(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/215 20110101AFI20240402BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20240402BHJP
B60R 21/203 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B60R21/215
B60R11/04
B60R21/203
(21)【出願番号】P 2021157157
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】森田 文平
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-133781(JP,A)
【文献】特開2009-096450(JP,A)
【文献】特開平10-001015(JP,A)
【文献】欧州特許第1973767(EP,B1)
【文献】米国特許第5957488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、
前記エアバッグと前記エアバッグカバーとを保持するホルダと、
を備え、
前記エアバッグカバーが、
膨張する前記エアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、
前記扉部の周囲を囲むように配設されて、前記ホルダに取り付けられる取付壁部と、
を備え、
前記扉部に機能部品が配設されて、車両に搭載される構成のエアバッグ装置であって、
前記機能部品が、前記エアバッグの膨張時の飛散防止用の保持部材に保持されて、前記扉部の裏面側の配設部位に設けられた取付座に対し、複数の固着手段により、取り付けられ、
前記保持部材が、
前記機能部品を保持する先端側の先側連結部と、
前記扉部と前記ヒンジ部との部位を除いた部位であって、取付強度を確保可能な部位に連結させた元側連結部と、
前記先側連結部と前記元側連結部との間に配置されて、前記エアバッグの膨張時に、前記先側連結部における前記機能部品の保持状態を維持しつつ撓み可能な中間部と、
を備えて構成され、
前記保持部材の前記先側連結部が、前記取付座を囲う周縁部を有し、かつ、前記エアバッグの膨張時に前記保持部材の引っ張られる方向に略沿う方向で対向する部位相互を連結する架橋部、を有して、該架橋部により二分される挿通孔を有した環状形状に構成され、
前記機能部品が、前記エアバッグの膨張時に前記保持部材の引っ張られる方向に略沿った引張方向側の部位に、前記先側連結部の周縁部に当接される鍔状部、を配設させて構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記保持部材が、前記エアバッグを形成するエアバッグ用基布と同等の素材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記保持部材の前記先側連結部が、前記固着手段を貫通させる貫通部位を備えるとともに、該貫通部位の周縁に、前記取付座への前記機能部品の取付時に、前記取付座と前記機能部品とに挟持されない非挟持部位を配設させて構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
運転者が操舵するステアリングホイールに搭載される運転者用としていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記機能部品が、運転者を撮影するカメラ装置としていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記機能部品としての前記カメラ装置が、赤外線カメラと赤外線照射装置とを備えて構成され、
赤外線を透過して可視光を遮蔽する可視光カットフィルタ兼用のオーナメントが、前記取付座を備えて、前記カメラ装置を覆うように、前記扉部に配設されるとともに、
前記オーナメントが、前記エアバッグの膨張時における前記扉部の開き時、前記カメラ装置とともに、前記保持部材に保持されて、前記扉部から離脱可能に、前記扉部に組み付けられて、配設されていることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に関し、特に、膨張するエアバッグに押されて開くエアバッグカバーの扉部に、カメラ装置等の機能部品が配設されているエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両に搭載されるエアバッグ装置としては、膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーと、エアバッグとエアバッグカバーとを保持するホルダと、を備えて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグ装置では、エアバッグカバーが、膨張するエアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、扉部の周囲を囲むように配設されて、ホルダに取り付けられる取付壁部と、を備え、扉部に、カメラ装置からなる機能部品が配設されて、車両に搭載されていた。さらに、機能部品は、扉部の裏面側に取り付けられるとともに、扉部の開き時の飛散防止のために、可撓性を有した帯状の保持部材に保持されていた。具体的には、機能部品は、扉部の裏面側に取り付ける際、扉部の裏面側に突出する係止突起を、機能部品の係止孔に挿入係止させて(詳しくは、係止孔に挿入させた係止突起の下端を、拡径させるように熱溶融させて、係止孔に係止させ)、機能部品を扉部の裏面側に取り付けていた。可撓性を有した帯状の保持部材は、機能部品の挿通孔に挿通させつつ挿通孔周縁の連結杆に巻き掛けて、機能部品と連結させ、そして、端末を、エアバッグ装置の側壁部にリベット留めしたり、エアバッグカバーの取付壁部とともに、ホルダに共に取り付ける構成としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、扉部に対して、飛散防止を図りつつ、機能部品を配設する際、機能部品を扉部に連結させる作業と、機能部品に対して保持部材を連結させる作業と、を別々に行う必要があり、飛散防止を図りつつ、機能部品を扉部に取り付ける作業の煩雑さを軽減することに課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、飛散防止を図りつつ機能部品を扉部に取り付ける作業を簡便に行うことができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、
前記エアバッグと前記エアバッグカバーとを保持するホルダと、
を備え、
前記エアバッグカバーが、
膨張する前記エアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、
前記扉部の周囲を囲むように配設されて、前記ホルダに取り付けられる取付壁部と、
を備え、
前記扉部に機能部品が配設されて、車両に搭載される構成のエアバッグ装置であって、
前記機能部品が、前記エアバッグの膨張時の飛散防止用の保持部材に保持されて、前記扉部の裏面側の配設部位に設けられた取付座に対し、複数の固着手段により、取り付けられ、
前記保持部材が、
前記機能部品を保持する先端側の先側連結部と、
前記扉部と前記ヒンジ部との部位を除いた部位であって、取付強度を確保可能な部位に連結させた元側連結部と、
前記先側連結部と前記元側連結部との間に配置されて、前記エアバッグの膨張時に、前記先側連結部における前記機能部品の保持状態を維持しつつ撓み可能な中間部と、
を備えて構成され、
前記保持部材の前記先側連結部が、前記取付座を囲う周縁部を有し、かつ、前記エアバッグの膨張時に前記保持部材の引っ張られる方向に略沿う方向で対向する部位相互を連結する架橋部、を有して、該架橋部により二分される挿通孔を有した環状形状に構成され、
前記機能部品が、前記エアバッグの膨張時に前記保持部材の引っ張られる方向に略沿った引張方向側の部位に、前記先側連結部の周縁部に当接される鍔状部、を配設させて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、車両の所定の搭載部位に搭載された後において、エアバッグが膨張して扉部が開く際に、機能部品が飛散しようとしても、保持部材が、所定の連結部位に元側連結部を取り付けており、中間部を撓ませて、先側連結部側で機能部品を保持する。その際、先側連結部は、取付座を囲うように、環状形状としていても、保持部材の引張方向(元側連結部側から先側連結部側に向かう方向)に略沿うように、架橋部を備えており、挿通孔を拡径するように変形せず、また、挿通孔の周囲の周縁部における引張方向側の部位が、機能部品の鍔状部に当接されて押えられ、取付座の周囲から抜けないように、規制されることから、先側連結部は、安定して、機能部品を保持することができて、保持部材は、機能部品の飛散防止を図ることができる。また、機能部品を扉部の裏面側における配設部位の取付座に取り付ける際には、保持部材の先側連結部の周縁部を、取付座を囲うように配置させ、そして、機能部品の鍔状部を周縁部に配置させて、複数の固着手段を使用して、機能部品を取付座に取り付ければ、機能部品に保持部材を連結させて、機能部品を扉部の裏面側の配設部位に取り付けることができる。すなわち、機能部品を扉部に取り付ける際、同時に、保持部材を機能部品に取り付けることができることから、機能部品を扉部に取り付ける作業を簡便に行うことができる。なお、保持部材の元側連結部は、エアバッグ装置の組付時に、所定の連結部位に取り付ければよい。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、飛散防止を図りつつ機能部品を扉部に取り付ける作業を、簡便に行うことができる。
【0009】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記保持部材は、前記エアバッグを形成するエアバッグ用基布と同等の素材から形成されていてもよい。
【0010】
保持部材が、可撓性を有したエアバッグ用基布と同等の素材から形成する構成とすれば、エアバッグを製造する際に準備するエアバッグ用基布の裁断時に、端材等を利用して、保持部材を容易に製造することができる。
【0011】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、前記保持部材の前記先側連結部は、前記固着手段を貫通させる貫通部位を備えるとともに、該貫通部位の周縁に、前記取付座への前記機能部品の取付時に、前記取付座と前記機能部品とに挟持されない非挟持部位を配設させて構成されていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、撓み可能な可撓性を有した保持部材の先側連結部が、機能部品の取付座への取付時、機能部品と取付座との間で、噛み込まれるように挟持されず、機能部品と取付座とが直接当接されることから、固着手段の取付座への締結強度を安定させることができて、機能部品を取付座に強固に取り付けることができる。
【0013】
そして、本発明に係るエアバッグ装置としては、運転者が操舵するステアリングホイールに搭載される運転者用とすることができ、そして、この場合には、前記機能部品は、運転者を撮影するカメラ装置を例示することができる。
【0014】
機能部品がカメラ装置の場合には、カメラ装置は、赤外線カメラと赤外線照射装置とを備えて構成され、
赤外線を透過して可視光を遮蔽する可視光カットフィルタ兼用のオーナメントが、前記取付座を備えて、前記カメラ装置を覆うように、前記扉部に配設されるとともに、
前記オーナメントが、前記エアバッグの膨張時における前記扉部の開き時、前記カメラ装置とともに、前記保持部材に保持されて、前記扉部から離脱可能に、前記扉部に組み付けられて、配設されていることが望ましい。
【0015】
このような構成では、扉部の表面側に露出するようにオーナメントが組み付けられて、エアバッグカバーの扉部の装飾効果を高めることができる。勿論、カメラ装置を取り付けられたオーナメントは、エアバッグの膨張時に、扉部から離脱しても、カメラ装置を保持した保持部材により、飛散が防止されることから、意匠効果を高めるように、大きく形成されていても支障がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る一実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
【
図2】実施形態のエアバッグ装置の概略平面図である。
【
図3】実施形態のエアバッグ装置の概略縦断面図であり、
図2のIII-III部位に対応する。
【
図4】実施形態のエアバッグ装置の上面側から見た概略分解斜視図である。
【
図5】実施形態のエアバッグ装置の底面側から見た概略分解斜視図である。
【
図6】実施形態のエアバッグ装置の底面側から見た斜視図である。
【
図7】実施形態のエアバッグ装置の扉部付近、オーナメント、保持部材の先側連結部付近、及び、カメラ装置の上面側から見た概略分解斜視図である。
【
図8】実施形態のエアバッグ装置の扉部付近、オーナメント、保持部材の先側連結部付近、及び、カメラ装置の底面側から見た概略分解斜視図である。
【
図9】実施形態のエアバッグカバーの扉部に組み付けたオーナメントの部位に、保持部材の先側連結部を配置させる状態を示す概略底面図である。
【
図10】実施形態のエアバッグカバーの扉部に組み付けたオーナメントの部位に、保持部材の先側連結部を配置させた後に、カメラ装置を取り付けた状態を示す概略底面図である。
【
図11】実施形態のエアバッグ装置の作動時の状態を説明する概略縦断面図である。
【
図12】実施形態のエアバッグ装置の作動時の状態を説明する概略縦断面図であり、
図11の後を示す。
【
図13】実施形態のエアバッグ装置の変形例を示す概略縦断面図である。
【
図14】実施形態のエアバッグ装置の他の変形例を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置20は、
図1~3に示すように、車両における運転者が操舵するステアリングホイールWに搭載される。ステアリングホイールWは、
図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
【0018】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(
図3参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトの軸直交方向の車両の前後方向に対応している(
図1,3参照)。
【0019】
ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。さらに、ボス部Bのエアバッグ装置20の周囲からリング部Rまでの上面側には、加飾用のベゼル14が、配設されている。
【0020】
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、各スポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、後部側のスポーク部Sの部位では、左右に分離した2本から構成されている。
【0021】
そして、芯金2のボス芯金部4には、エアバッグ装置20の後述する各ホーンスイッチ67の組付ピン68を固定させる固定部10が、配設されている(
図1,3参照)。固定部10は、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン68の先端を係止する係止ピン12と、を配設させて構成されている。係止ピン12は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0022】
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、図示しないロアカバーを配設させて構成されている。
【0023】
エアバッグ装置20は、
図2~6に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ32と、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するインフレーター26と、折り畳まれたエアバッグ32を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー37と、エアバッグ32、インフレーター26、及び、エアバッグカバー37を保持して、ステアリングホイール本体1に連結される板金製のホルダ21と、リテーナ28と、を備えて構成されている。さらに、実施形態のエアバッグ装置20では、折り畳まれたエアバッグ32の上方に配設される機能部品としての運転者撮影用のカメラ装置70と、カメラ装置70を保持してホルダ21に連結保持される保持部材80と、を備えて構成されている。さらに、実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグカバー37の扉部39に組み付けられて、カメラ装置70を配設させる配設部位54を構成するオーナメント55、を備えて構成されている。
【0024】
エアバッグ32は、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口33を備え(
図3,5参照)、流入用開口33の周縁34には、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔34aが4個形成されている。なお、実施形態のエアバッグ32は、折り畳んで圧縮させてなるコンパクトな略円柱状の折畳体35として、エアバッグ装置20に搭載されている。折畳体35の上面には、機能部品としてのカメラ装置70の本体部71の下側突出部73を収納可能な略直方体形状に凹んだ収納凹部35aが配設されている(
図4参照)。なお、実施形態の場合、収納凹部35aは、下側突出部73より、若干、大きな容積とした略直方体形状の凹形状としている。
【0025】
インフレーター26は、上部26aaに膨張用ガスGを吐出させる複数のガス吐出口26bを設けた円柱状の本体部26aを備え、本体部26aの外周面には、四角環状のフランジ部26cが突設されている。フランジ部26cには、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔26dが形成されている。インフレーター26の本体部26aの上部26aaは、エアバッグ装置20への搭載時、エアバッグ32の折畳体35における底面側の凹部35bに収納される(
図4,5参照)。
【0026】
リテーナ28は、四角環状の板金製の本体28aを備え、四隅に、下方に突出するボルト28bを突設させている。リテーナ28はエアバッグ32内の流入用開口33の周縁34に配設され、各ボルト28bをエアバッグ32の貫通孔34a、ホルダ21の貫通孔22b、及び、インフレーター26のフランジ部26cの貫通孔26dに、順に貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結させることにより、ホルダ21に、エアバッグ32とインフレーター26とを取り付けている。リテーナ28は、エアバッグ32の底面側に収納される。
【0027】
ホルダ21は、
図2~6に示すように、金属板から構成されて、底壁部22と、底壁部22の外周縁から上方に延びる側壁部23と、を備えて構成されている。底壁部22は、中央に、インフレーター26の本体部26aを下方から挿入可能な円形の挿入孔22aを配設させ、また、挿入孔22aの周縁には、既述のボルト28bを貫通させる貫通孔22bを配設させている。また、底壁部22の外周縁付近には、エアバッグカバー37を取付固定するための係止孔22cが、4箇所に配設されている。各係止孔22cは、エアバッグカバー37の後述する係止脚部65を係止する部位であり、挿入孔22aから離れた縁側を、係止縁22dとし、挿入孔22a側の縁には、係止孔22c内に進入させるように上方へ曲げて、係止脚部65を係止縁22d側に押圧して、係止脚部65の係止を強固にするための舌片22eが配設されている(
図3,6参照)。
【0028】
なお、底壁部22の後左縁側の係止孔22cAには、係止脚部65Aとともに、保持部材80の元側連結部89における下端の厚肉部90も挿入されて、係止脚部65Aを介在させて、保持部材80の元側連結部89が、ホルダ21の係止孔22cAの係止縁22dに係止されて、上方への外れを規制されて、ホルダ21に連結保持される。
【0029】
また、底壁部22の各組付座22fには、複数(実施形態では3個)のホーンスイッチ67が各々取り付けられており、これらのホーンスイッチ67の組付ピン68を利用して、ホルダ21が、すなわち、エアバッグ装置20が、ステアリングホイール本体1のボス芯金部4に取付固定されている。
【0030】
各ホーンスイッチ67は、内部に図示しない可動側接点と固定側接点とを配設させるとともに、エアバッグ装置20を押し下げると、可動側接点が固定側接点に接触して、ホーンを作動させるように配設される。各ホーンスイッチ67は、それぞれ、下方に延びる組付ピン68を備え、既述したように、組付ピン68を、ステアリングホイール本体1の固定部10における係止孔11に挿入させて、係止ピン12に係止させれば、ホーンスイッチ67を取り付けたホルダ21を備えたエアバッグ装置20が、所定のホーンストロークを確保し、かつ、ホーンスイッチ67の操作時の下方移動を可能として、ボス芯金部4の上方に搭載されることとなる。
【0031】
また、側壁部23は、各係止孔22cの外縁側に配設されて、エアバッグカバー37における各係止孔22cに係止される係止脚部65付近が、エアバッグ32の膨張時に外側に膨らむ際の支持を行えるように、構成されている。
【0032】
エアバッグカバー37は、
図1~10に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー37は、上部側に配設されて、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納されたエアバッグ32の上方を覆う略円板状の天井壁部38と、天井壁部38の外周縁38a付近の下面から略円筒状に延び、折り畳まれたエアバッグ32(折畳体35)の外周側を覆う取付壁部64と、を備えて構成されている。
【0033】
天井壁部38には、赤外線を透過して可視光を遮蔽する可視光カットフィルタとしてのオーナメント55が組み付けられている。オーナメント55は、組付孔47に組み付けられている。組付孔47は、天井壁部38の中央に配設されるとともに、組付孔47の周縁に、膨張するエアバッグ32に押されて開く複数(実施形態では2つ)の扉部39(L,R)が、配設されている。組付孔47は、オーナメント55の外形寸法に対応した左右方向に沿って長軸を配置させた楕円形状に開口している。扉部39L,39Rは、エアバッグ32の膨張時、周縁の薄肉の破断予定部43を破断させて、左右に開く構成としている。破断予定部43は、組付孔47の内周縁48の内側端部44aから放射状に延びて、組付孔47の内周縁48から離れた元部側のヒンジ部41を回転中心として、開くように、配設されている。具体的には、破断予定部43は、組付孔47を跨いで、前後方向に沿って配設される直線部44(F,B)(
図9参照)と、前方側と後方側との直線部44F,44Bの外側端部44bから、それぞれ、天井壁部38の外周縁38aに沿って略1/6円の円弧状に延びる曲線部45(FL,FR,BL,BR)と、から構成されている。直線部44F,44Bの外側端部44bから左方側に延びる曲線部45FL,45BLの端部45a,45a相互の間が、左方側の扉部39Lの開き時のヒンジ部41Lとして、直線部44F,44Bの外側端部44bから右方側に延びる曲線部45FR,45BRの端部45a,45a相互の間が、右方側の扉部39Rの開き時のヒンジ部41Rとしている。
【0034】
組付孔47の内周縁48は、オーナメント55を組付可能に、オーナメント55の後述するオーナメント側係合部55dを係合させるカバー側係合部50(L,R)を配設させている。カバー側係合部50L,50Rは、それぞれ、組付孔47の内周縁48の左側縁48aと右側縁48bとに配設されている。
【0035】
カバー側係合部50(L,R)は、オーナメント55のオーナメント側係合部55dを嵌合可能な嵌合凹部51を備えて構成されている。嵌合凹部51は、断面略長方形の凹部を設けて構成されている。
【0036】
また、カバー側係合部50(L,R)には、オーナメント55の外周縁55cの上面55a側に当接する上面側張出部52が、配設されている。上面側張出部52は、ヒレ状に厚さを薄くして、その下面52a側を、オーナメント55の外周縁55c側から緩やかに上方へ延びる上面55a側に沿わせて、配設させている。
【0037】
エアバッグカバー37の取付壁部64は、下端に、複数(実施形態では4本)の係止脚部65が突設されている。各係止脚部65は、ホルダ21の係止孔22cに挿入されて、ホルダ21に取付固定されるように、首部65aの下端に、取付壁部64の外周面(外側面)64b側に突出する係止頭部65bを配設させて構成されている。各係止脚部65の係止頭部65bは、ホルダ21の係止孔22cへ挿入させ、舌片22eの押し付けによる係止時、係止孔22cの外縁側の係止縁22dの下面側に強固に係止されることとなる。
【0038】
なお、エアバッグカバー37は、ホルダ21に対し、係止脚部65の係止により上方移動が規制され、取付壁部64の先端64c(
図3参照)の底壁部22への当接により下方移動が規制されることにより、上下移動を規制されて、取り付けられることとなる。
【0039】
オーナメント55は、既述したように、赤外線を透過し、可視光を遮蔽する可視光カットフィルタを構成するもので、ポリカーボネート等から形成されて、中央を上方に隆起させて左右方向に長軸を設けた楕円板状としている。オーナメント55は、上面55a側に、略T字状の装飾模様を設けた装飾体57を配設させている。装飾体57は、下方に延びる複数の取付脚部57aをオーナメント55の貫通孔55eに貫通させ、下端を拡径させるように熱カシメして、オーナメント55の上面55a側に、取り付けられている。装飾体57は、カメラ装置70の赤外線カメラ75と赤外線照射装置としての赤外線LED76との上方を避けて、配設されている。
【0040】
オーナメント55の外周縁55cには、エアバッグカバー37の天井壁部38に設けられた組付孔47に離脱可能に組み付けられるように、組付孔47の内周縁48に設けられたカバー側係合部50に係合するオーナメント側係合部56dが、配設されている。オーナメント側係合部56dは、オーナメント55の外周縁55cで下方に延びる凸部を設けて構成されている。オーナメント側係合部55dは、組付孔47の内周縁48のカバー側係合部50に係合可能に、基本的に、略四角断面形状として、構成されている。
【0041】
さらに、オーナメント55は、外周縁55cにおけるカバー側係合部50の上面側張出部52に覆われる外周縁55cの上面55aを、オーナメント55の外周縁55c側から緩やかに上方へ延びるように傾斜する傾斜面としている。カバー側係合部50の上面側張出部52は、その下面52aをこの上面(傾斜面)56aに対応させて、薄肉に形成されている。
【0042】
そして、オーナメント55は、実施形態の場合、カメラ装置70を扉部39(L,R)に取り付けて配設させる配設部位54となり、下面55b側に、固着手段としての取付ねじ78を螺着させるねじ孔59aを有した3つの取付座59を配設させている(
図8,9参照)。取付座59は、オーナメント55の前縁側の左右と、後縁側の中央付近と、に配設されている。
【0043】
機能部品としての運転者撮影用のカメラ装置70は、赤外線を利用して、運転者の瞳付近を撮影し、円滑にステアリングホイールWを操舵可能な運転可能状態、あるいは、居眠り等の状態として運転不能状態、としているかを判定する判定手段に、撮影データを出力するものである。カメラ装置70は、略四角板形状の本体部71の上面71a側に赤外線カメラ75と、赤外線照射装置としての赤外線LED76と、を配設させて、下面71b側に、略直方体形状の下側突出部73を突設させている。下側突出部73は、詳しくは、左右方向に延びる横棒部73aと、横棒部73aの左縁側で、前方側に屈曲して延びる直方体形状の屈曲部73bと、を備える形状として構成されている。
【0044】
また、カメラ装置70の本体部71は、前縁部71c側の左右と、後縁部71d側の左右方向の中央付近と、に、取付ねじ78を挿通させる取付孔74を配設させている。そして、前縁部71cは、保持部材80の先側連結部81のぬけ止めを図る抜け止め防止鍔状部72、を構成することとなる。
【0045】
保持部材80は、エアバッグ32を製造するエアバッグ用基布と同じ素材(例えば、ポリエステル等の繊維で織った織布)で、かつ、同じ形状に裁断した布材94を複数枚重ね、そして、ずれないように、縫合部95を設けて相互に結合させるようにして、形成されている。保持部材80は、機能部品としてのカメラ装置70を保持する先端側の先側連結部81と、扉部39(L,R)とヒンジ部41(L,R)との部位を除いた部位であって、取付強度を確保可能な部位に連結させる元側連結部89と、先側連結部81と元側連結部89との間に配置されて、エアバッグ32の膨張時に、先側連結部81におけるカメラ装置70の保持状態を維持しつつ撓み可能な中間部92と、を備えて構成されている。元側連結部89は、先端に、布材94の端末を折り返して縫合した厚肉の厚肉部90を設けて構成されている。実施形態の場合、元側連結部89は、ホルダ21に連結されている。
【0046】
先側連結部81は、オーナメント55の3つの取付座59を囲う周縁部82を有し、かつ、エアバッグ32の膨張時に保持部材80の引っ張られる方向(PD)に略沿う方向で対向する部位相互を連結する架橋部85、を有して、架橋部85により二分される挿通孔84を有した環状形状に構成されている。実施形態の場合、エアバッグ32の膨張時に保持部材80の引っ張られる方向PDは、元側連結部89が、エアバッグカバー37の取付壁部64の左後縁側の係止脚部65Aとともに、ホルダ21の係止孔22cAに取り付けられ、そして、エアバッグの膨張時、先側連結部81が、元側連結部89から斜め右前方向に離れる方向PDに沿って、引張力を受けることとなる。そのため、架橋部85は、その引張方向PDに略沿って対向する周縁部82を、前後方向で連結するように、配設される。また、挿通孔84は、架橋部85により、左右に分断された二つの孔部分84a,84bとなり、孔部分84aは、カメラ用孔84aとして、カメラ装置70の赤外線カメラ75の上端部分が挿入され、孔部分84bは、LED用孔84bとして、赤外線LED76の上端部分が挿入されることとなる。
【0047】
また、先側連結部81の先端81a側における周縁部82の前縁82a側は、カメラ装置70の抜け防止鍔状部72に押えられて、先側連結部81の取付座59からの外れが規制される規制部82aとなる。
【0048】
さらに、先側連結部81は、固着手段としての各取付ねじ78を貫通させる貫通部位86を備えている。貫通部位86は、カメラ用孔84aと、LED用孔84bと、架橋部85の後端側の貫通孔86aと、から構成されている。そして、これらの貫通部位86は、その周縁に、各取付座59へのカメラ装置70の取付時に、取付座59とカメラ装置70とに挟持されない非挟持部位87を配設させて構成されている。
【0049】
実施形態のエアバッグ装置20では、まず、ボルト28bを貫通孔34aから突出させた状態で、エアバッグ32内にリテーナ28を収納して、エアバッグ32を折り畳むとともに、圧縮して、収納凹部35aと凹部35bとを設けた折畳体35を形成する。なお、折畳体35は、折り崩れ防止用の図示しないラッピング材で包んでおく。
【0050】
また、オーナメント55は、エアバッグカバー37の扉部39(L,R)で囲まれる組付孔47に嵌め込んで、エアバッグカバー37に組み付けておく。そして、機能部品としてカメラ装置70を扉部39の裏面39a側における配設部位54としてのオーナメント55の取付座59に取り付ける際には、保持部材80の先側連結部81の周縁部82を、
図9のA,Bに示すように、取付座59を囲うように配置させ、そして、カメラ装置70の鍔状部72を周縁部82に配置させて、複数の固着手段としての取付ねじ78を、カメラ装置70の取付孔74と、保持部材80の貫通部位86とを挿通させて、各取付座59のねじ孔59aに締結させて、カメラ装置70をオーナメント55の取付座59に取り付ければ(
図10参照)、機能部品としてのカメラ装置70に保持部材80を連結させて、カメラ装置70を扉部39(L,R)の裏面39a側の配設部位54に取り付けることができる。
【0051】
なお、この取付時、保持部材80は、先側連結部81の環状形状の周縁部82が、オーナメント55の下面55b側の3つの取付座59の周囲を囲うように配設され、そして、カメラ装置70の本体部71の上面71aとオーナメント55の下面55bとの間で、挟持されるように(非挟持部位87を設けていることから、直接的に挟持されていない)、配設されることとなって、カメラ装置70を保持することとなる。また、この取付時、カメラ装置70の赤外線カメラ75の上端は、保持部材80のカメラ用孔84aを挿通し、赤外線LED76の上端は、LED用孔84bを挿通する状態となる。
【0052】
ついで、エアバッグ32の折畳体35から延びるリテーナ28の各ボルト28bを、ホーンスイッチ67を取付済みのホルダ21の貫通孔22bに貫通させるとともに、インフレーター26の本体部26aを、下方から、ホルダ21の挿入孔22aに挿入させつつ、各ボルト28bをインフレーター26のフランジ部26cの各貫通孔26dに貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結して、ホルダ21に対して、エアバッグ32とインフレーター26とを取付固定する。
【0053】
その後、エアバッグカバー37の取付壁部64における各係止脚部65,65Aを、ホルダ21の各係止孔22c,22cAに挿入させ、各舌片22eを係止脚部65,65Aの内周面64a側に押し付けて、各係止脚部65,65Aの係止頭部65bを、各係止孔22c,22cAの係止縁22dに係止させるようにして、エアバッグカバー37をホルダ21に取付固定すれば、エアバッグ装置20を組み立てることができる。この時、保持部材80は、元側連結部89の下端の厚肉部90を、係止脚部65Aとともに、係止孔22cAに挿入させて、舌片22eを押し付けられていることから、エアバッグカバー37の取付壁部64とともに、ホルダ21に取付固定されることとなる。また、折畳体35の収納凹部35a内には、カメラ装置70の下側突出部73が収納される。
【0054】
その後、ステアリングシャフトSSに締結済みのステアリングホイール本体1の各固定部10の係止孔11に対して、エアバッグ装置20の各ホーンスイッチ67の組付ピン68を、挿入させ、かつ、係止ピン12に係止させて、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付ければ、エアバッグ装置20を、ステアリングホイールWとともに、車両に搭載することができる。
【0055】
なお、カメラ装置70から延びる撮影データ出力用や電力入力用の図示しないリード線は、扉部39Lの開き時に、保持部材80と同様に変形するように、保持部材80に沿わせ、かつ、ホルダ21を貫通させておき、そして、インフレーター26の作動用信号入力用の図示しないリード線とともに、ステアリングホイール本体1から延びる所定のコネクタに接続させておく。
【0056】
車両に搭載された実施形態のエアバッグ装置20では、作動前の状態では、機能部品としてのカメラ装置70の赤外線カメラ75が、可視光をカットして赤外線を透過するオーナメント55を利用し、赤外線LED76から照射した赤外線の反射を赤外線カメラ75から入射させて、運転者の瞳付近を撮影し、その撮影データを所定の判定手段に出力することとなる。
【0057】
そして、エアバッグ装置20の作動時には、
図11,12に示すように、インフレーター26からの膨張用ガスGにより、エアバッグ32が、膨張し、そして、
図1の二点鎖線に示すように、ステアリングホイールWのリング部Rを覆うように、膨張を完了させる。その際、折り畳まれたエアバッグ32(折畳体35)の上方に配設された保持部材80の先側連結部81に保持された機能部品としてのカメラ装置70と、エアバッグカバー37の天井壁部38とが、押し上げられる。その際、エアバッグカバー37の天井壁部38は、破断予定部43を破断させて、突出用開口62を形成するために、各扉部39(L,R)が開き(
図2の二点鎖線参照)、オーナメント55が組付孔47から離脱し、オーナメント55の取付座59に取り付けられたカメラ装置70が、膨張するエアバッグ32に押し上げられ、飛散しようとする。しかしながら、機能部品としてのカメラ装置70が飛散しようとしても、先側連結部81によってカメラ装置70を保持している保持部材80が、所定の連結部位であるホルダ21の底壁部22における係止孔22cAに対して、元側連結部89の厚肉部90を係止させて、元側連結部89をホルダ21に取り付けており、先側連結部81側でのカメラ装置70の保持を維持した状態で、中間部92を撓ませて、ボス部Bの上方から左後方向に回転する(
図2の二点鎖線、
図11,12参照)。その際、先側連結部81は、3つの取付座59を囲うように、環状形状としていても、保持部材80の引張方向(元側連結部89側から先側連結部81側に向かう方向)PDに略沿うように、架橋部85を備えており、挿通孔84を拡径するように変形せず、また、挿通孔84の周囲の周縁部82における引張方向PD側の部位が、カメラ装置70の鍔状部72に当接されて押えられ、取付座59の周囲から抜けないように、規制されることから、先側連結部81は、安定して、カメラ装置70を保持することができて、保持部材80は、機能部品としてのカメラ装置70の飛散防止を図ることができる。
【0058】
また、既述したように、カメラ装置70を扉部39(L,R)の裏面39a側における配設部位54(オーナメント55)の取付座59に取り付ける際には、保持部材80の先側連結部81の周縁部82を、3つの取付座59を囲うように配置させ、そして、カメラ装置70の鍔状部72を周縁部82に配置させて、複数の固着手段としての取付ねじ78を、取付孔74と貫通部位86とを貫通させつつ、取付座59のねじ孔59aに締結して、カメラ装置70を取付座59に取り付ければ、カメラ装置70に保持部材80を連結させて、カメラ装置70を扉部39(L,R)の裏面39a側の配設部位54に取り付けることができる。すなわち、機能部品としてのカメラ装置70を扉部39に取り付ける際、同時に、保持部材80をカメラ装置70に取り付けることができることから、カメラ装置70を扉部39に取り付ける作業を簡便に行うことができる。
【0059】
したがって、実施形態のエアバッグ装置20では、飛散防止を図りつつ機能部品としてのカメラ装置70を扉部39に取り付ける作業を、簡便に行うことができる。
【0060】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、保持部材80が、エアバッグ32を形成するエアバッグ用基布と同等の素材(布材)94から形成されている。
【0061】
すなわち、保持部材80が、可撓性を有したエアバッグ用基布と同等の素材から形成する構成であれば、エアバッグ32を製造する際に準備するエアバッグ用基布の裁断時に、端材等を利用して、保持部材80を容易に製造することができる。
【0062】
また、実施形態のエアバッグ装置20では、保持部材80の先側連結部81が、固着手段としての取付ねじ78を貫通させる貫通部位86を備えるとともに、貫通部位86の周縁に、取付座59へのカメラ装置70の取付時に、取付座59とカメラ装置70とに挟持されない非挟持部位87を配設させて構成されている。
【0063】
そのため、実施形態では、撓み可能な可撓性を有した保持部材80の先側連結部81が、カメラ装置70の取付座59への取付時、カメラ装置70と取付座59との間で、噛み込まれるように挟持されず、カメラ装置70と取付座59とが直接当接されることから、固着手段としての取付ねじ78の取付座59への締結強度を安定させることができて、カメラ装置70を取付座59に強固に取り付けることができる。
【0064】
そして、実施形態では、エアバッグ装置20が、運転者の操舵するステアリングホイールWに搭載される運転者用とし、機能部品として、運転者を撮影するカメラ装置70としており、ステアリングホイールWを操舵する運転者の居眠り状態等を、カメラ装置70を利用して、的確に判定することができる。
【0065】
また、実施形態の機能部品としてのカメラ装置70は、赤外線カメラ75と赤外線照射装置としての赤外線LED76とを備えて構成されて、赤外線を透過して可視光を遮蔽する可視光カットフィルタ兼用のオーナメント55が、取付座59を備えて、カメラ装置70を覆うように、扉部39(L,R)に配設される構成としている。そして、オーナメント55が、エアバッグ32の膨張時における扉部39の開き時、カメラ装置70とともに、保持部材80に保持されて、扉部39(L,R)から離脱可能に、扉部39(L,R)に組み付けられて、配設されている。
【0066】
そのため、実施形態では、扉部39の表面側に露出するようにオーナメント55が組み付けられて、エアバッグカバー37の扉部39の装飾効果を高めることができる。勿論、カメラ装置70を取り付けられたオーナメント55は、エアバッグ32の膨張時に、扉部39から離脱しても、カメラ装置70を保持した保持部材80により、飛散が防止されることから、意匠効果を高めるように、大きく形成されていても支障がない。
【0067】
なお、実施形態では、保持部材80の元側連結部89を、ホルダ21の係止孔22cAに係止させて、ホルダ21に連結させた場合を示したが、
図13に示すように、リベット97を利用して、エアバッグカバー37Aの取付壁部64Aに、保持部材80の元側連結部89Aを連結させてもよい。この元側連結部89Aには、リベット97を貫通させる取付孔89aが形成されている。あるいは、
図14に示すように、エアバッグ32やインフレーター26とともに、リテーナ28のボルト28bを利用して、ホルダ21の底壁部22に、保持部材80の元側連結部89Bを連結させてもよい。この元側連結部89Bには、ボルト28bを貫通させる取付孔89aが形成されている。
【0068】
また、機能部品としては、カメラの他、液晶パネル等からなる発光装置を使用することができて、このような機能部品としての発光装置を、保持部材に連結保持させて、配設するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
20…エアバッグ装置、21…ホルダ、32…エアバッグ、37,37A…エアバッグカバー、39(L,R)…扉部、39a…裏面、41(L,R)…ヒンジ部、54…配設部位、55…オーナメント、59…取付座、59a…ねじ孔、64,64A…取付壁部、65,65A…係止脚部、70…(機能部品)カメラ装置、72…(前縁部)抜け防止鍔状部、74…取付孔、75…赤外線カメラ、76…(赤外線照射装置)赤外線LED、78…(固着手段)取付ねじ、80…保持部材、81…先側連結部、82…周縁部、84…挿通孔、84a…カメラ用孔、84b…LED用孔、85…架橋部、86…貫通部位、86a…貫通孔、87…非挟持部位、89,89A,89B…元側連結部、92…中間部、94…布材、
G…膨張用ガス、PD…引張方向、W…ステアリングホイール。