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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】エアタンク固定構造、及び、車両
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20240402BHJP
   F17C 1/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
F17C1/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023029738
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐規
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 宗太
(72)【発明者】
【氏名】岡野 有起
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111457250(CN,A)
【文献】特開平06-300192(JP,A)
【文献】特開平09-242989(JP,A)
【文献】特開2020-040478(JP,A)
【文献】特開2006-275223(JP,A)
【文献】特開2002-147693(JP,A)
【文献】特開2010-276059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
F17C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム材又はアルミニウム合金材の押出材で形成される周方向にシームレスな筒状の胴体と、
前記胴体の外周に位置し、前記胴体と同時に前記押出材で形成され、前記押出材の押出方向に沿って延びる第1の座面を有する第1の延出部と、
前記胴体の両端に取り付けられ、前記胴体の両端を閉塞する鏡板と、
を有するエアタンクと
前記エアタンクの前記第1の座面を固定するためのフレームと、
前記第1の座面を前記フレームに複数箇所で直接固定する複数のボルトと
を有し、
前記フレームには、前記ボルトの頭部よりも小さいボルト孔が形成され、
前記第1の延出部には、前記胴体の外周面に沿って、前記胴体の外周面と前記第1の座面との間に前記押出方向に沿う中空筒状の貫通孔が形成され、
前記第1の座面には、前記押出方向に離間し、前記胴体の外周面を貫通しない2つ以上のボルト穴が前記貫通孔に連通して形成され、
前記ボルトを前記フレームの前記ボルト孔を通して前記第1の座面の前記ボルト穴に螺合させたとき、前記ボルトは、前記ボルトの先端部が前記胴体の外周面に離間して固定されるように形成される
エアタンク固定構造
【請求項2】
前記ボルト穴は、前記第1の座面のうち、前記押出方向に対して直交する幅方向の中央に形成される、
請求項1に記載のエアタンク固定構造。
【請求項3】
前記貫通孔内には、前記ボルトに螺合するナットが配置される、
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造。
【請求項4】
前記第1の延出部は、前記胴体の前記外周の曲面上に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造
【請求項5】
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第2の延出部を有し、
前記第2の延出部は、前記エアタンク内にエアを導入、及び/又は、前記エアタンク内からエアを導出するためのコネクタが接続される第2の座面を有する、
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造
【請求項6】
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第3の延出部を有し、
前記第3の延出部は、物体が取り付けられる第3の座面を有する、
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造
【請求項7】
前記エアタンクの前記第1の座面のうち、前記フレームとの当接面は平面であり、
前記フレームのうち、前記第1の座面との当接面は平面である、
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のエアタンク固定構造と、
少なくとも4つの車輪と
を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタンク固定構造、及び、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には、圧縮空気等の流体の貯留部としてアルミニウム材又はアルミニウム合金材の押出材で形成される胴体部を有するエアタンクが搭載される。例えば、特許文献1に開示されているように、トラック、バス等の大型車両には、エアコンプレッサにより圧縮された圧縮空気を貯留するエアタンクが搭載される。圧縮空気は、例えば、ブレーキ、エアサスペンション等の車両用エア機器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-242989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウム材又はアルミニウム合金材の胴体部を有するエアタンクの胴体を車両等のフレームに固定する場合、例えば特許文献1のように、フレームとエアタンクとの間にブラケットを介して接続している。この場合、ブラケットとエアタンクとの接続、及び、ブラケットとフレームとの接続など、フレームにエアタンクを固定する際に適宜の組み立て工数が生じ得る。
【0005】
この発明は、フレームにアルミニウム材又はアルミニウム合金材の胴体部を有するエアタンクの胴体部を固定する際の組み立て工数を少なくすることが可能なエアタンク固定構造、及び、車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るエアタンク固定構造は、アルミニウム材又はアルミニウム合金材の押出材で形成される周方向にシームレスな筒状の胴体と、前記胴体の外周に位置し、前記胴体と同時に前記押出材で形成され、前記押出材の押出方向に沿って延びる第1の座面を有する第1の延出部と、前記胴体の両端に取り付けられ、前記胴体の両端を閉塞する鏡板とを有するエアタンクと、前記エアタンクの前記第1の座面を固定するためのフレームと、前記第1の座面を前記フレームに複数箇所で直接固定する複数のボルトとを有する前記フレームには、前記ボルトの頭部よりも小さいボルト孔が形成され、前記第1の延出部には、前記胴体の外周面に沿って、前記胴体の外周面と前記第1の座面との間に前記押出方向に沿う中空筒状の貫通孔が形成され、前記第1の座面には、前記押出方向に離間し、前記胴体の外周面を貫通しない2つ以上のボルト穴が前記貫通孔に連通して形成され、前記ボルトを前記フレームの前記ボルト孔を通して前記第1の座面の前記ボルト穴に螺合させたとき、前記ボルトは、前記ボルトの先端部が前記胴体の外周面に離間して固定されるように形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フレームにエアタンクを固定する際の組み立て工数を少なくすることが可能なエアタンク固定構造、及び、車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るエアタンク固定構造を有する車両の一例を示す概略的な上面図。
図2】実施形態に係るエアタンク固定構造を示す概略的な斜視図。
図3図2に示すエアタンクを図2とは異なる視点から見た斜視図。
図4図3に示すエアタンクの第2の座面を正面から見たエアタンクの図。
図5図4中のIV-IV線に沿うエアタンクの胴部の断面図。
図6】コネクタが接続される第2の座面を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1から図6を参照しながら、車両1に対するエアタンク固定構造10の実施形態について説明する。
【0010】
図1に示す車両1は、例えば4つ以上の車輪2を有するとともに、エアタンク14が取り付けられるフレーム12を有する。車両1は、車両1のエンジン、モータ等の動力源3を駆動させると、トランスミッション4を介して車輪2に駆動力が伝達され、移動し得る。
【0011】
図2に示すように、本実施形態に係るエアタンク固定構造10は、フレーム(エアタンク固定フレーム)12と、エアタンク14と、フレーム12にエアタンク14を複数箇所で直接固定することが好適な固定部材16とを有する。
【0012】
フレーム12は、例えばトラックやバスなどの図1に示す車両1の一部として形成される。フレーム12は、適宜の剛性を有する種々の素材で形成される。フレーム12は、例えば鉄やステンレス合金材等の溶接可能な金属材で形成される。フレーム12は、その他、アルミニウム材又はアルミニウム合金材等の金属で形成されていてもよく、適宜の強化プラスチックで形成されていてもよい。本実施形態では、フレーム12には、エアタンク14が所定の固定状態に固定される。フレーム12は、平板や、四角柱状、H鋼状など、種々の形状に形成されることが好適である。
【0013】
図2に示すように、フレーム12は、一部に、互いの法線方向が反対向きの1対の平行平面22a,22bを有することが好適である。エアタンク14は、例えば1対の平行平面22a,22bの一方の平行平面22aに当接されて、フレーム12に対して、固定部材16を用いて固定される。固定部材16として、例えばボルト16a,16bを用いることが好適である。
なお、エアタンク14が設置される向きは、後述する胴体40の中心軸が例えば鉛直方向に向けられても、水平方向に向けられても、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜するように向けられてもよい。
【0014】
図2から図5に示すように、エアタンク14は、筒状の胴体部32と、胴体部32の両端に取り付けられ、胴体部32の両端を閉塞する1対の鏡板34とを有する。
【0015】
胴体部32は、胴体40と、第1の座面42aを有する第1の延出部(第1の台座)42と、第2の座面44aを有する第2の延出部(第2の台座)44と、第3の座面46aを有する第3の延出部(第3の台座)46とを有する。
【0016】
胴体部32の第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、例えばアルミニウム合金材の押出成形により胴体40と同時に一体的に形成される。このため、胴体部32の胴体40、第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、押出成形による押出材として形成される。したがって、胴体部32の胴体40、第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、押出材の押出方向に直交する断面が押出方向に沿って一定である。また、第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46の延出方向は、押出材である胴体部32の押出方向に平行である。
【0017】
押出材としての胴体部32の押出方向に直交する断面が押出方向に沿って一定であるが、本実施形態に係るエアタンク14の胴体部32の長さ(押出方向に沿う長さ)は適宜に設定することができる。このため、エアタンク14の胴体部32の押出方向の長さを調整することにより、エアタンク14の内部容量を適宜に設定することができる。したがって、容量違いのエアタンク14を容易に作成することができる。
【0018】
胴体40は、押出成形による押出材により略円筒状などの筒状に形成され、周方向にシームレスに形成される。本実施形態に係る胴体40は、例えば平板部材を丸めて筒状を維持するための縦溶接が不要であり、同じ肉厚の同材料を縦溶接して用いる場合に比べて、胴体40の周方向の強度を均一的にすることができる。また、縦溶接が不要であるため、胴体40には、溶接加工時に発生し得る溶接スパッタが関係しない。また、胴体40に対して縦溶接を行う必要がない分、溶接工数を削減することができ、胴体40に対するひずみの削減に貢献できる。
【0019】
また、胴体40の端部に対し、1対の鏡板34は、例えば円周状の溶接により固定される。このため、1対の鏡板34は、胴体部32の両端を閉塞する。1対の鏡板34の一方には、エアタンク14の内側と外側とを連通するドレーン35が設けられることが好適である。なお、このとき、胴体40には押出方向に沿う縦溶接を行う必要がないため、溶接同士の交差部がなくなる。したがって、本実施形態に係るエアタンク固定構造10を用いることにより、エアタンク14内の機密率を向上することができる。したがって、本実施形態によれば、胴体40に縦溶接を行う場合に比べて、ロスコストを削減することができる。
【0020】
本実施形態では、説明の簡単のため、胴体40が円筒状であるとして説明する。また、胴体40内は、1部屋として形成されてもよく、図示しない隔壁により複数の部屋に区画されていてもよい。
【0021】
第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、胴体40の外周の曲面上に一体的に設けられる。本実施形態では、第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、例えば、胴体40の中心軸に対して周方向に90°おきに胴体40の中心軸に平行に形成され、押出成形の押出方向に沿って延出する。本実施形態では、第2の延出部44、及び、第3の延出部46が胴体40の中心軸を挟んで反対側に形成される。第1の延出部42は、胴体40の外周面の周方向に沿って、第2の延出部44、及び、第3の延出部46の間に形成される。なお、第1の延出部42、第2の延出部44、及び、第3の延出部46は、例えば、胴体40の中心軸に対して周方向に90°おきに限らず、適宜に離間して形成されていてもよい。
【0022】
第1の延出部42の第1の座面42aは、胴体40の中心軸に対して胴体40の外周面よりも径方向外方の遠位の位置に形成される。第2の延出部44の第2の座面44aは、胴体40の中心軸に対して胴体40の外周面よりも径方向外方の遠位の位置に形成される。第3の延出部46の第3の座面46aは、胴体40の中心軸に対して胴体40の外周面よりも径方向外方の遠位の位置に形成される。
【0023】
第1の座面42aの法線方向は、胴体40の径方向外方を向く。第1の座面42aは、例えば平面として形成される。第2の座面44aの法線方向は、胴体40の径方向外方を向く。第2の座面44aは、例えば平面として形成される。第3の座面46aの法線方向は、胴体40の径方向外方を向く。第3の座面46aは、例えば平面として形成される。
【0024】
胴体40の外周面に対する第1の座面42aの突出高さは、例えば、第2の座面44a及び第3の座面46aよりも高く形成される。第1の座面42aの周方向の幅は、例えば、第2の座面44a及び第3の座面46aの周方向の幅と同程度に形成される。
【0025】
第1の座面42aには、胴体40を貫通しないことが好適なボルト穴43が例えば2つ以上形成される。ボルト穴43は第1の座面42aのうち、押出方向に離間することが好適である。第1の座面42aの法線方向が、胴体40の径方向外方に向き、第1の座面42aが平面であると、ボルト穴43の中心軸を胴体40の中心軸に直交するように、ボルト穴43を容易に形成することができる。このため、ボルト穴43の中心軸は、第1の座面42aの平面に直交することが好適である。ボルト穴43は、第1の座面42aの幅方向の中央に形成されることが好適である。
なお、第1の座面42aにボルト穴43が3つ以上形成されるとき、ボルト穴43の中心軸は、押出方向の一直線上に適宜の間隔に離間してもよく、適宜のn角形(nは3以上の整数)を形成するようにボルト穴43が形成されてもよい。
【0026】
フレーム12には、ボルト穴43と同じ大きさ又はそれよりも大きく、固定部材16としてのボルト16a,16bの頭部よりも小さい貫通孔(ボルト孔)24が形成される。貫通孔24は、各ボルト穴43に対してそれぞれ形成されてもよく、複数のボルト穴43を囲うように1つであってもよい。
【0027】
そして、フレーム12の平行平面22aと、第1の座面42aとが当接した状態を維持するように、フレーム12の貫通孔24を通して、第1の座面42aのボルト穴43にボルト16a,16bが固定される。なお、ボルト16a,16bを第1の座面42aのボルト穴43に螺合させたとき、ボルト16a,16bの先端部は、ボルト穴43の底部(後述する貫通孔43aのうち、胴体40の外周面)に当接せず、ボルト穴43の底部に離間して固定される。このようにして、フレーム12に対して、エアタンク14がブラケットを介さずに、直接固定される。
ボルト16a,16bは、適宜のボルト径のものを用いることができる。また、第1の延出部42における、胴体40の中心軸に対する径方向の厚さにより、ボルト穴43は、ボルト16a,16bの雄ネジのための適宜の雌ネジの長さを確保できる。このため、ブラケットを介さず、ボルト16a,16bによって、フレーム12に対して胴体部32を直接固定する場合も、その固定に適宜の強度を発揮することができる。また、このとき、フレーム12の貫通孔24を通してエアタンク14のボルト穴43にボルト16a,16bを固定するだけであるため、フレーム12にエアタンク14を固定する場合、簡単に固定することができる。
したがって、第1の座面42aを有する第1の延出部42を含む胴体部32がアルミニウム材又はアルミニウム合金材製の押出材で形成される場合でも、ブラケットを用いず、また、溶接を用いずに、固定部材としてのボルト16a,16bによって、フレーム12に対して胴体部32を直接固定することができる。
【0028】
第1の延出部42には、胴体40の外周面に沿って押出方向に沿う貫通孔43aが形成される。貫通孔43aは、角部がなく、ボルト穴43に連通する。貫通孔43aは、エアタンク14の素材量の低減、すなわち、軽量化に寄与する。また、フレーム12にエアタンク14を固定したときに、ボルト16a,16bの位置を確認することができる。また、必要に応じて、貫通孔43a内にボルト16a,16bに螺合するナット(図示せず)を配置することができる。
【0029】
なお、フレーム12の平行平面22aと第1の座面42aとの間には、フレーム12及び第1の座面42aと同程度又はそれよりも柔らかい素材で形成されることが好適な例えば板状部材(図示せず)が設けられていてもよい。板状部材を固定部材16としてのボルト16a,16bが貫通することで、エアタンク14は、フレーム12に直接固定される。板状部材は、金属材、プラスチック材、ゴム材等で形成される。
【0030】
図6に示すように、第2の座面44aには、エアタンク14の胴体40内に圧縮空気などのエアを導入、及び/又は、エアタンク14の胴体40内から圧縮空気などのエアを導出するための図示しないコネクタ(カップリング)が接続される接続部52が形成される。第2の座面44aには、接続部52を固定するための、胴体40の内側に貫通する貫通穴45が例えば2つ以上形成される。1つの貫通孔45は、例えば、エアタンク14の胴体40内にエアを導入するための流路となる。もう1つの貫通孔45は、例えば、エアタンク14の胴体40内からエアを導出するための流路となる。これら貫通孔45に接続されるコネクタは、例えば、ブレーキ装置、エアサスペンション、トランスミッション等に接続される。
【0031】
なお、貫通孔45は、例えばネジ切りされている。このため、貫通孔45には、例えば接続部52を介して図示しないコネクタ(カップリング)をエアタンク14に取り付け可能である。このとき、貫通孔45の周囲にシート溶接を行うことが不要である。
【0032】
貫通孔45は第2の座面44aのうち、押出方向に離間することが好適である。第2の座面44aの法線方向が、胴体40の径方向外方に向き、第2の座面44aが平面であると、貫通孔45の中心軸を胴体40の中心軸に直交するように、貫通孔45を容易に形成することができる。このため、貫通孔45の中心軸は、第2の座面44aの平面に直交することが好適である。貫通孔45は、第2の座面44aの幅方向の中央に形成されることが好適である。
【0033】
第3の座面46aのうち、法線方向が、胴体40の径方向外方に向く領域は、例えば平面として形成される。第3の座面46aには、適宜の機能を有する物体をエアタンク14に取り付けるため、胴体40の内側に貫通する貫通穴、又は、貫通しない非貫通穴等が形成されることも好適である。
【0034】
本実施形態では、フレーム12に直接、エアタンク14をボルト16a,16bなどの固定部材16を用いて固定する。このため、フレーム12の他に、ブラケットや、エアタンク14の外周を支持し、エアタンク14をフレームやブラケットに固定されるUボルト等が不要となり得る。このため、エアタンク14をフレーム12に固定するための部品点数を削減することができる。したがって、エアタンク固定構造10の組立工数を削減することができる。また、エアタンク14の胴体部32は、重量物がなく、フレーム12に対するエアタンク14を固定するエアタンク固定構造10を軽量化することができる。したがって、本実施形態に係るエアタンク固定構造10を用いることにより、適宜のフレーム12に対してエアタンク14を固定する際の、コスト削減をすることができる。
【0035】
本実施形態では、フレーム12にエアタンク14を固定する固定部材(締結具)16としてボルト16a,16bを用いる例について説明した。その他、フレーム12に対するエアタンク14の固定状態を適宜の条件下で、確保することができれば、固定部材16として接着剤、その他を用いることができ、フレーム12に対してエアタンク14を固定することができる。
【0036】
[付記]
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)
アルミニウム材又はアルミニウム合金材の押出材で形成される周方向にシームレスな筒状の胴体と、
前記胴体の外周に位置し、前記胴体と同時に前記押出材で形成され、前記押出材の押出方向に沿って延びる第1の延出部と、
前記胴体の両端に取り付けられ、前記胴体の両端を閉塞する鏡板と、
を有し、
前記第1の延出部は、固定部材を用いてフレームに直接固定するための第1の座面を有する、エアタンク。
(2)
前記第1の延出部は、前記胴体の前記外周の曲面上に設けられる、(1)に記載のエアタンク。
(3)
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第2の延出部を有し、
前記第2の延出部は、前記エアタンク内にエアを導入、及び/又は、前記エアタンク内からエアを導出するためのコネクタが接続される第2の座面を有する、(1)又は(2)に記載のエアタンク。
(4)
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第3の延出部を有し、
前記第3の延出部は、物体が取り付けられる第3の座面を有する、(1)ないし(3)のいずれか1に記載のエアタンク。
(5)
(1)ないし(4)のいずれか1に記載のエアタンクと、
前記エアタンクの前記第1の座面を固定するためのフレームと、
前記第1の座面を前記フレームに複数箇所で直接固定する固定部材と
を有する、エアタンク固定構造。
(6)
前記第1の座面には、前記固定部材で前記押出材の押出方向に離間するように前記フレームが固定される、(5)に記載のエアタンク固定構造。
(7)
前記エアタンクの前記第1の座面のうち、前記フレームとの当接面は平面であり、
前記フレームのうち、前記第1の座面との当接面は平面である、
(5)又は(6)に記載のエアタンク固定構造。
(8)
(5)ないし(7)のいずれか1に記載のエアタンク固定構造と、
少なくとも4つの車輪と
を有する車両。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、本特許出願時の特許請求の範囲を以下に付記する。
[付記1]
アルミニウム材又はアルミニウム合金材の押出材で形成される周方向にシームレスな筒状の胴体と、
前記胴体の外周に位置し、前記胴体と同時に前記押出材で形成され、前記押出材の押出方向に沿って延びる第1の延出部と、
前記胴体の両端に取り付けられ、前記胴体の両端を閉塞する鏡板と、
を有し、
前記第1の延出部は、固定部材を用いてフレームに直接固定するための第1の座面を有する、エアタンク。
[付記2]
前記第1の延出部は、前記胴体の前記外周の曲面上に設けられる、付記1に記載のエアタンク。
[付記3]
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第2の延出部を有し、
前記第2の延出部は、前記エアタンク内にエアを導入、及び/又は、前記エアタンク内からエアを導出するためのコネクタが接続される第2の座面を有する、付記1又は付記2に記載のエアタンク。
[付記4]
前記胴体と同時に前記押出材で前記胴体の前記外周に前記胴体に一体的に形成され、前記第1の延出部に対して前記胴体の前記外周の周方向に離間し、前記押出材の前記押出方向に沿って延びる第3の延出部を有し、
前記第3の延出部は、物体が取り付けられる第3の座面を有する、付記1又は付記2に記載のエアタンク。
[付記5]
付記1又は付記2に記載のエアタンクと、
前記エアタンクの前記第1の座面を固定するためのフレームと、
前記第1の座面を前記フレームに複数箇所で直接固定する固定部材と
を有する、エアタンク固定構造。
[付記6]
前記第1の座面には、前記固定部材で前記押出材の押出方向に離間するように前記フレームが固定される、付記5に記載のエアタンク固定構造。
[付記7]
前記エアタンクの前記第1の座面のうち、前記フレームとの当接面は平面であり、
前記フレームのうち、前記第1の座面との当接面は平面である、
付記5に記載のエアタンク固定構造。
[付記8]
付記5に記載のエアタンク固定構造と、
少なくとも4つの車輪と
を有する車両。
【符号の説明】
【0038】
10…エアタンク固定構造、12…フレーム、14…エアタンク、16…固定部材、16a,16b…ボルト、24…貫通孔、32…胴体部、40…胴体、42…第1の延出部、42a…第1の座面、43…ボルト穴、43a…貫通孔。
【要約】
【課題】 フレームにエアタンクを固定する際の組み立て工数を少なくすることが可能なエアタンク及びエアタンク固定構造を提供する。
【解決手段】 エアタンクは、押出材で形成される周方向にシームレスな筒状の胴体と、前記胴体の外周に位置し、前記胴体と同時に前記押出材で形成され、前記押出材の押出方向に沿って延びる第1の延出部と、前記胴体の両端に取り付けられ、前記胴体の両端を閉塞する鏡板とを有する。前記第1の延出部は、固定部材を用いてフレームに直接固定するための第1の座面を有する。
【選択図】 図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6