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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240402BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240402BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240402BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/16 D
G08G1/04 D
H04N7/18 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022160487
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】522390870
【氏名又は名称】株式会社CCT
(74)【代理人】
【識別番号】100132517
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聡
(72)【発明者】
【氏名】手塚 新作
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-527542(JP,A)
【文献】特開2008-146579(JP,A)
【文献】特開2020-009215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/00-99/00
G01C21/00-21/36
B60W10/00-10/30
B60W30/00-60/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路と当該道路の周辺の状況との画像を撮像する撮像部と、
前記画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、
天候が良好なときに前記撮像部で撮像された前記画像を表す第1画像を記憶する記憶部と、
表示部と、
天候が不良のときに前記撮像部で撮像された前記画像を表す第2画像と、前記第1画像とを、前記車両の位置に応じて前記表示部に同時に表示させる制御部と、を有し、
前記制御部は、前記車両を道路において安全に走行させるガイドの役割を果たす線を示す位置出し線を含む前記第2画像を前記表示部に表示させ、
前記位置出し線は、前記第1画像のうち前記道路の端部を表す線、前記第1画像のうち前記道路の中央に表示された中央分離帯を表す中央線、及び前記第1画像のうち前記道路の走行車線を分離する分離線の少なくともいずれに対応する線であって、
前記制御部は、前記第2画像を前記表示部に表示させる際に、前記位置出し線を前記第2画像に重畳して表示させる
表示装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記第1画像を撮像したときに前記位置情報取得部から取得した位置情報を表す第1位置情報を記憶し、
前記制御部は、前記撮像部で前記第2画像が撮像されたときに前記位置情報取得部から取得した位置情報を表す第2位置情報と対応する前記第1位置情報の前記第1画像を前記記憶部から読み出して前記表示部に表示させる、
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第2画像と連動して前記第1画像を表示する
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2位置情報と同一の位置情報を有する前記第1位置情報の前記第1画像を前記表示部に表示させる
請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記第2画像に含まれる前記道路の位置に応じて、前記第1画像を表示する
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両のハンドルの回転方向に応じて、前記位置出し線を前記表示部に表示させる
請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の経路を探索するナビゲーション装置がある。このようなナビゲーション装置として、例えば、未来の天候を推定し、推定した天候が基準天候よりも良い天候の地域内の道路を、基準天候よりも悪い天候の地域内の道路よりも優先して、道路を探索する経路探索システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-36178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、道路が埋没するような大雪の状況では、ナビゲーション装置により道路の探索が行われても、車両が道路を走行すること自体が困難である。特に夜間に車両が走行する場合は、周囲の状況が全くわからない場合もある。
【0005】
そこで、本開示は、天候が不良の場合でも、道路を安全に走行できるように車両をサポートする表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、表示装置であって、道路と当該道路の周辺の状況との画像を撮像する撮像部と、画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、天候が良好なときに撮像部で撮像された画像を表す第1画像を記憶する記憶部と、表示部と、天候が不良のときに撮像部で撮像された画像を表す第2画像と、第1画像とを、車両の位置に応じて表示部に同時に表示させる制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、天候が不良の場合でも、道路を安全に走行できるように車両をサポートする表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を表す図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、第1実施形態に係る表示例を表す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図4図4(A)及び図4(B)は、第2実施形態に係る表示例を表す図である。
図5図5(A)及び図5(B)は、第2実施形態に係る表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一又は類似を付すことにより重複説明が省略され得る。
【0010】
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る表示装置100の構成例を表す図である。
【0012】
表示装置100は、車両に取り付けられている。表示装置100は、例えば、ナビゲーション装置内に設けられてもよい。表示装置100は、ナビゲーション装置からの指示により、画像を表示してもよい。
【0013】
図1に示すように、表示装置100は、撮像部110と、位置情報取得部120と、記憶部130と、表示部140と、制御部150とを有する。
【0014】
撮像部110は、制御部150の制御の下、画像を撮像する。撮像部110は、車両前方の画像、特に、道路と当該道路周辺の状況との画像を撮像する。撮像部110は、天候が良好なときの画像を撮像する。また、撮像部110は、天候が不良のときの画像を撮像する。天候な良好なときに撮像された画像を、以下では、第1画像と称する場合がある。また、天候な不良なときに撮像された画像を、以下では、第1画像と称する場合がある。撮像部110は、撮像した画像の画像信号を制御部150へ出力する。撮像部110は、例えば、カメラである。
【0015】
なお、天候が良好とは晴れのときである。天候が良好とは、基準天候よりも良い天候であってもよい。また、天候が不良とは雪又は雨のときである。天候が不良とは、基準天候よりも悪い天候のことであってもよい。
【0016】
位置情報取得部120は、撮像部110で画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報を取得する。位置情報取得部120は、取得した位置情報を、制御部150へ出力する。位置情報取得部120は、例えば、撮像部110で画像を撮像しているときに連動して、車両の位置情報を取得する。すなわち、位置情報取得部120は、天候が良好な場合において撮像部110で第1画像を撮像したときの位置情報を取得する。天候が良好な場合において撮像部110で第1画像を撮像したときに位置情報取得部120で取得した位置情報を、以下では、第1位置情報と称する場合がある。また、位置情報取得部120は、天候が不良な場合において撮像部110で第2画像を撮像したとの位置情報を取得する。天候が不良な場合において撮像部110で第2画像を撮像したときに位置情報取得部120で取得した位置情報を、以下では、第2位置情報と称する場合がある。
【0017】
なお、位置情報取得部120は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部であってもよい。GNSS受信部は、GNSS受信信号を衛星から受信し、受信したGNSS受信信号から位置情報(例えば、緯度、経度、及び/又は高度)を取得してもよい。
【0018】
記憶部130は、制御部150による制御の下、データ又は情報を記憶したり、記憶したデータ又は情報を読み出したりすることができる。記憶部130は、制御部150から出力された第1画像の画像信号と第1位置情報とを記憶する。記憶部130は、第1画像の画像信号と第1位置情報とを紐づけて記憶してもよい。記憶部130は、制御部150により、記憶された第1画像の画像信号と第1位置情報とを適宜読み出すことができる。記憶部130は、メモリであってもよい。
【0019】
表示部140は、制御部150による制御の下、画像を表示する。表示部140は、画像とともに文字情報及び/又は地図情報を表示してもよい。
【0020】
制御部150は、表示装置100の各ブロックを制御する。制御部150は、撮像部110から出力された画像のうち、第1画像(の画像信号)と、第1位置情報とを、記憶部130に出力し、これらの情報を記憶部130に記憶する。
【0021】
また、制御部150は、第2画像の画像信号を撮像部110から受け取り、第2位置情報を位置情報取得部120から受け取ると、以下の処理を行う。すなわち、制御部150は、当該第2位置情報に対応する第1位置情報の第1画像の画像信号を記憶部130から読み出す。すなわち、制御部150は、例えば、撮像部110において、天候が不良な第2画像を撮像しているときに、第2画像を撮像したときに取得した第2位置情報と同一の位置情報(第1位置情報)を有する第1画像の画像信号を、記憶部130から読み出す。これにより、制御部150は、第2画像を撮像部110で撮影しながら、第2画像を撮像したときの車両の位置と同一の位置における第1画像の画像信号を記憶部130から読み出すことができる。そして、制御部150は、第1画像の画像信号と第2画像の画像信号とを表示部140に出力することで、第1画像と第2画像とを車両の位置に応じて同時に表示部140に表示させることができる。
【0022】
図2(A)及び図2(B)は、表示部140に表示される表示画面の例を表す図である。図2(A)は車両が道路の中央を走行しているときの表示画面の例を表し、図2(B)は車両が道路の左車線を走行しているときの表示画面の例を表す。
【0023】
図2(A)及び図2(B)に示すように、表示部140には、第1画像が表示される第1表示領域141と、第2画像が表示される第2表示領域142とを有する。図2(A)及び図2(B)に示す例では、第2表示領域142の方が、第1表示領域141よりも大きい表示面積となっている。第2表示領域142に表示される第2画像は現在の状況を表す画像のため、第1表示領域141の表示面積が大きくなっている。
【0024】
第2表示領域142には、現在、撮像部110で撮像された第2画像が表示される。また、第1表示領域141には、当該第2画像が撮像された位置と同一の位置で天候が良好なときに撮像された第1画像が第1表示領域141に表示される。
【0025】
図2(A)及び図2(B)に示すように、第1表示領域141に表示された第1画像には、車両が走行する道路の脇に設けられたガードレール1410とともに、車両が走行する道路の車線1411が表示される。一方、第2表示領域142には、天候が不良であり、雪が道路を覆っており、どこに道路があるのかもわからない状況の画像が表示されている。
【0026】
車両が除雪車であると仮定する。除雪車の運転手は、現在の画像として、第2表示領域142に表示された画像を見ても、道路を走行しているのかさえわからない状況である。
【0027】
しかし、同じ位置での天候な良好なときの画像が第1表示領域141に表示されているため、運転手は、第1表示領域141に表示された画像を確認することで、現在、道路を走行していているのか否かを把握することができる。
【0028】
しかも、第1表示領域141に表示される第1画像は、現在の車両の位置に応じた画像となっている。図2(A)では、車両が、現在、道路の中央を走行しているため、第1表示領域141に表示される第1画像では、道路の中央を走行している画像が表示される。また、図2(B)に示すように、車両が、現在、道路の左車線を走行しているときは、第1表示領域141には、道路の左車線を走行している第1画像が表示される。
【0029】
このように、表示部140は、第2表示領域142に表示された第2画像と連動して、第1表示領域141に第1画像を表示する。更に、表示部140は、第2画像に含まれる道路の位置に応じて、第1画像を表示する。これにより、除雪車の現在の位置に応じた、天候が良好なときの画像が表示部140に表示される。除雪車を運転する運転手は、現在の道路上の位置を把握することができるため、安全に除雪車を運転し、安全に除雪作業を行うことができる。
【0030】
例えば、天候が良好なときに車両を道路の複数の方向(例えば、道路の右車線、道路の中央、道路の左車線)で走行させて、撮像部110により複数の方向に対応する複数の画像を撮像させて記憶部130に記憶させておく。そして、制御部150は、車両の現在位置(すなわち、天候が不良のときの位置)に対応する位置情報を有する画像(の画像信号)を記憶部130から読み出して表示部140に表示させる。これにより、上述したように、第2画像に含まれる道路の位置に応じた第1画像が表示される。
【0031】
更に、表示部140は、除雪車のハンドルの回転方向に応じて、第1画像を表示することができる。例えば、図2(A)に示すように、車両が道路の中央を走行しているときに、ハンドルの回転方向が反時計方向に回転したときは、図2(B)に示すように、車両が道路の左側に寄った第1画像を表示させることもできる。また、例えば、図2(A)に示すように、車両が道路の中央を走行しているときに、ハンドルの回転方向が時計方向に回転したときは、車両が道路の右側に寄った第1画像を表示させることもできる。これにより、運転手の感覚に合った第1画像が第1表示領域141に表示させることも可能となる。
【0032】
なお、第1表示領域141には、第1画像を撮像したときの時間情報が表示される。図2(A)及び図2(B)に示す例では、時間情報は第1表示領域141の右上に表示されているが、これに限定されず、第1表示領域141内の任意の位置に表示されてもよい。また、時間情報は、第1画像を撮像した年月日に加えて、第1画像を撮像した時刻(何時何分何秒)が表示されてもよい。当該時刻は、分単位まで(何時何分まで)表示されてもよいし、画像フレーム単位まで(何時何分何秒何フレームまで)表示されてもよい。制御部150は、第1画像を撮像するときに、撮像部110から出力される映像信号とともにタイマから取得した時刻情報を記憶部130に記憶する。そして、制御部150は、第1画像を表示部140に表示させる際に、当該映像信号とともに当該時刻情報を記憶部130から読み出すことで、図2(A)に示す第1画像が表示される。なお、時刻情報は、第2表示領域142に表示されてもよい。この場合の時刻情報は現在時刻となる。当該時刻情報には年月日を含んでもよい。
【0033】
時間情報は、現在の時刻(すなわち、天候が良好ではない時)にできるだけ近い時間が望ましい。すなわち、天候が良好な画像は現在時刻にできるだけ近い方が望ましい。天候が良好な画像を撮影する時間から現在時刻まで閾値時間以上離れると、天災や工事などにより、道路の状況が大きく変化する場合もあるからである。
【0034】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0035】
図3は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【0036】
図3に示すように、ステップS10において、制御部150は処理を開始する。
【0037】
ステップS11において、制御部150は、天候が良好なときの画像(第1画像)(の画像信号)と、当該画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報(第1位置情報)とを、記憶部130に記憶する。
【0038】
ステップS12において、制御部150は、撮像部110から、天候が不良のときの画像(第2画像)(の画像信号)を取得し、位置情報取得部120から、当該画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報(第2位置情報)を取得する。
【0039】
ステップS13において、制御部150は、天候が不良のときに取得した位置情報(第2位置情報)と対応する位置情報(第1位置情報)の画像(第1画像)(の画像信号)を記憶部130から読み出す。
【0040】
ステップS14において、制御部150は、撮像部110から取得した画像(第2画像)と、記憶部130から読み出した画像(第1画像)との各画像信号を表示部140に出力する。表示部140は、第1画像を第1表示領域141に表示し、第2画像を第2表示領域142に表示する。
【0041】
そして、ステップS15において、制御部150は、一連の処理を終了する。
【0042】
このように、第1実施形態における表示装置100では、天候が良好なときに撮像部110で撮像された第1画像と、天候が不良のときに撮像部110で撮像された第2画像とを、車両の位置に応じて表示部140に表示させることができる。これにより、例えば、現在の天候が不良のときでも、天候が良好なときの同じ位置を走行する第1画像が表示されるため、車両の運転手は、第1画像を見ながら、車両を道路上に走行させることができる。よって、天候が不良の場合でも、道路を安全に走行できるように車両をサポートする表示装置を提供することができる。
【0043】
(第1実施形態の他の例)
第1実施形態では除雪車を例にして説明したが、車両はこれに限定されない。例えば、車両は緊急車両であってもよい。緊急車両とは、例えば、救急車、消防車、警察車両などの緊急自動車である。
【0044】
また、第1実施形態では、表示部140に表示される表示画面の例として、第2表示領域142の表示面積が第1表示領域141の表示面積よりも大きい例について説明したがこれに限定されない。例えば、第1表示領域141の表示面積の方が、第2表示領域142の表示面積よりも大きくてもよい。また、表示装置100は、第1画像と第2画像の表示部140に表示される面積の大きさを切り替えることも可能である。表示部140は、制御部150からの指示に従って、面積を切り替えるようにしてもよい。或いは、第1表示領域141と第2表示領域142は表示面積が同じであってもよい。
【0045】
更に、第1実施形態で説明した道路は、特定の道路であってもよい。例えば、除雪車が除雪する道路は、車線が複数ある道路であったり、交通量の多い道路であったり、ある特定の道路が除雪対象の道路となっている。除雪車は、例えば、市又は県からの委託業務として使用される場合があり、市又は県からの要請として、ある特定の道路が除雪対象の道路となっているからである。
【0046】
更に、第1実施形態で説明した第1画像は、車両が走行する道路と当該道路周辺の状況が撮像されていればよい。そのため、撮像部110は、車両の前方に向けられることが望ましい。
【0047】
更に、第1実施形態で説明した第1画像には、道路周囲の状況を表すものとして、ガードレール及び車線の例を説明したがこれに限定されない。道路周囲の状況を表すものとして、例えば、道路脇の側溝(又は溝)でもよいし、道路脇の縁石でもよい。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0049】
第2実施形態は、天候が不良である現在の画像(第2画像)において、車両の位置出し用の線を表示させる例である。
【0050】
図4(A)及び図4(B)は、表示部140に表示される表示画面の例を表す図である。図4(A)は車両が道路の左車線を走行しているときの表示画面の例を表し、図4(B)は車両が道路の中央を走行しているときの表示画面の例を表している。
【0051】
図4(A)及び図4(B)に示すように、第2表示領域142において、車両の位置出し用の位置出し線1421が表示される。位置出し線1421は、天候が不良のときに道路に実際に存在するものを撮像部110が撮像したものではなく、例えば、道路の端部を表す線として、第2画像に重畳して表示される線である。位置出し線1421は、天候が良好なときに撮影した道路の端部に描かれている白線1412に対応してもよい。或いは、位置出し線1421は、天候が良好なときに撮影した道路の端部に対応してもよい。道路の端部とは、例えば、アスファルトで形成された道路と土との間の境界線を表す。
【0052】
このように、天候が不良なときの画像(第2画像)において位置出し線1421が第2表示領域142に表示されているため、除雪車を運転する運転手は、雪を除雪するブレード板の位置を、当該位置出し線1421を見ながら、予測することが可能となる。これにより、道路の左端部まで積もった雪を除雪車により適切に除雪することが可能となる。また、位置出し線1421は、道路の左端部を表しているため、運転手が除雪車を道路において安全に走行させるためのガイドにもなっている。従って、位置出し線1421により、除雪車が適切に除雪を行うことができるようになるとともに、道路において除雪車を安全に走行させることが可能となる。
【0053】
なお、位置出し線1421の表示位置も、第1実施形態と同様に、除雪車のハンドルの回転方向に応じて表示される。例えば、図4(A)に示すように、除雪車が道路の中央を走行しているときにおいて、運転手がハンドルを反時計方向に回転させたときは、図4(B)に示すように、位置出し線1421の表示位置も、除雪車が道路の左車線側を走行するのに合わせて表示される。逆に、図4(B)に示すように除雪車が道路の左車線を走行している状態で、運転手がハンドルを時計方向に回転させると、図4(A)に示すように、位置出し線1421の表示位置も、除雪車が道路の中央を走行するのに合わせて表示される。
【0054】
位置出し線1421は、天候が良好なときに撮影した第1画像に基づいて、表示されてもよい。
【0055】
第1に、位置出し線1421は、第1画像に含まれる道路の白線に基づいて表示させるようにしてもよい。例えば、制御部150が記憶部130から第1画像の画像信号を読み出して、当該第1画像を解析(例えば、機械学習を用いた画像解析でもよい)することで、当該第1画像に含まれる白線を認識してもよい。そして、制御部150は、白線を表す画像信号を、当該第1画像の画像信号及び位置情報とともに記憶部130に記憶する。天候不良で車両が走行している際、制御部150は、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する第1画像の画像信号を記憶部130から読み出すとともに、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する白線の画像信号を記憶部130から読み出す。制御部150は、撮像部110で撮像された第2画像の画像信号と白線の画像信号とを表示部140に出力することで、白線を含む第2画像を表示部140に表示させることができる。また、制御部150は、同時に、記憶部130から読み出した第1画像の画像信号を表示部140に出力することで、表示部140には第2画像とともに第1画像を表示させることができる。これにより、例えば、図4(A)に示す画像を表示部140に表示させることができる。
【0056】
第2に、位置出し線1421は、車両に設けられたポールを利用して表示させるようにしてもよい。例えば、車両の左側面前方に鉛直方向に所定長さを有するポールが取り付けられる。天候が良好なときに撮像部110を用いて、周囲の道路状況とともに、ポールも撮影する。制御部150は、撮像部110でポール及び道路周囲の状況を撮影したときの、ポールの下端部、中央部、又は上端部など、ポールの所定部分を、道路の端部(又は白線に相当する部分)の画像(以下では、「端部画像」と称する場合がある。)として、第1画像の画像信号及び位置情報とともに記憶部130に記憶する。そして、天候不良で車両が走行している際に、制御部150は、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する第1画像の画像信号を記憶部130から読み出すとともに、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する端部画像の画像信号を読み出す。制御部150は、撮像部110で撮像された第2画像の画像信号とともに、端部画像の画像信号を表示部140に出力することで、位置出し線1421を含む第2画像を表示部140に表示させることができる。また、制御部150は、同時に、記憶部130から読み出した第1画像の画像信号を表示部140に出力することで、表示部140には第2画像とともに第1画像を表示させることができる。なお、表示部140は、表示領域を調整することで、第1画像に含まれるポールの画像を表示させないようにしてもよい。これにより、例えば、図4(A)に示す画像を表示部140に表示させることができる。
【0057】
第3に、位置出し線1421は、レーザー光を用いて表示させるようにしてもよい。例えば、車両の前方には、道路に向けてレーザー光を照射する照射部を有する。照射部の照射角度は固定でもよい。照射部から照射されたレーザー光を道路の所定領域を照射し、撮像部110は、その反射光を第1画像として撮像することができる。第1画像に含まれる反射光の部分が、位置出し線1421の一部となり得る。複数画像が連続することで、位置出し線用の画像となる。位置出し線用の画像の画像信号が、第1画像及び位置情報とともに記憶部130に記憶される。そして、天候不良で車両が走行している際に、制御部150は、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する第1画像の画像信号を記憶部130から読み出すとともに、位置情報取得部120から取得した位置情報と一致する位置情報を有する位置出し線用の画像の画像信号を読み出す。制御部150は、撮像部110で撮像された第2画像の画像信号とともに、位置出し線用の画像の画像信号を表示部140に出力することで、位置出し線1421を含む第2画像を表示部140に表示させる。また、制御部150は、同時に、記憶部130から読み出した第1画像の画像信号を表示部140に出力することで、表示部140には第2画像とともに第1画像を表示させる。これにより、例えば、図4(A)に示す画像を表示部140に表示させることができる。
【0058】
位置出し線1421は、道路に表示された車線であってもよい。
【0059】
第1に、車線は、道路の中央に表示された中央分離帯を表す中央線でもよい。図5(A)及び図5(B)は、中央線を表す車線1411が位置出し線1422となっている例を表す図である。この場合の位置出し線1422の表示は、上述した白線1412を位置出し線1421とする場合と同様に表示させることが可能である。図5(A)及び図5(B)に示すように、中央線を表す車線1411を位置出し線1422としても、天候が不良な第2画像に位置出し線1422が表示されるため、除雪車を運転する運転手にとって、位置出し線1422を目安に除雪車を走行させることができる。そのため、位置出し線1422によって、除雪車を安全に走行させることが可能となる。
【0060】
第2に、車線は、道路の走行車線を分離する分離線であってもよい。例えば、図5(A)及び図5(B)に示す位置出し線1422が分離線を表してもよい。この場合も、上述した白線の場合と同様に実施可能である。
【0061】
(第2実施形態の他の例)
第1実施形態の他の例として説明したことは、第2実施形態においても適用可能である。
【0062】
第2実施形態では、位置出し線として、道路の端部に表示される位置出し線1421(例えば図4(A)及び図4(B))と、道路の中央(又は走行車線を分離する)に表示される位置出し線1422(例えば図5(A)及び図5(B))とが別々に表示される例について説明したが、これに限定されない。2つの位置出し線1421及び1422が同時に第2画像に表示されてもよい。或いは、2つの位置出し線1421及び1422が、第2画像において切り替えて表示されてもよい。
【0063】
また、第2実施形態では、第1画像から白線を解析するための画像処理が制御部150において行われる例を説明したが、これに限定されない。例えば、当該画像処理は、外部の画像処理装置において行われてもよい。この場合、表示装置100には、外部接続を可能とする外部インターフェースを有してもよい。制御部150の制御により、第1画像の画像信号が記憶部130から読み出されて外部インターフェースを介して、画像処理装置へ送信される。画像処理装置において、第1画像に含まれる白線の画像信号が認識されて、当該画像信号が外部インターフェースを介して、制御部150の制御により、記憶部130に記憶される。以降は第2実施形態と同様に実施可能である。外部インターフェースと画像処理装置との間の通信は、有線でもよいし無線でもよい。
【0064】
[その他の実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態では、車両として、運転手が存在する除雪車又は緊急車両の例を説明したが、これに限定されない。例えば、車両は、運転手が存在しない自動運転車両又は無人車両であってもよい。或いは、車両に代えて、ドローンなどの無人航空機であってもよい。この場合、無人航空機に表示装置100が取り付けられ、表示装置100に無線通信部が含まれてもよい。表示装置100の撮像部110で撮像された第1画像及び第2画像の画像信号が無線通信部を介して、画像処理装置へ送信されてもよい。画像処理装置の表示部に表示された第1画像を操作者が見ながら、天候の良い画像を撮像していることを確認することができる。また、画像処理装置の表示部に表示された第2画像及び第1画像(例えば図4(A)及び図4(B)に示す画像)を操作者が見ながら、無人航空機が道路上を飛行していることを確認することも可能となる。車両は、道路の異常を発見したり、道路の状況を把握したりするパトロール車でもよい。
【0065】
また、例えば、本明細書において説明した装置の1つ以上の構成要素の動作を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。このような記録媒体の一例として、上述した記憶部130がある。
【0066】
また、表示装置100が行う各処理を実行する回路を集積化し、表示装置100の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0067】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各処理、各ステップの全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 :表示装置 110 :撮像部
120 :位置情報取得部 130 :記憶部
140 :表示部 150 :制御部
【要約】
【課題】天候が不良の場合でも、道路を安全に走行できるように車両をサポートする表示装置を提供する。
【解決手段】道路と当該道路周辺の状況との画像を撮像する撮像部と、画像を撮像したときの車両の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、天候が良好なときに撮像部で撮像された画像を表す第1画像を記憶する記憶部と、表示部と、天候が不良のときに撮像部で撮像された画像を表す第2画像と、第1画像とを、車両の位置に応じて表示部に同時に表示させる制御部とを有する表示装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5