(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】操船支援システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 79/40 20200101AFI20240402BHJP
B63B 35/70 20060101ALI20240402BHJP
B63B 35/68 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B63B79/40
B63B35/70
B63B35/68
(21)【出願番号】P 2019191247
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檜野 武憲
(72)【発明者】
【氏名】原田 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】坂田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】古賀 毅
(72)【発明者】
【氏名】八木 貴之
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-529517(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1922378(KR,B1)
【文献】特表2019-512428(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093416(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/019302(WO,A1)
【文献】特開2006-137309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/66,79/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援システムであって、
音声信号を取得し当該音声信号を
テキストデータに変換
し、前記テキストデータから前記タグボートの推進力及び推進方向に関する情報を含む推進力指揮情報の文字列を抽出する音声認識部と、
前記本船の位置
、速度及び方位、並びに、前記タグボートの位置
、速度及び方位を取得する取得部と、
前記本船の形状特性及び
運動特性、並びに、前記タグボートの形状特性が格納された記憶部と、
前記本船の位置、速度及び方位に関する情報、前記本船の運動特性情報、前記タグボートの位置、速度及び方位に関する情報、並びに、前記推進力指揮情報に基づいて、前記推進力指揮情報に含まれる指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位並びに前記タグボートの位置及び方位を求める操船状態演算部と、
操船支援画面を表示出力する表示出力部とを備え、
前記操船支援画面は、
前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位と前記本船の形状特性とに基づいて海図上に示された本船図形と、
前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記タグボートの位置及び方位と前記タグボートの形状特性とに基づいて
前記海図上に示されたタグボート図形と、前記文字列とを含む、
操船支援システム。
【請求項2】
前記操船状態演算部は、前記推進力指揮情報に含まれる前記指揮に基づく前記タグボートの動作が反映された前記本船に働く推進力、モーメント、及び推進方向を求め、
前記表示出力部は、前記指揮
と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船図形及び前記タグボート図形に重畳して前記本船に働く前記推進力及び前記推進方向を示す本船推力ベクトルを前記操船支援画面に表示する、
請求項
1に記載の操船支援システム。
【請求項3】
前記表示出力部は、前記音声信号ごとの前記文字列を文字列組として、複数の前記文字列組を時系列で並べて前記操船支援画面に表示する、
請求項
1又は2に記載の操船支援システム。
【請求項4】
前記文字列を含む情報を前記表示出力部を含むデバイスへ無線通信網を使って伝達する通信部を、更に備える、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の操船支援システム。
【請求項5】
本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援方法であって、
情報処理装置で、
指揮音声に基づく音声信号を取得し当該音声信号を
テキストデータに変換
し、前記テキストデータから前記タグボートの推進力及び推進方向に関する情報を含む推進力指揮情報の文字列を抽出すること、
前記本船の位置
、速度及び方位、並びに、前記タグボートの位置
、速度及び方位を取得すること、
前記本船の形状特性及び運動特性、並びに、前記タグボートの形状特性を記憶すること、及び、
前記本船の位置、速度及び方位に関する情報、前記本船の運動特性情報、前記タグボートの位置、速度及び方位に関する情報、並びに、前記推進力指揮情報に基づいて、前記推進力指揮情報に含まれる指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位並びに前記タグボートの位置及び方位を求めること、並びに、
表示出力部で、操船支援画面を表示出力することを含み、
前記操船支援画面は、
前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位に基づいて海図上に示された本船図形と、
前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記タグボートの位置及び方位に基づいて
前記海図上に示されたタグボート図形と、前記文字列とを含む、
操船支援方法。
【請求項6】
本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援システムであって、
第1時刻に指揮音声に基づく第1音声信号を取得して当該第1音声信号を文字列に変換し、前記第1時刻よりも後の第2時刻に前記指揮音声に対する復唱音声に基づく第2音声信号を取得して当該第2音声信号を文字列に変換する音声認識部と、
前記第1音声信号の文字列と前記第2音声信号の文字列とを比較して、これらの異同を判定する判定部と、
前記第1音声信号の文字列、前記第2音声信号の文字列、及び、前記異同の判定結果を含む操船支援画面を表示出力する表示出力部と、を備える、
操船支援システム。
【請求項7】
前記音声認識部は、前記第1音声信号及び前記第2音声信号をテキストデータに変換するテキスト変換部と、前記テキストデータから操船に関わる前記文字列を抽出する抽出部とを含む、
請求項6に記載の操船支援システム。
【請求項8】
本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援方法であって、
情報処理装置で、第1時刻に指揮音声に基づく第1音声信号を取得して当該第1音声信号を文字列に変換し、前記第1時刻よりも後の第2時刻に前記指揮音声に対する復唱音声に基づく第2音声信号を取得して当該第2音声信号を文字列に変換し、前記第1音声信号の文字列と前記第2音声信号の文字列とを比較して、これらの異同を判定すること、及び、
表示出力部で、前記第1音声信号の文字列、前記第2音声信号の文字列、及び、前記異同の判定結果を含む操船支援画面を表示出力すること、を含む、
操船支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1隻のタグボートを利用して船舶(本船)の離着岸を支援する際に、離着岸操船の当事者(即ち、水先人、本船船長、タグオペレータ、及び、地上作業員など)を支援するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物船や客船などの大型の船舶(本船)が港湾で岸壁に着岸/離岸する際に、少なくとも1隻のタグボートが本船の航行を支援することがある。タグボートは、本船との間に渡されたタグラインで本船を牽引・曳航する。また、タグボートは、防舷物(タイヤなど)を介して自身を本船に直に接触させて本船を押す。このようなタグボートによる本船の押し曳きを受けながら、本船船長が本船を操船する。水先人は、多くの場合は本船へ乗船し、GPS測位装置などの航海計器を適宜使用して、国際VHF無線でタグオペレータや地上作業員と連絡を取りながら本船船長を補助し、本船を目的の場所まで安全に誘導する。
【0003】
上記のようなタグボート支援による離着岸操船において、離着岸操船の当事者のコミュニケーションは、現状では、互いの目視情報に基づいて無線トランシーバを介して行われている。そのため、離着岸操船の当事者が、必要な情報を十分に共有できず、また、双方の連絡内容が正確に伝わらないこと(ミスコミュニケーション)が生じることがあり、これらが効率的な離着岸を実現する上で課題となっている。そこで、特許文献1では、このような離着岸操船における課題を解決しようとするコミュニケーションツールが提案されている。
【0004】
特許文献1には、タグボートに配置されて、タグボートが本船に対し行うべき作業をタグオペレータに指示する装置が開示されている。この装置は、従来の無線機と同様に連絡し合うためのマイクロフォン及びスピーカと、本船からタグボートへの指示をテキストで表す小画面と、本船に対するタグボートの位置及び進行方向、並びに、本船に対して行うべきタグボートの押し作業/引き作業の区別を図形で表す大画面とを有する。大画面の隅には、タグボートへの次の指示がテキストで表示される。大画面に示されるタグボートのうち、当該装置が配置されたタグボートは他のタグボートから識別できる態様で示される。タグボートに要求する推力の大きさはテキスト表示で、本船のどの場所をどの方向に押すのか引くのかは矢印図形でそれぞれ示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、装置に本船からの指示がテキストで表示されることが記載されているが、本船からどのようにして指示が装置へ入力されるかは明らかとされていない。タグボートから本船への連絡は、装置に設けられた複数のキーを押すことによって入力される。
【0007】
従来の離着岸操船時の指揮の通信は、指揮者(本船船長又は水先人)が指令をトランシーバのマイクへ向けて発し、タグオペレータはトランシーバのスピーカから発される音声を聞いて当該音声を復唱することによって行われている。このような口頭による操船指揮は当事者にとって馴染みがあり受け入れられやすい一方、前述の通りミスコミュニケーションが生じる可能性がある。
【0008】
本発明は上記のような従来の口頭による操船指揮の方式を踏襲しつつ、ミスコミュニケーションを防ぐ技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る操船支援システムは、本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援システムであって、
音声信号を取得し当該音声信号をテキストデータに変換し、前記テキストデータから前記タグボートの推進力及び推進方向に関する情報を含む推進力指揮情報の文字列を抽出する音声認識部と、
前記本船の位置、速度及び方位、並びに、前記タグボートの位置、速度及び方位を取得する取得部と、
前記本船の形状特性及び運動特性、並びに、前記タグボートの形状特性が格納された記憶部と、
前記本船の位置、速度及び方位に関する情報、前記本船の運動特性情報、前記タグボートの位置、速度及び方位に関する情報、並びに、前記推進力指揮情報に基づいて、前記推進力指揮情報に含まれる指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位並びに前記タグボートの位置及び方位を求める操船状態演算部と、
操船支援画面を表示出力する表示出力部とを備える。
そして、前記操船支援画面は、前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位と前記本船の形状特性とに基づいて海図上に示された本船図形と、前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記タグボートの位置及び方位と前記タグボートの形状特性とに基づいて海図上に示されたタグボート図形と、前記文字列とを含む。
【0010】
また、本発明の一態様に係る操船支援方法は、本船が少なくとも1隻のタグボートで支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援方法であって、
情報処理装置で、指揮音声に基づく音声信号を取得し当該音声信号をテキストデータに変換し、前記テキストデータから前記タグボートの推進力及び推進方向に関する情報を含む推進力指揮情報の文字列を抽出すること、前記本船の位置、速度及び方位、並びに、前記タグボートの位置、速度及び方位を取得すること、前記本船の形状特性及び運動特性、並びに、前記タグボートの形状特性を取得すること、及び、前記本船の位置、速度及び方位に関する情報、前記本船の運動特性情報、前記タグボートの位置、速度及び方位に関する情報、並びに、前記推進力指揮情報に基づいて、前記推進力指揮情報に含まれる指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位並びに前記タグボートの位置及び方位を求めること、並びに、
表示出力部で、操船支援画面を表示出力することを含む。
そして、前記操船支援画面は、前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記本船の位置及び方位に基づいて海図上に示された本船図形と、前記指揮と対応する前記タグボートの動作が反映された前記タグボートの位置及び方位に基づいて海図上に示されたタグボート図形と、前記文字列とを含む。
【0011】
上記操船支援システム及び方法によれば、例えば、音声信号が指揮者(本船船長又は水先人)が発した指揮の音声であり、表示出力部が指揮者以外の当事者(本船船長、水先人、タグオペレータ、及び地上作業員の少なくとも一人)が操作するデバイスに設けられているシチュエーションにおいて、指揮者が発した指揮の音声がテキスト表示として当事者に伝達される。これにより、従来の口頭による操船指揮の方式を踏襲しつつ、テキスト表示の補助によって、当事者による指揮の聞き逃しや聞き違いが防がれ、当事者間(例えば、船長とタグオペレータ間)のミスコミュニケーションを回避することができる。このようにして、当事者間の意思疎通が支援されることにより、より円滑で効率的な離着岸操船が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の口頭による操船指揮の方式を踏襲しつつ、当事者間のミスコミュニケーションを防ぐことができる。ひいては、離着岸操船の当事者を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る操船支援システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、情報端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報収集装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、操船支援画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、操船支援画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、操船支援画面のテキスト表示部を示す図である。
【
図10】
図10は、操船支援画面のテキスト表示部を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の変形例1に係る操船支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態の変形例1に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る操船支援システムの概略構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係る操船支援システムの概略構成を示す図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る操船支援システムの処理の流れを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る操船支援システム1Aの概略構成を示す図である。
図1に示す操船支援システム1Aは、少なくとも1隻のタグボート3で支援される大型の船舶(以下、「本船2」と称する)の離着岸操船に利用され得る。本実施形態に係る操船支援システム1Aは、複数の情報端末20と、複数の情報収集装置30と、情報処理装置40と、これらを相互に情報の送受信を可能に接続する無線通信網5とを備える。無線通信網5による通信は、陸上又は船上の無線基地局50を介した通信であってもよいし、船上の携帯基地局を介した通信であってもよい。
【0015】
図1に示すように、情報処理装置40は、本船2に設置される。情報収集装置30は、各船舶に搭載される。情報処理装置40は、タグボート3、及び地上のうちいずれかに設置されてよい。情報端末20は、水先人、本船船長、本船船員、タグオペレータ、及び、地上作業員を含む離着岸操船の当事者に携帯される。
【0016】
〔情報端末20の構成〕
図2は、情報端末20の構成を示すブロック図である。
図2に示す情報端末20は、コンピュータ21と、入力装置23と、出力装置24と、記憶装置25と、通信装置26とを備える。コンピュータ21は、プロセッサ211と、RAMやROMなどのメモリ212と、入力制御部213と、出力制御部214と、ディスク制御部215と、通信制御部216と、その他の各種インターフェース217とを備える。入力制御部213には、入力装置23が接続されている。入力装置23は、タッチパネル231とマイク232とを含む。入力装置23には、キーボード、ポインティングデバイス、及び、ボタンやスティック型の操作具のうち、少なくとも1つが含まれていてもよい。出力制御部214には、出力装置24が接続されている。出力装置24は、ディスプレイ241(請求の範囲の「表示出力部」に相当)と、ラウドスピーカ242とを含む。ラウドスピーカ242は、イヤホン、ヘッドフォン、ステレオスピーカ、ディスプレイ241の画面内臓スピーカなどの各種の拡声手段のうち少なくとも1つであってよい。
【0017】
上記構成の情報端末20として、例えばラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどのように、ディスプレイ241とラウドスピーカ242とが一体となったデバイスが情報端末20として採用されてもよいし、デスクトップコンピュータのように独立したディスプレイ241とラウドスピーカ242とを備えるデバイスが情報端末20として採用されてもよい。ディスク制御部215には、ハードディスクや記憶メディアなどの記憶装置25が接続されている。通信制御部216には、無線の通信装置26(請求の範囲の「通信部」に相当)が接続されている。通信装置26は、送受信アンテナを有し、このアンテナと無線基地局50とを介して、他の情報端末20や情報処理装置40と情報の送受信が可能である。インターフェース217には、GPS測位装置27が接続されていてもよい。GPS測位装置27は、時刻と位置(緯度及び経度)を受信し、この測位情報をプロセッサ211へ伝達する。
【0018】
情報端末20のプロセッサ211は、メモリ212に記憶されたプログラムを実行し、入力装置23を介して入力された情報、メモリ212や記憶装置25に記憶された情報、通信装置26を介して外部から取得した情報、及び、インターフェース217を介して外部から取得した情報の少なくとも1つを利用して演算処理を行い、その結果を出力装置24及び/又は通信装置26へ出力する。
【0019】
情報端末20には、音声伝送プログラムと、文字列表示プログラムと、音声再生プログラムとが予めインストールされている。情報端末20は、プロセッサ211がこれらのソフトウエアプログラムを実行することにより、音声伝送部61、画面生成部62、及び、音声再生部63の各機能部としての機能を備える。
【0020】
〔情報収集装置30の構成〕
図3は、情報収集装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示す情報収集装置30は、コンピュータ31と無線の通信装置35とを備える。コンピュータ31には、各種の航海計器32、及び、各種の機関情報検出器33が通信可能に接続されている。コンピュータ31は、航海計器32、及び機関情報検出器33から取得した情報やデータを船舶の識別情報と供に通信装置35及び無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0021】
航海計器32は、例えば、船舶の所定の位置に設置された測位アンテナを含むGPS測位装置、ジャイロコンパス(方位計)、水深計、風向/風速計、船速計、及び、喫水計を含む。GPS測位装置は、時刻(協定世界時)及び位置(緯度・経度)を受信し、これらの情報から対地速度及び対地針路を求めることができる。ジャイロコンパスは、船首方位を検出し、この情報から得られる船舶の旋回角度から回頭角速度を求めることができる。
本船2の機関情報検出器33は、舵角、推進軸の回転数、サイドスラスタ(スタンスラスタ/バウスラスタ)の回転数などの検出器を含む。タグボート3の機関情報検出器33は、アジマススラスタのスクリューの回転数、スクリュー軸方向などの検出器を含む。
【0022】
情報収集装置30は、従来船舶に搭載されているAIS(Automatic Identification System)を利用したものであってもよい。この場合、通信装置35としてAISが備えるVHS通信装置(図示略)が利用されてもよい。AISは、船舶のデータを自動的にVHF電波で送受信し、周辺の船舶の動静を把握するための装置である。AISが送受信する情報は、一般的に、搭載された船舶の動的情報、静的情報、及び、航海関連情報を含む。動的情報には、一般的に、時刻(協定世界時)、位置(緯度・経度)、対地速度、対地針路、位置精度に関する情報、船首方位、回頭角速度、及び、航海ステータスが含まれる。静的情報には、一般的に、MMSI番号(海上移動業務識別番号)、呼出符号と船名、船舶の種類、IMO番号、測位アンテナの位置、及び、船体長と船幅が含まれる。航海関連情報には、一般的に、船舶の喫水、目的地と目的地到着予測日・予測時刻、及び、積載危険物の種類が含まれる。AISは公知であるので、AISについてこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0023】
〔情報処理装置40の構成〕
図4は、情報処理装置40の構成を示すブロック図である。
図4に示す情報処理装置40は、コンピュータ41と、入力装置43と、出力装置44と、記憶装置45と、通信装置46とを備える。コンピュータ41は、プロセッサ411と、RAMやROMなどのメモリ412と、入力制御部413と、出力制御部414と、ディスク制御部415と、通信制御部416と、その他の各種インターフェース417とを備える。入力制御部413には、入力装置43が接続されている。入力装置43は、例えば、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイスなどであってよい。出力制御部414には、出力装置44が接続されている。出力装置44は、例えば、ディスプレイやラウドスピーカなどであってよい。ディスク制御部415には、ハードディスクや記憶メディアなどの記憶装置45が接続されている。通信制御部416には、無線の通信装置46(請求の範囲の「通信部」に相当)が接続されている。通信装置46は、送受信アンテナを有し、このアンテナと無線基地局50とを介して、情報端末20及び情報収集装置30と情報の送受信が可能である。インターフェース417には、GPS測位装置47が接続されている。GPS測位装置47は、時刻と位置(緯度及び経度)を受信し、この測位情報をプロセッサ411へ伝達する。プロセッサ411は、メモリ412に記憶されたプログラムを実行し、入力装置43を介して入力された情報、メモリ412や記憶装置45に記憶された情報、通信装置46を介して外部から取得した情報、及び、インターフェース417を介して外部から取得した情報の少なくとも1つを利用して演算処理を行い、その結果を出力装置44及び/又は通信装置46へ出力する。
【0024】
情報処理装置40の記憶装置45には、港湾情報データベース、船体情報データベース、及び、航海情報データベースが構築されている。
【0025】
港湾情報データベースには、本船2が入港する港湾に関する情報が格納されている。港湾に関する情報には、港湾を含む海図、離着岸する岸壁の種類、目標着岸位置、ブイの位置、避険線、標準航路、水深、等深線、潮流、障害物(例えば、浅瀬やいけすなどの構造物)、航行する船舶の必要経由ポイント、航行禁止域、船舶ごとの侵入禁止領域、及び、港湾の局所気象海象などが含まれる。標準航路は、岸壁ごとに、或いは、船舶ごとに決定されて、予め記憶されていてよい。
【0026】
船体情報データベースには、船舶の識別情報と対応づけて船舶の特性に関する情報が格納されている。船舶の特性に関する情報には、船舶ごとの形状特性及び運動特性が含まれる。形状特性には、長さ、幅、外形、基準点の船体相対位置、及び、測位アンテナの船体相対位置などが含まれる。特に、本船2の形状特性には、ストロングポイントと呼ばれる押し点の船体相対位置とボラードが設けられた曳き点の船体相対位置とが更に含まれる。運動特性には、搭載されている推進機の性能(種類や定格出力)、操船状態を求めるための演算モデルなどが含まれる。
【0027】
航海情報データベースには、港湾内の船舶に搭載された情報収集装置30から取得した情報が船舶の識別情報と対応づけて格納されている。また、航海情報データベースには、港湾内の船舶に搭載されたAISから取得した情報が船舶の識別情報と対応づけて格納されてもよい。
【0028】
情報処理装置40は、プロセッサ411がメモリ412や記憶装置45に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、音声認識部51、表示データ生成部53、及び、判定部54の各機能部としての機能を備える。音声認識部51は、テキスト変換部51a及び抽出部51bの各機能部に更に細分化される。但し、音声認識部51の抽出部51bの機能は必須ではない。
【0029】
〔操船支援システム1Aの処理の流れ〕
以下、具体的な例を挙げて操船支援システム1Aによる処理の流れを説明する。
図5及び
図6は、第1実施形態に係る操船支援システム1Aの処理の流れを示すブロック図である。
図5及び
図6では、情報の流れが矢印で示されている。以下に説明する例では、指揮者(本船船長又は水先人)及びタグオペレータの各々は情報端末20を操作し、指揮者以外の当事者(本船船長、水先人、本船船員、及び地上作業員)は望ましくは情報端末20を携帯する。
【0030】
図5に示すように、指揮者は、自己が操作する情報端末20のマイク232に向かって、指揮の音声を発する。指揮音声は、例えば「タグボートA、面舵、右120°方向に曳け。」のように、一般に、指揮するタグボート3を識別する情報と指揮本文からなる。但し、タグボート3が一隻の場合には、指揮するタグボート3を識別する情報は省略されてよい。
【0031】
情報端末20は、マイク232で拾った指揮音声(アナログ信号)を指揮音声デジタル信号に変換して取得する。情報端末20の音声伝送部61は、指揮音声デジタル信号を、指揮音声を取得した情報端末20の識別情報(以下、「指揮者識別情報」と称する)及び指揮音声を取得した指揮時刻とともに、無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0032】
指揮音声デジタル信号を受け取った情報処理装置40では、先ず、テキスト変換部51aが、指揮音声デジタル信号を指揮テキストデータに変換する。テキスト変換部51aは、例えば、入力された音声を音波に変換し、音波を音響分析して音素を特定し、音素の並びを予め登録された辞書とマッチングを行って単語に変換し、変換された文章をテキストデータとして出力する。機械学習を利用した音声認識技術は広く知られており、テキスト変換部51aは公知の音声認識技術を利用して構成される。情報処理装置40が処理する音声信号が、特定の人物(例えば、特定の指揮者、特定のタグオペレータ)のものに限定される場合には、テキスト変換部51aにそれら特定の人物の音声の特徴を学習させておき、テキスト変換部51aの音声認識精度を高めておいてよい。
【0033】
抽出部51bは、指揮テキストデータから操船指揮に関する文字列を抽出する。伝統的な指揮用語が知られており、指揮に関する文字列を抽出するために予め登録された指揮用語の辞書が利用される。抽出部51bは、テキストデータと予め登録された辞書とのマッチングを行って、テキストデータから指揮に関する文字列を抽出する。なお、テキストデータの全体が該当する文字列として抽出されてもよいし、テキストデータの1以上の部分が該当する文字列として抽出されてもよい。判定部54は、抽出された指揮に関する文字列(以下、「抽出指揮文字列」と称する)を記憶する。
【0034】
上記では、抽出部51bが抽出する操船指揮に関わる文字列は、タグボート3の配置の指揮、操船支援作業の準備や作業の開始や終了の号令、及び、曳き方や押し方に関する指揮の少なくとも1つであってよい。曳き方や押し方に関する指揮には、タグボート3の推進力と推進方向に関する情報、及びタグボート3が本船2を押し曳きする位置の情報が含まれることがある。但し、抽出部51bが抽出する操船指揮に関わる文字列は、推進力及び推進方向に関する指揮の文字列に限定されてもよい。このような場合に、抽出部51bは、テキストデータから文字列を抽出したうえで、抽出された文字列を推進力及び推進方向の具体的な数値に変換してもよい。この場合の抽出指揮文字列は、数値からなる又は数値を含む文字列となる。
【0035】
操船状態演算部55は、抽出指揮文字列を利用して、本船2及びタグボート3の操船状態を求める。操船状態演算部55は、情報収集装置30から取得した情報と抽出指揮文字列を、操船状態を求めるための演算モデルに適用して、現在の本船2及びタグボート3の操船状態と、抽出指揮文字列の指揮内容が反映された本船2及びタグボート3の操船状態を求める。操船状態には、本船2及びタグボート3の位置及び方位、本船2及びタグボート3に働く推進力、回転モーメント、及び、推進方向が含まれる。
【0036】
表示データ生成部53は、抽出指揮文字列、指揮者識別情報、指揮時刻、及び、操船状態情報を含む指揮表示データを生成する。操船状態情報には、本船2及びタグボート3の操船状態と、本船2及びタグボート3の位置情報、方位情報、及び形状特性と、離着岸する岸壁を含む海図情報などが含まれる。情報処理装置40は、指揮音声デジタル信号及び指揮表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ伝達する。
【0037】
当事者の情報端末20の音声再生部63は、取得した指揮音声デジタル信号を音(振動)に変換して再生してラウドスピーカ242から音声出力する。当事者は、情報端末20のラウドスピーカ242から出力された指揮音声を聞くことができる。
【0038】
また、当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した指揮表示データに含まれる情報を提示する操船支援画面S1をディスプレイ241に表示出力させる。
図7は、ディスプレイ241に表示された操船支援画面S1の一例を示している。
図7に示すように、操船支援画面S1には、テキスト表示部81と、操船状態表示部82とが設けられている。
【0039】
操船支援画面S1のテキスト表示部81には、抽出指揮文字列93が、指揮者情報91及び指揮時刻92とともにテキストで示されている。指揮者情報91は、指揮者識別情報又はそれと対応する情報である。指揮時刻92は、指揮音声を取得した時刻である。画面生成部62は、抽出指揮文字列93を、情報端末20のオペレータの理解を助けるために任意の言語に翻訳して表示してもよいし、複数の異なる言語で表示してもよい。当事者は、情報端末20のディスプレイ241に表示された情報を見ることができる。
【0040】
操船状態表示部82には、現在の操船状態、又は、抽出指揮文字列93の指揮が反影された操船状態が示されている。操船状態表示部82には、海図情報に基づいて、港湾を含む海図画像60が表示される。海図画像60には、岸壁59に加えて、ブイや障害物(いずれも図示略)などが示されている。海図画像60には、深度や等深線が示されていてもよい。操船状態表示部82には、本船2の位置情報、方位情報、及び、形状特性に基づいて、本船2を表す図形(以下、「本船図形2s」と称する)が海図画像60に重ねて表示される。本船2の実際の位置及び方位と操船状態表示部82の海図画像上の本船図形2sの位置及び方位とは対応している。操船状態表示部82には、タグボート3の位置情報、方位情報、及び、形状特性に基づいて、タグボート3を表す図形(以下、「タグボート図形3s」と称する)が海図画像60に重ねて表示される。タグボート3の実際の位置及び方位と操船状態表示部82の海図画像60上のタグボート図形3sの位置及び方位とは対応している。操船状態表示部82には、本船2の舵図形67、タグボート3のスクリュー図形68、及び、本船推力ベクトル65、タグボート推力ベクトル66、本船2の速度ベクトル69なども併せて表示される。
【0041】
画面S1を見た当事者は、指揮の内容に加えて、現在の操船状態、又は、抽出指揮文字列93の指揮が反影された操船状態を視認することができる。そして、指揮が音声で発されるだけでなく、指揮の内容がテキスト表示としても伝達されることによって、情報端末20を操作する当事者の聞き違いや聞き逃しなどを防ぐことができる。更に、指揮を受けたタグボート3のタグオペレータだけではなく、情報端末20の出力音声及び出力表示を認識した離着岸操船の当事者間で、指揮の情報を共有することができる。これにより、当事者は指揮を受けたタグボート3の動きによって今後の本船2の挙動を推測することができる。
【0042】
なお、操船支援画面S1に代えて、
図8に示すように、テキストと操船状態とを組み合わせた操船支援画面S3がディスプレイ241に表示されてもよい。画面S3では、前述の操船状態表示部82と同様に操船状態が示されたうえ、海図画像60上の情報端末20の位置に情報端末20の識別情報を表す識別情報図形97が表示されている。そして、指揮者の識別情報図形97から吹き出しで抽出指揮文字列93が示されている。このような画面S3では、各情報端末20の位置と、表示されている抽出指揮文字列93がどの情報端末20から出されたものであるかを直感的に把握することができる。
【0043】
図6に示すように、指揮を受けたタグボート3のタグオペレータは、指揮を復唱する。タグオペレータの情報端末20は、マイク232で拾った復唱音声(アナログ信号)を復唱音声デジタル信号に変換して取得する。情報端末20の音声伝送部61は、復唱音声デジタル信号を、復唱音声をマイク232で取得した情報端末20の識別情報(以下、「復唱者識別情報」と称する)及び復唱時刻とともに、無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0044】
復唱音声デジタル信号を受け取った情報処理装置40では、先ず、テキスト変換部51aが、復唱音声デジタル信号を復唱テキストデータに変換する。抽出部51bは、復唱テキストデータから、指揮に関する文字列を抽出する。ここで、文字列の抽出方法は、指揮テキストデータからの文字列の抽出方法と同じである。
【0045】
判定部54は、復唱テキストデータから抽出された指揮に関する文字列(以下、「抽出復唱指揮文字列」と称する)を取得し、記憶されている抽出指揮文字列と抽出復唱指揮文字列とを比較し、一致/不一致を判定する。
【0046】
表示データ生成部53は、抽出復唱指揮文字列、復唱者識別情報、復唱時刻、及び、一致/不一致の判定情報含む復唱表示データを生成する。情報処理装置40は、復唱音声デジタル信号及び復唱表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ送信する。
【0047】
当事者の情報端末20の音声再生部63は、取得した復唱音声デジタル信号を再生してラウドスピーカ242から出力する。当事者は、情報端末20のラウドスピーカ242から出力された復唱音声を聞くことができる。
【0048】
当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した復唱表示データに含まれる情報がテキストで表示された画面S1をディスプレイ241に出力させる。
図9に示すように、ディスプレイ241に表示された操船支援画面S1のテキスト表示部81には、抽出復唱指揮文字列96が、復唱者情報94及び復唱時刻95とともに示されている。復唱者情報94は、復唱者識別情報又はそれと対応する情報である。復唱時刻95は、復唱音声を取得した時刻である。画面生成部62は、抽出復唱指揮文字列96を、情報端末20のオペレータに任意の言語に翻訳して表示してもよいし、複数の異なる言語で表示してもよい。画面S1には、指揮者の発した指揮に基づく抽出指揮文字列93からなる文字列組の次に、タグオペレータの復唱に基づく抽出復唱指揮文字列96からなる文字列組が時系列に並んで、いわゆるチャット方式で表示されている。
【0049】
抽出復唱指揮文字列96が表示された画面S1には、更に、一致/不一致情報が示される。一致の場合は、一致であることがテキスト表示又はその他の方法で示されてもよいし、何らの追加の情報が示されなくてもよい。一方、不一致の場合は、
図10に示すように、不一致であることがテキスト表示又はその他の方法で示されるとともに、警告が発される。これにより、指揮者及びタグオペレータを含む当事者は、タグオペレータが指揮を正しく認識しているか否かを確認することができる。そして、ミスコミュニケーションが生じている場合には、それを直ちに認識して訂正することができる。
【0050】
<変形例>
本発明の第1実施形態に係る操船支援システム1Aの変形例を説明する。第1実施形態の変形例1に係る操船支援システム1A’は、前述の操船支援システム1Aの構成に加えて、従来から操船の音声伝送手段として用いられてきたトランシーバ70を備える。
【0051】
図11は、第1実施形態の変形例1に係る操船支援システム1A’の構成を示すブロック図である。変形例1に係る操船支援システム1A’は、指揮者が操作する情報端末20及び携帯型トランシーバ70aと、情報処理装置40と、指揮者以外の当事者が操作する情報端末20及び携帯型トランシーバ70bとを備える。なお、携帯型トランシーバ70a,70bは、本船2やタグボート3に据え付けられた固定型無線トランシーバであってもよい。携帯型トランシーバ70a,70bは、操船支援システム1A’の音声出力部として機能する。
【0052】
図12は、第1実施形態の変形例1に係る操船支援システム1Aの処理の流れを示すブロック図である。
図12に示すように、指揮者は、自己が操作する携帯型トランシーバ70aに向かって指揮の音声を発する。この指揮音声は、携帯型トランシーバ70aの近傍に配置されたマイク232でも拾われる。情報端末20は、マイク232で拾った指揮音声(アナログ信号)を指揮音声デジタル信号に変換して取得する。情報端末20の音声伝送部61は、指揮音声デジタル信号を、指揮者識別情報及び指揮時刻とともに、無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0053】
指揮音声デジタル信号を受け取った情報処理装置40では、先ず、音声認識部51のテキスト変換部51aが、指揮音声デジタル信号を指揮テキストデータに変換する。抽出部51bは、テキスト変換部51aで得られた指揮テキストデータから、指揮に関する文字列を抽出する。表示データ生成部53は、抽出指揮文字列、指揮者識別情報、及び、指揮時刻を含む指揮表示データを生成する。情報処理装置40は、指揮表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ送信する。また、情報処理装置40は、抽出指揮文字列を無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ伝達する。
【0054】
当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した指揮表示データに含まれる情報を提示する画面S1をディスプレイ241に表示出力する。画面S1は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、詳細な説明は省略する。
【0055】
指揮者の携帯型トランシーバ70aが取得した指揮音声アナログ信号は、デジタル信号に変換されて(又は、アナログ信号のまま)、指揮音声信号として当事者の携帯型トランシーバ70bへ無線通信網5を介して伝達される。指揮音声信号を取得した当事者の携帯型トランシーバ70bでは、取得した指揮音声信号が音(振動)に変換されて出力される。当事者は、携帯型トランシーバ70bの内臓スピーカから出力された指揮音声を聞くことができる。
【0056】
上記の指揮に対応するタグオペレータの復唱音声の処理においても、指揮音声の処理と同様に音声伝達はトランシーバ70を介して行われる。変形例1に示すように、指揮及び復唱に係る音声伝送は従来通りトランシーバ70で行われるので、当事者にとって違和感なく新たなシステムである操船支援システム1A’を導入できることが期待される。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図13は、第2実施形態に係る操船支援システム1Bの概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図13に示す操船支援システム1Bでは、情報処理装置40と、少なくとも1つの情報端末20と、複数の情報収集装置30と、これらを相互に情報の送受信を可能に接続する無線通信網5とを備える。無線通信網5による通信は、陸上又は船上の無線基地局50を介した通信であってもよいし、船上の携帯基地局を介した通信であってもよい。
【0059】
第2実施形態に係る操船支援システム1Bは、本船2が自動操船装置6により自動操船され、タグボート3がタグオペレータによって操船される態様に適用される。そのため、第2実施形態に係る操船支援システム1Bは、指揮が音声で入力されない点で、第1実施形態に係る操船支援システム1Aと大きく異なる。なお、自動操船装置6は公知であり、自動操船装置6の構成についての詳細な説明は省略する。
【0060】
情報処理装置40は、本船2に搭載されるか、地上に設置される。情報収集装置30は、各船舶に搭載される。情報端末20は、本船船員、水先人、タグオペレータ、及び、地上作業員を含む離着岸操船の当事者に携帯される。情報端末20及び情報収集装置30の構成は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、情報端末20の構成についての詳細な説明は省略する。
【0061】
情報処理装置40は、インターフェース417を介して自動操船装置6と接続されており、情報処理装置40と自動操船装置6とは情報の送受信が可能である。情報処理装置40の構成は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、情報処理装置40の構成についての詳細な説明は省略する。
【0062】
〔操船支援システム1Bの処理の流れ〕
以下、具体的な例を挙げて操船支援システム1Bによる処理の流れを説明する。
図14及び
図15は、操船支援システム1Bの処理の流れを説明するブロック図である。
図14及び
図15中の矢印は情報の流れを示している。以下に説明する例では、タグオペレータが情報端末20を操作し、水先人及び地上作業員は望ましくは情報端末20を携帯する。
【0063】
図14に示すように、自動操船装置6は情報処理装置40へ指揮情報を入力する。指揮情報は、指揮文字列と、それに対応する指揮音声デジタル信号とを含む。指揮文字列の内容は、タグボート3を識別する情報と指揮本文からなる。指揮情報は、指揮音声デジタル信号を含まずに、情報処理装置40が指揮文字列から指揮音声デジタル信号を生成してもよい。
【0064】
指揮情報を受け取った情報処理装置40の判定部54は、指揮文字列を記憶する。操船状態演算部55は、抽出指揮文字列を利用して、本船2及びタグボート3の操船状態を求める。また、情報処理装置40の表示データ生成部53は、抽出指揮文字列、指揮者識別情報、指揮時刻、及び、操船状態情報を含む指揮表示データを生成する。更に、情報処理装置40は、指揮音声デジタル信号及び指揮表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ送信する。
【0065】
当事者の情報端末20の音声再生部63は、取得した指揮音声デジタル信号を再生してラウドスピーカ242から音声出力する。当事者は、情報端末20のラウドスピーカ242から出力された指揮音声を聞くことができる。
【0066】
また、当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した指揮表示データに含まれる情報を提示する画面S1をディスプレイ241に表示出力させる。画面S1は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、詳細な説明は省略する。
【0067】
図15に示すように、指揮を受けたタグボート3のタグオペレータは、自己が操作する情報端末20のマイク232に向かって、指揮を復唱する。タグオペレータの情報端末20は、マイク232で拾った復唱音声(アナログ信号)を復唱音声デジタル信号に変換して取得する。情報端末20の音声伝送部61は、復唱音声デジタル信号を、復唱者識別情報及び復唱時刻とともに、無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0068】
復唱音声デジタル信号を受け取った情報処理装置40では、先ず、テキスト変換部51aが、復唱音声デジタル信号を復唱テキストデータに変換する。抽出部51bは、復唱テキストデータから、指揮に関する文字列を抽出する。判定部54は、抽出復唱指揮文字列を取得し、記憶されている抽出指揮文字列と抽出復唱指揮文字列とを比較し、一致/不一致を判定する。
【0069】
表示データ生成部53は、抽出復唱指揮文字列、復唱者識別情報、復唱情報、及び、一致/不一致の判定情報含む復唱表示データを生成する。情報処理装置40は、復唱音声デジタル信号及び復唱表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ送信する。また、情報処理装置40は、一致/不一致の判定情報を自動操船装置6へ出力する。
【0070】
当事者の情報端末20の音声再生部63は、取得した復唱音声デジタル信号を再生してラウドスピーカ242から出力する。当事者は、情報端末20のラウドスピーカ242から出力された復唱音声を聞くことができる。また、当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した復唱表示データに含まれる情報を提示する画面S1をディスプレイ241に表示出力する。このような画面S1は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、詳細な説明は省略する。
【0071】
一致/不一致の判定情報を取得した自動操船装置6は、一致の場合は予定されている離着岸操船操作を継続する。一方、自動操船装置6は、不一致の場合は、予定されている離着岸操船操作を一旦保留し、一致の情報が得られるまで、指揮を繰り返す。このようにして、自動操船装置6とタグオペレータとのミスコミュニケーションを防ぐことができる。
【0072】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図16は、第3実施形態に係る操船支援システム1Cの概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
図16に示す操船支援システム1Cでは、情報処理装置40と、少なくとも1つの情報端末20と、複数の情報収集装置30と、これらを相互に情報の送受信を可能に接続する無線通信網5とを備える。無線通信網5による通信は、陸上又は船上の無線基地局50を介した通信であってもよいし、船上の携帯基地局を介した通信であってもよい。
【0074】
第3実施形態に係る操船支援システム1Cは、本船2が本船船長によって操船され、タグボート3が自動操船装置7によって自動操船される態様に適用される。そのため、第3実施形態に係る操船支援システム1Cは、指揮に従ってタグボート3が自動操船される点で第1実施形態に係る操船支援システム1Aと大きく異なる。なお、自動操船装置7は公知であり、自動操船装置7の構成についての詳細な説明は省略する。
【0075】
情報処理装置40は、本船2に搭載されるか、地上に設置される。情報収集装置30は、各船舶に搭載される。情報端末20は、水先人、本船船長、本船船員、及び、地上作業員を含む離着岸操船の当事者に携帯される。情報端末20及び情報収集装置30の構成は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、情報端末20の構成についての詳細な説明は省略する。
【0076】
情報処理装置40は、無線通信網5を介して自動操船装置7と情報の送受信が可能に接続されている。情報処理装置40の構成は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、情報処理装置40の構成についての詳細な説明は省略する。
【0077】
〔操船支援システム1Cの処理の流れ〕
以下、具体的な例を挙げて操船支援システム1Cによる処理の流れを説明する。
図17は、操船支援システム1Cの処理の流れを説明するブロック図である。
図17中の矢印は情報の流れを示している。以下に説明する例では、指揮者(本船船長又は水先人)が情報端末20を操作し、指揮者以外の当事者(本船船長、水先人、本船船員、及び地上作業員)は望ましくは情報端末20を携帯する。
【0078】
図17に示すように、指揮者は、指揮の音声を発する。情報端末20は、マイク232で拾った指揮音声(アナログ信号)を指揮音声デジタル信号に変換して取得する。情報端末20の音声伝送部61は、指揮音声デジタル信号を、指揮者識別情報及び指揮時刻とともに、無線通信網5を介して情報処理装置40へ送信する。
【0079】
指揮音声デジタル信号を受け取った情報処理装置40では、先ず、テキスト変換部51aが、指揮音声デジタル信号を指揮テキストデータに変換する。抽出部51bは、テキスト変換部51aで得られた指揮テキストデータから、指揮に関する文字列を抽出する。操船状態演算部55は、抽出された指揮文字列(抽出指揮文字列)を利用して、本船2及びタグボート3の操船状態を求める。表示データ生成部53は、抽出指揮文字列、指揮者識別情報、指揮時刻、及び、操船状態情報を含む指揮表示データを生成する。情報処理装置40は、指揮音声デジタル信号及び指揮表示データを無線通信網5を介して当事者の情報端末20へ送信する。また、情報処理装置40は、抽出指揮文字列を無線通信網5を介して指揮されたタグボート3の自動操船装置7へ送信する。抽出指揮文字列を取得したタグボート3の自動操船装置7は、抽出指揮文字列の内容に従ってタグボート3を操船する。
【0080】
当事者の情報端末20の音声再生部63は、取得した指揮音声デジタル信号を再生してラウドスピーカ242から音声出力する。当事者は、情報端末20のラウドスピーカ242から出力された指揮音声を聞くことができる。また、当事者の情報端末20の画面生成部62は、取得した指揮表示データに含まれる情報を提示する画面S1をディスプレイ241に表示出力する。このような画面S1は第1実施形態で説明したものと実質的に同じであり、詳細な説明は省略する。
【0081】
以上に説明した通り、第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cは、本船2が少なくとも1隻のタグボート3で支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援システム1A~1Cであって、音声信号を取得し当該音声信号を文字列に変換する音声認識部51と、本船2の位置及び方位、並びに、タグボート3の位置及び方位を取得する取得部(情報収集装置30、とりわけ、航海計器32)と、本船2の形状特性、及び、タグボート3の形状特性が格納された記憶部(記憶装置45)と、操船支援画面を表示出力する表示出力部(ディスプレイ241)とを、備える。操船視線画面(画面S1)は、本船2の位置及び方位と本船2の形状特性とに基づいて海図上に示された本船図形2sと、タグボート3の位置及び方位とタグボート3の形状特性とに基づいて海図上に示されたタグボート図形3sと、文字列とを含む。
【0082】
ここで、音声認識部51、取得部(航海計器32)、記憶部(記憶装置45)、及び表示出力部(ディスプレイ241)は、互いに独立したデバイスで構成されていてよいし、これらのうち複数が一つのデバイス上に構成されていてもよい。第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cでは、音声認識部51及び記憶部(記憶装置45)は情報処理装置40に設けられており、取得部(航海計器32)は情報収集装置30に設けられており、表示出力部(ディスプレイ241)は情報処理装置40と無線通信網5を介して情報の送受信が可能な情報端末20に設けられている。そして、操船支援システム1A~1Cは、文字列を含む情報を情報処理装置40と情報端末20との間で無線通信網5を使って伝達する通信装置26,46(通信部)を備えている。
【0083】
また、第1~3実施形態に係る操船支援方法は、本船2が少なくとも1隻のタグボート3で支援されながら岸壁に離岸又は着岸する際の操船支援方法であって、音声信号を取得し当該音声信号を文字列に変換すること、本船2の位置及び方位並びにタグボート3の位置及び方位を取得すること、及び、操船支援画面(画面S1)を表示出力することを含む。そして、操船支援画面は、本船2の位置及び方位に基づいて海図上に示された本船図形2sと、タグボート3の位置及び方位に基づいて海図上に示されたタグボート図形3sと、文字列とを含む。
【0084】
上記操船支援システム1A~1C及び方法によれば、音声信号が指揮者が発した指揮の音声であり、出力装置24が指揮者以外の当事者(本船船長、水先人、タグオペレータ、及び地上作業員の少なくとも一人)が操作するデバイスに設けられているシチュエーションにおいて、指揮者が発した指揮の音声は、テキスト表示として当事者に伝達される。これにより、従来の口頭による操船指揮の方式を踏襲しつつ、テキスト表示の補助により、当事者による聞き逃しや聞き違いが防がれ、当事者間のミスコミュニケーションを回避することができる。また、ディスプレイ241を視認した当業者は、画として示された操船状態と、テキストとして示された文字列を認識することができ、本船2の操船状態を把握しながら指揮を受けることができる。
【0085】
更に、上記の出力装置24が操船支援に関わる各当事者に与えられることによって、船長の指揮を、指揮を受けるタグオペレータのみならず、当事者間で共有することができる。このようにして、当事者間の意思疎通が支援されることにより、より円滑で効率的な離着岸操船が可能となる。
【0086】
また、第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cでは、第1時刻に取得した第1音声信号についての文字列と、第1時刻よりも後の第2時刻に取得した第2音声信号についての文字列とを比較し、これらの異同を判定する判定部54を、更に備えてもよい。上記の異同の判定結果がディスプレイ241に表示されてもよい。
【0087】
このような構成は、第1音声信号が指揮音声信号であり、第1音声信号についての文字列が抽出指揮文字列であり、第2音声信号が復唱音声信号であり、第2音声信号についての文字列が抽出復唱指揮文字列であるシチュエーションにおいて、特に有用である。このように、抽出指揮文字列と抽出復唱指揮文字列との異同が判定されることにより、指揮者である指揮者と、その指揮を受けるタグオペレータとの間で意思疎通が成立しているかどうかが明らかとなる。
【0088】
そして、異同の判定結果がディスプレイ241に表示されることにより、第1音声信号の話者と第2音声信号の話者との間でミスコミュニケーションが生じたことを、ディスプレイ241を視認した当業者が直ちに把握することができる。そして、ミスコミュニケーションが生じたときにはそれを直ちに訂正することが可能となる。
【0089】
また、操船支援システム1A~1Cにおいて、音声認識部51は、音声信号をテキストデータに変換するテキスト変換部51aと、テキストデータから操船に関わる文字列を抽出する抽出部51bむ抽出部51bとを含んでいる。この場合、抽出部51bで抽出される文字列が、タグボート3の推進力及び推進方向に関する情報を含む推進力指揮情報であってよい。更に、抽出部51bは、推進力指揮情報を数値に変換するように構成されていてよい。
【0090】
このように抽出指揮文字列としてタグボート3の推進力及び推進方向に関する情報が抽出されることにより、タグボート3による操船支援に必要な情報のみが出力装置24に表示される。そして、この推進力及び推進方向が数値で示されることによって、指揮から曖昧さが省かれる。更に、推進力及び推進方向を表す数値により、タグボート3の自動操船に必要な情報を提供することができる。
【0091】
また、第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cでは、本船2の位置、方向及び速度に関する情報、本船2の運動特性情報、タグボート3の位置、方向及び速度に関する情報、及び、推進力指揮情報に基づいて、推進力指揮情報に含まれる指揮と対応するタグボート3の動作が反映された本船2の位置及び方向並びにタグボート3の位置及び方向を求める操船状態演算部55を更に備える。そして、ディスプレイ241は、指揮が反映された本船図形2s及びタグボート図形3sを操船支援画面S1に表示する。
【0092】
これにより、ディスプレイ241を視認した当事者は、指揮が反影された操船状態において本船2がどのような挙動をするのかを推測することが容易となる。
【0093】
また、第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cでは、操船状態演算部55は、推進力指揮情報に含まれる指揮に基づくタグボート3の動作が反映された本船2に働く推進力及び推進方向を求めるように構成されている。そして、ディスプレイ241は、指揮が反映された本船図形2s及びタグボート図形3sに重畳して本船2に働く推進力及び推進方向を示す本船推力ベクトル65を操船支援画面S1に表示する。
【0094】
これにより、ディスプレイ241を視認した当事者は、指揮が反影された操船状態において本船2にどのような推力が働くかを容易に推測することができる。
【0095】
また、第1~3実施形態に係る操船支援システム1A~1Cでは、ディスプレイ241は、音声信号ごとの文字列を文字列組として、複数の文字列組を時系列で並べて操船支援画面S1に表示するように構成されている。
【0096】
このように、抽出文字列がチャット形式で表示されることにより、並べられた文字列組を辿ることにより、操船指揮の流れを容易に理解することができる。また、指揮音声の抽出文字列と、指揮の復唱音声の抽出文字列がチャット形式で表示される場合には、指揮が正しく伝達されているかどうかを直感的に把握することができる。
【0097】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明の思想を逸脱しない範囲で、上記実施形態の具体的な構造及び/又は機能の詳細を変更したものも本発明に含まれ得る。
【0098】
例えば、上記の各実施形態において、情報処理装置40は本船2又は陸上に設置されているが、情報処理装置40は情報端末20のように水先人又は本船船長に携帯される携帯情報端末として構成されていてもよい。また、情報処理装置40と情報端末20との機能を合わせ備えた1台のコンピュータが、水先人又は本船船長に操作されてもよい。
【0099】
また、例えば、上記の各実施形態において、情報処理装置40は判定部54を備えるが、判定部54の機能のオンオフが任意に切り替えられるように構成されていてもよい。例えば、指揮者が続けて音声を発する場合や、指揮以外の会話を行う場合などに、判定部54の機能がオフとされてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1A~1C :操船支援システム
2 :本船
2s :本船図形
3 :タグボート
3s :タグボート図形
5 :無線通信網
24 :出力装置
25,35:通信装置(通信部)
51 :音声認識部
52 :抽出部
54 :判定部
55 :操船状態演算部
60 :岸壁
65 :本船推力ベクトル
241 :ディスプレイ(表示出力部)
242 :ラウドスピーカ