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特許7464327衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/03 20060101AFI20240402BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20240402BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20240402BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20240402BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 3/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B24B55/03
B24B53/00 C
B24B53/00 B
B24B53/00 A
B24B55/02 Z
B24D3/00 320B
B24D3/06 A
B01J3/08 G
B01J3/08 M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023515844
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2021116993
(87)【国際公開番号】W WO2022052919
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】202010970004.8
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523085223
【氏名又は名称】フーナン インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】HUNAN INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】Xiangbei Road, Yueyang City, YueYang, Hunan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】シー ジャオヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ユエジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ニン リーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】タン シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ソンフイ
(72)【発明者】
【氏名】リー シー
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ワンイー
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0126097(US,A1)
【文献】特開2014-037012(JP,A)
【文献】特開2003-103465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/03
B24B 53/00
B24B 55/02
B24D 3/00
B24D 3/06
B01J 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システム、加速モジュール、衝撃波加速モジュール、加工モジュール、及び回収モジュールを含み、
前記制御システムは、装置全体の動作を制御するように使用され、
前記加速モジュールは、エアーポンプ(5)、空気貯蔵タンク(8)、空気圧調整弁(9)、加速管(10)、取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス(39)、粉末供給スイッチ(40)、小ラバルノズル(29)、エアフローバルブ(38)、空気圧感知スイッチ(32)、及び可動スイッチ(30)を含み、
前記エアーポンプ(5)と空気貯蔵タンク(8)は、必要な圧縮ガスを提供し、
前記加速管(10)には、可動空洞(35)、高圧空洞(33)、及び低圧空洞(31)に分けられ、前記加速管(10)は、小ラバルノズル(29)、及び取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス(39)にフランジで密封接続され、
前記空気圧調整弁(9)、空気圧感知スイッチ(32)、エアフローバルブ(38)、粉末供給スイッチ(40)、及び可動スイッチ(30)は、一定の順序で開閉し、衝撃波を発生させてナノ粒子を押して前進させるように、各室に必要な空気圧を共同で制御し、ナノ粒子(11)が取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス(39)から低圧空洞(31)に入ると、空気圧調整弁(9)が開き、加速管(10)内で発生する衝撃波がナノ粒子を押して前進させ、次に、小ラバルノズル(29)のラバル効果により加速することで、ナノ粒子が初速度を取得し、
衝撃波加速モジュールは、衝撃ヘッド(12)、電磁コイル(13)、放熱器(14)、衝撃球(16)、温度センサ(17)、集波器(18)、及び大ラバルノズル(19)を含み、電磁コイル(13)には、バイポーラ高電圧パルス電流が印加され、半円環状配管の外側の周りに分布し、衝撃球(16)が前記配管内を往復運動して両端の衝撃ヘッド(12)に衝撃することで高周波弾道式衝撃波を発生させ、前記衝撃球(16)は、軟磁性材料からなり、前記放熱器(14)は、電磁コイル(13)と衝撃ヘッド(12)の外周に分布し、前記温度センサ(17)が放熱器(14)に取り付けられ、放熱器(14)の温度を検出し、温度信号を伝達するように使用され、前記集波器(18)は、衝撃ヘッド(12)の直下に設けられ、前記大ラバルノズル(19)は、両端の衝撃ヘッド(12)の下方に1つずつ分布し、1つの前記大ラバルノズル(19)は、前記小ラバルノズル(29)から出力されたナノ粒子を受け取り、高周波弾道衝撃波により加工モジュールの砥石(20)にナノ粒子を噴射し、
加工モジュールは、砥石(20)、ワーク(21)、及びワーク固定板(22)を含み、前記ワーク固定板(22)は、研削盤テーブルに固定配置され、前記ワーク(21)は、ワーク固定板(22)に固定配置され、前記砥石(20)は、ワーク(21)の上方に位置し、且つ研削盤の回転主軸に固定され、
回収モジュールは、粗振動濾過網膜(23)、細振動濾過網膜(24)、電磁石ブロック(25)、回収ボックス(27)、及び印加磁場(28)を含み、前記粗振動濾過網膜(23)は、細振動濾過網膜(24)の上方にあり、細振動濾過網膜(24)の下方には、電磁石ブロック(25)、回収ボックス(27)、及び印加磁場(28)が順に設けられ、前記電磁石ブロック(25)の外側は、滑らかな傾斜流路であり、電磁石ブロック(25)が通電して磁性があると、ナノ粒子は、流路の壁に吸着し、電源が切れると、ナノ粒子が印加磁場(28)の影響下で順調に脱落することができ、前記回収ボックス(27)の回収ボックスカバー(26)には、ボックスカバーの開閉を制御する自動スイッチがあり、前記自動スイッチは、前記電磁石ブロック(25)に接続され、それは、通電して動作すると、回収ボックスカバー(26)が閉じ、電源が切れると、回収ボックスカバー(26)が開くことを特徴とする、衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項2】
前記制御システムは、動作マスターコントローラ(1)、電流コントローラ(2)、温度コントローラ(3)及び圧力コントローラ(4)を含み、
動作マスターコントローラ(1)は、電流コントローラ(2)、温度コントローラ(3)及び圧力コントローラ(4)に接続制御され、電流コントローラ(2)は、電磁コイル(13)、及び電磁石ブロック(25)に接続制御され、
温度コントローラ(3)は、それぞれ、放熱器(14)及び温度センサ(17)に接続され、且つそれらを制御し、
圧力コントローラ(4)は、それぞれ、空気圧検出器(7)、空気圧調整弁(9)、エアフローバルブ(38)、空気圧感知スイッチ(32)、粉末供給スイッチ(40)及び可動スイッチ(30)に接続され、且つそれらを制御することを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項3】
前記砥石(20)は、金属結合剤を含むダイヤモンド砥石であり、前記金属結合剤は、ブロンズ結合剤であり、前記砥石の表面は、ブロンズ結合剤層(43)であり、前記ナノ粒子(11)は、金属ナノ粒子であり、前記金属ナノ粒子は、三二酸化鉄(γ~Fe)磁性ナノ粒子を含み、サイズが50nm~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項4】
前記加速モジュール内の小ラバルノズル(29)は、衝撃波加速モジュール内の大ラバルノズル(19)に溶接されており、小ラバルノズル(29)のノズル直径は2mmであり、大ラバルノズル(19)のノズル直径は20mmであり、前記衝撃波加速モジュールは、加工モジュールの真上に位置し、大ラバルノズル(19)の先端のノズル部から砥石表面までの距離は10mm~15mmであり、前記回収モジュールは、加工モジュールの下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項5】
前記加速モジュール内の吸気管(36)は、加速管(10)に固定され、ばね(37)は、一端が吸気管(36)に固定され、他端が押し板(34)に固定接続され、前記ばね(37)は、引張りばねであり、前記押し板(34)は、環状薄板であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項6】
前記加速モジュール内の空気貯蔵タンク(8)のガスは、加速管(10)内の可動空洞(35)に入り、押し板(34)を押して高圧空洞(33)内のガスを圧縮し、高圧空洞(33)の圧縮ガスが低圧空洞(31)に入ると、衝撃波が発生し、前記加速管(10)の構造は、流線引き締め型であり、発生した衝撃波を増強させることができることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項7】
弾性限界内で、ばね(37)の変形を利用して、空気圧調整弁(9)、空気圧感知スイッチ(32)、エアフローバルブ(38)、粉末供給スイッチ(40)、及び可動スイッチ(30)の開閉に相互に合わせることで、パルス式衝撃波を発生させ、ナノ粒子を高周波で押して前へ加速運動させ、前記空気圧感知スイッチ(32)には、高圧空洞(33)の空気圧が設定条件を満たしていることを感知すると、瞬時に開く圧力センサが内蔵され、前記取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス(39)の上端は、エアーガイド管(6)を介して加速管(10)内の可動空洞(35)に接続され、エアーガイド管(6)には、エアフローバルブ(38)が取り付けられ、その下端の粉末供給管は、ベンチュリ管構造であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項8】
前記衝撃波加速モジュール内の半円環状配管は、外側が電磁コイル(13)であり、管内が衝撃球(16)であり、両端にそれぞれ1つの衝撃ヘッド(12)があり、電磁コイル(13)にバイポーラ高電圧パルス電流が印加されて発生する双方向電磁力が衝撃球(16)に作用すると、両端の衝撃ヘッド(12)に往復衝撃して2つの高周波弾道式衝撃波源を形成し、2つの前記大ラバルノズル(19)を介して砥石に交互に衝撃波を出力することができることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項9】
低強度の高周波衝撃波は、砥石表面に衝撃すると、キャビテーション効果が発生して、砥石表面の不純物を洗浄するように使用されることを特徴とする請求項8に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【請求項10】
衝撃波により加速された後、高い初速度を有するナノ粒子が大ラバルノズル(19)に入ると、高強度の高周波衝撃波の継続的な衝撃作用下で、ナノ粒子は、最高速度で砥石表面に衝撃してナノ層(41)を形成するまで、大ラバルノズル(19)の軸方向に沿って継続的に加速され、前記ナノ層(41)の厚みは、5μm~15μmであることを特徴とする請求項1に記載の衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年9月14日に提出された、発明の名称が「衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置」である中国発明特許出願202010970004.8に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、研削加工における潤滑・冷却の技術分野に関し、特に衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置に関する。
【背景技術】
【0003】
研削加工は、加工精度が高く、ワーク材料への適応性が高いなどの特徴から、現在の加工業界に広く使用されているが、単位体積当たりの材料を除去するために研削加工は、他のいくつかの一般的な加工形式よりはるかに多くのエネルギーを消費し、これらの消費エネルギーの90%近くが研削熱の形式で研削領域に集まるため、研削領域に高温高圧が発生し、それにより研削工具の耐用年数に影響を及ぼし、ワークの表面精度を低下させる。
【0004】
従来の注入式潤滑は、研削領域に大量の研削液を連続的に灌漑する方法を採用して冷却・潤滑を行い、研削液は、優れた潤滑特性により、ワーク表面に油膜を形成するため、砥石とワークとの間の摩擦係数と研削力を低下させることができるが、この潤滑方式は、大量の研削液を必要とするため、現在の環境保護と低炭素化の開発背景とは相反している。同時に、砥石が高速回転して周囲の空気を駆動して運動させ、その周囲に緻密な「空気遮断層」が形成されるため、ノズルから噴出した研削液が研削領域に入りにくくなり、実際の研削液の有効流量は、ノズルの総流量の5%~40%に過ぎない。研削液は、砥石とワークの接触界面に入ることができないため、接触領域のワーク表面に熱損傷が発生しやすくなり、さらにワークの精度に影響を及ぼす。
【0005】
ナノ粒子は、その自己特性により、優れた熱伝導性が与えられ、体積含有量が同じ条件下で、ナノスケールの粒子の表面積と熱容量は、ミリメートルスケールやミクロンスケールの固体粒子よりはるかに大きい。研削加工中、ナノ粒子の添加により、研削液の熱交換性能を向上させることができ、ナノ粒子は、熱交換を強化し、研削領域の温度を低下させる役割を果たす。また、ナノ粒子は、優れた摩擦・摩耗低減特性と高耐荷重性をさらに有しているため、潤滑液のトライボロジー性能をさらに向上させることができる。
【0006】
公開番号が「CN109759958A」であり、発明の名称が「静電ノズル及び制御可能な噴流微量潤滑研削システム」である発明特許は、静電ノズル及び制御可能な噴流微量潤滑研削方法と装置を開示し、その原理は、ナノ粒子を含む研削冷却液の研削領域への微量噴射を加速させるための複数モデルの静電ノズルを設計することで、研削領域の冷却・潤滑の効果をある程度向上させることができることである。しかし、当該技術的解決手段は依然として、実際の研削加工中、砥石表面の空気遮断層の阻害及び研削領域の閉鎖性のため、ナノ粒子を含む液滴を研削領域の中心部に十分かつ効果的に注入することが困難であり、ナノ粒子が研削領域内部で潤滑に即時に応答するという問題を解決することができないという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の問題に対して、衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置を提供し、当該装置は、砥石研削加工中に空気遮断層の影響を受けて研削液が研削中心領域に入りにくく、含まれたナノ粒子が研削領域内部で潤滑に即時に応答することができないという問題を解決するために使用される。その基本原理は、衝撃波を利用してナノ粒子の砥石表面への衝撃を加速させてナノ層を形成し、ナノ層付き砥石表面が回転してワークに接触すると、研削加工の摺動摩擦、衝突及び押し出しなどの機械的作用により、ナノ層のナノ粒子が研削領域の中心部に放出されるため、研削領域内部の自己潤滑冷却を実現することができることである。
【0008】
上記目的を実現するために、制御システム、加速モジュール、衝撃波加速モジュール、加工モジュール、及び回収モジュールを含むことを特徴とする衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置を提供する。
【0009】
前記制御システムは、装置全体の動作を制御するように使用される。
【0010】
前記加速モジュールは、エアーポンプ、空気貯蔵タンク、空気圧調整弁、加速管、取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス、粉末供給スイッチ、小ラバルノズル、エアフローバルブ、空気圧感知スイッチ、及び可動スイッチを含む。
【0011】
前記エアーポンプと空気貯蔵タンクは、必要な圧縮ガスを提供する。
【0012】
前記加速管には、可動空洞、高圧空洞、及び低圧空洞に分けられ、前記加速管は、小ラバルノズル、及び取り外し可能な密閉型粉末供給ボックスにフランジで密封接続される。
【0013】
前記空気圧調整弁、空気圧感知スイッチ、エアフローバルブ、粉末供給スイッチ、可動スイッチは、一定の順序で開閉し、衝撃波を発生させてナノ粒子を押して前進させるように、各室に必要な空気圧を共同で制御し、ナノ粒子が取り外し可能な密閉型粉末供給ボックスから低圧空洞に入ると、空気圧調整弁が開き、加速管内で発生した衝撃波は、ナノ粒子を押して前進させ、次に、小ラバルノズルのラバル効果により加速することで、ナノ粒子が初速度を取得する。
【0014】
衝撃波加速モジュールは、衝撃ヘッド、電磁コイル、放熱器、衝撃球、温度センサ、集波器、及び大ラバルノズルを含み、半円環状配管の外側の周りに分布する電磁コイルには、バイポーラ高電圧パルス電流が印加され、衝撃球は、上記配管内を往復運動して両端の衝撃ヘッドに衝撃することで、高周波弾道式衝撃波を発生させ、前記衝撃球は、軟磁性材料であることが好ましく、前記放熱器は、電磁コイルと衝撃ヘッドの外周に分布し、前記温度センサは、放熱器に取り付けられ、温度を検出して温度信号を伝達するように使用され、前記集波器は、衝撃ヘッドの直下にあり、前記大ラバルノズルは、両端の衝撃ヘッドの下方に1つずつ分布し、それで発生するラバル効果は、ナノ粒子を加速させることができる。
【0015】
加工モジュールは、砥石、ワーク、及びワーク固定板を含み、前記ワーク固定板は、研削盤のテーブルに固定配置され、前記ワークは、ワーク固定板に固定配置され、前記砥石は、ワークの上方に位置し、且つ研削盤の回転主軸に固定される。
【0016】
回収モジュールは、粗振動濾過網膜、細振動濾過網膜、電磁石ブロック、回収ボックス、及び印加磁場を含み、前記粗振動濾過網膜は、細振動濾過網膜の上方にあり、細振動濾過網膜の下方には、電磁石ブロック、回収ボックス、印加磁場が順に設けられ、前記電磁石ブロックの外側は、滑らかな傾斜流路であり、電磁石ブロックは、通電して磁性があると、ナノ粒子が流路の壁に吸着し、電源が切れると、ナノ粒子が印加磁場の影響下で順調に脱落することができ、前記回収ボックスの回収ボックスカバーには、ボックスカバーの開閉を制御するための自動スイッチがあり、前記自動スイッチは、上記電磁石ブロックに接続され、通電して動作すると閉じ、電源が切れると開く。
【0017】
さらに、前記制御システムは、動作マスターコントローラ、電流コントローラ、温度コントローラ及び圧力コントローラを含む。
【0018】
動作マスターコントローラは、電流コントローラ、温度コントローラ及び圧力コントローラに接続制御され、電流コントローラは、電磁コイル、及び電磁石ブロックに接続制御される。
【0019】
温度コントローラは、放熱器、及び温度センサに接続制御される。
【0020】
圧力コントローラは、空気圧検出器、空気圧調整弁、エアフローバルブ、空気圧感知スイッチ、粉末供給スイッチ、及び可動スイッチに接続制御される。
【0021】
さらに、前記砥石は、金属結合剤ダイヤモンド砥石であり、前記金属結合剤は、ブロンズ結合剤であり、前記砥石表面は、ブロンズ結合剤層であり、前記ナノ粒子は、金属ナノ粒子、すなわち三二酸化鉄磁性ナノ粒子であり、サイズが50nm~100nmである。
【0022】
さらに、前記加速モジュール内の小ラバルノズルは、衝撃波加速モジュール内の大ラバルノズルに溶接されており、且つ小ラバルノズルのノズル直径は、2mmであり、大ラバルノズルのノズル直径は、20mmであり、前記衝撃波加速モジュールは、加工モジュールの真上に位置し、且つ大ラバルノズルの先端のノズル部から砥石表面までの距離は、10mm~15mmであり、前記回収モジュールは、加工モジュールの下方に位置する。
【0023】
さらに、前記加速モジュール内の吸気管は、加速管に固定され、ばねは、一端が吸気管に固定され、他端が押し板に固定接続され、前記ばねは、引張りばねであり、前記押し板は、環状薄板である。
【0024】
さらに、前記加速モジュール内の空気貯蔵タンクからのガスは、加速管内の可動空洞に入り、高圧空洞内のガスを圧縮するように押し板を押し、高圧空洞の圧縮ガスが低圧空洞に入ると、衝撃波が発生し、前記加速管の構造は、流線引き締め型であり、発生した衝撃波を増強させることができる。
【0025】
さらに、弾性限界内で、ばねの変形を利用して空気圧調整弁、空気圧感知スイッチ、エアフローバルブ、粉末供給スイッチ、及び可動スイッチの開閉と相互に合わせることで、パルス式衝撃波を発生させ、それによりナノ粒子を高周波で押して前へ加速運動させ、前記空気圧感知スイッチには、高圧空洞内の空気圧が設定条件を満たしていることを感知すると、瞬時に開く圧力センサが内蔵される。
【0026】
さらに、前記取り外し可能な密閉型粉末供給ボックスは、上端がエアフローバルブが取り付けられたエアーガイド管を介して加速管内の可動空洞に接続され、その下端の粉末供給管がベンチュリ管構造である。
【0027】
さらに、前記衝撃波加速モジュール内の半円環状配管は、外側が電磁コイルであり、管内が衝撃球であり、両端にそれぞれ1つの衝撃ヘッドがあり、電磁コイルにバイポーラ高電圧パルス電流が印加されて発生する双方向電磁力は衝撃球に作用すると、両端の衝撃ヘッドに往復衝撃して、2つの高周波弾道式衝撃波源を発生させることができる。
【0028】
さらに、低強度の高周波衝撃波は、砥石表面に直接衝撃すると、キャビテーション効果が発生し、砥石表面の不純物を洗浄するように使用される。同時に、衝撃波のエネルギーが内部に伝達されると、砥石表面の粗結晶粒を初期微細化させる。高強度の高周波衝撃波は、ナノ粒子に衝撃すると、キャビテーション効果が発生するため、ナノ粒子の凝集を抑制することができる。
【0029】
さらに、衝撃波により加速された後、高い初速度を有するナノ粒子が大ラバルノズルに入ると、高強度の高周波衝撃波の継続的な衝撃作用下で、ナノ粒子は、最高速度で砥石表面に衝撃してナノ層を形成するまで、大ラバルノズルの軸方向に沿って継続的に加速され、前記ナノ層の厚みは、5μm~15μmである。
【0030】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0031】
1、本装置は、衝撃波を利用してナノ粒子を砥石表面に直接均一に埋め込んでナノ層を形成するものであり、これは、砥石内部からナノ粒子をワーク加工面に放出することに相当するため、研削中心領域内の潤滑・冷却効果を大幅に向上させ、比研削エネルギーを大幅に低下させると同時に、大量の研削液の浪費使用を減少させることができるため、工業分野で提唱されている省エネルギーと環境保護の要求を満たすことができる。砥石表面に埋め込まれないナノ粒子、及び研削後に放出されたナノ粒子は、回収モジュールを介して回収され、再利用が可能である。
【0032】
2、本装置では、衝撃球が左右の衝撃ヘッドに衝撃して二重衝撃波源を発生させ、一方の衝撃波源は、砥石表面に加速衝撃するようにナノ粒子を押し、他方の衝撃波源は、砥石表面から研削屑などの不純物を洗浄するために使用されるため、研削加工性能に対する研削屑の影響を低減すると同時に、後のナノ層の形成に有利な環境を提供することができる。
【0033】
3、本装置が処理した後の砥石表面の変形は小さいため、砥石表面に腐食、ひび割れなどの欠陥を発生させず、ダイヤモンド砥粒を炭化させず、砥石の構造及びその使用を変化させない。
【0034】
4、本装置は、効率が高く、ナノ層の形成速度が速いため、自動化を実現できると同時に、コストが低いため、工業化生産の要求を満たすことができる。
【0035】
5、衝撃波のエネルギーが内部に伝達されると、砥石表面の構造組織を変化させることができるため、砥石結合剤の粗結晶粒を初期微細化することができるため、砥石表面とナノ層との結合性能を向上させるための有利な条件を提供することができ、且つ形成されたナノ層に影響を及ぼしない。
【0036】
6、低強度の高周波衝撃波による初期微細化に基づいて、高強度の高周波衝撃波は、砥石結合剤の結晶粒をさらに微細化できるため、ミクロンからサブミクロンまでの砥石結合剤の結晶粒をナノ結晶粒に最終的に変化させることができ、それによりナノ粒子と砥石表面との結合度を高めることができる。
【0037】
7、低強度の高周波衝撃波の衝撃改質作用により、後に形成されるナノ層の結合性能を大幅に向上させることができるため、砥石回転中に大きな塊のナノ層が砥石表面から脱落することがなく、ナノ層が全体として剥離することもなく、堆積して形成されたナノ層は、研削アーク領域の強い機械摺動摩擦、衝突及び押し出しの作用下でのみ、ナノ粒子を自主的に供給放出することができる。
【0038】
8、本発明は、加速管内の空気圧感知開閉弁が開弁すると、高圧空洞内のガスが低圧空洞内に流れることにより、また、加速管の流線引き締め型の構造設計により、超音速で運動する強化された衝撃波を発生させ、衝撃波後の気流も高速運動し、気流の運動により、ナノ粒子が大きな初速度を取得し、次に小ラバルノズルの加速により噴出し、同時に、双方向電磁力の作用下で、衝撃球が衝撃ヘッドに継続的に往復衝撃することで高周波の衝撃波を発生させ、それは、集波器を経て、高強度の衝撃波を形成するように集められ、高強度の高周波衝撃波は、ナノ粒子に対して強力な推力を発生して、それを数倍の音速速度で下へ運動させ、空気中の衝撃波の継続的な伝播とともに、ナノ粒子を継続的に加速させると同時に、ラバル効果の影響でナノ粒子の速度がますます速くなり、それは、砥石表面に最高速度で衝撃し、砥石表面に埋め込まれてナノ層を形成し、ナノ層は、ワークに接触すると、研削領域内部でナノ粒子を自主的に放出し、研削領域の潤滑方式の外部から内部への変換を実現し、落下したナノ粒子は、回収モジュールにより回収して再利用する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置の概略図である。
図2】ナノ粒子が砥石表面にナノ層を形成する原理を示す概略図である。
図3】ナノ層が研削領域内部にナノ粒子を放出する原理を示す概略図である。
図4】加速モジュールの部分的な構造を示す図である。
図5】衝撃波加速モジュールの構造図である。
【0040】
ここで、1.動作マスターコントローラ、2.電流コントローラ、3.温度コントローラ、4.圧力コントローラ、5.エアーポンプ、6.エアーガイド管、7.空気圧検出器、8.空気貯蔵タンク、9.空気圧調整弁、10.加速管、11.ナノ粒子、12.衝撃ヘッド、13.電磁コイル、14.放熱器、15.セラミックス絶縁体、16.衝撃球、17.温度センサ、18.集波器、19.大ラバルノズル、20.砥石、21.ワーク、22.ワーク固定板、23.粗振動濾過網膜、24.細振動濾過網膜、25.電磁石ブロック、26.回収ボックスカバー、27.回収ボックス、28.印加磁場、29.小ラバルノズル、30.可動スイッチ、31.低圧空洞、32.空気圧感知スイッチ、33.高圧空洞、34.押し板、35.可動空洞、36.吸気管、37.ばね、38.エアフローバルブ、39.取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス、40.粉末供給スイッチ、41.ナノ層、42.ダイヤモンド砥粒、43.砥石ブロンズ結合剤層。
【発明を実施するための形態】
【0041】
当業者が本発明をよりよく理解するために、以下、本発明の実施例における添付図面と併せて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者として、創造的な労力を要さずに想到し得る他のすべての実施例はいずれも、本発明の保護範囲に属するものとする。
【0042】
図1~5に示すように、本実施例は、衝撃波キャビテーション効果に基づくナノ層潤滑ダイヤモンド砥石研削装置を提供し、その本質は、衝撃球の衝撃による衝撃波を利用してナノ粒子を加速させることで、ナノ粒子が砥石表面の金属結合剤層上にナノ層を形成し、ナノ層が回転してワークに接触すると、ナノ粒子を再度放出し、研削領域内部で潤滑・冷却の役割を果たすため、外部から内部への研削潤滑方式の変換を実現することができ、さらに、研削加工の品質を向上させることができることである。また、本発明は、衝撃波を利用して砥石表面から研削屑などの不純物を洗浄する方法とナノ粒子を回収する方法も提案するため、コストを削減し、研削加工の品質を向上させることができる。
【0043】
本装置は、制御システム、加速モジュール、衝撃波加速モジュール、加工モジュール、及び回収モジュールを含む。前記制御システムは、動作マスターコントローラ1、電流コントローラ2、温度コントローラ3及び圧力コントローラ4を含み、前記加速モジュールは、エアーポンプ5、エアーガイド管6、空気圧検出器7、空気貯蔵タンク8、空気圧調整弁9、加速管10、小ラバルノズル29、可動スイッチ30、空気圧感知スイッチ32、押し板34、吸気管36、ばね37、エアフローバルブ38、取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス39、及び粉末供給スイッチ40を含み、前記衝撃波加速モジュールは、衝撃ヘッド12、電磁コイル13、放熱器14、セラミックス絶縁体15、衝撃球16、温度センサ17、集波器18、及び大ラバルノズル19を含み、前記加工モジュールは、砥石20、ワーク21、及びワーク固定板22を含み、前記回収モジュールは、粗振動濾過網膜23、細振動濾過網膜24、電磁石ブロック25、回収ボックス27、及び印加磁場28を含む。
【0044】
制御システムは、加速モジュール、衝撃波加速モジュール、及び回収モジュールを接続制御し、具体的には、動作マスターコントローラ1は、電流コントローラ2、温度コントローラ3及び圧力コントローラ4を接続制御し、電流コントローラ2は、電磁コイル13、及び電磁石ブロック25に接続され、通電によりその磁場の発生を制御し、温度コントローラ3は、放熱器14、及び温度センサ17に接続され、温度センサ17により温度の高低を検出し、次に放熱器14の動作周波数を制御し、圧力コントローラ4は、空気圧検出器7に接続され、空気圧検出器7により空気貯蔵タンク8の空気圧が要求を満たしていることを検出した後、圧力コントローラ4は、空気圧調整弁9、空気圧感知スイッチ32、エアフローバルブ38、粉末供給スイッチ40、及び可動スイッチ30の開閉を制御して各室に必要な空気圧を制御し、制御システムは、装置全体の動作を制御するために使用され、本装置に自動化を実現させることができる。
【0045】
図4に示すように、加速モジュールにおいて、エアーポンプ5と空気貯蔵タンク8との間、及び空気貯蔵タンク8と加速管10との間は、エアーガイド管6で接続して通気し、エアーポンプ5と空気貯蔵タンク8のエアーガイド管6と空気貯蔵タンク8には、1つの空気圧検出器7が取り付けられ、空気貯蔵タンク8と加速管10のエアーガイド管6には、1つの空気圧調整弁9が取り付けられ、加速管10には、可動空洞35、高圧空洞33、及び低圧空洞31に分けられ、ここで、可動空洞35と高圧空洞33は、可動押し板34で仕切られ、高圧空洞33と低圧空洞31は、空気圧感知スイッチ32で仕切られ、低圧空洞31と小ラバルノズル29は、可動スイッチ30で仕切られ、低圧空洞31の末尾の上端は、取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス39に密封接続され、接続部には、粉末供給スイッチ40が取り付けられ、小ラバルノズル29は、加速管10にフランジで密封接続され、且つ両管の接続部の管口直径が一致しており、取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス39は、上端がエアーガイド管6を介して加速管10内の可動空洞35に接続され、エアーガイド管6には、エアフローバルブ38が取り付けられ、その下端の粉末供給管がベンチュリ管構造であり、ナノ粒子11が一定の加速度で落下するのに有利であり、且つ長期使用でも詰まりが発生しにくく、空気圧調整弁9、空気圧感知スイッチ32、エアフローバルブ38、粉末供給スイッチ40、及び可動スイッチ30が圧力コントローラ4に接続され、一定の順序で開閉することで、必要な衝撃波を発生させる。
【0046】
ナノ粒子11が取り外し可能な密閉型粉末供給ボックス39から低圧空洞31に入ると、空気圧調整弁9が開き、加速管10内で発生する衝撃波がナノ粒子を押して前進させ、次に小ラバルノズル29のラバル効果で加速することで、ナノ粒子を高い速度で大ラバルノズル19に入らせ、弾性限界内では、ばね37の変形を利用して空気圧調整弁9、空気圧感知スイッチ32、エアフローバルブ38、粉末供給スイッチ40、及び可動スイッチ30の開閉に合わせることで、パルス式衝撃波を発生させ、ナノ粒子を高周波で押して前へ超音速で運動させることができる。
【0047】
加速モジュール内の小ラバルノズル29は、衝撃波加速モジュール内の大ラバルノズル19に溶接されている。
【0048】
図5に示すように、衝撃波加速モジュールでは、半円環状配管の周りに分布する電磁コイル13にバイポーラ高電圧パルス電流を印加することで、双方向電磁力を発生させ、当該双方向電磁力は上記配管内を往復運動するように衝撃球16を押し、当該衝撃球16は衝撃ヘッド12を衝撃することで、2つの高周波弾道式衝撃波を発生させ、放熱器14は、電磁コイル13と衝撃ヘッド12の外周に分布しており、衝撃球16が往復運動して衝撃ヘッド12に衝撃することで発生する熱を放散する役割を果たし、温度センサ17は、放熱器14に取り付けられ、温度を検出し、温度信号を伝達するために使用され、集波器18は、衝撃ヘッド12の直下にあり、両者の間にある大ラバルノズル19の壁に、音響特性を有する反射材のコーティングが付着しており、その目的はいずれも、衝撃波を集めて、衝撃波の衝撃強度を高めることである。
【0049】
衝撃波加速モジュールには、2つの衝撃波源が発生し、集波器18の位置の設定が異なるため、一方は、集め後に低強度の高周波衝撃波を形成し、当該衝撃波は、砥石表面に衝撃してキャビテーション効果を発生させ、それは、砥石表面から研削屑などの不純物を洗浄するために使用され、ナノ粒子が砥石表面にナノ層を形成するための有利な条件を提供し、もう一方は、集め後に高強度の高周波衝撃波を形成し、当該衝撃波は、最高速度で砥石表面に衝撃してナノ層を形成するまで、ナノ粒子を加速衝撃するために使用される。
【0050】
上記集めによって形成された高強度の高周波衝撃波は、ナノ粒子に衝撃する際にキャビテーション効果を発生させ、凝集現象が存在するナノ粒子を破壊するのに十分なエネルギーを有するため、ナノ粒子の凝集現象の発生を効果的に抑制することができ、それによりナノ粒子の分散性能を向上させることができる。
【0051】
衝撃球16は、半円状の環状配管内を高速で往復運動するため、配管の温度は、上昇し続け、衝撃球16が衝撃ヘッド12に衝撃した後、衝撃ヘッド12の周囲にも大量の熱が発生し、これに基づいて、上記配管の材料は、冷却・放熱性能が良好な材料であることが好ましく、配管の外側の電磁コイル13と衝撃ヘッド12の周囲には、環状放熱器14が設けられる。放熱器14には、温度センサ17が取り付けられ、温度センサ17は、温度コントローラ3に接続され、温度が過度に上昇すると、温度コントローラ3は、放熱器14が動作周波数を上げるという命令を出す。
【0052】
ナノ層41付き砥石表面がワーク21に接触するまで回転すると、機械的な摺動摩擦、衝突及び押し出しにより、ナノ層41内のナノ粒子11が研削加工の中心領域内部に落下するため、研削加工時の自己放出や自己潤滑を実現することができる。
【0053】
ワーク固定板22の下方には、ナノ粒子を回収するための回収モジュールが設けられる。粗振動濾過網膜23は、サイズが1μmより大きい粒子を濾過し、細振動濾過網膜24は、サイズが100nm以下の粒子をフィルタリングし、傾斜流路で電磁石ブロック25の影響を受けるため、磁性を有するナノ粒子は、流路の壁に吸着し、動作終了時に電磁石ブロック25の電源が切れると、自動スイッチは、回収ボックスカバー26が開くように制御し、流路の壁に吸着した磁性ナノ粒子は、電磁石ブロック25とボックス底部の印加磁場28の影響を受けずに、回収ボックス27内に自由に脱落することができる。
【0054】
回収ボックス27には、回収ボックスカバー26の開閉を制御する自動スイッチが取り付けられ、自動スイッチは、上記電磁石ブロック25に接続され、電磁石ブロック25が通電して動作すると閉じ、電磁石ブロック25の電源が切れると開く。
図1
図2
図3
図4
図5