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特許7464340油揚げ開口機構およびそれを用いたいなり寿司製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】油揚げ開口機構およびそれを用いたいなり寿司製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240402BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020032271
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132589
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 隆行
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-090582(JP,A)
【文献】特開平11-075737(JP,A)
【文献】特開2016-214136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00 - 7/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寿司飯受台の前の寿司飯挿入位置に搬送された搬送手段上の油揚げの切口部を開口する油揚げ開口機構であって、
前記寿司飯挿入位置における前記搬送手段の下方に配置された下側掴持手段と、
前記搬送手段を挟んで前記下側掴持手段の対向位置に配置された上側掴持手段と、
前記搬送手段上に先端が出没するように前記下側掴持手段を昇降させる第1の昇降手段を備えた第1の昇降機構と、
前記下側掴持手段に向けて前記上側掴持手段を昇降させる第2の昇降手段を備えた第2の昇降機構と、
前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開閉させる開閉手段を備えた開閉機構と、
前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とが油揚げの切口部を掴むときの間隔である油揚げの掴み高さ、油揚げの切口部の開口量、および油揚げを掴持したときの前記下側掴持手段と前記上側掴持手段との掴み強さが複数種類の油揚げについて選択的に設定可能な設定手段と、
前記設定手段で選択された油揚げについての設定内容に基づいて、前記第1の昇降手段および前記第2の昇降手段を駆動して前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とを接近させておいて前記開閉手段を駆動して前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とで油揚げの下皮側切口部および上皮側切口部をそれぞれ掴持し、その後、前記第2の昇降手段を駆動して前記上側掴持手段を上昇させて油揚げの切口部を開口状態で保持する制御を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする油揚げ開口機構。
【請求項2】
前記制御手段は、油揚げに寿司飯を挿入した後、前記開閉手段を駆動して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開いて掴持した油揚げの切口部を離す制御を実行し、
前記設定手段は、油揚げに寿司飯を挿入した後、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段が油揚げの切口部を離すまでの時間が設定可能になっている、
ことを特徴とする請求項1記載の油揚げ開口機構。
【請求項3】
前記下側掴持手段および前記上側掴持手段には、バネ力に抗して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開く開口突起片が設けられ、
前記開閉機構は、前記開閉手段に駆動されて前記開口突起片を押圧して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開閉する開閉板を備える、
ことを特徴とする請求項1または2記載の油揚げ開口機構。
【請求項4】
前記開閉板は、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段の昇降領域の全体にわたって前記開口突起片を押圧可能になっている、
ことを特徴とする請求項3記載の油揚げ開口機構。
【請求項5】
前記開口突起片は、水平方向に回転軸が配置されて回転自在となったローラである、
ことを特徴とする請求項4記載の油揚げ開口機構。
【請求項6】
前記開閉機構は、前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とを同時に開閉させる単一の開閉機構、または前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とをそれぞれ開閉させる2つの開閉機構で構成される、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の油揚げ開口機構。
【請求項7】
前記設定手段は、寿司飯の種類および寿司飯の重量の少なくとも何れか一つに対応させて設定可能となっている、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の油揚げ開口機構。
【請求項8】
寿司飯を寿司飯受台上に供給する寿司飯供給手段と、
前記寿司飯受台の前の寿司飯挿入位置に油揚げを搬送する搬送手段と、
前記寿司飯挿入位置に搬送された油揚げの切口部を開口状態で保持する請求項1~7の何れか一項に記載の油揚げ開口機構と、
前記油揚げ開口機構により切口部が開口した状態の油揚げの内部に前記寿司飯受台上の寿司飯を挿入する挿入手段と、
を有することを特徴とするいなり寿司製造装置。
【請求項9】
前記寿司飯挿入位置よりも油揚げの搬送方向の上流に配置され、前記挿入手段による寿司飯の挿入に先立って、油揚げの内部に空気を注入して当該油揚げの内部の上下皮を剥離する予備開口手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項8記載のいなり寿司製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚げ開口機構およびそれを用いたいなり寿司製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いなり寿司製造装置は、予め甘辛く煮付けられた油揚げの内部に計量分割された寿司飯を機械的に押し込むことにより、いなり寿司を自動的に製造する装置である。
【0003】
いなり寿司製造装置において、寿司飯の挿入作業に際しては、油揚げの切口部側の上下皮をそれぞれ上下一対のチャックで掴み互いに離れる方向に引っ張って切口部を開口した後、その開口を通じて油揚げの内部に寿司飯を供給している。
【0004】
なお、特開平11-075737号公報には、寿司飯の挿入に先立って、油揚げの内部にエアを注入して膨らませる予備開口を行い、寿司飯が奥まで確実に入るようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-075737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、いなり寿司においては、油揚げの形状(四角形、三角形など)、サイズ(レギュラーサイズ、ミニサイズなど)、軟らかさ、厚みなど、種類が多様化している。そして、いなり寿司製造装置では、このように多様化した種類の油揚げを用いていなり寿司を製造している。そのため、専門的な技能を持った作業者が、いなり寿司製造装置での油揚げの切口部の開口量や油揚げを掴む力の加減などを工具を用いて調整している。
【0007】
しかしながら、このような調整は簡単にはできず、油揚げに最適な取り扱いを行うためには装置の動作確認が繰り返されて時間がかかるのみならず、油揚げの破損という製品ロスが多発してしまう場合がある。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、油揚げの種類に応じた取扱動作を容易に実現することのできる油揚げ開口機構およびそれを用いたいなり寿司製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の油揚げ開口機構は、寿司飯受台の前の寿司飯挿入位置に搬送された搬送手段上の油揚げの切口部を開口する油揚げ開口機構であって、前記寿司飯挿入位置における前記搬送手段の下方に配置された下側掴持手段と、前記搬送手段を挟んで前記下側掴持手段の対向位置に配置された上側掴持手段と、前記搬送手段上に先端が出没するように前記下側掴持手段を昇降させる第1の昇降手段を備えた第1の昇降機構と、前記下側掴持手段に向けて前記上側掴持手段を昇降させる第2の昇降手段を備えた第2の昇降機構と、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開閉させる開閉手段を備えた開閉機構と、前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とが油揚げの切口部を掴むときの間隔である油揚げの掴み高さ、油揚げの切口部の開口量、および油揚げを掴持したときの前記下側掴持手段と前記上側掴持手段との掴み強さが複数種類の油揚げについて選択的に設定可能な設定手段と、前記設定手段で選択された油揚げについての設定内容に基づいて、前記第1の昇降手段および前記第2の昇降手段を駆動して前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とを接近させておいて前記開閉手段を駆動して前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とで油揚げの下皮側切口部および上皮側切口部をそれぞれ掴持し、その後、前記第2の昇降手段を駆動して前記上側掴持手段を上昇させて油揚げの切口部を開口状態で保持する制御を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項1記載の油揚げ開口機構において、前記制御手段は、油揚げに寿司飯を挿入した後、前記開閉手段を駆動して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開いて掴持した油揚げの切口部を離す制御を実行し、前記設定手段は、油揚げに寿司飯を挿入した後、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段が油揚げの切口部を離すまでの時間が設定可能になっている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項1または2記載の油揚げ開口機構において、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段には、バネ力に抗して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開く開口突起片が設けられ、前記開閉機構は、前記開閉手段に駆動されて前記開口突起片を押圧して前記下側掴持手段および前記上側掴持手段を開閉する開閉板を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項3記載の油揚げ開口機構において、前記開閉板は、前記下側掴持手段および前記上側掴持手段の昇降領域の全体にわたって前記開口突起片を押圧可能になっている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項4記載の油揚げ開口機構において、前記開口突起片は、水平方向に回転軸が配置されて回転自在となったローラである、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項1~5の何れか一項に記載の油揚げ開口機構において、前記開閉機構は、前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とを同時に開閉させる単一の開閉機構、または前記下側掴持手段と前記上側掴持手段とをそれぞれ開閉させる2つの開閉機構で構成される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の本発明の油揚げ開口機構は、請求項1~6の何れか一項に記載の油揚げ開口機構において、前記設定手段は、寿司飯の種類および寿司飯の重量の少なくとも何れか一つに対応させて設定可能となっている、ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の本発明のいなり寿司製造装置は、寿司飯を寿司飯受台上に供給する寿司飯供給手段と、前記寿司飯受台の前の寿司飯挿入位置に油揚げを搬送する搬送手段と、前記寿司飯挿入位置に搬送された油揚げの切口部を開口状態で保持する請求項1~7の何れか一項に記載の油揚げ開口機構と、前記油揚げ開口機構により切口部が開口した状態の油揚げの内部に前記寿司飯受台上の寿司飯を挿入する挿入手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の本発明のいなり寿司製造装置は、請求項8記載のいなり寿司製造装置において、前記寿司飯挿入位置よりも油揚げの搬送方向の上流に配置され、前記挿入手段による寿司飯の挿入に先立って、油揚げの内部に空気を注入して当該油揚げの内部の上下皮を剥離する予備開口手段をさらに有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、いなり寿司製造時の油揚げの種類に応じて、油揚げの切口部を開口する下側掴持手段および上側掴持手段の昇降位置やこれらの先端開口幅の少なくとも一つが所望のレベルに設定でき、これに応じて制御手段が装置の動作を制御するようになっている。
【0019】
したがって、専門的な技能を持った作業者が油揚げの種類に応じて装置の調整をする必要なく、油揚げの種類に応じた取扱動作を容易に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態に係るいなり寿司製造装置の外観を示す斜視図である。
図2図1のいなり寿司製造装置の要部斜視図である。
図3図1のいなり寿司製造装置の要部を一部破断して示す側面図である。
図4図1のいなり寿司製造装置の要部を示す平面図である。
図5図4のいなり寿司製造装置の一部の構成を取り外して示したいなり寿司製造装置の要部平面図である。
図6】本実施の形態のいなり寿司製造装置1に組み込まれた状態の油揚げ開口機構を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る油揚げ開口機構を示す斜視図である。
図8】(a)はチャックが閉じた状態を示す斜視図、(b)はチャックが開いた状態を示す斜視図である。
図9図7の油揚げ開口機構を構成する下側チャックおよび上側チャックを開閉させるチャック開閉部を抽出して示す斜視図である。
図10図9の一部を拡大して示す斜視図である。
図11】油揚げ開口機構の制御系を示すブロック図である。
図12】チャックの動作設定内容を示す説明図である。
図13】上下の待機位置にある下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
図14】は図13の正面図である。
図15】油揚げの切口部を掴む位置まで昇降した下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
図16】油揚げの切口部を掴んだ状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
図17】油揚げの切口部を開口した状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
図18】油揚げの切口部を開口したときのいなり寿司製造装置の一部破断側面図である。
図19】寿司飯挿入時のいなり寿司製造装置一部破断側面図である。
図20】掴んだ油揚げの切口部を離した状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は本発明の一実施の形態に係るいなり寿司製造装置の外観を示す斜視図、図2は本発明の一実施の形態に係るいなり寿司製造装置の要部斜視図、図3図2のいなり寿司製造装置の一部破断側面図、図4図2のいなり寿司製造装置を上から見た要部平面図、図5図4のいなり寿司製造装置の一部の構成を取り外して示したいなり寿司製造装置の要部平面図である。
【0023】
本実施の形態のいなり寿司製造装置1は、予め甘くまたは甘辛く煮付けられた複数枚の油揚げQの各々の内部に計量分割された寿司飯R(図18図19)を機械的に挿入することにより複数個のいなり寿司QRを自動的に製造する装置であり、図1に示すように、台座1a上には、ターンテーブル(搬送手段)2が設けられている。また、保護カバー1bに覆われた内部には、図2に示すように、本体部3と、予備開口部(予備開口手段)4と、油揚げ検出用の検出器5と、いなり寿司検出用の検出器6とが備えられている。さらに、図1において、いなり寿司製造装置1の正面から見て上部右側には、装置の動作設定を行うためのタッチパネル式の設定入力部(設定手段)1caや装置の動作開始時に押下されるスタートボタン1cbなどで構成される操作部1cが設けられている。
【0024】
図2において、ターンテーブル2は、図示しないモータにより間欠的に回転可能な状態で設けられており、一定の間隔を空けて載置された油揚げQ(寿司飯Rが挿入される前の平坦状の油揚げQ)を本体部3の前の寿司飯挿入位置に搬送する。したがって、油揚げQはターンテーブル2によって間欠搬送される。
【0025】
なお、ターンテーブル2を用いたことによりいなり寿司製造装置1を小型化することができるが、搬送手段としては、油揚げQを間欠搬送するようになったベルトコンベアなどを用いることもできる。
【0026】
このターンテーブル2の上面における外周近傍には、その外周に沿って予め設定された間隔毎に複数の載置領域2sが形成されている。この載置領域2sの各々には、油揚げQが、その一辺の切口部Qcを外側に向けた状態で載置される。
【0027】
また、載置領域2sの各々には、ターンテーブル2の上下面を貫通する孔2hが形成されている。この孔2hは、図3に示すように、油揚げQの下皮側切口部Qcを掴持する際に後述する下側チャック7aの先端をターンテーブル2の上に出没させるためと、図2に示すように、油揚げ検出用の検出器5により油揚げQの有無を監視するために使用される。
【0028】
図2および図3において、本体部3は、寿司飯Rを計量分割して油揚げQの内部に供給し、出来上がったいなり寿司QRをターンテーブル2の外周側から中央側に移載する動作を実行するようになっており、寿司飯供給機構部(寿司飯供給手段)8と、寿司飯受台9と、上下一対のチャック(掴持手段)7と、挿入棒(挿入手段)11と、後押さえ部材12と、送風機構部13とを備えている。
【0029】
寿司飯供給機構部8は、寿司飯Rを解してから予め設定された大きさ、形状および重さになるように計量分割して寿司飯受台9上に供給する動作を実行するもので、寿司飯解し部(図示せず)と、その下方に設けられた計量分割部8aとを備えている。
【0030】
寿司飯解し部には、解し羽根が回転可能な状態で設けられており、この解し羽根の回転により寿司飯Rは解された後、計量分割部8aに送られるようになっている。
【0031】
計量分割部8aには、上段に位置する左右一対のローラ8ra,8raと、中段に位置する左右一対のローラ8rb,8rbと、下段に位置する左右一対のローラ8rc,8rcと、さらにその下方に配置された分割用のカッタ8cとが設けられている。中段の一対のローラ8rb,8rbは、上段の一対のローラ8ra,8raよりも小径で、かつ、その隣接間隔が狭くなっている。また、下段の一対のローラ8rc,8rcは、中段の一対のローラ8rb,8rbよりも小径で、且つ、その隣接間隔が狭くなっている。これにより、計量分割部8aに送られた寿司飯Rは、米粒の密度が一定に保たれたままローラ8ra,8rb,8rcにより圧縮されて下方に送られ、予め設定された大きさ、形状および重さとなるタイミングでカッタ8cにより分割されて寿司飯受台9上に載置されるようになっている。
【0032】
寿司飯受台9は、寿司飯供給機構部8により計量分割された寿司飯Rを載置してこれを油揚げQ内へと案内する受台であり、計量分割部8aの下方に設けられている。この寿司飯受台9は、ターンテーブル2に向かって前進する方向およびターンテーブル2から離間する方向に移動可能な状態で設けられており、寿司飯Rを油揚げQの内部に挿入する際に、先端部が油揚げQの内部に入り込む位置まで移動して、挿入棒11により寿司飯Rを油揚げQの内部へと案内する。
【0033】
一対のチャック7は、図3に示すように、油揚げQの内部に寿司飯Rを挿入する前に油揚げQの上下皮において切口部Qcを掴んで油揚げQを開口させた状態で保持する。この一対のチャック7は、寿司飯挿入位置におけるターンテーブル2の下方に配置された下側チャック(下側掴持手段)7aと、ターンテーブル2を挟んで下側チャック7aの対向位置に配置された上側チャック(上側掴持手段)7bとで、上下対になって構成されている。また、それぞれ独立して上下方向に昇降可能な状態で設けられている。
【0034】
下側チャック7aは、上昇移動してターンテーブル2に形成された孔2hから突出し、油揚げQの下皮側切口部Qcを掴むことが可能になっている。また、上側チャック7bは、下降して油揚げQの上皮側切口部Qcを掴むことが可能になっている。なお、下側チャック7aや上側チャック7bなどから構成される油揚げ開口機構Mの詳細については後述する。
【0035】
上側チャック7bの前面側には、図2および図3に示すように、油揚げ押さえ機構15が設けられている。この油揚げ押さえ機構15は、バネ15aと押さえ部15bとを備えており、上下一対のチャック7で油揚げQを掴む際に、バネ15aの付勢力により押さえ部15bで油揚げQを押さえて安定化させる。
【0036】
挿入棒11は、油揚げQの内部に進退可能に設けられており、図3に示すように、寿司飯受台9上の寿司飯Rを油揚げQの内部に挿入するために水平方向に押すとともに、出来上がったいなり寿司QRをターンテーブル2の中央側に移載する。この挿入棒11は、寿司飯受台9の上面に沿ってターンテーブル2に向かって前進して油揚げQの内部に進入する方向、および油揚げQの内部から退避してターンテーブル2から離間する方向に移動可能な状態で設けられている。
【0037】
後押さえ部材12は、挿入棒11により油揚げQの内部に寿司飯Rを挿入する際に油揚げQの後端を押さえるとともに、出来上がったいなり寿司QRをターンテーブル2の中央側に移載する動作を実行するもので、ターンテーブル2の上面に沿ってターンテーブル2の中心方向およびターンテーブル2の中心から離間する方向に移動可能な状態で設けられている。
【0038】
この後押さえ部材12は、押さえ部12aと、これを支持する支持部12bとを備えている。押さえ部12aは、支持部12bの一端に着脱自在に設けられている。
【0039】
送風機構部13は、一対のチャック7によって開口された切口部Qcから油揚げQの内部に寿司飯Rを挿入する前に油揚げQの内部に空気を吹き込んで油揚げQの内部奥を広げる動作を実行するようになっており、風を寿司飯挿入位置に導く送風管13aと、送風管13aにおいて寿司飯挿入位置側の先端に設けられた送風口13bとを備えている。
【0040】
予備開口部4は、ターンテーブル2の外周近傍において寿司飯挿入位置よりも1つ手前、つまり油揚げQの搬送方向上流側に配置されている。この予備開口部4は、挿入棒11により寿司飯Rを油揚げQの内部に挿入するのに先立って、油揚げQにノズル4aを差し込んで内部に空気を注入することにより油揚げQの内側の上下皮を剥離する動作を実行するようになっており、ターンテーブル2の載置領域2sの上方において昇降可能に設けられている。そして、予備開口部4により油揚げQの内部の上下皮を予め剥離しておくことにより、寿司飯Rの挿入に際して送風機構部13により油揚げQを広げる処理を短時間で容易かつ確実に行うことができるようになっている。
【0041】
油揚げ検出用の検出器5は、ターンテーブル2において予備開口部4の1つ手前の載置領域2sに油揚げQが有るか否かを光学的に監視する機器であり、ターンテーブル2の外周近傍において予備開口部4よりも1つ手前に位置する載置領域2sの位置に設けられている。
【0042】
いなり寿司検出用の検出器6は、ターンテーブル2の上面において載置領域2sよりも中央側の予め設定された位置にいなり寿司QRが有るか否かを光学的に監視する機器であり、ターンテーブル2の外周近傍において油揚げ検出用の検出器5と同位置に設けられている。
【0043】
次に、寿司飯受台9の前の寿司飯挿入位置に搬送されたターンテーブル2上の油揚げQの切口部Qcを開口する油揚げ開口機構Mについて、図6図20を用いて説明する。
【0044】
図6は本実施の形態のいなり寿司製造装置1に組み込まれた状態の油揚げ開口機構を示す斜視図、図7は本発明の一実施の形態に係る油揚げ開口機構を示す斜視図、図8(a)(b)はチャックの開閉構造を示す斜視図、図9図7の油揚げ開口機構を構成する下側チャックおよび上側チャックを開閉させるチャック開閉部を抽出して示す斜視図、図10図9の一部を拡大して示す斜視図、図11は油揚げ開口機構の制御系を示すブロック図、図12はチャックの動作設定内容を示す説明図、図13は上下の待機位置にある下側チャックおよび上側チャックを示す側面図、図14図13の正面図、図15は油揚げの切口部を掴む位置まで昇降した下側チャックおよび上側チャックを示す側面図、図16は油揚げの切口部を掴んだ状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図、図17は油揚げの切口部を開口した状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図、図18は油揚げの切口部を開口したときのいなり寿司製造装置の一部破断側面図、図19は寿司飯挿入時のいなり寿司製造装置一部破断側面図、図20は掴んだ油揚げの切口部を離した状態の下側チャックおよび上側チャックを示す側面図である。
【0045】
なお、図6においては、ターンテーブル2、予備開口部4、後押さえ部材12、送風機構部13、油揚げ押さえ機構15などの図示は省略されている。
【0046】
さて、図6および図7において、油揚げ開口機構Mは、上下対になって配置された前述の下側チャック7aおよび上側チャック7bと、上記のように孔2h(図3等)からターンテーブル2上に先端が出没するように下側チャック7aを昇降させる下側チャック昇降モータ(第1の昇降手段)21を備えた下側チャック昇降機構(第1の昇降機構)と、下側チャック7aに向けて上側チャック7bを昇降させる上側チャック昇降モータ(第2の昇降手段)22を備えた上側チャック昇降機構(第2の昇降機構)と、油揚げQの切口部Qcを掴むために下側チャック7aおよび上側チャック7bを開閉させるチャック開閉モータ(開閉手段)23を備えたチャック開閉機構(開閉機構)とを備えている。
【0047】
なお、本実施の形態において、下側チャック昇降モータ21、上側チャック昇降モータ22およびチャック開閉モータ23には、何れもサーボモータが用いられている。但し、ステッピングモータなど、モータの位置決め制御が可能な他の種類のモータを用いることもできる。さらには、モータではなく、ソレノイドアクチュエータを用いたシリンダなど、様々なアクチュエータを用いることができる。
【0048】
図7の油揚げ開口機構Mに詳しく示すように、下側チャック昇降機構においては、2つの筒状体24a-1、24a-2が内外で重なり合ってスライドするスライダ24aが上下方向に配置されており、下側の筒状体24a-2は前述した台座1aの天板1aaに固定されている。スライダ24aの上端部(つまり、上側の筒状体24a-1の上端部)には、水平方向に延びて先端に下側チャック7aが固定されたアーム25aが取り付けられている。一方、スライダ24aの下端部(つまり、下側の筒状体24a-2の下端部)からは、横方向に貫通する軸孔26aaが形成されるとともに上側の筒状体24a-1を上下にスライド移動させるロッド26aが上下動可能に突出して設けられている。そして、スライダ24aの下方に、前述の下側チャック昇降モータ21が回転軸(図示せず)を水平方向に向けて設置されている。
【0049】
また、下側チャック昇降モータ21の出力軸に固定されたクランク27aとロッド26aとの間には、クランク27aの先端とロッド26aの軸孔26aaとに両端がそれぞれ回転可能に取り付けられた連結棒28aが設けられている。
【0050】
さらに、下側チャック昇降機構には、ロッド26aに沿って上下方向に延びる長孔29aaが形成された規制プレート29aが、下側の筒状体24a-2に取り付けられている。一方、ロッド26aには規制プレート29aの長孔29aa内に嵌まり込んで往復する規制ピン26abが固定されている。これにより、ロッド26aが上下動すると長孔29aa内を規制ピン26abが往復動し、これによってスライダ24aを構成する上側の筒状体24a-1が下側の筒状体24a-2に沿って上方あるいは下方に向かってスライド移動し、スライダ24aが伸縮する。
【0051】
したがって、下側チャック昇降モータ21によりクランク27aが回転すると、当該クランク27aに取り付けられた連結棒28aに回転力が伝達される。前述のように、連結棒28aの一端は、スライダ24aを伸縮させるロッド26aの軸孔26aaに回転可能に取り付けられているので、連結棒28aにより回転運動が往復運動に変換されてロッドが上下して上側の筒状体24a-1が昇降することでスライダ24aが伸縮し、これに伴ってアーム25aを介してスライダ24aに取り付けられた下側チャック7aが昇降する。
【0052】
図7において、上側チャック昇降機構は下側チャック昇降機構とほぼ同様の構成となっている。すなわち、先端に上側チャック7bが固定されたアーム25bが備えられ、このアーム25bは、上下方向に配置されたスライダ24b(上側の筒状体24b-1と台座1aの天板1aaに固定された下側の筒状体24b-2とが内外で重なり合ってスライドするスライダ24b)の上端部に取り付けられている。なお、上側チャック7bは下側チャック7aに対して上下方向で対向する位置となっている。
【0053】
また、上側チャック昇降機構では、上側チャック7bを下側チャック7aよりも高い位置に配置し、さらに上側チャック7bの昇降幅を下側チャック7aが昇降幅よりも大きくするために、スライダ24bの長さが下側チャック昇降機構のスライダ24aの長さよりも長くなっており、下側チャック7aのクランク27bの長さが下側チャック7aのクランク27aの長さよりも長くなっている。
【0054】
スライダ24bの下端部から上下動可能に突出したロッド26bおよびロッド26bに形成された軸孔26baやロッド26bに備えられた規制ピン26bb、規制プレート29bおよび規制プレート29bに形成された長孔29ba、上側チャック昇降モータ22の出力軸に固定されたクランク27b、両端がクランク27bの先端とロッド26bの軸孔26baとに回転可能に取り付けられた連結棒28bの構成については、下側チャック昇降機構と同様である。
【0055】
そして、下側チャック7aおよび上側チャック7bをチャック開閉モータ23で開いた状態にしておき、以上説明した昇降機構により下側チャック昇降モータ21と上側チャック昇降モータ22とを駆動して下側チャック7aと上側チャック7bとを所定の間隔まで接近させ、チャック開閉モータ23で下側チャック7aと上側チャック7bとを閉じれば、油揚げQの下皮側切口部Qcおよび上皮側切口部Qcをそれぞれ掴持することができる。
【0056】
このとき、下側チャック7aと上側チャック7bとが油揚げQの切口部Qcを掴むときの間隔が、油揚げQの掴み高さになる。したがって、両者をどの程度接近させるかによって、油揚げQの掴み高さを調整することができる。
【0057】
また、掴持した後、上側チャック昇降モータ22を駆動して上側チャック7bを上昇させて油揚げQの切口部Qcを開口状態で保持することができる。
【0058】
このとき、上側チャック7bの上昇量が油揚げQの切口部Qcの開口量になる。したがって、上側チャック7bをどの程度上昇させるかによって、油揚げQの切口部Qcを調整することができる。
【0059】
次に、下側チャック7aおよび上側チャック7bの構造について、図8を用いて説明する。なお、図8では上側チャック7bが示されているが、下側チャック7aは取り付け方向が上側チャック7bと上下反対になっており、上側チャック7bが取付ブロック7-1を介してアーム25bに取り付けられている点を除いては、同一の構造となっている。そこで、図8においては、上側チャック7bと下側チャック7aとを区別せず、チャック7として説明する。
【0060】
さて、図8において、チャック7は、アーム25bの先端に取り付けられた固定爪部7-2と、先端が固定爪部7-2の先端に対して接触・離間するように当該固定爪部7-2に揺動可能に取り付けられた揺動爪部7-3と、揺動爪部7-3の先端を固定爪部7-2の先端にバネ力で圧接するように(つまり、チャック7が閉じるように)揺動支点Fを挟んで先端と反対側の固定爪部7-2と揺動爪部7-3との間に嵌め込まれた圧縮コイルバネ7-4とを備えている。なお、圧縮コイルバネ7-4は、固定爪部7-2に取り付けられた保持ピン7-5に通されて脱落が防止されている。また、保持ピン7-5の先端には、揺動爪部7-3の先端が固定爪部7-2の先端に圧接したときに揺動爪部7-3の切り欠き部7-3aに当接する頭部7-5aが形成されている。
【0061】
チャック7の揺動爪部7-3には、開口ノブ(開口突起片)7-6が側方に突出して設けられている。この開口ノブ7-6は揺動支点Fを挟んで先端と反対側に取り付けられており、圧縮コイルバネ7-4を押してバネ力に抗して揺動爪部7-3を動かすことにより、接触していた固定爪部7-2の先端と揺動爪部7-3の先端とを離間させてチャック7を開ける。
【0062】
したがって、図8(a)に示すように、開口ノブ7-6を押していないときには、圧縮コイルバネ7-4のバネ力により、チャック7は閉じた位置になる。一方、図8(b)に示すように、バネ力に抗する方向に開口ノブ7-6を押したときには、揺動爪部7-3が圧縮コイルバネ7-4を圧縮するように揺動し、チャック7は開いた位置になる。そして、開口ノブ7-6の押す力を加減して揺動爪部7-3に作用するバネ力を調整することでチャック7を所望の幅に開口することができ、油揚げQを掴持したときの掴み幅つまり掴み強さを調整することが可能になる。
【0063】
なお、本実施の形態において、開口ノブ7-6は、水平方向に回転軸が配置されて回転自在となったローラとなっている。これは、後述するチャック開閉機構に設けられた開閉板33a,33bで押圧されたときに、開口ノブ7-6であるローラが回転することでチャック7がスムーズに昇降できるようにするためである。
【0064】
次に、このような構成を有する一対のチャック7(下側チャック7a・上側チャック7b)を開閉させるチャック開閉機構について、図7図10を用いて説明する。
【0065】
これらの図面において、チャック開閉機構では、先端に縦長のプレート30が固定されるとともに下部に平歯車31が固定されて上下方向に延びるシャフト32を備えている。また、プレート30には、シャフト32が回転することにより、下側チャック7aに設けられた開口ノブ7-6および上側チャック7bに設けられた開口ノブ7-6をそれぞれ押圧してこれらを開閉する2枚の開閉板33a,33bが垂直に取り付けられている。下側の開閉板33aの上下長は、昇降する下側チャック7aがどの位置にあっても開口ノブ7-6に押圧可能な長さに設定されており、上側の開閉板33bの上下長は、同様に、昇降する上側チャック7bがどの位置にあっても開口ノブ7-6に押圧可能な長さに設定されている。
【0066】
前述した平歯車31には、上下方向に設けられたチャック開閉モータ23の出力軸23aに固定されるとともに平歯車31よりも小径の平歯車34がギヤ結合している。したがって、チャック開閉モータ23の回転力は2つの平歯車34,31を介してシャフト32に伝達され、シャフト32に取り付けられたプレート30が正逆2方向に回転する。そして、プレート30に取り付けられたそれぞれの開閉板33a,33bが下側チャック7aに設けられた開口ノブ7-6および上側チャック7bに設けられた開口ノブ7-6を押圧して、下側チャック7aおよび上側チャック7bを開閉する。
【0067】
このとき、チャック開閉モータ23の回転位置を制御して一対のチャック7の揺動爪部7-3を押す開口ノブ7-6の力を加減することにより、前述のように、揺動爪部7-3に作用するバネ力を調整して下側チャック7aおよび上側チャック7bを所望の幅に開口して、油揚げQの切口部Qcを掴持したときの掴み強さを調整することができる。
【0068】
また、プレート30と平歯車31との間には、シャフト32が回転可能に貫通するとともに前述した台座1aの天板1aaに固定された軸受け35が設けられている。
【0069】
なお、本実施の形態では、チャック開閉機構は、下側チャック7aと上側チャック7bとを同時に開閉させる単一の開閉機構となっているが、下側チャック7aを開閉させるチャック開閉機構と上側チャック7bを開閉させるチャック開閉機構とがそれぞれ設けられた2つの開閉機構であってもよい。
【0070】
次に、本実施の形態の油揚げ開口機構Mにおける制御系について、図11および図12を用いて説明する。
【0071】
図11に示すように、油揚げ開口機構Mの制御系としては、油揚げQの開口動作の設定を行うための設定入力部1caと、設定入力部1caの入力内容に基づいて下側チャック昇降モータ21、上側チャック昇降モータ22およびチャック開閉モータ23の回転位置の制御を行う制御部(制御手段)36を備えている。
【0072】
そして、制御部36による制御の下、下側チャック昇降モータ21および上側チャック昇降モータ22を駆動して下側チャック7aと上側チャック7bとを接近させておき、チャック開閉モータ23を駆動して下側チャック7aで油揚げQの下皮側切口部Qcを、上側チャック7bで油揚げQの上皮側切口部Qcをそれぞれ掴持する。そして、上側チャック昇降モータ22を駆動して上側チャック7bを所定高さ上昇させて油揚げQの切口部Qcを開口状態で保持する。さらに、この状態で油揚げQに寿司飯を挿入したならば、チャック開閉モータ23を駆動して下側チャック7aおよび上側チャック7bを開き、掴持した油揚げQの切口部Qcを離す。
【0073】
なお、制御部36は、このような油揚げ開口機構Mの動作制御のみならず、いなり寿司製造装置全体の動作制御(ターンテーブル2、予備開口部4、後押さえ部材12、送風機構部13、油揚げ押さえ機構15などの動作制御)も行うのはもちろんであるが、図11では、油揚げ開口機構Mにおける制御系を抽出して示している。
【0074】
図12に示すように、油揚げQを開口するために制御部36に実行させる動作としては、複数種類(ここでは12種類)の動作内容がプリセット可能になっている。したがって、オペレータが1~12の何れかのプリセット番号を選択すると、その番号に予め設定された設定条件に従って下側チャック昇降モータ21、上側チャック昇降モータ22およびチャック開閉モータ23が制御部36によって制御される。
【0075】
本実施の形態では、基本設定として、アゲ種類(油揚げQの種類:ミニ/レギュラー/三角ミニ)、寿司飯種類(油揚げQに挿入される寿司飯の種類:酢飯/混ぜ飯/ゴマ入り酢飯)、量目(油揚げQに挿入される寿司飯の重量)の3項目が設定可能になっている。
【0076】
また、調整設定として、アゲ掴み高さ(下側チャック7aと上側チャック7bとで油揚げQの切口部Qcを掴むときの間隔)、アゲ開口量(下側チャック7aが油揚げQの下皮側切口部Qcを掴んだ状態においての、油揚げQの上皮側切口部Qcを掴んだ上側チャック7bの上昇量)、アゲ掴み強さ(油揚げQの切口部Qcを掴持したときの下側チャック7aおよび上側チャック7bの開口幅)、アゲ離しディレイ(寿司飯を油揚げQ内に挿入してから、下側チャック7aおよび上側チャック7bが掴んだ油揚げQを離すまでの時間)の4項目が設定可能になっている。
【0077】
ここで、アゲ掴み高さは、油揚げQの厚みに応じて設定されるものであり、例えば油揚げQの素材や染みこんだ調味料の量などにより厚みが厚くなった油揚げQの場合、油揚げQの切口部Qcを掴むときの下側チャック7aと上側チャック7bの間隔が広めに設定される。アゲ開口量は、油揚げQの種類や形状に応じて設定されるものであり、例えば油揚げQの種類として「ミニ」が設定された場合、寿司飯が挿入可能で且つ小さな切口部Qcが破れない程度の開口量に設定される。アゲ掴み強さは、油揚げQの厚みや軟らかさに応じて設定されるものであり、例えば厚みが厚く柔らかい油揚げQの場合、油揚げQの切口部Qcを掴むときの下側チャック7aと上側チャック7bとの開口幅が広めに、すなわち弱めに設定される。アゲ離しディレイは、油揚げQの大きさや厚み、挿入される寿司飯の量に応じて設定されるものであり、例えばレギュラーサイズで厚みのある油揚げQの場合、ディレイタイムが長めに設定される。
【0078】
なお、本発明においては、調整設定の内容については、アゲ掴み高さ、アゲ開口量およびアゲ掴み強さの少なくとも何れか一つが設定可能になっていれば足りる。また、アゲ離しディレイの時間については、必ずしも設定できなくなっていてもよい。さらに、これらの調整設定は、前述した基本設定(油揚げQの種類、寿司飯の種類、寿司飯の重量)の少なくとも何れか一つに対応させて設定可能になっていればよい。そして、ここに示す設定項目は一例であり、これら以外の項目が設定できるようになっていてもよい。
【0079】
次に、以上の構成を有する油揚げ開口機構Mの動作について、図13図20を用いて説明する。なお、ここでの説明においては、図12においてプリセット番号1が選択され、レギュラーサイズの油揚げQに酢飯が30g挿入されるものとする。
【0080】
ここで、いなり寿司製造装置1の動作は、概ね次のようになっている。すなわち、図2において、予備開口部4、一対のチャック7、寿司飯受台9、挿入棒11および後押さえ部材12は、予め設定された待機位置に停止している。そして、装置の動作が開始すると、予備開口部4が下降して油揚げQの内部に空気を注入する予備開口が実行される。その後、寿司飯Rの計量が行われ、その途中からターンテーブル2が次ステージへ回転し、チャック7により油揚げQが開けられ、予備開口された油揚げQに空気が吹き込まれて広げられ、挿入棒11によって寿司飯Rが油揚げQの内部に挿入される。
【0081】
油揚げQの予備開口が実行されたならば、ターンテーブル2が回転して当該油揚げQが寿司飯挿入位置に搬送される。
【0082】
このとき、図13および図14に示すように、下側チャック昇降モータ21により下側チャック7aは下限位置にて、一方、上側チャック昇降モータ22により上側チャック7bは上限位置にて、それぞれ待機している。また、チャック開閉モータ23によりプレート30に取り付けられた開閉板33a,33bが下側チャック7aに設けられた開口ノブ7-6および上側チャック7bに設けられた開口ノブ7-6をそれぞれ押圧して一対のチャック7は何れも開口位置になっている。
【0083】
そして、図15に示すように、下側チャック昇降モータ21が動作して、先端がターンテーブル2に形成された孔2hから上に突出する位置まで下側チャック7aが上昇するとともに、上側チャック昇降モータ22が動作して、プリセット番号1により、下側チャック7aの先端までの距離(アゲ掴み高さ)が3mmになるように上側チャック7bが下降する。また、図示するように、このとき、下側チャック7aと上側チャック7bとは開口位置のままとなっている。この状態において、下側チャック7aは、寿司飯挿入位置に搬送されたターンテーブル2の上の油揚げQの下皮側切口部Qcに食い込み、上側チャック7bは油揚げQの上皮側切口部Qcに食い込む。
【0084】
なお、本実施の形態では、一対のチャック7は何れも開口位置となって待機し、そのまま上昇あるいは下降するようになっているが、閉鎖位置となって待機し、上昇あるいは下降しながら開口位置となるようにしたり、閉鎖位置となって待機し、そのまま上昇あるいは下降した後に開口位置になるようにしてもよい。
【0085】
ここで、本実施の形態では、開口ノブ7-6は、前述のように、水平方向に回転軸が配置されたローラとなっているので、当該ローラが開閉板33a,33bを転動して、下側チャック7aおよび上側チャック7bがスムーズに昇降できる。
【0086】
次に、チャック開閉モータ23によりシャフト32を回転させ、下側チャック7aに設けられた開口ノブ7-6および上側チャック7bに設けられた開口ノブ7-6に対する押圧力を弱める方向に開閉板33a,33bを動かす。これにより、図16に示すように、2つのチャック7は圧縮コイルバネ7-4のバネ力により所定幅に狭まって、下側チャック7aは油揚げQの下皮側切口部Qcを、上側チャック7bは油揚げQの上皮側切口部Qcをそれぞれ掴持する。なお、本実施の形態では、プリセット番号1のアゲ掴み強さは「5」となっているが、ここでの数字は掴み強さを1~10の10段階で表した観念的なものであり、寸法を示す数字ではない。
【0087】
次に、図17に示すように、上側チャック昇降モータ22が動作して上側チャック7bが上昇し(プリセット番号1であるから40mm上昇し)、下側チャック7aとで油揚げQの切口部Qcを上下に開口する。
【0088】
このように、油揚げQの切口部Qcを開口したならば、直ちに寿司飯を挿入することもできるが、本実施の形態では、図18に示すように、油揚げQの切口部Qcから内部に送風機構部13により空気が吹き込まれるようになっている。すなわち、送風機構部13によって油揚げQの内部奥にまで空気が吹き込まれ、油揚げQの内部奥までが広げられる。
【0089】
続いて、図19に示すように、挿入棒11によって寿司飯受台9の寿司飯Rが油揚げQの内部に挿入される。
【0090】
寿司飯Rの投入に際しては、先ず、油揚げQの上下皮の切口部Qcを一対のチャック7で掴持したまま、風圧で広げた油揚げQの後端を後押さえ部材12で押さえるとともに、挿入棒11により寿司飯Rを寿司飯受台9の先端まで移動させる。その後、図示するように、寿司飯受台9の先端を油揚げQの内部まで移動させ、続いて、寿司飯Rを挿入棒11により押して油揚げQの内部に挿入することにより、いなり寿司QRを製造する。油揚げQの内部に寿司飯Rを挿入する際、送風機構部13により油揚げQの内部に送られる送風量(単位時間当たりの風量)を徐々に下げる。
【0091】
そして、寿司飯Rが油揚げQに挿入された後、チャック開閉モータ23によりシャフト32を回転させて開閉板33a,33bを下側チャック7aに設けられた開口ノブ7-6および上側チャック7bに設けられた開口ノブ7-6に対する押圧力を強める方向に動かす。これにより、図20に示すように、2つのチャック7は圧縮コイルバネ7-4のバネ力に抗して開き、油揚げQを離す。ここで、プリセット番号1のアゲ離しディレイ時間は5秒であるから、寿司飯Rが油揚げQに挿入されてから5秒後に、一対のチャック7が油揚げQを離すことになる。
【0092】
その後、下側チャック昇降モータ21が動作して下側チャック7aが下降するとともに、上側チャック昇降モータ22が動作して上側チャック7bが上昇し、前述した図13および図14に示す待機位置に戻る。
【0093】
なお、いなり寿司の製造としては、その後、押さえ部材12がターンテーブル2の中央側に戻るのと同期させて挿入棒11をターンテーブル2の中央側にさらに前進させ、いなり寿司QRをターンテーブル2の中央側に移して載置する。その後、挿入棒11を本体部3に戻すとともに、後押さえ部材12をさらにターンテーブル2の中心方向に戻して初期設定に戻る。なお、いなり寿司QRの載置領域は、寿司飯挿入位置の手前近くにおいて、いなり寿司QRを検出器6により検出可能な位置となっている。
【0094】
このような一連の処理を、ターンテーブル2の間欠的な回転動作により本体部3の寿司飯挿入位置に搬送された油揚げQの各々に対して順に施すことにより、いなり寿司QRが量産される。
【0095】
そして、以上説明したように、本実施の形態では、いなり寿司製造時の油揚げQの形状、サイズ、軟らかさ、厚みなど、油揚げQの種類に応じて、油揚げQの切口部Qcを開口する下側チャック7aおよび上側チャック7bの昇降位置や先端開口幅が所望のレベルに設定できるようになっており、これに応じて制御部36が装置の動作を制御するようになっている。
【0096】
したがって、専門的な技能を持った作業者が油揚げQの種類に応じて装置の調整をする必要なく、油揚げの種類に応じた取扱動作を容易に実現することが可能になる。
【0097】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0098】
例えば、前述した実施の形態においては、搬送手段としてターンテーブルを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば直線状や枠状の無端ベルトコンベアを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のいなり寿司製造装置において詰め込まれる寿司飯としては、酢飯に限定されるものではなく、様々なものが適用される。
【符号の説明】
【0100】
1 いなり寿司製造装置
1a 台座
1aa 天板
1c 操作部
1ca 設定入力部(設定手段)
2 ターンテーブル(搬送手段)
2h 孔
2s 載置領域
3 本体部
4 予備開口部(予備開口手段)
7 チャック(掴持手段)
7a 下側チャック(下側掴持手段)
7b 上側チャック(上側掴持手段)
7-1 取付ブロック
7-2 固定爪部
7-3 揺動爪部
7-3a 切り欠き部
7-4 圧縮コイルバネ
7-5 保持ピン
7-6 開口ノブ(開口突起片)
8 寿司飯供給機構部(寿司飯供給手段)
9 寿司飯受台
11 挿入棒(挿入手段)
12 後押さえ部材
12a 押さえ部
12b 支持部
13 送風機構部
13a 送風管
13b 送風口
15 油揚げ押さえ機構
15a バネ
15b 押さえ部
21 下側チャック昇降モータ(第1の昇降手段)
22 上側チャック昇降モータ(第2の昇降手段)
23 チャック開閉モータ(開閉手段)
23a 出力軸
24a,24b スライダ
24a-1,24a-2,24b-1,24b-2 筒状体
25a,25b アーム
26a,26b ロッド
26aa,26ba 軸孔
26ab,26bb 規制ピン
27a,27b クランク
28a,28b 連結棒
29a,29b 規制プレート
29aa,29ba 長孔
30 プレート
30a 側片部
31 平歯車
32 シャフト
33a,33b 開閉板
34 平歯車
35 軸受け
36 制御部(制御手段)
F 揺動支点
M 油揚げ開口機構
Q 油揚げ
QR いなり寿司
Qc 切口部,上皮側切口部,下皮側切口部
R 寿司飯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20