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特許7464333電池ケース成形装置及びこれを用いた電池ケース製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電池ケース成形装置及びこれを用いた電池ケース製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/28 20060101AFI20240402BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20240402BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B29C51/28
B29C51/08
B29C51/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022560926
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2021014929
(87)【国際公開番号】W WO2022086278
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0137864
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ハン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ジェオン オ
(72)【発明者】
【氏名】チ、ホ ジュン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-050326(JP,A)
【文献】特開2006-172879(JP,A)
【文献】特開昭56-157312(JP,A)
【文献】特開昭62-273824(JP,A)
【文献】特開平05-024104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートシートを加圧して電池ケースを成形するパンチ;
前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;
前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;及び
前記パンチが前記ラミネートシートと直接接触することを防止するために前記パンチの下部に位置する弾性分離膜;
を含み、
前記弾性分離膜は、前記ホルダーの側面のうち下部に固定されている、電池ケース成形装置。
【請求項2】
前記パンチが前記電池ケースを成形する前に、前記パンチの下面は前記弾性分離膜の上面と平行である、請求項に記載の電池ケース成形装置。
【請求項3】
前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤が付加されている、請求項1に記載の電池ケース成形装置。
【請求項4】
前記パンチの下面の少なくとも一部には溝が形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池ケース成形装置。
【請求項5】
前記ダイの収容部の下部にはパッドが配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池ケース成形装置。
【請求項6】
前記パッドは、弾性のある材質であり、中心部が膨らんで突出している、請求項に記載の電池ケース成形装置。
【請求項7】
前記パッドは、前記パンチの加圧によって突出した中心部が圧縮されてパッド全般の厚さが均一になる、請求項6に記載の電池ケース成形装置。
【請求項8】
前記弾性分離膜は水密性弾性分離膜である、請求項1に記載の電池ケース成形装置。
【請求項9】
ラミネートシートを加圧して電池ケースを成形するパンチ;
前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;
前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;及び
前記パンチが前記ラミネートシートと直接接触することを防止するために前記パンチの下部に位置する弾性分離膜;
を含み、
前記弾性分離膜は、前記ホルダーに固定され、
前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤が付加されている、電池ケース成形装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池ケース成形装置を用いる電池ケースの成形方法であって、
(a)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階;
(b)弾性分離膜が付着しているホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階;及び
(c)パンチを用いて前記弾性分離膜と前記ラミネートシートを加圧する段階;
を含む電池ケースの成形方法。
【請求項11】
前記(b)段階と前記(c)段階との間に、前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤を付加する段階をさらに含む、請求項10に記載の電池ケースの成形方法。
【請求項12】
請求項1から9に記載の電池ケース成形装置を用いる電池ケースの成形方法であって、
(a)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階;
(b)弾性分離膜が付着しているホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階;及び
(c)パンチを用いて前記弾性分離膜と前記ラミネートシートを加圧する段階;
を含み、
前記(b)段階と前記(c)段階との間に、前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤を付加する段階をさらに含む、電池ケースの成形方法。
【請求項13】
前記(c)段階は、前記ダイの収容部の下部に配置されたパッドが圧縮されて平坦になるまで加圧する、請求項11または12に記載の電池ケースの成形方法。
【請求項14】
前記パッドが圧縮し始まると、前記液体潤滑剤は前記パンチの下面の縁部に移動する、請求項13に記載の電池ケースの成形方法。
【請求項15】
前記(c)段階の加圧によって前記ラミネートシートが延伸される領域は、電極組立体収納部の側面及び前記電極組立体収納部の底の外周部となる部分である、請求項10に記載の電池ケースの成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、2020年10月22日付韓国特許出願第2020-0137864号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本願発明は、電池ケース成形装置及びこれを用いた電池ケース製造方法に関する。具体的には、パウチ形電池用電池ケースを成形するためのパンチを含む電池ケース成形装置であって、前記パンチで前記電池ケースとして用いられるラミネートシートを加圧する時に前記ラミネートシートの表面損傷を最小化できるように弾性分離膜を含む電池ケース成形装置、及びこれを用いた電池ケース製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器と電気自動車などのエネルギー源として二次電池の需要が急増している。特に、高いエネルギー密度と高い放電電圧を有するリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0004】
リチウム二次電池は、形状及び素材によって、金属素材からなる円筒形二次電池又は角形二次電池と、ラミネートシートからなるパウチ形二次電池などに区別できる。前記パウチ形二次電池は、高い集積度で積層されて重量当たりにエネルギー密度が高く、製造コストが低く、形態変形させやすいという長所から、様々なデバイスに用いられている。
【0005】
パウチ形二次電池は、外部被覆層、金属遮断層、及び内部接着層を含むラミネートシートを電池ケースとして使用し、前記ラミネートシートに形成された収納部に電極組立体と電解液が共に内蔵される。
【0006】
パウチ形二次電池に電極組立体収納部を成形するために、ラミネートシートをダイ上に配置し、グリッパーで固定させた状態で、パンチで前記ラミネートシートを加圧するディープドローイング(deep-drawing)方式を用いる。しかし、前記ラミネートシートが有する延性(ductility)の限界及びパンチとラミネートシートとの摩擦力によって、前記ディープドローイング過程でラミネートシートの外面上にピン-ホール(pin-hole)又はクラック(crack)などの外形上欠陥が発生する。
【0007】
このような外形上欠陥を防止するために、ラミネートシートと接触するパンチ表面の粗度を極端に下げても、反復したパンチング過程による摩擦によってラミネートシートの外形上欠陥が発生することは防止し難い。特に、ラミネートシート、具体的には、金属遮断層の厚さが薄い場合には、ラミネートシートの成形性が減少してピン-ホールやクラックがより発生し易い。このような理由で、電極組立体収納部の深さを深く成形することが難しく、高容量のリチウム二次電池を製造し難くなるという問題がある。
【0008】
特許文献1は、耐熱性樹脂フィルムを含む外層と、金属箔層及び潤滑剤が添加された熱可塑性樹脂フィルムを含む内層とで構成され、前記外層と内層との間に前記潤滑剤が付着している電池用外装材を開示している。
【0009】
特許文献1は、外層と内層との間に潤滑剤が付着しているので、第2金型に対する外層のスライド性と第1金型に対する内層のスライド性が高くなって、電池用外装材の外周部の曲げの発生を抑制することができる。
【0010】
特許文献2は、外側層としての基材層と、内側層としての熱融着性樹脂層と、それら両層の間に配置された金属箔層とを含む成形用包装材であり、前記熱融着性樹脂層は、単層又は複数層からなり、前記熱融着性樹脂層の最内層が、熱融着性樹脂、アンチブロッキング剤、スリップ剤及びフッ素ポリマー系潤滑剤を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする成形用包装材を開示している。
【0011】
特許文献2は、包装材の成形時に前記熱融着性樹脂層の最内層の表面と成形金型の表面とのすべり性が向上し、成形性が向上し得る。
【0012】
特許文献1及び特許文献2は、ドローイング過程で電池用外装材が延伸されながら欠陥が発生する問題点を認識できずにいるだけでなく、これを解決するための方法も提示できずにいる。
【0013】
このように、ラミネートシートを成形する過程で前記ラミネートシートの外形が損傷することを防止でき、成形性を向上させることができる技術に対する必要性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特許第5959205号公報
【文献】韓国公開特許第2020-0027987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、ラミネートシートを加圧して電池ケースを成形するパンチと前記ラミネートシートとの接触による摩擦力を減少させてラミネートシートが損傷することを防止できる電池ケース成形装置及びこれを用いた電池ケースの成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本願発明に係る電池ケース成形装置は、ラミネートシートを加圧して電池ケースを成形するパンチ、前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ、前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー、及び前記パンチが前記ラミネートシートと直接接触することを防止するために前記パンチの下部に位置する弾性分離膜を含むことができる。
【0017】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記弾性分離膜は、前記ホルダーに固定されていてよい。
【0018】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記弾性分離膜は、前記ホルダーの側面のうち下部に固定されている形態であってよい。
【0019】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記パンチが前記電池ケースを成形する前に、前記パンチの下面は前記弾性分離膜の上面と平行であってよい。
【0020】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤が付加されてよい。
【0021】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記パンチの下面の少なくとも一部には溝が形成されていてよい。
【0022】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記ダイの収容部の下部にはパッドが配置されていてよい。
【0023】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記パッドは、弾性のある材質であり、中心部が膨らんで突出した形態であってよい。
【0024】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記パッドは、前記パンチの加圧によって突出した中心部が圧縮されてパッド全般の厚さが均一になってよい。
【0025】
本願発明に係る電池ケース成形装置において、前記弾性分離膜は、水密性弾性分離膜であってよい。
【0026】
本願発明は、前記電池ケース成形装置を用いる電池ケースの成形方法を提供する。
【0027】
具体的には、前記電池ケースの成形方法は、(a)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階、(b)弾性分離膜が付着しているホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階、及び(c)パンチを用いて前記弾性分離膜と前記ラミネートシートを加圧する段階を含むことができる。
【0028】
本願発明に係る電池ケースの成形方法において、前記(b)段階と前記(c)段階との間に、前記弾性分離膜及び前記ホルダーによって形成された空間内に液体潤滑剤を付加する段階をさらに含むことができる。
【0029】
本願発明に係る電池ケースの成形方法において、前記(c)段階は、前記ダイの収容部の下部に配置されたパッドが圧縮されて平坦になるまで加圧してよい。
【0030】
本願発明に係る電池ケースの成形方法において、前記パッドが圧縮し始まると、前記液体潤滑剤は、前記パンチの下面の縁部に移動してよい。
【0031】
本願発明に係る電池ケースの成形方法において、前記(c)段階の加圧によって前記ラミネートシートが延伸される領域は、電極組立体収納部の側面及び前記電極組立体収納部の底の外周部となる部分であってよい。
【0032】
本願発明は、また、前記電池ケース成形装置を用いて製造された電池ケースを提供し、前記電池ケースにおいて、最も厚さの薄い部分の厚さは、最も厚さの厚い部分の70%以上であってよい。
【発明の効果】
【0033】
以上に説明したように、本願発明は、ラミネートシートとパンチとの間に弾性分離膜を介在した状態で電極組立体収納部を成形するので、前記パンチが前記ラミネートシートに直接当たることを防止し、前記パンチの表面と前記ラミネートシートの表面で発生するスティックスリップ(stick-slip)効果を最小化することができる。
【0034】
また、液体潤滑剤を付加することによって前記パンチと前記ラミネートシート間の摩擦力を減らすことができる。
【0035】
また、前記液体潤滑剤及び前記弾性分離膜の付加によって、ラミネートシートの延伸領域を拡張でき、よって、前記ラミネートシートが局部的に過度に延伸されて薄くなることを防止することができる。
【0036】
このように、製造過程における摩擦力を減らし、電池ケースにおいて電極組立体収納部の側壁の厚さが局部的に過度に薄くなることを防止することによって、電池ケースにピンホール又はクラックが発生することを防止できる。
【0037】
また、同一厚さのラミネートシートを使用しても、本願発明に係る電池ケース成形装置及び成形方法によれば、電極組立体収納部の深さをより深く形成できるので、電池セルの容量増大及びエネルギー密度の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本願発明の第1実施例に係る電池ケース成形装置の断面図である。
図2】本願発明の第1実施例に係る電池ケース成形装置の分解斜視図である。
図3】本願発明の第2実施例に係る電池ケース成形装置の断面図である。
図4】本願発明の第3実施例に係る電池ケース成形装置の断面図である。
図5】本願発明の第3実施例に係る電池ケース成形装置の分解斜視図である。
図6】本願発明に係る電池ケース成形装置で製造した電池ケースの垂直断面図である。
図7】本願発明に係るパンチの中心部を示す垂直断面図である。
図8】本願発明に係る電池ケース製造過程を順次に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本願発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本願発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するとき、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本願発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0040】
なお、図面中、類似の機能及び作用をする部分に対しては同一の図面符号を使用する。明細書全体を通じて、ある部分が他の部分と連結されているとしているとき、これは、直接に連結されている場合の他に、それらの間にさらに他の素子を介在して間接に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むということは、別に断らない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含んてもよいことを意味する。
【0041】
また、構成要素を限定又は付加して具体化する説明は、特に制限がない限り、いかなる発明に適用されてもよく、特定の発明に関する説明に限定されない。
【0042】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、特に言及されない限り、複数である場合も含む。
【0043】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、特に言及されない限り、「及び」も含むものである。したがって、「A又はBを含む」とは、Aを含む、Bを含む、A及びBを含む、3つのいずれの場合をも意味する。
【0044】
以下、本願発明を、図面を参照して詳細な実施例のように説明する。
【0045】
図1は、本願発明の第1実施例に係る電池ケース成形装置の断面図であり、図2は、本願発明の第1実施例に係る電池ケース成形装置の分解斜視図である。
【0046】
図1及び図2を参照すると、電池ケース成形装置100は、ラミネートシート101を加圧して電池ケースを成形するパンチ110、パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部121が形成されたダイ120、ラミネートシート101の外周辺を固定するためのホルダー130、及びパンチ110がラミネートシート101と直接接触することを防止するためにパンチ110の下部に位置する弾性分離膜140を含む。
【0047】
ラミネートシートを用いてパウチ形電池ケースを製造するために、電極組立体収納部と対応する大きさの収容部121が形成されたダイ120の上部に、ラミネートシート101を配置し、ラミネートシート101の外周辺をホルダー130を用いてダイに固定した状態で、パンチ110でラミネートシート101を加圧して電極組立体収納部を成形できる。
【0048】
この時、ラミネートシートとパンチが直接接触することを防止するために、前記ラミネートシートとパンチとの間に弾性分離膜140が配置される。
【0049】
ラミネートシートとパンチが直接接触する場合には、それらの表面間の摩擦によって滑りが起きにくい。そのため、ラミネートシートが延伸される領域が狭くなって局部領域でのみ延伸が起きる。具体的には、電池ケースとして成形されたとき、電極組立体収納部の側壁となる部分で主に延伸が起き、該部分の厚さが薄すぎになって電池ケースが損傷しやすくなる問題がある。
【0050】
このように、ラミネートシートの表面とパンチの表面でスティックスリップ(stick-slip)現象が起きやすいため、局部的に過度に延伸される可能性が高く、電池ケースの成形不良率が増加し得る。
【0051】
本願発明は、ラミネートシート101とパンチ110との間に弾性分離膜140を配置した状態でパンチでラミネーションシートを加圧するので、ラミネーションシートの表面とパンチの表面とが直接接触しない。したがって、前記パンチの表面が滑らかでないか、又は前記パンチと前記ラミネーションシートとの間に異物が入り込んで前記ラミネーションシートにスクラッチができる従来の問題を防止することができる。
【0052】
パンチ110のx軸方向幅w1はダイのx軸方向間隔w2よりも小さく、ダイのx軸方向間隔w2はホルダーのx軸方向間隔w3よりも小さい形態であってよい。
【0053】
したがって、パンチがホルダーを通過してダイに進入することが容易になされ得る。
【0054】
図3は、本願発明の第2実施例に係る電池ケース成形装置の断面図である。
【0055】
図3を参照すると、電池ケース成形装置200は、ラミネートシート201を加圧して電池ケースを成形するパンチ210、パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部221が形成されたダイ220、ラミネートシート201の外周辺を固定するためのホルダー230、及びパンチ210がラミネートシート201と直接接触することを防止するためにパンチ210の下部に位置する弾性分離膜240を含む。弾性分離膜240は、ホルダー230に固定されている。ラミネートシート201の上部に、弾性分離膜240が固定されたホルダー230を配置することによってラミネートシートを固定することができる。
【0056】
このように、弾性分離膜240がホルダー230に固定されているので、パンチ210でラミネートシート201を加圧する時に、弾性分離膜240がホルダーに固定された状態が安定に保持され得る。
【0057】
例えば、弾性分離膜240は、ホルダー230の下面に付着してもよく、又はホルダー230の側面のうち下部に固定されてもよい。弾性分離膜240がホルダー230の下面に付着する場合には、弾性分離膜240とホルダー230とが結合しながら生じる微細に突出した部分によってラミネートシート201に対する固定力がより向上し得る。又は、弾性分離膜240がホルダー230の側面のうち下部に固定される場合、特に、弾性分離膜240がホルダー230の側面のうち下部に形成された溝に嵌められた状態で固定される場合には、弾性分離膜240とホルダー230との結合力がより強く、よって、弾性分離膜240が過度に延伸されても結合が保持されるので、収納部の深さが深い場合にさらに有利である。
【0058】
前記パンチが前記電池ケースを成形する前に、前記パンチの下面は、前記弾性分離膜の上面と平行に位置する。また、前記弾性分離膜とラミネートシートは平行に位置する。したがって、パンチが前記弾性分離膜を加圧すれば、前記パンチの全体面積が、前記弾性分離膜とラミネートシートの全体面積に均一な圧力を印加できる。
【0059】
本明細書において、パンチが印加する力は、弾性分離膜とラミネートシートに同一の大きさ及び方向に印加され、ラミネートシートの変形形態は弾性分離膜の変形形態と同一であると考えられる。
【0060】
図4は、本願発明の第3実施例に係る電池ケース成形装置の断面図であり、図5は、本願発明の第3実施例に係る電池ケース成形装置の分解斜視図である。
【0061】
図4及び図5を参照すると、電池ケース成形装置300は、ラミネートシート301を加圧して電池ケースを成形するパンチ310、パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部321が形成されたダイ320、ラミネートシート301の外周辺を固定するためのホルダー330、及びパンチ310がラミネートシート301と直接接触することを防止するためにパンチ310の下部に位置する弾性分離膜340を含む。
【0062】
弾性分離膜340はホルダー330に固定されている。したがって、弾性分離膜が下面となり、ホルダー330の内側面を側壁とする空間が形成され、該空間内に液体潤滑剤350が付加される。弾性分離膜は水密性弾性分離膜であり、液体潤滑剤は弾性分離膜を通過して洩れず、前記空間内でのみ移動が可能である。
【0063】
液体潤滑剤はパンチと弾性分離膜との摩擦力を顕著に減らす効果を発揮し、前記弾性分離膜の表面と前記パンチの表面間に滑りを非常に円滑にさせることができる。
【0064】
したがって、前記ラミネーションシートにおいて前記パンチによって延伸される領域が広くなり、前記延伸される領域の平均延伸率を下げることができる。例えば、延伸された状態のラミネートシートの厚さは、延伸される前のラミネートシートの厚さの約70%以上になり得る。
【0065】
前記液体潤滑剤として、例えば、流動パラフィンなどの炭化水素系、油脂、グリース、鉱物植物油、乳化油、抗乳化剤、流動点降下剤、粘度改質剤、消泡剤、純鉱油又は添加剤含有純鉱油を含む鉱油、動物油と植物油を含む脂肪油、鉱油と脂肪油が混合された混成油、及び合成油からなる群から選ばれる1種以上が使用されてよい。
【0066】
このように、液体潤滑剤を使用することによって、ラミネートシートの局部領域で過度な延伸が起きることを防止することができる。
【0067】
図6は、本願発明に係る電池ケース成形装置で製造した電池ケースの垂直断面図である。図6を参照すると、電池ケース400には電極組立体収納部410が凹んで形成されており、電極組立体収納部410は、電極組立体収納部の底411と電極組立体収納部の側面412とから構成されてよい。
【0068】
本願発明と違い、液体潤滑剤を使用しない場合には、主要延伸領域E1でのみラミネートシートが延伸されるため、主要延伸領域の平均延伸率が高くなり、この部分が脆弱になって電池ケースが損傷しやすい。
【0069】
しかしながら、本願発明では、液体潤滑剤を使用することによってパンチの表面と弾性分離膜の表面間に滑りがよく起きるようにしているので、主要延伸領域E1の他に追加延伸領域E2までにも延伸領域が拡大する。すなわち、ラミネートシートが延伸される領域は、電極組立体収納部の側面412及び電極組立体収納部の底411の外周部になる部分であってよい。
【0070】
このように、延伸領域が拡大することによって平均延伸率が低くなるので、電池ケースの成形後にも電池ケースの厚さ減少率を減らすことができ、局部的に電池ケースが弱くなることを防ぐことができる。
【0071】
本願発明に係る電池ケース成形装置を用いて製造された電池ケースにおいて、最も厚さの薄い部分の厚さは、最も厚さの厚い部分の70%以上の厚さを維持することができる。
【0072】
再び図4及び図5を参照すると、ダイ320の収容部321の下部にはパッド360が配置されている。
【0073】
パッド360は、パンチ310によって収縮し得るように弾性のある材質からなってよい。パッド360は、平面視で長方形の形態であり、中心部が膨らんで突出し、外周部に向かって次第に厚さが減少する形態であってよい。したがって、パンチ310で加圧してラミネートシートを成形する時に、パッドの突出した中心部がまず、パンチによって下方に移動するラミネートシートと接触する。続いて、前記パンチで下方に加圧し続けると、前記突出したパッドの中心部は圧縮されながらパッド全般の厚さが均一になる。したがって、電極組立体収納部の底が平坦な形態になり得る。
【0074】
また、弾性力のあるパッド360が配置されることにより、ラミネートシートの下面外側のスクラッチも防止することができる。
【0075】
図7は、本願発明に係るパンチの中心部を示す垂直断面図である。
【0076】
図7を参照すると、パンチ410とパンチ510のそれぞれの下面には溝411,511が形成されている。
【0077】
パンチ410に形成された溝411は、パンチ下面の中心部が凹んだ形態となるように形成されており、パンチ510に形成された溝511は、パンチの下面が全体的に凹んだ形態となるように形成される。
【0078】
このように形成された溝によってパンチの下面に空間が形成され、パンチで弾性分離膜とラミネートシートを加圧する時に、液体潤滑剤の一部は前記溝に溜まり、残りはパンチの下面の縁部に移動する。
【0079】
このように前記溝に溜まる液体潤滑剤によってパンチの中心部と弾性分離膜間の摩擦力を減少できる効果が得られる。
【0080】
図8は、本願発明に係る電池ケース成形方法を、左から右に、続いて上から下に示している。
【0081】
本願発明に係る電池ケース成形方法は、ダイ320の上部にラミネートシート301を配置する段階、弾性分離膜340が付着しているホルダー330を用いてラミネートシート301をダイ320に固定する段階、及びパンチ310を用いて弾性分離膜340とラミネートシート301を加圧する段階を含む。
【0082】
ラミネートシート301をダイ320上に固定した後にパンチ310でラミネートシート301を加圧する前に、弾性分離膜340とホルダー330によって形成された空間内に液体潤滑剤350を付加する。本願発明に係る弾性分離膜は水密性弾性分離膜であるので、液体潤滑剤が弾性分離膜の外部に洩れない。
【0083】
パンチ310でラミネートシート301を加圧する段階は、ダイ320の収容部の下部に配置されたパッド360が圧縮されて平坦になるまで加圧する。パッド360は、中心部が突出し、外周部に向かって次第に厚さが薄くなる形態であるので、パッド360の突出した中心部にラミネートシート301がまず接触する。
【0084】
パッド360の圧縮が始まると、パッド360の中心部はラミネートシート301と接触している状態であるが、パッド360の外周辺部分と前記ラミネートシート301との間には空間が形成された状態である。加圧によって弾性分離膜340上にある液体潤滑剤350は、前記ラミネートシート301とパッド360の外周辺部分との間に形成される空間、すなわち、前記パンチ310の下面の縁部に移動する。
【0085】
パンチ310の下面に溝が形成される場合には、該溝中に液体潤滑剤の一部が溜まった状態になり得るので、パンチの下面においてパンチと弾性分離膜間の摩擦力を減らすことができる。
【0086】
パンチ310がダイ320の収容部に挿入されるほど、液体潤滑剤350はパンチ310の下面の縁部に移動するだけでなく、結局として前記パンチ310の側面に沿って移動する。したがって、パンチ310の下面表面と弾性分離膜340の表面だけでなく、パンチ310の側面表面と弾性分離膜340の表面との間にも液体潤滑剤350が存在でき、パンチと弾性分離膜との摩擦力を減少できる効果がある。加圧されるほど毛細管現象によって液体潤滑剤350はより広く広がる。
【0087】
このように、本願発明は、中心部が膨らんだ形態のパッドをダイの収容部の下部に配置するので、ラミネートシートの主要延伸領域と追加延伸領域に液体潤滑剤が容易に移動できる。したがって、弾性分離膜の表面とパンチの表面間の摩擦力を最小化することによってラミネートシートの追加延伸領域を広く確保でき、局部的な厚さの減少が少ない電池ケースを製造することができる。
【0088】
本願発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本願発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【符号の説明】
【0089】
100,200,300:電池ケース成形装置
101,201,301:ラミネートシート
110,210,310,410,510:パンチ
120,220,320:ダイ
121,221,321:収容部
130,230,330:ホルダー
140,240,340:弾性分離膜
411,511:溝
350:液体潤滑剤
360:パッド
400:電池ケース
410:電極組立体収納部
411:電極組立体収納部の底
412:電極組立体収納部の側面
E1:主要延伸領域
E2:追加延伸領域
【産業上の利用可能性】
【0090】
本願発明は、パウチ形電池用電池ケースを成形するためのパンチを含む電池ケース成形装置であって、前記電池ケースとして用いられるラミネートシートを前記パンチで加圧する時に前記ラミネートシートの表面損傷を最小化できるように弾性分離膜を含む電池ケース成形装置、及びこれを用いる電池ケース製造方法に関し、産業上に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8