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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/00 20100101AFI20240402BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20240402BHJP
   H01H 13/70 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G04G21/00 304B
H01H13/14 Z
H01H13/70
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022173097
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2021112532の分割
【原出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2023015162
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小島 一泰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴文
(72)【発明者】
【氏名】森澤 玲
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-172787(JP,A)
【文献】特開2000-056045(JP,A)
【文献】特開平10-199361(JP,A)
【文献】実開昭62-005293(JP,U)
【文献】特開昭55-128183(JP,A)
【文献】特開昭51-104377(JP,A)
【文献】特開2004-264187(JP,A)
【文献】特開2019-168332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04F 1/00-5/16
G04F 7/00-13/06
H01H 13/14,13/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻が表示されるディスプレイと、
前記ディスプレイの下方に設けられた少なくとも2つの操作部と、を備え、
前記少なくとも2つの操作部のうちの1つの操作部よりも、運動中における使用頻度が高い前記少なくとも2つの操作部のうちの別の1つの操作部は、前記1つの操作部よりも3時側に偏った位置に配置されていて、
前記ディスプレイの上縁に沿って設けられ、3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ディスプレイの前記横方向の長さよりも短い上側ガード部をさらに備える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
時刻が表示されるディスプレイと、
前記ディスプレイの下方に設けられた少なくとも2つの操作部と、を備え、
前記少なくとも2つの操作部のうちの1つの操作部よりも、運動中における使用頻度が高い前記少なくとも2つの操作部のうちの別の1つの操作部は、前記1つの操作部よりも3時側に偏った位置に配置されていて、
前記ディスプレイの下縁に沿って設けられ、3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ディスプレイの前記横方向の長さよりも短い下側ガード部をさらに備える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項1又は2の電子時計であって、
前記別の1つの操作部は、前記1つの操作部よりも大きい
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1又は2の電子時計であって、
前記1つの操作部と前記別の1つの操作部とは、前記ディスプレイの下縁に沿って配置されている
ことを特徴とする電子時計。
【請求項5】
請求項の電子時計であって、
前記上側ガード部は、前記ディスプレイよりも視認側に突出している
ことを特徴とする電子時計。
【請求項6】
請求項の電子時計であって、
前記ディスプレイを収容するケースと、
前記ケースに連結されたベルトと、をさらに備える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項7】
請求項の電子時計であって、
前記上側ガード部の3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ベルトの前記横方向の長さと略同じである
ことを特徴とする電子時計。
【請求項8】
請求項の電子時計であって、
前記下側ガード部は、前記ディスプレイよりも視認側に突出している
ことを特徴とする電子時計。
【請求項9】
請求項の電子時計であって、
前記ディスプレイを収容するケースと、
前記ケースに連結されたベルトと、をさらに備える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項10】
請求項の電子時計であって、
前記下側ガード部の3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ベルトの前記横方向の長さと略同じである
ことを特徴とする電子時計。
【請求項11】
請求項の電子時計であって、
前記1つの操作部と前記別の1つの操作部とは、前記下側ガード部の下縁に沿って配置されている
ことを特徴とする電子時計。
【請求項12】
請求項11の電子時計であって、
前記1つの操作部と前記別の1つの操作部との間に、前記下側ガード部の延在方向に交差する方向に沿って設けられた縦ガード部をさらに備える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項13】
請求項12の電子時計であって、
前記縦ガード部は、12時・6時の方向から、反時計回りに傾くように設けられている
ことを特徴とする電子時計。
【請求項14】
請求項1又は2の電子時計であって、
前記別の1つの操作部の前記ディスプレイの下縁に沿う長さは、前記1つの操作部の前記ディスプレイの下縁に沿う長さよりも長い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項15】
請求項1又は2の電子時計であって、
前記別の1つの操作部の上辺の前記ディスプレイの下縁に沿う長さは、前記別の1つの操作部の下辺の前記ディスプレイの下縁に沿う長さよりも長い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項16】
請求項1又は2の電子時計であって、
前記1つの操作部は、所定の運動の開始時または終了時に使用されることを想定した機能が割り当てられており、
前記別の1つの操作部は、前記所定の運動の最中に使用されることを想定した機能が割り当てられている
ことを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボタン付き機器としては、腕時計型情報機器のように、装置本体の前面に設けられた表示部の上下に、使用頻度の高い押しボタンスイッチをそれぞれ分けて、配置しているものが知られている(例えば特許文献1等参照)。
このようなものでは、ストップウォッチのスタート・ストップ機能およびラップ・リセット機能が前面の表示部の上または下(時計の12時方向または6時方向ともいう)のボタンに割振られている。
そして、ユーザは、ランニングしている間に、ラップ・リセットボタンを操作して、所望の時間計測を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-81745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザは、ランニング中に、ボタンの位置を見て確認することなく、触れた感覚に基づいて押圧する場合がある。このような場合、指に触れた押しやすいボタンを間違って押す可能性がある。たとえば、ラップを計測したいのに、表示部の下側等の押しやすい位置にあるスタート・ストップボタンを押して計測を止めてしまう可能性があった。
また、表示部の下側の押しやすい一か所に、複数のボタンをまとめると、さらに一つのボタンが小さくなり、隣接する別のボタンを間違えて押してしまう可能性が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子時計は、時刻が表示されるディスプレイと、
前記ディスプレイの下方に設けられた少なくとも2つの操作部と、を備え、
前記少なくとも2つの操作部のうちの1つの操作部よりも、運動中における使用頻度が高い前記少なくとも2つの操作部のうちの別の1つの操作部は、前記1つの操作部よりも3時側に偏った位置に配置されていて、前記ディスプレイの上縁に沿って設けられ、3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ディスプレイの前記横方向の長さよりも短い上側ガード部をさらに備えることを特徴としている。
また、別の本発明の電子時計は、時刻が表示されるディスプレイと、
前記ディスプレイの下方に設けられた少なくとも2つの操作部と、を備え、
前記少なくとも2つの操作部のうちの1つの操作部よりも、運動中における使用頻度が高い前記少なくとも2つの操作部のうちの別の1つの操作部は、前記1つの操作部よりも3時側に偏った位置に配置されていて、前記ディスプレイの下縁に沿って設けられ、3時側から9時側の方向である横方向の長さが、前記ディスプレイの前記横方向の長さよりも短い下側ガード部をさらに備えることを特徴としている。

【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、押しやすく、間違った操作が行われにくい電子時計が提供される。

【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1にかかるボタン付き機器としての電子時計で、図2中矢視I方向から見た電子時計の正面図である。
図2】実施形態1の電子時計の全体の構成を説明する側面図である。
図3】実施形態1の電子時計で、図2中矢視III方向から見た電子時計の下側面図である。
図4】実施形態1の電子時計で、図2中矢視IV方向から見た電子時計の斜視図である。
図5】実施形態1の電子時計で、図2中V-V線に沿った位置での断面図である。
図6】実施形態1の電子時計で、図1中VI-VI線に沿った位置での断面図である。
図7】電子時計を用いて、ラップ等を計測している様子を示す概念図である。
図8】本発明の実施形態2にかかるボタン付き機器としての電子時計で、図9中矢視IX方向から見た電子時計の正面図である。
図9】実施形態2の電子時計の全体の構成を説明する側面図である。
図10】実施形態2の電子時計で、図9中矢視X方向から見た電子時計の下側面図である。
図11】実施形態2の電子時計で、図9中矢視XI方向から見た電子時計の斜視図である。
図12】実施形態2の電子時計で、図9中XII-XII線に沿った位置での断面図である。
図13】実施形態2の電子時計で、図8中XIII-XIII線に沿った位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。方向を説明する際には、特に示さない限り、基本的にユーザから見た前後,左右あるいは上下に基づいて説明する。また、「3時」「6時」「9時」「12時」の方向は、表示部に向かって「右側縁」「下側縁」「左側縁」「上側縁」の方向と同義である。そして、前後方向は高さ方向と同義である。
【0009】
[実施形態1]
図1図7は、この実施形態1の手首に装着されるボタン付き機器としての電子時計1を示すものである。
まず、図1を参照して構成を説明すると、この実施形態1の電子時計1は、例えばデジタル方式の腕時計型の電子時計である。しかしながら、特にこれに限らず、針式(アナログ方式)の腕時計型の電子時計であってもよいし、その両方を備えていてもよい。
この電子時計1は、ベルト部9を用いて手首に装着される機器本体10と、機器本体10のケース2と、ケース2の内部に配置される基板3(図5図6参照)とを備えている。
【0010】
図2に示すように、ケース2は、高さ方向に分割可能な表側ケース2a,筺体2bと、筺体2bの裏面側に開口形成されている開口部を閉塞する裏蓋2cとを有する。
図5に示すように基板3は、ケース2の内部に設けられている。そして、基板3には、電力を供給するバッテリ等を含む電源部が一体または別体で設けられている。また、基板3には、操作部6の各ボタン等の押圧により、on,off動作可能なマイクロスイッチ、マイクロコンピュータおよび振動子等が搭載されている。これにより、基板3は、時刻を計時する電子回路を構成している。
【0011】
さらに、図1に示すように、この電子時計1は、ケース2の内部に設けられて、計時された時刻を表示する液晶ディスプレイ5と、ボタン等を有する操作部6と、ケース2をユーザの手首に装着するベルト部9とを備えている。ベルト部9は、ケース2の12時方向および6時方向から可撓性を有するバンド9aおよびバンド9bをそれぞれ備えている。バンド9aおよびバンド9bは、ユーザの手首の周囲に環状に連結されて、機器本体10を保持する。
【0012】
液晶ディスプレイ5は、正面視略円形のカバーガラス5gで覆われている。なお、電子時計1の表示部は、液晶ディスプレイ5に限らず、例えば、針式(アナログ方式)の表示としてもよいし、これら両方を備えていてもよい。また、カバーガラス5gは、ガラスに限られず、例えばプラスチックやフィルムで構成されていてもよい。
【0013】
操作部6は、ケース2の側面部に突設されたサイドボタン6a~6dと、液晶ディスプレイ5の6時方向に配置される大ボタン7,小ボタン8とを有している。このうち、大,小ボタン7,8は、前側基準面5bから所定の角度傾斜したボタン配置部14の平坦部(以下、ボタン配置部14ともいう)に設けられている。
図1に示すように、大ボタン7は、下底7aの長さW1よりも上底7bの長さW2が長い(W1<W2)、逆台形形状を呈している。
この実施形態1の大ボタン7は、下底7aの長さW1が6.25mm、上底7bの長さW2が10.75mm、上下方向の寸法hが4.75mmである。また、小ボタン8は、下底の長さが7.25mm、上底の長さが8.75mm、上下方向の寸法が4.25mmである。
【0014】
また、すなわち、使用頻度が高い(操作回数が多い)ほど、ボタンの大きさ(面積、体積)を大きくし、使用頻度が低い(操作回数が少ない)ほど、ボタンの大きさを小さくする。ここで、ボタンの大きさは、使用頻度の増減とともに比例関係を有して増大させてもよいし、非線形の関係となるようにしてもよい。
たとえば、使用頻度が小ボタン8の10倍であるからといって、大ボタン7の大きさを10倍にする必要はない。ここでは、小ボタン8の1.01~1.5倍程度、好ましくは、1.10~1.35倍程度の大きさとなるように、大ボタン7の押圧面の面積が設定されている。
そして、この実施形態1では、ストップウォッチのスタート・ストップ機能を小ボタン8に割当て、ランニング中、比較的多く使用するラップ・リセット機能を大ボタン7に割当てている。
【0015】
図5図6に示すように、大ボタン7と小ボタン8とは、それぞれ裏面側に押圧ピン300の一方が一体に嵌め込まれている。押圧ピン300は、半球状の先端301をケース2内に突出させている。
これらの大ボタン7,小ボタン8は、押圧ピン300の周囲に設けられたバネ303およびゴムブッシュ304によって、それぞれボタン配置部14の平坦部に対して、直交する方向かつ離反する方向に押され ている。
【0016】
大ボタン7,小ボタン8の押圧により、先端301は、ケース2内に収容されている基板3のそれぞれのマイクロスイッチ3aに当接する。これにより、各ボタンに割当てられたそれぞれの機能をon,offさせることができる。
【0017】
そして、図1に示すように、ケース2の上面部には、カバーガラス5gの上縁5cに沿って、カバーガラス2gよりも高い(図2参照)上側ガード部11が、平坦な固着面15から突き出した状態で設けられている。この実施形態1の上側ガード部11は、鉛直断面の形状を高さ方向に向けた凸形状である。さらに、バンド9aの幅方向寸法とほぼ同じ横幅方向寸法でバンド9aの接続部とカバーガラス5gの上縁5cとの間に円弧状に設けられている。
また、カバーガラス5gの下縁に沿って、カバーガラス5gと大,小ボタン7,8との間に下側ガード部12が設けられている。図1に示すように、下側ガード部12は、液晶ディスプレイ5の下縁側5aの湾曲形状に沿って、湾曲形成されていて、カバーガラス5gよりも高い(図2参照)。ここでは、高さ方向は、機器本体10の厚さ方向と同じであり、かつ図1の奥行き方向である。
【0018】
さらに、この実施形態1では、図1に示すように、下側ガード部12の下縁からバンド9b方向に向けて、大,小ボタン7,8の間を区画する縦ガード部13が設けられている。この縦ガード部13は、逆台形形状の大ボタン7と小ボタン8との間に配置されている。そして、この実施形態1の縦ガード部13は、下側ガード部12と一体に形成されて、高さを揃えることにより、正面視略T字状を呈している。
図4に示すように、この実施形態1の縦ガード部13は、逆台形形状の大ボタン7の側縁7cに沿って倒れるように、所定角度α1だけ左方向に傾斜して配置されている。この実施形態1では、所定角度α1=約5度である。
【0019】
図2に示すように、カバーガラス5gの前側基準面5bを高さの基準とすると、上側ガード部11の高さh2,下側ガード部12の高さh3は、大,小ボタン7,8の高さh1よりも高い(h2,h3>h1)。下側ガード部12の高さh3は、上側ガード部11の高さh2よりも高い(h3>h2)。
【0020】
また、この実施形態の機器本体10では、図2に示すように、カバーガラス5gの前側基準面5bに対する大,小ボタン7,8のボタン配置部14の傾斜角度βは、同じ高さで比較した際に、前側基準面5bに対する上側ガード部11の固着面15の傾斜角度γよりも大きい(β>γ)(たとえばβ=約40度、γ=約38度等)。
ここで、前側基準面5bとは、カバーガラス5gの周囲に位置する平坦な枠部(図4参照)の前端縁を含む平面である。この実施形態の電子時計1では、前側基準面5bは、カバーガラス5gの凸部2h(図2参照)を含まない表面とほぼ等しい。なお、前側基準面5bは、機器本体10の裏面側に位置する裏蓋2cと平行である。
【0021】
そして、図2では、理解の容易の為、ボタン配置部14の傾斜角度βを機器本体10の中心線で線対称に上側ガード部11側に写して、二点鎖線で表示している。これにより、固着面15の傾斜角度γとボタン配置部14の傾斜角度βとを比較すると、前側基準面5bから傾斜角度βは、同じ高さで、傾斜角度γよりも大きく設定(β>γ)されていることがわかる。
【0022】
次に、この実施形態の電子時計1の作用効果について説明する。
図7に示す実施形態1の電子時計1は、機器本体10を手首20に装着するベルト部9が接続されている接続部分21と、カバーガラス5gとの間にボタン配置部14が設けられている。図6に示すように、ボタン配置部14は、前側基準面5bから所定の角度β、傾斜していて、使用頻度に応じて大きさを異ならせた大,小ボタン7,8が配置されている。
この実施形態1のボタン配置部14に並べて設けられた大,小ボタン7,8には、それぞれスタート・ストップ機能およびラップ・リセット機能が割振られている。ランニング中、何度もラップを計測することを考慮して、スタート・ストップ機能よりも使用頻度の多いラップ・リセット機能が大ボタン7に割振られている。
このため、ユーザは、ランニング中でも、容易に途中のラップを計測するための操作を大ボタン7の押圧操作で行うことができる。しかも、隣接する小ボタン8は、大ボタン7とは大きさおよび形状が異なり、大ボタン7に比べて小さい。大ボタン7は、小ボタン8に比べて、押圧される表面の面積が大きく、しかも下底よりも上底が長い逆台形形状である。このため、ユーザは、指で触れた感覚の相違から、目視して確認しなくても、大,小ボタン7,8を識別できる。したがって、押しやすく、間違った操作が行われにくい。
【0023】
図1に示すように、大ボタン7は、下底7aの長さW1よりも上底7bの長さW2が長く(W1<W2)、逆台形形状を呈している。
このため、大ボタン7は、下側ガード部12に近づくにつれて、左,右の横幅が大きくなり、指からの受圧面積を増大させる。よって、ストッパとなる下側ガード部12の近傍では、上底7bの長さW2が最大となるため、さらに大ボタン7が押しやすくなる。
また、大ボタン7は、下側ガード部12に近づくにつれて、大きくなり、隣接配置された小ボタン8との大きさの差異が明確になる。このため、ラップ・リセットボタンであることが容易に識別できて分かりやすくなる。
【0024】
図2に示すように、表側ケース2aには、前側基準面5bよりも高い上側ガード部11が設けられている。また、下側ガード部12は、カバーガラス5gの下縁側5aの湾曲形状に沿って、湾曲形成されていて、カバーガラス5gよりも高い。
このため、上,下両側ガード部11,12が衝突する物体からカバーガラス5gを保護して、カバーガラス5gを含む表示部が破損するおそれを低減させることができる。特に、大,小ボタン7,8の操作の際には、指が直接、接触して汚れないように、上,下両側ガード部11,12によってカバーガラス5gを保護することができる。
【0025】
そして、大,小ボタン7,8の操作の際には、図7に示すように、ユーザは、上側ガード部11の凸状形状に人指し指または、中指~小指等(以下、単に指先と記す)をかけて添えることができる。これにより、ボタンの押圧で機器本体10を移動させないように反対側から固定することができる。
このため、ランニング中でも安定して、大,小ボタン7,8の操作を行うことができる。
【0026】
実施形態1の電子時計1は、上側ガード部11に指先を添えて、安定した状態で、大,小ボタン7,8の位置を確認して識別できる。そして、指先と親指とを近接させる方向(間で押潰す方向)に力を加えて、確実に大ボタン7または小ボタン8を押す操作が行える。
また、下側ガード部12は、カバーガラス5gの下縁側5aの湾曲形状に沿って、比較的高く湾曲形成されている。このため、下側ガード部12に干渉して、親指のカバーガラス5g方向への移動は抑制される。したがって、押圧する大体の位置がつかめ、大ボタン7または小ボタン8を押下げる方向に力を加えやすい。
【0027】
さらに、この実施形態1の上側ガード部11は、バンド9aの幅方向寸法とほぼ同じ横幅方向寸法で、カバーガラス5gの上縁5cに沿って延設されている。このため、押したいボタンと、カバーガラス5gを挟んで反対位置にある上側ガード部11に指先を添えて、ケース2を両側から保持する方向に力を加え、安定した状態で所望のボタンの操作を行うことができる。
この実施形態1では、バンド9aの幅方向寸法とほぼ同じ横幅寸法で、左,右に大,小ボタン7,8が並んでいる。このように、複数のボタンが下縁側5aに沿って並んでいる場合でも、上側ガード部11は、カバーガラス5gを挟んで各大,小ボタン7,8の反対位置に存在する。
このため、どの大,小ボタン7,8を操作する際にも、上側ガード部11に指先をかけて、操作の補助に用いることができる。
【0028】
そして、この実施形態1では、図2に示すように、上,下両側ガード部11,12の高さh2,h3は、大,小ボタン7,8の高さh1よりも高い(h2,h3>h1)。さらに、下側ガード部12の高さh3は、上側ガード部11の高さh2よりも高い(h3>h2)。
このため、下側ガード部12の高さh3は、大,小ボタン7,8の高さh1および上側ガード部11の高さh2よりもさらに高い。
したがって、下側ガード部12が衝突するものから大,小ボタン7,8を保護して、大,小ボタン7,8の誤操作が生じないようにすることができる。また、大,小ボタン7,8の破損も減少する。
【0029】
さらに、カバーガラス5gの方向に親指が移動する際、大,小ボタン7,8を超えても、下側ガード部12に親指が当接して移動が阻害される。このため、大,小ボタン7,8の位置が分かりやすくなるとともに、大,小ボタン7,8を押下げる方向の力を加えやすくなる。
また、大,小ボタン7,8は、ボタン配置部14からの凸設高さをある程度の寸法を確保することができる。このため、造形の自由度を向上させて、大ボタン7の大きさや高さを増大させることにより、識別率をさらに向上させることができる。
【0030】
図1に示すように、下側ガード部12は、カバーガラス5gの下縁側5aの湾曲形状に沿って、湾曲形成されている。
このため、大,小ボタン7,8の上底7b等を下側ガード部12の湾曲形状に沿わせて延設でき、さらに面積を拡大するとともに、斜めに押圧される大,小ボタン7,8の受圧面積を増大させて、さらに押しやすくすることができる。
【0031】
そして、図1に示すように、縦ガード部13が下側ガード部12と一体となって、正面視略T字状を呈している。このため、図7に示すように、大ボタン7を操作する際に、縦ガード部13と下側ガード部12とによって形成される入り隅の方向に親指が沿ってガイドされる。したがって、小ボタン8に触れないようになるため、大ボタン7を操作しやすくなる。
このように、大ボタン7と小ボタン8との間に配置された縦ガード部13によって、大ボタン7と小ボタン8とが区画されている。このため、大ボタン7と小ボタン8とを間違えて誤操作するおそれがさらに減少する。
【0032】
しかも、縦ガード部13は、下側ガード部12と一体となって、正面視略T字状を呈している。このため、単独で設けられる場合に比して耐久性が良好である。特に、縦ガード部13は、下側ガード部12と一体となっていない場合に比して、左,右倒れ方向の強度が向上している。
たとえば、大ボタン7は、操作頻度が高く、ボタン操作の際に頻繁に指先で探られる。しかしながら、縦ガード部13は、下側ガード部12と一体となって正面視略T字状を呈している。このため、縦ガード部13は、倒れ方向のせん断力が増大して、隣接配置された大ボタン7または小ボタン8の操作時の入力の際にも、形状を保持するための十分な強度を発揮することが出来る。
【0033】
さらに、図4に示すように、縦ガード部13は、逆台形形状の大ボタン7の側縁7cに沿って、所定角度α1だけ左方向に傾斜して配置されている。
このため、大ボタン7の上底7bの長さを大きく設定して、大ボタン7の面積を拡大する等、造形の自由度を向上させることができる。
また、縦ガード部13が所定角度α1だけ左方向に傾斜することにより、小ボタン8の面積を減少させることができ、誤操作をさらに抑制できる。
【0034】
また、図2に示すように、前側基準面5bからの傾斜角度βは、傾斜角度γよりも大きい(β>γ)。このため、図7に示すように、人差し指と親指とを近接させる方向(間で押潰す方向)に力を加える際、大ボタン7または小ボタン8の押込み方向を傾けて、カバーガラス5gの中心に向けやすい。
したがって、上側ガード部11に添えられた指先と親指の腹との間で、機器本体10を上下両側から押潰す方向に力を加えやすく、更に、安定したボタン操作が可能となる。
【0035】
そして、図6に示すように、実施形態1の電子時計1では、ボタン配置部14がカバーガラス5gの前側基準面5bから傾斜角度βだけ、傾斜している。ボタン配置部14に装着されている大,小ボタン7,8は、押圧ピン300の摺動方向に沿って斜めに押込まれる。
このため、さらに大,小ボタン7,8の表面の傾斜角度を傾けて、ボタン操作を行う親指の腹の角度に一致させることができる。このため、大,小ボタン7,8を押込む際に親指が滑りにくく、ボタン操作が行いやすくなる。
【0036】
実施形態1の電子時計1では、バンド9bが接続されている部分と、表示部との間に、複数のボタンが設けられたボタン配置部14を配置している。
そして、大,小ボタン7,8の、押込む方向をカバーガラス5gの中心方向に斜めに傾けて、上側ガード部11に添えられた指先の方向に向けることができる。このため、人差し指と親指との間で、機器本体10を上下両側から対向させて押潰すように力を加えやすく、更に、安定したボタン操作が可能となる。
【0037】
また、実施形態1のボタン付き機器では、操作部6として、ケース2の側面部に設けられたサイドボタン6a~6dに加えて、大ボタン7,小ボタン8を設けている。
このため、実施形態1のボタン付き機器は、各ボタンに異なる機能を割り振ることにより、サイドボタン6a~6dのみの場合と比べて、さらに多数の機能の操作を行える。そして、実施形態1のボタン付き機器は、機能を増大させても、ボタンの間隔を狭める必要がない。また、実施形態1のボタン付き機器は、機能を増大させても、ボタンの大きさが小さくなることを抑制できる。
【0038】
さらに、図6に示すようにベルト部9が接続されている接続部分21と、カバーガラス5gとの間にボタン配置部14が設けられている。たとえば、機器本体10の側面方向から物体が衝突しても、大,小ボタン7,8は、ベルト部9および機器本体10によって保護される。このため、ケース2の側面部に突設されたサイドボタン6a~6dと比較して、破損する可能性を低くすることができる。
【0039】
[実施形態2]
図8図13は、この発明の実施形態2の手首に装着されるボタン付き機器としての電子時計201を示すものである。なお、前記実施形態1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
まず、構成上の相違点を説明すると、実施形態2の電子時計201は、図8に示すように、機器本体210のケース202内に設けられた液晶ディスプレイ205が正面視略太鼓型のカバーガラス205gによって覆われている。また、カバーガラス205gの外周縁に沿うように、表側ケース202a、上側ガード部211、下側ガード部212がそれぞれ設けられている。
【0040】
電子時計201の操作部206は、実施形態1と同様に液晶ディスプレイ205の6時方向に配置される大ボタン207,小ボタン208を有している。そして、大ボタン207,小ボタン208は、前側基準面205bから所定の角度β2傾斜したボタン配置部214に設けられている(図13参照)。このうち、大ボタン207は、下底207aの長さW3よりも上底207bの長さW4が長い(W3<W4)、逆台形形状を呈している。
この実施形態2において、大ボタン207は、下底207aの長さW3は8.25mm、上底207bの長さW4は10.75mm、上下方向の寸法h4は4.25mmである。また、小ボタン208は、下底の長さが7.25mm、上底の長さが7.75mm、高さが4.25mmである。
そして、実施形態2では、ストップウォッチ機能のスタート・ストップ機能は、小ボタン208に割当てられている。さらに、ランニング中、比較的多く使用するストップウォッチ機能のラップ・リセット機能は、大ボタン207に割当てられている。
【0041】
さらに、この実施形態2では、図8に示すように、逆台形形状の大ボタン207と小ボタン208との間に縦ガード部213が配置されている。縦ガード部213は、下側ガード部212の下縁からバンド9bの接続部分の方向に一体に設けられ、正面視略T字状となるように形成されている。そして、縦ガード部213によって、大,小ボタン207,208の間は、区画されている。
図11に示すように、この実施形態2の縦ガード部213は、逆台形形状の大ボタン207の側縁207cに沿って、所定角度α2だけ左方向に傾斜して配置されている。
この実施形態2では、所定角度α2は約10.151度である。
【0042】
また、この実施形態2では、図9に示すように、カバーガラス205gの表面側の前側基準面205bを高さの基準とすると、上,下両側ガード部211,212の高さh6,h7は、大,小ボタン207,208の高さh5よりも高い(h6,h7>h5)。さらに、下側ガード部212の高さh7は、上側ガード部211の高さh6よりも高い(h7>h6)。
なお、図13に示す実施形態2のボタン配置部214の傾斜角度β2は、実施形態1と同様に約45度である。そして、図9に示す上側ガード部211が固着されている固着面215の傾斜角度と同じ高さで比較すると傾斜角度β2のほうが大きい。なお、傾斜角度β2は、上側ガード部211の固着面215の傾斜角度よりも大きければ、たとえば約42度、約50度等、固着面215の傾斜角度である40度以上の角度であってもよい。
【0043】
このように構成された実施形態2の電子時計201では、実施形態1の電子時計1の作用効果に加えて、さらに、液晶ディスプレイ205やカバーガラス205gの形状に合わせて、上側ガード部211、下側ガード部212、大ボタン207,小ボタン208の形状が決定される。
たとえば、図1図8とを比較すると、縦ガード部213は、縦ガード部13に比して大きな所定角度α2で左方向に傾斜している。このため、逆台形形状の大ボタン207は、上底207bの長さを小ボタン208方向に延長することができる。
【0044】
また、下側ガード部12よりも下側ガード部212の方が湾曲している。このため、実施形態2では、大ボタン207の上底7bを表側ケース202aの上端面202d方向に、さらに延長することができる。
したがって、上底207bと下底207aとの長さの比、W4/W3がさらに大きくなる。そのため、押圧方向である下側ガード部12側が広がった台形形状とすることが出来るので、大ボタン207をさらに押しやすくすることができる。
すなわち、大ボタン207,小ボタン208は、使用頻度に応じて、様々な形状や大きさとすることができる。
他の構成および作用効果については、前記実施形態1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0045】
上述してきたように、この実施形態1,2の電子時計1,201は、使用頻度に応じて大きさの異なる大,小ボタン7,8および207,208が液晶ディスプレイ5,205の下側にまとめられて配置される。このため、上側に上側ガード部11を設けて、指先を添えることにより、ボタンの押圧力を有効に受け止めさせることが出来るので、押しやすくなる。
また、複数のボタンをまとめて配置しても、使用頻度に応じて大きさが異なるため、識別しやすい。
【0046】
本発明は、実施形態1,2に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態1,2は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態1,2の構成の一部を他の実施形態1,2の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態1,2の構成に他の実施形態1,2の構成を加えることも可能である。また、各実施形態1,2の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態1,2に対して可能な変形は、たとえば以下のようなものである。
【0047】
この実施形態1,2のボタン付き機器では、ベルトで手首に装着する腕時計型の電子時計1,201を用いて説明してきたが特にこれに限らない。たとえば、実施形態1,2のボタン付き機器は、懐中時計型のストップウォッチや、ベルトで手首に装着する腕時計型の情報端末等、使用頻度に応じた大きさのボタンを備えたボタン付き機器であればよい。実施形態1,2のボタン付き機器は、形状、数量、材質および用途が特に限定されるものではない。
【0048】
この実施形態1,2のボタン付き機器では、操作部6として、ケース2,202の側面部に設けられたサイドボタン6a~6dと、表示部の6時方向のボタン配置部に配置される大ボタン7,小ボタン8または大ボタン207,小ボタン208とを有している。しかしながら、特にこれに限らず、たとえば、縦横2個ずつ合計4個等、ボタン配置部に3個以上の複数のボタンを配置してもよい。
この場合も、各ボタンに異なる機能を割り振ることにより、サイドボタン6a~6dのみの場合と比べて、さらに多数の機能の操作を行うことができる。
【0049】
また、大ボタン207と、小ボタン208との左,右の配置位置についても、実施形態1に限らず、大ボタン207が左側、小ボタン208が右側に配置されていてもよい。
【0050】
さらに、大ボタン7,207、小ボタン8,208の大きさや形状についても、特に実施形態1,2に限定されるものではない。たとえば、小ボタンを丸型とする等、どのような形状や大きさのであっても、使用頻度に応じた大きさに設定されているものであれば、大,小ボタンの形状、数量および材質が特に限定されるものではない。
そして、上側ガード部11の形状も、円弧状に限らず、上縁5cに沿って複数の上側ガード部11が断続的に配置されていても、指先がかけやすい配置であればよい。
【0051】
また、縦ガード部13,213の角度α1,α2についても、特に実施形態1,2に限定されるものではない。たとえば、0.1度~45度等の間でどのような角度であってもよい。さらに、縦ガード部13,213の高さが実施形態1,2に限定されるものではなく、どのような高さに設定されていてもよい。
そして、縦ガード部13,213は、直線状でなくても、たとえば円弧状や、部分的に角度を変化させる曲線等で形成されていてもよい。また、縦ガード部13,213は、大ボタン7,207と小ボタン8,208との間に設けられていれば、下側ガード部12,212と一体に接続されていなくてもよい。すなわち、縦ガード部13等の形状、数量および材質が実施形態1,2に限定されるものではない。
【0052】
さらに、実施形態1,2では、ボタン配置部14,214の傾斜角度βは、β=約40度に設定されているが特にこれに限らない。たとえば、β=10度~80度、さらに好ましくは、β=35度~55度の範囲など、前側基準面5bに対する上側ガード部11の固着面15の傾斜角度γよりも大きければ(β>γ)、どのような角度であってもよい。
【0053】
また、表示部は、液晶ディスプレイ5や針式の表示に限定されず、有機ELディスプレイや無機ELディスプレイなど、任意の表示方式であってもよい。
そして、カバーガラス5g,205gは必須ではなく、ディスプレイの表面を露出させてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,201 電子時計
2,202 ケース
3 基板
5,205 液晶ディスプレイ(表示部)
6,206 操作部
7,207 大ボタン
8,208 小ボタン
9 ベルト部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
図13