディスプレイと、第2ディスプレイとを含み、
前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイの一方に前記異物画像を表示するとともに、他方に前記X線画像または前記被検体の現在の状態をX線透視したX線透視画像を表示するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項6】
前記第2表示部は、手術室の壁面または天井に固定されており、前記X線画像および前記異物画像を同時に表示するか、または、前記X線画像および前記異物画像のいずれか一方を切り替えて表示するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項7】
手術後の前記被検体の体内に取り残された前記異物は、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子のうち、少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項8】
被検体に対してX線を照射するステップと、
前記被検体を透過したX線を検出するステップと、
検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するステップと、
前記X線画像に基づいて、手術後の前記被検体の体内に取り残された異物が含まれる領域を推定し、推定した前記領域における前記異物の確かさの度合いに応じて、前記領域の色が変化された異物画像を生成するステップと、
前記X線画像および前記異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部を備えるX線撮影装置とは別個に設けられ、前記X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、前記第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、前記異物画像を表示するステップと、を備える、異物確認方法。
【請求項9】
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられており、前記第1表示部よりも画面解像度が高いか、または、前記第1表示部よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成されている、請求項8に記載の異物確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影システムおよび異物確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者(被検体)の体内に使用済みのガーゼの取り残しがないかを確認するために、手術後に使用済みの医療用ガーゼの計数を行うガーゼ計数装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されているガーゼ計数装置は、造影糸が織り込まれている複数のガーゼを収容するガーゼ収容部に向けてX線を放射するX線発生部と、ガーゼ収容部に対してX線透視画像を撮像するX線画像撮像部と、を備える。上記特許文献1に記載されているガーゼ計数装置は、撮像したX線透視画像に基づいて構築された画像からガーゼの枚数を算出(計数)するように構成されている。
【0004】
ここで、計数の際にカウントミスが発生していた場合には、使用済みのガーゼなどの手術器具が患者(被検体)の体内に取り残されているにも関わらず、手術前後の計数結果が一致してしまう場合がある。そのため、上記特許文献1には開示されていないが、手術前後の計数結果の一致に関わらず、X線画像を撮影し、患者(被検体)の体内に使用済みのガーゼなどの手術器具(異物)の取り残しがないかを確認するといった対策が取られることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-48905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、X線画像を撮影し、患者(被検体)の体内に使用済みのガーゼなどの手術器具の異物の取り残しがないか確認を行ったとしても、使用済みのガーゼなどの手術器具(異物)が骨などの人体の構造物と重なっているなどといった理由で見落としが発生する場合がある。そのため、手術後の被検体の体内に取り残された異物の見落としの発生を抑制することが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、手術後の被検体の体内に取り残された異物の見落としの発生を抑制可能なX線撮影システムおよび異物確認方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面におけるX線撮影システムは、被検体に対してX線を照射するX線照射部と、X線照射部から照射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部によって検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するX線画像生成部と、X線画像に基づいて、手術後の被検体の体内に取り残された異物が含まれる領域を推定し、推定した領域における異物の確かさの度合いに応じて、領域の色が変化された異物画像を生成する異物画像生成部と、X線画像および異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部と、を備えるX線撮影装置を備え、X線撮影装置とは別個に設けられ、X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、異物画像を表示させるように構成されている。
【0009】
この発明の第2の局面における異物確認方法は、被検体に対してX線を照射するステップと、被検体を透過したX線を検出するステップと、検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するステップと、X線画像に基づいて、手術後の被検体の体内に取り残された異物が含まれる領域を推定し、推定した領域における異物の確かさの度合いに応じて、領域の色が変化された異物画像を生成するステップと、X線画像および異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部を備えるX線撮影装置とは別個に設けられ、X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、異物画像を表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の局面におけるX線撮影システムおよび第2の局面における異物確認方法では、手術後の被検体の体内に取り残された異物を確認するための異物画像を生成する。そして、X線撮影装置とは別個に設けられ、X線撮影装置が備える第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、異物画像を表示する。これにより、X線撮影装置が備える第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部において、手術後の被検体の体内に取り残された異物を確認するための異物画像をユーザが視認して確認することができる。その結果、X線撮影装置が備える第1表示部において、異物を確認する場合に比べて、異物画像中の異物をユーザが認識しやすくなるので、手術後の被検体の体内に取り残された異物の見落としの発生を抑制可能なX線撮影システムおよび異物確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態によるX線撮影システムの全体構成を示したブロック図である。
図2】手術室内における第1実施形態によるX線撮影装置と、X線撮影装置とは別個に設けられた表示部とを示した図である。
図3】第1実施形態のX線撮影装置の表示部による表示の一例を示した第1図である。
図4】第1実施形態のX線撮影装置の表示部による表示の一例を示した第2図である。
図5】第1実施形態によるX線撮影装置の表示部と、X線撮影装置とは別個に設けられた表示部とを示した図である。
図6】第1実施形態のX線撮影装置とは別個に設けられた表示部による表示の一例を示した第1図である。
図7】第1実施形態のX線撮影装置とは別個に設けられた表示部による表示の一例を示した第2図である。
図8】本発明の第1実施形態のX線撮影システムによる異物画像の表示方法に関する制御処理の一例を示したフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態によるX線撮影システムの全体構成を示したブロック図である。
図10】手術室内における第2実施形態によるX線撮影装置と、X線撮影装置とは別個に設けられた表示部とを示した図である。
図11】第2実施形態によるX線撮影装置の表示部と、X線撮影装置とは別個に設けられた表示部とを示した図である。
図12】第2実施形態の第1ディスプレイおよび第2ディスプレイによる表示の一例を示した第1図である。
図13】第2実施形態の第1ディスプレイおよび第2ディスプレイによる表示の一例を示した第2図である。
図14】本発明の第3実施形態によるX線撮影システムの全体構成を示したブロック図である。
図15】手術室内における第3実施形態によるX線撮影装置と、X線撮影装置とは別個に設けられた表示部とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1図8を参照して、第1実施形態によるX線撮影システム100の構成について説明する。
【0014】
X線撮影システム100(図1参照)は、X線撮影装置10(図1および図2参照)を備え、X線撮影装置10とは別個に設けられた表示部20(図1および図2参照)に、後述するX線画像51(図3参照)または異物画像52(図4参照)を表示するように構成されている。X線撮影システム100は、手術後の被検体101(図2参照)の体内に取り残された異物(遺残物)102の有無を確認するために用いられるシステムである。
【0015】
X線撮影システム100は、サーバ30(図1参照)を備える。サーバ30は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)サーバなどの画像データを保存するサーバであり、DICOM送信機能を持つように構成されている。サーバ30は、各種検査機器から送信された画像データを受信し、データベースに保存するように構成されている。また、サーバ30に保存された画像は、ユーザのリクエストによって、表示端末に転送される。また、X線撮影装置10、表示部20、およびサーバ30は、ネットワーク110を介して接続されている。
【0016】
X線撮影システム100は、病院内の各種検査機器から画像データを受信、データベースへ保存し、表示端末に表示するシステムを用いる。たとえば、X線撮影システム100は、PACS(Picture Archiving And Communication Systems:画像保存通信システム)を用いる。また、X線撮影システム100は、RIS(Radiology Information Systems:放射線科情報システム)などの放射線機器による検査と、治療の予約から検査結果までの管理を行うためのシステムやHIS(Hospital Information Systems:病院情報システム)などの各種情報システムを含んでもよい。
【0017】
X線撮影装置10は、移動可能に構成された回診用X線撮影装置である。X線撮影装置10は、開腹手術などの手術後に手術室に持ち込まれる。X線撮影装置10は、X線撮影システム100において、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の有無を確認するために、X線撮影を行う装置である。なお、第1実施形態では、手術前後における手術器具の計数の一致に関わらず、X線撮影装置10によるX線撮影を実施し、X線画像51および異物画像52の生成、異物画像52の表示部20への表示を行う。
【0018】
(X線撮影装置の構成)
X線撮影装置10は、図1に示すように、X線照射部1と、X線検出部2と、X線画像生成部3と、制御部4と、表示部5と、を備える。また、制御部4は、異物画像生成部41を含む。なお、表示部5は、特許請求の範囲の「第1表示部」の一例である。
【0019】
X線照射部1は、被検体101に対してX線を照射するように構成されている。X線照射部1は、電圧が印加されることによってX線を照射するX線管(図示せず)を含む。
【0020】
X線検出部2は、X線照射部1から照射され、被検体101を透過したX線を検出するように構成されている。そして、X線検出部2は、検出されたX線に基づいて検出信号を出力する。X線検出部2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。X線検出部2は、ワイヤレスタイプのX線検出器として構成されており、無線信号としての検出信号を出力する。具体的には、X線検出部2は、無線LANなどによる無線接続によって、後述するX線画像生成部3と通信可能に構成されており、X線画像生成部3に対して無線信号としての検出信号を出力するように構成されている。
【0021】
X線画像生成部3は、X線検出部2によって検出された検出信号に基づいて、X線画像51(図3参照)を生成するように構成されている。X線画像生成部3は、無線LANなどによる無線接続によってX線検出部2と通信可能に構成されている。X線画像生成部3は、たとえば、画像処理用に構成されたFPGA(field-programmable gate array)などのプロセッサを含む。そして、X線画像生成部3は、後述する制御部4に対して生成されたX線画像51を出力する。なお、X線画像51は、手術後の被検体(患者)101をX線撮影した画像である。
【0022】
制御部4は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。制御部4は、機能的な構成として、異物画像生成部41を含む。すなわち、制御部4は、所定の制御プログラムを実行することにより、異物画像生成部41として機能する。また、異物画像生成部41は、制御部4の中のソフトウェアとしての機能ブロックであり、ハードウェアとしての制御部4の指令信号に基づいて機能するように構成されている。制御部4は、X線撮影装置10の制御や装置外部のシステムとのデータ通信(X線画像51および異物画像52の出力など)の制御などを行うように構成されている。
【0023】
異物画像生成部41は、X線画像51に基づいて、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52を生成するように構成されている。
【0024】
また、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102は、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子のうち、少なくとも1つを含む。なお、手術用ガーゼには、硫酸バリウムなどのX非透過性の物質がX線造影糸として織り込まれている。これにより、手術用ガーゼは、手術後のX線撮影によって、X線画像51に写りこむ。すなわち、手術用ガーゼは、X線撮影装置10により撮像可能である。第1実施形態では、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102は、手術用ガーゼを含む。
【0025】
異物画像生成部41は、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を強調する画像処理が行い、異物画像52を生成するように構成されている。すなわち、第1実施形態では、異物画像52(図4参照)は、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102が強調された異物強調画像である。
【0026】
異物画像生成部41による画像処理(異物画像52の生成)は、ユーザの目視による異物102の有無の確認を支援する処理である。異物画像生成部41による画像処理(異物画像52の生成)は、画像の輝度値変更処理、画像中の異物102の特徴的な構造を強調した処理、または、画像中の異物102の場所や形状を提示する処理などである。
【0027】
第1実施形態では、異物画像生成部41は、機械学習によって生成された学習済みモデルに基づいて、異物102を検出し、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を強調する画像処理を行うことにより、異物画像52を生成するように構成されている。異物画像生成部41(制御部4)は、検出された異物102が含まれる領域に対応する部分を色付けすることによって、異物102を確認(識別)するための異物画像52を生成する。
【0028】
異物画像生成部41(制御部4)は、X線画像51と、学習済みモデルとに基づいて、X線画像51中の異物102が含まれると推定される推定領域を取得するとともに、推定領域における異物102の確かさの度合いである尤度(信頼度)を判定した判定値を取得する。そして、異物画像生成部41(制御部4)は、判定値に応じて変化するように色付けされたヒートマップ画像(カラーマップ画像)として異物画像52を生成するように構成されている。そして、第1実施形態では、図4に示すように、異物画像生成部41(制御部4)は、取得された推定領域ごとに、推定領域の大きさ(面積)と判定値とに基づいて、2次元ガウシアン分布に沿って色付けされた分布表示を含む異物画像52を生成する。
【0029】
また、異物画像生成部41(制御部4)は、異物102の線状の構造を識別するとともに、識別された線状の構造に基づいて色付けすることによって、異物画像52を生成してもよい。たとえば、異物画像生成部41(制御部4)は、識別した異物102の線状の構造の密度に応じて変化するように色付けされたヒートマップ画像(カラーマップ画像)として異物画像52を生成してもよい。
【0030】
この場合、異物画像生成部41(制御部4)は、X線画像51と、機械学習によって生成された学習済みモデルとに基づいて、X線画像51中の異物102を検出し、X線画像51から検出された異物102が除去された画像を生成する。そして、異物画像生成部41(制御部4)は、X線画像51と、検出された異物102が除去された画像とに基づいて、異物画像52を生成する。たとえば、異物画像生成部41(制御部4)は、検出された異物102が除去された画像とX線画像51との差分を取得し、取得した差分に基づいて、異物102の線状の構造を識別するとともに、識別された異物102の線状の構造に基づいて色付けすることによって、異物画像52を生成する。
【0031】
なお、異物画像生成部41による画像処理(異物画像52の生成)は、機械学習によって生成された学習済みモデルを用いない一般的な画像処理を用いてもよい。
【0032】
表示部5は、液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイなどを含む。表示部5は、たとえば、HDMI(登録商標)等の映像インターフェースにより制御部4と接続される。また、第1実施形態では、表示部5は、X線撮影装置10に設けられたタッチパネルディスプレイであり、ユーザのX線撮影装置10に対する操作を受け付ける操作部としての機能も有している。
【0033】
また、表示部5は、X線画像51(図3参照)および異物画像52(図4参照)のうち、少なくとも一方を表示するように構成されている。
【0034】
表示部5(操作画面)に表示される表示画像50には、X線画像51または異物画像52を切り替えて表示可能である。すなわち、表示部5は、表示画像50内において、X線画像51を表示するか、異物画像52を表示するかを切り替え可能に構成されている。
【0035】
表示部5(操作画面)に表示される表示画像50内には、X線画像51または異物画像52以外に、撮影プロトコルの情報などX線撮影のための情報やGUI(Graphical User Interface)としての操作ボタンなどが表示される。なお、表示部5には、ユーザの操作に基づいて、X線画像51または異物画像52のみが表示されるように構成されてもよい。表示部5に表示される画像は、ユーザの設定または操作によって切り替え可能に構成されている。
【0036】
X線撮影装置10は、撮影プロトコルに基づいて、X線撮影、X線画像51の生成、および、異物画像52の生成のための制御が行われるように構成されている。
【0037】
撮影プロトコルには、被検体101(患者)の情報、撮影条件(撮影部位や照射線量など)、手術の術式などの情報が含まれている。また、撮影プロトコルには、X線画像51および異物画像52の表示先の情報が含まれてもよい。
【0038】
X線撮影装置10は、被検体101(患者)が装着したリストバンドに記されたバーコードまたはRFタグが読み取られることにより、撮影プロトコルの一部または全ての情報が入力されるように構成されている。
【0039】
(X線撮影装置10とは別個に設けられた表示部の構成)
第1実施形態において、X線撮影システム100は、X線撮影装置10とは別個に設けられ、X線撮影装置10にネットワーク110を介して接続されるとともに、表示部5よりも視認性が良好な表示部20(図5参照)に、異物画像52を表示させるように構成されている。なお、表示部20は、特許請求の範囲の「第2表示部」の一例である。
【0040】
第1実施形態では、表示部20は、手術室の天井に固定されている。すなわち、表示部20は、手術室に備え付けのディスプレイ(モニタ)である。
【0041】
表示部20は、手術室内に予め設けられており、表示部5よりも画面解像度が高いか、または、表示部5よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成される。第1実施形態では、表示部20は、表示部5よりも画面解像度が高く、かつ、表示部5よりも表示領域(画面サイズ)が大きい。すなわち、表示部20は、表示部5よりも高精細かつ大型のディスプレイである。
【0042】
表示部20は、X線画像51および異物画像52を同時に表示するか、または、X線画像51および異物画像52のいずれか一方を切り替えて表示するように構成されている。
【0043】
具体的には、図6に示すように、第1実施形態では、表示部20は、X線画像51および異物画像52を同時に表示(同時表示)するように構成されている。また、表示部20は、図7に示すように、X線画像51および異物画像52のいずれか一方を切り替えて表示(切替表示)することも可能である。すなわち、第1実施形態では、表示部20によるX線画像51および異物画像52の表示方法は、上記同時表示と、上記切替表示とに切り替え可能に構成されている。
【0044】
(異物画像の出力および表示に関する構成)
X線撮影装置10は、異物画像生成部41による異物画像52の生成後に、異物画像52をネットワーク110に出力するように構成されている。
【0045】
なお、異物画像52の生成は、X線画像生成部3によるX線画像51の生成後に自動的に行われてもよいし、X線画像51の生成後にユーザの操作に基づいて行われてもよい。
【0046】
また、X線撮影装置10に対する撮影完了の操作に基づいて、異物画像52がX線撮影装置10からネットワーク110に出力されるように構成されている。X線撮影システム100では、ユーザがX線撮影装置10に対して、撮影完了の操作を行うことにより、X線撮影装置10からX線画像51および異物画像52がネットワーク110に出力されるように構成されている。X線撮影装置10から出力されたX線画像51および異物画像52は、ネットワーク110を介してサーバ30に保存(格納)される。
【0047】
表示部20には、X線撮影装置10から出力された異物画像52がネットワーク110から転送されることにより、異物画像52が自動的に表示されるように構成されている。
【0048】
X線撮影装置10から出力されたX線画像51および異物画像52は、撮影プロトコルに基づいて、サーバ30から表示部20に転送される。これにより、X線画像51および異物画像52は、撮影プロトコルに基づいて、手術室内の表示部20に自動的に表示される。
【0049】
また、手術室内の表示部20にX線画像51および異物画像52を表示している際、X線撮影装置10の表示部5には、X線画像51または異物画像52が、撮影プロトコルの情報などX線撮影のための情報やGUIとしての操作ボタンなどとともに表示される。なお、手術室内の表示部20にX線画像51および異物画像52を表示している際、表示部5に表示される画像は、ユーザの設定または操作によって切り替え可能に構成されている。
【0050】
(第1実施形態による異物画像の表示方法について)
次に、図8を参照して、本実施形態のX線撮影システム100による異物画像52の表示方法に関する制御処理の処理フローについて説明する。なお、ステップ901~905は、X線撮影装置10において実行される制御であり、ステップ906は、X線撮影システム100において実行される制御である。なお、異物画像52の表示方法に関する処理は、手術後における手術器具の計数の後に、手術前後における手術器具の計数の一致に関わらず、手術後に手術室内に持ち込まれたX線撮影装置10によって、ユーザが、X線撮影を行うことにより開始される処理である。すなわち、手術器具の計数、手術開始、手術、閉創、手術器具の計数の順に処置が行われた後に、異物画像52の表示方法に関する処理は、実施される。
【0051】
まず、ステップ901において、X線照射部1にX線を照射させる。ステップ901は、ユーザの操作に基づいて、X線撮影装置10のX線照射部1から被検体101に対してX線を照射するステップである。
【0052】
次に、ステップ902において、X線検出部2にX線を検出させる。ステップ902は、X線撮影装置10のX線検出部2によって、被検体101を透過したX線を検出するステップである。
【0053】
次に、ステップ903において、X線画像51を生成させる。ステップ903は、検出された検出信号に基づいて、X線画像51を生成するステップである。ステップ903では、X線撮影装置10のX線画像生成部3により、X線画像生成部3が検出した検出信号に基づいて、X線画像51が生成される。
【0054】
次に、ステップ904において、異物画像52を生成させる。ステップ904は、X線画像51に基づいて、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52を生成するステップである。ステップ903では、X線撮影装置10の異物画像生成部41により、X線画像51に基づいて、異物画像52が生成される。
【0055】
次に、ステップ905において、X線画像51および異物画像52を出力する。ステップ905は、X線画像51および異物画像52をネットワーク110に接続されたサーバ30に出力させるステップである。ステップ905では、X線画像51および異物画像52がX線撮影装置10から出力される。
【0056】
次に、ステップ906において、表示部20に、異物画像52を表示させる。ステップ905は、X線画像51および異物画像52のうち、少なくとも一方を表示する表示部5を備えるX線撮影装置10とは別個に設けられ、X線撮影装置10にネットワーク110を介して接続されるとともに、表示部5よりも視認性が良好な表示部20に、異物画像52を表示するステップである。
【0057】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第1実施形態のX線撮影システム100および異物確認方法では、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52を生成する。そして、X線撮影装置10とは別個に設けられ、X線撮影装置10が備える表示部5(第1表示部)よりも視認性が良好な表示部20(第2表示部)に、異物画像52を表示する。これにより、X線撮影装置10が備える表示部5よりも視認性が良好な表示部20において、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52をユーザが視認して確認することができる。その結果、X線撮影装置10が備える表示部5において、異物102を確認する場合に比べて、異物画像52中の異物102をユーザが視認しやすくなるので、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生を抑制することができる。
【0059】
また、上記第1実施形態によるX線撮影システム100および異物確認方法では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0060】
第1実施形態のX線撮影システム100および異物確認方法では、表示部20(第2表示部)は、手術室内に予め設けられており、表示部5(第1表示部)よりも画面解像度が高い。これにより、X線撮影装置10が備える表示部5よりも画面解像度が高い表示部20において、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52をユーザが視認して確認することができるので、X線撮影装置10が備える表示部5において、異物102を確認する場合に比べて、異物画像52中の異物102をユーザが確実に視認しやすくなる。その結果、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより抑制することができる。また、表示部20は、表示部5よりも表示領域が大きい。これにより、X線撮影装置10が備える表示部5よりも表示領域が大きい表示部20において、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を確認するための異物画像52をユーザが視認して確認することができるので、X線撮影装置10が備える表示部5において、異物102を確認する場合に比べて、異物画像52中の異物102をユーザが確実に視認しやすくなる。その結果、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態のX線撮影システム100では、異物画像生成部41は、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102を強調する画像処理を行い、異物画像52を生成する。これにより、異物画像生成部41による異物画像52の生成(画像処理)時に、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102が強調されるので、異物画像52中の異物102をユーザがより一層視認しやすくなる。その結果、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより一層抑制することができる。また、異物画像生成部41による異物画像52の生成後にX線撮影装置10からネットワーク110に出力された異物画像52をネットワーク110から転送し、表示部20(第2表示部)に異物画像52を自動的に表示する。これにより、X線撮影装置10が備える表示部5(第1表示部)よりも視認性が良好な表示部20に異物画像52を容易に表示することができる。
【0062】
また、第1実施形態のX線撮影システム100では、X線撮影装置10に対する撮影完了の操作に基づいて、異物画像52がX線撮影装置10からネットワーク110に出力する。これにより、ユーザが撮影完了の操作を行うことによって、異物画像52がX線撮影装置10からネットワーク110に自動的に出力されるので、表示部20(第2表示部)に異物画像52を表示するための専用の操作を行う必要がない。その結果、ユーザの操作負担を低減することができる。
【0063】
また、第1実施形態のX線撮影システム100では、表示部20(第2表示部)は、手術室の天井に固定されており、X線画像51および異物画像52を同時に表示するか、または、X線画像51および異物画像52のいずれか一方を切り替えて表示する。これにより、表示部20がX線画像51および異物画像52を同時に表示する場合には、ユーザは、X線画像51および異物画像52を同時に視認することができるので、X線画像51と、異物画像52との比較を容易に行うことができる。その結果、ユーザは、異物102の有無を容易に視認して確認することができるので、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより一層抑制することができる。また、表示部20がX線画像51および異物画像52のいずれか一方を切り替えて表示する場合においても、表示部20においてX線画像51と、異物画像52とを切り替えて表示することができるので、ユーザは、X線画像51と、異物画像52との比較を容易に行うことができる。その結果、ユーザは、異物102の有無を容易に視認して確認することができるので、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより一層抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態のX線撮影システム100では、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102は、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子のうち、少なくとも1つを含む。これにより、X線撮影装置10が備える表示部5よりも視認性が良好な表示部20(第2表示部)において、手術後の被検体101の体内に取り残された手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子といった異物102を確認するための異物画像52をユーザが視認して確認することができるので、X線撮影装置10が備える表示部5(第1表示部)において、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子を確認する場合に比べて、異物画像52中の手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子をユーザが視認しやすくなる。その結果、手術後の被検体101の体内に取り残された手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子の見落としの発生を抑制することができる。
【0065】
[第2実施形態]
図9図14を参照して、第2実施形態によるX線撮影システム200(図9参照)の構成について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0066】
第2実施形態では、手術室に備え付けのディスプレイ(モニタ)である表示部20に異物画像52を表示する第1実施形態とは異なり、モニタ台車40(図10参照)に設けられた表示部220(図9および図10参照)に異物画像52を表示するように構成されている。
【0067】
モニタ台車40は、手術室内に予め設けられ、表示部220が設けられる移動可能な台車である。モニタ台車40は、たとえば、外科手術用のCアーム型X線撮影装置(図示せず)が撮影した画像を表示するためのディスプレイ(モニタ)が設けられた台車である。
【0068】
図11に示すように、表示部220は、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222を含む。第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222は、モニタ台車40において、互い隣り合うように配置されている。第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222は、液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイなどを含む。
【0069】
表示部220は、表示部5よりも画面解像度が高いか、または、表示部5よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成される。第2実施形態では、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222(表示部220)は、表示部5よりも画面解像度が高い。そして、第1ディスプレイ221の表示領域と、第2ディスプレイ222の表示領域とを合わした表示部220の表示領域(画面サイズ)が、表示部5の表示領域よりも大きくなるように構成されている。
【0070】
さらに、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の各々は、表示部5よりも画面解像度が高く、かつ、表示部5よりも表示領域(画面サイズ)が大きい。すなわち、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の各々は、表示部5よりも高精細かつ大型のディスプレイである。
【0071】
X線撮影システム200は、X線撮影装置10とは別個に設けられ、X線撮影装置10にネットワーク110を介して接続されるとともに、表示部5よりも視認性が良好な表示部220に、異物画像52を表示させるように構成されている。また、X線撮影装置10および表示部220は、サーバ30に接続されている。
【0072】
X線撮影システム200では、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の一方(第2ディスプレイ222)に異物画像52を表示するとともに、他方(第1ディスプレイ221)にX線画像51を表示する(図12参照)ように構成されている。
【0073】
さらに、X線撮影システム200では、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の一方(第2ディスプレイ222)に異物画像52を表示するとともに、他方(第1ディスプレイ221)に被検体101の現在の状態をX線透視したX線透視画像53を表示する(図13参照)ように構成されている。
【0074】
なお、X線透視画像53は、外科手術用のCアーム型X線撮影装置(図示せず)により撮影された画像である。すなわち、外科手術用のCアーム型X線撮影装置により撮影されたX線透視画像53が表示部220の第1ディスプレイ221に表示され、X線撮影装置10から出力された異物画像52が表示部220の第2ディスプレイ222に表示される。
【0075】
第2実施形態では、X線撮影システム200では、他方(第1ディスプレイ221)に表示する画像を、X線画像51と、X線透視画像53とに切り換え可能に構成されている。
【0076】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
第2実施形態のX線撮影システム200および異物確認方法では、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生を抑制することができる。
【0079】
また、第2実施形態によるX線撮影システム200では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0080】
第2実施形態のX線撮影システム200では、表示部220(第2表示部)は、手術室内に予め設けられたモニタ台車40において、互い隣り合うように配置される第1ディスプレイ221と、第2ディスプレイ222とを含む。そして、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の一方(第2ディスプレイ222)に異物画像52を表示するとともに、他方(第1ディスプレイ221)にX線画像51を表示することにより、X線画像51と、異物画像52とを並べて表示することができる。その結果、ユーザは、X線画像51と、異物画像52との比較を容易に行うことができるので、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102の見落としの発生をより抑制することができる。
【0081】
また、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の一方(第2ディスプレイ222)に異物画像52を表示するとともに、他方(第1ディスプレイ221)に被検体101の現在の状態をX線透視したX線透視画像53を表示することによって、X線透視画像53(被検体101の現在の状態)と、異物画像52とを並べて表示することができる。その結果、ユーザは、異物画像52により異物102の位置の確認をしながら、X線透視画像53により被検体101の現在の状態を確認することができるので、手術後の被検体101の体内に異物102が取り残されていた場合でも、異物102の回収(再手術)を迅速に開始することができる。
【0082】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
[第3実施形態]
図14および図15を参照して、第3実施形態によるX線撮影システム300の構成について説明する。なお、図中において、上記第1および第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0084】
第3実施形によるX線撮影システム300(図14参照)では、手術室に備え付けのディスプレイ(モニタ)である表示部20(図14および図15参照)と、手術室内に予め設けられたモニタ台車40に設けられた表示部220(図14および図15参照)とに異物画像52が表示可能に構成されている。すなわち、第3実施形態によるX線撮影システム300では、表示部20、第1ディスプレイ221または第2ディスプレイ222のいずれにも異物画像生成部41により生成された異物画像52を表示可能に構成されている。
【0085】
なお、第3実施形態のその他の構成および効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0086】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0087】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、表示部20および220(第2表示部)は、表示部5(第1表示部)よりも画面解像度が高く、かつ、第1表示部よりも表示領域が大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2表示部は、第1表示部よりも画面解像度が高くなるように構成されるだけでもよく、第1表示部よりも表示領域が大きくなるように構成されるだけでもよい。
【0088】
また、上記第1~第3実施形態では、X線撮影装置10から出力された異物画像52がネットワーク110から転送されることにより、異物画像52が表示部20および220(第2表示部)に自動的に表示されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユーザの操作に基づいて、第2表示部に異物画像が表示されるように構成されてもよい。
【0089】
また、上記第1~第3実施形態では、X線撮影装置10に対する撮影完了の操作に基づいて、異物画像52がX線撮影装置10からネットワーク110に出力されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X線撮影装置に対する撮影完了の操作後に、異物画像をネットワークに出力するための操作を行うことにより、異物画像がX線撮影装置からネットワークに出力されるように構成されてもよい。
【0090】
また、上記第2実施形態では、モニタ台車40および表示部220(第2表示部)は、手術室内に予め設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モニタ台車および第2表示部は、X線撮影システムによる手術後の被検体の体内に取り残された異物(遺残物)の有無の確認の際に、手術室内に持ち込まれてもよい。
【0091】
また、上記第2実施形態では、第1ディスプレイ221および第2ディスプレイ222の一方(第1ディスプレイ221)に異物画像52を表示するとともに、他方(第2ディスプレイ222)にX線画像51または被検体101の現在の状態をX線透視したX線透視画像53を切り換えて表示するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1ディスプレイおよび第2ディスプレイの一方に異物画像を表示するとともに、他方にはX線画像および被検体の現在の状態をX線透視したX線透視画像のうち、いずれ一方のみを表示可能に構成してもよい。
【0092】
また、上記第1および第3実施形態では、表示部20(第2表示部)は、手術室の天井に固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2表示部は、手術室の壁面に固定されていてもよい。
【0093】
また、上記第1~第3実施形態では、手術後の被検体101の体内に取り残された異物102は、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子のうち、少なくとも1つを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、異物は、手術用ガーゼ、縫合針、および、鉗子の全てを含んでもよいし、いずれかの組み合わせを含んでもよい。また、本発明では、異物は、その他の手術器具、たとえば、手術用のボルト、および、固定用のクリップなどを含んでいてもよい。
【0094】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、本発明の異物画像の表示方法に関する制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0095】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0096】
(項目1)
被検体に対してX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部によって検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するX線画像生成部と、
前記X線画像に基づいて、手術後の前記被検体の体内に取り残された異物を確認するための異物画像を生成する異物画像生成部と、
前記X線画像および前記異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部と、を備えるX線撮影装置を備え、
前記X線撮影装置とは別個に設けられ、前記X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、前記第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、前記異物画像を表示させるように構成されている、X線撮影システム。
【0097】
(項目2)
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられており、前記第1表示部よりも画面解像度が高いか、または、前記第1表示部よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成されている、項目1に記載のX線撮影システム。
【0098】
(項目3)
前記異物画像生成部は、手術後の前記被検体の体内に取り残された前記異物を強調する画像処理が行い、前記異物画像を生成するように構成されており、
前記X線撮影装置は、前記異物画像生成部による前記異物画像の生成後に、前記異物画像を前記ネットワークに出力するように構成されており、
前記第2表示部には、前記X線撮影装置から出力された前記異物画像が前記ネットワークから転送されることにより、前記異物画像が自動的に表示されるように構成されている、項目1または2に記載のX線撮影システム。
【0099】
(項目4)
前記X線撮影装置に対する撮影完了の操作に基づいて、前記異物画像が前記X線撮影装置から前記ネットワークに出力されるように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0100】
(項目5)
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられたモニタ台車において、互い隣り合うように配置される第1ディスプレイと、第2ディスプレイとを含み、
前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイの一方に前記異物画像を表示するとともに、他方に前記X線画像または前記被検体の現在の状態をX線透視したX線透視画像を表示するように構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0101】
(項目6)
前記第2表示部は、手術室の壁面または天井に固定されており、前記X線画像および前記異物画像を同時に表示するか、または、前記X線画像および前記異物画像のいずれか一方を切り替えて表示するように構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0102】
(項目7)
手術後の前記被検体の体内に取り残された前記異物は、手術用ガーゼ、縫合針、または、鉗子のうち、少なくとも1つを含む、項目1~6のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0103】
(項目8)
被検体に対してX線を照射するステップと、
前記被検体を透過したX線を検出するステップと、
検出された検出信号に基づいて、X線画像を生成するステップと、
前記X線画像に基づいて、手術後の前記被検体の体内に取り残された異物を確認するための異物画像を生成するステップと、
前記X線画像および前記異物画像のうち、少なくとも一方を表示する第1表示部を備えるX線撮影装置とは別個に設けられ、前記X線撮影装置にネットワークを介して接続されるとともに、前記第1表示部よりも視認性が良好な第2表示部に、前記異物画像を表示するステップと、を備える、異物確認方法。
【0104】
(項目9)
前記第2表示部は、手術室内に予め設けられており、前記第1表示部よりも画面解像度が高いか、または、前記第1表示部よりも表示領域が大きいかの少なくとも一方になるように構成されている、項目8に記載の異物確認方法。
【符号の説明】
【0105】
1 X線照射部
2 X線検出部
3 X線画像生成部
5 表示部(第1表示部)
10 X線撮影装置
20、220 表示部(第2表示部)
40 モニタ台車
41 異物画像生成部
51 X線画像
52 異物画像
53 X線透視画像
100、200、300 X線撮影システム
101 被検体
102 異物
110 ネットワーク
221 第1ディスプレイ
222 第2ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15