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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】WCDシステム及びその管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20240402BHJP
   A61N 1/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240402BHJP
【FI】
A61N1/39
A61N1/08
A61B5/33 120
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022560353
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2020083951
(87)【国際公開番号】W WO2021203357
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】522301599
【氏名又は名称】蘇州維偉思医療科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】覃志航
(72)【発明者】
【氏名】陳呉笋
(72)【発明者】
【氏名】梁勝錦
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0325108(US,A1)
【文献】中国実用新案第209885035(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0069953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00-1/44
A61B 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
WCDシステムであって、
信号を収集してマスターモジュールに送信するとともに、人体の運動を検出する機能及び振動プロンプト機能を有する収集モジュールと、
VF/VT解析アルゴリズムを有し、前記収集モジュールが収集した信号を解析するとともに、除細動モジュールの電源を制御することができるマスターモジュールと、
VF/VT解析アルゴリズム及び除細動制御機能を有する除細動モジュールとを含み、
前記除細動モジュールと前記マスターモジュールの解析結果を相互に参考にすることにより、患者が応答ボタンを押して除細動をキャンセルするのを待つ時間を決定することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記収集モジュールは収集MCUを含み、前記マスターモジュールはマスターMCUを含み、前記除細動モジュールは除細動MCUを含み、前記マスターMCUは前記収集MCU、前記除細動MCUに通信可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載のWCDシステム。
【請求項3】
前記収集MCUは、
患者の心電データを収集し、心電データをデータ前処理モジュールに送信し、さらなる処理を行うための第1データ収集モジュールと、
心電データに対してソフトウェアフィルタリングの前処理を行い、データがVF/VTの解析要件を満たすようにして、前処理された心電データを得るために使用されるデータ前処理モジュールと、
前処理された心電データをマスターMCUに送信するための第1データ通信モジュールとを含むことを特徴とする請求項2に記載のWCDシステム。
【請求項4】
前記マスターMCUは、
無線ネットワークデータの送受信を担当する第2データ通信モジュールと、
前記収集MCUから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するための第1心電解析モジュールと、
前記除細動MCUから送信された状態データを処理するために使用される除細動処理モジュールと、
音声プロンプトを再生するためのオーディオモジュールとを含むことを特徴とする請求項3に記載のWCDシステム。
【請求項5】
前記除細動MCUは、
除細動プロセスの状態データをマスターMCUに送信するための第3データ通信モジュールと、
除細動電極のゲル放出を制御するためのゲル放出モジュールと、
除細動電極から心電データを収集するための第2データ収集モジュールと、
前記第2データ収集モジュールから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するための第2心電解析モジュールと、
除細動コンデンサの充放電を処理するための充放電モジュールと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のWCDシステム。
【請求項6】
請求項5のWCDシステムにより以下のステップを実行するWCDシステムの作動方法であって、
前記第1データ通信モジュール、前記第2データ通信モジュール及び前記第3データ通信モジュールが接続通信を初期化するステップと、
前記収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップと、
前記マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、前記マスターMCUは前記除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行うステップと、
前記マスターMCUは異なる状態データに応じて対応する処理を行った後、除細動MCUをオフにするステップとを含む方法。
【請求項7】
前記収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップは、
前記第1データ収集モジュールは心電データを収集するステップS110と、
前記データ前処理モジュールは元の心電データに対してフィルタリングの前処理を行い、心電データが心電解析の要件を満たすようにするステップS120と、
前記第1データ通信モジュールは前処理された心電データを前記マスターMCUに送信するステップS130とをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のWCDシステムの作動方法。
【請求項8】
前記マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、前記除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行い、異なる状態データに応じて対応する処理を行い、治療終了時に除細動MCUをオフにするステップは、
前記第2データ通信モジュールは収集MCUからの心電データを受信するステップS210と、
前記第1心電解析モジュールは心電データに対してVF/VT検出を行い、VF/VTの発生を検出した場合、除細動MCUを起動するステップS220と、
前記除細動処理モジュールは前記除細動モジュールに通電して、除細動MCUが作動を開始するステップS230と、
前記第2データ通信モジュールは除細動MCUの状態データを受信し、前記除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行うステップS240と、
治療終了を検出すると、除細動MCUをオフにするステップS250とをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のWCDシステムの作動方法。
【請求項9】
前記第2データ通信モジュールが除細動MCUの状態データを受信し、前記除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行う前に、
前記ゲル放出モジュールは除細動電極の接続状態を検出し、接続状態を前記マスターMCUに送信するステップS310と、
前記ゲル放出モジュールはゲルを放出し始め、ゲル放出状態を前記マスターMCUに送信するステップS320と、
ゲルの放出が成功すると、前記第2データ収集モジュールは除細動電極からの心電データを収集するステップS330と、
前記第2心電解析モジュールは正常に収集された心電データに対してVF/VT解析を行い、解析状態をマスターMCUに送信するステップS340と、
解析結果がVF/VT心電図であると、前記充放電モジュールは充電コンデンサを充電し、充電状態をマスターMCUに送信するステップS350と、
充電が成功すると、前記充放電モジュールは前記充電コンデンサを放電し、放電状態をマスターMCUに送信するステップS360とをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のWCDシステムの作動方法。
【請求項10】
前記除細動処理モジュールは前記除細動モジュールに通電し、除細動MCUが作動を開始する前に、
除細動MCUの起動に失敗すると、前記オーディオモジュールによって起動失敗のプロンプトを再生するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のWCDシステムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、具体的には、WCDシステム及びその管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓突然死(SCD)は非常に深刻な公衆衛生上の問題となっており、一度発症すると、患者の生存率は非常に低く、中国では一般的に1%未満である。現在最も有効なSCD予防対策は、植込み型除細動器(ICD)を植込むことであり、その有効性が99%に達することができる。しかしながら、ICDの植込みにはいくつかの制限もあり、例えば、費用がかかり、手術が必要であり、感染リスクがあり、一部の患者が特定の期間にのみSCDリスクがあり、ICDの植込みに適しておらず、一部のSCDリスクの高い患者がICDの植込みを禁忌とする。
【0003】
着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator、WCD)は着用型体外式自動除細動器であり、着用後に傍観者の介入なしに自動で電気ショックを行うことができ、意識清明な患者は応答ボタンを押して治療を遅らせたり終了したりすることができる。
【0004】
WCD機器は、一般的に、1.着用型ベスト(心電図電極、除細動電極、心電図収集ボードが内蔵される)、2.WCDホスト、及び3.交換可能なバッテリーと充電器を含む。
【0005】
1.着用型ベストについて、ベストは衣類の下に着用して皮膚に密着し、ベスト内の胸郭を囲む電極ベルトは4つの心電図電極を有し、皮膚と直接接触し、2つのバイポーラリードの収集システムを構成して、体表の心電図信号を記録し、患者の自律心拍及び不整脈の発生を検出するために使用される。ベストの背中線の両側にそれぞれ1枚の除細動電極板があり、左前胸部の1枚の除細動電極板と共に心臓の表面を覆う除細動ユニットを構成し、各除細動電極は除細動ゲルを自動的に放出する「カプセル」を備えている。電極は胸ベルトと腰ベルトの圧力により胸壁との密着状態に維持される。心電図収集ボードは、主に胸郭の4つの心電図電極の心電図信号を収集し、WCDホストにリアルタイムに送信して解析処理を行う。
【0006】
2.WCDホストはバッテリー、二相性波形除細動モジュール(コンデンサと高電圧トランスフォーマー)、マザーボード、無線ネットワークモジュール及び応答ボタンからなり、ショルダベルトを介して身体に掛けられる。WCDとベストはプラグとコンセントを介して有線接続される。
【0007】
3.交換可能なバッテリーはWCDホストに給電し、充電器はそのバッテリーを充電するために使用される。1つのWCDホストは少なくとも2つのバッテリーを備え、1つはWCDホストのために使用され、もう1つは充電器で充電され、定期的に交換され、それによってWCDホストが除細動のために十分な電力を有することを保証する。
【0008】
WCD機器は患者によって院外で使用され、3日間から最長6ヶ月の着用サイクルを有する。WCDホストは作動状態で心電図電極によって24時間心電モニタリングを行い、WCDホストはVF VT(心室細動 心室頻拍)を検出し、患者が無反応であることを確認すると、除細動モードに切り替える。除細動電極パッドは導電性ゲルを放出して皮膚に接触し、除細動を開始する。除細動が行われた後、患者は、心電モニタリング及び除細動機能が活性状態のままである間、できるだけ早く病院に送られる必要がある。
【0009】
臨床応用の要件を満たすために、WCDホストは心電図データ収集、悪性不整脈解析、無線通信、音声プロンプト、ボタン応答、除細動放電などの機能を実行する必要があり、全ての機能を1つのマザーボードで実現すると、組込みソフトウェアの設計が非常に複雑になり、システムの信頼性が低下する。この問題を解決するために、高い信頼性が求められる除細動放電機能を1つの独立した除細動モジュールに搭載し、高い即時性が求められる心電図収集機能を1つの独立した収集モジュールに搭載することで、システムの信頼性を向上させる。
【0010】
WCDは着用型機器であり、患者は活動したり運動したりすることができ、様々な複雑な干渉信号が発生する可能性があり、心電解析の誤判定を引き起こし、誤った除細動を避けるために、WCDホストには応答ボタンがあり、VF/VTが検出された場合、ホストは除細動準備の音声プロンプトを再生し、応答ボタンをタイムリーに押して除細動をキャンセルするように患者に促す。患者はVF/VTが発生しておらず、意識清明である場合、応答ボタンをタイムリーに押して除細動をキャンセルすることができる。患者は実際にVF/VTが発生して昏睡状態に陥った場合、WCDは待ち時間の終了後に、除細動を開始して患者を救助する。心電図収集及び解析チャンネルが1つしかないと、VF/VTを誤判定する確率が高くなる可能性がある。この問題を解決するために、除細動モジュールとマスターモジュールの解析結果を相互に参考にすることにより、患者が応答ボタンを押して除細動をキャンセルするのを待つ時間を決定することで、除細動応答の正確性を高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、高い信頼性が求められる除細動放電機能を1つの独立した除細動モジュールに搭載し、高い即時性が求められる心電図収集機能を1つの独立した収集モジュールに搭載することで、システムの信頼性を向上させるということである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、
信号を収集して前記マスターモジュールに送信するとともに、人体の運動を検出する機能及び振動プロンプト機能を有する収集モジュールと、
VF/VT解析アルゴリズムを有し、前記収集モジュールが収集した信号を解析するとともに、前記除細動モジュールの電源を制御することができるマスターモジュールと、
VF/VT解析アルゴリズム及び除細動制御機能を有する除細動モジュールと、
を含むWCDシステムを提供する。
【0013】
さらに、前記収集モジュールは収集MCUを含み、前記マスターモジュールはマスターMCUを含み、前記除細動モジュールは除細動MCUを含み、前記マスターMCUは前記収集MCU、前記除細動MCUに通信可能に接続される。
【0014】
さらに、前記収集MCUは、
患者の心電データを収集し、心電データを前記データ前処理モジュールに送信し、さらなる処理を行うための第1データ収集モジュールと、
心電データに対してソフトウェアフィルタリングなどの前処理を行い、データがVF/VTの解析要件を満たすようにして、前処理された心電データを得るために使用されるデータ前処理モジュールと、
前処理された心電データをマスターMCUに送信するための第1データ通信モジュールとを含む。
【0015】
さらに、前記マスターMCUは、
無線ネットワークデータの送受信を担当する第2データ通信モジュールと、
前記収集MCUから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するための第1心電解析モジュールと、
前記除細動MCUから送信された状態データを処理するために使用される除細動処理モジュールと、
音声プロンプトを再生するためのオーディオモジュールとを含む。
【0016】
さらに、前記除細動MCUは、
除細動プロセスの状態データをマスターMCUに送信するための第3データ通信モジュールと、
除細動電極のゲル放出を制御するためのゲル放出モジュールと、
除細動電極から心電データを収集するための第2データ収集モジュールと、
前記第2データ収集モジュールから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するための第2心電解析モジュールと、
除細動コンデンサの充放電を処理するための充放電モジュールと、を含む。
【0017】
さらに、前記第1データ通信モジュール、前記第2データ通信モジュール及び前記第3データ通信モジュールが接続通信を初期化するステップと、
前記収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップと、
前記マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、前記マスターMCUは前記除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行うステップと、
前記マスターMCUは異なる状態データに応じて対応する処理を行い、治療終了時に除細動MCUをオフにするステップとを含む上記のいずれか1項のWCDシステムに適用されるWCDシステム用の管理方法をさらに提供する。
【0018】
さらに、前記収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップは、
前記第1データ収集モジュールは心電データを収集するステップS110と、
前記データ前処理モジュールは元の心電データに対してフィルタリングなどの前処理を行い、心電データが心電解析の要件を満たすようにするステップS120と、
前記第1データ通信モジュールは前処理された心電データを前記マスターMCUに送信するステップS130とをさらに含む。
【0019】
さらに、前記マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、前記除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行い、異なる状態データに応じて対応する処理を行い、治療終了時に除細動MCUをオフにするステップは、
前記第2データ通信モジュールは収集MCUからの心電データを受信するステップS210と、
前記第1心電解析モジュールは心電データに対してVF/VT検出を行い、VF/VTの発生を検出した場合、除細動MCUを起動するステップS220と、
前記除細動処理モジュールは前記除細動モジュールに通電して、除細動MCUが作動を開始するステップS230と、
前記第2データ通信モジュールは除細動MCUの状態データを受信し、前記除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行うステップS240と、
治療終了を検出すると、除細動MCUをオフにするステップS250とをさらに含む。
【0020】
さらに、前記第2データ通信モジュールが除細動MCUの状態データを受信し、前記除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行う前に、
前記ゲル放出モジュールは除細動電極の接続状態を検出し、接続状態を前記マスターMCUに送信するステップS310と、
前記ゲル放出モジュールはゲルを放出し始め、ゲル放出状態を前記マスターMCUに送信するステップS320と、
ゲルの放出が成功すると、前記第2データ収集モジュールは除細動電極からの心電データを収集するステップS330と、
前記第2心電解析モジュールは正常に収集された心電データに対してVF/VT解析を行い、解析状態をマスターMCUに送信するステップS340と、
解析結果がVF/VT心電図であると、前記充放電モジュールは充電コンデンサを充電し、充電状態をマスターMCUに送信するステップS350と、
充電が成功すると、前記充放電モジュールは前記充電コンデンサを充電し、放電状態をマスターMCUに送信するステップS360とをさらに含む。
【0021】
さらに、前記除細動処理モジュールは前記除細動モジュールに通電し、除細動MCUが作動を開始する前に、
除細動MCUの起動に失敗すると、前記オーディオモジュールによって起動失敗のプロンプトを再生するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明はWCDシステムを提供し、該システムは収集モジュール、マスターモジュール及び除細動モジュールを含み、収集モジュールは信号を収集してマスターモジュールに送信するとともに、人体の運動を検出する機能及び振動プロンプト機能を有し、マスターモジュールはVF/VT解析アルゴリズムを有し、収集モジュールが収集した信号を解析するとともに、除細動モジュールの電源を制御することができ、除細動モジュールはVF/VT解析アルゴリズム及び除細動制御機能を有する。収集モジュールは心電図信号を収集してマスターモジュールに送信し、マスターモジュールは解析して、除細動信号が解析された場合、信号を除細動モジュールに送信し、除細動モジュールは信号を収集しVF/VTを解析し、除細動モジュールとマスターモジュールの解析結果を相互に参考にすることにより、高い信頼性が求められる除細動放電機能を1つの独立した除細動モジュールに搭載し、高い即時性が求められる心電図収集機能を1つの独立した収集モジュールに搭載することで、システムの信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の具体的な構造を詳細に説明する。
図1】本発明のWCDシステムのブロック図である。
図2】本発明の収集モジュールのシステムのブロック図である。
図3】本発明のマスターモジュールのシステムのブロック図である。
図4】本発明の除細動モジュールのシステムのブロック図である。
図5】本発明のソフトウェアのブロック図である。
図6】本発明のマスターMCUソフトウェアのフローチャートである。
図7】本発明のMCU収集ソフトウェアのフローチャートである。
図8】本発明の除細動MCUソフトウェアのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の技術的内容、構造的特徴、達成される目的及び効果を詳細に説明するために、以下、実施形態及び図面と組み合わせて詳しく説明する。
実施例1
【0025】
図1図5に示すように、本発明は、信号を収集してマスターモジュールに送信するとともに、人体の運動を検出する機能及び振動プロンプト機能を有する収集モジュールと、VF/VT解析アルゴリズムを有し、収集モジュールが収集した信号を解析するとともに、除細動モジュールの電源を制御することができるマスターモジュールと、VF/VT解析アルゴリズム及び除細動制御機能を有する除細動モジュールと、を含むWCDシステムを提供する。収集モジュールは独立したボード、即ち収集ボードであり、マスターモジュールと除細動モジュールは一枚のボード、即ちマザーボードを共有し、収集モジュールは、収集電極、第1心電アナログフロントエンド、マスターチップ、振動モータ、運動監視ユニット及びゲル放出制御回路を含み、マスターチップは第1心電アナログフロントエンド、振動モータ、運動監視ユニット、ゲル放出制御回路に接続され、収集電極は第1心電アナログフロントエンドに接続され、振動モータは運動監視ユニットに相互に接続される。収集電極は信号収集用の一般的な導電性電極であり、第1心電アナログフロントエンドは統合された6チャネル心電図収集チップADS1296を採用し、外部回路はシンプルで、低消費電力であり、マスターチップはSTM32L431CCUBを採用し、主に4つの電極信号をリアルタイムで収集し、メインボードに送信して解析し、同時に運動監視ユニットのデータを収集して解析し、振動モータとゲル放出制御回路を制御するために使用され、振動モータは、主にLRAとERM型モータの駆動をサポートする駆動ICを採用し、振動プロンプトに用いられ、運動監視ユニットは、加速度センサICを採用し、機械学習カーネルが内蔵されており、患者の運動を効果的に監視することができ、ゲル放出制御回路は除細動電極の導電性ゲルの放出に用いられ、除細動電極と患者とのより良好な接触を確保し、やけどを防止することができる。マスターモジュールは通信ユニット、第1マスターユニット、音声プロンプトユニットを含み、第1マスターユニットが通信ユニット、音声プロンプトユニットに接続され、マスターモジュールはバッテリーで給電される。通信ユニットは、主に4Gモジュール、GPSモジュール及びブルートゥースモジュールを用いて、測位を行い、収集した心電波形データをサーバにリアルタイムで送信する。第1マスタユニットチップはSTM32L4R5を使用し、VF/VTアルゴリズムが内蔵されており、主に収集ボードが収集した心電図信号を解析し、音声プロンプトユニットは主にスピーカーを使用して、音声プロンプトを行う。除細動モジュールは、除細動電極、除細動回路、エネルギー貯蔵装置、第2心電アナログフロントエンド及び第2マスターユニットを含み、第2マスターユニットは第2心電アナログフロントエンド、除細動回路に接続され、除細動電極は除細動回路、第2心電アナログフロントエンドに接続され、エネルギー貯蔵装置は除細動回路に接続される。除細動電極は特殊な除細動電極を使用し、除細動回路は充放電回路を含み、エネルギー貯蔵装置は主に充電コンデンサであり、第2心電アナログフロントエンドは心電図信号を収集するためのシングルチャネルICを採用し、第2マスターユニットはSTM32L431を使用し、主に除細動電極によって収集された心電図信号を解析し、除細動回路を制御するために使用される。
【0026】
収集ボードはマザーボードから電力が供給され、4つの電極の信号を同時に収集してRS485を介してマザーボードに送信することができるとともに、人体の運動を検出する機能及び振動プロンプト機能を有する。マザーボードはバッテリーが挿入された後動作し続け、マスターモジュールはVF/VT解析アルゴリズムを有し、収集ボードが収集した信号を解析することができるとともに、マスターモジュールは通信機能と音声プロンプト機能を有し、除細動モジュールの電源を制御することができる。除細動モジュールは、除細動制御機能、VF/VT解析アルゴリズムを有する。マスターモジュールが除細動信号を検出すると、除細動モジュールの電源をオンにし、ゲル放出制御回路が導電性ゲルを放出するように収集ボードに通知し、次に除細動モジュールは除細動電極を介して患者に接触し、心電図信号を収集し、VF/VT分析を行う。除細動モジュールとマスターモジュールの解析結果は、相互に参考にして、除細動を行うか否かを判断するために使用できる。除細動信号が確認される場合、除細動モジュールは除細動回路を起動して除細動を完了する。除細動モジュールをオフにすると、電力消費を低減することができ、除細動モジュールは除細動のみを担当し、他の機能の影響を受けないため、信頼性が向上する。
【0027】
さらに、収集モジュールは収集MCUを含み、マスターモジュールはマスターMCUを含み、除細動モジュールは除細動MCUを含み、マスターMCUは収集MCU、除細動MCUに通信可能に接続される。
【0028】
さらに、収集MCUは、第1データ収集モジュール、データ前処理モジュール及び第1データ通信モジュールを含み、第1データ収集モジュールは、患者の心電データを収集し、心電データをデータ前処理モジュールに送信し、さらなる処理を行うために使用され、データ前処理モジュールは、元の心電データに対してソフトウェアフィルタリングなどの前処理を行い、データがVF/VTの解析要件を満たすようにして、前処理された心電データを得るために使用され、第1データ通信モジュールは、主にRS485の送受信を担当し、主に前処理された心電データをマスターMCUに送信するために使用される。
【0029】
さらに、マスターMCUは、第2データ通信モジュール、第1心電解析モジュール、除細動処理モジュール及びオーディオモジュールを含み、第2データ通信モジュールは、収集MCU通信と除細動MCU通信を含み、主にRS485データの送受信を担当し、第1心電解析モジュールは、収集MCUから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するために使用され、除細動処理モジュールは除細動MCUから送信された状態データを処理するために使用され、オーディオモジュールは警告音声などを含む音声プロンプトを再生するために使用される。
【0030】
さらに、除細動MCUは、第3データ通信モジュール、ゲル放出モジュール、第2データ収集モジュール、第2心電解析モジュール及び充放電モジュールを含み、ゲル放出モジュールは除細動電極のゲル放出を制御するために使用され、第2データ収集モジュールは除細動電極から心電データを収集するために使用され、第2心電解析モジュールは第2データ収集モジュールから送信された心電データを解析し、VF/VTが発生するか否かを判断するために使用され、充放電モジュールは除細動コンデンサの充放電を処理するために使用され、第3データ通信モジュールはRS485のデータの送受信を担当し、除細動プロセスの状態データをマスターMCUに送信するために使用される。
【0031】
さらに、マスターMCUはボタン処理モジュールを含み、第1心電解析モジュール又は第2心電解析モジュールがVF/VTの発生を検出した場合、オーディオモジュールは、応答ボタンを押して除細動をキャンセルするように患者に促し、例えば20秒などの期間T1の間待ち、患者が応答ボタンをタイムリーに押さないと、除細動モジュールの電源をオンにして患者に除細動を行い、患者が応答ボタンをタイムリーに押すと、除細動はキャンセルされる。第1心電解析モジュールと第2心電解析モジュールがVF/VTの発生を同時に検出した場合、患者が応答ボタンを押すまでの待ち時間は、例えば10秒短縮される。
【0032】
本発明に係るWCDシステムは、高い信頼性が求められる除細動放電機能を1つの独立した除細動モジュールに搭載し、高い即時性が求められる心電図収集機能を1つの独立した収集モジュールに搭載することで、システムの信頼性を向上させる。除細動モジュールとマスターモジュールの解析結果を相互に参考にすることにより、患者が応答ボタンを押して除細動をキャンセルするのを待つ時間を決定することで、除細動応答の正確性を高める。
実施例2
【0033】
図6図8に示すように、本発明は、上記実施例1のWCDシステムに適用されるWCDシステム用の管理方法をさらに提供し、該方法は、
第1データ通信モジュール、第2データ通信モジュール及び第3データ通信モジュールが接続通信を初期化するステップと、
収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップと、
マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、マスターMCUは除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行うステップと、
マスターMCUは異なる状態データに応じて対応する処理を行い、治療開始時に除細動MCU作動プロセスを開始し、治療終了時に除細動MCU作動プロセスを終了するステップとを含み、
ここで、第1データ通信モジュール、第2データ通信モジュール及び第3データ通信モジュールが接続通信を初期化するステップは主に、第2データ通信モジュールが収集MCUのRS485通信接続を初期化し、収集MCUのデータを収集することと、第1データ通信モジュールがマスターMCUのRS485通信を初期化し、心電データをマスターMCUに送信することと、第3データ通信モジュールがマスターMCUのRS485通信を初期化し、状態データをマスターMCUに送信することとを含む。
【0034】
さらに、収集MCUは心電データを収集し、処理解析を行うステップは、
第1データ収集モジュールはADS1296チップからの心電データを収集するステップS110と、
データ前処理モジュールは元の心電データに対してフィルタリングなどの前処理を行い、心電データが心電解析の要件を満たすようにするステップS120と、
第1データ通信モジュールは前処理された心電データをマスターMCUに送信するステップS130とをさらに含む。
【0035】
さらに、マスターMCUは心電データを受信し、VF/VT検出を行い、除細動MCUの状態データを受信して処理し、解析処理を行い、異なる状態データに応じて対応する処理を行い、治療開始時に除細動MCU電源をオンにし、治療終了時に除細動MCUをオフにするステップは、
第2データ通信モジュールは収集MCUからの心電データを受信するステップS210と、
第1心電解析モジュールは収集MCUからの心電データに対してVF/VT検出を行い、VF/VTの発生を検出した場合、除細動MCUを起動し、除細動MCUの作動プロセスを開始し、検出されていない場合、ステップS210に進むステップS220と、
除細動処理モジュールはマザーボード上の除細動モジュールに通電して、除細動機能を起動し、除細動MCUが作動を開始するステップS230と、
第2データ通信モジュールは除細動MCUのRS485通信接続を初期化し、除細動MCUからのデータを受信し、第2データ通信モジュールはゲル放出状態、心電解析状態、充放電状態などを含む除細動MCUの状態データを受信し、除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行い、例えば、ゲルが放出されていると、オーディオモジュールによって「ゲル放出中」という音声を再生し、心電解析が行われていると、オーディオモジュールによって「心電解析中」という音声を再生し、充電していると、オーディオモジュールによって「充電中」という音声を再生するステップS240と、
治療終了を検出すると、除細動MCUをオフにする。除細動処理モジュールはマザーボード上の除細動モジュールの電源をオフにし、除細動MCUが作動を停止するステップS250とをさらに含む。
【0036】
さらに、第2データ通信モジュールが除細動MCUの状態データを受信し、除細動処理モジュールを介して受信した状態データに対して対応する処理を行う前に、
ゲル放出モジュールは除細動電極の接続状態を検出し、第3データ通信モジュールを介して接続状態をマスターMCUに送信するステップS310と、
除細動電極の接続が良好であることが検出されると、ゲル放出モジュールはゲルを放出し始め、第3のデータ通信モジュールを介してゲル放出状態をマスターMCUに送信するステップS320と、
ゲルの放出が成功すると、第2データ収集モジュールは除細動電極からの心電データを収集するステップS330と、
第2心電解析モジュールは正常に収集された心電データに対してVF/VT解析を行い、第3データ通信モジュールを介して解析状態をマスターMCUに送信するステップS340と、
解析結果がVF/VT心電図であると、充放電モジュールは充電コンデンサを充電し、充電状態をマスターMCUに送信し、そうでなければ、S320に進むステップS350と、
充電が成功すると、充放電モジュールは充電コンデンサを充電し、放電状態をマスターMCUに送信し、放電が成功した後S320に進むステップS360とをさらに含む。
【0037】
さらに、除細動処理モジュールは除細動モジュールに通電し、除細動MCUが作動を開始する前に、
除細動MCUの起動に失敗すると、オーディオモジュールによって起動失敗のプロンプトを再生するステップをさらに含む。
【0038】
さらに、マスターMCUはボタン処理モジュールを含み、第1心電解析モジュール又は第2心電解析モジュールがVF/VTの発生を検出した場合、オーディオモジュールは、応答ボタンを押して除細動をキャンセルするように患者に促し、例えば20秒などの期間T1の間待ち、患者が応答ボタンをタイムリーに押さない場合、除細動モジュールの電源をオンにして患者に除細動を行い、患者が応答ボタンをタイムリーに押すと、除細動はキャンセルされる。第1心電解析モジュールと第2心電解析モジュールがVF/VTの発生を同時に検出した場合、患者が応答ボタンを押すまでの待ち時間は、例えば10秒短縮される。
【0039】
以上をまとめると、本発明に係るWCDシステムは、高い信頼性が求められる除細動放電機能を1つの独立した除細動モジュールに搭載し、高い即時性が求められる心電図収集機能を1つの独立した収集モジュールに搭載することで、システムの信頼性を向上させる。除細動モジュールとマスターモジュールの解析結果を相互に参考にすることにより、患者が応答ボタンを押して除細動をキャンセルするのを待つ時間を決定することで、除細動応答の正確性を高める。
【0040】
ここで、第1、第2...は、その名称の違いを表すだけであり、重要度及び位置が異なることを表すものではない。
【0041】
ここで、上、下、左、右、前、後は、その絶対位置ではなく相対位置のみを表す。
【0042】
以上は、本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面の内容を利用して実現した等価構造又は等価変換フロー、又は他の関連する技術分野における直接又は間接的な応用は、全て同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8