(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20240402BHJP
B66F 19/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B66F9/06 A
B66F19/00 A
(21)【出願番号】P 2022188157
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光浩
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135162(JP,A)
【文献】特開平02-033094(JP,A)
【文献】特開2004-189121(JP,A)
【文献】特開2019-001590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00
B66F 9/06
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車部と、
対象物を載置する載置部と、
前記載置部
が設けられる土台部と、
前記土台部に設けられ、作業者が前記台車部を移動させる操作を行うための操作部と、
前記土台部と前記台車部とを接続し、前記載置部にかかる圧力に応じて前記土台部の高さを調整する調整機構と、
備え
、
前記調整機構は、
前記台車部に下端部が接続され、前記土台部に上端部が接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内の空気量を調整可能なレギュレータと、
を有し、
前記作業者が前記操作部に対して上下方向に力を作用させることで、前記土台部の高さを調整可能である、
搬送装置。
【請求項2】
前記載置部にかかる圧力を検出する圧力検出部をさらに備える、
請求項
1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の組立部品等の重量物を搬送する際、吊具を使用し、ホイストクレーン等により上下動作をして組立作業を行うことが一般的である。また、特許文献1には、台車等で搬送する重量物を支持するための支持ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、重量物を組立物に組付ける際に、組立物における組付け位置の高さと、搬送装置における重量物との高さとがずれていると、作業者の作業負荷が大きくなるので、これらの高さが一致していることが好ましい。
【0005】
しかしながら、通常のホイストクレーンでは、作業者の操作によって上下動作を行うので、上下動作の停止タイミングの操作精度が求められ、機種によって昇降速度が設定されていることから、繊細な上下操作が難しい。そのため、簡易的に重量物(対象物)の高さ調整を行える構成が望まれる。
【0006】
本開示の目的は、簡易的に対象物の高さ調整を行うことが可能な搬送装置および調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る搬送装置は、
台車部と、
対象物を載置する載置部と、
前記載置部が設けられる土台部と、
前記土台部に設けられ、作業者が前記台車部を移動させる操作を行うための操作部と、
前記土台部と前記台車部とを接続し、前記載置部にかかる圧力に応じて前記土台部の高さを調整する調整機構と、
備え、
前記調整機構は、
前記台車部に下端部が接続され、前記土台部に上端部が接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内の空気量を調整可能なレギュレータと、
を有し、
前記作業者が前記操作部に対して上下方向に力を作用させることで、前記土台部の高さを調整可能である。
【0008】
本開示に係る調整装置は、
対象物を載置する載置部と、
前記載置部と、作業者が操作を行うための操作部とが設けられる土台部と、
前記載置部にかかる圧力に応じて前記土台部の高さを調整する調整機構と、
備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡易的に対象物の高さ調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る搬送装置の概略構成を示す図である。
【
図2A】本実施の形態に係る搬送装置の操作例を示す図である。
【
図2B】本実施の形態に係る搬送装置の操作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係る搬送装置1の概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、搬送装置1は、対象物2を搬送するための台車であり、作業者が手で押すことで移動可能な装置である。対象物2は、例えば車両等の組付け物に組付けられる組立部品(例えば、アクスルシャフト等)であり、作業者が手で搬送することが困難な重量物(例えば、50kgの重量を有する物体)である。
【0013】
搬送装置1は、台車部10と、載置部20と、土台部30と、圧力検出部40と、調整機構50と、を備える。
【0014】
台車部10は、例えば、板状の本体部11と4つの車輪12(2つのみ図示)とを有しており、作業者が搬送装置1を所定方向に押す力に基づいて、移動するように構成されている。
【0015】
載置部20は、対象物2を載置する部分であり、板状に構成されている。
【0016】
土台部30は、載置部20を支持する土台である。土台部30には、作業者が台車部10を移動させる操作を行うための操作部31が設けられている。また、土台部30の中央部分には、圧力検出部40が設けられている。
【0017】
圧力検出部40は、土台部30にかかる圧力を検出するセンサ(例えば、ピストンバルブ)であり、調整機構50のシリンダー51の上端部と接続されている。圧力検出部40は、例えば、載置部20に対象物2が載置された際に土台部30にかかる荷重(圧力)を検出する。
【0018】
調整機構50は、土台部30にかかる圧力に応じて土台部30の高さを調整する機構である。調整機構50は、シリンダー51と、レギュレータ52とを有する。
【0019】
シリンダー51は、圧縮空気によりシリンダー51内のピストンが上下動するエアシリンダーである。シリンダー51は、下端部が台車部10に配置され、上端部が圧力検出部40を介して土台部30に接続されている。つまり、シリンダー51により、調整機構50は、台車部10と土台部30とを接続している。
【0020】
レギュレータ52は、シリンダー51内の空気を一定に保つためのものであり、図示しないエアタンク等からシリンダー51内に空気を供給、または、シリンダー51内の空気を排出可能である。より詳細に、レギュレータ52は、図示しない配管等を介して圧力検出部40と接続されており、圧力検出部40が検出した圧力に応じて、シリンダー51内の空気量を調整する。
【0021】
具体的には、載置部20に対象物2が載置された際に、対象物2の重量に応じて、土台部30に荷重がかかり、圧力検出部40を押し下げようとする圧力がかかるので、これにより、レギュレータ52を介してシリンダー51内に空気が供給され、ピストンが上昇して、土台部30の高さが維持される。
【0022】
また、
図2Aおよび
図2Bに示すように、対象物2が載置された搬送装置1を作業者が押して、組付け物3がある場所に移動した後、対象物2は、作業者の手により組付け物3に組み付けられる。この際、対象物2の搬送装置1上の高さと、組付け物3の組付け位置の高さとのずれが大きいほど、作業者の作業負担が大きくなる。特に、対象物2が重量物である場合、作業者の作業負担がさらに大きくなる。
【0023】
本実施の形態では、この場合、作業者が操作部31を上下動させると、それに応じて対象物2の高さを微調整することができる。つまり、調整機構50は、作業者が操作部31を上下方向に力を作用させることで、土台部30の高さを調整可能である。
【0024】
具体的には、例えば、土台部30を上昇させたい場合、作業者は操作部31に対して上方向の力を作用させる。つまり、シリンダー51のピストンが上方向に向かおうとするので、レギュレータ52を介して、空気がシリンダー51内に供給されて、土台部30の位置が上側に調整される。
【0025】
また、土台部30を下降させたい場合、作業者は操作部31に対して下方向の力を作用させる。つまり、シリンダー51のピストンが下方向に向かおうとするので、レギュレータ52により、空気のシリンダー51内への供給が停止され、かつ、シリンダー51内の余剰の空気がレギュレータ―52を介して逃がされる。これにより、土台部30の位置が下側に調整される。
【0026】
図2Aでは、組付け物3が搬送装置1上の対象物2よりも下の位置にある例が示されている。この場合、作業者は、操作部31に下方向の力を作用させる。そうすると、
図2Bに示すように、土台部30の位置が
図2Aの位置よりも下側に調整されて、搬送装置1上の対象物2の高さと、組付け物3の組付け位置の高さとを容易に調整することができる。
【0027】
例えば、対象物2がアクスルシャフトである場合、アクスルシャフトを横にスライドさせるだけで容易に組付け物3に組み付けることができる。
【0028】
ところで、従来技術における吊具を用いて重量物を搬送する構成であると、作業者が上下ボタンを押して重量物の上下位置を調整する必要があり、ひいては作業者による操作習熟が必要となるので、対象物の上下方向の位置を調整することが困難である。
【0029】
それに対し、本実施の形態では、載置部20に載置された対象物2の高さを、調整機構50により、容易に調整できるので、作業者による操作習熟がなくても、対象物2の上下方向の位置を簡易的に調整することができる。
【0030】
また、吊具を用いる作業では資格を取得する必要があるが、本実施の形態では、資格がなくても、容易に対象物2の上下方向の位置を調整することができる。
【0031】
すなわち、本実施の形態では、簡易的に対象物2の上下方向の位置を調整することができるので、作業者の作業負担を低減することができる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、調整機構50がシリンダー51、レギュレータ52等を含む構成であったが、本開示はこれに限定されず、シリンダーおよびレギュレータ等を含まない構成であっても良い。
【0033】
また、上記実施の形態では、台車部10を備える搬送装置1が例示されていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、対象物を載置する載置部と、載置部と、作業者が操作を行うための操作部とが設けられる土台部と、載置部にかかる圧力に応じて土台部の高さを調整する調整機構と、備える調整装置のような、台車部を有さない装置であっても良い。
【0034】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示の搬送装置は、簡易的に対象物の高さ調整を行うことが可能な搬送装置および調整装置として有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 搬送装置
2 対象物
3 組付け物
10 台車部
11 本体部
12 車輪
20 載置部
30 土台部
31 操作部
40 圧力検出部
50 調整機構
51 シリンダー
52 レギュレータ
【要約】
【課題】簡易的に対象物の高さ調整を行うことが可能な搬送装置および調整装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、台車部と、対象物を載置する載置部と、載置部と、作業者が操作を行うための操作部とが設けられる土台部と、土台部と台車部とを接続し、載置部にかかる圧力に応じて土台部の高さを調整する調整機構と、備える。
【選択図】
図1