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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】子供用育児器具
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B60N2/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019186637
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021020661
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019139100
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508189474
【氏名又は名称】ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕司
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-116273(JP,A)
【文献】特開2019-026147(JP,A)
【文献】特表2019-519437(JP,A)
【文献】米国特許第05061012(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
B60N 2/26
B62B 9/24
A47D 1/00
A47D 9/00
A47D 13/02
A47D 13/04
A47D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部と背もたれ部とを含む座席と、
前記背もたれ部に設けられ、前記座席に着座した子供の体を拘束する拘束位置と、子供の体を拘束しない開放位置とに切り換えられる拘束ベルトユニットと、
前記座席に設けられ、第1位置と第2位置とへ位置変更可能な操作部と、
前記操作部を前記第1位置から前記第2位置に位置変更させることに伴って、前記拘束ベルトユニットを前記拘束位置から前記開放位置に位置変更させる連結部とを備え、
前記操作部を前記第2位置から前記第1位置に位置変更させることに伴って、前記拘束ベルトユニットを記開放位置から前記拘束位置に位置変更させる、子供用育児器具。
【請求項2】
前記拘束ベルトユニットは、前記座席に着座した子供の肩を拘束する肩ベルトユニットである、請求項1に記載の子供用育児器具。
【請求項3】
前記肩ベルトユニットは、肩ベルトと、その一端部が前記背もたれ部に連結され、その他端部が前記肩ベルトに連結された肩ベルト支持部とを含み、
前記肩ベルト支持部は、前記連結部に連結されている、請求項2に記載の子供用育児器具。
【請求項4】
前記連結部は、前記操作部の操作により変位可能に設けられる変位部材と、その一端部が前記変位部材に連結され、その他端部が前記肩ベルトユニットに連結された連結ワイヤとを含む、請求項2または3に記載の子供用育児器具。
【請求項5】
前記操作部は、前記座面部に設けられ、前記座席に着座した子供の股の間を延びる股部部材である、請求項1~4のいずれかに記載の子供用育児器具。
【請求項6】
前記連結部の途中位置において、前記連結部の位置変更により移動可能に設けられ、前記肩ベルトユニットを前記開放位置に向かうように付勢する移動部材をさらに備え、
前記連結部は、その一端部が前記移動部材に連結され、その他端部が前記操作部に連結された第1連結ワイヤと、その一端部が前記肩ベルトユニットに連結され、その他端部が記移動部材に連結され、前記移動部材の付勢力に抗して前記肩ベルトユニットを前記拘束位置にもたらす第2連結ワイヤとを含む、請求項2~4のいずれかに記載の子供用育児器具。
【請求項7】
前記移動部材は、一方方向に移動するように付勢するばねを含む、請求項6に記載の子供用育児器具。
【請求項8】
前記操作部が前記第1位置にある場合に、前記変位部材の位置をロックするロック機構をさらに備える、請求項4に記載の子供用育児器具。
【請求項9】
座面部と背もたれ部とを含む座席と、
前記背もたれ部に設けられ、前記座席に着座した子供の体を拘束する拘束位置と、子供の体を拘束しない開放位置とに切り換えられる拘束ベルトユニットと、
前記座席に設けられ、座席に着座した子供の股の間を延びる股部部材であり、第1位置と第2位置とへ位置変更可能な操作部と、
前記拘束ベルトユニットと前記操作部との動きを連動させ、前記操作部を前記第1位置から前記第2位置に位置変更させることに伴って、前記拘束ベルトユニットを前記拘束位置から前記開放位置に位置変更させる連結部とを備える、子供用育児器具。
【請求項10】
座面部と背もたれ部とを含む座席と、
前記背もたれ部に設けられ、前記座席に着座した子供の体を拘束する拘束位置と、子供の体を拘束しない開放位置とに切り換えられる拘束ベルトユニットと、
前記座席に設けられ、座席に着座した子供の股の間を延びる股部部材であり、第1位置と第2位置とへ位置変更可能な操作部と、
前記拘束ベルトユニットと前記操作部との動きを連動させ、前記操作部を前記第2位置から前記第1位置に位置変更させることに伴って、前記拘束ベルトユニットを前記開放位置から前記拘束位置に位置変更させる連結部とを備える、子供用育児器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、子供用育児器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、チャイルドシートなどの子供用育児器具には、子供を座席に支持するための肩ベルト、股ベルトおよび腰ベルトが設けられている。子供をチャイルドシートの座席に座らせる場合、これらのベルトの上に子供を座らせた後、子供の下になったベルトを外側に引き出して連結するか、これらのベルトを座席の側方に避けた後に子供を座らせて連結する必要があり、手間がかかっていた。
【0003】
このような問題を解決するため、子供をチャイルドシートに座らせる場合に、ベルトが邪魔にならないようにしたチャイルドシートとして、たとえば、特開2008-290587号公報(特許文献1)および米国特許7445286号公報(特許文献2)が知られている。
【0004】
特許文献1,2のチャイルドシートは、肩ベルトが常に開放させる方向にテンションがかかっているため、肩ベルトを開放した場合に、肩ベルトが上方に跳ね上がる。そのため、子供をチャイルドシートに座らせて肩ベルトを装着する場合に、肩ベルトが邪魔になることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-290587号公報
【文献】米国特許第7445286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1,2のチャイルドシートは、子供をチャイルドシートに座らせる場合であっても、肩ベルトが邪魔になることがない。しかし、ベルトを子供に装着した状態であっても、肩ベルトは、常に開放させる方向にテンションがかかっているため、子供をチャイルドシートにしっかりと拘束することができない。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、子供をチャイルドシートに座らせる場合であっても、ベルトが邪魔になることがなく、子供をベルトで確実に拘束することが可能な子供用育児器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明の一態様に係る子供用育児器具は、座面部と背もたれ部とを含む座席と、背もたれ部に設けられ、座席に着座した子供の体を拘束する拘束位置と、子供の体を拘束しない開放位置とに切り換えられる拘束ベルトユニットと、座席に設けられ、第1位置と第2位置とへ位置変更可能な操作部と、操作部を第1位置から第2位置に位置変更させることに伴って、拘束ベルトユニットを拘束位置から開放位置に位置変更させる連結部とを備える。
【0009】
好ましくは、拘束ベルトユニットは、座席に着座した子供の肩を拘束する肩ベルトユニットである。
【0010】
好ましくは、連結部は、肩ベルトユニットと操作部との動きを連動させ、操作部を第2位置から第1位置に位置変更させることに伴って、肩ベルトユニットを開放位置から拘束位置に位置変更させる。
【0011】
好ましくは、肩ベルトユニットは、肩ベルトと、その一端部が背もたれ部に連結され、その他端部が肩ベルトに連結された肩ベルト支持部とを含み、肩ベルト支持部は、連結部に連結されている。
【0012】
好ましくは、連結部は、操作部の操作により変位可能に設けられる変位部材と、その一端部が変位部材に連結され、その他端部が肩ベルトユニットに連結された連結ワイヤとを含む。
【0013】
好ましくは、操作部は、座面部に設けられ、座席に着座した子供の股の間を延びる股部部材である。
【0014】
好ましくは、連結部の途中位置において、連結部の位置変更により移動可能に設けられ、肩ベルトユニットを開放位置に向かうように付勢する移動部材をさらに備え、連結部は、その一端部が移動部材に連結され、その他端部が操作部に連結された第1連結ワイヤと、その一端部が肩ベルトユニットに連結され、その他端部が移動部材に連結され、移動部材の付勢力に抗して肩ベルトユニットを拘束位置にもたらす第2連結ワイヤとを含む。
【0015】
好ましくは、移動部材は、一方方向に移動するように付勢するばねを含む。
【0016】
好ましくは、操作部が第1位置にある場合に、変位部材の位置をロックするロック機構をさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、子供をチャイルドシートに座らせる場合であっても、ベルトが邪魔になることがなく、子供をベルトで確実に拘束することが可能な子供用育児器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係るチャイルドシートの斜視図である。
図2】実施の形態1に係るチャイルドシートの一部分を取り出して示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係るチャイルドシートの肩ベルトユニットおよび股部部材の位置変更を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニットが拘束位置に位置することを示し、(B)は肩ベルトユニットが開放位置に位置することを示す。
図4】実施の形態1における肩ベルトユニットを拡大して示す模式図である。
図5】実施の形態1に係るチャイルドシートの肩ベルトユニットおよび股部部材の位置変更を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニットが拘束位置に位置することを示し、(B)は肩ベルトユニットが開放位置に位置することを示す。
図6】実施の形態2に係るチャイルドシートの肩ベルトユニットおよび股部部材の位置変更を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニットが拘束位置に位置することを示し、(B)は肩ベルトユニットが開放位置に位置することを示す。
図7】チャイルドシートの肩ベルトユニットの変形例を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニットが拘束位置の状態を示し、(B)は肩ベルトユニットが開放位置の状態を示す。
図8】実施の形態3における肩ベルトユニットを拡大して示す模式図である。
図9】実施の形態3におけるスライド部材の内部構造を示す模式図である。
図10】実施の形態3に係るチャイルドシートの肩ベルトユニットおよび股部部材の位置変更を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニットが拘束位置に位置することを示し、(B)は肩ベルトユニットが開放位置に位置することを示す。
図11】実施の形態3に係るチャイルドシートの股部部材が第1位置に位置することを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は部分側面図であり、(C)は図11(B)のXI(C)線に沿う断面図である。
図12】実施の形態4に係るチャイルドシートの股部部材が第2位置に位置することを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は部分側面図であり、(C)は図11(B)のXII(C)線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
(チャイルドシートの概要)
図1図2を参照して、本実施の形態に係る子供用育児器具としてのチャイルドシート1の概要について説明する。チャイルドシート1の説明において、前後方向は、チャイルドシート1の前後方向に対応し、左右方向は、チャイルドシート1の前方から見た左右方向に対応している。
【0021】
チャイルドシート1の基本構造としては、一般的なチャイルドシートの構造と同様であってよく、自動車の座席の上に配置され、乳児や幼児などの子供を安全に乗車させるための装置である。チャイルドシート1は、ベース本体2および座席本体3を備える。
【0022】
ベース本体2は、乗用自動車の座席シート上に載置され、座席本体3を下方から支持するベース部20を含む。ベース部20の前方端には、乗用自動車の床面に向かって伸びるレッグサポート21が設けられている。ベース部20の後方端には、乗用自動車の座席シートのアンカーに連結するISOFIX22が設けられている。ベース部20の上方には、ベース本体2に対して回転可能に支持される座席本体3が設けられている。
【0023】
座席本体3は、ベース本体2の上側に取り付けられ、ベース本体2に対して回転自在に支持される。図1では、座席本体3上において、柔らかい布製部材、たとえばクッション材などの被覆部材が装着されている状態が示されている。なお、座席本体3は、シート体30を介して、ベース本体2に対して回転可能に設けられてもよい。シート体30は、座席本体3を左右後方から包囲している。座席本体3は、シート体30に固定されており、座席本体3とシート体30は、ベース部20に対して回転可能に設けられる。
【0024】
座席本体3は、座面部4と背もたれ部5と含む。座席本体3には、子供が着座する。そのため、座面部4は、子供の臀部を支持し、背もたれ部5は、座面部4の後方から立ち上がり、子供の背部を支持する。なお、図2に示すように、背もたれ部5の前面上には、スライド部材6が重なっている。
【0025】
スライド部材6は、背もたれ部5の前面に重なって、上下方向に摺動可能である。スライド部材6は、ヘッドレストとして機能する。そのため、スライド部材6は、子供の後頭部を保護する立壁部61と、子供の側頭部を保護する一対の側壁部62とを含む。側壁部62は、立壁部61の左右方向両端部に取り付けられ、前方に向かって突出する。なお、スライド部材6上においても、座席本体3と同様に、やわらかい布製部材、たとえばクッション材などの被覆部材が装着されていてもよい。スライド部材6には、後述する肩ベルト84が貫通する肩ベルト通し穴63が設けられる。
【0026】
図1に示すように、背もたれ部5には、座席本体3に着座した子供の両肩を拘束する肩ベルト84が設けられる。また、座面部4には、座席本体3に着座した子供の股(両太腿)の間を延びる股部部材9と、子供の腰を拘束する一対の腰ベルト12とが設けられる。これらの腰ベルト12、肩ベルト84および股部部材9は、股部部材9の先端に設けられるバックル14により、子供の腹部付近で連結される。これらの肩ベルト84、腰ベルト12および股部部材9は、いわゆる5点ベルトである。なお、図2では、これら5点ベルトの図示を省略している。また、肩ベルト84と腰ベルト12は、それぞれ別のベルトで形成されていいなくてもよく、たとえば1本のベルトで連続して設けられていてもよい。
【0027】
(実施の形態1)
次に、図3図5を参照して、実施の形態1に係るチャイルドシート1について説明する。図3は、肩ベルト84および股部部材9の位置変更を示す模式図であり、図5は、肩ベルトユニット8と股部部材9との連動を示す模式図である。特に図3(A),図5(A)は肩ベルトユニット8が拘束位置に位置することを示し、図3(B),図5(B)は肩ベルトユニット8が開放位置に位置することを示す。図3では、スライド部材6と背もたれ部5との図示を簡略化している。図4は、肩ベルトユニット8を拡大して示す模式図である。
【0028】
本実施の形態のチャイルドシート1は、股部部材9と肩ベルトユニット8とが連動して位置変更可能なベルト連動機構を備える。ベルト連動機構は、股部部材9を操作することで、肩ベルトユニット8を拘束位置(図3(A),図5(A))から開放位置(図3(B),図5(B))に位置変更することが可能である。拘束位置は、座席本体3に着座した子供の体を拘束する位置であり、開放位置は、子供の体を拘束しない位置である。
【0029】
特に図5(A),(B)に示すように、ベルト連動機構は、概略的には、肩ベルトユニット8と、股部部材9と、肩ベルトユニット8と股部部材9とを連結する連結部7とを備える。それぞれの構成について詳細に説明する。
【0030】
図4を参照して、肩ベルトユニット8は、座席本体3に着座した子供の体を拘束する肩ベルト84と、肩ベルト84に連結される肩ベルト支持部81とを含む。肩ベルト84は、たとえば長尺状の帯状の紐である。肩ベルト84は、背もたれ部5に設けられる。具体的には、図3(A),(B)に示すように、肩ベルト84は、ループ状に設けられ、スライド部材6に設けられる肩ベルト通し穴63と、背もたれ部5に設けられる長孔51を貫通して、背もたれ部5の裏面側を通り、座面部4の下方にまで延びる。
【0031】
図4を参照して、肩ベルト支持部81は、弾性可能であり、可撓性を有する撓み可能な帯状部材で形成されている。具体的には、肩ベルト支持部81は、たとえば合成樹脂などで形成されている。肩ベルト支持部81は、その一端部が連結部7の連結ワイヤ70に連結され、その他端部が肩ベルト84に連結されている。肩ベルト支持部81は、支持部本体82と、支持部本体82をスライド部材6に対して上下に回動する回動部83とを含む。回動部83は、スライド部材6に設けられる筐体65内に設けられる。
【0032】
支持部本体82の下方には、肩ベルト84が位置する。上下に重ね合わされた支持部本体82と肩ベルト84とは、筒状のパッド85で覆われている。パッド85は、着座した子供の肩に当接する位置に設けられる。肩ベルト支持部81は、パッド85を介して肩ベルト84と当接することで肩ベルト84と連結する。このように、肩ベルト支持部81と肩ベルト84とが連結するとは、縫い付けたり接着したりするなど、肩ベルト支持部81と肩ベルト84とが直接接続されることだけでなく、単に当接していることも含まれる。
【0033】
肩ベルトユニット8は、股部部材9を操作することで開放位置と拘束位置とに切り換えられる。つまり、股部部材9は、肩ベルトユニット8の「操作部」である。具体的には、股部部材9が第1位置(図3(A),図5(A))にある場合に肩ベルトユニット8は拘束位置になり、股部部材9が第2位置(図3(B),図5(B))にある場合に開放位置になる。このように、股部部材9は、第1位置と第2位置とに切り換わる。第1位置は、股部部材9が座面部4に対して立ち上がっている位置であり、第2位置は、股部部材9が前方に倒れている位置である。
【0034】
図3に示すように、股部部材9は、子供の股の間を延びる部材である。股部部材9は、典型的には帯状の紐の股ベルトであるが、たとえば板状部材および筒状部材などベルトタイプに限定されない。
【0035】
図5に示すように、股部部材9は、上下に延びる部材であり、上端部92と、下端部93と、上端部92と下端部93との間に設けられる軸94とを含む。上端部92を前方に移動させて第2位置にすることで、股部部材9は、軸94を中心に回転し、下端部93は後方に移動する。同様に、上端部92を後方に移動させて第1位置にすることで、股部部材9は、軸94を中心に回転し、下端部93は前方に移動する。
【0036】
連結部7は、肩ベルトユニット8と股部部材9とを連結するものである。連結部7は、股部部材9を第1位置(図5(A))から第2位置(図5(B))に位置変更させることに伴って、肩ベルトユニット8を拘束位置(図5(A))から開放位置(図5(B))に位置変更させる。
【0037】
具体的には、連結部7は、股部部材9の操作により変位可能に設けられる変位部材73と、その一端部が変位部材73に連結され、その他端部が肩ベルトユニット8に連結された連結ワイヤ70とを含む。肩ベルトユニット8は、肩ベルト84が一対設けられているため、連結ワイヤ70は、一対の肩ベルト84それぞれに設けられている。この場合、変位部材73は、一対の連結ワイヤ70ごとに設けられてもよいし、一対の連結ワイヤ70に対して1つ設けられてもよい。
【0038】
変位部材73は、座面部4に設けられる筐体95内に前後方向に設けられる。変位部材73は、筐体95に対して前後方向にスライド可能に設けられる。変位部材73は、横部74と、横部74の端部から上方に突出する縦部75とを含む。横部74の前方端は、股部部材9の下端部93に当接する。このため、股部部材9の上端部92を前方に回転移動させることで、変位部材73は、後方に移動する。
【0039】
連結ワイヤ70は、長尺状の部材であり、一方端部72と他方端部77とを有する。一方端部72は、肩ベルトユニット8の支持部本体82の上方端に連結されている。他方端部77は、変位部材73の縦部75に連結されている。筐体95には、連結ワイヤ70を貫通させ、連結ワイヤ70を移動可能に保持する保持部76が設けられる。同様に、筐体65には、連結ワイヤ70を貫通させ、連結ワイヤ70を移動可能に保持する保持部71が設けられる。
【0040】
次に、図3図5を参照して、ベルト連動機構の動作について説明する。
【0041】
まず、肩ベルトユニット8を拘束位置から開放位置へ切り換える方法について説明する。図5(A)の状態の股部部材9の上端部92を手で握り、軸94を中心に前方に回転させて、図5(B)の状態に変位させる。股部部材9の下端部93と変位部材73の横部74の前方端は当接しているため、股部部材9の回転に伴って、変位部材73も後方に移動し、第2位置に変位する。これにより、連結ワイヤ70が引っ張られ、肩ベルトユニット8の支持部本体82が開放位置に変位し、支持部本体82は、背もたれ部5から立ち上がる。つまり、本実施の形態の連結部7は、股部部材9を第1位置から第2位置に位置変更させることに伴って、肩ベルトユニット8を拘束位置から開放位置に位置変更させるものである。
【0042】
次に、肩ベルトユニット8を開放位置から拘束位置へ切り換える方法について説明する。図5(B)の状態の股部部材9の上端部92を手で握り、軸94を中心に後方に回転させると、股部部材9の下端部93と変位部材73の横部74の前方端は当接しているだけであるため、股部部材9と変位部材73との間に隙間が生じる。さらに、肩ベルトユニット8が自重で図5(A)の拘束位置に移動し、連結ワイヤ70が上方に引っ張られ、変位部材73も前方に移動する。つまり、股部部材9が第2位置から第1位置に位置変更することに伴って、肩ベルトユニット8が自重で拘束位置に移動するだけであるため、連結部7は肩ベルトユニット8および股部部材9の動作に直接的に関与しない。
【0043】
また、肩ベルト支持部81が可撓性を有する弾性部材で形成されているため、股部部材9または連結部7が故障し、連結ワイヤ70が突っ張られたとしても、股部部材9を撓ませることができる。そのため、連結ワイヤ70の突っ張りを防止することができ、連結ワイヤ70が切断してしまうなど、ベルト連動ユニットの故障を防ぐことができる。
【0044】
子供を座席本体3に着座させる際の動作は、次の通りである。
【0045】
肩ベルト84、腰ベルト12および股部部材9とバックル14との連結を解除する。図3(B)に示すように、股部部材9を前方に移動させて、肩ベルトユニット8を開放位置に切り換える。肩ベルトユニット8が開放位置に切り換えられると、肩ベルト84が背もたれ部5から立ち上がる。この状態で、子供を座席本体3に着座させる。さらに、股部部材9を子供の両太腿の間に通す。さらに、肩ベルト84を子供の肩上に置くとともに、腰ベルト12を子供の右腰に置く。さらに、これらの肩ベルト84、腰ベルト12および股部部材9をバックル14に連結する。これにより、子供をチャイルドシート1に乗せる際に、肩ベルト84および股部部材9が邪魔になることがなく、子供を肩ベルト84で確実に拘束することが可能となる。
【0046】
子供をチャイルドシート1から降ろしたい場合は、肩ベルト84、腰ベルト12および股部部材9とバックル14との連結を解除する。さらに、図3(B)に示すように、股部部材9を前方に移動させて、肩ベルトユニット8を開放位置に切り換える。これにより、子供をチャイルドシート1から降ろす際に、股部部材9および肩ベルト84が邪魔になることがない。
【0047】
以上より、子供をチャイルドシート1に乗せる場合や降ろす場合に、肩ベルト84が立ち上がり、股部部材9が前方に倒れるため、子供が着座する領域を広く開放することができる。そのため、股部部材9を操作するだけで、簡単に肩ベルトユニット8を開放位置に位置変更することができるため、肩ベルト84と股部部材9が邪魔になることがなく、子供をチャイルドシート1に拘束することができるとともに、子供をチャイルドシート1から降ろすことができる。
【0048】
さらに、従来のチャイルドシートの肩ベルトは、常に開放させる方向にテンションがかかっているため、子供をチャイルドシートに座らせる場合に、子供をチャイルドシートにしっかりと拘束することができない。しかし、本実施の形態のチャイルドシート1は、肩ベルト84にテンションがかかっていないため、確実に肩ベルト84および股部部材9で子供を拘束することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図6を参照して、実施の形態2に係るチャイルドシートの構成例について説明する。以下に実施の形態1に示したチャイルドシートとの相違点のみ詳細に説明する。実施の形態1と実施の形態2とは、股部部材9および変位部材73の構造において異なる。図6は、肩ベルトユニット8の位置変更を示す模式図であり、(A)は肩ベルトユニット8が拘束位置に位置することを示し、(B)は肩ベルトユニット8が開放位置に位置することを示す。
【0050】
図6を参照して、股部部材9Aは、第1位置と第2位置とに切り換わる。股部部材9Aは、上下に延びる棒状部材92Aと、棒状部材92Aの動きと連動して動く連動部材93Aと、棒状部材92Aと連動部材93Aとを回転可能に支持する軸94とを含む。連動部材93Aは、たとえば扇形状である。棒状部材92Aを前方に移動させることで、連動部材93Aは、軸94を中心に回転し、連動部材93Aは前方側に移動する。同様に、棒状部材92Aを後方に移動させることで、連動部材93Aは、軸94を中心に回転し、連動部材93Aは後方側に移動する。
【0051】
本実施の形態では、連結ワイヤ70の他方端に変位部材73Aが連結されている。変位部材73Aは、股部部材9Aに当接している。この場合、変位部材73Aは、たとえば円柱形状であり、変位部材73と当接する部分が円弧状であることが好ましい。連動部材93Aと変位部材73Aが当接する部分は、円弧状であるため、連動部材93Aの動きと変位部材73Aの動きとをスムーズに連動することができる。また、変位部材73Aは、筐体95Aに設けられ、バネ78Aで常に連動部材93A側(前方)に付勢される。
【0052】
(変形例)
図7を参照して、肩ベルトユニット8の変形例について説明する。上記実施の形態では、肩ベルトユニット8の肩ベルト支持部81は、弾性可能であり、撓み可能な帯状部材で形成されたが、その形状に限定されない。図7の肩ベルトユニット8の肩ベルト支持部81Bは、複数の筒状部材82Bにより形成される。肩ベルト支持部81Bの一方端は、スライド部材6に設けられる筐体65に取り付けられ、他方端は、連結ワイヤ70の他方端72Aが連結される。
【0053】
筒状部材82Bは、一方端側が凹部であり、他方端側が凸状になっている。さらに、筒状部材の中央部を連結ワイヤ70が貫通している。これにより、図7(A)に示すように、連結ワイヤ70が延びている状態では、肩ベルトユニット8Bの肩ベルト支持部81Bは、自重で下方に延びて拘束位置になる。図7(B)に示すように、連結ワイヤ70が縮んでいる状態では、肩ベルト支持部81Bは、凸部が凹部内に収納され、水平方向に整列しは開放位置になる。
【0054】
(実施の形態3)
図8図12を参照して、実施の形態3に係るチャイルドシートの構成例について説明する。以下に実施の形態1,2に示したチャイルドシートとの相違点のみ詳細に説明する。実施の形態1,2と実施の形態3とは、複数の相違点を有するが、特に移動部材140をさらに備える点、連結ワイヤ170,173が2本設けられる点において異なる。移動部材140および連結ワイヤ170,173の説明に先立ち、実施の形態3の肩ベルト支持部181および変位部材176について説明する。
【0055】
特に図8図10を参照して、肩ベルト支持部181は、支持部本体182と、支持部本体182から連続する土台部186と、支持部本体182をスライド部材6に対して回動する回動部183とを含む。支持部本体182は、弾性可能であり、たとえばしなやかさを有する撓み可能なコイルばねなどで形成されている。土台部186は、円柱状であり、剛性を有してもよいし、支持部本体182と同様に弾性可能であってもよい。回動部183は、球状であり、スライド部材6に対してたとえば360度回動する。
【0056】
次に、図11図12を参照して、変位部材176は、第1筐体177と、第2筐体178と、後述する第1連結ワイヤ170を支持し、第1,2筐体177,178内を前後方向(紙面では左右方向)に移動する支持部179とを含む。第1筐体177の一対の側壁部には、下向き略L字状の第1貫通孔177aが形成されている。第1貫通孔177aは、横穴177bと、横穴177bに連なる縦穴177cとを含む。縦穴177cは、横穴177bの前方端に設けられ、横穴177bの寸法より短い。縦穴177cは、股部部材90が第1位置(図11)にある場合に、変位部材176の位置をロックするロック機構である。
【0057】
なお、ロック機構は、本実施の形態の第1貫通孔177aの形状に限定されるものではなく、たとえば、第1筐体177の側壁部に設けられるフックなどで支持部179の移動を仮ロックするものであってもよい。
【0058】
第2筐体178は、その前方端が股部部材90の下端部93と連結されている。これにより、股部部材90を第1位置(図10(A),図11)から第2位置(図10(B),図12)に位置変更することで、前方から後方に移動する。なお、図11(B),図12(B)において、第2筐体178を破線で示している。また、図11図12に示すように、第2筐体178の一対の側壁部には、第2貫通孔178aが形成されている。第2貫通孔178aは、横穴178bと、横穴178bから連なる傾斜穴178cとを含む。傾斜穴178cは、横穴178bの前方端に設けられ、横穴177bの寸法とほぼ同一である。
【0059】
支持部179は、本体部179aと、本体部179aから左右方向(図11(C),図12(C)の紙面上で上下方向)に突出する一対の突出部179bとを含む。一対の突出部179bは、第1貫通孔177aと第2貫通孔178aを連続して貫通する。なお、図11(B),図12(B)において、支持部179を一点鎖線で示している。本体部179aは、後述する連結ワイヤ170を支持している。これにより、股部部材90を第1位置(図10(A),図11)から第2位置(図10(B),図12)に位置変更することで、支持部179は、前方から後方に移動する。変位部材176の動作については、後述する。
【0060】
図9図10を参照して、移動部材140について説明する。移動部材140は、連結ワイヤ170,173の位置変更により移動可能に設けられる。移動部材140は、スライド部材6に設けられ、特に、肩ベルト支持部181の上方に取り付けられている。移動部材140は、移動本体部141と、移動本体部141を回動可能に支持する軸142と、一方方向に移動するように付勢するばね143とを含む。
【0061】
移動部材140は、軸142を支点に上下に回転する。ばね143は、たとえばねじりばねであり、移動本体部141を常に上方に付勢する。移動本体部141には、第1連結ワイヤ170の一端部171と第2連結ワイヤ173の一端部174は、軸142と離れた位置において、移動本体部141と連結している。軸142から第1連結ワイヤ170の一端部171までの距離は、軸142から第2連結ワイヤ173の一端部174までの距離よりも小さい。これにより、第1連結ワイヤ170の移動量は、第2連結ワイヤ173の移動量よりも大きい。
【0062】
ここで、連結ワイヤ(第1連結ワイヤ170,第2連結ワイヤ173)の途中位置に移動部材140が設けられている。具体的には、第1連結ワイヤ170は、上述のように、その一端部171が移動部材140に連結され、その他端部172が変位部材176の支持部179に連結されている。変位部材176は股部部材9に連結されているため、結果的に第1連結ワイヤ170の他端部172は股部部材9に連結されている。また、第2連結ワイヤ173は、その一端部174が肩ベルト支持部181に連結され、その他端部175が変位部材176に連結されている。第1連結ワイヤ170は、第2連結ワイヤ173よりも長い。
【0063】
第2連結ワイヤ173は、移動部材140の付勢力に抗して、肩ベルトユニット8を拘束位置(図10(A))にもたらす。つまり、移動部材140が、ばね143の付勢力に抗して、下方に移動している場合は、肩ベルトユニット8は拘束位置に位置し(図10(A))、ばね143の付勢力に抗せず、上方に移動している場合は、肩ベルトユニット8は開放位置に位置する(図10(B))。
【0064】
また、上述のように、第1連結ワイヤ170は、股部部材90と変位部材176とを連結している。これにより、股部部材90が拘束位置に位置する場合(図10(A))は、第1連結ワイヤ170が引っ張られるため、移動部材140は、ばね143の付勢力に抗して、下方に移動する。また、股部部材90が開放位置に位置する場合(図10(B))は、第1連結ワイヤ170が緩むため、移動部材140は、ばね143の付勢力に従って、上方に移動する。
【0065】
従来のチャイルドシートは、肩ベルト自体に弾性部材が設けられているため、肩ベルトを開放位置に付勢するための弾性力の調整が困難であった。これに対し、本実施の形態では、移動部材140がばね143を含んでいるため、ばね143の調整が容易であり、肩ベルトユニット8を開放位置にするため付勢力の調整を簡単に行うことができる。
【0066】
次に、図10図12を参照して、ベルト連動機構の動作について説明する。
【0067】
まず、肩ベルトユニット8を拘束位置から開放位置へ切り換える方法について説明する。図10(A)の状態の股部部材9の上端部92を手で握り、軸94を中心に前方に回転させて、図10(B)の状態に変位させる。股部部材9の下端部93と変位部材73の第2筐体178の前方は連結されているため、股部部材9の回転に伴って、変位部材73も後方に移動し、第2位置に変位する。
【0068】
具体的には、股部部材9が回転すると、第2筐体178は後方に移動する。図12に示すように、支持部179の突出部179bは、第2貫通孔178aと第1貫通孔177aとを同時に貫通する。そのため、突出部179bは、第2貫通孔178aの横穴178bから傾斜穴178cに移動することに伴って、第1貫通孔177aの横穴177bから縦穴177cに移動する。これにより、第2連結ワイヤ173が連結している支持部179は後方に移動する。
【0069】
図10(B)に示すように、支持部179が後方に移動することで、第1連結ワイヤ170が緩み、移動部材140はばね143の付勢力により上方に回転する。これにより、移動部材140に連結されている第2連結ワイヤ173が上方に引っ張られ、肩ベルトユニット8の支持部本体182が開放位置に変位し、支持部本体182は、背もたれ部5から立ち上がる。また、股部部材9が第2位置の状態であるにも関わらず、使用者が肩ベルトユニット8を掴んで開放位置から拘束位置に無理やり操作した場合であっても、第1連結ワイヤ170は緩んだ状態であるため、第1連結ワイヤ170が切断するおそれがない。
【0070】
次に、肩ベルトユニット8を開放位置から拘束位置へ切り換える方法について説明する。図10(B)の状態の股部部材9の上端部92を手で握り、軸94を中心に後方に回転させて、図10(A)の状態に変位させる。股部部材9の下端部93と変位部材73の第2筐体178の前方は連結されているため、股部部材9の回転に伴って、変位部材73も前方に移動し、第1位置に変位する。
【0071】
具体的には、股部部材9が回転すると、第2筐体178は前方に移動する。図11に示すように、支持部179の突出部179bは、第2貫通孔178aと第1貫通孔177aとを同時に貫通する。そのため、突出部179bは、第2貫通孔178aの横穴178bから傾斜穴178cに移動することに伴って、第1貫通孔177aの横穴177bからに縦穴177c移動する。これにより、第2連結ワイヤ173が連結している支持部179は前方に移動する。
【0072】
図10(A)に示すように、支持部179が前方に移動することで、第1連結ワイヤ170が引っ張られ、移動部材140はばね143の付勢力に反して下方に回転する。これにより、移動部材140に連結されている第2連結ワイヤ173が緩み、肩ベルトユニット8の支持部本体182が拘束位置に変位する。つまり、股部部材9が第2位置から第1位置に位置変更することに伴って、肩ベルトユニット8が自重で拘束位置に移動する。
【0073】
また、図10(A),図11に示すように、股部部材9が第1位置にある場合に、支持部179の突出部179bは、第1筐体177の第1貫通孔177aの縦穴177cに位置する。これにより、股部部材9が第1位置にある場合には、股部部材9の位置を仮ロックすることができる。
【0074】
なお、上記実施の形態では、操作部が座面部4に設けられた股部部材9であるとした。しかし、操作部は、座席に設けられるボタン、操作レバー、腰ベルトなどであってもよい。この場合、座席は、ベース本体2、座席本体3およびシート体30を含む。すなわち、操作部は、座席本体3だけでなく、ベース本体2、座席本体3およびシート体30のいずれに設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、連結部7は、変位部材73と連結ワイヤ70とを含むとして説明したが、肩ベルトユニット8と操作部との動きを連動させるものであればこれに限定されない。つまり、連結部7は、操作部の操作により変位する変位部材73だけが設けられていてもよいし、変位部材が設けられておらず、連結ワイヤ70だけであってもよい。
【0076】
具体的には、連結部7が連結ワイヤ70だけである場合、股部部材9に直接連結ワイヤ70が連結されており、肩ベルトユニット8と股部部材9との動きが完全に連動していてもよい。この場合、連結ワイヤ70は、股部部材9を第1位置から第2位置に位置変更させることに伴って、肩ベルトユニット8を拘束位置から開放位置に位置変更させるものであり、股部部材9を第2位置から第1位置に位置変更させることに伴って、肩ベルトユニット8を開放位置から拘束位置に位置変更させるものである。
【0077】
また、上記実施の形態では、股部部材9と変位部材73は、別々の部材で形成され、それらは当接しているとして説明したが、股部部材9と変位部材73とは、連結固定されて、連動して位置変更可能であってもよい。この場合においても、変位部材73は、肩ベルトユニット8と股部部材9との動きを連動するものであり、変位部材73の動きについても、上述した連結ワイヤ70の動きと同様である。
【0078】
また、上記実施の形態では、子供用育児器具がチャイルドシートであるとして説明したが、これに限定されず、たとえば乳母車、ベビーラック、育児椅子などの座席付き育児器具であればよい。
【0079】
さらに、上記実施の形態では、肩ベルトユニット8が拘束位置と開放位置とに切り換えられるとして説明したが、腰ベルト12が拘束位置と開放位置とに切り換えられてもよい。また、肩ベルト84と腰ベルト12とが1本のベルトで連続して設けられている場合は、肩ベルト84と腰ベルト12の両方を拘束位置と開放位置とに切り換えることができる。つまり、拘束ベルトユニットは、肩ベルトユニット8および腰ベルト12を含む。なお、座面部4と背もたれ部5の間から腰ベルト12が延びている場合も、腰ベルト12は、背もたれ部5に設けられることとする。
【0080】
また、上記実施の形態3では、移動部材140は、背もたれ部5のスライド部材6に設けられ、肩ベルト支持部181の上方に設けられるとしたが、たとえば座面部4に設けられていてもよい。
【0081】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 チャイルドシート、4 座面部、5 背もたれ部、7 連結部、8,8B 肩ベルトユニット(拘束ベルトユニット)、9,9A 股部部材(操作部)、70 連結ワイヤ、73,176 変位部材、81,81B,181 肩ベルト支持部、84 肩ベルト、140 移動部材、143 ばね、170 第1連結ワイヤ、173 第2連結ワイヤ、177c 縦穴(ロック機構)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12