(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B25J19/00 K
(21)【出願番号】P 2019163829
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友樹
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のロボットに搭載された無線デバイスにより送信される前記ロボットの動作状態のデータを含む信号を受信するロボット制御装置であって、
前記無線デバイスからの前記データを含む信号を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段で受信された前記信号が制御対象でない他のロボットからの信号の場合、前記他のロボットを制御する他のロボット制御装置に転送する転送手段と、
前記他のロボット制御装置から転送された信号を受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段により受信された信号
が予め設定された許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定し、
前記第1受信手段により受信された信号が前記外れ値を取ると判定された場合に前記第2受信手段により受信された信号が
前記外れ値を取るか否かを判定する信号処理手段と、
を備える、ロボット制御装置。
【請求項2】
教示操作盤を備え、
前記第1受信手段は、前記教示操作盤に着脱可能に接続される、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記転送手段は、前記第1受信手段により受信された前記他のロボットの動作状態のデータを含む信号を、有線を介して前記他のロボットを制御する他のロボット制御装置に転送する、請求項1又は請求項2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記第2受信手段により複数の前記他のロボット制御装置から信号が受信された場合、複数の前記他のロボット制御装置から受信された信号に対して平均化処理を行う、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット制御装置には、制御対象のロボットの動作状態(例えば、位置や姿勢等)のデータを、ロボットに配置された無線デバイスにより送信される無線信号を用いて取得するものがある。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロボット制御装置とロボットの無線デバイスとの間に壁やワーク等の遮蔽物がある場合や、ロボットの姿勢によりロボット自体が無線デバイスの遮蔽物となる場合等、ロボット制御装置はロボットの動作状態のデータの信号を受信することが難しい。この場合、ロボット制御装置は、ロボットの動作状態のデータの信号を所定時間受信できず、ロボットに何らかの異常が発生したと判断し、ロボットとの通信をタイムアウトする。
【0005】
そこで、遮蔽物がある場合でもロボット制御装置はロボットからデータを確実に受信することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボット制御装置の一態様は、制御対象のロボットに搭載された無線デバイスにより送信される前記ロボットの動作状態のデータを含む信号を受信するロボット制御装置であって、前記無線デバイスからの前記データを含む信号を受信する第1受信手段と、前記第1受信手段で受信された前記信号が制御対象でない他のロボットからの信号の場合、前記他のロボットを制御する他のロボット制御装置に転送する転送手段と、前記他のロボット制御装置から転送された信号を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段により受信された信号、及び/又は前記第2受信手段により受信された信号を処理する信号処理手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、遮蔽物がある場合でもロボット制御装置はロボットからデータを確実に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るロボットシステム1のブロック図である。
【
図2】信号に含まれる動作状態のデータ一例を示す図である。
【
図3】ロボット制御装置が備える機能ブロックを示す図である。
【
図4】ロボット制御装置の信号処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を用いて説明する。
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係るロボットシステム1のブロック図である。
図1に示すように、ロボットシステム1は、例えば、同じ工場にn個のロボット制御装置10(1)-10(n)、教示操作盤20(1)-20(n)、及びロボット30(1)-30(n)を有する。なお、nは2以上の整数である。
以下、ロボット制御装置10(1)-10(n)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ロボット制御装置10」ともいう。また、教示操作盤20(1)-20(n)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「教示操作盤20」ともいう。また、ロボット30(1)-30(n)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ロボット30」ともいう。
【0010】
ロボット制御装置10(i)、教示操作盤20(i)及びロボット30(i)は1組として構成される(iは1からnの整数)。そして、ロボット制御装置10(i)と教示操作盤20(i)、及びロボット制御装置10(i)とロボット30(i)は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。
また、ロボット制御装置10(i)とロボット30(i)の手先に搭載されたデバイスとを有線で接続することは、接続ケーブルの引き回しが発生するため、有線による通信が実質困難となる。そこで、教示操作盤20(i)とロボット30(i)とは、後述するように、教示操作盤20(i)に接続された無線デバイス25(i)とロボット30(i)の手先に搭載された無線デバイス35(i)とにより無線で互いに接続される。
また、ロボット制御装置10(1)-10(n)は、有線でLAN(Local Area Network)等のネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して相互に接続されていてもよい。この場合、ロボット制御装置10(1)-10(n)は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えてもよい。
なお、ロボット制御装置10(i)とロボット30(i)は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されたが、ネットワーク50を介して接続されていてもよい。この場合、ロボット制御装置10(i)、及びロボット30(i)は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えてもよい。
【0011】
ロボット制御装置10(i)は、プログラムを解析して、制御対象のロボット30(i)に対して動作の制御指令を出力し、ロボット30(i)の動作を制御する制御装置(「ロボットコントローラ」とも呼ばれる)である。
ロボット制御装置10(i)は、制御指令に対するロボット30(i)の動作状態のデータを、後述するように、教示操作盤20(i)の無線デバイス25(i)とロボット30(i)の手先に搭載された無線デバイス35(i)との間の無線通信を介して教示操作盤20(i)から取得する。
また、ロボット制御装置10(i)は、後述するように、教示操作盤20(i)の無線デバイス25(i)を介して、制御対象でない他のロボット30(k)の手先に搭載された無線デバイス35(k)から他のロボット30(k)の動作状態のデータを受信してもよい。なお、kは、iと異なる1からnの整数である。この場合、ロボット制御装置10(i)は、受信した他のロボット30(k)の動作状態のデータを、ネットワーク50を介して他のロボット制御装置10(k)に転送する。換言すれば、ロボット制御装置10(i)は、他のロボット制御装置10(k)により受信されたロボット30(i)の動作状態のデータを、ネットワーク50を介して他のロボット制御装置10(k)から取得する。
これにより、ロボット制御装置10(i)は、教示操作盤20(i)とロボット30(i)の手先に搭載された無線デバイス35(i)との間に壁やワーク等の遮蔽物がある場合や、ロボット30(i)の姿勢によりロボット30(i)自体が遮蔽物となる場合でも、他のロボット制御装置10(k)が前記遮蔽物を回避できる位置にある場合、他のロボット30(k)から状態のよい信号を受信することができる。
【0012】
教示操作盤20(i)は、ロボット30(i)を自動運転する際に、例えば、ロボット30(i)に対して動作を教示するために作業者が操作する装置である。教示操作盤20(i)は作業者からの操作に基づいて、ロボット制御装置10(i)に対して操作信号を送信する。
また、教示操作盤20(i)には、ロボット30(i)の手先に搭載された無線デバイス35(i)との間で無線通信する第1受信手段としての無線デバイス25(i)が接続される。無線デバイス25(i)は、無線デバイス35(i)から直接受信した信号(以下、「直接受信信号」ともいう)を復調し、復調した直接受信信号をロボット制御装置10(i)に出力する。また、無線デバイス25(i)は、他のロボット30(k)の無線デバイス35(k)からの動作状態のデータの信号も直接受信信号として受信する。そして、無線デバイス25(i)は、受信した他のロボット30(k)のデータの直接受信信号も復調し、ロボット制御装置10(i)に出力する。
なお、無線デバイス25(i)は、USB(Universal Serial Bus)デバイスのように着脱可能に教示操作盤20(i)に配置されてもよい。
【0013】
ロボット30(i)は、ロボット制御装置10(i)の制御指示に基づいて動作するロボットである。ロボット30(i)は、ロボット制御装置10(i)の制御指示に基づいてアームや、ハンド等のエンドエフェクタといった可動部を駆動する。ロボット30(i)は、例えば、自動車や電子部品を生産する工場で使用される一般的な産業用ロボットにより実現することができる。
また、ロボット30(i)のアームやハンド等の可動部には、教示操作盤20(i)の無線デバイス25(i)との間で無線通信する無線デバイス35(i)が搭載される。無線デバイス35(i)は、ロボット30(i)の動作状態のデータの信号を変調して搬送波に乗せて送信する。なお、無線デバイス35(i)は取り外し可能なものでもよい。
【0014】
なお、無線デバイス35(i)が送信する信号(パケット)には、少なくともロボット30(i)のアドレスを示すMAC(Media Access Control)アドレス等の送信元アドレス、ロボット制御装置10(i)のアドレスを示すMACアドレス等の送信先アドレス、及びロボット30(i)の動作状態のデータが含まれる。
図2は、信号に含まれる動作状態のデータ一例を示す図である。
図2に示すように、動作状態のデータには、例えば、このデータがデータの送信開始(例えば「0」等の初期値)から何番目のものかを示すシーケンス番号、及び「1」で送信完了を示す送信フラグが含まれる。また、データには、ロボット30(i)の位置データであるX軸座標(X)、Y軸座標(Y)、Z軸座標(Z)が含まれる。また、データには、ロボット30(i)の姿勢データであるX軸周りの回転角(W)、Y軸周りの回転角(P)、Z軸周りの回転角(R)、及びその他の姿勢データであるconfigrationが含まれる。
なお、無線デバイス35(i)が送信する信号には、上述のデータ以外にも、加速度等のデータが含まれてもよい。
【0015】
<ロボット制御装置10(i)が備える機能ブロック>
次に、ロボット制御装置10(i)が備える機能ブロックについて説明をする。
図3に示すように、ロボット制御装置10(i)は、制御部100を有する。さらに、制御部100は、転送手段110、ネットワーク受信手段120、及び信号処理手段130を有する。
【0016】
制御部100は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUはロボット制御装置10(i)を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従ってロボット制御装置10(i)全体を制御する。これにより、
図3に示すように、制御部100が、転送手段110、ネットワーク受信手段120、及び信号処理手段130の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、ロボット制御装置10(i)の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0017】
転送手段110は、無線デバイス25(i)で受信された直接受信信号が制御対象でない他のロボット30(k)からの信号の場合、他のロボット30(k)を制御するロボット制御装置10(k)に転送する。
具体的には、転送手段110は、例えば、無線デバイス25(i)が受信した直接受信信号の送信先アドレスがロボット制御装置10(i)であるか否かを判定する。転送手段110は、送信先アドレスがロボット制御装置10(i)でない場合、直接受信信号に含まれる他のロボット30(k)のデータを、ネットワーク50を介して送信先アドレスが示す他のロボット制御装置10(k)に転送する。
【0018】
ネットワーク受信手段120は、第2受信手段として他のロボット制御装置10(k)から転送された信号を受信する。
具体的には、ネットワーク受信手段120は、例えば、他のロボット制御装置10(k)により転送された信号のうち、ロボット制御装置10(i)が送信先アドレスとなっている信号(以下、「転送受信信号」ともいう)を受信する。ネットワーク受信手段120は、受信した転送受信信号を信号処理手段130に出力する。
【0019】
信号処理手段130は、無線デバイス25(i)で受信された直接受信信号、及びネットワーク受信手段120で受信された転送受信信号それぞれを処理する。
具体的には、信号処理手段130は、例えば、最新の直接受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して予め設定された許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定する。例えば、信号処理手段130は、最新の直接受信信号におけるロボット30(i)のデータの値が許容変動値以下の場合、遮蔽物による直接受信信号の劣化がないと判定し、直接受信信号のロボット30(i)の動作状態のデータを利用することを決定する。
【0020】
一方、例えば、直近の受信信号のロボット30(i)の位置データが1800mmであり、最新の直接受信信号の位置データが1000mmであるような場合、位置データの変動量は800mmとなる。例えば、許容変動値が200mmと設定されている場合、この変動量800mmは許容変動値を超えることから、信号処理手段130は、最新の直接受信信号におけるロボット30(i)の位置データが外れ値を取ると判定する。そして、信号処理手段130は、遮蔽物により直接受信信号が劣化していると判定し、転送受信信号を利用することを決定する。
この場合、信号処理手段130は、最新の転送受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定する。信号処理手段130は、最新の転送受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが許容変動値以下で外れ値を取らない場合、最新の転送受信信号のロボット30(i)のデータを利用することを決定する。一方、信号処理手段130は、最新の転送受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが許容変動値を超えた外れ値を取る場合、前記転送受信信号のデータを使用しないことを決定する。
【0021】
なお、信号処理手段130は、複数の他のロボット制御装置10(k)から転送受信信号を受信する場合、複数の他のロボット制御装置10(k)から受信した転送受信信号のロボット30(i)の動作状態のデータに対して平均化処理を行ってもよい。信号処理手段130は、平均した転送受信信号の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定してもよい。
【0022】
<ロボット制御装置10(i)の信号処理>
次に、本実施形態に係るロボット制御装置10(i)の信号処理に係る動作について説明する。
図4は、ロボット制御装置10(i)の信号処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、直接受信信号が受信される毎に繰り返し実行される。
【0023】
ステップS11において、信号処理手段130は、最新の直接受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定する。最新の直接受信信号のデータが外れ値を取る場合、処理はステップS13に進む。一方、最新の直接受信信号のデータが許容変動値以下で外れ値を取らない場合、処理はステップS12に進む。
【0024】
ステップS12において、信号処理手段130は、直接受信信号のロボット30(i)の動作状態のデータを使用し、処理は終了する。
【0025】
ステップS13において、信号処理手段130は、ネットワーク受信手段120を介して複数の他のロボット制御装置10(k)から受信した複数の転送受信信号を利用するか否かを判定する。複数の転送受信信号を利用する場合、処理はステップS14に進む。一方、複数の転送受信信号を利用しない場合、ステップS15に進む。
【0026】
ステップS14において、信号処理手段130は、複数の他のロボット制御装置10(k)から受信した複数の転送受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータに対して平均化処理を行う。
【0027】
ステップS15において、信号処理手段130は、1つの最新の転送受信信号、又はステップS14で平均化された転送受信信号におけるロボット30(i)の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定する。転送受信信号におけるロボット30(i)のデータが外れ値を取らない場合、処理はステップS16に進む。一方、転送受信信号におけるロボット30(i)のデータが外れ値を取る場合、信号処理手段130は転送受信信号のデータを使用しないことを決定し、処理は終了する。
【0028】
ステップS16において、信号処理手段130は、1つの最新の転送受信信号、又はステップS14で平均化された転送受信信号のロボット30(i)の動作状態のデータを使用する。
【0029】
以上により、一実施形態に係るロボット制御装置10は、教示操作盤20の無線デバイス25を介して、制御対象のロボット30の動作状態のデータを受信するとともに、制御対象でない他のロボット30の動作状態のデータを受信する。ロボット制御装置10は、ネットワーク50を介して、受信した他のロボット30の動作状態のデータを、他のロボット30を制御する他のロボット制御装置10に転送する。また、ロボット制御装置10は、ネットワーク50を介して他のロボット制御装置10により転送された制御対象のロボット30の動作状態のデータを受信する。すなわち、ロボット制御装置10は、制御対象のロボット30に搭載された無線デバイス35からロボット30の動作状態のデータを直接受信するとともに、ネットワーク50を介して他のロボット制御装置10により転送されたロボット30の動作状態のデータを受信する。
これにより、ロボット制御装置10は、教示操作盤20とロボット30との間に遮蔽物がある場合や、ロボット30の姿勢によってロボット30自体が無線デバイス35の遮蔽物となる場合でも、ロボット30からデータを確実に受信することができる。
【0030】
以上、一実施形態について説明したが、上述の実施形態に限定されるものではなく、ロボット制御装置10は目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0031】
<変形例1>
上述の実施形態では、無線デバイス25は、教示操作盤20に接続されたが、これに限定されず、ロボット制御装置10に含まれてもよい。
【0032】
<変形例2>
また例えば、上述の実施形態では、信号処理手段130は、最新の直接受信信号又は転送受信信号におけるロボット30の動作状態のデータが、直近の受信信号の動作状態のデータと比較して予め設定された許容変動値を超えた外れ値を取るか否かを判定したが、これに限定されない。例えば、信号処理手段130は、最新の直接受信信号又は転送受信信号が示すシーケンス番号が、直近の受信信号のシーケンス番号に連続する値か否かを判定してもよい。これにより、信号処理手段130は、遮蔽物による信号の劣化の有無を判定するとともに、どのシーケンス番号のロボット30の動作状態のデータが欠損したかを検知することができる。
【0033】
<変形例3>
また例えば、上述の実施形態では、ロボット制御装置10は、他の全てのロボット制御装置10から転送受信信号を受信したが、これに限定されない。例えば、ロボット制御装置10(1)-10(n)は、2以上の複数のグループに分けられてもよい。ロボット制御装置10は、同じグループの他のロボット制御装置10からのみ転送受信信号を受信してもよい。
そうすることで、ロボット制御装置10の処理を軽減することができる。なお、グループ分けは、所定の距離の範囲や、ロボット30が行う作業内容等に応じて決められてもよい。
【0034】
なお、一実施形態における、ロボット制御装置10に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0035】
ロボット制御装置10に含まれる各構成部は、電子回路等を含むハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ(ロボット制御装置10)にインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。また、ハードウェアで構成する場合、上記の装置に含まれる各構成部の機能の一部又は全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0036】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0037】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0038】
以上を換言すると、本開示のロボット制御装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0039】
本開示のロボット制御装置10は、制御対象のロボット30に搭載された無線デバイス35により送信されるロボット30の動作状態のデータを含む信号を受信するロボット制御装置であって、無線デバイス35からのデータを含む信号を受信する無線デバイス25と、無線デバイス25で受信された信号が制御対象でない他のロボット30からの信号の場合、他のロボット30を制御する他のロボット制御装置10に転送する転送手段110と、他のロボット制御装置10から転送された信号を受信するネットワーク受信手段120と、無線デバイス25により受信された信号、及び/又はネットワーク受信手段により受信された信号を処理する信号処理手段130と、を備える。
このロボット制御装置10によれば、遮蔽物がある場合でもロボット30からデータを確実に受信することができる。
【0040】
(2)教示操作盤20を備え、無線デバイス25は、教示操作盤20に着脱可能に接続されてもよい。
そうすることで、無線デバイス25を任意の位置に配置することができる。
【0041】
(3)転送手段110は、無線デバイス25により受信された他のロボット30の動作状態のデータを含む信号を、有線を介して他のロボット30を制御する他のロボット制御装置10に転送してもよい。
そうすることで、他のロボット制御装置10が遮蔽物を回避できる位置にある場合、状態のよい信号を受信することができる。
【0042】
(4)信号処理手段130は、少なくとも無線デバイス25により受信された信号における制御対象のロボット30のデータの状態に基づいて、無線デバイス25により受信された信号、又はネットワーク受信手段120により受信された信号のいずれかを使用することを決定してもよい。
そうすることで、状態のよい信号を選択することによりロボット30からデータを確実に受信することができる。
【0043】
(5)信号処理手段130は、ネットワーク受信手段120により複数の他のロボット制御装置10から信号が受信された場合、複数の他のロボット制御装置10から受信された信号に対して平均化処理を行ってもよい。
そうすることで、各他のロボット制御装置10において受信された信号に対する劣化を低減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ロボットシステム
10(1)-10(n) ロボット制御装置
110 転送手段
120 ネットワーク受信手段
130 信号処理手段
20(1)-20(n) 教示操作盤
25(1)-25(n) 無線デバイス
30(1)-30(n) ロボット
35(1)-35(n) 無線デバイス