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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】コネクタ及び一対のコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20240402BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/64
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019226210
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021096919
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】鷲埜 清
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 英也
(72)【発明者】
【氏名】井本 大蔵
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-331929(JP,A)
【文献】特開平7-326440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 13/64
H01R 13/533
H01R 13/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数または複数のコンタクトと、前記コンタクトが収容されるハウジングとを有するコネクタと、
前記ハウジングの外部に露出される前記コンタクトの先端部がそれぞれ挿入される挿入孔を有するロケータを有し、
前記コンタクトに、前記ハウジングから前記ロケータに向かう第1の方向に対して傾いた傾斜面を有するテーパ部が設けられ、
前記ロケータの前記挿入孔内に、前記テーパ部に前記第1の方向と交差する方向に荷重をかけるランスが設けられたコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトが板状形状を有し、前記コンタクトの先端部と前記ハウジングとの間の前記板状形状の両側縁に、前記第1の方向に沿って前記第1の方向と交差する方向の幅を漸次減少または増加させる一対の前記テーパ部が設けられ、
前記ランスは、前記一対のテーパ部にそれぞれ内側方向に荷重をかける一対のランスを有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
単数または複数のコンタクトと、前記コンタクトが収容されるハウジングとを有するコネクタと、
前記ハウジングの外部に露出される前記コンタクトの先端部がそれぞれ挿入される挿入孔を有するロケータを有し、
前記ハウジングの側面から前記ロケータ側に突出する板状部材を有し、前記板状部材の両側縁に、前記ハウジングから前記ロケータに向かう第1の方向に沿って前記第1の方向と交差する方向の幅を漸次減少させる一対のテーパ部が設けられ、
前記ロケータの側面に設けられ、前記一対のテーパ部それぞれに前記第1の方向と交差する内側方向に荷重をかける一対のランスが設けられたコネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の第1のコネクタと、
前記コンタクトが挿入される嵌合孔を有し、前記コンタクトが前記嵌合孔に挿入されて前記コネクタと嵌合する第2のコネクタを有し、
前記第1のコネクタが前記第2のコネクタに嵌合するとき、前記ランスから前記テーパ部への接圧により前記ロケータが前記第2のコネクタ側または前記第1のコネクタ側に押し付けられる、一対のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び一対のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、絶縁材料のハウジングとハウジングに装着された単数または複数のコンタクトを有する。コネクタは、電気配線が形成された配線基板の電極にコンタクトが接続されて実装される基板実装用コネクタや、電気配線にコンタクトが接続されるコネクタなど種々のタイプのコネクタがある。
【0003】
また、コネクタは、オス側コネクタとメス側コネクタを嵌合して、例えば基板間を接続するタイプや、基板と電気配線間を接続するタイプや、電気配線間を接続するタイプなど、種々のタイプがある。オス側コネクタはプラグとメス側コネクタはリセプタクルとそれぞれ称される。例えば、オス側コネクタがメス側コネクタに嵌合され、オス側コネクタのコンタクトがメス側コネクタのコンタクトに接触し、両コネクタのコンタクトが電気的に接続される。
【0004】
更に、配線基板に実装されるコネクタは、コネクタに設けた単数または複数のコンタクトが、配線基板の電極孔に挿入されハンダ付けされまたは電極に載置されハンダ付けされ、配線基板の電極に電気的に接続される。
【0005】
コネクタに設けられた単数または複数のコンタクトは、コネクタが実装される相手の構造やコネクタが嵌合される相手の構造などに起因して、様々な長さに設計される。特に、コネクタの外部に露出されるコンタクトが長い場合やコンタクトが細い場合、コンタクトの変形防止や、コネクタ接続時のコンタクト先端の位置ずれを抑制(位置規制)する目的で、露出されたコンタクトの先端にロケータを取り付けることが行われる。ロケータが取り付けられたコネクタについては、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-320703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロケータ付きコネクタでは、ロケータの挿入孔にコネクタのコンタクトを挿入して、コンタクトの変形防止や位置ずれ抑制を行う。しかしながら、上記特許文献1では、ロケータに設けられた凸部がコネクタの凹部に係合してロケータがコネクタに取り付けられるが、コネクタを基板に実装するときのコンタクトの位置合わせを考慮して、ロケータの凸部とコネクタの凹部との間に隙間がある。この隙間により、コネクタを基板に実装した後、基板の振動などによりロケータが移動し振動音が発生し、好ましくない。
【0008】
そこで、本実施の形態の第1の側面の目的は、コネクタ接続後にロケータの移動が抑制されるロケータ付きのコネクタ及び一対のコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の第1の側面は、単数または複数のコンタクトと、前記コンタクトが収容されるハウジングとを有するコネクタと、前記ハウジングの外部に露出される前記コンタクトの先端部がそれぞれ挿入される挿入孔を有するロケータを有し、前記コンタクトまたはハウジングに、前記ハウジングから前記ロケータに向かう第1の方向に対して傾いた傾斜面を有するテーパ部が設けられ、前記ロケータに、前記テーパ部を前記第1の方向と交差する方向に荷重をかけるランスが設けられたコネクタである。
【発明の効果】
【0010】
第1の側面によれば、コネクタ接続後にロケータの移動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態におけるロケータ付きコネクタの断面を含む構成を示す第1の方向から見た斜視図である。
図2】第1の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクル側のコネクタの構成を示す第2の方向から見た斜視図である。
図3】プラグコネクタ1のコンタクト先端部11Aがリセプタクルコネクタ3の嵌合孔31に挿入し始めた状態を示す斜視図である。
図4】プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ3に嵌合した状態を示す斜視図である。
図5】プラグコンタクトのテーパ部11Dとロケータ2のランス22との関係を示す図である。
図6】第1の実施の形態の変形例を示す図である。
図7】第2の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクルコネクタの構成例を示す図である。
図8】第3の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクルコネクタの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態におけるロケータ付きコネクタの断面を含む構成を示す第1の方向から見た斜視図である。図2は、第1の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクル側のコネクタの構成を示す第2の方向から見た斜視図である。図2(1)はロケータ付きコネクタとリセプタクル側のコネクタの外観を示し、図2(2)はそれらコネクタの断面を含む外観を示す。図1図2を参照して、ロケータ付きコネクタの構成について説明する。
【0013】
ロケータ付きコネクタは、プラグコネクタである第1のコネクタ1と、第1のコネクタ1に設けられたコンタクト11のコンタクト先端部11Aに装着されたロケータ2とを有する。図1図2の例では、プラグコネクタである第1のコネクタ1(以下、プラグコネクタと称する。)が第1の配線基板4に実装されている。また、プラグコネクタ1のコンタクト先端部11Aは、リセプタクルコネクタである第2のコネクタ3(以下、リセプタクルコネクタと称する。)の嵌合孔31に差し込まれ、プラグコネクタ1とリセプタクルコネクタ3が嵌合される。
【0014】
プラグコネクタ1は、プラグコンタクト11と、プラグコンタクトが収容されるプラグハウジング10とを有する。本実施の形態では、一例としてプラグコネクタ1には2本のプラグコンタクト11が装着されているが、1本のプラグコンタクト11が装着されていてもよい。プラグハウジング10は、略直方体の外観を有し、2本のプラグコンタクト11が挿入されるコンタクト挿入孔13を有する。
【0015】
プラグコンタクト11のコンタクト先端部11Aにロケータ2が装着される。ロケータ2は、コンタクト先端部11Aが挿入される挿入孔21を有するロケータ2を有する。ロケータ2は、2本のプラグコンタクト11のプラグハウジング10の外側に露出する部分が鉛直方向に長いため、プラグコンタクト11の変形を抑止し、コンタクト先端部11Aのブレによりリセプタクルハウジング30の嵌合孔31への位置合わせが困難になるのを抑止する。
【0016】
プラグコンタクト11は、図示されるとおり板状形状を有し、前述のコンタクト先端部11Aに加えて、第1の配線基板4の電極孔41に挿入されハンダ付けされるコンタクト実装片11Bを有する。さらに、プラグコンタクト11は、プラグハウジング10のコンタクト挿入孔13に挿入されるハウジング挿入部11Gを有する。
【0017】
プラグハウジング10とロケータ2との間のプラグコンタクト11は、板状形状を有し、プラグハウジングからロケータに向かう第1の方向に対して傾いた傾斜面を有するテーパ部11Dを有する。
【0018】
テーパ部11Dは、望ましくは、前記第1の方向に沿って、またはプラグコンタクト11の長手方向に沿って、第1の方向または長手方向と交差する方向、望ましくは直行する方向の幅11Eが漸次変化する。
【0019】
具体的には、板状形状の両側縁11Cそれぞれに設けられた左右対称形状の一対のテーパ部11Dにより、前述の第1の方向または長手方向と直行する方向の板状形状の幅11Eが、プラグハウジング10からロケータ2に向かって漸次減少する。テーパ部11Dは、図1図2の例では、前記第1の方向または長手方向に対して傾いた直線状の傾斜面を有するが、必ずしも直線状である必要はなく、緩やかな曲線状の傾斜面でもよい。緩やかな曲線状の傾斜面は、板状形状の幅11Eの減少割合が増加するような傾斜面でもよい。
【0020】
また、プラグコンタクト11は、コンタクト先端部11A近傍に、板状形状の両側縁それぞれに設けられた一対の切り欠き部11Fを有する。
【0021】
一方、ロケータ2は、コンタクト先端部11Aがそれぞれ挿入される一対の挿入孔21を有し、一対の挿入孔21内には、それぞれ、左右対象の一対のランス22が設けられる。一対のランス22は、ロケータ2から突出して、板状形状のプラグコンタクト11の両側縁を、両側縁から内側に向かう前述の長手方向と交差する方向、望ましくは直行する方向に荷重をかける形状を有する。
【0022】
図1,2の状態では、ロケータ2内の一対のランス22の先端は、プラグコンタクト11の先端部11Aに近い両側縁に設けられた切り欠き部11Fに係合し、ロケータ2がプラグコンタクト11から落下しないようにされている。また、ランス22のプラグコンタクト11の両側縁11Cへの前述の長手方向と交差する方向の接圧は、ランス22が切り欠き部11Fとテーパ部11D以外の両側縁11Cに荷重をかけている状態で、ロケータ2がプラグコンタクト11から落下しない程度の強さに設定される。
【0023】
リセプタクルコネクタ3は、コンタクト先端部11Aがそれぞれ挿入される一対の嵌合孔31を有するリセプタクルハウジング30を有し、リセプタクルハウジング30には、一対のリセプタクルコンタクト32が装着される。リセプタクルコンタクト32は、嵌合孔31内に位置するコンタクトバネ部材32Aを有し、コンタクト先端部11Aが嵌合孔31に挿入されたとき、コンタクトバネ部材32Aがバネ力によりコンタクト先端部11Aに荷重をかけて接した状態にされて、電気的接触が形成される。
【0024】
上記のプラグハウジング10,ロケータ2及びリセプタクルハウジング30は、例えば、樹脂などの絶縁性材料を一体成型することで制作される。
【0025】
本実施の形態では、例えば、プラグコネクタ1は電源用のコネクタであり、2本のプラグコンタクト11は、第1の配線基板4に形成されたグランド用電極と電源用電極(共に図示せず)にそれぞれ接続される。また、リセプタクルコネクタ3も電源用のコネクタであり、2本のリセプタクルコンタクト32は、第2の配線基板5に形成されたグランド用電極と電源用電極(共に図示せず)にそれぞれ接続される。例えば、第1の配線基板4には電源回路デバイスが実装され、その電源回路デバイスが出力するグランド電圧及び電源電圧が、両コネクタ1,3を経由して第2の配線基板5に実装された電子回路デバイスに供給される。
【0026】
図2は、第1の配線基板4に実装されたロケータ付きコネクタ1を、第2の配線基板5に実装されたリセプタクルコネクタ3に嵌合(プラグイン)するために、コンタクト先端部11Aをリセプタクルコネクタ3に近づけた状態を示している。
【0027】
一方、図3は、プラグコネクタ1のコンタクト先端部11Aがリセプタクルコネクタ3の嵌合孔31に挿入し始めた状態を示す斜視図である。図3では、プラグハウジング10とロケータ2とリセプタクルハウジング30の断面が現れている。
【0028】
図2に示したロケータ2のランス22がプラグコンタクト11の切り欠き部11Fに係合していた状態から、プラグコネクタ1をリセプタクルハウジング30に近づけると、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の上端に達し、図3に示されるように、ロケータのランス22が切り欠き部11Fから外れる。そして、コンタクト先端部11Aがリセプタクルコネクタ3の嵌合孔31に挿入し、リセプタクルコンタクト32のコンタクトバネ部材32Aに接触する。
【0029】
図4は、プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ3に嵌合した状態を示す斜視図である。図4(1)はプラグコネクタとリセプタクルコネクタの嵌合状態の外観を示し、図4(2)は嵌合状態の両コネクタの断面を含む外観を示す。
【0030】
本実施の形態では、プラグコンタクト11のハウジング挿入部11Gとコンタクト先端部11Aとの間の両側縁11Cに一対のテーパ部11Dを有する。プラグコネクタ1をリセプタクルコネクタ3に嵌合する動作過程で、ロケータ2の一対のランス22は、プラグコンタクト11の両側縁11Cに両端側から内側に向かって接圧(接触圧力)をかけながら両側縁11C上を移動し、やがて、一対のテーパ部11Dに達する。さらに、一対のランス22は、一対のテーパ部11Dに内側に向かって接圧をかけながらテーパ部上を移動する。
【0031】
図5は、プラグコンタクトのテーパ部11Dとロケータ2のランス22との関係を示す図である。前述のとおり、ロケータ2の一対のランス22は、プラグコンタクト11の両側縁の一対のテーパ部11Dに対して、プラグコンタクト11の長手方向に交差する、望ましくは直行する方向11Eに接圧F1を印加する。テーパ部11Dは、図中水平方向との角度θが90°未満と前述の長手方向に対して傾いた端面であり、垂直方向の矢印6の方向に沿ってプラグコンタクト11の横幅が漸次小さくなる形状を有する。そのため、テーパ部11Dにかけられた接圧F1に起因して、ランス22が設けられたロケータ2は、リセプタクルハウジング30の天面に押し付けられる。ロケータ2は、リセプタクルハウジング30への押付力F2を、ランス22がテーパ部11D上を移動する間、常に受け続ける。
【0032】
図4に示されるとおり、プラグコンタクト11のコンタクト先端部11Aがリセプタクルハウジング30の最下面に達した両コネクタの嵌合状態で、ランス22はテーパ部11Dのいずれかの位置に接圧F1を印加している。そのため、嵌合状態でも、ロケータ2はリセプタクルハウジング30の天面に押し付けられる。これにより、両コネクタが嵌合状態で、ロケータ2とリセプタクルコネクタ3との間の隙間がなくなり、ロケータ2がプラグコンタクト11に沿って上下方向に振動することが抑制され、嵌合状態の振動音が抑制される。
【0033】
上記のとおり、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の天面に押し付けられるので、図4の両コネクタが嵌合した状態では、プラグハウジング10とロケータ2との間に隙間がある状態となる。
【0034】
本実施の形態例において、プラグコンタクト11の長手方向の所定の長さに渡りテーパ部11Dを設けることで、第1の配線基板4と第2の配線基板5との距離Lに所定のマージンをもたせることができる。すなわち、第1の配線基板4と第2の配線基板5が、図示しない装置内に取り付けられる等の場合、基板間の距離Lには設計値に対する多少のズレが生じる。このような距離Lのズレが発生しても、両コネクタの嵌合状態で、ロケータ2のランス22が所定長さのテーパ部11Dのいずれかの位置で接圧F1を印加するため、ロケータ2をリセプタクルハウジング30の天面に押し付けることができる。
【0035】
また、両コネクタを嵌合するときのロケータ2のプラグコンタクト11上の移動距離を、プラグコンタクト11のテーパ部11Dの位置と長さで調整できるので、様々な基板間の距離Lに対応することができる。
【0036】
[第1の実施の形態の変形例]
図6は、第1の実施の形態の変形例を示す図である。図6の変形例では、プラグコンタクト11に設けられた一対のテーパ部11Dが、プラグコンタクト11の長手方向と交差する、望ましくは直行する方向の幅が、長手方向の下方向に向かって漸次増大する形状である。つまり、一対のテーパ部11Dの形状が、図1乃至図4で示した形状とは上下逆である。
【0037】
このように、プラグコンタクト11に設けた一対のテーパ部11Dの形状が図1乃至図4の形状と上下逆の場合、両コネクタの嵌合動作中にランス22がテーパ部11Dに達すると、一対のランス22による一対のテーパ部11Dへの水平方向の接圧により、ロケータ2はプラグハウジング10の底面に押し当てられる。その結果、両コンタクトが嵌合した状態で、ロケータ2はプラグハウジング10の底面に押し当てられ、両ハウジングの間の隙間はなくなり、嵌合状態でロケータ2が振動することが抑制される。
【0038】
上記のとおりであるので、図6の嵌合状態では、ロケータ2とリセプタクルコネクタ3との間に隙間が生じる。したがって、両基板4、5間の距離Lの設計値からのズレは、所定長さのテーパ部により許容され、ロケータ2とリセプタクルコネクタ3との間の隙間に吸収される。
【0039】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクルコネクタの構成例を示す図である。図7(1)は、プラグコネクタ1とリセプタクルコネクタ3とを嵌合開始の状態を示す斜視図であり、図7(2)は、両コネクタが嵌合した状態を示す斜視図である。
【0040】
本実施の形態では、プラグハウジング10の側面からロケータ2側に突出し、テーパ部12Dを有する板状部材12がプラグハウジングに設けられる。テーパ部12Dは、板状部材12の両側縁に、プラグハウジング10からロケータ2に向かう第1の方向に沿って、第1の方向と交差する、望ましくは直行する方向の幅を漸次減少させる一対のテーパ部である。一方、ロケータ2の側面にテーパ部12Dに荷重をかけるランス22が設けられる。ランス22は、テーパ部12Dの両側縁を内側に荷重をかける一対のランスを有する。
【0041】
図7の例では、プラグハウジング10の正面側と背面側の側壁に、プラグハウジング10からロケータ側に突出する一対の板状部材12が形成される。一方、前記一対の板状部材12に対応するロケータ2の正面側及び背面側の側壁に、それぞれ一対のランス22がロケータ2から突き出るように形成される。プラグハウジング10には、正面側と背面側の側壁の2本のプラグコンタクト11の間に、一対のテーパ部を有する板状部材12が設けられる。同様に、ロケータ2には、正面側と背面側の側壁の2本のプラグコンタクト11の挿入孔の間に、一対のランス22が設けられる。
【0042】
プラグハウジング10の一対の板状部材12は、プラグハウジング10の左右の側面に設けられ、それに対応して、ロケータ2の一対のランス22は、ロケータ2の左右の側面に設けられてもよい。また、1個の板状部材12とそれに対応する1個のランス22が設けられる構成でもよい。
【0043】
本実施の形態では、図7(1)の状態から図7(2)の状態に向かって、プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ3に嵌合される過程で、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の天面に達した後プラグハウジング10の方向に移動し、板状部材のテーパ部12Dがランス22の間に挿入する。その結果、左右一対のランス22がテーパ部12Dの両側縁を内側に向かって荷重をかけ、先端に向かって細くなるテーパ部12Dの形状とランス22の接圧とにより、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の天面に押し付けられる。
【0044】
そして、プラグコンタクト11の先端部11Aがリセプタクルハウジングの最下点に達して嵌合状態となり、ランス22が板状部材12のテーパ部12Dを接圧し続け、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の天面に押し付けられ、両者の間の隙間はなくなる。これにより、嵌合状態で、ロケータ2が振動することが抑制され、振動音の発生が抑制される。
【0045】
本実施の形態の場合も、プラグハウジング10に形成した板状部材12のテーパ部12Dの長さを適切に調整することで、第1の配線基板4と第2の配線基板5との間の距離が設計値からずれても、ランス22がテーパ部12Dのいずれかの位置で嵌合状態になり、ロケータ2がリセプタクルコネクタ3に押し付けられる状態にすることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、プラグコンタクト11にテーパ部を形成する必要がないので、プラグコンタクト11を細くすることができる。第1の実施の形態のように、プラグコンタクト11を板状形状にする必要はない。
【0047】
[第3の実施の形態]
図8は、第3の実施の形態におけるロケータ付きコネクタとリセプタクルコネクタの構成例を示す図である。本実施の形態では、プラグハウジング10やプラグコンタクト11にはテーパ部は形成されておらず、ロケータ2の側面からプラグハウジング10に向かってランス22が形成される。このランス22は、例えば、ロケータ2の正面側と背面側にランス先端が左右対称になるように形成されていてもよい。
【0048】
本実施の形態の場合、図示されるように、プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ3に嵌合された状態で、ロケータ2に形成されたランス22が、プラグハウジング10の底面に荷重をかけて、ロケータ2がリセプタクルハウジング30の天面に押し付けられる。その結果、ロケータ2がプラグコンタクトに沿って振動することが抑制され、ロケータの振動音の発生が抑制される。
【0049】
ロケータ20形成するランス22は、図8と異なり、ロケータ2の側面からリセプタクルハウジングに向かって形成されてもよい。その場合、ランス22は、両コネクタを嵌合した状態で、ロケータ2をプラグコネクタ1の底面に押し付けることになる。
【0050】
また、ロケータ2に形成するランス22は、ロケータの左右の側面の一方または両方に形成してもよい。
【0051】
第3の実施の形態のロケータ付きコネクタは、例えば、以下のようにまとめることができる。
[第3の実施の形態]単数または複数のコンタクトと、前記コネクタが収容される第1のハウジングとを有するコネクタと、
前記第1のハウジングの外部に露出される前記コンタクトの先端部がそれぞれ挿入される挿入孔を有するロケータを有し、
前記ロケータの第2のハウジングの側面に、前記第1のハウジングの底面にまたは前記コネクタと嵌合する嵌合先コネクタの第2のハウジングの天面に荷重をかけるランスが設けられたコネクタ。
【0052】
以上、第1乃至第2の本実施の形態によれば、プラグコネクタのコンタクトにテーパ部が設けられ、ロケータにランスが設けられ、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合したとき、ランスがコンタクトのテーパ部に荷重をかけて、ロケータをリセプタクルコネクタのハウジング側またはプラグコネクタのハウジング側に押し付ける。これによりコネクタを嵌合した状態でロケータの振動を抑制し、振動音の発生を抑制できる。
【0053】
また、第3の実施の形態によれば、ロケータの側面からプラグコネクタに突出するランスまたは、リセプタクルコネクタに突出するランスを設ける。これによりコネクタを嵌合した状態でロケータの振動を抑制し、振動音の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
1:第1のコネクタ(プラグコネクタ) 10:プラグハウジング
11:プラグコンタクト 11A:コンタクト先端部
11B:コンタクト実装片 11C:両側縁 11D:テーパ部
11E:長手方向に交差する方向 11F:切り欠き部
11G:ハウジング挿入部
12:板状部材 12D:テーパ部 13:コンタクト挿入孔
2:ロケータ 21:挿入孔 22:ランス
3:第2のコネクタ(リセプタクルコネクタ) 30:リセプタクルハウジング
31:嵌合孔 32:リセプタクルコンタクト 32A:コンタクトバネ部材
4:第1の配線基板 41:電極孔 5:第2の配線基板
F1:接圧 F2:押し付け力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8