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特許7464292環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法
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  • 特許-環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240402BHJP
【FI】
G16H50/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021534099
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 KR2019008881
(87)【国際公開番号】W WO2020040431
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0099044
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521074128
【氏名又は名称】クリノミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ユン スン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ファン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】バク,ジョン ファ
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】佐藤 智康
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-343792(JP,A)
【文献】特開2000-262479(JP,A)
【文献】特開2014-119817(JP,A)
【文献】特開2004-030346(JP,A)
【文献】特開2005-202547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する疾病発症要因の情報を保存する保存部と、
該保存部に保存されている前記疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの現在の疾病発症リスクを計算し、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、前記ユーザーの現在値を変更することなくそのまま用いて、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの変動疾病発症リスクを計算する疾病発症リスク計算部と、
前記疾病発症リスク計算部により計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力するディスプレイ部と、
を含み、
前記疾病発症リスク計算部は、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を互いに異にして変更しながら、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを複数回計算し、
前記ディスプレイ部は、前記疾病発症リスク計算部により計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力し、前記ディスプレイ部は、更に、前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化するとき、全体のユーザーの中で、前記ユーザーにつけられているリスクの順位も共に視覚化し、
前記ユーザーの現在値を基に変化した値は、前記ユーザーの現在値を基に改善された値である、又は前記ユーザーの現在値を基に悪化した値である、
環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置。
【請求項2】
前記疾病発症リスク計算部は、
前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを計算することを特徴とする、
請求項1記載の環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置。
【請求項3】
疾病発症リスク計算部及びディスプレイ部を含む疾病発症リスク変動視覚化装置の疾病発症リスクの変動を視覚化する方法であって、
前記疾病発症リスク計算部が、疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの現在の疾病発症リスクを計算する段階と、
前記疾病発症リスク計算部が、前記疾病発症要因の情報を基に、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、前記ユーザーの現在値を変更することなくそのまま用いて、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの変動疾病発症リスクを計算する段階と、
前記ディスプレイ部が、計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力する段階と、
を含み、
前記変動疾病発症リスク計算の段階は、前記疾病発症リスク計算部が、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を互いに異にして変更しながら、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを複数回計算することからなり、
前記出力段階は、前記ディスプレイ部が、計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力することからなり、前記出力段階は、更に、前記ディスプレイ部が、前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化するとき、全体のユーザーの中で、前記ユーザーにつけられているリスクの順位も共に視覚化することからなり、
前記ユーザーの現在値を基に変化した値は、前記ユーザーの現在値を基に改善された値である、又は前記ユーザーの現在値を基に悪化した値である、
環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化方法。
【請求項4】
前記変動疾病発症リスク計算の段階は、
前記疾病発症リスク計算部が、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを計算することからなることを特徴とする、
請求項に記載の環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化方法をコンピュータで実行させるために、
コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境的要因の変化に応じた疾病発症リスクの変動を視覚化する装置及び方法に関するものであって、より詳しくは、疾病発症に影響を及ぼす要因のうち、遺伝的要因の値は維持し、環境的要因の値に変化を持たせながら、疾病発症リスクを計算し、環境的要因の変化に応じて計算された疾病発症リスクを視覚化する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝体(Genome)配列解析及び疾病の研究(Genome-wide association study;GWAS等)により、様々な疾病に関連する、或いは表現型に関連する遺伝子の突然変異(SNP又はmutation)マーカーが明らかになってきている。例えば、BRCA1、BRCA2遺伝子の突然変異(mutation)の場合、乳がん等の疾病を発症させる可能性を高めると報告されている。
【0003】
これを受けて、従来の科学研究を通じて報告された数々の遺伝子マーカーを活用して、被検者の疾病及び非疾病表現型が発症する可能性を予測する様々な方法が報告されており(参考文献:Schrodi SJ et al.Front.Genet.2014)
、国内外の遺伝子検査機関でも同様の方法を活用し、疾病及び表現型に対する遺伝的リスクの計算を基に、疾病発症の可能性を予測/検査する。
【0004】
しかし、疾病及び表現型の発症は、数多くの遺伝的要因と環境的要因(生活習慣等)が相互作用し、複合的に影響を及ぼす。したがって、保有する遺伝的な要因のみならず、生活習慣等の環境的要因も同時に考慮し、疾病発症リスクを計算しなければ正確な予測と解析ができない。
【0005】
疾病に影響を及ぼす遺伝的要因の場合は、個人が改善することができないが(遺伝子ハサミ等の特定の技術を用いなければ難しいという特性があるのに対し)、疾病に影響を及ぼす環境的要因の場合には、生活習慣の改善等を通じてリスク要因を調節することができ、結果的に、疾病発症の可能性を改善することができる。遺伝子検査の結果を提供する際、現在の生活習慣の変化(改善又は改悪)による疾病発症リスクの変化程度を計算して提示すれば、被検者は疾病発症の可能性を抑えるために、どのように生活習慣を改善すべきか、又は維持すべきかを数値的に/視覚的に確認することができ、結果的にさらに積極的に疾病を予防するために、良い習慣を持とうとする行動変容の効果を期待することができる。
【0006】
しかし、現在の生活習慣等の環境的要因に変動(改善又は改悪)があった場合、疾病発症リスクがどのように変動するのかを計算し、その結果を視覚化する技術が存在していない。ただし、図1に示すように、様々な環境的要因の中、「喫煙」と「肥満」の二つの要因について、それぞれ個別的環境要因の状態に応じてリスクの変化を数値で示す技術があるが、これは被検者自信の現在の生活習慣を考慮しないで、遺伝的リスク因子のみを考慮した時のリスクを先に計算してから、報告された環境的要因の状態に応じて変化するリスクの数値のみを示している。すなわち、図1を参照すれば、被検者自信の現在の状態は考慮しないで、それぞれの環境的要因のすべての場合の数について、従来の論文等で報告された数値の変化のみを単純に適用して示している。肺がんの場合、被検者の遺伝的要因のみを考慮したとき、リスクが0.84と解析され、従来報告された疫学調査の結果によれば、喫煙をした場合、非喫煙者よりもリスクが6.99倍、喫煙後、禁煙した場合は非喫煙者よりもリスクが3.5倍増すと報告されていたので、非喫煙時のリスクは、遺伝的要因0.84と非喫煙による環境的要因1を乗じた値を示しており、禁煙時のリスクは、遺
伝的要因0.84と禁煙時による環境的要因3.5を乗じた値を示しており、喫煙時のリスクは、遺伝的要因0.84と喫煙時による環境的要因6.99を乗じた値を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、疾病発症に影響を及ぼす要因の中、遺伝的要因の値は維持し、環境的要因の値に変化を持たせながら、疾病発症リスクを計算し、環境的要因の変化に応じて計算された疾病発症リスクを視覚化する環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を達成すべく本発明による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動を視覚化する装置は、疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する疾病発症要因の情報を保存する保存部と、該保存部に保存されている前記疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの現在の疾病発症リスクを計算し、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、前記ユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの変動疾病発症リスクを計算する疾病発症リスク計算部と、前記疾病発症リスク計算部により計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力するディスプレイ部とを含む。
【0009】
前記疾病発症リスク計算部は、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、前記ユーザの現在値を基に変化した値を用いて、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを計算することができる。
【0010】
前記疾病発症リスク計算部は、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、前記ユーザの現在値を基に変化した値を互いに異にして変更しながら、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを複数回計算し、前記ディスプレイ部は、前記疾病発症リスク計算部により計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力することができる。
【0011】
前記ユーザの現在値を基に変化した値は、前記ユーザーの現在値を基に改善された値である、又は前記ユーザの現在値を基に悪化した値であることができる。
【0012】
前記ディスプレイ部は、前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化するとき、全体のユーザーの中で、前記ユーザーにつけられたリスクの順位も共に視覚化することができる。
【0013】
前記の技術的課題を達成すべく本発明による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化方法は、疾病発症リスク変動視覚化装置の疾病発症リスクの変動を視覚化する方法であって、疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザーの現在の疾病発症リスクを計算する段階と、前記疾病発症要因の情報を基に、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、前記ユーザーの現在値を用いて、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、前記ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、前記予め設定された疾病に対する前記ユーザー
の変動疾病発症リスクを計算する段階と、計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力する段階とを含む。
【0014】
前記変動疾病発症リスク計算の段階は、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、前記ユーザの現在値を基に変化した値を用いて、前記ユーザの前記変動疾病発症リスクを計算することからなることができる。
【0015】
前記変動疾病発症リスク計算の段階は、前記予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、前記ユーザの現在値を基に変化した値を互いに異にして変更しながら、前記ユーザーの前記変動疾病発症リスクを複数回計算することからなり、前記出力段階は、計算された前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化して出力することからなることができる。
【0016】
前記ユーザの現在値を基に変化した値は、前記ユーザーの現在値を基に改善された値である、又は前記ユーザの現在値を基に悪化した値であることができる。
【0017】
前記出力段階は、前記ユーザーの前記現在の疾病発症リスクと、複数個の前記変動疾病発症リスクを視覚化する際、全体のユーザーの中で、前記ユーザーにつけられたリスクの順位も共に視覚化するものからなることができる。
【0018】
前記の技術的課題を達成すべく本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存され、前記した方法のうちのいずれかをコンピュータで実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法によれば、疾病発症に影響を及ぼす要因の中、遺伝的要因の値は維持し、環境的要因の値に変化を持たせながら、疾病発症リスクを計算し、環境的要因の変化に応じて計算された疾病発症リスクを視覚化することにより、ユーザーは、疾病発症の可能性を抑えるために如何にして環境的要因(生活習慣等)を改善すべきか、又は維持すべきかを数値的に/視覚的に確認することができ、結果的により積極的に疾病を予防するために、良い習慣を持とうとする行動変容をユーザーに起こすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来の疾病発症リスクを視覚化する例示を説明するための図である。
図2】本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスクの変動を視覚化する装置を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の好ましい実施例による疾病発症リスクを視覚化する一例を説明するための図である。
図4】本発明の好ましい実施例による疾病発症リスクを視覚化するもう一つの例を説明するための図である。
図5】本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスクの変動を視覚化する方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付した図面を参照に、本発明による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置及び方法の好ましい実施例にについて、詳細に説明する。
【0022】
まず、図2図4を参照に、本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた
疾病発症リスクの変動を視覚化する装置について説明する。
【0023】
図2は、本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスクの変動を視覚化する装置を説明するためのブロック図であり、図3は、本発明の好ましい実施例による疾病発症リスクを視覚化する一例を説明するための図であり、図4は、本発明の好ましい実施例による疾病発症リスクを視覚化するもう一つの例を説明するための図である。
【0024】
図2を参照すれば、本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動視覚化装置100は、疾病発症に影響を及ぼす要因の中、遺伝的要因の値は維持し、環境的要因の値に変化を持たせながら、疾病発症リスクを計算し、環境的要因の変化に応じて計算された疾病発症リスクを視覚化する。
【0025】
これのために、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、保存部110、疾病発症リスク計算部130及びディスプレイ部150を含むことができる。
【0026】
保存部110は、疾病発症要因の情報等を保存している。ここで、疾病発症要因の情報は、疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する。
【0027】
例えば、疾病発症要因の情報は、疾病(又は表現型)に対する遺伝的マーカー(遺伝的要因)及び環境的マーカー(環境的要因)を論文等の従来の資料から、各マーカー(要因)の効果量(effect size)情報と共に収集して獲得することができる。一般に、疾病に対するマーカーの効果量は、オッズ比(odds ratio)、相対リスク(relative risk)、リスク比(risk ratio)、ハザード比(hazard ratio)のうちいずれかで計算することができる。
【0028】
疾病発症リスク計算部130は、保存部110に保存されている疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病に対するユーザーの現在の疾病発症リスクと変動疾病発症リスクを計算する。ここで、現在の疾病発症リスクや変動疾病発症リスクを計算する方法は、従来の様々な計算方式を用いることができる。
【0029】
すなわち、疾病発症リスク計算部130は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、予め設定された疾病に対するユーザーの現在の疾病発症リスクを計算することができる。
【0030】
例えば、次の[表1]を参照すれば、胃がん発症に影響を及ぼす環境的要因が、飲酒、喫煙、BMI(体質量指数)であり、環境的要因(生活習慣等)に対するユーザーの現在値(現在の生活習慣等)が、以下の[表1]によれば、胃がんに対するユーザーの現在の疾病発症リスクは「50位」である。以下の[表1]による疾病発症リスクは一つの例示に過ぎず、疾病発症リスクは、従来の様々な計算方法に基づいて計算され、これにより、点数、倍数、ランキング、レベルなど、様々な方式によって表現されることができる。
【表1】
【0031】
また、疾病発症リスク計算部130は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、ユーザーの現在値を用いて、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、予め設定された疾病に対するユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。すなわち、疾病発症リスク計算部130は、疾病発症に影響を及ぼす要因の中、遺伝的要因に対する値は維持し、環境的要因に対する値に変化を持たせながら、変動疾病発症リスクを計算することができる。ここで、ユーザの現在値を基に変化した値は、ユーザーの現在値を基に改善された値である、又はユーザーの現在値を基に悪化した値であることができる。
【0032】
この時、疾病発症リスク計算部130は、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、ユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。例えば、疾病発症リスク計算部130は、環境的要因が3つあれば、1つの環境的要因、2つ、又は3つの環境的要因について変化値を用いて、ユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。
【0033】
また、疾病発症リスク計算部130は、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、ユーザーの現在値を基に変化された値を互いに異にして変更しながら、ユーザーの変動疾病発症リスクを複数回計算することができる。例えば、環境的要因について、ユーザーの現在値として「A」を用い、ユーザーの変動疾病発症リスクを計算し、環境的要因について、ユーザーの現在値として「B」を用い、ユーザーの変動疾病発症リスクを改めて計算し、環境的要因について、ユーザーの現在値として「C」を用い、ユーザーの変動疾病発症リスクを改めて計算することができる。
【0034】
例えば、次の[表2]を参照すれば、胃がん発症に影響を及ぼす環境的要因が飲酒、喫煙、BMI(体質量指数)であり、環境的要因に対するユーザーの現在値(現在の生活習慣等)を変化(改善又は悪化)させながら、胃がんに対するユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。以下の[表2]による環境的要因の値に対する変化の程度は、一つの例示に過ぎず、変化の程度は多様に設定することができる。
【表2】
【0035】
ディスプレイ部150は、疾病発症リスク計算部130によって計算されたユーザーの現在の疾病発症リスクと変動疾病発症リスクを視覚化して出力する。
【0036】
また、ディスプレイ部150は、疾病発症リスク計算部130により変動疾病発症リスクが複数回計算される場合、疾病発症リスク計算部130により計算されたユーザーの現在の疾病発症リスクと、複数個の変動疾病発症リスクを視覚化して出力することができる。
【0037】
この時、ディスプレイ部150は、ユーザーの現在の疾病発症リスクと、複数個の変動疾病発症リスクを視覚化するとき、全体のユーザーの中で、当該ユーザーにつけられているリスクの順位も共に視覚化することができる。
【0038】
例えば、図3に示すように、特定の疾病に対するユーザーの現在の疾病発症リスクに応じた順位を表示するだけでなく、環境的要因(生活習慣)の変化に応じて改善/悪化しうる疾病発症リスクの変化の程度を同時に表示することができる。併せて、図4に示すように、環境的要因(生活習慣)の変化時に予想される疾病発症リスクの順位の変化を表示し、具体的にどのような環境的要因(生活習慣)を改善すべきかユーザーが確認することができ、今の良い環境的要因(生活習慣)が悪化する場合には、疾病発症リスクがどのように変化するのかをユーザーが確認することができる。
【0039】
一方、本発明の好ましい実施例による疾病発症リスク変動視覚化装置100が、独立した一つの装置であると説明しているが、すなわち、疾病発症リスク変動視覚化装置100が、ユーザーの現在の疾病発症リスクを計算し、環境的要因の変化に応じた変動疾病発症リスクを計算し、計算された現在の疾病発症リスクと変動疾病発症リスクを視覚化して出
力すると説明したが、これに限定されず、実施例に基づいて、本発明による疾病発症リスク変動視覚化装置100は、アプリケーションなどの形態で、スマートフォン、パソコンなどのようなユーザー端末(未図示)に設置され、本発明による動作を行うことができる。
【0040】
次は、図5を参照して、本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスクの変動を視覚化する方法について説明する。
【0041】
図5は、本発明の好ましい実施例による環境的要因の変化に応じた疾病発症リスク変動を視覚化する方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図5を参照すれば、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病に対するユーザーの現在の疾病発症リスクを計算する(S110)。ここで、疾病発症要因の情報は、疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因及び環境的要因に対する情報を疾病別に有する。
【0043】
すなわち、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病に対する発生に影響を及ぼす遺伝的要因と環境的要因に対するユーザーの現在値を用いて、予め設定された疾病に対するユーザーの現在の疾病発症リスクを計算することができる。
【0044】
また、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病に対するユーザーの変動疾病発症リスクを計算する(S130)。
【0045】
すなわち、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、疾病発症要因の情報を基に、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす遺伝的要因については、ユーザーの現在値を用いて、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因については、ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、予め設定された疾病に対するユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。ここで、ユーザの現在値を基に変化した値は、ユーザーの現在値を基に改善された値である、又はユーザーの現在値を基に悪化した値であることができる。
【0046】
この時、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因が複数個あれば、複数個の環境的要因のうちの少なくとも一つ以上の環境的要因については、ユーザーの現在値を基に変化した値を用いて、ユーザーの変動疾病発症リスクを計算することができる。
【0047】
また、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、予め設定された疾病発症に影響を及ぼす環境的要因について、ユーザーの現在値を基に変化された値を互いに異にして変更しながら、ユーザーの変動疾病発症リスクを複数回計算することができる。
【0048】
それから、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、ユーザーの現在の疾病発症リスクと変動疾病発症リスクを視覚化して出力する(S150)。
【0049】
ここで、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、変動疾病発症リスクが複数回計算される場合、計算されたユーザーの現在の疾病発症リスクと、複数個の変動疾病発症リスクを視覚化して出力することができる。
【0050】
この時、疾病発症リスク変動視覚化装置100は、ユーザーの現在の疾病発症リスクと、複数個の変動疾病発症リスクを視覚化するとき、全体のユーザーの中で、当該ユーザーにつけられているリスクの順位も共に視覚化することができる。
【0051】
さらに、本発明は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータが読み取り可能なコードとして具現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータにより読み取り可能なデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。コンピュータが読み取り可能な記録媒体の例としては、ロム(ROM)、ラム(RAM)、シーディー-ロム(CD-ROM)、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ保存装置などがある。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例にについて詳細に説明したが、本発明は、上述した特定の好ましい実施例に限定されず、以下の請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、何人も多様な変形に実施可能であることはもちろんのこと、そのような変更は、請求の範囲の記載の範囲内にある。
【符号の説明】
【0053】
100:疾病発症リスク変動視覚化装置
110:保存部
130:疾病発症リスク計算部
150:ディスプレイ部
図1
図2
図3
図4
図5