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特許7464063管理システム、管理方法およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240402BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021566629
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019050789
(87)【国際公開番号】W WO2021130890
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中塚 雅也
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046411(JP,A)
【文献】特開2019-109731(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012439(WO,A1)
【文献】特開2019-125221(JP,A)
【文献】特開2016-167248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得する第1のデータ取得手段と、
複数の第2の物体それぞれを撮影した第2の画像データを取得する第2のデータ取得手段と、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に、前記第2の画像データそれぞれが取得されてからの経過時間または照合回数に基づいた頻度で照合することにより、前記第2の物体と特徴点の配置が類似する前記第1の物体の所有者の識別情報を特定することで前記第2の物体の所有者を特定する照合手段と
を備える管理システム。
【請求項2】
前記第2の物体の表面紋様と表面紋様の特徴が類似している前記第1の物体の所有者の前記識別情報に関連付けられた情報を出力する結果出力手段をさらに備える請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
複数の前記第1の物体それぞれの前記第1の画像データを保存するデータ保存手段をさらに備え、
前記照合手段は、保存された複数の前記第1の画像データの中から選択された前記第1の画像データと、前記第2の画像データを照合し、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第2の物体を撮影し、前記第2の画像データを出力する第2の撮像手段と、
前記第2の画像データと前記第1の画像データの照合を前記照合手段に要求する物体管理手段と
をさらに備える請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項5】
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得する第1のデータ取得手段と、
第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する第2のデータ取得手段と、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に照合することにより、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する照合手段と
を備え、
第2のデータ取得手段は、前記第2の物体の所有者の識別情報をさらに取得し、
前記照合手段は、前記第2の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の物体の識別情報と前記第1の物体の識別情報が一致する前記第1の物体の表面紋様の特徴を照合する管理システム。
【請求項6】
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得する入場者情報取得手段と、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得する退場者情報取得手段と、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に照合した結果に基づいて、ゲートを制御するゲート制御手段と
を備える管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得し、
複数の第2の物体それぞれを撮影した第2の画像データを取得し、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に、前記第2の画像データそれぞれが取得されてからの経過時間または照合回数に基づいた頻度で照合することにより、前記第2の物体と特徴点の配置が類似する前記第1の物体の所有者の識別情報を特定することで前記第2の物体の所有者を特定する管理方法。
【請求項8】
コンピュータが、
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得し、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得し、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に照合した結果に基づいて、ゲートを制御する管理方法。
【請求項9】
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得する処理と、
複数の第2の物体それぞれを撮影した第2の画像データを取得する処理と、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に、前記第2の画像データそれぞれが取得されてからの経過時間または照合回数に基づいた頻度で照合することにより、前記第2の物体と特徴点の配置が類似する前記第1の物体の所有者の識別情報を特定することで前記第2の物体の所有者を特定する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得する処理と、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得する処理と、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を、特徴点の配置の類似度を基に照合し、ゲートを制御するための照合結果を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を管理する技術に関するものであり、特に、個体固有の表面形状を用いて管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公共交通機関において生じた忘れ物など、多数の人が利用する施設などで所有者が不明の物体があったときに、物体の所有者を特定することが困難であることが多い。また、セキュリティの管理レベルが高い施設などにおいて、退場者が所持している物体がその人物の所有物であるか、または、同種類または類似した別の物体であるかを判定するのが困難であることも多い。一方、そのような多くの人が利用する施設では、入退場の所持品の確認は出来るだけ簡略化されていることが望ましい。そのため、所持品の確認に要する利用者の負担を軽減しつつ、物体の所有者の特定を容易にする技術があることが望ましい。そのような、同種類または類似した別の物体の所有者の特定を容易にする技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1は、物体に付加した点識別子を基に物体の所有者を特定する管理システムに関するものである。特許文献1は、物体の購入時に、物体ごとに異なる位置に点が描写され点識別子が付加される。物体ごとの点識別子の情報は、物体の所有者の情報と紐づけられて登録される。物体の所有者を特定したいときは、物体の点識別子を読み取り登録された情報と照合することで、所有者の特定が行われる。特許文献2には、所有者の識別情報を記録したタグを物体に添付し、タグの情報を読み取ることで物体を識別する技術が開示されている。また、特許文献3には、個体固有の識別情報が記録された2次元バーコードを読み取ることで物体を識別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/111811号公報
【文献】特開2006-154977号公報
【文献】特開2016-177464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は次のような点で十分ではない。特許文献1では、物体の購入時に点識別子を物体に付加し、所有者の情報と紐づけて登録している。特許文献1では、使用や保管によって消えない点識別子を物体に付加する道具と、点識別子を付加する際に、物体に点を描く技術が必要となる。そのため、所有者自身が購入後に物体の識別情報を登録することは容易ではないため、所有者を特定したときに、特定の対象の物体に点識別子の情報が存在しない恐れがある。また、特許文献2、3も販売時などに物体に識別情報を記録したタグや2次元バーコードをあらかじめ添付しておく必要があり、後から所有者が識別情報を登録することは困難である。よって、特許文献1乃至3の技術では、利用者による複雑な作業を必要とすることなく、物体の所有者を特定する技術としては十分ではない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、複雑な作業を必要とすることなく物体の所有者を特定することができる管理システムを提供することを目的としている。
を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の管理システムは、第1のデータ取得部と、第2のデータ取得部と、照合部を備えている。第1のデータ取得部は、第1の物体を撮影した第1の画像データと、第1の物体の所有者の識別情報を取得する。第2のデータ取得部は、第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する。照合部は、第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する。
【0008】
本発明の管理方法は、第1の物体を撮影した第1の画像データと、第1の物体の所有者の識別情報を取得する。本発明の管理方法は、第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する。本発明の管理方法は、第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する。
【0009】
本発明の記録媒体は、コンピュータに処理を実行させるコンピュータプログラムを記録する。コンピュータプログラムは、第1の物体を撮影した第1の画像データと、第1の物体の所有者の識別情報を取得する処理をコンピュータに実行させる。コンピュータプログラムは、2の物体を撮影した第2の画像データを取得する処理をコンピュータに実行させる。コンピュータプログラムは、第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、複雑な作業を必要とすることなく物体の所有者を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
図1B】本発明の第1の実施形態の管理システムの動作フローを示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態の管理システムの適用例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態の利用者情報管理装置の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態の照合装置の構成を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態の管理者端末装置の構成を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態における物体の画像の撮影方法の例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態の利用者情報管理装置の動作フローを示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態の管理者端末装置の動作フローを示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態の照合装置の動作フローを示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態の管理システムの他の適用例であり変形例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態の管理者端末装置の動作フローであり、図11に示す他の適用例における動作フローを示す図である。
図13】本発明の第2の実施形態の利用者情報管理装置の動作フローであり、図11に示す他の適用例における動作フローを示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態の照合装置の動作フローであり、図11に示す他の適用例における動作フローを示す図である。
図15】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
図16】本発明の第3の実施形態の入退場装置の構成を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態の物体管理装置の構成を示す図である。
図18】本発明の第3の実施形態の照合装置の構成を示す図である。
図19】本発明の第3の実施形態の入退場装置の動作フローを示す図である。
図20】本発明の第3の実施形態の物体管理装置の動作フローを示す図である。
図21】本発明の第3の実施形態の照合装置の動作フローを示す図である。
図22】本発明の第3の実施形態の管理システムの適用例を示す図である。
図23】本発明の第3の実施形態の管理システムの適用例を示す図である。
図24】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
図25】本発明の第4の実施形態の入退場装置の構成を示す図である。
図26】本発明の第4の実施形態の物体管理装置の構成を示す図である。
図27】本発明の第4の実施形態の端末装置の構成を示す図である。
図28】本発明の第4の実施形態の端末装置の動作フローを示す図である。
図29】本発明の第4の実施形態の入退場装置の動作フローを示す図である。
図30】本発明の第4の実施形態の物体管理装置の動作フローを示す図である。
図31】本発明の第4の実施形態の管理システムの適用例を示す図である。
図32】本発明の第4の実施形態の管理システムの適用例を示す図である。
図33】本発明の他の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1Aは、本実施形態の管理システムの構成を示した図である。また、図1Bは、本実施形態の管理システムの動作フローを示す図である。
【0013】
本実施形態の管理システムは、第1のデータ取得部1と、第2のデータ取得部2と、照合部3を備えている。第1のデータ取得部1は、第1の物体を撮影した第1の画像データと、第1の物体の所有者の識別情報を取得する。第2のデータ取得部2は、第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する。照合部3は、第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の画像データにおける第2の物体の表面形状の特徴を照合することにより、第1の物体の所有者の識別情報を特定する。照合部3による所有者の識別情報の特定によって、第2の物体が第1の物体の所有者の所有物であるかを判断することができる。
【0014】
表面紋様は、物体の製造過程で自然発生的に生じる個体固有の表面紋様のことをいう。たとえば、表面紋様は、物体表面の細かな溝、凸凹などである。表面紋様は、同一の種類の物体であっても個体ごとに異なる。表面紋様は、人の指の指紋のように物体に固有なので、物体指紋とも呼ばれる。
【0015】
次に、図1Bを参照して、本実施形態の管理システムの動作について説明する。第1のデータ取得部1は、第1の物体の画像データと、第1の物体の所有者の識別情報を取得する(ステップS1)。また、第2のデータ取得部2は、第2の物体の画像データを取得する(ステップS2)。照合部3は、第1の画像データと第2の画像データを用いて、第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の物体の表面紋様の特徴を照合し、第1の物体の所有者の識別情報を特定する(ステップS3)。
【0016】
第1の物体の表面紋様の特徴と、第2の物体の表面紋様の特徴を照合し、第1の物体の所有者の識別情報を特定する際に、照合部3は、第2の物体の表面紋様と第1の物体の表面紋様の特徴を比較し、比較により第1の物体の表面紋様の特徴と第2の物体の表面紋様の特徴が類似するかを決定する。照合部3は、例えば、第1の物体の表面紋様の特徴と第2の物体の表面紋様の特徴が、ともに特徴ベクトルで表される場合、コサイン類似度を算出する。特徴ベクトルは、たとえば、表面紋様の複数の特徴点の位置や特徴量(画像の濃度勾配など)を示す多次元データである。
【0017】
照合部3は、第2の物体の表面紋様が第1の物体の表面紋様に類似していると判断すると、第2の物体は第1の物体であるので、第1の物体の所有者の識別情報を特定する。これにより、第2の物体が第1の物体の所有者の所有物であると判断することができる。
【0018】
本実施形態の管理システムの適用例として、物体それぞれに固有の表面紋様を用いて、所有者の識別情報とともに事前に登録された第1の画像データに映っている物体と別の時間に取得された第2の画像データに映っている物体が類似するかを判断することで、第2の画像データに映っている物体の所有者を判断するケースである。物体それぞれに固有の表面紋様を撮影した画像データを物体の識別に用いることで、同種類や類似の物体で目視によって違いを判別できない物体であっても同一の物体であるかを識別することができる。たとえば、第2の物体と第1の物体の表面紋様が一致したとき、第2の物体と第1の物体は、同一の物体であり、所有者の識別情報から、第2の物体の所有者は、第1の物体の所有者であると判断することができる。また、物体それぞれに固有の表面紋様を撮影した画像データを用いることで、物体の表面を撮影した画像データがあれば照合を行うことができる。その結果、利用者の負担を軽減しつつ精度の高い照合結果を得ることができる。以上のように、本実施形態の管理システムを用いることで、複雑な作業を必要とすることなく、物体の所有者を特定することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の管理システムの構成の概要を示した図である。本実施形態の管理システムは、利用者情報管理装置10と、照合装置20と、利用者端末装置30と、管理者端末装置40と、撮像装置50を備えている。
【0020】
本実施形態の管理システムは、識別情報によって所有者が明確になっている第1の物体について、表面紋様の第1の画像データと所有者の識別情報が、事前に利用者端末装置30から利用者情報管理装置10に送られ、管理されているものとする。さらに、所有者が第1の物体を紛失し、その後、その物体が管理者に届け出られ、利用者情報管理装置10に、第2の物体として管理されているものとする。この場合、紛失物体の検索のために管理システムの照合装置20は、第1の画像及び識別情報と第1の物体の紛失により所有者が不明となった第2の物体の表面紋様の第2の画像データとを取得する。照合装置20は、第1の画像と第2の画像を照合する。そして照合装置20は、第1の物体の表面紋様の特徴と第2の物体の表面紋様の特徴が類似する場合、第1の物体の所有者の識別情報を特定することで、識別情報から第2の物体の所有者を特定する。本実施形態の管理システムにおいて、照合に用いる物体の表面紋様の画像データには、物体表面の紋様を撮影した画像データが用いられる。なお、第2の実施形態では、物体の表面紋様を物体指紋と記載する。
【0021】
本実施形態の管理システムは、例えば、図3のような公共交通機関における忘れ物センターにおける遺失物管理システムに用いることができる。図3の例では、利用者が所有するスマートフォンなどの端末装置である利用者端末装置30において、利用者の情報の入力と所有物の物体指紋の画像データの取得が行われている。利用者の情報には、氏名などの個人を識別するための情報、電話番号やメールアドレスなどの連絡先の情報が含まれる。利用者情報には、SNS(Social Networking Service)のアカウントの情報が含まれていてもよい。利用者情報と、所有物の物体指紋の画像データは、公共交通機関の事業者や他の事業者が運営する利用者情報管理装置10に送られ、利用者情報と個体の識別情報である物体指紋のデータが紐づけられて保存される。図3のような遺失物管理システムは、忘れ物センターを運営する公共交通機関に設置されていてもよく、管理システムのうち一部が公共交通機関以外の他の事情者に設置され、忘れ物センターからネットワークを介してアクセスする構成であってもよい。例えば、遺失物管理システムは、公共交通機関以外の事業者が管理する利用者情報管理装置10および照合装置20に、忘れ物センターに設置された管理者端末装置40からネットワークを介してアクセスする構成であってもよい。また、利用者情報管理装置10と照合装置20は、それぞれ別の事業者によって管理され、互いにネットワークを介して接続されていてもよい。
【0022】
公共交通機関などにおいて遺失物を取り扱う忘れ物センターでは、所有者が不明の物体である遺失物の物体指紋の撮影が撮像装置50によって行われる。遺失物管理サーバ、すなわち、管理者端末装置40は、撮像装置50が撮影した遺失物の物体指紋の画像データを照合装置20に送る。照合装置20は、忘れ物センターの撮像装置50が撮影した物体指紋と、利用者情報管理装置10に登録されている物体指紋を照合し、第1の物体の物体指紋の特徴と第2の物体の物体指紋の特徴が類似する場合、第1の物体の所有者の識別情報を特定する。物体指紋が互いに類似する画像データがあったとき、撮像装置50が撮影した物体指紋に対応する遺失物は、利用者情報管理装置10に登録されている物体指紋に対応する所有者の所有物であると判断される。
【0023】
類似とは、撮像装置50が撮影した物体指紋と、利用者情報管理装置10に登録されている物体指紋とが、100%一致する場合に限らず、たとえば95%以上一致するなど、90%以上の範囲で一致の許容値を含んでもよい。類似の範囲の基準値は、上記の値以外であってもよい。また、類似の範囲の基準は、2つの物体が似ているか否かを表せる指標であれば数値以外の指標を用いて設定されていてもよい。
【0024】
本実施形態の管理システムの各装置の構成について説明する。
【0025】
〔利用者情報管理装置〕
始めに、利用者情報管理装置10の構成について説明する。図4は、利用者情報管理装置10の構成について示した図である。利用者情報管理装置10は、利用者情報入力部11と、利用者情報管理部12と、利用者情報保存部13と、データ出力部14、データ要求入力部15を備えている。利用者情報管理装置10は、利用者が登録した情報を利用者の識別情報と連絡先、利用者の所有物の物体指紋の画像データを管理する装置である。
【0026】
利用者情報入力部11は、利用者端末装置30から送られてくる利用者情報、すなわち、利用者の識別情報および利用者の連絡先の情報と、利用者の所有物の物体指紋の画像データを受信する。利用者情報入力部11は、利用者情報と、画像データを利用者情報管理部12に出力する。
【0027】
利用者情報管理部12は、利用者情報と、利用者の所有物の物体指紋の画像データを互いに紐付けて利用者情報保存部13に保存する。利用者情報のうち利用者の識別情報は、利用者ごとに割り当てられたID(Identifier)が用いられる。利用者の識別情報には、専用に割り当てられたIDに代えて、電話番号、メールアドレスなど利用者の連絡先の情報が用いられてもよい。また、利用者の識別情報には、SNSのアカウントなど、個人と紐づけられた情報を用いることもできる。
【0028】
利用者情報管理部12は、照合装置20からの要求に基づいて、物体指紋の画像データを利用者情報保存部13から読み出し、データ出力部14を介して照合装置20に送る。
【0029】
利用者情報保存部13は、利用者情報と、利用者の所有物の物体指紋の画像データを互いに紐づけて保存している。
【0030】
データ出力部14は、物体指紋の画像データを照合装置20に送信する。
【0031】
データ要求入力部15は、照合装置20から物体指紋の画像データの要求を受け付ける。データ要求入力部15は、画像データの要求を利用者情報管理部12に出力する。
【0032】
利用者情報入力部11、利用者情報管理部12、データ出力部14およびデータ要求入力部15における各処理は、CPU(Central Processing Unit)上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、ハードディスクドライブに記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。
【0033】
利用者情報保存部13は、不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブなどの記憶装置またはそれらの記憶装置の組み合わせによって構成されている。利用者情報保存部13は、利用者情報管理装置10の外部に備えられ、ネットワークを介して接続されていてもよい。また、利用者情報管理装置10は、複数の情報処理装置を組み合わせることで構成されていてもよい。
【0034】
〔照合装置〕
照合装置20の構成について説明する。図5は、照合装置20の構成について示した図である。照合装置20は、照合要求入力部21と、データ取得部22と、照合部23と、照合結果通知部24と、データ保存部25を備えている。
【0035】
照合要求入力部21は、管理者端末装置40から物体指紋の照合要求の入力を受け付ける。照合要求入力部21は、照合対象の物体の物体指紋の画像データと、照合要求を管理者端末装置40から受信する。照合要求入力部21は、照合対象の物体指紋の画像データと、照合要求を照合部23に出力する。
【0036】
データ取得部22は、利用者情報管理装置10に登録されている物体指紋の画像データを要求し、利用者情報管理装置10から物体指紋の画像データを取得する。データ取得部22は、取得した画像データを照合部23に出力する。
【0037】
照合部23は、管理者端末装置40から照合の要求を受けた画像データの物体指紋と、利用者情報管理装置10に登録されている画像データの物体指紋を照合し、類似の有無を判断する。照合部23は、2つの画像データの物体指紋それぞれについて特徴点を検出し、特徴点の配置が一致する割合である類似度を基に2つの物体指紋が同一の物体のものであるかを判定する。照合部23は、特徴点の配置の類似度があらかじめ設定された基準以上であったとき、2つの物体指紋が同一の物体の物体指紋であるとみなす。
【0038】
照合部23は、照合の要求を受けた画像データの物体指紋と類似する物体指紋がないとき、物体指紋が類似する画像がなかったことを示す情報を、照合結果通知部24を介して管理者端末装置40に送る。照合部23は、照合の要求を受けた画像データの物体指紋と類似する物体指紋を検出したとき、物体指紋の画像データに関連付けられている利用者情報を、照合結果通知部24を介して管理者端末装置40に送る。
【0039】
照合結果通知部24は、照合部23から受け取る照合結果を管理者端末装置40に送る。
【0040】
データ保存部25は、物体指紋を照合する画像データと、利用者情報管理装置10から受け取る画像データに関連付けられている利用者情報を保存する。
【0041】
照合要求入力部21、データ取得部22、照合部23および照合結果通知部24における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、ハードディスクドライブに記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。
【0042】
データ保存部25は、不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブなどの記憶装置またはそれらの記憶装置の組み合わせによって構成されている。
【0043】
〔管理者端末装置〕
管理者端末装置40の構成について説明する。図6は、管理者端末装置40の構成を示す図である。管理者端末装置40は、画像データ入力部41と、物体管理部42と、データ保存部43と、画像データ送信部44と、情報入力部45と、照合結果出力部46を備えている。
【0044】
画像データ入力部41は、管理対象の物体の物体指紋の画像データを撮像装置50から受け取る。図3の例では、画像データ入力部41は、遺失物の物体指紋の画像データを撮像装置50から取得する。画像データ入力部41は、物体指紋の画像データを物体管理部42に出力する。
【0045】
物体管理部42は、撮像装置50から画像データ入力部41を介して入力される物体指紋の画像データをデータ保存部43に保存する。物体管理部42は、撮像装置50が撮影した物体指紋の画像データを照合装置20に画像データ送信部44を介して送り、物体指紋の照合を要求する。また、物体管理部42は、情報入力部45を介して照合装置20から照合結果の情報を取得し、照合結果出力部46を介して照合結果を出力する。
【0046】
データ保存部43は、撮像装置50で撮影された物体指紋の画像データを保存する。
【0047】
画像データ送信部44は、撮像装置50で撮影した画像データを照合装置20に画像デ送信する。また、画像データ送信部44は、撮像装置50で撮影した物体の物体指紋と類似する画像データがないか照合装置20に照合を要求する。
【0048】
照合結果出力部46は、照合結果を基に撮像装置50で撮影された物体の所有者の情報を出力する。照合結果出力部46は、照合結果が撮像装置50で撮影された物体と類似するものがなかったことを示すとき、所有者が不明であることを出力する。
【0049】
画像データ入力部41、物体管理部42、画像データ送信部44、情報入力部45および照合結果出力部46における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、不揮発性の半導体記憶装置に記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。また、データ保存部43は、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。以上が管理者端末装置40の構成である。
【0050】
撮像装置50は、物体の表面形状を撮影し、物体指紋の画像データを生成する。撮像装置50は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて構成されている。撮像部31には、物体指紋を撮影できるものであれば、CMOS以外のイメージセンサが用いられてもよい。撮像装置50は、倍率を変更可能なレンズモジュールを備えることによって、物体全体と、物体の表面の物体指紋の2つの画像を撮影する構成であってもよい。
【0051】
図7は、管理者端末装置40に入力される物体指紋の画像データを撮像装置50が撮影する構成の一例を模式的に示した図である。図7では、ベルトコンベア62によって遺失物である物体61が搬送されている。撮像装置50は、ベルトコンベア62上を搬送されてくる物体61の物体指紋を撮影し、物体指紋の画像データを出力する。
【0052】
〔動作説明〕
本実施形態の管理システムの動作について説明する。図8は、図4に示す利用者情報管理装置10の動作フローを示す図である。図9は、図6に示す管理者端末装置40の動作フローを示す図である。また、図10は、図5に示す照合装置20の動作フローを示す図である。
【0053】
始めに、利用者が利用者端末装置30のカメラを操作して自身の情報と、所有品の物体指紋の画像データを登録する。利用者は、利用者端末装置30に利用者自身の名前や連絡先を利用者情報として入力する。利用者情報の利用者の名前と連絡先のいずれか一方または両方は、利用者端末装置30にあらかじめ保存されている情報が用いられてもよい。利用者端末装置30は、利用者情報および利用者の所有品の物体指紋の画像データを利用者情報管理装置10に送信する。
【0054】
利用者情報管理装置10に送られた利用者情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データは、利用者情報管理装置10の利用者情報入力部11に入力される。図4図8において、利用者情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データを取得すると(ステップS21)、利用者情報入力部11は、利用者情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データを利用者情報管理部12に送る。
【0055】
利用者情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データを受け取ると、利用者情報管理部12は、利用者情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データを紐づけて利用者情報保存部13に保存する(ステップS22)。
【0056】
次に、管理者端末装置40において、撮像装置50によって物体61の物体指紋の画像データの取得が行われ、管理者端末装置40に物体指紋の画像データが入力される。
【0057】
図7に示すように、物体61の物体指紋を撮影すると、撮像装置50は、物体指紋の画像データを管理者端末装置40に送る。物体指紋を撮影するときに、物体指紋の画像データに物体61の管理用の識別情報が関連付けられてもよい。例えば、物体61をトレーに載せて搬送し、トレーの識別情報を物体61の識別情報としてもよい。そのような構成とする場合には、トレーの情報は、トレーに付加されたICチップやバーコードなどをリーダで読み取ることで取り込まれる。物体61には、物体指紋を撮影する順番に基づいて管理用の識別情報が割り振られてもよい。また、物体指紋と同時に、物体61の全体の撮像が行われてもよい。物体61の全体の撮像を行うことで、物体61の種類の分類を行うことができる。
【0058】
図6図9において、撮像装置50で撮影された物体の物体指紋のデータは、管理者端末装置40の画像データ入力部41に入力される。物体指紋の画像データを取得すると(ステップS31)、画像データ入力部41は、物体指紋の画像データを物体管理部42に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、物体管理部42は、物体指紋の画像データをデータ保存部43に保存する。物体指紋の画像データを保存すると、物体管理部42は、物体指紋の画像データを画像データ送信部44に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、物体管理部42は、物体指紋の画像データと照合の要求を照合装置20に送る(ステップS32)。
【0059】
物体指紋の画像データと照合の要求は、照合装置20の照合要求入力部21に入力される。物体指紋の画像データと、照合の要求を受け取ると、照合要求入力部21は、物体指紋の画像データと、照合の要求を照合部23に送る。図5図10において、物体指紋の画像データと、照合の要求を取得する(ステップS41)、照合部23は、物体指紋の画像データをデータ保存部25に保存する。物体指紋の画像データを保存すると、照合部23は、データ取得部22に利用者情報管理装置10が保持している物体指紋の画像データを要求する。
【0060】
物体指紋の画像データの要求を受け取ると、データ取得部22は、利用者情報管理装置10に物体指紋の画像データの要求を送る。
【0061】
物体指紋の画像データの要求は、利用者情報管理装置10に入力される。図4図80において、物体指紋の画像データの要求を取得すると(ステップS23)、利用者情報管理装置10は、物体指紋の画像データに利用者情報を関連付けて、物体指紋のデータを照合装置20に送る(ステップS24)。利用者情報管理装置10は、保存している物体指紋の画像データのうち未送信の画像があるとき、物体指紋の画像データの送信の処理を繰り返してもよい。保存している物体指紋の照合装置20への送信が完了したとき(ステップS25でNo)、利用者情報管理装置10は、物体指紋の画像データの照合装置20への送信を終了する。図5図10において、照合装置20に送られた物体指紋の画像データは、データ取得部22に入力される。物体指紋の画像データを取得すると(ステップS42)、データ取得部22は、物体指紋の画像データを照合部23に送る。
【0062】
照合部23は、利用者情報管理装置10から送られてきた物体指紋の画像データとデータ保存部25に保存していた管理者端末装置40から送られてきた物体指紋の画像データを照合する(ステップS43)。管理者端末装置40から送られてきた物体指紋と、利用者情報管理装置10から送られてきた物体指紋が類似しているとき(ステップS44でYes)、照合部23は、利用者情報管理装置10から送られてきた物体指紋の画像データに関連付けられている利用者情報を抽出する。また、照合部23は、データ取得部22を介して利用者情報管理装置10に照合が完了したことを通知する。
【0063】
照合装置20は、照合を要求された画像データに対して複数回の照合を行ってもよい。複数回の照合を行う際に、時間の経過または照合回数に応じて、照合の頻度を変更してもよい。例えば、新たに照合を要求されたときから一定期間が経過した場合には、照合の間隔を広げることで、所有者が特定される可能性の高い新たに照合を要求された画像データの頻度を維持しつつ、時間が経過してから発見された物体の所有者を特定することができる。
【0064】
物体指紋の画像データに関連付けられている利用者情報を抽出すると、照合部23は、利用者情報を照合結果通知部24に送る。利用者情報を受け取ると、照合結果通知部24は、利用者情報を含む照合結果を管理者端末装置40に送る(ステップS45)。
【0065】
管理者端末装置40に送られた利用者情報は、管理者端末装置40の情報入力部45に入力される。図6図9において、照合結果を受け取ると(ステップS33)、物体管理部42は、照合結果の内容を確認する。照合結果に利用者情報が含まれ、物体の所有者が特定できているとき(ステップS34でYes)、利用者情報を照合結果出力部46に送る。利用者情報を受け取ると、照合結果出力部46は、利用者情報を物体の所有者の情報として出力する(ステップS35)。照合結果出力部46は、例えば、利用者情報に含まれる所有者の名前と連絡先を物体の所有者の情報として表示データとしてディスプレイ装置に出力する。表示を見た作業者は、物体の所有者に保管している物体があることを通知する。また、照合結果出力部46は、利用者情報にメールアドレスが含まれる場合には、メールアドレス宛に物体を保管していることを通知する電子メールを送信してもよい。利用者情報にSNSのアカウントが含まれる場合には、照合結果出力部46は、SNSのアカウント宛に物体を保管していることを通知してもよい。SNSへの通知を受け取る機能がアプリケーションプログラムとして利用者端末装置30に実装されている場合には、照合結果出力部46は、アプリケーションプログラムに対して通知を行ってもよい。また、SNSのアプリケーションプログラムが、所持品の画像データや利用者情報を利用者情報管理装置10に登録する機能を有していてもよい。
【0066】
図5図10において、データ保存部25に保存した物体指紋と、利用者情報管理装置10から送られてきた物体指紋が類似していないとき(ステップS44でNo)、照合部23は、未照合の画像データがあるかを確認する。未照合の画像データがあるとき(ステップS46でYes)、ステップS42に戻り、照合部23は、次に利用者情報管理装置10から送られてくる物体指紋とデータ保存部25に保存した物体指紋を比較する動作を繰り返す。
【0067】
未照合の画像データがなく、全ての画像データについて照合を行っても物体指紋が類似するものがなかったとき(ステップS46でNo)、照合部23は、類似する物体指紋の画像データが無かったことを示す照合結果を照合結果通知部24に送る。類似する物体指紋の画像データが無かったことを示す照合結果を受け取ると、照合結果通知部24は、類似する物体指紋の画像データが無かったことを示す照合結果を管理者端末装置40に送る(ステップS47)。管理者端末装置40に送られた類似する物体指紋の画像データが無かったことを示す照合結果は、管理者端末装置40の情報入力部45に入力される。
【0068】
図6図9において、照合結果を受け取ると(ステップS33)、管理者端末装置40の物体管理部42は、照合結果の内容を確認する。類似する物体指紋の画像データが無かったことを示す照合結果であり、所有者を特定できていないとき(ステップS34でNo)、物体管理部42は、物体の所有者が不明である情報を照合結果出力部46に送る。物体の所有者が不明である情報を受け取ると、照合結果出力部46は、物体の所有者が不明である情報を出力する(ステップS36)。照合結果出力部46は、例えば、物体の所有者が不明である情報を表示データとしてディスプレイ装置に出力する。表示を見た作業者は、所有者不明の物体であるとして物体の保管を行う。
【0069】
〔変形例〕
第2の実施形態の管理システムの別の構成の例について説明する。上記の例では、あらかじめ所有者情報と物体指紋の画像データを利用者情報管理装置10に登録している。そのような構成に代えて、利用者が忘れ物や落し物に気づいたときに対象の物体の情報を利用者情報管理装置10に通知してもよい。図11は、図3のような公共交通機関における忘れ物センターにおける忘れ物管理システムに、利用者が忘れ物や落し物に気づいたときに対象の物体の情報を利用者情報管理装置10に通知する構成を適用した場合の例を示したものである。
【0070】
図11の例では、利用者が所有するスマートフォンなどの端末装置である利用者端末装置30において、利用者情報の入力と所有物の物体指紋の画像データの取得が行われている。利用者情報には、氏名などの個人を識別するための情報、電話番号やメールアドレスなどの連絡先の情報が含まれる。利用者情報と、所有物の物体指紋の画像データは、利用者端末装置30に保存される。利用者端末装置30の利用者は、自身の所有物が無いことに気づいたとき、利用者端末装置30に保存していた所有物の物体指紋の画像データを公共交通機関の事業者や他の事業者が運営する利用者情報管理装置10に送る。
【0071】
公共交通機関などの忘れ物センターでは、所有者が不明の物体である遺失物の物体指紋の撮影が撮像装置50によって行われる。遺失物管理サーバ、すなわち、管理者端末装置40は、撮像装置50が撮影した遺失物の物体指紋の画像データを照合装置20に送る。照合装置20は、利用者情報管理装置10に利用者が送信した物体指紋と、忘れ物センターの撮像装置50が撮影した物体指紋を照合し、物体指紋が類似する画像データがあるかを確認する。物体指紋が互いに類似する画像データがあったとき、撮像装置50が撮影した物体指紋に対応する遺失物は、利用者が利用者端末装置30から送信した物体指紋に対応した物体と一致し、利用者の所有物であると判断される。
【0072】
利用者が忘れ物や落し物に気づいたときに対象の物体の情報を利用者情報管理装置10に通知する図11のような構成に、本実施形態の管理システムを適用した場合の動作について説明する。
【0073】
図12は、図6に示す管理者端末装置40の動作フローを示す図である。図13は、図4に示す利用者情報管理装置10の動作フローを示す図である。また、図14は、図5に示す照合装置20の動作フローを示す図である。
【0074】
始めに利用者は利用者端末装置30のカメラを操作して所持品の物体指紋の情報を登録する。利用者は、利用者端末装置30に利用者自身の名前や連絡先を入力する。利用者の名前や連絡先は、利用者端末装置30にあらかじめ保存されている情報が用いられてもよい。利用者が入力した情報は、利用者端末装置30内のデータ保存部に保存される。複数の物体の画像データを保存する場合には、上記の動作が繰り返される。
【0075】
一方、撮像装置50は、保管品の物体指紋を撮影し、保管品である物体61の物体指紋の画像データを管理者端末装置40に送る。物体61の物体指紋を撮影すると、撮像装置50は、物体指紋の画像データを管理者端末装置40に送る。物体指紋を撮影するときに、物体指紋の画像データに物体61を識別する識別情報が関連付けられてもよい。例えば、物体61をトレーに載せて搬送し、トレーの識別情報を物体61の識別情報としてもよい。そのような構成とする場合には、トレーの情報は、トレーに付加されたICチップやバーコードなどをリーダで読み取ることで取り込まれる。また、物体指紋と同時に、物体61の全体の撮像が行われてもよい。物体61の全体の撮像を行うことで、物体61の種類の分類を行うことができる。
【0076】
図6図12において、保管品の物体指紋のデータは、画像データ入力部41に入力される。物体指紋の画像データを取得すると(ステップS61)、画像データ入力部41は、物体指紋の画像データを物体管理部42に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、物体管理部42は、物体指紋の画像データをデータ保存部43に保存する(ステップS62)。
【0077】
利用者端末装置30の利用者は自身の所有品の所在が不明となったとき、利用者端末装置30の操作部を操作して不明となった所持品の画像データを選択する。利用者端末装置30は、照合要求と、画像データを利用者情報管理装置10に送信する。
【0078】
利用者情報管理装置10に送られた照合要求および利用者の所持品の物体指紋の画像データは、利用者情報管理装置10の利用者情報入力部11に入力される。図4図13において、照合要求および物体指紋の画像データを取得すると(ステップS71)、利用者情報入力部11は、利用者の情報および利用者の所持品の物体指紋の画像データを利用者情報管理部12に送る。
【0079】
照合要求および利用者の所持品の物体指紋の画像データを受け取ると、利用者情報管理部12は、利用者の所持品の物体指紋の画像データと画像データに添付されている利用者の情報を利用者情報保存部13に保存する(ステップS72)。
【0080】
物体指紋の画像データを保存すると、物体管理部42は、物体指紋の画像データと、照合の要求を画像データ送信部44に送る。物体指紋の画像データと、照合の要求を受け取ると、物体管理部42は、物体指紋の画像データと、照合の要求を照合装置20に送る(ステップS73)。
【0081】
利用者情報管理装置10から遅れてくる物体指紋の画像データと、照合の要求は、照合装置20の照合要求入力部21に入力される。図5図14において、物体指紋の画像データと、照合の要求を取得すると(ステップS81)、照合要求入力部21は、物体指紋の画像データと、照合の要求を照合部23に送る。物体指紋の画像データと、照合の要求を受け取ると、照合部23は、物体指紋の画像データをデータ保存部25に保存する。物体指紋の画像データを保存すると、照合部23は、データ取得部22に管理者端末装置40が保持している物体指紋の画像データを要求する。
【0082】
物体指紋の画像データの要求を受け取ると、データ取得部22は、管理者端末装置40に物体指紋の画像データの要求を送る。
【0083】
図6図12において、物体指紋の画像データの要求は、情報入力部45に入力される。物体指紋の画像データの要求を取得すると(ステップS63)、情報入力部45は、物体指紋の画像データの要求を物体管理部42に送る。物体指紋の画像データの要求を受け取ると、物体管理部42は、データ保存部43から物体指紋の画像データを読み出して画像データ送信部44に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、画像データ送信部44は、物体指紋のデータを照合装置20に送る(ステップS64)。照合結果を受け取ってない状態で(ステップS65でNo)、保存している物体指紋の画像データのうち未送信の画像があるとき(ステップS67でYes)、ステップS64に戻り、物体指紋の画像データの送信の処理が繰り返される。保存している物体指紋の照合装置20への送信が完了したとき(ステップS67でNo)、物体指紋の画像データの照合装置20への送信を終了する。
【0084】
照合装置20に送られた物体指紋の画像データは、データ取得部22に入力される。図5図14において、保管品の物体指紋の画像データを受け取ると(ステップS82)、データ取得部22は、物体指紋の画像データを照合部23に送る。
【0085】
照合部23は、管理者端末装置40から送られてきた物体指紋の画像データとデータ保存部25に保存した利用者の所有物の物体指紋の画像データを照合する(ステップS83)。利用者の所有物の物体指紋と、管理者端末装置40から送られてきた物体指紋が類似しているとき(ステップS84でYes)、照合部23は、照合結果通知部24を介して利用者情報管理装置10および管理者端末装置40に物体指紋が類似していることを示す照合結果を送信する(ステップS85)。照合部23は、利用者情報管理装置10に送る照合結果に利用者の所有物が保管されている場所の情報を関連付けて送信する。また、照合部23は、管理者端末装置40に送る照合結果に利用者情報を関連付けて送信する。
【0086】
図4図13において、照合結果を受け取ると(ステップS74)、利用者情報管理装置10の利用者情報管理部12は、データ出力部14を介して管理者端末装置40に照合結果を送信する(ステップS75)。
【0087】
また、図5図14において、ステップS83で利用者の所有物の物体指紋と、管理者端末装置40から送られてきた物体指紋が類似していなかったとき(ステップS84でNo)、照合部23は、未照合の画像データがあるかを確認する。未照合の画像データがあるとき(ステップS86でYes)、ステップS82に戻り、照合部23は、次に管理者端末装置40から送られてくる物体指紋とデータ保存部25に保存した物体指紋を比較する動作を繰り返す。
【0088】
未照合の画像データがなく、全ての画像データについて照合を行っても類似するものがなかったとき(ステップS86でNo)、照合部23は、物体指紋が類似している物体の画像データが無かったことを示す照合結果を照合結果通知部24に送る。
【0089】
照合結果を受け取ると、照合結果通知部24は、物体指紋が類似している物体の画像データがなかったことを示す照合結果を利用者情報管理装置10に送信する(ステップS87)。
【0090】
図6図13において、照合装置20から照合結果を受け取ると(ステップS74)、利用者情報管理装置10の利用者情報管理部12は、データ出力部14を介して管理者端末装置40に照合結果を送信する(ステップS75)。
【0091】
照合結果を受け取ると、利用者端末装置30は、表示部に照合結果を出力する。照合結果が所有物に一致するものがあることを示す結果であったとき、利用者端末装置30は、保管されている場所の情報を表示部に表示する。また、照合結果が所有物に一致するものが無いことを示す結果であったとき、利用者端末装置30は、所有物が見つからなかったことを示す情報を表示部に表示する。
【0092】
照合結果を受け取ると(ステップS65でYes)、物体管理部42は画像データの送信を停止する。また、物体管理部42は、照合結果に含まれる所有者の情報を、照合結果出力部46を介して作業者に通知する。
【0093】
上記の図11のような構成において、利用者が忘れ物等の遺失物の発生に気づいたときに照合の要求が行われる構成とすることで、一定期間内に発生した遺失物と、利用者から通知のあった遺失物に照合対象を絞り込むことができる。そのため、物体指紋の照合に要する処理量を低減し、所有者を特定することが可能になる。
【0094】
図11のような構成において、利用者端末装置30で撮影された物体指紋の画像データは、利用者情報管理装置10または記憶装置を有するその他のサーバにあらかじめ登録されていてもよい。そのような構成とする場合には、利用者は、遺失物に気がついたときにあらかじめ登録されている物体の中から探したい物体を選択し、利用者情報管理装置10に探したい対象の物体の情報を送信する。また、そのような構成とした場合に、利用者側から照合の要求が無い場合に、管理者端末装置40側からの要求に応じて照合が行われてもよい。
【0095】
本実施形態の管理システムは、遺失物が発生したとき、所有者が失くしたことに気づかなくても、物体の物体指紋のデータが登録されていることで所有者に遺失物の発生や保管が行われていることを通知することができる。そのため、遺失物の保管に要する場所や費用を抑制することができる。また、同一のデザインや同様のデザインの物体が遺失物として同時に存在した場合にも、どの物体がどの人物のものかを特定するために要する作業量を抑制することができる。また、同一のデザインや同様のデザインの物体が遺失物として同時に存在した場合にも、他の人物と混同することなく正しい所有者に返却できるようになる。
【0096】
上記の例では、駅、すなわち、鉄道事業者における忘れ物センターを例に説明したが、本実施形態の管理システムは、鉄道以外のバス、航空および船舶など他の交通機関における遺失物の管理に用いることもできる。また、交通機関だけでなく、公共施設、商業施設、競技場および文化施設など多数の人が利用する施設における物体管理において特に効果を発揮する。また、施設内だけでなく行政機関において、公共スペースにおける遺失物管理に用いることもできる。
【0097】
本実施形態の管理システムは、車、鉄道、航空機などの脱落しやすい部品について車両や機体の識別情報とともに実際に使われている部品の物体指紋を登録しておくことで、落下物の発生源の特定に用いることができる。そのような用途で用いることで、落下物の責任の所在の明確化を行うことができ、また、部品が落下したまま運行が続けられることを抑制し安全性を向上することもできる。
【0098】
上記の例では、管理者端末装置40は、1箇所のみに設置されているが、管理者端末装置40は、別の事業者や同一の事業者の異なる施設など複数個所に設置され、それぞれが照合装置20に照合を要求する構成であってもよい。また、利用者情報管理装置10が複数、設置され照合装置20が各利用者情報管理装置10にアクセスして照合に用いる物体指紋の画像データを取得してもよい。利用者情報管理装置10、照合装置20および管理者端末装置40の全て、または、いずれか2つの装置は、同じ場所に設置されていてもよく、また、一体の装置として設置されていてもよい。
【0099】
本実施形態の管理システムは、利用者端末装置30から送られた物体指紋と、撮像装置50によって撮影され管理者端末装置40から送られた物体指紋が照合装置20において照合されている。照合装置20において物体指紋が類似するとの照合結果が得られたとき、利用者端末装置30から送られた物体指紋に対応する物体と、撮像装置50によって撮影され管理者端末装置40から送られた物体指紋に対応する物体は、同一の物体であるとみなすことができる。そのため、物体指紋を照合することで、撮像装置50が物体指紋を撮影した物体の所有者は、利用者端末装置30であることを判別できる。
【0100】
また、本実施形態の管理システムは、物体の表面形状を撮影し取得した物体指紋の画像データを得ればよいため、利用者等に高いスキルは要求されない。また、物体固有の紋様を用いているため、同一種類の物体であっても、個々の物体を判別することができる。そのため、本実施形態の管理システムを用いることで、複雑な作業を必要とすることなく物体の所有者を特定することができる。
【0101】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図15は、本実施形態の管理システムの構成を示す図である。本実施形態の管理システムは、入退場装置70と、物体管理装置80と、照合装置90を備えている。第2の実施形態では、所有者の手元から離れた物体の所有者を特定していた。本実施形態の管理システムは、入退場が管理されている区域からの退場者が所持している物体が、その人物が入場時に持っていた物体と同一であるかを物体指紋の照合によって特定し、所持品が同一であるかによって入退場の管理を行うゲートを制御することを特徴とする。
【0102】
本実施形態の管理システムの各装置の構成について説明する。
【0103】
〔照合装置〕
入退場装置70の構成について説明する。図16は、入退場装置70の構成を示す図である。入退場装置70は、ゲート71と、入場側読取部72と、入場側撮像部73と、退場側読取部74と、退場側撮像部75と、ゲート制御部76、入場側扉77と、退場側扉78を備えている。
【0104】
ゲート71は、扉の開閉によって管理されている区域内への入場および管理されている区域からの退場を管理する入退場装置の本体部である。
【0105】
入場側読取部72は、入場者のIDを読み取る。入場側読取部72は、入場者が読み取り部にかざす非接触型のICカードから入場者のIDを読み取る。入場側読取部72は、ICカード固有の識別番号を読み取ってもよい。入場側読取部72は、近距離無線通信によってICカードから情報の読み取りを行う。入場側読取部72は、ICカードに代えて、2次元バーコードなどで示された識別情報を光学的に読み取る構成であってもよい。
【0106】
入場側撮像部73は、入場者が所持している物体の物体指紋を撮影する。入場側撮像部73は、CMOSイメージセンサを用いたカメラによって構成されている。
【0107】
退場側読取部74は、退場者のIDを読み取る。退場側読取部74は、退場者が読み取り部にかざす非接触型のICカードから退場者のIDを読み取る。退場側読取部74は、ICカード固有の識別番号を読み取ってもよい。退場側読取部74は、近距離無線通信によってICカードから情報の読み取りを行う。退場側読取部74は、ICカードに代えて、2次元バーコードなどで示された識別情報を光学的に読み取る構成であってもよい。また、入場側読取部72および退場側読取部74は、顔認証など生体認証によって入場者および退場者の特定を行ってもよい。
【0108】
退場側撮像部75は、退場者が所持している物体の物体指紋を撮影する。退場側撮像部75は、CMOSイメージセンサを用いたカメラによって構成されている。
【0109】
ゲート制御部76は、入場側扉77および退場側扉78の開閉を制御することで入退場の管理を行う。ゲート制御部76は、入場側読取部72、入場側撮像部73、退場側読取部74および退場側撮像部75が取得した各データを物体管理装置80に送る。また、ゲート制御部76は、物体管理装置80から入場者と退場者の所持品が一致したかの照合結果を受け取る。
【0110】
ゲート制御部76は、単数または複数の半導体装置を用いて構成されている。ゲート制御部76における処理は、CPU上のコンピュータプログラムを実行することで行われてもよい。
【0111】
入場側扉77および退場側扉78は、開閉によって入場者と退場者の通行の可否を管理する。
【0112】
図16に示した構成では、入場側と退場側のゲートが別になっているが入場と退場は同一の通行レーンにおいて双方向から行われる構成であってもよい。また、入場側のゲートと退場側のゲートは、離れた位置に設置されていてもよい。そのような構成とする場合には、ゲート制御部76は、入場側、退場側のそれぞれに備えられていてもよい。
【0113】
〔物体管理装置〕
物体管理装置80の構成について説明する。図17は、物体管理装置80の構成を示す図である。物体管理装置80は、入場者情報取得部81と、情報管理部82と、入場者情報保存部83と、退場者情報取得部84と、照合要求部85と、照合結果入力部86と、確認結果出力部87を備えている。
【0114】
入場者情報取得部81は、入場者の識別情報と入場者の所持品の物体指紋の画像データを入退場装置70から取得する。
【0115】
情報管理部82は、入場者の識別情報と、入場者の所持品の物体指紋の画像データを関連づけて入場者情報保存部83に保存する。情報管理部82は、退場者の識別情報に対応する識別情報の入場者の所持品の物体指紋と、退場者の所持品の物体指紋の照合を照合装置90に要求する。情報管理部82は、照合装置90から送られている照合結果を基に、退場者の所持品と入場者の所持品が一致しているかを判断する。情報管理部82は、退場者が所持している物体の物体指紋と物体指紋が一致しているとの照合結果を受け取り、識別情報を特定する。このとき、情報管理部82は、退場者の所持品は、特定した識別情報に対応する入場者の所持品と同一の物体であると判断する。
【0116】
入場者情報保存部83は、入場者の識別情報と、入場者の所持品の物体指紋の画像データを保存する。
【0117】
退場者情報取得部84は、退場者の識別情報と、退場者の所持品の物体指紋の画像データを入退場装置70から取得する。
【0118】
照合要求部85は、退場者の識別情報と識別情報が一致する入場者の所持品の物体指紋の画像データと、退場者の所持品の物体指紋の画像データを照合装置90に送信し、2つの画像データの物体指紋の照合を要求する。
【0119】
照合結果入力部86は、退場者の識別情報と識別情報が一致する入場者の所持品の物体指紋と、退場者の所持品の物体指紋の照合結果を照合装置90から取得する。
【0120】
確認結果出力部87は、入場時と退場時の所持品の一致の有無の判断結果を入退場装置70に送信する。
【0121】
入場者情報取得部81、情報管理部82、退場者情報取得部84、照合要求部85、照合結果入力部86および確認結果出力部87における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、ハードディスクドライブに記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。
【0122】
入場者情報保存部83は、不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブなどの記憶装置またはそれらの記憶装置の組み合わせによって構成されている。
【0123】
〔照合装置〕
照合装置90の構成について説明する。図18は、照合装置90の構成を示す図である。照合装置90は、照合要求入力部91と、照合部92と、照合結果出力部93を備えている。
【0124】
照合要求入力部91は、入場時の所持品の物体指紋の画像データと、退場時の所持品の物体指紋の画像データの入力を受け付ける。照合要求入力部91は、受け取った画像データを照合部92に出力する。
【0125】
照合部92は、入場時の所持品の物体指紋と、退場時の所持品の物体指紋を照合し、類似の有無を判定する。照合部92は、入場時の物体指紋の画像と退場時の物体指紋が類似しているかを照合し、類似している場合に第2の物体指紋が対応する物体の所有者は、第1の物体指紋に対応する物体の所有者と一致するとみなし、第1の物体指紋の画像データに関連付けられている識別情報を特定する。照合部92は、照合結果を照合結果出力部93に出力する。
【0126】
照合結果出力部93は、入場時の所持品の物体指紋と、退場時の所持品の物体指紋の一致の有無の照合結果を物体管理装置80に送る。
【0127】
照合要求入力部91、照合部92および照合結果出力部93における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、ハードディスクドライブに記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。
【0128】
〔動作説明〕
本実施形態の管理システムの動作について説明する。図19は、図16に示す入退場装置70の動作フローを示す図である。図20は、図17に示す物体管理装置80の動作フローを示す図である。また、図21は、図18に示す照合装置90の動作フローを示す図である。
【0129】
利用者は、ICカードを入場側読取部72にかざす。入場側読取部72は、ICカードの識別情報またはICカードに記録された利用者の識別情報を読み取る。識別情報を読み取ると、入場側読取部72は、識別情報を、ゲート制御部76に送る。
【0130】
また、利用者は、所持品を入場側撮像部73のカメラにかざす。図16図19において、入場側撮像部73は、所持品の物体指紋を撮影し画像データを取得する(ステップS91)。物体指紋を撮影すると、入場側撮像部73は、物体指紋の画像データをゲート制御部76に送る。
【0131】
識別情報と物体指紋の画像データを受け取ると、ゲート制御部76は、入場側扉77を制御して、扉を開いた状態にし、利用者が入場すると扉を閉じる。また、ゲート制御部76は、識別情報と物体指紋の画像データを入場者情報として物体管理装置80に送信する(ステップS92)。
【0132】
入場者情報は、物体管理装置80の入場者情報取得部81に入力される。図17、20において、入場者情報を取得すると(ステップS101)、入場者情報取得部81は、入場者情報を情報管理部82に送る。入場者情報を受け取ると、情報管理部82は、入場者情報を入場者情報保存部83に保存する(ステップS102)。
【0133】
次に利用者が退場する場合の動作について説明する。利用者は、ICカードを退場側読取部74にかざす。退場側読取部74は、ICカードの識別情報またはICカードに記録された利用者の識別情報を読み取る。識別情報を読み取ると、退場側読取部74は、識別情報を、ゲート制御部76に送る。また、利用者は、所持品を退場側撮像部75のカメラにかざす。図16図19において、退場側撮像部75は、所持品の物体指紋を撮影し画像データを取得する(ステップS93)。物体指紋を撮影すると、退場側撮像部75は、物体指紋の画像データをゲート制御部76に送る。識別情報と物体指紋の画像データを受け取ると、ゲート制御部76は、識別情報と物体指紋の画像データを退場者情報として物体管理装置80に送信する(ステップS94)。
【0134】
退場者情報は、物体管理装置80の退場者情報取得部84に入力される。図17、20において、退場者情報を取得すると(ステップS103)、退場者情報取得部84は、入場者情報を情報管理部82に送る。退場者情報を受け取ると、情報管理部82は退場者情報の識別情報と識別情報が一致する入場者の物体指紋の画像データを入場者情報保存部83から読み出す。
【0135】
入場者の物体指紋の画像データを読み出すと、情報管理部82は、識別情報が関連付けられた入場者の物体指紋の画像データと、識別情報が関連付けられた退場者の物体指紋の画像データと、2つの画像データの照合の要求を照合要求部85に送る。物体指紋の画像データ等を受け取ると、照合要求部85は、物体指紋の画像データおよび識別情報と照合要求を照合装置90に送る(ステップS104)。
【0136】
物体指紋の画像データは、照合装置90の照合要求入力部91に入力される。図18、21において照合対象の物体指紋の画像データを取得すると(ステップS111)、照合要求入力部91は、画像データを照合部92に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、照合部92は、入場時の物体指紋の画像と退場時の物体指紋の画像を照合し、類似の有無を判断する(ステップS112)。照合部92は、入場時の物体指紋の画像と退場時の物体指紋が類似しているかを照合し、類似している場合に第2の物体指紋が対応する物体の所有者は、第1の物体指紋に対応する物体の所有者と一致するとみなし、第1の物体指紋の画像データに関連付けられている入場者または退場者の識別情報を特定する。
【0137】
物体指紋の画像データを照合すると、照合部92は、物体指紋の類似の有無と識別情報の特定結果を含む照合結果と照合結果出力部93に送る。照合結果を受け取ると、照合結果出力部93は、照合結果を物体管理装置80に出力する(ステップS113)。
【0138】
照合結果は、照合結果入力部86に入力される。図17、20において、照合結果を取得すると(ステップS105)、照合結果入力部86は、照合結果を情報管理部82に送る。照合結果を受け取ると、情報管理部82は、照合結果を参照し、入場時と退場時の所持品が一致しているかを確認する。
【0139】
2つの画像データの物体指紋が類似しているとき(ステップS106でYes)、情報管理部82は入場時と退場時の所持品が一致していることを示すこと示す照合結果の通知を、入退場装置70に確認結果出力部87を介して送信する(ステップS107)。2つの画像データの物体指紋が類似していないとき(ステップS106でNo)、情報管理部82は入場時と退場時の所持品の不一致を示す照合結果の通知を、入退場装置70に確認結果出力部87を介して送信する(ステップS108)。
【0140】
図16図19において、物体指紋の照合による所持品の一致の有無の確認結果を取得すると(ステップS95)、ゲート制御部76は、所持品の一致の有無を確認する。所持品が一致していたとき(ステップS96でYes)、ゲート制御部76は、退場側扉78を制御して、扉を開いた状態にし、退場者を通過させ、退場者が退場するとゲートを閉じる(ステップS97)。
【0141】
所持品が一致していないとき(ステップS96でNo)、ゲート制御部76は、退場側扉78の扉を閉じた状態で維持して退場者の退場を不許可とし、退場者に所持品が一致していないことを通知する(ステップS98)。所持品が一致していないときに、ゲート制御部76は、アラートを発して、退場を不許可とする退場者であることを管理者に通知する制御を行ってもよい。
【0142】
図22は、本実施形態の管理システムの適用例を模式的に示した図である。図22の例は、鉄道の駅の改札に管理システムを適用したものである。図22の例では、入場時に入場者の識別情報が運賃の支払い用のICカードから読み取られ、入場者の所有物の物体指紋に紐づけられて保存されている。また、退場時は、同じICカードから退場者の識別情報が読み取られ、退場者の所有物の物体指紋が取得される。識別情報が一致する入場者の所有物の物体指紋と、退場者の所有物の物体指紋が照合され、物体指紋が類似し、退場者の所有物と入場者の所有物が一致している場合には退場者の退場が認められる。また、退場時の所有物が入場時と一致していないものがあるときは、所有物に不足しているものがあることが退場者に通知される。
【0143】
このように入退場者の所持品を管理することで、入場時に所持していた物体を区域内に置き忘れたまま退場することを防ぐことができる。また、入場時に所持していた物体とは異なる物体を所持して退場することを防ぐことができる。
【0144】
また、図23は、本実施形態の所持品の管理システムを変形して適用した例を模式的に示した図である。図23の構成では、入場者の所持品の物体指紋の画像データは、入場者の端末装置を介してあらかじめ保存されている。図23の構成では、あらかじめ保存されている入場者の所持品の物体指紋の画像データは、記憶装置を有するサーバに保存され、物体管理装置80とネットワークを介して接続されている。入場者の所持品の物体指紋の画像データは、物体管理装置80に保存されていてもよい。
【0145】
図23の構成では、退場時に取得した物体指紋とあらかじめ登録されている入場者の所有物の物体指紋を照合し、物体指紋が類似している場合には、所有物が一致しているとして退場者の退場が認められる。また、退場時の所有物の物体指紋が登録された物体指紋と類似していないものがあるときは、所有物に不足しているものがあることが退場者に通知される。図23の構成では、入場時に物体指紋の画像データを取得する必要がないため、入場時の動作を簡略化することができる。また、ある区域への入場を2段階のゲートで管理し、1段階目のゲートで物体指紋の画像データを取得し、2段階目のゲートは、1段階のゲートから物体指紋の画像データを引き継ぎ、退場時に撮影される物体指紋との照合が行われてもよい。
【0146】
図22および図23は、駅、すなわち、鉄道事業者における入退場を例としているが、本実施形態の管理システムは、鉄道以外のバス、航空および船舶など他の交通機関における入退場者の所持品の管理に用いることもできる。特に航空機への持ち込み品の管理など高いセキュリティ水準が要求される用途においてより効果が高い。また、航空機は鉄道など入場時のゲートと退場時のゲートが互いに離れたところに設置されている場合にも適用することができる。また、本実施形態の管理システムは、航空機などにおける預け入れの手荷物の受け入れと、払い出しなど人物の入場が荷物と同時でない場合に適用してもよい。
【0147】
また、本実施形態の管理システムは、交通機関だけでなく、公共施設、商業施設、競技場および文化施設など多数の人が利用する施設における入退場者の所持品の管理に適用することもできる。また、入場者が所持しているものと、入退場を管理する区域内にあるものが同種類または類似の物体であったときに、入場時と退場時の所持品の物体指紋を照合することで摩り替えや誤りによる入場者の所持品以外の持ち出しを防ぐことができる。
【0148】
本実施形態の管理システムは、工場や機器のメンテナンスのための工具の持ち込みの管理に適用することもできる。例えば、工場の機械や輸送機器のメンテナンスなどを行うとき、作業を行う区域への入場時または事前に、持ち込む工具の物体指紋を取得し、退場時に所持品から取得する物体指紋と照合することで、入場時に持っていたものを持ち出したかを判断することができる。そのような構成とすることで、工場の機械や輸送機器内に工具が置き忘れられることによる不具合の発生を防ぐことができる。また、そのような構成とする場合に、毎回、同じ工具を持ち込む場合には、あらかじめ登録された物体指紋の画像データと、退場時に撮影された物体指紋の画像データを用いて照合することで入場時の利便性が向上する。
【0149】
本実施形態の管理システムは、競技場などで入場時にペットボトルなど所持品の物体指紋を取得し、投げ込まれたり放棄されたペットボトルなどが発生したときに、投げ込みや放棄を行った人物を特定する用途に適用することもできる。
【0150】
本実施形態の管理システムは、飲食店などにおける靴の管理に用いることもできる。例えば、入店時に利用者の識別情報と、各利用者が脱いだ靴の物体指紋の画像を取得し、関連づけて保存し、退場時に各利用者の識別情報と受け取る靴の物体指紋を用いて照合することで靴を間違えて帰るのを防ぐことができる。靴は、デザインが似ているものや同一のものが多いため、物体指紋の照合によって物体の一致の有無を判断することで管理の正確性と効率が向上する。また、本実施形態の管理システムは、同様にホテル、飲食店、その他の施設におけるクロークにおいて、コートやバッグなどを管理する場合にも適用することができる。靴の管理やクロークでの管理を行う場合には、ゲートによる入退場管理は行われなくてもよい。
【0151】
物体管理装置80と、照合装置90を別の装置としているが、2つの装置は一体の装置として構成されていてもよい。
【0152】
本実施形態の管理システムは、入退場装置70において取得した入場者の所持品の物体指紋と退場者の所持品の物体指紋を照合装置90において照合し、物体管理装置80において入場時と退場時で同一の物体を所持しているのかを判断している。また、本実施形態の管理システムは、物体固有の物体指紋を用いて照合を行っているため、同一の種類の物体であっても個々の物体を識別することができる。そのため、似たような物体と同一のものと誤認することなく入場時と退場時で同一のものを保持しているのかを判断することができる。よって、本実施形態の管理システムを、入退場者の所持品の管理に適用することで、入場時に所持したものを所持していない状態や、入場時とは異なるものを所持した状態で退場することを防ぐことができる。
【0153】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図24は、本実施形態の管理システムの構成を示した図である。第3の実施形態では、入場者と退場者の所持品の物体指紋を照合して、入場時と退場時の所持品が一致するかの確認を行っていた。本実施形態の管理システムは、そのような構成に加え、あらかじめ登録された物体の中から、入場者が選択した情報を入場者の所持品の情報として用いることをとする。
【0154】
本実施形態の管理システムは、入退場装置100と、物体管理装置110、照合装置90と、利用者端末装置120を備えている。本実施形態の照合装置90の構成と機能は、第3の実施形態と同様である。よって、以下では、照合装置90の構成を示す図である図18も参照して説明を行う。
【0155】
〔入退場装置〕
入退場装置100の構成について説明する。図25は、入退場装置100の構成を示す図である。入退場装置100は、ゲート71と、入場側読取部101と、退場側読取部74と、退場側撮像部75と、ゲート制御部102と、入場側扉77と、退場側扉78を備えている。本実施形態の入退場装置100のゲート71、退場側読取部74、退場側撮像部75、入場側扉77および退場側扉78の構成と機能は、第3の実施形態の同名称の部位と同様である。
【0156】
入場側読取部101は、入場者の所持品リストを読み取る。入場側読取部101は、入場者が読み取り部にかざす利用者端末装置120から入場者の所持品リストを読み取る。入場側読取部101と利用者端末装置120は、例えば、NFC(Near Field Communication)規格に基づいた無線通信を行う。
【0157】
ゲート制御部102は、入場側扉77および退場側扉78の扉の開閉を制御することで入退場の管理を行う。ゲート制御部102は、入場側読取部101が取得した所持品リストのデータと、退場側読取部74および退場側撮像部75が取得した各データを物体管理装置110に送る。また、ゲート制御部102は、物体管理装置110から入場者と退場者の所持品が一致したかの照合結果を受け取る。
【0158】
ゲート制御部102は、単数または複数の半導体装置を用いて構成されている。ゲート制御部102における処理は、CPU上のコンピュータプログラムを実行することで行われてもよい。
【0159】
図25に示した構成では、入場側と退場側のゲートが別になっているが入場と退場は同一の通行レーンにおいて双方向から行われる構成であってもよい。また、入場側のゲートと退場側のゲートは、離れた位置に設置されていてもよい。そのような構成とする場合には、ゲート制御部102は、入場側、退場側のそれぞれに備えられていてもよい。
【0160】
〔物体管理装置〕
物体管理装置110の構成について説明する。図26は、物体管理装置110の構成を示す図である。物体管理装置110は、入場者情報取得部111と、情報管理部112と、入場者情報保存部83と、退場者情報取得部84と、照合要求部85と、照合結果入力部86と、確認結果出力部87を備えている。
【0161】
本実施形態の入場者情報保存部83、退場者情報取得部84、照合要求部85、照合結果入力部86および確認結果出力部87の構成と機能は、第3の実施形態の同名称の部位と同様である。
【0162】
入場者情報取得部111は、入場者の所持品リストを取得する。所持品リストは、入場者の識別情報と、入場者が所持品として持ち込む物体の物体指紋の画像データによって構成されている。
【0163】
情報管理部112は、所持品リストの入場者の識別情報と、物体指紋の画像データを入場者情報保存部83に保存する。情報管理部112は、退場者の識別情報に対応する識別情報の入場者の物体指紋と、退場者の所持品の物体指紋の照合を照合装置90に要求する。情報管理部112は、照合装置90から送られている照合結果を基に入場時と退場時の所持品が一致しているかを判断する。
【0164】
〔利用者端末装置〕
利用者端末装置120の構成について説明する。図27は、利用者端末装置120の構成を示す図である。利用者端末装置120は、撮像部121と、端末制御部122と、データ保存部123と、操作部124と、通信部125と、表示部126を備えている。
【0165】
撮像部121は、利用者の所有物の物体指紋を撮影する。撮像部121は、CMOSイメージセンサを用いて構成されている。撮像部121には、物体指紋を撮影できるものであれば、CMOS以外のイメージセンサが用いられてもよい。
【0166】
端末制御部122は、利用者端末装置120の制御全般を行う。端末制御部122は、利用者の選択結果に基づいて、所持品リストを生成する。所持品リストは、利用者の識別情報と、所持品の物体指紋のデータによって構成される。
【0167】
端末制御部122における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。各処理を行うコンピュータプログラムは、例えば、不揮発性の半導体記憶装置に記録されている。CPUは、各処理を行うコンピュータプログラムをメモリ上に読み出すことで実行する。
【0168】
データ保存部123は、撮像部121で撮影された物体指紋の画像データを保存する。また、データ保存部123は、利用者の名前や連絡先など情報を利用者情報として保存する。データ保存部123は、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。
【0169】
操作部124は、利用者の操作の入力を受け付ける。操作部124は、利用者の情報の入力、撮像部121による撮影時の操作および所持品リスト作成時の所持品の選択を行う際の入力を受け付ける。操作部124は、例えば、タッチパネル式の入力装置として表示部126と一体のモジュールとして形成されていてもよい。
【0170】
通信部125は、他の装置との通信を行う。通信部125は、例えば、近距離無線通信を行う。
【0171】
表示部126は、利用者端末装置120の操作に必要な情報の表示を行う。また、表示部126は、所持品リストを生成する際の物体の候補を表示する。表示部126は、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置を用いて構成されている。
【0172】
〔動作説明〕
本実施形態の管理システムの動作について説明する。図28は、図27に示す利用者端末装置120の動作フローを示す図である。図29は、図25に示す入退場装置100の動作フローを示す図である。図30は、図26に示す物体管理装置110の動作フローを示す図である。また、照合装置90の動作フローについては、図21を参照して説明する。照合装置90の構成については、図18を参照する。
【0173】
始めに、利用者は、利用者端末装置120の撮像部121のカメラを用いて、所有物の物体指紋を撮影する。撮像部121は、物体指紋を撮影すると、物体指紋の画像データを端末制御部122に送る。図27、28において、利用者の所有物の物体指紋の画像データを取得すると(ステップS121)、端末制御部122は、物体指紋の画像データをデータ保存部123に保存する(ステップS122)。複数の所有物の物体指紋の画像データが撮影された場合には、それぞれデータ保存部123に保存される。
【0174】
次に、利用者が管理システムによって管理されている区域内に入る場合の動作について説明する。利用者は、表示部126に表示される物体の候補の情報を参照し、操作部124を操作して、管理対象の区域に所持品として持ち込む物体を選択する。操作部124は、利用者が選択した物体の情報を端末制御部122に送る。所持品の選択結果を取得すると(ステップS123)、端末制御部122は、利用者が選択した物体の情報に対応する画像データをデータ保存部123から読み出す。画像データを読み出すと、利用者が所持品として持ち込む物体の識別情報と画像データを組み合わせたデータを所持品リストとして生成する(ステップS124)。複数の所持品がある場合には、所持品リストは、持ち込む物体のそれぞれの識別情報と画像データによって構成される。
【0175】
利用者は、入場側読取部101に利用者端末装置120をかざす。入場側読取部101にかざされたことを検知すると、端末制御部122は、所持品リストのデータを通信部125を介して入場側読取部101に送信する(ステップS125)。
【0176】
入場側読取部101は、通信部125から送信される所持品リストのデータを読み取る。入場側読取部101は、所持品リストのデータをゲート制御部102に送る。図25、29において、所持品リストのデータを取得すると(ステップS131)、ゲート制御部102は、入場側扉77を制御して、扉を開いた状態にし、入場者が入場すると扉を閉じる。また、ゲート制御部102は、所持品リストのデータを物体管理装置110に送る(ステップS132)。
【0177】
所持品リストのデータは、物体管理装置110の入場者情報取得部111に入力される。図26図30において、所持品リストのデータを取得すると(ステップS141)、入場者情報取得部111は、所持品リストのデータを情報管理部112に送る。入場者情報を受け取ると、情報管理部112は、所持品リストのデータに含まれている画像データを入場者情報保存部83に保存する(ステップS142)。
【0178】
次に利用者が退場する場合の動作について説明する。退場者は、利用者端末装置120を退場側読取部74にかざす。退場側読取部74は、利用者端末装置120から利用者の識別情報を読み取る。識別情報を読み取ると、退場側読取部74は、識別情報を、ゲート制御部102に送る。
【0179】
また、利用者は、所持品を退場側撮像部75のカメラにかざす。退場側撮像部75は、所持品の物体指紋を撮影する。物体指紋を撮影すると、退場側撮像部75は、物体指紋の画像データをゲート制御部102に送る。図25、29において、識別情報と物体指紋の画像データを取得すると(ステップS133)、ゲート制御部102は、識別情報と物体指紋の画像データを退場者情報として物体管理装置110に送る(ステップS134)。
【0180】
退場者情報は、物体管理装置110の退場者情報取得部114に入力される。図26図30において、退場者情報を取得すると(ステップS143)、退場者情報取得部84は、退場者情報を情報管理部112に送る。退場者情報を受け取ると、情報管理部112は退場者情報の識別情報と識別情報が一致する入場者の物体指紋の画像データを入場者情報保存部83から読み出す。
【0181】
入場者の所持品リストの画像データを読み出すと、入場者の所持品リストの物体指紋の画像データと、退場者の物体指紋の画像データを照合要求とともに照合要求部85に送る。
【0182】
物体指紋の画像データと照合要求を受け取ると、照合要求部85は、物体指紋の画像データと照合要求を照合装置90に送る(ステップS144)。
【0183】
物体指紋の画像データは、照合要求入力部91に入力される。図18、21において、照合対象の物体指紋の画像データを取得すると(ステップS111)、照合要求入力部91は、画像データを照合部92に送る。物体指紋の画像データを受け取ると、照合部92は、入場時の物体指紋の画像と退場時の物体指紋の画像を照合し、照合の有無を判断する(ステップS112)。
【0184】
物体指紋の画像データを照合すると、照合部92は、照合結果を照合結果出力部93に送る。照合結果を受け取ると、照合結果出力部93は、照合結果を物体管理装置110に送る(ステップS113)。
【0185】
照合結果は、物体管理装置110の照合結果入力部86に入力される。照合結果を受け取ると、照合結果入力部86は、照合結果を情報管理部112に送る。図26図30において、照合結果を受け取ると(ステップS145)、情報管理部112は、照合結果を参照し、入場時と退場時の所持品が一致しているかを確認する。
【0186】
2つの画像データの物体指紋が類似しているとき(ステップS146でYes)、情報管理部112は入場時と退場時の所持品が一致していることを示す照合結果を、入退場装置100に確認結果出力部87を介して送る(ステップS147)。2つの画像データの物体指紋が類似していないとき(ステップS146でNo)、情報管理部112は入場時と退場時の所持品の不一致を示す照合結果を、入退場装置100に確認結果出力部87を介して送る(ステップS148)。
【0187】
図25、29において、物体指紋の照合による所持品の一致の有無の確認結果を取得すると(ステップS135)、ゲート制御部102は、所持品の一致の有無を確認する。所持品が一致していたとき(ステップS136でYes)、ゲート制御部102は、退場側扉78を制御して、扉を開いた状態にし、退場者を通過させ、退場者が退場するとゲートを閉じる(ステップS137)。
【0188】
所持品が一致していないとき(ステップS136でNo)、ゲート制御部102は、退場側扉78の扉を閉じた状態で維持して退場者の退場を不許可とし、退場者に所持品が一致していないことを通知する(ステップS138)。所持品が一致していないときに、ゲート制御部76は、アラートを発して、退場を不許可とする退場者であることを管理者に通知する制御を行ってもよい。
【0189】
図31は、本実施形態の管理システムの適用例を模式的に示した図である。図31の例は、公共施設の入り口に管理システムを適用したものである。図31では、あらかじめ利用者の所有物の物体指紋の画像が撮影され、保存されている。図31の例では、利用者は、端末装置を操作して所持品リストを生成する。所持品リストは、所持品の物体指紋の画像データと利用者の識別情報によって構成されている。入場時に所持品リストが入退場装置側に送られ、入場者の所有物の物体指紋に紐づけられて保存されている。また、退場時は、同じ端末装置から退場者の識別情報が読み取られ、退場者の所持品の物体指紋が撮影されることで取得される。識別情報が一致する入場者の所有物の物体指紋と、退場者の所持品の物体指紋が照合され、類似している場合には、退場時に所持している物体が入場者の所有物と一致しているとして、退場者の退場が認められる。また、退場時に所持している物体に入場者の所有物と一致していないものがあるときは、退場者が所持している物体に不足しているものがあることが退場者に通知される。
【0190】
また、図32は、本実施形態の管理システムを変形して提供した例を模式的に示した図である。図32の例では、入場者の所持品の物体指紋の画像データは、図31と同様に所持品リストとして入退場装置側に送られる。図32の例では、退場時に所持している物体に入場時と一致していないものがあるときは、一致するまで退場を許可しない構成となっている。
【0191】
本実施形態の管理システムは、第3の実施形態と同様に交通機関、公共施設、商業施設、競技場および文化施設など多数の人が利用する施設における入退場者の所持品の管理に適用することもできる。
【0192】
本実施形態の管理システムは、工場や機器のメンテナンスのための工具の持ち込みの管理に適用することもできる。例えば、工場の機械や輸送機器のメンテナンスなどを行うとき、作業を行う区域への入場時または事前に、作業者が所有し、物体指紋の画像データが登録されている工具から持ち込む工具の所持品リストを生成することができる。所持品リストを読み取って入場し、退場時に所持品から取得する物体指紋と照合することで、入場時に持っていたものを持ち出したかを判断することができる。そのような構成とすることで、工場の機械や輸送機器内に工具が置き忘れられることによる不具合の発生を防ぐことができる。
【0193】
本実施形態の管理システムは、入場者の所持品リストに含まれる物体指紋と退場者の所持品の物体指紋を照合装置90において照合し、物体管理装置110において入場時と退場時で同一の物体を所持しているのかを判断している。そのため、本実施形態の管理システムは、頻繁に持ち込むような物体があらかじめ定まっていて、その中から入場ごとに持ち込むものが異なるような場合に適用することが適している。そのような場合に、入場時と退場時の照合をより簡略化して行うことができるため、本実施形態の管理システムは、所持品の管理を正確に行いつつ、入退場管理における利用者の利便性を向上することができる。
【0194】
第3の実施形態および第4の実施形態の管理システムは、退場時の確認のみに適用してもよい。例えば、外出時に必ず持っていくものをあらかじめ登録しておき、家や職場から出るときに、玄関や出入り口において登録された物体指紋と所持品の物体指紋を照合することで、所持品に不足がないかを確認してもよい。家の玄関などにおいて所持品の不足などを確認する場合には、ゲートによる入退場はなくてもよい。また、持ち出しを禁止されている物体の物体指紋をあらかじめ登録しておき、禁止されている物体を持ち出していないかを確認することもできる。そのような構成とすることで、外出時の所持品の不足を防止でき、また、同一の種類または類似の物体を所持している場合に、他人の物体を持ち出すことを防ぐことができる。また、退場時の確認のみに適用する場合に、あらかじめ登録された物体の中から所持品リストを作成して、外出時に所持品の過不足を確認してもよい。
【0195】
第3の実施形態の管理システムは、傘立てにおける傘の管理システムに用いることもできる。傘の管理システムでは、利用者が施設などへの入場時に傘立てに傘を置くときに、利用者が傘をカメラにかざすことで傘の物体指紋の取得が行われ、IDカードなどから読み取られる利用者の識別情報とともにデータが保存される。その際に、利用者の入退場の管理は省略されてもよい。利用者が傘立てから傘を持ち出す場合には、利用者が傘をカメラにかざすことで傘の物体指紋の取得が行われ、IDカードなどから読み取られる利用者の識別情報を基に、傘を置いたときの物体指紋との照合により、物体の一致の有無の確認が行われる。また、傘立ての確認システムにおいて、あらかじめ傘の物体指紋の画像データと所有者の識別情報が登録されている場合には、持ち出すときにのみ傘の物体指紋の取得が行われるようにしてもよい。傘は、同一のデザインや類似のデザインのものが多いため、第3の実施形態の管理システムから入退場管理の部分を簡略化して適用することで、管理の正確性と利便性を両立して傘を管理することができる。
【0196】
各実施形態の管理システムの各装置における処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。図33は、学習装置における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ200の構成の例を示したものである。コンピュータ200は、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、I/F(Interface)部204を備えている。
【0197】
CPU201は、記憶装置203から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。メモリ202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU201が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時保存される。記憶装置203は、CPU201が実行するコンピュータプログラムを保存している。記憶装置203は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置203には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。I/F部204は、管理システムの他の装置や管理対象のネットワークの端末等との間でデータの入出力を行うインタフェースである。コンピュータ200は、通信ネットワークを介して他の情報処理装置と通信を行う通信モジュールをさらに備えていてもよい。
【0198】
また、各処理に行うコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0199】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0200】
(付記1)
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得する第1のデータ取得手段と、
第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する第2のデータ取得手段と、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する照合手段と
を備える管理システム。
【0201】
(付記2)
前記第2の物体の表面紋様と表面紋様の特徴が類似している前記第1の物体の所有者の前記識別情報に関連付けられた情報を出力する結果出力手段をさらに備える付記1に記載の管理システム。
【0202】
(付記3)
複数の前記第1の物体それぞれの前記第1の画像データを保存するデータ保存手段をさらに備え、
前記照合手段は、保存された複数の前記第1の画像データの中から選択された前記第1の画像データと、前記第2の画像データを照合し、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する付記1または2に記載の管理システム。
【0203】
(付記4)
前記第2の物体を撮影し、前記第2の画像データを出力する第2の撮像手段と、
前記第2の画像データと前記第1の画像データの照合を前記照合手段に要求する物体管理手段と
をさらに備える付記1または2に記載の管理システム。
【0204】
(付記5)
第2のデータ取得手段は、前記第2の物体の所有者の識別情報をさらに取得し、
前記照合手段は、前記第2の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の物体の識別情報と識別情報が一致する前記第1の物体の表面紋様の特徴を照合する付記1に記載の管理システム。
【0205】
(付記6)
前記第1のデータ取得手段は、入場者が管理されている区域に前記第1の物体の所有者が入るとき、前記第1の物体の所有者の識別情報と、前記第1の物体の画像データを取得し、
前記第2のデータ取得手段は、前記区域からの退場者の識別情報を取得し、前記退場者が所持している物体の画像データを前記第2の物体の画像データとして取得する付記5に記載の管理システム。
【0206】
(付記7)
前記第1のデータ取得手段は、入場者が前記区域に持ち込む前記第1の物体の前記第1の画像データを、あらかじめ撮影された前記第1の画像データを基に生成されたリストとして取得する付記6に記載の管理システム。
【0207】
(付記8)
複数の物体の画像データを保存するデータ保存手段をさらに備え、
前記第1のデータ取得手段は、前記第1の物体の前記第1の画像データを、前記リストに基づいて前記データ保存手段に保存されている前記第1の画像データの中から読み出すことで取得する付記6または7に記載の管理システム。
【0208】
(付記9)
入場者が管理されている区域への入場と、前記区域からの退場を管理するゲートと、
前記管理システムの前記照合手段による照合結果に基づいて、前記ゲートを制御するゲート制御手段と
をさらに備える付記6から8いずれかに記載の管理システム。
【0209】
(付記10)
前記ゲート制御手段は、前記第1の物体の画像データと前記第2の物体の画像データが一致しないとき、退場者の退場を不許可とするように前記ゲートを制御する付記9に記載の管理システム。
【0210】
(付記11)
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得する入場者情報取得手段と、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得する退場者情報取得手段と、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合した結果に基づいて、ゲートを制御するゲート制御手段と
を備える管理システム。
【0211】
(付記12)
前記入場者情報取得手段は、前記入場者が所持している端末装置において選択されている前記第1の画像データを取得し、
前記退場者情報取得手段は、前記退場者が所持している物体の表面紋様を前記ゲートにおいて撮影した前記第2の画像データを取得する付記11に記載の管理システム。
【0212】
(付記13)
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得し、
第2の物体を撮影した第2の画像データを取得し、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する
を備える管理方法。
【0213】
(付記14)
前記第2の物体の表面紋様と表面紋様の特徴が類似している前記第1の物体の所有者の前記識別情報に関連付けられた情報を出力する付記13に記載の管理方法。
【0214】
(付記15)
複数の前記第1の物体それぞれの前記第1の画像データを保存し、
保存された複数の前記第1の画像データの中から選択された前記第1の画像データと、前記第2の画像データを照合し、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する付記13または14に記載の管理方法。
【0215】
(付記16)
前記第2の物体を撮影し、前記第2の画像データを出力し、
前記第2の画像データの送信側から前記第2の画像データと前記第1の画像データの照合を要求する付記13から15いずれかに記載の管理方法。
【0216】
(付記17)
前記第2の物体の所有者の識別情報をさらに取得し、
前記第2の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の物体の識別情報と識別情報が一致する前記第1の物体の表面紋様の特徴を照合する付記13に記載の管理方法。
【0217】
(付記18)
入場者が管理されている区域に前記第1の物体の所有者が入るとき、前記第1の物体の所有者の識別情報と、前記第1の物体の画像データを取得し、
前記区域からの退場者の識別情報を取得し、前記退場者が所持している物体の画像データを前記第2の物体の画像データとして取得する付記17に記載の管理方法。
【0218】
(付記19)
入場者が前記区域に持ち込む前記第1の物体の前記第1の画像データを、あらかじめ撮影された前記第1の画像データを基に生成されたリストとして取得する付記18に記載の管理方法。
【0219】
(付記20)
複数の物体の画像データを保存し、
前記第1の物体の前記第1の画像データを前記リストに基づいて、保存されている前記第1の画像データの中から読み出すことで取得する付記19に記載の管理方法。
【0220】
(付記21)
入場者が管理されている前記区域への入場と、前記区域からの退場を管理するゲートを照合結果に基づいて制御する付記18から20いずれかに記載の管理方法。
【0221】
(付記22)
前記第1の物体の画像データと前記第2の物体の画像データが一致しないとき、退場者の退場を不許可とするように前記ゲートを制御する付記21に記載の管理方法。
【0222】
(付記23)
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得し、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得し、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合した結果に基づいて、ゲートを制御する管理方法。
【0223】
(付記24)
前記入場者が所持している端末装置において選択されている前記第1の画像データを取得し、
前記退場者が所持している物体を前記ゲートにおいて撮影した前記第2の画像データを取得する付記23に記載の管理方法。
【0224】
(付記25)
物体の表面紋様を撮影した画像データを取得し、
複数の前記物体それぞれの前記画像データから所有物の照合に用いる前記物体の画像データの選択を受け付け、
選択された画像データの表面紋様を、別に撮影された物体の表面紋様の特徴と照合して物体の一致の有無を特定するための画像データとして出力する管理方法。
【0225】
(付記26)
第1の物体を撮影した第1の画像データと、前記第1の物体の所有者の識別情報を取得する処理と、
第2の物体を撮影した第2の画像データを取得する処理と、
前記第1の画像データにおける前記第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける前記第2の物体の表面紋様の特徴を照合することにより、前記第1の物体の所有者の前記識別情報を特定する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
【0226】
(付記27)
入場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第1の画像データを取得する処理と、
退場者が所持している物体の表面紋様を撮影した第2の画像データを取得する処理と、
第1の画像データにおける第1の物体の表面紋様の特徴と、前記第2の画像データにおける第2の物体の表面紋様の特徴を照合し、ゲートを制御するための照合結果を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
【0227】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0228】
1 第1のデータ取得部
2 第2のデータ取得部
3 照合部
10 利用者情報管理装置
11 利用者情報入力部
12 利用者情報管理部
13 利用者情報保存部
14 データ出力部
15 データ要求入力部
20 照合装置
21 照合要求入力部
22 データ取得部
23 照合部
24 照合結果通知部
25 データ保存部
30 利用者端末装置
40 管理者端末装置
41 画像データ入力部
42 物体管理部
43 データ保存部
44 画像データ送信部
45 情報入力部
46 照合結果出力部
50 撮像装置
61 物体
62 ベルトコンベア
70 入退場装置
71 ゲート
72 入場側読取部
73 入場側撮像部
74 退場側読取部
75 退場側撮像部
76 ゲート制御部
77 入場側扉
78 退場側扉
80 物体管理装置
81 入場者情報取得部
82 情報管理部
83 入場者情報保存部
84 退場者情報取得部
85 照合要求部
86 照合結果入力部
87 確認結果出力部
90 照合装置
91 照合要求入力部
92 照合部
93 照合結果出力部
100 入退場装置
101 入場側読取部
102 ゲート制御部
110 物体管理装置
111 入場者情報取得部
112 情報管理部
120 利用者端末装置
121 撮像部
122 端末制御部
123 データ保存部
124 操作部
125 通信部
126 表示部
200 コンピュータ
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 I/F部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33