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特許7464365付加部品付きモーターのリード線引出し構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】付加部品付きモーターのリード線引出し構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240402BHJP
   H02K 11/21 20160101ALI20240402BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/21
H02K7/102
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019163157
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021044872
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 廣行
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048693(JP,A)
【文献】特開2008-141936(JP,A)
【文献】特開2002-112482(JP,A)
【文献】特開平08-182151(JP,A)
【文献】特開昭63-133853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/21
H02K 7/102
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加部品付きモーターのリード線引出し構造であって、
前記モーターの回転軸方向に少なくとも一つの前記付加部品が取り付けられており、
前記モーターのリード線が、前記モーターのハウジングの内部から外部に引き出され、さらに軸方向一方向に引き出されており、前記付加部品のリード線が、前記付加部品のハウジングの内部から外部に引き出され、さらに前記軸方向一方向に引き出されており、
前記モーターのハウジングの上面と前記付加部品のハウジングの上面との各々にクランプが取り付けられており、各クランプは、当該クランプが設けられたハウジングの内部から当該ハウジングの上面を通じて外部に引き出されたリード線と、当該クランプが設けられたハウジングの軸方向他方向側に取り付けられたハウジングの内部から当該ハウジングの上面を通じて外部に引き出されたリード線とを固定するものである、
付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項2】
前記少なくとも一つの付加部品は、前記モーターの回転を制動するブレーキと、前記モーターの回転に関する検出を行うセンサーとのいずれか又は両方である、請求項1に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項3】
前記軸方向一方向に引き出された全てのリード線が、前記モーターのハウジングの外部かつ前記付加部品のハウジングの外部にある単一のコネクタに接続される、請求項1又は2に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項4】
前記モーターの複数のリード線がツイストペア配線とされ、かつ前記少なくとも一つの付加部品の各々について、当該付加部品の複数のリード線がツイストペア配線とされている、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項5】
前記クランプが、固定対象となるリード線の引出し方向一端面から前記引出し方向と平行に形成された二つのスリットを備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項6】
前記二つのスリットに挟まれた前記クランプのリード線固定部の底面に、前記固定対象となるリード線を固定する爪部が形成されている、請求項5に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項7】
前記少なくとも一つの付加部品のリード線は、前記モーターのリード線よりも外径が小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【請求項8】
複数の前記クランプの中で最も前記軸方向一方向側に位置するクランプから前記軸方向一方向に引き出された全てのリード線を固定する更に別のクランプを備え、前記更に別のクランプは最も前記軸方向一方向側に位置するハウジングの上面に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の付加部品付きモーターのリード線引出し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加部品付きモーターのリード線引出し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小形電動機において励磁電流供給や信号伝達に使用されるケーブルを電動機ハウジングのケーブル引出し口周辺で固定的に保持するためのケーブル固定装置が開示されている。このケーブル固定装置は、同文献の図2に示されるように、例えば電流供給用及び信号伝達用の各ケーブルをケーブル引出し口周辺で固定的に保持するために使用される。さらにケーブル固定装置は、同文献の図7に示すように、クランプ部材の蓋部のケーブル引出し側の縁部に隆起を設け、この隆起に対向するハウジングの領域に対応の隆起を設けることができる点が記載されている。これらの隆起により、クランプ部材をクランプ作用位置に配置したときのケーブル固定作用がさらに強化されることが開示されている。その他、ケーブル固定装置は、同文献の図5に示すように、ハウジングのケーブル引出し口の周辺に、ケーブル引出し口とケーブルとの間を少なくとも水密式に密封するための防水性接着剤54を設置できるとされている。
【0003】
特許文献2には、電気機器から互いに太さが異なる2種類のリード線を機器外部に引き出すリード線引き出し構造において、複数の細いリード線を所定の捻り区間で捻り合わせ、捻り合わせた前記細いリード線を少なくとも前記捻り区間の前後2箇所で太いリード線に結束して引き出すようにしたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-182151号公報
【文献】特開2002-112482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のケーブル(例えば、電動機の電流供給用ケーブルと信号伝達用ケーブル)を別々のケーブル固定装置により固定した場合、あるケーブル固定装置により固定されているケーブルが別のケーブル固定装置と干渉する可能性がある。電動機にセンサーなどの付加部品が取り付けられる場合は、付加部品のケーブルが電動機ケーブルの固定装置と干渉する可能性もある。
【0006】
また、捻り合わせた複数の細いリード線を捻り区間の前後2箇所で太いリード線に結束する作業は、電動機に複数の付加部品が取り付けられる場合には特に、煩雑である可能性がある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑み、付加部品付きモーターにおいてモーター及び付加部品のリード線を効率的に固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る付加部品付きモーターのリード線引出し構造においては、前記モーターの回転軸方向に少なくとも一つの前記付加部品が取り付けられており、前記モーターのリード線が、前記モーターのハウジングの内部から外部に引き出され、さらに軸方向一方向に引き出されており、前記付加部品のリード線が、前記付加部品のハウジングの内部から外部に引き出され、さらに前記軸方向一方向に引き出されている。前記モーターのハウジングの上面と前記付加部品のハウジングの上面との各々にクランプが取り付けられており、各クランプは、当該クランプが設けられたハウジングの内部から当該ハウジングの上面を通じて外部に引き出されたリード線と、当該クランプが設けられたハウジングの軸方向他方向側に取り付けられたハウジングの内部から当該ハウジングの上面を通じて外部に引き出されたリード線とを固定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、付加部品付きモーターにおいてモーター及び付加部品のリード線を効率的に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】クランプにより固定されたリード線を示す説明図である。
図2】第1実施形態における付加部品付きモーターの側面図である。
図3】第1実施形態における付加部品付きモーターの斜視図である。
図4】クランプ及びリード線の拡大図である。
図5】クランプ及びリード線の別の拡大図である。
図6】クランプ及びリード線のさらに別の拡大図である。
図7】第2実施形態における付加部品付きモーターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
クランプを用いたリード線の固定に関わる問題について、本発明の発明者は以下に述べるように鋭意検討を行った。
【0012】
図1に、センサーのハウジング上面105に取り付けられたクランプの爪部120を示す。この爪部120により、センサーのハウジング内部から外部に引き出されたセンサーリード線110が固定されている。リード線110は爪部120により固定されているため、リード線110の引張りに対する固定強度(引出し方向Y0に平行な方向の固定強度)は一定程度得られる。しかし、引出し方向を基準とした左右方向(矢印Y1として示す方向)の固定強度は十分ではない。すなわち、爪部120が支点となって、引出し方向を基準とした左右方向にリード線110が動いてしまう可能性がある。リード線110が左右方向に動くと、センサーのハウジング内のセンサー本体部とリード線110との接続部(不図示)にストレスがかかるという問題がある。
【0013】
リード線110がフッ素樹脂系材料による被覆が施されたリード線である場合、被覆部の摩擦係数が低いことからリード線110が滑りやすく、また、被覆部が硬いことから、爪部120が被覆部に食い込みにくい。そのため、フッ素樹脂系材料により被覆が施されている場合、左右方向に動いてしまうという上記問題が顕著である。
【0014】
上記問題は、センサーのリード線のみならず、クランプにより固定されるリード線一般に当てはまる。
【0015】
以上の検討結果を踏まえた本発明の実施形態を以下に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。なお、図において、矢印A1はモーターの出力軸方向を示し、矢印A2は反出力軸方向(モーターの出力軸方向とは正反対の方向)を示す。出力軸方向と反出力軸方向とをまとめて回転軸方向と呼ぶ。
【0016】
[第1実施形態]
図2及び図3に、本実施形態における付加部品付きモーター20を示す。付加部品付きモーター20は、出力軸7aを有するモーター7と、該モーターの付加部品であるセンサー1及びブレーキ4とを備えている。センサー1はモーター7の回転に関する検出を行い、ブレーキ4は、モーター7の回転を制動するとともに、モーター停止時には保持トルクをもたらす。モーター7の反出力軸側にブレーキ4が取り付けられ、ブレーキ4の反出力軸側にセンサー1が取り付けられている。
【0017】
センサー1のハウジング上面に、センサー1のハウジング内部から外部に引き出されたセンサーリード線2を固定するセンサー線クランプ3が設けられている。センサーリード線2は、センサー線クランプ3から出力軸方向に引き出されている。
【0018】
ブレーキ4のハウジング上面にブレーキ線クランプ6が設けられている。ブレーキ線クランプ6は、ブレーキ4のハウジング内部から外部に引き出されたブレーキリード線5と、センサー線クランプ3から出力軸方向に引き出されたセンサーリード線2とを固定している。ブレーキリード線5とセンサーリード線2とは、ブレーキ線クランプ6から出力軸方向に引き出されている。
【0019】
モーター7のハウジング上面にモーター線クランプ9が設けられている。モーター線クランプ9は、モーター7のハウジング内部から外部に引き出されたモーターリード線8と、ブレーキ線クランプ6から出力軸方向に引き出されたブレーキリード線5及びセンサーリード線2とを固定している。モーターリード線8とブレーキリード線5とセンサーリード線2とは、モーター線クランプ9から出力軸方向に引き出され、出力リード線群10として、単一のコネクタ11に接続される。コネクタ11は、付加部品付きモーター20を駆動させる駆動装置(不図示)に接続される。
【0020】
リード線寸法及びリード線のクランプ寸法の例は以下の通りである。クランプ寸法とは、クランプの爪部からクランプが取り付けられたハウジング表面までの寸法である。なお、以下の例では、ブレーキリード線の寸法は、モーターリード線の寸法と同様である。
<リード線寸法の例>
・モーターリード線8 AWG22(リード線被覆外径 φ1.4mm)
・ブレーキリード線5 AWG22(リード線被覆外径 φ1.4mm)
・センサーリード線2 AWG26(リード線被覆外径 φ1.1mm)
<クランプ寸法の例>
・モーターリード線8のクランプ寸法 1.0mm
・ブレーキリード線5のクランプ寸法 1.0mm
・センサーリード線2のクランプ寸法 0.7mm
【0021】
本実施形態によれば、まずセンサーリード線2は、センサー線クランプ3によって固定される。次に、センサーリード線2は、ブレーキリード線5とともにブレーキ線クランプ6によって固定される。続いて、センサーリード線2は、ブレーキリード線5及びモーターリード線8とともにモーター線クランプ9によって固定される。
【0022】
つまり、上記3種類のリード線の中で最も外径が小さいセンサーリード線2は、複数のクランプすなわちセンサー線クランプ3とブレーキ線クランプ6とモーター線クランプ9とにより固定される。さらに、センサーリード線2は、当該センサーリード線よりも外径が大きい別の種類のリード線とともにクランプ6及び9により固定される。そのため、センサーリード線2がセンサー線クランプ3を支点としてセンサーハウジング上面上で動いてしまう可能性を低減することができる。その結果、センサーリード線2の内部接続部(センサー1のハウジング内部におけるセンサー本体部との接続部)に及ぶストレスが抑えられる。
【0023】
ブレーキリード線5は、別の種類のリード線とともに、複数のクランプすなわちブレーキ線クランプ6とモーター線クランプ9とにより固定される。そのため、ブレーキリード線5がブレーキ線クランプ6を支点としてブレーキハウジング上面上で動いてしまう可能性を低減することができる。その結果、ブレーキリード線5の内部接続部(ブレーキ4のハウジング内部におけるブレーキ本体部との接続部)に及ぶストレスが抑えられる。
【0024】
モーターリード線8については、単一のクランプすなわちモーター線クランプ9により、別の種類のリード線2及び5とともに固定される。モーターリード線が他のリード線とともにではなく単独で固定される場合に比べ、モーターリード線8がモーター線クランプ9を支点としてモーターハウジング上面上で動いてしまう可能性を低減することができる。その結果、モーターリード線8の内部接続部(モーター7のハウジング内部におけるモーター本体部との接続部)に及ぶストレスが抑えられる。
【0025】
このように、センサーリード線2とブレーキリード線5とモーターリード線8とがまとめて少なくとも一つのクランプにより固定されるため、各リード線が別個に固定される場合に比べて、各リード線が各ハウジング上面上で動いてしまう可能性を低減することができる。その結果、各リード線の内部接続部に及ぶストレスが抑えられる。
【0026】
ブレーキリード線5は2つのクランプにより固定され、センサーリード線2にあっては3つのクランプにより固定されることから、これらのリード線の内部接続部に及ぶストレスが一層抑えられる。
【0027】
なお、モーター7のハウジング上面において、モーター線クランプ9から出力軸方向に間隔を置いて、出力リード線群10を固定する出力リード線群クランプ12を設けてもよい(図3)。これにより、モーターリード線8の内部接続部に及ぶストレスをさらに抑えることができる。
【0028】
図2及び図3においては、モーターの反出力軸側にブレーキ及びセンサーが順に取り付けられているが、ブレーキ及びセンサーの順序を入れ替えてもよい。あるいは、モーターに対して、ブレーキ及びセンサーの一方のみを取り付けてもよい。モーターに対して、ブレーキ及びセンサー以外の他の付加部品を取り付けてもよい。さらには、モーターの出力軸側に付加部品を取り付けてもよい。つまり、モーターに対して、そのモーターの回転軸方向に付加部品が取り付けられていればよい。
【0029】
ノイズの影響を低減するために、複数のモーターリード線をツイストペア配線とすることができる。また、少なくとも一つの付加部品のリード線についても、一つの付加部品につき複数のリード線をツイストペア配線とすることができる。付加部品がブレーキ及びセンサーであれば、ブレーキの複数のリード線をツイストペア配線とし、センサーの複数のリード線もまたツイストペア配線とすることができる。
【0030】
また、ハウジング上部のデッドスペースの高さは、複数のクランプの中で最大の高さ寸法Hに等しい(図2)。デッドスペースの高さHは、クランプの上方にリード線又はケーブルを引き出す場合に比べて小さい。そのため、ハウジング上部のデッドスペースの高さが抑えられ、省スペース設計がしやすい。付加部品付きモーターの駆動装置(不図示)をハウジング上部に設けることも可能である。
【0031】
図4図6に、固定対象となるリード線の外径差、寸法誤差がある場合に対応したクランプの実施例を示す。クランプ強度は、リード線の外径寸法とクランプの爪の高さ寸法の差(締め代)に依存する。他方、クランプもリード線の被覆も一般的に成形により製造されるため、寸法精度が出しにくい。そのため、締めすぎによるリード線の断線リスクを避けつつクランプ強度を保つのは難しく、クランプ強度の設計値を決定するために試作を繰り返す必要がある。また、モーター出力に応じて、選定されるリード線の外径が変わる場合があるが、外径に関わらず共通のクランプを使用するのはさらに難易度が増す。このような場合に対処するために、後述のとおりクランプにスリットを設けて弾性変形しやすくすることで、寸法誤差やリード線の違いによる差異を吸収することができる。
【0032】
クランプの材料の例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ナイロン、エラストマーが挙げられる。
【0033】
図4に、モーターハウジング上面に取り付けられたモーター線クランプ9と、同クランプにより固定されるセンサーリード線2及びモーターリード線8を示す。なお、ブレーキリード線5は図示を省略している。クランプ9は、固定対象となるリード線の引出し方向一端面から引出し方向と平行に形成された二つのスリット91を備えている。これにより、二つのスリット91に挟まれるように、クランプ9のリード線固定部92が形成されている。リード線固定部92は、スリット91が設けられたクランプ9の弾性変形により、矢印Y2に示す方向に沿って可動である。リード線固定部92の底面には、下方に突出した形状の爪部93が形成されている。爪部93により固定対象となるリード線が固定される。
【0034】
リード線固定部92が可動であることにより、固定対象となる複数のリード線間の外径差、寸法誤差を吸収することができる。
【0035】
[第2実施形態]
図7に示すように、各リード線を反出力軸方向に引き出すことも可能である。すなわち、モーター線クランプ9により、モーターリード線8が固定される。モーターリード線8は、モーター線クランプ9から反出力軸方向に引き出されている。
【0036】
ブレーキ線クランプ6により、ブレーキリード線5とモーターリード線8とが固定される。ブレーキリード線5及びモーターリード線8は、ブレーキ線クランプ6から反出力軸方向に引き出されている。
【0037】
センサー線クランプ3により、センサーリード線2とブレーキリード線5とモーターリード線8とが固定される。センサーリード線2とブレーキリード線5及びモーターリード線8は、出力リード線群10として、センサー線クランプ3から反出力軸方向に引き出されている。
【0038】
本実施形態によっても、各リード線の内部接続部へのストレスを抑えることができる。なお、センサー1のハウジング上面において、センサー線クランプ3から反出力軸方向に間隔を置いて、出力リード線群10を固定する出力リード線群クランプ12aを設けてもよい。これにより、センサーリード線2の内部接続部に及ぶストレスを一層抑えることができる。
【0039】
上述の第1実施形態及び第2実施形態におけるモーター7は、高精度な位置制御や速度制御が必要な用途で使用されるものである。正確な速度や位置制御をさせるためには、モーターの外部にエンコーダやホール素子などのセンサーが必要となる。また、モーター7の出力軸に取り付けられた駆動対象物が上下方向に動く場合、停電時の落下対策として電磁ブレーキを設ける必要がある。
【0040】
センサーの一種であるエンコーダには、一般的に光学式や磁気式などの検出方式が存在するが、いずれの方法も複数の信号線と信号発生に必要な電源線との組み合わせが必要となる。また、モーターに対し軸方向にセンサーや電磁ブレーキを設ける際には軸方向の長さを短くするために、センサー及び電磁ブレーキを小型にすることが求められる。限られたスペースで基板と複数のリード線を接続する構造では、リード線が動いてしまうことによるストレスは基板接続部に直接加わることになり、センサー線と基板接続部が断線することがある。このような理由によりセンサーのリード線として従来、リード線ではなくケーブルを採用し、ケーブル自体をクランプすることで断線を防止する構造としている。
【0041】
また、近年の傾向として、位置制御や速度制御用モーターには高速化が求められており、実現するためにはモーターに大電流を流す必要がある。他方、大電流を流すことによりモーター損失が増加するが、その損失を少しでも抑えるために導線部の太いリード線を採用する必要がある。このような理由によりモーター線とセンサー線の外径差が発生する要因となる。
【0042】
ケーブルを使用した位置制御や速度制御用のモーターを設置する際、ケーブルの屈曲半径は、当該ケーブルの推奨値となる屈曲半径以上とすることが求められる。もし屈曲半径の推奨値未満で設置した場合には、ケーブルの絶縁材の破損や、ケーブルの心線の破断によりモーターの不具合の要因となる。そのため、設置スペースに余裕がないロボットに使用する用途では、モーター及び付加部品のリード線を、屈曲半径の推奨値がケーブルよりも小さいリード線とすることへのニーズがある。上述の第1実施形態及び第2実施形態は、このようなニーズに対応したものである。
【0043】
上述の第1実施形態及び第2実施形態に基づく付加部品付きモーターのリード線引出し構造においては、まず、モーターの回転軸方向に少なくとも一つの付加部品が取り付けられている。モーターのリード線は、前記モーターのハウジングの内部から外部に引き出され、さらに軸方向一方向に引き出されている。付加部品のリード線は、前記付加部品のハウジングの内部から外部に引き出され、さらに前記軸方向一方向に引き出されている。そして、モーターのハウジングと付加部品のハウジングとの各々にクランプが設けられている。各クランプは、当該クランプが設けられたハウジングの内部から外部に引き出されたリード線と、当該クランプが設けられたハウジングの軸方向他方向側に取り付けられたハウジングの内部から外部に引き出されたリード線とを固定する。
【0044】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 センサー、2 センサーリード線、3 センサー線クランプ
4 ブレーキ、5 ブレーキリード線、6 ブレーキ線クランプ
7 モーター、7a 出力軸、8 モーターリード線、9 モーター線クランプ
10 出力リード線群、11 コネクタ
20 付加部品付きモーター
91 スリット、92 可動部、93 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7