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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】入力信号補正装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G09G3/20 680H
G09G3/20 642K
G09G3/20 642A
G09G3/20 611A
G09G3/20 612K
G09G3/20 650J
G09G3/20 632Z
G09G3/20 641P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020162200
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2021152633
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2020052410
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503193351
【氏名又は名称】株式会社イクス
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】畠中 真
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 美英
(72)【発明者】
【氏名】初田 良平
(72)【発明者】
【氏名】仙田 哲理
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-094338(JP,A)
【文献】特開2007-199683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0257915(US,A1)
【文献】国際公開第2018/016745(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R、G、Bのサブピクセルの数が、少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:N(Nは2以上の整数)で不均等な表示パネルについて、入力信号を補正する入力信号補正装置であって、
動作周波数fで動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路と、
動作周波数fで動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記少数のサブピクセルに関する第1の入力信号の周期をN倍にして第1の前処理信号を出力する拡張回路と、
動作周波数fで動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記多数のサブピクセルに関する第2の入力信号を1/Nに縮退させて第2の前処理信号を前記第1の前処理信号と略同時に出力する縮退回路と、
動作周波数f/Nで動作し、前記第1の前処理信号を補正して第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を補正して第2の補正信号を出力する補正回路と、
動作周波数fで動作し、前記第1の補正信号の周期を1/Nにして第1の差分信号を出力する分離回路と、
動作周波数fで動作し、前記第2の補正信号の周期を1/NにするとともにN周期にわたって同一の第2の差分信号を出力する復元回路と、
動作周波数fで動作し、前記第1の入力信号を遅延させて第1の遅延信号を出力するとともに、前記第2の入力信号を遅延させて第2の遅延信号を出力する遅延調整回路と、
前記第1の遅延信号に前記第1の差分信号を加算するとともに、前記第2の遅延信号に前記第2の差分信号を加算する加算回路とを備えることを特徴とする入力信号補正装置。
【請求項2】
前記入力回路、前記拡張回路、前記縮退回路、前記分離回路、前記復元回路及び前記遅延調整回路に入力される動作周波数fのクロック信号を生成するクロック回路と、
前記補正回路に入力される動作周波数f/Nのクロック信号を前記動作周波数fのクロック信号を分周して生成する分周回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載の入力信号補正装置。
【請求項3】
R、G、Bのサブピクセルの数が、少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:N(Nは2以上の整数)で不均等な表示パネルについて、入力信号を補正する入力信号補正装置であって、
周波数fのクロック信号で動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路と、
前記クロック信号で動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記少数のサブピクセルに関する第1の入力信号の周期をN倍にして第1の前処理信号を出力する拡張回路と、
前記クロック信号で動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記多数のサブピクセルに関する第2の入力信号を1/Nに縮退させて第2の前処理信号を前記第1の前処理信号と略同時に出力する縮退回路と、
前記クロック信号で動作するとともに前記クロック信号の有効・無効を周波数f/Nで切り替えるクロックイネーブル信号が入力され、前記第1の前処理信号を補正して第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を補正して第2の補正信号を出力する補正回路と、
前記クロック信号で動作し、前記第1の補正信号の周期を1/Nにして第1の差分信号を出力する分離回路と、
前記クロック信号で動作し、前記第2の補正信号の周期を1/NにするとともにN周期にわたって同一の第2の差分信号を出力する復元回路と、
前記クロック信号で動作し、前記第1の入力信号を遅延させて第1の遅延信号を出力するとともに、前記第2の入力信号を遅延させて第2の遅延信号を出力する遅延調整回路と、
前記第1の遅延信号に前記第1の差分信号を加算するとともに、前記第2の遅延信号に前記第2の差分信号を加算する加算回路とを備えることを特徴とする入力信号補正装置。
【請求項4】
前記クロック信号を生成するクロック回路と、
前記クロックイネーブル信号を前記クロック信号に基づいて生成するクイックイネーブル回路とを備えることを特徴とする請求項3に記載の入力信号補正装置。
【請求項5】
前記補正回路は、前記第1の前処理信号を前記表示パネルのムラを低減させるように補正して前記第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を前記表示パネルのムラを低減させるように補正して前記第2の補正信号を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の入力信号補正装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R、G、Bのサブピクセルの数が不均等な表示パネルについて、入力信号を補正する入力信号補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、R、G、Bのサブピクセルの数が不均等なペンタイル構造(「PENTILE」(ペンタイル)は登録商標)とも呼ばれるLCD、OLED、マイクロLED等の表示パネルが知られている。このような構造の表示パネルでは、少ないサブピクセルで解像度を確保することができ、最近ではスマートフォンのディスプレイ等に多く採用されている。
【0003】
図6に示すように、RGBGのピクセル構造を有する表示パネル1において、第1のピクセルPがRのサブピクセルP1RとGのサブピクセルP1Gとを含み、第2のピクセルPがBのサブピクセルP2BとGのサブピクセルP2Gとを含み、第(2k+1)(kは1以上の整数)のピクセルP(2k+1)がRのサブピクセルP(2k+1)RとGのサブピクセルP(2k+1)Gとを含み、第(2k+2)のピクセルP(2k+2)がBのサブピクセルP(2k+2)BとGのサブピクセルP(2k+2)Gとを含み、この表示パネル1が、そのパネル本体がハードウェアとしてムラを生じるものであっても、入力された画像信号をソフトウェアでムラ消し(デムラ)をする(ムラを減殺する)ように補正してパネル本体に出力するために、図7に示すような入力信号補正装置2を有することがある。
【0004】
入力信号補正装置2は、動作周波数fで動作し、R、G、Bの入力信号(画像信号)が入力される入力回路3と、動作周波数fで動作し、入力回路3に入力されたR、G、Bの入力信号のうちRのサブピクセルに関する入力信号Ri、Bのサブピクセルに関する入力信号Biの周期を2倍に拡張して前処理信号RiA,BiAを出力する拡張回路4と、動作周波数fで動作し、入力回路3に入力されたR、G、Bの入力信号のうちGのサブピクセルに関する入力信号Giを遅延させ、拡張回路4からの前処理信号RiA,BiAの出力と略同時に前処理信号GiAを出力する遅延回路5と、動作周波数fで動作し、前処理信号RiA,BiA,GiAを補正して補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoを出力するデムラ回路6と、動作周波数fで動作し、入力信号Ri,Bi,Giを遅延させて遅延信号RiD,BiD,GiDを出力する遅延調整回路7と、遅延信号RiD,BiD,GiDに補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoを加算して出力信号Ro,Bo,Go(Ro=RiD+ΔRo、Bo=BiD+ΔBo、Go=GiD+ΔGo)を出力する加算回路8と、入力回路3、拡張回路4、遅延回路5、デムラ回路6及び遅延調整回路7に入力される動作周波数fのクロック信号を生成するクロック回路9とを備え、特許文献2に記載のように、パネル本体に入力信号Ri,Bi,Giがそのまま入力されるのではなく出力信号Ro,Bo,Goが入力されることによって、パネル本体のムラ補正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4647213号公報
【0006】
【文献】特許第6220674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、嘗ては、入力信号補正装置によるムラ補正性能が技術競争力上重要であったが、表示パネルの性能向上が著しい近年においては、消費電力の低減が差別化のポイントになってきている。特に、スマートフォン等のモバイル機器ではディスプレイサイズが大型化してプロセッサも高速化しているので、バッテリーを消耗しやすく、表示パネルに関する消費電力の低減が課題となっている。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、消費電力を低減可能な入力信号補正装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、R、G、Bのサブピクセルの数が、少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:N(Nは2以上の整数)で不均等な表示パネルについて、入力信号を補正する入力信号補正装置であって、動作周波数fで動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路と、動作周波数fで動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記少数のサブピクセルに関する第1の入力信号の周期をN倍にして第1の前処理信号を出力する拡張回路と、動作周波数fで動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記多数のサブピクセルに関する第2の入力信号を1/Nに縮退させて第2の前処理信号を前記第1の前処理信号と略同時に出力する縮退回路と、動作周波数f/Nで動作し、前記第1の前処理信号を補正して第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を補正して第2の補正信号を出力する補正回路と、動作周波数fで動作し、前記第1の補正信号の周期を1/Nにして第1の差分信号を出力する分離回路と、動作周波数fで動作し、前記第2の補正信号の周期を1/NにするとともにN周期にわたって同一の第2の差分信号を出力する復元回路と、動作周波数fで動作し、前記第1の入力信号を遅延させて第1の遅延信号を出力するとともに、前記第2の入力信号を遅延させて第2の遅延信号を出力する遅延調整回路と、前記第1の遅延信号に前記第1の差分信号を加算するとともに、前記第2の遅延信号に前記第2の差分信号を加算する加算回路とを備えることを特徴とする。
【0010】
この入力信号補正装置は、前記入力回路、前記拡張回路、前記縮退回路、前記分離回路、前記復元回路及び前記遅延調整回路に入力される動作周波数fのクロック信号を生成するクロック回路と、前記補正回路に入力される動作周波数f/Nのクロック信号を前記動作周波数fのクロック信号を分周して生成する分周回路とを備えていてもよい。
【0011】
あるいは、本発明は、R、G、Bのサブピクセルの数が、少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:N(Nは2以上の整数)で不均等な表示パネルについて、入力信号を補正する入力信号補正装置であって、周波数fのクロック信号で動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路と、前記クロック信号で動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記少数のサブピクセルに関する第1の入力信号の周期をN倍にして第1の前処理信号を出力する拡張回路と、前記クロック信号で動作し、前記入力回路に入力されたR、G、Bの入力信号のうち前記多数のサブピクセルに関する第2の入力信号を1/Nに縮退させて第2の前処理信号を前記第1の前処理信号と略同時に出力する縮退回路と、前記クロック信号で動作するとともに前記クロック信号の有効・無効を周波数f/Nで切り替えるクロックイネーブル信号が入力され、前記第1の前処理信号を補正して第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を補正して第2の補正信号を出力する補正回路と、前記クロック信号で動作し、前記第1の補正信号の周期を1/Nにして第1の差分信号を出力する分離回路と、前記クロック信号で動作し、前記第2の補正信号の周期を1/NにするとともにN周期にわたって同一の第2の差分信号を出力する復元回路と、前記クロック信号で動作し、前記第1の入力信号を遅延させて第1の遅延信号を出力するとともに、前記第2の入力信号を遅延させて第2の遅延信号を出力する遅延調整回路と、前記第1の遅延信号に前記第1の差分信号を加算するとともに、前記第2の遅延信号に前記第2の差分信号を加算する加算回路とを備えることを特徴とする。
【0012】
この入力信号補正装置は、前記クロック信号を生成するクロック回路と、前記クロックイネーブル信号を前記クロック信号に基づいて生成するクイックイネーブル回路とを備えていてもよい。
【0013】
さらに、前記補正回路は、前記第1の前処理信号を前記表示パネルのムラを低減させるように補正して前記第1の補正信号を出力するとともに、前記第2の前処理信号を前記表示パネルのムラを低減させるように補正して前記第2の補正信号を出力してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る入力信号補正装置によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】発明を実施するための形態に係る入力信号補正装置を示すブロック図である。
図2図1の入力信号補正装置が適用される表示パネルのパネル本体を示す説明図である。
図3図1の入力信号補正装置の入力回路、拡張回路、縮退回路、デムラ回路、分離回路、復元回路及び加算回路における出力を示す説明図である。
図4】発明を実施するための形態に係る他の入力信号補正装置を示すブロック図である。
図5図4の入力信号補正装置の入力回路、拡張回路、縮退回路、デムラ回路、分離回路、復元回路及び加算回路における出力を示す説明図である。
図6】RGBGのピクセル構造を有する表示パネルのパネル本体を示す説明図である。
図7】従来の入力信号補正装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本形態に係る入力信号補正装置を示す。この入力信号補正装置10は、表示パネル1と同様にRGBGのピクセル構造を有する図2に示す表示パネル11において、入力された画像信号にあらかじめ取得したムラ信号の極性と反転した信号を重畳し、パネル本体のムラをキャンセリングする。
【0018】
表示パネル11のパネル本体は、Rのサブピクセル及びGのサブピクセルからなるピクセルと、Bのサブピクセル及びGのサブピクセルからなるピクセルとが横方向及び縦方向に交互に配列されてなり、詳しくは、第1のピクセルPがRのサブピクセルP1RとGのサブピクセルP1Gとを含み、第2のピクセルPがBのサブピクセルP2BとGのサブピクセルP2Gとを含み、第(2k+1)のピクセルP(2k+1)がRのサブピクセルP(2k+1)RとGのサブピクセルP(2k+1)Gとを含み、第(2k+2)のピクセルP(2k+2)がBのサブピクセルP(2k+2)BとGのサブピクセルP(2k+2)Gとを含む。
【0019】
また、入力信号補正装置10は、入力回路12と、拡張回路13と、縮退回路14と、デムラ回路15と、分離回路16と、復元回路17と、遅延調整回路18と、加算回路19と、クロック回路20と、分周回路21とを備える。
【0020】
入力回路12は、動作周波数fで動作し、R、G、Bの入力信号(画像信号)が入力されて拡張回路13に出力する。
【0021】
拡張回路13は、動作周波数fで動作し、入力回路12に入力されたR、G、Bの入力信号のうちRのサブピクセルに関する入力信号Ri、Bのサブピクセルに関する入力信号Biの周期を2倍に拡張して前処理信号RiA,BiAを出力する。
【0022】
すなわち、図3に示すように、拡張回路13には、例えば第1のピクセルPのRのサブピクセルP1Rに関する信号R1が1周期目で入力され、2周期目では第2のピクセルPのRのサブピクセルに関する信号が存在しないので入力されず、拡張回路13では、1周期目の信号R1を2周期に拡張した前処理信号RiAが生成される。
【0023】
また、拡張回路13には、2周期目で第2のピクセルPのBのサブピクセルP2Bに関する信号B2が入力され、拡張回路13では、その信号B2に対して1周期目にデータのないダミー信号を付加した前処理信号BiAが生成される。
【0024】
縮退回路14は、動作周波数fで動作し、入力回路12に入力されたR、G、Bの入力信号のうちGのサブピクセルに関する入力信号Giを縮退させ、拡張回路13からの前処理信号RiA,BiAの出力と略同時に前処理信号GiAを出力する。ここで、「縮退」とは、X画素のデータを加算平均値、加重平均値、中心値等を求めることによりY画素(Y<X)のデータに変換することで、縮退回路14には、1周期目で第1のピクセルPのGのサブピクセルP1Gに関する信号G1が入力されるとともに、2周期目で第2のピクセルPのGのサブピクセルP2Gに関する信号G2が入力され、縮退回路14では、信号G1と信号G2とを加算平均した信号(G1+G2)/2を2周期目に配して1周期目にダミー信号を付加した前処理信号GiAが生成される。
【0025】
デムラ回路15は、動作周波数f/2で動作し、前処理信号RiA,BiA,GiAを補正して補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoを出力する。すなわち、デムラ回路15には、前処理信号RiA,BiA,GiAの2周期目である信号R1,B2,(G1+G2)/2が入力され、デムラ回路15では、その信号R1,B2,(G1+G2)/2がデムラ回路15に記憶された補正データに基づいて補正されることにより、補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoとして信号ΔRo1,ΔBo2,ΔGo12が生成される。このとき、デムラ回路15の動作周波数はf/2であるので、補正信号ΔRo1,ΔBo2,ΔGo12の信号長は2倍(2周期分)になる。
【0026】
分離回路16は、動作周波数fで動作し、補正信号ΔRo,ΔBoの周期を1/2にして差分信号ΔRoR,ΔBoRを出力する。すなわち、分離回路16には、補正信号ΔRoとして信号ΔRo1が1周期目で入力されるとともに、補正信号ΔBoとして信号ΔBo2が2周期目で入力され、分離回路16では、信号ΔRo1に対して2周期目にダミー信号を付加して信号ΔRo1を1周期目に分離した信号ΔRoR1が生成されるとともに、信号ΔBo2に対して1周期目にダミー信号を付加して信号ΔBo2を2周期目に分離した信号ΔBoR2が生成される。
【0027】
復元回路17は、動作周波数fで動作し、補正信号ΔGoの周期を1/2にするとともに2周期にわたって同一の差分信号ΔGoRを出力する。すなわち、復元回路17には、補正信号ΔGoとして信号ΔGo12が1周期目で入力され、復元回路17では、信号ΔGo12が2周期目にもコピーされて入力信号Giと同様に2周期(第1のピクセルPのGのサブピクセルP1Gに関する信号及び第2のピクセルPのGのサブピクセルP2Gに関する信号)に復元され、信号ΔGoR12が生成される。
【0028】
遅延調整回路18は、動作周波数fで動作し、入力信号Ri,Bi,Giを遅延させて遅延信号RiD,BiD,GiDを出力するもので、遅延調整回路18では、信号R1,B1,G1が入力されると、信号R1,B1,G1が遅延した信号RiD1,BiD1,GiD1が生成される。
【0029】
加算回路19は、遅延信号RiD,BiD,GiDに差分信号ΔRoR,ΔBoR,ΔGoRを加算して出力信号Ro,Bo,Go(Ro=RiD+ΔRoR、Bo=BiD+ΔBoR、Go=GiD+ΔGoR:なお、差分信号ΔRoR,ΔBoR,ΔGoRは正の場合も負の場合もある。)を出力するもので、加算回路19では、信号RiD1に信号ΔRo1が加算されて信号Ro1が生成され、信号BiD2に信号ΔBo2が加算されて信号Bo2が生成され、信号GiD1に信号ΔGo12が加算されて信号Go1が生成され、信号GiD2に信号ΔGo12が加算されて信号Go1が生成される。
【0030】
クロック回路20は、入力回路12、拡張回路13、縮退回路14、分離回路16、復元回路17及び遅延調整回路18に入力される動作周波数fのクロック信号を生成し、分周回路21は、デムラ回路15に入力される動作周波数f/2のクロック信号を動作周波数fのクロック信号を2分周して生成する。
【0031】
本形態に係る入力信号補正装置10は、動作周波数fで動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路12と、動作周波数fで動作し、入力回路12に入力されたR、G、Bの入力信号のうちRのサブピクセルに関する入力信号Ri、Bのサブピクセルに関する入力信号Biの周期を2倍にして前処理信号RiA,BiAを出力する拡張回路13と、動作周波数fで動作し、入力回路2に入力されたR、G、Bの入力信号のうちGのサブピクセルに関する入力信号Giを縮退させ(ここでは、平均化し)、拡張回路13から出力される前処理信号RiA,BiAと略同時に前処理信号GiAを出力する縮退回路14と、動作周波数f/2で動作し、前処理信号RiA,BiA,GiAを補正して補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoを出力するデムラ回路15と、動作周波数fで動作し、補正信号ΔRo,ΔBoの周期を1/2にして差分信号ΔRoR,ΔBoRを出力する分離回路16と、動作周波数fで動作し、補正信号ΔGoの周期を1/2にするとともに2周期にわたって同一の差分信号ΔGoを出力する復元回路17と、動作周波数fで動作し、入力信号Ri,Bi,Giを遅延させて遅延信号RiD,BiD,GiDを出力する遅延調整回路18と、遅延信号RiD,BiD,GiDに差分信号ΔRoR,ΔBoR,ΔGoRを加算して出力信号Ro,Bo,Goを出力する加算回路19とを備え、縮退回路14により入力信号Giを1/2に縮退させることによって、デムラ回路15の動作周波数を1/2に落とすことができるので、デムラ(ムラ補正)に必要な消費電力をほぼ半減させることができる。
【0032】
図4は、本形態に係る他の入力信号補正装置を示す。この入力信号補正装置30は、表示パネル11において、入力された画像信号にあらかじめ取得したムラ信号の極性と反転した信号を重畳し、パネル本体のムラをキャンセリングするもので、入力信号補正装置10に対してデムラ回路15の動作が異なり、分周回路21の代わりにクロックイネーブル回路31を有するほかは、入力信号補正装置10と同様な構成を有する。
【0033】
入力信号補正装置30において、クロックイネーブル回路31は、クロック回路20で生成された周波数fのクロック信号に基づいて、クロック信号の有効・無効を周波数f/Nで切り替えるクロックイネーブル信号を生成し、これをデムラ回路15に出力する。
【0034】
デムラ回路15は、図5に示すように、クロック回路20で生成された周波数fのクロック信号で動作するとともに、クロックイネーブル回路31で生成されたクロックイネーブル信号が入力され、入力信号補正装置10における場合と同様に、デムラ回路15には、前処理信号RiA,BiA,GiAの2周期目である信号R1,B2,(G1+G2)/2が、クロックイネーブル信号がHighのタイミング(このとき、クロック信号が有効(イネーブル)となり、クロックイネーブル信号がLowのときには、クロック信号が無効(ディスイネーブル)となる。)で入力される。デムラ回路15では、その信号R1,B2,(G1+G2)/2がデムラ回路15に記憶された補正データに基づいて補正されることにより、補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoとして信号ΔRo1,ΔBo2,ΔGo12が生成される。
【0035】
この入力信号補正装置30は、周波数fのクロック信号で動作し、R、G、Bの入力信号が入力される入力回路12と、周波数fのクロック信号で動作し、入力回路12に入力されたR、G、Bの入力信号のうちRのサブピクセルに関する入力信号Ri、Bのサブピクセルに関する入力信号Biの周期を2倍にして前処理信号RiA,BiAを出力する拡張回路13と、周波数fのクロック信号で動作し、入力回路2に入力されたR、G、Bの入力信号のうちGのサブピクセルに関する入力信号Giを縮退させ、拡張回路13から出力される前処理信号RiA,BiAと略同時に前処理信号GiAを出力する縮退回路14と、周波数fのクロック信号で動作するとともにクロック信号の有効・無効を周波数f/2で切り替えるクロックイネーブル信号が入力され、前処理信号RiA,BiA,GiAを補正して補正信号ΔRo,ΔBo,ΔGoを出力するデムラ回路15と、周波数fのクロック信号で動作し、補正信号ΔRo,ΔBoの周期を1/2にして差分信号ΔRoR,ΔBoRを出力する分離回路16と、周波数fのクロック信号で動作し、補正信号ΔGoの周期を1/2にするとともに2周期にわたって同一の差分信号ΔGoを出力する復元回路17と、周波数fのクロック信号で動作し、入力信号Ri,Bi,Giを遅延させて遅延信号RiD,BiD,GiDを出力する遅延調整回路18と、遅延信号RiD,BiD,GiDに差分信号ΔRoR,ΔBoR,ΔGoRを加算して出力信号Ro,Bo,Goを出力する加算回路19とを備え、縮退回路14により入力信号Giを1/2に縮退させること及びデムラ回路15にクロックイネーブル信号が入力することによって、デムラ回路15の動作を入力信号補正装置10と等価にすることができ、デムラに必要な消費電力を低減させることができる。
【0036】
以上、本発明を実施するための形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0037】
例えば、入力信号補正装置が適用される表示パネルのパネル本体はRGBGのピクセル構造を有するものに限られず、RのサブピクセルとBのサブピクセルとを含むピクセル及びGのサブピクセルとBのサブピクセルとを含むピクセルが組み合わされてなるRBGBのピクセル構造を有していても、GのサブピクセルとRのサブピクセルとを含むピクセル及びGのサブピクセルとRのサブピクセルとを含むピクセルが組み合わされてなるRBRGのピクセル構造を有していてもよい。
【0038】
また、R、G、Bのサブピクセルの数が、少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:2を充足することも必須ではなく、例えば少数のサブピクセルの数:多数のサブピクセルの数=1:3として、縮退回路で多数のサブピクセルについての信号を1/2ではなく1/3に縮退させ、分周回路を2分周回路ではなく3分周回路としてもよい。
【0039】
さらに、入力信号の補正はムラ補正を目的とするものに限られず、本発明に係る入力信号補正装置はどのような補正を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 入力信号補正装置
11 表示パネル
12 入力回路
13 拡張回路
14 縮退回路
15 デムラ回路(補正回路)
16 分離回路
17 復元回路
18 遅延調整回路
19 加算回路
20 クロック回路
21 分周回路
30 入力信号補正装置
31 クロックイネーブル回路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7