IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 市光工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
  • 特許-車両用灯具 図3
  • 特許-車両用灯具 図4
  • 特許-車両用灯具 図5
  • 特許-車両用灯具 図6
  • 特許-車両用灯具 図7
  • 特許-車両用灯具 図8
  • 特許-車両用灯具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20240402BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240402BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20240402BHJP
   F21S 43/16 20180101ALI20240402BHJP
   F21S 43/40 20180101ALI20240402BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20240402BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240402BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240402BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20240402BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240402BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20240402BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20240402BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240402BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240402BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240402BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240402BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240402BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240402BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/145
F21S43/16
F21S43/40
F21S43/19
F21S43/27
F21V5/00 510
F21V5/00 610
F21V5/02 100
F21V5/04 650
F21V7/30
F21V9/32
F21V5/00 350
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022089293
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176808
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池之上翔
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-079423(JP,A)
【文献】特開2008-010228(JP,A)
【文献】特開2013-243028(JP,A)
【文献】特開2010-135198(JP,A)
【文献】特開2019-219438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21V 5/00
F21V 7/30
F21V 9/32
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/45
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記空間内に配置され、励起光を発する励起光源と、
前記空間内に前記励起光源に対応して配置され、前記励起光源から発せられた前記励起光を入射して、平行光もしくは平行光に近い光を出射光として出射する出射面を有する光学部材と、
前記空間内の前記光学部材からの光を受ける位置に配置されていて、前記励起光により発光する発光層を有し、前記発光層が発光パターンに基づき所定の形状に成形された光変換部材と、
を備え、
前記光学部材の前記出射面の形状であって、前記出射光の出射方向に対して反対方向から見た形状は、前記光変換部材の前記発光層の形状であって、前記出射光の出射方向から見た形状に基づいた形状に形成されてい
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
空間を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記空間内に配置され、励起光を発する励起光源と、
前記空間内に配置され、前記励起光源から発せられた前記励起光を入射して、平行光もしくは、平行光に近い光を出射する、前記励起光源に対応して設けられた光学部材と、
前記空間内に配置されていて、前記光学部材からの光を受ける位置に設けられ、発光パターンに基づき所定の形状に成形された光変換部材と、
を備え、
前記ランプレンズは赤色レンズであるか、あるいは、前記ランプレンズの外側に別個の赤色のアウターレンズを設けられていて、
複数の前記励起光源および前記光学部材が設けられ、複数の前記励起光源および前記光学部材は前記光変換部材の形状もしくは前記発光パターンの形状に対応する位置に設けられていて、
複数の前記励起光源は一枚の支持基板上に支持され、複数の前記光学部材は、アクリル樹脂から射出成形により一体成型された光学部材ユニットにより構成され、
前記光学部材ユニットにおいては、前記光学部材ユニットを前記支持基板に取り付けのためのねじ止め穴も射出成形により一体成型され
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
複数の前記励起光源および前記光学部材が設けられ、複数の前記励起光源および前記光学部材は前記光変換部材の形状もしくは前記発光パターンの形状に対応する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
数の前記励起光源は一枚の支持基板上に支持され、数の前記光学部材は、アクリル樹脂から出成形により一体成型された光学部材ユニットにより構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光学部材ユニットにおいては、前記光学部材ユニットを前記支持基板に取り付けのためのねじ止め穴も射出成形により一体成型される
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光学部材はコリメータレンズを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光学部材は、前記光学部材の出射部においてプリズムが設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記光学部材はフレネルレンズを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記光学部材は、前記光学部材の入射部においてプリズムが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記励起光源は青色の励起光を発する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記光変換部材は無機材料を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記光変換部材は有機材料を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記ランプレンズは、赤色レンズであるか、あるいは、前記ランプレンズの外側に別個の赤色のアウターレンズを設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無機もしくは有機の蛍光材料、フォトルミネッセンスを用いた良好な見栄えをもたらす車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
励起光源と、励起光源からの励起光が照射されることで生成光を発光する発光層と、発光層からの生成光を照射するレンズ部材とを備える車両用の車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2019/245030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両用灯具の原理を利用して、車両用灯具として機能する、より現実的な、良好な見栄えをもたらす車両用灯具は未だ開発されていない。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、見栄えに優れた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具の一側面は、空間を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、前記空間内に配置され、青励起光を発する励起光源と、前記空間内に配置され、前記励起光源から発せられた励起光を入射して、平行光もしくは、平行光に近い光を出射する、前記励起光源に対応して設けられた光学部材と、前記空間内に配置されていて、前記光学部材からの光を受ける位置に設けられ、発光パターンPに基づき所定の形状に成形された光変換部材と、を備え、前記ランプレンズは赤色レンズであるか、あるいは、前記ランプレンズの外側に別個の赤色のアウターレンズを設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車両用灯具は、優れた見栄えの車両用灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具110の全体を示す図である。
図2図2は、車両用灯具100の縦断面図である。
図3図3は、図3は光変換部材34の取り付けを説明するための図である。
図4図4は、光変換ユニット3を説明するための図である。
図5図5は、光学部材33の断面図である。
図6図6は、光変換部材を示す斜視図である。
図7図7は、光学部材および励起光源の配置を説明するための図である。
図8図8は、光学部材と光変換部材の位置関係を説明するための図である。
図9図9は、光学部材33の他の実施例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明に係る車両用灯具の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要件には、当業者が置換可能かる用いなもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、この実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。また、正面方向及び背面方向については、車両用灯具から光が出射される方向を正面方向とし、正面方向の反対方向を背面方向とする。
【0010】
(車両用灯具100の説明)
車両用灯具100は、この例では、車両(図示せず)の後部の左右両側にそれぞれ取り付けられているリアコンビネーションランプである。したがって、この実施形態1においては、正面方向が後方向(車両後方)であり、背面方向が前方向(車両前方)である。図1(a),(b),(c)はこのリアコンビネーションランプの全体を説明する図であり。図1(a)は車両に設けられたハウジング1の内部を示す図である。ハウジング1内にはテールランプ部101とターンランプ部102が収容される。図1(b)はテールランプ部101に内装される光変換ユニット3を示す図である。図1(C)はハウジング1にアウターレンズ2が嵌め込まれた状態を示す図である。図2はこの車両用灯具100の断面図である。ハウジング1内には、インナーハウジング5により区画されるテールランプ部101とターンランプ部102が設けられる。以下、テールランプ部101の構成を例にして、本発明の実施形態を説明する。テールランプ部101において、インナーハウジング5の天井面の下面側に設けられた光源部30と、光源部30からの光を受け、光変換して正面方向に光を放射する光変換部材34と、光変換部材34からの光を受け、アウターレンズ2を介して車両外部に光を放射するインナーレンズ40と、光時変換部材33を支持する支持部6が設けられる。光源部30は励起光源4から発せられる青色の光を平行な光、もしくは、平行に近い光として、光変換部材34に照射する。光変換部材34は励起光源4からの青色光を赤色光に変換し、インナーレンズ40およびアウターレンズ2に向けて変換した赤色光を放射する。インナーレンズ40およびアウターレンズ2は光変換部材34に対して正面方向に配置される。インナーレンズ40およびアウターレンズ2の少なくともいずれか一方は赤色レンズである。どちらかのレンズが赤色であれば、他方のレンズは透明レンズであってもよい。
【0011】
インナーレンズ40およびアウターレンズ2の少なくともいずれか一方は赤色レンズであるので、車両外部から車両用灯具100内に入る外部光に含まれる励起光成分は、インナーレンズ40若しくはアウターレンズ2によって吸収される。したがって、光変換部材34が外部の光に含まれる励起光成分によって、光を放射することを防ぐことができる。
【0012】
インナーハウジング5は、例えば黒色等の樹脂材料を用いて形成される。インナーハウジング5と、インナーレンズ40とにより、所定の空間が形成される。
【0013】
(支持部6、光変換部材34の説明)
図3図2中の光変換部材34がインナーハウジング5内において、どのように取り付けられかを示す図である。図3において、インナーハウジング5に取り付けられた支持部6は、接着シート7を介して光変換部材34を支持する。接着シート7はアクリル系の両面テープである。支持部6および接着シート7はその外形が光変換部材34の外形に沿った形状(相似形状)により形成される。支持部6および接着シート7の外形は光変換部材34の外形と同一形状、光変換部材34よりも小さい形状、光変換部材34よりも大きい形状であってもよい。なお、支持部6の外形は光変換部材34の外形の少なくとも一部が沿っている形状であっても良い。
【0014】
(光源部30の説明)
図4は光変換ユニット3を説明する図である。図4(a)において、光変換ユニット3は、光源部30と、基板35および発光層36からなる光変換部材35とを含む。光源部30は、励起光源4と、この励起光源4を支持する支持基板32と、励起光源4からの青色励起光を平行光もしくは平行に近い光に変換する光学部材33とを有する。図4(b)は、光学部材33を斜め下方向からみた図であり、その下面にプリズム331が設けられており、コリメータレンズ332の上部が見えている。
【0015】
支持基板32は、励起光源4を支持する。支持基板32はカバー31によって支持され、カバー31はハウジング1に支持される。励起光源4は例えばLED、有機EL等の光源である。励起光源4は、例えば光変換部材34の上方に配置され、光学部材33に向けて励起光を出射する。励起光源4は、励起光として青色光を出射する。なお、励起光源4としては、青色光を出射する光源に限定されず、光変換部材34において生成される生成光の波長に比べて短波長の光(紫色光、紫外光等)を照射可能な光源を用いることができる。
【0016】
(光学部材33の説明)
光学部材33は、励起光源4から放射された励起光を、制御して光変換部材34に入射させるレンズである。光学部材33は励起光源4に対向して設けられる。光学部材33は励起光源4からの励起光が入射する入射部と、入射した励起光を反射する反射部と、励起光を光変換部材34に出射する出射部を有する。入射部は励起光源4の個数に対応して設けられる。
【0017】
光学部材33は、入射部から入射した励起光を反射部で反射する。反射部は励起光を平行光として出射部側へ制御する。光学部材33はコリメータレンズ333を含む。図5は光学部材33の断面図である。図5において、説明のため、図2中の励起光源4と光学部材33との位置関係は上下さかさまに図示されている。コリメータレンズ333の光入射部は、その断面がM字型を呈しており、いわゆる、盃形状の入射面を有している。この盃形状の入射面に励起光源4からの発散する励起光が入射すると、コリメータレンズ333の出射面において光はほぼ平行な光となり、光変換部材34へと入射する。すなわち、図中、第一入射面から入射した光は、そのまま、ほぼ直進して光変換部材34の方向に進むが、第二入射面から入射した光は、一旦、レンズ側面で反射して光変換部材34の方向に進む。このようにして、ほぼ平行な光を光変換部材34に入射させることができる。
【0018】
さらに、図には示していないが、コリメータレンズ333の出射面334には、拡散プリズムが形成されていてもよい。拡散プリズムは魚眼プリズム等のプリズム形状であってもよい。このプリズムにより、一旦、平行光としたあとで、局所的にまんべんなく光をあらためて発散することができ、光変換部材34のパターンPを好適に照射することができる。
【0019】
(光変換部材34の説明)
光変換部材34は、正面方向に対して斜めに傾くように配置される。光変換部材34は、図2に示すように、励起光が光変換部材34に入射する入射角度に対して所定の傾きをもって設けられる。その角度は、例えば、0°より大きく、90°より小さい角度、好ましくは、5°乃至85°の範囲の任意の角度である。この角度が大きいほど、上方から見た場合の光変換部材34の面積が大きくなるため、光変換部材34が上方からの励起光の照射を受けやすくすることができる。これにより、効率的に生成光(2次光である赤色光)を発生させることができる。
【0020】
光変換部材34は、図3に示すように、インナーハウジング5の一部に取り付けられた支持部6に接着され、所要の角度により保持される。光変換部材34はアクリル系接着シートで支持部6に接着されている。なお、接着剤を用いて光変換部材34を支持部6に接着しても良い。
【0021】
図2において、励起光源4から放射された励起光は、光学部材33としてのインナーレンズにより、制御されて光変換部材34に入射する。なお、リフレクタを使用して、励起光源4から照射される励起光を、制御して光変換部材34に入射させても良い。
【0022】
(光変換部材34、保持部材35、発光層36、光反射材37の説明)
光変換部材34には、図4(a)に示されるような所定のパターンPが形成される。光変換部材34は、図6に示すように、基板35と発光層36とを有する。
【0023】
基板35はアルミ基板からなり、アルミ基板に発光層36を形成する。基板35は発光層36と同一の形状であり、所定のパターンPに形成されうる。説明を簡単にするために図7中、発光層36は正方形状に示されているが、発光層36の形成過程において、適宜なデザインマスクを施すことにより、所望の形状のパターンPの発光層36を形成することができる。なお、基板35はガラス等であっても良い。
【0024】
また、基板35は、ガラスを使用するか、アルミニウムを使用するかは、発光層36を形成するときの温度、あるいは、デザイン性により、決定される。基板35にアルミニウムを使用した場合には、発光層36からの光を反射する反射手段として機能する。
【0025】
さらに、その他の透明性基板もこの基板35として機能する。また、基板35にガラス、透明性基板を使用するときには、その背面にアルミニウム板を張り付ければ、このアルミニウム板が発光層36からの光を反射する反射手段として機能する。
【0026】
発光層36は、基板35の1面に保持される。発光層36は、励起光源4からの励起光が照射されることで励起して生成光(2次光である赤色光)を発光する。発光層36は、例えばテールランプの正面視における形状等に対応する形状に形成される。例えば、図4(a)に示すように、発光層36は、所定のパターンPを有する構成である。
【0027】
この実施形態において、発光層36としては、CASN(CaAlSiN:Eu)等の無機材料が用いられてもよい。この場合、シリコーン等の透明性樹脂とCASNとの混合材料を基板35上に塗布し、ベークすることにより無機発光層を形成することができる。また、低融点ガラス等の無機材料とCASNとの混合材料を基板35上に塗布し、ベークすることにより無機発光層を形成することができる。
【0028】
無機発光層は、例えば、透明性樹脂(例えば、シリコン(Silicone))とCASN:Eu(粉状の赤色発光体)との混合物を150°Cで焼結したものなどが考えられるが、この具体例に限られることなく、無機発光体として機能するものは、いかなる材料からなるものであっても、本発明の範囲内である。例えば、シリコンに蛍光体を混ぜてもよいし、エポキシに蛍光体を混ぜてもよい。
【0029】
無機発光層として無機材料を用いる場合、基板35は、例えばアルミニウム等の基板を用いることができる。また、無機発光層として、例えばSCASN(Sr、Ca)AlSiN:Eu等の他の種類の材料が用いられても良い。
【0030】
(無機材料による光変換部材34の作成方法の説明)
以下、この無機発光体を含む光変換部材34の作製方法を説明する。まず、無機の溶剤の作製する。所要の軟化点を有し、低融点の粉末状のガラスフリットとCASNと称する粉末状の蛍光材料(CaAlSiN)とを有機溶剤を加えて混ぜ、所要の溶剤を作製する。
【0031】
まず、ステップ1において、ガラスあるいはアルミ製の基板に所要のパターンPを形成するためのデザインマスク層を乗せて固定する。ステップ2において、作製された所要の溶剤をデザインマスク層が成層された基板の上から塗り込む。ステップ3において、デザインマスク層より上にあふれた溶剤が取り除かれる。ステップ4において、デザインマスク層のみが除去され、基板に対し高い粘着性を有する溶剤の部分のみがその形状を維持したまま残存する。ステップ5において、所定温度以上の温度により焼結され、不要な溶剤を気化させる。
【0032】
このようにして、基板上に無機発光材料層36が所要のパターンPを形成して、この基板35と無機発光材料層36とが光変換部材34を構成する。
【0033】
また、光変換部材34ドクターブレード法によってでも作製される。ドクターブレード法は、まず、粘性を有する無機発光材料を蓄えたプールから、複数の突起部分を備えたホイールが回動することにより、無機発光材料が突起部分によって絡めとられる。つぎに、ドクターブレードによって、突起部分の高さ以上に絡みついた無機発光材料はそぎ落とされる。つづいて、ホイールに対向して設けられた巻き取りロールがホイールに同期して回動することにより、巻き取りロールの回動とともに移動する基板の表面に、突起部分の隙間に蓄えられた無機発光材料が転写される。それから、基板上に層状に転写された無機発光材料は乾燥プロセスを経て、基板と共に焼結プロセスへと移送される。
【0034】
このようにして、基板35に転写された無機発光材料36が所要のパターンPを形成して、この基板35と無機発光材料36とが光変換部材34を構成する。
【0035】
なお、基板の材料については、上記作製プロセスに必要となる加熱温度に対し、耐久性のあるものであれば、なんでもよく、作成の柔軟性、効率を考慮すると、アルミ基板がよく、デザイン性を考慮すると、ガラス基板がよい。
【0036】
前記のように、作成された光変換部材34は、平面、あるいは、ほぼ平面をなす。なお、光変換部材34は、曲面をなしていても良いし、また、平面と曲面とをなしていても良い。
【0037】
図4(a)において示される、所要のパターンPは発光層36から形成され、パターンP以外の部分は、デザインマスク層により無機発光材料層が形成されなかった基板の部分、すなわち、無機発光材料が転写されなかった基板の部分である。
【0038】
また、発光層36は有機材料が用いられ、有機発光体を形成してもよい。有機発光体は基板と有機発光層とアルミニウム層と封止部とを含む。
(有機材料による光変換部材34の作成方法の説明)
【0039】
有機材料の場合、ステップ1おいて、ガラス基板にステンレス鋼からなるデザインマスク層が形成される。ステップ2において、有機発光材料(蛍光材料)からなる有機発光層が蒸着される。この有機発光材料は、青色エネルギー成分を吸収する主成分と、主成分が吸収した光から発光する添加成分とからなる。添加成分の成分比率は10%未満である。ステップ3において、反射材となるアルミニウム層が蒸着される。ステップ4において、デザインマスク層が除去された後、CVD法によりSiN層が蒸着され、SiN層からなる封入部が形成される。ステップ5において、接着層が形成され、ステップ6において、保護材としてのアルミニウム材が貼り付けられる。
【0040】
ガラス基板の厚さは、約0.7mmである。有機発光層の厚さは、約2000Åである。アルミニウム層の厚さは、約100Å~約1000Å程度である。封入部のSiN層の厚さは、数ミクロン程度である。接着層の厚さは、約十数ミクロン程度ある。アルミニウム材(保護材)の厚さは、約0.15mmである。このようにして、無機発光体と同様の所要のパターンPを有する光変換部材34を作製することができる。
【0041】
図7は、光学部材および励起光源4の配置を説明するための図である。図7(a)は7個の光学部材33からなる光学部材ユニット701を示す図である。この光学部材ユニット701は、アクリル樹脂から射出成形により一体成型されるものである。図7(b)は7個の励起光源4の配置を示す図である。図7(a)(b)からわかるように、光源部材ユニットは、7個の励起光源4の配置に基づき成形される。さらに、光学部材ユニット701においては、光学部材ユニット701を保持基板34に取り付けのためのねじ止め穴も射出成形により一体成型されるものである。
【0042】
図8は、光学部材33と光変換部材34の位置関係を説明するための図である。 光学部材33は光変換部34の形状に対応するように形成されている。光変換部34の形状は、発光層36によりつくられる発光パターンPに基づき決定されるので、光学部材33は発光パターンPの形状に対応するように形成されているともいえる。同様に、励起光源4の配置も、光変換部34の形状、もしくは、発光パターンPの形状に基づき決定される。
【0043】
図9は、光学部材33の他の実施例を説明するための断面図である。図9(a)は光学部材33としてフレネルレンズ901を使用した実施例である。この実施例においては、フレネルレンズ901のフレネルプリズム面901(a)が励起光源4に対向するようにフレネルレンズ901を配置している。図9(b)も光学部材33としてフレネルレンズ902を使用した実施例であるが、この実施例においては、フレネルレンズ902のフレネルプリズム面902(a)が励起光源4の反対側にくるようにフレネルレンズ901が配置されている。図9(c)は光学部材33として長方形の導光体903を使用した実施例を示す。導光体903の側面903(a)にはプリズムが形成され、励起光4は導光体904に1端904から入射するように配置、構成されている。
【0044】
本実施形態においては、テールランプを例にとり、発明を説明したが、本発明は、ストップランプ、ターンランプ、バックランプなどにも適用することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9