(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】システム、制御装置、マイニングユニットの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240402BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240402BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240402BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240402BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/32
H02J3/46
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022146697
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2019561524の分割
【原出願日】2017-12-28
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小出 俊夫
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130540(WO,A1)
【文献】特開2015-122836(JP,A)
【文献】特開2016-092849(JP,A)
【文献】特開2016-218633(JP,A)
【文献】再生可能エネルギーを活用した仮想通貨マイニングのためのデータセンター,TECHABLE, [online],日本,2017年12月05日,第1/8-2/8頁,[検索日2018.01.30]、インターネット<URL:https://techable.jp/archives/68011>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 3/32
H02J 3/46
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通貨の発掘作業を実行する、
複数のマイニングユニットと、
発電システムの稼働中に、直前に取得した余剰電力情報に含まれる余剰電力と最新の余剰電力情報に含まれる余剰電力との変化量を計算し、算出した前記変化量と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力と基づいて、前記
複数のマイニングユニットの前記発掘作業の開始あるいは停止を制御する、制御装置と、
を含
み、
前記制御装置は、すべての余剰電力を吸収できない場合に、前記余剰電力に関する情報を通知するシステム。
【請求項2】
前記余剰電力は、発電システムから供給される、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記マイニングユニットを複数備え、
前記制御装置は、前記マイニングユニットの消費電力と前記余剰電力の増減に基づいて、活性化あるいは活性化するマイニングユニットを決定する、請求項1のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記余剰電力が増加した場合、活性化する前記マイニングユニットを決定する請求項3のシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記余剰電力が減少した場合、非活性化する前記マイニングユニットを決定する請求項3のシステム。
【請求項6】
蓄電池をさらに備え、
前記制御装置は、前記蓄電池の充電率が所定の値以上の場合、前記マイニングユニットを活性化する、請求項3のシステム。
【請求項7】
蓄電池をさらに備え、
前記制御装置は、前記蓄電池の充電率が所定の値以下の場合、前記マイニングユニットを非活性化する、請求項3のシステム。
【請求項8】
それぞれが仮想通貨の発掘作業を実行する、複数のマイニングユニットを制御する装置であって、
発電システムの稼働中に、直前に取得した余剰電力情報に含まれる余剰電力と最新の余剰電力情報に含まれる余剰電力との変化量を計算し、算出した前記変化量と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力とに基づいて
、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御
し、すべての余剰電力を吸収できない場合に、前記余剰電力に関する情報を通知する、制御装置。
【請求項9】
仮想通貨の発掘作業を実行する、
複数のマイニングユニットを制御する制御装置において、
発電システムの稼働中に、発電システムから供給される余剰電力に関する情報を取得するステップと、
直前に取得した余剰電力情報に含まれる余剰電力と最新の余剰電力情報に含まれる余剰電力との変化量を計算するステップと
算出した前記変化量と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力と基づいて、前記
複数のマイニングユニットの前記発掘作業の開始あるいは停止を制御するステップと、
すべての余剰電力を吸収できない場合に、前記余剰電力に関する情報を通知するステップと、
を含む、マイニングユニットの制御方法。
【請求項10】
仮想通貨の発掘作業を実行する、
複数のマイニングユニットを制御する制御装置に搭載されたコンピュータに、
発電システムの稼働中に、発電システムから供給される余剰電力に関する情報を取得する処理と、
直前に取得した余剰電力情報に含まれる余剰電力と最新の余剰電力情報に含まれる余剰電力との変化量を計算するステップと
算出した前記変化量と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力と基づいて、前記
複数のマイニングユニットの前記発掘作業の開始あるいは停止を制御する処理と、
すべての余剰電力を吸収できない場合に、前記余剰電力に関する情報を通知する処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、制御装置、マイニングユニットの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の需要は常に変化するため、電力需要に応じて発電所の出力調整が行われる。発電所にて用いられる電源の種類には、原子力発電、水力発電、火力発電、太陽光発電、風力発電等がある。原子力発電や水力発電には、一定電力を出力可能であるが、その出力制御が困難であるという特徴がある。火力発電には、電力の出力制御は容易であるが、コストが割高且つ環境に負荷を与えるという特徴がある。太陽光発電や風力発電には、環境に与える負荷は小さいが、電力出力の変化が大きく発電電力の制御が困難であるという特徴がある。
【0003】
電力会社や需要家は、供給電力の総和と実際の需要電力の均衡を保つ努力をしている。上記均衡を実現するため、電力会社(供給側)は、需要予測を行い計画的に発電能力を制御している。例えば、
図20に示すように、電力会社は、原子力発電や水力発電等の出力制御が難しい電源をベース電源として扱い、これらの電源に一定の電力を供給させる。電力会社は、ベース電源にて供給できない電力を火力発電等によって補うような制御を行う。
【0004】
具体的には、季節や時間帯により多くの需要が見込まれる場合には、電力会社は、多くの火力発電所を稼働させ電力需要を満たすようにする。一方、需要が少ないと判断される場合には、電力会社は、一部の火力発電所を稼働させつつ、大半の火力発電所の稼働を停止する。このように、電力会社では、供給電力と需要電力の均衡を維持するための取り組みを行っている。
【0005】
また、電力会社では、電力が余剰な場合には、当該余剰電力を用いて水を引き上げ、当該引き上げられた水を発電に利用している(揚水発電と称される)。
【0006】
需要家(需要側)の取り組みとしては、スマートグリッド等で各家庭の蓄電池を使って系統に対する必要電力を調整することや、ビル全体のエネルギー管理などで空調等のエネルギー消費を調整することが挙げられる。
【0007】
特許文献1、2には、太陽光発電等により生じた余剰電力の活用に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-103965号公報
【文献】特開2015-233413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0010】
上述のように、電力会社では、供給電力と需要電力の均衡を保つために努力している。ここで、電力会社(供給側)には安定的な電力供給が求められる。そのため、通常、電力会社は、予想される需要電力を下回るような発電を行わず、若干の余裕を持った発電を行う。このような発電は、需要電力以上の過剰な電力である「余剰電力」を必然的に生じさせ、当該余剰電力の処理が問題となる。余剰電力は、需要家に供給されない電力である。また、発電した電力(交流電力)は基本的に蓄電できない。上述のように、余剰電力を揚水発電に用いる等の対応がなされているが、当該対応にも限界がある。そのため、余剰電力は、電力会社における発電コストを増加させる要因となる。このようなコスト増加は、最終的に電気料金に反映されることになり、需要家の負担が増大する。
【0011】
本発明は、低コストな発電を実現することに寄与する、システム、制御装置、マイニングユニットの制御方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明乃至開示の第1の視点によれば、それぞれが仮想通貨の発掘作業を実行する、複数のマイニングユニットと、発電所から供給される余剰電力に関する情報と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御する、制御装置と、を含む、システムが提供される。
【0013】
本発明乃至開示の第2の視点によれば、それぞれが仮想通貨の発掘作業を実行する、複数のマイニングユニットを制御する装置であって、発電所から供給される余剰電力に関する情報と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御する、制御装置が提供される。
【0014】
本発明乃至開示の第3の視点によれば、それぞれが仮想通貨の発掘作業を実行する、複数のマイニングユニットを制御する制御装置において、発電所から供給される余剰電力に関する情報を取得するステップと、前記余剰電力に関する情報と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御するステップと、を含む、マイニングユニットの制御方法が提供される。
【0015】
本発明乃至開示の第4の視点によれば、それぞれが仮想通貨の発掘作業を実行する、複数のマイニングユニットを制御する制御装置に搭載されたコンピュータに、発電所から供給される余剰電力に関する情報を取得する処理と、前記余剰電力に関する情報と、前記複数のマイニングユニットそれぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御する処理と、を実行させる、プログラムが提供される。
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明乃至開示の各視点によれば、低コストな発電を実現することに寄与する、システム、制御装置、マイニングユニットの制御方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る制御装置の処理構成の一例を示す図である。
【
図4】記憶部に保持されたマイニングユニット情報の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係るマイニングユニットの処理構成の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】第2の実施形態に係る余剰電力吸収システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図10】第3の実施形態に係る余剰電力吸収システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図11】第3の実施形態に係るマイニングユニット制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】制御装置から発電所に報告される情報の一例を示す図である。
【
図13】第4の実施形態に係る制御装置の処理構成の一例を示す図である。
【
図14】第4の実施形態に係るマイニングユニット過不足判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】余剰電力と対応可能電力の関係の一例を示す図である。
【
図16】第5の実施形態に係る余剰電力吸収システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図17】第5の実施形態に係るマイニングユニット情報の一例を示す図である。
【
図18】第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図20】電力会社による発電を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0019】
一実施形態に係るシステム(余剰電力吸収システム)は、複数のマイニングユニット101と、制御装置102と、を含む(
図1参照)。複数のマイニングユニット101のそれぞれは、仮想通貨の発掘作業を実行する。制御装置102は、発電所から供給される余剰電力に関する情報と、複数のマイニングユニット101それぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御する。
【0020】
上記システムでは、発電所にて発生する余剰電力を活用して仮想通貨(例えば、ビットコイン)の発掘を行う。その際、制御装置102は、発電所から供給される余剰電力をマイニングユニット101の発掘動作に伴う電力にて消費するようにマイニングユニット101の活性、非活性を制御する。このような構成により、上記システムでは、余剰電力を仮想通貨という金銭的価値に変換することが可能となり、余剰電力に要していたコストを回収することができる。即ち、低コストな発電が実現できる。また、火力発電等のコストが割高で環境に負荷を与える電源の使用を抑制できるので、上記システムは、環境に与える負荷を低減できる。また、余剰電力は金銭的価値に変換されるので、余剰電力の活用を目的とした揚水発電等の必要性はなくなる、又は、低下する。
【0021】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの概略構成の一例を示す図である。
図2を参照すると、余剰電力吸収システムは、発電所10に接続された余剰電力吸収サイト20を含む。発電所10が発電した電力は、送電線、送配電網を介して需要家に供給される。また、発電所10と余剰電力吸収サイト20は余剰電力供給線により接続され、発電所10が発電した電力の一部は、当該供給線を介して余剰電力吸収サイト20に供給される。
【0024】
第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムは、発電所10と余剰電力吸収サイト20の間の情報伝達を実現するための接続を備えている。例えば、発電所10と余剰電力吸収サイト20は、有線又は無線により接続されている。
【0025】
余剰電力吸収サイト20は、発電所10の近傍に設置される。余剰電力吸収サイト20を発電所10の近傍に設置する理由は、発電所10と余剰電力吸収サイト20の間の距離が長くなると発電所10から供給される電力の損失(ロス)が多くなり、非効率だからである。なお、余剰電力吸収サイト20が、発電所10の敷地内に設置されても良いことは勿論である。
【0026】
図2に示すように、発電所10は、発電制御装置11と、発電システム12と、を含んで構成される。
【0027】
発電制御装置11は、発電システム12の発電を制御するための装置である。発電システム12は、原子力発電、水力発電、火力発電等の電源である。なお、発電システム12は、水力発電等の単一電源であってもよいし、複数の電源の組み合わせでもよい。発電システム12には、需要家により消費されると予測される電力に対応可能な電源であれば、任意の電源が使用できる。但し、環境への負荷を考慮すれば、火力発電ではなく、水力発電等の電源を用いるのが好ましい。
【0028】
発電制御装置11は、電力会社等が予め入力した需要予測に基づき、発電システム12による発電量を制御する。また、発電制御装置11は、発電システム12による発電量と送配電網を介して需要家に供給された電力の差分を余剰電力として計算する。発電制御装置11は、計算した余剰電力を「余剰電力情報」として余剰電力吸収サイト20に通知する。
【0029】
なお、発電所10に含まれる発電制御装置11や発電システム12の構成及び動作(処理モジュール)に関しては、当業者にとって明らかであり更なる説明を省略する。
【0030】
図2に示すように、余剰電力吸収サイト20には、配電盤30と、分電盤31と、制御装置32と、複数のマイニングユニット33-1~33-N(Nは2以上の整数、以下同じ)と、が含まれる。なお、以降の説明において、マイニングユニット33-1~33-Nを区別する特段の理由がない場合には、単に「マイニングユニット33」と表記する。また、他の構成要素についても同様に、各構成要素を区別する特段の理由がない場合には、ハイフンの前に記載された数字により当該構成要素を代表して表記する。
【0031】
配電盤30は、余剰電力供給線と接続され、発電所10から供給される高圧電力を低圧電力に変換する。
【0032】
分電盤31は、複数のマイニングユニット33のそれぞれと接続され、各マイニングユニット33に電力を供給する。なお、制御装置32にも分電盤31を介して電力が供給されるが、制御装置32の消費電力はマイニングユニット33の消費電力よりも十分小さく無視できるものとする。
【0033】
制御装置32は、余剰電力吸収サイト20の全体を制御する手段である。例えば、制御装置32は、マイニングユニット33を制御する。より具体的には、制御装置32は、発電所10から「余剰電力情報」を取得し、当該情報を利用してマイニングユニット33の活性、非活性を制御する。また、制御装置32は、後述するマイニングユニット33の発掘作業により得られた仮想通貨の管理や、必要に応じて配電盤30等の制御も行う。
【0034】
マイニングユニット33のそれぞれは、仮想通貨の発掘(マイニング)を行う手段である。本願開示では、マイニングユニット33は、ビットコイン(Bitcoin)の発掘を行うものとして説明する。但し、発掘の対象とする仮想通貨をビットコインに限定する趣旨ではないことは勿論である。マイニングユニット33は、イーサリアム等の他の仮想通貨を発掘の対象としてもよい。
【0035】
図2に示すように、マイニングユニット33のそれぞれは、インターネットに接続されている。マイニングユニット33は、インターネットを介してビットコインの管理に用いられるブロック(承認済みブロック)やトランザクション(ビットコインの送受信に関する取引記録)等を取得する。
【0036】
ビットコインの管理は、ブロックチェーンと称される取引元帳により行われる。ブロックチェーンは、複数のブロックが縦続(一直線)に接続されており、各ブロックには過去に生じた複数のトランザクションが含まれる。ブロックチェーンに対し、新たに生じた未承認の取引(トランザクション)を含むブロックを追加する作業が、ビットコインにおける発掘作業である。
【0037】
上記発掘作業は、世界中のビットコイン参加者(マイナー)により行われており、未承認ブロックから承認済みブロックを生成したマイナーは、その報酬としてビットコインを取得する。出願時においては、発掘作業に成功したマイナーは、各トランザクションから生じる手数料相当のビットコインと未承認のブロックを承認したことにより得られるビットコイン(発掘されたビットコイン)と、を得ることができる。
【0038】
マイニングユニット33は、発電所10から供給される余剰電力を用いて上記発掘作業を実行し、ビットコインを取得する。
【0039】
マイニングユニット33による発掘作業は、概略以下のように実行される。
【0040】
マイニングユニット33は、取得したトランザクション(ビットコインの送受信に係る記録)をメモリプール(図示せず)と称される領域に記憶する。その後、マイニングユニット33は、当該メモリプールから新たなブロックを作成する。その際、マイニングユニット33は、ノンス(nonce)と呼ばれる値の発見を試みる。ノンスとは、任意の文字列であって、新たに生成するブロックヘッダのハッシュ値を所定の値にするものである。例えば、ビットコインでは、新たに生成するブロックヘッダのハッシュ値を「0が一定数連続する」値にするものが「ノンス」となる。
【0041】
なお、ブロックヘッダには、承認済みの前ブロックのヘッダのハッシュ値と、新たに生成するブロックに格納するトランザクションのデータ構造(所謂、マークル木、ハッシュ木)と、ノンスと、が含まれる。
【0042】
マイニングユニット33は、持ち運び可能であり、余剰電力吸収サイト20に容易に設置できる構成、構造を有する。そのため、季節要因等によりマイニングユニット33が過剰となった場合には、システム管理者等が、当該過剰となったマイニングユニット33を他の余剰電力吸収サイト20に移設することも可能である。
【0043】
[処理構成]
続いて、余剰電力吸収サイト20をなす各装置の処理構成(処理モジュール)について説明する。
【0044】
図3は、制御装置32の処理構成の一例を示す図である。
図3を参照すると、制御装置32は、通信制御部201と、マイニングユニット制御部202と、を含んで構成される。
【0045】
通信制御部201は、他の装置(例えば、発電制御装置11、マイニングユニット33)との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、発電制御装置11から余剰電力情報に係るデータ(パケット)を取得すると、当該データをマイニングユニット制御部202に引き渡す。また、通信制御部201は、マイニングユニット制御部202が生成したマイニングユニット33宛ての制御情報をマイニングユニット33に向けて送信する。
【0046】
マイニングユニット制御部202は、発電所10から供給される余剰電力に関する情報(余剰電力情報)と、複数のマイニングユニット33それぞれの消費電力に関する情報と、に基づいて、複数のマイニングユニット33の活性、非活性を制御する手段である。なお、マイニングユニット33の消費電力に関する情報は、マイニングユニット情報の一部として記憶部(図示せず)に格納される。
【0047】
図4は、記憶部に保持されたマイニングユニット情報の一例を示す図である。
図4を参照すると、マイニングユニット情報として、各マイニングユニット33とその消費電力が関連付けて記憶されている。また、マイニングユニット情報には、各マイニングユニット33の動作状態(活性、非活性)が含まれる。マイニングユニット制御部202は、各マイニングユニット33の動作状態を変更するたびに、マイニングユニット情報を更新する。
【0048】
マイニングユニット制御部202は、活性化されたマイニングユニット33の消費電力の合計値が余剰電力を超えない範囲で、複数のマイニングユニット33のうち活性化するマイニングユニット33を決定する。より具体的には、マイニングユニット制御部202は、余剰電力を超えない範囲内で、活性化されたマイニングユニット33の消費電力の合計値が最大となるように活性化するマイニングユニット33を決定する。
【0049】
マイニングユニット制御部202は、発電所10から供給される余剰電力(余剰電力情報に記載された余剰電力)をできるだけ消費するように、活性化する(発掘作業をさせる)マイニングユニット33を決定する。例えば、活性化しているマイニングユニット33がない初期起動時には、マイニングユニット制御部202は、余剰電力を超えない範囲で、最も多くの電力が消費されるように、複数のマイニングユニット33の中から活性化するマイニングユニット33を決定する。その後、マイニングユニット制御部202は、決定したマイニングユニット33に対して、「マイニング開始指示」を送信する。
【0050】
例えば、余剰電力が1000KW、マイニングユニット33-1の消費電力が300KW、マイニングユニット33-2の消費電力が400KW、マイニングユニット33-3の消費電力が500KWである場合を考える。この場合、最も多くの余剰電力を消費できるマイニングユニット33の組み合わせは、マイニングユニット33-2とマイニングユニット33-3である。そこで、マイニングユニット制御部202は、これらのマイニングユニット33に向けて「マイニング開始指示」を送信する。
【0051】
あるいは、システム稼働中に、余剰電力情報を取得した場合には、マイニングユニット制御部202は、直前に取得した余剰電力情報に含まれる余剰電力と最新の余剰電力情報に含まれる余剰電力を比較し、余剰電力の変化量を計算する。マイニングユニット制御部202は、当該計算した余剰電力の変化量に応じて、マイニングユニット33の活性、非活性を制御する。具体的には、余剰電力が増加している場合には、マイニングユニット制御部202は、非活性化状態にあるマイニングユニット33のなかから当該増加した余剰電力をなるべく多く消費できるように活性化するマイニングユニット33を決定する。その後、マイニングユニット制御部202は、当該決定したマイニングユニット33に対して「マイニング開始指示」を送信する。
【0052】
一方、余剰電力が減少している場合には、マイニングユニット制御部202は、当該減少した余剰電力に相当する電力が削減されるように、活性化状態にあるマイニングユニット33のなかから非活性化するマイニングユニット33を決定する。その後、マイニングユニット制御部202は、当該決定したマイニングユニット33に対して「マイニング停止指示」を送信する。
【0053】
このように、マイニングユニット制御部202は、発電所10から取得する余剰電力情報とテーブル情報(マイニングユニット情報)に基づき、マイニングユニット33を制御する。
【0054】
図5は、マイニングユニット33の処理構成の一例を示す図である。
図5を参照すると、マイニングユニット33は、通信制御部301と、マイニング実行部302と、を含んで構成される。
【0055】
通信制御部301は、他の装置(制御装置32、インターネット上の端末、サーバ等)との間の処理を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、制御装置32から制御情報(マイニング開始指示、マイニング停止指示)を取得すると、当該制御情報をマイニング実行部302に引き渡す。
【0056】
マイニング実行部302は、ビットコインの発掘作業を実行する手段である。マイニング実行部302は、上記マイニング開始指示を取得するまでは、所謂、スリープモード(低電力動作モード)の状態にある。当該スリープモードの状態にあるマイニング実行部302を含むマイニングユニット33の消費電力はほぼ無視できる。換言するならば、マイニング実行部302による発掘作業には多大な電力の消費が必要であり、当該電力と比較すれば、通信制御部301やスリープモードにあるマイニング実行部302が消費する電力は極めて少ない。
【0057】
マイニング実行部302は、上記マイニング開始指示を取得すると活性化し、ビットコインの発掘作業(未承認ブロックの承認作業)を開始する。一方、マイニング実行部302は、上記マイニング停止指示を取得すると、ビットコインの発掘作業を停止し、スリープモードに遷移する。
【0058】
[ハードウェア構成]
続いて、制御装置32のハードウェア構成を説明する。
【0059】
図6は、制御装置32のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置32は、所謂、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、
図6に例示する構成を備える。例えば、制御装置32は、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)41、メモリ42、入出力インターフェイス43及び通信手段であるNIC(Network Interface Card)44等を備える。
【0060】
なお、
図6に示す構成は、制御装置32のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。制御装置32は、図示しないハードウェアを含んでもよい。あるいは、制御装置32に含まれるCPU等の数も
図6の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが制御装置32に含まれていてもよい。
【0061】
メモリ42は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0062】
入出力インターフェイス43は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0063】
制御装置32の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ42に格納されたプログラムをCPU41が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0064】
なお、マイニングユニット33のハードウェア構成も制御装置32と同様とすることができるので、その説明を省略する。
【0065】
[システムの動作]
続いて、
図7及び
図8を参照しつつ、第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの動作を説明する。
【0066】
図7は、第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図7には、システムの初期起動時の動作が記載されている。
【0067】
発電所10の発電制御装置11は、予め定めたタイミング(例えば、所定の時刻)や予め定めた間隔(例えば、数分ごと)に余剰電力の計算を行う(ステップS01)。余剰電力の計算は、当業者にとって明らかなものであるので詳細は省略するが、発電システム12による発電量から送電線、送配電網を介して需要家に供給される電力を減算することで、余剰電力が計算できる。
【0068】
発電所10は、計算した余剰電力を含む情報を「余剰電力情報」として制御装置32に通知する(ステップS02)。
【0069】
図7はシステム起動時の動作を示す図であるので、当該余剰電力情報は、余剰電力吸収サイト20が最初に取得した情報となる。制御装置32は、当該余剰電力情報とマイニングユニット情報に基づいて、活性化するマイニングユニット33を決定する(ステップS11)。具体的には、制御装置32は、マイニングユニット33を活性化した場合に余剰電力吸収サイト20にて消費される電力が、余剰電力情報に記載された余剰電力に最も近くなるように、活性化するマイニングユニット33を決定する。
【0070】
制御装置32は、決定したマイニングユニット33に向けて「マイニング開始指示」を送信することで、マイニングユニット33を活性化する(ステップS12)。
【0071】
当該マイニング開始指示を取得したマイニングユニット33は、ビットコインの発掘作業(マイニング)を開始する(ステップS21)。
【0072】
発掘に成功(所定のノンスの発見に成功)すると、マイニングユニット33はビットコインを取得する(ステップS22)。
【0073】
取得したビットコインに関する情報は、適宜、制御装置32に送信され、余剰電力吸収サイト20全体にて取得したビットコインの総額等が管理される。あるいは、制御装置32に液晶パネル等のモニタを接続し、リアルタイムに発掘したビットコインの総額を表示してもよい。
【0074】
なお、上述のように、ビットコインの発掘に成功するマイナーは1人(1台の端末等)に限られ、マイニングユニット33よりも先に発掘に成功したマイナーが存在すれば、余剰電力吸収サイト20はビットコインを得ることができない。一方で、ビットコインの発掘には、「マイニングプール」と称される仕組みが存在する。マイニングプールは、複数のマイナーが協力して発掘を行う仕組みであり、当該グループの一員が発掘に成功すれば、当該グループの参加者にも報酬の一部が分け与えられる。そのため、マイニングユニット33の全部又は一部がマイニングプールに参加することで、ビットコインを取得する可能性を高めても良い。
【0075】
図8は、第1の実施形態に係る余剰電力吸収システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図8には、既にシステムの運用が開始されている場合の動作が記載されている。
【0076】
上述のように、発電所10は、余剰電力を計算し、当該余剰電力を制御装置32に通知する(ステップS01、S02)。
【0077】
システムが既に稼働している場合(過去に余剰電力情報を取得済みの場合)には、制御装置32は、直前に取得した余剰電力情報と最新の余剰電力情報に基づき、余剰電力の変化量を計算する(ステップS31)。
【0078】
制御装置32は、当該計算した変化量に基づき、余剰電力が増加したか否かを判定する(ステップS32)。
【0079】
余剰電力が増加していれば(ステップS32、Yes分岐)、制御装置32は、追加で活性化するマイニングユニット33を決定し、当該決定されたマイニングユニット33に向けて「マイニング開始指示」を送信する(ステップS33、S34)。
【0080】
余剰電力が減少していれば(ステップS33、No分岐)、制御装置32は、非活性化するマイニングユニット33を決定し、当該決定されたマイニングユニット33に向けて「マイニング停止指示」を送信する(ステップS35、S36)。
【0081】
なお、
図8において、マイニング開始指示やマイニング停止指示を受信した際のマイニングユニット33の動作に関する記載を省略している。
【0082】
また、
図7や
図8には記載していないが、余剰電力吸収サイト20は、発電所10にて生じた余剰電力の全てを吸収(消費)できない場合があり得る。このような場合には、制御装置32は、全ての余剰電力を吸収できない旨や吸収できない余剰電力の電力量等を発電所10やその事業者(電力会社)に通知してもよい。
【0083】
以上のように、第1の実施形態に係る余剰電力吸収サイト20では、発電所10にて発生する余剰電力の供給をうけ、当該余剰電力を用いて仮想通貨の発掘(マイニング)を行う。発掘された仮想通貨は金銭的価値そのものであり、余剰電力吸収サイト20は、発電所10の余剰電力を金銭的価値に変換する。
【0084】
このような余剰電力吸収サイト20の働きにより、従前、供給電力を調整するための電源であった火力発電所等の割合を大幅に減少させることができる。即ち、第1の実施形態では、出力制御が難しいが環境に対する負荷が軽い水力発電等をメイン電源に据え、当該メイン電源により需要家から要求される電力の大半を供給する。その際、上記メイン電源では、供給電力を簡単に調整できず余剰となった電力は金銭に変換される。その結果、環境に負荷を与えず、且つ、低コスト(場合によっては収益を得て)で需給のバランスをとることができる。つまり、過剰に発生した電力に要したコストは、仮想通貨という金銭で補填され、発電全体に要するコストを低減できる。また、水力発電等であれば、火力発電とは異なり環境に対する負荷が軽い。
【0085】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0086】
第1の実施形態では、制御装置32からマイニングユニット33に向けて制御情報(マイニング開始指示、マイニング停止指示)を送信することで、発電所10に生じる余剰電力を吸収した。第2の実施形態では、マイニングユニット33に供給する電力を制御することで、余剰電力を吸収する。
【0087】
図9に示すように、第2の実施形態に係る余剰電力吸収サイト20には、各マイニングユニット33に対応したスイッチ34が含まれる。スイッチ34は、分電盤31とマイニングユニット33の間に接続される。
【0088】
マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33を活性化する場合には、対応するスイッチ34をオンに設定する。マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33を非活性化する場合には、対応するスイッチ34をオフに設定する。
【0089】
電力が供給されたマイニングユニット33は、起動後にビットコインの発掘動作を自動的に開始する。
【0090】
このように、各マイニングユニット33に供給する電力を直接制御することで、余剰電力の消費を実現してもよい。その結果、非活性状態にあるマイニングユニット33は電力を消費せず、制御装置32は、より正確に余剰電力の消費を制御できる。
【0091】
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0092】
第3の実施形態では、余剰電力吸収サイト20にて実際に消費されている電力に関する情報を活用する制御装置32について説明する。第1及び第2の実施形態では、制御装置32は、余剰電力情報を利用してマイニングユニット33を制御している。しかし、発電所10から供給された余剰電力が確実に余剰電力吸収サイト20にて消費されているかに関しての確認はされていない。
【0093】
例えば、制御装置32が、マイニングユニット33に対して「マイニング開始指示」を送信したとしても、マイニングユニット33の不具合等により実際には発掘作業が行われていない可能性もある。このような状況が発生すると、本来、余剰電力吸収サイト20にて消費することが予定された余剰電力の一部が消費されず、余剰電力の金銭的価値への変換が適切に行われていないことになる。
【0094】
上記を鑑みて、第3の実施形態に係る制御装置32は、配電盤30から余剰電力吸収サイト20にて消費している電力の情報を取得し、当該情報をマイニングユニット33の制御に利用する。
【0095】
第3の実施形態に係る余剰電力吸収サイト20では、
図10に示すように、制御装置32と配電盤30が接続され、制御装置32は、余剰電力吸収サイト20にて消費されている電力が取得可能に構成されている。つまり、配電盤30は余剰電力吸収サイト20における消費電力を測定し、制御装置32は、当該消費電力の測定値が取得可能に構成されている。なお、上述のように、余剰電力吸収サイト20の消費電力は、ほぼ活性化状態にあるマイニングユニット33の消費電力に一致する。また、
図10では、制御装置32は、配電盤30から消費電力の測定値を取得する構成を図示しているが、分電盤31から当該測定を取得する構成であっても良いことは勿論である。
【0096】
以下、第3の実施形態に係る制御装置32に含まれるマイニングユニット制御部202の動作のうち上記実施形態にて説明した動作と異なる点を中心に説明する。
【0097】
図11は、第3の実施形態に係るマイニングユニット制御部202の動作の一例を示すフローチャートである。
【0098】
マイニングユニット制御部202は、発電所10から余剰電力情報を取得し、当該余剰電力情報とマイニングユニット情報に基づき、マイニングユニット33を制御する(ステップS101、S102)。
【0099】
マイニングユニット制御部202は、配電盤30にアクセスし、余剰電力吸収サイト20における消費電力(以下、システム消費電力と表記する)の測定値を取得する(ステップS103)。
【0100】
マイニングユニット制御部202は、余剰電力とシステム消費電力が実質的に一致するか否かを判定する(ステップS104)。例えば、余剰電力とシステム消費電力の差分が所定の範囲内に収まっていれば、2つの電力は実質的に一致すると判断される。このように、マイニングユニット制御部202は、発電所10にて生じた余剰電力が余剰電力吸収サイト20にて想定どおり吸収されているか否かを判定する。
【0101】
余剰電力とシステム消費電力が実質的に一致していれば(ステップS104、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は処理を終了する。
【0102】
余剰電力とシステム消費電力が実質的に一致していなければ(ステップS104、No分岐)、マイニングユニット制御部202は、システム消費電力が余剰電力と実質的に同一となるようにマイニングユニット33を制御する(ステップS105)。
【0103】
具体的には、余剰電力よりもシステム消費電力が少ない場合には、マイニングユニット制御部202は、電力差を埋めるようにマイニングユニット33を追加的に活性化する。一方、余剰電力よりもシステム消費電力が多い場合には、マイニングユニット制御部202は、電力差を埋めるようにマイニングユニット33を非活性化する。このように、マイニングユニット制御部202は、活性化されたマイニングユニット33の消費電力の測定値に基づき、余剰電力と活性化されたマイニングユニット33の消費電力の合計値が一致するように、マイニングユニット33を制御する。
【0104】
なお、第3の実施形態では、制御装置32は、余剰電力吸収サイト20にて実際に消費している電力を把握可能に構成されている。そこで、制御装置32は、活性化されたマイニングユニットの消費電力の測定値に関する情報を外部に出力してもよい。例えば、制御装置32は、システム消費電力を発電所10やその事業者(電力会社)に報告してもよい。当該報告を受けた事業者等は、発生した余剰電力が適切に消費(吸収)されていることを確認できる。
【0105】
あるいは、制御装置32は、発電所10から取得した余剰電力情報とシステム消費電力を対応付けて、報告してもよい。例えば、制御装置32は、余剰電力情報とシステム消費電力に基づいて、
図12に示すような情報を作成し、当該情報を発電所10等に報告してもよい。
【0106】
以上のように、第3の実施形態では、余剰電力吸収サイト20にて実際に消費している電力をマイニングユニット33の制御にフィードバックし、より正確な余剰電力の消費を可能としている。
【0107】
[第4の実施形態]
続いて、第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0108】
第4の実施形態では、余剰電力吸収サイト20におけるマイニングユニット33の過不足を判定する制御装置32について説明する。第4の実施形態のシステム構成は、第1の実施形態に係るシステム構成と相違する点はないので
図2に相当する説明は省略する。
【0109】
図13は、第4の実施形態に係る制御装置32の処理構成の一例を示す図である。
図13に示すように、第4の実施形態に係る制御装置32は、マイニングユニット過不足判定部203をさらに備える。
【0110】
以下、マイニングユニット過不足判定部203の動作を中心に説明する。
【0111】
マイニングユニット過不足判定部203は、所定期間における余剰電力のピーク値と複数のマイニングユニット33により消費可能な電力値に基づき、余剰電力吸収サイト20に含まれる複数のマイニングユニット33の過不足を判定する手段である。また、マイニングユニット過不足判定部203は、マイニングユニット33の過不足に関する判定結果に基づき、マイニングユニット33の配置に関する情報を出力する。
【0112】
図14は、第4の実施形態に係るマイニングユニット過不足判定部203の動作の一例を示すフローチャートである。
【0113】
マイニングユニット過不足判定部203は、余剰電力情報を取得する(ステップS201)。
【0114】
マイニングユニット過不足判定部203は、当該余剰電力情報に含まれる余剰電力とその取得日時を関連付けて記録する(ステップS202)。
【0115】
マイニングユニット過不足判定部203は、所定期間(例えば、1週間、1ヶ月)に亘る余剰電力の蓄積が完了すると、当該蓄積した余剰電力とマイニングユニット情報に基づき、余剰電力吸収サイト20にてマイニングユニット33が過剰か不足かを判断する。
【0116】
具体的には、マイニングユニット過不足判定部203は、マイニングユニット情報を参照し、当該情報に記載された各マイニングユニット33の消費電力の合計値を「対応可能電力」として算出する(ステップS203)。
【0117】
その結果、例えば、
図15に示すような余剰電力と対応可能電力の関係が得られる。
【0118】
次に、マイニングユニット過不足判定部203は、蓄積された余剰電力のピーク値が対応可能電力よりも小さいか、又は、大きいかを判断する(ステップS204)。
【0119】
蓄積された余剰電力のピーク値が対応可能電力よりも小さい場合(ステップS204、Yes分岐)には、マイニングユニット過不足判定部203は、対応可能電力と余剰電力のピーク値の差分を「過剰電力」として算出する(ステップS205)。
【0120】
マイニングユニット過不足判定部203は、マイニングユニット情報を参照し、少なくとも1台以上のマイニングユニット33の消費電力の和が算出された過剰電力に最も近接するマイニングユニット33を特定する(ステップS206)。
【0121】
当該特定されたマイニングユニット33は、「過剰マイニングユニット」として扱われる。例えば、
図15(a)では、時刻T1における対応可能電力と余剰電力の差分が「過剰電力」として算出され、当該電力に相当する消費電力を持つ少なくとも1台以上のマイニングユニット33が過剰マイニングユニットとして扱われる。
【0122】
蓄積された余剰電力のピーク値が対応可能電力より大きい場合(ステップS204、No分岐)には、マイニングユニット過不足判定部203は、余剰電力のピーク値と対応可能電力の差分を「不足電力」として算出する(ステップS207)。例えば、
図15(b)では、時刻T2における余剰電力と対応可能電力の差分が「不足電力」として算出される。
【0123】
なお、
図14には図示していないが、余剰電力と対応可能電力は実質的に一致することが理想であるので、これらの電力が一致する場合には、マイニングユニット過不足判定部203は、「過不足なし」と判定する。
【0124】
マイニングユニット過不足判定部203は、「過剰マイニングユニット」又は「不足電力」に係る情報を出力し、マイニングユニット33の再配置を指示する。例えば、マイニングユニット過不足判定部203は、上記情報を液晶パネル等のモニタに表示する、上記情報を印刷する、上記情報を所定の端末等に転送する。当該情報に接したシステム管理者等は、過剰マイニングユニットを他の余剰電力吸収サイト20に移動させる、又は、不足電力を吸収できるように余剰電力吸収サイト20にマイニングユニット33を追加する。上述のように、マイニングユニット33は余剰電力吸収サイト20にて着脱可能に構成されているので、マイニングユニット33をトラック等により移動(再配置)すればよい。
【0125】
以上のように、第4の実施形態では、余剰電力吸収サイト20におけるマイニングユニット33の稼働状況が解析され、過剰電力や不足電力の発生が検出される。具体的には、第4の実施形態に係る制御装置32は、余剰電力のピーク値が複数のマイニングユニット33により消費可能な電力よりも小さい場合には、複数のマイニングユニット33の一部は過剰であると判定する。対して、余剰電力のピーク値が複数のマイニングユニット33により消費可能な電力よりも大きい場合には、制御装置32は、システムにマイニングユニット33が不足していると判定する。さらに、制御装置32は、マイニングユニット33の過不足に関する判定結果に基づき、マイニングユニット33の配置(再配置)に関する情報を出力する。即ち、第4の実施形態では、過剰電力や不足電力が存在すると、これらを解消するようにマイニングユニット33が再配置される。その結果、マイニングユニット33の配置が最適化され、限られたリソースを効率的に活用できる。
【0126】
[第5の実施形態]
続いて、第5の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0127】
第5の実施形態では、マイニングユニット33のそれぞれに蓄電池35を接続し、当該蓄電池35を余剰電力の吸収に利用する。
図16に示すように、第5の実施形態に係る余剰電力吸収サイト20には、各マイニングユニット33に対応した蓄電池35が含まれる。
【0128】
蓄電池35は、リチウムイオン電池等の蓄電池であり、分電盤31とマイニングユニット33の間に接続される。蓄電池35は、分電盤31からの電力を蓄電し、蓄電した電力をマイニングユニット33に供給可能に構成されている。さらに、蓄電池35は、スイッチを内蔵しており、分電盤31からの電力をマイニングユニット33に供給するか、蓄電した電力をマイニングユニット33に供給するか、の切り替えが可能に構成されている。
【0129】
マイニングユニット制御部202は、蓄電池35の充放電及び上記電力系統の切り替えを制御する。また、マイニングユニット制御部202は、蓄電池35の状態(充電中、放電中、未使用)や充電率をマイニングユニット情報を用いて管理する。なお、蓄電池35が放電中とは、蓄電池35とマイニングユニット33が接続され、蓄電池35からマイニングユニット33に電源供給がなされている状態を示す。蓄電池35が未使用とは、蓄電池35は充電中ではないが、マイニングユニット33とも接続されていない状態を示す。
【0130】
マイニングユニット制御部202は、蓄電池35の状態、充電率を対応するマイニングユニット33と関連付けて管理する。具体的には、
図17に示すように、マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット情報を用いて蓄電池35の状態等を管理する。
【0131】
以下、第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202の動作のうち上記実施形態にて説明した動作と異なる点を中心に説明する。
【0132】
第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202は、余剰電力吸収サイト20に存在するマイニングユニット33による余剰電力の消費を優先する。換言すれば、マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33だけでは余剰電力を消費しきれない場合に、蓄電池35を充電することで、余剰電力を吸収する。
【0133】
また、マイニングユニット制御部202は、発電所10にて発生する余剰電力が、第4の実施形態にて説明した「対応可能電力」によりも低い場合には、蓄電池35に蓄電された電力を用いてできるだけ多くのマイニングユニット33を活性化する。つまり、第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33が活性化している時間をできるだけ長くし、余剰電力を効率的に金銭的価値に変換する。
【0134】
図18は、第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202の動作の一例を示すフローチャートである。
図18は、余剰電力をマイニングユニット33による活性化だけでは吸収できない場合の動作を示す。
【0135】
マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33が動作することでは吸収しきれない余剰電力が存在するか否かを判定する(ステップS301)。例えば、マイニングユニット制御部202は、余剰電力が対応可能電力よりも小さいか否かに応じて上記判定を行う。
【0136】
吸収できない余剰電力が存在しなければ(ステップS301、No分岐)、マイニングユニット制御部202は処理を終了する。
【0137】
吸収できない余剰電力が存在すれば(ステップS301、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット情報を参照し、充電が可能な蓄電池35が存在するか否かを判定する(ステップS302)。具体的には、動作状態が未使用で充電率が所定の値(例えば、95%)以下の蓄電池35が存在するか否かが判定される。
【0138】
充電が可能な蓄電池35が存在すれば(ステップS302、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は、複数の蓄電池35のなかから充電率が最も低い蓄電池35を特定する(ステップS303)。
【0139】
マイニングユニット制御部202は、特定した蓄電池35に分電盤31の電力が供給されるように蓄電池35を制御し、充電を行う(ステップS304)。
【0140】
マイニングユニット制御部202は、蓄電池35の充電完了を監視する(ステップS305)。充電が完了していれば(ステップS305、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は、ステップS302に戻る。つまり、マイニングユニット制御部202は、充電が可能な蓄電池35が存在するか否かの判断と蓄電池35の充電を繰り返す。
【0141】
充電が可能な蓄電池35が存在しなければ(ステップS302、No分岐)、マイニングユニット制御部202は処理を終了する。
【0142】
なお、マイニングユニット制御部202は、蓄電池35の状態及び充電率をマイニングユニット情報に逐次反映する。
【0143】
このように、マイニングユニット制御部202は、余剰電力が複数のマイニングユニット33により消費可能(吸収可能)な電力よりも大きい場合には、複数の蓄電池35のうち少なくとも1以上の蓄電池を充電する。
【0144】
図19は、第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202の動作の一例を示すフローチャートである。
図19は、蓄電池35に蓄えた電力を使用する場合の動作を示す。
【0145】
マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット情報を参照し、非活性状態なマイニングユニット33であって、対応する蓄電池35が放電可能か否かを判定する(ステップS401)。具体的には、マイニングユニット制御部202は、非活性状態にあるマイニングユニット33に対応する蓄電池35の充電率が所定の値以上(例えば、50%以上)か否かを判定する。
【0146】
上記のようなマイニングユニット33が存在しなければ(ステップS401、No分岐)、マイニングユニット制御部202は処理を終了する。
【0147】
上記のようなマイニングユニット33が存在すれば(ステップS401、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は、蓄電池35をマイニングユニット33に接続し、放電させると共に、マイニングユニット33を活性化する(ステップS402)。
【0148】
マイニングユニット制御部202は、放電中の蓄電池35の充電率を監視し、放電中の蓄電池35が放電不可な状態に遷移したか否かを判定する(ステップS403)。具体的には、マイニングユニット制御部202は、充電率が所定の値以下(例えば、10%以下)である蓄電池35が存在するか否かを判定する。
【0149】
放電不可な蓄電池35が存在すれば(ステップ403、Yes分岐)、マイニングユニット制御部202は、当該蓄電池35に接続されたマイニングユニット33を非活性に制御する(ステップS404)。
【0150】
上記蓄電池35が存在しなければ(ステップS403、No分岐)、マイニングユニット制御部202は、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0151】
なお、マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33の状態や蓄電池35の状態及び充電率をマイニングユニット情報に逐次反映する。
【0152】
このように、マイニングユニット制御部202は、複数のマイニングユニット33のうち非活性なマイニングユニット33が存在し、且つ、非活性なマイニングユニット33に接続された蓄電池35の充電が完了しているか否かを判定する。当該蓄電池35の充電が完了していれば、マイニングユニット制御部202は、充電された蓄電池35の電力により非活性なマイニングユニット33を活性化する。
【0153】
なお、
図19に示す動作は、発電所10から供給される余剰電力に変化がないことを前提としている。つまり、
図19に示すマイニングユニット制御部202の動作開始以前では、余剰電力を吸収するだけのマイニングユニット33が動作している。このような状況で、充電が完了している蓄電池35が存在しなければ、追加でマイニングユニット33を動作させることができない。追加でマイニングユニット33を動作させれば、発電所10から通知された余剰電力以上の電力を消費してしまう。つまり、蓄電池35の電力を使い果たした後は、マイニングユニット33は動作を継続できないことになる。そのため、
図19のステップS404では、蓄電池35からの電力供給により動作しているマイニングユニット33を停止している。しかし、ステップS404の段階で使用できる余剰電力に余裕があれば、マイニングユニット制御部202は、マイニングユニット33の動作を継続することができる。
【0154】
以上のように、第5の実施形態に係るマイニングユニット制御部202は、発電所10にて発生した余剰電力をマイニングユニット33の活性化により吸収できない場合には、余剰電力を蓄電池35に蓄える。さらに、マイニングユニット制御部202は、動作していないマイニングユニット33が存在し、対応する蓄電池35に十分電力が蓄積されている場合には、余剰電力に代えて蓄電池35による電力でマイニングユニット33に発掘作業を行わせる。その結果、より効率的に余剰電力の活用が可能となる。即ち、マイニングユニット33の動作時間が長くなるので、より多くのビットコインを取得できる。
【0155】
なお、第1乃至第5の実施形態にて説明した余剰電力吸収サイト20や各装置の構成は例示であって、システム等の構成を限定する趣旨ではない。
【0156】
例えば、上記実施形態では、発電所10がリアルタイムに余剰電力を余剰電力吸収サイト20に通知する形態を記載しているが、消費すべき電力が予め判明している場合には、当該通知は不要である。例えば、夜間には多くの余剰電力が発生し、昼間の余剰電力は少ない等の状況が判明していれば、余剰電力吸収サイト20は、発電所10から余剰電力の通知を受けなくとも、消費すべき余剰電力を決定できる。
【0157】
上記実施形態では、配電盤30が余剰電力吸収サイト20に含まれる場合を説明したが、配電盤30の機能を発電所10に持たせてもよい。具体的には、発電所10から供給される余剰電力は、100Vや200Vといった低圧電力であってもよい。
【0158】
上記実施形態では、制御装置32とマイニングユニット33は別筐体として説明しているが、これらの装置は統合されていてもよい。一台の計算機に、仮想通貨の発掘を行う発掘モジュールと当該発掘モジュールを制御する制御モジュールが含まれていても良い。
【0159】
上記実施形態では、マイニングユニット33と消費電力をマイニングユニット情報というテーブル情報により管理している。当該テーブル情報を用いた管理は、各マイニングユニット33の消費電力が異なることが前提となっている。換言すれば、各マイニングユニット33の消費電力が同じであれば、マイニングユニット情報(テーブル情報)による消費電力の管理は不要となる。また、各マイニングユニット33の消費電力が同じであれば、基本的に、余剰電力吸収サイト20にて消費する電力は活性化するマイニングユニット33の数に比例する。従って、この場合、制御装置32は、余剰電力に基づき活性化するマイニングユニット33の数を決定すれば良いことになる。
【0160】
但し、余剰電力吸収サイト20における余剰電力吸収に係る制御の自由度や精度を考慮すれば、消費電力の異なるマイニングユニット33を用いることが望ましい。具体的には、各マイニングユニット33の消費電力が同じで、且つ、その消費電力が大きいと、余剰電力吸収サイト20における余剰電力制御は目の粗いものとなる(分解能が低い制御となる)。この場合、余剰電力吸収サイト20にて消費しきれない余剰電力が多くなり、余剰電力を効率的に金銭的価値に変換することが阻害されてしまう。
【0161】
上記実施形態では、制御装置32は、マイニングユニット33の活性、非活性に限り制御を行っているが、効率的な発掘作業の実現のための制御を実行しても良い。例えば、制御装置32は、ノンスの計算における初期値をゼロから始めるのではなく、既に発掘作業を実行中のマイニングユニット33の状況を考慮して、ゼロ以外の値からノンスの発見に係る計算を実行するように指示してもよい。
【0162】
第1の実施形態では、制御装置32から制御情報(マイニング開始指示、マイニング停止指示)をマイニングユニット33に送信し、マイニングユニット33を制御している。また、第2の実施形態では、制御装置32は、マイニングユニット33に供給する電力を直接制御(スイッチ34のオン、オフを制御)してマイニングユニット33を制御している。マイニングユニット33の制御は、これらの組み合わせであっても良いことは勿論である。つまり、一部のマイニングユニット33には制御情報を送信し、一部のマイニングユニット33に供給する電力を直接制御してもよい。
【0163】
第4の実施形態では、制御装置32が、マイニングユニット33の再配置に関する情報を出力することを説明した。しかし、余剰電力吸収サイト20を集中管理する制御管理センターを設け、当該制御管理センターに向けて再配置に関する情報が出力(送信)されてもよい。制御管理センターでは、各余剰電力吸収サイト20から取得する情報に基づいて、マイニングユニット33の配置を決定しても良い。
【0164】
第5の実施形態では、各マイニングユニット33に対応して蓄電池35を設ける場合を説明した。しかし、一部のマイニングユニット33に蓄電池35を設置しても良いことは勿論である。また、マイニングユニット33に対応させて蓄電池を設置せず、余剰電力吸収サイト20が使用可能な蓄電池を設置してもよい。つまり、容量が大きな蓄電池を少なくとも1以上用意し、当該蓄電池からマイニングユニット33に電力が供給できるように構成してもよい。
【0165】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0166】
コンピュータの記憶部にマイニングユニットの制御プログラムをインストールすることにより、コンピュータを「マイニングユニットの制御装置」として機能させることができる。また、マイニングユニットの制御プログラムをコンピュータに実行させることにより、コンピュータによりマイニングユニットの制御方法を実行することができる。
【0167】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
上述の第1の視点に係るシステムのとおりである。
[付記2]
前記制御装置は、
活性化されたマイニングユニットの消費電力の合計値が前記余剰電力を超えない範囲で、前記複数のマイニングユニットのうち活性化するマイニングユニットを決定する、好ましくは付記1のシステム。
[付記3]
前記制御装置は、
前記余剰電力を超えない範囲内で、前記活性化されたマイニングユニットの消費電力の合計値が最大となるように前記活性化するマイニングユニットを決定する、好ましくは付記2のシステム。
[付記4]
前記制御装置は、
前記活性化されたマイニングユニットの消費電力の測定値に基づき、前記余剰電力と前記活性化されたマイニングユニットの消費電力の合計値が一致するように、前記複数のマイニングユニットの活性、非活性を制御する、好ましくは付記3のシステム。
[付記5]
前記制御装置は、
前記活性化されたマイニングユニットの消費電力の測定値に関する情報を出力する、好ましくは付記4のシステム。
[付記6]
前記制御装置は、
所定期間における前記余剰電力のピーク値と前記複数のマイニングユニットにより消費可能な電力値に基づき、システムに含まれる前記複数のマイニングユニットの過不足を判定する、好ましくは付記1乃至5のいずれか一に記載のシステム。
[付記7]
前記制御装置は、
前記余剰電力のピーク値が前記複数のマイニングユニットにより消費可能な電力よりも小さい場合には、前記複数のマイニングユニットの一部は過剰であると判定し、
前記余剰電力のピーク値が前記複数のマイニングユニットにより消費可能な電力よりも大きい場合には、システムにマイニングユニットが不足していると判定する、好ましくは付記6のシステム。
[付記8]
前記制御装置は、
前記複数のマイニングユニットの過不足に関する判定結果に基づき、前記マイニングユニットの配置に関する情報を出力する、好ましくは付記7のシステム。
[付記9]
前記複数のマイニングユニットそれぞれに接続された複数の蓄電池をさらに備え、
前記制御装置は、
前記余剰電力が前記複数のマイニングユニットにより消費可能な電力よりも大きい場合には、前記複数の蓄電池のうち少なくとも1以上の蓄電池を充電する、好ましくは付記1乃至8のいずれか一に記載のシステム。
[付記10]
前記制御装置は、
前記複数のマイニングユニットのうち非活性なマイニングユニットが存在し、且つ、前記非活性なマイニングユニットに接続された前記蓄電池の充電が完了している場合には、前記充電された蓄電池の電力により前記非活性なマイニングユニットを活性化する、好ましくは付記9のシステム。
[付記11]
上述の第2の視点に係る制御装置のとおりである。
[付記12]
上述の第3の視点に係るマイニングユニットの制御方法のとおりである。
[付記13]
上述の第4の視点に係るプログラムのとおりである。
なお、付記11~13の形態は、付記1の形態と同様に、付記2の形態~付記10の形態に展開することが可能である。
【0168】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0169】
10 発電所
11 発電制御装置
12 発電システム
20 余剰電力吸収サイト
30 配電盤
31 分電盤
32、102 制御装置
33、33-1~33-3、101 マイニングユニット
34、34-1~34-3 スイッチ
35、35-1~35-3 蓄電池
41 CPU(Central Processing Unit)
42 メモリ
43 入出力インターフェイス
44 NIC(Network Interface Card)
201、301 通信制御部
202 マイニングユニット制御部
203 マイニングユニット過不足判定部
302 マイニング実行部