(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】二次元コード生成方法、二次元コード生成システム、二次元コード評価方法、二次元コード評価システム及び二次元コード管理システム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20240402BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240402BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240402BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K19/06 093
G06K7/14 017
G06K7/14 034
G06K7/14 039
G06K7/14 091
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2020533318
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049730
(87)【国際公開番号】W WO2020130061
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2018239124
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518398419
【氏名又は名称】株式会社Ark
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】永濱 健
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206781(JP,A)
【文献】特開平05-073572(JP,A)
【文献】特開2014-174639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/06
G06K 7/14
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成方法であって、
非公開データコード語を求め、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、
各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記対象者を特定する認証情報、認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を、前記非公開データコード語に含ませること
を特徴とする二次元コード生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二次元コード生成方法において、
前記関連コード情報は、
二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示す識別情報と、
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す連鎖数情報と、
前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す序列番号情報と、
前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための指標情報と、
を有することを特徴とする二次元コード生成方法。
【請求項3】
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成システムであって、
非公開データコード語を求め、公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、
各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、
対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連二次元コード情報を前記非公開データコード語に含ませること
を特徴とする二次元コード生成システム。
【請求項4】
請求項1に記載の二次元コード生成方法により生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価方法であって、
前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行する取り出し工程と、
前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する評価工程と、
を有することを特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項5】
請求項4に記載の二次元コード評価方法であって、
前記関連コード情報は、
二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示す識別情報と、
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す連鎖数情報と、
前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す序列番号情報と、
前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための指標情報と、を有し、
前記評価工程においては、
前記識別情報に基づいて、各々の前記二次元コードが関連二次元コードであることが確認され、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記連鎖数情報及び前記序列番号情報に基づいて、前記連鎖数分の互いに異なる前記序列番号が揃ったことが確認され、前記指標情報に基づいて、互いに異なる前記序列番号を有する連鎖数分の前記関連二次元コードが関連付けられていることが確認された際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価すること
を特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項6】
請求項5に記載の二次元コード評価方法であって、
前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられている旨の表示する表示工程を有すること
を特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項7】
請求項5に記載の二次元コード評価方法であって、
前記複数の関連二次元コードに含まれる認証情報が互いに関連付けられていると評価した際に、前記認証情報に基づいて参照可能な情報を表示する表示工程を有すること
を特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項8】
請求項5~7の何れかに記載の二次元コード評価方法であって、
前記取り出し工程においては、前記置換後コードブロックから前記誤り訂正コード語を用いて前記公開データコード語を抽出し、前記公開データコード語から公開情報を取り出す公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、各々の前記公開情報を表示する表示工程を有することを
特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項9】
請求項8記載の二次元コード評価方法であって、
前記取り出し工程においては、前記非公開データコード語から非公開情報を取り出す非公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記表示工程においては、各々の前記非公開情報を表示すること
を特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項10】
請求項9に記載の二次元コード評価方法であって、
前記表示工程においては、各々の前記公開情報を前記序列番号の順に表示し、各々の前記非公開情報を前記序列番号の順に表示すること
を特徴とする二次元コード評価方法。
【請求項11】
請求項3に記載の二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、
前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報、と前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価すること
を特徴とする二次元コード評価システム。
【請求項12】
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード管理システムであって、
非公開データコード語を求め、移動手段の搭乗者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、
各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記搭乗者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報、と前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を前記非公開データコード語に含ませる二次元コード生成システムと、
該二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、
前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記認証情報又は前記対象情報及び前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムと、
を備えることを特徴とする二次元コード管理システム。
【請求項13】
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード管理システムであって、
非公開データコード語を求め、イベントの参加者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、
各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記参加者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報、と前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を前記非公開データコード語に含ませる二次元コード生成システムと、
該二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、
前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記認証情報又は前記対象情報及び前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムと、
を備えることを特徴とする二次元コード管理システム。
【請求項14】
互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード管理システムであって、
非公開データコード語を求め、サービスの担当者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、
各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記担当者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報、と前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を前記非公開データコード語に含ませる二次元コード生成システムと、
該二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、
前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、
前記認証情報又は前記対象情報及び前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムと、
を備えることを特徴とする二次元コード管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コード生成方法、二次元コード生成システム、二次元コード評価方法、二次元コード評価システム及び二次元コード管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連二次元コードは、既によく知られている。関連二次元コードとは、当該関連二次元コードに関連付けられた他の関連二次元コードが存在する二次元コードである。
【0003】
このような関連二次元コードの代表的な例としては、JIS規格の第9章に規定されている構造的連接関係を有するQRコード(登録商標)(構造的連接QRコード(登録商標)とも呼ぶ。)を挙げることができ、このコードを利用した技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人、物等の対象の真正性が担保される要請がある。つまり、当該対象が真正な者であり(又は真正な者により作成や管理が成された物であり)、悪徳な業者等が介入していないことが証される必要がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
主たる本発明は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成方法であって、非公開データコード語を求め、公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を、前記非公開データコード語に含ませることを特徴とする二次元コード生成方法である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本実施の形態に係る関連二次元コード(拡張関連二次元コード)のRSブロックの概要図である。
【
図6】二次元コードシンボル生成方法のフローチャートである。
【
図7】関連二次元コードのRSブロックの説明図である。
【
図8】関連二次元コードの非公開データコード語の説明図である。
【
図9】RSブロックの一部を置換したときの説明図である。
【
図11】関連二次元コード評価方法のフローチャートである。
【
図12】関連二次元コードの非公開データコード語の抽出方法の説明図である。
【
図13】関連二次元コードの情報本体の取り出し方法の説明図である。
【
図14】ディスプレイに各種情報が表示された様子を示した模式図である。
【
図16】
図16A及び
図16Bは、第一適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【
図17】第二適用例を説明するための説明図である。
【
図18】第二適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【
図19】第三適用例を説明するための説明図である。
【
図20】第三適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下のI.~V.が明らかにされる。
【0011】
I.互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成方法であって、非公開データコード語を求め、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を、前記非公開データコード語に含ませることを特徴とする二次元コード生成方法。
【0012】
かかる場合には、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0013】
また、前記関連コード情報は、二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示し、全ての前記関連二次元コードに対して共通となる識別情報と、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す連鎖数情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す序列番号情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための指標情報と、を有するようにしてもよい。
【0014】
かかる場合には、真正性をより一層確実に担保することができる。
【0015】
II.互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成システムであって、非公開データコード語を求め、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連二次元コード情報を前記非公開データコード語に含ませることを特徴とする二次元コード生成システム。
【0016】
かかる場合には、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0017】
III.上記二次元コード生成方法により生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価方法であって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行する取り出し工程と、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する評価工程と、を有することを特徴とする二次元コード評価方法。
【0018】
かかる場合には、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0019】
また、前記評価工程は、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価するようにしてもよい。
【0020】
かかる場合には、対象を認証情報で管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0021】
また、前記関連コード情報は、二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示す識別情報と、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す連鎖数情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す序列番号情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための指標情報と、を有し、前記評価工程においては、前記識別情報に基づいて、各々の前記二次元コードが関連二次元コードであることが確認され、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記連鎖数情報及び前記序列番号情報に基づいて、前記連鎖数分の互いに異なる前記序列番号が揃ったことが確認、され前記指標情報に基づいて、互いに異なる前記序列番号を有する連鎖数分の前記関連二次元コードが関連付けられていることが確認された際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価するようにしてもよい。
【0022】
かかる場合には、真正性をより一層確実に担保することができる。
【0023】
また、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられている旨を表示する表示工程を有することとしてもよく、その場合には、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、真正性が担保された(認証された)ことを二次元コード評価システムの操作者等に対し、明確に知らせるようにしてもよい。
【0024】
また、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、前記認証情報に基づいて参照可能な情報を表示する表示工程を有することとしてもよく、その場合には、複数の認証情報が互いに関連付けられていることが評価(確認)され、真正性が担保された(認証された)参照可能な情報が搭乗者や操作者、参加者や主催者、又は担当者や責任者等に対し、表示されるようにしてもよい。これにより、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価されたとしても、さらに認証情報の有無に応じて、提供する情報を切り分けて表示させることが可能となる。
【0025】
また、前記取り出し工程においては、前記置換後コードブロックから前記誤り訂正コード語を用いて前記公開データコード語を抽出し、前記公開データコード語から公開情報を取り出す公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、各々の前記公開情報を表示する表示工程を有するようにしてもよい。
【0026】
かかる場合には、二次元コード評価システムの操作者等は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを、公開情報の表示により知ることができ、さらに、複数の関連二次元コードの各々に埋め込まれている追加の情報を二次元コード評価システムの操作者等にまとめて提示するようにしてもよい。
【0027】
また、前記取り出し工程においては、前記非公開データコード語から非公開情報を取り出す非公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記表示工程においては、各々の前記非公開情報を表示するようにしてもよい。
【0028】
かかる場合には、二次元コード評価システムの操作者等は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを、非公開情穀の表示により知ることができ、さらに、複数の関連二次元コードの各々に埋め込まれている追加の情報を二次元コード評価システムの操作者等にまとめて提示することができる。
【0029】
また、前記取り出し工程においては、前記非公開データコード語から非公開情報を取り出す非公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記表示工程においては、各々の前記非公開情報を表示するようにしてもよい。
【0030】
かかる場合には、二次元コード評価システムの操作者等は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを、非公開情報の表示により知ることができ、さらに、複数の関連二次元コードの各々に埋め込まれている追加の情報を二次元コード評価システムの操作者等にまとめて提示することができる。
【0031】
また、前記表示工程においては、各々の前記公開情報を前記序列番号の順に表示し、各々の前記非公開情報を前記序列番号の順に表示することとしてもよい。
【0032】
かかる場合には、関連二次元コードの読み取り順に影響されることなく、所望の順番で公開情報及び非公開情報を表示することが可能となる。
【0033】
IV.上記二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報、と前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価することを特徴とする二次元コード評価システム。
【0034】
かかる場合には、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0035】
V.互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを管理する二次元コード管理システムであって、非公開データコード語を求め、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者に関する情報を少なくとも含む公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、前記対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報、と前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を前記非公開データコード語に含ませる二次元コード生成システムと、該二次元コード生成システムにより生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムであって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記認証情報又は前記対象情報及び前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価システムと、を備えることを特徴とする二次元コード管理システム。
【0036】
かかる場合には、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0037】
(実施の形態に係る二次元コードの一例について)
先ず、本実施の形態で用いられる二次元コードの一例としてのQRコード(登録商標)について説明する。なお、以下の説明で特段のことわりのない場合には、日本工業規格 JIS X 0510 2004「二次元コードシンボル-QRコード(登録商標)-」(以下、単に「JIS規格」ということがある)に準ずる。また、このJIS規格に準ずるエンコーダを標準エンコーダといい、JIS規格に準ずるデコーダを標準デコーダという。また、非公開とされる(隠蔽される)非公開データコード語(非公開情報)を取り扱うことができるエンコーダを拡張エンコーダ10(二次元コード生成システムに相当)といい、デコーダを拡張デコーダ20(二次元コード評価システムに相当)という。また、当該拡張エンコーダ10と当該拡張デコーダ20により拡張管理システム(二次元コード管理システムに相当)が構成される。
【0038】
つまり、ここで用いられるQRコード(登録商標)は、公開情報と非公開情報とを記録することができる二次元コード(このようなQRコード(登録商標)を拡張二次元コードということがある)を前提としている。公開情報は、JIS規格のデコーダ(標準デコーダ)で読み出し可能な情報である。一方、非公開情報は、標準デコーダでは読み出すことができず、後述する拡張デコーダ20によって抽出することが可能な情報である。
【0039】
また、以下の説明において、「コード語」は、8ビット長として説明するが、システムに応じて、16ビット長とすることもできるし、1ビット長等、他の長さを有するものとすることもできる。
【0040】
図1は、二次元コードシンボル1の説明図である。二次元コードシンボル1((以下、単に、「二次元コード」ということもある)は、1型から40型まで様々なサイズが用意されているが、ここでは、一例として型番「2」を例に各機能について説明する。
【0041】
二次元コードシンボル1は、機能パターンと符号化領域を有する。機能パターンは、二次元コードのモジュール内での復号化を補助するために必要な二次元コードシンボル位置の検索や特性の識別に必要なパターンである。符号化領域は、必要となる情報が書き込まれている領域である。
【0042】
機能パターンは、位置検出パターンFP、分離パターンSP、タイミングパターンTP、位置合わせパターンAP及びクワイエットゾーンQZを有する。
【0043】
位置検出パターンFPは、二次元コードの少なくとも3つの隅に配置されるパターンである。読み取り時において、3つの位置検出パターンFPを識別することで、二次元コードシンボル1の方向や位置を正しく認識可能とする。
【0044】
分雛パターンSPは、位置検出パターンFPの周りに配置される1モジュール幅の明モジュールである。これにより、位置検出パターンFPを二次元コードシンボル1から区別することができるようになる。
【0045】
モジュールMは、二次元コードシンボル1を構成する単位セルである。原則として、1ビットが1モジュールに相当する。なお、ここでは、二次元コードを構成する単位セルであるモジュールMを複数集合させたものをモジュール群と呼ぶ。
【0046】
タイミングパターンTPは、暗モジュールと明モジュールが1モジュールずつ直線状に交互に配置されたパターンである。タイミングパターンTPによって、二次元コードシンボル1のモジュール数を認識可能となるため、これにより、二次元コードの型番を識別することができる。
【0047】
位置合わせパターンAPは、二次元コードの型番によって決められた位置に配置されるパターンである。位置合わせパターンAPは、大きなモジュールの場合、二次元コードシンボル1の位置の検索を補助する働きをする。
【0048】
クワイエットゾーンQZは、二次元コードの周囲に設けられる最低4モジュール幅の明モジュール領域である。
【0049】
符号化領域は、データ及び誤り訂正コード語(以下、単に「訂正コード語」ということがある)と、形式情報FIを有する。また、型番の大きなものには型番情報も付加される。形式情報FIは、誤り訂正レベルと標準マスクパターン(JIS規格におけるマスクパターン)の情報を有する。
【0050】
データ及び誤り訂正コード語は、実際のデータ及びデータが読み出せなかった場合の誤り訂正用の誤り訂正コード語を配置する。形式情報は、二次元コードシンボル1に適用する誤り訂正レベル及び使用する標準マスクパターンに関する情報を有し、符号化領域を復号化するのに必要な符号化パターンである。
【0051】
図2は、拡張エンコーダ10のブロック図である。拡張エンコーダ10は、公開情報のみならず非公開情報を含んだ情報を二次元コードシンボル1に変換する装置である。拡張エンコーダ10は、制御部11と表示装置13と印刷装置14と入力装置15を備える。
【0052】
制御部11は、演算部11aと記憶部11bを備える。演算部11aは中央演算装置等からなり、プログラムの実行及び種々の演算を担う。記憶部11bは、プログラムの実行に際して、必要なデータの記憶を担う。特に、記憶部11bには、各種処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0053】
表示装置13は、データの入力等に際し必要な表示機能を担う。また、表示装置13は、生成された二次元コードシンボル1をディスプレイに表示する。印刷装置14も、生成された二次元コードシンボル1を印刷により紙媒体等に表示する。また、入力装置15は、データの入力及び拡張エンコーダ10の操作に使用される。
【0054】
本実施の形態においては、二次元コードとして、関連二次元コード(QRコード(登録商標)の関連二次元コードであるため、以下、関連二次元コードと呼ぶ)が用いられる。関連二次元コードとは、当該関連二次元コードに関連付けられた他の関連二次元コードが存在する二次元コードである。すなわち、通常のQRコード(登録商標)は、それ自身で独立しており、他のQRコード(登録商標)とは無関係であるが、関連二次元コードは他の関連二次元コードと関連付けられており、これらの関連二次元コードは互いに連鎖している。
【0055】
このような関連二次元コードの代表的な例としては、JIS規格の第9章に規定されている構造的連接関係を有する二次元コード(構造的連接二次元コードとも呼ぶ)を挙げることができる。構造的連接二次元コードとは、自身のコード情報が、あるコード情報をもとに互いに関連を持って分割された部分的コードであることが判別可能に組み込まれたコードである。すなわち、これを利用することにより、大コードを、関連を持った複数の小コードに分割することができ、分割された複数の小コードが関連二次元コードとなる。
【0056】
しかしながら、本明細書で取り扱う関連二次元コードは、このようなJIS規格標準の構造的連接二次元コードではない。以下では、JIS規格標準の構造的連接二次元コードのことを標準関連二次元コードとも呼び、本稿で取り扱う関連二次元コードを拡張関連二次元コードとも呼ぶ。
【0057】
詳細については後述するが、標準関連二次元コードと拡張二次元コードの相違点は、以下の通りである。すなわち、標準関連二次元コードでは、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報JIS規格の8.3.7章に定義があり、9.1章に記載されている構造的連接ヘッダが隠蔽されておらず、したがって、標準デコーダで関連二次元コードを読み込んだ際に、標準デコーダは当該二次元コードが関連二次元コード(構造的連接二次元コード)であることを把握することができる。
【0058】
一方で、拡張関連二次元コードでは、前記関連コード情報が非公開データコード語に含まれているため(つまり、関連コード情報が隠蔽されているため)、標準デコーダで関連二次元コードを読み込んだ際に、標準デコーダは当該二次元コードが関連二次元コードであることを把握することができない(換言すれば、通常のQRコード(登録商標)と認識する)そして、非公開データコード語(非公開情報)を取り扱うことができる拡張デコーダ20で読み込むことにより、初めて、当該QRコード(登録商標)が関連二次元コードであることを認識することができる。
【0059】
図3は、本実施の形態に係る関連二次元コード(拡張関連二次元コード)のRSブロックの概要図である。まず、
図3を参照しつつ、拡張関連二次元コードのデータフォーマットの概要及び非公開データコード語(非公開情報及び関連コード情報を埋め込む手法について説明する。
図3には、誤り訂正処理単位として、RS(リード・ソロモン)ブロックが示されている。二次元コードシンボル1には、1又は複数のRSブロックが含まれる。そして、RSブロックを、1つの誤り訂正処理単位としている。
【0060】
なお、ここで説明する実施形態においては、リード・ソロモン(RS)符号による誤り訂正方式を採用しているため、誤り検出訂正演算の処理単位ブロックの一例として、「RSブロック」と記載している。
【0061】
置換前RSブロック(置換前コードブロックに相当。後に、置換後RSブロックが登場するため、ここでは置換前RSブロックとして置換後RSブロックとは区別する)は、表示対象である情報本体(公開情報に相当する)と、非表示部分である終端符号と、非表示部分であるパディングコード語とを有する公開データコード語を含む。なお、認証情報は、公開情報及び非公開情報の両方に含ませるようにしてもよい。また、置換前RSブロックは、訂正コード語としてのRS符号を含む。情報本体とは、標準デコーダであっても二次元コードシンボル1を読み取ったときにデコード可能な情報である。終端符号は、情報本体の終端を表す符号である。パディングコード語は、情報本体のコード語の総数が二次元コードシンボル1の容量に満たない場合、空のコード語部分を充填する目的で使用される仮のコード語である。RS符号は、RSプロックを単位として誤り訂正するために付加される符号である。
【0062】
二次元コードでは、「L」「M」「Q」「H」の4段階の誤り訂正レベルが選択可能である。誤り訂正レベル「L」では、全体の語数に対して約7%の誤り訂正能力を有する。例えば、RSブロックの語数を100%とした場合、そのうちの約7%の誤り訂正能力を有する。誤り訂正レベル「M」では、全体の語数に対して約15%の訂正能力を有する。誤り訂正レベル「Q」では、全体の語数に対して約25%の訂正能力を有する。誤り訂正レベル「H」では、全体の語数に対して約30%の誤り訂正能力を有する。本実施の形態では、例えば、最高クラスの誤り訂正能力である「H」を利用して、非公開データコード語(非公開情報及び関連コード・情報)を二次元コードに隠蔽する。ただし、コードシンボルが形成された媒体の破損の恐れの程度に応じて、あるいは方式によっては隠蔽される非公開データコード語の語数に応じて誤り訂正レベルを変更してもよい。
【0063】
二次元コードに情報を隠蔽する手法の概念は、次の通りである。ここで、情報の「隠蔽」とは、標準の方法(装置、ソフトウェア等。具体例は、デコーダ)によって読み出し取得ができる通常の情報とは異なり、標準の方法(装置、ソフトウェア等。具体例は、デコーダ)では読み出し取得できないようにすることを意味する。
図3には、非公開データコード語が示されている。ここでは、この非公開データコード語でRSブロックの一部を置換する。このように、一部を置換した場合であっても、標準デコーダでは、置換後の情報本体部分を、RS符号を用いて訂正できる。そして、訂正後の情報本体部分を読み出して表示することができる。一方、非公開データコード語は、RS符号により訂正されて捨てられてしまう情報であるため、標準デコーダでは表示されないことになる。
【0064】
これに対し、拡張デコーダ20では、後述するように、置換後RSブロックから非公開データコード語を抽出する。そして、その後、RS符号により訂正を行って情報本体部分を読み出す。以上の原理により二次元コードシンボル1に非公開情報、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び関連コード情報を隠蔽することができる。なお、非公開データコード語でのRSブロックの一部置換方法の詳細については、後述するものとする。
【0065】
前述したとおり、また、
図3に示すように、関連コード情報は、非公開情報と共に非公開データコード語に含まれている。認証情報は、前述の通りに非公開情報の領域に非公開データコード語の一部として含まれる。ただし、この関連コード情報を含む非公開データコードは、先頭の非公開データコード語(つまり、先頭の置換前RSブロックの置換対象となる非公開データコード語)のみである(ただし、先頭に限定されるものではなく、例えば二番目の非公開データコード語のみであってもよい)本実施の形態に係る関連データコード情報は、
図4に示すように、識別情報と、連鎖数情報と、序列番号情報と、指標情報と、を備えている。なお、
図4は、関連コード情報の一例を示した図である。
【0066】
ここで、認証情報は、例えば、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定するための情報である。
【0067】
対象情報は、例えば、認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定するための情報である。移動手段は、例えば、航空機、客船、列車、バス(シャトル便)、タクシー、自転車、カーシェアリング、ライドシェア、その他の移動体等であってもよく、何かしらの乗り物により搭乗者を運ぶものであればよい。搭乗者は、例えば一人、それ以上の人数又は同乗者等であってもよい。
【0068】
イベントは、例えば、野球やサッカー等のスポーツ関連のイベントの他に、音楽やライブ等のコンサート、ゲームや体験型の各種のアトラクション、映画、展示会、セミナー又は説明会等であってもよく、一人又は一人以上の人数が集まり、リアルな空間又はバーチャルな空間を介して、イベントが提供、享受、共有又は体験等ができるようなものであればよい。
【0069】
サービスは、例えば、高齢者介護施設における介護サービスや、その他の訪問修理、修繕の作業サービスであってもよく、それらサービスを、例えば1人又は複数の担当者が実行するようにしてもよい。
【0070】
認証情報は、例えば、航空会社等の移動手段の企業等が提供するサービスに関するマイレージ会員番号、アフィリエイト会員番号、その他の番号等であってもよい。認証情報は、会員の有無を特定するが、例えば、個人を識別するものではなく、個人情報とはリンクせずに構築されてもよい。
【0071】
また、対象情報は、例えば、航空機等の移動手段の搭乗者、開催されるイベントの参加者又は実施されるサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報に基づいて提供するテキスト情報、画像、映像等のコンテンツを、複数の選択肢から選択可能なコンテンツ群を特定識別するための情報である。
【0072】
関連二次元コードは、例えば、搭乗者ごとに異なる内容を認証情報として格納し、搭乗券に印字され、搭乗者に手渡し又は搭乗者が保持する搭乗者の機器などに配信される認証情報を有する関連二次元コードと、機内誌に搭乗券の関連二次元コードと互いに関連を持ち、搭乗者ごとに異なる認証情報に基づいて、予め準備された映像等のデジタルコンテンツを複数の選択肢から、適切に選択可能なコンテンツ群を特定識別する対象情報を格納し、それら与えられたコンテンツ群に紐づく記事や特集コーナーごとに印刷される関連二次元コード、であってもよい。
【0073】
搭乗券は、例えば航空機の事例であるが、移動手段が客船等の船舶であれば乗船券、電車、バス、タクシー、自転車、カーシェアリング、ライドシェア、その他の移動体等の乗車券、乗船券、搭乗券、利用券等であってもよい。また、例えば搭乗券、乗船券又は乗車券等は、移動手段が各々に利用される場合には、それぞれの券が個別に発行される。また、例えば搭乗券、乗船券又は乗車券等は、移動手段が複数の工程やツアーの場合には、それぞれの搭乗券、乗船券又は乗車券等が、共通の乗車券として印字、発行されてもよい。それぞれの搭乗券、乗船券又は乗車券等が、共通の乗車券として印字、発行されることで、1つの乗車券を共通して、他の移動手段や工程等で、利用することがでる。提供されるコンテンツは、例えば、それぞれの移動手段の識別情報、移動手段ごとの工程やツアー時間、位置情報等に基づいて、予め準備された映像等のデジタルコンテンツを提供するようにしてもよい。
【0074】
機内誌や車内誌等の案内誌等は、例えば他の冊子類、チラシ、クーポン等のコンテンツ、船内や車内等で配布される又は設置されるコンテンツ等であってもよい。また、機内誌や車内誌等は、紙媒体の他に、電子媒体や電子メディアであってもよく、電子的な二次元コードであってもよい。
【0075】
これにより、例えば、同じ関連二次元コード(二次元コードB)を読み取ったとしても、読み取る人(搭乗者)の関連二次元コード(二次元コードA)の認証情報に応じて、異なった情報を提供することが可能となる。例えば、同じ月に発行され、同じ号の機内誌の同じページに印刷された関連二次元コードであっても、搭乗者が会員であれば二次元コードAに含まれる認証情報が評価され、付加価値の高い情報を参照することが可能となる。それに対して、搭乗者が非会員であれば二次元コードAに認証情報は含まれないので、標準で用意されるデジタルコンテンツ情報等が参照させるようにしてもよい。
【0076】
なお、搭乗者の搭乗券への関連二次元コードの印字は、例えば、搭乗者の搭乗チェック時に、搭乗ゲートに備わる機器(例えば、プリンター)により印刷されるようにしてもよい。読み込まれた搭乗者の搭乗券情報に基づき、参照させるコンテンツ媒体に関する認証情報を管理サーバが取得し、取得した認証情報を関連二次元コードの非公開データコード語に含ませ、関連二次元コードとして印字するようにしてもよい(図示せず)。
【0077】
イベントの参加者の場合の関連二次元コードは、例えば、参加者ごとに異なる内容を認証情報として格納し、イベント等の入場券やチケットに印字又は生成され、参加者に手渡し又は配信される認証情報を有する関連二次元コードと、会報誌、チラシ、クーポン等にチケットの関連二次元コードと互いに関連を持ち、参加者ごとに異なる認証情報に基づいて、予め準備された映像や付加価値ある情報等のデジタルコンテンツを複数の選択肢から、適切に選択可能なコンテンツ群を特定識別する対象情報を格納し、それら与えられたコンテンツ群に紐づく記事や特集コーナーごとに印刷される関連二次元コードであってもよい。
【0078】
また、会報誌は、例えば他の冊子類、チラシやクーポン等のコンテンツと共に、席や会場等で配布される。さらに会報誌は、あらかじめ設置されるコンテンツ等であってもよい。会報誌等は、紙媒体の他に、電子媒体や電子的なメディアであってもよく、二次元コードは電子的に生成されたものであってもよい。
【0079】
これにより、例えば、同じ関連二次元コード(二次元コードB)を読み取ったとしても、読み取る人(参加者)の関連二次元コード(二次元コードA)の認証情報に応じて、異なった情報を提供することが可能となる。
【0080】
例えば、同じ月に発行され、同じ号の会報誌の同じページに印刷された関連二次元コードであっても、参加者が会員であれば二次元コードAに含まれる認証情報が評価され、付加価値の高い情報を参照することが可能となる。それに対して、参加者が非会員であれば二次元コードAに認証情報は含まれないので、標準で用意されるデジタルコンテンツ情報等が参照させるようにしてもよい。
【0081】
なお、イベントの参加者等のチケットへの関連二次元コードの印字は、例えば、参加者の入場チェック時に、入場ゲートに備わる機器(例えば、プリンター)により印刷されるようにしてもよい。読み込まれた参加者の入場券やチケット等の情報に基づき、参照させるコンテンツ媒体に関する認証情報を管理サーバが取得し、取得した認証情報を関連二次元コードの非公開データコード語に含ませ、関連二次元コードとして印字するようにしてもよい(図示せず)。
【0082】
サービスの担当者の場合の関連二次元コードは、例えば、担当者ごとに異なる内容を認証情報として格納し、サービス等の指示書に印字又は生成され、担当者に手渡し又は配信される認証情報を有する関連二次元コードと、作業手順書等にIDバッジの関連二次元コードと互いに関連を持ち、担当者ごとに異なる認証情報に基づいて、予め準備された作業映像等のデジタルコンテンツを複数の選択肢から、適切に選択可能なコンテンツ群を特定識別する対象情報を格納し、それら与えられたコンテンツ群に紐づく記事や専用作業ごとに印刷される関連二次元コード、であってもよい。
【0083】
作業手順書等は、例えばマニュアル類、手順書、各種のメニュー、サービスコード等のコンテンツ、サービス割り当て時に配布される又は作業場所に設置されるコンテンツ等であってもよい。また、作業手順書等は、紙媒体の他に、電子媒体や電子メディアであってもよく、電子的な二次元コードであってもよい。
【0084】
識別情報は、二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示す情報である。この識別情報は、全ての関連二次元コードに対して共通のものであり(通常の二次元コードでなく関連二次元コードであれば同じ値を採り)、本実施の形態(
図4の例)では、当該識別情報を「01010000(2進数)」としている。そして、拡張デコーダ20が、この数値「01010000(2進数)」を読み取ることにより、二次元コードが(通常の関連二次元コードではなく)関連二次元コードであることを把握することができるようになっている。
【0085】
連鎖数情報は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す情報である。すなわち、連鎖数情報は、互いに関連付けられた複数の関連二次元から構成される二次元コードグループ(集合体)の要素数とも言える。
図4の例では、連鎖数情報は「3(10進数)」であり、三つの関連二次元コード(二次元コードA、二次元コードB、二次元コードC)が互いに関連付けられていることを意味している。
【0086】
序列番号情報は、当該関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す情報である。
図4の例では、二次元コードAの序列番号情報は「1(10進数)」であり、したがって、二次元コードAは、3個中1番目の関連二次元コードとなっている。同様に、二次元コードB、二次元コードCの序列番号情報は「2(10進数)」、「3(10進数)」であり、したがって、二次元コードB、二次元コードCは、3個中2番目、3番目の関連二次元コードとなっている。
【0087】
指標情報は、関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための情報である。本実施の形態では、当該指標情報として、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードに共通のパスワードを用いることとしている。
図4の例では、このパスワードをAF(16進数)としており、したがって、二次元コードA、二次元コードB、二次元コードCの各々の指標情報はAF(16進数)となっている。そして、拡張デコーダ20が、このパスワード「AF(16進数)」を二次元コードA、二次元コードB、二次元コードCの各々から読み取りパスワードが一致していることを確認することによって、二次元コードA(二次元コードB、二次元コードC)が該二次元コードA(二次元コードB、二次元コードC)と序列番号が異なる、他の関連二次元コードと関連付けられているか否か(つまり、二次元コードA、二次元コードB、二次元コードCが関連付けられていること)を判断することができるようになっている。
【0088】
なお、
図4の例においては、序列番号が1の二次元コードAと序列番号が2の二次元コードBとが関連付けられている序列番号が3の二次元コードは、二次元コードCのみであるが、このような序列番号が3の二次元コードが複数あってもよい。
【0089】
例えば、
図5Aに示すように、序列番号が3の二次元コードとして、二次元コードCの他に二次元コードC’が存在する場合もある。そして、かかる二次元コードC’の関連コード情報は、二次元コードCと同じとなる。なお、二次元コードCと二次元コードC’は関連付けられていないので、二次元コードAと二次元コードBと二次元コードC(又は二次元コードAと二次元コードBと二次元コードC’)は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードと言えるが、二次元コードAと二次元コードBと二次元コードCと二次元コードC’は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードとは言えない。
【0090】
また、二次元コードA、二次元コードBについても同様のことが言え、例えば、
図5Bに示すように、二次元コードA’、二次元コードA’’、二次元コードB’が更に存在することとしてもよい。
【0091】
次に、具体的な関連二次元コードの生成方法について、
図4の例に基づいて説明する(すなわち、二次元コードA、二次元コードB、二次元コードCを生成する方法を例に挙げて説明する)。
【0092】
図6は、二次元コードシンボル生成方法のフローチャートである。
図7は、関連二次元コードのRSブロックの説明図である。
図8は、関連二次元コードの非公開データコード語の説明図である。以下の説明において、特段のことわりがない場合、二次元コードシンボル1へのエンコード手法は、JIS規格による手法が採用される。なお、二次元コードシンボル1は、複数のRSブロックを有する場合がほとんどであるが、ここでは説明の容易のために、1つのRSブロックを例示して説明を行う。また、以下に示される内容は容易な説明を行うための例示であるので、各コード語長は実際のものと異なることがある。
【0093】
また、前提として、記憶部11bには、所定の方法で定めることができる非公開データコード語で置換される開始位置と非公開データコード語の長さ(語数)にかかわる情報開始位置情報と長さ情報が記憶されているものとする。同様に、非公開データコード語における関連コード情報の開始位置(本実施の形態では、非公開データコード語の先頭とする)と長さにかかわる情報が記載されているものとする。なお、どの部分がどれ位の長さだけ非公開データコード語で置換されるか、また、非公開データコード語のどの部分がどの位の長さだけ関連コード情報で占められるかをどのように定めるかについては、任意であり、何ら本実施の形態の方法に限定されるものではない。
【0094】
先ず、二次元コードAに係る二次元コードシンボル1に埋め込まれる情報本体及び非公開情報が取り込まれる(S102)。ここでは、情報本体を「TOKYO<cr>MINATO<cr>JPN」とし(
図7)、非公開情報を「1234567890」としている(
図8)。
【0095】
次に、二次元コードシンボル1の非公開データコード語を取り込まれた非公開情報に関連コード情報を付加することにより求める(S103)。このことにより、非公開情報と関連コード情報を含んだ非公開データコード語が作成される。なお、S103では、認証情報については図示していないが、各々の生成工程において非公開データコード語を求める際に、認証情報及び関連コード情報が非公開データコード語に含まれるものとする。
【0096】
本実施の形態においては、
図8に示すように、関連コード情報(「01010000(2進数)」を16進数に変換した「50h」、「3(10進数)」「1(10進数)」を16進数に変換した「31h」、パスワード「AFh」)と、非公開情報(「1234567890」)を、非公開データコード語に含ませることにより、非公開データコード語が求められることとなる。
【0097】
次に、取り込まれた情報本体(公開データコード語)及び非公開データコード語に基づいて二次元コードシンボル1の型番が決定される(S104)。二次元コードシンボル1は型番に応じてトータルのコード語数が定められている。トータルのコード語数は、情報本体(公開情報語)の語数を含むデータコード語数と、訂正コード語数と、の和である。また、二次元コードシンボル1の型番に応じて、データコード語と訂正コード語からなるRSブロックの大きさと数が定められている。そして、誤り訂正は、RSブロックを単位として行われる。
【0098】
例えば、誤り訂正レベルが「H」であって型番が「4」の場合、トータルのコード語数は「100」と定められている。そして、4つのRSブロックを含むことが定められている。1つのRSブロックにおけるデータコード語数は「9」であり、訂正コード語数は「16」である。
【0099】
データコード語数「9」と訂正コード語数「16」の和は「25」であり、このようなRSブロックが4つぁるため、型番が「4」の二次元コードシンボルは、25×4=100の総コード語数を有することになる。
【0100】
また、このときの誤り訂正数は、RSブロック毎に「8」である。これは、データコード語数「9」のうちの「8」を訂正する能力を有することを表す。RSブロックは4つであったから、4×8=32の語数の総訂正能力を有することになる。100語のうち32語を訂正可能としているので、全体からすると32%の訂正能力を有することになる。
【0101】
非公開データコード語による置換は、RSブロック毎に、RSブロックの誤り訂正数を超えない範囲で行われる。上記の場合であると、RSブロック毎にコード語数「8」の置換が許容されることになり、全体では「32」のコード語数の置換が許容される(「総置換許容語数」と呼ぶことがある)ことになる。
【0102】
このような演算に基づいて、非公開データコード語数が総置換許容語数を上回らず、かつ、情報本体(公開データコード語)の語数がデータコード語数を上回らない最小サイズの二次元コードシンボル1の型番が選択される。
【0103】
次に、情報本体のコード語に基づいて、公開データコード語と訂正コード語とを有するRSブロック(置換前RSブロック)が生成される(S106)。RSブロックを生成するため、情報本体のコード語が複数のブロックに分割される。そして、各ブロックに対して誤り訂正コード語が生成され、生成された訂正コード語が対応するコード語の後に付加される。そして、RSブロックが生成される。なお、訂正コード語の生成手法については、JIS規格に準ずることができる。
【0104】
図7には、情報本体と終端符号と訂正コード語の一例が示されている(なお、パディングコード語が存在しない例としている)。ここでは、情報本体のコード語としてプレインなテキスト情報が示されている。終端符号は、例えば、「0000」のビット列を採用することができる。そして、情報本体を含むコード語に基づいて生成されたRS符号が付加され、RSブロックが作成されている。
【0105】
このようにして生成されたRSブロックの一部が、
図8に示したような非公開データコード語で置換される(S108)。すなわち、置換前RSブロックの一部を非公開データコード語で置換することにより非公開データコード語が隠蔽された置換後RSブロックを求める。
【0106】
図9は、RSブロックの一部を置換したときの説明図である。
図9には、前述のRSブロックと、非公開データコード語が示されている。そして、前述の非公開データコード語の開始位置情報と長き情報に基づき、
図9に示されるように、本実施の形態においては、RSブロックの先頭から非公開データコード語で置換される。
【0107】
このように、RSブロックの一部が非公開データコード語で置換されると、情報本体の一部が消失してしまうことになる。しかしながら、RSブロック単位で訂正を行うことができるため、標準デコーダでは、置換後の情報本体部分をRS符号で訂正して適切に抽出し、表示できるのである。
【0108】
そして、非公開データコード語で置換された部分は、二次元コードシンボル1の汚損等による誤りであるとみなされて捨てられてしまう情報となるので、標準デコーダでは表示することができない。一方、拡張デコーダ20では、後述するように、置換後RSブロックから非公開データコード語を抽出する。そして、その後、RS符号により訂正を行って情報本体部分を抽出する。そして、抽出された非公開データコード語(非公開情報)と情報本体部分(公開情報)を表示するのである。
【0109】
次に、置換後RSブロックに基づいて二次元コードシンボル1を作成する(S110)。RSブロックに基づいて二次元コードシンボル1を生成する手法は、JIS規格における標準的な二次元コード生成手法と同様のものを採用することができる。このようにすることで、二次元コードAに係る二次元コードシンボル1を生成することができる。
【0110】
次に、他の関連二次元コードを生成するために、ステップS102からステップS110の手順を繰り返す(S112)。すなわち、本実施の形態では、二次元コードAに係る二次元コードシンボル1の生成に引き続き、同様の方法を用いて二次元コードBに係る二次元コードシンボル1と二次元コードCに係る二次元コードシンボル1を生成する。このように、本実施の形態においては、ステップS102からステップS110の手順からなる生成工程を複数回実行することにより複数の関連二次元コードを生成する。
【0111】
次に、このようにして生成された二次元コードシンボル1のデコード手法について説明する。デコードは、上述した拡張デコーダ20により行われる。拡張デコーダ20は、複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する(確認する)。そして、これらの関連二次元コードが互いに関連付けられていることが確認されることにより、当該関連二次元コードによる管理対象(当該関連二次元コードを所有している人や当該関連二次元コードが添付されている物等)の真正性(正当性)を担保する(認証する)ことが可能となる(詳細については、具体例を挙げて後述する)。
【0112】
図10は、拡張デコーダ20のブロック図である。拡張デコーダ20は、複数の関連二次元コードを読み取って、二次元コードシンボル1に含まれる表示対象である公開情報と非公開情報とを展開し、さらに、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する(確認する)装置である。拡張デコーダ20は、制御部21と撮像装置22と表示装置23と印刷装置24と入力装置25を備える。
【0113】
制御部21は、演算部21aと記憶部21bを備える。演算部21aは中央演算装置等からなり、プログラムの実行及び種々の演算を担う。記憶部21bは、プログラムの実行に際して、必要なデータの記憶を担う。特に、記憶部21bには、各種処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0114】
撮像装置22は、二次元コードシンボル1を撮像するための装置であって、例えば、CCDカメラ等である。
【0115】
表示装置23は、データの入力等に際し必要な表示機能を担う。また、表示装置23は、二次元コードから展開された情報をディスプレイに表示する。印刷装置24も、展開された情報を印刷により紙媒体等に表示する。また、入力装置25は、データの入力及び拡張デコーダ20の操作に使用される。
【0116】
図8~
図10を示しながら、関連コード情報(「01010000(2進数)」を16進数に変換した「50h」、「3(10進数)」「1(10進数)」を16進数に変換した「31h」、パスワード「AFh」)と、非公開情報(「1234567890」)を、非公開データコード語に含ませることにより、非公開データコード語が求めることについて説明したが、認証情報を非公開データコード語に含める二次元コード生成方法についても同様であり、前述の各処理により実行されるようにしてもよい。
【0117】
図11は、関連二次元コード評価方法のフローチャートである。以下の説明において、特段のことわりがない場合、二次元コードシンボル1のデコード手法は、JIS規格による手法が採用される。
【0118】
また、前提として、拡張デコーダ20の記憶部21bには、所定の方法で定めることができる非公開データコード語で置換される開始位置と非公開データコード語の長さ(語数)にかかわる情報(開始位置情報と長さ情報)が記憶されているものとする。同様に、公開データコード語における関連コード情報の開始位置(非公開データコード語の先頭)と長さにかかわる情報が記載されているものとする。なお、どの部分がどれ位の長さだけ非公開データコード語で置換されるか、また、非公開データコード語のどの部分がどれ位の長さだけ関連コード情報で占められるかをどのように定めるかについては、任意であり、何ら本実施の形態の方法に限定されるものではない。
【0119】
まず、二次元コードシンボル1の読み取りが行われる(S202)。ここでは、最初に、二次元コードAに係る二次元コードシンボル1を読み取ったものとする。そして、読み取った二次元コードシンボル1に基づいて、複数のRSブロックが展開される(S204)。これら複数のRSブロックへの展開は、JIS規格に準ずるものを採用することができる。これにより、たとえば、前述の
図9に示された置換後RSブロックが取得される。つまり、関連二次元コードから置換後コードブロックが求められることとなる。
【0120】
次に、取得された置換後RSブロックから所定の方法によって情報本体のコード語(公開データコード語)及び非公開データコード語が抽出される(S206)。
【0121】
図12は、関連二次元コードの非公開データコード語の抽出方法の説明図である。
図12には、置換後RSブロックと非公開データコード語が示されている。
【0122】
置換後RSブロックは、前述のように、二次元コードシンボル1を読み取り、JIS規格に準じて展開することにより取得することができる。本実施の形態において、拡張デコーダ20は、記憶部21bに記億されている非公開データコード語の開始位置情報と長さ情報とに基づいて、置換後RSブロックにおける非公開データコード語の位置を特定する。そして、特定した位置から非公開データコード語を抽出する。
【0123】
図13は、関連二次元コードの情報本体の取り出し方法の説明図である。拡張デコーダ20は、置換後RSブロックの誤り訂正を行うことにより、置換前RSブロックを取得する。そして、置換前RSブロックの先頭から終端符号までの情報を抽出し、抽出したデータを情報本体とする。つまり、置換後RSブロックから訂正コード語を用いて公開データコード語を抽出し、公開データコード語から公開情報である情報本体を取り出すこととなる。
【0124】
次に、拡張デコーダ20は、非公開データコード語から、非公開情報と関連コード情報を取り出す。すなわち、拡張デコーダ20は、記憶部21bに記憶されている関連コード情報の開始位置情報と長さ情報とに基づいて、非公開データコード語における関連コード情報の位置を特定する。そして、特定した位置から関連コード情報を取り出すと共に、非公開データコード語の残りの情報を非公開情報とする。
【0125】
拡張デコーダ20は、関連コード情報(すなわち、識別情報と連鎖数情報と序列番号情報と指標情報)を把握(確認)する(ステップS210)。つまり、識別情報から本二次元コードが関連二次元コードであることを把握(確認)すると共に、本実施の形態においては、他の3つの情報から当該関連二次元コードが3つの関連二次元コードのうちの1番目の関連二次元コードであり、パスワードがAF(16進数)であることを把握(確認)する。
【0126】
なお、本実施の形態においては、上述した関連コード情報取り出し処理を、読み取った複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、複数の関連二次元コードの各々から取得された関連コード情報に基づいて、複数の関連二次元コードが互いに関連づけられていることを評価する。より具体的には、前記識別情報に基づいて、各々の二次元コードが関連二次元コードであることが確認され、複数の関連二次元コードの各々から取得された連鎖数情報及び序列番号情報に基づいて、連鎖数分の互いに異なる序列番号が揃ったことが確認され、指標情報に基づいて、互いに異なる序列番号を有する連鎖数分の関連二次元コードが関連付けられている(ここでは、連鎖数分の関連二次元コードの指標情報(パスワード)が一致している)ことが確認された際に評価条件が満たされた際に)、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価する。
【0127】
ここでは、1つの関連二次元コードのみしか読み取られていないため、当該評価工程は未だ実行されない。そして、表示装置23による表示についても何ら行われない。
【0128】
次に、二次元コードBを読み込むと、ステップS202からステップS210と同様の手順(ステップS212からステップS220)が実行され、公開情報、非公開情報、関連二次元コード情報が取り出される(ステップS218)。
【0129】
拡張デコーダ20は、まず、関連コード情報(すなわち、識別情報と連鎖数情報と序列番号情報と指標情報)を把握(確認)し、その後に取り出された認証情報(例えば、文字列等)に基づいて、例えば、事前に管理サーバ(図示せず)等に、当該認証情報と対応付けられて記録(登録)される各種の情報を把握(確認)する(ステップS220)。つまり、識別情報から本二次元コードが関連二次元コードであることを把握(確認)すると共に、本実施の形態においては、他の3つの情報から当該関連二次元コードが3つの関連二次元コードのうちの2番目の関連二次元コードであり、パスワードがAF(16進数)であることを把握(確認)し、読み取られた認証情報についても、読み取られた認証情報が記録されているか把握(確認)する。
【0130】
そして、当該関連コード情報については、二次元コードAの関連コード情報と、を照らし合わせることにより、前述した評価工程が実施され、認証情報については、読み取られた認証情報と記録されている認証情報との評価が実施される(ステップS221)。
【0131】
ここでは、例えば、関連コードの場合は、連鎖数分の互いに異なる序列番号が揃っておらず(つまり、3つのうちの1、2しかない)評価条件が満たされていないため、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられているとは評価されない。そして、このような揚合には、表示装置23による表示については何ら行われない。
【0132】
また、例えば、認証情報の場合は、認証情報と、認証情報を読み取った拡張デコーダ20に関する認証情報を合わせて取得し、管理サーバにおいて合わせて評価されるようにしてもよい。これにより、自分の搭乗券、チケット又はIDバッジ等に印字の認証情報を、他人の拡張デコーダ20で読み取ったとしても、事前に管理サーバに記録されている各種情報(拡張デコーダ20に関する識別情報等)により、正規の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者が拡張デコーダ20と評価されないことになる。
【0133】
さらに、二次元コードCを読み込むと、ステップS202からステップS210と同様の手順(ステップS222からステップS230)が実行され、公開情報、非公開情報、関連二次元コード情報が取り出される(ステップS228)。
【0134】
拡張デコーダ20は、関連コード情報(すなわち、識別情報と連鎖数情報と序列番号情報と指標情報)を把握(確認)する(ステップS230)。つまり、識別情報から本二次元コードが関連二次元コードであることを把握(確認)すると共に、本実施の形態においては、他の3つの情報から当該関連二次元コードが3つの関連二次元コードのうちの3番目の関連二次元コードであり、パスワードがAF(16進数)であることを把握(確認)する。
【0135】
そして、当該関連コード情報と、二次元コードA及び二次元コードBの関連コード情報と、を照らし合わせることにより、前述した評価工程が実施される(ステップS231)。ここでは、各々の二次元コードが関連二次元コードであることが確認され、連鎖数分の互いに異なる序列番号が揃ったことが確認され(つまり、3つのうちの1、2、3、が揃う)、互いに異なる序列番号を有する連鎖数分の関連二次元コードが関連付けられている(連鎖数分の関連二次元コードの指標情報(パスワード)がAFで一致している)ことが確認され、前記評価条件が満たされるため、複数の関連二次元コード(二次元コードA~二次元コードC)が互いに関連付けられていると評価される。
【0136】
拡張デコーダ20は、認証情報についても把握(確認)する。つまり、読み取った認証情報から、事前に管理サーバに記録(登録)されている認証情報であることを把握(確認)する。本実施の形態においては、複数の認証情報から、他の3つの情報から当該関連二次元コードが3つの関連二次元コードのうちの3番目の関連二次元コードであり、パスワードがAF(16進数)であることを把握(確認)する。
【0137】
そして、本実施の形態においては、拡張デコーダ20がかかる評価をした際に、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられている旨(例えば、「認証できました」の文字)が表示装置23により表示される(ステップS232)。なお、表示の代わりに又は表示に加えて、かかる旨を音声により報知することとしてもよい。
【0138】
さらに、かかる際に、表示装置23は、ステップS208、ステップS218、ステップS228で取り出された二次元コードA~二次元コードCの各々の公開情報と非公開情報も表示する(ステップS232)。なお、本実施の形態においては、
図14に示すように、各々の公開情報を、関連二次元コードの読み取り順ではなく、前記序列番号の順に表示し、同様に、各々の非公閧情報も前記序列番号の順に表示してもよい。また、公開情報のグループと非公開情穀のグループがそれぞれ一塊になるように表示し、公開情報のグループの次に非公開情報のグループが続くように表示してもよい。なお、
図14は、ディスプレイに各種情報が表示された様子を示した模式図である。
【0139】
(具体的な適用例について)
上述した関連二次元コードの適用例について、幾つかの例を挙げて説明する。
<第一適用例>
先ず、第一適用例について、
図15及び
図16を用いて説明する。
図15A及び
図15Bは、第一適用例を説明するための説明図である。
図16A及び
図16Bは、第一適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【0140】
第一適用例では、移動手段の搭乗者を例に説明するが、イベントの参加者及びサービスの担当者についても同様である。搭乗者は、例えば、前記拡張デコーダ20として、例えば、ハンディ端末(対象アプリを搭載したスマートフォン等)を所有し、当該ハンディ端末を当該二次元コードA(例えば、搭乗券に印刷される)と二次元コードB(例えば、機内で参照できる機内誌に印刷される)に順次又は同時にかざすと、当該ハンディ端末において、前述した工程が実行され、搭乗券の二次元コードAと二次元コードBが互いに関連付けられているとの評価が認証情報をもとに成される。そして、当該評価が成されると、「認証できました」の文字が
図16Aに示すように表示され、「山田様への特別オファーは5件あります。」、「1.XX商事様、2.YY物流様、3.ZZテクノロジー様」が間違いなく「山田 太郎」用のものであることが認証される。
【0141】
これにより、認証情報に基づく対象情報の確認が可能となる。また、合わせて、
図15Aに示すように、公開情報及び非公開情報がディスプレイに表示され、搭乗者(会員)に適した情報をディスプレイで見て確認できる。
【0142】
第一適用例では、
図15Aに示すように、連鎖数が2の関連二次元コードを用いる。二次元コードAの公開情報は、搭乗に関する情報として、例えば、搭乗券に印刷される情報である。
【0143】
搭乗券に印刷される情報は、例えば、搭乗者名、搭乗年月日、出発、到着、便名、座席等(例えば、「山田 太郎、YYYYMMDD、出発XX、行先YY、便名ABC10、座席12A、・・・」)であり、それらの各情報を二次元コードAに埋め込む。
【0144】
また、非公開情報としては、認証情報(例えば、「会員識別ID、対象情報ID-1、・・・」)を二次元コードAに埋め込む。当該二次元コードAの公開情報には、標準デコーダでは読み取れないような読み出しができないプロテクトをかけてもよい。
【0145】
また、他の搭乗者の二次元コードA’の公開情報も、同様に搭乗に関する情報として、搭乗券に印刷される情報であり、例えば、搭乗者名、搭乗年月日、出発、到着、便名、座席等(例えば、「鈴木 花子、YYYYMMDD、出発XX、行先YY、便名ABC10、座席22A、・・・」)であり、それらの各情報を二次元コードA’に埋め込む。
【0146】
また、非公開情報としては、認証情報(例えば、「会員識別ID、対象情報ID-2、・・・」)を二次元コードA’に埋め込む。当該二次元コードA’の公開情報には、前述と同様に標準デコーダでは読み取れないような読み出しができないプロテクトをかけてもよい。
【0147】
また、二次元コードBは、機内誌に予め印刷される関連二次元コードである。二次元コードBの公開情報は、例えば、アプリ取得用のURL、公開情報等の情報が二次元コードBに埋め込まれる。また、非公開情報としては、機内誌の各ページを識別するための各種の情報と認証情報(例えば、「刊行月ID―A、記事ID-A、対象情報ID-A、・・」)を二次元コードBに埋め込む。
【0148】
二次元コードBの公開情報は、例えば、標準デコーダで誰でも読み取ることができるようにしてもよい。非公開情報は、拡張デコーダ20であっても、利用者に権限が与えられていない限り読み出しができないようにプロテクトをかけたり、特殊なパスワード等を通知されていない限り、読み出しができないようにプロテクトをかけることも可能である。
【0149】
また、公開情報は誰でも参照できるので、本システムのアプリケーション等を準備していない利用者は、事前に拡張デコーダ20に拡張デコーダ20のアプリケーションをダウンロード、インストールしておくことで、関連二次元コードの読み出しが可能となる。
【0150】
なお、二次元コードBについても、複数の搭乗券の二次元コードAのグループに機内誌に印字される二次元コードBが関連を確認(認証)して、二次元コードAのグループにおける認証情報に基づいて、例えば、二次元コードBのグループで特定される選択肢の中から適切なデジタルコンテンツ(テキスト情報、画像、映像等)を選択できるようにしてもよい。
【0151】
ここで、二次元コードAのグループ、二次元コードBのグループにおけるグループとは、例えば、関連コード情報の各要素(「連鎖数情報」、「序列番号情報」、「指標情報」)が同じ値を持つ関連二次元コードのそれぞれの集まりをいう。デジタルコンテンツの選択は、例えば、サービスやシステムの運営者側の担当者によって、提示すべきコンテンツ群(グループ)を相応に(あらかじめ)適宜選択される。
【0152】
また、コンテンツ群は、搭乗者に関する属性、搭乗に関する情報の他、搭乗回数や搭乗履歴等の情報に応じて設定されてもよい。これにより搭乗者は、このコンテンツ群の中から、例えば、自分の好みや趣向、目的に応じて、適宜にコンテンツを選択することが可能となる。
【0153】
図15Bに示すように、二次元コードA、二次元コードBの評価の結果に応じて提供される各種対象情報は、例えば、非公開認証情報と対応付けられて、本システムの管理サーバと接続されるデータベース等に記憶されていてもよい(図示せず)。
【0154】
二次元コードAは、例えば、搭乗者の搭乗券に印刷されるようにしてもよい。また、二次元コードBは、例えば、機内誌に印刷される。搭乗者(利用者)は、例えば、搭乗者が所有する拡張デコーダ20機能を有するスマートフォン等のカメラ機能及びアプリ機能により、手元の搭乗券に表示される二次元コードAと機内誌の所望のページに表示される二次元コードBを読み取る。
【0155】
その結果、前述の工程が実行され、二次元コードAと二次元コードBの非公開データコード語に含まれる関連コード情報に基づいて、互いに関連付けられているとの評価が成される。
【0156】
図16Aに、搭乗者「山田 太郎」の搭乗券の二次元コードAと機内で参照可能な機内誌の二次元コードが各々読み取られ、評価が成された一例を示す。
図16Aに示す評価の結果、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価されれば、「認証できました」の文字が表示される。
【0157】
続いて、認証情報の評価の結果に応じて、定型分、対象情報(例えば、「山田様への特別オファーは5件あります。」、「定型文言A、1.XX商事様 広告、2.YY物流様 案内、3.ZZテクノロジー様 デモビデオ等」)が搭乗者のスマートフォンのディスプレイに表示される。なお、認証情報が評価されなければ、機内誌の各ページを識別するための情報(例えば、「刊行月ID―A、記事ID-A」)に基づいて、対応するデジタルコンテンツを表示させるようにしてもよい。
【0158】
なお、搭乗者は、拡張デコーダ20として機能する当該アプリケーションの起動時に、すでに会員情報で識別される認証情報でログインしている場合、その状態で関連二次元コードBを読み込むと、すでに識別されている「認証情報(会員情報)」と読取った関連二次元コードの「認証情報」との評価が行われ、「認証情報(会員情報)」に応じた情報を参照できるようにしてもよい(二次元コードAは読み出さない)。
【0159】
また、例えば、会員でない搭乗者が二次元コードBを撮影した場合、二次元コードBに含まれている「認証情報」に対応する「認証情報」が把握(確認)できないため、二次元コードBの当該ページに関するコンテンツ情報を参照させるようにしてもよい。どのようなコンテンツを参照させるかは任意である。
【0160】
図16Bには、別の搭乗者(例えば、「鈴木様」)の搭乗券の関連二次元コードと機内誌の別のページに印刷される関連二次元コードを読み込み、表示された例を示す。各々の関連二次元コードである二次元コードA及び二次元コードBを読み込むと、前述した工程が実行され、各々の「認証情報」による評価結果が表示され、前述と同様に当該評価が成されると、例えば、「認証できました」の文字が表示される。
【0161】
続いて、認証情報の評価の結果に応じて、対象情報ID-B(例えば、「定型文言A、期間限定 生八ツ橋、特別市内周遊券、WW10%割引等」)がディスプレイに表示される。これらの情報を記憶する管理サーバへのURL等のリンクが埋め込まれた情報であってもよい。
【0162】
また、搭乗者による拡張デコーダ20を使った認証情報及び関連二次元コードの読み取りが、当該拡張デコーダ20が読み取った時間と搭乗に関する時間等に基づいて、例えば、フライト中であると判断されれば、他の搭乗者の座席情報により座席前に備わるディスプレイに、認証情報及び関連二次元コードで評価された情報を表示させる等してもよい(図示せず)。
【0163】
また、例えば、イベントの参加者であれば、参加者による拡張デコーダ20を使った認証情報及び関連二次元コードの読み取りが、当該拡張デコーダ20が読み取った時間とイベントのタイムテーブルに関する時間等に基づいて、例えば、イベント開始前であると判断されれば、イベント開催の準備に関する情報、イベント中であると判断されれば、イベントをより楽しむためのコラボ情報、イベント開催後であると判断されれば、イベントの当日の画像やイベント開催に関するアンケート等を表示させる等してもよい(図示せず)。
【0164】
さらに、搭乗者は、搭乗後に各々の前述の二次元コードAと二次元コードBを読み取ってもよい。この場合、搭乗後として評価される各々のコンテンツ情報が表示されるようにしてもよい。表示されるコンテンツ情報は、例えば、前述の「山田様」と「鈴木様」とで、別々のコンテンツ情報を表示させる、機内誌や搭乗の顧客満足度に関するアンケート等を参照させるようにしてもよい。
【0165】
また、参加者は、イベント開催後に各々の前述の二次元コードAと二次元コードBを読み取ってもよい。この場合、開催後として評価される各々のコンテンツ情報が表示されるようにしてもよい。表示されるコンテンツ情報は、例えば、イベントの参加者、開催場所、開催時間等の参加者ごとの情報に基づいて、各々で別々のコンテンツ情報を表示させる又はイベントの開催に関する顧客満足度に関するアンケート等を参照させるようにしてもよい。
【0166】
<第二適用例>
次に、第二適用例について、
図17及び
図18を用いて説明する。
図17は、第二適用例を説明するための説明図である。
図18は、第二適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【0167】
第二適用例では、上述した関連二次元コードを用いて、例えば、高齢者介護施設に入所する高齢者に対して、施設の介護スタッフが薬の投与を医師の処方通りに間違いなく実施することをチェックする仕組みを構築する。
【0168】
本例では、連鎖数が2の関連二次元コードを用いる。また、序列番号2の関連二次元コードが複数(3つ)存在する。序列番号1の関連二次元コードを二次元コードA、序列番号2の関連二次元コードを二次元コードB、二次元コードB’、二次元コードB’’とする。
【0169】
二次元コードAは、高齢者のリストバンド又はベッドサイドのサインプレートに貼付される。そして、
図17に示すように、公開情報(情報本体)として部屋番号、入所者名、年齢、性別、血液型(例えば、「101号室、XY ZZ様、80歳、男性、O型」)を二次元コードAに埋め込み、また、非公開情報として病名(例えぱ、「糖尿病」)を二次元コードAに埋め込む。
【0170】
二次元コードB、二次元コードB’、二次元コードB’’は、例えば、投与する薬の包材に貼付される。そして、
図17に示すように、公開情報(情報本体)として部屋番号、投薬方法(例えば、「101号室、XX剤、毎朝食後2錠」、「101号室、YY剤、毎朝食後1錠」、「101号室、ZZ剤、気分が悪いとき1錠」)を二次元コードB、二次元コードB’、二次元コードB’’に埋め込み、非公開情報として服用日時(例えば、「1月XY日昼用」)を二次元コードB、二次元コードB'、二次元コードB’’に埋め込む。
【0171】
薬を高齢者に投与する介護スタッフは、例えば、前記拡張デコーダ20として例えばハンディ端末を所有し、当該ハンディ端末を当該二次元コードAと二次元コードBに順次又は同時にかざすと、当該ハンディ端末において、前述した工程が実行され、二次元コードAと二次元コードBが互いに関連付けられているとの評価が成される。そして、当該評価が成されると、「認証できました」の文字が
図18に示すように表示され、「101号室、XX剤、毎朝食後2錠」が間違いなく「XY ZZ様」用のものであることが認証される。したがって、投薬の誤りの発生が確実に回避される。また、併せて、
図18に示すように、公開情報及び非公開情報がディスプレイに表示され、問題が発生してないことを担当者や患者がディスプレイを見て確認できる。
【0172】
なお、同一の入居者に同時に投与すべき薬の分包数、すなわち与えられた入居者の持つ二次元コードAと関連を確認(認証)すべき関連二次元コード(例えば、二次元コードBのグループ)の合計数は、別途薬の分包に印字される関述二次元コード(例えば、二次元コードBのグループ)の公開情報又は非公開情報に含ませる等してもよく、これにより投薬漏れを引き起こさないように識別管理がされるようにしてもよい。
【0173】
なお、二次元コードAのグループ、二次元コードBのグループにおけるグループとは、前述と同様であるが、第2適用例における二次元コードBのグループとは、例えば、投与される薬に関する関連コード情報の各要素(「連鎖数情報」、「序列番号情報」、「指標情報」)が同じ値を持つ関連二次元コードのそれぞれの集まりをいう。
【0174】
投与する薬の選択は、例えば、医師から提示された処方箋情報、介護者情報等に基づいて、介護スタッフによって、確認すべき投薬指示群(グループ)を相応に(あらかじめ)適宜選択される。投薬指示群は、医師による診断結果等を元に、入居者ひとりに投与する薬が複数のある場合、それら複数の薬の各々の投与に関する情報である。これにより介護スタッフは、投与する複数の薬の包材から、入居者ひとりに投与すべき薬を確認できる。
【0175】
また、同様の作業を、二次元コードAと二次元コードB’で行うことにより「101号室、YY剤、毎朝食後1錠」が間違いなく「XY ZZ様」用のものであることを認証する。また、二次元コードAと二次元コードB’’で行うことにより、「101号室、ZZ剤、気分が悪いとき1錠」が間違いなく「XY ZZ様」用のものであることが認証される。
【0176】
<第三適用例>
次に、第三適用例について、
図19及び
図20を用いて説明する。
図19は、第三適用例を説明するための説明図である。
図20は、第三適用例に係る各種情報がディスプレイに表示された様子を示した模式図である。
【0177】
第三適用例では、上述した関連二次元コードを用いて、例えば、訪問介護のヘルパーが自宅での介護を希望する依頼主の元へ出向いて介護を行うケース(例えば、その他、家電製品の据え付け工事、修理工事や水道工事等であってもよい)にて、訪問してきたヘルパーが真正な者であることを依頼主に確認してもらう仕組みを構築する。
【0178】
本例では、連鎖数が3の関連二次元コードを用いる。序列番号1の関連二次元コードを二次元コードA、序列番号2の関連二次元コードを二次元コードB、序列番号3の関連二次元コードは二次元コードCとする。
【0179】
二次元コードAは、ヘルパーが携行するIDバッジ(写真、介護サービスを請け負う介護者派遣会社(以下、請負会社とする)、氏名が記載されたバッジ)に貼付される。そして、
図19に示すように、公開情報(情報本体)としてヘルパーの名前(例えば、「XX XX」)を二次元コードAに埋め込み、また、非公開情報としてヘルパーのメールアドレス(例えば、「Kaigo@・・・」)を二次元コードAに埋め込む。
【0180】
依頼主が、請負会社に対し、例えば、デイサービスの介護の予約を行うと、請負会社は依頼主へメールやファックス等で予約書を送付する。二次元コードBは、当該予約書に添付される。そして、
図19に示すように、公開情報(情報本体)として介護予約情報(訪問日時、会社名、ヘルパー名等。例えば「2月YY日、ZZケアサービス、XY ZZ」)を二次元コードBに埋め込む(なお、本ケースでは非公開情報は埋め込まれない)。
【0181】
また、依頼主が、請負会社に対し作業の予約を行うと、請負会社はヘルパーへメールやファックス等で介護指示書を送付する。二次元コードCは、当該介護指示書に添付される。そして、
図19に示すように、公開情報(情報本体)として介護予約情報(訪問日時、訪問場所、介護内容等。例えば、「2月YY日、東京都荒川区・・、デイサービスA」)を二次元コードCに埋め込む(なお、本ケースでは非公開情報は埋め込まれない)。
【0182】
ヘルパーは、前記拡張デコーダ20として例えばハンディ端末を所有し、当該ハンディ端末を当該二次元コードA~二次元コードCに順次又は同時にかざす。すると、当該ハンディ端末において、前述した工程が実行され、二次元コードA乃至二次元コードCが互いに関連付けられているとの評価が成される。そして、当該評価が成されると、「認証できました」の文字が
図20に示すように表示され、依頼主が依頼した介護内容が真正なヘルパーにより間違いなく実施されることが認証される。したがって、誤った介護作業が実施されたり、悪徳な業者により適当でない、あるいは適切な資格や技能を保持しないヘルパーが派遣されたりすることが確実に回避される。また、合わせて、
図20に示すように、公開情報及び非公開情報がディスプレイに表示され、問題が発生してないことをヘルパーや依頼主がディスプレイを見て確認できる。
【0183】
また、依頼主が、保有する関連二次元コード(すなわち、二次元コードB)によって認証に参加することで業者の不正(たとえば検収の確認、を受けていないのに作業終了としてしまう等)を防止することができる。また、認証の結果は履歴として記録保管することで後日の監査や万がーのクレームや疑義の検証のための証左として効力を有する客観的な情報として活用できる。
【0184】
(本実施の形態に係る二次元コード生成方法等の有効性について)
上述したとおり、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成方法であって、非公開データコード語を求め、公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連コード情報を、前記非公開データコード語に含ませることした。
【0185】
また、本実施の形態に係る拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する二次元コード生成システムであって、非公開データコード語を求め、公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて前記関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において前記非公開データコード語を求める際に、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための関連二次元コード情報を前記非公開データコード語に含ませることとした。
【0186】
また、本実施の形態に係る二次元コード評価方法は、上記の二次元コード生成方法により生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する二次元コード評価方法であって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行する取り出し工程と、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する評価工程と、を有することを特徴とすることとした。
【0187】
また、本実施の形態に係る拡張デコーダ20(二次元コード評価システム)は、上記の拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)により生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する拡張デコーダ20(二次元コード評価システム)であって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者を特定する認証情報又は認証情報に基づいて提供されるコンテンツを特定する対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価することとした。
【0188】
また、本実施の形態に係る拡張管理システム(二次元コード管理システム)は、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードを生成する拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)であって、非公開データコード語を求め、公開データコード語と誤り訂正コード語とを有する置換前コードブロックを求め、前記置換前コードブロックの一部を前記非公開データコード語で置換することにより前記非公開データコード語が隠蔽された置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックに基づいて関連二次元コードを生成する生成工程を、複数回実行することにより、前記複数の関連二次元コードの各々を生成し、各々の前記生成工程において、前記搭乗者の搭乗券又は前記機内誌に印字・印刷される前記非公開データコード語を求める際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを特定可能とするための認証情報又は対象情報及び関連コード情報を、前記非公開データコード語に含ませる拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)と、当該拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)により生成された複数の関連二次元コードを読み取って、該複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する拡張デコーダ20(二次元コード評価システム)であって、前記関連二次元コードから前記置換後コードブロックを求め、前記置換後コードブロックから前記非公開データコード語を抽出し、前記非公開データコード語から前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報を取り出す関連コード情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記認証情報又は前記対象情報及び前記関連コード情報に基づいて、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価する拡張デコーダ20(二次元コード評価システム)と、を備えることとした。
【0189】
そのため、対象を二次元コードで管理する際に真正性を担保することを、関連二次元コードに係る技術を用いて、適切に実現することが可能となる。
【0190】
JIS規格の第9章に規定されている構造的連接二次元コード等の関連二次元コードは、既によく知られており、このコードを利用した技術も提案されている。しかしながら、従来は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることを評価(確認、判定)することにより、当該関連二次元コードによる管理対象(当該関連二次元コードを所有している人や当該関連二次元コードが添付されている物等)の真正性を担保する(認証する)ようなことは実施されていなかった。
【0191】
また、仮に、かかる事項を、構造的連接二次元コードのような標準関連二次元コードを用いて実施しようとする場合には、以下の問題点が生じることが考えられる。
【0192】
すなわち、標準デコーダで構造的連接二次元コード(関連二次元コード)のーつを読み取った際には、標準デコーダはこの二次元コードが構造的連接二次元コード(関連二次元コード)であることを理解することができ、その旨(例えば、「次の二次元コードを読み取って下さい」等のメッセージ)を表示する。したがって、標準デコーダを操作する操作者は、この二次元コードが通常の二次元コードではなく構造的連接二次元コード(関連二次元コード)であることを容易に認識することができる。
【0193】
そして、このような認識行為は、当該操作者が悪徳な業者等であった場合に、当該業者等が付け入る契機となり得る。例えば、当該業者等は、この読み取った構造的連接二次元コード(関連二次元コード)を解析して、この構造的連接二次元コード(関連二次元コード)に関連付けられた他の構造的連接二次元コード(関連二次元コード)を偽造することができる。そして、この偽造した他の構造的連接二次元コード(関連二次元コード)を用いて、悪事を働く可能性が生ずる。
【0194】
これに対し、本実施の形態においては、前記事項を、標準関連二次元コードではなく独自の関連二次元コードを用いて行うこととし、当該独自の関連二次元コードにおいては、認証情報及び関連コード情報を非公開データコード語に含ませることとした。標準デコーダでは、非公開データコード語から関連コード情報を取り出せないため、標準デコーダは、本実施の形態に係る二次元コードを読み取ろうとしても、通常の二次元コードと理解するのみで、関連二次元コードであることをそもそも理解することができない。したがって、標準デコーダを操作する操作者は、この二次元コードが通常の二次元コードではなく関連二次元コードであることを認識することができない。そのため、操作者が悪徳な業者等であった場合であっても、当該業者等は前述した偽造を行う発想には至り得ない。
【0195】
このように、本実施の形態に係る二次元コード生成方法、拡張エンコーダ10(二次元コード生成システム)、二次元コード評価方法、拡張デコーダ20(二次元コード評価システム)、拡張管理システム(二次元コード管理システム)によれば、対象を二次元コードで管理する際に、関連二次元コードに係る技術を用いて、真正性をより確実に担保することができる。
【0196】
また、本実施の形態において、前記関連コード情報は、二次元コードが関連二次元コードであるか否かを示す識別情報と、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードの連鎖数を示す連鎖数情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、前記連鎖数分の関連二次元コードのうちの何番目の関連二次元コードであるかを示す序列番号情報と、前記関連コード情報を備える関連二次元コードが、該関連二次元コードと序列番号が異なる他の関連二次元コードと関連付けられているか否かを判断するための指標情報と、を有することとした。
【0197】
また、前記評価工程においては、前記識別情報に基づいて、各々の前記二次元コードが関連二次元コードであることが確認され、前記複数の関連二次元コードの各々から取得された前記連鎖数情報及び前記序列番号情報に基づいて、前記連鎖数分の互いに異なる前記序列番号が揃ったことが確認され、前記指標情報に基づいて、互いに異なる前記序列番号を有する連鎖数分の前記関連二次元コードが関連付けられていることが確認された際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価することとした。
【0198】
このように、本実施の形態においては、識別情報と連鎖数情報と序列番号情報と指標情報が、非公開データコード語に含まれている。つまり、偽造を行う上で必須の情報が隠蔽されているので、第三者がこの隠蔽された情報を知らなければ、偽造を行うことがより一層難しい状況となる。したがって、本実施の形態においては、真正性をより一層確実に担保することができる。
【0199】
また、本実施の形態においては、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられている旨を表示する表示工程を有することとした。
【0200】
そのため、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを拡張デコーダ20の操作者等に対し、明確に知らせることが可能となる。
【0201】
また、本実施の形態において、前記取り出し工程においては、前記置換後コードブロックから前記誤り訂正コード語を用いて前記公開データコード語を抽出し、前記公開データコード語から公開情報を取り出す公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、各々の前記公開情報を表示する表示工程を有することとした。
【0202】
そのため、拡張デコーダ20の操作者等は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを、公開情報の表示により知ることができ、さらに、複数の関連二次元コードの各々に埋め込まれている追加の情報(例えば、前述の第一適用例では、診療科目、患者名、年齢、性別、血液型、薬名)を拡張デコーダ20の操作者等にまとめて提示することができる。
【0203】
また、本実施の形態において、前記取り出し工程においては、前記非公開データコード語から非公開情報を取り出す非公開情報取り出し処理を、読み取った前記複数の関連二次元コードの各々に対して実行し、前記表示工程においては、各々の前記非公開情報を表示することとした。
【0204】
そのため、拡張デコーダ20の操作者等は、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)ことを、非公開情報の表示により知ることができ、さらに、複数の関連二次元コードの各々に埋め込まれている追加の情報(例えば、前述の第一適用例では、病名、投与等)を拡張デコーダ20の操作者等にまとめて提示することができる。
【0205】
また、本実施の形態において、前記表示工程においては、各々の前記公開情報を前記序列番号の順に表示し、各々の前記非公開情報を前記序列番号の順に表示することとした。
【0206】
そのため、関連二次元コードの読み取り順に影響されることなく、所望の順番で公開情報及び非公開情報を表示することが可能となる。
【0207】
また、本実施形態においては、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていると評価した際に、互いに関連付けられた関連二次元コードに含まれる認証情報に基づく認証の結果に応じて、参照可能な情報を表示することとした。
【0208】
そのため、複数の関連二次元コードが互いに関連付けられていることが評価(確認)され、当該関連二次元コードによる管理対象の真正性が担保された(認証された)状態で、認証情報の評価に応じた情報を参照させることが可能である。複数の関連二次元コードに含まれる認証情報と各種情報に応じて、対象者や対象物を区別し、あるいは切り分けての情報を提供することが可能となり、一括で幅広い参照対象(非会員)とともに、対象者、日時、場所等に応じて細かい区分で限定した情報の参照を可能とする。
【0209】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態は、本発明の理解を客易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0210】
上記実施の形態においては、二次元コードとして二次元コードを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他の二次元コードであっても構わない。当該他の二次元コードとしては、
DataMatrix(ISO/IEC16022:2006、JIS X-0512:2015)及び
PDF417(ISO/IEC15438:2006、JIS X-0508:2010)
を、一例として挙げることができる。
【0211】
また、二次元コードの規格は、例えば、日本ではJIS規格、国際的にはISO規格により規定されている。二次元コードは、例えば、
JIS X 0510:2004 二次元コードシンボル-QRコード(登録商標)-、ISO/IEC 18004:2000, Information Technology-Automatic identification and data capture techniques-Bar code symbology-QR Code
等が知られている。
【0212】
また、DataMatrixコードでは、例えば、
JIS X 0512:2015 情報技術-自動認識及びデータ取得技術-バーコードシンボル体系仕様-データマトリックス、ISO/IEC 16022:2006, Information technology-Automatic identification and data capture techniques-Data Matrix bar code symbology specification
等が知られている。
【0213】
また、PDF417コードでは、例えば、
JIS X 0508:2010 バーコードシンボル体系仕様-PDF417、ISO/IEC 15438:2006, Information technology-Automatic identification and data capture techniques-PDF417 bar code symbology specification
等が知られている。
【0214】
また、上記実施の形態においては、二次元コード生成システムとして、制御部11と表示装置13と印刷装置14と入力装置15を備えるハンディ端末等の拡張エンコーダ10を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、前記生成工程を実行する遠隔地に備えられたサーバと、サーバとデータのやり取りを行い、表示装置13、印刷装置14、入力装置15を備える端末と、から構成されることとしてもよい。
【0215】
また、上記実施の形態においては、二次元コード評価システムとして、制御部21と撮像装置22と表示装置23と印刷装置24と入力装置25を備えるハンディ端末等の拡張デコーダ20を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、前記評価工程を実行する遠隔地に備えられたサーバと、サーバとデータのやり取りを行い、撮像装置22、表示装置23、印刷装置24、入力装置25を備える端末から構成されることとしてもよい。また、印刷装置24が存在しないこととしてもよい。
【0216】
また、二次元コード生成システム(二次元コード評価システム)は、専用端末であってもよいし、PC、スマートフォン、携帯電話等の汎用端末に、生成(評価)工程を実行するためのソフトウェア(アプリケーション)を組み込んだものであっても構わない。
【0217】
また、上記実施の形態においては、情報(公開情報、非公開情報が平文であることとして説明したが、暗号化されたもの(暗号文)であってもよい。
【0218】
また、上記実施の形態においては、指標情報として、互いに関連付けられた複数の関連二次元コードに共通のパスワードを用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、JIS規格の第9.3章に規定されているパリティデータのようなものを用いることとしてもよい。
【0219】
また、上記実施の形態においては、二次元コード、関連二次元コード等の生成は、例えば、上述の規格で定められた構造的連接に基づき、例えば、複数のコードを構成することで組合せによる認証を実現することができる。なお、複数のコードの組合せによる認証の方法は、これだけに限定されるものではない。
【0220】
また、上記実施の形態においては、移動手段の搭乗者、イベントの参加者又はサービスの担当者の何れかの対象者は、複数人(団体の搭乗者、グループの参加者又は複数人での作業等)であってもよく、この場合は各々の団体又はグループに対して共通の認証情報が与えられる。この場合、例えば団体又はグループには、人数が設定されており、コンテンツ(例えば、非公開情報)の参照、アクセス等は、その人数を上限とする範囲内で同時参照、アクセスを許可するようにしてもよい。
【0221】
また、指標情報が前記パスワードであり、さらに、公開情報及び非公開情報のうちの少なくとも一方が暗号文である場合(以下では、公開情報が暗号文である場合を例にとって説明する)には、以下のようにしてもよい。すなわち、当該パスワードを、前記暗号文の暗号鍵を特定するためのインデックス(見出し)情報としてもよい。例えば、複数種類のパスワードの各々毎に、このパスワードに対応する鍵の組(公開鍵暗号方式であれば、拡張エンコーダ10が前記公開情報を暗号化する際の公開鍵と拡張デコーダ20が前記公開情報を復号化する際の秘密鍵)を予め決めておく。そして、あるパスワード(例えば、
図4のAF)を使用する場合には、拡張エンコーダ10が、当該パスワード(AF)に対応する公開鍵で公開情報を暗号化する。また、拡張デコーダ20は、非公開データコード語から関連コード情報(指標情報であるパスワード(AF))を取り出して当該パスワード(AF)に対応する秘密鍵を選択(特定)し、この秘密鍵で公開情報を復号化する。
【0222】
上記実施の形態においては、連鎖数分の関連二次元コードの指標情報(パスワード)がー致しているか否かの確認しか行っていない。かかる確認のみでも十分であるが、このようなパスワードと鍵とを対応させる形態とすれば、よりセキュリティを高めることが可能となる。すなわち、仮に(改ざん等により偶然)AF以外のパスワード(BGとする)で連鎖数分の関連二次元コードの指標情報が一致した場合には、BGに対応する秘密鍵が選択されることとなり公開情報の復号化が不可能となるので、事態が正常でないことが分かるようになっている。したがって、この形態では、連鎖数分の関連二次元コードに係る指標情報(パスワード)が一致することだけでなく、連鎖数分の関連二次元コードに係る指標情報(パスワード)がAFで一致することまで要求されることとなる。そのため、よりセキュリティを高めることが可能となる。
【0223】
また、これと類似の手法として、電子署名を付加する手法を採用してもよい。すなわち、パスワードを、前記暗号文の暗号鍵を特定するためのインデックス(見出し)情報とし、複数種類のパスワードの各々毎に、このパスワードに対応する鍵の組(拡張エンコーダ10が情報(例えば、
図7のTOKYO<cr>MINATO<cr>JP)のハッシュ値を暗号化して電子署名を作成する際の秘密鍵と拡張デコーダ20が電子署名を復号化してハッシュ値を作成する際の公開鍵)を予め決めておく。そして、あるパスワード(例えば、
図4のAF)を使用する場合には、拡張エンコーダ10が、当該パスワード(AF)に対応する秘密鍵で電子署名を作成する。作成された電子署名は、例えば、
図3の公開情報又は非公開情報の中に含ませる(公開情報の例であれば、TOKYO<cr><MINATO<cr>JPN及び電子署名が公開情報となる)また、拡張デコーダ20は、非公開データコード語から関連コード情報(指標情報であるパスワード(AF))を取り出して当該パスワード(AF)に対応する公開鍵を選択(特定)し、この公開鍵で電子署名からハッシュ値を作成する。また、情報(例えば、
図7のTOKYO<cr>MINATO<cr>JPN)からもハッシュ値を作成し、双方のハッシュ値を比較する(ハッシュ値の一致を確認する)。
【0224】
仮に(改ざん等により偶然)AF以外のパスワード(BGとする)で連鎖数分の関連二次元コードの指標情報が一致した場合には、BGに対応する公開鍵が選択されることとなり、電子署名から当該公開鍵を用いて作成されたハッシュ値と、情報(例えば、
図7のTOKYO<cr>MINATO<cr>JPN)から作成されたハッシュ値とが一致せず、事態が正常でないことが分かるようになっている。したがって、この形態では、連鎖数分の関連二次元コードに係る指標情報(パスワード)が一致することだけでなく、連鎖数分の関連二次元コードに係る指標情報(パスワード)がAFで一致することまで要求されることとなる。そのため、よりセキュリティを高めることが可能となる。
【0225】
また、特開2017-91039号公報に開示されている技術を用いて、コードブロック(RSブロック)の保護符号化を行ってもよい。このような保護符号化を行えば、関連コード情報を含んだ非公開データコード語がより秘匿化されることとなる。
【符号の説明】
【0226】
1 :二次元コードシンボル
10 :拡張エンコーダ
11 :制御部
11a:演算部
11b:記憶部
13 :表示装置
14 :印刷装置
15 :入力装置
20 :拡張デコーダ
21 :制御部
21a:演算部
21b:記憶部
22 :撮像装置
23 :表示装置
24 :印刷装置
25 :入力装置