(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G01B7/00 101H
(21)【出願番号】P 2020197439
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】右手 潤二
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】河野 隆修
(72)【発明者】
【氏名】李 夢雲
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 孝範
(72)【発明者】
【氏名】公森 俊之
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513766(JP,A)
【文献】特開2020-085068(JP,A)
【文献】特表2008-502886(JP,A)
【文献】特開2010-139338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0190283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00ー 7/34
F16D 11/00-23/14
G01D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基部(210)と、前記第1基部から突出している複数の第1凸部(211)と、前記第1凸部同士の間に形成されている第1凹部(212)とを備える第1係合部材(21)、および、第2基部(220)と、前記第2基部から突出している複数の第2凸部(221)と、前記第2凸部同士の間に形成されている第2凹部(222)とを備える第2係合部材(22)が回転しているときに、前記第1凸部を前記第2凹部に挿入させるとともに前記第2凸部を前記第1凹部に挿入させることにより前記第1係合部材と前記第2係合部材とを係合させるタイミングを演算する位置検出装置であって、
前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することによって変化する前記第1凸部、前記第1凹部、前記第2凸部および前記第2凹部の位置関係に応じた第1信号(V1)を出力する第1センサ(71)と、
前記第1センサが前記第1信号を出力したときの前記第1センサ、前記第1凸部、前記第1凹部、前記第2凸部および前記第2凹部の位置関係に応じた第2信号(V2)を出力する第2センサ(72)と、
前記第1信号(V1)および前記第2信号(V2)に基づいて、前記タイミングを演算する演算部(S202)と、
磁場を発生させる磁石(61、62)と、
を備え
、
前記第1信号は、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第1センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第1センサにかかる磁束密度に応じた信号であって、
前記第2信号は、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第2センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第2センサにかかる磁束密度に応じた信号である位置検出装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転しているときの所定の期間(t0~t23、t30~t53)において、時刻に対する前記第1信号の一部の変化と同じ変化をする値と、時刻に対する前記第2信号の一部の変化と同じ変化をする値とを含む複数の値を時刻ごとに演算して、演算した前記複数の値を用いることにより前記タイミングを演算する請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転しているときの所定の期間(t0~t23)において、前記第1信号に関する値と、前記第2信号に関する値との2乗和の正の平方根を時刻ごとに演算して、時刻ごとに演算した正の平方根の中の最小値に基づいて、前記タイミングを演算する請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1係合部材の軸に直交する方向かつ前記第1係合部材の軸と前記第1センサとを通る直線が延びている方向を第1方向(Dr1)とし、前記第1係合部材の軸方向(Da)と前記第1方向とに直交する方向を第2方向(Dr2)とすると、
前記第1センサは、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第1センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第1センサにかかる前記第2方向の磁束密度を検出することにより、前記第1信号を出力し、
前記第2センサは、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第2センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第2センサにかかる前記第2方向の磁束密度を検出することにより、前記第2信号を出力する請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転しているときの所定の期間(t30~t53)において、前記第1信号に関する値と、前記第2信号に関する値との2乗和の正の平方根を時刻ごとに演算して、時刻ごとに演算した正の平方根の中の最大値に基づいて、前記タイミングを演算する請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第1センサは、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第1センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第1センサにかかる前記第1係合部材の軸方向(Da)の磁束密度を検出することにより、前記第1信号を出力し、
前記第2センサは、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第2センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第2センサにかかる前記第1係合部材の軸方向(Da)の磁束密度を検出することにより、前記第2信号を出力する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記第2センサは、前記第1センサとは異なる位置に配置されていることにより、前記第2信号を出力する請求項1ないし6のいずれか1つに記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記第1センサは、前記第1係合部材および前記第2係合部材が回転することで前記磁石から前記第1センサを通過する磁力線が変化することによって変化する前記第1センサにかかる磁束密度を検出することにより、前記第1信号を出力し、
前記第2センサは、前記第1センサによって検出される磁束密度の方向と交差する方向の前記第2センサにかかる磁束密度を検出することにより、前記第2信号を出力する請求項3または5に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記演算部は、前記第1係合部材の回転数と前記第2係合部材の回転数との差の絶対値が所定値(ΔN_th)以下となるように制御されているとき、前記タイミングを演算する請求項1ないし8のいずれか1つに記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1の記載されているように、1つのホールセンサがクラッチ部材の係合爪部の双方に関連して配置されている位置検出装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、周期的に変化する2つのクラッチ部材の位置関係に応じた信号が1つのホールセンサによって検出される。また、この検出された信号に基づいて、クラッチ部材の係合タイミングが演算される。発明者等の検討によれば、このセンサを位置検出装置にさらに加えて、複数のセンサによって検出される信号に基づいて、クラッチ部材の係合タイミングを演算することがある。このとき、2つのクラッチ部材の位置関係が変化することにより周期的に変化する複数の信号を演算することになるため、信号処理の負荷は、比較的高くなる。
【0005】
本開示は、複数のセンサを用いたときに信号処理の負荷を低減できる位置検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、第1基部(210)と、第1基部から突出している複数の第1凸部(211)と、第1凸部同士の間に形成されている第1凹部(212)とを備える第1係合部材(21)、および、第2基部(220)と、第2基部から突出している複数の第2凸部(221)と、第2凸部同士の間に形成されている第2凹部(222)とを備える第2係合部材(22)が回転しているときに、第1凸部を第2凹部に挿入させるとともに第2凸部を第1凹部に挿入させることにより第1係合部材と第2係合部材とを係合させるタイミングを演算する位置検出装置であって、第1係合部材および第2係合部材が回転することによって変化する第1凸部、第1凹部、第2凸部および第2凹部の位置関係に応じた第1信号(V1)を出力する第1センサ(71)と、第1センサが第1信号を出力したときの第1センサ、第1凸部、第1凹部、第2凸部および第2凹部の位置関係に応じた第2信号(V2)を出力する第2センサ(72)と、第1信号(V1)および第2信号(V2)に基づいて、タイミングを演算する演算部(S202)と、磁場を発生させる磁石(61、62)と、を備え、第1信号は、第1係合部材および第2係合部材が回転することで磁石から第1センサを通過する磁力線が変化することによって変化する第1センサにかかる磁束密度に応じた信号であって、第2信号は、第1係合部材および第2係合部材が回転することで磁石から第2センサを通過する磁力線が変化することによって変化する第2センサにかかる磁束密度に応じた信号である位置検出装置である。
【0007】
第2信号は、第1センサが第1信号を出力したときの第1センサ、第1凸部、第1凹部、第2凸部および第2凹部の位置関係に応じた信号である。このため、第2信号は、第1信号に対応する。したがって、第1信号および第2信号は、互いに相関する信号である。これにより、第1信号および第2信号が互いに相関しない信号であるときと比べて、第1信号および第2信号に基づくタイミングの演算がしやすくなる。よって、複数のセンサを用いたときに演算部による信号処理の負荷を低減することができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の位置検出装置が用いられる動力伝達システムを示す図。
【
図4】位置検出装置の制御部がモータを制御する処理を示すフローチャート。
【
図5】位置検出装置の検出部によって出力される信号の一事例を示すタイムチャート。
【
図6】第1係合部材および第2係合部材がないときの検出部の第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図7】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図8】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図9】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図10】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図11】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図12】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図13】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図14】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図15】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図16】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図17】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図18】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図19】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図20】制御部がクラッチアクチュエータを制御する処理を示すフローチャート。
【
図21】制御部による係合タイミングの演算を説明するためのタイムチャート。
【
図22】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図23】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図24】第1係合部材と第2係合部材とが係合したときの動力伝達システムを示す図。
【
図28】検出部によって出力される信号の一事例を示すタイムチャート。
【
図29】一事例における第1係合部材、第2係合部材、第1センサおよび第2センサの位置関係を示す模式図。
【
図30】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図31】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図32】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図33】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図34】制御部による係合タイミングの演算を説明するためのタイムチャート。
【
図35】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図36】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図37】一事例における第1センサおよび第2センサを通過する磁力線の模式図。
【
図40】検出部によって出力される信号の一事例を示すタイムチャート。
【
図41】検出部によって出力される信号の一事例を示すタイムチャート。
【
図42】検出部によって出力される信号の一事例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の位置検出装置50は、車両の動力伝達システム1に用いられる。まず、この動力伝達システム1について説明する。
【0012】
動力伝達システム1は、
図1に示すように、第1シャフト11、第1係合部材21、モータ30、回転センサ35、第2シャフト12、第2係合部材22、車輪40、車輪速センサ45、位置検出装置50およびクラッチアクチュエータ90を備える。
【0013】
第1シャフト11は、円柱状に形成されている。
【0014】
第1係合部材21は、金属等で形成されている。また、第1係合部材21は、第1基部210、第1凸部211および第1凹部212を有する。
【0015】
第1基部210は、円柱状に形成されている。また、第1基部210は、第1シャフト11の一端に接続されている。さらに、第1基部210の軸は、第1シャフト11の軸と同一軸線上に位置している。また、第1基部210のうち第1シャフト11側の一部は、テーパ形状になっている。
【0016】
第1凸部211は、第1基部210から後述の第2係合部材22に向かって突出している。また、第1凸部211は、複数形成されており、第1基部210の周方向に等間隔に並んでいる。
【0017】
第1凹部212は、第1凸部211同士の間に形成されている凹んだ空間である。
【0018】
モータ30は、第1シャフト11の他端に接続されている。また、第1シャフト11がモータ30と第1係合部材21とに接続されているため、モータ30は、第1シャフト11とともに第1係合部材21を回転させる。
【0019】
回転センサ35は、例えば、レゾルバ等である。また、回転センサ35は、モータ30の回転数に応じた信号を後述の位置検出装置50の制御部85に出力する。
【0020】
第2シャフト12は、円柱状に形成されている。また、第2シャフト12の軸は、第1シャフト11の軸および第1係合部材21の第1基部210の軸と同一軸線上に位置している。
【0021】
第2係合部材22は、第1係合部材21とでクラッチを構成する。また、第2係合部材22は、第1係合部材21と同様に、金属等で形成されている。さらに、第2係合部材22は、第2基部220、第2凸部221および第2凹部222を有する。
【0022】
第2基部220は、円柱状に形成されている。また、第2基部220は、第2シャフト12の一端に接続されている。さらに、第2基部220の軸は、第1シャフト11の軸、第2シャフト12の軸および第1係合部材21の第1基部210の軸と同一軸線上に位置している。また、第2基部220は、テーパ形状になっている。
【0023】
第2凸部221は、第2基部220から第1係合部材21に向かって突出している。また、第2凸部221は、第1凹部212に対応する形状に形成されている。さらに、第2凸部221は、複数形成されており、第2基部220の周方向に並んでいる。また、第2凸部221の数は、第1凹部212の数に対応する。
【0024】
第2凹部222は、第2凸部221同士の間に形成されている凹んだ空間である。また、第2凹部222は、第1凸部211に対応する形状に形成されている。さらに、第2凹部222の数は、第1凸部211の数に対応する。
【0025】
車輪40は、第2シャフト12の他端に接続されている。また、第2シャフト12が車輪40と第2係合部材22と接続されているため、車両が走行するとき、車輪40と、第2シャフト12と、第2係合部材22とがともに回転する。
【0026】
車輪速センサ45は、例えば、エンコーダ等である。また、車輪速センサ45は、車輪40の回転数に応じた信号を後述の位置検出装置50の制御部85に出力する。
【0027】
位置検出装置50は、回転センサ35からの信号および車輪速センサ45からの信号に基づいて、モータ30を制御する。また、位置検出装置50は、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた信号を出力する。また、位置検出装置50は、この出力した信号に基づいて、第1係合部材21と第2係合部材22とを係合させるタイミングを演算する。さらに、位置検出装置50は、演算したタイミングに基づいて、後述のクラッチアクチュエータ90を制御する。具体的には、位置検出装置50は、検出部60および制御部85を有する。
【0028】
検出部60は、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた信号を出力する。具体的には、検出部60は、
図2および
図3に示すように、第1ヨーク601、第2ヨーク602、第3ヨーク603、第1磁石61、第2磁石62、第1センサ71、第1配線81、第2センサ72および第2配線82を含む。
【0029】
ここで、検出部60の説明のため、第1基部210の軸が延びている方向を軸方向Daとする。第1基部210の軸に直交する方向、かつ、第1基部210の軸と検出部60とを通る直線が延びている方向を第1径方向Dr1とする。軸方向Daと第1径方向Dr1とに直交する方向を第2径方向Dr2とする。なお、第1径方向Dr1は、第1方向に対応する。また、第2径方向Dr2は、第2方向に対応する。
【0030】
第1ヨーク601は、有底筒状に軟磁性体で形成されている。また、第1ヨーク601は、ヨーク底部610、第1延長部611および第2延長部612を有する。
【0031】
ヨーク底部610は、四角板状に形成されている。また、ヨーク底部610は、第2径方向Dr2に延びている。
【0032】
第1延長部611は、ヨーク底部610のうち第2径方向Dr2の一方側の端部に接続されている。また、第1延長部611は、このヨーク底部610の端部から第1径方向Dr1の一方向に向かって延びている。
【0033】
第2延長部612は、ヨーク底部610のうち第2径方向Dr2の他方側の端部に接続されている。また、第2延長部612は、このヨーク底部610の端部から第1径方向Dr1の一方向に向かって延びている。
【0034】
第2ヨーク602は、板状に軟磁性体で形成されている。また、第2ヨーク602は、第1径方向Dr1に延びている。さらに、第2ヨーク602は、検出部60のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。
【0035】
第3ヨーク603は、板状に軟磁性体で形成されている。また、第3ヨーク603は、第1径方向Dr1に延びている。さらに、第3ヨーク603は、検出部60のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。
【0036】
第1磁石61は、板状にネオジウム磁石等で形成されている。また、第1磁石61は、第1ヨーク601の第1延長部611と第2ヨーク602とで挟まれるように、第1延長部611と第2ヨーク602とに接続されている。さらに、第1磁石61のうち第2ヨーク602側の端部は、N極に着磁されている。また、第1磁石61のうち第1延長部611側の端部は、S極に着磁されている。これにより、第1磁石61は、第1磁石61の周囲に磁場を発生させる。
【0037】
第2磁石62は、板状にネオジウム磁石等で形成されている。また、第2磁石62は、第1ヨーク601の第2延長部612と第3ヨーク603とで挟まれるように、第2延長部612と第3ヨーク603とに接続されている。さらに、第2磁石62のうち第3ヨーク603側の端部は、N極に着磁されている。また、第2磁石62のうち第2延長部612側の端部は、S極に着磁されている。これにより、第2磁石62は、第2磁石62の周囲に磁場を発生させる。
【0038】
第1センサ71は、第2ヨーク602に接続されている。これにより、第1センサ71は、検出部60のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。また、第1センサ71は、第1検出面711および図示しないホール素子を含む。
【0039】
第1検出面711は、第1センサ71のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。
【0040】
第1センサ71のホール素子は、例えば、縦型ホール素子である。縦型ホール素子は、検出面に平行な方向の磁束密度に応じた電圧を出力する素子である。また、第1センサ71のホール素子は、第1磁束密度B1に応じた電圧を出力する。なお、第1磁束密度B1は、第1検出面711にかかる磁束密度のうち、第1検出面711に平行な方向かつ第2径方向Dr2の磁束密度である。
【0041】
第1配線81は、第1センサ71と後述の制御部85とに接続されている。この第1配線81を経由して、第1センサ71のホール素子の電圧は、制御部85に出力される。
【0042】
第2センサ72は、第3ヨーク603と第1センサ71との間に配置されているとともに、第3ヨーク603と第1センサ71とに接続されている。これにより、第2センサ72は、検出部60のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。また、第2センサ72は、第2検出面722および図示しないホール素子を含む。
【0043】
第2検出面722は、第2センサ72のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している。
【0044】
第2センサ72のホール素子は、第1ホール素子と同様に、縦型ホール素子である。また、第2センサ72のホール素子は、第2磁束密度B2に応じた電圧を出力する。なお、第2磁束密度B2は、第2検出面722にかかる磁束密度のうち、第2検出面722に平行な方向かつ第2径方向Dr2の磁束密度である。
【0045】
第2配線82は、第2センサ72と後述の制御部85とに接続されている。この第2配線82を経由して、第2センサ72のホール素子の電圧は、制御部85に出力される。
【0046】
ここで、第1センサ71の第1検出面711上の面に垂直な直線を第1垂線L1とする。第2センサ72の第2検出面722上の面に垂直な直線を第2垂線L2とする。第1凸部211のうち、第2係合部材22に対向する面を凸部対向面とする。また、この凸部対向面に接続されている面のうち第1係合部材21の外側を向く面を凸部側面とする。第1垂線L1が第1凸部211を通るときに、この凸部側面と第1垂線L1との交点のうち第1センサ71に最も近い交点を第1交点P1とする。第1垂線L1が第1凸部211を通るときに、この凸部側面と第2垂線L2との交点のうち第2センサ72に最も近い交点を第2交点P2とする。この凸部側面上において、第1係合部材21の回転方向における1つの第1凸部211の長さと第1係合部材21の回転方向における1つの第1凹部212の長さとの和を周期長さCとする。なお、第1凸部211の形状は、第2凹部222の形状に対応するとともに、第2凸部221の形状に対応する。このため、この周期長さCは、この仮想面上において、第2係合部材22の回転方向における1つの第2凸部221の長さと第2係合部材22の回転方向における1つの第2凹部222の長さとの和と同じになる。
【0047】
そして、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離は、この周期長さCの4分の1になっている。
【0048】
制御部85は、マイコンを主体に構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、制御部85は、CPUのプログラムを実行することにより、回転センサ35からの信号および車輪速センサ45からの信号に基づいて、モータ30を制御する。さらに、制御部85は、このモータ制御プログラムとは別のプログラムを実行することにより、検出部60からの信号に基づいて、後述のクラッチアクチュエータ90を制御する。なお、この制御部85によるモータ制御プログラムとクラッチアクチュエータ制御プログラムについては後述する。
【0049】
クラッチアクチュエータ90は、例えば、電気モータ、油圧シリンダ、空気圧ダイヤフラム等である。また、クラッチアクチュエータ90は、第1係合部材21に接続されている。さらに、クラッチアクチュエータ90は、制御部85からの信号に基づいて、第1係合部材21を、第1係合部材21から第2係合部材22に向かう方向、すなわち、軸方向Daの一方向に移動させる。これにより、後述するように、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合する。
【0050】
以上のように、動力伝達システム1は、構成されている。
【0051】
次に、制御部85によるモータ制御プログラムについて、
図4のフローチャートを参照して説明する。例えば、車両のイグニッションがオンされるとき、このモータ制御プログラムは、実行される。
【0052】
ステップS100において、制御部85は、各種情報を取得する。具体的には、制御部85は、モータ回転数Nmを回転センサ35から取得する。また、制御部85は、車輪回転数Ntを車輪速センサ45から取得する。なお、モータ回転数Nmは、単位時間あたりのモータ30の回転数である。また、車輪回転数Ntは、単位時間あたりの車輪40の回転数である。
【0053】
続いて、ステップS102において、制御部85は、モータ30に電力を供給することにより、車輪40の回転方向にモータ30を回転させる。また、制御部85は、ステップS100にて取得したモータ回転数Nmおよび車輪回転数Ntに基づいて、モータ30に供給する電力を変更する。これにより、制御部85は、モータ回転数Nmを変更する。さらに、制御部85は、モータ回転数Nmを変更するによって、ステップS100にて取得したモータ回転数Nmと車輪回転数Ntとの差の絶対値を所定値ΔN_th以下、すなわち、|Nm-Nt|≦ΔN_thにさせる。これにより、制御部85は、モータ30の回転を車輪40の回転と同期させる。その後、処理は、ステップS100に戻る。なお、所定値ΔN_thは、実験やシミュレーション等により設定される。所定値ΔN_thは、例えば、100rpmである。rpmは、rotations per minuteの略である。
【0054】
このように、制御部85は、モータ30を制御する。
【0055】
次に、一事例における制御部85のモータ制御プログラムによってモータ30と車輪40とが同期して回転しているときの検出部60が出力する信号について、
図5のタイムチャートを参照して説明する。
【0056】
ここで、この事例を説明するために、第1磁石61および第2磁石62からの磁力線について、
図6を参照して説明する。
【0057】
上記したように、第1磁石61のうち第2ヨーク602側の端部は、N極に着磁されている。また、第2ヨーク602は、第1センサ71に接続されている。さらに、第2磁石62のうち第3ヨーク603側の端部は、N極に着磁されている。また、第3ヨーク603は、第2センサ72に接続されている。これらにより、第1係合部材21および第2係合部材22がないとき、第1磁石61および第2磁石62からの磁力線は、第1センサ71および第2センサ72を通過する。このとき、第1センサ71にかかる磁束密度の向きは、例えば、第1検出面711に垂直な方向かつ、第1径方向Dr1の一方向になる。また、第2センサ72にかかる磁束密度の向きは、例えば、第2検出面722に垂直な方向かつ、第1径方向Dr1の一方向になる。なお、
図6において、説明のため、第1センサ71および第2センサ72を通過する磁力線が矢印線で模式的に記載されている。また、
図6以降の図においても、第1センサ71および第2センサ72を通過する磁力線が矢印線で模式的に記載されている。
【0058】
また、ここで、この事例を説明するために、以下の用語を定義する。
【0059】
第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1のうち、第1検出面711に平行な方向かつ第2径方向Dr2の他方向の磁束密度を、第1磁束密度B1の正方向とする。第1センサ71から出力される電圧を第1電圧V1とする。第1磁束密度B1が正方向であるとき、第1センサ71によって出力される第1電圧V1は、正の値である。第1磁束密度B1が負方向であるとき、第1センサ71によって出力される第1電圧V1は、負の値である。また、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2のうち、第2検出面722に平行な方向かつ第2径方向Dr2の他方向の磁束密度を、第2磁束密度B2の正方向とする。第2センサ72から出力される電圧を第2電圧V2とする。第2磁束密度B2が正方向であるとき、第2センサ72によって出力される第2電圧V2は、正の値である。第2磁束密度B2が負方向であるとき、第2センサ72によって出力される第2電圧V2は、負の値である。
【0060】
次に、この事例について説明する。
【0061】
この事例では、制御部85によって、モータ30の回転が車輪40の回転と同期した状態になっている。また、第1シャフト11がモータ30と第1係合部材21とに接続されているため、モータ30がモータ回転数Nmで回転することにより、第1係合部材21は、
図7に示すように、モータ回転数Nmで回転する。さらに、車両が走行していることにより、車輪40は、回転する。また、第2シャフト12が車輪40と第2係合部材22とに接続されているため、車輪40が車輪回転数Ntで回転することにより、第2係合部材22が車輪回転数Ntで回転する。さらに、制御部85によって、モータ回転数Nmと車輪回転数Ntとの差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっている。このため、第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数との差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっている。また、この事例では、モータ回転数Nmが車輪回転数Ntと異なっている。このため、第1係合部材21の回転数は、第2係合部材22の回転数と異なっている。なお、
図7において、第1係合部材21の回転方向がDmで表されている。また、第2係合部材22の回転方向がDtで表されている。
【0062】
図5に示す初期時刻t0において、
図7に示すように、第1凸部211は、第2凸部221と軸方向Daにわずかに対向している。また、第1凸部211は、第2凹部222に軸方向Daに対向している。さらに、第2凸部221は、第1凸部211と軸方向Daにわずかに対向している。また、第2凸部221は、第1凹部212と軸方向Daに対向している。
【0063】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。このため、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0064】
第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第2センサ72に最も近い第1凸部211および第2センサ72に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2の正方向と直交する。このため、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線により第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロである。
【0065】
また、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第2センサ72よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第2センサ72に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2の正方向と、この第2磁束密度B2の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。
【0066】
時刻t1において、
図8に示すように、初期時刻t0の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0067】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、第1係合部材21および第2係合部材22が回転したことにより、第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。
【0068】
このため、第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と直交する。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線により第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロである。
【0069】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。
【0070】
また、第1係合部材21および第2係合部材22が回転することにより、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。さらに、第1係合部材21および第2係合部材22の回転距離が比較的小さいため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係の変化は、小さい。また、上記したように、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。
【0071】
このため、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。具体的には、第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第2センサ72に最も近い第1凸部211および第2センサ72に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第2センサ72は、第2センサ72に最も近い第1凹部212および第2センサ72に最も近い第2凸部221の間に位置している。このため、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0072】
時刻t2において、
図9に示すように、時刻t1の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0073】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0074】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71は、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。このため、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0075】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t1の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。具体的には、第2センサ72は、第2センサ72に最も近い第2凸部221および第2センサ72に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2の正方向と直交する。このため、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線により第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロである。
【0076】
また、第2センサ72を通過した磁力線の一部は、第2センサ72よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第2センサ72に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2の正方向と、この第2磁束密度B2の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。
【0077】
時刻t3において、
図10に示すように、時刻t2の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0078】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t1における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0079】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0080】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の一方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向に直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0081】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t3における上記重複部分の大きさは、時刻t1における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。このため、互いに強め合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211および第2凸部221を通過しやすくなっている。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t1のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t1における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0082】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t2の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0083】
時刻t4において、
図11に示すように、時刻t3の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0084】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0085】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0086】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t3の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t2における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0087】
時刻t5において、
図12に示すように、時刻t4の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0088】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t3における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0089】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0090】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0091】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t5における上記重複部分の大きさは、時刻t3における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。このため、互いに強め合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211および第2凸部221を通過しやすくなっている。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の正方向の絶対値は、時刻t3のときの第1磁束密度B1の負方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t3における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0092】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t4の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0093】
時刻t6において、
図13に示すように、時刻t5の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0094】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0095】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0096】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t5の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t4における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0097】
時刻t7において、
図14に示すように、時刻t6の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0098】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t5における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0099】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0100】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の一方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0101】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t7における上記重複部分の大きさは、時刻t5における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。このため、互いに強め合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211および第2凸部221を通過しやすくなっている。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t5のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t5における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0102】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t6の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0103】
時刻t8において、
図15に示すように、時刻t7の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0104】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0105】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0106】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t7の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t6における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0107】
時刻t9において、
図16に示すように、時刻t8の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0108】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t7における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0109】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211の一部および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0110】
また、第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。このため、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0111】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t9における上記重複部分の大きさは、時刻t7における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。このため、互いに強め合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211および第2凸部221を通過しやすくなっている。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の正方向の絶対値は、時刻t7のときの第1磁束密度B1の負方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t7における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0112】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t8の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0113】
時刻t10において、
図17に示すように、時刻t9の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0114】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0115】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0116】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t9の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t8における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0117】
時刻t11において、
図18に示すように、時刻t10の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0118】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t9における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0119】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0120】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の一方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0121】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t11における上記重複部分の大きさは、時刻t9における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。このため、互いに強め合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211および第2凸部221を通過しやすくなっている。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t9のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t9における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0122】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t10の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0123】
時刻t12において、
図19に示すように、時刻t11の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0124】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0125】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0126】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t11の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t10における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0127】
時刻t13において、
図16に示すように、時刻t12の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0128】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t11における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0129】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211の一部および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0130】
また、第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。このため、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0131】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t13における上記重複部分の大きさは、時刻t11における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。このため、互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の正方向の絶対値は、時刻t11のときの第1磁束密度B1の負方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t11における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0132】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t12の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0133】
時刻t14において、
図17に示すように、時刻t13の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0134】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0135】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0136】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t13の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71と同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t12における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0137】
時刻t15において、
図14に示すように、時刻t14の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0138】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t13における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0139】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0140】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の一方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0141】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t15における上記重複部分の大きさは、時刻t13における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。このため、互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t13のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t13における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0142】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t14の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0143】
時刻t16において、
図15に示すように、時刻t15の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0144】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0145】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0146】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t15の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t14における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0147】
時刻t17において、
図12に示すように、時刻t16の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0148】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t15における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0149】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0150】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値である。
【0151】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t17における上記重複部分の大きさは、時刻t15における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。このため、互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の正方向の絶対値は、時刻t15のときの第1磁束密度B1の負方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t15における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0152】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t16の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0153】
時刻t18において、
図13に示すように、時刻t17の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0154】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0155】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0156】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t17の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t16における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0157】
時刻t19において、
図10に示すように、時刻t18の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0158】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t17における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0159】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0160】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の一方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1磁束密度B1の負方向と、この第1磁束密度B1の負方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値である。
【0161】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t19における上記重複部分の大きさは、時刻t17における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。このため、互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t17のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t17における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0162】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t18の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0163】
時刻t20において、
図11に示すように、時刻t19の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0164】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0165】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0166】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t19の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t18における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0167】
時刻t21において、
図8に示すように、時刻t20の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0168】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t19における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0169】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と直交する。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線により第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロである。
【0170】
また、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1センサ71よりも第2径方向Dr2の他方側に位置するとともに第1センサ71に最も近い第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1の正方向と、この第1磁束密度B1の正方向と直交する方向とに分解される。したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。
【0171】
よって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t21における上記重複部分の大きさは、時刻t19における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。このため、互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。これにより、第1センサ71から第1凸部211および第2凸部221を通過する第1磁束密度B1の負方向の絶対値は、時刻t19のときの第1磁束密度B1の正方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t19における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0172】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t20の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第2センサ72によって検出される第2磁束密度B2は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0173】
時刻t22において、
図9に示すように、時刻t21の状態から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0174】
このとき、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。
【0175】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。また、第1センサ71は、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。このため、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。したがって、第1センサ71によって検出される第1磁束密度B1は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0176】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t21の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とによって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t20における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0177】
また、時刻t22における第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0における位置関係から第1係合部材21または第2係合部材22が周期長さCの2分の1回転したときの位置関係と同様になっている。このとき、時刻t22における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0における位置関係から第1係合部材21と第2係合部材22との位置関係が相互に入れ替わった位置関係と同様になる。このため、時刻t22における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0における位置関係と同様である。したがって、時刻t22から時刻t23までの期間における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0から時刻t22までの期間における位置関係と同様になる。よって、時刻t22から時刻t23までの期間において、第1センサ71は、時刻t0から時刻t22までの期間と同様に、第1電圧V1を出力する。
【0178】
また、上記と同様に、時刻t22から時刻t23までの期間における第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0から時刻t22までの期間における位置関係と同様になる。よって、時刻t22から時刻t23までの期間において、第2センサ72は、時刻t0から時刻t22までの期間と同様に、第2電圧V2を出力する。
【0179】
このように、検出部60は、制御部85のモータ制御プログラムによってモータ30と車輪40とが同期して回転しているとき、信号を出力する。
【0180】
次に、制御部85によるクラッチアクチュエータ制御プログラムについて、
図20のフローチャートを参照して説明する。例えば、上記したモータ制御プログラムによってモータ回転数Nmと車輪回転数Ntとの差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっているとき、このクラッチアクチュエータ制御プログラムは、実行される。
【0181】
ステップS200において、制御部85は、現時点における第1電圧V1を第1センサ71から取得する。また、制御部85は、現時点における第2電圧V2を第2センサ72から取得する。さらに、制御部85は、時刻に対しての電圧波形を所定の期間、例えば、時刻t0から時刻t23までの期間を含みつつ現時点までの期間を抽出する。
【0182】
続いて、ステップS202において、制御部85は、ステップS200にて取得および抽出した信号に基づいて、係合タイミングを演算する。なお、ここでは、係合タイミングは、第1係合部材21と第2係合部材22とを係合させるタイミングである。
【0183】
具体的には、制御部85は、時刻tごとに、以下関係式(1)を用いて、Ve(t)を演算する。Ve(t)は、時刻tにおける第1電圧V1と、時刻tにおける第2電圧V2との2乗和の平方根のうち正の値である。V1(t)は、時刻tにおける第1電圧V1である。V2(t)は、時刻tにおける第2電圧V2である。
【0184】
【0185】
そして、制御部85によって演算された時刻tに対するVe(t)の波形線は、
図21に示すように、時刻tに対する第1電圧V1の波形線の少なくとも一部に接するとともに時刻tに対する第2電圧V2の波形線の少なくとも一部に接する包絡線になる。なお、
図21において、この包絡線は、太い実線で示されている。また、第1電圧V1は、実線で示されている。さらに、第2電圧V2は、一点鎖線で示されている。
【0186】
ここで、例えば、時刻t11から時刻t12までの期間において、第1電圧V1および第2電圧V2が負の値で同じになっており、Ve(t)は、最大値になる。なお、
図21において、Ve(t)の最大値は、Ve_maxで示されている。
【0187】
このとき、
図22に示すように、第1凸部211が第2凸部221のみと軸方向Daに対向する。また、第1凹部212が第2凹部222のみと軸方向Daに対向する。このため、第1係合部材21の第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさが最大になっている。
【0188】
また、例えば、
図21に示すように、時刻t0から時刻t1までの期間において、第1電圧V1および第2電圧V2が正の値で同じになっており、Ve(t)が最小値になる。なお、
図21において、Ve(t)の最小値は、Ve_minで示されている。
【0189】
このとき、
図23に示すように、第1凸部211が第2凹部222のみと軸方向Daに対向し、かつ、第1凹部212が第2凸部221のみと軸方向Daに対向する。このため、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分がなくなる。したがって、このとき、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合可能な状態になる。
【0190】
よって、制御部85は、時刻tと、所定の期間において時刻tごとに演算したVeと、この演算したVeの中の最小値と、現時点のVeとに基づいて、現時点のVeからVeの最小値になるまでの時間を演算する。例えば、制御部85は、所定の期間において時刻tごとに演算したVeの中から、現時点のVeに対応する値のVexを抽出する。また、制御部85は、このVexに対応する時刻txを抽出する。さらに、制御部85は、所定の期間における時刻tの中から、このVexから次にVeの最小値となる時刻tminを抽出する。そして、制御部85は、この抽出した時刻tminから時刻txを減算することにより、現時点のVeからVeの最小値になるまでの時間を演算する。これにより、制御部85は、係合タイミングを演算する。
【0191】
続いて、ステップS204において、制御部85は、ステップS202にて演算した係合タイミングを用いて、第1係合部材21と第2係合部材22とを係合させる。具体的には、制御部85は、現時点からステップS202にて演算した時間が経過するとき、クラッチアクチュエータ90を作動させるための信号をクラッチアクチュエータ90に出力する。これにより、クラッチアクチュエータ90は、
図24に示すように、第1係合部材21から第2係合部材22に向かう方向、すなわち、軸方向Daの一方向に第1係合部材21を移動する。このとき、上記したように、第1凸部211は、第2凹部222のみと軸方向Daに対向するため、第2凹部222に挿入される。また、第2凸部221は、第1凹部212のみと軸方向Daに対向するため、第1凹部212に挿入される。したがって、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合する。その後、制御部85の処理は、終了する。
【0192】
このように、制御部85は、クラッチアクチュエータ90を制御する。
【0193】
次に、第1センサ71および第2センサ72を用いたときに制御部85による信号処理の負荷を低減できることについて説明する。
【0194】
第1センサ71は、
図5および
図21に示すように、第1係合部材21および第2係合部材22が回転することによって変化する第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた第1電圧V1を出力する。また、第2センサ72は、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときの第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた第2電圧V2を出力する。例えば、時刻t1の第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。このため、時刻t1において、第2センサ72は、時刻t0の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた第2電圧V2を出力する。さらに、制御部85は、演算部に対応しており、第1電圧V1および第2電圧V2に基づいて、係合タイミングを演算する。なお、第1センサ71の第1電圧V1は、第1センサ71の第1信号に対応する。また、第2センサ72の第2電圧V2は、第2センサ72の第2信号に対応する。
【0195】
第2電圧V2は、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときの第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた電圧である。このため、第2電圧V2は、第1電圧V1に追従して出力されるとともに、第1電圧V1に対応する。したがって、第1電圧V1および第2電圧V2は、互いに相関する電圧である。これにより、第1電圧V1および第2電圧V2が互いに相関しない電圧であるときに比べて、第1電圧V1および第2電圧V2に基づく係合タイミングの演算がしやすくなる。よって、制御部85による信号処理の負荷を低減することができる。
【0196】
また、制御部85では、以下に記載する効果も奏する。
【0197】
(1)上記したように、第2電圧V2は、第1電圧V1に対応する。このため、制御部85は、第1電圧V1と第2電圧V2とを比較することにより、第1センサ71および第2センサ72が正常であるか否かを判定することができる。また、第1センサ71および第2センサ72のいずれかが故障した場合であっても、検出部60は、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた電圧を出力できる。これにより、第1センサ71および第2センサ72のいずれかが故障した場合であっても、制御部85は、正常な電圧に基づいて、係合タイミングを演算できる。
【0198】
(2)上記したように、第2電圧V2は、第1電圧V1に対応する。このため、例えば、第2電圧V2を用いて第1電圧V1を較正することができる。これにより、第1電圧V1の精度を向上させることができる。このように、第1電圧V1または第2電圧V2の精度を向上させることができるため、制御部85による係合タイミングの演算精度を向上させることができる。
【0199】
(3)制御部85は、所定の期間、例えば、時刻t0から時刻t23までの期間において、時刻tごとに、上記関係式(1)を用いて、第1電圧V1と、第2電圧V2との2乗和の正の平方根を演算する。また、制御部85は、時刻tごとに演算した正の平方根の中の最小値に基づいて、係合タイミングを演算する。
【0200】
上記したように、この正の平方根であるVe(t)の波形線は、
図21に示すように、時刻tに対する第1電圧V1の波形線の少なくとも一部に接するとともに時刻tに対する第2電圧V2の波形線の少なくとも一部に接する包絡線になる。これにより、Ve(t)は、第1電圧V1および第2電圧V2と比較して、変動が少ない。このため、係合タイミングを演算するための信号の変動が少なくなる。したがって、制御部85による係合タイミングの演算がしやすくなる。よって、制御部85による信号処理の負荷を低減することができる。また、係合タイミングを演算するための信号の変動が少なくなるため、制御部85による係合タイミングの演算精度を向上させることができる。
【0201】
(4)第2センサ72は、第1センサ71とは異なる位置に配置されていることにより、上記第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた第2電圧V2を出力する。例えば、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。
【0202】
これにより、
図5および
図21に示すように、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときから、第2センサ72がその第1電圧V1に対応する第2電圧V2を出力するまでの時間差がπ/2相当の時間差になる。このため、2乗和の平方根によってVe(t)を演算するとき、Ve(t)に含まれる正弦波成分および余弦波成分を除去することができる。したがって、Ve(t)の包絡線の演算が容易になる。よって、制御部85による信号処理の負荷を低減することができる。なお、πは、円周率である。
【0203】
(5)制御部85が回転センサ35からの信号および車輪速センサ45からの信号に基づいてモータ30を制御することにより、第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数との差の絶対値は、所定値ΔN_th以下になっている。このとき、制御部85は、係合タイミングを演算する。所定値ΔN_thは、例えば、100rpmである。
【0204】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数との差の絶対値が比較的小さいとき、
図5および
図21に示すように、時刻tに対する第1電圧V1および第2電圧V2の各波形は、時刻tが経過するにつれてその振幅が増減するうなり波形になりやすい。また、このうなり波形の周期により、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときから、その第1電圧V1に対応する第2電圧V2を第2センサ72が出力するまでの時間差を演算できる。
【0205】
(第2実施形態)
第2実施形態では、検出部60の第1センサ71および第2センサ72の配置が第1実施形態と異なる。
【0206】
第1センサ71は、
図25に示すように、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。
【0207】
第2センサ72は、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。また、第2センサ72は、第1センサ71よりも第1径方向Dr1の一方側に配置されている。さらに、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離は、周期長さCの4分の1になっている。
【0208】
このような構成においても、第1電圧V1および第2電圧V2は、上記時刻t0から時刻t23までの期間と同様に、出力される。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0209】
(第3実施形態)
第3実施形態では、検出部60の第1ヨーク601、第1センサ71および第2センサ72の形態が第1実施形態と異なる。
【0210】
検出部60の第1ヨーク601は、有底筒状に軟磁性体で形成されている。また、第1ヨーク601は、上記と同様に、ヨーク底部610、第1延長部611および第2延長部612を有する。
【0211】
ヨーク底部610は、
図26および
図27に示すように、四角板状に形成されており、軸方向Daに延びている。
【0212】
第1延長部611は、ヨーク底部610のうち軸方向Daの他方側の端部に接続されている。また、第1延長部611は、このヨーク底部610の端部から第1径方向Dr1の一方向に向かって延びている。
【0213】
第2延長部612は、ヨーク底部610のうち軸方向Daの一方側の端部に接続されている。また、第2延長部612は、このヨーク底部610の端部から第1径方向Dr1の一方向に向かって延びている。
【0214】
第1センサ71は、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。また、第1センサ71は、第2センサ72よりも第2径方向Dr2の一方側に配置されている。さらに、第1センサ71は、第1検出面711および図示しないホール素子を含む。
【0215】
第1検出面711は、上記と同様に、第1センサ71のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している面である。
【0216】
第1センサ71のホール素子は、上記と同様に、縦型ホール素子である。また、第1センサ71のホール素子は、第1検出面711にかかる磁束密度のうち、第1検出面711に平行な方向かつ軸方向Daの磁束密度に応じた電圧を出力する。
【0217】
第2センサ72は、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。また、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。さらに、第2センサ72は、第2検出面722および図示しないホール素子を含む。
【0218】
第2検出面722は、上記と同様に、第2センサ72のうち第1係合部材21および第2係合部材22側に位置している面である。
【0219】
第2センサ72のホール素子は、第1ホール素子と同様に、縦型ホール素子である。また、第2センサ72のホール素子は、第2検出面722にかかる磁束密度のうち、第2検出面722に平行な方向かつ軸方向Daの磁束密度に応じた電圧を出力する。
【0220】
このように、第3実施形態は構成されている。
【0221】
次に、制御部85のモータ制御プログラムによってモータ30と車輪40とが同期して回転しているときの検出部60が出力する信号について、一事例および
図28のタイムチャートを参照して説明する。
【0222】
ここで、この事例を説明するために、以下の用語を定義する。
【0223】
ここでは、第1センサ71によって検出される磁束密度のうち、第1検出面711に平行な方向かつ軸方向Daの一方向の磁束密度を、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向とする。第2センサ72によって検出される磁束密度のうち、第2検出面722に平行な方向かつ軸方向Daの一方向の磁束密度を、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向とする。
【0224】
この事例では、制御部85によって、モータ30の回転が車輪40の回転と同期した状態になっている。また、第1シャフト11がモータ30と第1係合部材21とに接続されているため、モータ30がモータ回転数Nmで回転することにより、第1係合部材21は、
図29に示すように、モータ回転数Nmで回転する。さらに、車両が走行していることにより、車輪40は、回転する。また、第2シャフト12が車輪40と第2係合部材22とに接続されているため、車輪40が車輪回転数Ntで回転することにより、第2係合部材22が車輪回転数Ntで回転する。さらに、制御部85によって、モータ回転数Nmと車輪回転数Ntとの差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっている。このため、第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数との差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっている。また、この事例では、モータ回転数Nmが車輪回転数Ntと異なっている。このため、第1係合部材21の回転数は、第2係合部材22の回転数と異なっている。なお、
図29において、第1係合部材21の回転方向がDmで表されている。また、第2係合部材22の回転方向がDtで表されている。
【0225】
図28に示す初期時刻t30において、
図29に示すように、第1凸部211は、第2凸部221と第2凹部222とに軸方向Daに対向している。また、第2凸部221は、第1凸部211と第1凹部212とに軸方向Daに対向している。さらに、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、比較的大きくなっている。
【0226】
第1センサ71は、
図30に示すように、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このため、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0227】
第2センサ72は、
図29に示すように、軸方向Daにおいて、第2センサ72に最も近い第1凹部212および第2センサ72に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。
【0228】
時刻t31において、
図31に示すように、初期時刻t30の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0229】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。また、第1係合部材21および第2係合部材22が回転したことにより、第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。
【0230】
このため、第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0231】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。
【0232】
また、第1係合部材21および第2係合部材22が回転することにより、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。さらに、第1係合部材21および第2係合部材22の回転距離が比較的小さいため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係の変化は、小さい。また、上記したように、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。
【0233】
このため、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t30の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。具体的には、第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第2センサ72に最も近い第1凹部212および第2センサ72に最も近い第2凹部222の間に位置している。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0234】
時刻t32において、
図32に示すように、時刻t31の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0235】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0236】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t31の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。具体的には、第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第2センサ72に最も近い第2凸部221および第2センサ72に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。
【0237】
時刻t33において、
図33に示すように、時刻t32の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0238】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t31における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0239】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の負方向と、この負方向に直交する方向とに分解される。
【0240】
したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t33における上記重複部分の大きさは、時刻t31における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過しやすくなっている。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値は、時刻t31のときの第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t31における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0241】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t32の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0242】
時刻t34において、
図30に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0243】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このため、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0244】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t33の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t32における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0245】
時刻t35において、
図31に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0246】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t33における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0247】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0248】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t35における上記重複部分の大きさは、時刻t33における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過しやすくなっている。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値は、時刻t33のときの第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t33における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0249】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t34の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0250】
時刻t36において、
図32に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0251】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0252】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t35の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t34における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0253】
時刻t37において、
図33に示すように、時刻t36の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0254】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t35における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0255】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の負方向と、この負方向に直交する方向とに分解される。
【0256】
したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t37における上記重複部分の大きさは、時刻t35における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過しやすくなっている。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値は、時刻t35のときの第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t35における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0257】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t36の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0258】
時刻t38において、
図30に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0259】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0260】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t37の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t36における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0261】
時刻t39において、
図31に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0262】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t37における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0263】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0264】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t39における上記重複部分の大きさは、時刻t37における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第2凸部221を通過しやすくなっている。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値は、時刻t37のときの第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t37における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0265】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t38の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0266】
時刻t40において、
図32に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0267】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0268】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t39の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t38における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0269】
時刻t41において、
図33に示すように、時刻t40の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0270】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t39における重複部分の大きさよりも小さくなっている。
【0271】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の負方向と、この負方向に直交する方向とに分解される。
【0272】
したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t41における上記重複部分の大きさは、時刻t39における上記重複部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過しやすくなっている。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値は、時刻t39のときの第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値よりも大きくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t39における第1電圧V1の絶対値よりも大きくなっている。
【0273】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t40の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0274】
時刻t42において、
図30に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0275】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0276】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t41の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t40における第2電圧V2の絶対値よりも大きくなっている。
【0277】
時刻t43において、
図31に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0278】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t41における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0279】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0280】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t43における上記重複部分の大きさは、時刻t41における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211を通過することで互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値は、時刻t41のときの第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t41における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0281】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t42の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0282】
時刻t44において、
図32に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0283】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0284】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t43の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t42における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0285】
時刻t45において、
図33に示すように、時刻t44の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0286】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t43における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0287】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の負方向と、この負方向に直交する方向とに分解される。
【0288】
したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t45における上記重複部分の大きさは、時刻t43における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第2凸部221を通過することで互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の数が減少する。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値は、時刻t43のときの第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t43における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0289】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t44の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0290】
時刻t46において、
図30に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0291】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0292】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t45の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t44における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0293】
時刻t47において、
図31に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0294】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t45における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0295】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0296】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t47における上記重複部分の大きさは、時刻t45における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211を通過することで互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値は、時刻t45のときの第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t45における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0297】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t46の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0298】
時刻t48において、
図32に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0299】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0300】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t47の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t46における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0301】
時刻t49において、
図33に示すように、時刻t48の状態から第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0302】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t1における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0303】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の負方向と、この負方向に直交する方向とに分解される。
【0304】
したがって、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、負の値になる。また、時刻t49における上記重複部分の大きさは、時刻t47における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第2凸部221を通過することで互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の数が減少する。このため、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値は、時刻t47のときの第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t47における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0305】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t48の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線と第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0306】
時刻t50において、
図30に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0307】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凹部212および第1センサ71に最も近い第2凹部222の間に位置している。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0308】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t49の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第1凸部211を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、負の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t48における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0309】
時刻t51において、
図31に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0310】
第1係合部材21の回転数と第2係合部材22の回転数とが異なっているため、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が変化する。この位置関係の変化により、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさは、時刻t49における重複部分の大きさよりも大きくなっている。
【0311】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第2凸部221および第1センサ71に最も近い第1凹部212の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過する磁力線は、第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向と、この正方向に直交する方向とに分解される。
【0312】
したがって、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線によって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、正の値になる。また、時刻t49における上記重複部分の大きさは、時刻t47における上記重複部分の大きさよりも大きくなっている。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部が第1凸部211を通過することで互いに打ち消し合う方向の磁力線が生じることにより、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の数が減少する。このため、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁束密度の正方向の絶対値は、時刻t47のときの第1センサ71から第1凸部211を通過する磁束密度の負方向の絶対値よりも小さくなっている。したがって、第1センサ71から出力される第1電圧V1の絶対値は、時刻t47における第1電圧V1の絶対値よりも小さくなっている。
【0313】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t50の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。これにより、第2センサ72を通過する磁力線は、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第2センサ72を通過する磁力線の方向は、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第2センサ72によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、ゼロになる。
【0314】
時刻t52において、
図32に示すように、第2係合部材22が周期長さCの4分の1回転した状態になる。
【0315】
第1センサ71は、軸方向Daにおいて、第1センサ71に最も近い第1凸部211および第1センサ71に最も近い第2凸部221の間に位置している。これにより、第1センサ71を通過した磁力線の一部は、第1凸部211および第2凸部221を通過する。このとき、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。このとき、第1センサ71を通過する磁力線の方向は、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向に直交する。したがって、第1センサ71によって検出される磁束密度は、ゼロになる。よって、第1センサ71から出力される第1電圧V1は、ゼロになる。
【0316】
第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、上記と同様に、時刻t51の第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係と同様になる。したがって、第2センサ72から第2凸部221を通過する磁力線によって、第2センサ72から出力される第2電圧V2は、正の値になる。また、第1センサ71のときと同様に、第2センサ72から出力される第2電圧V2の絶対値は、時刻t50における第2電圧V2の絶対値よりも小さくなっている。
【0317】
また、時刻t52における第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t30における位置関係から第2係合部材22が周期長さCの2分の1回転したときの位置関係と同様になっている。このとき、時刻t52における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t30の位置関係に対して第1係合部材21と第2係合部材22とが相互に入れ替わった位置関係と同様になる。このため、時刻t52における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t30における位置関係と同様である。したがって、時刻t52から時刻t53までの期間における第1センサ71、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t30から時刻t52までの期間における位置関係と同様になる。よって、時刻t52から時刻t53までの期間において、第1センサ71は、時刻t30から時刻t52までの期間と同様に、第1電圧V1を出力する。
【0318】
また、上記と同様に、時刻t52から時刻t53までの期間における第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係は、時刻t0から時刻t22までの期間における位置関係と同様になる。よって、時刻t52から時刻t53までの期間において、第2センサ72は、時刻t30から時刻t52までの期間と同様に、第2電圧V2を出力する。
【0319】
このように、検出部60は、制御部85のモータ制御プログラムによってモータ30と車輪40とが同期して回転しているとき、信号を出力する。
【0320】
次に、制御部85によるクラッチアクチュエータ制御プログラムについて、
図20のフローチャートを参照して説明する。上記したように、モータ制御プログラムによってモータ回転数Nmと車輪回転数Ntとの差の絶対値が所定値ΔN_th以下になっているとき、このクラッチアクチュエータ制御プログラムは、実行される。
【0321】
ステップS200において、制御部85は、上記と同様に、現時点における第1電圧V1を第1センサ71から取得する。また、制御部85は、現時点における第2電圧V2を第2センサ72から取得する。さらに、制御部85は、時刻に対しての電圧波形を所定の期間、例えば、時刻t30から時刻t53までの期間を含みつつ現時点までの期間を抽出する。
【0322】
続いて、ステップS202において、制御部85は、ステップS200にて取得および抽出した信号に基づいて、係合タイミングを演算する。なお、上記したように、係合タイミングは、第1係合部材21と第2係合部材22とを係合させるタイミングである。
【0323】
具体的には、制御部85は、時刻tごとに、上記関係式(1)を用いて、Ve(t)を演算する。なお、上記したように、Ve(t)は、時刻tにおける第1電圧V1と時刻tにおける第2電圧V2との2乗和の平方根のうち正の値である。V1(t)は、時刻tにおける第1電圧V1である。V2(t)は、時刻tにおける第2電圧V2である。
【0324】
そして、制御部85によって演算された時刻tに対するVe(t)の波形線は、
図34に示すように、上記と同様に、包絡線になる。なお、
図34において、この包絡線は、太い実線で示されている。また、第1電圧V1は、実線で示されている。さらに、第2電圧V2は、一点鎖線で示されている。
【0325】
ここで、例えば、時刻t30から時刻t31までの期間において、第1電圧V1および第2電圧V2が正の値で同じになっており、Ve(t)が最小値になる。なお、
図34において、Ve(t)の最小値は、Ve_minで示されている。
【0326】
このとき、
図35に示すように、第1凸部211が第2凸部221のみと軸方向Daに対向する。また、第1凹部212が第2凹部222のみと軸方向Daに対向する。このため、第1係合部材21の第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさが最大になっている。また、第1センサ71および第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第1凹部212および第2凹部222の間に位置している。
【0327】
また、例えば、時刻t52のすぐ後において、第1電圧V1および第2電圧V2が正の値で同じになっており、Ve(t)が最小値になる。
【0328】
このとき、
図36に示すように、第1凸部211が第2凸部221のみと軸方向Daに対向する。また、第1凹部212が第2凹部222のみと軸方向Daに対向する。このため、第1係合部材21の第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分の大きさが最大になっている。また、第1センサ71および第2センサ72は、軸方向Daにおいて、第1凸部211および第2凸部221の間に位置しており、時刻t30から時刻t31までの期間のときの位置関係とは異なっている。
【0329】
さらに、例えば、
図34に示すように、時刻t41から時刻t42までの期間において、第1電圧V1および第2電圧V2が負の値で同じになっており、Ve(t)が最大値になる。なお、
図34において、Ve(t)の最大値は、Ve_maxで示されている。
【0330】
このとき、
図37に示すように、第1凸部211が第2凹部222のみと軸方向Daに対向し、かつ、第1凹部212が第2凸部221のみと軸方向Daに対向する。これにより、第1凸部211を軸方向Daに第2凸部221へ投影したときの互いに重複する部分がなくなる。したがって、このとき、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合可能な状態になる。
【0331】
よって、制御部85は、時刻tと、所定の期間において時刻tごとに演算したVeと、この演算したVeの中の最大値と、現時点のVeとに基づいて、現時点のVeからVeの最大値になるまでの時間を演算する。これにより、制御部85は、係合タイミングを演算する。
【0332】
続いて、ステップS204において、制御部85は、上記と同様に、ステップS202にて演算した係合タイミングを用いて、第1係合部材21と第2係合部材22とを係合させる。その後、制御部85の処理は、終了する。
【0333】
このように、制御部85は、クラッチアクチュエータ90を制御する。
【0334】
第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、制御部85は、Ve(t)の最大値に基づいて、係合タイミングを演算する。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0335】
(第4実施形態)
第4実施形態では、検出部60の第1センサ71および第2センサ72の配置が第3実施形態と異なる。
【0336】
第1センサ71は、
図38に示すように、第2センサ72よりも第1径方向Dr1の他方側に配置されている。また、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。
【0337】
このような構成においても、第1電圧V1および第2電圧V2は、上記時刻t30から時刻t53までの期間の出力と同様に、出力される。したがって、第4実施形態においても、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0338】
(第5実施形態)
第5実施形態では、検出部60の第1センサ71および第2センサ72の配置が第1実施形態と異なる。また、第1センサ71のホール素子の形態が第1実施形態と異なる。
【0339】
第1センサ71は、
図39に示すように、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。また、第1センサ71のホール素子は、上記したように、縦型ホール素子である。
【0340】
第2センサ72は、第2ヨーク602および第3ヨーク603に接続されている。また、第2センサ72は、第1センサ71よりも第1径方向Dr1の一方側に配置されている。さらに、ここでは、第2センサ72のホール素子は、横型ホール素子である。横型ホール素子は、検出面に垂直な方向の磁束密度に応じた電圧を出力する素子である。また、第1センサ71の第1垂線L1と第2センサ72の第2垂線L2とは同一直線上に位置している。このため、第2センサ72のホール素子は、第1検出面711および第2検出面722に垂直な方向の磁束密度に応じた電圧を出力する。
【0341】
このように、第5実施形態は構成されている。
【0342】
次に、制御部85のモータ制御プログラムによってモータ30と車輪40とが同期して回転しているときの検出部60が出力する信号について、事例、
図40~
図42のタイムチャートを参照して説明する。
【0343】
この事例では、制御部85によってモータ回転数Nmと車輪回転数Ntとが同じになっている。
【0344】
この場合において、例えば、第1凸部211が第2凹部222のみと軸方向Daに対向しつつ、第2凸部221が第1凹部212のみと軸方向Daに対向している。このとき、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合可能な状態になっている。
【0345】
また、このとき、モータ30および車輪40が同じ回転数で回転することにより第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の向きが変化する。また、このとき、第1凸部211を通過する磁力線の方向は、第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線の方向とは反対になる。これにより、第1センサ71から第1凸部211を通過する磁力線と第1センサ71から第2凸部221を通過する磁力線とは互いに打ち消し合う。
【0346】
したがって、このとき、
図40に示すように、第1センサ71によって出力される第1電圧V1は、例えば、ゼロである。また、第2センサ72によって出力される第2電圧V2も、例えば、ゼロである。
【0347】
また、例えば、制御部85によって第1係合部材21と第2係合部材22とが係合する。このとき、第1センサ71および第2センサ72は、第1係合部材21と第1径方向Dr1に対向する。これにより、第1センサ71および第2センサ72を通過する磁力線は、第1係合部材21を通過する。このため、第1センサ71を通過する磁力線は、第1係合部材21および第2係合部材22が回転しても、変化しないで第1検出面711に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。また、第2センサ72を通過する磁力線は、第1係合部材21および第2係合部材22が回転しても、変化しないで第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向に向かう。
【0348】
したがって、このとき、
図41に示すように、第1検出面711に平行な方向の磁束密度を検出する第1センサ71によって出力される第1電圧V1は、ゼロになる。また、第1検出面711および第2検出面722に垂直な方向の磁束密度を検出する第2センサ72によって出力される第2電圧V2は、一定出力となり、オフセットされる。
【0349】
さらに、例えば、第1凸部211が第2凸部221と軸方向Daに対向しつつ、第1凹部212が第2凹部222と軸方向Daに対向している。このとき、第1係合部材21と第2係合部材22とが係合可能な状態になっていない。
【0350】
また、このとき、モータ30および車輪40が同じ回転数で回転することにより第1凸部211および第2凸部221を通過する磁力線の向きが第1係合部材21および第2係合部材22の回転角度に応じて変化する。
【0351】
したがって、第1センサ71によって出力される第1電圧V1は、
図42に示すように、正弦波形になる。また、第1センサ71によって検出される磁束密度の方向と第2センサ72によって検出される磁束密度の方向とは90度異なっている。これにより、第2センサ72によって出力される第2電圧V2は、第1電圧V1を4分の1波長分、時刻tの正方向にずらした波形になっており、余弦波形になっている。このため、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときから、第2センサ72がその第1電圧V1に対応する第2電圧V2を出力するまでの時間差がπ/2相当の時間差になっている。したがって、検出部60は、上記第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている状態と同様の状態になる。
【0352】
例えば、第1検出面711に平行な方向かつ第2径方向Dr2の他方向の磁束密度を、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向とする。また、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向の磁束密度を、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向とする。このとき、制御部85によってモータ回転数Nmと車輪回転数Ntとが異なるとき、第1電圧V1および第2電圧V2を、上記した時刻t0から時刻t23までの期間の電圧と同様にすることができる。また、このとき、制御部85は、上記のように演算した包絡線に関する値のうちの最小値に基づいて、係合タイミングを演算できる。
【0353】
また、例えば、第1検出面711に平行な方向かつ軸方向Daの一方向の磁束密度を、第1センサ71によって検出される磁束密度の正方向とする。また、第2検出面722に垂直な方向かつ第1径方向Dr1の一方向の磁束密度を、第2センサ72によって検出される磁束密度の正方向とする。このとき、第1電圧V1および第2電圧V2を、上記した時刻t30から時刻t53までの期間の電圧と同様にすることができる。また、このとき、制御部85は、上記のように演算した包絡線に関する値のうちの最大値に基づいて、係合タイミングを演算できる。
【0354】
よって、第5実施形態においても、第1実施形態および第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0355】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0356】
本開示に記載の制御部、演算部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部、演算部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部、演算部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0357】
第1~第4実施形態では、第1センサ71のホール素子および第2センサ72のホール素子は、縦型ホール素子である。これに対して、第1センサ71のホール素子および第2センサ72のホール素子は、縦型ホール素子であることに限定されないで、横型ホール素子であってもよい。
【0358】
上記第1実施形態および第3実施形態の事例では、モータ回転数Nmが車輪回転数Ntと異なっていることにより、第1係合部材21の回転数が第2係合部材22の回転数と異なっている。これに対して、第1係合部材21の回転数が第2係合部材22の回転数と異なっていることに限定されない。モータ回転数Nmが車輪回転数Ntと同じであることにより、第1係合部材21の回転数は、第2係合部材22の回転数と同じであってもよい。
【0359】
第5実施形態では、第1センサ71のホール素子は、縦型ホール素子であって、第2センサ72のホール素子は、横型ホール素子である。これに限定されないで、第1センサ71のホール素子が横型ホール素子であって、第2センサ72のホール素子が縦型ホール素子であってもよい。
【0360】
上記実施形態では、第1センサ71および第2センサ72は、ホール素子を用いて、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた信号を出力する。これに対して、第1センサ71および第2センサ72は、ホール素子を用いることに限定されない。例えば、第1センサ71および第2センサ72は、インダクティブセンサであってもよい。
【0361】
具体的には、第1センサ71および第2センサ72は、高周波送信回路、検出コイル、出力演算回路を含む。高周波送信回路は、数MHzの高周波信号を検出コイルに送信する。この高周波信号により、検出コイルは、高周波磁束を発生させる。この高周波磁束により、第1係合部材21の第1凸部211および第2係合部材22の第2凸部221に渦電流が発生する。また、第1係合部材21および第2係合部材22が回転することにより、この渦電流の大きさが変化する。これにより、検出コイルのインピーダンスが変化する。この検出コイルのインピーダンスの変化に基づいて、出力演算回路は、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係に応じた電圧を出力する。
【0362】
これにより、第1係合部材21および第2係合部材22が回転しているとき、第1電圧V1および第2電圧V2は、上記した時刻t0から時刻t23までの期間の電圧と同様になる。また、第1電圧V1および第2電圧V2は、上記した時刻t30から時刻t53までの期間の電圧と同様になる。したがって、第1センサ71および第2センサ72が、インダクティブセンサであっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0363】
上記実施形態では、第1係合部材21の第1凸部211は、第1基部210から第2係合部材22に向かって突出している。また、第2係合部材22の第2凸部221は、第2基部220から第1係合部材21に向かって突出している。第1凸部211および第2凸部221の形態は、これに限定されない。例えば、第1凸部211は、第1基部210から第1基部210の軸に直交する方向に向かって突出してもよい。また、第2凸部221は、第2基部220から第2基部220の軸に直交する方向に向かって突出してもよい。
【0364】
上記実施形態では、第1センサ71および第2センサ72は、別体に形成されている。これに対して、第1センサ71および第2センサ72は、別体に形成されていることに限定されないで、一体に形成されてもよい。
【0365】
上記実施形態では、位置検出装置50は、第1センサ71および第2センサ72の2つのセンサを備えている。位置検出装置50は、2つのセンサを備えていることに限定されないで、3つ以上のセンサを備えてもよい。
【0366】
上記実施形態では、車輪40は、第2シャフト12の他端に接続されている。これに対して、第2シャフト12の他端に接続されるものは、車輪40に限定されないで、エンジンおよび電気モータ等であってもよい。
【0367】
上記第1~第4実施形態では、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっている。これにより、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときから、第2センサ72がその第1電圧V1に対応する第2電圧V2を出力するまでの時間差がπ/2相当の時間差になっている。これに対して、第1係合部材21の回転方向における第1交点P1から第2交点P2までの距離が周期長さCの4分の1になっていることに限定されない。また、第1センサ71が第1電圧V1を出力したときから、第2センサ72がその第1電圧V1に対応する第2電圧V2を出力するまでの時間差がπ/2相当の時間差になっていることに限定されない。
【0368】
上記実施形態では、制御部85は、時刻tにおける第1電圧V1と、時刻tにおける第2電圧V2との2乗和の平方根のうち正の値を演算する。これにより、制御部85は、時刻tに対する第1電圧V1の波形線の少なくとも一部に接するとともに時刻tに対する第2電圧V2の波形線の少なくとも一部に接する包絡線を演算する。これに対して、制御部85は、上記2乗和の平方根のうち正の値を演算することにより、上記包絡線を演算することに限定されない。例えば、制御部85は、時刻tに対する第1電圧V1の一部の変化と同じ変化をする値を演算することにより、時刻tに対する第1電圧V1の波形の接線を演算する。また、制御部85は、時刻tに対する第2電圧V2の一部の変化と同じ変化をする値を演算することにより、時刻tに対する第2電圧V2の波形の接線を演算する。さらに、制御部85は、これらの演算した接線を用いることにより、上記包絡線を演算してもよい。また、制御部85は、他の演算方法により、包絡線を演算してもよい。さらに、制御部85は、この演算した包絡線に関する値のうちの最大値および最小値に基づいて、係合タイミングを演算してもよい。
【0369】
上記実施形態では、第1センサ71、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係によっては、時刻に対する第1電圧V1の波形と時刻に対する第2電圧V2の波形が同一になる場合がある。この場合、例えば、第1センサ71および第2センサ72のいずれかの第1径方向Dr1方向の位置を変更することにより、第1センサ71、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が調整される。また、例えば、第1センサ71および第2センサ72のいずれかの第1係合部材21の回転方向の位置を変更することにより、第1センサ71、第2センサ72、第1凸部211、第1凹部212、第2凸部221および第2凹部222の位置関係が調整される。これらにより、時刻に対する第1電圧V1の波形と時刻に対する第2電圧V2の波形が同一になることを回避することができる。
【符号の説明】
【0370】
21 第1係合部材
211 第1凸部
212 第1凹部
22 第2係合部材
221 第2凸部
222 第2凹部
50 位置検出装置
71 第1センサ
72 第2センサ
85 制御部