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  • 特許-殺菌装置セット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】殺菌装置セット
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20240402BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20240402BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020214333
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022055279
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2020162730
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520376786
【氏名又は名称】芝山 宗昭
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】芝山 宗昭
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-313706(JP,A)
【文献】米国特許第05612001(US,A)
【文献】特開2006-026239(JP,A)
【文献】特開2000-140086(JP,A)
【文献】特開2015-006220(JP,A)
【文献】特開平08-266605(JP,A)
【文献】特開平06-078974(JP,A)
【文献】特開2022-036611(JP,A)
【文献】独国実用新案第202020105873(DE,U1)
【文献】国際公開第2017/043357(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1611953(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0124646(KR,A)
【文献】特表2016-530918(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109331214(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
F24F 8/00 - 8/99
A61L 2/00 - 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
この筐体の上部に設けられた吸引部と、
この吸引部から気体を前記筐体内に吸引させる気体移送部と、
前記吸引された気体に紫外線を照射して殺菌する紫外線照射部と、
前記紫外線が照射された気体を前記筐体の下部から排出する排出部と、
を有する殺菌装置と、
前記筐体を縦向きに保持する、高さの異なるいくつかのスタンドと、
を具備し、
前記筐体は、筒状に形成され、
前記紫外線照射部は、前記吸引部と前記排出部との間に設けられ、
前記気体移送部は、前記吸引部と前記紫外線照射部との間に設けられ、
前記スタンドは、上部に前記筐体の下端を嵌め込み支持する構成とした、
ことを特徴とする殺菌装置セット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌装置セットに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今は、ウイルスの流行により、演劇、テレビ局、住宅、オフィス、ビル、公共施設、病院及び介護施設等においても、感染症対策が求められている。
【0003】
その対策として、空気を吸収・浄化・排出する在来製品がすでに存在しているが、病院待合室内など、静かに会話する状況下で使われている。
【0004】
また、ウイルス対策としては、例えば、室内における細菌やウイルスの悪影響防止に紫外線などを用いて細菌やウイルスを殺菌する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1のものは、筐体内部に紫外線を照射する光源と、この光源からの紫外線光を絞る部材と、ファン等を備えた室内殺菌装置を室内の壁に取り付け、室内の下方の空気を上方に移動させて上方における紫外線の照射により、殺菌することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-150668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、たとえば舞台では、パフォーマー(吹奏者、歌唱者、演劇者及び座談者等)が出す吐気は、熱演の度合いにもよるが、最大で1分間あたり3万cc(0.03〔m〕)である。過大な吐気を排出するパフォーマーが存在した場合には従来製品は有効ではない。
【0008】
すなわち、特許文献1のものは、室内全体を殺菌する構成であるため、紫外線を用いていても、舞台で局所的に大量の吐気を発するパフォーマーの近傍に浮遊する細菌およびウイルス等の対策については効果が限定的であり低い。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、たとえば歌唱者や吹奏者や談話者などが居る局所的な空間において効果的な除菌が行える殺菌装置セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る殺菌装置セットは、筐体と、この筐体の上部に設けられた吸引部と、この吸引部から気体を前記筐体内に吸引させる気体移送部と、吸引された気体に紫外線を照射して殺菌する紫外線照射部と、紫外線が照射された気体を筐体の下部から排出する排出部と、を有する殺菌装置と、筐体を縦向きに保持する、高さの異なるいくつかのスタンドとを具備し、筐体は、筒状に形成され、紫外線照射部は、吸引部と排出部との間に設けられ、気体移送部は、吸引部と紫外線照射部との間に設けられ、スタンドは、上部に筐体の下端を嵌め込み支持する構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、たとえば歌唱者や吹奏者や談話者などのパフォーマーが居る局所的な空間において効果的な除菌が行え、しかも、吸引部12がパフォーマーの口の高さ付近になるような高さにでき、起立したパフォーマーAでも、着座したパフォーマーAでも、対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の実施形態に係る殺菌装置セットを示す外観図である。
図2】同殺菌装置セットにおける殺菌装置の透視図である。
図3】同殺菌装置セットの他の使用例を示す図である。
図4同殺菌装置セットを用いた殺菌システムを示す概略構成図である。
図5】同殺菌システムで用いる紫外線灯装置の詳細構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0017】
本発明に係る殺菌装置セットは、図1に示すように、殺菌装置10を備え、この殺菌装置10は、たとえば舞台(吹奏者、歌唱者、演劇者及び座談者等がいる舞台)上のパフォーマー(吹奏者、歌唱者、演劇者及び座談者等)Aなどに対し個別対応設置型であり、舞台上、パフォーマーAの主な定位置に対して、1m以内に接近して配置するのが好ましい。この場合、可能であれば、人数分配置するのが好ましい。
【0018】
また、この殺菌装置は、毎分0.3〔m〕以上の吸引力を持ち、1〔m〕当たり70ジュール(公称出力評価)以上、40ジュール(殺菌線出力評価)以上の殺菌線量を持つことが好ましい。
【0019】
さらに、この殺菌装置10は、たとえば、高さHが1.2〔m〕~1.6〔m〕程度(パフォーマーAの口付近の高さ程度)の円筒型で内径が15〔cm〕程度(13〔cm〕~18〔cm〕:好ましくは15〔cm〕)で重さが4〔Kg〕程度に構成されている。
【0020】
すなわち、この殺菌装置10は、高さが90〔cm〕~130〔cm〕程度で内径が15〔cm〕程度の円筒型で移動可能な筐体14を有している。
【0021】
筐体14は、軽量化のためにプラスチック、アクリル、硬質紙、アルミ等の材質で構成するのが好ましい。
【0022】
また、筐体14には、操作部(図示せず)を覆った開閉カバー16が設けられている。
【0023】
また、本発明に係る殺菌装置セットは、高さが30〔cm〕程度のスタンド15を有し、このスタンド15は、アルミ枠で下方に拡径するラッパ状に形成され、上部に筐体14の下端が嵌め込まれて支持されることにより、筐体14を縦向きに保持し、かつ倒れ難い状態に保持するようになっている。
【0024】
また、このスタンド15は、後述する吸引部12の高さを設定するもので、吸引部12がパフォーマーAの口の高さ付近になるような高さに形成されている。
【0025】
すなわち、高さの異なるスタンド15をいくつか用意しておくことにより、起立したパフォーマーAでも、着座したパフォーマーAでも、対応することが可能となっている。
【0026】
また、上述の殺菌装置10の筐体14の上側には、吐気を含む空気を内部に取入れるための複数の空気取入口12aを有する吸引部12が設けられている。
【0027】
なお、吸引部12は、吐気の20倍量の空気(たとえば0.6〔m〕)を吸い込むことができることが好ましい。また、吸引部12の材質は軽量化のためにプラスチック、アクリル等が好ましい。
【0028】
さらに、筐体14の下側には、複数の空気排出口(排出部)20aを有する排出側保持部20が設けられている。
【0029】
さらに、図2に示すように、筐体14内には、殺菌灯(紫外線照射部)40が設けれ、排出保持部20は、この殺菌灯40を保持するようになっている。
【0030】
なお、排出側保持部20は、プラスチック、アクリル、紙、ファイバー、アルミ等の材質で円筒型に形成されている。
【0031】
また、排出側保持部20の空気排出口20a上には、紫外線爆露防止用の下側シェード21が設けられ、この下側シェード21の直ぐ下には、下側ソケット22が設けられている。
【0032】
この下側ソケット22は、フック(図示せず)によって排出側保持部20に固定されている。
【0033】
一方、筐体14の上側には、吸引側保持部30が設けられている。
【0034】
吸引側保持部30は円筒型であり、上側に吸引ファン部31とファンモータ32等よりなる気体移送部33がはめ込まれている。ファンモータ32には、制御部34が接続されている。なお、吸引ファン部31の吸引量は、たとえば毎分0.6〔m〕~1.2〔m〕程度に設定されている。
【0035】
そして、吸引側保持部30の下面には、紫外線爆露防止用の上側シェード35が設けられている。
【0036】
さらに、上側シェード35と制御部34との間には上側ソケット36が設けられている。この上側ソケット36は、下側と同様に、フック(図示せず)によって吸引側保持部30の周壁に固定されている。
【0037】
そして、上側ソケット36と下側ソケット22とで、たとえば長さ30〔cm〕~90〔cm〕で径が2〔cm〕~5〔cm〕の直線状の殺菌灯40を嵌め込む構造となっている。殺菌灯40はたとえば20W~40W程度で、好ましくは20Wである。
【0038】
また、円筒型の筐体14の殺菌灯40に対向する内壁には、薄いアルミ42が貼り付けられている。これにより、紫外線を反射し、ウイルス及び細菌を効果的に死滅させることができる。
【0039】
さらに、上側ソケット36と下側ソケット22とには、殺菌灯40用の電源コード(図示せず)が接続されている。電源はAC又紫外線灯が直流型の場合は、バッテリからの電源コードが接続される。バッテリは内部に設けるのが好ましい。
【0040】
このような構成において、制御部34は、図示しない、操作部の電源オンオフスイッチSWで各部を起動状態にし、吸引オンオフスイッチSWでファン部31を駆動させて、パフォーマーAの吐気を吸引孔部12の複数の吐気取入口12aを介して内部に吸収し、殺菌灯40側に流入させ、殺菌灯40に沿って流動させ(矢印AR方向)、この殺菌灯40から照射された紫外線で殺菌する。
【0041】
殺菌された空気は、筐体14の排出側保持部20の複数の空気排出口(排出部)20aから排出される(図1参照)。
【0042】
すなわち、パフォーマーAから吐き出される、最大で1分間あたり3万〔cc〕(0.03〔m〕)の吐気が、その20倍量の0.6〔m〕の空気と共に円筒型本体部14に吸引されて、殺菌されて排出されることになる。
【0043】
なお、演目の種類や、演者と装置の近接度に応じて、上記の0.5倍ないし2倍の吸引量でも良い。
【0044】
先行メーカーによる実験では、30〔W〕殺菌灯を内蔵する200〔mm〕直径筒内に毎分1.6〔m〕量の空気(コロナウィルスを含む)を通過させた場合に、99.9〔%〕死滅を確認している。
【0045】
本実施の形態の風量と筐体14の円筒直径により、空気の通過速度は90〔m〕毎秒と計算され、30〔W〕殺菌灯の長さ66〔cm〕では、「コロナウィルスは10〔cm〕以内の空間で、紫外線を1秒間以上照射されると死滅する」と言う結果が得られている。殺菌灯出力、照射面積、滞留時間などを結合した経験則として、「必要殺菌線量は70ジュール/〔m〕」と結論付けられる。
【0046】
当発明における装置は、20〔W〕蛍光灯、直径130〔cm〕円筒状筐体14、風量毎分0.6〔m〕を採用しているが、小型軽量であるので、パフォーマーAに近辺設置したとしても、違和感がない。さらに、筒状筐体14内の空気の通過速度は76〔cm〕毎秒で、殺菌灯出力は30〔W〕が20〔W〕と0.67倍に減じても、殺菌灯からの距離が0.65倍に減じられて同一照度となり、殺菌性能を同等に保っている。この場合の殺菌線量は80ジュール/〔m〕と計算される。
【0047】
なお、殺菌性能倍増を意図して、舞台上美観を損なわない範囲で、筒状筐体14の直径を15〔cm〕に増大する事、吸込み量を2倍の1.2〔m〕とすること、殺菌灯出力を40Wにする事などを否定するものではない。
【0048】
以上の構成によれば、パフォーマーAの気体としての吐気を殺菌装置10が内部に強制的に吸引し、この吸引空気を紫外線照射によって細菌などを死滅させ、排気することによって、個々のパフォーマーAが感染原因とならないようにすることができる。すなわち、局所的な空間において効果的な除菌が行える。
しかも、吸引部12がパフォーマーの口の高さ付近になるような高さにでき、起立したパフォーマーAでも、着座したパフォーマーAでも、対応することができる。
【0049】
また、パフォーマーの吐気をその直ぐ近くで紫外線殺菌するので、パフォーマー周辺の空間に浮遊する細菌およびウイルス等を殺菌できる。特に、舞台等で大量の吐気を発するパフォーマーが出す周辺の空間に浮遊する細菌およびウイルス等の対策については非常に効果がある。しかも、他のパフォーマーや観客の健康を害することなく、芸術文化活動の実施を可能にすることができる。
【0050】
次に、上記殺菌装置10の他の使用例を図3を参照しながら説明する。
【0051】
図3は、たとえば談話者などが居る局所的な空間である家庭の部屋に上記殺菌装置10を設置する例(たとえば、殺菌装置102~104)を示している。
【0052】
先ず、殺菌装置102は、テーブル121の傍に設置した場合である。この場合、殺菌装置103は、吸引部12の空気取入口12aは、着座したパフォーマーAの口の高さ付近(テーブル121の天板108の少し上付近)に位置するようになっている。この場合、高さが低いスタンド15を用いることにより、吸引部12の空気取入口12aが低い位置になるように設定される。
【0053】
次に、殺菌装置103は、吸引部12にダクト109が取り付けられている。
【0054】
このダクト109は、たとえば蛇腹などで屈曲可能で形成され、開口110が横向きや上向きなどに変えられるようになっている。図の使用態様では、開口110が天板108の上面近傍に位置するように屈曲されている。
【0055】
次に、殺菌装置104は、支持台111を備えている。この支持台111は、筐体14を回動可能に支持する回動軸112を有していて、筐体14を傾倒状態に保持できるようになっている。したがって、傾倒位置により吸引部12の向きおよび高さが変えられるように構成されている。
【0057】
また、他の使用例として、図4および図5に示すように、たとえば舞台上などにおいて、パフォーマーAの近辺に殺菌装置10を設置しても、パフォーマーAの呼気全てが吸引されるわけではなく、2~3割は取り逃がすものである。
【0058】
例えば、逸散した呼気は周辺温度よりも高温のため、頭上2〔m〕~4〔m〕、左右4〔m〕の空間内をゆっくりと浮遊する(1分以上留まる)。
【0059】
そこで、殺菌灯の四方側面及び底面を不透明板で囲い上側を開放したケースを、上向きに、舞台(FE)より、原則2〔m〕高さ(符号H2)に保持する。例えば、殺菌灯を左右の幅方向に2本、軸長方向の間隔を空けて左右幅方向に2本、合計で4本を1セットにする。さらに、観客席から見て点に見える角度で配置する。ここで、紫外線を適正に反射させるためにANGが30°の角度を形成するアルミニウムの反射板を備えている。
【0060】
一方で、公演の途中休憩あるいは公演終了後の数分間、出演者や観客を退場させ、上向き設置を下向き設置に切り換えることにより、床や譜面台などに付着した細菌などを死滅させることもできる。
【0061】
殺菌灯に10〔cm〕に近接して置かれたウイルスが1秒間で死滅するといわれている。軸を揃えて配置された光源は線光源と言われ、照度は管の側面方向への距離に反比例するので、4〔m〕離間場所での照度は10〔cm〕離間場所における照度の40分の1までに保たれる。
【0062】
故に、その場所におけるウイルスに対して40秒紫外線を照射し続ければ、ウイルスを死滅させることが出来る。繰り返して言えば、本装置を数〔m〕(最大8〔m〕:符号W2)おきに配置すれば、舞台上頭上空間のウイルスを死滅除去することが出来る。
【0063】
なお、上向き設置蛍光灯に特殊な笠やシェードを付加してもよい。以下に上述の実施形態の殺菌装置10で取り逃がした空気を殺菌するシステムを説明する。
【0064】
図4は舞台殺菌システムの概略構成図である。図5舞台殺菌システムで用いる殺菌灯装置(紫外線照射装置)70の詳細構成図である。図4図5において図1図2と同一符号のものは説明を省略する。
【0065】
図4に示す舞台殺菌システムは、上述の立脚型の殺菌装置10をパフォーマーA毎(例えば、10A、10B、10C、10D)に設ける。
【0066】
さらに、高さ2〔m〕以上(例えば、2〔m〕~3〔m〕:好ましくは220〔cm〕)の側面視でL型ポール50の水平ポール部50aに殺菌灯部60を接続した殺菌灯装置70を設ける。舞台幅が8〔m〕以下の場合は本装置を1基、8〔m〕を超え16〔m〕未満の場合は2基を用いることになる。
【0067】
なお、L型ポール50は、水平ポール部50aと縦ポール50b等よりなる。紫外線灯部60は、舞台の前側となる前側殺菌灯部62aと、舞台の後ろ側となる後側殺菌灯部62bと、同じ大きさの前後の紫外線灯部を接続する前後殺菌灯接続部63とよりなる。
【0068】
なお、前側殺菌灯部62aと、後側殺菌灯部62bとで1セットである。この前後殺菌灯接続部63は、後ろ側のパフォーマーA(例えば、A1、A3)と、前側のパフォーマーA(例えば、A2、A4)とに紫外線が当たらないように、設けるものであり、空きケースである。大きさは後ろ側のパフォーマーA(例えば、A1、A3)と、前側のパフォーマーA(例えば、A2、A4)との間隔で変更すればよい。
【0069】
殺菌灯部60の前側殺菌灯部62a及び後側殺菌灯部62b(総称して殺菌灯部62という)には、2本の殺菌灯64a、64bが収納されている。
【0070】
L型ポール50の内部には殺菌灯64a、64b用の電源線(図示せず)が通っている。さらに、縦ポール50bには高さ調整用の調整部80が設けられている。また、この縦ポール50bには、電源オン用のスイッチ(図示せず)が設けられている。
【0071】
縦ポール50bの下部には、固定具52が設けられている。固定具52はネジ止めでよいし、重石なようなものであってもよい。
【0072】
図5に示すように、眼に有害な紫外線がパフォーマーや視聴者に見えないように紫外線灯(64a、64b)は不透明のケースに収められている。
【0073】
なお、図5においては、アルミ薄板67を載置している。このアルミ薄板67は、水平方向にも十分に紫外線を反射させるためのものであり、いずれかの前側殺菌灯部62a又は後側殺菌灯部62b若しくは両方に設けるのがよい(必須ではない)。
【0074】
図5は右側殺菌灯64a、左側殺菌灯64bの下に反射薄板67を設けて、水平方向にも十分に紫外線を反射させている例である。
【0075】
この右側殺菌灯64a、左側殺菌灯64bの下の反射薄板67は、符号ANGで示すように、中央付近が30度傾斜させられ、水平方向にも十分な紫外線を反射させている。なお、反射板表面には反射性能に優れたアルミニウム薄板を貼付けるのが好ましい。
【0076】
従って、例えば、殺菌灯が20〔W〕灯であっても、6.5〔cm〕の狭い空間に吐気が導かれる事、紫外線反射に優れたアルミニウム薄を貼り付けた反射板が設けられているので、水平方向においても、高い殺菌能力を獲得している。
【0077】
以上により、歌唱者、吹奏者、講演者など、可成りの空気を吐出する「いわゆる、パフォーマー」が、菌を含む吐気を周辺にまき散らす状況を改善する。すなわち、感染被害防止型から、感染加害者にならない、感染加害者にしないための殺菌装置を提供できる。
【0078】
なお、本発明は、舞台や家庭での使用に限定されることはなく、たとえば学校や店舗、病院などでも使用することができ、局所的な空間において効果的な除菌が行える。
【0079】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0080】
たとえば、音(声など)の大きさを検出する音検出器(たとえばマイク)を殺菌装置あるいはその近傍に設け、音の大きさに応じて気体移送部を制御し吸引部での吸引量を増減するように構成してもよく、音の大きさに応じて紫外線照射部での紫外線量を制御するように構成してもよい。
【0081】
さらに、音の方向を検出する方向検出器を殺菌装置あるいはその近傍に設け、吸引部を自動的に音の方向に向けるように構成してもよく、また吸引部は固定で吸引部に自動で向きが変わるダクトなどを設けて、検出された音の方向に自動的に向けるように構成しても良い。
【0082】
さらに、殺菌装置を複数台設置する場合は、音の発生源を検出する音源検出器を設け、音源の位置に応じて殺菌装置の稼働を制御(たとえば近くの殺菌装置を稼働したり、またAIで制御)するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 殺菌装置
12 吸引部
14 筐体
15 スタンド
20a 排出部(空気排出口)
33 気体移送部
40 紫外線照射部(殺菌灯
図1
図2
図3
図4
図5