(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】調光可能なアイウェア
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240402BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240402BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20240402BHJP
G02C 7/12 20060101ALI20240402BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/133 580
G02C7/10
G02C7/12
G02B27/02
(21)【出願番号】P 2021512814
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019051007
(87)【国際公開番号】W WO2020056251
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523138389
【氏名又は名称】ウィキュー ユーエスエー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、フォンホワ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05184156(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00341519(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213283(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02152661(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0068112(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03241674(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188538(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0152632(US,A1)
【文献】国際公開第2011/067860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ及び前記レンズに結合されている液晶層を含む、レンズアセンブリと、
前記液晶層に結合されている駆動回路であって、前記レンズアセンブリの光線透過率を制御するように、周囲光の強度の指示に基づいて前記液晶層に信号を印加するように構成されている、駆動回路と、
前記周囲光の前記強度に基づいてセンサデータを生成するよう構成されているセンサであって、前記センサは1つ又は複数のソーラーセルを備え、前記駆動回路は、前記センサデータに基づいて前記信号を制御するように構成されている、センサと、
前記1つ又は複数のソーラーセル及び前記駆動回路を包囲するハウジングであって、前記ハウジングは、前記1つ又は複数のソーラーセルを前記周囲光に曝露する開口を更に備える、ハウジングと、
前記開口と前記1つ又は複数のソーラーセルとの間に配置される導光体であって、前記導光体は、
前記開口を介して受ける周囲光のビームであって、前記周囲光のビームは第1の幅を有する、ビームを受け取り、
前記ビームを周囲光シートに変換し、前記周囲光シートは前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有し、
前記周囲光シートを前記1つ又は複数のソーラーセルに向けて方向付ける、
ように構成されている、導光体と
を備える、アイウェア。
【請求項2】
前記レンズアセンブリは、第1の偏光層及び第2の偏光層を更に含み、
前記レンズ及び前記液晶層は、前記第1の偏光層と前記第2の偏光層との間に挟まれており、
前記液晶層は、ねじれネマティック(TN)液晶デバイスを備える、請求項1に記載のアイウェア。
【請求項3】
前記レンズは、前記レンズを通った光と前記第1の偏光層及び前記第2の偏光層を通った光とが組み合わさって白色になるように、橙色に関連付けられる周波数範囲の可視光を選択的に通すように構成されている、請求項2に記載のアイウェア。
【請求項4】
前記レンズアセンブリは、前記レンズと前記第1の偏光層との間にフィルムを更に備え、
前記フィルムは、前記レンズを透過する前記周囲光に前記レンズが加える複屈折効果を低減するように構成されている、請求項2又は3に記載のアイウェア。
【請求項5】
前記TN液晶デバイスは、0~90度のねじれ角範囲を有し、
前記第1の偏光層の第1の吸収軸と、前記第2の偏光層の第2の吸収軸とが、90度を形成する、請求項4に記載のアイウェア。
【請求項6】
前記TN液晶デバイスは、0~110度のねじれ角範囲を有し、
前記第1の偏光層の第1の吸収軸と、前記第2の偏光層の第2の吸収軸とが、110度を形成する、請求項4に記載のアイウェア。
【請求項7】
前記液晶層は、ゲスト-ホスト型液晶デバイス、電場制御複屈折(ECB)液晶デバイス、又はパイセルのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のアイウェア。
【請求項8】
前記液晶層は、第1の基板と第2の基板との間に挟まれており、
前記第1の基板と前記第2の基板とは、異なるラビング構成を有し、
前記液晶層の液晶分子の配向は、前記駆動回路によって印加される信号に応答して、ホモジニアス平面配向とホメオトロピック配向との間で変化する、請求項7に記載のアイウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、「Liquid Crystal Sunglass and Multicolor Liquid Crystal Writing Device」と題する2018年9月13日付けで出願された米国仮特許出願第62/730,800号、及び、「Dimmable Eyewear」と題する2019年3月22日付けで出願された米国仮特許出願第62/822,331号、並びに、「Dimmable Eyewear」と題する2019年9月12日付けで出願された米国通常特許出願第16/569,374号に対する優先権を主張する。これらの出願は、本明細書の譲受人に譲受され、参照によってその全体がすべての目的のために本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、アイウェアに関し、より具体的には、液晶技術に基づく調光可能なアイウェアに関する。
【0003】
サングラス等の保護アイウェアは、高エネルギー光(例えば、太陽光)が目に損傷又は不快感を与えることを防止することができる。サングラスは、一般に、高エネルギー光から目を保護するために、光の少なくとも一部を遮断及び/又は吸収し、目に入る光の強度を低減することができるレンズを備える。レンズは、例えば、目が全光パワーを受けるのを防止するように、光パワーの特定の割合を遮断及び/又は吸収するように予め構成されている光線透過率を有する偏光層、着色コーティング等を備えてよい。
【0004】
サングラスは、目を高エネルギー光から保護できるが、固定の光線透過率を有するサングラスは、特に、光強度が比較的強い環境(例えば、屋外)から、光強度が比較的低い環境(例えば、屋内又は道路トンネル)にユーザが移動する場合に、ユーザに不都合をもたらす可能性がある。サングラスは、弱光環境においても同じ割合の光パワーを遮断及び/又は吸収するので、弱光環境において、サングラスを着用しているユーザの視知覚を大幅に阻害し得る。結果として、ユーザは、弱光環境においてサングラスを外す必要があり得、これがユーザエクスペリエンスを低下させる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、概して、アイウェアに関し、より具体的には、液晶技術に基づく調光可能なアイウェアに関する。
【0006】
1つの例において、アイウェアが提供される。アイウェアは、レンズと、レンズ上に形成される液晶層とを含むレンズアセンブリを備える。アイウェアは、液晶層に結合されている駆動回路であって、レンズアセンブリの光線透過率を制御するように、周囲光の強度の指示に基づいて液晶層に信号を印加するように構成されている、駆動回路を更に備える。
【0007】
1つの態様において、レンズアセンブリは、第1の偏光層及び第2の偏光層を更に含む。レンズ及び液晶層は、第1の偏光層と第2の偏光層との間に挟まれる。液晶層は、ねじれネマティック(TN)液晶デバイスを備える。
【0008】
1つの態様において、レンズは、レンズを通った光と第1の偏光層及び第2の偏光層を通った光とが組み合わさって白色になるように、橙色に関連付けられる周波数範囲の可視光を選択的に通すように構成されている。
【0009】
1つの態様において、レンズアセンブリは、レンズと第1の偏光層との間にメンブレンを更に備える。メンブレンは、レンズを透過する周囲光にレンズが加える複屈折効果を低減するように構成されている。
【0010】
1つの態様において、TN液晶デバイスは、0~90度のねじれ角範囲を有する。第1の偏光層の第1の吸収軸と、第2の偏光層の第2の吸収軸とは、90度を形成する。
【0011】
1つの態様において、TN液晶デバイスは、0~110度のねじれ角範囲を有する。第1の偏光層の第1の吸収軸と、第2の偏光層の第2の吸収軸とは、110度を形成する。
【0012】
1つの態様において、液晶層は、ゲスト-ホスト型液晶デバイス、電場制御複屈折(ECB)液晶デバイス、又はパイセルのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
1つの態様において、液晶層は、第1の基板と第2の基板との間に挟まれる。第1の基板と第2の基板とは、異なるラビング構成を有する。液晶層の液晶分子の配向は、駆動回路によって印加される信号に応答して、ホモジニアス平面配向とホメオトロピック配向との間で変化する。
【0014】
1つの態様において、アイウェアは、液晶層及び駆動回路と結合されているセンサを更に備える。センサは、周囲光の強度に基づいてセンサデータを生成するように構成されている。駆動回路は、センサデータに基づいて信号を制御するように構成されている。
【0015】
1つの態様において、センサは、1つ又は複数のソーラーセルを備える。
【0016】
1つの態様において、アイウェアは、1つ又は複数のソーラーセルを備える1つ又は複数の透明メンブレンを更に備える。1つ又は複数の透明メンブレンは、レンズ又は液晶層のうちの少なくとも1つに取り付けられる。
【0017】
1つの態様において、アイウェアは、1つ又は複数のソーラーセル及び駆動回路を包囲するハウジングを更に備える。ハウジングは、1つ又は複数のソーラーセルを周囲光に曝露するピンホールを更に備える。
【0018】
1つの態様において、レンズアセンブリは、第1のレンズと第1の液晶層とを含む第1のレンズアセンブリである。アイウェアは、第2のレンズと第2の液晶層とを含む第2のレンズアセンブリを備える。アイウェアは、第1のレンズアセンブリと第2のレンズアセンブリとを接続する接続構造を備える。ハウジングは、接続構造に取り付けられる。
【0019】
1つの態様において、ハウジングは、レンズアセンブリに取り付けられる。
【0020】
1つの態様において、アイウェアは、ピンホールと1つ又は複数のソーラーセルとの間に配置される導光体を更に備える。導光体は、ピンホールを介して受ける周囲光のナロービームを受け取り、ナロービームをシート状の周囲光に変換し、シート状の周囲光を1つ又は複数のソーラーセルに向けて方向付けるように構成されている。
【0021】
1つの態様において、導光体は、アクリル材料を含む。
【0022】
1つの態様において、アイウェアは、ハウジングを部分的に覆うコーティングを更に備える。
【0023】
1つの態様において、アイウェアは、ユーザが、周囲光の強度に基づいてレンズアセンブリの光線透過率を選択することを可能にするスイッチを更に備える。駆動回路は、スイッチによる選択に基づいて、レンズアセンブリの光線透過率を制御するように構成されている。
【0024】
1つの態様において、アイウェアは、レンズアセンブリの背後に配置されるカメラであって、レンズアセンブリを介して光を受けて画像を生成するように構成されているカメラを更に備える。アイウェアは、レンズアセンブリ及びカメラの一部に重なるコーティングであって、レンズアセンブリの一部の光学特性を、レンズアセンブリの残りの部分から独立して設定するように構成されているコーティングを更に備える。
【0025】
1つの態様において、アイウェアは、無線信号を送受信するための無線インタフェース、又は、オーディオ信号を入出力するためのオーディオインタフェースのうちの少なくとも1つを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の図を参照しながら、例示的な実施形態を記載する。
【0027】
【
図1A】本開示の実施形態に係る調光可能なアイウェア及びその動作の一例を示す図である。
【
図1B】本開示の実施形態に係る調光可能なアイウェア及びその動作の一例を示す図である。
【
図1C】本開示の実施形態に係る調光可能なアイウェア及びその動作の一例を示す図である。
【
図1D】本開示の実施形態に係る調光可能なアイウェア及びその動作の一例を示す図である。
【0028】
【
図2A】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【
図2B】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【
図2C】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【
図2D】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【0029】
【
図3A】本開示の実施形態に係る、光センサを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図3B】本開示の実施形態に係る、光センサを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図3C】本開示の実施形態に係る、光センサを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図3D】本開示の実施形態に係る、光センサを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図3E】本開示の実施形態に係る、光センサを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【0030】
【
図4A】本開示の実施形態に係る、ユーザ入/出力インタフェースを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図4B】本開示の実施形態に係る、ユーザ入/出力インタフェースを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【
図4C】本開示の実施形態に係る、ユーザ入/出力インタフェースを有する調光可能なアイウェアの例を示す図である。
【0031】
【
図5A】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【
図5B】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図1Dの調光可能なアイウェアのレンズアセンブリの例を示す図である。
【0032】
【
図6A】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図3Eの調光可能なアイウェアの例の構成要素の例を示す図である。
【
図6B】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図3Eの調光可能なアイウェアの例の構成要素の例を示す図である。
【
図6C】本開示の実施形態に係る、
図1A~
図3Eの調光可能なアイウェアの例の構成要素の例を示す図である。
【0033】
これらの図は、単に例示の目的で、本開示の実施形態を示している。当業者であれば、図示の構造及び方法の代替的な実施形態が、本開示の原則又は謳われる利益から逸脱することなく用いられ得ることを以下の説明から容易に認識するであろう。
【0034】
添付の図において、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有し得る。更に、同じタイプの様々な構成要素は、類似の構成要素を区別するダッシュ及び第2の符号を参照符号に続けることで区別され得る。本明細書において、第1の参照符号のみが使用される場合、その記載は、第2の参照符号に関わらず同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素の任意のものに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
下記では、説明の目的で、特定の発明的な実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細を伴わずに、様々な実施形態が実践され得ることが明らかである。図及び説明は、限定することを意図していない。
【0036】
サングラス等の保護アイウェアは、高エネルギー光(例えば、太陽光)が目に損傷又は不快感を与えることを防止することができる。サングラスは、一般に、光パワーの特定の割合を遮断及び/又は吸収して、目が全光パワーを受けることを防止することができるレンズを備える。サングラスは、目を高エネルギー光から保護することはできるが、光パワーを吸収/遮断することが原因で、弱光環境において、サングラスを着用しているユーザの視知覚を大幅に阻害し得る。結果として、ユーザは、弱光環境においてサングラスを外す必要があり得、これがユーザエクスペリエンスを低下させる。
【0037】
本開示の実施形態は、上述の課題に対処できる調光可能なアイウェアを提供する。アイウェアは、レンズアセンブリ及び回路を備える。レンズアセンブリは、レンズと、レンズ上に形成される液晶層とを備える。駆動回路は、液晶層に結合されており、周囲光の強度の指示に基づいて、液晶分子の配向を調整するように液晶層に信号を印加するように構成されている。液晶分子の配向を調整することで、周囲光強度に基づいてレンズアセンブリの光線透過率が調整される。
【0038】
液晶層は、例えば、ねじれネマティック(TN)効果、ゲスト-ホスト効果、電場制御複屈折(ECB)、パイセル等を含む様々なメカニズムに基づいて、レンズアセンブリの透過率を調整することができる。これらのすべての例において、駆動回路は、液晶層内の液晶分子の配向及び配列を調整するように液晶層にわたって電場を調整することができ、これにより、レンズアセンブリを通過してユーザの目に届く入射光の一部を変化させ、それによってレンズアセンブリの光線透過率を調整することができる。駆動回路は、周囲光強度に基づいて電場を調整することができる。例えば、駆動回路は、弱光環境(例えば、屋内)においてレンズアセンブリの光線透過率を上昇させるように、また強光環境(例えば、屋外)においてレンズアセンブリの光線透過率を低下させるように、電場を調整することができる。
【0039】
駆動回路は、様々な供給源から周囲光強度情報を受信することができる。いくつかの例において、調光可能なアイウェアは、周囲光強度を感知する光センサを含んでよい。光センサの1つの例は、周囲光強度を反映する電圧(又は電流)を生成し、駆動回路にこの電圧/電流を提供して、液晶層に対して対応する電場を生成することができる、ソーラーセルであり得る。いくつかの例において、1つ又は複数のソーラーセルは、ハウジング内に包囲することができる。ハウジングは、アイウェアを形成するように一対のレンズアセンブリを接続する接続構造の一部であり得る、又は、より良い外観のために、アイウェアのレンズアセンブリの背後にあり得る。ハウジングは、ソーラーセルを周囲光に曝露するピンホールを更に含んでよい。ピンホールとソーラーセルとの間には、周囲光をソーラーセルの表面にわたってより一様に分散させるように導光体が設けられてよく、ソーラーセルの出力が周囲光強度をより良好に示すことができるようにしてある。いくつかの例において、アイウェアは、ユーザがレンズアセンブリの光線透過率を選択するのを可能にするスイッチを備えてよく、駆動回路は、ユーザの選択に基づいてレンズアセンブリの光線透過率を調整することができる。
【0040】
更なる構成は、ユーザエクスペリエンスの更なる向上のために提案される。例えば、レンズアセンブリは、液晶層によって制御される偏光の偏光角に基づいて調整可能な光線透過率をもたらすように、液晶層を間に挟んだ一対の偏光子を含んでよい。偏光子による変化する光吸収率によって生じ、アイウェアを通してユーザが知覚する視覚的アーティファクト(例えば、黒色帯)を低減させるために、液晶層による偏光の回転角と偏光子の偏光軸間の角度との間にわずかな不一致を導入することができる。別の例として、レンズアセンブリは、レンズの複屈折に続く偏光層における干渉によって生じ、ユーザが知覚する虹むらを低減又は排除するために、超複屈折フィルム(SRF(登録商標))等の追加のポリエステルフィルムを備えてよい。別の例として、レンズアセンブリのレンズは、2つの偏光子による光の選択的吸収、及び、液晶層による可視光のレタデーションを補償するために、特定の周波数範囲(例えば、橙色)の可視光を選択的に透過させるように構成することができ、これにより、アイウェアを通したユーザの視知覚を向上させることができる。
【0041】
本開示の実施形態では、アイウェアは、周囲光強度に基づいて光線透過率を調整できる。これにより、ユーザは、高エネルギー光への曝露から保護されながら、ユーザが位置する環境に関わらずアイウェアを通して良好な視知覚を得ることが可能になる。結果として、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0042】
図1A、
図1B、
図1C、及び
図1Dは、いくつかの実施形態に係る調光可能なアイウェア100及びその動作の一例を示している。
図1Aに示すように、アイウェア100は、任意選択のフレーム102と、1つ又は複数のレンズアセンブリ104とを備える。
図1Aの例において、アイウェア100は、接続構造106によって接続される2つのレンズアセンブリ104a及び104bを含んでよい。
図1Bの例において、アイウェア100は、フレーム102によって保持される単一のレンズアセンブリ104を備えてよい。いくつかの例において、アイウェア100は、フレームが無くてよいし、単一のレンズアセンブリ104、又は、接続構造106によって接続される2つのレンズアセンブリ104a及び104bを備えてよい。いずれの例においても、1つ又は複数のレンズアセンブリ104は、周囲光強度に基づいて構成/調整できる、構成可能な光線透過率を有することができる。具体的には、
図1Cに示すように、高い周囲光強度を伴う環境(例えば、太陽の下の屋外)において、1つ又は複数のレンズアセンブリ104を通過してユーザの目(
図1A~
図1Dには図示せず)に入る光の強度を低減させ、目を高エネルギー光への曝露から保護するように、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を減少させることができる。さらに、
図1Dに示すように、低い周囲光強度を伴う環境(例えば、夜の屋外、屋内等)において、弱光環境においてアイウェア100を着用しているときに、ユーザが妥当な視力を維持できるように、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を上昇させることができる。
【0043】
図2A及び
図2Bは、いくつかの実施形態に係る、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の例を示している。
図2Aに示すように、1つ又は複数のレンズアセンブリ104は、レンズ202と、液晶層204と、任意選択の第1の偏光層206及び第2の偏光層208とを備えてよい。入射光210は、1つ又は複数のレンズアセンブリ104に入り、ユーザの目214に入り得る出力光212として、1つ又は複数のレンズアセンブリ104から出ることができる。レンズ202は、ガラス、ポリエステル、ポリカーボネート等で作製できる。いくつかの例において、レンズ202は、光の特性を変化させることなく光を通すように、平坦とすることができる。いくつかの例において、レンズ202は、ユーザの視力を矯正するために出力光212の特性を変化させるように、特定の形状(例えば、凹状、凸状等)を有することができる(例えば、近視(myopia(near-sightedness))を矯正するための凹状レンズ、遠視(hyperopia(far-sightedness))を矯正するための凸状レンズ等)。近視矯正レンズは、通例、球面状に湾曲している。液晶層204は、液晶層204を近視矯正球面レンズ上に積層するために、可撓性だが三次元変形を受けても壊れないように十分頑丈であるように作製することができる。
【0044】
液晶層204は、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を変化させて、1つ又は複数のレンズアセンブリ104を通過する入射光210の一部を出力光212になるように調整することができる。
図2Aは、調整可能な光線透過率を提供する液晶層204の1つの構成例を示している。
図2Aに示すように、液晶層204は、偏光が液晶層を横切る際に偏光の偏光軸を回転させることができる、ねじれネマティック(TN)液晶層として構成することができる。ここで、回転角は、駆動回路によって液晶層にわたって印加される電場によって調整可能である。例えば、
図2Aに示すように、電場が印加されていない場合、液晶分子は、螺旋構造を形成するように、ねじれた構成を有することができる。螺旋構造は、偏光が液晶層を通過する際に、特定の角度(例えば、90度の角度)だけ偏光の偏光軸を回転させる。また、電場が印加されている場合、液晶分子は、電場と平行に整列することができる。偏光の偏光軸は、光が整列した液晶分子を横切る際に、回転されずに維持することができる。
【0045】
液晶層204は、第1の偏光層206と第2の偏光層208との間に挟むことができる。第1の偏光層206は、偏光軸Aを有することができ、第2の偏光層208は、偏光軸Bを有することができる。2つの偏光軸は、互いに対して90度の角度を形成することができる。入射光210は、レンズ202を介して入り、第1の偏光層206によって直線偏光させることができる。直線偏光は、液晶層204によって、上述したような電場によって構成される角度だけ回転させることができる。以下でTNWとしてラベル付けされるゼロ場における直線偏光の透過率は、次のように、グーチ-タリー理論に従い波長によって決まる。
【0046】
【0047】
式1において、
【数2】
は、ねじれ角(TNモードにおいて
【数3】
=π/2)とすることができ、uは、次の式によって与えられるレタデーション指数とすることができる。
【0048】
【0049】
式2において、λは、波長とすることができ、Δnは、液晶混合物の複屈折とすることができ、dは定数である。
【0050】
電場が印加されていない場合には、液晶層204が、偏光の偏光軸を第2の偏光層208の偏光軸Bと整列するように回転させるように、最大光線透過率を達成することができる。偏光の偏光軸が電場の印加が原因で回転されない場合には、偏光の偏光軸が回転されずに第2の偏光層208の偏光軸Bに垂直になるように、最小光線透過率を達成することができる。このような場合、偏光は、第2の偏光層208の吸収軸と整列し、最大吸収率で第2の偏光層208によって吸収することができる。電場の大きさを調整して、偏光の回転角を調整することができ、これにより、レンズアセンブリ104を通過する入射光210の一部を出力光212として変化させることができる。
【0051】
TN液晶は、様々な技術的利点を提供し得る。例えば、TN液晶は、一般に、極めて速い応答特性を有し、非常に短時間(例えば、100ミリ秒以下)のうちに光線透過率を調整することができる。また、TN液晶は、良好な遮光性も提供し得る。例えば、TN液晶の最小光線透過率は、0.1%に達し得る。これらのすべての特性によって、光線透過率の広い構成範囲及び迅速な切り替えを提供するアイウェア100が実現され、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0052】
図2Bは、調整可能な光線透過率を提供する液晶層204の別の構成例を示している。
図2Bに示すように、1つ又は複数のレンズアセンブリ104は、レンズ202と液晶層204とを備えるが、第1の偏光層206及び第2の偏光層208は備えない。液晶層204は、ホスト材料として機能する液晶分子230と、ゲスト材料として機能する染料分子240とを備えることができる。液晶分子230及び染料分子240は、2つの基板250及び252の間に挟まれる。2つの基板250及び252は、電極(
図2Bには図示せず)に取り付けられるか又はその一部とすることができる。液晶分子230及び染料分子240は、ゲスト-ホスト効果に基づいて、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を調節することができる。具体的には、染料分子240のタイプに応じて、染料分子240は、染料分子の長軸に垂直(又は平行)な電場を有する光を吸収することができる。駆動回路が基板250及び252の間の液晶分子230にわたって電場を印加すると、液晶分子230及び染料分子240の配向は電場に応じて変化することができ、これにより、入射光210の電場に対する染料分子の相対配向が変化する。結果として、染料分子240によって吸収される入射光210の一部及び1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を、液晶層204にわたって印加される電場によって調整することができる。
【0053】
TN液晶に比較すると、ゲスト-ホスト効果を利用する液晶層は、入射光を吸収するのに偏光子に依存する必要がなく、これにより、妥当な遮光性を提供しながら、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の全体的な実現可能光線透過率を上昇させることができる。例えば、ゲスト-ホスト効果を利用すると、光線透過率範囲は、10%~80%とすることができる。10%~80%の透過率範囲を得るために、その吸収軸を90度だけ離した2つのゲスト-ホストセルを設けることができる。ゲスト-ホスト混合物には、カイラル成分が加わっていない(又は非常に少量のカイラル成分が加わっている)。
【0054】
可変光線透過率を実現するための他の技術が提案される。1つの例において、基板250及び252をラビング処理することができる。ラビング処理によって基板の表面に溝が生じ、これにより、液晶分子230の初期配向を、液晶層の光線透過率が最小となるホモジニアス平面配向に設定する表面エネルギーが導入される。基板250及び252にわたって電圧が印加されると、基板250及び252間に導入された電場が、液晶分子230を各基板に対して角度θで傾けるように上記表面エネルギーに対抗することができ、電圧とともに上昇するチルト角によって、液晶層の光線透過率を上昇させることができる。例えば、
図2Cに示すように、電圧v1では、液晶分子230は各基板に対して角度θ1で傾き、電圧v2では、液晶分子230は各基板に対して角度θ2で傾く。液晶分子230の配向がホメオトロピック配向に向けて遷移するにつれて、光線透過率は上昇する。
【0055】
いくつかの例において、おおよそ連続的/単調に可変な光線透過率(例えば、電圧が低下すると透過率が上昇し、その逆も然り)を実現するために、不均衡又は非対称なラビング構成を設けることができる。例えば、基板250及び252は、異なる密度の溝を有することができ、異なるレベルの表面エネルギーを液晶分子230に導入することができる。このような構成は、印加される電圧が透過率の範囲に対応する電圧範囲の中央にある場合に、液晶分子230の安定性を向上させることができる。具体的には、2つの基板が類似したラビング処理を受け、類似した表面エネルギーを導入する場合、印加される電圧が中央にあると、電場は2つの非常に類似した表面エネルギーに同時に対抗し得る。結果として、液晶分子230は、不安定になり得るとともに異なる配向を呈し得る。これにより、複数のドメインが生成されるとともにヘイズにつながる可能性があり、光線透過率の急激な変化がもたらされる場合がある。 基板間で不均衡又は非対称なラビング構成を有していると、2つの基板間にエネルギー勾配を形成することができ、印加される電圧による電場は、2つの類似した表面エネルギーにもはや同時に対抗しなくなる。これにより、液晶分子230の安定性を向上させることができ、液晶分子230が電圧に応答して一様に配向されることを確実にすることができる。
【0056】
図2Dは、入力電圧に対する液晶層204の光線透過率のグラフを示している。
図2Dに示すように、低い電圧が各セルにわたって印加される場合、各セルは、ホモジニアス平面配向からホメオトロピック配向に液晶を配向し直すことができ、これにより、光線透過率を上昇させることができる。高い電圧が各セルにわたって印加される場合、各セルは、ホメオトロピック平面配向にあることができ、これにより、光線透過率を低減させることができる。また、光線透過率は、中央点(5v)を含む電圧に対して単調に変化する。このような構成では、アイウェア100は、広い構成範囲の光線透過率を提供することができ、これにより、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0057】
TN及びゲスト-ホスト効果だけでなく、液晶層204は、調整可能な光線透過率を提供するように他の構成を有することができる。例えば、液晶層204は、電場制御複屈折(ECB)を提供するように構成することができる。ECBモードは、印加される電圧を用いて、基板の法線と分子の長軸との間の液晶分子のチルト角θ(極角としても知られている)を変化させ、これにより、液晶の複屈折を変化させることができる。別の例として、液晶層204は、パイセルとして構成することができる。パイセルは、光学補償ベンドとしても知られている。パイセルにおいて、両方の基板におけるプレチルト角は同じ方向であり、これは基板のパラレル配列とも呼ばれる。フレデリクスECBセルでは、分子は、2つの基板上で反対の方向においてプレチルト角での一様な配列を有してよく、これは基板のアンチパラレル配列とも呼ばれる。パイセルにわたって電場を印加することができ、その後、電場をオフに切り替えることができる。電場をオフに切り替えると、分子が緩和して元の状態に戻り、分子の流れが引き起こされ得る。中間層における分子はトルクを受ける場合があり、これにより、材料の逆流と、元の状態への大きな角度での分子の回転とが引き起こされ得る。しかしながら、これは切り替え速度を低下させる可能性がある。パイセルに関しては、電場がオフに切り替えられる場合、中間層における分子は、緩和してオフ状態に戻るときもトルクを受けない。分子は、比較的小さな角度を回転するだけで元の状態に戻り、その結果、切り替え速度がより速くなり得る。
【0058】
図2A及び
図2Bのいずれの例においても、駆動回路は、液晶層204にわたって印加される電場を印加して、液晶分子の配向及び/又はねじれ構造を変化させることができる。電力消費を低減させるために、液晶層204は、液晶分子の配向及び/又はねじれ構造を変化させるのに比較的弱い電場が必要とされるように、比較的低い切り替え閾値を有するように構成することができる。一部の実施形態において、閾値電圧は、0.6~0.8Vに設定することができる。非常に高い誘電異方性、高い弾性定数、及び極めて高い純度を有する液晶を選択する等、様々な技術を使用して液晶層204の閾値電圧を低減させることができる。ねじれネマティックのための閾値電場の式は、次の通りとすることができる。
【0059】
【0060】
式3において、hは、セル厚とすることができ、K22は、ねじれ弾性定数とすることができ、Δεは、液晶混合物の誘電異方性とすることができる。
【0061】
駆動回路は、液晶層204にわたってAC電圧を出力し、電場を生成することができる。液晶中の不純物は、液晶分子を分解し得るDC電流の流れを維持し得るので、信頼性を向上させるとともに液晶の損傷を回避するために、電場を駆動するのにAC電圧を提供することができる。AC電圧の大きさは、液晶層204の閾値電圧と、液晶分子の配向及び/又はねじれ角が周囲光強度を反映することができるように周囲光強度とに基づいて構成することができる。このような構成により、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を、周囲光強度に基づいて構成することができる。
【0062】
駆動回路は、様々な供給源から周囲光強度情報を受信することができる。いくつかの例において、調光可能なアイウェアは、周囲光強度を感知する光センサを備えてよい。
図3Aは、周囲光強度を感知する光センサ302を有するアイウェア100の一例を示している。光センサ302は、例えば、接続構造106、及び/又は、フレーム102上の任意の位置に配置することができる。光センサ302は、フォトダイオード等の、光を電気信号に変換できる任意のデバイスを備えることができる。
【0063】
光センサ302の1つの例は、周囲光強度を反映するDC電流又はDC電圧を駆動回路に提供することができる、ソーラーセル等の光起電力セルとすることができる。ソーラーセルは、バッテリーが必要でないように電力を駆動回路に提供することもでき、これにより、アイウェア100の重量及びサイズを低減させることができる。駆動回路は、液晶層204にわたって電場を生成するために、DC電流/電圧をAC電圧に変換するパワーコンバータを備えることができる。いくつかの例において、ソーラーセルは、矩形の小型シリコン系ソーラーセルを含むことができ、6ミリメートル(mm)×8mm~10mm×10mmの範囲の寸法を有することができる。
【0064】
図3B~
図3Eは、アイウェア100におけるソーラーセルの構成例を示している。
図3Bに示すように、アイウェア100は、ソーラーセル306を包囲するハウジング304を備えることができる。ハウジング304は、フレーム102上で、レンズアセンブリ104の背後に(ユーザに面する側で、負のY方向に向けて)配置することができる。ハウジング304は、フレーム102内に収容される電極に電気的に接続することができる駆動回路も包囲する。駆動回路は、ソーラーセル306からDC電流/電圧を受信して、対応するAC電圧を生成し、液晶層204にわたる可変電場を生成するように、電極にAC電圧を送信することができる。
【0065】
いくつかの例において、
図3Bに示すように、フレーム102は、ハウジング304内に包囲されているソーラーセルを周囲光に曝露させるピンホール308を備えることができる。ピンホール308は、光がユーザの前側から(例えば、正のY方向から)ハウジング304に入るのを容易にし、他の方向から(例えば、ユーザの側方から、上方又は下方から等)の光がハウジング304に入るのを阻むように構成することができる。いくつかの例において、ピンホール308は、3mm×3mmの寸法を有することができる。
【0066】
ピンホール308は、周囲光強度を正確に示さない反映光に対するソーラーセル306の感度を低下させながら、周囲光強度を正確に示すことができる光源(例えば、太陽、ランプ等)から直接放射される光に対するソーラーセル306の感度を上昇させることができる。このような構成により、ソーラーセル306の出力(及び駆動回路の出力)と周囲光強度との相関を向上させることができる。さらに、ピンホール308は、ソーラーセルが集光するのを可能にしながらソーラーセル全体を曝露することを防止することもでき、これにより、アイウェアの周囲光強度を感知する能力及び対応して光線透過率を調整する能力を維持しながら、アイウェア100の外観を向上させることができる。
【0067】
いくつかの例において、アイウェア100は、ピンホール308とソーラーセルとの間に導光体310を更に備える。導光体310は、ピンホール308を介して光のナロービームを受け取ることができ、光エネルギーをソーラーセルにわたってより一様に投射するように、光シートをソーラーセル上に投射することができる。導光体310は、アクリル材料を含んでよく、光を拡散するように構成されている表面を有することができる。導光体310を介して受け取った光シートに基づくソーラーセルの典型的な電圧範囲は、0~2.1Vとすることができる。
【0068】
図3C及び
図3Dは、ソーラーセル及びハウジング304の他の構成を示している。
図3Cに示すように、フレーム102上に、ハウジング304上(例えば、ハウジング304が、2つのレンズアセンブリ104の間の接続構造106の一部となっている場所)に、及び/又は、
図3Dに示すように、ハウジング304を部分的に覆うようにレンズアセンブリ104上に、コーティング320を配置することができる。コーティング320は、暗化コーティングとすることができ、スパッタプロセスに基づいてフレーム102及び/又はレンズアセンブリ104に付着させることができる。コーティング320は、光を部分的に遮断し、一部の光がハウジング304及びソーラーセル306に入ることを許容することができる。このような構成により、ハウジング304及びソーラーセル306を部分的に覆い、ピンホール308を伴わずにアイウェア100の外観を向上させることができる。さらには、ピンホール308を除去することで、ソーラーセル306は、導光体310を伴わずに一様な光シートを受け取ることができる。結果として、ハウジング304のサイズ及び重量並びにアイウェア100の全体的なサイズ及び重量を低減することができる。ピンホール308を除去することで、ハウジング304の配置の融通性も向上させることができる。
図3Dでは、ハウジング304a及び304b(並びにソーラーセル306)は、それぞれ、レンズアセンブリ104a及び104bの背後に配置することができ、ソーラーセル306が受け取る光の量を最大化するように、コーティング320a及び320bによって部分的に覆うことができる。
【0069】
図3Eは、ソーラーセルの別の構成を示している。
図3Eに示すように、ソーラーセルは、1つ又は複数の透明ソーラーメンブレン330(例えば、メンブレン330a、330b等)の形態とすることができる。いくつかの例において、1つ又は複数の透明ソーラーメンブレン330は、(例えば、電気メッキによって)ユーザの目214に面する(レンズアセンブリ104の)レンズ202の縁部(例えば、上縁部及び下縁部、側縁部等)に形成することができる。また、1つ又は複数の透明ソーラーメンブレン330の合計表面は、アイウェア100によって提供されることになる透過率の範囲に基づき得る、駆動回路によって供給されることになる所要電圧範囲に基づいて構成することができる。
図3B~
図3Dに関して記載されているシリコンソーラーセルに比較して、透明ソーラーメンブレン330は、レンズアセンブリ104の一部としてレンズ202と統合することができ、追加のスペースを取らず、これにより、フレーム102をよりコンパクトかつより軽量とすることが可能になる。
【0070】
光センサ(光起電力セルを含んでよい)だけでなく、駆動回路は、1つ又は複数のレンズアセンブリ104の光線透過率を設定するために、ユーザによって手動制御することもできる。
図4Aは、光線透過率を制御するためにユーザによる入力を受けるための入力インタフェース402を有するアイウェア100の一例を示している。入力インタフェース402は、例えば、メカニカルスイッチ、タッチパッド等を含むことができ、フレーム102上、フレーム102に接続されているテンプル404上等で任意の位置に位置することができる。駆動回路のマイクロコントローラは、入力インタフェース402において検出されるユーザによる入力に基づいて異なる電圧を出力して、液晶層にわたって印加される電場及びレンズアセンブリ104の光線透過率を調整することができる。いくつかの例において、手動制御によって提供される光線透過率範囲は、1%~40%とすることができる。光線透過率範囲は、上記で説明したように、偏光子の特性に基づいて設定することができる。アイウェア100は、駆動回路及び入力インタフェース402に電力を供給するために、リチウムバッテリ等のバッテリーも備える。液晶閾値電圧が0.8Vに設定されている場合、アイウェア100の電力消費は、0.25mWとすることができる。そのような動作条件下では、典型的なリチウムバッテリは、約120時間のバッテリー寿命を提供することができる。
【0071】
入力インタフェース402に加えて、アイウェア100は、ユーザエクスペリエンスを向上させるように他のインタフェース回路を備えてよい。例えば、
図4Bに示すように、アイウェア100は、レンズアセンブリ104a及び104bの背後に配置され、レンズアセンブリ104a及び104bを介して光を捕捉して画像を生成することができる、一対のカメラ406(例えば、406a、406b等)を備えてよい。いくつかの例において、アイウェア100は、カメラ406a及び406bにそれぞれ重なるコーティング408a及び408bを備えてよい。コーティングは、例えば、各レンズアセンブリの液晶層204の基板上にエッチングされる酸化インジウムスズ(ITO)層を含んでよい。ITO層は、液晶層204の残りの部分から分離して動作する領域を形成することができる。例えば、ITO層は、液晶層204を通過してカメラ406a及び406bによって捕捉される光の波長範囲をフィルタして制御することができる。別の例として、ITO層は、ITO層が重なる液晶層204の領域にわたって、別個の一対の電極を形成することもできる。このような構成により、例えば、カメラ406a及び406bによる撮像動作の質を向上させるために、ITO層が重なる液晶層204の領域の光線透過率を液晶層204の残りの部分から独立して制御することが可能になる。
【0072】
さらに、
図4Cを参照すると、アイウェア100は、テンプル404内にインタフェース回路410を備えてもよい。インタフェース回路410は、例えば、無線インタフェース回路(例えば、Bluetooth(登録商標)規格に基づく)、及び、オーディオ入/出力インタフェース(例えば、マイク、オーディオスピーカ等)を備えてよい。無線インタフェース回路は、例えば、オーディオデータを搬送する無線信号を受信し、オーディオデータをオーディオ信号として出力するようにオーディオスピーカに提供することができる。無線インタフェース回路は、カメラ406a及び406bによって捕捉される画像データ及びマイクによって捕捉されるデータを他の装置に送信することもできる。
【0073】
第1の偏光層206及び第2の偏光層208によって生じる視覚的アーティファクトを軽減させるために等、アイウェア100によって提供されるユーザエクスペリエンスを更に向上させるために、調整可能な光線透過率だけでなく、更なる技術が提案される。上述したように、レンズアセンブリ104は、調整可能な光線透過率をもたらすように、液晶層204を間に挟む第1の偏光層206及び第2の偏光層208を備えてよい。光線透過率は、液晶層204内の液晶分子が整列しており、(第1の偏光層206によって偏光された)偏光が回転されずに第2の偏光層208の偏光軸に垂直になる場合に、最小とすることができる。このような場合、入射光210の多くを第2の偏光層208によって吸収することができ、これにより、レンズアセンブリ104の光線透過率を最小にすることができる。
【0074】
しかしながら、第2の偏光層208の光吸収率は、入射光210の第2の偏光層208に対する入射角に基づいて変化し得、これにより、レンズアセンブリ104を通して様々な視野角でユーザが見る際に視覚的アーティファクトが生じ、ユーザの視知覚に影響を与える可能性がある。
図5Aは、そのような一例を示している。
図5Aに示すように、ユーザは、液晶層204が最小光線透過率を提供するように構成されている状態で、レンズアセンブリ104の様々な点を通して様々な角度で見る場合がある。ユーザがレンズアセンブリ104の中央の点(符号「C」で印されている)を通して見る場合、第2の偏光層208の吸収率は最高であり得、一方、ユーザがレンズアセンブリ104の側部に近い点(符号「D」で印されている)を通して見る場合、第2の偏光層208の吸収率は減少し得る。吸収率の差に起因して、レンズアセンブリ104の中央(光吸収率が最高)は、レンズアセンブリ104の側部に比較して、黒色帯として出現し得る。黒色帯の出現は、アイウェア100を介したユーザの視知覚に影響を与える可能性があり、ユーザエクスペリエンスを低下させ得る。
【0075】
暗色バンドの出現を低減させるために、
図5Bに示すように、第1の偏光層206と第2の偏光層208とを、その偏光軸が互いに垂直にならないように配向することができる。このような構成では、液晶分子が整列しており、偏光を第1の偏光層206から回転させない場合でも、偏光は、第2の偏光層208の吸収軸と完全に整列せず、最大吸収率で吸収されない。このような構成は、レンズアセンブリ104の中央部分と他の部分との間での第2の偏光層208の吸収率の差を低減させることができ、これにより、レンズアセンブリ104の中央における黒色帯の出現を低減又は排除することができる。いくつかの例において、第1の偏光層206及び第2の偏光層206は、それらの偏光軸が110度の角度を形成するように配向することができる。最大光線透過率が提供されるべき場合には、液晶層204は、第1の偏光層206の偏光軸と第2の偏光層206の偏光軸とを分離している110度の角度に合致するように偏光を110度の角度だけ回転させるように構成することができる。
【0076】
加えて、レンズアセンブリ104の他の構成要素は、第1の偏光層206及び第2の偏光層208によって生じる視覚的アーティファクトを補償するように構成することができる。例えば、第1の偏光層206と第2の偏光層208との組み合わせは、その吸収軸が互いに垂直である場合に、特定の波長範囲の光を選択的に吸収し得る。結果として、ユーザは、第1の偏光層206及び第2の偏光層208を介して青色光を見る場合があり、同時に、レンズアセンブリ104もまた外側から青色に見える場合があり、そのいずれもユーザエクスペリエンスを低下させ得る。第1の偏光層206及び第2の偏光層208によって光が選択的に吸収されることで生じる視覚的アーティファクトを補償するために、
図6Aに示すように、レンズ602は、橙色光604(例えば、波長範囲590~635ナノメートル(nm)の光)を選択的に透過させながら他の波長の光を遮断するように構成することができる。一方で、第1の偏光層206及び第2の偏光層208は、青色光606を透過させることができ、レンズアセンブリ104の光線透過率が最大である場合に、この青色光606を橙色光604と組み合わせて白/透明光を生成することができる。レンズアセンブリ104の光線透過率が減少している場合、ユーザは、橙色光604と青色光606とが組み合わせられることで、レンズアセンブリ104を介して暗色(例えば、灰色、灰黒色等)を知覚することもでき、従来のサングラスを着用しているのと類似した体験をすることができる。
【0077】
さらに、
図6Bに示すように、超複屈折フィルム(SRF)等のポリエステルフィルム620をレンズ202と第1の偏光層206との間に追加することができる。ポリエステルフィルム620は、ユーザが知覚する虹むらを低減又は排除するように追加することができる。虹むらは、レンズ202における不均一な複屈折によって生じ得る。不均一な複屈折は、直線偏光を円偏光に変換し得る。円偏光は、第1の偏光層206において干渉を受けて虹むらを生じ得る。虹むらを低減させるために、ポリエステルフィルム620は、レンズ202からの円偏光を直線偏光に変換することができ、これにより、光が第1の偏光層206を通過する際の干渉及び虹むらの生成を低減させることができる。
【0078】
また、
図6Cに示すように、レンズ202及び第1の偏光層206の代わりに、回折格子を有するレンズ630を使用することができる。レンズ630は、石英で作製することができる。回折格子は、格子に平行な偏光軸を有する光を遮断することができ、第1の偏光層206に類似する偏光効果を提供することができる。レンズ630の偏光軸は、第2の偏光層208に垂直とすることができ、これにより、液晶層204による回転角の調整に基づくレンズアセンブリ104の光線透過率の調整が可能になる。
【0079】
本開示の実施形態の前述の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的であることも、又は本開示を開示される正確な形態に限定することも意図していない。当業者であれば、上記開示に鑑みて、多数の変更及び変形が可能であることを理解できる。
【0080】
本明細書の一部では情報の操作のアルゴリズム及び象徴的な表現によって本開示の実施形態が説明されている。これらのアルゴリズムの記載及び表現は、データ処理分野の当業者が自身の研究の主旨を他の当業者に有効に伝えるために一般に使用するものである。これらの操作は、機能、計算、又は論理によって記載されているが、コンピュータプログラム又は等価な電気回路、マイクロコード等によって実装されるものと理解される。さらに、一般性を損なうことなく、これらの動作の構成をモジュールと呼ぶことが時には好都合であることもわかっている。記載された動作及びそれらの関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアで具現されてよい。
【0081】
記載される段階、動作、又はプロセスは、1つ又は複数のハードウェア又はソフトウェアモジュールによって、それ単独で又は他の装置との組み合わせで実行又は実装されてよい。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、記載される段階、動作、又はプロセスのいずれか又はすべてを実行するためにコンピュータプロセッサによって実行できるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品とともに実装される。
【0082】
本開示の実施形態は、記載される動作を実行するために装置と関連してもよい。装置は、要求される目的のために特別に構築されてもよいし、及び/又は、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化又は再構成される汎用コンピューティングデバイスを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよいし、又は、コンピュータシステムバスに結合され得る、電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体に格納されてもよい。さらに、本明細書で言及される任意のコンピューティングシステムは、シングルプロセッサを備えてもよいし、又は、コンピューティング能力を増大させるためのマルチプロセッサ設計を採用したアーキテクチャとしてもよい。
【0083】
本開示の実施形態は、本明細書に記載されるコンピューティングプロセスによって生産される製品と関連してもよい。そのような製品は、コンピューティングプロセスから生じる情報を含んでよい。情報は、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体に格納され、任意の実施形態のコンピュータプログラム製品又は本明細書に記載される他のデータの組み合わせを含んでよい。
【0084】
本明細書で使用される文言は、基本的には読みやすさ及び指示の目的で選択されており、発明の主題を詳述又は制限するために選択されていない場合がある。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ、この説明に基づく用途に由来する任意の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。したがって、実施形態の本開示は、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲の例示であることを意図しており、限定することは意図していない。