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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】トランス及びトランスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20240402BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20240402BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01F30/10 D
H01F30/10 A
H01F41/00 C
H01F27/24 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023019306
(22)【出願日】2023-02-10
(65)【公開番号】P2023121140
(43)【公開日】2023-08-30
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202210151366.3
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
(72)【発明者】
【氏名】易 園 園
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029677(JP,A)
【文献】特開2010-239797(JP,A)
【文献】特開2020-109843(JP,A)
【文献】特開2010-246364(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129376(WO,A1)
【文献】特開2021-061647(JP,A)
【文献】特開2021-040144(JP,A)
【文献】特開2000-114681(JP,A)
【文献】実開昭59-169068(JP,U)
【文献】実開昭62-055367(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0330678(US,A1)
【文献】米国特許第05414401(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/10
H01F 41/00
H01F 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設置されているトップ基板及びボトム基板と、前記トップ基板と前記ボトム基板との間に位置する複数のラッピングポストとを含む磁心と、
一次側巻線及び二次側巻線を含む巻線と、を含み、
ここで、前記一次側巻線は、前記複数のラッピングポストの回りに巻回され、少なくとも1対のサブ巻線を含み、各対のサブ巻線は並列された2つのサブ巻線を含み、各対のサブ巻線のうちの各前記サブ巻線は、
少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きと、
前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きと、を含み、
ここで、各対のサブ巻線において、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流し、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償される、
トランス。
【請求項2】
前記複数のラッピングポストは、4T個のラッピングポストを含み、Tが正整数であり、且つ、
ここで、
前記一次側巻線は、1対のみのサブ巻線を含み、それら各々の主巻きが、互いに異なる2T個のラッピングポストにそれぞれ巻回され、又は、
前記一次側巻線は、少なくとも2対のサブ巻線を含み、前記少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される、
請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
各サブ巻線の主巻きは奇数巻きを巻回し、かつ各サブ巻線の付加巻きは主巻きが巻回されたラッピングポストと異なる少なくとも1つのラッピングポストに奇数巻きを巻回する、
請求項1又は2に記載のトランス。
【請求項4】
前記少なくとも2つのラッピングポストは、対をなす隣接しないラッピングポストを含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、前記対をなす隣接しないラッピングポストにそれぞれ巻回された少なくとも1巻き、及び前記対をなす隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストに巻回された必要な奇数又は偶数巻きを含み、各対の隣接しないラッピングポストにおける磁束方向が同一であり、前記少なくとも2つの隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストにおける磁束方向が逆である、
請求項1に記載のトランス。
【請求項5】
前記複数のラッピングポストは4つのラッピングポストであり、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線が仮想四角形をなしており、ここで単一の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の一本の対角線上の2つの頂点に設置されており、かつ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する、
請求項1に記載のトランス。
【請求項6】
前記複数のラッピングポストは、前記ボトム基板及び前記トップ基板のうちの少なくとも一方に設置されており、かつ前記ボトム基板及び前記トップ基板のうちの他方へ延び、各ラッピングポストは、貼り合わせられた上磁心及び下磁心を含み、又は単一の磁柱として一体に形成される、
請求項1に記載のトランス。
【請求項7】
各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置されたかつ等しい電位を備える点の間に、短絡接続が設置される、
請求項1に記載のトランス。
【請求項8】
前記一次側巻線と二次側巻線とが間隔を置いて前記トランスの複数の層に配置され、かつ前記一次側巻線と前記二次側巻線との各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも一層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続された銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通することを実現する、
請求項1に記載のトランス。
【請求項9】
前記二次側巻線が前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、かつ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される、
請求項8に記載のトランス。
【請求項10】
各ラッピングポストの横断面は、円形、楕円形又は方形である、
請求項1に記載のトランス。
【請求項11】
各ラッピングポストの磁気抵抗は同じである、
請求項1に記載のトランス。
【請求項12】
各ラッピングポストの横断面積は同じである、
請求項1に記載のトランス。
【請求項13】
トランスの製造方法であって、前記トランスは磁心と巻線とを含み、前記磁心は対向して設置されているトップ基板及びボトム基板と、前記トップ基板と前記ボトム基板との間に位置する複数のラッピングポストとを含み、前記巻線は一次側巻線と二次側巻線とを含む方法において、
前記磁心を製造することと、
前記トランスの巻線を巻回することと、を含み、
前記トランスの巻線を巻回することは、
前記複数のラッピングポストの回りに前記一次側巻線を巻回することと、
前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つの回りに前記二次側巻線を巻回することと、を含み、
ここで、前記複数のラッピングポストの回りに前記一次側巻線を巻回することは、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することを含み、各対のサブ巻線は並列された2つのサブ巻線を含み、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することは、
少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きを巻回することと、
前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きを巻回することと、を含み、
ここで、各対のサブ巻線は、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流し、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償されるように巻回される、
トランスの製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのラッピングポストは、対をなす隣接しないラッピングポストを含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、前記対をなす隣接しないラッピングポストにそれぞれ巻回された少なくとも1巻き、及び前記対をなす隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストに巻回された必要な奇数又は偶数巻きを含み、各対の隣接しないラッピングポストにおける磁束方向が同じであり、前記少なくとも2つの隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストにおける磁束方向が逆である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のラッピングポストは4つのラッピングポストであり、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線が仮想四角形をなしており、かつ単一の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の一本の対角線上の2つの頂点に設置されており、かつ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置されたかつ等しい電位を備える点の間に、短絡接続が設置される。
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記一次側巻線と二次側巻線とが間隔を置いて前記トランスの複数の層に配置され、かつ前記一次側巻線と前記二次側巻線との各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも一層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続された銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通することを実現する、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記二次側巻線が前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、かつ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トランスの技術分野に関し、具体的に、トランス及びトランスの製造方法(特に、そのなか、トランスの巻線を巻回する方法)に関する。さらに特に、本開示は、必要な奇数又は偶数巻き数比を有するトランス、及び必要な奇数又は偶数巻き数比を有するトランスにおける一次側巻線を巻回するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスは、電磁相互誘導を利用して、電圧、電流及びインピーダンスを変換することを実現するデバイスである。トランスは、磁心及び巻線からなり、巻線は、一次側巻線及び二次側巻線に分かれている。ここで、変圧比K=一次側巻線巻き数Np/二次側巻線巻き数Nsとなり(ただし、K>0)、即ち、変圧比は、通常、二次側巻線に対する一次側巻線の巻き数比とも称する。トランスを設計する時、入出力電圧の要求に応じて、変圧比Kが異なる値を選択する。即ち、トランスを設計する時、K値は、設計ニーズによって決定される。K値に基づいて、巻線の巻き数を選択する時、一次側巻線の巻き数Np及び二次側巻線の巻き数Nsの選択が多様である。
【0003】
磁気集積技術の進歩及び突破に伴い、コイルを巻回する巻線を備えるトランス(特に平面トランス)に関する関連応用及び技術研究がますます広く注目されている。コイルを巻回する巻線を備えるトランス、特別に平面トランスは、従来のトランスと比較して、最大の区別は巻線の違いを含む。一般的に、平面トランスの巻線は、複数の層の導電箔(通常は銅箔)が被覆されたプリント回路基板(PCB)を用いて積層されたものである。具体的に、例えば、コイルを巻回する巻線を備えるトランス、特に平面トランスは、プリント回路基板製造プロセスを採用して、複数の層の基板上にスパイラル型コイルを形成し、異なる層のスパイラル型コイルを接続することで一次巻線(即ち一次側巻線)又は二次巻線(即ち二次側巻線)を形成する。平面トランスは、特別な平面構成及び巻線の緊密な結合により、複数の層のPCB内部の銅箔を用いて配線して巻線とするので、巻線の設計が柔軟であり、組み立てが簡単であるなどの利点を有しており、トランスの体積及び高さを大幅に減少させ、高電力密度を改善し、電源モジュールを小型化、平面化させるとともに、高周波の寄生パラメータを大幅に低下させ、スイッチ電源の動作状態を大幅に改進した。
【0004】
コイルを巻回する巻線を備えるトランスの巻線巻き数は、トランス性能に影響する重要な要素であり、現在、コイルを巻回する巻線を備えるトランスにおいて一次巻線又は二次巻線を形成する接続形態が比較的単一であり、一般的な巻線巻き数、特に一次側及び二次側巻線巻き数、及び対応する巻き数割合は、例えば偶数である。したがって、コイルを巻回する巻線を備えるトランスにおける奇数巻線巻き数、及び奇数巻き数比/変圧比をどのように実現するかは早急に解決すべき技術課題であり、あるいは言い換えれば、早急に解決すべき技術課題は、どのように、期望値が奇数であるか偶数であるかに関わらず、必要に応じて予期の一次側巻線巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比を実現するかということである。なお、トランスの損失によって、電源電力が増加した場合、電源の熱消費密度が増大してしまうことになり、それに応じて高電力電源が放熱要求を満たす必要があり、それにより電源電力密度の向上を制約する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する上記課題及び欠陥の少なくとも一方を解決するために、本開示の目的は、トランス、及びトランスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本開示の技術案は以下の形態で実現される。
【0007】
本開示の第1の局面によれば、トランスを提供しており、磁心と巻線とを含み、前記磁心は対向して設置されているトップ基板及びボトム基板と、前記トップ基板と前記ボトム基板との間に位置する複数のラッピングポストとを含み、前記巻線は一次側巻線及び二次側巻線を含む。前記一次側巻線は、前記複数のラッピングポストの回りに巻回され、少なくとも1対のサブ巻線を含み、各対のサブ巻線は並列された2つのサブ巻線を含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きと、前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きと、を含み、各対のサブ巻線において、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流し、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償される。
【0008】
本開示による実施例において、前記複数のラッピングポストは、4T個のラッピングポストを含み、Tが正整数である。そして、前記一次側巻線は、1対のみのサブ巻線を含み、それら各々の主巻きが、互いに異なる2T個のラッピングポストにそれぞれ巻回され、又は、前記一次側巻線は、少なくとも2対のサブ巻線を含み、前記少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0009】
本開示による実施例において、各サブ巻線の主巻きは奇数巻きを巻回し、かつ各サブ巻線の付加巻きは主巻きが巻回されたラッピングポストと異なる少なくとも1つのラッピングポストに奇数巻きを巻回する。
【0010】
本開示による実施例において、前記少なくとも2つのラッピングポストは、対をなす隣接しないラッピングポストを含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、前記対をなす隣接しないラッピングポストにそれぞれ巻回された少なくとも1巻き、及び前記対をなす隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストに巻回された必要な奇数又は偶数巻きを含み、各対の隣接しないラッピングポストにおける磁束方向が同じであり、前記少なくとも2つの隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストにおける磁束方向が逆である。
【0011】
本開示による実施例において、前記複数のラッピングポストは4つのラッピングポストであってもよく、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線が仮想四角形をなしており、ここで単一の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の一本の対角線上の2つの頂点に設置されており、かつ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する。
【0012】
本開示による実施例において、前記複数のラッピングポストは、前記ボトム基板及び前記トップ基板の一方に設置されており、かつ前記ボトム基板及び前記トップ基板のうちの他方へ延び、各ラッピングポストは、貼り合わせられた上磁心及び下磁心を含み、又は単一の磁柱として一体に形成される。
【0013】
本開示による実施例において、各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置されたかつ等しい電位を備える点の間に、短絡接続が設置される。
【0014】
本開示による実施例において、前記一次側巻線と二次側巻線とが間隔を置いて前記トランスの複数の層に配置され、かつ前記一次側巻線と前記二次側巻線との各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも一層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続された銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通することを実現する。
【0015】
本開示による実施例において、前記二次側巻線が前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、かつ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される。
【0016】
本開示による実施例において、各ラッピングポストの横断面は、円形、楕円形又は方形である。
本開示による実施例において、各ラッピングポストの磁気抵抗は同じである。
本開示による実施例において、各ラッピングポストの横断面積は同じである。
本開示による実施例において、各ラッピングポストはフェライトから製造される。
【0017】
本開示の第2の局面によれば、トランスの製造方法をさらに提供しており、前記トランスは磁心と巻線とを含み、前記磁心は対向して設置されているトップ基板及びボトム基板と、前記トップ基板と前記ボトム基板との間に位置する複数のラッピングポストとを含み、前記巻線は一次側巻線と二次側巻線とを含み、前記方法は、前記磁心を製造することと、前記トランスの巻線を巻回することとを含む。前記トランスの巻線を巻回することは、前記複数のラッピングポストの回りに前記一次側巻線を巻回することと、前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つの回りに前記二次側巻線を巻回することと、を含む。前記複数のラッピングポストの回りに前記一次側巻線を巻回することは、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することを含み、各対のサブ巻線は並列された2つのサブ巻線を含み、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することは、少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きを巻回することと、前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きを巻回することと、を含み、各対のサブ巻線は、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流し、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償されるように巻回される。それは上述したトランスを形成するため、類似する利点を有し、ここで説明を繰り返さない。
【0018】
本開示による実施例において、前記トランスは、前記複数のラッピングポストが4T個のラッピングポストを含み、且つ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2T個のラッピングポストに巻回されるように製造され、ただし、Tが正整数である。
【0019】
本開示による実施例において、前記少なくとも2つのラッピングポストは、対をなす隣接しないラッピングポストを含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、前記対をなす隣接しないラッピングポストにそれぞれ巻回された少なくとも1巻き、及び前記対をなす隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストに巻回された必要な奇数又は偶数巻きを含み、各対の隣接しないラッピングポストにおける磁束方向が同じであり、前記少なくとも2つの隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストにおける磁束方向が逆である。
【0020】
本開示による実施例において、前記複数のラッピングポストは4つのラッピングポストであり、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線が仮想四角形をなしており、かつ単一の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の一本の対角線上の2つの頂点に設置されており、かつ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する。
【0021】
本開示による実施例において、前記複数のラッピングポストが前記ボトム基板及び前記トップ基板の一方に設置されており、かつ前記ボトム基板及び前記トップ基板のうちの他方へ延び、各ラッピングポストは、貼り合わせられた上磁心及び下磁心を含み、又は単一の磁柱として一体に形成される。
【0022】
本開示による実施例において、各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置されたかつ等しい電位を備える点の間に、短絡接続が設置される。
【0023】
本開示による実施例において、前記一次側巻線と二次側巻線とが間隔を置いて前記トランスの複数の層に配置され、かつ前記一次側巻線と前記二次側巻線との各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも一層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続された銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通することを実現する。
【0024】
本開示による実施例において、前記二次側巻線が前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、かつ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される。
【0025】
本開示による実施例において、各ラッピングポストは、円形、楕円形又は方形の横断面を備えるように製造される。
【0026】
本開示による実施例において、各ラッピングポストは、同一の磁気抵抗を備えるように製造される。
【0027】
本開示による実施例において、各ラッピングポストは、同一の横断面積を備えるように製造される。
本開示による実施例において、各ラッピングポストは、フェライトから製造される。
【発明の効果】
【0028】
本開示が提供した技術案は、以下の利点を備える。本開示の実施例が実現したトランス及びトランスの製造方法、特にその一次側巻線の巻回方法は、以上のような設置によって、コイルを巻回する巻線を備えるトランス、例えば平面トランスにおける必要な奇数又は偶数巻線巻き数、及び必要な奇数又は偶数巻き数比/変圧比を実現することができる。なお、対角方向に沿って交差して設置された(例えば電気的並列な関係をなす)互いに対称に配置された少なくとも2つのサブ巻線によって、各ラッピングポストにおける磁束が隣接する2つのラッピングポストへ分流され(代表的に例えば等分され)、かつ磁束のAC部分は少なくとも部分的に互いに打ち消し合い、これによって全体の厚さ、即ち高さが低減し、例えば半分になりやすい。且つ、例えば物理的構成上で離間される電気ネットワークの各々の等電位点において短絡接続を設置することで、銅張面積を増大させて熱挙動及び全体放熱性能を改善することができる。これにより、電力密度を改善するとともに放熱を改善し、高さ等のサイズを低減して、よりコンパクトな構造で設計パラメータを実現することができる。そして、このようなコンパクトな構造は空間占用を最小化し、かつ簡単な構造及び接続関係によって組み立て及び取り外しがしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示の一実施例による平面トランスの立体構成分解図を模式的に示している。
図2(a)】図2(a)は、本開示の一実施例による平面トランスの磁心の構成模式図を図示しており、明瞭のために磁心に巻回される巻線を省略した。
図2(b)】図2(b)は、本開示の別の実施例による平面トランスの磁心の構成模式図を図示しており、明瞭のために磁心に巻回される巻線を省略した。
図3図3は、本開示の別の実施例による平面トランスの単層における巻線の配線、及び層間電気的接続を実現するためのビアホールの模式図を図示している。
図4(a)】図4(a)は、本開示の一実施例によるコイルを巻回する巻線を備えるトランス(代表的に、例えば平面トランス)の一次側巻線の模式的な巻き線配置図を図示しており、一次側巻線は1対のみのサブ巻線を含み、それは奇数の一次側巻線巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。
図4(b)】図4(b)は、図4(a)に図示された実施例に基づく拡張実施例のトランスの一次側巻線の模式的な巻き線配置図を図示している。
図5(a)】図5(a)は、本開示の別の実施例によるコイルを巻回する巻線を備えるトランス(代表的に、例えば平面トランス)の一次側巻線の模式的な巻き線配置図を図示しており、一次側巻線は1対のみのサブ巻線を含み、それは奇数の一次側巻線巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。
図5(b)】図5(b)は、図5(a)に図示された実施例に基づく拡張実施例のトランスの一次側巻線の模式的な巻き線配置図を図示している。
図6図6は、実施例による図4(a)~図4(b)に示すような実施例の一種の変形を図示しており、ここで、一次側巻線は依然として1対のみのサブ巻線を含み、各々の主巻きが、互いに異なる偶数個のラッピングポストにそれぞれ巻回される。
図7図7は、実施例による図4(a)~図4(b)に示すような実施例の一種の変形を図示しており、ここで、一次側巻線は、少なくとも2対のサブ巻線を含み、少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。
図8図8は、本発明の実施例による平面トランスのシミュレーション熱効果の模式図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に実施例により図面を参照して本開示の技術案をさらに具体的に説明する。明細書において、同一又は類似の符号は機能が同じであるか又は類似する部材を示す。以下に図面を参照して本開示の実施形態に対する説明は、本開示の全体的な構想を説明することを目的とし、本開示に対する制限であると理解すべきではない。なお、以下の詳細な説明において、説明を容易にするために、多くの具体的な詳細を説明して本開示の実施例に対する全面的な理解に供する。しかしながら、一又は複数の実施例はこれらの具体的な詳細がない場合であっても実施され得ることが明らかである。
【0031】
図1は、本開示の一実施例による平面トランスの立体構成分解図を模式的に示している。
【0032】
より具体的に、図2(a)は、本開示の一実施例による平面トランス100の磁心の構成模式図を図示しており、明瞭のために磁心1に巻回される巻線を省略した。図2(b)は、本開示の別の実施例による平面トランス100の磁心1の構成模式図を図示しており、明瞭のために磁心1に巻回される巻線を省略した。図3は、本開示の別の実施例による平面トランス100の単層における巻線の配線、及び層間電気的接続を実現するためのビアホールの模式図を図示している。
【0033】
本開示の実施例の1つの全体的な技術構想によれば、例えば、図1図3に示すように、平面トランス100を提供しており、前記平面トランス100は、磁心1と巻線2とを含み、前記磁心1は、対向して設置されているトップ基板15及びボトム基板16と、前記トップ基板15と前記ボトム基板16との間に位置する複数のラッピングポスト10とを含み、前記巻線2は、一次側巻線20と二次側巻線30とを含み、前記一次側巻線20は、例えば前記複数のラッピングポスト10の回りに巻回される。例えば、図1に示すように、平面トランスの複数の層のPCBが重ねられて全体の巻線2を構成する。図3に示すように、平面トランスの各層のPCBは、例えばラッピングポスト10を通過させるためのラッピングポスト窓口17を含み、巻線の、各層のPCB上における部分が前記ラッピングポスト窓口17の回りに巻回され、かつ同層のこれらの巻き線部分が互いに離間されている。
【0034】
図4(a)は、本開示の一実施例によるコイルを巻回する巻線を備えるトランス(代表的に、例えば平面トランス100)の一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を図示しており、それは奇数の一次側巻線20巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。図4(b)は、図4(a)に図示された実施例に基づく拡張実施例のトランスの一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を図示している。図4(a)には、二次側巻線30を模式的に示しているが、図4(b)には、簡潔のために二次側巻線を省略した。
【0035】
図5(a)は、本開示の別の実施例によるコイルを巻回する巻線を備えるトランス(代表的に、例えば平面トランス100)の一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を図示しており、それは奇数の一次側巻線20巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。図5(b)は、図5(a)に図示された実施例に基づく拡張実施例のトランスの一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を図示している。図5(a)及び図5(b)には、簡潔のために二次側巻線を省略した。
【0036】
本開示による例示的な実施例において、本開示の実施例による前記平面トランス100の巻線(特に、一次側巻線20)の具体的な巻き線配置について、ユーザが平面トランス100の奇数巻線巻き数、及び奇数巻き数比/変圧比を実現しやすいために、例示として、図4(a)~図4(b)及び図5(a)~図5(b)に示すように、前記一次側巻線20が前記複数のラッピングポスト10の回りに巻回され、例えば少なくとも1対のサブ巻線を含み、各対のサブ巻線は、並列された2つのサブ巻線を含む。さらに、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回された各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きと、前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きとを含む。
【0037】
そして、各対のサブ巻線において、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流し、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償される。
【0038】
上記設置によって、実質的に、前記一次側巻線20に含まれる互いに並列された2つのサブ巻線において、1つの現在サブ巻線について、それは、その少なくとも2つのラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを主巻きとして提供するだけではなく、該サブ巻線の内部に並列の方式で現在サブ巻線と異なる他方のサブ巻線が巻回された別のラッピングポストに巻回される奇数巻きを付加巻きとして別途に提供する。その逆でも同様である。これにより、前記他方のサブ巻線の対応する付加巻きは、実質的に、前記現在サブ巻線の主巻きが巻回されたラッピングポストの1つに巻回され、これにより、本分野で既知のファラデー電磁誘導法則及びトランスの巻線の電圧に基づいて算出することで分かるように、前記他方のサブ巻線における付加巻きは、前記現在サブ巻線に別の付加磁束を提供して、主巻きの磁束と重ね合わせることに供し、変圧比及び一次側-二次側等価巻き数比の変更を実現しやすくなり、これにより、所望値が奇数であるか偶数であるかに関わらず、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比を実現しやすくなる。具体的に、例えば、一次側巻線20巻き数が奇数になり、又は一次側-二次側等価巻き数比が奇数になる。
【0039】
言い換えれば、本開示の例示的な実施例において、具体的には、例えば、図面に示すように、一次側巻線20の並列された2つのサブ巻線において、一次側巻線20の主幹路電流Iが第1のサブ電流IP1と第2のサブ電流IP2とに分かれ、それらは等しい量の値を有し(IP1= IP2=I/)、前記第1のサブ電流IP1が例えば時計回りに第1のサブ巻線21に流入し、かつ前記第2のサブ電流が例えば反時計回りに第2のサブ巻線22に流入する。これにより、図面に示すように、例示として、前記第1のサブ巻線21の対応する第1の主巻きが巻回された少なくとも2つのラッピングポスト(例えば、図4(a)及び図4(b)の第2のラッピングポスト12及び第4のラッピングポスト14)に単一の第1の磁束方向(例えば、図示しているのは紙面の裏に垂直に指向する方向である)が形成されると、前記第2のサブ巻線22の対応する第2の主巻きは、前記複数のラッピングポスト10における前記少なくとも2つのラッピングポスト以外の他のラッピングポスト(例えば、図4(a)及び図4(b)の第3のラッピングポスト13及び第1のラッピングポスト11)に巻回され、かつ逆の単一の第2の磁束方向(例えば、図示しているのは紙面の表に垂直に指向する方向である)が形成される。
【0040】
同時に、図面に示すように、前記第2のサブ巻線22の対応する第2の付加巻きは、実質的に、前記第1のサブ巻線21の対応する第1の主巻きが巻回されたラッピングポスト(上述したように、第2のラッピングポスト12及び第4のラッピングポスト14)のうちの少なくとも1つ(例えば、図4(a)及び図4(b)に示すような第2のラッピングポスト12)に時計回りに流れることで、前記第1のサブ巻線21の第1の主巻きのラッピングポスト(上述したように、第2のラッピングポスト12及び第4のラッピングポスト14)の第1の磁束方向と同一の磁束方向が形成されて、これにより前記第2のサブ巻線22の第2の付加巻きは、実質的に、第1のサブ巻線21の第1の主巻きが巻回されたラッピングポストに別の磁束(ここで、例えば第1の付加磁束と称する)を供給して、前記第1の主巻きの磁束と重ね合わせることに供し、変圧比及び一次側-二次側等価巻き数比の変更を実現しやすくなり、これにより、所望値が奇数であるか偶数であるかに関わらず、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比を実現しやすくなる。具体的に、例えば、一次側巻線20巻き数が奇数になり、又は一次側-二次側等価巻き数比が奇数になる。
【0041】
同時に、図面に示すように、前記第1のサブ巻線21の対応する第1の付加巻きは、実質的に、前記第2のサブ巻線22の対応する第2の主巻きが巻回されたラッピングポスト(上述したように、第3のラッピングポスト13及び第1のラッピングポスト11)のうちの少なくとも1つ(例えば、図4(a)及び図4(b)に示すような第3のラッピングポスト13)に反時計回りに流れることで、前記第2のサブ巻線22の第2の主巻きのラッピングポスト(上述したように、第2のラッピングポスト12及び第4のラッピングポスト14)の第2の磁束方向と同一の磁束方向が形成されて、これにより前記第1のサブ巻線21の第1の付加巻きは、実質的に、第2のサブ巻線22の第2の主巻きが巻回されたラッピングポストに別の磁束(ここで、例えば第2の付加磁束と称する)を供給して、前記第2の主巻きの磁束と重ね合わせることに供し、変圧比及び一次側-二次側等価巻き数比の変更を実現しやすくなり、これにより、所望値が奇数であるか偶数であるかに関わらず、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比を実現しやすくなる。具体的に、例えば、一次側巻線20巻き数が奇数になり、又は一次側-二次側等価巻き数比が奇数になる。
【0042】
言い換えれば、本開示の実施例によるトランスの一次側巻線において、例示として、一方のサブ巻線の付加巻きは、他方のサブ巻線の主巻きが巻回されたラッピングポスト(例えば、ここで前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストと略称する)に巻回される。これにより、前記一方のサブ巻線の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束は、前記一方のサブ巻線自体の主巻きが巻回されたラッピングポスト(即ち、前記一方のサブ巻線の主ラッピングポスト)における磁束と逆の磁束方向を有し、即ち、実質的に前記他方のサブ巻線の主巻きにおける励磁電流の対応する部分が前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束と同一の磁束方向を有する。これにより、前記一方のサブ巻線の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける電圧値にも寄与する。且つ、その逆でも同様であり、即ち、具体的には、その同時に、前記他方のサブ巻線の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける電圧値にも寄与する。
【0043】
例示として、奇数である一次側巻線20巻き数、又は奇数である一次側-二次側等価巻き数比/変圧比を実現する動作原理は、以下の通り、簡単に分析する。
【0044】
前記平面トランス100の磁心1は、例えば4つのラッピングポストを含み、前記4つのラッピングポストは、例えば、図面に示すように時計回りに配置されると、ファラデー電磁誘導法則によって分かるように、巻線、例えば一次側巻線20において、各ラッピングポストに対して、それを流れる励磁電流が生じた磁束の大きさの計算式は、代表的に以下の通りである。
【数1】

(1)
【0045】
ただし、Φは単一のラッピングポストにおける磁束の大きさであり、Nは該単一のラッピングポストに巻回される励磁電流の巻き数であり、Iは該ラッピングポストにおける具体的な巻きを流れる電流であり、Rは該ラッピングポストの磁気抵抗である。それに応じて、例えば、4つのラッピングポストは、例えば、それぞれA、A、A、Aで示されており、それらの磁気抵抗はそれぞれR、R、R、Rで示されており、かつ前記一次側巻線20が前記4つのラッピングポストに生じた磁束は、例えばそれぞれΦ、Φ、Φ、Φで示されている。
【0046】
また、さらに、一次側巻線20の電圧の算出において、それが巻回された単一のラッピングポストにおける電圧の算出は、例えば代表的に以下の式に従う。
【数2】

(2)
【0047】
ただし、巻線、例えば一次側巻線20の単一のラッピングポストにおける電圧の算出について、それは実質的に該単一のラッピングポストの磁束を時間微分するものである。
【0048】
明らかなように、分流の関係で、各ラッピングポストにおけるシングル巻きの巻き線に通過する分岐電流は、必然に主幹路電流Iの分数になり、例えば
【数3】
になり、ただし、Qがサブ巻線数であり、図4(a)、図4(b)及び図5(a)、図5(b)に示すように、Q=2である。かつ、MQは単一のサブ巻線における並列されたブランチ数、即ちサブ巻線のさらなる分流経路数(即ち、以下に二次ブランチの数と称して、単一のサブ巻線における分岐電流が並行に巻回されたラッピングポストの数に対応する)、そして、例えば、図4(a)、図4(b)及び図5(a)、図5(b)に示すように、電流が分岐する度に等分され、より具体的に、図示している一回の分岐で等分される。このように類推し、ここで説明を繰り返さない。図4(a)、図4(b)及び図5(a)、図5(b)に示すような代表的な例示において、Q=2、Nは最小値が1の正整数であり、Rの最小値は例えば定数であり、そうすると、一次側巻線20の単一のラッピングポストに対して、その磁束Φの最小値は
【数4】

であり、Uの最小値は
【数5】

である。そして、これから分かるように、一次側巻線20におけるいずれかのラッピングポストにおける磁束値は最小値Φminの整数倍である。それに応じて、一次側巻線20におけるいずれかのラッピングポストにおける電圧値は最小値Uminの整数倍である。
【0049】
これから分かるように、実質的に、対をなすサブ巻線のうちの単一の現在サブ巻線に対して、他方のサブ巻線において該単一のサブ巻線に対する主巻きが巻回されたラッピングポストにおける別の付加巻きが別途に巻回され、かつ例えば前記他方のサブ巻線におけるこのような付加巻きが奇数である場合、該現在サブ巻線の少なくとも1つの主巻きラッピングポストにおける磁束が最小値Φminの奇数倍を増加し、その電圧値が最小値Uminの奇数倍を増加する。
【0050】
これにより、一次側巻線における奇数巻き数を予期的に実現するために、例えば、その主巻きが奇数である前提で、即ち、各サブ巻線の主巻きが奇数巻きを巻回すると、各サブ巻線の付加巻きは、主巻きが巻回されたラッピングポストと異なる少なくとも1つのラッピングポストに奇数巻きを巻回する必要がある。
【0051】
本開示による例示的な実施例において、例えば図4(a)に示すような実施例を例として、各対のサブ巻線において、一方のサブ巻線における主巻きの電流分流による磁束損失が、他方のサブ巻線における付加巻きによって補償され、サブ巻線21の主巻きがラッピングポスト12及び14に巻回され、図面に示すように紙面に沿って裏に指向する磁束を生じ、具体的に、一次側巻線の主幹路電流がIであるとすれば、最初にサブ巻線21に入る電流が第1のサブ電流IP1であり、かつIP1=I/2。図面に示すように、サブ巻線21の主巻きがラッピングポスト12に2巻きが巻回され、ここで電流が第1のサブ電流IP1である。サブ巻線21の主巻きがラッピングポスト14に3巻きが巻回され、ここでラッピングポスト14に巻回された主巻きにおける電流が、該サブ巻線の付加巻き(それはこの対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線22の対応する主巻きが巻回されたラッピングポスト13に逆方向に巻回される)に分流される場合があり、これにより、対応的に、その次にラッピングポスト14に巻回される主巻きにおける電流がIP1/2=I/4になる。合計として、このサブ巻線21の主巻きにおいて、紙面に沿って裏に指向する磁束を生じるための電流が4*(I/2)+1*(I/4)=9I/4になる。しかし、一次側巻線における奇数巻き数、例えば5を実現しようとすると、実際に主巻き磁束が5*(I/2)であり、そのため、両者の間の差に等しい補償すべき磁束損失が存在する。
【0052】
したがって、主巻きを図面のように直接にカウントする方式に従うと、主巻きは合計で5巻きが巻回されたが、実際に、ある単回でラッピングポスト14に巻回される主巻きにおいて電流分流により磁束損失が存在することを考慮する必要があり、そのため、さらに同対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線22の対応する付加巻きのラッピングポスト12における巻回によって生じられた補償磁束を考慮する。具体的に、図面に示すように、同対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線22の対応する付加巻きがラッピングポスト12にも紙面に沿って裏に指向する磁束を生じ、上述したようなサブ巻線21における、ラッピングポスト14に巻回される主巻きにおいて電流分流により存在する磁束損失に対する補償作用を奏する。具体的に、この他方のサブ巻線22は、サブ巻線12の主巻きが所在するラッピングポスト14に巻回される付加巻きの巻回巻き数が1巻きであり、それがサブ巻線21の主巻きの磁束方向と同一の磁束、即ち、紙面に沿って裏に指向する磁束を生じる。この他方のサブ巻線の磁束補償用の該付加巻きにおける電流が第1のサブ電流IP2の半分であり、即ちIP2/2=IP1/2=I/4。
【0053】
これにより、実際に、サブ巻線21の主巻きが巻回されたラッピングポスト12、14における、紙面に沿って裏を指向する方向の磁束を生じるための電流の総和が9I/4+ IP2/2=9I/4+ I/4=5*(I/2)であり、即ち、同対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線22の付加巻きによる磁束補償によって、一次側巻線の等価の奇数巻き、即ち5巻きを実現し、これにより各対のサブ巻線において、各サブ巻線の少なくとも1つの主巻きの電流が同一のサブ巻線の少なくとも1つの付加巻きに分流され、且つ各サブ巻線の主巻きにおける電流分流による磁束損失が、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線の、前記少なくとも1つの主巻きの回りに巻回される付加巻きが生じた磁束によって補償されることを実現している。
【0054】
これにより、上記設置によって、必要に応じて、一次側巻線20において、単一の現在サブ巻線に対して、該現在サブ巻線に対する主巻きラッピングポストに増設された、他方のサブ巻線における付加巻きが巻回された具体的なラッピングポスト、具体的な巻き数及び具体的な巻き線形態を柔軟に選択することで、所望値が奇数であるか偶数であるかに関わらず、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比を実現しやすくなる。
【0055】
本開示の例示的な実施例において、前記複数のラッピングポストは、例えば4T個のラッピングポストを含み、Tが正整数である。そして、例示として、例えば図4(a)~図5(b)に示すように、T=1の場合、前記2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストに巻回される。
【0056】
Tの具体的な取り値の増大に伴って、具体的な巻線巻回配置において、各サブ巻線の実際な配置のバリエーションが多くなることを実現することができる。例えば、以下の図6及び図7に示すような拡張実施例がある。
【0057】
本開示のさらなる例示的な実施例において、例えば、前記2つのサブ巻線の各々の付加巻きは、それぞれの主巻きが巻回されたラッピングポストと異なる少なくとも1つのラッピングポストに奇数巻きが巻回される。上述したことを考慮して、前記一方のサブ巻線の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記他方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける電圧値に寄与する。且つ、逆になっても同様であり、即ち、同時に、前記他方のサブ巻線の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記一方のサブ巻線の主ラッピングポストにおける電圧値にも寄与する。これにより、例示として、各サブ巻線の付加巻きが、異なる他方のサブ巻線の少なくとも1つの主ラッピングポストに奇数巻きを巻回することで、奇数の一次側巻線の巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現することができる。
【0058】
具体的な例示として、図4(a)は、本開示の一実施例による平面トランス100の一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を模式的に示しており、それは奇数の一次側巻線20巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。図5(a)は、本開示の別の実施例による平面トランス100の一次側巻線20の模式的な巻き線配置図を模式的に示しており、それは奇数の一次側巻線20巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現しやすい。
【0059】
本開示の1つの具体的な例示的実施例において、例えば、図4(a)に示すように、一次側巻線において、第1のサブ巻線21の第1の付加巻きが、第2のサブ巻線22の1つの主ラッピングポスト13に奇数巻き、例えば図示している1巻きを巻回すると、第1のサブ巻線21の第1の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が第2のサブ巻線22の主ラッピングポスト13に生じた磁束は、実質的に前記第2のサブ巻線の主ラッピングポスト13における磁束に寄与し、さらに前記第2のサブ巻線22の主ラッピングポスト13における電圧値に寄与する。且つ、逆になっても同様であり、即ち、同時に、第2のサブ巻線22の第2の付加巻きが、第1のサブ巻線21の1つの主ラッピングポスト12に奇数巻き、例えば図示している1巻きを巻回すると、前記第2のサブ巻線22の第2の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポスト12に生じた磁束は、実質的に前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポスト12における磁束に寄与し、さらに前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポスト12における電圧値にも寄与する。これにより、例示として、各サブ巻線の付加巻きが、異なる他方のサブ巻線の主ラッピングポストに奇数巻きを巻回することで、奇数の一次側巻線の巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現することができる。
【0060】
本開示の別の具体的な例示的実施例において、例えば、図5(a)に示すように、一次側巻線において、各サブ巻線がその対角に配置された主ラッピングポストに巻回される前に、隣接する1つの別のラッピングポスト(他方のサブ巻線の主ラッピングポストとする)に巻回されて経過してから、その主ラッピングポストに渡し、且つその主ラッピングポストにおける巻回が完了した後、さらにもう1つの別のラッピングポスト(他方のサブ巻線の主ラッピングポストともする)に巻回されて経過することで、主幹路に渡し、さらに電気的接続され、これにより、第1のサブ巻線21の第1の主巻きは、実質的にその主ラッピングポスト13及び11に巻回されるが、第2のサブ巻線22の第2の主巻きは、実質的にその主ラッピングポスト12及び14に巻回され、即ち、図5(a)に示すような各サブ巻線の各々の主ラッピングポストは、図4(a)に示す状況と異なる。
【0061】
さらに、図5(a)に示すように、一次側巻線において、第1のサブ巻線21の第1の付加巻きは、例えば第2のサブ巻線22の主ラッピングポスト12及び14のうちの少なくとも1つに奇数巻きが巻回される(例えば、図面に示すように、第2のサブ巻線22の主ラッピングポスト12に奇数巻き、例えば図示している1巻きが巻回され、第2のサブ巻線22の他方の主ラッピングポスト14に偶数巻き、例えば図示している2巻きが巻回される)と、第1のサブ巻線21の第1の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が第2のサブ巻線22の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記第2のサブ巻線の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記第2のサブ巻線22の主ラッピングポストにおける電圧値に寄与する。そして、逆になっても同様であり、即ち、同時に、第2のサブ巻線22の第2の付加巻きは、例えば第1のサブ巻線21の主ラッピングポスト13及び11のうちの少なくとも1つに奇数巻きが巻回される(例えば、図面に示すように、第1のサブ巻線21の主ラッピングポスト13に奇数巻き、例えば図示している1巻きが巻回され、第1のサブ巻線21の他方の主ラッピングポスト11に偶数巻き、例えば図示している2巻きが巻回される)と、前記第2のサブ巻線22の第2の付加巻きを流れる励磁電流の対応する部分が前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポストに生じた磁束は、実質的に前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポストにおける磁束に寄与し、さらに前記第1のサブ巻線21の主ラッピングポストにおける電圧値にも寄与する。これにより、例示として、各サブ巻線の付加巻きが、異なる他方のサブ巻線の少なくとも1つの主ラッピングポスト(例えば、奇数個の主ラッピングポスト、代表的に例えば1つの主ラッピングポスト)に奇数巻きを巻回することで、奇数の一次側巻線の巻き数及び奇数の変圧比/等価一次二次側巻き数比を実現することができる。
【0062】
本開示による例示的な実施例において、図4(a)及び図5(a)に示すように、例示として、前記複数のラッピングポスト10が4つのラッピングポストとして図示されており、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線は仮想四角形をなしており、ここで、前記単一の磁束方向を備えるラッピングポストは、前記仮想四角形の1本の対角線上の2つの頂点に設けられており、且つ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストは、前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する。
【0063】
本開示の実施例において、例えば、前記複数のラッピングポスト10は、前記ボトム基板16及び前記トップ基板15のうちの一方に設置されており、前記ボトム基板16及び前記トップ基板15のうちの他方へ延び、例示として、各ラッピングポストは、貼り合わせられた上磁心1及び下磁心1を含み、又は単一の磁柱として一体に形成される。そして、例示として、前記ラッピングポストは、例えばフェライトから製造される。
【0064】
本開示による例示的な実施例において、図4(a)に示すように、例示として、このような仮想四角形を限定した4つのラッピングポストを含む一次側巻線20の場合、具体的な巻き線方式は、例えば以下のように実施する。第1のラッピングポスト11、第2のラッピングポスト12、第3のラッピングポスト13、第4のラッピングポスト14の中心点の連結線が四角形をなしており、前記第2のラッピングポスト12及び前記第4のラッピングポスト14は、該四角形の第1の対角線(右上から左下へ)上の2つの頂点に位置し、かつ一次側巻線20の第1のサブ巻線21の主巻きラッピングポストとする。そして、前記第3のラッピングポスト13及び前記第1のラッピングポスト11は、該四角形の第2の対角線(右下から左上へ)上の2つの頂点に位置し、かつ一次側巻線20の第2のサブ巻線22の主巻きラッピングポストとする。
【0065】
本開示によるより具体的な実施例において、例示として、図4(a)及び図4(b)に示すように、一次側巻線20は、ノードAから始まり、且つここから2つのブランチ、即ち、並列された第1のサブ巻線21と第2のサブ巻線22とに分かれ、それぞれ実線経路及び破線経路で示されており、且つ最終的にノードBに合流する。
【0066】
本開示の例示的な実施例において、図面に示すように、例示として、第1のサブ巻線21及び第2のサブ巻線22の巻き線方向は、図面に示すようになる。例えば、第1のサブ巻線21は、ノードAから始まり、まず前記第1の対角線方向(右上から左下へ)に、時計回り方向に沿って前記第2のラッピングポスト12及び前記第4のラッピングポスト14を1巻きずつ迂回し、さらに時計回り方向に沿って前記第2のラッピングポスト12をもう1巻き迂回し、その後、2つの並列された二次ブランチに分かれ、それぞれは、時計回り方向に沿ってさらに前記第4のラッピングポスト14を1巻き迂回するもの、及び反時計回り方向に沿って第3のラッピングポスト13を1巻き迂回するもの(前記第1のサブ巻線21の付加巻きとし、且つ前記第2の対角線方向に切り替えて、前記第1のサブ巻線21と異なる第2のサブ巻線22の主巻きラッピングポストの1つとする該第3のラッピングポスト13における磁束を増加させることに供し、即ち該付加巻きは主に方向切替の作用を奏する)である。最後に、この2つの並列された二次ブランチは、終点であるノードBに再び合流し、電気的に接続される。これから分かるように、前記第1のサブ巻線21の主巻きラッピングポストは、第2のラッピングポスト12と第4のラッピングポスト14とを含み、この2つのラッピングポストにおける磁束方向は、紙面に垂直に裏に向く。
【0067】
類似的に、例えば、第2のサブ巻線22もノードAから始まり、まず前記第2の対角線方向(右下から左上へ)に、反時計回り方向に沿って前記第3のラッピングポスト13及び前記第1のラッピングポスト11を1巻きずつ迂回し、さらに反時計回り方向に沿って前記第3のラッピングポスト13をもう1巻き迂回し、その後、2つの並列された二次ブランチに分かれ、それぞれは、反時計回り方向に沿ってさらに前記第1のラッピングポスト11を1巻き迂回するもの、及び時計回り方向に沿って第2のラッピングポスト12を1巻き迂回するもの(前記第2のサブ巻線22の付加巻きとし、且つ前記第1の対角線方向に切り替えて、前記第1のサブ巻線21の主巻きラッピングポストの1つとする該第2のラッピングポスト12における磁束を増加させることに供する)である。最後に、この2つの並列された二次ブランチは、終点であるノードBに再び合流し、電気的に接続される。これから分かるように、前記第2のサブ巻線22の主巻きラッピングポストは、第3のラッピングポスト13と第1のラッピングポスト11とを含み、この2つのラッピングポストにおける磁束方向は、紙面に垂直に表に向く。
【0068】
これから分かるように、図4(a)及び図4(b)に示すような設置では、一次側巻線20における第1のサブ巻線21と第2のサブ巻線22とは実質的に互いに対称な設置である。上述した仮想四角形の対角線方向における巻き線設置によって、例えば一次側巻線20側の5巻きを実現した。
【0069】
上述した具体的な設置によって、四角形に配置された4つのラッピングポストを含んで巻回される一次側巻線20の配置において、単一の現在サブ巻線に対して、該現在サブ巻線に対する主巻きラッピングポストに増設された、他方のサブ巻線における付加巻きが巻回された具体的なラッピングポスト、具体的な巻き数及び具体的な巻き線形態を柔軟に選択することを実現しやすくなり、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比、例えば代表的には図示している一次側の5巻きを実現しやすくなる。
【0070】
本開示による別のより具体的な代替的実施例において、例示として、図5(a)及び図5(b)に示すように、一次側巻線20はノードAから始まり、且つここから2つのブランチ、即ち、並列された第1のサブ巻線21及び第2のサブ巻線22に分かれ、それぞれ実線経路及び破線経路で示されており、且つ最終的にノードBに合流する。
【0071】
本開示の模式的な実施例において、図5(a)及び5(b)に示すように、例示として、第1のサブ巻線21及び第2のサブ巻線22の巻き線方向は図面に示すようになる。例えば、第1のサブ巻線21は、ノードAから始まり、まず第1の対角線方向に、時計回り方向に沿って前記第2のラッピングポスト12を迂回して、それから、第2の対角線方向に切り替えて、反時計回り方向に沿って前記第3のラッピングポスト13及び前記第1のラッピングポスト11を迂回し、その後、2つの並列された二次ブランチに分かれ、それぞれは、第1の対角線方向に切り戻し、時計回り方向に沿って前記第4のラッピングポスト14を迂回するもの、及び引き続き第2の対角線方向に反時計回り方向に沿って第3のラッピングポスト13を迂回するもの(前記第1のサブ巻線21の付加巻きとし、前記第1のサブ巻線21と異なる第2のサブ巻線22の主巻きラッピングポストにおける磁束を増加させることに供する)である。最後に、この2つの並列された二次ブランチは、終点であるノードBに再び合流し、電気的に接続される。
【0072】
図5(a)及び図5(b)に示すように、例示として、第1のサブ巻線21及び第2のサブ巻線22の巻き線方向は、図面に示すように、第2のサブ巻線22もノードAから始まり、ノードBに終端し、かつその巻き線配置は、実質的に第1のサブ巻線21の巻き線配置と対称になり、ここで説明を繰り返さない。
【0073】
これから分かるように、図5(a)及び図5(b)に示すような設置では、一次側巻線20における第1のサブ巻線21と第2のサブ巻線22とは、実質的に互いに対称な設置である。上述した仮想四角形の対角線方向における巻き線設置によって、例えば一次側巻線20側の5巻きを実現した。
【0074】
上述した具体的な設置によって、四角形に配置された4つのラッピングポストを含んで巻回される一次側巻線20の配置において、単一の現在サブ巻線に対して、該現在サブ巻線に対する主巻きラッピングポストに増設された、他方のサブ巻線における付加巻きが巻回された具体的なラッピングポスト、具体的な巻き数及び具体的な巻き線形態を柔軟に選択することを実現しやすくなり、必要に応じて予期の一次側巻線20巻き数、又は一次側-二次側等価巻き数比、例えば代表的には図示している一次側の5巻きを実現しやすくなる。
【0075】
図8は、本発明の実施例による平面トランス100のシミュレーション熱効果の模式図を図示している。その中の(a)、(b)は、それぞれ対角方向ではなく、隣接方向(即ち、ピッチが最小化するラッピングポストの配置方向)に巻回される2つの異なる状況のシミュレーションケースであるが、ケース(c)は、図4(a)及び図4(b)と、図5(a)及び図5(b)とに示すような対角方向に巻回された奇数一次側巻線巻き数のシミュレーションケースである。
【0076】
本開示の例示的な実施例において、対角方向ではなく、隣接方向に巻回することで、図8の(a)、図8の(b)に示すようなシミュレーション結果を得て、このような巻回形態の場合、例えば上下2つのサブ巻線の配置が一致しかつ厚さが一致し、各ラッピングポストにおける磁束は隣接するラッピングポストのみに指向し、磁束の分流が存在しない。対角方向ではなく、隣接方向に巻回することで得られた図8の(a)、図8の(b)に示すようなシミュレーション結果と比べて、図4(a)及び図4(b)と、図5(a)及び図5(b)とに示すような対角方向に巻回する方式に基づいて図8の(c)に示すようなシミュレーション結果が得られ、図面から分かるように、各ラッピングポストにおける磁束は、隣接する2つのラッピングポストへ分流され(代表的には、例えば等分され)、かつ磁束のAC部分は、少なくとも部分的に互いに打ち消し合い、これにより対角方向ではなく、隣接方向に巻回することで得られた図8の(a)、図8の(b)に示すようなシミュレーション結果に比べて、厚さ、即ち全体の高さが低減し、例えば半分になることを実現した。例えば、一次側巻線20において、対角方向に沿って交差して設置された(例えば電気的に並列な関係にある)、互いに対称に配置された2つのサブ巻線によって、かつ現在サブ巻線と異なる他方のサブ巻線において、現在サブ巻線の主巻きラッピングポストに巻回された(ただし電気的な接続関係に基づく)、前記他方のサブ巻線に属する付加巻きを提供することで、2つの主巻き磁束方向が逆になるサブ巻線が互いに協働して動作し、これによりラッピングポストに対する磁心1の損失を低減して、必要な全体の高さを低減することができる。
【0077】
本開示の例示的な実施例において、例えば、図4(b)及び図5(b)に示すように、対をなすサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置され且つ等しい電位を備える点の間に短絡接続40を設置し、実際に、物理的構成上(電気的入口及び出口以外の他の箇所)互いに離間して設置された2つの電気ネットワークの各々の等電位点を接続することで、実質的な電気的接続関係を変えずに銅張面積を大きくし(即ち、より大きい銅敷設面積)、これにより熱挙動を改善して、短絡接続40が設けられていない図4(a)及び図5(a)のような場合と比較して、よりよい全体的放熱を実現した。電位が等しいであるため、実際の巻き線巻き数及び変圧比に影響することはないが、このような設置によって、異なる層の間の熱伝導、及び熱分布の最適化を実現しやすくなり、よりコンパクトな構成及びより低いトランスの高さを実現しやすくなる。
【0078】
本開示の例示的な実施例において、例えば、前記一次側巻線20と二次側巻線とが離間して前記平面トランス100の複数の層に配置され、かつ前記一次側巻線20及び前記二次側巻線の各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも1つの層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続される銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通されることを実現する。これにより、一次側巻線20は全体コイルとして形成される。
【0079】
好ましい実施例において、例えば、図面に示すように、各ラッピングポストの横断面は、円形、楕円形又は方形と選択されたが、これに限られない。
【0080】
好ましい実施例において、例えば、各ラッピングポストの磁気抵抗が同じであるが、これに限られない。そして、好ましい実施例において、例えば、各ラッピングポストの横断面積が同じであるが、これに限られない。同一の磁気抵抗及び同一の横断面積を備える複数のラッピングポストを基に、トランス巻線、特に一次側巻線のコイル巻回を行うことで、対角方向に沿って交差して設置された(例えば電気的並列な関係をなす)、対称に配置された2つのサブ巻線における磁位の均等を実現しやすくなる。
【0081】
このような好ましい設置によって、例えば変圧比の算出、又は変圧比、即ち等価の一次側-二次側巻線巻き数比の換算によって例えば一次側巻線20の巻き数を算出することが簡単になる。
【0082】
例示として、前記二次側巻線は、前記複数のラッピングポスト10のうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、且つ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される。
【0083】
図6は、実施例による図4(a)~図4(b)に示すような実施例の一種の変形を図示しており、ここで、一次側巻線は依然として1対のみのサブ巻線を含み、各々の主巻きは、互いに異なる偶数個のラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0084】
図7は、実施例による図4(a)~図4(b)に示すような実施例の一種の変形を図示しており、ここで、一次側巻線は、少なくとも2対のサブ巻線を含み、少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0085】
図6及び図7に示すように、図4(a)~図4(b)に示すような実施例を基に、本発明の実施例の応用をさらに拡張し、特に前記複数のラッピングポストが4T個のラッピングポストを含み、Tが2以上の正整数であるケースに対してさらに拡張した。この2つの図面は、いずれも8つのラッピングポスト、即ちT=2のケースを図示している。
【0086】
本開示の1つの拡張実施例によれば、例えば図6に示すように、前記一次側巻線は、1対のみのサブ巻線を含み、それらの各々の主巻きが、互いに異なる2T、即ち8つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。理解しやすいために、対をなすサブ巻線のうちの一方のサブ巻線のみを示しており、他方のサブ巻線を省略するものであって、実質的に、他方のサブ巻線は、図示しているサブ巻線に対して対称に配置されたものである。図示している単一のサブ巻線は、例えば図4(a)におけるサブ巻線21のケースと比べて、巻回方法が少し変化しており、主巻きが第1行の左から右への2つ目のラッピングポスト、及び第2行の左から右への3つ目のラッピングポストに追加で巻回され、且つ付加巻きが第2行の左から右への2つ目及び4つ目のラッピングポストに追加で巻回され、且つ実質的に、図4(a)のラッピングポスト12と等価するラッピングポストは、第1行の左から右への4つ目のラッピングポストであり、且つ一次側巻線の巻き数が依然として奇数として実現される。具体的な実施例において、例えば、単一のサブ巻線に対して、二次ブランチは、例えば第2行において並列された4つのアームとして実現され、第2行の4つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0087】
本開示の別の拡張実施例によれば、例えば図7に示すように、前記一次側巻線は、少なくとも2対のサブ巻線を含む。このような巻回方法は、実際に図4(a)~図4(b)における各図面の対をなすサブ巻線を破線枠に置き(即ちブラックボックス法で示され)、その後、前記少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され(破線は2つのA端の間が直接に接続されることを示し、破線は2つのB端の間が直接に接続されることを示す)、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。これにより、同時に各対のサブ巻線における電流を低減することができ、これにより発熱を改善することができ、且つトランスのサイズを制御しやすくなる。
【0088】
以上の例示は、電流分岐状況が多くとも単一のサブ巻線の二次ブランチに分流する状況であることのみについて説明した。しかし、さらなる拡張実施例において、例示として、代替的に、例えば、単一のサブ巻線には、二次ブランチの電流を基にさらに細分した高次ブランチ、例えば第3段のブランチがさらに存在する場合があり、最小の分岐電流は、対応的に最小の磁束単位、及び最小の電圧値単位を生じる。これにより、一次側巻線20におけるいずれかのラッピングポストにおける磁束値は、最小の磁束単位の整数倍である。それに応じて、一次側巻線20におけるいずれかのラッピングポストにおける電圧値は、最小の電圧値単位の整数倍である。これによって、特定の奇数又は偶数である一次側巻線の主巻き数、及び特定の奇数又は偶数である一次側及び二次側巻線の巻き数比及び変圧比を選択的に決定され得る。ここで説明を繰り返さない。
【0089】
本開示の実施例の別の局面によれば、トランス(コイルを巻回する巻線を備えるトランス、代表的に例えば平面トランス100)の一次側巻線20を製造するための方法をさらに提供しており、前記平面トランス100は、磁心1と巻線とを含み、前記磁心1は、対向して設置されているトップ基板15及びボトム基板16と、前記トップ基板15と前記ボトム基板16との間に位置する複数のラッピングポスト10を含み、前記巻線は、一次側巻線20と二次側巻線とを含み、前記方法は、前記磁心を製造することと、前記トランスの巻線を巻回することとを含む。前記トランスの巻線を巻回することは、前記複数のラッピングポスト10の回りに前記一次側巻線20を巻回することと、前記複数のラッピングポスト10のうちの少なくとも1つの回りに前記二次側巻線を巻回することとを含む。ここで、前記複数のラッピングポスト10の回りに前記一次側巻線20を巻回することは、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することを含み、各対のサブ巻線は並列された2つのサブ巻線を含み、少なくとも1対のサブ巻線を巻回することは、少なくとも2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される各々少なくとも1巻きを含む主巻きであって、前記主巻きを流れる電流が前記少なくとも2つのラッピングポストに第1の磁束方向に沿う主巻き磁束を形成する主巻きを巻回することと、前記主巻きに対して逆向きに、この対のサブ巻線のうちの他方のサブ巻線に対応する主巻きが巻回された少なくとも1つの別のラッピングポストに巻回される少なくとも1巻きを含む付加巻きであって、前記付加巻きを流れる電流が前記少なくとも1つの別のラッピングポストに沿う前記第1の磁束方向と逆の第2の磁束方向に沿う付加巻き磁束を形成する付加巻きを巻回することとを含む。
【0090】
本開示の実施例において、前記複数のラッピングポストは、例えば4T個のラッピングポストを含み、例示として、前記2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる対をなすラッピングポストに巻回され、ただし、Tが正整数である。
【0091】
拡張実施例として、例えば、図6に示すように、前記一次側巻線は1対のみのサブ巻線を含み、それら各々の主巻きが、互いに異なる2T個のラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0092】
別の拡張実施例として、例えば、図7に示すように、前記一次側巻線は少なくとも2対のサブ巻線を含み、前記少なくとも2対のサブ巻線のうち、各々の主巻きが同一の磁束方向を限定するサブ巻線が互いに並列され、かつ各対のサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の主巻きが、互いに異なる2つのラッピングポストにそれぞれ巻回される。
【0093】
本開示の実施例において、前記少なくとも2つのラッピングポストは、対をなす隣接しないラッピングポストを含み、各対のサブ巻線のうちの各サブ巻線は、前記対をなす隣接しないラッピングポストにそれぞれ巻回された少なくとも1巻き、及び前記対をなす隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストに巻回された必要な奇数又は偶数巻きを含み、各対の隣接しないラッピングポストにおける磁束方向が同一であり、前記少なくとも2つの隣接しないラッピングポストの1つに隣接するラッピングポストにおける磁束方向が逆である。
【0094】
本開示の実施例において、トランスを製造する例示的な方法において、例えば、前記複数のラッピングポスト10は、図面に示すように、4つのラッピングポストとして製造され、前記4つのラッピングポストの中心点の連結線が仮想四角形をなしており、ここで前記単一の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の一本の対角線上の2つの頂点に設置されており、かつ前記単一の磁束方向と逆の磁束方向を備えるラッピングポストが前記仮想四角形の他方の対角線上の2つの頂点に位置する。
【0095】
本開示の例示的な実施例において、トランスを製造する例示的な方法において、例えば、図4(b)及び図5(b)に示すように、対をなすサブ巻線のうちの2つのサブ巻線の各々の、対称に設置されたかつ等しい電位を備える点の間に、短絡接続40が設置され、これにより物理的構成上(電気的入口及び出口以外の他の箇所)互いに離間して設置された2つの電気ネットワークの各々の等電位点を接続することで、実質的な電気的接続関係を変えずに銅張面積を大きくし、これにより短絡接続40が設けられていない図4(a)及び図5(a)のような場合と比較して、よりよい全体的放熱を実現した。
【0096】
本開示の例示的な実施例において、トランスを製造する例示的な方法において、例えば、前記一次側巻線20と二次側巻線とが、具体的に、間隔を置いて前記平面トランス100の複数の層に配置されるように巻回され、かつ前記一次側巻線20と前記二次側巻線との各々の、異なる層に設置された部分は、少なくとも1つの層に形成されているビアホールを通過するジャンパワイヤ、又は異なる層の間に接続される銅柱を介して、直列又は並列の方式で層間に全体コイルとして電気的に連通することを実現する。これにより、一次側巻線20が全体コイルとして形成される。
【0097】
本開示の例示的な実施例において、トランスを製造する例示的な方法において、例えば、前記二次側巻線は、前記複数のラッピングポストのうちの少なくとも1つのラッピングポストの回りに巻回され、かつ前記二次側巻線の、同一のラッピングポストに位置する部分が間隔を置いて巻回される。
【0098】
好ましい実施例において、トランスを製造する例示的な方法において、例えば、図面に示すように、各ラッピングポストは円形、楕円形又は方形の横断面を備えるように製造される。
【0099】
好ましい実施例において、例えば、各ラッピングポストは同一の磁気抵抗を備えるように製造されるが、これに限られない。そして、好ましい実施例において、例えば、各ラッピングポストは同一の横断面積を備えるように製造されるが、これに限られない。同一の磁気抵抗及び同一の横断面積を備えるように製造される複数のラッピングポストを基に、トランスの巻線、特に一次側巻線のコイル巻回を行うことで、対角方向に沿って交差して設置された(例えば、電気的並列な関係をなす)、対称に配置された2つのサブ巻線における磁位の均等を実現しやすくなる。
【0100】
本開示の実施例において、例えば、前記複数のラッピングポスト10が前記ボトム基板16及び前記トップ基板15のうちの一方に設置されており、かつ前記ボトム基板16及び前記トップ基板15のうちの他方へ延び、例示として、各ラッピングポストは、貼り合わせられた上磁心1及び下磁心1を含み、又は単一の磁柱として一体に形成される。そして、例示として、前記ラッピングポストは、例えばフェライトから製造される。
【0101】
このような方法について、上述したトランス、例えば上述した平面トランス100を形成するため、上述した平面トランス100のすべての利点を有するが、ここで説明を繰り返さない。
【0102】
図面を参照して本開示を説明したが、図面に開示された実施例は、本開示の好ましい実施形態を例示的に説明することを目的とし、本開示に対する制限であると理解されるべきではない。
【0103】
本開示の全体的な構想のいくつかの実施例は既に示されて説明されたが、当業者であれば理解されるように、この全体的な構想の原則及び精神から逸脱することなく、これらの実施例を変更することができ、本開示の範囲は特許請求の範囲及びそれらの均等物により限定される。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8