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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】門型構造の工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240402BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240402BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q11/00 P
B23Q1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023012427
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2018161150の分割
【原出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2023052776
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000150604
【氏名又は名称】株式会社ナガセインテグレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】植村 圭二
(72)【発明者】
【氏名】東海 正
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-272041(JP,A)
【文献】特開2016-221662(JP,A)
【文献】特開平11-19847(JP,A)
【文献】特開平3-221348(JP,A)
【文献】特開2011-177809(JP,A)
【文献】米国特許第4394272(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00、11/10
B23Q 1/00、 1/01
B23B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載置されるテーブルを往復動可能に支持したベッドと、前記テーブルの移動方向と直交する方向においてベッドを跨ぐように配置され、前記ワークを加工するための工具を有する橋脚部とを備えた工作機械本体と、
前記ワークの加工に用いられる加工液を貯留するタンク装置とを備えた工作機械において、
前記タンク装置を、前記ベッドの下側に位置する部分と前記ベッドの長さ方向に突出する部分とを有し、使用済みクーラントが貯留される第1タンクと、その第1タンクから前記ベッドの幅方向に突出し、濾過済みクーラントが貯留される第2タンクとによって構成し
前記タンク装置を、前記橋脚部の突出幅と等しいか前記橋脚部の突出幅より狭く構成して前記橋脚部の突出幅の領域内に位置させ、
前記第2タンクの一部を前記第1タンクの上方にラップさせて、前記第1タンクと前記第2タンクとで平面L形状とした工作機械。
【請求項2】
前記工作機械本体に付設される付設装置を備え、前記タンク装置を、前記工作機械本体と付設装置との合計幅と等しいかその合計幅より狭く構成して、その合計幅領域内に配置した請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第2タンクに、第1タンクの上方にラップされた受樋を設けるとともに、その受樋にフィルタを設け、前記第1タンク内からクーラントを吸い上げて、前記フィルタに供給する供給路と、前記フィルタによって濾過された濾過済みクーラントを前記第2タンクに送給する送給路とを設けた請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1タンクの上面であって、工作機械本体の外部に位置する部分に、工作機械のカバー内のエアを除塵するための集塵機を設けた請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第2タンクの上面であって、工作機械本体の外部に位置する部分に、工作機械本体の加工部に送られるクーラントを温度調節するための温度調節ユニットを設けた請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記付設装置として前記工作機械本体の前側に制御盤ボックスを設け、前記タンク装置を前記制御盤ボックスの前面より後側に設けた請求項2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記付設装置として前記工作機械本体の後部にオイルタンクを設け、前記タンク装置を前記オイルタンクの後面より前側に設けた請求項2又は6に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラントなどの加工液を貯留するためのタンク装置を有する工作機械に関するものであって、特に門型構造の工作機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された工作機械には、機械本体の下側にクーラントタンクを配置した構成が開示されている。このような構成においては、クーラントタンクを邪魔になることなくレイアウトできて、工作機械の平面面積,言い換えれば上下方向における投影面積を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-247328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クーラントタンクとして、容量の大きなものが必要になると、そのタンクが工作機械本体から突出して、工作機械の占有スペースが広くなり、工場内のスペース効率が悪くなる。このためには、クーラントタンクとして、上下方向の寸法を大きくすることが考えられる。しかし、クーラントタンク内のクーラントを工作機械の加工部に供給する場合には、クーラントタンク内に沈殿した切り屑や塵埃などの異物をクーラントタンクから流出させないように、タンク内の上部側のクーラントを吸引して送り出す必要がある。従って、この場合には、タンク内の液位が下がると吸引ができない。このため、クーラントタンクは、扁平形状で、平面面積が広くなって、上下方向における投影面積が大きくなり、広い設置面積を必要とするものが通常である。
【0005】
しかしながら、ベッドが細長く、橋脚がベッドを跨ぐように設置された門型構造の工作機械においては、ベッドの下側に大面積のクーラントタンクの収納スペースを確保することは困難である。
【0006】
このため、従来は、ベッド175を跨ぐ橋脚部177が設けられた門型構造の工作機械の場合、図6に示すように、クーラントタンク171は工作機械本体172の外側に配置されるものであった。なお、176は、ベッド175上のテーブル、178は回転砥石などの工具を有する昇降体を示す。従って、図6から明らかなように、工作機械本体172の設置スペース以外にクーラントタンク171の設置スペースが必要になり、制御盤ボックス174やオイルタンク173を設置する必要も加わって、工場内のスペースを有効利用することができない。
【0007】
本発明の目的は、工場内のスペースを有効利用できる工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明においては、ワークが載置されるテーブルを往復動可能に支持したベッドと、前記テーブルの移動方向と直交する方向においてベッドを跨ぐように配置され、前記ワークを加工するための工具を有する橋脚部とを備えた工作機械本体と、前記ワークの加工に用いられる加工液を貯留するタンク装置とを備えた工作機械において具体化される。そして、本発明においては、前記タンク装置を、前記ベッドの下側に位置する部分と前記ベッドの長さ方向に突出する部分とを有し、使用済みクーラントが貯留される第1タンクと、その第1タンクから前記ベッドの幅方向に突出し、濾過済みクーラントが貯留される第2タンクとによって構成し、前記タンク装置を、前記橋脚部の突出幅と等しいか前記橋脚部の突出幅より狭く構成して前記橋脚部の突出幅の領域内に位置させ、前記第2タンクの一部を前記第1タンクの上方にラップさせて、前記第1タンクと前記第2タンクとで平面L形状としたことを特徴とする。
【0009】
以上のように構成すれば、ベッドの下側の空間を利用して第1タンクを設置できる。また、第2タンクをベッドから横方向に橋脚部が突出することによって形成されたスペース内に収めることができて、工作機械本体の外部にタンク装置を離間して配置する必要がない。従って、工作機械全体の上下方向の投影面積,すなわち平面面積を小さくできて、工場内のスペースを有効利用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、工場内のスペースを有効利用することができる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】門型構造の工作機械の一部省略正面図。
図2】門型構造の工作機械の一部破断平面図。
図3】タンク装置の斜視図。
図4】タンク装置の一部破断側面図。
図5】タンク装置のクリーン側タンクを示す分解斜視図。
図6】従来の門型構造の工作機械の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、実施形態の門型構造の工作機械は、複数の設置脚11によって工場の床面100に設置され、一方向(図1の左右方向)に細長く延在するベッド12と、そのベッド12を跨ぐように設置脚11によって床面100設置された門型の橋脚部13とを有している。ベッド12と橋脚部13とにより幅W1の工作機械本体10が構成されている。この幅W1は橋脚部13の幅と等しい。本実施形態においては、図2の上下を工作機械の前後とし、図1の左右を工作機械の左右とする。ベッド12の上面には、ワーク(図示しない)を載置するためのテーブル14が左右方向に移動可能に支持されている。橋脚部13の前後の脚131の上端部間における架設部15には回転砥石などの工具16を有するサドル17が昇降可能に支持されている。そして、この工具16によって前記テーブル14上のワークに対して所要の形態の加工が施される。ベッド12は、カバー18によって覆われている。
【0013】
図1及び図2に示すように、ベッド12の一端部の下側には収容空間21が形成されている。この収容空間21内において、床面100には、クーラントを濾過するとともに、そのクーラントを貯留するクーラントタンク装置(以下、タンク装置という)22が設置脚23(図3参照)を介して設置されている。このタンク装置22は、全体として平面L形状をなしている。そして、タンク装置22は、前方側に位置し、使用済みクーラントが貯留される第1部分及び第1タンクとしてのダーティ側タンク24と、後方側に位置し、濾過済みクーラントが貯留される第2部分及び第2タンクとしてのクリーン側タンク25とを備えている。そして、前記ダーティ側タンク24ほぼ半部が収容空間21内に位置している。クリーン側タンク25は、前記幅W1内の領域に位置し、ベッド12に沿って配置されている。ダーティ側タンク24と、クリーン側タンク25とによりタンク本体38が構成されている。タンク本体38の前後幅は工作機械本体10の幅W1より狭く形成されるとともに、タンク本体38の前後幅の後縁と工作機械本体10の幅W1の後縁とは同一線上またはその幅W1の後縁の前側に位置している。
【0014】
図2に示すように、工作機械本体10の左端部の前面には、付設装置としての制御盤ボックス39が設置されている。この制御盤ボックス39の前面は工作機械本体10の前端面である幅W1の前縁上またはその前縁の後側に位置するとともに、タンク装置22がこの制御盤ボックス39の前面より後側に位置している。工作機械本体10の右端部の後部における床面100には工作機械本体10の静圧軸受に供給されるオイルを貯留するための付設装置としてのオイルタンク40が設置されている。オイルタンク40の上部位置において、工作機械本体10には電気ケーブルやオイルホースを案内するための周知の案内支持装置(例えば、株式会社椿本チエイン製の商標名ケーブルベア)80が設置されており、この案内支持装置80の後縁の位置はオイルタンク40の後縁の位置である。タンク装置22の後側面は前記幅W1の後縁上またはその後縁の前側に位置している。そして、制御盤ボックス39とオイルタンク40及び案内支持装置80との間の幅,言い換えれば工作機械本体10,制御盤ボックス39,オイルタンク40及び案内支持装置80の合計前後幅は、幅W1と等しく、あるいは幅W1より狭く形成されている。
【0015】
図3図5に示すように、ダーティ側タンク24は全体として扁平長四角形の箱状をなし、その一端部の上面にはほぼ箱形の鉄系濾過部26が設けられている。そして、その鉄系濾過部26の周壁の受入れ口27に前記ベッド12の周囲に設けられた樋19(図1参照)からの濾過前クーラントがパイプ(図示しない)を介して供給される。受入れ口27からの濾過前クーラントは鉄系濾過部26内のマグネットフィルタ(図示しない)を有するフィルタ部28において鉄系の切り屑が除去されて、ダーティ側タンク24内に流下口(図示しない)から流下される。なお、受入れ口27が設けられることなく、前記樋19からの濾過前クーラントが前記パイプを介して鉄系濾過部26の上面開口に供給されるようにしてもよい。クーラントから除去された鉄系の切り屑は排出口29からタンク24外の収集箱30内に収集される。この収集箱30は床面100上に設置される。図2に示すように、この収集箱30は、前記制御盤ボックス39の前面より後方に設置される。そして、収集箱30を含むタンク装置22の全体の前後幅は前記幅W1と等しいか、幅W1より狭くなっている。
【0016】
図3に示すように、ダーティ側タンク24及びクリーン側タンク25の上面板には複数の開口31が設けられており、これらの開口31には蓋32が設けられている。そして、蓋32を開放することにより、タンク24,25内の異物の除去などを行い得る。ダーティ側タンク24の上面板には、脚33を介して集塵機34が支持されており、この集塵機34は前記カバー18内のエアを導入して除塵する。この集塵機34は工作機械本体10の外部に位置している。ダーティ側タンク24の上面板の中央部には循環ポンプ35が設けられており、この循環ポンプ35によってダーティ側タンク24内のクーラントが吸い上げられて、供給路を構成する送出部36から送り出される。ここで、図2においてダーティ側タンク24の上面のドット形成領域は、前記収容空間21外の領域を示すものであって、収容空間21内に納まることなく、ベッド12と干渉する高さを有する前記集塵機34などの部材はこのドット形成領域に配置される。
【0017】
図3及び図4に示すように、平面長四角形の前記クリーン側タンク25は、ダーティ側タンク24より厚く形成されて、クリーン側タンク25の上面板がダーティ側タンク24の上面板より高いところに位置している。クリーン側タンクの一辺には、ダーティ側タンク24の上方位置まで延出されて、ダーティ側タンク24と上下にラップされた受樋41が設けられている。クリーン側タンク25は、工作機械本体10の外部において前記幅W1内に位置しており、すなわち、受樋41とダーティ側タンク24とのラップ部も工作機械本体10の外部において幅W1内に位置している。
【0018】
図3及び図5に示すように、受樋41の基端部には一対の支持片42が対向状態で立設されており、この両支持片42間にはロール状のシートフィルタ43が支持されている。受樋41の内部には、同受樋41と相似形の受皿44が嵌合されており、その2箇所の隅部には透孔45が形成されている。受皿44は抑え枠46により抑えられている。受樋41と受皿44とは、シートフィルタ43によって濾過された濾過済みクーラントをクリーン側タンク25内に送給する送給路を構成する。そして、シートフィルタ43のロールから引き出されたシートフィルタ43が受皿44上に布設される。
【0019】
受樋41の上方にはステー47を介して供給路を構成する箱形をなす供給ボックス48が支持されている。供給ボックス48の上壁には、前記送出部36とパイプ(図示しない)を介して連結された受入部49が接続されている。従って、前記ポンプ35によって吸い上げられたダーティ側タンク24内のクーラントが供給ボックス48内に供給される。供給ボックス48の下壁には横長の開口50が透設されており、供給ボックス48内のクーラントが布設状態のシートフィルタ43上に供給されて、そのシートフィルタ43によって濾過される。なお、シートフィルタ43上に切り屑などの異物が捕捉されて、その量が多くなった場合、シートフィルタ43の未使用部分が引き出され、使用済み部分は、タンク本体38とは別体で、ダーティ側タンク24の上面板上に設置される廃棄ボックス51内に収められる。
【0020】
図5に示すように、クリーン側タンク25の内部は、区画板65によって第1室62と第2室63とに区画されており、それらの室62,63は、区画板65の下部の連通部64によって連通されている。前記受樋41の内部には区画板65によって帰還路66が形成されており、この帰還路66は第2室63と連通されている。帰還路66において、受樋41の底板には帰還出口67が透設されている。一方、ダーティ側タンク24には、連結筒68を介して帰還出口67に連結された帰還入口69が透設されており、帰還路66内のクーラントがダーティ側タンク24内に帰還される。
【0021】
クリーン側タンク25の上面板にはポンプ70が設置されており、このポンプ70により第2室63内のクーラントが送出部71及びパイプ(図示しない)を介して工作機械本体10の加工部に供給される。クリーン側タンク25の上面板には加熱ユニット73と温度調節ユニット74とが搭載されている。加熱ユニット73は、クリーン側タンク25内のクーラントを適温よりやや高くなるように加熱する。温度調節ユニット74は工作機械本体10の加工部に送り出されるクーラントを加工のための適温に温度調節する。加熱ユニット73,温度調節ユニット74は工作機械本体10の外部に位置している。
【0022】
ここで、図2においてクリーン側タンク25の上面のドット形成領域は、前記収容空間21外の領域を示すものであって、ダーティ側タンク24の上面のドット形成領域と連続しており、この両タンク24,25の平面L形をなすドット形成領域を付属機器配置領域とする。そして、収容空間21内に納まることなく、ベッド12と干渉する高さを有する前記集塵機34や温度調節ユニット74などの部材がこの付属機器配置領域に配置される。
【0023】
次に、以上のように構成された実施形態の作用について説明する。
工作機械の稼働中には、供給ポンプ70の作動によって、クリーン側タンク25内のクーラントが送出部71及びパイプ(図示しない)を介して工作機械本体10の加工部に供給されて、ワーク加工に供される。ワーク加工に供されたクーラントは、工作機械本体10の樋19に回収され、その後、鉄系濾過部26に戻されて、その鉄系濾過部26において鉄系の切り屑が除去された後に、ダーティ側タンク24内に貯留される。そして、同タンク24内において、残りの異物の多くの部分が沈殿されて、クーラントが浄化される。
【0024】
その後、ダーティ側タンク24内のクーラントは、循環ポンプ35によって吸い上げられて、クリーン側タンク25のシートフィルタ43によって濾過されて、受皿44の透孔45から受樋41を経て、クリーン側タンク25内の第1室62内に至る。
【0025】
そして、第1室62内のクーラントは、連通部64を経て第2室63内に至り、この第2室63から供給ポンプ70により工作機械本体10の加工部に供給される。この場合、供給ポンプ70による工作機械本体10側への供給量よりも、循環ポンプ35による吸い上げ量のほうが多いため、クリーン側タンク25内のクーラントはオーバーフローされる。オーバーフローされたクーラントは、帰還路66,帰還出口67及び帰還入口69を介してダーティ側タンク24内に帰還される。
【0026】
そして、本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)ダーティ側タンク24がベッド12の一端部の収容空間21内に収容されているため、工作機械の左右方向の長さ、言い換えれば、工作機械の全長を抑えることができる。
【0027】
(2)タンク装置22のタンク本体38の前後幅が工作機械本体10の幅W1より狭く形成されているため、工作機械全体の全幅を抑えることができる。ここで、廃棄ボックス51は、必要に応じて床面100上に設置されるものであるため、不要なときは撤去すればよく、従って、床面100上を広く利用することができる。しかも、廃棄ボックス51を設置した状態においても、廃棄ボックス51を含むタンク装置22の全幅である前後幅が付設装置としての制御盤ボックス39やオイルタンク40を含む工作機械全体の幅W1より狭い。加えて、前記タンク装置22の幅が工作機械本体10の幅W1と等しいか、あるいは幅より狭いため、工作機械全体の上下方向の投影面積,すなわち平面面積に従う専有面積を狭くできる。以上のように、タンク装置22は工作機械の幅領域内に収めることができて、工場内の床面100を有効利用できる。つまり、本実施形態においては、工作機械本体10に付設される付設装置を備え、前記タンク装置22を、前記工作機械本体10と付設装置との合計幅と等しいかその合計幅より狭く構成して、その合計幅領域内に配置したため、平面面積を小さくできる。
【0028】
(3)クリーン側タンク25が工作機械本体10の幅W1内に納まり、従って、橋脚部13のベッド12からの突出幅内に納まっているため、工作機械の全幅を抑えることができて、前述のように、工作機械の専有面積を小さくして、床面100の有効利用を図ることができる。
【0029】
(4)ダーティ側タンク24の端部とクリーン側タンク25の受樋41の部分が上下にラップしているため、クーラントタンク装置22のタンク本体38全体の平面面積を小さくできて、工作機械全体の平面面積を小さくできる。このため、クーラントタンク装置22の設置スペースの確保が容易になるとともに、前述のように、工作機械の専有面積を小さくして、床面100の有効利用を図ることができる。
【0030】
(5)ダーティ側タンク24の端部とクリーン側タンク25の受樋41とのラップ部が工作機械本体10の外部に位置しているため、作業者はシートフィルタ43の引き出しや張り替え,あるいはシートフィルタ43の交換などの作業を無理な姿勢を強制されることなく、簡単に行うことができる。
【0031】
(6)集塵機34や温度調節ユニット74がダーティ側タンク24及びクリーン側タンク25において、工作機械本体10の外部の付属機器配置領域(図2のドット形成領域)に設置されている。このため、工作機械本体10の下部側に空間が形成されていなくても、それらの機器を工作機械の幅W1内に納まりよく配置できるとともに、メンテンナンスも容易である。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
・加工液を貯留するタンク装置として、工作機械本体10で使用されるオイルを貯留するためのタンクとすること。この場合、工作機械本体10のベッド12の下部に位置する第1部分と、ベッド12の外部に位置する第2部分とによりタンク装置全体として平面L形状にする。
【0033】
・ダーティ側タンク24とクリーン側タンク25とを上下にラップさせることなく、ほぼ同一高さとすること。
・タンク装置22をダーティ側タンク24とクリーン側タンク25とに分離させることなく、工作機械本体10のベッド12の下部に位置する第1部分と、ベッド12の外部に位置する第2部分とにより平面L形状にする。
【0034】
・前記実施形態では、クリーン側タンク25の全体及びダーティ側タンク24の受樋41とのラップ部を橋脚部13の突出幅の領域内に位置するようにした。これに対し、例えば、クリーン側タンク25の半部及び前記ラップ部の半部を橋脚部13の突出幅の領域内に位置するようにし、残りの半部を橋脚部13の突出幅の領域外に位置させるなどとすること。つまり、クリーン側タンク25の全体及びダーティ側タンク24の受樋41とのラップ部の一部を橋脚部13の突出幅の領域外に位置させるようにすること。この構成においても、工作機械の全幅を狭くすることができる。
【符号の説明】
【0035】
10…工作機械本体、12…ベッド、13…橋脚部、14…テーブル、16…工具、18…カバー、22…タンク装置、24…ダーティ側タンク、25…クリーン側タンク、34…集塵機、38…タンク本体、39…制御盤ボックス、40…オイルタンク、41…受樋、74…温度調節ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6