(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20240402BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41J29/00 C
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2023059685
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2019012286の分割
【原出願日】2019-01-28
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】亀井 康一
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-153688(JP,A)
【文献】特開平08-227759(JP,A)
【文献】実開平04-066074(JP,U)
【文献】特開2002-216885(JP,A)
【文献】特開2018-137355(JP,A)
【文献】特開2016-062643(JP,A)
【文献】特開2004-273307(JP,A)
【文献】登録実用新案第3117782(JP,U)
【文献】特開平04-072697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
H01R 13/56 - 13/72
H01R 13/40 - 13/533
H05K 5/00 - 5/06
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
前記電子機器の筐体に形成された凹部と、
前記凹部の底面に設けられたコネクタと、
本体部と前記本体部に直交して設けられたブッシュ部とからなり、前記本体部が前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタと、
前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記ライトアングルコネクタの回転範囲を、前記ブッシュ部と当接することにより規制
する規制部と、を備え、
前記筐体における前記凹部の周辺部は、前記底面に対する高さが前記コネクタに前記ライトアングルコネクタが接続された状態の前記ブッシュ部より高い領域と低い領域とを含み、
前記規制部は、
前記凹部の底面から突出するとともに、前記凹部の底面に連なる前記凹部の側面のうち前記高い領域側の側面と前記コネクタとの間に配置されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記規制部は、前記規制部によって規制された前記ライトアングルコネクタの回転範囲が前記低い領域に納まるように、前記ブッシュ部と当接する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記規制部は、前記凹部の底面において前記凹部の側面よりも前記低い領域側に設けられる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記規制部は、前記凹部の側面と離間する位置に設けられる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
電子機器であって、
前記電子機器の筐体に形成された凹部と、
前記凹部の底面に設けられたコネクタと、
本体部と前記本体部に直交して設けられたブッシュ部とからなり、前記本体部が前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタと、
前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記ライトアングルコネクタの回転範囲を、前記ブッシュ部と当接することにより規制する規制部と、を備え、
前記筐体における前記凹部の周辺部は、前記底面に対する高さが前記コネクタに前記ライトアングルコネクタが接続された状態の前記ブッシュ部より高い領域と低い領域とを含み、
前記規制部は、前記凹部の底面に連なる前記凹部の側面のうち前記高い領域側の側面から前記低い領域側に突出するように配置されている、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載される印刷装置など、商用電源から供給される交流を直流に変換して使用する電子機器には、AC(Alternating Current)アダプタのDC(Direct Current)プラグと接続するためのDCジャックが設けられている。DCジャックが電子機器の筐体表面に設けられている場合、DCジャックにDCプラグを接続すると、DCプラグが筐体表面から大きく突出してしまう。このような構成は、デザイン面においても、また、電子機器の設置スペースが制約されるため実用面においても、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DCプラグの突出量を抑えるための方法として、例えば、
図1に示すように、電子機器100の筐体101に凹部102を形成し、凹部102内にDCジャック103を設ける方法が考えられる。この場合、
図2(a)に示すように、DCプラグ200を、本体部201とブッシュ部202が直交するライトアングルコネクタとして構成することで、DCプラグ200の突出量を効果的に抑えることができる。
【0005】
ところで、DCプラグ200から延びる電源コード203を取り回しする際などに、DCプラグ200がDCジャック103に対して中心電極の軸方向を回転軸として回転することがある。DCプラグ200がライトアングルコネクタとして構成されている場合には、
図2(a)から
図2(d)に示すように、DCプラグ200が中心電極の軸方向を回転軸として回転すると、DCプラグ200のブッシュ部202が筐体表面に乗り上げてしまうことによってDCプラグ200に対して中心電極の軸方向に力が加わり、DCプラグ200がDCジャック103から抜けてしまう可能性がある。
【0006】
なお、以上ではDCプラグとDCジャックの組み合わせを例に説明したが、電子機器のコネクタ全般において、同様の事象は生じ得る。
【0007】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、利用者の意図しない電子機器のコネクタの抜脱を回避する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電子機器は、前記電子機器の筐体に形成された凹部と、前記凹部の底面に設けられたコネクタと、本体部と前記本体部に直交して設けられたブッシュ部とからなり、前記本体部が前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタと、前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記ライトアングルコネクタの回転範囲を、前記ブッシュ部と当接することにより規制する規制部と、を備え、前記筐体における前記凹部の周辺部は、前記底面に対する高さが前記コネクタに前記ライトアングルコネクタが接続された状態の前記ブッシュ部より高い領域と低い領域とを含み、前記規制部は、前記凹部の底面から突出するとともに、前記凹部の底面に略直交する前記凹部の側面のうち前記高い領域側の側面と前記コネクタとの間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の別の態様に係る電子機器は、電子機器であって、前記電子機器の筐体に形成された凹部と、前記凹部の底面に設けられたコネクタと、本体部と前記本体部に直交して設けられたブッシュ部とからなり、前記本体部が前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタと、前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記ライトアングルコネクタの回転範囲を、前記ブッシュ部と当接することにより規制する規制部と、を備え、前記筐体における前記凹部の周辺部は、前記底面に対する高さが前記コネクタに前記ライトアングルコネクタが接続された状態の前記ブッシュ部より高い領域と低い領域とを含み、前記規制部は、前記凹部の底面に連なる前記凹部の側面のうち前記高い領域側の側面から前記低い領域側に突出するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、利用者の意図しない電子機器のコネクタの抜脱を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】電子機器100に接続されているDCプラグ200が回転する様子を示した図である。
【
図6】電子機器300の凹部302の拡大図である。
【
図7】電子機器300のAA断面における断面図の一例である。
【
図8】規制部304によってDCプラグ200の回転が規制される範囲を示した図である。
【
図9】周辺部306について説明するための図である。
【
図10】ブッシュ部202の高さについて説明するための図である。
【
図11】電子機器300に接続されているDCプラグ200が回転する様子を示した図である。
【
図12】規制部の変形例について説明するためのである。
【
図13】規制部の別の変形例について説明するためのである。
【
図14】規制部の更に別の変形例について説明するためのである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器300について説明する。電子機器300は、たとえば、ラベルプリンタであり、図示しないACアダプタを介して供給される電力によって動作する。なお、電子機器300は、バッテリーを備えてもよく、内部電源と外部電源を切り換えて使用してもよい。
【0013】
図3は、電子機器300の斜視図の一例である。
図4は、電子機器300の側面図の一例である。
図5は、電子機器300の平面図の一例である。以下、
図3から
図5を参照しながら、電子機器300の外形について説明する。なお、
図3から
図5に示すXYZ直交座標系は、方向参照の便宜のためのものである。電子機器300は、一般に、XY平面が水平になるように設置され、使用される。
【0014】
電子機器300の筐体301の形状は、
図3から
図5に示すように、オーバル形状の底面を有する凡そ柱体である。筐体301の表面のうち、柱体の側面に該当する部分は、
図5に示すように、Y方向と平行な2つの平面と、断面が凡そ半円形状を有する2つの曲面と、からなっている。さらに、2つの曲面部分には、凹部(凹部302、凹部310)が形成されている。
【0015】
電子機器300は、
図3(b)、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、筐体301の前方部分に形成された凹部310を有している。凹部310には、電子機器300内で印刷された印刷済みのラベルを排出する排紙口311が設けられている。排紙口311は、X方向と平行な開口である。
【0016】
電子機器300は、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、筐体301の後方部分に形成された凹部302を有している。凹部302は、
図5に示すオーバル形状の2つの対称軸(AX1、AX2)のうちのY方向と平行な対称軸AX1に対して偏心した位置に形成されている。つまり、筐体301の中心からX方向に偏心した位置に形成されている。これにより、
図4に示すように、側面の一方側から見たときには凹部302が目に付かないため、すっきりした見た目を実現することができるなどのデザイン上のメリットを享受することができる。凹部302は、電子機器300に接続されるDCプラグ200が電子機器300の表面から大きく突出することを回避するために設けられた凹部である。
【0017】
なお、DCプラグ200は、ACアダプタのDCプラグである。DCプラグ200は、
図3(a)に示すように、ライトアングルコネクタであり、本体部201とブッシュ部202からなる。DCプラグ200と図示しないACアダプタは、電源コード203によってつながれている。DCジャック(
図6参照)と接続される本体部201は、円柱形状を有し、中心電極を含んでいる。本体部201から延びるブッシュ部202は、本体部201に直交して設けられている。より詳細には、ブッシュ部202は、中心電極と直交する方向に本体部201から延びている。
【0018】
図6は、電子機器300の凹部302の拡大図である。
図7は、電子機器300のAA断面における断面図の一例である。
図8は、規制部304によってDCプラグ200の回転が規制された範囲を示した図である。
図9は、周辺部306について説明するための図である。
図10は、ブッシュ部202の高さについて説明するための図である。
図11は、電子機器300に接続されているDCプラグ200が中心電極の軸方向を回転軸として回転する様子を示した図である。以下、
図6から
図11を参照しながら、電子機器300の凹部302について更に詳細に説明する。なお、
図6から
図11に示すXYZ直交座標系は、方向参照の便宜のためのものであり、
図3から
図5に示すXYZ直交座標系と同様である。
【0019】
凹部302は、
図6に示すように、XZ平面と平行な底面302aと、側面302bを有している。凹部302の底面302aには、DCプラグ200と接続するコネクタであるDCジャック303が設けられている。DCジャック303は、
図6及び
図7に示すように、中心電極303aを有し、中心電極303aに対して対称な形状を有している。側面302bは、底面302aと筐体301の表面301aをつなぐ面である。
【0020】
凹部302には、
図6に示すように、凹部302の底面302a及び側面302bから隆起したリブ304a及びリブ304bが設けられている。リブ304a及びリブ304bは、DCジャック303に接続されたDCプラグ200の回転範囲を規制する規制部304である。この回転範囲は、DCプラグ200の接続方向を回転軸方向とした回転範囲である。DCプラグ200の接続方向は、DCプラグ200の中心電極の軸方向であり、この例では、Y方向である。
【0021】
規制部304は、ブッシュ部202と当接することにより回転範囲を規制する。第1規制部であるリブ304aは、
図8に示すように、DCプラグ200のブッシュ部202と当接することでDCプラグ200の回転範囲を規制する当接面305aを有している。同に、第2規制部であるリブ304bは、
図8に示すように、DCプラグ200のブッシュ部202と当接することでDCプラグ200の回転範囲を規制する当接面305bを有している。即ち、規制部304は、DCジャック303に接続されたDCプラグ200がDCプラグ200の中心電極を回転軸として回転したときに、DCプラグ200と当接する位置に、より詳細にはブッシュ部202と当接する位置に、設けられている。
【0022】
図8に示す規制範囲400は、規制部304によって規制された回転範囲、つまり、電子機器100においてDCプラグ200が回転可能な範囲を示している。以下、規制範囲400について更に詳細に説明する。
【0023】
凹部302の周辺部306は、筐体301の表面301aの一部であり、
図9に示すように、領域306aと領域306bを含んでいる。領域306aは、底面302aに対する高さがDCジャック303にDCプラグ200が接続された状態でのブッシュ部202より低い領域である。なお、ブッシュ部202よりも低い領域とは、
図10に示すブッシュ部202の中心高さH1よりも低い領域のことである。また、領域306bは、底面302aに対する高さがDCジャック303にDCプラグ200が接続された状態でのブッシュ部202より高い領域である。
【0024】
規制部304は、
図9に示すように、規制範囲400が領域306aに納まるように、ブッシュ部202が規制部304(リブ304a、リブ304b)と当接する。これにより、電子機器100では、DCプラグ200のブッシュ部202が領域306aから領域306bに移動することを未然に防ぐことができる。領域306aから領域306bへブッシュ部202が移動すると、周辺部306の高さに応じて、DCプラグ200の抜脱の原因となる軸方向(この例では、Y方向の正向き)の力がDCプラグ200に加わってしまう。これを防止することで、DCプラグ200の抜脱を回避することができる。
【0025】
規制部304の当接面305は、
図10に示すように、底面302aと直角を成している。なお、当接面305と底面302aのなす角度は直角に限らず、90°以下であればよい。即ち、当接面305は、底面302aと直角又は鋭角を成していればよい。
【0026】
当接面305を底面302aに対して90度以下とする理由は、ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまうことを防ぐためである。ブッシュ部202が規制部304に当接したときに、規制部304に乗り上げてしまうと、規制範囲400を越えてブッシュ部202が移動してしまう。当接面305を底面302aに対して90度以下とすることで、当接面305に当接したブッシュ部202に上向き(Y方向の正向き)の力が発生することを避けることができるため、ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまう可能性を低減することができる。
【0027】
規制部304の当接面305の高さH2は、
図10に示すように、ブッシュ部202の中心高さH1よりも高い。つまり、電子機器300では、当接面305の少なくとも一部は、ブッシュ部202の中心高さH1よりも高い位置に設けられている。
【0028】
当接面305の高さH2をブッシュ部202の中心高さH1よりも高くする理由は、ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまうことを防ぐためである。当接面305の高さH2がブッシュ部202の中心高さH1よりも低い場合には、ブッシュ部202の高さ方向の中心部分が当接面305に当接せずに規制部304の上方まで移動してしまう。このため、DCプラグ200の回転が進むにつれて規制部304がブッシュ部202の下側にもぐりこんでしまい、ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまう。ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまうと、規制範囲400を越えてブッシュ部202が移動してしまう。当接面305の高さH2をブッシュ部202の中心高さH1よりも高くすることで、ブッシュ部202の中心が当接面305に当接せずに規制部304の上方まで移動してしまうことを避けることができる。このため、ブッシュ部202が規制部304に乗り上げてしまう可能性を低減することができる。
【0029】
以上のように構成された電子機器300では、DCプラグ200から延びる電源コード203を取り回しする際などに、DCプラグ200の回転が適切に規制される。このため、DCプラグ200が、例えば、
図11(a)から
図11(c)に示すように時計回りに回転したとしても、
図11(c)に示す状態以上には回転しない。これにより、DCプラグ200のブッシュ部202が筐体301の表面301aに乗り上げてしまうことがなく、その結果、中心電極の軸方向の力がDCプラグ200に加わることを防止することができる。
【0030】
従って、電子機器300によれば、アングルコネクタを用いて設置スペースを抑えた場合であっても、利用者の意図しないアングルコネクタの抜脱を回避することができる。
【0031】
以上では、規制部304によって規制された回転範囲である規制範囲400がどのような範囲かに注目したが、規制部304自体の位置は、以下のように特徴付けられる。
【0032】
規制部304は、
図8に示すように、底面302aと筐体301の表面301aとの高低差がコネクタ(DCジャック303)の中心位置における底面302aと表面301aとの高低差よりも大きい位置に設けられている。ここで、底面302aと表面301aとの高低差とは、底面302aと直交する方向(Y方向)の高低差のことであり、この例では、
図10に示す中心高さH1である。電子機器300では、X方向の正向きに底面302aと表面301aとの高低差が増加するため、規制部304は、DCジャック303よりもX方向の正側の位置に設けられている。つまり、規制部304は、DCジャック303と
図5に示すY方向と平行な対称軸AX1との間の位置に設けられている。
【0033】
なお、この例では、規制部304は、ブッシュ部202がDCジャック303の中心位置における高低差よりも小さい位置から大きい位置へ変化する位置にあるときに、ブッシュ部202と当接するように設けられている。
【0034】
DCジャック303の中心位置における底面302aと表面301aとの高低差よりも高低差が大きい位置に規制部304を設ける理由は、そのような高低差が大きい位置にDCプラグ200(特に、ブッシュ部分202)が移動することを防ぐためである。DCジャック303の中心位置における底面302aと表面301aとの高低差よりも高低差が大きい位置にブッシュ部分202が移動すると、ブッシュ部分202が筐体301の表面301aに乗り上げてしまい、DCプラグ200の抜脱の原因となる軸方向の力がDCプラグ200に加わってしまう。DCジャック303の中心位置における底面302aと表面301aとの高低差よりも高低差が大きい位置に規制部304が存在することで、DCプラグ200が回転したとしても、規制部304が存在する位置へはブッシュ部分202は移動することができない。このため、規制部304が存在するDCジャック303の中心位置における底面302aと表面301aとの高低差よりも高低差が大きい位置にブッシュ部分202が移動することを防ぐことができる。
【0035】
さらに、リブ304aとリブ304bを規制部304が含むことで、その2つのリブの間の領域へのブッシュ部分202の移動も防ぐことができる。これにより、規制部304が空間的に占有する範囲よりも広い範囲にわたってブッシュ部分202の移動を規制することができる。この例では、
図9に示すように、ブッシュ部分202の中心軸が規制範囲400を超えて移動することを規制することが可能であり、回転範囲を180度程度に制限することができる。
【0036】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。電子機器は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0037】
上述した実施形態では、電子機器300がラベルプリンタである例を示したが、電子機器300はラベルプリンタに限らず、他の電子機器であってもよい。また、回転に起因する抜脱が生じ得るDCジャック303とDCプラグ200が接続される例を示したが、軸対称な構造を有し、接続相手のコネクタに対して相対的に回転し得るコネクタであれば、他のコネクタであってもよい。
【0038】
上述した実施形態では、規制部304が底面302aと側面302bの両方から隆起している例を示したが、規制部は、凹部の底面と側面の少なくとも一方から隆起していればよい。構造上必要な強度が確保できる限り、電子機器300は、
図12に示すように、規制部304の代わりに、底面302aのみから隆起した規制部314を有してもよく、
図13に示すように、規制部304の代わりに、側面302bのみから隆起した規制部324を有してもよい。
【0039】
上述した実施形態では、規制部304が2つのリブ(リブ304a、リブ304b)からなる例を示したが、規制部304は、単一の要素で構成されてもよい。DCプラグ200を抜き差しする際に指を入れるための十分なスペースが凹部302内に確保される限り、電子機器300は、
図14に示すように、規制部304の代わりに、単一の要素からなる規制部334を有してもよい。
【0040】
上述した実施形態では、DCプラグ200及び図示しないACアダプタを電子機器300とは別の機器として説明したが、電子機器300は、筐体301に接続されたDCプラグ200及びACアダプタを含んでもよい。
【0041】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
電子機器であって、
前記電子機器の筐体に形成された凹部と、
前記凹部の底面に設けられたコネクタと、
本体部と前記本体部に直交して設けられたブッシュ部とからなり、前記本体部が前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタと、
前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記ライトアングルコネクタの回転範囲を、前記ブッシュ部と当接することにより規制し、前記凹部の前記底面又は側面の少なくとも一方から隆起した規制部と、を備え、
前記凹部の周辺部は、前記底面に対する高さが前記コネクタに前記ライトアングルコネクタが接続された状態の前記ブッシュ部より高い領域と低い領域とを含み、
前記規制部は、前記規制部によって規制された回転範囲が前記低い領域に納まるように、前記ブッシュ部と当接する
ことを特徴とする電子機器。
[付記2]
付記1に記載の電子機器において
前記規制部は、前記ライトアングルコネクタと当接することで前記ライトアングルコネクタの前記回転範囲を規制する当接面であって、前記底面と直角又は鋭角を成す前記当接面を有する
ことを特徴とする電子機器。
[付記3]
付記2に記載の電子機器において、
前記当接面の少なくとも一部は、前記ライトアングルコネクタが前記コネクタに接続されたときの前記ブッシュ部の中心高さよりも高い位置に設けられた
ことを特徴とする電子機器。
[付記4]
付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の電子機器において、
前記本体部は、中心電極を備え、
前記規制部は、前記ライトアングルコネクタが前記中心電極を回転軸として回転したときに、前記ブッシュ部と当接する位置に設けられた
ことを特徴とする電子機器。
[付記5]
付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の電子機器において、
前記規制部は、
前記底面及び前記側面から隆起した第1規制部と、
前記底面及び前記側面から隆起した、前記第1規制部とは異なる第2規制部と、を含む
ことを特徴とする電子機器。
[付記6]
付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の電子機器において、
前記ライトアングルコネクタは、ACアダプタのDCプラグであり、
前記コネクタは、DCジャックである
ことを特徴とする電子機器。
[付記7]
電子機器であって、
前記電子機器の筐体に形成された凹部と、
前記凹部の底面に設けられたコネクタと、
前記コネクタに接続されるライトアングルコネクタの回転範囲であって前記ライトアングルコネクタの接続方向を回転軸方向とした前記回転範囲を規制する規制部であって、前記凹部の前記底面又は側面の少なくとも一方から隆起した前記規制部と、を備え、
前記規制部は、前記底面と前記筐体の表面との高低差が、前記コネクタの中心位置における前記底面と前記筐体の表面との前記高低差よりも大きい位置で、且つ、前記コネクタに接続された前記ライトアングルコネクタが前記回転軸方向を回転軸として回転したときに前記ライトアングルコネクタと当接する位置に設けられた
ことを特徴とする電子機器。
[付記8]
付記7に記載の電子機器であって、
前記規制部は、前記ライトアングルコネクタのブッシュ部が前記コネクタの中心位置における前記高低差よりも小さい位置から大きい位置へ変化する位置にあるときに、前記ブッシュ部と当接するように設けられる
ことを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0042】
100、300 電子機器
101、301 筐体
102、302、310 凹部
103、303 DCジャック
200 DCプラグ
201 本体部
202 ブッシュ部
203 電源コード
301a 表面
302a 底面
302b 側面
303a 中心電極
304、314、324、334 規制部
304a、304b リブ
305、305a、305b 当接面
306 周辺部
306あ、306b 領域
311 排紙口
400 規制範囲