(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240402BHJP
B23B 47/00 20060101ALI20240402BHJP
B23B 45/16 20060101ALI20240402BHJP
B23Q 11/12 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 H
B23B47/00 B
B23B45/16 B
B23Q11/12 C
(21)【出願番号】P 2022518041
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016541
(87)【国際公開番号】W WO2021220993
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020078958
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】仲野 領祐
(72)【発明者】
【氏名】横山 仁一
(72)【発明者】
【氏名】伊縫 賢
(72)【発明者】
【氏名】曹 智翔
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-315120(JP,A)
【文献】実公昭60-015419(JP,Y2)
【文献】実開昭48-059941(JP,U)
【文献】特開2019-038093(JP,A)
【文献】特開2002-101614(JP,A)
【文献】特開2002-321172(JP,A)
【文献】特開2006-167843(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179587(WO,A1)
【文献】米国特許第07308950(US,B2)
【文献】実開昭57-090925(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 21/00
B23B 45/16
B23B 47/00
B23Q 11/12
F16C 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを収容するハウジングと、
前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、
前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、
前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、
を備え、
前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の前記外周面の前部のみを、径方向外側に向けて、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成されている動力工具。
【請求項2】
モータを収容するハウジングと、
前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、
前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、
前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、
を備え、
前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の前記外周面の前部の周方向の一部のみを、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成されている動力工具。
【請求項3】
モータを収容するハウジングと、
前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、
前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、
前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、
を備え、
前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の一部を、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成され、
前記連通孔は、前記軸受保持部の周方向に複数並んで配置されており、前記露出部は、前記軸受保持部の周方向において一つ置きの前記連通孔の径方向内側にそれぞれ形成されている動力工具。
【請求項4】
前記連通孔が前記軸受保持部に形成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項5】
前記露出部は、前記軸受の前記外周面の前部の一部のみを前記風路側へ露出させるよう構成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項6】
前記露出部が、前記連通孔と前記軸受保持部の内部とを連通し且つ前記軸受保持部の軸方向に延在された溝部として構成され、
複数の前記連通孔が、前記軸受保持部の周方向に並んで配置されており、
複数の前記溝部が、前記軸受保持部の周方向において1つ置きの前記連通孔の径方向内側に形成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項7】
前記軸受は、軸方向一方側から前記ハウジングによって覆われており、軸方向他方側からシール部材によって覆われている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項8】
前記シール部材が、前記回転軸に一体回転可能に固定されている請求項7に記載の動力久具。
【請求項9】
前記シール部材には、羽根部が形成されており、
前記羽根部によって前記回転軸の径方向外側へ向かう空気流を発生させる請求項8に記載の動力工具。
【請求項10】
前記回転軸の軸方向他方側の部分には、ファンが設けられており、
前記ハウジングには、前記ファンによって生成される空気流を流出させる排気孔が形成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項11】
前記ハウジングは、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングを挟み込む一対のカバー部材を有するハンドルハウジングと、
を含んで構成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項12】
前記ハウジングには、前記モータの駆動力を先端工具に伝達する駆動機構部が収容されており、
前記駆動機構部は、前記先端工具に回転力を付与する第1モードと、前記先端工具に回転力と打撃力を付与する第2モードに切替可能に構成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項13】
前記モータは、前記ハウジングに着脱可能なバッテリーパックによって駆動される請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の振動ドリル(動力工具)では、振動ドリルの先端部に先端工具が取り付けられており、振動ドリルの内部にモータが収容されている。そして、モータの回転力が先端工具に伝達されて、加工材に穴あけ加工等を施すようになっている。
【0003】
また、モータの回転軸の後端部は、ベアリングによって回転可能に支持されており、ベアリングは、ハウジングに保持されている。また、ハウジングには、ベアリングを保持する部位の周辺において、吸気口が形成されており、吸気口からハウジング内へ空気を流入できる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、振動ドリルなどの動力工具では、高出力化に伴い、モータが高速回転される傾向にある。このため、モータの回転軸を支持するベアリングの温度が上昇する。これにより、動力工具では、ベアリングを冷却できる構造にすることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、軸受を冷却することができる動力工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容するハウジングと、前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、を備え、前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の前記外周面の前部のみを、径方向外側に向けて、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成されている動力工具である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容するハウジングと、前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、を備え、前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の前記外周面の前部の周方向の一部のみを、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成されている動力工具である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容するハウジングと、前記モータの回転軸、または、前記モータの回転により駆動される駆動軸を回転可能に支持する軸受と、前記ハウジングの前記軸受の径方向外側に形成され、前記ハウジングの内部と外部とを連通する連通孔と、前記ハウジングに設けられ、有底筒状に形成され、内部に前記軸受を収容する軸受保持部と、を備え、前記軸受保持部は、前記軸受の外周面を保持する側壁を有し、前記側壁には、前記軸受の一部を、前記連通孔を流れる空気の風路に露出させる露出部が形成され、前記連通孔は、前記軸受保持部の周方向に複数並んで配置されており、前記露出部は、前記軸受保持部の周方向において一つ置きの前記連通孔の径方向内側にそれぞれ形成されている動力工具である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連通孔が前記軸受保持部に形成されている動力工具である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記露出部は、前記軸受の前記外周面の前部の一部のみを前記風路側へ露出させるよう構成されている動力工具である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記露出部が、前記連通孔と前記軸受保持部の内部とを連通し且つ前記軸受保持部の軸方向に延在された溝部として構成され、複数の前記連通孔が、前記軸受保持部の周方向に並んで配置されており、複数の前記溝部が、前記軸受保持部の周方向において1つ置きの前記連通孔の径方向内側に形成されている動力工具である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記軸受は、軸方向一方側から前記ハウジングによって覆われており、軸方向他方側からシール部材によって覆われている動力工具である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記シール部材が、前記回転軸に一体回転可能に固定されている動力工具である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記シール部材には、羽根部が形成されており、前記羽根部によって前記回転軸の径方向外側へ向かう空気流を発生させる動力工具である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記回転軸の軸方向他方側の部分には、ファンが設けられており、前記ハウジングには、前記ファンによって生成される空気流を流出させる排気孔が形成されている動力工具である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記モータハウジングを挟み込む一対のカバー部材を有するハンドルハウジングと、を含んで構成されている動力工具である。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、前記モータの駆動力を先端工具に伝達する駆動機構部が収容されており、前記駆動機構部は、前記先端工具に回転力を付与する第1モードと、前記先端工具に回転力と打撃力を付与する第2モードに切替可能に構成されている動力工具である。
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータは、前記ハウジングに着脱可能なバッテリーパックによって駆動される動力工具である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、軸受を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態に係る振動ドリルを示す右側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示される振動ドリルの内部を示す右側から見た側断面図である。
【
図3】
図1に示されるハウジングのハンドルハウジングとモータハウジングとを分解した状態で示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示される振動ドリルをモータハウジングの後側から見た後面図である。
【
図5】
図4に示される軸受保持部を第1吸気孔の部位において破断した断面図(
図4の5-5線断面図)である。
【
図6】
図4に示される軸受保持部を第2吸気孔の部位において破断した断面図(
図4の6-6線断面図)である。
【
図7】
図5に示される軸受保持部、後側モータ軸受、ダストシール、及び回転軸を分解した状態で示す右側斜め前方から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「動力工具」としての振動ドリル10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ振動ドリル10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、振動ドリル10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0023】
振動ドリル10は、被加工物に対して穴あけ加工等を施す工具として構成されている。
図1及び
図2に示されるように、振動ドリル10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたモータ40と、モータ40の駆動力によって駆動する駆動機構部50と、バッテリーパック70と、モータ40を駆動制御する制御部72と、を含んで構成されている。
【0024】
また、振動ドリル10は、操作ノブ38を有している。操作ノブ38は、左右方向にスライド操作可能に、振動ドリル10の外部に露出されている。そして、操作ノブ38が操作されることで、振動ドリル10の動作モードが切替わるように構成されている。具体的には、操作ノブ38を左側へスライドさせたドリルモード位置に配置することで、先端工具Tが回転する「第1モード」としてのドリルモードになるように設定されている。一方、操作ノブ38を右側へスライドさせた振動ドリルモード位置に配置することで、先端工具Tが回転及び前後方向に往復移動する「第2モード」としての振動ドリルモードになるように構成されている。さらに、振動ドリル10は、軸受冷却構造Sを有しており、軸受冷却構造Sが、モータ40の回転軸41を回転可能に支持する後側モータ軸受45に対して適用されている。以下、振動ドリル10の各構成について説明する。
【0025】
<ハウジング20について>ハウジング20は、振動ドリル10の外郭を構成している。ハウジング20は、ハウジング20の後部を構成するハンドルハウジング22と、ハウジング20の前後方向中間部を構成するモータハウジング24と、ハウジング20の前部を構成するギヤハウジング28と、を含んで構成されている。
【0026】
<ハンドルハウジング22について>
図1~
図4に示されるように、ハンドルハウジング22は、右側から見た側面視で、略P字形状に形成されている。ハンドルハウジング22は、左右方向に2分割されており、2分割されたカバー部材23同士を組付けることで、ハンドルハウジング22が構成されている。
【0027】
ハンドルハウジング22の後端部は、作業者が把持するハンドル部22Aとして構成されており、ハンドル部22Aは、上下方向に延在されている。また、ハンドルハウジング22の前部には、ハンドル部22Aの前側において、後述するモータハウジング24の軸受保持部26を露出させるための円形状の露出孔22Bが前後方向に貫通形成されている。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、ハンドル部22Aの上端部には、トリガ33が設けられている。また、ハンドルハウジング22には、トリガ33の上側において、後述するモータ40の回転方向を切替える切替ボタン34が設けられている。さらに、ハンドルハウジング22には、トリガ33の後側において、スイッチ機構35が設けられている。スイッチ機構35は、トリガ33及び切替ボタン34によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部72に電気的に接続されており、トリガ33の操作状態及び切替ボタン34の切替状態に応じた出力信号を制御部72に出力する構成になっている。また、ハンドルハウジング22には、露出孔22Bの下側において、変速スイッチ36が設けられている。変速スイッチ36は、操作されることで、後述するモータ40の回転数を多段に切替えるスイッチとして構成されており、後述する制御部72に電気的に接続されている。
【0029】
ハンドルハウジング22の下端部は、後述するバッテリーパック70を取付けるためのバッテリー取付部22Cとして構成されており、バッテリー取付部22Cは、側面視で前側及び下側へ開放された凹状に形成されている。バッテリー取付部22Cには、後述するバッテリーパック70と接続されるコネクタ37が設けられている。
【0030】
<モータハウジング24について>
図1~
図4に示されるように、モータハウジング24は、前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。そして、モータハウジング24が、ハンドルハウジング22の上部の前側に配置されて、分割されたカバー部材23によって左右方向に挟まれた状態で、一対のカバー部材23に連結されている。具体的には、モータハウジング24が一方のカバー部材23と共に、他方のカバー部材23に共締めされている。そして、ハンドルハウジング22とモータハウジング24との連結状態では、モータハウジング24における左右の側部の上下方向中間部が外部に露出している。
【0031】
モータハウジング24は、軸受保持部26を有しており、軸受保持部26は、モータハウジング24の底部の中央部を構成している。軸受保持部26は、前側へ開放された有底円筒状に形成されている。また、軸受保持部26は、後述する軸受冷却構造Sを構成しており、軸受保持部26の詳細については、後述する。モータハウジング24は、4箇所のアーム部24Aを有しており、アーム部24Aは、軸受保持部26から径方向外側へ延出されて、モータハウジング24の側壁に接続されている。また、4箇所のアーム部24Aは、軸受保持部26の周方向において90度毎(等間隔)に配置されている。
【0032】
<ギヤハウジング28について>
図1及び
図2に示されるように、ギヤハウジング28は、ギヤハウジング28の後部を構成する第1ギヤハウジング29と、ギヤハウジング28の前部を構成する第2ギヤハウジング30と、を含んで構成されている。第1ギヤハウジング29は、前後方向を軸方向とする筒状に形成されており、第2ギヤハウジング30は、後側へ開放された凹状に形成されている。そして、第1ギヤハウジング29及び第2ギヤハウジング30が、モータハウジング24の前側開口部を塞ぐように、モータハウジング24に締結固定されている。第2ギヤハウジング30の上部には、ハウジング筒部30Aが形成されており、ハウジング筒部30Aは、前後方向を軸方向とする円筒状に形成されて、第2ギヤハウジング30から前側へ突出している。
【0033】
また、モータハウジング24と第1ギヤハウジング29との間には、左右の側部において、排気部31が形成されており、排気部31には、ハウジング20の内部と外部とを連通する複数の排気孔31Aが形成されている。さらに、第1ギヤハウジング29の上端部には、操作ノブ38が、左右方向にスライド操作可能に設けられており、操作ノブ38がハウジング20の外部に露出されている。
【0034】
<モータ40について>
図2に示されるように、モータ40は、モータハウジング24の内部に収容されている。モータ40は、回転軸41と、ロータ42と、ステータ43と、を含んで構成されている。
【0035】
回転軸41は、前後方向を軸方向として、軸受保持部26と同軸上に配置されている。そして、回転軸41の後端部(軸方向一方側端部)が、モータハウジング24の軸受保持部26に保持された「軸受」としての後側モータ軸受45によって回転可能に支持されている。一方、回転軸41の前端部(軸方向他方側端部)は、第1ギヤハウジング29に保持された前側モータ軸受46によって回転可能に支持されている。
【0036】
ロータ42は、回転軸41の径方向外側に配置されて、回転軸41と一体回転可能に構成されている。ステータ43は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ロータ42の径方向外側においてモータハウジング24に支持されている。ステータ43は、ステータホルダを有しており、ステータホルダには、ステータコイルが巻き回されている。そして、ステータコイルが、後述する制御部72に接続されている。これにより、制御部72の制御によってモータ40が駆動する構成になっている。
【0037】
回転軸41の前端側部分には、前側モータ軸受46の後側において、ファン47が一体回転可能に設けられている。ファン47は、遠心ファンとして構成されると共に、排気部31の径方向内側に配置されている。そして、ファン47によって、後側から前側へ向かう空気流を生成し、当該空気流をファン47の径方向外側へ流すように構成されている。よって、後述する軸受保持部26の吸気孔26Dからモータハウジング24内に空気を流入させ、当該空気を排気孔31Aから排出させる構成になっている。これにより、モータ40を冷却する構成になっている。
【0038】
また、回転軸41の前端部は、第1ギヤハウジング29内に収容されており、回転軸41の前端部には、ピニオンギヤ41Aが形成されている。
【0039】
<駆動機構部50について>駆動機構部50は、スピンドル51を有している。スピンドル51は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ギヤハウジング28の上部内に配置されている。具体的には、スピンドル51が、第2ギヤハウジング30のハウジング筒部30Aと同軸上に配置されている。そして、スピンドル51の前端側部分が、第2ギヤハウジング30に固定された前側スピンドル軸受52によって回転可能に支持されており、スピンドル51の後端部が第1ギヤハウジング29に固定された後側スピンドル軸受53に回転可能に支持されている。また、スピンドル51は、前側スピンドル軸受52及び後側スピンドル軸受53に前後方向に相対移動可能に支持されている。
【0040】
スピンドル51の前端部は、ハウジング筒部30Aよりも前側へ突出している。スピンドル51の前端部には、ドリルチャック54が締結固定されており、ドリルチャック54に先端工具Tが取付けられている。スピンドル51の後端部には、後側へ開放された凹部51Aが形成されており、凹部51Aには、鋼球55が設けられている。
【0041】
スピンドル51の後側には、モード切替軸56が設けられている。モード切替軸56は、上下方向を軸方向とすると共に、断面略D字形状に形成されている。すなわち、モード切替軸56の外周面が、平面部と曲面部とを含んで構成されている。モード切替軸56は操作ノブ38に連結されており、操作ノブ38がスライドされることで、モード切替軸56が自身の軸回りに回動する構成になっている。具体的には、操作ノブ38のドリルモード位置では、モード切替軸56の曲面部が鋼球55の後側に隣接配置され、操作ノブ38の振動ドリルモード位置では、モード切替軸56の平面部が鋼球55の後側に所定の隙間を空けて配置される構成になっている。これにより、振動ドリル10のドリルモードでは、スピンドル51の初期位置(
図2に示される位置)からの後側への移動が制限され、振動ドリル10の振動ドリルモードでは、スピンドル51の初期位置から後側への移動が許可される構成になっている。
【0042】
スピンドル51の後端側の部分には、駆動ギヤ57が一体回転可能に設けられている。駆動ギヤ57は、2段ギヤ58によって、モータ40の回転軸41のピニオンギヤ41Aに連結されている。これにより、モータ40が駆動することで、モータ40の回転力がスピンドル51に伝達されて、スピンドル51及び先端工具Tがスピンドル51の軸回りに回転する構成になっている。
【0043】
また、スピンドル51には、第1ラチェット59が一体回転可能に設けられており、第1ラチェット59は、前側スピンドル軸受52の後側に隣接して配置されている。さらに、第1ラチェット59の後側には、第2ラチェット60が設けられている。第2ラチェット60は、スピンドル51の径方向外側に配置されると共に、第2ギヤハウジング30に固定されている。さらに、第2ラチェット60の前側には、付勢バネ61が設けられており、スピンドル51が、付勢バネ61の付勢力により前側へ付勢されて、初期位置に配置されている。そして、スピンドル51の初期位置では、第2ラチェット60が第1ラチェット59に対して後側に所定の隙間を空けて配置されている。
【0044】
第1ラチェット59の後面及び第2ラチェット60の前面には、ラチェット歯がそれぞれ形成されている。そして、振動ドリルモードにおいて、スピンドル51を付勢バネ61の付勢力に抗して後側へ移動させることで、第1ラチェット59のラチェット歯及び第2ラチェット60のラチェット歯に当接するように構成されている。これにより、スピンドル51の回転時に、第1ラチェット59のラチェット歯が第2ラチェット60のラチェット歯を乗り越えることで、スピンドル51が前後方向に往復移動するようになっている。
【0045】
<バッテリーパック70>バッテリーパック70は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック70が、ハンドルハウジング22のバッテリー取付部22Cに、前側から着脱可能に装着されている。バッテリーパック70は、図示しないコネクタを有しており、バッテリーパック70のバッテリー取付部22Cへの装着状態では、当該コネクタがコネクタ37に接続されて、後述する制御部72にバッテリーパック70から電力が供給される構成になっている。また、バッテリーパック70は、一対のロック部材70A(
図1参照)を有しており、ロック部材70Aは、バッテリーパック70の左右の側部に設けられている。そして、バッテリーパック70のバッテリー取付部16Bへの装着状態では、ロック部材70Aがハンドルハウジング22に係合して、バッテリーパック70の前側への移動が制限されている。
【0046】
<制御部72について>制御部72は、ハンドルハウジング22の下端部内に配置されている。制御部72には、前述したスイッチ機構35のスイッチ、変速スイッチ36、及びバッテリーパック70が電気的に接続されている。そして、トリガ33が引き操作されることで、制御部72によってモータ40が駆動して、駆動機構部50によってモータ40の駆動力が先端工具Tに伝達される構成になっている。また、制御部72によってモータ40が駆動するときには、切替ボタン34の切替状態に応じて、モータ40の回転方向が設定され、変速スイッチ36に操作位置に応じた回転速度でモータ40が回転する構成になっている。
【0047】
<軸受冷却構造Sについて>
図4~
図7に示されるように、軸受冷却構造Sは、モータハウジング24の軸受保持部26と、軸受保持部26に保持された後側モータ軸受45と、モータ40の回転軸41に設けられた「シール部材」としてのダストシール80と、を含んで構成されている。
【0048】
<軸受保持部26について>軸受保持部26は、全体として前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。具体的には、軸受保持部26は、前後方向を板厚方向とする略円板状の底壁26Aと、底壁26Aの外周部から前側へ延出された円筒状の側壁26Bと、を含んで構成されている。そして、軸受保持部26の内部が、後側モータ軸受45を収容する軸受収容部26Cとして構成されている。
【0049】
側壁26Bには、複数(本実施の形態では、8箇所)の「連通孔」としての吸気孔26Dが貫通形成されている。吸気孔26Dは、前後方向から見て、軸受保持部26の周方向に沿って湾曲された長孔状に形成されると共に、軸受保持部26の周方向に等間隔毎に配置されている。そして、吸気孔26Dの内部が、空気流入路26Eとして構成されている。また、吸気孔26Dは、4箇所の第1吸気孔26D1と、4箇所の第2吸気孔26D2と、に分類されており、第1吸気孔26D1と第2吸気孔26D2とが軸受保持部26の周方向に交互に配置されている。
【0050】
側壁26Bには、第1吸気孔26D1の径方向内側において、「露出部」及び「溝部」として連通溝26Fが形成されている。すなわち、4箇所の連通溝26Fが、側壁26Bに形成されている。連通溝26Fは、前後方向に延在され、前側へ開放されると共に、軸受保持部26の径方向に貫通されている。これにより、第1吸気孔26D1の内部(空気流入路26E)と軸受収容部26Cとが、連通溝26Fによって連通されている。また、連通溝26Fの底部は、側壁26Bの前後方向中間部に配置されている。
【0051】
<後側モータ軸受45について>後側モータ軸受45は、ボールベアリングとして構成されている。すなわち、後側モータ軸受45は、後側モータ軸受45の径方向内側部分を構成する内輪45Aと、後側モータ軸受45の径方向外側部分を構成する外輪45Bと、内輪45A及び外輪45Bの間の配置されたボール45Cと、を含んで配置されている。そして、後側モータ軸受45が、軸受保持部26の軸受収容部26C内に嵌入されて、軸受保持部26に保持されている。また、前述したモータ40の回転軸41が、後側モータ軸受45内に嵌入されて、後側モータ軸受45に回転可能に支持されている。
【0052】
後側モータ軸受45の軸受保持部26への保持状態では、連通溝26Fによって、後側モータ軸受45における外輪45Bの前部の一部が、径方向外側(第1吸気孔26D1の空気流入路26E側)へ露出されている。一方、外輪45Bの後部は、軸受保持部26の側壁26Bによって周方向全周に亘って保持されている。また、後側モータ軸受45の軸受保持部26への保持状態では、軸受保持部26の底壁26Aによって、後側モータ軸受45が後側(軸方向一方側)から覆われている。なお、軸受冷却構造の一例として後側モータ軸受の冷却について説明してきたが、動力工具に設けられた軸受であれば適用可能である。
【0053】
<ダストシール80について>ダストシール80は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されている。ダストシール80は、後側モータ軸受45の前側に近接して配置されると共に、モータ40の回転軸41に一体回転可能に固定されている。具体的には、前後方向において後側モータ軸受45とダストシール80との間に微小な隙間を設けた状態で、ダストシール80が、後側モータ軸受45を前側(軸方向他方側)から覆っている。したがって、ダストシール80が、後側モータ軸受45に対するシール部材として機能するように構成されている。
【0054】
また、ダストシール80の外周部には、羽根部80Aが設けられている。羽根部80Aは、前後方向から見てリング状に形成されると共に、ダストシール80から前側へ突出している。また、羽根部80Aには、複数(本実施の形態では、8箇所)の突起部80Bが形成されている。突起部80Bは、羽根部80Aから径方向外側へ突出すると共に、ダストシール80の周方向に等間隔毎に配置されている。そして、ダストシール80が回転軸41と共に回転するときには、羽根部80Aによってダストシール80の径方向外側へ向かう空気流AR2(
図5参照)が発生する構成になっている。すなわち、ダストシール80が、遠心ファンとしても機能するように構成されている。
【0055】
(作用効果)次に本実施の形態の振動ドリル10の作用及び効果について説明する。
【0056】
上記のように構成された振動ドリル10では、トリガ33が引き操作されると、制御部72によってモータ40が駆動して、先端工具Tがスピンドル51と共に回転する。これにより、被加工物に対して、穴あけ加工を施すことができる。また、振動ドリル10の振動ドリルモードでは、先端工具Tを被加工物に押し付けることで、スピンドル51が初期位置から後側へ移動する。これにより、第1ラチェット59のラチェット歯が第2ラチェット60のラチェット歯を乗り越えることで、スピンドル51及び先端工具Tが、回転しつつ前後方向に往復移動する。したがって、振動ドリルモードでは、被加工物に対して回転力及び打撃力を付与しつつ、穴あけ加工を施すことができる。
【0057】
ここで、振動ドリル10では、モータ40の回転軸41を回転可能に支持する後側モータ軸受45が、モータハウジング24の軸受保持部26に保持されている。軸受保持部26には、複数の吸気孔26Dが貫通形成されており、吸気孔26Dによってモータハウジング24の内部と外部とが連通されている。そして、後側モータ軸受45の一部が、吸気孔26Dの内部の空気流入路26E側へ露出されている。これにより、吸気孔26Dからモータハウジング24の内部に流入される空気流AR1(
図5参照)によって後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0058】
また、軸受保持部26は、前側へ開放された有底円筒状に形成されている。そして、軸受保持部26の内部が、後側モータ軸受45を収容するための軸受収容部26Cとして構成されている。また、軸受保持部26の側壁26Bには、複数の吸気孔26Dが前後方向に貫通形成されると共に、空気流入路26Eと軸受収容部26Cとを連通する連通溝26Fが形成されている。このため、簡易な構成で、後側モータ軸受45の一部を吸気孔26Dの空気流入路26E側へ露出させることができる。
【0059】
また、吸気孔26Dが、軸受保持部26の周方向に複数形成されており、連通溝26Fが、周方向に並ぶ吸気孔26Dの一つ置きの吸気孔26Dの径方向内側に形成されている。具体的には、吸気孔26Dにおける第1吸気孔26D1の径方向内側に形成されている。これにより、第1吸気孔26D1からモータハウジング24の内部へ流入される空気流AR1によって、後側モータ軸受45を冷却しつつ、第2吸気孔26D2からモータハウジング24の内部へ流入される空気流AR1によって、軸受保持部26を冷却することができる。その結果、例えば、振動ドリル10の作動時における軸受保持部26の熱膨張を抑制することができる。したがって、軸受保持部26の後側モータ軸受45への保持状態を良好に維持しつつ、後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0060】
また、連通溝26Fは、前側へ開放されており、連通溝26Fの底部が、側壁26Bの前後方向中間部(軸方向中間部)に配置されている。このため、後側モータ軸受45の前部の一部を連通溝26Fによって空気流入路26E側へ露出させつつ、後側モータ軸受45の後部を、側壁26Bによって周方向全周に亘って保持することができる。これにより、軸受保持部26の後側モータ軸受45への保持状態を一層良好に維持しつつ、後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0061】
また、後側モータ軸受45の前側には、ダストシール80が設けられており、ダストシール80によって後側モータ軸受45が前側から覆われている。さらに、軸受保持部26の底壁26Aによって後側モータ軸受45が後側から覆われている。これにより、ダストシール80及び軸受保持部26によって、後側モータ軸受45が、軸方向両側からシールされている。したがって、後側モータ軸受45に対する防塵性を確保しつつ、後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0062】
また、ダストシール80は、モータ40の回転軸41に一体回転可能に設けられている。このため、回転軸41が回転することで、ダストシール80の径方向外側へ向かう空気流AR2を発生させることができる。これにより、空気流入路26E内の空気流AR1によって後側モータ軸受45を冷却しつつ、空気流AR1内の塵埃を、空気流AR2によって後側モータ軸受45の径方向外側(後側モータ軸受45から離間する方向)へ飛ばすことができる。したがって、後側モータ軸受45に対する防塵性を向上しつつ、後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0063】
また、ダストシール80には、羽根部80Aが形成されており、羽根部80Aによって回転軸41の径方向外側へ向かう空気流AR2が発生する。これにより、空気流AR1内の塵埃を、空気流AR2によって後側モータ軸受45の径方向外側へ効果的に飛ばすことができる。したがって、後側モータ軸受45に対する防塵性を効果的に向上しつつ、後側モータ軸受45を冷却することができる。
【0064】
また、回転軸41の前端側部分には、ファン47が一体回転可能に設けられており、ファン47は、遠心ファンとして構成されている。また、ハウジング20には、ファン47の径方向外側において、排気孔31Aが形成されている。これにより、ファン47によって発生する空気流AR1によって、吸気孔26Dから空気をモータハウジング24内に流入させ、モータハウジング24内に流入した空気を排気孔31Aから排出させることができる。したがって、空気流AR1によって、モータ40を冷却することができる。
【0065】
また、ハウジング20は、モータ40を収容するためのモータハウジング24と、モータハウジング24を左右方向から挟み込む一対のカバー部材23を有するハンドルハウジング22と、を含んで構成されている。また、軸受保持部26がモータハウジング24に形成され、ハンドルハウジング22には、軸受保持部26を露出させる露出孔22Bが形成されている。このため、モータ40をモータハウジング24に組付けたユニット状態にして、モータハウジング24をハンドルハウジング22と連結させることができる。これにより、振動ドリル10の組付性を向上することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、軸受保持部26において、軸受収容部26Cと空気流入路26Eとが連通溝26Fによって連通されているが、軸受収容部26Cと空気流入路26Eとを連通させる構成はこれに限らない。例えば、軸受保持部26に孔部を形成して、当該孔部によって軸受収容部26Cと空気流入路26Eとを連通させてもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、軸受保持部26の連通溝26Fの底部が、側壁26Bの前後方向中間部に配置されていが、軸受保持部26の連通溝26Fの底部を、軸受保持部26の底壁26Aまで延ばして、連通溝26Fの溝深さを深くしてもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、吸気孔26Dにおける第1吸気孔26D1の径方向内側に、連通溝26Fが形成されているが、第1吸気孔26D1及び第2吸気孔26D2の径方向内側に連通溝26Fを形成してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、ダストシール80がモータ40の回転軸41に一体回転可能に設けられているが、ダストシール80をモータハウジング24に固定する構成にしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、ダストシール80に羽根部80Aが形成されているが、ダストシール80において羽根部80Aを省略してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…振動ドリル(動力工具)、20…ハウジング、22…ハンドルハウジング、22B…露出孔、23…カバー部材、24…モータハウジング、26…軸受保持部、26B…側壁、26D…吸気孔(連通孔)、26F…連通溝(露出部、溝部)、31A…排気孔、40…モータ、41…回転軸、45…後側モータ軸受、47…ファン、50…駆動機構部、70…バッテリーパック、80…ダストシール(シール部材)、80A…羽根部、T…先端工具