(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240402BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20240402BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65D5/54 301K
B65D5/02 K
B65D5/66 311J
(21)【出願番号】P 2020205861
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大雅
(72)【発明者】
【氏名】門田 光史
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-155025(JP,A)
【文献】特開2014-141284(JP,A)
【文献】実開昭56-138021(JP,U)
【文献】特開2018-002260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/02
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の端壁および左右の側壁を有する角筒状の胴部と、
前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、
前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、
前記端壁には、
取出口と、
前記取出口を塞いでいる蓋板と、が形成され、
前記蓋板の側縁部は、第一折れ線を介して前記取出口の側縁部に連設されるとともに、
前記蓋板の上下の縁部は、切断誘導線を介して前記取出口の上下の縁部に連設されており、
前記蓋板には、上下方向に延びている第二折れ線が形成され、
前記第一折れ線において前記蓋板を前記端壁に対して折り返して、前記蓋板を前記胴部の外面に重ねた状態では、前記第二折れ線が前記端壁の側縁部に重な
り、
前記蓋板には、開封開始穴と、前記開封開始穴を塞いでいる係合片と、が形成され、
前記第一折れ線において前記蓋板を前記端壁に対して折り返すとともに、前記第二折れ線において前記蓋板を屈曲させて、前記蓋板を前記胴部の外面に重ねた状態では、
前記側壁に形成された係合穴に、前記係合片を差し込み可能であることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記取出口の左縁部に連設された左側の前記蓋板と、
前記取出口の右縁部に連設された右側の前記蓋板と、が左右方向に並べられていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記取出口は、前記端壁の上縁部から下縁部に亘って形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記取出口の下縁部と、前記端壁の下縁部との間に下枠部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱としては、前後左右の壁体を有する角筒状の胴部と、胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、一枚の壁体を横方向に開くことができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような包装箱では、壁体を開いて側面を開口させることで、包装箱に他の包装箱を積み重ねた状態でも、包装箱の横から内容物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱では、壁体を手で掴んで側面を開口させると、壁体が外側に大きく張り出した状態になる一方、手を離すと元に戻ってしまうため、利用者が内容物を取り出し難いという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、開いた壁体が外側に大きく張り出すのを防ぐとともに、開いた壁体が戻り難くなる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、前後の端壁および左右の側壁を有する角筒状の胴部と、前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備えている。前記端壁には、取出口と、前記取出口を塞いでいる蓋板と、が形成されている。前記蓋板の側縁部は、第一折れ線を介して前記取出口の側縁部に連設されるとともに、前記蓋板の上下の縁部は、切断誘導線を介して前記取出口の上下の縁部に連設されている。前記蓋板には、上下方向に延びている第二折れ線が形成されている。そして、前記第一折れ線において前記蓋板を前記端壁に対して折り返して、前記蓋板を前記胴部の外面に重ねた状態では、前記第二折れ線が前記端壁の側縁部に重なるように構成されている。前記蓋板には、開封開始穴と、前記開封開始穴を塞いでいる係合片と、が形成されている。前記第一折れ線において前記蓋板を前記端壁に対して折り返すとともに、前記第二折れ線において前記蓋板を屈曲させて、前記蓋板を前記胴部の外面に重ねた状態では、前記側壁に形成された係合穴に、前記係合片を差し込み可能である。
【0007】
本発明の包装箱では、蓋板を外側に開くことで側面に取出口を開口させることができる。これにより、包装箱に他の包装箱を積み重ねた状態でも、包装箱の横から内容物を取り出すことができる。
【0008】
本発明の包装箱では、頂板および底板が粘着テープや接着剤を利用して封緘されている場合でも、頂板および底板の封緘手段に影響されることなく、包装箱の側面に取出口を開口させることができる。
【0009】
本発明の包装箱では、蓋板を開いたときに、蓋板を胴部の角部に沿って折り曲げて、蓋板を胴部の外面に重ねることができる。これにより、本発明の包装箱では、開いた蓋板が外側に大きく張り出すのを防ぐとともに、開いた蓋板が戻り難くなるため、利用者が包装箱から内容物を取り出し易くなる。
また、蓋板の係合片を側壁の係合穴に差し込んで連結することで、開いた蓋板が戻るのを確実に防ぐことができる。
そして、開いた蓋板が胴部の角部に重なって連結されることで、胴部の角部が二重壁になるため、開封後においても包装箱の耐荷重が低下し難い。
【0010】
前記した包装箱において、前記取出口の左縁部に連設された左側の前記蓋板と、前記取出口の右縁部に連設された右側の前記蓋板と、を左右方向に並べた場合には、一枚の蓋板によって取出口を閉塞している場合に比べて、両蓋板を端壁から切り離し易い。
【0011】
前記した包装箱において、前記取出口を前記端壁の上縁部から下縁部に亘って形成した場合には、取出口から内容物を取り出し易くなる。
【0012】
前記した包装箱において、前記取出口の下縁部と、前記端壁の下縁部との間に下枠部を形成した場合には、取出口を開口させたときに、内容物の下部が下枠部に内側から引っ掛かるため、内容物が取出口から外側に落ち難くなる。
【0015】
前記した包装箱において、前記蓋板の上縁部に、前記頂板側に入り込む差込片を連設してもよい。この場合には、前記第一折れ線において前記蓋板を前記端壁に対して折り返すとともに、前記第二折れ線において前記蓋板を屈曲させて、前記蓋板を前記胴部の外面に重ねた状態では、前記頂板と前記側壁との間に前記差込片を差し込み可能であることが好ましい。
【0016】
この構成では、差込片を把持して蓋板を引くことができるため、蓋板を端壁から切り離し易くなっている。また、蓋板の差込片を頂板と側壁との間に差し込んで連結することで、開いた蓋板が戻るのを確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装箱では、他の包装箱を積み重ねた状態でも横から内容物を取り出すことができる。また、本発明の包装箱では、開いた蓋板が外側に大きく張り出すのを防ぐとともに、開いた蓋板が戻り難いため、内容物を取り出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る包装箱において、蓋板を開いた状態を示した斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る包装箱において、蓋板を胴部の外面に重ねた状態を示した斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る包装箱において、蓋板を胴部の外面に重ねた状態を示した斜視図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図8】本発明の
第一参考例に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図9】本発明の
第一参考例に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図10】本発明の
第一参考例に係る包装箱において、蓋板を開いた状態を示した斜視図である。
【
図11】本発明の
第一参考例に係る包装箱において、蓋板を胴部の外面に重ねた状態を示した斜視図である。
【
図12】本発明の
第二参考例に係る包装箱において、蓋板を胴部の外面に重ねた状態を示した斜視図である。
【
図13】本発明の
第二参考例に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態および参考例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態および参考例の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態および参考例の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0020】
[第一実施形態]
第一実施形態の包装箱1Aは、
図1に示すように、四角形の角筒状の胴部10と、胴部10の上側の開口部に設けられた頂板20と、胴部10の下側の開口部に設けられた底板30と、を備えているA式の段ボール箱である。
【0021】
第一実施形態の包装箱1Aは、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0022】
ブランクシートS1に形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。また、ブランクシートS1から組み立てた包装箱1Aを示した各図では、包装箱1Aの構造を分かり易く図示するために、各切断誘導線の切れ込みの形状は簡略化して示している。
【0023】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の端壁11,11と、左右一対の側壁12,12と、を備えている。端壁11および側壁12は、四角形に形成されている。
第一実施形態では、端壁11の左右方向の幅が、側壁12の前後方向の幅よりも大きく形成されている。胴部10の上面および下面には、平面視で四角形の開口部が形成されている。
【0024】
頂板20は、前後の端壁11,11の上縁部にそれぞれ連設された前後の外フラップ21,21と、左右の側壁12,12の下縁部にそれぞれ連設された左右の内フラップ22,22と、を備えている。両内フラップ22,22の上面に両外フラップ21,21を重ねて、両外フラップ21,21を突き合わせることで、胴部10の上側の開口部が頂板20によって閉塞されている。
【0025】
底板30と頂板20とは上下対称な構成である。底板30では、左右の内フラップ32,32の下面に前後の外フラップ31,31が重ねられている。
【0026】
前側の端壁11には、
図4に示すように、取出口50が形成されている。取出口50は、端壁11の左右方向の中間部に形成された四角形の開口部である。第一実施形態の取出口50は、端壁11の上縁部から下縁部に亘って形成されている。
【0027】
前側の端壁11の左縁部と取出口50の左縁部との間には、上下方向に延びている帯状の側端部13が形成されている。同様に、前側の端壁11の右縁部と取出口50の右縁部との間には、上下方向に延びている帯状の側端部13が形成されている。左右の側端部13,13の左右方向の幅は同じ大きさに形成されている。
【0028】
取出口50は、
図1に示すように、切断誘導線L4を介して連設された左右の蓋板60,60によって塞がれている。左側の蓋板60によって取出口50の左半分が閉塞され、右側の蓋板60によって取出口50の右半分が閉塞されている。
【0029】
左側の蓋板60の左縁部は、第一折れ線L1を介して取出口50の左縁部に連設されている。左側の蓋板60の上縁部は、上側の切断誘導線L3を介して取出口50の上縁部に連設されている。また、左側の蓋板60の下縁部は、下側の切断誘導線L3を介して取出口50の下縁部に連設されている。
【0030】
左側の蓋板60には、上下方向に延びている第二折れ線L2が形成されている。第二折れ線L2は、蓋板60の上縁部から下縁部に亘って形成されており、蓋板60の上下の縁部に対して垂直に形成されている。第二折れ線L2は、蓋板60の左右方向の中央部よりも第一折れ線L1側(左側)に配置されている。
【0031】
左側の蓋板60は、第二折れ線L2よりも左側の第一蓋領域61と、第二折れ線L2よりも右側の第二蓋領域62とに区画されている。
第二蓋領域62の左右方向の幅は、側端部13の左右方向の幅と同じ大きさに形成されている。このようにすると、
図4に示すように、第一折れ線L1において蓋板60を端壁11に対して折り返して、蓋板60を側端部13の外面に重ねたときに、第二折れ線L2が端壁11の左縁部に重なる。
【0032】
右側の蓋板60と左側の蓋板60とは、
図1に示すように、左右対称な構成である。右側の蓋板60は、取出口50の右半分を閉塞している。右側の蓋板60の右縁部は、第一折れ線L1を介して取出口50の右縁部に連設されている。
右側の蓋板60にも第二折れ線L2が形成されている。右側の蓋板60の第二折れ線L2は、
図4に示すように、第一折れ線L1において蓋板60を端壁11に対して折り返したときに、端壁11の右縁部に重なる。
【0033】
図1に示すように、左側の蓋板60の右縁部と、右側の蓋板60の左縁部とは、中央の切断誘導線L4を介して連設されている。このように、左右の蓋板60,60が左右方向に連続して取出口50内に並ぶことで取出口50が閉塞されている。
【0034】
左右の蓋板60,60の連結部には、開封開始穴65が開口している。開封開始穴65の左半分は、左側の蓋板60の右縁部に形成され、開封開始穴65の右半分は、右側の蓋板60の左縁部に形成されている。
【0035】
開封開始穴65は、左右の係合片66,66によって閉塞されている。左側の係合片66の左縁部は、折れ線を介して蓋板60に連設されている。係合片66の他の縁部は、切断誘導線を介して蓋板60に連設されている。
右側の係合片66と左側の係合片66とは左右対称な構成である。左側の係合片66の右縁部と、右側の係合片66の左縁部とは、切断誘導線L4を介して連設されている。
【0036】
側壁12には、係合穴14が開口している。係合穴14の上下方向の最大幅は、係合片66の上下方向の最大幅よりも小さく形成されている。係合穴14は、蓋片15によって閉塞されている。蓋片15の前縁部は、折れ線を介して側壁12に連設されている。
【0037】
図4に示すように、第一折れ線L1において蓋板60を端壁11に対して折り返すとともに、第二折れ線L2において第一蓋領域61を第二蓋領域62に対して後方に向けて折り曲げることで、第一蓋領域61を側壁12の外面に重ねることができる。
この状態において、係合片66が係合穴14の外側に重なるように構成されている。そして、係合穴14に係合片66を差し込んで、係合片66の縁部を側壁12の内面に引っ掛けることができる。
【0038】
第一実施形態の包装箱1Aを開封するときには、まず、
図1に示す左右の係合片66,66を内側に押し込んで、前側の端壁11に開封開始穴65を開口させる。
作業者が開封開始穴65に指を差し込んで、
図3に示すように、左右の蓋板60,60を外側に引っ張ると、左右の蓋板60,60の縁部の各切断誘導線L3,L4が切り開かれる。そして、第一折れ線L1において蓋板60を端壁11に対して外側に折り曲げる。
このようにして、左右の蓋板60,60を端壁11の外側に開くことで、端壁11に取出口50が開口する。
【0039】
また、
図4に示すように、蓋板60を端壁11に対して折り返して、蓋板60の第二蓋領域62を端壁11の側端部13の外面に重ねる。これにより、蓋板60の第二折れ線L2が端壁11の側縁部に重なる。
続いて、第二折れ線L2において蓋板60の第一蓋領域61を第二蓋領域62に対して後方に向けて折り曲げて、第二蓋領域62を側壁12の外面に重ねる。
【0040】
このように、端壁11と側壁12との角部に沿って蓋板60を屈曲させることで、蓋板60を胴部10の角部の外面に重ねる。この状態では、側壁12の係合穴14の外側に蓋板60の係合片66が重なる。
そして、係合片66を内側に押し込んで係合穴14に挿入させる。これにより、係合片66が側壁12の内側に入り込み、係合片66の縁部が側壁12の内面に引っ掛かる。このようにして、蓋板60が側壁12に連結される。
【0041】
以上のような包装箱1Aでは、
図4に示すように、左右の蓋板60,60を外側に開くことで、側面に取出口50を開口させることができる。これにより、複数の包装箱1Aを積み重ねて店頭に陳列したときに、下段の包装箱1Aに取出口50を形成することで、包装箱1Aの横から内容物を取り出すことができる。
【0042】
第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板20および底板30が粘着テープや接着剤を利用して封緘されている場合でも、頂板20および底板30の封緘手段に影響されることなく、包装箱1Aの側面に取出口50を開口させることができる。
【0043】
第一実施形態の包装箱1Aでは、左右の蓋板60,60によって取出口50を閉塞しているため、一枚の蓋板によって取出口50を閉塞している場合に比べて、両蓋板60,60を端壁11から切り離し易い。
【0044】
第一実施形態の包装箱1Aでは、開いた蓋板60を胴部10の角部に沿って折り曲げて、蓋板60を胴部10の外面に重ねている。また、開いた蓋板60の係合片66を側壁12の係合穴14に差し込んで連結している。
これにより、第一実施形態の包装箱1Aでは、開いた蓋板60が外側に大きく張り出すのを防ぐとともに、開いた蓋板60が戻るのを確実に防ぐことができる。さらに、取出口50は端壁11の上縁部から下縁部に亘って形成されている。したがって、利用者が包装箱1Aから内容物を取り出し易くなっている。
【0045】
第一実施形態の包装箱1Aでは、開いた両蓋板60,60が胴部10の前側の左右の角部にそれぞれ重なって連結されることで、胴部10の前側の両角部が二重壁になる。したがって、開封後においても包装箱1Aの耐荷重が低下し難い。
【0046】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態の包装箱1Aでは、
図4に示すように、四角形の取出口50が形成されているが、取出口50の形状や配置は限定されるものではない。
第一実施形態の包装箱1Aでは、前側の端壁11に取出口50が設けられているが、後側の端壁11にも取出口50を設けてもよい。
【0047】
第一実施形態の包装箱1Aでは、
図1に示すように、取出口50を左右の蓋板60,60によって閉塞しているが、取出口50を一枚の蓋板60によって閉塞してもよい。
【0048】
第一実施形態の包装箱1Aでは、蓋板60に係合片66を設け、側壁12に係合穴14を設けているが、本発明の参考例としては、係合片66および係合穴14を設けなくてもよい。
【0049】
第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板20および底板30が複数のフラップを重ね合わせることで形成されているが、その構成は限定されるものではなく、例えば、一枚の平板によって頂板20および底板30を形成してもよい。
【0050】
第一実施形態の包装箱1Aでは、端壁11の横方向の幅が、側壁12の横方向の幅よりも大きく形成されているが、
図5に示すブランクシートS10に示すように、端壁11の横方向の幅を、側壁12の横方向の幅よりも小さく形成してもよい。
【0051】
第一実施形態の包装箱1Aは、
図1に示すように、A式の段ボール箱であるが、箱の種類は限定されるものではなく、例えば、ラップアラウンド方式の段ボール箱に本発明の包装箱を適用することもできる。
【0052】
第一実施形態の包装箱1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【0053】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態の包装箱1Bについて説明する。
第二実施形態の包装箱1Bは、
図6に示すように、第一実施形態の包装箱1A(
図4参照)と略同様な構成であり、取出口50の形状が異なっている。第二実施形態の包装箱1Bは、
図7に示すブランクシートS2から形成される。
【0054】
第二実施形態の包装箱1Bでは、
図6に示すように、取出口50の下縁部と、端壁11の下縁部との間に帯状の下枠部16が形成されている。
この構成では、左右の蓋板60,60を開いて取出口50を開口させたときに、内容物の下部が下枠部16に内側から引っ掛かるため、内容物が取出口50から外側に落ち難くなる。
【0055】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。例えば、取出口50の上縁部と、端壁11の上縁部との間に上枠部を形成してもよい。
【0056】
[
第一参考例]
次に、
第一参考例の包装箱1Cについて説明する。
第一参考例の包装箱1Cは、
図8に示すように、第一実施形態の包装箱1A(
図1参照)と略同様な構成であり、蓋板60に差込片67が設けられている。
第一参考例の包装箱1Cは、
図9に示すブランクシートS3から形成される。
【0057】
第一参考例の包装箱1Cでは、左側の蓋板60の上縁部の右端部に折れ線を介して差込片67が連設されるとともに、右側の蓋板60の上縁部の左端部に折れ線を介して差込片67が連設されている。
【0058】
第一参考例の包装箱1Cでは、頂板20の前側の外フラップ21の前縁部の中央部には、凹部23が形成されている。凹部23の後部は蓋片24によって塞がれている。また、凹部23の前部は、左右の差込片67,67によって塞がれている。つまり、両差込片67,67は、頂板20側に入り込んでいる。
蓋片24および差込片67の縁部は、切断誘導線を介して凹部23に連設されるとともに、蓋片24と差込片67は、切断誘導線を介して連設されている。
【0059】
第一参考例の包装箱1Cでは、
図11に示すように、蓋板60を端壁11に対して折り返すとともに、蓋板60を屈曲させて、蓋板60を胴部10の外面に重ねたときに、差込片67を頂板20の前側の外フラップ21の下面と、側壁12の上縁部との間に差し込み可能となっている。
【0060】
前側の外フラップ21の左右の端部において、差込片67が差し込まれる位置には、上方に向けて折り曲げ可能な左右の折り曲げ片25,25がそれぞれ形成されている。これにより、差込片67を頂板20の外フラップ21の下面側に入り込ませ易くなっている。
【0061】
第一参考例の包装箱1Cを開封するときには、まず、
図8に示す蓋片24を内側に押し込んで、凹部23の後部を開口させる。
続いて、作業者は凹部23の後部に指を差し込んで、左右の差込片67,67を立ち上げる。そして、
図10に示すように、作業者が左右の差込片67,67を把持して、左右の蓋板60,60を外側に開くことで、端壁11に取出口50を開口させる。
【0062】
さらに、
図11に示すように、端壁11と側壁12との角部に沿って蓋板60を屈曲させて、蓋板60を胴部10の角部の外面に重ねる。そして、差込片67を外フラップ21の下面と、側壁12の上縁部との間に差し込む。これにより、差込片67が外フラップ21と、側壁12および内フラップ22との間に挟まれるため、蓋板60が側壁12に連結される。
【0063】
以上のような第一参考例の包装箱1Cでは、差込片67を把持して蓋板60を引くことができるため、蓋板60を端壁11から切り離し易くなっている。
また、第一参考例の包装箱1Cでは、差込片67を頂板20と側壁12との間に差し込んで連結することで、開いた蓋板60が戻るのを確実に防ぐことができる。
【0064】
以上、本発明の第一参考例について説明したが、本発明は前記第一参考例に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【0065】
[
第二参考例]
次に、
第二参考例の包装箱1Dについて説明する。
第二参考例の包装箱1Dは、
図12に示すように、
第一参考例の包装箱1C(
図11参照)と略同様な構成であり、取出口50の形状が異なっている。
第二参考例の包装箱1Dは、
図13に示すブランクシートS4から形成される。
【0066】
第二参考例の包装箱1Dでは、
図12に示すように、取出口50の下縁部と、端壁11の下縁部との間に下枠部16が形成されている。
この構成では、左右の蓋板60,60を開いて取出口50を開口させたときに、内容物の下部が下枠部16に内側から引っ掛かるため、内容物が取出口50から外側に落ち難くなる。
【0067】
以上、本発明の第二参考例について説明したが、本発明は前記第二参考例に限定されることなく、前記第一参考例と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1A 包装箱(第一実施形態)
1B 包装箱(第二実施形態)
1C 包装箱(第一参考例)
1D 包装箱(第二参考例)
10 胴部
11 端壁
12 側壁
13 側端部
14 係合穴
15 蓋片
16 下枠部
20 頂板
21 外フラップ
22 内フラップ
23 凹部
24 蓋片
25 折り曲げ片
30 底板
31 外フラップ
32 内フラップ
50 取出口
60 蓋板
61 第一蓋領域
62 第二蓋領域
65 開封開始穴
66 係合片
67 差込片
L1 第一折れ線
L2 第二折れ線
L3 切断誘導線
L4 切断誘導線
S1 ブランクシート(第一実施形態)
S2 ブランクシート(第二実施形態)
S3 ブランクシート(第一参考例)
S4 ブランクシート(第二参考例)
S10 ブランクシート(第一実施形態の変形例)