(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】生産ラインの機械を搬送するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B62D 65/18 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B62D65/18 B
(21)【出願番号】P 2023506560
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027631
(87)【国際公開番号】W WO2022030291
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】10202007338R
(32)【優先日】2020-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】バンガル ラマムルティ,スワミナタン
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン,ラジャ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン,ラジャラム
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-329530(JP,A)
【文献】特開平6-135321(JP,A)
【文献】特開2008-246596(JP,A)
【文献】特開2006-68894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ラインの機械を搬送するための装置であって、
前記装置は、
電源と、
1つ又は複数の移動用部品と、
前記装置を移動させるために前記1つ又は複数の移動用部品を駆動するための駆動機構と、
生産ラインの機械を備えた可動性のカートにドッキングするためのドッキング機構と、
メモリ内の命令を実行して前記装置を動作させるように構成されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサによる前記装置の動作は、
前記ドッキング機構を用いて前記カートにドッキングすること、
ドッキングされた前記カートを前記生産ラインにおける作業セルに搬送すること、
前記カートが前記作業セルに搬送されたときに前記作業セルに前記カートをドッキングさせるように前記カートを動かすこと、及び、
前記カートが前記作業セルにドッキングされたときに前記カートをドッキング解除して、前記機械を前記作業セルで作業するように置いていくこと、を含む、装置。
【請求項2】
前記装置は、1つ又は複数のセンサを備え、
前記装置は、前記1つ又は複数のセンサからの入力を受けて、前記カートにドッキングするように前記カートに位置合わせされ、且つ、ドッキングされた前記カートが前記作業セルに搬送されたときに前記カートが前記作業セルにドッキング可能なように前記作業セルに位置合わせされるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドッキング機構は、前記カートへの前記装置のドッキング中に前記カートにおける1つ又は複数の受入部材が受け入れやすいように該受入部材に対応する形状を有するラッチ部材を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記装置が前記カートにドッキングされたときに前記機械に電力を供給するように前記カート又は前記機械に接続するように構成された第1電気コネクタを備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記装置の前記電源を変更するように前記カート又は前記機械の電源に接続するように構成された第2電気コネクタを備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、
前記装置が前記カートにドッキングされたときに前記機械に電力を供給するように前記カート又は前記機械に接続するように構成された第1電気コネクタと、
前記装置の前記電源を変更するように前記カート又は前記機械の電源に接続するように構成された第2電気コネクタと、を備え、
前記第1電気コネクタ及び/又は前記第2電気コネクタは、前記ラッチ部材に配置されている、請求項
3に記載の装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置によって搬送されるカートであって、
前記カートは、
前記生産ラインの前記機械と、
1つ又は複数の移動用部品と、
前記装置の前記ドッキング機構にドッキングするための第1ドッキング機構と、
前記装置が前記カートを前記作業セルに搬送するときに前記作業セルに前記カートをドッキングさせるための第2ドッキング機構と、を備える、カート。
【請求項8】
前記カートまたは前記機械は、
前記機械に電力を供給するように、且つ、前記装置の前記電源を変更するように構成された電源を備える、請求項7に記載のカート。
【請求項9】
前記カートまたは前記機械は、
前記機械に電力を供給するために前記装置の前記電源から電力を取り出すように前記装置に前記カートがドッキングされたときに前記装置の前記電源に接続するように構成された第1電気コネクタを備える、請求項7または請求項8に記載のカート。
【請求項10】
前記カートまたは前記機械は、
前記機械に電力を供給するために前記作業セルの電源から電力を取り出すように前記作業セルに前記カートがドッキングされたときに前記作業セルの前記電源に接続するように構成された第2電気コネクタを備える、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のカート。
【請求項11】
前記第1ドッキング機構は、請求項3に記載の前記1つ又は複数の受入部材を備える、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のカート。
【請求項12】
前記カートは、前記カートの前記1つ又は複数の移動用部品の移動を抑えるようにブレーキをかけるためのブレーキ機構を備え、
前記ブレーキ機構は、前記カートが前記作業セルにドッキングされた後に自動的にブレーキをかけるように電気的に作動するように構成されている、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のカート。
【請求項13】
前記第2ドッキング機構は、前記作業セルに対する前記カートの移動を抑えるように前記作業セルのセルロック機構に係合するように構成されたカートロック機構を備える、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載のカート。
【請求項14】
生産ラインの作業セルであって、
前記作業セルは、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置が請求項7から請求項13のいずれか1項に記載のカートを前記作業セルに搬送したときに、前記カートの前記第2ドッキング機構にドッキングするためのセルドッキング機構と、
前記カートと前記作業セルとのドッキングが完了しているか否かを判定するための入力を提供する1つ又は複数のセンサと、
メモリ内の命令を実行して前記作業セルを動作させるように構成されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサによる前記作業セルの動作は、
前記カートと前記作業セルとのドッキングが完了したというフィードバックを前記装置に返すことを含む、作業セル。
【請求項15】
前記セルドッキング機構は、前記カートのカートロック機構に係合するためのセルロック機構を備え、
前記セルロック機構は、前記カートが前記作業セルにドッキングしているときに前記カートロック機構に係合するように電気的に作動されるように構成されている、請求項14に記載の作業セル。
【請求項16】
生産ラインの機械を搬送するための方法であって、
前記方法は、
生産ラインの機械を備えたカートに装置をドッキングさせること、
前記装置を用いて、ドッキングされた前記カートを前記生産ラインにおける作業セルまで搬送すること、
前記カートが前記装置によって前記作業セルまで搬送されたときに前記カートを前記作業セルにドッキングさせるように前記カートを動かすこと、及び、
前記カートが前記作業セルにドッキングされたときに前記装置から前記カートをドッキング解除し、前記機械を前記作業セルで作業するように置いていくこと、を備える、方法。
【請求項17】
前記方法は、
前記作業セルへの前記カートのドッキングの前後に前記機械への電力供給が途切れないように前記機械への電力供給を提供することを備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインの機械を搬送するための装置および方法、前記機械を備えたカート、並びに、該カートにドッキングするための作業セルに関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインにおいて、自律移動ロボットは、物品の搬送や環境検査などのタスクを実行するために利用可能であり、指示された場所の間を移動するように指示を受け取るなど、人間とのやり取りが可能である。移動ロボットにはそれぞれ、特定のタスクを実行するための機器が搭載されることがある。各移動ロボットに搭載される機器は変更可能であるが、そうするためには通常、人間の介入が必要である。
【0003】
本開示の一例によれば、独立請求項に記載されているような、生産ラインの機械を搬送するための装置および方法が提供される。従属請求項では、いくつかの任意的な特徴が定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の一例に係る、生産ラインで機械を搬送する移動プラットフォームのワークフローを示す。
【
図2】
図1のステップ102に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートとの構成を示す。
【
図3】
図1のステップ104に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートとの構成を示す。
【
図4】
図1のステップ106に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートとの構成を示す。
【
図5】
図1のステップ108に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートとの構成を示す。
【
図6】
図1のステップ110に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートと生産ライン内の作業セルとの構成を示す。
【
図7】
図1のステップ112に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートと生産ライン内の作業セルとの構成を示す。
【
図8】
図1のステップ114に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートと生産ライン内の作業セルとの構成を示す。
【
図9】
図1のステップ116に対応する、移動プラットフォームと機械が搭載されたカートと生産ライン内の作業セルとの構成を示す。
【
図11】本開示の一例に係る、
図2~
図9のカートにおける特定の特徴を示す。
【
図12】本開示の一例に係る、
図6~
図9の作業セルにおける特定の特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
生産ラインでは、移動プラットフォームなどの装置にそれぞれ機械または機器が搭載されることがあり、この場合、移動プラットフォームは、搭載された機械または機器を使用してタスク(仕事、作業)を実行するための移動ステーションになる。そのような搭載された機械または機器を指す同等の用語として、本開示では、「ペイロード」または「機械」という用語が用いられる。
【0006】
本開示の一例では、生産ラインで機械を搬送するための装置が提供され、これにより、移動ロボットすなわち移動プラットフォームに搭載された機械を変更するために人間の介入が必要であるという課題が解決される。本実施例の装置は、電源(電力供給部)と、車輪または軌道などの1つまたは複数の移動用部品と、該1つまたは複数の移動用部品を駆動して移動プラットフォームを移動させるモータなどの駆動機構とを有する移動プラットフォームである。移動プラットフォームは、アイテムを受け取るためのプラットフォームのように構成された上部を有してもよい。本開示の実施例の装置は、このような構成に限定されるものでない。他の例では、他の構成を備えた移動ロボットも適用可能である。前記駆動機構は前記電源によって電力供給されてもよい。移動プラットフォームは、前記機械が搭載された可動性のカートにドッキングするためのドッキング機構を有する。移動プラットフォームは、ドッキングされたカートを生産ラインの作業セルに移動させるように構成されている。
【0007】
作業セルは、生産ラインで特定のタスク(仕事、作業)を実行するように指定されたステーションを指す。作業セルは、ポータブル電源を備えた移動ステーション、または固定ステーション(定置ステーション)である。作業セルが固定ステーションである場合、作業セルは主電源から電力を取り出すことができる。作業セルでは、特定のタスクを実行するために移動プラットフォームによって搬送される機械を使用する必要がある。
【0008】
移動プラットフォームは、カートが作業セルにドッキングされた後にカートをドッキング解除する(切り離す)ように構成されている。このように、作業セルは、カートに搭載された機械を使用して特定のタスクを実行し得る。移動プラットフォームは機械に固定されておらず、機械に取り付けられたカートを移動させることで機械を移動させることができる。移動プラットフォームは、カートからドッキング解除した後に、他の機械を移動させるなど、他のタスクを自由に実行できる。移動プラットフォームは、1種類のみの機械への取り付けに限定されるものでなく、移動プラットフォームに取り付け可能な機械は交換可能である。
【0009】
可動性のカートは、前記機械と、車輪などの1つまたは複数の移動用部品と、移動プラットフォームのドッキング機構にドッキングするための第1ドッキング機構と、移動プラットフォームがカートを作業セルに搬送するときにカートを作業セルにドッキングするための第2ドッキング機構と、を備えている。
【0010】
各移動プラットフォームは、セルフナビゲーションシステム及び/又はセルフマッピングシステムと、該システムの動きを制御するためのコントローラ又はプロセッサとを有してもよい。移動プラットフォームには、WIFI、及び、3G、4G、5Gのような電気通信ネットワークなどを介した無線通信を可能にする無線通信装置が設けられている。移動プラットフォームのタスクを制御するための命令は、ワイヤレスで通信され得る。コントローラまたはプロセッサは、メモリ内の命令を実行して移動プラットフォームを動作させる。コントローラまたはプロセッサは、ユーザ入力を取り込むために、ユーザ入力装置、及び/又は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイに接続されてもよい。ユーザ入力装置および/またはグラフィカルユーザインターフェースを介して提供されるユーザ入力は、移動プラットフォームのタスクと、移動プラットフォームの動きとを制御するための命令を含み得る。そのような表示およびユーザ入力のためのユーザコントロ-ルインターフェースが設けられてもよい。各移動プラットフォームは、衝突を回避し、生産ラインで動作している他の移動プラットフォームに対する相対的な動きを最適化するための交通制御システムを有してもよい。
【0011】
さらに、移動プラットフォームは1つまたは複数のセンサを有してもよい。移動プラットフォームのコントローラまたはプロセッサは、前記1つまたは複数のセンサからの入力を受信し、移動プラットフォームを動作させるように構成されてもよい。該動作は、移動プラットフォームが、カートとドッキングするように該カートに位置合わせすること、及び、ドッキングされたカートが作業セルに搬送されたときに、カートが作業セルにドッキングできるように移動プラットフォームが作業セルに位置合わせすること、を含む。
【0012】
例えば、各移動プラットフォームは、1つまたは複数のLiDARセンサを搭載してもよい。
【0013】
前記1つまたは複数のセンサは、オムロン社によって開発された既存のセルアライメント位置決めシステム(CAPS)の一部であってもよい。CAPSは、メインのセーフティスキャニングレーザ(すなわち、LiDARセンサ)を使用して環境内のジオメトリを検出し、移動プラットフォームによって行われる位置合わせ中に、移動プラットフォームが前記ジオメトリに関連する特定の場所に移動できるようにする。具体的に、CAPSは、移動プラットフォームに装備されている平面LiDARセンサからのポイントデータ情報を使用して、三角測量やその他の幾何学的特徴分析に基づいて参照ターゲットに合わせることができる。CAPSは、移動プラットフォームが位置合わせを実行できるようにするための1つの方法にすぎない。他の適切な方法が使用されてもよい。
【0014】
他の例において、前記1つまたは複数のセンサは、画像をキャプチャするカメラであるか、又は該カメラを含んでもよく、キャプチャされた画像の画像処理に基づいて位置合わせが確立されてもよい。前記1つまたは複数のセンサは、レーザ、赤外線、及び/又は超音波センサを含んでもよい。位置合わせとドッキングを容易にするために、移動プラットフォーム、カート、機械、及び/又は作業セルに、視覚的またはコンピュータ制御のラベルまたはマーカーが設けられてもよい。
【0015】
本実施例において、カートに搭載された機械またはペイロードは、給電式および非給電式の2つのタイプに分けられ得る。
【0016】
給電式のペイロードは、該ペイロード内の装置を駆動するために、自身の電源(電力供給部)を有し、且つ/又は、移動プラットフォームの電源(電力供給部)から電力を取り出す機能を有する。このような装置の例として、ロボットアーム、モニター画面、ユーザコントロールインターフェース、及びコンベアベルトなどが挙げられる。給電式ペイロードの場合、ペイロード内の装置への電力供給が途切れないという利点がある。したがって、デバイスには常に電力が供給されるため、装置の使用に遅延がない。具体的には、起動シーケンス(電源投入シーケンス)に時間遅延がない。
【0017】
非給電式のペイロードは、例えば、電源(電力供給部)がなく、移動プラットフォームの電源(電力供給部)から電力を取り出すための接続部がないペイロードが搭載されたカートである。このような非給電式ペイロードの場合、電気機器を動作させるためには、作業セルの電源(電力供給部)に接続される必要がある。カートは、移動プラットフォームがカートを様々な場所へ動かせるようにするために、1つ又は複数の移動用部品(例えば、パッシブなキャスターホイール)を有してもよい。カートは、移動プラットフォームがカートを所定の場所に移動させる前に、移動プラットフォームがドッキングするためのドッキング機構を有してもよい。非給電式ペイロードの場合、作業セルの電源に接続した後に起動シーケンス(電源投入シーケンス)を開始する必要があるため、装置の使用に遅延が生じることがある。
【0018】
自身の電源(電力供給部)を備えた給電式ペイロードの場合、給電式ペイロードは、独立して動作するために自身の電源に依存するように構成されるか、又は、ペイロードを搭載したカートが移動プラットフォームによって作業セルに搬送されたときに動作するために、作業セルの電源(電力供給部)に接続して該作業セルの電源に依存するように構成されてもよい。
【0019】
移動プラットフォームの電源から電力を取り出すことができる給電式ペイロードの場合、そのような給電式ペイロードは、移動プラットフォームの電源に依存して独立して動作するように構成されるか、又は、当該ペイロードを搭載したカートが移動プラットフォームによって作業セルに搬送されたときに動作するように作業セルの電源に接続して作業セルの電源に依存するように構成されてもよい。
【0020】
必要に応じて、移動プラットフォームは、給電式ペイロードの電源によって自身の電源が充電されるように構成されてもよい。この場合、移動プラットフォームにはアイドル時間が無くなる。また、給電式ペイロードは、自身の電源が移動プラットフォームの電源によって充電されるように構成されてもよい。この場合、給電式ペイロードの装置が常に動作可能であることが保証される。さらに、給電式ペイロードは、該給電式ペイロードを搭載したカートが移動プラットフォームによって作業セルに搬送されたときに、自身の電源が作業セルの電源によって充電されるように構成されてもよい。この場合、給電式ペイロードが作業セルの電源から切り離された後でも、給電式ペイロードの装置が常に動作可能であることが保証される。
【0021】
図1は、本開示の一例に係る、カートに搭載された機械またはペイロードを搬送するために移動プラットフォームがどのように使用され得るかを説明するフローチャート100を示す。
図2~
図9は、
図1のフローチャートで実行されるステップを示す。
【0022】
図1~
図9に参照されるように、機械、すなわちペイロードは、生産ラインで使用されるコボット、すなわち協働ロボット204である。移動プラットフォーム202は、カート206の場所まで移動し、カート206とドッキングし、カート206に搭載されたコボット204を、1つまたは複数のタスクを完了するためにコボット204と協働する必要がある作業セル602まで搬送するように指示される。移動プラットフォーム202は車輪228を有する。
【0023】
移動プラットフォーム202は、カート206の第1ドッキング機構1306(
図13参照)(
図2~
図9では図示されず)にドッキングするためのドッキング機構224を有する。ドッキング機構224は、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングするとコボット204に電力を供給するためにコボット204に接続するための正および負の端子を備えた電気コネクタ208を有する。ドッキングされると、移動プラットフォーム202の電気コネクタ208は、カート206内の第1電気コネクタ(
図2~
図9では図示されず)に接続される。カート206内の第1電気コネクタは、電気コネクタ208の対応する正および負の端子に接続するための正および負の端子を有する。カート206内の第1電気コネクタは、コボット204に配線されており、移動プラットフォーム202の電気コネクタ208からの電力は、コボット204に伝送され得る。コボット204は、カート206が移動プラットフォーム202によって作業セル602まで搬送されたときに起動(電源投入)される。カート206が作業セル602に到達すると、移動プラットフォーム202は、カート206が作業セル602にドッキングできるようにカート206を位置合わせする。さらに、移動プラットフォーム202には、ユーザ入力を取り込むためのタッチスクリーンであり得るディスプレイを有するユーザコントロールインターフェース230と、必要に応じて移動プラットフォーム202を手動で押すことを可能にするユーザハンドル232とが搭載されている。一例では、ユーザコントロールインターフェース230は、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングされた後、カート206上のコボット204を制御するように構成されてもよい。
【0024】
カート206は、作業セル602のドッキング機構606にドッキングするための第2ドッキング機構226を有する。第2ドッキング機構226は、正および負の端子を備えた第2電気コネクタ210を有し、作業セル602のドッキング機構606は、対応する正および負の端子を備えた電気コネクタ604を有する。第2電気コネクタ210は、カート206と作業セル602がドッキングされたときに、作業セル602の電気コネクタ604に接続するように配置されている。作業セル602の電気コネクタ604は、主電源であり得る作業セル602の電源に接続されている。カート206の第2電気コネクタ210が作業セル602の電源に接続されると、コボット204への電力は、移動プラットフォーム202の電源に代えて作業セル602の電源から取り出されるように切り替えられる。この電源の切り替えが完了した後、移動プラットフォーム202は、カート206から切り離され、次の仕事に進むことができる。コボット204は、作業セル602で自身のタスクを実行する。このようにして、コボット204への電力供給に不連続性(途切れること)はなく、コボット204の起動シーケンスに無駄な時間が費やされることもない。また、移動プラットフォーム202はコボット204に固定されておらず、他の仕事の実行に進むことができる。したがって、移動プラットフォーム202の稼働率が増大する。
【0025】
電気コネクタ208とカート206内の第1電気コネクタとの電気的接続は、移動プラットフォーム202のコントローラまたはプロセッサとカート206のコントローラまたはプロセッサとの間の、電力伝達のための電力供給ライン、および/または、データ通信のためのデータ回線を含んでもよい。同様に、第2電気コネクタ210と作業セル602の電気コネクタ604との電気的接続は、コボット204のコントローラまたはプロセッサと作業セル602のコントローラまたはプロセッサとの間の、電力伝達のための電力供給ライン、および/または、データ通信のためのデータ回線を含んでもよい。
【0026】
図1および
図2を参照すると、
図1のステップ102において、移動プラットフォーム202が、コボット204が搭載されたカート206の前に到着し、CAPSを使用してカート206に位置合わせされる。
図2では、移動プラットフォーム202の正面がカート206の背面に向き合っている。移動プラットフォーム202の電気コネクタ208は、移動プラットフォーム202の背面に配置されている。この位置合わせの目的は、カート206の第1ドッキング機構1306(
図13参照)(
図2では図示されず)を移動プラットフォーム202のドッキング機構224に位置合わせして、カート206の第1電気コネクタ(
図2では図示されず)を移動プラットフォーム202の電気コネクタ208に接続できるようにすることである。
【0027】
図2はまた、カート206が
図6の作業セル602にドッキングされたときに、
図6の作業セル602における
図6の電気コネクタ604に接続するためのカート206の電気コネクタを示すカート206の正面を示している。
【0028】
カート206は、コボット204を取り付けるための平面ステージを形成する隆起された上部本体218と、支持フレーム212,214を備えた下部本体220とを有し、下部本体220は、支持フレーム212,214間かつ上部本体218の下の位置へ移動プラットフォーム202が移動するためのスペースを提供するように配置されている。本実施例において、上部本体218は直方体形状である。コネクタ、電源、コボット204用のコントローラまたはプロセッサ、および/または、配線は、上部本体218の中空スペース内に取り付けられてもよい。支持フレーム212,214は、カート206の左側面および右側面に配置され、上部本体218から地面に向かって延在する。移動プラットフォーム202が上部本体218の下に移動し、移動プラットフォーム202がカート206の上部本体218の底面にドッキングできるように、支持フレーム212,214は、カート206の左側面と右側面との間にスペースを提供するように互いに離間されている。ドッキングされると、移動プラットフォーム202の電気コネクタは、カート206内の電気コネクタ(
図2~
図9では図示されず)に係合する。カート206は、地面に面している直方体の上部本体218の底面に対して4つのコーナー部で離間配置された4つの車輪216を有する。4つの車輪216は、支持フレーム212,214の底部に取り付けられ、カート206を動かすことができるように、4つのコーナー部でカート206の足部を形成している。カート206は、カート206が
図6の作業セル602にドッキングされた後など、必要に応じてカートの車輪216の移動を防止するためにブレーキをかけるためのブレーキ機構(制動機構)222を備える。
【0029】
図1および
図3を参照すると、
図1のステップ104で、ステップ102での位置合わせが完了した後、移動プラットフォーム202が(
図3の矢印で示されるように)180度回転する。これにより、ドッキング機構224を備えた移動プラットフォーム202の背面は、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングするために近寄るカート206の面に対面する。移動プラットフォーム202が回転しなければならない角度は、ドッキング機構224が移動プラットフォーム202にどのように取り付けられているかに依存する。移動プラットフォーム202がカート206に近寄ってドッキングするために、移動プラットフォーム202の背面がカート206の面に対面したとき、移動プラットフォーム202は、カート206にドッキングするように、離間した支持フレーム212,214間においてカート206内へ後退し始める。
【0030】
図1および
図4を参照すると、
図1のステップ106で、移動プラットフォーム202がカート206内に後退した後、移動プラットフォーム202は、カート206の下に正確にドッキングする。具体的に、移動プラットフォーム202は、カート206の上部本体218の底面にドッキングする。ドッキングされると、移動プラットフォーム202のドッキング機構224は、カート206の上部本体218の底面に位置するカート206の第1ドッキング機構1306(
図13参照)にドッキングされる。さらに、ドッキングされると、カート206の第1電気コネクタ(
図4には図示されず)は、移動プラットフォーム202の電気コネクタ208に接続される。その後、移動プラットフォーム202はコボット204に電力を供給する。コボット204は、起動シーケンス(電源投入シーケンス)を開始し、カート206が
図6の作業セル602にドッキングするまで起動(電源投入)されたままである。
【0031】
カート206又はコボット204が電源を有する別の例では、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングされると、移動プラットフォーム202の電源は、カート206又はコボット204の電源によって充電され得る。
【0032】
図1および
図5を参照すると、
図1のステップ108で、移動プラットフォーム202は、ドッキングされたカート206をナビゲートし、例えば本実施例では
図6の作業セル602である所定の目的地まで移動させる。移動プラットフォーム202の動きは、
図5の矢印によって示されている。
【0033】
図1および
図6を参照すると、
図1のステップ110で、ドッキングされたカート206を搬送する移動プラットフォーム202が、作業セル602に到着し、CAPSを使用して作業セル602に位置合わせされる。この位置合わせの目的は、カート206の第2ドッキング機構226を作業セル602のドッキング機構606に位置合わせして、カート206の第2電気コネクタ210を作業セル602の電気コネクタ604に接続できるようにすることである。
【0034】
図1および
図7を参照すると、
図1のステップ112で、移動プラットフォーム202と作業セル602が位置合わせされると、カート206の第2ドッキング機構226が、作業セル602のドッキング機構606にドッキングするように位置合わせされる。次いで、移動プラットフォーム202は、(
図7の矢印によって示されるように)180度回転し、カート206と作業セル602とのドッキングが行われるように作業セル602に向かって後退する。
【0035】
図1および
図8を参照すると、
図1のステップ114で、移動プラットフォーム202が作業セル602まで後退した後、作業セル602のドッキング機構606は、カート206の第2ドッキング機構226にドッキングする。さらに、カート206の第2電気コネクタ210は、作業セル602の電気コネクタ604に接続する。その後、移動プラットフォーム202の電源はコボット204への電力供給を停止し、作業セル602の電源が引き継いでコボット204に電力を供給する。電源の切り替え中、コボット204への電力供給は途切れることなく保証される。
【0036】
図1および
図9を参照すると、
図1のステップ116で、移動プラットフォーム202がカート206からドッキング解除され、(
図9に矢印で示されるように)この場所を離れて、次の仕事に進み、コボット204は作業セル602で作業を開始する。
【0037】
図10~
図12は、
図2~
図9のカート206と、
図6~
図9の作業セル602とのドッキングプロセスの例をより詳細に示し、移動プラットフォーム202が、どのようにカート206と作業セル602とのドッキングの完了を通知されてカート206を離れる準備ができるかの一例を示す。
【0038】
図1~
図9および
図10を参照すると、カート206と作業セル602とのドッキングプロセスは、ステップ1002で開始する。
【0039】
図10のステップ1004では、
図6および
図7によって参照されるように、カート206を備えた移動プラットフォーム202が作業セル602に到着し、移動プラットフォーム202はCAPSを使用して作業セル602に位置合わせされる。移動プラットフォーム202が作業セル602に位置合わせされると、カート206も作業セル602にドッキングするように位置合わせされる。位置合わせされると、移動プラットフォーム202は、カート206と作業セル602とのドッキングを行うことができるように、カート206を動かして方向付ける。
【0040】
図10のステップ1006では、
図7を参照すると、カート206が作業セル602にドッキングし、作業セル602の電気コネクタ604がカート206の第2電気コネクタ210に係合する。
【0041】
図10のステップ1008で、作業セル602のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、作業セル602に設けられた1つまたは複数のセンサを使用して、カート206と作業セル602とのドッキングをチェックする。前記1つまたは複数のセンサは、ドッキングが完了しているかどうかを判定するために作業セル602のPLCに入力を提供する。本実施例では、電気的係合が完了したとき、すなわち、作業セル602の電気コネクタ604がカート206の第2電気コネクタ210に接続されたとき、且つ、物理的係合も完了したとき、すなわち、カート206のロック機構と作業セル602が係合したとき、ドッキングが完了する。このようなロック機構の詳細については後述される。
【0042】
電気的係合(電気的接続)に関して、作業セル602の電気コネクタ604は、磁気係合を介してカート206の第2電気コネクタ210に接続されてもよい。磁気係合による磁気の変化を検出するために、1つまたは複数の磁気センサが設けられてもよい。この磁気センサは、ドッキングが完了しているかどうかを判定するために作業セル602のPLCに入力を提供し得る。
【0043】
図11を参照すると、第2ドッキング機構226および第2電気コネクタ210を備えたカート206の正面が示されている。第2ドッキング機構226は、第2電気コネクタ210と、作業セル602の
図12のセルロック機構1212における
図12の2つの個別のセル固定部材1202,1204を受けるための2つのカート固定部材1102,1104を有するカートロック機構1106とを備える。本実施例では、カート固定部材1102,1104のそれぞれは、個別のセル固定部材1202,1204のそれぞれの対応する雄部(例えば、伸縮可能なロッドまたはシャフト)を受けるための雌部(例えば、穴)を有する。別の例では、カート固定部材1102,1104の一方または両方が雄部を有してもよく、個別のセル固定部材1202,1204の一方または両方が対応する雌部を有してもよい。
【0044】
図12は、作業セル602のセルドッキング機構(ドッキング機構)606を示す。セルドッキング機構606は、セルロック機構1212を備える。セルロック機構1212は、セル固定機構1202,1204(セル固定部材1202,1204)を備える。セル固定機構1202,1204は、個別の電気的に作動されるロックアクチュエータ1206,1208によって作動されて下方に移動可能であり(
図12の矢印を参照)、セル固定機構1202,1204を個別のカート固定部材1102,1104の雌部に係合させることができる。セル固定機構1202,1204の例は、ボイスコイルアクチュエータ、ソレノイドロックなどを含み得る。
【0045】
セル固定機構1202,1204がカート固定部材1102,1104に係合したかどうかを検出するために、1つまたは複数のセンサが作業セル602に設けられてもよい。そのような物理的な係合が確認されると、前記1つまたは複数のセンサは、ドッキングが完了していることを判定するために作業セル602のPLCに入力を提供する。このような1つまたは複数のセンサの一例は、セル固定機構1202,1204を個別のカート固定部材1102,1104の雌部に係合させるように、電気的に作動されるロックアクチュエータ1206,1208が磁気効果を使用して作動される場合に、磁気の変化を感知する磁気センサであってもよい。
【0046】
図12は、作業セル602から延在する2つの対向する折れ曲がり部を有するプレート1210を示す。このプレート1210は、移動プラットフォーム202と作業セル602とのCAPSの位置決め中に使用されるものである。移動プラットフォーム202に搭載されたLiDARセンサからのレーザは、このプレート1210に向けられ、プレート1210から反射されたレーザは、位置合わせプロセス中に移動プラットフォーム202によって収集される。移動プラットフォーム202とカート206との位置合わせを容易にするために、プレート1210と同様のプレートがカート206に取り付けられてもよい。
【0047】
図11に戻ると、
図11は、カート206のブレーキ機構222も示している。ブレーキ機構222は、必要に応じて制動摩擦パッド(制動摩擦フット)1110を動かして地面に接触させるように構成された、電気的に作動されるアクチュエータ1108を備える。制動摩擦パッド(制動摩擦フット)1110を作動させるためのアクチュエータ1108への電気信号は、必要に応じてカート206のPLCから送信され得る。作動されると、制動摩擦パッド(制動摩擦フット)1110は、カート206の車輪216が動くのを防止する。本開示の例において、そのようなブレーキ機構222は、1つまたは複数設けられてもよい。
【0048】
図10のステップ1010で、作業セル602のPLCは、移動プラットフォーム202の電源からではなく、これに代えて作業セル602の電源から電力を取り出すために電源スイッチを作動させるように、カート206のPLCに通知する。この通知は、作業セル602のPLCがカート206と作業セル602との間の電気的係合(電気的接続)が完了していると判定したときに行われる。そのような通知は、カート206と作業セル602との電気的係合におけるデータ回線を介して、および/または、作業セル602のPLCからカート206のPLCへの無線データ通信を介して行われてもよい。
【0049】
図10のステップ1012で、作業セル602のPLCは、作業セル602とカート206とのドッキングが完了したことを移動プラットフォーム202に通知する。作業セル602のPLCは、ドッキング完了に関するこのフィードバックをカート206のPLCに提供してもよく、次に、カート206のPLCは、カート206のPLCに電気的に接続されている移動プラットフォーム202に当該フィードバックを渡す。当該フィードバックを提供する他の方法は、作業セル602のPLCから移動プラットフォーム202への無線データ通信を介してなされてもよい。本実施例において、作業セル602のPLCが、カート206と作業セル602との電気的係合および物理的係合の両方が完了していると判定したときに、ドッキングが完了したと見なされる。
【0050】
図10のステップ1014で、ドッキングが完了したことが移動プラットフォーム202に通知されると、移動プラットフォーム202は、そのドッキング機構224をカート206の第1ドッキング機構1306(
図13参照)から解放し、別の仕事に進ように準備する。
【0051】
図10のステップ1016で、作業セル602のPLCが、カート206と作業セル602とのドッキングが完了していると判定し、カート206のPLCにドッキング完了を通知した後の任意の時点で、カート206のPLCは、カート206のブレーキ機構222のアクチュエータ1108を作動させる信号を送信して、制動摩擦パッド(制動摩擦フット)1110を地面に接触させるように動かして、カート206を安定(固定)させる。
【0052】
図10のステップ1018で、移動プラットフォーム202のドッキング機構224がカート206の第1ドッキング機構1306(
図13参照)から解放されると、移動プラットフォーム202はカート206を離れ、カート206は、作業セル602で作業(仕事)するために残される(置いて行かれる)。
【0053】
カート206と作業セル602とのドッキングプロセスは、ステップ1020で終了する。
【0054】
図13および
図14は、
図2~
図9の同じ移動プラットフォーム202と同じカート206とドッキングプロセスの例をより詳細に示す。
【0055】
図13を参照すると、移動プラットフォーム202は、前述のドッキング機構224を備え、該ドッキング機構224は、前述の電気コネクタ208を備える。カート206の隆起された上部本体218は、上部本体218内に配置された構成要素を明らかにするために、側面が透けて見えるように意図的に描かれている。上部本体218の底面には、カート206の第1ドッキング機構1306が設けられている。カート206の第1ドッキング機構1306は、移動プラットフォーム202の電気コネクタ208に接続するためのカート206の第1電気コネクタ1312と、1つまたは複数の受入部材1308とを備える。
【0056】
ドッキング機構224は、ラッチ部材1310を備え、該ラッチ部材は、移動プラットフォーム202のカート206へのドッキング中に、前記1つまたは複数の受入部材1308が当該ラッチ部材を受け入れやすくするために、前記1つまたは複数の受入部材1308に対応する形状を有する。本実施例では、ラッチ部材1310の形状は実質的に三角形であり、該三角形の1つの頂点は、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングするように位置合わせされるとき、カート206の中心を向く。前記1つまたは複数の受入部材1308は、本実施例では、開いた構成で配置された2枚のプレートであり、前記頂点がカート206の中心を向く状態でラッチ部材1310を受け入れる。さらに、本実施例において、電気コネクタ208は、ラッチ部材1310内に配置される。
【0057】
図14は、
図13のカート206の第1ドッキング機構1306にドッキングされたときにおける移動プラットフォーム202のドッキング機構224の拡大図である。具体的に、
図14において、三角形状のラッチ部材1310は、前記1つまたは複数の受入部材1308の2枚のプレートによって完全に受け入れられる。移動プラットフォーム202の電気コネクタ208は、カート206の第1電気コネクタ1312に接続される。本実施例では、ドッキング機構224および第1ドッキング機構1306は、強力な磁気接続を介して互いに固定される。このことを達成するために、カート206および/または移動プラットフォーム202には、1つまたは複数の磁気装置(
図13および14には図示せず)が設けられる。例えば、第1電気コネクタ1312は、固定ベースパッドとして構成された電気コネクタ208に接続するために、磁気効果を介して拡張可能な充電パッドを備えてもよい。
図14の例では、移動プラットフォーム202のカート206へのドッキングをさらに固定するような、
図12のセルロック機構1212と同様の物理的係合は存在しない。ただし、他の例では、移動プラットフォーム202のカート206へのドッキングをさらに固定するために、同様のロック機構が設けられてもよい。
【0058】
図14はまた、2つの可動性のコネクタパッド1402,1406を示し、これらのうち一方は正端子であり、他方は負端子である。これらのコネクタパッド1402,1406は、電気コネクタ208の下に配置される。本実施例において、2つの可動コネクタパッド1402,1406は、個別の旋回軸1404でそれぞれヒンジ結合され、これらの旋回軸1404周りに動作可能(回転可能)である。2つの可動性のコネクタパッド1402,1406は、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングしているときに、電気コネクタ208に係合して移動プラットフォーム202とカート206とを電気的に接続するために、又は、移動プラットフォーム202がカート206からドッキング解除されている(切り離されている)ときに、電気コネクタ208との係合を解除するために、
図14の矢印によって示される方向に旋回可能である。
【0059】
本開示の実施例の電力供給に関して、いくつかの可能なシナリオは以下の通りである。
(a)移動プラットフォーム202は電源を有し、カート206および機械204(例えばコボット)は電源を有さず、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングするときに、移動プラットフォーム202によって電力が機械204に供給される。機械204は、移動プラットフォーム202がドッキングされている限り動作可能である。
(b)移動プラットフォーム202は電源を有し、カート206および機械204(例えばコボット)は電源を有さず、作業セル602は電源を有する。移動プラットフォーム202がカート206を作業セル602に搬送するとき、機械204への電力供給は、移動プラットフォーム202の電力供給から作業セル602の電力供給に切り替えられる。切り替え後、移動プラットフォーム202は別の仕事へ自由に移動でき、機械204は作業セル602にとどまって作業(稼働)する。
(c)移動プラットフォーム202は電源を有し、カート206または機械204(例えばコボット)のいずれか一方または両方が機械を動作させるための電源を有し、作業セル602は電源を有する。移動プラットフォーム202がカート206を作業セル602に搬送するとき、機械204への電源を、カート206または機械204の電源から作業セル602の電源に任意に切り替えることができる。任意選択的に、カート206または機械204の電源は、作業セル602の電源によって充電可能であり、または、作業セル602の電源は、カート206または機械204の電源によって充電可能である。任意選択的に、移動プラットフォーム202がカート206にドッキングされているとき、移動プラットフォーム202の電源は、カート206または機械204の電源を充電することができる。
(d)移動プラットフォーム202は電源を有し、カート206または機械204(例えばコボット)のいずれか一方または両方が機械を動作させるための電源を有し、作業セル602は電源を有する。移動プラットフォーム202がカート206にドッキングされているとき、移動プラットフォーム202の電源は、カート206または機械204の電源によって充電可能である。このシナリオにおいて、カート206は移動プラットフォーム202のための充電ステーションになる。
【0060】
図2~
図9における移動プラットフォーム202、
図2~
図9におけるカート206、カート206に搭載された機械(例えば、
図2~
図9のコボット204)、及び、
図6~
図9における作業セル602の一例は、バスを介した電子通信における以下の構成要素を有してもよい。
1.ディスプレイ(例えば、
図2の符号230)
2.不揮発性メモリおよび/または非一時的なコンピュータ可読媒体
3.ランダムアクセスメモリ(RAM)
4.N個の処理コンポーネント(すなわち、「1つまたは複数のコントローラ」、「1つまたは複数のプロセッサ」、あるいは、「1つまたは複数の中央処理装置」)
5.インターネット/イントラネット使用のための、および/または、無線ネットワーク通信用のN個のトランシーバを含むトランシーバコンポーネント
6.ユーザコントロール、すなわち、ユーザ入力装置
7.必要に応じて、画像キャプチャコンポーネント
8.必要に応じて、オーディオ信号キャプチャコンポーネント(例えば、マイク)
9.必要に応じて、オーディオスピーカー
10.必要に応じて、位置合わせ目的、ドッキング検出目的、および/または、ナビゲーション/エリアマッピング目的のための1つまたは複数のセンサおよび/またはコンポーネント
11.ユーザ入力装置(マウス、ジョイスティック、キーボード、ユーザのジェスチャーを検出するためのセンサなど)、オーディオスピーカー、ディスプレイ、画像キャプチャコンポーネント、および/またはオーディオ信号キャプチャコンポーネントに接続するための入力/出力インターフェース
【0061】
ディスプレイは、一般に、グラフィカルコンテンツ(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)のプレゼンテーションをユーザに提供するように動作し、さまざまなディスプレイ(例えば、CRT、LCD、HDMI(登録商標)、マイクロプロジェクター、及び、OLEDディスプレイ)のいずれによって実現されてもよい。ディスプレイはタッチスクリーンであってもよい。
【0062】
一般に、不揮発性メモリは、データと、移動プラットフォームの機能コンポーネントに関連付けられたコードを含む実行可能コードとを格納(例えば、永続的に格納)するように機能する。場合によって、例えば、不揮発性メモリは、ブートローダコード、モデムソフトウェア、オペレーティングシステムコード、ファイルシステムコード、および、簡略化のために図示されていない当業者に周知の他のコードを含む。移動プラットフォーム202に関して、セルフナビゲーション/マッピングコード、並びに、移動プラットフォーム202のドッキング/ドッキング解除プロセス、
図2~
図9における移動プラットフォーム202のカート206との位置合わせプロセス、および/または、
図6~
図9にける移動プラットフォーム202の作業セル602との位置合わせプロセスを容易にするためのコードが存在してもよい。カート206またはカート206に取り付けられた機械に関して、
図2および
図11のブレーキ機構222を作動させるためのコード、機械(例えば、
図2~
図9の符号204)への電力供給を、移動プラットフォーム202の電源から作業セル602の電源に移行するためのコード、並びに、カート206のドッキング/ドッキング解除プロセス、移動プラットフォーム202のカート206との位置合わせプロセス、カート206の作業セル602との位置合わせプロセスを容易にするためのコードが存在してもよい。作業セル602に関して、カート206と作業セル602とのドッキング/ドッキング解除プロセス、および/または、移動プラットフォーム202の作業セル602との位置合わせプロセスを容易にするためのコードが存在してもよい。
【0063】
多くの実装において、不揮発性メモリはフラッシュメモリ(例えば、NAND型またはNOR型メモリ)によって実現されるが、他のメモリタイプも同様に利用可能であることが確かに企図される。不揮発性メモリからコードを実行することは可能であるが、不揮発性メモリ内の実行可能なコードは、通常、RAMにロードされ、N個の処理コンポーネントの1つまたは複数によって実行される。
【0064】
1つまたは複数のコンピュータプログラムは、本質的に非一時的であり得る任意の機械またはコンピュータ可読媒体に格納され得る。コンピュータ可読媒体は、磁気または光ディスク、メモリチップ、または、移動プラットフォームとのインターフェースに適した他の記憶装置などの記憶装置を含み得る。機械またはコンピュータ可読媒体はまた、インターネットシステムで例示されるような有線媒体、または、無線LAN(WLAN)システムで例示されるような無線媒体を含み得る。
【0065】
RAMに関連するN個の処理コンポーネント(あるいは、「1つまたは複数のプロセッサ」)は、一般に、不揮発性メモリに格納された命令を実行して機能コンポーネントを実現するように動作する。(通常の技術者を含む)当業者が理解するように、N個の処理コンポーネントは、ビデオプロセッサ、モデムプロセッサ、DSP、グラフィック処理ユニット(GPU)、および他の処理コンポーネントを含み得る。
【0066】
トランシーバコンポーネントは、ワイヤレスネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得るN個のトランシーバチェーンを含み得る。N個のトランシーバチェーンのそれぞれは、特定の通信方式に関連するトランシーバを表し得る。例えば、各トランシーバは、ローカルエリアネットワーク、セルラーネットワーク(例えば、WIFIネットワーク、CDMAネットワーク、GPRSネットワーク、UMTSネットワーク)、および他のタイプの通信ネットワークに固有のプロトコルに対応し得る。いくつかの実装形態では、通信ネットワークとのトランシーバコンポーネントの通信により、接続されたデバイスの位置を決定できるようになる。
【0067】
本開示の実施例は、以下の特徴を有し得る。
【0068】
生産ラインの機械(例えば、
図2~
図9の符号204)を搬送するための装置(例えば、
図2~
図9の符号202)であって、
前記装置は、
電源と、
1つまたは複数の移動用部品(例えば、
図2の符号228)と、
前記装置を移動させるように前記1つまたは複数の移動用部品駆動させるための駆動機構と、
生産ラインの機械(例えば、
図2~
図9の符号204)を有する可動性のカート(例えば、
図2~
図9の符号206)にドッキングするためのドッキング機構(例えば、
図2の符号224)と、
メモリ内の命令を実行して前記装置を動作させるように構成されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサによる前記装置の動作は、
前記ドッキング機構を使用して前記カートにドッキングすること、
ドッキングされた前記カートを生産ラインの作業セル(例えば、
図6~
図9の符号602)に搬送すること、
前記カートが前記作業セルまで搬送されたとき、前記カートを動かして前記カートを前記作業セルにドッキングさせること、及び、
前記カートが前記作業セルにドッキングされているときに前記カートをドッキング解除し、前記機械を前記作業セルで作業(稼働)させるように残す(置いていく)こと、を含む。
【0069】
前記装置は、1つまたは複数のセンサを備えてもよく、
前記装置は、前記1つまたは複数のセンサからの入力を受信して、カートにドッキングするように該カートに位置合わせするように、且つ、ドッキングされたカートが作業セルまで搬送されたときにカートが作業セルにドッキングできるように作業セルに位置合わせするように、動作可能である。
【0070】
前記ドッキング機構は、ラッチ部材(例えば、
図13および
図14の符号1310)を備えてもよく、
前記ラッチ部材は、前記装置のカートへのドッキング中に1つまたは複数の受入部材がラッチ部材を受け入れやすいように、カート内に存在する前記1つまたは複数の受入部材(例えば、
図13および
図14の符号1308)に対応する形状を有する。
【0071】
前記装置は、第1電気コネクタ(例えば、
図2、
図13、および
図14の符号208)を備えてもよく、
前記第1電気コネクタは、前記装置がカートにドッキングされたときに前記機械に電力を供給するためにカートまたは前記機械に接続するように構成されている。
【0072】
前記装置は、第2電気コネクタを備えてもよく、
前記第2電気コネクタは、前記装置の電源を充電するためにカートまたは前記機械の電源に接続するように構成されている。
【0073】
前記装置は、第1電気コネクタまたは第2電気コネクタのいずれか一方のみを有してもよいし、両方を有してもよい。第2電気コネクタのみが存在する場合、第2電気コネクタは、
図2、
図13、および
図14における第1電気コネクタ208の例と同じ構成および同じ位置を有してもよい。
【0074】
第1電気コネクタおよび/または第2電気コネクタは、ラッチ部材内に配置されてもよい。
【0075】
前記装置によって搬送されるカートであって、
前記カートは、
生産ラインの機械と、
1つまたは複数の移動用部品(例えば、
図2および
図11の符号216)と、
前記装置の前記ドッキング機構にドッキングするための第1ドッキング機構(例えば、
図13および
図14の符号1306)と、
前記装置がカートを作業セルに搬送したときにカートを作業セルにドッキングするための第2ドッキング機構(例えば、
図2および
図11の符号226)と、を備えてもよい。
【0076】
前記カートまたは前記機械は、前記機械に電力を供給し且つ前記装置の電源を充電するように構成された電源を備えてもよい。
【0077】
前記カートまたは前記機械は、第1電気コネクタ(例えば、
図13および
図14の符号1312)を備えてもよく、
前記第1電気コネクタは、前記装置の電源から電力を取り出して前記機械に電力を供給するためにカートが前記装置にドッキングされたときに前記装置の電源に接続するように構成されている。
【0078】
前記カートまたは前記機械は、第2電気コネクタ(例えば、
図2および
図11の符号210)を備えてもよく、
前記第2電気コネクタは、作業セルの電源から電力を取り出して前記機械に電力を供給するためにカートが作業セルにドッキングされているときに作業セルの電源に接続するように構成されている。
【0079】
前記カートの第1ドッキング機構は、前記1つまたは複数の受入部材を備えてもよい。
【0080】
前記カートは、該カートの前記1つまたは複数の移動用部品の動きを防止するようにブレーキをかけるためのブレーキ機構(例えば、
図2および
図11の符号222)を備えてもよく、
前記ブレーキ機構は、カートが作業セルにドッキングされた後、自動的に、電気的に作動してブレーキをかけるように構成されている。
【0081】
前記カートの第2ドッキング機構は、カートロック機構(例えば、
図11の符号1106)を備えてもよく、
前記カートロック機構は、作業セルに対するカートの移動を防止するために作業セルのセルロック機構(例えば、
図12の符号1212)に係合するように構成されている。
【0082】
生産ラインの作業セルであって、
前記作業セルは、
前記装置がカートを作業セルに搬送したときに、カートの第2ドッキング機構にドッキングするためのセルドッキング機構(例えば、
図12の符号1212)と、
カートと作業セルとのドッキングが完了しているかどうかを判定するための入力を提供する1つまたは複数のセンサと、
作業セルを動作させるようにメモリ内の命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備えてもよく、
前記プロセッサによる作業セルの動作は、
カートと作業セルとのドッキングが完了していることのフィードバックを前記装置に提供することを含む。
【0083】
前記セルドッキング機構は、前記カートのカートロック機構(例えば、
図11の符号1106)に係合するセルロック機構(例えば、
図12の符号1212)を備えてもよく、
前記セルロック機構は、カートが作業セルにドッキングしているときにカートロック機構に係合するために電気的に作動されるように構成されている。
【0084】
生産ラインの機械(例えば、
図2~
図9の符号204)を搬送する方法であって、
前記方法は、
生産ラインの機械(例えば、
図2~
図9の符号204)を備えたカート(例えば、
図2~
図9の符号206)に装置(例えば、
図2~
図9の符号202)をドッキングするステップと、
前記装置を使用して、ドッキングされたカートを生産ラインの作業セル(例えば、
図6~
図9の符号602)に搬送するステップと、
前記装置によってカートが作業セルに搬送されたときに、カートを作業セルにドッキングさせるようにカートを動かすステップと、
カートが作業セルにドッキングされているときに前記装置からカートをドッキング解除し、前記機械を作業セルで作業(稼働)させるように残していく(置いていく)ステップと、を備える。
【0085】
前記方法は、
作業セルへのカートのドッキングの前後で前記機械への電力供給に不連続性(途切れ)がないように、前記機械への電力供給を提供するステップを備えてもよい。
【0086】
明細書および特許請求の範囲において、文脈に特段の明示がない限り、「備えた」という用語は、「~のみからなる」という排他的な意味ではなく、「少なくとも~を含む」という非排他的な意味を有する。「備える」などの他の形式の単語への対応する文法上の変更も同様である。
【0087】
本開示において、本発明は、複数の実施例に関して説明されてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲内に入る様々な変更および同等の構成を含むものとする。本発明の特徴は、特許請求の範囲内で特定の組み合わせで表現されているが、これらの特徴は、任意の組み合わせおよび順序で構成され得ることが意図されている。