(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】身体温度調整装置の被服取付構造
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A41D13/002 105
(21)【出願番号】P 2023579703
(86)(22)【出願日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2023043796
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517312135
【氏名又は名称】株式会社リブレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀井 邦彦
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104845(JP,A)
【文献】特開2021-110523(JP,A)
【文献】特開2023-171958(JP,A)
【文献】特開2019-049209(JP,A)
【文献】特開2022-133818(JP,A)
【文献】登録実用新案第3240865(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/002-13/005
A41D13/12
A61F7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、被服をなす生地に形成される挿入孔に着脱自在で装着可能な身体温度調整被服では、
前記身体温度調整装置に、
空気を取り込む空気孔が形成された取込部を有する本体部と、
前記本体部の外周面において外側に張り出したフランジと、
前記本体部の外周面において、一方端と他方端との間を、前記本体部の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレールと、
前記複数のガイドレールと連結可能な複数の突起を有する環状の固着部材とを備え、
前記複数のガイドレールのそれぞれには、前記突起の移動動作を規制する複数の規制部が、前記一方端と前記他方端とを繋ぐ摺動面に、断続的に設けられ、
前記複数のガイドレールはそれぞれ、前記一方端と前記他方端との間で、前記本体部の軸心方向に高低差を付けた傾斜態様で形成され、
前記複数の規制部には、第1規制部と、前記第1規制部よりも前記他方端側に設けられた第2規制部とがあり、
前記複数のガイドレールの間に前記本体部の軸心方向に延設された複数の間隙を設け、
前記身体温度調整装置の前記生地への装着は、
前記複数の突起を構成する各々の突起を前記複数の間隙を構成する各々の間隙に対して前記本体部の軸心方向に進入させて、前記フランジと前記固着部材で前記生地を挟み、
前記フランジと前記固着部材とを相対的に回転させて、前記フランジと前記固着部材で前記生地を挟んだ状態で、前記複数の突起を構成する各々の突起が前記第1規制部、または前記第2規制部に係合することで行われる身体温度調整装置の被服取付構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の身体温度調整装置の被服取付構造において、
前記複数のガイドレールのそれぞれに設けられた前記摺動面は、前記本体部の軸心方向と平行な面に対して、前記取込部側に所定の角度を有する身体温度調整装置の被服取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、上着、ベスト、ズボン等、身にまとう被服に身体温度調整装置を装着した身体温度調整被服を対象とした身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服に関する。
【背景技術】
【0002】
人にとって不快な猛暑日は近年、年間を通じて数多くあり、このような猛暑日には、熱中症の防止策として、小まめな水分補給をはじめ、適度な冷房装置の使用が、奨励されている。しかしながら、冷房装置の設備がない、または冷房の効きが十分でない等の理由により、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人は、冷房装置で涼を取ることはできない。そこで、避暑を求める人向けに、身体温度調整ユニットを有した身体温度調整被服が近年、数多く開発されている。特許文献1には、その身体温度調整被服の一例である空調被服が、開示されている。
【0003】
特許文献1は、被服の服地に空調被服用送風ユニットを装着した空調被服である。空調被服用送風ユニットは、送風を行うプロペラと共に、その回転を制御する駆動部の周囲を通気可能に覆うケーシングに対し、その端部にフランジと、外周部に雄ネジ部をそれぞれ形成した本体と、内周部に雌ネジ部を形成した環状の押圧部材とを備えている。特許文献1では、空調被服の服地の外側から本体のケーシングが服地の開口に挿通され、服地の開口の外周縁部に本体のフランジを当接させた状態の下、押圧部材が、服地の内側から本体のケーシングに向けて配置される。そして、本体のケーシングの雄ネジ部と、押圧部材の雌ネジ部との螺合で、本体と押圧部材とを固着することにより、空調被服用送風ユニットは、本体のフランジと押圧部材との間に空調被服の服地を挟み込んだ状態で、装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような空調被服では、空調被服用送風ユニット(身体温度調整装置)の本体と、この本体と別体となっている押圧部材との間に空調被服をなす生地を挟み込み、本体側と押圧部材側を螺合して固着させる構造となっている。そのため、特許文献1の技術には、以下の問題がある。
その問題とは、空調被服用送風ユニットの本体と押圧部材と螺合する際に、押圧部材の締め付け不良や緩みが生じると、空調被服から空調被服用送風ユニットが脱落したり、押圧部材だけが紛失してしまうことがあるため、作業者にとって使い勝手が悪いことである。
【0006】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、身体温度調整装置を被服をなす生地への装着を簡単にするとともに、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様における温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、被服をなす生地に形成される挿入孔に着脱自在で装着可能な身体温度調整被服では、前記身体温度調整装置に、空気を取り込む空気孔が形成された取込部を有する本体部と、前記本体部の外周面において外側に張り出したフランジと、前記本体部の外周面において、一方端と他方端との間を、前記本体部の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレールと、前記複数のガイドレールと連結可能な複数の突起を有する環状の固着部材とを備え、前記複数のガイドレールのそれぞれには、前記突起の移動動作を規制する複数の規制部が、前記一方端と前記他方端とを繋ぐ摺動面に、断続的に設けられ、前記複数の規制部には、第1規制部と、前記第1規制部よりも前記他方端側に設けられた第2規制部とがあり、前記複数のガイドレールの間に前記本体部の軸心方向に延設された複数の間隙を設け、前記身体温度調整装置の前記生地への装着は、前記複数の突起を構成する各々の突起を前記複数の間隙を構成する各々の間隙に対して前記本体部の軸心方向に進入させて、前記フランジと前記固着部材で前記生地を挟み、前記フランジと前記固着部材とを相対的に回転させて、前記フランジと前記固着部材で前記生地を挟んだ状態で、前記複数の突起を構成する各々の突起が前記第1規制部、または前記第2規制部に係合することで行われる。
【0008】
この態様によれば、人が、身体温度調整装置の被服をなす生地への装着は、複数の突起を構成する各々の突起が複数の間隙を構成する各々の間隔に対して本体部の軸心方向に進入させて、先ずフランジと固着部材で生地を挟む。続いて、人が、本体部と固着部材とを相対的に回転させて、フランジと固着部材で生地を挟んだ状態で、固着部材が有する複数の突起のそれぞれが複数の規制部のそれぞれを乗り越えると、規制部によって移動動作が規制されるとともに、規制部と突起が係合する。これにより、人は、身体温度調整装置を被服をなす生地に節度感のあるワンタッチ操作で装着することができる。そのため、固着部材の締め付け不良や緩みが生じないため、身体温度調整装置が被服から脱落したり、固着部材だけが紛失してしまうこと回避することができる。したがって、身体温度調整装置を被服をなす生地への装着を簡単にするとともに、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服を提供する。
【0009】
なお、本開示に係る被服とは、(a)ジャケット、ジャンパー、スーツ、ベスト等に挙げられる上着類、(b)パンツ、ズボン等に挙げられ下着類、(c)靴下、フットウォーマ等に挙げられる足や脚部に着用するソックス類と大別される中、(a)(b)(c)の各概念を含めた概念の総称である。
【0010】
上記の態様において、前記複数のガイドレールはそれぞれ、前記一方端と前記他方端との間で、前記本体部の軸心方向に高低差を付けた傾斜態様で形成されていること、が好ましい。
【0011】
特許文献1のような技術では、空調被服をなす生地の厚さによっては、本体側と押圧部材側をしっかり螺合して固着することができず、身体温度調整装置が身体温度調整被服から脱落してしまう。特許文献1のような技術では、フランジと押圧部材とで何度も螺合して固着することで、服地の開口周辺の生地が塑性変形して薄くなっていき、本体側と押圧部材側を螺合して固着しても、ガタついてしまったり、生地が傷んでしまうことになる。しかしながら、この態様によれば、被服をなす生地に厚みがある場合には、フランジと固着部材でその生地を挟んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第1規制部に係合させる。一方で、被服をなす生地に厚みがない場合には、フランジと固着部材でその生地を挟んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第2規制部に係合させる。これにより、どのような被服をなす生地の厚さに対応しても身体温度調整装置が身体温度調整被服から脱落しないように、フランジと固着部材で生地をしっかりと挟み込んだ状態で装着できる。さらに、フランジと固着部材で被服をなす生地を挟んだ状態で複数の突起を構成する各々の突起が第1規制部、または第2規制部に係合しても、挿入孔周辺の生地が塑性変形し難くなっているため、ガタついたり、傷んでしまうことを防止することができる。
【0012】
上記の態様において、前記複数のガイドレールのそれぞれに設けられた前記摺動面は、前記本体部の軸心方向と平行な面に対して、前記取込部側に所定の角度を有すること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、本体部と固着部材とを相対的に回転されたとしても、複数の突起が取込部側に所定の角度を有する摺動面上を摺動する。これにより、フランジと固着部材で挟み込んだ生地によって、空気孔からの空気の取り込みを妨害することなく、複数の突起が摺動面を摺動しても挿入孔周辺の生地が傷んでしまうことを防止することができる。
【0014】
上記の態様において、前記温度調整ユニットは、ペルチェ素子であり、前記身体温度調整装置は、冷却面と前記冷却面の反対側になる熱交換面とを有し、通電下の前記ペルチェ素子により、吸熱下となった前記冷却面に呈する冷熱を、身体に伝熱可能に構成されたこと、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、温度調整被服を着用している場合に、通電下のペルチェ素子によって吸熱下となった冷却面が着用者の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、例えば、特に暑さを感じている部位や、スポット的に蒸れた部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く冷やすことができる。
【0016】
上記の態様において、前記空気孔から取り込んだ空気を放出させる放出部を備え、前記熱交換面は、複数の冷却フィンを有し、前記取込部は、前記空気孔が円周に形成されており、前記冷却面と前記取込部が前記被服の身体側に取り付けられ、前記フランジは、前記冷却面と平行な面に対して、前記放出部側に15度以上30度以下の傾斜面を有すること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、熱交換面が有する複数の冷却フィンは、取込部の空気孔から取り込まれた空気によって冷却される。冷却面と平行な面に対して、放出部側に15度以上30度以下の傾斜面を有するフランジにより、取込部の空気孔に取り込まれた空気は複数の冷却フィンの根元に導かれる。すなわち、冷却フィンにより、熱交換を行うための面積が格段に増加させることができ、さらに、フランジに15度以上30度以下の傾斜面を有することにより、冷却のために空気孔に流入してくる空気の一部がフランジに当たり、下向きの流れとなる。これにより、フランジより下側で流入する空気の流れを冷却フィンの根元側に変化させることで、冷却空気全体が冷却フィンを平面的に見たときに、冷却フィンの中央部まで届くため、冷却効率を、フランジが平行の場合と比較して、10%程度高めることができる。冷却効率を10%程度高めることにより、例えば、放出部からモータによってファンを回転させて空気を排出させる構成であれば、モータの消費電力を10%程度減少させることができ、温度調節装置の有効冷時間を例えば、120分から132分に延ばすことができる。したがって、温度調節装置の消費電力を抑えつつ、温度調節装置の冷却効率を高めて、猛暑下の屋外で働く作業者等が熱中症となるリスクを回避することができる。
【0018】
上記の態様において、前記温度調整ユニットは、ファンであり、前記身体温度調整装置は、前記ファンの回転により、外気よりも低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を、身体に送風可能に構成されたこと、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、例えば、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人に冷風(風)を供給して、熱中症の発現を防止することができる。その反対に、例えば、懐炉や簡易的なヒータ等、熱源と共に用いれば、身体温度調整装置に供給された外気を、熱源に向けて送風し、熱源で加熱された状態の温風(風)を身体に送風することで、冷えた身体を温めることができる。
【0020】
上記の態様の前記身体温度調整装置の被服取付構造をなす前記身体温度調整装置を、前記被服に着脱可能に装着してなる身体温度調整被服であること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、本開示に係る身体温度調整装置の被服取付構造を採用した身体温度調整被服をなす生地の挿入孔に挿入して簡単に装着でき、どんな生地の厚さに対応して身体温度調整装置を装着できる使い勝手の良い身体温度調整被服を着用者に提供できる。
【発明の効果】
【0022】
従って、本開示に係るによれば、身体温度調整装置を被服をなす生地への装着を簡単にするとともに、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る温調ベストの外面を前身頃側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示す温調ベストの外面を後身頃側から見た背面図である。
【
図3】送風ユニット、及びペルチェ素子ユニットが装着されていない場合における温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。
【
図4】
図1に示す温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。
【
図5】
図2に示す送風ユニット本体を示す正面図である。
【
図6】
図2に示す送風ユニット本体を示す背面図である。
【
図7】第1実施形態に係る送風ユニットを本体部と押圧部材に分解した状態で示す説明図である。
【
図8】第1実施形態に係る送風ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
【
図9】第1実施形態に係る温調ベストに装着されている送風ユニットの部分断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る温調ベストで、ペルチェ素子ユニットを放出面側から示す説明図である。
【
図11】第1実施形態に係る温調ベストで、ペルチェ素子ユニットを放熱面側から示す説明図である。
【
図12】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図13】第1実施形態に係る本体部の外周面を平面上に展開した展開図である。
【
図14】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
【
図15】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図16】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図17】第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図18】素子取付部に装着されたペルチェ素子ユニットの部分断面図である。
【
図19】
図18に示す内側フランジと外側フランジの拡大断面図である。
【
図20A】比較例の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。
【
図20B】第1実施形態の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。
【
図21A】比較例の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。
【
図21B】第1実施形態の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。
【
図22】温調ベストを着用した状態において、送風ユニットから送り込まれた空気の流れを説明するための説明図である。
【
図23】第1実施形態に係る温調ベストに具備する送風操作ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図24】第1実施形態に係る温調ベストに具備する温調操作ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図25】第2実施形態に係る送風ユニットを本体部と押圧部材に分解した状態で示す説明図である。
【
図26】第2実施形態に係る内側ケース周壁部を平面上に展開した展開図である。
【
図27】第2実施形態に係る送風ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
【
図28】第2実施形態に係る温調ベストに装着されている送風ユニットの部分断面図である。
【
図29】第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図30】第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図31】第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図32】第3実施形態に係る温調ベストの外面を前身頃側から見た正面図である。
【
図33】
図32に示す温調ベストの外面を後身頃側から見た背面図である。
【
図34】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの放熱面側から示す斜視図である。
【
図35】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの放出部側から示す斜視図である。
【
図36】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図37】第3実施形態に係る筒部の外周面を平面上に展開した展開図である。
【
図38】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
【
図40】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図41】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図42】第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【
図43】比較例の第4ペルチェ素子ユニットの内部における空気の流れを説明するための断面図である。
【
図44】第3実施形態の第4ペルチェ素子ユニットの内部における空気の流れを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本開示に係る身体温度調整装置の被服取付構造、及び身体温度調整被服について、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下、本開示に係る身体温度調整被服は、温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、本開示に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、被服をなす生地の挿入孔に装着して構成されるものである。なお、身体温度調整被服について、被服を、第1実施形態から第3実施形態では、着用者上体に着衣するベストである場合を挙げて、説明する。第1実施形態では、温度調整ユニットを、ペルチェ素子である場合を挙げ、身体温度調整装置を、ペルチェ素子ユニットである場合を挙げて説明する。
【0025】
なお、第1実施形態~第3実施形態では、上下方向を軸心線AXに沿う軸心方向Lとして、上下方向の上方を上側Lp、下方を下側Lwとし、左右方向を径方向RDとして、それぞれの方向を定義する。なお、第1実施形態~第3実施形態では、軸心線AXを中心とした円周方向を円周方向CRとし、軸心線AXを中心とした反円周方向をACRとして、それぞれの方向を定義する。
【0026】
<温調ベスト1について>
図1は、第1実施形態に係る温調ベストの外面を前身頃側から見た正面図であり、その後身頃側から見た背面図を、
図2に示す。
図3は、送風ユニット、及びペルチェ素子ユニットが装着されていない場合における第1実施形態に係る温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。
図4は、
図1に示す温調ベストの内側を前身頃側から見た正面図である。なお、本開示に係る身体温度調整被服は、本実施形態では、温調ベスト1と称す。
【0027】
図1~
図4に示すように、温調ベスト1は、ベスト本体2と、送風ユニット40と、ペルチェ素子ユニット60と、送風操作ユニット80と、温調操作ユニット90と、携帯用バッテリー84等とを備えている。送風ユニット40、及び送風操作ユニット80は、第1実施形態~第3実施形態では、一例として1つ有している。
【0028】
<ベスト本体2について>
はじめに、ベスト本体2について、
図1~
図4を用いて説明する。ベスト本体2は、
図1~
図2に示すように、前身頃4と、後身頃5とを有したベスト(袖口が無い作業着)の形態に形成されている。しかしながら、この身体温度調整被服は、長袖や半袖等の作業着であっても良い。
【0029】
ベスト本体2では、その服地3が、表側服地3Aと裏側服地3Bによりベスト形状に形成されている。表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により構成されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、皮製であっても良い。ベスト本体2は、上部に着用時に着用者の首が位置するネックラインを形成する襟元部9が設けられている。ベスト本体2の左右の位置には、着用時の着用者の腕が通される袖ぐり部10(10A、10B)が設けられている。なお、第1袖ぐり部10Aは、着用時の着用者の左腕が通される袖ぐり部である。第2袖ぐり部10Bは、着用時の着用者の右腕が通される袖ぐり部である。
【0030】
図1に示すように、ベスト本体2の表側服地3Aには、例えば、ポケットである、第1収納部6及び第2収納部7が設けられている。第1収納部6及び第2収納部7は、表側服地3Aとベスト本体2の前身頃4の裏地との間に形成される内部空間に設けられている。これにより、送風ユニット40に接続する送風配線85や、ペルチェ素子ユニット60に接続する温調配線95や、携帯用バッテリー84は、第1収納部6や、第2収納部7から出し入れされる。
【0031】
第1収納部6には、
図1から
図4に示すように、表側服地3Aとベスト本体2の前身頃4の裏地との間で、送風配線85や、温調配線95を挿通できるよう開口した部分である収納用開口部8が設けられている。これにより、送風配線85や、温調配線95が、携帯用バッテリー84側にある一端側で、第1収納部6に収められた状態にあっても、収納用開口部8を通じて温調ベスト1の内側に露出できる。
【0032】
温調ベスト1は、前身頃4に設けられているファスナ(図示省略)を開けると、
図3及び
図4に示すように、前身頃4側から見てベスト本体2の後身頃5の裏地11全体を確認することができるように構成されている。なお、裏側服地3Bに一枚の裏地11が縫い付けられている。
【0033】
図2に示すように、送風ユニット40の装着可能なファン取付部20は、温調ベスト1の後身頃5の腰部12付近に配設され、本実施形態では、後身頃5の1箇所に設けられている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、ファン取付部20は、ファン取付部20に形成されたファン挿入孔22と、このファン挿入孔22の周囲にファン外周縁部21を有している。
図2に示すように、ファン取付部20は、裏地11に比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製)であるとともに、空気を通過させない生地で構成されている。なお、ファン取付部20は、ゴム製、樹脂製等の生地で構成されていても良い。これにより、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気の一部は、ファン取付部20に取り付けられたペルチェ素子ユニット60に向かって導かれる。なお、ファン取付部20は、裏側服地3Bの上から縫い付けられている。
【0035】
図3に示すように、裏地11には、ペルチェ素子ユニット60を装着可能な素子取付部30が、複数の部位に配設され、本実施形態では、後身頃5の3箇所に設けられている。後身頃5において、素子取付部30は、首筋部18に1箇所と、第1袖ぐり部10A付近に1箇所と、第2袖ぐり部10B付近に1箇所とに配置されている。
【0036】
図3に示すように、素子取付部30は、素子取付部30に形成された素子挿入孔32と、この素子挿入孔32の周囲に素子外周縁部31を有している。
図3及び
図4に示すように、素子取付部30は、裏地11に比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製)であるとともに、空気を通過させない生地で構成されている。なお、素子取付部30は、ゴム製、樹脂製等の生地で構成されていても良い。なお、素子取付部30は、裏地11の上から縫い付けられている。
【0037】
<第1実施形態の送風ユニット40について>
次に、送風ユニット40について、
図5~
図9を用いて説明する。
図5は、
図2に示す送風ユニットの本体を示す正面図であり、
図6は、
図2に示す送風ユニットの本体の背面図である。
図7は、第1実施形態に係る送風ユニットを本体部と押圧部材に分解した状態で示す説明図である。
図8は、第1実施形態に係る送風ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
図9は、第1実施形態に係る温調ベストに装着されている送風ユニットの部分断面図である。
【0038】
送風ユニット40は、ファン42の回転により、外気より低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を、身体に送風可能に温調ベスト1に装着されている。
図5から
図7に示すように、第1実施形態の送風ユニット40は、大別して、本体部41と、押圧部材110とからなる。本体部41は、送風を行うファン42と、このファン42の回転をモータ(図示省略)で制御する送風ユニット用駆動部43と、ファン42と送風ユニット用駆動部43の周囲を通気可能に覆うケーシング44とを備えている。第1実施形態のファン42は、例えば、プロペラを有するプロペラ型のファンである。
【0039】
送風ユニット40は、例えば、一次電池や二次電池等の蓄電池である携帯用バッテリー84を送風ユニット用駆動部43のモータの電源として要している。温調ベスト1では、携帯用バッテリー84は、第1収納部6等に収容される。なお、第1実施形態に係る携帯用バッテリー84は、出力5V(ボルト)、バッテリ容量5200mA等の仕様で構成された汎用的な電源である。
【0040】
送風ユニット40は、
図1~
図4に示すように、送風配線85により、送風操作ユニット80を介して、携帯用バッテリー84と電気的に接続される。送風ユニット用駆動部43は、送風操作ユニット80を介して、携帯用バッテリー84と導通した状態になると、ファン42が回転する。これにより、ファン42の回転に伴う風は、身体側に向かって着用者HMの身体表面BS側(身体側)に向けて送られる(
図9参照)。
【0041】
ケーシング44は、
図5~
図7に示すように、外側ケース部46と、内側ケース部45とからなる。外側ケース部46は、ファン42の軸心線AXに沿う軸心方向Lのうち、ファン42の回転により送風する下側Lwで、ファン42をその径方向RDに横切って覆われている。外側ケース部46は、外気より低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を取り込むための複数の空気孔46aを有する。内側ケース部45は、送風ユニット用駆動部43と接続した状態で、Lw側にある送風ユニット用駆動部43を覆っている。内側ケース部45には、送風ユニット40外部からの空気を送り込むための複数の放出口45aが形成されている。第1実施形態に係るケーシング44では、内側ケース部45は、ファン42の外周側側方と、Lw側にある送風ユニット用駆動部43の一部の外周側側方とを覆う円筒状の内側ケース周壁部49に設けられている。この内側ケース周壁部49の外周には、雄ネジ48が形成されている。
【0042】
外側ケース部46と内側ケース部45とは、内側ケース周壁部49を介して一体に連結されており、具体的には、外側ケース部46は、内側ケース周壁部49の上側Lpで、内側ケース部45と接続されている。外側ケース部46の周りには、当該外側ケース部46を囲う環状のフランジ47が形成されている。
【0043】
第1実施形態に係る押圧部材110は、
図7に示すように、フランジ47と対向した位置に配置可能な押圧部111を、Lp側の先端位置に有した円筒状で薄肉の部材である。押圧部材110の内周には、内側ケース周壁部49の雄ネジ48と螺合可能な雌ネジ112が形成されている。押圧部材110の外周には、滑り止めとなる突部が、断続的に設けられており、本体部41の内側ケース周壁部49の雄ネジ48と、押圧部材110の雌ネジ112とを螺合するにあたり、押圧部材110は、この突部にしっかりと把持されて回転し易くなっている。ここで螺合とは、ネジを嵌め合わせることである(特許技術用語集(日刊工業新聞社)参照)。ここでネジとは、物をしめつけるための螺旋状のみぞ・突起があるものである(広辞林 第六版)。すなわち、螺合とは、互いに相反する螺旋状のネジ等を嵌め合わせて物しめつけることである。
【0044】
<第1実施形態の送風ユニット40の装着について>
第1実施形態に係る送風ユニット40の装着では、
図8に示すように、はじめに本体部41の下側Lwは、ファン取付部20に形成されたファン挿入孔22内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に、ファン取付部20の外側20aから挿入される。ファン取付部20のファン外周縁部21にフランジ47を当接させた状態で、外側ケース部46は、ファン挿入孔22内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に配置される。次に、人は、押圧部材110を温調ベスト1の裏地11側からファン外周縁部21近傍に配置し、本体部41と押圧部材110とを相対的に回転させて組み付けられる。そして、人は、本体部41の雄ネジ48と押圧部材110の雌ネジ112とを螺合で固着することにより、フランジ47と押圧部111によって、ファン外周縁部21と裏側服地3Bとを挟み込む。本体部41と押圧部材110とは、フランジ47と押圧部111でファン外周縁部21と裏側服地3Bを挟み込んだ状態で、服地3に固定される。かくして、
図1、
図2、
図4、及び
図9に示すように、送風ユニット40が服地3に固定される。
【0045】
携帯用バッテリー84と送風配線85とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等、コネクタを介した接続により、自在に着脱可能となっている。携帯用バッテリー84の電力は、送風配線85を通じて送風ユニット用駆動部43や送風ユニット用駆動部43のモータに供給される。
【0046】
送風配線85を通じて電圧5Vが供給されると、送風制御部81の制御によって駆動部33は駆動され、プロペラ型のファン42が回転される。プロペラ型のファン42の回転に伴って温調ベスト1外部の空気が
図6に示す送風ユニット40本体の背面から取り込まれて、その空気が
図5に示す送風ユニット40本体の正面から送風される。送風ユニット40は、
図1~
図4に示すように、送風配線85により、送風操作ユニット80を介して、携帯用バッテリー84と電気的に接続される。
【0047】
<第1実施形態のペルチェ素子ユニット60について>
次に、ペルチェ素子ユニット60について、
図10~
図13を用いて説明する。
図10は、第1実施形態に係る温調ベストで、ペルチェ素子ユニットを放出面側から示す説明図である。
図11は、第1実施形態に係る温調ベスト1で、ペルチェ素子ユニットを放熱面側から示す説明図である。
図12は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図13は、第1実施形態に係る本体部の外周面を平面上に展開した展開図である。
【0048】
図10~
図11に示すように、ペルチェ素子ユニット60は、ペルチェ素子PEをカバー部材に内蔵したものとなっている。ペルチェ素子は、板状の半導体熱電素子の一種である。ペルチェ素子PEに直流電流が供給されると、ペルチェ素子PEの平板部では、ペルチェ効果により、一面が例えば、十℃程度に吸熱して吸熱下の状態(冷却面)になると同時に、その反対側の他面が例えば、三十数℃程度に発熱して発熱下の状態(加熱面)となる。ペルチェ素子は、冷却面の熱を加熱面側に移動させ、加熱面側に大量の熱が発生させる素子である。ペルチェ素子ユニット60は、通電下のペルチェ素子PEにより、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱を、身体に伝熱可能に構成されたものである。
【0049】
図10~
図12に示すように、ペルチェ素子ユニット60は、その一面である放熱面61と、円筒状に形成された本体部62と、温調ベスト1内の空気を流入させる空気孔64aを有するとともに、円筒状に形成された空気円筒部64とを有する。空気円筒部64は、円周に4つの空気孔64aが形成されている。
図10~
図11に示すように、本体部62は、放出面62aを有する。ペルチェ素子ユニット60は、ペルチェ素子PEによる熱を取り込んで空気中に放散させて熱交換を行う熱交換面65も有する。放出面62aには、熱交換面65により熱交換された空気をペルチェ素子ユニット60外部に放出する放出部62bが形成されている。さらに、ペルチェ素子ユニット60は、熱交換面65により熱交換された空気を放出部62bへと送風する送風装置100と、本体部62のカバー部材に形成された内側フランジ63と、リング締結具120等も有する。
【0050】
図12に示すように、本体部62の外周面には、ガイドレール66が設けられている。ガイドレール66は、放出部62b側に向かうとともに、一方端66aと他方端66bとの間を本体部62の円周方向CRに沿って、円弧状に延設されている(
図13、
図15参照)。ガイドレール66は、本体部62の円周方向CRで異なる位置に複数(例えば、4)設けられている。複数のガイドレール66と内側フランジ63との間に取り付け溝部69がそれぞれ設けられている。複数(例えば、4)の取り付け溝部69は、本体部62の円周方向CRに沿って設けられている。円周方向CRに隣り合うガイドレール66とガイドレール66同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている(
図15~
図17参照)。4つのガイドレール66は、断続的に隣接するガイドレール66とガイドレール66との間に、間隙70をそれぞれ設けている。本体部62の外周面には、間隙70が複数(例えば、4)設けられている。
図12に示すように、間隙70は取り付け溝部69につながっている。
【0051】
図13に示すように、複数のガイドレール66は、それぞれのガイドレール66の一方端66aからガイドレール66の他方端66bとの間を繋ぐとともに、リング締結具120のそれぞれの突起122と接触する摺動面68を有する。
図12及び
図13に示すように、複数のガイドレール66の摺動面68のそれぞれには、複数(例えば、4)の規制部67が配設されている。複数の規制部67のそれぞれは、摺動面68に沿って本体部62の反円周方向ACRに向かって移動する複数の突起122の移動動作を規制する。それぞれのガイドレール66の一方端66aと他方端66bとを繋ぐ摺動面68には、第1規制部67a⇒第2規制部67b⇒第3規制部67c⇒第4規制部67dの順に、断続的に規制部67が配設されている。複数の第4規制部67dのそれぞれは、複数の突起122のそれぞれが乗り越えることができない高さに構成されている。
【0052】
次に、
図13を用いて、平面上に展開した本体部62の外周面に設けられた複数のガイドレール66について説明する。
図13に示すように、複数のガイドレール66は、本体部62の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気孔64aを有する空気円筒部64側に傾斜している。第1実施形態における複数のガイドレール66の全ては、一方端66aと他方端66bとの間で一例である傾斜角度θとして3°を付している。これにより、第1実施形態における複数のガイドレール66の全ては、一方端66aと他方端66bとの間で、軸心方向Lに高低差△Hを付けた傾斜態様で形成されている。すなわち、第1実施形態に係る摺動面68の傾斜角度θは、本体部62の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気孔64aを有する空気円筒部64側に3°である。
【0053】
リング締結具120は、放熱面61(冷却面61A、加熱面61B)と反対側の端部である本体部62と自在に締結または、その解除可能に形成されている。リング締結具120は、合成樹脂で構成されており、略多角形状に形成された環状の外側フランジ121を備えている。外側フランジ121は、
図12に示すように、楕円形状の貫通孔が12個形成されている。リング締結具120の内径は、放出面62aの外径よりも大きく、且つ、内側フランジ63の外径よりも小さい。
【0054】
リング締結具120の内周面120aに、複数のガイドレール66のそれぞれと連結可能な突起122が配設されている。突起122は、リング締結具120の円周方向CRに間隔をおいて複数(例えば、4つ)設けられている。複数の突起122のそれぞれは、複数のガイドレール66の複数の規制部67のそれぞれと係合可能である。円周方向CRに隣り合う突起122と突起122同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。複数の突起122のそれぞれは、複数の間隙70のそれぞれを通過可能に形成されている。一つの突起122が、間隙70を通じて、一つのガイドレール66と係合する。複数の突起122は、外側フランジ121の表面121aと平行な面に対して表面121a側に傾斜しており、傾斜角度θは、3°である。これにより、複数の突起122のそれぞれは、複数のガイドレール66のそれぞれと連結し易くなっている。温調ベスト1では、3つのペルチェ素子ユニット60(第1ペルチェ素子ユニット60A、第2ペルチェ素子ユニット60B、第3ペルチェ素子ユニット60C)は、ベスト本体2にある3箇所の素子取付部30に装着される。
【0055】
放熱面61は、外部に露出した状態になっており、ペルチェ素子ユニット60(ペルチェ素子ユニット)では、放熱面61と放出面62aとが、互いに反対側に配置されている。ここで放熱面61は、例えば、ステンレス、熱伝導性等に優れた金属製により構成されている。
【0056】
放熱面61の裏側に形成された熱交換面65は、例えば、アルミニウム、銅等、熱伝導性等に優れた金属製により構成されている。熱交換面65は、突起形状で構成されている複数(例えば、117)の冷却フィン65aを有する。冷却フィン65aは、突起形状で構成されていることで、冷却フィン65aの表面積の拡大によって空気に接触する部分が拡大され、ペルチェ素子の熱を効率良く放出することが可能となる。熱交換面65では、冷却フィン65aと冷却フィン65aとの間に空気孔64aから流れ込んだ空気が通過可能となるように、一定の間隔を空けるように、冷却フィン65aが整列して配置されている。これにより、冷却フィン65aと冷却フィン65aとの間を流れ込んできた冷却空気が、冷却フィン65aと接触するため、ペルチェ素子PEの熱を効率良く交換させることができる。
【0057】
図12に示すように、本体部62の軸心線AXに沿う軸心方向Lに、本体部62と反対側の端部に放熱面61(冷却面61A、加熱面61B)が設けられている。本体部62は、円筒状に形成され、外周端部から円環板形状に張り出した内側フランジ63が設けられている。
【0058】
図12に示すように、第1実施形態の送風装置100は、送風を行う排熱ファン101と、この排熱ファン101の回転を行うモータ(図示省略)で制御する排熱ファン駆動部102とを備える。これにより、熱交換面65により熱交換された空気は、温調制御部91の制御によって排熱ファン駆動部102の駆動により排熱ファン101が回転して発生された風によって放出部62bから放出される。
【0059】
ペルチェ素子ユニット60では、ペルチェ素子PEは、
図1、
図2、及び
図4に示すように、温調配線95により、温調操作ユニット90を介して、携帯用バッテリー84と電気的に接続される。
【0060】
例えば、温調ベスト1に3つのペルチェ素子ユニット60を装着する場合、温調配線95は、一条状にまとめた温調本線96から温調分岐部97で分割して延びる3本の温調支線96A、温調支線96B、温調支線96Cの態様となる。すなわち、温調支線96A、温調支線96B、温調支線96C等の本数は、ペルチェ素子ユニット60の数と一致している。
【0061】
温調配線95の温調本線96は、携帯用バッテリー84に接続される。例えば、温調支線66Aは、第1ペルチェ素子ユニット60Aに接続される。例えば、温調支線66Bは、第2ペルチェ素子ユニット60Bに接続される。例えば、温調支線66Cは、第3ペルチェ素子ユニット60Cに接続される。しかしながら、これに限定されるものではない。温調支線66A、66B、66Cは、3つのペルチェ素子ユニット60(第1~第3ペルチェ素子ユニット60A,60B,60C)と、1対1の接続関係であれば、着用者HMによる判断の下、特に配線経路をシンプル化して、任意に接続されれば良い。
【0062】
<第1実施形態のペルチェ素子ユニット60の装着について>
図14を用いてペルチェ素子ユニット60の装着について説明する。
図14は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
【0063】
図14を用いてペルチェ素子ユニット60を素子取付部30に装着する方法について説明する。
図14に示すように、ペルチェ素子ユニット60の装着では、ペルチェ素子ユニット60の本体部62の放出面62a側は、素子取付部30に形成された素子挿入孔32内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に、素子取付部30の内側30aから挿入される。ペルチェ素子ユニット60は、素子外周縁部31に内側フランジ63を当接させた状態で、素子挿入孔32内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に配置する。素子挿入孔32は、ペルチェ素子ユニット60の放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)と温調ベスト1の着用者HM自身の身体を密着させるように取り付けるための孔である。
【0064】
続いて、外側フランジ121は、裏側服地3Bの外側から裏側服地3Bに当接させる。人は、本体部62をリング締結具120の内側に進入させ、かつリング締結具120の複数の突起122のそれぞれを複数の間隙70のそれぞれに進入させる。これにより、裏側服地3Bと素子外周縁部31は、本体部62の内側フランジ63とリング締結具120の外側フランジ121により挟み込んだ状態となる。続いて、人は、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させることで、ガイドレール66の一方端66aからそれぞれの突起122を取り付け溝部69へと進入させる。さらに、人は、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させることで、それぞれの突起122が、本体部62の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。続いて、人は、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させていき、複数の突起122を複数の摺動面68のそれぞれに配設されている規制部67を乗り越えさせる。複数の突起122のそれぞれが、複数の規制部67のそれぞれを乗り越えた場合、その複数の規制部67によって、複数の突起122は、本体部62の反円周方向ACRへの移動が規制される。規制部67を乗り越えて、移動が停止した突起122がその規制部67と面接触して係合することで固着する。これにより、裏側服地3Bと素子外周縁部31は、内側フランジ63と外側フランジ121によって挟み込まれた状態で固定される。第1実施形態に係る複数の突起122とガイドレール66の規制部67とは連結可能ではあるが、互いに相反する螺旋状のネジ等には当たらない。従って、リング締結具120の突起122とガイドレール66の規制部67とは係合によって固着するものであり、螺合によって固着するものではない。
【0065】
首筋部18の素子取付部30に第1ペルチェ素子ユニット60Aが装着される。この場合、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、温調ベスト1の着用者HM自身の身体側(首筋)に対向させて接触可能な状態となる(
図18、
図22参照)。これにより、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、着用者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、着用者の首筋を冷やすことができる。
【0066】
袖ぐり部10(第1袖ぐり部10A、第2袖ぐり部10B)付近の素子取付部30にペルチェ素子ユニット60(第2ペルチェ素子ユニット60B、第3ペルチェ素子ユニット60C)が装着される。この場合、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、温調ベスト1の着用者HM自身の身体側(脇付近)に対向させて接触可能な状態となる(
図18、
図22参照)。これにより、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、着用者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、脇の下を冷却することができる。
【0067】
<内側フランジ63と外側フランジ121に挟み込む生地の厚さについて>
図15~
図17を用いて、内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込む生地の厚さに応じて、突起122と摺動面68を係合させて固着させる箇所について説明する。
図15は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図16は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図17は、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【0068】
図15を用いて、複数の突起122のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第1規制部67aを乗り越えて、1段階目でガイドレール66と突起122が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX1(例えば、約3mm)となる場合、その生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、人が、本体部62をリング締結具120の内側に進入させる。これにより、複数の突起122のそれぞれは、複数の間隙70それぞれに進入していく。続いて、人が、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具120のそれぞれの突起122は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部69に進入する。さらに、人が本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれは、本体部62の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起122のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起122のそれぞれが複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越えるために、本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0069】
図15に示すように、1段階目で本体部62の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起122のそれぞれは、複数の第1規制部67aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX1(例えば、約3mm)となる生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット60の装着を解除する場合、人が本体部62とリング締結具120を本体部62の反円周方向ACRに一例として15度相対的に回転させることで、複数の突起122のそれぞれが第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0070】
次に、
図16を用いて、複数の突起122のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第2規制部67bを乗り越えて、2段階目でガイドレール66と突起122が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX2(例えば、約2mm)となる場合、その生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、人が、本体部62をリング締結具120の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起122は、それぞれの間隙70を進入していく。続いて、人が、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具120のそれぞれの突起122は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部69に進入する。さらに、人が本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれは、本体部62の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起122のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0071】
さらに、人が、本体部62とリング締結具120を本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部67bによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起122のそれぞれが複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越えるために、本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0072】
図16に示すように、2段階目で本体部62の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起122のそれぞれは、複数の第2規制部67bのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX2(例えば、約2mm)となる生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット60の装着を解除する場合、人が本体部62とリング締結具120を本体部62の反円周方向ACRに一例として30度相対的に回転させることで、複数の突起122のそれぞれが第1規制部67aと第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0073】
次に、
図17を用いて、複数の突起122のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第3規制部67cを乗り越えて、3段階目でガイドレール66と突起122が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX3(例えば、約1mm)となる場合、その生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、人が、本体部62をリング締結具120の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起122は、それぞれの間隙70を進入していく。続いて、人が、本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具120のそれぞれの突起122は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部69に進入する。さらに、人が本体部62とリング締結具120とを本体部62の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれは、本体部62の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起122のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0074】
さらに、人が、本体部62とリング締結具120を本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部67bによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0075】
さらに、人が、本体部62とリング締結具120を本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第3規制部67cのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第3規制部67cによって、それぞれの突起122の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起122のそれぞれが複数の第3規制部67cのそれぞれを乗り越えるために、本体部62とリング締結具120が本体部62の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0076】
図17に示すように、3段階目で本体部62の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起122のそれぞれは、複数の第3規制部67cのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX3(例えば、約1mm)となる生地を内側フランジ63と外側フランジ121とで挟み込んだ状態で、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着することができる。ペルチェ素子ユニット60の装着を解除する場合、人が本体部62とリング締結具120を本体部62の反円周方向ACRに一例として45度相対的に回転させることで、複数の突起122のそれぞれが第1規制部67a~第3規制部67cのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0077】
複数の突起122のそれぞれが第3規制部67cを乗り越えた場合、人が本体部62とリング締結具120を本体部62の円周方向CRに相対的に回転させても、複数の突起122のそれぞれは、複数の第4規制部67dのそれぞれを乗り越えることができない。これにより、本体部62の円周方向への本体部62とリング締結具120の相対的に回転によって、ペルチェ素子ユニット60が温調ベスト1から脱落してしまうことを防止することができる。
【0078】
第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット60をベスト本体2に装着する場合、先ず複数(例えば、4)の突起122を構成する各々の突起が複数(例えば、4)の間隙70に対して本体部62の軸心線AXに沿う軸心方向Lに進入させる。これにより、内側フランジ63とリング締結具120は温調ベスト1の生地を挟む。続いて、本体部62とリング締結具120とを相対的に回転されて、内側フランジ63とリング締結具120で温調ベスト1の生地を挟んだ状態で、複数の突起122のそれぞれは、乗り越えた規制部67のそれぞれによって移動動作が規制される。さらに、複数の突起122のそれぞれが規制部67のそれぞれと係合することで、内側フランジ63とリング締結具120で温調ベスト1の生地を挟んだ状態で、ペルチェ素子ユニット60は温調ベスト1に装着される。そのため、人は、ワンタッチ操作でペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着できる。さらに、本体部62とリング締結具120とを相対的に回転させていくと、複数の突起122のそれぞれと係合する箇所を段階的に変更することができる。これにより、温調ベスト1の生地の厚みが約3mmであれば、複数の突起122のそれぞれが、複数の第1規制部67aのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着できる。温調ベスト1の生地の厚みが約2mmであれば、複数の突起122のそれぞれが第2規制部67bのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着できる。温調ベスト1の生地の厚みが約1mmであれば、複数の突起122のそれぞれが第3規制部67cのそれぞれと係合して、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着できる。そのため、どのような温調ベスト1の生地の厚みでも、その厚みに対応して、人は、ペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着することができる。したがって、第1実施形態に係るペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1の生地に装着することが簡単となり、温調ベスト1の使い易さの向上を図ることができる。さらに、内側フランジ63とリング締結具120で裏側服地3Bと素子取付部30を何度も挟み込んでも、裏側服地3Bと素子取付部30が塑性変形し難くすることができる。そのため、温調ベスト1にペルチェ素子ユニット60を取り付けてもガタついたり、裏側服地3Bと素子取付部30が傷んでしまうことを防止することができる。
【0079】
<フランジの傾斜角度について>
図18~
図19を用いて、内側フランジ63と外側フランジ121の傾斜角度について説明する。
図18は、素子取付部に装着されたペルチェ素子ユニットの部分断面図である。
図19は、
図18に示す内側フランジと外側フランジの拡大断面図である。なお、
図18及び
図19は、ペルチェ素子ユニット60(第1ペルチェ素子ユニット60A、第2ペルチェ素子ユニット60B、第3ペルチェ素子ユニット60C)が素子取付部30に装着されている状態の図面である。
【0080】
図18及び
図19に示すように、ペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63の表面63aと外側フランジ121の表面121aは、素子取付部30に接触、すなわち面接触している。内側フランジ63の表面63aと外側フランジ121の表面121aの面接触は、素子取付部30からペルチェ素子ユニット60が外れてしまうことを防止することができる。
【0081】
図19に示すように、内側フランジ63の裏面63bと外側フランジ121の裏面121bは、素子取付部30に接触していない。
【0082】
図18及び
図19に示すように、内側フランジ63の表面63a及び裏面63bは、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)と平行な面に対して、放出面62aに形成されている放出部62b側に傾斜している。なお、第1実施形態における内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θは、20°である。
【0083】
図18及び
図19に示すように、外側フランジ121の表面121a及び裏面121bは、内側フランジ63と同様に、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)と平行な面に対して、放出面62aに形成されている放出部62b側に傾斜している。なお、第1実施形態における外側フランジ121の表面121a及び裏面121bの傾斜角度θは、20°である。
【0084】
<フランジの空気の流れを変化させる機能について>
第1実施形態のペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θは、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して20°である。これにより、ペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63は、ペルチェ素子ユニット60の空気孔64aに流入される空気の流れを下向きに変化させる機能を有している。
図20から
図21を用いて、第1実施形態のペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63が有するペルチェ素子ユニット60の空気孔64aに流入される空気の流れを下向きに変化させる機能について説明する。
【0085】
図20Aは、比較例の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。
図20Bは、第1実施形態の空気孔に流入される空気の流れを示す説明図である。
図21Aは、比較例の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。
図21Bは、第1実施形態の空気孔に流入される空気の速度分布を示す説明図である。
【0086】
先ず、
図20A及び
図21Aに示す比較例であるペルチェ素子ユニット60の装着について説明する。ペルチェ素子ユニット60の本体部62側は、温調ベスト1の素子取付部30に形成された素子取付部30の内側30aから挿入される。ペルチェ素子ユニット60は、素子挿入孔32の素子外周縁部31に比較例の内側フランジ131を当接させた状態で、素子挿入孔32内に配置する。続いて、比較例のペルチェ素子ユニット60は、円環板形状に張り出した環状の外側フランジ141を有するリング締結具140を備えており、その外側フランジ141は、裏側服地3Bの外側から裏側服地3Bに当接させる。比較例のリング締結具140は、裏地11と裏側服地3Bとの間の内部空間に入れる。素子外周縁部31は、比較例の筒部130の内側フランジ131と比較例のリング締結具140の外側フランジ141により挟み込んだ状態となる。比較例の筒部130の雄ネジ132と比較例のリング締結具140の雌ネジ142とを螺合で固着することにより、素子取付部30は、比較例の内側フランジ131と比較例の外側フランジ141によって挟み込まれる。かくして、
図20A及び
図21Aに示すように、比較例のペルチェ素子ユニット60は、素子取付部30と裏側服地3Bに固着した状態で装着される。
【0087】
比較例におけるペルチェ素子ユニット60の内側フランジ131の表面131a及び裏面131bの傾斜角度θは、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して0°である。すなわち、
図20Aを示すように、ペルチェ素子ユニット60の内側フランジ131は、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して平行である。これにより、比較例におけるペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63は、ペルチェ素子ユニット60の空気孔64aに流入される空気の流れを下向きに変化させる機能を有していない。
【0088】
図20Aに示すように、比較例の内側フランジ131の傾斜角度θが0°であると、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部である空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、空気孔64aへと流れる。空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、内側フランジ63に衝突することなく、空気孔64aを流入し、ペルチェ素子ユニット60の内部へと流れる。ペルチェ素子ユニット60の内部に流れた空気AR(空気AR1、空気AR2、空気AR3、空気AR4)は、複数の冷却フィン65aや熱交換面65と接触するか、または冷却フィン65a等に接触しない。
【0089】
図20Bに示すように、内側フランジ63の傾斜角度θが20°である場合、送風ユニット40により、ファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部である空気AR(空気AR4、空気AR5、空気AR6、空気AR7)は、空気孔64aに向かって流れる。その後、
図20Bに示すように、空気AR4は、内側フランジ63に衝突する。これにより、空気AR4の速度は速くなり、空気AR4に対する圧力は低くなる。
図20Bに示すように、空気AR4は、傾斜角度θが20°の内側フランジ63に沿って、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元に向かって流れていく。
【0090】
図20Bに示すように、空気孔64aに向かって流れた空気AR5は、傾斜角度θが20°の内側フランジ63に沿って空気孔64aに向かって流れている空気AR4によって下方に圧縮される。これにより、空気AR5の流れは、冷却フィン65aの根元側に変化される。
【0091】
図20Bに示すように、空気孔64aを通過した空気AR4は、ペルチェ素子ユニット60の内部へと流入する。
図20Bに示すように、空気孔64aを通過してペルチェ素子ユニット60の内部に流入した空気AR6は、ペルチェ素子ユニット60の内部に流入した空気AR4によって下方に圧縮される。これにより、空気AR6の流れは、冷却フィン65aの根元側に変化される。
図20Bに示すように、空気孔64aを通過してペルチェ素子ユニット60の内部に流入した空気AR7は、そのまま熱交換面65に向かって流れる。
【0092】
図20Bに示すように、第1実施形態の内側フランジ63は、内側フランジ63に衝突した空気AR4の流れを下向きにすることで、空気孔64aに向かう空気AR5及び空気AR6の流れの方向を冷却フィン65aの根元に変化させる機能を有している。
【0093】
次に、
図21Aを用いて、比較例の内側フランジ131が放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して平行である場合における空気の速度分布の変化について説明する。
【0094】
図21Aに示す第1比較速度分布HP1は、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部の速度分布である。
図21Aに示すように、比較例の内側フランジ131付近における第1比較速度分布HP1の頂点は、熱交換面65が有する冷却フィン65aと相対している。第1比較速度分布HP1は、熱交換面65が有する冷却フィン65aに向かって移動する。
【0095】
送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット60の内側フランジ63の下方に移動した場合における空気の一部の速度分布は、
図20Aに示す第2比較速度分布HP2である。
図21Aに示すように、比較例のペルチェ素子ユニット60の内側フランジ131付近における第2比較速度分布HP2の頂点は、第1比較速度分布HP1と同様に熱交換面65が有する冷却フィン65aと相対している。第2比較速度分布HP2は、熱交換面65が有する冷却フィン65aに向かって移動する。
【0096】
送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット60の内部に移動した場合における空気の一部の速度分布は、
図21Aに示す第3比較速度分布HP3である。
図21Aに示すように、比較例のペルチェ素子ユニット60の内部に移動した第3比較速度分布HP3の頂点は、熱交換面65が有する冷却フィン65aと相対している。比較例の内側フランジ63が放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して平行である場合、内側フランジ131によって空気孔64aに向かう空気の流れは変化せず、冷却フィン65aに向かって移動していくことになる。
【0097】
次に、
図21Bを用いて、第1実施形態の内側フランジ63が放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)に対して傾斜角度20°で傾斜している場合における空気の速度分布の変化について説明する。
【0098】
図21Bに示す第1傾斜速度分布ZP1は、第1実施形態の内側フランジ63付近における送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部の速度分布である。
図21Bに示すように、第1実施形態の内側フランジ63付近における第1傾斜速度分布ZP1の頂点は、熱交換面65が有する冷却フィン65aと相対している。第1傾斜速度分布ZP1は、熱交換面65が有する冷却フィン65aに向かって移動する。
【0099】
次に、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気が第1実施形態の内側フランジ63によって下方に移動した場合における空気の一部の速度分布は、
図21Bに示す第2傾斜速度分布ZP2である。送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部は、傾斜角度θが20°の内側フランジ63に沿って、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元に向かって流れていく(
図20B参照)。これにより、第2傾斜速度分布ZP2の頂点は、冷却フィン65aの根元側に移動して、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元と相対している。第2傾斜速度分布ZP2は、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元に向かって移動する。
【0100】
次に、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気がペルチェ素子ユニット60の内部に移動した場合における空気の速度分布は、
図21Bに示す第3傾斜速度分布ZP3である。ファン42の回転に伴う空気は、傾斜角度θが20°の内側フランジ63に沿って、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元に向かって流れていく(
図20B参照)。これにより、第3傾斜速度分布ZP3の頂点は、第2傾斜速度分布ZP2と同様に、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元と相対している。これにより、第1実施形態の空気孔64aに向かって流入した空気は、第1実施形態の内側フランジ63に衝突して速度が上がって、圧力が下がることで、
図21Bに示すように、空気の流れが冷却フィン65aの根元に向かうように変化する。
【0101】
送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送られてきた空気の一部は、傾斜角度θが20°の内側フランジ63に沿って、熱交換面65が有する冷却フィン65aの根元に向かって流れていく(
図20B、
図21B参照)。これにより、第1実施形態の内側フランジ63は、内側フランジ63よりも下側で流入する空気の流れを冷却フィン65aの根元側に変化させることができる。そのため、温調ベスト1に内在している冷却された空気(例えば、35℃)全体が冷却フィン65aを平面的に見たときに、比較例の空気孔64aから流入した空気が接触し得なかった送風装置100の直下に位置する冷却フィン65aに届くことになる。したがって、第1実施形態のペルチェ素子ユニット60による冷却効率は、内側フランジ63が平行である場合(
図20A、
図21A参照)と比較して、10%程度高めることができる。ペルチェ素子ユニット60の冷却効率を10%程度高めることにより、排熱ファン101の回転を行うモータの消費電力を10%程度減少させることができ、温調ベスト1の有効冷時間を例えば、120分から132分に延ばすことができる。
【0102】
<温調ベスト1内の空気の流れについて>
次に、
図22を用いて、温調ベスト1内の空気の流れについて説明する。
図22は、
図1に示す温調ベストの送風ユニットから送り込まれた空気の流れを説明するための説明図である。
【0103】
図22に示すように、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、背中中央部13を経て、襟元部9に向かって導かれ、襟元部9から温調ベスト1の外部に放出される。送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、背中中央部13を経て、第1ペルチェ素子ユニット60Aの空気孔64aに取り込まれる。この場合、空気孔64aから取り込まれた空気ARによって冷却フィン65aが冷却され、放出部62bから熱交換が行われた空気が放出される。
【0104】
図22に示すように、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、第1袖ぐり部10Aに向かって導かれ、第1袖ぐり部10Aから温調ベスト1の外部に放出される。送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、第2ペルチェ素子ユニット60Bの空気孔64aに取り込まれる。この場合、空気孔64aから取り込まれた空気ARによって冷却フィン65aが冷却され、放出部62bから熱交換が行われた空気が放出される。
【0105】
図22に示すように、送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、第2袖ぐり部10Bに向かって導かれ、第2袖ぐり部10Bから温調ベスト1の外部に放出される。送風ユニット40によるファン42の回転に伴って送り込まれた空気ARの一部は、第3ペルチェ素子ユニット60Cの空気孔64aに取り込まれる。この場合、空気孔64aから取り込まれた空気ARによって冷却フィン65aが冷却され、放出部62bから熱交換が行われた空気が放出される。
【0106】
<送風操作ユニットについて>
図23は、第1実施形態に係る温調ベストに具備する送風操作ユニットの構成を示すブロック図である。
図23に示すように、送風操作ユニット80は、送風制御部81と、送風操作部82と、送風表示部83等を有する。送風操作ユニット80内では、送風操作部82と送風表示部83が、送風制御部81と電気的に接続されている。
【0107】
送風操作部82は、送風操作ユニット80上面にある押下部を、所定の操作モードに基づいて、指で軽く押すことにより、駆動部33のモータへの通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。送風表示部83は、送風操作ユニット80上面にある表示部で、白色に発光可能とした態様で構成されている。
【0108】
<温調操作ユニットについて>
図24は、実施形態に係る温調ベストに具備する温調操作ユニットの構成を示すブロック図である。
図24に示すように、温調操作ユニット90は、温調制御部91と、温調操作部92と、温調表示部93等を有する。温調操作ユニット90内では、温調操作部92と温調表示部93が、温調制御部91と電気的に接続されている。
【0109】
温調操作部92は、温調操作ユニット90上面にある押下部の押下によって、第1~第3ペルチェ素子ユニット60A、60B、60Cに対し、ペルチェ素子PEへの通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。さらに、温調操作部92は、温調操作ユニット90上面にある押下部の押下によって、排熱ファン101の回転を行うモータ(図示省略)への通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。温調表示部93は、温調操作ユニット90上面にある表示部で、複数種の色から選択的に発光可能とした態様で構成されている。
【0110】
温調制御部91が、携帯用バッテリー84からペルチェ素子PEに供給する直流電流の向きを逆転させる制御を有する場合、温調操作部92は温調操作ユニット90上面の押下部を通電のオン/オフの切替え操作とは異なった所定の操作モードに基づいて、軽く押す。これにより、第1~第3ペルチェ素子ユニット60A、60B、60Cに通電する電流の極性を切替ることが可能である。
【0111】
ペルチェ素子ユニット60では、ペルチェ素子PEにおいて、供給する直流電流の向きが逆方向になると、一面の機能と他面の機能が相互に反転する。そのため、温調制御部91が、ペルチェ素子PEに供給する電流の極性を逆転可能に構成されている場合、放熱面61は、温調制御部91により、吸熱によって冷却された冷却面61Aと、発熱によって加熱された加熱面61Bを、選択的に可変できるようになる。これにより、放熱面61では、冷却面61Aと加熱面61Bとが相互に入れ替わる。なお、温調制御部91が、ペルチェ素子PEに対し、電流の向きを切替える機能を有していない場合、放熱面61は、冷却面61Aまたは加熱面61Bのいずれか一方である。
【0112】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の温調ベスト1の特徴点を詳細に説明する。特に述べない限り、上記第1実施形態の温調ベスト1が第2実施形態にも適用される。勿論、第2実施形態に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。上記第1実施形態および下記第2実施形態中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。第2実施形態では、温度調整ユニットを、ファンである場合を挙げ、身体温度調整装置を、送風ユニットである場合を挙げて説明する。
【0113】
第1実施形態の送風ユニット40は、本体部41の雄ネジ48と押圧部材110の雌ネジ112が螺合で固着することで、フランジ47と押圧部111とがファン外周縁部21と裏側服地3Bとを挟み込んだ状態で温調ベスト1に装着された。第1実施形態のペルチェ素子ユニット60は、ガイドレール66の規制部67とリング締結具120の突起122の係合による固着で、内側フランジ63と外側フランジ121が素子取付部30と裏側服地3Bとを挟み込んだ状態で温調ベスト1に装着された。しかしながら、これに限定されることはない。第2実施形態のペルチェ素子ユニット60は、本体部62の雄ネジとリング締結具120の雌ネジが螺合で固着することで、内側フランジ63と外側フランジ121が素子取付部30と裏側服地3Bとを挟み込んだ状態で温調ベスト1に装着される構成とする。第2実施形態の送風ユニット40は、後述するガイドレール50の規制部54と押圧部材110の突起の係合による固着で、フランジ47と押圧部材110がファン取付部20と裏側服地3Bとを挟み込んだ状態で温調ベスト1に装着される構成とする。
【0114】
<第2実施形態の送風ユニット40について>
図25~
図26を用いて、第2実施形態の送風ユニット40について説明する。
図25は、第2実施形態に係る送風ユニットを本体部と押圧部材に分解した状態で示す説明図である。
図26は、第2実施形態に係る内側ケース周壁部を平面上に展開した展開図である。
【0115】
図25に示すように、第2実施形態に係るケーシング44において、内側ケース周壁部49の外周面には、ガイドレール50が設けられている。円周方向CRに隣り合うガイドレール50とガイドレール50同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。
図26に示すように、ガイドレール50は、放出口45aを有する内側ケース部45側に向かうとともに、一方端50aと他方端50bとの間を本体部41の円周方向CRに沿って、円弧状に延設されている。ガイドレール50は、内側ケース周壁部49の円周方向で異なる位置に複数(例えば、4)設けられている。
図25に示すように、複数のガイドレール50とフランジ47との間に取り付け溝部52がそれぞれ設けられている。複数(例えば、4)の取り付け溝部52は、内側ケース周壁部49の円周方向CRに沿って設けられている(
図27参照)。4つのガイドレール50は、断続的に隣接するガイドレール50とガイドレール50との間に、間隙51をそれぞれ設けている(
図27参照)。本体部41の外周面には、間隙51が複数(例えば、4)設けられている。
【0116】
複数のガイドレール50は、それぞれのガイドレール50の一方端50aからガイドレール50の他方端50bとの間に摺動面53を有する。
図26に示すように、複数のガイドレール50の摺動面53のそれぞれには、複数(例えば、4)の規制部54が配設されている。複数の規制部54のそれぞれは、摺動面53に沿って本体部41の反円周方向ACRに向かって移動する複数の突起113のそれぞれの移動動作を規制する。それぞれのガイドレール50の一方端50aと他方端50bとを繋ぐ摺動面53には、第1規制部54a⇒第2規制部54b⇒第3規制部54c⇒第4規制部54dの順に、断続的に規制部54が配設されている。複数の第4規制部54dのそれぞれは、複数の突起113のそれぞれが乗り越えることができない高さに構成されている。
【0117】
第2実施形態に係る押圧部材110の内周面110aに、複数のガイドレール50のそれぞれと連結可能な突起113が配設されている。突起113は、押圧部材110の円周方向CRに間隔をおいて複数(例えば、4つ)設けられている。複数の突起113は、それぞれのガイドレール50の規制部54と係合可能である。円周方向CRに隣り合う突起113と突起113同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。複数の突起113のそれぞれは、複数の間隙51のそれぞれを通過可能に形成されている。一つの突起113が、間隙51を通じて、一つのガイドレール50と係合する。複数の突起113は、押圧部材110の軸心線AXを中心に径方向RDに対して押圧部111の反対側に傾斜しており、傾斜角度θは、3°である。これにより、複数の突起113のそれぞれは、複数のガイドレール50のそれぞれと連結し易くなっている。
【0118】
次に、
図26を用いて、平面上に展開した内側ケース周壁部49に設けられた複数のガイドレール50の摺動面53について説明する。
図26に示すように、複数のガイドレール50のそれぞれは、本体部41の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気孔46aを有する外側ケース部46側に傾斜している。第2実施形態における複数のガイドレール50の全ては、一方端50aと他方端50bとの間で一例である傾斜角度θとして3°を付している。これにより、第2実施形態における複数のガイドレール50の全ては、一方端50aと他方端50bとの間で、軸心方向Lに高低差△Hを付けた傾斜態様で形成されている。すなわち、第2実施形態に係る摺動面53の傾斜角度θは、本体部41の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、空気孔46aを有する外側ケース部46側に3°である。
【0119】
<第2実施形態の送風ユニット40の装着について>
次に、
図27~
図28を用いて、第2実施形態に係る送風ユニット40を温調ベスト1への装着について説明する。
図27は、第2実施形態に係る送風ユニットを温調ベストに装着する方法を示す説明図である。
図28は、温調ベストに装着されている送風ユニットの部分断面図である。
【0120】
第2実施形態に係る送風ユニット40の装着では、
図27に示すように、はじめに本体部41の内側ケース部45は、ファン取付部20に形成されたファン挿入孔22内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に、ファン取付部20の外側20aから挿入される。ファン外周縁部21にフランジ47を当接させた状態で、外側ケース部46は、ファン挿入孔22内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に配置される。
【0121】
続いて、人は、押圧部材110を温調ベスト1の裏地11側からファン外周縁部21近傍に配置する。そして、人は、内側ケース部45を押圧部材110の内側に進入させていき、内側ケース周壁部49が押圧部材110の内側まで進入させると、複数の突起113のそれぞれを複数の間隙51のそれぞれに進入させる。これにより、裏側服地3Bとファン外周縁部21は、フランジ47と押圧部111により挟み込んだ状態となる。続いて、人は、押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させることで、押圧部材110の複数の突起113のそれぞれが、それぞれのガイドレール50の摺動面53と接触しながら本体部41の円周方向CRに沿って摺動していく。続いて、人は、本体部41と押圧部材110とを本体部41の円周方向CRに相対的に回転させていき、複数の突起113のそれぞれを摺動面53に配設されている複数の規制部54のそれぞれを乗り越えさせる。複数の突起113が乗り越えた複数の規制部54のそれぞれによって、複数の突起113のそれぞれは、本体部41の反円周方向ACRへの移動が規制される(
図26参照)。複数の規制部54のそれぞれを乗り越えて、移動が停止した複数の突起113のそれぞれが、複数の規制部54のそれぞれと面接触して係合することで固着する。そのため、裏側服地3Bとファン外周縁部21は、フランジ47と押圧部材110によって挟み込まれた状態で固定される。第2実施形態に係る複数の突起113と規制部54とは連結可能ではあるが、互いに相反する螺旋状のネジ等を設けていない。従って、押圧部材110の突起113とガイドレール50の規制部54とは係合によって固着するものであり、螺合によって固着するものではない。
【0122】
<フランジ47と押圧部材110に挟み込む生地の厚さについて>
図29~
図31を用いて、フランジ47と押圧部111とで挟み込む生地の厚さに応じて、突起113と摺動面53を面接触によって係合させて固着させる箇所について説明する。
図29は、第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図30は、第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図31は、第2実施形態に係る送風ユニットの側面図であり、フランジと押圧部を、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【0123】
図29を用いて、複数の突起113のそれぞれが、それぞれのガイドレール50の第1規制部54aを乗り越えて、1段階目でガイドレール50と突起113が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX4(例えば、約3mm)となる場合、その生地をフランジ47と押圧部111とで挟み込んだ状態で、人が、本体部41を押圧部材110の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起113は、それぞれの間隙51を進入していく。続いて、人が、本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させると、複数の突起113のそれぞれは、ガイドレール50の一方端50aから取り付け溝部52に進入する。続いて、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれは、本体部41の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール50の摺動面53上を摺動していく。人が本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させると、複数の突起113のそれぞれは、摺動面53に配設されている複数の第1規制部54aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起113のそれぞれが複数の第1規制部54aのそれぞれを乗り越えるために、本体部41と押圧部材110が本体部41の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0124】
図29に示すように、1段階目で本体部41の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起113は、摺動面53における複数の第1規制部54aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX4(例えば、約3mm)となる生地をフランジ47と押圧部材110とで挟み込んだ状態で、送風ユニット40を温調ベスト1に装着することができる。送風ユニット40を温調ベスト1からの装着を解除する場合、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の反円周方向ACRに、一例として15度相対的に回転させることで、複数の突起113のそれぞれが第1規制部54aのそれぞれを乗り越える。これにより、送風ユニット40は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0125】
次に、
図30を用いて、複数の突起113のそれぞれが、それぞれのガイドレール50の第1規制部54aを乗り越えて、2段階目でガイドレール50と突起113が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX5(例えば、約2mm)となる場合、その生地をフランジ47と押圧部111とで挟み込んだ状態で、人が、本体部41を押圧部材110の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起113は、それぞれの間隙51を進入していく。続いて、人が、本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させると、複数の突起113のそれぞれは、ガイドレール50の一方端50aから取り付け溝部52に進入する。続いて、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれは、本体部41の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール50の摺動面53上を摺動していく。人が、本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させると、複数の突起113は、摺動面53に配設されている複数の第1規制部54aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0126】
さらに、人が、本体部41と押圧部材110とを本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれが摺動面53上を摺動していき、複数の第2規制部54bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部54bによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起113のそれぞれが複数の第2規制部54bのそれぞれを乗り越えるために、本体部41と押圧部材110が本体部41の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0127】
図30に示すように、2段階目で本体部41の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起113は、摺動面53における複数の第2規制部54bのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX5(例えば、約2mm)となる生地をフランジ47と押圧部材110とで挟み込んだ状態で、送風ユニット40を温調ベスト1に装着することができる。送風ユニット40の装着を解除する場合、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の反円周方向ACRに、一例として30度相対的に回転させることで、複数の突起113のそれぞれが第1規制部54a及び第2規制部54bのそれぞれを乗り越える。これにより、送風ユニット40は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0128】
次に、
図31を用いて、3段階目で複数の突起113のそれぞれが、それぞれのガイドレール50の第1規制部54aを乗り越えて、ガイドレール50と突起113が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX6(例えば、約1mm)となる場合、その生地をフランジ47と押圧部111とで挟み込んだ状態で、人が、本体部41を押圧部材110の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起113は、それぞれの間隙51を進入していく。続いて、人が、本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させると、複数の突起113のそれぞれは、ガイドレール50の一方端50aから取り付け溝部52に進入する。続いて、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれは、本体部41の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール50の摺動面53上を摺動していく。人が、本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させると、複数の突起113のそれぞれが摺動面53に配設されている複数の第1規制部54aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0129】
さらに、人が、本体部41と押圧部材110とを本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれが摺動面53上を摺動していき、複数の第2規制部54bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部54bによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0130】
さらに、人が、本体部41と押圧部材110とを本体部41の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれが摺動面53上を摺動していき、複数の第3規制部54cのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第3規制部54cによって、それぞれの突起113の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起113のそれぞれが複数の第3規制部54cのそれぞれを乗り越えるために、本体部41と押圧部材110が本体部41の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0131】
図31に示すように、3段階目で本体部41の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起113は、摺動面53における複数の第3規制部54cのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX6(例えば、約1mm)となる生地をフランジ47と押圧部材110とで挟み込んだ状態で、送風ユニット40を温調ベスト1に装着することができる。送風ユニット40の装着を解除する場合、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の反円周方向ACRに、一例として45度相対的に回転させることで、複数の突起113のそれぞれが第1規制部54a~第3規制部54cのそれぞれを乗り越える。これにより、送風ユニット40は、温調ベスト1から装着を解除できる。
【0132】
複数の突起113のそれぞれが第3規制部54cを乗り越えた場合、人が本体部41と押圧部材110を本体部41の円周方向CRに相対的に回転させても、複数の突起113のそれぞれは、複数の第4規制部54dのそれぞれを乗り越えることができない。これにより、本体部41の円周方向への本体部41と押圧部材110の相対的に回転によって、送風ユニット40が温調ベスト1から脱落してしまうことを防止することができる。
【0133】
第2実施形態に係る送風ユニット40をベスト本体2に装着する場合、先ず複数(例えば、4)の突起113を構成する各々の突起が複数(例えば、4)の間隙51に対して本体部41の軸心線AXに沿う軸心方向Lに進入させる。これにより、フランジ47と押圧部材110は温調ベスト1の生地を挟む。続いて、本体部41と押圧部材110とを相対的に回転されて、フランジ47と押圧部111で温調ベスト1の生地を挟んだ状態で、複数の突起113のそれぞれは、乗り越えた規制部54によって移動動作が規制される。さらに、複数の突起113のそれぞれが規制部54のそれぞれと係合することで、送風ユニット40は温調ベスト1に装着される。そのため、人は、ワンタッチ操作で送風ユニット40を温調ベスト1に装着できる。さらに、本体部41と押圧部材110とを相対的に回転させていくと、複数の突起113のそれぞれと係合する箇所を段階的に変更することができる。これにより、温調ベスト1の生地の厚みが約3mmであれば、複数の突起113が第1規制部54aと係合して、送風ユニット40を温調ベスト1に装着できる。温調ベスト1の生地の厚みが約2mmであれば、複数の突起113が第2規制部54bと係合して、送風ユニット40を温調ベスト1に装着できる。温調ベスト1の生地の厚みが約1mmであれば、複数の突起113が第3規制部54cと係合して、送風ユニット40を温調ベスト1に装着できる。そのため、どのような温調ベスト1の生地の厚みでも、その厚みに対応して、人は、送風ユニット40を温調ベスト1に装着することができる。したがって、第2実施形態に係る送風ユニット40を温調ベスト1の生地に装着することが簡単となり、温調ベスト1の使い易さの向上を図ることができる。さらに、フランジ47と押圧部111で裏側服地3Bとファン取付部20を何度も挟み込んでも、裏側服地3Bとファン取付部20が塑性変形し難くすることができる。そのため、温調ベスト1に送風ユニット40を取り付けてもガタついたり、裏側服地3Bとファン取付部20が傷んでしまうことを防止することができる。
【0134】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態の温調ベスト1の特徴点を詳細に説明する。特に述べない限り、上記第1実施形態の温調ベスト1が第3実施形態にも適用される。勿論、第3実施形態に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。上記第1実施形態、上記第2実施形態、及び下記第3実施形態中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0135】
第1実施形態におけるペルチェ素子ユニット60は、全て同じ大きさであった。しかしながら、これに限定されることはない。第3実施形態では、第1ペルチェ素子ユニット60Aに代えて、第1ペルチェ素子ユニット60Aよりも大きい第4ペルチェ素子ユニット60Dが温調ベスト1に装着可能となっている。第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニット60Dは、第1実施形態で説明した内側フランジ63に相当するフランジを有していない。これにより、第4ペルチェ素子ユニット60Dは、リング締結具150の表面154と第4ペルチェ素子ユニット60Dの上面76で素子取付部30と裏側服地3Bとを挟み込んだ状態で温調ベスト1に装着される構成とする。
【0136】
<温調ベスト1について>
図32は、第3実施形態に係る温調ベストの外面を前身頃側から見た正面図であり、その後身頃側から見た背面図を、
図33に示す。
図32~
図33に示すように、温調ベスト1は、ベスト本体2と、送風ユニット40と、ペルチェ素子ユニット60と、送風操作ユニット80と、温調操作ユニット90と、携帯用バッテリー84等とを備えている。
【0137】
<ベスト本体2について>
第3実施形態に係るベスト本体2について、
図32~
図33を用いて説明する。裏地11には、ペルチェ素子ユニット60を装着可能な素子取付部30が、複数の部位に配設され、本実施形態では、後身頃5の3箇所に設けられている。
図33に示すように、後身頃5において、素子取付部30は、肩甲骨部15に1箇所と、第1袖ぐり部10A付近に1箇所と、第2袖ぐり部10B付近に1箇所とに配置されている。
【0138】
<第3実施形態のペルチェ素子ユニット60について>
次に、ペルチェ素子ユニット60について、
図34~
図37を用いて説明する。
図34は、第3実施形態に係るペルチェ素子ユニットの放熱面側から示す斜視図である。
図35は、第3実施形態に係るペルチェ素子ユニットの放出面側から示す斜視図である。
図36は、第3実施形態に係るペルチェ素子ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図37は、第3実施形態に係る筒部の外周面を平面上に展開した展開図である。
【0139】
図34及び
図35に示すように、肩甲骨部15に設けられた第4ペルチェ素子ユニット60Dは、略多角形状(例えば、略七角形)に形成されている。
図34及び
図35に示すように、第4ペルチェ素子ユニット60Dは、ペルチェ素子PEが収容された本体部71と、円筒状に形成された筒部75と、リング締結具150を有する。
図34~
図35に示すように、本体部71は、放熱面61を有するとともに略多角形状(例えば、略七角形)に形成された底面79と、筒部75を有するとともに略多角形状(例えば、略七角形)に形成された上面76とを有する。さらに、本体部71は、複数の吸入口72aが形成された側面部72と、熱交換面65により熱交換された空気を第4ペルチェ素子ユニット60Dの外部に放出する放出部75bを形成する放出面75aも有する。側面部72には、5箇所の吸入口72aを備えた5つの側面部と、10箇所の吸入口72aを備えた2つの側面部とがある。
図36に示すように、本体部71は、ペルチェ素子PEと、ペルチェ素子PEによる熱を取り込んで空気中に放散させて熱交換を行う熱交換面65とを収容する。さらに、
図36に示すように、本体部71は、熱交換面65により熱交換された空気を放出部75bへと送風する送風装置100と、吸入口72aから吸入した空気を熱交換面65に向けて導くための導流部74を収容する。なお、第3実施形態に係る導流部74は、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度に優れた合成樹脂繊維により構成されている。第4ペルチェ素子ユニット60Dの縦の長さは、115mmであり、横の長さは、100mmであり、高さは30mmである。
図36に示すように、上面76は、本体部71に6つの雄ネジに固定されている。
【0140】
第3実施形態に係る7つの側面部72の表面積を合計した総面積のうち、35の吸入口72aの表面積を合計した総面積が占める割合は、約50%~約69%であることが好ましい。なぜなら、35の吸入口72aの表面積を合計した総面積が占める割合が約69%を超えてしまうと、本体部71内に取り込まれた空気は、第4ペルチェ素子ユニット60D外部の風の影響を受けてしまう。これにより、吸入口72aから吸入された空気は、第4ペルチェ素子ユニット60D外部の風の影響を受けてしまい、放出部75bから効率良く放出することができないからである。一方で、35の吸入口72aの表面積を合計した総面積が占める割合が、約50%未満であると、吸入口72aから吸入される冷却空気の量が減少してしまい、熱交換面65によって効率良く熱交換ができないからである。
【0141】
図36に示すように、筒部75の外周面には、ガイドレール66が設けられている。ガイドレール66は、放出部75b側に向かって筒部75の円周方向CRに沿って、円弧状に延設されている。ガイドレール66は、筒部75の円周方向CRで異なる位置に複数(例えば、4)設けられている。
図36に示すように、複数のガイドレール66と放出面75aとの間に取り付け溝部78がそれぞれ設けられている。複数(例えば、4)の取り付け溝部78は、筒部75の円周方向CRに沿って設けられている。
図36に示すように、4つのガイドレール66は、断続的に隣接するガイドレール66とガイドレール66との間に、間隙77をそれぞれ設けている。筒部75の外周面には、間隙77が複数(例えば、4)設けられている。円周方向CRに隣り合うガイドレール66とガイドレール66同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。
図36に示すように、間隙77は取り付け溝部78につながっている。
【0142】
図36及び
図37に示すように、第3実施形態に係る複数のガイドレール66は、それぞれのガイドレール66の一方端66aからガイドレール66の他方端66bとの間であって、放熱面61側に摺動面68を有する。
図36及び
図37に示すように、複数のガイドレール66の摺動面68のそれぞれには、複数(例えば、4)の規制部67が配設されている。複数の規制部67のそれぞれは、摺動面68に沿って本体部71の反円周方向ACRに向かって移動する複数の突起153の移動動作を規制する。それぞれのガイドレール66の一方端66aと他方端66bとを繋ぐ摺動面68に第1規制部67a⇒第2規制部67b⇒第3規制部67c⇒第4規制部67dの順に、断続的に規制部67が配設されている。複数の第4規制部67dのそれぞれは、複数の突起153のそれぞれが乗り越えることができない高さに構成されている。
【0143】
次に、
図37を用いて、平面上に展開した筒部75の外周面における複数のガイドレール66について説明する。
図37に示すように、複数のガイドレール66は、本体部71の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、吸入口72aを有する側面部72側に傾斜している。第3実施形態における複数のガイドレール66の全ては、摺動面68における一方端66aと他方端66bとの間で一例である傾斜角度θとして3°を付している。これにより、第3実施形態における複数のガイドレール66の全ては、一方端50aと他方端50bとの間で、軸心方向Lに高低差△Hを付けた傾斜態様で形成されている。すなわち、第3実施形態に係る摺動面68の傾斜角度θは、本体部71の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、吸入口72aを有する側面部72側に3°である。
【0144】
リング締結具150は、放熱面61(冷却面61A、加熱面61B)と反対側の端部である筒部75と自在に締結または、その解除可能に形成されている。リング締結具150は、合成樹脂で構成されており、略多角形状に形成された把持部152と、環状の外側フランジ151とを備えている。リング締結具150の内径は、筒部75の外径よりも大きいが、上面76の外周の長さより小さい。
【0145】
第3実施形態に係るリング締結具150の内周面150aに、複数のガイドレール66のそれぞれと連結可能な突起153が配設されている。突起153は、リング締結具150の円周方向CRに間隔をおいて複数(例えば、4つ)設けられている。複数の突起153は、それぞれのガイドレール66の規制部67と係合可能である。円周方向CRに隣り合う突起153と突起153同士は、軸心方向Lに同じ高さで配設されている。複数の突起122のそれぞれは、複数の間隙70のそれぞれを通過可能に形成されている。一つの突起122が、間隙70を通じて、一つのガイドレール66と係合する。複数の突起153は、外側フランジ151の表面154と平行な面に対して表面154側に傾斜しており、傾斜角度θは、3°である。これにより、複数の突起153のそれぞれは、複数のガイドレール66のそれぞれと連結し易くなっている。第3実施形態に係る温調ベスト1では、3つのペルチェ素子ユニット60(第4ペルチェ素子ユニット60D、第2ペルチェ素子ユニット60B、第3ペルチェ素子ユニット60C)は、ベスト本体2にある3箇所の素子取付部30に装着される。
【0146】
放熱面61は、外部に露出した状態になっており、ペルチェ素子ユニット60(ペルチェ素子ユニット)では、
図34及び
図36に示すように、放熱面61を有する底面79と放出部75bとが、互いに反対側に配置されている。ここで放熱面61は、例えば、熱伝導性等に優れた金属製であるアルミニウムにより構成されている。第3実施形態に係る放熱面61はアルミニウムで構成されることで、平面ではなく三次元形状にすることができ、着用者HMの身体表面BSにぴったりと合う形状にすることができる。
【0147】
図36に示すように、本体部71の軸心線AXに沿う軸心方向Lにおいて放熱面61(冷却面61A、加熱面61B)と反対側の端部である筒部75が設けられている。
【0148】
図36に示すように、第3実施形態の送風装置100は、送風を行う排熱ファン101と、この排熱ファン101の回転を行うモータ(図示省略)で制御する排熱ファン駆動部102とを備える。これにより、熱交換面65により熱交換された空気は、温調制御部91の制御によって排熱ファン駆動部102が駆動され、排熱ファン101の回転によって発生させた風によって放出部75bから放出される。
【0149】
例えば、
図32に示すように、第3実施形態に係る温調支線66Aは、第4ペルチェ素子ユニット60Dに接続される。例えば、温調支線66Bは、第2ペルチェ素子ユニット60Bに接続される。例えば、温調支線66Cは、第3ペルチェ素子ユニット60Cに接続される。しかしながら、これに限定されるものではない。温調支線66A、66B、66Cは、3つのペルチェ素子ユニット60(第2~第4ペルチェ素子ユニット60B,60C,60D)と、1対1の接続関係であれば、着用者HMによる判断の下、特に配線経路をシンプル化して、任意に接続されれば良い。
【0150】
<第3実施形態のペルチェ素子ユニット60の装着について>
図38~
図39を用いて第4ペルチェ素子ユニット60Dの装着について説明する。
図38は、第3実施形態に係る温調ベストに装着されている第4ペルチェ素子ユニットの断面図である。
図39は、
図35のA-A線断面図である。
【0151】
図38を用いて第4ペルチェ素子ユニット60Dを素子取付部30に装着する方法について説明する。
図39に示すように、第4ペルチェ素子ユニット60Dの装着では、第4ペルチェ素子ユニット60Dの筒部75側は、温調ベスト1の素子取付部30に形成された素子挿入孔32内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に、素子取付部30の内側30aから挿入される。第4ペルチェ素子ユニット60Dは、素子挿入孔32の素子外周縁部31に第4ペルチェ素子ユニット60Dの上面76を当接させた状態で、素子挿入孔32内と裏側服地3Bの挿入孔3b内に配置する。
【0152】
続いて、外側フランジ151は、裏側服地3Bの外側から裏側服地3Bに当接させる。人は、筒部75をリング締結具150の内側に進入させ、かつリング締結具150の複数の突起153のそれぞれを複数の間隙77のそれぞれに進入させる。これにより、裏側服地3Bと素子外周縁部31は、第4ペルチェ素子ユニット60Dの上面76とリング締結具150の外側フランジ151により挟み込んだ状態となる。続いて、人は、本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに相対的に回転させることで、ガイドレール66の一方端66aからそれぞれの突起133を取り付け溝部69に進入させる。そして、人は、リング締結具150を筒部75の円周方向CRに相対的に回転させることで、複数の突起153のそれぞれを、筒部75の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。さらに、人は、本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに相対的に回転させていき、複数の突起153のそれぞれを摺動面68に配設されている複数の規制部67のそれぞれを乗り越えさせる。複数の突起153のそれぞれが、複数の規制部67のそれぞれを乗り越えた場合、その乗り越えた複数の規制部67によって、筒部75の反円周方向ACRに向かう複数の規制部67の移動動作は規制される。移動が停止した複数の突起153のそれぞれが、乗り越えた複数の規制部67のそれぞれと面接触して係合することで固着する。そのため、裏側服地3Bと素子外周縁部31は、外側フランジ151と本体部71の上面76とによって挟み込まれた状態で固定される。第3実施形態に係る突起153とガイドレール66の規制部67とは連結可能ではあるが、互いに相反する螺旋状のネジ等には当たらない。従って、リング締結具150の突起153とガイドレール66の規制部67とは係合によって固着するものであり、螺合によって固着するものではない。
【0153】
肩甲骨部15の素子取付部30に第4ペルチェ素子ユニット60Dが装着される。第4ペルチェ素子ユニット60Dの放熱面61の表面側は、第2ペルチェ素子ユニット60B及び第3ペルチェ素子ユニット60Cの放熱面61の表面積よりも大きくなっている。これにより、
図32及び
図39に示すように、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、温調ベスト1の着用者HM自身の身体側(肩甲骨)に対向させて接触可能な状態となる。これにより、放熱面61(冷却面61Aまたは加熱面61B)が、着用者HM自身の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、着用者HMの肩甲骨付近を冷やすことができる。さらに、第4ペルチェ素子ユニット60Dの冷却面61Aの方が、第2ペルチェ素子ユニット60Bや第3ペルチェ素子ユニット60Cの冷却面61Aよりも、着用者HM自身の身体表面をより広く冷やすことができる。
【0154】
図39に示すように、第4ペルチェ素子ユニット60Dにおいて、複数の冷却フィン65aを有する熱交換面65は、送風装置100の直下に設けられている。第4ペルチェ素子ユニット60Dでは、吸入口72aよりも熱交換面65側であって、熱交換面65の手前に導流部74が配設されている。導流部74の底面から上面までの高低差は、熱交換面65の底面から冷却フィン65aの先端までの高低差よりも大きい構成となっている。これにより、吸入口72aから吸入された多くの空気を熱交換面65に向かって導くことができる。
図39に示すように、第4ペルチェ素子ユニット60Dの側面部72は、外側フランジ151の外径端151aよりも、本体部71の軸心線AXを中心に径方向RDに位置する上面76の一端76aから直下するように形成されている。
図39に示すように、第4ペルチェ素子ユニット60Dの側面部72は、外側フランジ151の外径端151bよりも、本体部71の軸心線AXを中心に径方向RDに位置する上面76の一端76bから直下するように形成されている。
【0155】
<上面76と外側フランジ151に挟み込む生地の厚さについて>
図40~
図42を用いて、上面76と外側フランジ151とによって挟み込む温調ベスト1の生地の厚さに応じて、突起153と摺動面68を面接触によって係合させて固着させる箇所について説明する。
図40は、第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第1段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図41は、第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第2段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
図42は、第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニットの側面図であり、内側フランジと外側フランジを、第3段目で係合させた状態にある場合を示す場合の説明図である。
【0156】
図40を用いて、複数の突起153のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第1規制部67aを乗り越えて、1段階目でガイドレール66と突起153が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX7(例えば、約3mm)となる場合、その生地を本体部71の上面76と外側フランジ151の表面154とで挟み込んだ状態で、人が、本体部71の筒部75をリング締結具150の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起153は、それぞれの間隙77を進入していく。続いて、人が、本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具150のそれぞれの突起153は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部78に進入する。さらに、人が本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれは、筒部75の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部71とリング締結具150が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起153のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起153のそれぞれが複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越えるために、本体部71とリング締結具150が本体部71の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0157】
図40に示すように、1段階目で筒部75の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起153のそれぞれは、複数の第1規制部67aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX7(例えば、約3mm)となる生地を本体部71の上面76と外側フランジ151の表面154とで挟み込んだ状態で、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着することができる。第4ペルチェ素子ユニット60Dの装着を解除する場合、人が本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに相対的に回転させることで、複数の突起153のそれぞれが第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。この場合、人は本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに一例として15度相対的に回転させている。
【0158】
次に、
図41を用いて、複数の突起153のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第2規制部67bを乗り越えて、2段階目でガイドレール66と突起153が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX8(例えば、約2mm)となる場合、その生地を本体部71の上面76と外側フランジ151とで挟み込んだ状態で、人が、本体部71の筒部75をリング締結具150の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起153は、それぞれの間隙77を進入していく。続いて、人が、本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具150のそれぞれの突起153は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部78に進入する。さらに、人が本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれは、筒部75の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部71とリング締結具150が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起153のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0159】
さらに、人が、本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部67bによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起153のそれぞれが複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越えるために、本体部71とリング締結具150が本体部71の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0160】
図41に示すように、2段階目で筒部75の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起153のそれぞれは、複数の第1規制部67aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX8(例えば、約2mm)となる生地を本体部71の上面76と外側フランジ151の表面154とで挟み込んだ状態で、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着することができる。第4ペルチェ素子ユニット60Dの装着を解除する場合、人が本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに相対的に回転させることで、複数の突起153のそれぞれが第1規制部67aと第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。この場合、人は本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに、一例として30度相対的に回転させている。
【0161】
次に、
図42を用いて、複数の突起153のそれぞれが、それぞれのガイドレール66の第3規制部67cを乗り越えて、3段階目でガイドレール66と突起153が係合する場合について説明する。温調ベスト1からなる生地の厚さがX9(例えば、約1mm)となる場合、その生地を本体部71の上面76と外側フランジ151とで挟み込んだ状態で、人が、本体部71の筒部75をリング締結具150の内側に進入させる。これにより、それぞれの突起153は、それぞれの間隙77を進入していく。続いて、人が、本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させると、リング締結具150のそれぞれの突起153は、ガイドレール66の一方端66aから取り付け溝部78に進入する。さらに、人が本体部71とリング締結具150とを筒部75の円周方向CRに相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれは、筒部75の円周方向CRに沿って、それぞれのガイドレール66の摺動面68上を摺動していく。本体部71とリング締結具150が本体部62の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転されていくと、複数の突起153のそれぞれが、摺動面68に配設されている複数の第1規制部67aのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第1規制部67aによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0162】
さらに、人が、本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第2規制部67bのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部67bによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。
【0163】
さらに、人が、本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに沿って、一例として15度相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれが摺動面68上を摺動していき、複数の第3規制部67cのそれぞれを乗り越える。乗り越えたそれぞれの第2規制部67bによって、それぞれの突起153の反円周方向ACRへの移動が規制される。複数の突起153のそれぞれが複数の第3規制部67cのそれぞれを乗り越えるために、本体部71とリング締結具150が本体部71の円周方向CRに沿って相対的に回転させる角度は、15度に限定されることはない。例えば、15度から20度のいずれかであることが好適である。
【0164】
図42に示すように、3段階目で筒部75の円周方向CRへの移動が停止した複数の突起153のそれぞれは、複数の第1規制部67aのそれぞれと面接触して係合することで固着する。この場合、温調ベスト1からなる生地の厚さがX9(例えば、約1mm)となる生地を本体部71の上面76と外側フランジ151の表面154とで挟み込んだ状態で、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着することができる。第4ペルチェ素子ユニット60Dの装着を解除する場合、人が本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに相対的に回転させることで、複数の突起153のそれぞれが第1規制部67a~第3規制部67cのそれぞれを乗り越える。これにより、ペルチェ素子ユニット60は、温調ベスト1から装着を解除できる。この場合、人は本体部71とリング締結具150を本体部71の反円周方向ACRに、一例として45度相対的に回転させている。
【0165】
複数の突起153のそれぞれが第3規制部67cを乗り越えた場合、人が本体部71とリング締結具150を筒部75の円周方向CRに相対的に回転させても、複数の突起153のそれぞれは、複数の第4規制部67dのそれぞれを乗り越えることができない。これにより、筒部75の円周方向CRへの本体部71とリング締結具150の相対的に回転によって、第4ペルチェ素子ユニット60Dが温調ベスト1から脱落してしまうことを防止することができる。
【0166】
第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニット60Dをベスト本体2に装着する場合、先ず複数(例えば、4)の突起153を構成する各々の突起が複数(例えば、4)の間隙70に対して本体部71の軸心線AXに沿う軸心方向Lに進入させる。これにより、第4ペルチェ素子ユニット60Dの上面76とリング締結具150は温調ベスト1の生地を挟む。続いて、本体部71とリング締結具150が相対的に回転されて、第4ペルチェ素子ユニット60Dの上面76とリング締結具150で温調ベスト1の生地を挟んだ状態で、複数の突起153のそれぞれは、乗り越えた規制部67によって移動動作が規制される。さらに、複数の突起153のそれぞれが複数の規制部54のそれぞれと係合することで、送風ユニット40は温調ベスト1に装着される。そのため、人は、温調ベスト1に第4ペルチェ素子ユニット60Dをワンタッチ操作でペルチェ素子ユニット60を温調ベスト1に装着できる。さらに、本体部71とリング締結具150とを相対的に回転させていくと、複数の突起153のそれぞれと係合する箇所を段階的に変更することができる。これにより、例えば、温調ベスト1の生地の厚みが約3mmであれば、複数の突起153が第1規制部67aと係合して、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着できる。例えば、温調ベスト1の生地の厚みが約2mmであれば、複数の突起153が第2規制部67bと係合して、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着できる。例えば、温調ベスト1の生地の厚みが約1mmであれば、複数の突起153が第3規制部67cと係合して、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着できる。そのため、どのような温調ベスト1の生地の厚みでも、その厚みに対応して、人は、第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1に装着することができる。したがって、第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニット60Dを温調ベスト1の生地に装着することが簡単となり、温調ベスト1の使い易さの向上を図ることができる。さらに、本体部71の上面76とリング締結具150で裏側服地3Bと素子取付部30を何度も挟み込んでも、裏側服地3Bと素子取付部30が塑性変形し難くすることができる。そのため、温調ベスト1に第4ペルチェ素子ユニット60Dを取り付けてもガタついたり、裏側服地3Bと素子取付部30が傷んでしまうことを防止することができる。
【0167】
<吸入口72aから吸入した空気の流れについて>
図43~
図44を用いて、吸入口72aから吸入した空気の流れの変化について説明する。
図43は、比較例の第4ペルチェ素子ユニットの内部における空気の流れを説明するための断面図である。
図44は、第3実施形態の第4ペルチェ素子ユニットの内部における空気の流れを説明するための断面図である。
【0168】
図43~
図44に示すように、比較例及び第3実施形態に係る冷却フィン65aは、冷却フィン65aと冷却フィン65aとの間に空気孔64aから流れ込んだ空気が通過可能となるように、一定の間隔を空けている。
図43~
図44に示すように、比較例及び第3実施形態に係る冷却フィン65aは、縦列12個と横列6個となるように整列して配設されている。これにより、冷却フィン65aと冷却フィン65aとの間に流れ込んだ冷却空気が、冷却フィン65aと接触し易くなるため、ペルチェ素子PEの熱を効率良く交換することができる。
【0169】
図43~
図44に示すように、比較例及び第3実施形態に係る本体部71内における熱交換面65の直上に送風装置100が設けられている。吸入口72aから吸入された空気の一部は、排熱ファン101の回転方向KRへの回転によって発生された風によって、本体部71内の空気を回転方向KRと同じ方向に巻き上げられて、放出部75bから放出される。
【0170】
図43~
図44に示すように、比較例及び第3実施形態に係る本体部71内には、第4ペルチェ素子ユニット60Dの側面部72と熱交換面65との間に内部空間NBが存在する。比較例における本体部71内の内部空間NB、すなわち熱交換面65の周辺には、吸入口72aから吸入された空気を熱交換面65へと導くための導流部74が設けられていない。一方で、第3実施形態に係る本体部71内の内部空間NB、すなわち熱交換面65の周辺には、吸入口72aから吸入された空気を熱交換面65へと導くための導流部74が設けられている。
【0171】
先ず、
図43を用いて吸入口72aから吸入した空気の流れの変化について説明する。
図43に示すように、比較例の第4ペルチェ素子ユニット60Dでは、吸入口72aから吸入された空気ARの一部(AR8、AR12、AR13)は、冷却フィン65aに接触して熱交換される。熱交換された空気AR(AR8、AR12、AR13)のうち、空気AR8は、排熱ファン101の回転方向KRへの回転によって発生された風によって、本体部71内の空気を回転方向KRと同じ方向に巻き上げられて、放出部75bから放出される。一方で、熱交換された空気AR12と空気AR13は、そのまま内部空間NBで滞留した状態となる。これにより、吸入口72aから新たに吸入された空気ARの移動の邪魔となり、放出部75bからの空気の放出効率が悪くなってしまう。
【0172】
図43に示すように、吸入口72aから吸入された空気ARの一部(AR9、AR10、AR11、AR14)は、熱交換面65に向けて移動もせず、内部空間NBで滞留した状態となる。これにより、吸入口72aから吸入された空気ARの一部は、熱交換面65に向かわずに、本体部71内に滞留してしまい、放出部75bからの空気の放出効率が悪くなってしまう。
【0173】
次に、導流部74について説明する。第3実施形態に係る第4ペルチェ素子ユニット60Dでは、第4ペルチェ素子ユニット60Dの側面部72と熱交換面65との間に内部空間NBを利用して、その内部空間NBに30の導流部74が設けられている。
図44に示すように、導流部74は、送風装置100の軸心線AXを中心にして、放射線状に設けられている。導流部74は、熱交換面65に向かって、排熱ファン101の回転方向KRと同じ方向に湾曲している円弧状に形成されている。これにより、
図44に示すように、吸入口72aから吸入された空気ARの一部(AR15~AR21)が、導流部74に接触することで、排熱ファン101の回転方向KRと同じ方向に流れるように変更させる。すなわち、導流部74は、吸入口72aから吸入された空気ARの一部(AR15~AR21)を導流部74に接触させることで、排熱ファン101の回転方向KRと同じ方向に流れるように変化させる機能を有している。さらに、内部空間NBに導流部74を設けることによって、吸入口72aから吸入された空気ARに対する吸入抵抗が低減されるため、吸入口72aから本体部71内に効率良く冷却空気を取り込むことができる。
【0174】
次に、
図44を用いて、吸入口72aから吸入した空気の流れの変化について説明する。
図44に示すように、吸入口72aから吸入された空気ARの一部(AR15~AR21)が導流部74に接触されて、排熱ファン101の回転方向KRと同じ方向に流れる。続いて、その空気ARの一部は、冷却フィン65aに接触して熱交換される。そして、熱交換された空気は、排熱ファン101の回転方向KRに巻き上げられて、放出部75bから放出される。第3実施形態に係る本体部71内に導流部74を配設されている場合のほうが、比較例の本体部71内に導流部74を配設されていない場合よりも、吸入口72aから吸入された空気を放出部75bから放出する割合を10%程度増加させることができる。
【0175】
次に、本実施形態に係る温調ベスト1の作用・効果について説明する。
【0176】
第1実施形態及び第2実施形態に係る温度調整ユニット(ペルチェ素子PE、ファン42)により、着用者HMの身体の温度を調整可能な身体温度調整装置(送風ユニット40、ペルチェ素子ユニット60)を、温調ベスト1をなす生地(ファン外周縁部21、素子外周縁部31)に形成された挿入孔(ファン挿入孔22、素子挿入孔32)に着脱自在で装着可能な温調ベスト1では、身体温度調整装置に、空気を取り込む空気孔(空気孔46a、空気孔64a)が形成された取込部(内側ケース部45、空気円筒部64)を有する本体部(本体部41、本体部62)と、その本体部の外周面において外側に張り出したフランジ(フランジ47、内側フランジ63)と、本体部の外周面において、一方端(一方端50a、一方端66a)と他方端(他方端50b、他方端66b)との間を、本体部の外周面に沿って円弧状に延設された複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)と、ガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)と連結可能な複数の突起(突起113、突起122)を有する環状の固着部材(押圧部材110、リング締結具120)とを備え、複数のガイドレールのそれぞれには、突起の移動動作を規制する複数の規制部(規制部54(第1規制部54a、第2規制部54b、第3規制部54c、第4規制部54d)、規制部67(第1規制部67a、第2規制部67b、第3規制部67c、第4規制部67d))が、一方端と他方端とを繋ぐ摺動面(摺動面53、摺動面68)に、断続的に設けられ、複数の規制部には、第1規制部(第1規制部54a、第1規制部67a)と、第1規制部よりも他方端側に設けられた第2規制部(第2規制部54b、第2規制部67b)とがあり、複数のガイドレールの間に本体部の軸心線AXに沿う軸心方向Lに延設された複数の間隙(間隙51、間隙70)を設け、身体温度調整装置の生地への装着は、複数の突起を構成する各々の突起を複数の間隙を構成する各々の間隙に対して本体部の軸心線AXに沿う軸心方向Lに進入させて、フランジと固着部材とを相対的に回転させて、フランジと固着部材で生地を挟み込んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第1規制部、または第2規制部に係合することで行われる。
【0177】
この態様によれば、身体温度調整装置(送風ユニット40、ペルチェ素子ユニット60)の装着は、複数の突起(突起113、突起122)のそれぞれが複数の間隙(間隙51、間隙70)に対して本体部(本体部41、本体部62)の軸心方向Lに進入させる。これにより、フランジ(フランジ47、内側フランジ63)と固着部材(押圧部材110、リング締結具120)は温調ベスト1の生地を挟む。続いて、本体部と固着部材とが相対的に回転されて、複数の突起のそれぞれは、第1規制部(第1規制部54a、第1規制部67a)、または第2規制部(第2規制部54b、第2規制部67b)を乗り越えると、移動動作が規制されるとともに係合される。そのため、人は、身体温度調整装置を温調ベスト1をなす生地(ファン取付部20、素子取付部30)に節度感のあるワンタッチ操作で装着することができる。さらに、固着部材の締め付け不良や緩みが生じないため、身体温度調整装置が温調ベスト1から脱落したり、固着部材だけが紛失してしまうこと回避することができる。したがって、身体温度調整装置を温調ベスト1をなす生地への装着を簡単にするとともに、温調ベスト1の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した温調ベスト1を提供することができる。
【0178】
また、第1実施形態及び第2実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)はそれぞれ、一方端(一方端50a、一方端66a)と他方端(他方端50b、他方端66b)との間で、本体部(本体部41、本体部62)の軸心線AXに沿う軸心方向Lに、一例である傾斜角度θとして3°を付すことで、高低差△Hを付けた傾斜態様で形成されている。
【0179】
特許文献1のような技術では、空調被服用送風ユニットの本体と押圧部材との間に空調被服をなす生地の厚さによっては、本体側と押圧部材側を螺合してしっかり固着することができずに、身体温度調整装置が身体温度調整被服から脱落してしまう。特許文献1のような技術では、フランジと押圧部材とで何度も螺合して固着することで、服地の開口周辺の生地が塑性変形して生地が傷んでしまう。この態様によれば、生地の厚みが約3mmの場合、フランジ(フランジ47、内側フランジ63)と固着部材(押圧部材110、リング締結具120)で生地を挟んだ状態で、複数の突起のそれぞれが第1規制部(第1規制部54a、第1規制部67a)に係合する。一方で、被服をなす生地に厚みが約2mmである場合には、フランジと固着部材でその生地を挟んだ状態で、複数の突起を構成する各々の突起が第2規制部(第2規制部54b、第2規制部67b)に係合させる。これにより、どのような被服をなす生地の厚さに対応しても身体温度調整装置が温調ベスト1から脱落しないように、フランジと固着部材で生地をしっかりと挟み込んだ状態で装着できる。さらに、フランジと固着部材で生地を挟んだ状態で複数の突起のそれぞれが第1規制部、または第2規制部に係合しても、挿入孔(ファン挿入孔22、素子挿入孔32)周辺の生地が塑性変形になり難い。これにより、身体温度調整装置がガタついたり、挿入孔周辺の生地が傷むことを防止することができる。
【0180】
また、第1実施形態及び第2実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、摺動面(摺動面53、摺動面68)の傾斜角度θは、本体部(本体部41、本体部62)の軸心線AXに沿う軸心方向Lと平行な面に対して、取込部(外側ケース部46、空気円筒部64)側に一例として3°の傾斜角度θを有する。
【0181】
この態様によれば、本体部(本体部41、本体部62)と固着部材(押圧部材110、リング締結具120)の相対的に回転により、複数の突起(突起113、突起122)のそれぞれが、3°の傾斜角度を有する摺動面(摺動面53、摺動面68)上を摺動する。これにより、挟み込んだ生地によって、空気孔(空気孔46a、空気孔64a)からの空気の取り込みの妨害とはならず、複数の突起の各々の摺動面を摺動して挿入孔(ファン挿入孔22、素子挿入孔32)周辺の生地が傷んでしまうことを防止することができる。
【0182】
第1実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、温度調整ユニットは、ペルチェ素子PEであり、身体温度調整装置は、冷却面61Aと冷却面61Aの反対側になる熱交換面65とを有し、通電下のペルチェ素子PEにより、吸熱下となった冷却面61Aに呈する冷熱を身体に伝熱可能に構成された。
【0183】
この態様によれば、温調ベスト1を着用している場合に、通電下のペルチェ素子PEによって吸熱下となった冷却面61Aが着用者HMの身体表面BSに、直接または肌着等を介して間接的に当接させる。これにより、例えば、特に暑さを感じている部位や、スポット的に蒸れた部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く冷やすことができる。
【0184】
第1実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、空気孔64aから取り込んだ空気を放出させる放出部62bを備え、熱交換面65は、複数の冷却フィン65aを有し、空気円筒部64は、空気孔64aが円周に形成されており、冷却面61Aと空気円筒部64が温調ベスト1の身体側に取り付けられ、内側フランジ63は、冷却面61Aと平行な面に対して、放出部62b側に15度以上30度以下の傾斜面を有する。
【0185】
この態様によれば、ペルチェ素子ユニット60の熱交換面65が有する複数の冷却フィン65aを空気円筒部64の空気孔64aから取り込まれた空気によって冷却させる。冷却面61Aと平行な面に対して、放出部62b側に15度以上30度以下の表面63aを有する内側フランジ63により、空気孔64aから取り込まれた空気は複数の冷却フィン65aの根元に導かれる。すなわち、冷却フィン65aにより、熱交換を行うための面積が格段に増加させることができ、さらに、内側フランジ63に15度以上30度以下の表面63aを有することにより、冷却のために空気孔64aに流入してくる空気の一部が内側フランジ63に当たり、下向きの流れとなる。これにより、内側フランジ63より下側で流入する空気の流れは、冷却フィンの根元側に変化される。そのため、冷却空気全体が冷却フィン65aを平面的に見たときに、冷却フィンの中央部まで届くため、冷却効率を、フランジが平行の場合と比較して、10%程度高めることができる。冷却効率を10%程度高めることにより、例えば、放出部62bからモータを駆動させて排熱ファン101を回転させて空気を排出させる構成であれば、モータの消費電力を10%程度減少させることができる。さらに、温度調節装置の有効冷時間を例えば、120分から132分に延ばすことができる。したがって、ペルチェ素子ユニット60の消費電力を抑えつつ、ペルチェ素子ユニット60の冷却効率を高めて、猛暑下の屋外で働く作業者等が熱中症となるリスクを回避することができる。
【0186】
第2実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、温度調整ユニットは、ファン42であり、送風ユニット40は、ファン42の回転により、外気よりも低温状態下にある冷風、または外気よりも高温状態下にある温風のいずれかの風を、着用者HMの身体に送風可能に構成された。
【0187】
この態様によれば、例えば、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人に冷風(風)を供給して、熱中症の発現を防止することができる。その反対に、例えば、懐炉や簡易的なヒータ等、熱源と共に用いれば、送風ユニット40に供給された外気を、熱源に向けて送風し、熱源で加熱された状態の温風(風)を身体に送風することで、冷えた身体を温めることができる。
【0188】
第1実施形態~第3実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造をなす身体温度調整装置を、着脱可能に装着してなる温調ベスト1である。
【0189】
この態様によれば、第1実施形態~第3実施形態に係る身体温度調整装置(送風ユニット40、ペルチェ素子ユニット60)の被服取付構造を採用した温調ベスト1の生地の挿入孔(ファン挿入孔22や素子挿入孔32)に挿入して簡単に装着できる。さらに、どんな生地の厚さにも対応して身体温度調整装置を装着できる使い勝手の良い温調ベスト1を着用者に提供できる。
【0190】
以上において、本開示を実施形態に即して説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0191】
上記実施形態では、突起(突起113、突起122、突起153)の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、突起(突起113、突起122、突起153)の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。ただし、突起(突起113、突起122、突起153)の数は、ガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数と同じであることが好ましい。なぜなら、突起(突起113、突起122、突起153)の数とガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数とが異なってしまうと、身体温度調整装置(送風ユニット40、ペルチェ素子ユニット60)が温調ベスト1に装着し難くなるからである。
【0192】
上記実施形態では、ガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、ガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。ただし、ガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数は、突起(突起113、突起122、突起153)の数と同じであることが好ましい。なぜなら、突起(突起113、突起122、突起153)の数とガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)の数とが異なってしまうと、身体温度調整装置(送風ユニット40、ペルチェ素子ユニット60)が温調ベスト1に装着し難くなるからである。
【0193】
上記実施形態における複数の摺動面(摺動面53、摺動面68)のそれぞれに設けられている規制部(規制部54、規制部67)の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数の摺動面(摺動面53、摺動面68)のそれぞれに設けられている規制部(規制部54、規制部67)の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。
【0194】
上記実施形態における間隙(間隙51、間隙70、間隙77)の数は、4であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、間隙(間隙51、間隙70、間隙77)の数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。
【0195】
上記実施形態では、複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)を平面上に展開した場合、一方端(一方端50a、一方端66a)と他方端(他方端50b、他方端66b)との間におけるそれぞれのガイドレールの傾斜角度θは、3°であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数のガイドレールの全ては、摺動面(摺動面53、摺動面68)における一方端と他方端との間である傾斜角度θは、3°未満であっても良いし、3°を超えても良い。ただし、傾斜角度θが1°未満になると、ガイドレールの一方端と他方端との高低差がなくなるため、様々な生地の厚さに対応できず、好ましくない。一方で、傾斜角度θが10度以上になると、温調ベスト1の生地を挟み込んで温調ベスト1に装着することが困難となってしまうため、好ましくない。
【0196】
上記実施形態では、複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)を平面上に展開した場合、一方端(一方端50a、一方端66a)と他方端(他方端50b、他方端66b)との間で一直線であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)を平面上に展開した場合、一方端から第1規制部(第1規制部54a、第1規制部67a)までのガイドレールの傾斜角度θは、例えば5°にしても良い。この場合、例えば、複数のガイドレールを平面上に展開した場合、第1規制部から第2規制部(第2規制部54b、第2規制部67b)までのガイドレールの傾斜角度θは、2°にしても良い。さらに、例えば、複数のガイドレールを平面上に展開した場合、第2規制部から第3規制部(第3規制部54c、第3規制部67c)までのガイドレールの傾斜角度θは、1°にしても良い。これにより、複数のガイドレールを平面上に展開した場合、一方端と他方端との間で放物線を描く構成となる。そのため、複数の突起が一方端から第1規制部に到達するよりも、複数の突起が第1規制部から第3規制部に到達するほうが、複数の突起のそれぞれの移動量を少なくすることができる。
【0197】
上記実施形態では、取込部(外側ケース部46、空気円筒部64)側に3°を有する摺動面(摺動面53、摺動面68)上に、規制部(規制部54、規制部67)が設けられていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、複数のガイドレール(ガイドレール50、ガイドレール66)は、本体部(本体部41、本体部62)の外周面に沿って円弧状であって、且つ階段状に延設されても良い。
【0198】
上記実施形態では、ベスト本体2に装着する送風ユニット40の数は、2以上の場合であっても良く、実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。また、ベスト本体2に装着するペルチェ素子ユニット60は、2以下であっても良いし、4以上であっても良く、実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【0199】
上記実施形態では、内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θと、外側フランジ121の表面121a及び裏面121bの傾斜角度θは、20°であった。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態における内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θは、15°以上30°以下であれば、適宜変更可能である。外側フランジ121の表面121a及び裏面121bの傾斜角度θは、15°以上30°以下であれば、適宜変更可能である。なお、内側フランジ63の傾斜角度θが15°未満であると、内側フランジ63によって空気孔64aに流入される空気の流れを冷却フィン65aの根元に向かうように変化させ難くなってしまうため、好ましくない。一方で、内側フランジ63の傾斜角度θと外側フランジ121の傾斜角度θが30°を超えると、素子取付部30の素子外周縁部31が、内側フランジ63及び外側フランジ121の径外側にある端部付近で、過度に屈曲しまう。これにより、素子外周縁部31の破損等の原因にもなるため、好ましくない。
【0200】
上記実施形態では、内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θと、外側フランジ121の表面121a及び裏面121bの傾斜角度θは、20°であった。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、内側フランジ63の表面63a及び裏面63bの傾斜角度θよりも外側フランジ121の表面121a及び裏面121bの傾斜角度θの方が大きい構成であっても良い。この構成により、素子取付部30にペルチェ素子ユニット60を装着している場合、内側フランジ63の表面63aの一部は、素子取付部30に接触(例えば、線接触、点接触)することになる。そのため、素子取付部30と内側フランジ63の表面63aの接触面積が、上記実施形態よりも小さくなるため、接触面の面圧が大きくなる。そのため、内側フランジ63の表面63a及び外側フランジ121の表面121aが素子取付部30に面接触している場合よりも、素子取付部30からペルチェ素子ユニット60が外れてしまうことをより防止することができる。
【0201】
上記実施形態では、携帯用バッテリー84から出力された5Vに基づいて駆動部33がモータを駆動させてプロペラ型のファン42を回転させていた。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、5Vを超える電圧を供給可能なバッテリーを備え、そのバッテリーから出力された電圧に基づいて駆動部33がモータを駆動させて回転させても良い。
【0202】
上記実施形態では、温調ベスト1に送風ユニット40が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、温調ベスト1に送風ユニット40が設けられていない構成であっても良いし、適宜変更可能である。
【0203】
また、上記実施形態では、ペルチェ素子において、吸熱下の冷却面の温度は、一例として挙げた十℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、零℃より高く、十℃近傍までの温度域であっても良く、ペルチェ素子での吸熱特性は、適宜変更可能である。同様に、発熱下の加熱面の温度は、一例として挙げた三十数℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、体温より少し高く、火傷をしない四十℃前後の温度であっても良く、ペルチェ素子での発熱特性は、適宜変更可能である。
【0204】
上記実施形態では、素子取付部30を服地3の裏側服地3Bに全3箇所設けたベスト本体2を挙げた。しかしながら、これに限定されるものではない。服地に設ける素子取付部の数、配置位置、並び方は、本開示に係る身体温度調整被服(製品)の用途、着用者の体格等、製品の仕様に応じて、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
以上の説明から明らかなように、本開示に係る身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服によれば、身体温度調整装置を被服をなす生地への装着を簡単にするとともに、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0206】
1 温調ベスト(身体温度調整被服)
22 ファン挿入孔(挿入孔)
32 素子挿入孔(挿入孔)
40 送風ユニット(身体温度調整装置)
41 本体部
42 ファン(温度調整ユニット)
46 外側ケース部(取込部)
46a 空気孔(空気孔)
47 フランジ(フランジ)
50 ガイドレール
50a 一方端(一方端)
50b 他方端(一方端)
51 間隙(間隙)
54 規制部(規制部)
54a 第1規制部(第1規制部)
54b 第2規制部(第2規制部)
56 熱交換面(熱交換面)
56a 冷却フィン(冷却フィン)
60 ペルチェ素子ユニット(身体温度調整装置)
60A 第1ペルチェ素子ユニット
60B 第2ペルチェ素子ユニット
60C 第3ペルチェ素子ユニット
60D 第4ペルチェ素子ユニット
61 放熱面
61A 冷却面(冷却面)
61B 加熱面
62 本体部
62b 放出部(放出部)
63 内側フランジ(フランジ)
64 空気円筒部(取込部)
64a 空気孔(空気孔)
65 熱交換面
65a 冷却フィン
66 ガイドレール
66a 一方端
66b 他方端
67 規制部
67a 第1規制部
67b 第2規制部
68 摺動面(摺動面)
70 間隙(間隙)
110 押圧部材(固着部材)
113 突起(突起)
120 リング締結部(固着部材)
121 外側フランジ
122 突起(突起)
AX 軸心
HM 着用者
BS 身体表面
PE ペルチェ素子(温度調整ユニット)
【要約】
身体温度調整装置を被服をなす生地への装着を簡単にするとともに、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服を提供することを課題とし、身体温度調整装置の被服取付構造は、複数の突起(122)を有するリング締結具120を備え、複数の突起(122)を構成する各々の突起を複数の間隙(70)を構成する各々の間隙に対して、本体部(62)の軸心方向Lに進入させて、内側フランジ(63)とリング締結具(120)とを相対的に回転させて、内側フランジ(63)とリング締結具(120)で生地を挟んだ状態で、複数の突起(122)を構成する各々の突起が第1規制部(67a)、または第1規制部(67a)よりも他方端66b側に設けられた第2規制部(67b)に係合することで身体温度調整装置の生地への装着を行う。