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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】マスク保型フレーム構造
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240402BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020137638
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033639
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-180424(JP,A)
【文献】特開2022-025180(JP,A)
【文献】特開2013-188281(JP,A)
【文献】特開2001-566(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107485080(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、
しかも、
保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、保型フレームを仕切って構成し、
更には、
マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、
更には、
全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略二等辺三角形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略U字形状に形成したことを特徴とするマスク保型フレーム構造。
【請求項2】
布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、
しかも、
保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、保型フレームを仕切って構成し、
更には、
マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、
更には、
全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略U字形状に形成して装着者の顎下部との間に非接触部を形成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略二等辺三角形状に形成したことを特徴とするマスク保型フレーム構造。
【請求項3】
上縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の上端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のマスク保型フレーム構造。
【請求項4】
下縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の下端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載のマスク保型フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク本体のふくらみを保つためにマスク本体と装着者の肌との間に介在するマスク保型フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスクは、着用者の口元及び鼻筋部分を覆うため、暑苦しさや息苦しさを感じることがあり、さらに、話す際の声がこもりやすく会話に支障をきたす課題を有していた。
【0003】
そこで、かかる課題を解消するためのマスク補助具が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1では、正面視横広の略楕円形状で前方凸状のマスク補助具が開示されている。このマスク補助具は、マスク本体の内側面に係止することで、マスク装着時にマスク本体を前方凸状形態にしてマスク本体とマスク装着者の肌との間に空間を形成し、マスク装着時の暑苦しさや息苦しさを解消して呼吸及び会話がしやすくなることが開示されている。
【0005】
特許文献2では、正面視横広の略長方形状で前方に膨出した湾曲部を有するマスク補助具について開示されております。このマスク補助具は、マスク本体とマスク着用者の肌とにマスク補助具を介在させることにより、湾曲部がマスク本体を前方に押出してマスク本体とマスク着用者の肌との間に空間を形成し、マスク着用時の暑苦しさや息苦しさを解消して会話をしやすくできることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-009098号公報
【文献】特開2012-110577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に記載のマスク補助具は、風邪ウイルスやインフルエンザウイルスなどのウイルスの飛沫感染を防止するというマスク本来の機能を維持するためにマスク本体とマスク着用者の肌との間に閉塞した空間が形成されるように構成している。当該空間は、できるだけ外方との空気の出入りを阻害することで飛沫感染を防止する構造のため、マスク周縁部がマスク着用者の肌と密着するように構成している。
【0008】
この閉塞された空間は、時間の経過とともにマスク着用者の呼吸で高湿状態となり、さらに、マスク着用者の体内で暖められた空気で充足されることで周囲温度よりも高温となる。そのため、特許文献1および2に記載のマスク補助具を利用してマスクを装着すると、閉塞された空間の空気が周囲環境よりも高温高湿状態となり、熱中症や脱水症状を引き起こす虞があった。
【0009】
また、閉塞された空間は時間の経過とともに高温高湿状態となるため、マスクの着用時間が長時間にわたると呼吸や会話がしづらくなる虞があった。
【0010】
かかる問題を解消するために、本発明は、マスク装着時の通気性を向上することにより熱中症や脱水症状を引き起こすことがなく、さらに、呼吸や会話がしやすいマスク保型フレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、保型フレームを仕切って構成し、更には、マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、更には、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略二等辺三角形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略U字形状に形成したことを特徴とする。
【0012】
また、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、保型フレームを仕切って構成し、更には、マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、更には、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略U字形状に形成して装着者の顎下部との間に非接触部を形成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略二等辺三角形状に形成したことを特徴とする。
【0013】
また、上縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の上端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする。
【0014】
また、下縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の下端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとしたため、横広で略長方形状のマスク本体の左右両端部近傍を着用者の肌に密着させることができる。
また、左右サイドフレームの間の中央を縦型のメインフレームを上下に加構し、保型フレームを仕切って構成し、更には、マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成したため、マスク本体を前方凸状に維持することができ、マスク着用者の口元とマスク本体との間に空間が形成され、マスクを着用しているにもかかわらず暑苦しさや息苦しさを感じることがない。
また、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成したことにより、マスク着用者の口元に空間が形成され、呼吸や会話がしやすい効果がある。また、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成したことにより、マスク本体の長手方向両側面が肌に密着した状態を形成でき、マスク本体の左右側面からの飛沫の侵入を防止できる。
また、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略二等辺三角形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略U字形状に形成したことにより、マスク着用時にマスク本体および上縁フレームとマスク着用者の鼻筋との間に空気流通用の通気孔が形成され、呼吸用空間の空気を当該空間の内外で流通させることができ、呼吸用空間内の温湿度をマスク本体外部の周囲環境と略同一の状態に維持して暑苦しさや息苦しさを解消できる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、仕切って構成し、更には、マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、更には、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略U字形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような下部隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略二等辺三角形状に形成したことにより、マスク着用時にマスク本体とマスク着用者の鼻筋との間が閉塞されて、マスク本体上縁部から呼吸用空間内にウイルスを含有した飛沫が侵入する虞がない。また、呼吸用空間は、左右のサイドフレームとマスク着用者の頬との間、または、下縁フレームとマスク着用者の顎との間に通気孔が形成されてマスク本体の周囲環境と連通することにより、当該通気孔を通じて呼吸用空間内の空気を当該空間の内外と循環させることができ、呼吸用空間内の空気の温湿度を周囲環境と略同一の状態に保ち暑苦しさや息苦しさを解消しつつマスク本体により飛沫の飛散を防止しながらもマスクの非着用状態と同様に呼吸や会話がしやすい状態を維持できる効果がある。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、上縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の上端縁部を係合可能に構成したことにより、マスク本体の保型フレームに対する位置関係が固定されるため、マスク着用時に形成される呼吸用空間を確実に鼻筋および口元の前方に位置させることができる。これにより、マスク着用時の暑苦しさや息苦しさを確実に解消できる効果がある。
また、マスク本体と保型フレームの位置関係が固定されるため、鼻筋および口元の前方には確実にマスク本体が位置し、マスク着用者が呼吸する際や会話で言葉を発する際に飛沫が前方に飛散することを防止できる効果がある。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、下縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の下端縁部を係合可能に構成したことにより、マスク本体の保型フレームに対する位置関係が固定されるため、マスク着用時に形成される呼吸用空間を確実に鼻筋および口元の前方に位置させることができる。これにより、マスク着用時の暑苦しさや息苦しさを確実に解消できる効果がある。
また、マスク本体と保型フレームの位置関係が固定されるため、鼻筋および口元の前方には確実にマスク本体が位置し、マスク着用者が呼吸する際や会話で言葉を発する際に飛沫が前方に飛散することを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームを示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームを示す正面図である。
図3】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームを示す側面図である。
図4】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームを示す平面図である。
図5】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームを示す底面図である。
図6】本発明の第2の実施例に係るマスク保型フレームを示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施例に係るマスク保型フレームを示す正面図である。
図8】本発明の第2の実施例に係るマスク保型フレームを示す側面図である。
図9】本発明の第2の実施例に係るマスク保型フレームを示す平面図である。
図10】本発明の第2の実施例に係るマスク保型フレームを示す底面図である。
図11】本発明の第1の実施例に係るマスク保型フレームにマスク本体を装着する手順を示す模式図であり、(a)はマスク本体をマスク保型フレームに合わせた図であり、(b)はマスク本体をメインフレームと左右いずれかのサイドフレームに挟み込んだ状態を示す図であり、(c)はマスク本体をマスク保型フレームに装着した状態を示す図である。
図12】本発明の第1の実施例に係るマスクとマスク保型フレームを装着した状態を示す図である。
図13】本発明の第1の実施例に係る保型フレームを装着した際の空気の流通を示す図であり、(a)は保型フレームを装着した状態を示す側面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
図14】本発明の第2の実施例に係るマスクとマスク保型フレームを装着した状態を示す図である。
図15】本発明の第2の実施例に係る保型フレームを装着した際の空気の流通を示す図であり、(a)は保型フレームを装着した状態を示す側面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の要旨は、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、仕切って構成し、更には、マスク本体の内側面又は外側面、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部と保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、更には、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略二等辺三角形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような下部隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略U字形状に形成したことを特徴とする。また、上縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の上端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の他の要旨は、布又は不織布よりなり、両端に耳掛け紐体をU字状に連結した柔軟性を有するマスク本体と、マスク本体を内側面又は外側面に任意に装着するように構成した保型フレームからなり、しかも、保型フレームは横広がりの楕円形状に形成し、左右の湾曲フレームを左右サイドフレームとし、その間の中央を縦型のメインフレームを上下に架構し、仕切って構成し、更には、マスク本体の(内側面又は外側面)、或いはマスク本体の中央部を保型フレームに重ね、マスク本体の両端部を保型フレームの内側と重なるように構成し、左右サイドフレームは、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状湾曲状に形成し、更には、全体略楕円形状の保型フレーム中央部は底面視で略U字形状に形成して装着者の顎下部形状に合致するように構成すると共に側面視で上端から下端にかけて装着者の鼻筋から口元部分に略合致するような下部隆起部を形成することにより鼻孔及び口元に呼吸用空間を形成し、略楕円形状の保型フレームの上縁フレームは正面視で略水平形状で平面視で略二等辺三角形状に形成したことを特徴とする。また、下縁フレームと左右サイドフレームとの連結部分には、左右サイドフレーム部を形成して、マスク本体の下端縁部を係合可能に構成したことを特徴とする。
【0022】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例にかかる保型フレーム20を示す斜視図であり、図2図5は本発明の第1の実施例にかかる保型フレーム20を示す正面図、側面図、平面図、底面図である。
【0023】
<第1の実施例>
本発明のマスク保型フレーム構造は、図11(a)~(c)、図12に示すようにマスク10を構成するマスク本体11と、保型フレーム20とで構成している。
【0024】
マスク10は、マスク本体11と、耳掛け紐体12で構成している。マスク本体11は、布または不織布を用いてシート状に形成され、装着者の鼻及び口を覆うのに十分な大きさを有する。マスク本体11は、左右両端部に装着用の耳掛け紐体12がU字状に取り付けられている。
なお、マスク本体11は、適宜、プリーツ形状に折り込まれ、着用時に当該プリーツ形状を広げて側面視略お椀型にするものでも、マスク着用時に着用者の口元前方に空間が形成されるように予め構成した立体型マスクでも、マスク着用時に着用者の鼻筋および口元にできるだけ接触するように構成した平板状の平型マスクでも、どのような形態のマスクで構成されていてもよい。本実施形態では、プリーツ形状を広げてお椀型とするプリーツ型マスクで説明する。
【0025】
本実施形態の保型フレーム20は、マスク本体11の背面側と着用者の肌との間に介在させることにより、マスク本体11と着用者の肌との間に所定の間隙を形成するものである。
【0026】
保型フレーム20は、図1および図2に示すように、横広がりの楕円形状に形成し、左右に位置するサイドフレーム21、21と、左右のサイドフレーム21、21間の中央に縦方向に架構したメインフレーム22と、左右のサイドフレーム21、21の上端部を連結した上縁フレーム23と、左右のサイドフレーム21、21の下端部を連結した下縁フレーム24と、で構成している。
【0027】
左右のサイドフレーム21、21は、図2および図3に示すように、正面視で外方広がりの湾曲状に形成すると共に、側面視で前方凸状の湾曲状に形成している。
【0028】
左右のサイドフレーム21、21は、図3および図5に示すように、上端部の近傍にフレーム係止部21aを前方凸状に形成している。フレーム係止部21aは、保型フレーム20を着用した際に着用者の頬骨に該当する位置に形成している。保型フレーム20は、左右サイドフレーム21、21のフレーム係止部21aが着用者の頬骨に係合することで上下の移動が規制される。
【0029】
また、左右のサイドフレーム21、21は、図2に示すように、上端部間および下端部間をそれぞれ上縁フレーム23および下縁フレーム24で連結している。
【0030】
上縁フレーム23は、図2~4に示すように、正面視略水平形状で平面視略U字状に形成しており、左右のサイドフレーム21、21との連結部分に左右のサイドフレーム部21b、21bを備えている。左右のサイドフレーム部21b、21bは、図2に示すように、保型フレーム20の内側に開口を有する略コ字状に形成している。マスク本体11は、上端縁部およびノーズワイヤーを左右のサイドフレーム部21b、21bに係合固定する。これにより、マスク本体11は、保型フレーム20との位置関係が固定され、マスク10の着用時に鼻筋および口元の前方にマスク本体11が位置して呼吸時や会話時の飛沫の飛散を確実に防止できる効果がある。
【0031】
下縁フレーム24は、図2、3、5に示すように、正面視略水平形状で底面視略二等辺三角形状に構成している。下縁フレーム24は、二等辺三角形状の斜辺24a、24bがマスク着用者の顎に接触するように構成している。これにより、下縁フレーム24は、頂部近傍が保型フレーム20着用者の顎下部と非接触の状態となり、下縁フレーム24の頂部近傍に通気孔24c(図13(a)、(b)参照)が形成される。
【0032】
通気孔24cは、保型フレーム20の内側に形成される呼吸用空間Bと、呼吸用空間Bの外部とを連結している。これにより、呼吸用空間Bに通気孔24cから空気を流入させて呼吸用空間Bと呼吸用空間Bの外部、すなわち、周囲環境とを略同一の温湿度状態に保ち、マスク着用者は、マスク10を装着しない状態と同様に楽に呼吸や会話ができる。
【0033】
また、上縁フレーム23及び下縁フレーム24の左右方向略中央部は、メインフレーム22を架設している。メインフレーム22は、図3に示すように、上下方向略中央部を頂部とする前方凸形状とした円弧形状に構成している。これにより、マスク10は、前方凸状のふくらみ形態を維持することができ、メインフレーム22の背面側と着用者の鼻孔および口元との間に呼吸用空間Bを形成できる。
すなわち、着用者の鼻孔および口元がマスク本体11と接触しないため、マスク10を装着しない状態と同じように楽に呼吸や会話ができる。
【0034】
保型フレーム20は、上述のように構成されており、左右のサイドフレーム21、21に設けたフレーム係止部21a、21aを頬骨に係合することでマスク10の装着時に保型フレーム20の上下方向への移動を規制するとともに、下縁フレーム24の左右の斜辺24a、24bを顎の左右にそれぞれ接触させることにより、保型フレーム20の左右方向への移動を規制して保型フレーム20を装着者の肌に保持できる。
【0035】
また、保型フレーム20は、上述のように上縁フレーム23と着用者の鼻筋との間に形成される通気孔23aと、下縁フレーム24と着用者の顎との間に形成される通気孔24cとを有することにより、呼吸用空間Bの空気を当該2つの通気孔23a、24cを通じて流通することができ、呼吸用空間Bと周囲環境との温湿度を略同一の状態にできる。これにより、マスク本体11内側の環境がマスク10を装着していない状態と略同一の状態に維持でき、マスク10を装着した状態でも呼吸や会話がしやすい状態を生起できる。
【0036】
また、保型フレーム20は、上縁フレーム23の通気孔23aを下縁フレーム24の通気孔24cよりも大きくなるように構成している。
この理由は、呼吸により体外に排出される空気が周囲温度よりも高温(約35度)のため、呼吸用空間B内で上昇しやすい傾向にあり、通気孔23aを広く確保することで呼吸用空間Bから空気を排出しやすくするためである。また、下縁フレーム24の通気孔24cを上縁フレーム23の通気孔23aよりも小さくすることにより、呼吸用空間Bの空気が抵抗の少ない通気孔23a側に流動しやすくなり、呼吸用空間B内の空気の流動方向を規定しやすくするためでもある。すなわち、呼吸用空間Bの空気の流動方向は、呼吸で排出される空気の温度、および上縁フレーム23の通気孔23aと下縁フレーム24の通気孔24cとの開口部の大きさの違いから図13(b)に図示した破線の白抜き矢印で示す流通経路Aのように保型フレーム20の下部から上部に向けて流動する。
また、呼吸用空間Bの空気を下部から上部に流通しやすい構成とすることで、保型フレーム20及びマスク10の上部から呼吸用空間Bに流入しようとする飛沫が、流通経路Aに沿って流通する空気により押し戻され、呼吸用空間Bへの飛沫の侵入を防止できる効果がある。
【0037】
≪第2の実施例≫
本発明のマスク保型フレーム構造の第2の実施例について図6図10及び図14図15を参照して説明する。
本発明のマスク保型フレーム構造の第2の実施例は、第1の実施例におけるマスク保型フレーム構造の上下を反転させた構成である。
【0038】
第2の実施例における保型フレーム20´は、図6および図7に示すように、横広がりの楕円形状に形成し、左右に位置するサイドフレーム21´、21´と、左右のサイドフレーム21´、21´間の中央に縦方向に架構したメインフレーム22´と、左右のサイドフレーム21´、21´の上端部を連結した上縁フレーム23´と、左右のサイドフレーム21´、21´の下端部を連結した下縁フレーム24´と、で構成している。
【0039】
左右のサイドフレーム21´、21´は、図7および図8に示すように、正面視で外方広がりの楕円形状に形成すると共に、側面視で前方凸状の湾曲状に形成している。
【0040】
左右のサイドフレーム21´、21´は、図7および図8に示すように、下端部の近傍にフレーム係止部21a´、21a´を前方凸状に形成している。フレーム係止部21a´は、保型フレーム20´を着用した際に着用者の頬部分に該当する位置に形成している。保型フレーム20´は、左右サイドフレーム21´、21´のフレーム係止部21a´が着用者の頬と非接触の状態となるように湾曲した前方凸状に形成している。そのため、マスク本体11を装着した際に、マスク本体11の裏面とマスク装着者の頬との間には、マスク本体11内部の空気の流通を可能とする通気孔21c´、21c´(図15(a)、(b)参照)が左右それぞれ形成される。
これにより、マスク本体11とマスク着用者の鼻孔および口元の間に形成された呼吸用空間B内の空気を当該空間内外に流通することができ、当該空間内外の温湿度を略同一の状態に維持することができる。呼吸用空間B内外の温湿度を略同一の状態に維持することでマスク10を着用した状態にもかかわらず暑苦しさや息苦しさを感じることがない。
【0041】
また、左右のサイドフレーム21´、21´は、図7に示すように、上端部間および下端部間をそれぞれ上縁フレーム23´および下縁フレーム24´で連結している。
【0042】
上縁フレーム23´は、図7及び図9に示すように、正面視略水平形状で平面視略二等辺三角形状に構成している。上縁フレーム23´は、二等辺三角形状の斜辺23a´、23b´がマスク着用者の鼻筋に沿う形態となるように構成している。これにより、上縁フレーム23´の頂部近傍及び斜辺23a´、23b´が保型フレーム20´着用者の鼻筋に沿って装着され、上縁フレーム23´および着用者の鼻筋との間が密着された状態となり呼吸用空間Bの空気が上縁フレーム23´近傍から漏れ出る虞がない。
【0043】
下縁フレーム24´は、図7及び図10に示すように、正面視略水平形状で底面視略U字形状に構成している。下縁フレーム24´は、U字形状の左右下端部がマスク着用者の顎に接触するように構成している。これにより、下縁フレーム24´の頂部近傍が保型フレーム20´着用者の顎下部と非接触状態となり、通気孔24c´(図15(a)、(b)参照)が形成される。
【0044】
通気孔24c´は、保型フレーム20´の内側に形成される呼吸用空間Bと、呼吸用空間Bの外部とを連通している。これにより、呼吸用空間Bに通気孔24c´から空気を流入させて呼吸用空間Bと呼吸用空間Bの外部とを略同一の温湿度状態にでき、マスク着用者は、マスク10を着用していない状態と同様に楽に呼吸や会話ができる。
【0045】
また、下縁フレーム24´と左右のサイドフレーム21´、21´との連結部近傍には、図7に示すように、保型フレーム20´の内側に開口を有する略コ字形状に形成した左右のサイドフレーム部21b´、21b´を設けている。マスク本体11は、図14に示すように、下端縁部を左右のサイドフレーム部21b´、21b´に係合固定できる。これにより、マスク本体11は、保型フレーム20との位置関係が固定され、マスク10の着用時に鼻孔および口元の前方にマスク本体11が位置して呼吸時や会話時の飛沫の飛散を確実に防止できる効果がある。
【0046】
保型フレーム20´は、上述のように構成されており、上縁フレーム23´の斜辺23a´、23b´がマスク着用者の鼻筋に係合固定されることで下方向への移動が規制されるとともに、下縁フレーム24´の左右下端部がマスク着用者の顎の左右にそれぞれ接触することで保型フレーム20´の左右方向への移動が規制され、保型フレーム20´を着用者の肌に固定できる。
【0047】
また、保型フレーム20´は、上縁フレーム23´とマスク着用者の鼻筋とを密着した形態としたため、マスク上縁部からの飛沫の侵入を防止できる。
また、保型フレーム20´は、上述のように左右のサイドフレーム21´、21´とマスク着用者の頬との間に形成される通気孔21c´と、下縁フレーム24´とマスク着用者の顎との間に形成される通気孔24c´を有し、呼吸用空間Bの空気を当該2つの通気孔21c´、24c´を通じて流通することができ、呼吸用空間Bと周囲環境との温湿度を略同一の状態にできる。これにより、マスク本体11内側の環境がマスク10を装着していない状態と略同一の状態に維持でき、マスク10を装着した状態でも呼吸や会話がしやすい状態を生起できる。なお、図15(b)に図示した破線の白抜き矢印は、第2の実施例におけるマスク内を流通する空気の流通経路A´を示している。
【0048】
次に、上述した保型フレーム20を利用してマスク10を着用する手順について図11(a)~図11(c)を参照して説明する。なお、図11(a)~(c)は、保型フレーム20の背面側から見た図であり、また、マスク10の装着手順は、第1の実施例における保型フレーム20を参照して説明する。
【0049】
まず、図11(a)に示すように、保型フレーム20の正面にマスク10を配置し、メインフレーム22の前面にマスク本体11の裏面を接触させる。
【0050】
次に、図11(b)に示すように、マスク本体11の表面を左右いずれかのサイドフレーム21の裏面に接触させる(図11(b)では、マスク本体11の左側をサイドフレーム21の裏面に接触している)。
【0051】
次に、図11(c)に示すように、サイドフレーム21の裏面に接触していない反対側のマスク本体11の表面をサイドフレーム21の裏面に接触させる(図11(c)では、マスク本体11の右側をサイドフレーム21の裏面に接触している)。
【0052】
次に、図12に示すように、マスク10と保型フレーム20とを一体とし、マスク本体11の左右両端部にU字状に連結した左右の耳掛け紐体12、12をマスク10装着者の耳部に引掛ける。これにより、図13(a)、(b)に示すように、鼻筋および口元の前方に呼吸用空間Bを形成するとともに、メインフレーム22で呼吸用空間Bを維持しつつ、保型フレーム20内に流通経路Aを形成することができる。
【0053】
本発明の一実施の形態を説明したが、上述した説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 マスク
11 マスク本体
11a 上縁部
12 耳掛け紐体
20、20´ 保型フレーム
21、21´ サイドフレーム
21a、21a´ フレーム係止部
21b、21b´ サイドフレーム部
21c、21c´ 通気孔
22、22´ メインフレーム
23、23´ 上縁フレーム
23a 通気孔
23a´、23b´ 斜辺
24、24´ 下縁フレーム
24a、24b 斜辺
24c、24c´ 通気孔
A、A´ 流通経路
B 呼吸用空間

図1
図2
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