(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A61B5/02 310K
A61B5/02 310P
(21)【出願番号】P 2019224716
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 義浩
(72)【発明者】
【氏名】芝 健夫
(72)【発明者】
【氏名】時任 静士
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-177227(JP,A)
【文献】特開昭55-086441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0287923(US,A1)
【文献】国際公開第2015/137251(WO,A1)
【文献】特開平08-075575(JP,A)
【文献】特開2019-010240(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
G01L 1/00-1/26
G01L 3/00-3/26
G01L 5/00-5/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の被検出部位に装着されて
、前記被検者
における血管の圧力変化を伴う生体情報を検出する生体情報検出装置において、
前記被検出部位から前記生体情報の元情報となる前記被検者の
圧力変化を検出する生体センサと、
前記生体センサと接続され、前記生体センサから前記
圧力変化に基づく検出信号を入力
する回路部と、
前記回路部のグランドに接続される導電性のシールド材と、
内側
の中空部分
が前記生体センサの中央部に対応するように配置され、押圧面が前記中央部を囲んだ状態で前記生体センサの縁部近傍を前記被検出部位に向けて押し付ける押圧部と、
前記押圧部に所定の押圧力を付与する固定部と、
を備え、
前記押圧部は、
前記生体センサの少なくとも上面側に配置され、前記固定部により押圧されることで
シールドとして機能する部材で前記被検者に接触して、前記シールド材が前記被検者と導通可能に接続される、
生体情報検出装置。
【請求項2】
前記シールド材は、少なくとも前記生体センサの上面側から下面側に跨って配置されて前記生体センサの下面側の少なくとも一部を覆って配置される、
請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記シールド材は、前記生体センサの下面側における前記被検出部位と対向する検出領域を除いて配置される、
請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記
圧力変化を伝達する伝達材をさらに備え、
前記生体センサは、
前記伝達材の上面に配置される下部電極と、前記下部電極の上側に配置される上部電極と、前記上部電極と前記下部電極との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの
前記圧力変化を検出する圧電センサであり、
前記シールド材は、前記上部電極の上面側から前記伝達材の下面側に跨って配置される、
請求項1~3の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記
圧力変化を伝達する伝達材をさらに備え、
前記生体センサは、
前記伝達材の上面に配置される下部電極と、前記下部電極の上側に配置されて上部電極として機能する前記シールド材と、前記シールド材と前記下部電極との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの
前記圧力変化を検出する圧電センサであり、
前記シールド材は、前記強誘電層の上面側から前記伝達材の下面側に跨って配置される、
請求項1記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記
圧力変化を伝達
し、前記被検者に接触する伝達材をさらに備え、
前記生体センサは、
シールド及び下部電極として機能する前記伝達材と、前記伝達材の上側に配置される上部電極と、前記上部電極と前記伝達材との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの
前記圧力変化を検出する圧電センサであり、
前記シールド材は、前記上部電極の上面側から前記伝達材に連結される、
請求項1に記載の生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の被検出部位から生体情報を検出する生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検者の手首、頭などの被検出部位に取り付けられて、被検者の生体情報(一例として脈波(心拍)、血圧、体温、発汗状態(発汗の有無、発汗量)、体動など)を検出する生体情報検出装置が実用化されている。この生体情報検出装置は、例えば下記特許文献1に開示されるように、被検者の被検出部位に当接するように配置された基板上に設けられた生体センサ(例えば圧電センサ)で基板を介して伝達される被検者の生体情報を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の生体情報検出装置において、例えば被検者の心臓の拍動によって動脈内を流れる血液の圧力変化を「脈波」として検出する場合、一般的に手首、上腕部の体表面が被検出部位となる。
【0005】
しかしながら、従来の生体情報検出装置は、生体情報として検出される値が微小な値であることが多く、心電などの体表面電位や静電気の帯電があると、その電位変動の影響を受けて検出精度が低下するという問題がある。
【0006】
このことから、生体情報検出装置において生体情報の検出精度を高めるためには、ノイズとなり得る電位変動の影響を極力低減させる(又はなくす)ための対策を講じる必要がある。
【0007】
本発明の一実施形態は、このような従来の問題点を解消するため、具体的には電位変動を起因とするノイズを除去して高精度に生体情報を検出することのできる生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る生体情報検出装置は、被検者の被検出部位に装着されて前記被検者の生体情報を検出する生体情報検出装置において、前記被検出部位から前記生体情報の元情報となる前記被検者の生体変化を検出する生体センサと、前記生体センサと接続され、前記生体センサから前記生体変化に基づく検出信号を入力して、入力した前記検出信号に関する制御を行う回路部と、前記回路部のグランドに接続される導電性のシールド材と、前記生体センサを前記被検出部位に向けて押し付ける押圧部と、前記押圧部に所定の押圧力を付与する固定部と、を備え、前記押圧部は、前記生体センサの少なくとも上面側に配置され、前記固定部により押圧されることで前記シールド材が前記被検者と導通可能に接続される。
【0009】
好適には、前記生体情報検出装置において、前記シールド材は、少なくとも前記生体センサの上面側から下面側に跨って配置されて前記生体センサの下面側の少なくとも一部を覆って配置される構成としてもよい。
【0010】
好適には、前記生体情報検出装置において、前記シールド材は、前記生体センサの下面側における前記被検出部位と対向する検出領域を除いて配置される構成としてもよい。
【0011】
好適には、前記生体情報検出装置において、前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記生体変化を伝達する伝達材をさらに備え、前記生体センサは、前記伝達材の上面に配置される下部電極と、前記下部電極の上側に配置される上部電極と、前記上部電極と前記下部電極との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの圧力変化を検出する圧電センサであり、前記シールド材は、前記上部電極の上面側から前記伝達材の下面側に跨って配置される構成としてもよい。
【0012】
好適には、前記生体情報検出装置において、前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記生体変化を伝達する伝達材をさらに備え、前記生体センサは、前記伝達材の上面に配置される下部電極と、前記下部電極の上側に配置されて上部電極として機能する前記シールド材と、前記シールド材と前記下部電極との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの圧力変化を検出する圧電センサであり、前記シールド材は、前記強誘電層の上面側から前記伝達材の下面側に跨って配置される構成としてもよい。
【0013】
好適には、前記生体情報検出装置において、前記被検出部位と対向して配置され、前記生体センサに対して前記生体変化を伝達する伝達材をさらに備え、前記生体センサは、下部電極として機能する前記伝達材と、前記伝達材の上側に配置される上部電極と、前記上部電極と前記伝達材との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層と、を含み、前記伝達材を介して伝達される前記被検出部位からの圧力変化を検出する圧電センサであり、前記シールド材は、前記上部電極の上面側から前記伝達材に連結される構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、電位変動を起因とするノイズを除去して高精度に生体情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生体情報検出装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態1に係る生体情報検出装置の構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態2に係る生体情報検出装置の構成を示す概略断面図である。
【
図4】
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態3に係る生体情報検出装置の構成を示す概略断面図である。
【
図5】
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態4に係る生体情報検出装置の構成を示す概略断面図である。
【
図6】
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態1に係る生体情報検出装置における押圧部の他の配置例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0017】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0018】
以下に説明する各実施形態において、被検者の被検出部位Dは血管(例えば橈骨動脈)Vが通る手首Wとし、生体情報は拍動による血管Vの圧力変化に基づく「脈波(又は脈波に関する信号)」として説明する。なお、生体情報は、脈波に限らず、被検者の血圧、体温、発汗状態(発汗の有無、発汗量)、体動などとしてよい。また、被検者の被検出部位Dは、手首Wに限らず、上腕部、下肢(足首など)、頭部、体幹などの生体情報に基づく生体変化が検出可能な部位としてよい。
【0019】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る生体情報検出装置1について説明する。
図1又は
図2には、実施形態1に係る生体情報検出装置1の構成が示されている。
【0020】
図1又は
図2に示すように、実施形態1に係る生体情報検出装置1は、検出部10と、固定部20と、解析部30とを有する。
【0021】
検出部10は、回路部3と、電源部4が実装された基板2を有する。検出部10は、基板2と隣接する伝達材5を有し、この伝達材5上に生体センサ6が配置されている。また、検出部10は、生体センサ6の少なくとも上面はシールド材7で覆われており、このシールド材7上に押圧部8が配置されている。なお、基板2と伝達材5は、連続的に接続される形態でもよく、例えば1つの可撓性を有するフレキシブル基板などを用いれば、手首Wに沿って湾曲して装着に支障をきたすことがない。
【0022】
基板2は、検出部10のうち回路部3と電源部4の実装が可能な可撓性を有する薄いフレキシブル板材又はフィルム材で構成されることが望ましい。基板2は、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミドなどの合成樹脂から構成することができる。なお、基板2は、可撓性を有さないガラスエポキシ等のリジット基板から構成してもよい。
【0023】
回路部3は、電源部4及び生体センサ6に接続され、生体センサ6から入力された検出信号に関する制御を行う。回路部3は、生体センサ6で検出された生体情報に基づく検出信号(アナログ信号)を増幅する増幅部3aと、増幅部3aで増幅された検出信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/D変換部3bと、ディジタル信号に変換された検出信号を解析部30に送信する通信部3cなどを少なくとも有する。通信部3cは、解析部30に対して検出信号が通信可能であればよく、一例としてマイクロ波帯、極超短波(UHF)帯などで通信するものが好ましく、例えばブルートゥース(登録商標)などの近距離で通信するものを用いることができる。また、通信部3cの無線通信方式として、近距離無線通信(NFC:Near field communication)を利用してもよい。
【0024】
電源部4は、例えばボタン電池やフィルム電池(一次電池、二次電池を問わず)などの比較的小型な電池で構成され、回路部3に電力を供給して駆動させるもので、回路部3に隣接して基板2上に配置されている。電源部4は、回路部3を含む生体情報検出装置1の駆動に必要な電源が供給可能な形態であって、生体情報検出装置1を使用する際に支障のないサイズであれば、本実施形態のような電池に限定されない。
【0025】
伝達材5は、可撓性を有するフィルム状の材料で構成され、被検者の手首Wにおいて血管Vの上側に位置する皮膚に対し、シールド材7を介して当接するように配置されている。伝達材5は、生体情報の元情報となる被検者の生体活動に伴う生体変化(例えば、拍動による血管Vの圧力変化)を被検出部位Dから生体センサ6に伝達し易い材料から構成することが好ましく、例えばポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートなどから構成することができる。また、伝達材5は、生体センサ6に対して所定の生体変化が伝達可能な範囲で薄く形成することが好ましい。伝達材5の厚さの一例としては、10μm~500μmの範囲で形成することができ、10μm~200μmの範囲で形成することがより好ましい。
【0026】
生体センサ6は、被検出部位Dから検出対象となる被検者の生体変化を検出し、この生体変化に基づく電気信号(検出信号)を回路部3に出力する。生体センサ6は、一例として円板形状の圧電センサ(圧電素子)で構成され、伝達材5の上側に配置されている。生体センサ6は、一例として手首Wを延びる血管Vの位置に対応して配置され、伝達材5を介して拍動による血管Vの圧力変化を検出する。生体センサ6は、薄く形成することが好ましく、例えば、1μm~100μmの厚みで形成することができ、印刷により2μm~50μmの厚みで形成することがより好ましい。
【0027】
生体センサ6として採用される圧電センサは、血管Vの圧力変化を生体情報として検出するため、一対の電極(上部電極6a、下部電極6b)と、強誘電層6cとを有する。上部電極6a及び下部電極6bは、一例として共に円板形状をなし、強誘電層6cを挟むように配置されて強誘電層6cと電気的に接続されている。
【0028】
上部電極6aの一部は、シールド材7を介して基板2のグランドと電気的に接続されている。また、下部電極6bの一部は、基板2の信号線2aと電気的に接続されている。圧電センサで検出された生体変化に基づく検出信号は、上部電極6a及び下部電極6bを通じて回路部3に出力される。
【0029】
上部電極6a及び下部電極6bは、例えば金属材料、有機導電性材料などの導電性材料から構成されている。一例として、金属材料は銀及び銅などが挙げられ、有機導電性材料はポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)などが挙げられる。
【0030】
強誘電層6cは、一対の電極の形状と同様、円板形状をなす圧電体であり、上部電極6a及び下部電極6bに全面にわたって当接されている。強誘電層6cは、強誘電性を有する材料、例えばポリ(ビニリデンダイフルオライド-トリフルオロエチレン)共重合体(P(VDF-TrFE))などの強誘電性高分子材料で構成されている。
【0031】
なお、生体センサ6は、検出対象となる生体情報に応じて適応するセンサに適宜変更することができる。例えば、生体情報として被検者の体温を検出する場合は、被検出部位Dの体温が検出可能な「温度センサ」とし、生体情報として被検者の発汗状態を検出する場合は、被検出部位Dにおける発汗水量(又は発汗の有無)が検出可能な「発汗センサ」としてよい。これらセンサを採用する場合は、装着性などを考慮して薄く形成するのが好ましい。
【0032】
シールド材7は、被検者の皮膚と当接された状態で例えば生体センサ6と被検出部位Dとの間に帯電される静電気や体表面電位などの電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導する。シールド材7は、電位変動を接地箇所に誘導可能な導電性を有する材料を用いた部材であり、一例として導電性に優れた銅(Cu)、アルミニウム(Al)などからなる金属箔材、導電性繊維、導電性フィルムなどを採用することができる。なお、シールド材7は、被検者が金属アレルギーの場合を想定して、金属箔材よりも、導電性繊維を用いるのが好ましい。
【0033】
シールド材7は、被検者の被検出部位Dと基板2のグランド(-電極)とに接地されており、生体センサ6の上面から側面を覆いつつ、伝達材5の下面(すなわち、被検者の被検出部位Dと当接する面全体)を覆うように連続して配置されている。つまり、シールド材7は、生体センサ6の上面側から伝達材5の下面側に跨って配置され、少なくとも伝達材5の下面の一部を覆うように配置されている。これにより、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動は、シールド材7を通じて、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導される。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなり、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体情報を高精度に検出することが可能となる。
【0034】
押圧部8は、一例として円環形状をなし、生体センサ6の縁部近傍において、少なくとも生体センサ6の中央部C周辺を上側から押圧可能な状態で接着剤などによりシールド材7に固定されている。具体的には、押圧部8は、内側の中空部分が生体センサ6の中央部Cに対応するように配置されており、円環形状の縁部を構成する押圧面8aが、生体センサ6の中央部Cを囲んだ状態で生体センサ6の縁部近傍の上側に位置するシールド材7と当接している。
【0035】
押圧部8は、シールド材7が介在された状態で生体センサ6の縁部近傍の上面及び側面の一部を押圧面8aで押圧すると共に、生体センサ6の中央部Cを開放する、すなわち当接しないように配置されている。押圧部8は、固定部20の押圧に伴って、生体センサ6に対する押圧力が付与され、生体センサ6の縁部近傍を大きな力で押圧する。そのため、押圧部8は、手首Wからの圧力変化が生体センサ6に入力された際に、生体センサ6の中央部Cに対してその縁部の動きを抑制する効果を奏することができる。また、押圧部8によって押圧されたシールド材7は、被検出部位Dと接触した状態が維持されるため、被検出部位Dから浮くことがない。
【0036】
押圧部8は、手首Wに負担が生じない程度に硬い材料から構成することが好ましく、例えば熱可塑性ポリウレタン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)などからなる硬質ゴムから構成することができる。
【0037】
固定部20は、手首Wに巻き付けるような帯状体に形成され、押圧部8と共に検出部10全体を覆うように配置されている。固定部20は、被検出部位Dに生体情報検出装置1を装着可能であって検出部10(特に、押圧部8)に対して所定の押圧力が付与できる材料で少なくとも一部が構成される。固定部20に適する材料は、一例として伸縮性編地、ポリウレタン繊維などの弾性繊維、シリコーンゴムなどの伸縮性材料が挙げられる。
【0038】
固定部20は、押圧部8と共に検出部10全体を手首Wに向かって押圧するように巻き付けられて、検出部10を手首Wに対して固定する。これにより、固定部20は、押圧部8に所定の押圧力を付与し、押圧部8によって生体センサ6及びシールド材7が被検出部位Dに近接(又は接触)するように押し付けられる。
【0039】
解析部30は、回路部3の通信部3cと通信可能に接続され、通信部3cを介して生体センサ6で検出された検出信号が入力されて、この検出信号を解析して生体情報を取得する。解析部30で取得された生体情報は、被検者の診察、健康管理など活用される。
【0040】
次に、実施形態1に係る生体情報検出装置1の動作について説明する。
まず、
図1に示すように、被検出部位Dとなる手首Wの血管V上に生体センサ6の中央部Cが位置するように検出部10を配置し、固定部20が手首Wに巻き付けられて検出部10を手首Wに固定する。これにより、伝達材5が手首Wに押し付けられて、例えば拍動による血管Vの動きに応じた圧力が手首Wから伝達材5に付加される。
【0041】
図2は、
図1に示すA-A切断線で切断した生体情報検出装置1における検出部10及び固定部20の概略断面図である。
図2に示すように、伝達材5の上側には圧電センサである生体センサ6が配置されており、手首Wから伝達材5に付加された生体変化である圧力が伝達材5を伝達して生体センサ6に入力される。そのため、生体センサ6の強誘電層6cが圧力に応じて振動するように変形して、上部電極6a及び下部電極6b間に圧力に応じた電圧が生じることになる。
【0042】
また、固定部20の押圧に伴って、押圧部8が生体センサ6の縁部近傍を押圧することにより、生体センサ6の中央部Cに対して縁部の動きが抑制される。これにより、手首Wからの圧力に応じて生体センサ6の中央部Cを集中的に変形させることができ、生体センサ6が大きく変形して生体センサ6の検出精度を向上させることができる。また、押圧部8によって押圧されたシールド材7は、被検者の被検出部位Dから浮くことなく、被検出部位Dに接触した状態が維持される。
【0043】
さらに、シールド材7が被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに接地されているため、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動は、シールド材7を介して被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導される。
【0044】
このようにして、生体センサ6では、手首Wからの圧力変化に応じた検出信号が生じ、その検出信号が回路部3に出力される。回路部3は、検出信号に所定の信号処理(増幅処理、A/D変換処理など)を施して通信部3cから解析部30に送信する。そして、解析部30は、回路部3から送信された検出信号に基づいて、例えば心拍数及び血圧などの生体情報を算出する。解析部30は、検出精度が向上した生体センサ6で検出された生体変化に基づく検出信号、すなわち手首Wからの圧力を的確に反映した検出信号が入力されるため、生体情報を高精度に算出することができる。
【0045】
以上のように、実施形態1に係る生体情報検出装置1によれば、シールド材7が、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに接地されているため、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導させることができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなり、検出部10は、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体センサ6による生体変化の検出精度を高めることができる。
【0046】
次に、実施形態1に係る生体情報検出装置1の変形例(実施形態2~4)について説明する。
なお、実施形態2~4に係る生体情報検出装置1において、他の実施形態の生体情報検出装置1と同様の構成要件については同一の番号を付しその構成や処理に関する説明を省略し、各実施形態において技術的特徴を有する発明特定事項(すなわち、他の実施形態と相違する構成要件、新たに追加された機能及びその処理内容など)についてのみ説明する。
【0047】
[実施形態2]
本発明に係る実施形態2に係る生体情報検出装置1について説明する。
上述した実施形態1に係る生体情報検出装置1では、シールド材7により伝達材5及び生体センサ6が全体的を覆われる構成であったが、実施形態2に係る生体情報検出装置1では、伝達材5の被検出部位Dとの対向面(下面)において、少なくとも生体センサ6における被検出部位Dと対向する領域(検出領域E)にシールド材7が配置されないように設けた構成である。
【0048】
図3は、
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態2に係る生体情報検出装置1における検出部10及び固定部20の概略断面図である。
図3に示すように、実施形態2に係る生体情報検出装置1において、シールド材7は、伝達材5の下面(被検出部位Dとの対向面)における生体センサ6の被検出部位Dと対向する検出領域E(
図3に示す一点鎖線で囲われた領域であって、生体センサ6の検出面に相当する領域)を除いた領域に配置されている。すなわち、シールド材7は、生体センサ6の上面と側面を覆いつつ、生体センサ6の側面を覆った箇所から連続して延びるように配置されるが、伝達材5の被検出部位Dとの対向面において、生体センサ6の検出領域Eに位置する領域を被覆せずに少なくとも伝達材5の下面の一部を覆って配置される。
【0049】
実施形態2に係る生体情報検出装置1において、シールド材7を上述した配置とすることで、伝達材5を被検者の被検出部位Dに直に当接させることができる。
【0050】
以上のように、実施形態2に係る生体情報検出装置1によれば、シールド材7の配置が生体センサ6の検出領域Eと被らないように配置されているため、被検出部位Dからシールド材7と伝達材5を介して生体センサ6で生体変化を検出するよりも、高精度に検出することができる。生体センサ6の構成としては、被検者の発汗状態を検出する発汗センサ又は被検者の体温を検出する温度センサを採用する場合に、特に有用である。
【0051】
また、生体センサ6の検出領域Eと対向する伝達材5の領域にシールド材7が配置されていないため、伝達材5が被検出部位Dに当接して生体変化を高精度に検出することができる。そのため、実施形態2に係る生体情報検出装置1では、上記のような発汗状態、体温を検出するセンサの他、脈波の検出、血圧の検出のような血管Vの微細な動きが検出可能なセンサにも有用である。
【0052】
さらに、シールド材7が、伝達材5の下面における生体センサ6の検出領域Eを除いた領域に配置され、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに接地されているため、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導させることができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなり、検出部10は、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体センサ6による生体変化の検出精度を高めることができる。
【0053】
[実施形態3]
本発明に係る実施形態3に係る生体情報検出装置1について説明する。
上述した実施形態1、2の生体情報検出装置1では、生体センサ6として圧電センサを採用し、圧電センサは上部電極6aと下部電極6bと、各電極6a、6bに挟持される強誘電層6cを備えている。
これに対し、実施形態3に係る生体情報検出装置1は、上部電極6aを排除し、シールド材7を上部電極6aとして兼用する構成となっている。実施形態3に係る生体情報検出装置1において、生体センサ6となる圧電センサは、上部電極6aとして機能するシールド材7と下部電極6bとの間に、強誘電層6cを挟持した構造を有している。
【0054】
図4は、
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態3に係る生体情報検出装置1における検出部10及び固定部20の概略断面図である。
図4に示すように、実施形態3に係る生体情報検出装置1は、伝達材5の上面に下部電極6bが配置され、下部電極6bの上面に強誘電層6cが配置され、強誘電層6cの上面に上部電極6aとして機能するシールド材7が配置される構成となっている。
【0055】
シールド材7は、被検者の被検出部位Dと基板2のグランド(-電極)とに接地されており、強誘電層6cの上面と当接した状態で生体センサ6の上側と側面を跨ぐように覆うと共に、伝達材5の下面(すなわち、被検者の被検出部位Dと当接する面全体)を覆うように連続して配置される。なお、シールド材7は、実施形態2と同様にして、伝達材5の下面においては、少なくとも生体センサ6における被検出部位Dと対向する領域にシールド材7が配置されない構成としてもよい。
【0056】
シールド材7は、上部電極6aとして機能すると共に、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導可能な材質により構成される。そのため、シールド材7は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属箔材、導電性繊維、導電性フィルムなどを採用することができる。
【0057】
以上のように、実施形態3に係る生体情報検出装置1によれば、上部電極6aを設けずとも、シールド材7で上部電極6aの機能を実現させることができるため、生体情報検出装置1の構成部品数の削減による装置全体の小型(薄型)・軽量化が図れると共に、生体センサ6の検出精度を向上させる効果を奏することができる。また、シールド材7が、生体センサ6の上面側から伝達材5の下面側に跨って配置されているため、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導させることができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなり、検出部10は、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体センサ6による生体変化の検出精度を高めることができる。
【0058】
[実施形態4]
本発明に係る実施形態4に係る生体情報検出装置1について説明する。
上述した実施形態1に係る生体情報検出装置1では、生体センサ6として圧電センサを採用し、圧電センサは上部電極6aと下部電極6bと、各電極6a、6bに挟持される強誘電層6cを備えている。
これに対し、実施形態4に係る生体情報検出装置1は、下部電極6bを排除し、伝達材5を下部電極6bとして使用する構成となっている。つまり、実施形態4に係る生体情報検出装置1において、生体センサ6となる圧電センサは、下部電極6bとして機能する伝達材5と上部電極6aとの間に、強誘電層6cを挟持した構造を有している。また、実施形態4に係る生体情報検出装置1では、下部電極6bとして機能する伝達材5が、シールド材7の機能も果たす構成となっている。さらに、押圧部8は、押圧面8aを生体センサ6の縁部近傍と当接させた状態とし、その上側が覆われるようにシールド材7が配置されている。
【0059】
図5は、
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態4に係る生体情報検出装置1における検出部10及び固定部20の概略断面図である。
図5に示すように、実施形態4に係る生体情報検出装置1は、伝達材5の上面に強誘電層6cが配置され、強誘電層6cの上面に上部電極6aが配置される構成となっている。上部電極6aの一部は、基板2の信号線2aと電気的に接続されている。また、下部電極6b(伝達材5)の一部は、シールド材7を介して基板2のグランドと電気的に接続されている。圧電センサで検出された検出信号は、上部電極6a及び下部電極6b(伝達材5)を通じて回路部3に出力されることになる。
【0060】
また、シールド材7は、一部が基板2のグランド(-電極)に接地されており、上部電極6aの上面と当接した状態で側面を覆いつつ、伝達材5の上面まで及ぶように連続して配置される。
【0061】
伝達材5は、一部が被検者の被検出部位Dに接地されており、下部電極6bとして機能すると共に、シールド材7としての機能を果たすため、電極として適用可能であり、かつ、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導可能な部材により構成される。そのため、伝達材5としては、例えばポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートなどのフィルム材の表面を導電性材料で被覆した導電性フィルムを採用するのが好ましい。
【0062】
以上のように、実施形態4に係る生体情報検出装置1によれば、伝達材5が下部電極6bの機能と、シールド材7の機能を兼ね備えているため、生体情報検出装置1の構成部品数の削減による装置全体の小型(薄型)・軽量化が図ることができる。また、伝達材5が被検出部位Dに対して直に当接することで、シールド材7によって電位変動によるノイズ除去効果が得られた状態で、生体センサ6の検出精度をさらに向上させることができる。実施形態4に係る生体情報検出装置1は、特に脈波の検出、血圧の検出のような血管Vの微細な動きを高精度に検出することができる。この効果は、実施形態2に係る生体情報検出装置1と同様に、伝達材5が被検出部位Dに直に当接することにより奏されるものである。
【0063】
[作用効果]
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る生体情報検出装置1は、被検者の被検出部位Dに装着されて被検者の生体情報を検出するにあたり、被検出部位Dから生体情報の元情報となる被検者の生体変化を検出する生体センサ6と、生体センサ6と接続されて生体センサ6から生体変化に基づく検出信号を入力して、入力した検出信号に関する制御を行う回路部3と、回路部3のグランドに接続される導電性のシールド材7と、生体センサ6を被検出部位Dに向けて押し付ける押圧部8と、押圧部8に所定の押圧力を付与する固定部20とを備え、押圧部8は、生体センサ6の少なくとも上面側に配置され、固定部20により押圧されることでシールド材7が被検者と導通可能に接続される構成となっている。
【0064】
この構成では、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、シールド材7を介して被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導することができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなるため、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体情報を高精度に検出することができる。
【0065】
また、一実施形態に係る生体情報検出装置1において、シールド材7は、少なくとも生体センサ6の上面側から下面側に跨って配置されて生体センサ65の下面側の少なくとも一部を覆って配置される構成となっている。
【0066】
この構成では、シールド材7を生体センサ6の上面側から下面側に跨って配置すると共に、伝達材5の下面の少なくとも一部を覆うようにすることで、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、シールド材7を介して被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導することができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなるため、電位変動を起因とするノイズが除去されて生体情報を高精度に検出することができる。
【0067】
また、一実施形態に係る生体情報検出装置1において、シールド材7は、生体センサ6の下面側における被検出部位Dと対向する検出領域Eを除いて配置される構成となっている。
【0068】
この構成では、シールド材7を、生体センサ6の下面側における被検出部位Dと対向する検出領域Eを除いて配置することで、伝達材5が被検者の被検出部位Dと直に当接するため、生体センサ6で検出される生体情報をより高精度に検出することが可能となる。そのため、この装置構成における生体センサ6として、例えば被検者の発汗状態を検出する発汗センサ又は被検者の体温を検出する温度センサを採用した際には、特に有用である。
【0069】
また、一実施形態に係る生体情報検出装置1において、被検出部位Dと対向して配置され、生体センサ6に対して生体変化を伝達する伝達材5をさらに備え、生体センサ6は、伝達材5の上面に配置される下部電極6bと、下部電極6bの上側に配置される上部電極6aと、上部電極6aと下部電極6bとの間に挟持される強誘電性を有する強誘電層6cと、を含み、伝達材5を介して伝達される被検出部位Dからの圧力変化を検出する圧電センサであり、シールド材7は、上部電極6aの上面側から伝達材5の下面側に跨って配置される構成となっている。
【0070】
この構成では、生体センサ6を圧電センサとしたときであっても、生体センサ6と被検出部位Dとの間に誘起される電位変動を、シールド材7を介して被検者の被検出部位Dと基板2のグランドとに誘導することができる。そして、基板2における基準電位を被検者の被検出部位Dからとることにもなるため、手首Wを通る血管Vの圧力変化に伴う微細な動きを精度よく検出することができる。
【0071】
また、一実施形態に係る生体情報検出装置1において、被検出部位Dと対向して配置され、生体センサ6に対して生体変化を伝達する伝達材5をさらに備え、生体センサ6は、伝達材5の上面に配置される下部電極6bと、下部電極6bの上側に配置されて上部電極6aとして機能するシールド材7と、シールド材7と下部電極6bとの間に挟持される強誘電性を有する強誘電層6cと、を含み、伝達材5を介して伝達される被検出部位Dからの圧力変化を検出する圧電センサであり、シールド材7は、強誘電層6cの上面側から伝達材5の下面側に跨って配置される構成となっている。
【0072】
この構成では、圧電センサの構成として、上部電極6aを設けずとも、シールド材7を上部電極6aとして機能させることができるため、生体情報検出装置1の構成部品数の削減による装置全体の小型(薄型)・軽量化が図れると共に、生体センサ6の検出精度を向上させることができる。
【0073】
また、一実施形態に係る生体情報検出装置1において、被検出部位Dと対向して配置され、生体センサ6に対して生体変化を伝達する伝達材5をさらに備え、生体センサ6は、下部電極6bとして機能する伝達材5と、伝達材5の上側に配置される上部電極6aと、上部電極6aと伝達材5との間に挟持される強誘電性を有する強誘電層6cと、を含み、伝達材5を介して伝達される被検出部位Dからの圧力変化を検出する圧電センサであり、シールド材7は、上部電極6aの上面側から伝達材5に連結される構成となっている。
【0074】
この構成では、圧電センサの構成として、伝達材5が下部電極6bの機能と、シールド材7の機能を兼ね備えているため、生体情報検出装置1の構成部品数の削減による装置全体の小型(薄型)・軽量化が図ることができる。また、伝達材5が被検出部位Dに対して直に当接するため、電位変動によるノイズ除去効果を奏するだけでなく、生体センサ6の検出精度も向上させることができる。特に、生体情報として脈波を検出する形態では、血管Vの微細な動きを高精度に検出することができるため、有用である。
【0075】
[その他の実施形態]
なお、上述した各実施形態に係る生体情報検出装置1は、各形態の機能を損なわない範囲において、以下に示すような種々の構成又はこれら構成を適宜組み合わせた構成を採用することもできる。
【0076】
上述した実施形態1~3の生体情報検出装置1では、固定部20の直下に押圧部8を配置し、シールド材7を介して生体センサ6の縁部近傍及び伝達材5を被検出部位Dに近接させるように押圧する構成としたが、これに限定されない。
図6は、
図1に示すA-A切断線で切断した実施形態1に係る生体情報検出装置1において押圧部8の配置を変更した形態例を示した検出部10及び固定部20の概略断面図である。
図6に示すように、押圧部8の押圧面8aを、生体センサ6の縁部近傍と当接させた状態とし、その上側を覆うようにシールド材7を配置する構成としてもよい。つまり、シールド材7は、押圧部8を含めた生体センサ6の少なくとも一部が覆われるように配置された構成としてよい。このような押圧部8の配置は、図示はしないが、実施形態2、3の生体情報検出装置1にも適用可能であり、押圧部8をこのような配置としても、電位変動を起因とするノイズ除去効果が十分に得られ、生体情報を高精度に検出することができる。
【0077】
また、上述した実施形態1~4において、押圧部8は、シールド材7に固定された構成としたが、これに限定されず、生体センサ6の中央部C周辺の少なくとも一部に対向して配置されていればよく、生体センサ6に対して離間可能に配置してもよい。これにより、押圧部8の位置を使用者が容易に調節することができる。
【0078】
また、上述した実施形態1~4において、押圧部8は、生体センサ6の中央部Cを開放するように形成されたが、これに限定されず、押圧面8aが生体センサ6の中央部C周辺に対向していればよい。一例としては、押圧部8の形状を円柱形状とし、円柱の下端部に凹部を形成し、この凹部が生体センサ6の中央部Cに対応するように配置されるような構成としてよい。これにより、押圧部8は、円環形状に形成された押圧面8aが生体センサ6の中央部C周辺に対向すると共に凹部は生体センサ6の中央部Cに当接しないため、押圧面8aで生体センサ6の中央部C周辺を押圧することができる。
【0079】
また、上述した実施形態1~4において、生体センサ6は、被検出部位Dとなる手首Wの血管V上に中央部Cが位置するように配置されたが、被検者から生体情報の元情報となる生体変化が検出できればよく、検出する生体情報の種類によっては血管Vからずれた位置に配置することもできる。同様に、伝達材5についても、血管V上に位置するように配置されたが、生体情報の種類によっては、血管Vからずれた位置に配置することもできる。
【0080】
また、上述した実施形態1~4において、圧電センサは、円板形状に形成されたが、被検者からの圧力変化を検出できればよく、円板形状に限られるものではない。例えば、圧電センサは、楕円状、矩形状、多角形状など任意に設定することもできる。
【0081】
また、上述した実施形態1~4において、固定部20は、被検者の被検出部位Dに巻き付けるような帯状体に形成されたが、これに限定されず、押圧部8を押圧して伝達材5、生体センサ6及び押圧部8を被検出部位Dに対して固定することができればよい。固定部20の一例としては、シールなどから形成することもできる。
【0082】
また、上述した実施形態1~4において、固定部20は、張力により押圧部8を押圧して伝達材5、生体センサ6及び押圧部8を被検出部位Dに対して固定するように形成されたが、これに限定されず、押圧部8を押圧して固定することができればよい。固定部20の一例としては、伝達材5、生体センサ6、押圧部8及び被検出部位Dを挟むように押圧して固定することもできる。
【0083】
また、上述した実施形態1~4において、検出部10で検出された生体情報の元情報となる検出信号を解析部30に無線通信する構成で説明したが、これに限定されず、生体情報検出装置1の基板2上に解析部30を実装して、A/D変換部3bで信号変換された検出信号を解析部30に出力して解析処理を行う構成としてもよい。また、各実施形態において、解析部30による解析結果を表示させる表示部(一例として液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、LED表示器、電気泳動ディスプレイ)を搭載させた構成としてもよい。このような構成とすることで、解析部30による解析結果を被検者自身が即座に確認することができる。
【0084】
また、上述した実施形態1~4において、回路部3に入力された生体変化に基づく検出信号は、通信部3cを介して解析部30に送信される構成として説明したが、生体センサ6で検出された検出信号(すなわち、生体情報を取得するための元情報)が解析部30に入力されればよく、解析部30への前記元情報の出力方法は、無線通信に限定されない。この前記元情報の出力に用いられる転送媒体しては、ケーブル、リムーバブルメディア(補助記憶装置)などが利用可能である。
【0085】
また、上述した実施形態1~4において、検出部10は、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷などの印刷方法で薄く形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0086】
1 生体情報検出装置
2 基板(2a 信号線)
3 回路部(3a 増幅部、3b A/D変換部、3c 通信部)
4 電源部
5 伝達材
6 生体センサ(6a 上部電極、6b 下部電極、6c 強誘電層)
7 シールド材
8 押圧部(8a 押圧面)
10 検出部
20 固定部
30 解析部
C 生体センサ(圧電センサ)の中央部
D 被検者の被検出部位
E 生体センサの検出領域
V 血管
W 手首