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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】操作されたポリペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240402BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240402BHJP
   C07K 1/14 20060101ALI20240402BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240402BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240402BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240402BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240402BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240402BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240402BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240402BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K38/16
A61K39/395 A
A61K39/395 H
A61P37/02
C07K1/14
C07K16/18
C07K16/46
C07K19/00
C12M1/26
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12P21/08
G01N33/53 D
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019505188
(86)(22)【出願日】2017-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017045126
(87)【国際公開番号】W WO2018052556
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】62/370,201
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/485,671
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514283401
【氏名又は名称】ビステラ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサン, カルシク
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン, ブーパシー
(72)【発明者】
【氏名】ブース, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン, クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ウーラコット, アンドリュー エム.
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】鶴 剛史
【審判官】高堀 栄二
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505833(JP,A)
【文献】特表2008-510466(JP,A)
【文献】国際公開第2015/175874(WO,A1)
【文献】特表2015-508395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
C07K 1/00- 19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fc領域のCH2およびCH3ドメインを含むポリペプチドであって、前記Fc領域のCH2およびCH3ドメインが、
(i)T256D、Q311V、およびA378V;
(ii)H285N、T307Q、およびN315D;
(iii)H285D、T307Q、およびA378V;
(iv)T307Q、Q311V、およびA378V;
(v)T256D、N286D、T307R、Q311V、およびA378V;または
(vi)T256D、H285D、T307R、Q311V、およびA378V
から選択される変異を含み、
前記ポリペプチドは、PSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号1のアミノ酸121~330またはFcナンバリングに従うアミノ酸238~447)のアミノ酸配列を含む野生型Fc領域を含む参照ポリペプチドと比較して、少なくとも4倍の増加したin vivoでの半減期を有する、
ポリペプチド。
【請求項2】
前記Fc領域以外の領域における変異をさらに含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記Fc領域の前記CH2およびCH3ドメインの間にヒンジ領域をさらに含む、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
単離されたポリペプチドである、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項5】
合成ポリペプチドである、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項6】
抗体分子である、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項7】
重鎖免疫グロブリン可変領域、軽鎖免疫グロブリン可変領域、またはその両方をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項8】
免疫グロブリン鎖またはその断片である、請求項1から7のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記抗体分子が、キメラ抗体分子、マウス抗体分子、ヒト抗体分子またはヒト化抗体分子を含む、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
融合タンパク質である、請求項1から9のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリペプチドが、参照ポリペプチドと比較して、例えば少なくとも5倍、7倍または9倍の増加したin vivoでの半減期を有する、請求項1から10のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記Fc領域のCH2およびCH3ドメインが、T256D、Q311V、およびA378Vの変異を含む、請求項1から11のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記Fc領域のCH2およびCH3ドメインが、T307Q、Q311V、およびA378Vの変異を含む、請求項1から11のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記Fc領域のCH2およびCH3ドメインが、T256D、N286D、T307R、Q311V、およびA378Vの残基における変異を含む、請求項1から11のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドを含む、組成物。
【請求項16】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項18】
請求項17に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項19】
請求項17に記載の核酸分子または請求項18に記載のベクターを含む細胞。
【請求項20】
請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドおよび前記ポリペプチドの使用に関する指示を含むキット。
【請求項21】
請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドを含む容器。
【請求項22】
ポリペプチドを生成する方法であって、請求項19に記載の細胞を、ポリペプチドの生成を可能にする条件下で培養し、それにより、前記ポリペプチドを生成するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記方法は、前記ポリペプチドを単離または精製するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
被験体において障害を処置することにおける使用のための、請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドまたは請求項15または16に記載の組成物。
【請求項25】
被験体における障害の処置のための医薬の製造における、請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドまたは請求項15または16に記載の組成物の使用。
【請求項26】
分子を検出する方法であって、被験体由来の細胞または試料を、請求項1から14のいずれかに記載のポリペプチドと接触させ、それにより前記分子を検出するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2016年8月2日に出願された米国仮出願第62/370,201号および2017年4月14日に出願された米国仮出願第62/485,671号の利益を主張する。上記出願の内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2017年8月1日に作成された、前記ASCIIコピーは、P2029-7014WO_SL.txtと名付けられ、3,490バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
モノクローナル抗体療法は、疾患関連生物学的分子と特異的に相互作用する能力があるモノクローナル抗体(mAb)を含む免疫療法の一クラスである。ここ数年、治療抗体がターゲティングしうる疾患分野は、かなり拡大しており、いくつかのモノクローナル抗体および抗体誘導体生成物が、米国および多くの他の国において治療的使用に認可されている。モノクローナル抗体療法は、現在、様々な疾患または状態を処置するために使用され、または調べられており、その疾患または状態には、例えば、感染性疾患、がん、免疫疾患、臓器移植、循環器疾患、および代謝性疾患が含まれる。
【0004】
モノクローナル抗体の有効性は、異なる作用機構により達成されうる(Suzukiら、J Toxicol Pathol. 2015年;28巻(3号):133~139頁)。多くの治療抗体は、それらの標的分子または細胞の病態生理学的機能を中和する。ここ数年、免疫チェックポイントをブロックするモノクローナル抗体が、がん患者において抗腫瘍免疫を増強するために使用されており、永続的な臨床応答を生じる可能性をもつ。ある特定のモノクローナル抗体は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)活性または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を引き起こすことができる。モノクローナル抗体はまた、例えば、放射性同位元素、毒素、または他の治療剤もしくは診断剤にコンジュゲートされた場合、薬物送達担体として使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Suzukiら、J Toxicol Pathol.(2015年)28巻(3号):133~139頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な生物学的機能をモジュレートすることにおけるモノクローナル抗体および抗体誘導体生成物の能力を考慮すれば、障害を処置し、防止し、および診断するのに適したポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の作出のための新しい手法を開発する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示は、少なくとも部分的に、免疫グロブリンのFc領域を含み、かつ本明細書に開示された構造的または機能的特性の1つまたは複数を含むポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を提供する。ある実施形態では、そのポリペプチドをコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、組成物(例えば、医薬組成物)、キット、容器、およびそのポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を作製するための方法もまた、提供される。本明細書に開示されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、本明細書に開示された障害および状態などの障害を処置し、防止し、および/または診断するために、(単独で、または他の作用物質もしくは治療モダリティーと組み合わせて)使用することができる。
【0008】
ある態様では、本開示は、Fc領域を含むポリペプチド、例えば、抗体分子または融合タンパク質であって、Fc領域が変異を含み、かつポリペプチドが、以下の特性の1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全部)を有する、ポリペプチドを特色とする:
a)例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍増加の、例えば、6.0から6.5の間のpHにおける(例えば、pH 6.0における)、新生児型Fc受容体(FcRn)に対する、増加した結合アフィニティー(例えば、減少した解離定数(K))を有する;
b)例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、7.0から7.4の間のpHにおける(例えば、pH 7.4における)結合アフィニティーより、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍高い、6.0から6.5の間のpHにおける(例えば、pH 6.0における)、FcRnに対する、より高い結合アフィニティー(例えば、より低い解離定数(K))を有する;
c)例えば、6.0から6.5の間のpHにおいて(例えば、pH6.0において)高いアフィニティーで、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、例えば、300nMまたはそれ未満、例えば、250nMまたはそれ未満、200nMまたはそれ未満、150nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、例えば、25nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、2nMまたはそれ未満、1nMまたはそれ未満、0.5nMまたはそれ未満、0.2nMまたはそれ未満、0.1nMまたはそれ未満、0.05nMまたはそれ未満、0.02nMまたはそれ未満、または0.01nMまたはそれ未満、例えば、25nMから0.1nMの間の、20nMから0.5nMの間の、15nMから1nMの間の、10nMから5nMの間の、または20nMから10nMの間の解離定数(K)でFcRnに結合する;
d)例えば、7.0から7.4の間のpHにおいて(例えば、pH7.4において)低いアフィニティーで、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、例えば、50nMまたはそれより大きな、例えば、60nMまたはそれより大きな、80nMまたはそれより大きな、100nMまたはそれより大きな、150nMまたはそれより大きな、200nMまたはそれより大きな、500nMまたはそれより大きな、例えば、50nMから500nMの間のまたは100nMから250nMの間のKでFcRnに結合する;
e)例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、Fcγ受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIa/b、またはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、または全部)に対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
f)例えば、syproオレンジアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、同じ熱安定性を有し、または熱安定性を実質的に変化させない(例えば、融解温度を1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃以下だけ、増加または減少させる);
g)例えば、ELISAに基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
h)例えば、ELISAに基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
i)参照ポリペプチドと比較して、同じエフェクター機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)の1つもしくは複数(例えば、2つ、3つ、または全部)を有し、またはエフェクター機能を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%より多く、減少または増加させ)、またはエフェクター機能を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
j)例えば、動物モデルにおいて決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍増加の、増加したin vivoでの半減期を有する;
k)参照ポリペプチドと比較して、in vitro、ex vivo、またはin vivoで、同じ生物学的機能を有し、または生物学的機能を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または生物学的機能を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
l)参照ポリペプチドと比較して、同じ開発可能性特徴(developability characteristic)、例えば、安定性、溶解度、凝集、もしくは発現レベルの1つもしくは複数(例えば、2つ、3つ、または全部)を有し、または開発可能性特徴を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または開発可能性特徴を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;
m)参照ポリペプチドと比較して、エピトープに対する結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方が同じであり、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる;あるいは
n)例えば、トランスサイトーシスアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍だけ、粘膜取込みを増加させる。
【0009】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍増加の、例えば、6.0から6.5の間のpHにおける(例えば、pH 6.0における)、新生児型Fc受容体(FcRn)に対する、増加した結合アフィニティー(例えば、減少した解離定数(K))を有する。
【0010】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、7.0から7.4の間のpHにおける(例えば、pH 7.4における)結合アフィニティーより、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍高い、6.0から6.5の間のpHにおける(例えば、pH 6.0における)、FcRnに対する、より高い結合アフィニティー(例えば、より低い解離定数(K))を有する。
【0011】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、6.0から6.5の間のpHにおいて(例えば、pH6.0において)高いアフィニティーで、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、例えば、50nMまたはそれ未満、例えば、25nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、2nMまたはそれ未満、1nMまたはそれ未満、0.5nMまたはそれ未満、0.2nMまたはそれ未満、0.1nMまたはそれ未満、0.05nMまたはそれ未満、0.02nMまたはそれ未満、または0.01nMまたはそれ未満、例えば、25nMから0.1nMの間の、20nMから0.5nMの間の、15nMから1nMの間の、10nMから5nMの間の、または20nMから10nMの間の解離定数(K)でFcRnに結合する。
【0012】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、7.0から7.4の間のpHにおいて(例えば、pH7.4において)低いアフィニティーで、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、例えば、50nMまたはそれより大きな、例えば、60nMまたはそれより大きな、80nMまたはそれより大きな、100nMまたはそれより大きな、150nMまたはそれより大きな、200nMまたはそれより大きな、500nMまたはそれより大きな、例えば、50nMから500nMの間のまたは100nMから250nMの間のKでFcRnに結合する。
【0013】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、Fcγ受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIa/b、またはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、または全部)に対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0014】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、syproオレンジアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、同じ熱安定性を有し、または熱安定性を実質的に変化させない(例えば、融解温度を1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃以下だけ、増加または減少させる)。
【0015】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、ELISAに基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0016】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、ELISAに基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する結合アフィニティーが同じであり、または結合アフィニティーを実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティーを(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0017】
ある実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、同じエフェクター機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)の1つもしくは複数(例えば、2つ、3つ、または全部)を有し、またはエフェクター機能を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%より多く、減少または増加させ)、またはエフェクター機能を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0018】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、動物モデルにおいて決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍増加の、増加したin vivoでの半減期を有する。
【0019】
ある実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、in vitro、ex vivo、またはin vivoで、同じ生物学的機能を有し、または生物学的機能を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または生物学的機能を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。ある実施形態では、生物学的機能は、病原体、例えば、ウイルス、細菌、または真菌を阻害する(中和する)ことを含む。ある実施形態では、生物学的機能は、抗腫瘍活性を含む。ある実施形態では、生物学的機能は、免疫応答を阻害することを含む。ある実施形態では、生物学的機能は、アゴニスト活性を含む。ある実施形態では、生物学的機能は、免疫応答を活性化し、または回復させることを含む。
【0020】
ある実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、同じ開発可能性特徴(developability characteristic)、例えば、安定性、溶解度、凝集、もしくは発現レベルの1つもしくは複数(例えば、2つ、3つ、または全部)を有し、または開発可能性特徴を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または開発可能性特徴を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0021】
ある実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、エピトープに対する結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方が同じであり、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を実質的に変化させず(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以下だけ、減少または増加させ)、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を(例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍)増加させる。
【0022】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば、トランスサイトーシスアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、例えば、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍だけ、粘膜取込みを増加させる。
【0023】
ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)を有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)およびb)を有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)のうちの一方または両方を有し、上記の特性c)またはd)のうちの一方または両方を有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)のうちの一方または両方を有し、上記の特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全てを有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)のうちの一方または両方を有し、上記の特性c)またはd)のうちの一方または両方を有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)のうちの一方または両方を有し、上記の特性c)、d)、j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4、5、6個、または全てを有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはb)のうちの一方または両方、上記の特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全て、および上記の特c)、d)、j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4、5、6個、または全てを有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)、b)、c)、またはd)のうちの1、2、3個、または全て、上記の特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全て、および上記の特性j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4個、または全てを有する。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の特性a)またはc)のうちの一方または両方、上記の特性b)またはd)のうちの一方または両方、上記の特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全て、および上記の特性j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4個、または全てを有する。
【0024】
ある実施形態では、参照ポリペプチドは、変異を含まず、他の点では同一のポリペプチド、例えば、野生型Fc領域を含む、例えば、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を有する、ポリペプチドである。
【0025】
ある実施形態では、変異は、CH2ドメイン内の残基においてである。別の実施形態では、変異は、CH3ドメイン内の残基においてである。ある実施形態では、ポリペプチドは、CH2ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異、およびCH3ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドはさらに、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメイン以外の領域内の残基における変異を含む。
【0026】
ある実施形態では、変異は、CH2ドメインとCH3ドメインとの間のリンカー領域のコンフォメーションを変化させないか、または実質的に変化させない。ある実施形態では、変異は、例えば、表面領域(例えば、20%より多い溶媒接触可能区域を有するアミノ酸残基により覆われた区域として定義される領域)上にクラスターの(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10個の、またはそれより多く連続した)疎水性または芳香族残基を導入しない。
【0027】
ある実施形態では、ポリペプチドは、抗体分子、例えば、本明細書に記載される抗体分子である。
【0028】
ある実施形態では、ポリペプチドは、IgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。ある実施形態では、ポリペプチドは、IgG1である。ある実施形態では、ポリペプチドは、IgG4である。
【0029】
ある実施形態では、ポリペプチドは、重鎖免疫グロブリン可変領域、軽鎖免疫グロブリン可変領域、またはその両方を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、2つの重鎖免疫グロブリン可変領域と2つの軽鎖免疫グロブリン可変領域の四量体を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、全長抗体分子を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、抗体分子の断片(例えば、抗原結合性断片)を含む。
【0030】
ある実施形態では、ポリペプチドは、キメラ抗体分子を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、ヒト化抗体分子を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、ヒト抗体分子を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、マウス抗体分子を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、二特異的または多特異的抗体分子を含む。
【0031】
別の実施形態では、ポリペプチドは、融合タンパク質、例えば、本明細書に記載される融合タンパク質である。ある実施形態では、ポリペプチドは、融合ポリペプチドの断片(例えば、機能的断片)を含む。
【0032】
ある実施形態では、ポリペプチドは、以下:
(i)FcRn、例えば、FcRn接触残基と相互作用する表面領域(例えば、20%より多い溶媒接触可能区域を有するアミノ酸残基により覆われた区域として定義される領域)内の残基における変異;
(ii)Fc-FcRn界面(例えば、Fc-FcRn複合体においてFcRnから7オングストローム未満にあるFc領域の表面上の任意のアミノ酸残基)に沿う周辺残基である残基における変異;
(iii)Fc-FcRn結合において非接触残基である残基における変異;
(iv)250-ヘリックス、例えば、P247、K248、D249、T250、L251、もしくはM252のうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5個、もしくは全部)を含むヘリックスのコンフォメーション動力学を増強する、ヘリックス接触残基である残基における変異;または
(v)Fc-FcRn界面に沿ってヒスチジンのpKをモジュレートする、および/またはFc-FcRn界面(例えば、Fc-FcRn複合体においてFcRnから7オングストローム未満にあるFc領域の表面上の任意のアミノ酸残基)に沿ってのヒスチジンの導入である変異
のうちの1個または複数(例えば、2、3、4個、または全部)を含む。
【0033】
ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)および(ii)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)および(iii)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)および(iii)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(iii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(iii)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(iv)および(v)を含む。
【0034】
ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)および(iii)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(iii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(iii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(iv)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)、(iii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)、(iii)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)、(iv)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(iii)、(iv)および(v)を含む。
【0035】
ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)、(iii)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)、(iv)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(iii)、(iv)および(v)を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(ii)、(iii)、(iv)および(v)を含む。
【0036】
ある実施形態では、ポリペプチドは、上記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)を含む。
【0037】
ある実施形態では、ポリペプチドは、FcRnと相互作用する表面領域(例えば、20%より多い溶媒接触可能区域を有するアミノ酸残基により覆われた区域として定義される領域)内の残基、例えば、FcRn接触残基において変異を含む。
【0038】
ある実施形態では、変異は、L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基のうちの2個またはそれより多く(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全て)における複数の変異を含む。
【0039】
ある実施形態では、ポリペプチドは、Fc-FcRn界面(例えば、Fc-FcRn複合体においてFcRnから7オングストローム未満にあるFc領域の表面上の任意のアミノ酸残基)に沿う周辺残基である残基において変異を含む。
【0040】
ある実施形態では、変異は、T256、H285、N286、T307、Q311、N315、またはA378のうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6個、または全て)から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、T256、H285、N286、T307、Q311、N315、またはA378から選択される残基のうちの2個またはそれより多く(例えば、2、3、4、5、6個、または全て)における複数の変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、T256D、H285N、N286D、T307Q、Q311V、N315D、またはA378Vから選択される変異のうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6個、または全て)を含む。
【0041】
ある実施形態では、変異は、T256、Q311、またはA378から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、T256、Q311、またはA378から選択される残基のうちの2個または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、T256D、Q311V、またはA378Vから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2個、または全てを含む。
【0042】
ある実施形態では、変異は、H285、T307、またはN315から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、H285、T307、またはN315から選択される残基のうちの2個または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、H285N、T307Q、またはN315Dから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2個、または全てを含む。
【0043】
ある実施形態では、変異は、H285、T307、またはA378から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、H285、T307、またはA378から選択される残基のうちの2個または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、H285D、T307Q、またはA378Vから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2個、または全てを含む。
【0044】
ある実施形態では、変異は、T307、Q311、またはA378から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、T307、Q311、またはA378から選択される残基のうちの2個または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、T307Q、Q311V、またはA378Vから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2個、または全てを含む。
【0045】
ある実施形態では、変異は、T256、N286、T307、Q311、またはA378から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、T256、N286、T307、Q311、またはA378から選択される残基のうちの2、3、4個、または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、T256D、N286D、T307R、Q311V、またはA378Vから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2、3、4個、または全てを含む。
【0046】
ある実施形態では、変異は、T256、H285、T307、Q311、またはA378から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、T256、H285、T307、Q311、またはA378から選択される残基のうちの2、3、4個、または全てにおける複数の変異を含む。ある実施形態では、T256D、H285D、T307R、Q311V、またはA378Vから選択される変異のうちのポリペプチドは、1、2、3、4個、または全てを含む。
【0047】
ある実施形態では、変異は、M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基のうちの2個またはそれより多く(例えば、3、4、5、6、7、8、9個、または全て)における複数の変異を含む。
【0048】
ある実施形態では、ポリペプチドは、Fc-FcRn結合において非接触残基である残基において変異を含む。
【0049】
ある実施形態では、変異は、A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基のうちの2個またはそれより多く(例えば、3、4、5、6、7個、または全て)における複数の変異を含む。
【0050】
ある実施形態では、ポリペプチドは、(例えば、pH5.0(PDB ID:4J12)およびpH 6.5(PDB ID:4Q7D)において結晶化されたFcドメインの結晶構造の比較により示されるように)250-ヘリックス(例えば、P247、K248、D249、T250、L251、またはM252の1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または全部)を含むヘリックス)のコンフォメーション動力学、例えば、250-ヘリックスにより示される側方変位またはコンフォメーション柔軟性を増強する、ヘリックス接触残基である残基において変異を含む。
【0051】
ある実施形態では、変異は、P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基のうちの2個またはそれより多く(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全て)における複数の変異を含む。
【0052】
ある実施形態では、ポリペプチドは、Fc-FcRn界面(例えば、Fc-FcRn複合体においてFcRnから7オングストローム未満にあるFc領域の表面上の任意のアミノ酸残基)に沿ってのヒスチジンの導入である変異を含む。
【0053】
ある実施形態では、変異は、極性アミノ酸残基を導入する。別の実施形態では、変異は、非極性アミノ酸残基を導入する。ある実施形態では、変異は、荷電アミノ酸残基を導入する。別の実施形態では、変異は、非荷電アミノ酸残基を導入する。ある実施形態では、変異は、正荷電(または塩基性)アミノ酸残基を導入する。別の実施形態では、変異は負荷電(または酸性)アミノ酸残基を導入する。ある実施形態では、変異は、疎水性アミノ酸残基を導入する。別の実施形態では、変異は、親水性アミノ酸残基を導入する。
【0054】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、2、3、4、5個、またはそれより多く)のFcRn接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256、T307、またはN286のうちの1個または複数(例えば、2個または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256およびT307における変異を含み、任意選択で残基N286における変異をさらに含む。ある実施形態では、残基T256における変異は、例えば、T256D、T256E、またはT256Rから選択される極性残基である。ある実施形態では、残基T256における変異は、T256Dである。ある実施形態では、残基T307における変異は、例えば、T307D、T307E、またはT307Rから選択される極性残基である。ある実施形態では、残基T307における変異は、T307Rである。ある実施形態では、残基N286における変異は、N286Iである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256DおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307R、およびN286Iを含む。
【0055】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、2、3、4、5個、またはそれより多く)のFcRn接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基L309、D312、またはN315のうちの1個または複数(例えば、2個または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基L309における変異を含み、任意選択で残基D312およびN315における変異をさらに含む。ある実施形態では、残基L309における変異は、L309Nである。ある実施形態では、残基D312における変異は、D312Aである。ある実施形態では、残基N315における変異は、N315Dである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309N、D312AおよびN315Dを含む。
【0056】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、1、2、3、4、5個、またはそれより多く)のFcRn非接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基L209R、D312、またはQ311のうちの1個または複数(例えば、2個または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基L309およびD312における変異を含み、任意選択で残基Q311における変異をさらに含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基Q311における変異を含む。ある実施形態では、残基L309における変異は、L309Rである。ある実施形態では、残基D312における変異は、D312Eである。ある実施形態では、残基Q311における変異は、Q311Pである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309RおよびD312Eを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309R、D312E、およびQ311Pを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異Q311Pを含む。
【0057】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、2、3、4、5個、またはそれより多く)のFcRn接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、I253、S254、M252、またはR255から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2、3、または4個)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基I253における変異を含む。ある実施形態では、残基I253における変異は、I253Mである。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基S254における変異を含む。ある実施形態では、残基S254における変異は、S254HまたはS254Mである。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基M252およびS254における変異を含む。ある実施形態では、残基M252における変異は、M252Eである。ある実施形態では、残基S254における変異は、S254Rである。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基M252、S254、およびR255における変異を含む。ある実施形態では、残基M252における変異は、M252Eである。ある実施形態では、残基S254における変異は、S254Rである。ある実施形態では、残基R255における変異は、R255Yである。
【0058】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、2、3、4、5、またはそれより多く)のFcRn非接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、T250QおよびM34Lと同等である変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、D376、K248、E380、M428、またはA328から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2、3、4個、または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基D376における変異、およびK248、E380、M428、またはA328から選択される残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基D376における変異および残基K248における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基D376における変異および残基E380における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基D376における変異および残基M428における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基D376における変異および残基A328における変異を含む。ある実施形態では、残基D376における変異は、D376QまたはD376Nである。ある実施形態では、残基K248における変異は、K248Sである。ある実施形態では、残基E380における変異は、E380Aである。ある実施形態では、残基D376における変異は、D376Qである。ある実施形態では、残基M428における変異は、M428Lである。ある実施形態では、残基A328における変異は、A328Iである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QまたはD376N、および変異K248Sを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QまたはD376N、および変異E380Aを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QおよびM428Lを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QおよびA328Iを含む。
【0059】
ある実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1個(例えば、2、3、4、5、またはそれより多く)のFcRn非接触残基における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、K246、P247、またはD376から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2個または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基K246における変異および残基P247における変異を含み、任意選択で残基D376における変異をさらに含む。ある実施形態では、残基K246における変異は、K246Nである。ある実施形態では、残基P247における変異は、P247Aである。ある実施形態では、残基D376における変異は、D376Nである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K246NおよびP247Aを含み、任意選択で変異D376Nをさらに含む。
【0060】
ある実施形態では、ポリペプチドは、T256、T307、N286、A287、P257、Q311、またはP247から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6個、または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256、T307、N286、およびA287における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256、T307、およびP257における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256、T307、およびQ311における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基T256、T307、およびP247における変異を含む。ある実施形態では、残基T256における変異は、T256Dである。ある実施形態では、残基T307における変異は、T307Rである。ある実施形態では、残基N286における変異は、N286Iである。ある実施形態では、残基A287における変異は、A287Sである。ある実施形態では、残基P257における変異は、P257Lである。ある実施形態では、残基Q311における変異は、Q311VまたはQ311Lである。ある実施形態では、残基P247における変異は、P247Dである。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307R、N286D、およびA287Sを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307R、およびP257Lを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307R、およびQ311VまたはQ311Lを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307R、およびP247Dを含む。
【0061】
ある実施形態では、ポリペプチドは、N286、A287、P247、Q311、V308、P257、N315、またはV279から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7個、または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基N286、A287、P247、およびQ311における変異を含む。ある実施形態では、残基N286における変異は、N286Dである。ある実施形態では、残基A287における変異は、A287Sである。ある実施形態では、残基P247における変異は、P247Dである。ある実施形態では、残基Q311における変異は、Q311Vである。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基V308およびP257における変異を含む。ある実施形態では、残基V308における変異は、V308Nである。ある実施形態では、残基P257における変異は、P257Mである。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基Q311、N315、およびV279における変異を含む。ある実施形態では、残基Q311における変異は、Q311Lである。ある実施形態では、残基N315における変異は、N315Tである。ある実施形態では、残基V279における変異は、V279Iである。
【0062】
ある実施形態では、ポリペプチドは、G433またはH433、P434またはG434、G434a、またはH435から選択される残基のうちの1個または複数(例えば、2、3個、または全て)における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基G433、P434、およびH435における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基G433、P434、G434a、およびH435における変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、残基H433、G434、P434a、およびH435における変異を含む。
【0063】
ある実施形態では、ポリペプチドは、表1に記載されているような、1個もしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多く)の変異、または変異の1個もしくは複数の組み合わせを含む。例えば、変異の組み合わせは、FcMutXという名前で挙げられた1個または複数の変異およびFcMutYという名前で挙げられた1個または複数の変異を含むことができ、ただし、XおよびYは、表1に示された3桁の数字であり、かつXはYと等しくない。
【0064】
ある実施形態では、ポリペプチドは、変異I253Mを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309H、D312AおよびN315Dを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異M252EおよびS254Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異M252E、S254RおよびR255Yを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異S254Hを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異S254Mを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256DおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256L、N286IおよびT307Iを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256I、N286IおよびT307Iを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K248SおよびD376Qを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K248SおよびD376Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QおよびE380Aを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376NおよびE380Aを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376QおよびM428Lを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K248SおよびA378Iを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L314Kを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異M252Wを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異V308Fを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異V308FおよびN434Yを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびD376Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309RおよびD312Eを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異L309R、Q311PおよびD312Eを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K246NおよびP247Aを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異K246N、P247AおよびD376Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256EおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256RおよびT307Dを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256RおよびT307Eを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異Q311Pを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異D376Qを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、N286D、A287SおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、P257LおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびQ311Vを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異P247D、T256DおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異P247D、N286D、A287SおよびQ311Vを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異P257MおよびV308Nを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異V279I、Q311LおよびN315Tを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異H433GおよびN434Pを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、N286DおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、N286EおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、N286QおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、P257TおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、P257VおよびT307Rを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびQ311Iを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびQ311Lを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびQ311Mを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、P257L、N286D、T307RおよびQ311Vを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、変異T256D、T307RおよびM428Lを含む。
【0065】
ある実施形態では、変異は、M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、T256E、またはそれらの組合せ以外である。ある実施形態では、変異は、残基M252、S254、T256、L309、T250、M428、N434、N434、T307、E380、N434、M252、S254、T256、またはそれらの組合せ以外の残基における変異である。ある実施形態では、ポリペプチドは、以下の1個または複数の変異:(i)M252Y、S254T、およびT256E;(ii)L309N;(iii)T250QおよびM428L;(iv)M428LおよびN434A;(v)N434A;(vi)T307A、E380A、およびN434A;(vii)M252W;(viii)V308F;(ix)V308FおよびN434Y;または(x)H435Aのうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9個、または全て)を有しない。
【0066】
ある実施形態では、ポリペプチドは、M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、またはT256Eから選択される第1の変異、およびM252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、およびT256E以外の表1中の変異から選択される第2の変異を含む。
【0067】
ある実施形態では、ポリペプチドは、M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、またはT256Eから選択される変異の組合せを含み、ここで、組合せは、(i)M252Y、S254T、およびT256E;(ii)L309N;(iii)T250QおよびM428L;(iv)M428LおよびN434A;(v)N434A;(vi)T307A、E380A、およびN434A;(vii)M252W;(viii)V308F;(ix)V308FおよびN434Y;または(x)H435A以外である。
【0068】
ある実施形態では、ポリペプチドは、エフェクター機能を増大させるFc領域における変異をさらに含む。ある実施形態では、変異は、S239(例えば、S239D)、A330(例えば、A330L)、I332(例えば、I332E)、F243(例えば、F243L)、G236(例えば、G236A)、またはそれらの組合せから選択される残基における変異であり、例えば、エフェクター機能を増大させる。
【0069】
ある実施形態では、ポリペプチドは、エフェクター機能を低下させるFc領域における変異をさらに含む。ある実施形態では、変異は、K322(例えば、K322A)、L234(例えば、L234AまたはL234F)、L235(例えば、L235AまたはL235E)、P331(例えば、P331S)、N297、またはそれらの組合せから選択される残基における変異であり、例えば、エフェクター機能を低下させる。
【0070】
ある実施形態では、ポリペプチドはさらに、Fc領域以外の領域において、例えば、Fab領域において、変異を含む。
【0071】
ある実施形態では、ポリペプチドはさらに、複数の変異を含み、少なくとも1個の変異は、代償性変異、例えば、本明細書に記載された代償性変異である。
【0072】
ある実施形態では、ポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。ある実施形態では、ポリペプチドは、合成ポリペプチドである。
【0073】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載されたポリペプチドを含む組成物、例えば、医薬組成物を特色とする。ある実施形態では、組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含む。
【0074】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子を特色とする。ある態様では、本開示は、本明細書に記載された核酸分子を含むベクターを特色とする。ある態様では、本開示は、本明細書に記載された核酸分子、または本明細書に記載されたベクターを含む細胞、例えば、単離細胞を特色とする。ある態様では、本開示は、本明細書に記載されたポリペプチドおよびポリペプチドの使用のための指示を含むキットを特色とする。ある態様では、本開示は、本明細書に記載されたポリペプチドを含む容器を特色とする。
【0075】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載されたポリペプチドを生成する方法であって、抗体分子の生成を可能にする条件下で、本明細書に記載された細胞を培養して、それにより、ポリペプチドを生成するステップを含む方法を特色とする。ある実施形態では、方法はさらに、ポリペプチドを単離または精製するステップを含む。
【0076】
ある態様では、本開示は、障害(例えば、本明細書に記載された障害)を処置する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の、本明細書に記載されたポリペプチドまたは本明細書に記載された組成物を投与し、それにより、障害を処置するステップを含む方法を特色とする。
【0077】
ある態様では、本開示は、障害(例えば、本明細書に記載された障害)を処置する方法における使用のための、本明細書に記載されたポリペプチドを特色とする。別の態様では、本開示は、障害(例えば、本明細書に記載された障害)の処置での医薬の製造における、本明細書に記載されたポリペプチドの使用を特色とする。
【0078】
ある態様では、本開示は、分子を検出する方法であって、被験体由来の細胞または試料を、本明細書に記載されたポリペプチドと接触させ、それにより分子を検出するステップを含む方法を特色とする。
【0079】
本開示は、前出の態様および/または実施形態のうちの任意の1つまたは複数の全ての組み合わせのほか、詳細な説明および実施例において明示される実施形態のうちの任意の1つまたは複数との組み合わせも想定する。
【0080】
本明細書の組成物および方法の、他の特徴、目的、および利点は、記載および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
Fc領域を含むポリペプチドであって、前記Fc領域が変異を含み、前記ポリペプチドが、以下の特性:
a)参照ポリペプチドと比較して、6.0から6.5の間のpHにおける新生児型Fc受容体(FcRn)に対する、増加した結合アフィニティーを有する;
b)7.0から7.4の間のpHにおける結合アフィニティーより、6.0から6.5の間のpHにおける、FcRnに対する、より高い結合アフィニティーを有する;
c)6.0から6.5の間のpHにおいてFcRnに、300nMもしくはそれ未満の解離定数(K )で結合する;
d)7.0から7.4の間のpHにおいてFcRnに、50nMもしくはそれより大きいK で結合する;
e)参照ポリペプチドと比較して、Fcγ受容体に対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
f)参照ポリペプチドと比較して、同じ、もしくは実質的に同じ熱安定性を有する;
g)参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
h)参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
i)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、実質的に同じであるか、もしくは増加しているエフェクター機能を有する;
j)参照ポリペプチドと比較して、増加したin vivoでの半減期を有する;
k)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、実質的に同じであるか、もしくは増加している、in vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を有する;
l)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、もしくは実質的に同じである開発可能性特徴を有する;
m)参照ポリペプチドと比較して、エピトープに対する、同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を有する;または
n)参照ポリペプチドと比較して、粘膜取込みを増加させる;
のうちの3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全部を有し、ならびに、前記ポリペプチドが、少なくとも特性a)、b)と、特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部とを有する、ポリペプチド。
(項目2)
少なくとも特性a)、b)、c)、d)、および特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部を有する、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
少なくとも特性a)、b)と、特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部と、特性c)、d)、j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4、5、6個、または全部とを有する、項目1または2に記載のポリペプチド。
(項目4)
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、pH6.0におけるFcRnに対する結合アフィニティーが、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍増加している、項目1から3のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目5)
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH6.0におけるFcRnに対する結合アフィニティーが、pH 7.4におけるそれより、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍高い、項目1から4のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目6)
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH6.0において250nMまたはそれ未満、200nMまたはそれ未満、150nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、25nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、2nMまたはそれ未満、1nMまたはそれ未満、0.5nMまたはそれ未満、0.2nMまたはそれ未満、0.1nMまたはそれ未満、0.05nMまたはそれ未満、0.02nMまたはそれ未満、0.01nMまたはそれ未満、25nMから0.1nMの間の、20nMから0.5nMの間の、15nMから1nMの間の、10nMから5nMの間の、あるいは20nMから10nMの間の解離定数(K )でFcRnに結合する、項目1から5のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目7)
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH7.4において60nMまたはそれより大きな、80nMまたはそれより大きな、100nMまたはそれより大きな、150nMまたはそれより大きな、200nMまたはそれより大きな、500nMまたはそれより大きな、50nMから500nMの間の、あるいは100nMから250nMの間のK でFcRnに結合する、項目1から6のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目8)
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、FcγRI、FcγRIIa/b、もしくはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、もしくは全部に対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはFcγRI、FcγRIIa/b、もしくはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、もしくは全部に対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から7のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目9)
syproオレンジアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、融解温度を1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃以下だけ、増加または減少させる、項目1から8のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目10)
ELISAにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはC1qに対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から9のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目11)
ELISAにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはTRIM21に対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から10のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目12)
参照ポリペプチドと比較して、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、または補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から11のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目13)
動物モデルにおいて決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、in vivoでの半減期が、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍、増加している、項目1から12のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目14)
参照ポリペプチドと比較して、in vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはin vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から13のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目15)
参照ポリペプチドと比較して、安定性、溶解度、凝集、または発現レベルのうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、10%、20%、30%、40%、または50%以下だけ、変化させる、項目1から14のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目16)
参照ポリペプチドと比較して、結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項目1から15のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目17)
トランスサイトーシスアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、粘膜取込みを、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍、増加させる、項目1から16のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目18)
前記参照ポリペプチドが、野生型Fc領域、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な、もしくは1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を含むFc領域を含む、項目1から4、または8から17のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目19)
前記変異がCH2ドメイン内の残基においてである、項目1から18のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目20)
前記変異がCH3ドメイン内の残基においてである、項目1から18のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目21)
CH2ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異、およびCH3ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異を含む、項目1から20のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目22)
CH2ドメインおよび/またはCH3ドメイン以外の領域内の残基における変異をさらに含む、項目1から21のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目23)
前記変異が、CH2ドメインとCH3ドメインとの間のリンカー領域のコンフォメーションを変化させないか、または実質的に変化させない、項目1から22のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目24)
前記変異が、表面領域上に、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多く連続した疎水性または芳香族残基を導入しない、項目1から23のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目25)
抗体分子を含む、項目1から24のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目26)
IgGを含む、項目1から25のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目27)
IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む、項目1から26のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目28)
重鎖免疫グロブリン可変領域、軽鎖免疫グロブリン可変領域、またはその両方を含む、項目1から27のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目29)
2つの重鎖免疫グロブリン可変領域と2つの軽鎖免疫グロブリン可変領域の四量体を含む、項目1から28のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目30)
全長抗体分子を含む、項目1から29のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目31)
抗体分子の断片を含む、項目1から30のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目32)
キメラ抗体分子またはマウス抗体分子を含む、項目1から31のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目33)
ヒト抗体分子またはヒト化抗体分子を含む、項目1から32のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目34)
融合タンパク質を含む、項目1から24のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目35)
以下:
(i)FcRnと相互作用する表面領域内の残基における変異;
(ii)Fc-FcRn界面に沿う周辺残基である残基における変異;
(iii)Fc-FcRn結合において非接触残基である残基における変異;
(iv)P247、K248、D249、T250、L251、もしくはM252のうちの1、2、3、4、5個、もしくは全部を含む、ヘリックスのコンフォメーション動力学を増強する、ヘリックス接触残基である残基における変異;または
(v)Fc-FcRn界面に沿ってヒスチジンのpKをモジュレートするか、もしくはFc-FcRn界面に沿ってのヒスチジンの導入である変異
のうちの1、2、3、4個、または全部を含む、項目1から34のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目36)
FcRnと相互作用する表面領域内の残基における変異を含む、項目1から35のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目37)
前記変異が、L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基においてである、項目36に記載のポリペプチド。
(項目38)
L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全てにおける複数の変異を含む、項目1から37のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目39)
Fc-FcRn界面に沿う周辺残基である残基における変異を含む、項目1から38のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目40)
前記変異が、M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基においてである、項目39に記載のポリペプチド。
(項目41)
M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9個、または全てにおける複数の変異を含む、項目1から40のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目42)
Fc-FcRn結合において非接触残基である残基における変異を含む、項目1から41のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目43)
前記変異が、A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基においてである、項目42に記載のポリペプチド。
(項目44)
A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7個、または全てにおける複数の変異を含む、項目1から43のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目45)
P247、K248、D249、T250、L251、またはM252のうちの1、2、3、4、5個、または全部を含む、ヘリックスのコンフォメーション動力学を増強するヘリックス接触残基である残基における変異を含む、項目1から44のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目46)
前記変異は、P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基における変異である、項目45に記載のポリペプチド。
(項目47)
P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全てにおける複数の変異を含む、項目1から46のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目48)
Fc-FcRn界面に沿ってのヒスチジンの導入である変異を含む、項目1から47のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目49)
表1に記載される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くの変異、あるいは1個または複数の変異の組み合わせを含む、項目1から48のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目50)
前記変異が、M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、T256E、またはそれらの組合せ以外である、項目1から49のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目51)
前記変異が、残基M252Y、S254T、T256E、L309N、T250、M428、N434、N434、T307、E380、N434、M252、S254、T256、またはそれらの組合せ以外の残基においてである、項目1から50のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目52)
以下の1つまたは複数の変異:
(i)M252Y、S254T、およびT256E;
(ii)L309N;
(iii)T250QおよびM428L;
(iv)M428LおよびN434A;
(v)N434A;
(vi)T307A、E380A、およびN434A;
(vii)M252W;
(viii)V308F;
(ix)V308FおよびN434Y;または
(x)H435A、
のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9個、または全てを有しない、項目1から51のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目53)
M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、またはT256Eから選択される第1の変異、およびM252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、およびT256E以外の表1中の変異から選択される第2の変異を含む、項目1から52のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目54)
エフェクター機能を増加させる、前記Fc領域における変異をさらに含む、項目1から53のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目55)
前記変異が、S239、A330、I332、F243、G236、またはそれらの組み合わせから選択される残基においてである、項目54に記載のポリペプチド。
(項目56)
エフェクター機能を減少させる、前記Fc領域における変異をさらに含む、項目1から55のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目57)
前記変異が、K322、L234、L235、P331、N297、またはそれらの組み合わせから選択される残基においてである、項目56に記載のポリペプチド。
(項目58)
前記Fc領域が、以下:
(a)T256D/Q311V/A378V、H285N/T307Q/N315D、H285D/T307Q/A378V、T307Q/Q311V/A378V、T256D/N286D/T307R/Q311V/A378V、もしくはT256D/T307R/Q311Vから選択される変異の組み合わせのうちの1、2、3、4、5個、もしくは全部;
(b)Fcエフェクター機能を破壊する能力がある変異もしくは変異の組み合わせ、または
(c)(a)と(b)の両方
を含む、項目1から57のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目59)
(i)T256、Q311、およびA378;
(ii)H285、T307、およびN315;
(iii)H285、T307、およびA378;
(iv)T307、Q311、およびA378;
(v)T256、N286、T307、Q311、およびA378;または
(vi)T256、H285、T307、Q311、およびA378
から選択される残基における変異を含む、項目1から58のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目60)
(i)T256D、Q311V、およびA378V;
(ii)H285N、T307Q、およびN315D;
(iii)H285D、T307Q、およびA378V;
(iv)T307Q、Q311V、およびA378V;
(v)T256D、N286D、T307R、Q311V、およびA378V;または
(vi)T256D、H285D、T307R、Q311V、およびA378V
から選択される変異を含む、項目1から59のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目61)
前記Fc領域以外の領域における変異をさらに含む、項目1から60のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目62)
複数の変異を含み、少なくとも1個の変異が代償性または有益な変異である、項目1から61のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目63)
単離されたポリペプチドである、項目1から62のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目64)
合成ポリペプチドである、項目1から62のいずれかに記載のポリペプチド。
(項目65)
項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
(項目66)
薬学的に許容される担体をさらに含む、項目65に記載の組成物。
(項目67)
項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
(項目68)
項目67に記載の核酸分子を含むベクター。
(項目69)
項目67に記載の核酸分子または項目68に記載のベクターを含む細胞。
(項目70)
項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドおよび前記ポリペプチドの使用に関する指示を含むキット。
(項目71)
項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドを含む容器。
(項目72)
ポリペプチドを生成する方法であって、項目69に記載の細胞を、抗体分子の生成を可能にする条件下で培養し、それにより、前記ポリペプチドを生成するステップを含む、方法。
(項目73)
前記ポリペプチドを単離または精製するステップをさらに含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
障害を処置する方法であって、それを必要としている被験体に、有効量の、項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項目65もしくは66に記載の組成物を投与し、それにより前記障害を処置するステップを含む、方法。
(項目75)
被験体において障害を処置することにおける使用のための、項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項目65もしくは66に記載の組成物。
(項目76)
被験体における障害の処置のための医薬の製造における、項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項目65もしくは66に記載の組成物の使用。
(項目77)
分子を検出する方法であって、被験体由来の細胞または試料を、項目1から64のいずれかに記載のポリペプチドと接触させ、それにより前記分子を検出するステップを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、FcRnとIgG1の間の結合を描示する。
【0082】
図2図2は、Fc領域における様々な結合部位を描示する。
【0083】
図3図3は、FcRnのpH特異的係合についての構造的基盤を描示する。
【0084】
図4図4は、Fc-FcRn相互作用界面のマッピングを描示する。CH2およびCH3ドメインが指し示され、異なるモノクロ階調により示されている。
【0085】
図5図5は、Fc-FcRn係合のネットワーク表示を描示する。
【0086】
図6図6は、FcRnの抗CH1固定化抗体への結合、およびpH特異的増強を描示する。
【0087】
図7図7は、細胞に基づいたFcRn結合競合アッセイの結果を描示する。
【0088】
図8図8は、例示的な抗体分子のFcγRIおよびFcγRIIIaへの結合を描示する。
【0089】
図9図9は、例示的な抗体分子の熱安定性を描示する。
【0090】
図10図10は、Tg32マウスにおける例示的な抗体分子の半減期を描示する。
【0091】
図11A図11Aは、例示的なFc操作型抗体のK、kon、およびkoffを描示する。値は、WT Fcを含有するIgGと比較しての倍数変化として表された。
【0092】
図11B図11Bは、代表的なFc操作型抗体の、pH 6.0におけるFcRnへの改善された結合、およびpH 7.4におけるFcRnへの弱い結合を描示する。
【0093】
図11C図11Cは、抗体FcのCH2ドメインのFcRn分子との相互作用を描示する。
【0094】
図12図12は、Fc操作型改変体の生物物理学的特性を描示する。
【0095】
図13図13Aは、WTモタビズマブ(Mota-WT)と比較した、3つのモタビズマブFc改変体の改善されたin vivo半減期を描示する。図13Bは、2つのモタビズマブFc改変体およびWTモタビズマブの薬物動態学的特性を描示する。
【0096】
図14AB図14Aは、5mg/kgの用量で投与されたWTモタビズマブ(Mota-WT)と比較した後期モタビズマブFc改変体の改善されたin vivo半減期を描示する。図14Bは、5mg/kgの用量で投与された後期モタビズマブFc改変体およびWTモタビズマブの薬物動態学的特性を描示する。
【0097】
図14CD図14Cは、2mg/kgの用量で投与されたWTモタビズマブ(Mota-WT)と比較した後期モタビズマブFc改変体の改善されたin vivo半減期を描示する。図14Dは、2mg/kgの用量で投与された後期モタビズマブFc改変体およびWTモタビズマブの薬物動態学的特性を描示する。
【0098】
図15図15は、ZVB Zika抗体のより長いin vivo半減期を描示する。
【0099】
図16図16は、ZKB-LS(LS Fc変異を有するZVB抗体)およびZKB-156(Visterra 156 Fc変異を有するZVB抗体)の類似した半減期を描示する。これらの抗体のどちらも、親ZVB抗体(ZKB)およびWTモタビズマブより長い半減期を有した。
【0100】
図17AB図17Aは、例示的なFc改変体のFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、およびC1qへの結合を描示する。図17Bは、野生型と比較した、FcMut213のFcγRIIIAへの結合を描示する。
【0101】
図17CD図17Cは、野生型と比較した、FcMut213のFcγRIIAへの結合を描示する。図17Dは、野生型と比較した、FcMut213のC1qへの結合を描示する。
【0102】
図18図18は、例示的なFc改変体(リツキシマブFab)のCDC活性を描示する。計算は、50%溶解を達成する濃度に基づいており、4パラメータフィットの中間点に基づいていない。
【0103】
図19図19A~19Bは、例示的なFc改変体(リツキシマブFab)のADCC活性を描示する。
【0104】
図20図20Aは、IgG Fc構造およびFc-FcRn相互作用を描示する。図20Bは、2つの異なるpHにおけるFcの構造を描示する。
【0105】
図21図21Aは、Fc-FcRn相互作用を媒介する可能性をもつ残基の型を描示する。図21Bは、例示的な操作型Fc改変体の鍵となる残基の分子的相互作用を描示する。
【0106】
図22図22は、例示的なOctetセンサーグラムを描示する。
【0107】
図23図23は、例示的なFc改変体のSECプロファイルおよびTmを描示する。
【0108】
図24図24は、Fc改変体の、FcγRIIIa(ADCC活性)への、およびC1q(CDC活性)への結合を描示する。
【0109】
図25図25Aは、Fc改変体を有するIgGの薬物動態学的特徴付けを描示する。プロットは、時間をわたってのIgGの濃度の変化を示す。図25Bは、例示的なFc改変体のPK特徴付けを描示する。
【0110】
図26図26は、Fc改変体を有するモタビズマブFabのTRIM21への結合を描示する。
【0111】
図27A図27Aは、FcRn-Fc複合体、プロテインA-Fc複合体、Trim21-Fc複合体、およびFc-Fc六量体複合体の構造を描示する。
【0112】
図27B図27Bは、Fcドメイン動力学を強調する、Fcドメインの結晶構造の重ね合わせを描示する。
【発明を実施するための形態】
【0113】
標的分子または細胞、例えば、ヒトタンパク質または細胞に、高アフィニティーおよび特異性で、結合するポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)が、本明細書に開示される。有利なことには、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)のいくつかは、循環半減期などの、1つまたは複数の改善された、または所望の薬物動態学的特性を有する。理論により束縛されることを望まないが、ポリペプチドは、ヒトにおいて様々な範囲の循環半減期を有することができ、循環半減期は、例えば、血清および細胞構成要素との相互作用、液相飲作用(fluid phase pinocytosis)の速度、FcRnとの相互作用、受容体媒介性エンドサイトーシス、薬物用量、および抗薬物抗体の作出に影響しうると考えられる。ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、組成物(例えば、医薬組成物)、キット、容器、およびポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を作製するための方法もまた提供される。本明細書に開示された、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)および医薬組成物は、障害および状態、例えば、標的分子(例えば、タンパク質)または細胞に関連した障害および状態、例えば、本明細書に記載された障害および状態を処置し、防止し、および/または診断するために、(単独で、または他の作用物質もしくは治療モダリティーと組み合わせて)使用することができる。
【0114】
理論により束縛されることを望まないが、一部の実施形態では、IgGの長い循環半減期は、新生児型Fc受容体(FcRn)に会合することによりそのエンドソーム分解を最小限にするその能力に起因すると考えられる。FcRnは、母親から胎児へのIgG分子の胎盤移入、および血清IgG恒常性において重要な役割を果たす(Leachら、J Immunol、1996年 157巻(8号):3317~22頁;Simisterら、Eur J Immunol、1996年 26巻(7号):1527~31頁;Kristoffersen、APMIS Suppl、1996年 64巻:5~36頁;Roopenianら、J Immunol、2003年 170巻(7号):3528~33頁;JunghansおよびAnderson、Proc Natl Acad Sci U S A、1996年 93巻(11号):5512~6頁)。初期エンドソームの酸性環境は、IgGおよびアルブミンのFcRnへの結合を可能にすることができ、そのことは、IgGを、分解を受けることから保護し、IgGを細胞外環境へ輸送により戻すのを助け、そこで、生理的pHへの曝露により、その分子は、遊離して、循環へと戻る。この経路は、主に、IgGとアルブミンの両方の長期血清中半減期に関与しうる(JunghansおよびAnderson、Proc Natl Acad Sci U S A、1996年 93巻(11号):5512~6頁;Chaudhuryら、J Exp Med、2003年 197巻(3号):315~22頁)。
【0115】
抗体のFcドメインは、主として、抗体リサイクリングを容易とするためのFcRnへの結合に関与する。一部の実施形態では、同一のFc領域を有する抗体は、異なる循環半減期を有することができ、少なくとも部分的に、熱安定性、血清および細胞構成要素との相互作用、抗薬物抗体の存在、高用量、受容体媒介性エンドサイトーシス、ならびに液相飲作用などのいくつかの因子が、抗体分解を促進し、かつその半減期にマイナスに影響しうるからである。IgGのFcRnとの相互作用は、その抗体をエンドソーム分解から保護し、その抗体の半減期を延ばす役割を果たすことができる。Fcの修飾は、FcRn相互作用を促進し、それにしたがって、抗体の半減期を延ばすために使用することができる(Ghetieら、Nat Biotechnol、1997. 15(7):p.637-40;Dall’Acquaら、J Biol Chem、2006. 281(33):23514-24;Hintonら、J Biol Chem、2004. 279(8):6213-6;Vaccaroら、Nat Biotechnol、2005. 23(10):1283-8;Zalevskyら、Nat Biotechnol、2010. 28(2):157-9;Dall’Acquaら、J Immunol、2002. 169(9):5171-80;Monnetら、MAbs、2014. 6(2): 422-36;Monnetら、Front Immunol、2015. 6:39;Shieldsら、J Biol Chem、2001. 276(9):6591-604;Robbieら、Antimicrob Agents Chemother、2013. 57(12):6147-53)。
【0116】
IgGのFcはまた、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIII、C1q、およびTRIM21などの様々な他の受容体に結合することができ、これらの相互作用は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞性食作用(ADCP)、および抗体依存性細胞内中和(ADIN)などの様々なエフェクター機能を媒介する。Fc改変体を同定するために使用される伝統的な手法は、主に、ランダム変異誘発およびディスプレイフォーマットに依存しており、エフェクター機能または生物物理学的安定性であるならば、抗体のある特定の重要な性状を損なう場合が多い。
【0117】
理論により束縛されることを望まないが、一部の実施形態では、本明細書に開示されているような、FcRn結合または半減期延長についてのFcの操作は、Fcにより媒介される様々なエフェクター機能の関連において実施されると考えられる。例えば、構造的かつネットワークに基づいたフレームワークは、中性および酸性pHにおけるFcのFcRnとの相互作用を調べるために使用することができる。このフレームワークを使用して、FcRn結合を改善する、例えば、相互作用のkoffを減少させるための異なる経路を同定することができる。変異の相互作用ネットワークは、マッピングすることができ、変異を組み合わせて、FcRnおよび他のFc受容体への結合について評価することができる。例えば、半減期の増強を与え、かつADCCおよびCDCなどのエフェクター機能を保持し、場合によっては、増強するFc改変体を、同定することができる。異なる疾患の防止および処置のための治療用物質としての抗体および融合タンパク質の使用の増加に伴い、例えば、慢性疾患を処置し、または防止するための、長い半減期を有する抗体および融合タンパク質を開発する必要性が高まっている。
【0118】
定義
本明細書で使用される冠詞である「1つの(a)」および「1つの(an)」とは、1つまたは1つを超える(例えば、少なくとも1つの)、冠詞の文法的目的語を指す。
【0119】
文脈によりそうでないことが明らかに指し示されない限りにおいて、本明細書では、「または」という用語は、「および/または」という用語を意味するように使用され、互換的に使用される。
【0120】
「約」および「およそ」とは一般に、測定値の性質または精度を踏まえ、測定される数量について許容可能な程度の誤差を意味するものとする。例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の、20パーセント(%)以内、典型的に、10%以内であり、より典型的には、5%以内である。
【0121】
本明細書で開示される組成物および方法は、指定された配列、またはこれらと実質的に同一もしくは同様な配列、例えば、指定された配列と、少なくとも85%、90%、95%、またはこれを超えて同一な配列を有するポリペプチドおよび核酸を包含する。
【0122】
本明細書のアミノ酸配列の文脈では、「実質的に同一な」という用語は、第1のアミノ酸配列と、第2のアミノ酸配列とが、共通の構造的ドメインおよび/または共通の機能的な活性を有しうるよう、i)第2のアミノ酸配列内の、アラインメントされたアミノ酸残基と同一であるか、またはii)これらのアミノ酸残基の保存的置換である、十分な数または最小数のアミノ酸残基を含有する、第1のアミノ酸を指すように使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列との少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する共通構造ドメインを含むアミノ酸配列。
【0123】
本明細書のヌクレオチド配列の文脈では、「実質的に同一な」という用語は、第1のクレオチド配列と、第2のクレオチド配列とが、共通の機能的な活性を有するポリペプチドをコードするか、または共通の構造的ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的なポリペプチド活性をコードするよう、第2の核酸配列内の、アラインメントされたヌクレオチドと同一な、十分な数または最小数のヌクレオチドを含有する、第1の核酸配列を指すように使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列との少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列。
【0124】
「機能的改変体」という用語は、天然に存在する配列と実質的に同一なアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一なヌクレオチド配列によりコードされ、天然に存在する配列の、1つまたは複数の活性を有することが可能であるポリペプチドを指す。
【0125】
配列の間の相同性または配列同一性(本明細書では、用語は互換的に使用される)の計算は、以下の通りに実施する。
【0126】
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するには、最適な比較を目的として、配列をアラインメントする(例えば、最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方またはその両方に、ギャップを導入することができ、非相同配列は、比較を目的とする場合、無視することができる)。典型的な実施形態では、比較を目的としてアラインメントされる基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、例えば少なくとも40%、50%、60%、例えば、少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有されていれば、分子は、この位置において同一である。
【0127】
2つの配列の間の同一性パーセントとは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要がある、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れるときに、配列により共有される、同一な位置の数の関数である。
【0128】
2つの配列の間の配列の比較、および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。一部の実施形態では、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重みづけ、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みづけを使用する、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能である)内のGAPプログラムへと組み込まれた、NeedlemanおよびWunsch((1970年)J. Mol. Biol.、48巻:444~453頁)によるアルゴリズムを使用して決定する。ある特定の実施形態では、2つのヌクレオチド配列の間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリクス、および40、50、60、70、または80のギャップ重みづけ、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みづけを使用する、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能である)内のGAPプログラムを使用して決定する。1つの適切なパラメータのセット(そうでないことが指定されない限りにおいて、使用すべきパラメータのセット)は、ギャップペナルティーを12とし、ギャップ伸長ペナルティーを4とし、フレームシフトギャップペナルティーを5とする、Blossum 62スコアリングマトリクスである。
【0129】
2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の間の同一性パーセントは、PAM120重みづけ残基表、12のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用するALIGNプログラム(バージョン2.0)へと組み込まれた、E. MeyersおよびW. Miller((1989年)、CABIOS、4巻:11~17頁)によるアルゴリズムを使用して決定することができる。
【0130】
本明細書で記載される核酸配列およびタンパク質配列を、公開データベースに照らした検索を実施する「クエリー配列」として使用して、例えば、他のファミリーメンバーまたは類縁の配列を同定することができる。このような検索は、Altschulら(1990年)、J. Mol. Biol.、215巻:403~10頁による、NBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施して、本明細書で記載される核酸と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施して、本明細書で記載されるタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較を目的としてギャップ付きアラインメントを得るには、Altschulら(1997年)、Nucleic Acids Res.、25巻:3389~3402頁において記載されている、gapped BLASTを用いることができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合は、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0131】
本明細書で使用される「低度のストリンジェンシー条件、中程度のストリンジェンシー条件、高度のストリンジェンシー条件、または極めて高度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件について記載する。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、参照により組み込まれる、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、N.Y.(1989年)、6.3.1~6.3.6において見出すことができる。この参考文献には、水性法および非水性法が記載されており、いずれも使用することができる。本明細書で言及される、具体的なハイブリダイゼーション条件は、以下の通り:1)6倍濃度の塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃における、低度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件に続く、0.2倍濃度のSSC、0.1%のSDS中、少なくとも50℃で2回の洗浄(低度のストリンジェンシー条件のために、洗浄温度を55℃へと上昇させることができる);2)6倍濃度のSSC中、約45℃における、中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件に続く、0.2倍濃度のSSC、0.1%のSDS中、60℃で1回または複数回の洗浄;3)6倍濃度のSSC中、約45℃における、高度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件に続く、0.2倍濃度のSSC、0.1%のSDS中、65℃で1回または複数回の洗浄であり、4)極めて高度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、65℃の、0.5Mのリン酸ナトリウム、7%のSDSに続く、0.2倍濃度のSSC、1%のSDS中、65℃で1回または複数回の洗浄であることが好ましい。極めて高度のストリンジェンシー条件4)が、適切な条件であり、そうでないことが指定されない限りにおいて、使用すべき条件である。
【0132】
本明細書で記載される分子は、それらの機能に対して、実質的な影響を及ぼさない、さらなる保存的アミノ酸置換または非本質的アミノ酸置換を有しうることが理解される。
【0133】
「アミノ酸」という用語は、天然または合成であれ、アミノ官能基および酸官能基の両方を含み、天然に存在するアミノ酸のポリマー内に含まれることが可能な、全ての分子を包含することを意図する。例示的なアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸;それらの類似体、誘導体、および同類;改変体の側鎖を有するアミノ酸類似体;ならびに前出のうちのいずれかの、全ての立体異性体を含む。本明細書で使用された「アミノ酸」という用語は、D光学異性体またはL光学異性体の両方と、ペプチド模倣体(peptidomimetic)とを含む。
【0134】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置きかえたアミノ酸置換である。当技術分野では、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが規定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ-分枝型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸を含む。
【0135】
本明細書では、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」(単鎖の場合)という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すように、互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、修飾アミノ酸を含む場合があり、非アミノ酸により中断される場合がある。用語はまた、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識化構成要素とのコンジュゲーションなど、他の任意の操作により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。ポリペプチドは、天然の供給源から単離することもでき、組換え法により、真核宿主または原核宿主から生成することもでき、合成手順の生成物の場合もある。ある実施形態では、ポリペプチドは、抗体分子である。別の実施形態では、ポリペプチドは、融合タンパク質である。
【0136】
「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または 「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。これらの用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはこれらの類似体である、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もあり、一本鎖は、コード鎖の場合もあり、非コード(アンチセンス)鎖の場合もある。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体など、修飾ヌクレオチドを含みうる。ヌクレオチドの配列は、ヌクレオチド以外の構成要素により中断されうる。ポリヌクレオチドは、標識化構成要素とのコンジュゲーションなどにより、重合の後でさらに修飾することもできる。核酸は、組換えポリヌクレオチドの場合もあり、ゲノム、cDNA、半合成または合成起源のポリヌクレオチドの場合もあり、これらは、天然には存在しないか、または非天然の配置で、別のポリヌクレオチドへと連結される。
【0137】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、その元の環境または天然環境(例えば、天然に存在する場合は、天然環境)から取り出された材料を指す。例えば、生きている動物において存在する、天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、人為的介入により、天然系に共存する材料の一部または全部から分離された、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であることが可能であり、かつ/またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部でありうるが、このようなベクターまたは組成物が、それが天然で見出される環境の一部ではないという点で、依然として単離されている。
【0138】
本明細書で使用される、例えば、本明細書に記載される障害「を処置する」という用語は、ある実施形態では、障害、例えば、本明細書に記載される障害を有し、かつ/または障害、例えば、本明細書に記載される障害の症状を経験する被験体(例えば、ヒト)が、抗体分子を投与した場合に、抗体分子を投与しなかった場合より重症度が軽い症状を患い、かつ/またはより急速に回復することを意味する。処置は、例えば、障害の影響もしくは症状、特徴、および/または原因の、1つまたは複数の顕在化を、部分的に、または完全に、緩和する場合もあり、好転させる(ameliorate)場合もあり、和らげる場合もあり、阻害する場合もあり、これらの重症度を低減し、かつ/またはこれらの発生率を低減し、任意選択で、これらの発症を遅延させる場合もある。ある実施形態では、処置は、障害のある特定の徴候を呈さない被験体の処置、ならびに/または障害の早期の徴候だけを呈する被験体の処置である。ある実施形態では、処置は、障害の、1つまたは複数の確立した徴候を呈する被験体の処置である。ある実施形態では、処置は、障害を患うと診断された被験体の処置である。
【0139】
本明細書で使用される、例えば、障害「を防止する」という用語は、被験体が、ポリペプチド(例えば、抗体分子)を受容すれば、被験体(例えば、ヒト)が、障害を有する可能性が低いことを意味する。
【0140】
本明細書では、組成物および方法の多様な態様を、下記でさらに詳細に記載する。さらなる定義は、明細書を通して明示される。
【0141】
抗体分子
抗体分子、例えば、Fc領域、例えば本明細書に記載された1個もしくは複数の変異を有するFc領域を含み、および/または本明細書に記載された1つもしくは複数の構造的もしくは機能的特性を有する抗体分子が本明細書に開示される。
【0142】
ある実施形態では、抗体分子は、Fc領域を含有する抗体分子(例えば、親抗体分子)から操作されるか、またはそれに由来する。例えば、操作された抗体分子または抗体分子誘導体は、親抗体分子とは異なるFc領域を有しうる。別の実施形態では、抗体分子は、Fc領域を含有しない抗体分子(例えば、親抗体分子)から操作されるか、またはそれに由来する。例えば、操作された抗体分子または抗体分子誘導体は、親抗体分子またはその機能的断片に、直接的に、または間接的に融合したFc領域を有しうる。
【0143】
本明細書で使用される「抗体分子」という用語は、タンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖、または少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むその断片を指す。「抗体分子」という用語は、例えば、全長の成熟抗体、および抗体の抗原結合性断片を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書では、VHと略記する)と、軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書では、VLと略記する)とを含みうる。別の例では、抗体分子は、2つの重(H)鎖可変ドメイン配列と、2つの軽(L)鎖可変ドメイン配列とを含み、これにより、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、Fd、Fd’、Fv、単鎖抗体(例えば、scFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディー(diabody)(Dab)(二価および二特異性)、およびキメラ(例えば、ヒト化)抗体(これらは、全抗体または組換えDNA技術を使用してde novoで合成された抗体の修飾により生成され得る)など、2つの抗原結合性部位を形成する。これらの機能的な抗体断片は、それらのそれぞれの抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEを含むがこれらに限定されない、任意のクラスの抗体、および任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)の抗体に由来しうる。抗体分子は、モノクローナル抗体分子の場合もあり、ポリクローナル抗体分子の場合もある。抗体分子はまた、ヒト抗体、ヒト化抗体、CDRグラフト抗体、またはin vitroで作出された抗体でもありうる。抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有しうる。抗体分子はまた、例えば、カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖から選択される軽鎖も有しうる。本明細書では、「免疫グロブリン」(Ig)という用語を、「抗体」という用語と互換的に使用する。
【0144】
抗原結合性断片の例は、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなる、Fd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなる、Fv断片;(v)VHドメインからなる、ダイアボディー(dAb)断片;(vi)ラクダ科動物可変ドメインまたはラクダ化可変ドメイン;(vii)単鎖Fv(scFv)(例えば、Birdら(1988年)、Science、242巻:423~426頁;およびHustonら(1988年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:5879~5883頁を参照されたい);(viii)単一ドメイン抗体を含む。これらの抗体断片は、当業者に公知である、いくつかの従来の技法を含む、任意の適する方法を使用して得ることができ、断片も、有用性について、無傷抗体と同じ形でスクリーニングすることができる。
【0145】
「抗体」という用語は、無傷分子のほか、その機能的断片も含む。抗体の定常領域を変更して、例えば、変異させて、抗体の特性を修飾する(例えば、Fc受容体の結合、抗体のグリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞の機能、または補体機能のうちの1または複数を増大または減少させる)ことができる。
【0146】
抗体分子は、単鎖抗体でありうる。単鎖抗体(scFV)は、操作することができる(例えば、Colcher, D.ら(1999年)、Ann N Y Acad Sci、880巻:263~80頁;およびReiter, Y.(1996年)、Clin Cancer Res、2巻:245~52頁を参照されたい)。単鎖抗体を、二量体化または多量体化させて、同じ標的タンパク質の異なるエピトープに対する特異性を有する多価抗体を作出することができる。
【0147】
本明細書で開示される抗体分子はまた、単一ドメイン抗体でもありうる。単一ドメイン抗体は、その相補性決定領域が、単一ドメインポリペプチドの部分である抗体を含みうる。例は、天然で軽鎖を欠く抗体である重鎖抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作抗体、および抗体に由来する足場以外の単一ドメイン足場を含むがこれらに限定されない。単一ドメイン抗体は、任意の当該分野による単一ドメイン抗体、または任意の将来的な単一ドメイン抗体でありうる。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシを含むがこれらに限定されない任意の種に由来しうる。一部の態様に従い、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として公知である、天然に存在する単一ドメイン抗体である。このような単一ドメイン抗体については、例えば、WO94/04678において開示されている。明確さの理由で述べると、本明細書では、天然で軽鎖を欠く重鎖抗体に由来する、この可変ドメインは、従来の4鎖免疫グロブリンのVHから識別される、VHHまたはナノボディーとして公知である。このようなVHH分子は、Camelidae種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、およびグアナコにおいて惹起される抗体に由来しうる。Camelidae以外の他の種も、天然で軽鎖を欠く重鎖抗体を産生することが可能であり、このようなVHHもまた想定される。
【0148】
VH領域およびVL領域は、「フレームワーク領域」(FRまたはFW)と称する、より保存的な領域を分散させた、「相補性決定領域」(CDR)と称する超可変性領域へと細分することができる。本明細書で使用される「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗体可変領域内のアミノ酸配列であって、抗原特異性および結合アフィニティーを付与するアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される「フレームワーク」、「FW」、および「FR」という用語は、互換的に使用される。
【0149】
フレームワーク領域およびCDRの範囲については、多数の方法により正確に規定されている(Kabat, E. A.ら(1991年)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH刊行物第91-3242号;Chothia, C.ら(1987年)、J. Mol. Biol.、196巻:901~917頁;およびOxford Molecular’s AbM antibody modeling softwareにより使用されるAbMによる定義を参照されたい)。一般に、例えば、「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains」、「Antibody Engineering Lab Manual」(Duebel, S.およびKontermann, R.編、Springer-Verlag、Heidelbergを参照されたい。ある実施形態では、以下の定義:重鎖可変ドメインのCDR1についてのAbMによる定義と、他のCDRについてのKabatによる定義とを使用する。ある実施形態では、全てのCDRについて、Kabatによる定義を使用する。加えて、KabatによるCDRまたはAbMによるCDRに関して記載される実施形態はまた、Chothiaによる超可変ループを使用して実行することもできる。各VHおよび各VLは、典型的に、アミノ末端から、カルボキシ末端へと、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4で配置された、3つのCDRと、4つのFRとを含む。
【0150】
本明細書で使用される「免疫グロブリン可変ドメイン配列」とは、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成しうるアミノ酸配列を指す。例えば、配列は、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含みうる。例えば、配列は、1つ、2つ、またはこれを超えるN末端アミノ酸またはC末端アミノ酸を含む場合もあり、これらを含まない場合もあり、タンパク質構造の形成と適合性である、他の変更を含む場合もある。
【0151】
「抗原結合性領域」という用語は、抗原またはそのエピトープに結合する界面を形成する決定基を含む抗体分子の部分を指す。タンパク質(またはタンパク質模倣体)に関して、抗原結合性領域は、典型的に、抗原に結合する界面を形成する、1つまたは複数のループ(少なくとも、例えば、4つのアミノ酸またはアミノ酸模倣体による)を含む。典型的に、抗体分子の抗原結合性領域は、少なくとも1つもしくは2つのCDRおよび/または超可変性ループ、またはより典型的に少なくとも3つ、4つ、5つ、もしくは6つのCDRおよび/または超可変性ループを含む。
【0152】
本明細書では、「競合する」または「交差競合する」という用語は、別の抗体分子の、標的への結合に干渉する抗体分子の能力を指すように、互換的に使用される。結合への干渉は、直接的な場合もあり、間接的な場合(例えば、抗体分子または標的のアロステリックモジュレーションを介する)もある。抗体分子が、別の抗体分子の、標的への結合に干渉することが可能な程度と、したがって、抗体分子が、競合すると言いうるのかどうかとは、競合結合アッセイ、例えば、FACSアッセイ、ELISA、またはBIACOREアッセイを使用して決定することができる。ある実施形態では、競合結合アッセイは、定量的競合アッセイである。ある実施形態では、第1の抗体分子の標的への結合が、競合結合アッセイ(例えば、本明細書に記載の競合アッセイ)において10%またはそれより多く、例えば、20%またはそれより多く、30%またはそれより多く、40%またはそれより多く、50%またはそれより多く、55%またはそれより多く、60%またはそれより多く、65%またはそれより多く、70%またはそれより多く、75%またはそれより多く、80%またはそれより多く、85%またはそれより多く、90%またはそれより多く、95%またはそれより多く、98%またはそれより多く、99%またはそれより多くだけ低減される場合に、第1の抗体分子は、第2の抗体分子と標的に対する結合について競合するという。
【0153】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一の分子組成による抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性およびアフィニティーを提示する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術により作製することもでき、ハイブリドーマ技術を使用しない方法(例えば、組換え法)により作製することもできる。
【0154】
「事実上のヒト」タンパク質とは、中和抗体応答、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を惹起しないタンパク質である。HAMAは、多数の状況において、例えば、例えば、慢性疾患状態または再発性疾患状態の処置において、抗体分子を反復的に投与する場合に問題となりうる。HAMA応答は、血清からの抗体のクリアランスの増大のために(例えば、Salehら、Cancer Immunol. Immunother.、32巻:180~190頁(1990年)を参照されたい)、また、潜在的なアレルギー性反応のためにも(例えば、LoBuglioら、Hybridoma、5巻:5117~5123頁(1986年)を参照されたい)、反復抗体投与を、潜在的に無効としうる。
【0155】
抗体分子は、ポリクローナル抗体の場合もあり、モノクローナル抗体の場合もある。一部の実施形態では、抗体を、組換えにより生成する、例えば、任意の適切なファージディスプレイ法またはコンビナトリアル法により生成することができる。
【0156】
抗体を作製するための種々のファージディスプレイ法およびコンビナトリアル法が当該技術分野において公知である(例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、国際公開WO 92/18619;Dowerら、国際公開WO 91/17271; Winterら、国際公開WO 92/20791; Marklandら、国際公開WO 92/15679;Breitlingら、国際公開WO 93/01288;McCaffertyら、国際公開92/01047;Garrardら、国際公開WO 92/09690;Ladnerら、国際公開WO 90/02809;Fuchsら、(1991) Bio/Technology 9:1370-1372;Hayら、(1992) Hum Antibod Hybridomas 3:81-85;Huseら、(1989) Science 246:1275-1281;Griffthsら、(1993) EMBO J 12:725-734;Hawkinsら、(1992) J Mol Biol 226:889-896;Clacksonら、 (1991) Nature 352:624-628; Gramら、(1992) PNAS 89:3576-3580;Garradら、(1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboomら、(1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137;およびBarbasら、(1991) PNAS 88:7978-7982に記載されている通りであり、これらの全ての内容は本明細書に参考として援用される)。
【0157】
ある実施形態では、抗体分子は、完全ヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を産生するように遺伝子操作されたマウスにおいて作られる抗体)、または非ヒト抗体、例えば、齧歯類(マウスまたはラット)抗体、ヤギ抗体、霊長類(例えば、サル)抗体、ラクダ抗体である。ある実施形態では、非ヒト抗体は、齧歯類抗体(マウス抗体またはラット抗体)である。当技術分野では、齧歯類抗体を生成する方法が公知である。
【0158】
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなく、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを使用して作出することができる。目的の抗原で免疫化された、これらのトランスジェニックマウスに由来する脾臓細胞を使用して、ヒトタンパク質に由来するエピトープに対して特異的なアフィニティーを伴う、ヒトmAbを分泌するハイブリドーマを生成することができる(例えば、Woodら、国際公開WO 91/00906,Kucherlapatiら、国際公開WO 91/10741; Lonbergら、国際公開WO 92/03918;Kayら、国際公開92/03917;Lonbergら、1994 Nature 368:856-859;Green, L.L.ら、1994 Nature Genet. 7:13-21;Morrison, S.L.ら、1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855;Bruggemanら、1993 Year Immunol 7:33-40;Tuaillonら、1993 PNAS 90:3720-3724;Bruggemanら、1991 Eur J Immunol 21:1323-1326を参照)。
【0159】
抗体は、可変領域またはその部分、例えば、CDRを、非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作出した抗体でありうる。キメラ抗体、CDRグラフト抗体、およびヒト化抗体は、本発明の範囲内にある。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作出し、次いで、ヒトにおける抗原性を減少させるように、例えば、可変領域のフレームワーク内または定常領域内で修飾した抗体も、本発明の範囲内にある。
【0160】
キメラ抗体は任意の好適な組換えDNA技術によって作製することができる。いくつかが、当技術分野で公知である(Robinsonら、国際公開PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願184,187; Taniguchi, M.、欧州特許出願171,496;Morrisonら、欧州特許出願173,494;Neubergerら、国際公開WO 86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願125,023;Betterら、(1988 Science 240:1041-1043);Liuら、(1987) PNAS 84:3439-3443;Liuら、1987, J. Immunol. 139:3521-3526;Sunら、(1987) PNAS 84:214-218;Nishimuraら、1987, Canc. Res. 47:999-1005;Woodら、(1985) Nature 314:446-449;およびShawら、1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559を参照)。
【0161】
ヒト化抗体またはCDRグラフト抗体は、少なくとも1つまたは2つであるが、一般に3つ全てのレシピエントCDR(免疫グロブリンの重鎖およびまたは軽鎖の)を、ドナーCDRで置きかえる。抗体は、非ヒトCDRの少なくとも1つの部分で置きかえる場合もあり、CDRの一部だけを、非ヒトCDRで置きかえる場合もある。リポ多糖へのヒト化抗体の結合に要求される数のCDRを置きかえることだけが必要である。ある実施形態では、ドナーは、齧歯類抗体、例えば、ラット抗体またはマウス抗体であり、レシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークであろう。典型的に、CDRを提供する免疫グロブリンを、「ドナー」と呼び、フレームワークを提供する免疫グロブリンを、「アクセプター」と呼ぶ。一部の実施形態では、ドナー免疫グロブリンは、非ヒト(例えば、齧歯類)免疫グロブリンである。アクセプターフレームワークは、典型的に、天然に存在する(例えば、ヒト)フレームワークもしくはコンセンサスフレームワーク、またはこれと、約85%もしくはこれを超えて、例えば、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な配列である。
【0162】
本明細書で使用される「コンセンサス配列」という用語は、類縁配列のファミリー内で、最も高頻度で生じるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列を指す(例えば、Winnaker、「From Genes to Clones」(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany、1987年を参照されたい)。タンパク質のファミリー内では、コンセンサス配列内の各位置は、ファミリー内のこの位置において最も高頻度で生じるアミノ酸で占有される。2つのアミノ酸が、同等に高頻度で生じる場合、いずれも、コンセンサス配列内に含まれうる。「コンセンサスフレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。
【0163】
抗体は任意の好適な方法によってヒト化することができ、いくつかのそのような方法が、当技術分野で公知である(例えば、Morrison, S. L., 1985, Science 229:1202-1207, Oiら、1986, BioTechniques 4:214およびQueenら、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号および米国特許第5,693,762号を参照、これらの全ての内容は本明細書に参考として援用される)。
【0164】
ヒト化抗体またはCDRグラフト抗体は、免疫グロブリン鎖のうちの、1つ、2つ、または全てのCDRを、置きかえうる、CDRグラフティングまたはCDR置換により生成することができる。例えば、それらの全ての内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第5,225,539号;Jonesら、1986年、Nature、321巻:552~525頁;Verhoeyanら、1988年、Science、239巻:1534頁;Beidlerら、1988年、J. Immunol.、141巻:4053~4060頁;Winter、US5,225,539を参照されたい。Winterは、ヒト化抗体を調製するのに使用しうる、CDRグラフティング法について記載している(その内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Winter、US5,225,539である、1987年3月26日に出願された、英国特許出願第GB2188638A号)。
【0165】
また、特異的なアミノ酸を、置換するか、欠失させるか、または付加したヒト化抗体も提示される。ドナーに由来するアミノ酸を選択するための基準については、例えば、その内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、US5,585,089、例えば、US5,585,089の12~16段において記載されている。抗体をヒト化する他の技法については、1992年12月23日に公表された、Padlanら、EP519596A1において記載されている。
【0166】
ある実施形態では、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2(例えば、IgG2a)、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEの重鎖定常領域から選択される;特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域を有する。別の実施形態では、抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域を変更して、例えば、変異させて、抗体分子の特性を修飾する(例えば、Fc受容体の結合、抗体のグリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞の機能、および/または補体機能のうちの1または複数を増大または減少させる)ことができる。ある実施形態では、抗体分子は、エフェクター機能を有し、補体に結合しうる。別の実施形態では、抗体分子は、エフェクター細胞を動員したり、補体に結合したりしない。ある特定の実施形態では、抗体分子は、Fc受容体に結合する能力が低減されているか、またはこの能力を有さない。例えば、抗体分子は、Fc受容体への結合を支援しない、アイソタイプもしくは亜型、断片、または他の改変体でありうる、例えば、抗体分子は、Fc受容体結合性領域を、変異または欠失させている。
【0167】
ある実施形態では、抗体分子の定常領域を変更する。当技術分野では、抗体定常領域を変更するための方法が公知である。機能を変更した、例えば、細胞上のFcR、または補体のC1成分など、エフェクターリガンドに対するアフィニティーを変更した抗体分子は、抗体の定常部分内の、少なくとも1つのアミノ酸残基を、異なる残基で置きかえることにより生成することができる(例えば、それらの全ての内容が、参照により本明細書に組み込まれる、EP388,151A1、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号を参照されたい)。また、S228P(EU命名法;Kabat命名法では、S241P)など、ヒトIgG4内の抗体構造を安定化させるアミノ酸変異も想定される。マウスまたは他の種の免疫グロブリンへと適用されれば、これらの機能を低減するか、または消失させる、同様の種類の変更も記載されうるであろう。
【0168】
ある実施形態では、抗体分子内のアミノ酸だけが、正準のアミノ酸である。ある実施形態では、抗体分子は、天然に存在するアミノ酸;それらの類似体、誘導体、および同類;改変体の側鎖を有するアミノ酸類似体;および/または前出のうちのいずれかの、全ての立体異性体を含む。抗体分子は、アミノ酸のD光学異性体またはL光学異性体と、ペプチド模倣体とを含みうる。
【0169】
本明細書で記載される抗体分子のポリペプチドは、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、修飾アミノ酸を含む場合があり、非アミノ酸により中断される場合がある。抗体分子はまた、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識化構成要素とのコンジュゲーションなど、他の任意の操作により修飾することもできる。ポリペプチドは、天然の供給源から単離することもでき、組換え法により、真核宿主または原核宿主から生成することもでき、合成手順の生成物の場合もある。
【0170】
本明細書で記載される抗体分子は、非コンジュゲート形態において単独で使用することもでき、物質、例えば、毒素もしくは部分(例えば、治療薬;放射線を放出する化合物;植物起源、真菌起源、もしくは細菌起源の分子;または生物学的タンパク質(例えば、タンパク質毒素)もしくは生物学的粒子(例えば、例えば、ウイルスコートタンパク質を介する、組換えウイルス粒子)に結合させることもできる。例えば、抗体分子は、α放射体、β放射体、もしくはγ放射体、またはβおよびγの放射体などの放射性同位元素とカップリングさせることができる。
【0171】
抗体分子は、誘導体化することもでき、別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)へと連結することもできる。本明細書で使用される「誘導体化」抗体分子とは、修飾抗体分子である。誘導体化法は、蛍光部分、放射性ヌクレオチド、毒素、酵素、またはビオチンなどのアフィニティーリガンドの付加を含むがこれらに限定されない。したがって、抗体分子は、免疫接着分子を含む、本明細書で記載される抗体の誘導体化形態、および他の形の修飾形態を含むことを意図する。例えば、抗体分子は、別の抗体(例えば、二特異性抗体またはダイアボディー)、検出可能な作用物質、毒素、医薬、および/または抗体もしくは抗体部分の、別の分子(ストレプトアビジンのコア領域またはポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介しうるタンパク質もしくはペプチドなど、1つまたは複数の他の分子実体へと機能的に連結する(化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的会合により、または他の形で)ことができる。
【0172】
一部の種類の誘導体化抗体分子は、2つまたはこれを超える抗体(同じ種類、または、例えば、二特異性抗体を創出するように、異なる種類)を架橋することにより生成される。適切な架橋剤は、ヘテロ二官能性の架橋剤であって、適切なスペーサーで隔てられた、2つの顕著に異なる反応性基を有する架橋剤(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、またはホモ二官能性の架橋剤(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)を含む。このようなリンカーは、Pierce Chemical Company、Rockford、Illから市販されている。
【0173】
抗デング抗体分子を誘導体化させうる(または標識化しうる)、有用な検出可能な作用物質は、蛍光化合物、多様な酵素、補欠分子族、発光材料、生物発光材料、蛍光放出性金属原子、例えば、ユーロピウム(Eu)、および他のランタニド、ならびに放射性材料(下記で記載する)を含む。例示的な蛍光性の検出可能な作用物質は、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリンなどを含む。抗体はまた、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素によっても誘導体化させることができる。抗体を、検出可能な酵素で誘導体化させる場合、検出可能な酵素は、酵素が、検出可能な反応生成物を生成させるのに使用する、さらなる試薬を添加することにより検出することができる。例えば、検出可能な作用物質である、西洋ワサビペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加は、検出可能である、有色の反応生成物をもたらす。抗体分子はまた、補欠分子族(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン)によっても誘導体化させることができる。例えば、抗体を、ビオチンで誘導体化させ、アビジンまたはストレプトアビジンの結合の間接的測定を介して検出することができる。適切な蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンを含み;発光材料の例は、ルミノールを含み、生物発光材料の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含む。
【0174】
標識化抗体分子は、(i)所定の抗原を、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準法により単離すること;(ii)タンパク質の存在度および発現パターンについて評価するために、所定の抗原を検出する(例えば、細胞溶解物中または細胞上清中で)こと;(iii)組織内のタンパク質レベルを、例えば、所与の処置レジメンの有効性を決定する臨床試験手順の一部としてモニタリングすることを含む、多数の文脈で、例えば、診断に使用することもでき、かつ/または実験に使用することもできる。
【0175】
抗体分子は、別の分子実体、典型的に、標識剤もしくは標識部分または治療剤もしくは治療部分(例えば、抗微生物剤もしくは抗微生物部分(例えば、抗菌剤もしくは抗菌部分、または殺菌剤もしくは殺菌部分)、免疫調節剤もしくは免疫調節部分、免疫刺激剤もしくは免疫刺激剤部分、細胞傷害剤もしくは細胞傷害部分、または細胞増殖抑制剤もしくは細胞増殖抑制部分)とコンジュゲートさせることができる。放射性同位元素は、診断的適用において使用することもでき、治療的適用において使用することもできる。抗体分子とカップリングさせうる放射性同位元素は、α放射体、β放射体、もしくはγ放射体、またはβおよびγの放射体を含むがこれらに限定されない。このような放射性同位元素は、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、ロジウム(188Rh)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57Coまたは58Co)、鉄(59Fe)、セレン(75Se)、またはガリウム(67Ga)を含むがこれらに限定されない。治療剤として有用な放射性同位元素は、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、およびロジウム(188Rh)を含む。例えば、診断法における使用のための標識として有用な放射性同位元素は、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、炭素(14C)、およびトリチウム(H)、または上記で列挙した治療用同位元素のうちの1または複数を含む。
【0176】
本開示は、放射性標識化抗体分子と、抗体分子を標識化する方法とを提示する。ある実施形態では、抗体分子を標識化する方法が開示される。方法は、抗体分子を、キレート剤と接触させて、これにより、コンジュゲート抗体を生成するステップを含む。コンジュゲート抗体を、放射性同位元素、例えば、111インジウム、90イットリウム、および177ルテチウムで放射性標識化して、これにより、標識化抗体分子を生成する。
【0177】
一部の態様では、本開示は、本明細書で開示される抗体分子を作製する方法を提示する。方法は、抗原またはその断片を提供するステップと;抗原に特異的に結合する抗体分子を得るステップと;抗原および/または抗原を発現する生物の活性をモジュレートすることにおける、抗体分子の有効性を評価するステップとを含む。方法は、その誘導体(例えば、ヒト化抗体分子)を含む抗体分子を、被験体、例えば、ヒトへと投与するステップをさらに含みうる。
【0178】
本開示は、上記の抗体分子をコードする単離核酸分子、ベクター、およびこれらの宿主細胞を提示する。核酸分子は、RNA、ゲノムDNA、およびcDNAを含むがこれらに限定されない。
【0179】
融合タンパク質
融合タンパク質、例えば、Fc領域、例えば、本明細書に記載された1個もしくは複数の変異を有するFc領域を含み、および/または本明細書に記載された1つもしくは複数の構造的もしくは機能的特性を有する融合タンパク質が本明細書に開示される。
【0180】
ある実施形態では、融合タンパク質は、Fc領域を含有するポリペプチド(例えば、融合タンパク質)(例えば、親ポリペプチド)から操作されるか、またはそれに由来する。例えば、操作されたポリペプチドまたは誘導体は、親ポリペプチドとは異なるFc領域を有しうる。別の実施形態では、融合タンパク質は、Fc領域を含有しないポリペプチド(例えば、親ポリペプチド)から操作されるか、またはそれに由来する。例えば、操作された抗体分子または抗体分子誘導体は、親ポリペプチドに、直接的に、または間接的に融合したFc領域を有しうる。
【0181】
本明細書で使用される「融合タンパク質」という用語は、2つまたはそれより多いタンパク質またはペプチド構成要素を含む、タンパク質を指す。2つまたはそれより多いタンパク質またはペプチド構成要素は、異なる供給源から得られ、または異なる遺伝子によりコードされうる。融合タンパク質は、時々、キメラタンパク質とも呼ばれる。Fc融合タンパク質(Fcキメラ融合タンパク質、Fc-Ig、Igに基づいたキメラ融合タンパク質、またはFcタグタンパク質としても公知である)は、タンパク質またはペプチドに連結した(例えば、融合した)、免疫グロブリンのFc領域(例えば、本明細書に記載されたFc領域)を含みうる。Fc領域は、タンパク質またはペプチドに、直接的に、または間接的に、例えば、リンカーを通して、連結する(例えば、遺伝的に融合する)ことができる。ある実施形態では、Fc領域は、IgG、例えば、ヒトIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域に由来する。ある実施形態では、Fc領域は、IgG1、例えば、ヒトIgG1のFc領域に由来する。
【0182】
Fc融合結合パートナーには、様々なタンパク質もしくはペプチド、またはその断片が含まれうる。例えば、Fc領域は、ペプチド(例えば、治療用ペプチド)、リガンド(例えば、細胞表面受容体との結合により、活性化するリガンド)、シグナル伝達分子、受容体の細胞外ドメイン、またはベイトタンパク質(例えば、結合パートナーを、例えば、タンパク質マイクロアレイにおいて、同定するために使用される)に融合することができる。
【0183】
ある実施形態では、Fc融合タンパク質は、受容体もしくは可溶性受容体の細胞外ドメイン、またはそのリガンド結合部分を含む。ある実施形態では、受容体は、増殖因子受容体である。ある実施形態では、受容体は、サイトカイン受容体である。ある実施形態では、受容体は、免疫チェックポイント分子である。
【0184】
ある実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合した、ヒトVEGF受容体1および2の細胞外ドメイン由来の血管内皮増殖因子(VEGF)結合部分を含む。ある実施形態では、融合タンパク質はアフリベルセプトである。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、アフリベルセプト)は、本明細書に記載された障害、例えば、目の障害(例えば、滲出型黄斑変性症)またはがん(例えば、結腸直腸がん)を処置するために使用される。
【0185】
別の実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合した、可溶性腫瘍壊死因子(TNF)受容体2を含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、エタネルセプトである。ある実施形態では、Fc融合タンパク質(例えば、エタネルセプト)は、本明細書に記載された障害、例えば、自己免疫障害(例えば、関節リウマチ)を処置するために使用される。
【0186】
さらに別の実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合した、ヒトインターロイキン-1受容体1(IL-1R1)およびIL-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)の細胞外部分のリガンド結合ドメインを含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、リロナセプトである。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、リロナセプト)は、本明細書に記載された障害、例えば、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、例えば、家族性寒冷自己炎症性症候群、マックル・ウェルズ症候群、または新生児期発症多臓器性炎症性疾患を処置するために使用される。
【0187】
なお別の実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合した、CTLA-4の細胞外ドメインを含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、アバタセプトまたはベラタセプトである。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、アバタセプトまたはベラタセプト)は、本明細書に記載された障害、例えば、臓器拒絶反応、自己免疫障害(例えば、関節リウマチ)、またはがんを処置するために使用される。
【0188】
ある実施形態では、Fc融合タンパク質は、ペプチド、例えば、治療用ペプチドを含む。
【0189】
ある実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合したトロンボポエチン結合ペプチドを含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、ロミプロスチムである。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、ロミプロスチム)は、本明細書に記載された障害、例えば、慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)を処置するために使用される。
【0190】
ある実施形態では、融合タンパク質は、ヒトIgG1のFc領域に融合した、ヒト白血球機能抗原-3(LFA-3)の細胞外CD2結合部分を含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、アレファセプトである。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、アレファセプト)は、本明細書に記載された障害、例えば、自己免疫障害(例えば、乾癬)またはがん(例えば、皮膚T細胞リンパ腫またはT細胞非ホジキンリンパ腫)を処置するために使用される。
【0191】
ある実施形態では、融合タンパク質は凝固因子を含む。
【0192】
ある実施形態では、融合タンパク質は、IgG1のFc領域と融合した第IX因子を含む。別の実施形態では、融合タンパク質は、IgG1のFc領域と融合した第VIII因子を含む。ある実施形態では、融合タンパク質(例えば、FIX-Fc融合体またはFVIII-Fc融合体)は、本明細書に記載された障害、例えば、血友病Aまたは血友病Bを処置するために使用される。
【0193】
ある実施形態では、融合タンパク質は、1個または複数のグリコシル化部位を含み、またはグリコシル化されている。別の実施形態では、融合タンパク質は、グリコシル化部位を有さず、またはグリコシル化されていない。
【0194】
ある実施形態では、融合タンパク質におけるアミノ酸だけが、正準のアミノ酸である。ある実施形態では、融合タンパク質は、天然に存在するアミノ酸;それらの類似体、誘導体、および同類;改変体の側鎖を有するアミノ酸類似体;および/または前出のうちのいずれかの全ての立体異性体を含む。融合タンパク質は、アミノ酸のD光学異性体またはL光学異性体と、ペプチド模倣体とを含みうる。
【0195】
ある態様では、この開示は、本明細書に開示された融合タンパク質を作製する方法を提供する。本明細書に記載された融合タンパク質は、任意の適切な組換えDNA技法により生成されうる。ある実施形態では、方法は、融合タンパク質をコードする核酸を含有する細胞を、融合タンパク質の生成を可能にする条件下で培養するステップを含む。別の実施形態では、方法は、融合タンパク質を単離または精製するステップをさらに含む。さらに別の実施形態では、方法は、細胞に基づいたアッセイ、または動物モデルにおいて、融合タンパク質の有効性を評価するステップをさらに含む。なお別の実施形態では、方法は、被験体、例えば、ヒトに、融合タンパク質を投与するステップをさらに含む。
【0196】
この開示は、上記の融合タンパク質をコードする単離核酸分子、そのベクターおよび宿主細胞を提供する。その核酸分子には、RNA、ゲノムDNA、およびcDNAが含まれるが、それらに限定されない。
【0197】
Fc領域
断片結晶性領域、すなわち、Fc領域は、Fc受容体と相互作用する能力がある免疫グロブリンの領域を指す。ある実施形態では、Fc領域はまた、補体系のタンパク質と相互作用する能力もある。理論により束縛されることを望まないが、ある実施形態では、Fc領域とFc受容体との相互作用は、免疫系の活性化を可能にすると考えられる。
【0198】
IgG、IgA、およびIgD抗体アイソタイプにおいて、天然に存在するFc領域は、一般的に、抗体の2つの重鎖の第2および第3の定常ドメインに由来した、2つの同一のタンパク質断片を含む。天然に存在するIgMおよびIgE Fc領域は一般的に、各ポリペプチド鎖における3つの重鎖定常ドメイン(Cドメイン2~4)を含む。IgGのFc領域は、高度に保存されたN-グリコシル化部位を含有しうる(Stadlmannら、(2008年) Proteomics 8巻(14号):2858~2871頁;Stadlmann (2009年) Proteomics 9巻(17号):4143~4153頁)。理論により束縛されることを望まないが、ある実施形態では、Fc断片のグリコシル化は、Fc受容体媒介性活性に寄与すると考えられる(Peippら(2008年) Blood 112巻(6号):2390~2399頁)。ある実施形態では、この部位に付着したN-グリカンは、主として、その複合型のコアフコシル化2アンテナ構造(diantennary structure)である。別の実施形態では、少量のこれらのN-グリカンはまた、二分性GlcNAcおよび/またはα-2,6連結型シアル酸残基を含有する。
【0199】
例示的なFc領域アミノ酸配列は下記に示されている。
【化1】
【0200】
配列番号1において、この配列における最初のアミノ酸残基は、本明細書では118位と呼ばれる。太字かつ下線で示された3個のヒスチジンは、それぞれ、310位、433位、および435位である。
【0201】
本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、表1に記載される1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれより多く)の変異、あるいは変異の組合せを有し得る。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0202】
ある実施形態では、Fc領域は、FcMut001を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut002を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut003を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut004を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut005を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut006を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut007を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut008を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut009を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut010を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut011を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut012を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut013を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut014を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut015を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut016を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut017を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut018を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut019を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut020を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut021を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut022を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut023を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut024を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut026を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut027を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut028を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut029を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut030を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut031を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut032を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut033を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut034を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut035を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut036を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut037を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut038を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut039を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut040を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut041を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut042を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut043を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut044を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut045を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut046を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut047を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut048を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut049を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut050を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut051を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut052を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut053を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut067を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut068を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut069を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut070を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut071を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut072を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut073を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut074を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut075を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut076を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut077を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut078を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut079を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut080を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut081を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut082を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut083を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut084を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut085を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut086を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut087を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut088を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut089を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut090を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut091を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut093を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut094を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut095を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut096を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut097を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut098を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut099を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut100を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut101を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut102を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut103を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut104を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut105を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut106を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut107を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut108を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut109を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut110を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut111を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut112を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut113を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut114を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut115を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut116を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut117を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut118を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut119を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut120を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut121を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut122を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut123を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut124を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut125を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut126を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut127を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut128を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut129を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut130を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut131を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut132を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut133を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut134を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut135を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut136を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut137を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut138を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut139を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut140を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut141を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut142を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut143を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut144を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut145を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut146を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut147を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut148を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut149を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut150を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut151を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut152を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut153を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut154を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut155を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut156を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut157を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut158を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut159を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut160を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut161を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut162を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut163を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut164を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut165を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut166を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut167を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut168を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut169を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut170を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut171を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut172を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut173を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut174を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut175を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut176を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut177を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut178を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut179を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut180を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut181を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut182を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut183を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut184を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut185を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut186を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut187を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut188を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut189を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut190を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut191を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut192を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut193を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut194を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut195を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut196を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut197を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut198を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut199を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut200を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut201を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut202を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut203を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut204を含む。ある実施形態では、Fc領域は、Fc

Mut205を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut206を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut207を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut208を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut209を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut210を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut211を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut212を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut213を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut214を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut215を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut216を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut217を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut218を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut219を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut220を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut221を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut222を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut223を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut224を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut225を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut226を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut227を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut228を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut229を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut230を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut231を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut232を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut233を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut234を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut242を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut243を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut244を含む。
【0203】
ある実施形態では、Fc領域は、FcMut045、FcMut171、FcMut183、FcMut186、FcMut190、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut216、FcMut219、FcMut222、FcMut223、FcMut224、FcMut226、FcMut227、FcMut228、またはFcMut229から選択される変異または変異の組合せのうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9個、またはそれより多く)を含む。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut045、FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、またはFcMut156から選択される変異または変異の組合せのうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6個、または全て)を含む。別の実施形態では、Fc領域は、FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、またはFcMut229から選択される変異または変異の組合せのうちの1個または複数(例えば、2、3、4、5個、または全て)を含む。
【0204】
ある実施形態では、Fc領域は、FcMut018、FcMut021、FcMut050、FcMut102、またはYTEから選択される変異または変異の組合せのうちの1個または複数(例えば、2、3、4個、または全て)を含まない。ある実施形態では、Fc領域は、FcMut018、FcMut021、FcMut050、FcMut102、またはYTEから選択される変異または変異の組合せのうちの1個または複数(例えば、2、3、4個、または全て)、および表1に記載される1個または複数の他の変異または変異の組合せを含む。
【0205】
ある実施形態では、Fc領域は、本明細書に記載されているような相乗効果(例えば、結合アフィニティーまたは循環半減期)を生じる、表1に記載された変異または変異の組み合わせの1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれより多く)を含む。
【0206】
ある実施形態では、Fc領域は、T256、H285、N286、T307、Q311、N315、またはA378から選択される残基における1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、または7個)の変異を含む。ある実施形態では、Fc領域は、T256D、H285N、N286D、T307Q、Q311V、N315D、またはA378Vから選択される1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、または7個)の変異を含む。
【0207】
ある実施形態では、Fc領域は、半減期を増強する変異、Fcエフェクター機能を破壊する能力がある変異、またはその両方を含む。ある実施形態では、Fc領域は、本明細書に記載された、1個または複数の、変異または変異の組み合わせを含み、例えば、M252W、V308F/N434Y、R255Y、P257L/N434Y、V308F、P257N/M252Y、G385N、P257N/V308Y、N434Y、M252Y/S254T/T256E(「YTE」)、M428L/N434S(「LS」)、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。代替として、または追加として、ある実施形態では、Fc領域は、(a)T256D/Q311V/A378V、H285N/T307Q/N315D、H285D/T307Q/A378V、T307Q/Q311V/A378V、T256D/N286D/T307R/Q311V/A378V、もしくはT256D/T307R/Q311Vから選択される変異の1個もしくは複数(例えば、2、3、4、5個、または全部)の組み合わせ;(b)Fcエフェクター機能を破壊する能力がある変異もしくは変異の組み合わせ、例えば、L234A/L235A(「LALA」変異としても公知である)、または(c)(a)と(b)の両方を含む。
【0208】
ある実施形態では、Fc領域は、変異T256D/Q311V/A378V、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。ある実施形態では、Fc領域は、変異H285N/T307Q/N315D、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。ある実施形態では、Fc領域は、変異H285D/T307Q/A378V、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。ある実施形態では、Fc領域は、変異T307Q/Q311V/A378V、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。ある実施形態では、Fc領域は、変異T256D/N286D/T307R/Q311V/A378V、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。ある実施形態では、Fc領域は、変異T256D/T307R/Q311V、およびFcエフェクター機能を破壊する能力がある変異または変異の組合せ、例えば、L234A/L235Aを含む。
【0209】
参照Fc領域アミノ酸配列(本明細書に使用されたナンバリングを含む)が、下記に提供される(例えば、本明細書に記載された変異位置の同定のために)。CH2ドメイン配列は下線が引かれ、ヒンジ領域配列はイタリック体で示され、CH3ドメイン配列は太字で示されている。
【化2】
【0210】
本明細書に記載された半減期延長変異のいずれも、Fcエフェクター機能を増強または破壊する能力がある任意のFc変異と組み合わせて使用することができる。
【0211】
Fc領域は、様々な細胞受容体(例えば、Fc受容体)および補体タンパク質に結合することができる。Fc領域はまた、抗体分子の異なる生理的効果、例えば、オプソニン化粒子の検出;細胞溶解;マスト細胞、好塩基球、および好酸球の脱顆粒;ならびに他の過程を媒介することができる。
【0212】
Fc受容体(FcR)のいくつかの異なる型があり、それらが認識する抗体の型に基づいて分類することができる。
【0213】
Fcγ受容体(FcγR)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、例えば、オプソニン化微生物の食作用を誘導することに、関与する。このファミリーは、いくつかのメンバー、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIB(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)、FcγRIIIB(CD16b)を含み、それらは、それらの異なる分子構造によって抗体アフィニティーが異なる。例として、FcγRIは、FcγRIIまたはFcγRIIIが結合するより強く、IgGに結合することができる。FcγRIはまた、FcγRIIまたはFcγRIIIが有するより1つ多いドメインの、3つの免疫グロブリン(Ig)様ドメインを含む細胞外部分を有する。この特性は、FcγRIが、ただ1個のIgG分子(または単量体)に結合することを可能にするが、Fcγ受容体は一般的に、活性化されるために免疫複合体内で複数のIgG分子に結合する必要がある。
【0214】
Fcγ受容体は、IgGに対するそれらのアフィニティーが異なり、異なるIgGサブクラスが、Fcγ受容体のそれぞれに対する固有のアフィニティーを有しうる。これらの相互作用はさらに、IgGのある特定の位置におけるグリカン(オリゴ糖)により調整されうる。例えば、立体障害を生じさせることにより、フコース含有CH2-84.4グリカンはFcγRIIIAに対するIgGアフィニティーを低下させるが、ガラクトースを欠き、かつ代わりに、GlcNAc部分で終結するG0グリカンは、FcγRIIIAに対するアフィニティーを増加させている(Maverakisら、(2015年)Journal of Autoimmunity 57巻(6号):1~13頁)。
【0215】
新生児型Fc受容体(FcRn)は、複数の細胞型で発現し、構造においてMHCクラスIと類似している。この受容体はまた、IgGに結合し、この抗体の保存に関与している(Zhuら、(2001年) Journal of Immunology 166巻(5号):3266~76頁)。FcRnはまた、IgGを母親から、胎盤を介して彼女の胎児へか、または乳中において彼女の授乳する乳児へのいずれかで移動させることに関与する。この受容体はまた、IgG血清中レベルの恒常性において役割を果たしうる。
【0216】
FcαRI(またはCD89)は、FcαRサブグループに属する。FcαRIは、好中球、好酸球、単球、マクロファージ(クッパー細胞を含む)、および樹状細胞の表面上に見出される。それは、2つの細胞外Ig様ドメインを含み、免疫グロブリンスーパーファミリーと、多重鎖免疫認識受容体(MIRR)ファミリーの両方のメンバーである。それは、2つのFcRγシグナル伝達鎖と会合することにより、シグナル伝達する。
【0217】
Fc-アルファ/ミュー受容体(Fcα/μR)は、I型膜貫通タンパク質である。それはIgAに結合することができるが、IgMに対するより高いアフィニティーを有する(ShibuyaおよびHonda(2006年) Springer Seminars in Immunopathology 28巻(4号):377~82頁)。このFc受容体はまた、その細胞外部分に1つのIg様ドメインを有することで、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーでもある。
【0218】
FcεRの2つの公知の型がある。高アフィニティー受容体FcεRIは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである(それは、2つのIg様ドメインを有する)。FcεRIは、表皮ランゲルハンス細胞、好酸球、マスト細胞、および好塩基球上に見出される。この受容体は、アレルギー応答をコントロールすることにおいて役割を果たすことができる。FcεRIはまた、抗原提示細胞上に発現され、免疫メディエータ、例えば、炎症を促進するサイトカインの産生をコントロールする(von Bubnoffら(2003年) Clinical and Experimental Dermatology 28巻(2号):184~7頁)。低アフィニティー受容体FcεRII(CD23)は、C型レクチンである。FcεRIIは、膜結合型または可溶性受容体として多機能をもつ。それはまた、B細胞増殖および分化をコントロールすることができ、好酸球、単球、および好塩基球のIgE結合をブロックする(Kikutaniら、(1989年) Ciba Foundation Symposium 147巻:23~31頁)。
【0219】
ある実施形態では、Fc領域は、抗原結合部位を含有するように操作して、Fcab断片を作出することができる(Wozniak-Knoppら、(2010年) Protein Eng Des 23巻(4号):289~297頁)。Fcab断片は、Fc領域を交換することにより完全免疫グロブリンへ挿入することができ、それにしたがって、二特異性抗体(別々の結合部位を含有する、Fab領域とFcab領域の両方を有する)が得られる。
【0220】
FcRnの結合およびリサイクリングは、下記で説明されうる。例えば、IgGおよびアルブミンは、血管内皮細胞へ飲作用を通して内部移行される。エンドソームのpHは6.0であり、膜結合型FcRnとの会合を容易とする。エンドソームの内容物は、2つの方式:頂端細胞膜へ戻してのリサイクリング、または頂端から基底外側へのトランスサイトーシスのうちの1つにおいて処理されうる。FcRnと会合していないIgGは、リソソームにより分解される。
【0221】
理論により束縛されることを望まないが、FcRnのIgGとの相互作用は、Fcを通して媒介されると考えられる。FcのFcRnへの結合はpH特異的であり、例えば、pH 7.4において有意な結合はなく、酸性環境において強力に結合する。IgG1分子のFcドメインとの複合体におけるFcRnの構造は図1に示されている。各FcRn分子は、一般的に、Fc単量体に結合する。ある実施形態では、Fabドメインもまた、IgGのFcRnへの結合に影響を及ぼすことができ、例えば、IgGのFcRnに対するアフィニティーに、マイナスの影響を生じるか、または影響を生じないかのいずれかである。
【0222】
Fc領域が、ポリペプチドの半減期を増強するように操作される場合、複数の検討事項が存在しうる。例えば、抗体分子または融合タンパク質の半減期および効率的な再循環を延長することは、pH特異的アフィニティー増強(例えば、エンドソームの低いpHにおいてのみ)を必要とする場合が多い。FcRnは、Fc領域のCH2ドメインとCH3ドメインの間のリンカー領域の近位に結合する。リンカーの修飾は、FcのFcγ受容体との係合に影響しうる。Fc領域上の修飾は、ポリペプチドの熱安定性および凝集特性に影響しうる。
【0223】
FcRn結合最適化:他のエフェクター機能への影響を低減すること
ある実施形態では、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、同じアフィニティー機能を有し、またはエフェクター機能(例えば、本明細書に記載されたエフェクター機能)を実質的に変化させる(例えば、10%より多く、20%より多く、30%より多く、40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より多く、または90%より多く、減少させる)ことはない。ある実施形態では、エフェクター機能は、Fc領域とFcRnの間の結合に関連していない。
【0224】
変異されるアミノ酸残基は、少なくとも部分的に、Fc領域上の1つまたは複数の結合部位の構造的または機能的特性に基づいて、選択することができる。これらの結合部位には、例えば図2に示されているような、プロテインA結合部位、C1q結合部位、FcγRI結合部位、FcγRIIa結合部位、FcγRIIIa結合部位、またはFcRn結合部位が含まれるが、それらに限定されない。結合部位にはまた、TRIM21結合部位、例えば、IgGのループ308~316、ループ252~256、またはループ429~436から選択される1つまたは複数の残基が含まれうる。ある実施形態では、CH2ドメインとCH3ドメインの間のリンカー領域は、FcγR結合に作用するCH2ドメインの動力学に影響しうる。
【0225】
FcRnのpH特異的係合のための構造的基盤
理論により束縛されることを望まないが、エンドソームの低いpHは、CH2ドメインおよびCH3ドメイン上の表面ヒスチジンのプロトン付加をもたらすと考えられる。例えば、CH2上の残基H310および/またはCH3上のH433のプロトン付加は、例えば低いpH(例えば、pH 6.0)におけるFcRn係合に重要でありうる。プロトン付加はまた、溶媒またはリガンド分子結合のためのリンカー領域のより良い曝露または遮蔽などの、領域のコンフォメーション動力学の変化をもたらしうる。したがって、ある実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、残基H310における変異、残基H433における変異、またはその両方を含む。残基H310および/またはH433に隣接した1個または複数の残基もまた変異させることができる。ポリペプチドはまた、代償性または有益な変異、例えば、前述の変異のいずれかを代償し、またはそれにとって有益な、例えば、その変異のマイナスの結果を低減するための変異(例えば、極性対非極性、荷電対電荷なし、正荷電(塩基性)対負荷電(酸性)、または疎水性対親水性)を含むことができる。例えば、P247Dは、代償性または有益な変異でありうる。
【0226】
ある実施形態では、ヒスチジンのプロトン付加は、例えば、リンカー/CH2/CH3界面残基の移動/変位を含む、追加のコンフォメーション変化を生じうる。Fc断片の結晶構造は、異なるpHで結晶化されている。図3に示されているように、pH 6.5(シアン色)および5.0(緑色)において結晶化されたFc断片の2つの高分解能結晶構造の解析は、潜在的な差を指し示した。
【0227】
Fc-FcRn相互作用界面のマッピング
ある実施形態では、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、Fc領域とFcRnの間の相互作用を変化させることができる変異を含む。ある実施形態では、その変異は、少なくとも部分的に、Fc-FcRn相互作用界面の構造的特色に基づいて選択される。
【0228】
ある実施形態では、免疫グロブリン単量体のFc領域は、図4に示された構造を有しうる。図4に示されているように、黒色点線はFc-FcRn相互作用界面を指し示す。構造は、例えば本明細書に記載されているような、FcRn接触残基、およびFcRnアフィニティー増強Fc残基を含む。それぞれ、CH2ドメインおよびCH3ドメインに位置する、残基H310およびH435は、主に、pH依存性Fc-FcRn相互作用に関与する。ある実施形態では、FcRnは、Fc領域に、そのCH2ドメインとCH3ドメインの間で結合する。別の実施形態では、Fc-FcRn結合部位は、Fc単量体のCH2ドメインとCH3ドメインの両方にわたって位置する。
【0229】
Fc-FcRn係合のネットワーク表示は、アミノ酸の同時置換に関する洞察を与える
ある実施形態では、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、Fc領域とFcRnの間の相互作用を変化させることができる複数の変異を含む。ある実施形態では、変異は、少なくとも部分的に、Fc-FcRn相互作用のネットワーク表示に基づいて、選択される。
【0230】
理論により束縛されることを望まないが、ある実施形態では、例えば、Fc-FcRn複合体のネットワーク解析により決定されているように、残基H310は、FcRnとの係合において中心的役割を果たすことが考えられる。図5に示されているように、残基H310は、複数の他の高度にネットワーク化された残基と高度に相互接続されている。ある実施形態では、H310クラスターおよび隣接部(結ばれたノード)における変異は、H310ネットワークを強化することができる。サブネットワークの解析は、他のFc残基への影響を減らし、または最小にしながらの、都合良いFcRn相互作用のための相乗的変異の導入の情報を提供する。
【0231】
FcRn結合を最適化するためのデザインの検討事項
ある実施形態では、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、Fc-FcRn結合を最適化するためにデザインすることができる。
【0232】
ある実施形態では、Fc領域に変異を有するポリペプチドは、参照ポリペプチド(例えば、その変異を含まず、その他の点では同一のポリペプチド)と比較して、pH特異的アフィニティーの増強を有する。ある実施形態では、アフィニティー増強は、ファンデルワールス相互作用を増加させることにより達成される。ある実施形態では、アフィニティー増強は、水素結合および/または静電気的相互作用の導入により達成されない。ある実施形態では、変異は、CH2ドメインとCH3ドメインの間のリンカー領域のコンフォメーションを変化させないか、またはそれへの摂動を低減するか、もしくは最小にする。ある実施形態では、ポリペプチドは、両方のドメイン(4つの四分円部分(quadrant))にわたる複数の変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、表面上に疎水性または芳香族残基の大きなクラスターを含有しない。
【0233】
ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば酸性pHにおいて、Fc領域とFcRnの間の相互作用の強度を増強するか、またはFcRnに対する解離定数(K)を低下させる変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば酸性pHにおいて、FcRnに対する解離の速度(koff)を低下させる変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば酸性pHにおける、FcRnに対する会合の速度(kon)を増加させる変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば酸性pHにおいて、FcRnに対する解離の速度(koff)を低下させ、かつFcRnに対する会合の速度(kon)を増加させる変異を含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、例えば酸性pHにおいて、FcRnに対する解離の速度(koff)を低下させ、かつFcRnに対する会合の速度(kon)に影響せず、または有意には影響しない変異を含む。理論により束縛されることを望まないが、ある実施形態では、FcRnに対する解離定数Kの低下は、主として、会合の速度(kon)の増加よりむしろ、FcRnに対する解離の速度(koff)低下に起因していると考えられる。
【0234】
実験の評価:多次元に沿って、かつ異なるアッセイプラットフォームにより評価されるFc変異
本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、いくつかの方法により評価することができる。pH特異的Fc-FcRn結合(例えば、pH 6.0およびpH 7.4における結合)は、例えば、Octetに基づいたアッセイ、競合アッセイ(例えば、フローサイトメトリー)、または表面プラズモン共鳴法(SPR)により、決定することができる。
【0235】
生物物理学的特徴付け(例えば、熱安定性、凝集、または発現)を実施することができる。熱安定性は、例えば、SYPROオレンジにより、決定することができる。凝集は、例えば、SECまたはRP-HPLCにより、測定することができる。
【0236】
例えば、FcγRI(例えば、Octetに基づいたアッセイにより)、FcγRIIIa、FcγRIIa、FcγRIIb(例えば、ELISAにより)、C1q、ADCC、またはCDCに関係する、エフェクター機能を試験することができる。
【0237】
三要素モチーフ含有タンパク質(Tripartite Motif-Containing Protein)21(TRIM21)結合を試験することができる。TRIM21は、IgGのFcと結合する細胞質受容体である。TRIM21は、ウイルス、細菌、および真菌などのFcに結合した病原体の細胞内認識および中和を媒介することにおいて役割を果たす。例えば、TRIM21は、エンベロープをもたないウイルスの中和において重要な役割を果たす(McEwanら、Nat Immunol. 2013年;14巻(4号):327~36頁)。その役割は、分解のための免疫複合体の方向づけを含むとさらに拡大されている(McEwanら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2017年;114巻(3号):574~579頁)。TRIM21は、抗体Fc領域のCH2:CH3界面に結合し、その界面は、FcRn結合部位と重複する。FcRnアフィニティーを増加させるいくつかのFc変異は、TRIM21アフィニティーを減少させる(Fossら、J Immunol. 2016年;196巻(8号):3452~3459頁)。鍵となる接触残基には、例えば、253位、433位、434位、および435位が含まれる。LS改変体(M428L/N434S)は、434位における変異を含有し、N434S変異が、TRIM21結合を10分の1にすることが示されている。TRIM21媒介性中和は、抗体依存性細胞内中和(ADIN)として公知である。
【0238】
粘膜取込みを試験することができる。FcRnは、腸および肺胞表面を裏打ちする粘膜上皮などの異なる細胞バリアを横断してIgGを輸送する。FcRn結合の修飾は、免疫防御を与える粘膜局在化を増強する機構を提供する。
【0239】
ポリペプチドの半減期は、例えば、トランスジェニックマウス(例えば、Jackson研究所からのTg32およびTg276マウス)を使用して、または霊長類(例えば、カニクイザル)において、測定することができる。
【0240】
例示的なアッセイは、以下の通り、より詳細に記載されている:
1.FcRn結合アッセイ
a.FcRnのNiNTAバイオセンサーへの固定化を用いたOctetアッセイ
FcRnの、6×ヒスチジンタグ(配列番号2)を介したNiNTAバイオセンサーへの固定化は、酸性(pH 6.0)および生理的(pH 7.4)条件下でのIgG分子への結合のその後の調査を可能にする。このストラテジーは、以前に記載されており(1)、この方法は、参照されたプロトコールの適合を詳述する。略述すると、5μg/mLにおける組換えヒトFcRnを、NiNTAバイオセンサー上へ180秒間、ロードする。1×PBS pH 6.0における60秒間のベースラインステップ後、FcRnをロードしたチップを、250nM(37.5μg/mL)の濃度でのIgGに60秒間、曝露し、続いて、PBS pH 6.0において60秒間、およびPBS pH 7.4においてさらに30秒間、解離させる。アッセイ完了後、pH 6.0におけるアフィニティー定数(K)の定量的評価を、ForteBio octetソフトウェアを使用して、実施し、定性的評価を、時間に対して応答速度をプロットすることにより実施して、pH 6.0におけるIgGのFcRnへの会合、ならびにpH 6.0およびpH 7.4におけるその後の解離の可視化を可能にする。
【0241】
b.IgGの抗CH1バイオセンサーへの固定化を用いたOctetアッセイ
IgGの抗CH1バイオセンサーへの固定化は、酸性(pH 6.0)および生理的(pH 7.4)条件下でのFcRn分子への結合のその後の調査を可能にする。このストラテジーは、以前に記載されており(2)、この方法は、参照されたプロトコールの適合を詳述する。略述すると、5μg/mLにおける精製されたIgGを、抗CH1バイオセンサー上へ180秒間、ロードする。1×PBS pH 6.0における60秒間のベースラインステップ後、IgGをロードしたチップを、50μg/mLの濃度でのFcRnに60秒間、曝露し、続いて、PBS pH 6.0において60秒間、およびPBS pH 7.4においてさらに30秒間、解離させる。アッセイ完了後、pH 6.0におけるアフィニティー定数(K)の定量的評価を、ForteBio octetソフトウェアを使用して、実施し、定性的評価を、時間に対して応答速度をプロットすることにより実施して、pH 6.0におけるIgGのFcRnへの会合、ならびにpH 6.0およびpH 7.4におけるその後の解離の可視化を可能にする。
【0242】
c.細胞に基づいたアッセイ
FcRnとIgGの間の相互作用を解析するために、細胞に基づいたアッセイもまた使用される(Ref:PMID:23384837)。細胞表面上での膜アンカー型FcRnの発現は、FcRnの生理的提示を厳密に表し、細胞膜および分子配向が、FcRnとIgGの間の相互作用に影響する。ここで使用されるアッセイは、競合アッセイであり、目的のIgGが、蛍光標識された高アフィニティーFc競合試薬(Fc-A488)の細胞結合と競合する能力について評価される。全長膜結合型FcRnヘテロ二量体を発現するExpi293細胞を、固定濃度のFc-A488(0.5ug/ml)と様々な濃度の目的のIgG(0.001~10μM)の混合物とインキュベートする。細胞に結合した蛍光を、フローサイトメトリーにより検出する。FcRnへの結合が改善されたIgGは、より低いIgG濃度でFc競合物に打ち勝つ。このアッセイは、ロバストで、線形で、かつ特異的であり、IgG/Fc改変体のFcRnへの相対的結合における差を示すために使用することができる。
【0243】
2.熱安定性アッセイ
IgG改変体の安定性を、示差走査型蛍光定量法(DSF)により評価した。DSFは、熱ストレス下でのタンパク質アンフォールディングをモニタリングするためにSYPRO(登録商標)オレンジ色素を使用するアッセイである。SYPRO(登録商標)オレンジは、疎水性表面に非特異的に結合する蛍光色素であり、その蛍光は、水性環境において消光される。温度の上昇で、タンパク質はそれらの二次構造を失い始めて、アンフォールドし、それにしたがって、それらの疎水性コア残基を露出し、その色素が蛍光を発するのを可能にする。最大蛍光シグナルは、完全なアンフォールディングにおいて達成され、その後、そのタンパク質は、凝集し始めて、露出した疎水性残基を減らし、それにしたがって、蛍光シグナルを低下させる。未変性状態と完全にアンフォールドされたタンパク質の間の中間点が、遷移温度、または融解温度(Tm)であり、相対的安定性についてタンパク質構築物または製剤状態を直接的に比較するために使用することができる。
【0244】
ある実施形態では、FcRn結合以外の因子もまた、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の観察される半減期に影響しうる。これらの因子には、例えば、凝集傾向、非特異的結合、安定性、またはFab組成が含まれうる。
【0245】
ある実施形態では、非Fc領域における変異は、例えば、最適以下の鋳型の関連において、半減期の実質的な改善を提供するために、導入される。例えば、出発の半減期がより低いポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、最適以下の特性の存在を指し示しうる。例えば、必要な結合プロファイル(例えば、アフィニティーおよび/または特異性)を維持するために、または適切な開発可能性特性(例えば、安定性、溶解度、発現レベル、または凝集)を得るために、より低い半減期の根本的原因を緩和することに、操作努力をまた集中させることができる。ある実施形態では、追加の操作は、最適以下の生物物理学的特徴を有するポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)について、最大半減期の延長を実現するために実施される。
【0246】
薬物動態
本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、1つまたは複数の所望の薬物動態学的特性、例えば、本明細書に記載された薬物動態学的特性の1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多く)を有しうる。
【0247】
薬物動態(PK)は、生きている生物に投与された物質の運命を決定するために使用することができる。PK研究は、薬物代謝を解析するために、およびそれが投与される瞬間から、それが身体から完全に排除される時点までの薬物の運命を同定するために使用することができる。薬物動態は、例えば、身体が、特定の薬物に、投与後、吸収および分布の機構、身体におけるその物質の(例えば、チトクロムP450またはグルクロノシルトランスフェラーゼ酵素などの代謝酵素による)化学的変化、またはその薬物の代謝産物の排泄の効果および経路を通して、どのように影響を及ぼすかを記載する。薬物の薬物動態学的特性は、投与された薬物の投与部位および用量(吸収速度に影響しうる)などの要素により影響されうる。薬物動態は、薬動力学(例えば、薬物の生化学的および生理学的効果の研究)と共に解析することができる。
【0248】
いくつかの異なるモデルが、薬物動態について開発されている。例えば、薬物動態モデリングは、非コンパートメントまたはコンパートメント方法により実施することができる。
【0249】
非コンパートメント方法は、濃度-時間グラフの曲線下面積を見積もることにより、薬物への曝露を推定する。非コンパートメントPK解析は、総薬物曝露の推定に大きく依存している。総薬物曝露は、最も一般的な方法である、台形法則(数値積分)での曲線下面積(AUC)方法により見積もられる場合が多い。台形法則における「x」の長さへの依存により、面積見積りは、血液/血漿サンプリングスケジュールに大きく依存している。すなわち、時間の点が近ければ近いほど、台形は、濃度-時間曲線の実際の形をより忠実に反映する。
【0250】
コンパートメント方法は、動態モデルを使用して、濃度-時間グラフを見積もる。コンパートメントPK解析は、動態モデルを使用して、濃度-時間曲線を記載し、予測する。PKコンパートメントモデルは、化学的動態および熱力学などの他の科学的学問分野に使用される動態モデルに類似する場合が多い。いくつかの非コンパートメント解析を凌ぐコンパートメント解析の利点は、任意の時間における濃度を予測する能力である。曲線ストリッピング(curve stripping)に基づいた、コンパートメントを含まないモデリングはこの制限を受けない。最も単純なPKコンパートメントモデルは、IVボーラス投与および一次消失を有する1コンパートメントPKモデルである。より複雑なPKモデル(例えば、PBPKモデル)は、生理的情報の使用に依拠し、開発および検証を容易にする。
【0251】
単一コンパートメントモデルにおいて、関与する様々な因子(例えば、用量、血漿中濃度、または消失)間の関係のグラフは、直線、または1つへの近似(すなわち、線形薬物動態)を示す。薬物が有効であるために、それらは、血漿から他の体液および組織へ迅速に移動することができる必要がある。
【0252】
多コンパートメントモデルにおいて、様々な因子間の非線形関係についてのグラフは、曲線により表され、その後、因子間の関係は、異なる曲線下面積の大きさを計算することにより見出すことができる。非線形薬物動態に使用されるモデルは、主に、ミカエリスメンテン速度式に基づいている。
【0253】
モデルが分割される様々なコンパートメントは、一般的に、ADMEスキーム:遊離(例えば、薬物の医薬製剤からの放出の過程);吸収(例えば、物質が血液循環に入る過程);分布(例えば、体液および身体組織を通しての物質の分散または伝播(dissemination));代謝(または生体内変換または不活性化)(例えば、外来物質が存在することの生物による認識、および親化合物の娘代謝産物への不可逆的変換);および排泄(例えば、物質の身体からの除去)と呼ばれる(遊離が、吸収とは別個のステップとして含まれる場合には、LADMEとも呼ばれる)。まれに、いくつかの薬物は、身体組織において不可逆的に蓄積する。代謝と排泄の2つの相はまた、消失という名称の下でひとまとめにすることができる。
【0254】
全てのこれらのパラメータは、対応するグラフ表示を有する数学式により表すことができる。これらのモデルの使用は、分子の特徴、加えて、特定の薬物が、その酸解離定数(pKa)、生物学的利用率および溶解度、吸収能力、ならびに生物における分布などのその基本的な特徴の一部に関する情報を考慮すれば、どのように挙動するだろうかということの理解を可能にする。
【0255】
薬物についてのモデルアウトプットは、産業において(例えば、ジェネリック薬をデザインする場合、生物学的同等性を計算することにおいて)、または薬物動態学的概念の臨床適用において、使用することができる。臨床的薬物動態は、ヒトのヘルスケア専門家にとって、および獣医学において、薬物の有効かつ効率的な使用についてのいくつかの実施ガイドラインを提供する。
【0256】
例示的な薬物動態学的特性には、用量(例えば、投与された薬物の量)、投与間隔(例えば、薬物用量投与間の時間)、Cmax(例えば、投与後の薬物のピーク血漿中濃度)、tmax(Cmaxに達するまでの時間)、Cmin(例えば、次の用量が投与される前に薬物が達する最低濃度)、分布容積(例えば、薬物が分布される見かけの容積、例えば、薬物濃度を身体における薬物量に関係づける)、濃度(例えば、所定の容積の血漿における薬物の量)、半減期または消失半減期(例えば、薬物の濃度が、その最初の値の半分に達するのに必要とされる時間)、消失速度定数(例えば、薬物が身体から除去される速度)、注入速度(例えば、消失のバランスをとるために必要とされる注入の速度)、曲線下面積(例えば、単回用量後または定常状態における、例えば、濃度-時間曲線の積分)、クリアランス(例えば、単位時間当たりの薬物のクリアランスされた血漿の容積)、生物学的利用率(例えば、薬物の全身的に利用可能な割合)、または変動(fluctuation)(例えば、定常状態における1回の投与間隔内のピークトラフ変動)が含まれるが、それらに限定されない。
【0257】
薬物動態学的特性は、様々な方法により測定することができる。例えば、生物学的解析法は、濃度-時間プロファイルを構築するために使用することができる。化学的技法は、生物学的マトリクス、例えば、血漿における薬物の濃度を測定するために利用することができる。適切な生物学的解析法は、選択的かつ感度が高くあるべきである。例えば、マイクロスケール熱泳動(thermophoresis)は、生物学的マトリクス/液体が、薬物のその標的に対するアフィニティーにどのように影響するかを定量化するために使用することができる(Baaskeら、(2010年) Angew. Chem. Int. Ed. 49巻(12号):1~5頁;Wienkenら(2010年) Nature Communications 1巻(7号):100頁)。
【0258】
薬物動態学的特性はまた、例えば低用量および長時間後に濃度を観察するために高感度が必要とされる場合、質量分析を使用して研究することができる。この適用に使用される一般的装置は、三連四重極型質量分析計を用いたLC-MSである。タンデム質量分析は、追加される特異性のために利用することができる。標準曲線および内部標準は、試料における医薬品の定量化のために使用することができる。医薬品は投与され、その後、代謝され、または身体からクリアランスされるため、試料は、異なる時点を表す。投与前に採取されたブランク試料が、バックグラウンドを決定し、かつそのような複雑な試料マトリクスに関するデータ完全性を保証することにおいて使用される。標準曲線は直線でありえ、または、ほとんどの質量分析計の応答は、大きな濃度範囲にわたって決して直線とは言えないため、二次方程式などのより複雑な関数を用いて、曲線フィッティングを使用することができる(HsiehおよびKorfmacher (2006年)Current Drug Metabolism 7巻(5号):479~89頁;Coveyら(1986年)Anal. Chem. 58巻(12号):2453~60頁;Coveyら(1985年)Anal. Chem. 57巻(2号):474~81頁)。
【0259】
例示的な抗体分子
本明細書に記載された方法は、様々な抗体分子、例えば、Fc領域を含有する任意の抗体分子を操作するために使用することができる。
【0260】
ある実施形態では、抗体分子は、キメラ抗体分子、ヒト化抗体分子、またはヒト抗体分子である。
【0261】
ある実施形態では、抗体分子は、モノクローナル抗体全体である。別の実施形態では、抗体分子は、Fc領域を含有しない抗体分子(例えば、本明細書に記載された抗原結合性断片)のFc領域含有誘導体である。例示的な抗原結合性断片には、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、di-scFv、またはsdAbが含まれるが、それらに限定されない。別の実施形態では、抗体分子は、二特異性モノクローナル抗体、例えば、三機能性抗体(3funct)または二特異性T細胞誘導物質(bi-specific T-cell engager)(BiTE)である。
【0262】
ある実施形態では、抗体分子は、感染性疾患(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症、または真菌感染症)に関連した分子(例えば、タンパク質)をターゲティングする。別の実施形態では、抗体分子は、がんと関連した分子(例えば、タンパク質)または細胞をターゲティングする。別の実施形態では、抗体分子は、免疫障害と関連した分子(例えば、タンパク質)または細胞をターゲティングする。別の実施形態では、抗体分子は、心血管障害と関連した分子(例えば、タンパク質)または細胞をターゲティングする。別の実施形態では、抗体分子は、代謝性障害と関連した分子(例えば、タンパク質)または細胞をターゲティングする。別の実施形態では、抗体分子は、神経学的障害と関連した分子(例えば、タンパク質)または細胞をターゲティングする。
【0263】
例示的な抗体分子には、以下の分子または細胞の1つまたは複数(例えば、2つ)をターゲティングする抗体分子が含まれるが、それらに限定されない:β-アミロイド、4-1BB、5AC、5T4、ACF9、ACFIX、アクチビン受容体様キナーゼ1、ACVR2B、腺癌抗原、AGS-22M6、アルファ-フェトプロテイン、アンジオポエチン2、アンジオポエチン3、炭疽毒素の防御抗原、AOC3(VAP-1)、B7-H3、bacillus anthracis炭疽、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、C5、CA-125(模造品)、カルシトニン、canis lupus familiaris IL31、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、心筋ミオシン、CCL11(エオタキシン-1)、CCR2、CCR4、CCR5、CD11、CD18、CD125、CD140a、CD147(ベイシジン)、CD15、CD152、CD154(CD40L)、CD19、CD2、CD20、CD200、CD22、CD221、CD23(IgE受容体)、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD27、CD274、CD276、CD28、CD3、CD3イプシロン、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD4、CD40、CD40リガンド、CD41(インテグリンアルファ-IIb)、CD44v6、CD5、CD51、CD52、CD56、CD6、CD70、CD74、CD79B、CD80、CEA、CEA関連抗原、CFD、CGRP、ch4D5、CLDN18.2、Clostridium difficile、クランピング因子(clumping factor)A、凝固因子III、CSF1R、CSF2、CTGF、CTLA-4、C-X-Cケモカイン受容体4型、サイトメガロウイルス、サイトメガロウイルス糖タンパク質B、ダビガトラン、DLL3、DLL4、DPP4、DR5、E.coli志賀毒素1型、E.coli志賀毒素2型、EGFL7、EGFR、エンドグリン、内毒素、EpCAM、エフリン受容体A3、エピシアリン(episialin)、ERBB3、Escherichia coli、RSウイルスのFタンパク質、FAP、フィブリンIIベータ鎖、フィブロネクチンエクストラドメイン-B、葉酸ヒドロラーゼ、葉酸受容体1、葉酸受容体アルファ、Frizzled受容体、ガングリオシドGD2、GCGR、GD2、GD3ガングリオシド、GDF-8、グリピカン3、GMCSF受容体α鎖、GPNMB、増殖分化因子8、GUCY2C、血球凝集素、B型肝炎表面抗原、B型肝炎ウイルス、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、ヒストン複合体、HIV-1、HLA-DR、HNGF、Hsp90、ヒト分散因子受容体キナーゼ(human scatter factor receptor kinase)、ヒトTNF、ヒトベータ-アミロイド、ICAM-1(CD54)、ICOSL、IFN-α、IFN-γ、IgE、IgE Fc領域、IGF-1受容体、IGF-I、IGHE、IL 20、IL-1、IL-12、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-17F、IL-1β、IL2、IL-22、IL-23、IL23A、IL31RA、IL-4、IL-4、IL-5、IL6、IL-6受容体(IL6R)、IL-9、ILGF2、インフルエンザAウイルス血球凝集素(HA)、インスリン様増殖因子I受容体、インテグリンα4、インテグリンα4β7、インテグリンα5β1、インテグリンα7β7、インテグリンαIIbβ3、インテグリンαvβ3、インターフェロン受容体、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンガンマ誘導性タンパク質、ITGA2、ITGB2(CD18)、カリクレイン、KIR2D、KLRC1、ルイスY抗原、LFA-1(CD11a)、LFA-1(CD11a)、LINGO-1、リポテイコ酸、LOXL2、L-セレクチン(CD62L)、LTA、MCP-1、メゾテリン、MIF、MS4A1、MSLN、MUC1、ムチンCanAg、ミエリン関連糖タンパク質、ミオスタチン、NCA-90(顆粒球抗原)、NCA-90(顆粒球抗原)、神経アポトーシス制御プロテイナーゼ1、神経アポトーシス制御プロテイナーゼ1、NGF、NGF、N-グリコリルノイラミン酸、NOGO-A、Notch 1、Notch受容体、NRP1、ウサギ(Oryctolagus cuniculus)、OX-40、oxLDL、PCSK9、PD-1、PD-1、PDCD1、PDGF-R α、リン酸ナトリウムコトランスポーター、ホスファチジルセリン、血小板由来増殖因子受容体ベータ、前立腺癌細胞、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas aeruginosa III型分泌系、狂犬病ウイルス糖タンパク質、狂犬病ウイルス糖タンパク質、RANKL、RSウイルス、RSウイルス、RHD、Rh因子、Rh因子、RON、RTN4、スクレロスチン、SDC1、セレクチンP、SLAMF7、SOST、スフィンゴシン-1-リン酸、Staphylococcus aureus、STEAP1、TAG-72、T細胞受容体、TEM1、テネイシンC、TFPI、TGFベータ1、TGFベータ2、TGF-β、TNFRスーパーファミリーメンバー4、TNF-α、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TSLP、腫瘍抗原CTAA16.88、MUC1の腫瘍特異的グリコシル化、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2、TWEAK受容体、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGFA、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン、またはVWF。
【0264】
例示的な抗体分子には、以下の病原体(例えば、細菌、ウイルス、または真菌)の1つまたは複数(例えば、2つ)をターゲティングする抗体分子が含まれるが、それらに限定されない:Actinomyces gerencseriae、Actinomyces israelii、Actinomycetoma種、アルファウイルス、Anaplasma phagocytophilum、アナプラズマ種、Ancylostoma braziliense、Ancylostoma duodenale、住血線虫属、アニサキス属、Arcanobacterium haemolyticum、Ascaris lumbricoides、アスペルギルス種、アストロウイルス科、バベシア種、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、細菌性膣炎細菌叢、バクテロイデス種、Balantidium coli、バルトネラ属、Bartonella bacilliformis、Bartonella henselae、Batrachochytrium dendrabatidis、バイリスアスカリス種、BKウイルス、ブラストシスティス種、Blastomyces dermatitidis、Bordetella pertussis、Borrelia afzelii、Borrelia burgdorferi、Borrelia garinii、Borrelia hermsii、Borrelia recurrentis、ボレリア種、ブルセラ種、Brugia malayi、ブンヤウイルス科、Burkholderia cepacia、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、バークホルデリア種、カリシウイルス科、カンピロバクター種、Candida albicans、カンジダ種、Capillaria aerophila、Capillaria hepatica、Capillaria philippinensis、Chlamydia trachomatis、Chlamydia trachomatis、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae、Chlamydophila psittaci、Clonorchis sinensis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、クロストリジウム種、Coccidioides immitis、Coccidioides immitis、Coccidioides posadasii、Coccidioides posadasii、コロラドダニ熱ウイルス(CTFV)、コロナウイルス、Corynebacterium diphtheriae、Coxiella burnetii、コクサッキーAウイルスおよびエンテロウイルス71(EV71)、クリミア-コンゴ出血性熱ウイルス、Cryptococcus neoformans、クリプトスポリジウム種、Cyclospora cayetanensis、サイトメガロウイルス、デングウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3、またはDEN-4)、Dientamoeba fragilis、裂頭条虫属、Dracunculus medinensis、エボラウイルス(EBOV)、エキノコックス種、Ehrlichia chaffeensis、Ehrlichia ewingii、エールリヒア種、Entamoeba histolytica、腸内細菌科、Enterobius vermicularis、エンテロコッカス種、エンテロウイルス種、エンテロウイルス、ハエカビ目(エントモフトラ症)、Epidermophyton floccosum、エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr Virus)(EBV)、Escherichia coli O157:H7、Eumycetoma種、Fasciola hepaticaおよびFasciola gigantica、Fasciolopsis buski、フィラリア上科、フラビウイルス、Fonsecaea pedrosoi、Francisella tularensis、フゾバクテリウム種、Geotrichum candidum、Giardia lamblia、Gnathostoma hispidum、Gnathostoma spinigerum、緑藻Desmodesmus armatus、A群連鎖球菌、グアナリトウイルス、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Heartlandウイルス、Helicobacter pylori、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純疱疹ウイルス1および2(HSV-1およびHSV-2)、Histoplasma capsulatum、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、Hortaea werneckii、ヒトボカウイルス(HBoV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)およびヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、Hymenolepis diminuta、Hymenolepis nana、Isospora belli、JCウイルス、フニンウイルス、Kingella kingae、Klebsiella granulomatis、ラッサウイルス、Legionella pneumophila、リーシュマニア種、レプトスピラ種、Listeria monocytogenes、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、マチュポウイルス、マラセジア種、マールブルクウイルス、麻疹ウイルス、麻疹ウイルス、Metagonimus yokagawai、Microsporidia phylum、中東呼吸器症候群コロナウイルス、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、サル痘ウイルス、ケカビ目(ムコール症)、流行性耳下腺炎ウイルス、Mycobacterium leprae、Mycobacterium lepromatosis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulcerans、Mycoplasma pneumoniae、Naegleria fowleri、Necator americanus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Nocardia asteroids、ノカルジア種、O111およびO104:H4、Onchocerca volvulus、Opisthorchis felineus、Opisthorchis viverrini、オルトミクソウイルス科、Paracoccidioides brasiliensis、Paragonimus westermani、肺吸虫種、寄生性双翅類ハエの幼虫(parasitic dipterous fly larvae)、Parvovirus B19、パスツレラ種、Pediculus humanus capitis、Pediculus humanus corporis、Phthirus pubis、Piedraia hortae、プラスモディウム種、Pneumocystis jirovecii、ポリオウイルス、プレボテラ種、PRNP、Propionibacterium propionicus、狂犬病ウイルス、RSウイルス(RSV)、Rhinosporidium seeberi、ライノウイルス、ライノウイルス類、リケッチア属、Rickettsia akari、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia typhi、リケッチア種、リフトバレー熱ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、サビア、Salmonella enterica subsp.enterica、サルモネラ種、Sarcoptes scabiei、SARSコロナウイルス、住血吸虫種、血清型typhi、赤痢菌種、シンノンブルウイルス、Sporothrix schenckii、ブドウ球菌、ブドウ球菌種、ブドウ球菌種、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Strongyloides stercoralis、Taenia solium、テニア種、Toxocara canis、Toxocara cati、Toxoplasma gondii、Treponema pallidum、Trichinella spiralis、Trichomonas vaginalis、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton rubrum、Trichophyton rubrum、Trichophyton tonsurans、白癬菌種、Trichosporon beigelii、Trichuris trichiura、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Ureaplasma urealyticum、水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)、大痘瘡、小痘瘡、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus、ウエストナイルウイルス、Wuchereria bancrofti、黄熱病ウイルス、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、またはジカウイルス。
例示的な抗体分子には、3f8、8h9、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ、アビツズマブ(abituzumab)、アブリルマブ(abrilumab)、アクトクスマブ(actoxumab)、アダリムマブ、アデカツムマブ(adecatumumab)、アデュカヌマブ、アファセビクマブ(afasevikumab)、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブペゴール(alacizumab pegol)、ald518、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトックス(anatumomab mafenatox)、アネツマブラブタンシン(anetumab ravtansine)、アニフロルマブ(anifrolumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)(ima-638)、アポリズマブ(apolizumab)、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ(ascrinvacumab)、アセリズマブ(aselizumab)、アテゾリズマブ、アチヌマブ(atinumab)、アトリズマブ(atlizumab)(トシリズマブ)、アトロリムマブ(atorolimumab)、アベルマブ(avelumab)、バピニューズマブ(bapineuzumab)、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ(bectumomab)、ベゲロマブ(begelomab)、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ(bertilimumab)、ベシレソマブ(besilesomab)、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ(biciromab)、ビマグルマブ、ビメキズマブ(bimekizumab)、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、ブレセルマブ(bleselumab)、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ(blontuvetmab)、ブロソズマブ(blosozumab)、ボコシズマブ、ブラジクマブ(brazikumab)、ブレンツキシマブベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ(brolucizumab)、ブロンチクツズマブ(brontictuzumab)、カビラリズマブ(cabiralizumab)、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カンツズマブラブタンシン(cantuzumab ravtansine)、カプラシズマブ(caplacizumab)、カプロマブペンデチド、カルルマブ(carlumab)、カロツキシマブ(carotuximab)、カツマキソマブ、cbr96-ドキソルビシンイムノコンジュゲート、セデリズマブ(cedelizumab)、セルグツズマブアムナロイキン(cergutuzumab amunaleukin)、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ch.14.18、シタツズマブボガトックス(citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ、クラザキズマブ(clazakizumab)、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、コドリツズマブ(codrituzumab)、コルツキシマブラブタンシン(coltuximab ravtansine)、コナツムマブ、コンシズマブ(concizumab)、クレネズマブ、クロテデュマブ(crotedumab)、cr6261、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブペゴール(dapirolizumab pegol)、ダラツムマブ、デクトレクマブ(dectrekumab)、デムシズマブ、デニンツズマブマホドチン(denintuzumab mafodotin)、デノスマブ、デルロツキシマブビオチン(derlotuximab biotin)、デツモマブ(detumomab)、ジヌツキシマブ(dinutuximab)、ジリダブマブ(diridavumab)、ドマグロズマブ(domagrozumab)、ドルリモマブアリトックス(dorlimomab aritox)、ドロジツマブ(drozitumab)、デュリゴツマブ(duligotumab)、デュピルマブ、デュルバルマブ、ドゥシギツマブ(dusigitumab)、エクロメキシマブ(ecromeximab)、エクリズマブ、エドバコマブ(edobacomab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ、エフングマブ(efungumab)、エルデルマブ(eldelumab)、エルゲムツマブ(elgemtumab)、エロツズマブ、エルシリモマブ(elsilimomab)、エマクツズマブ(emactuzumab)、エミベツズマブ(emibetuzumab)、エミシズマブ(emicizumab)、エナバツズマブ(enavatuzumab)、エンフォルツマブベドチン(enfortumab vedotin)、エンリモマブペゴール(enlimomab pegol)、エノブリツズマブ(enoblituzumab)、エノキズマブ(enokizumab)、エノチクマブ(enoticumab)、エンシツキシマブ(ensituximab)、エピツモマブシツキセタン(epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ、エレヌマブ(erenumab)、エルリズマブ(erlizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エトロリズマブ(etrolizumab)、エビナクマブ(evinacumab)、エボロクマブ(evolocumab)、エキシビビルマブ(exbivirumab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、ファラリモマブ(faralimomab)、ファルレツズマブ、ファシヌマブ(fasinumab)、fbta05、フェルビズマブ(felvizumab)、フェザキヌマブ(fezakinumab)、フィバツズマブ(fibatuzumab)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィギツムマブ、フィリブマブ(firivumab)、フランボツマブ(flanvotumab)、フレチクマブ(fletikumab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、フォラルマブ(foralumab)、フォラビルマブ(foravirumab)、フレソリムマブ(fresolimumab)、フルラヌマブ(fulranumab)、フツキシマブ(futuximab)、ガルカネズマブ(galcanezumab)、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(gavilimomab)、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギレンツキシマブ(girentuximab)、グレムバツムマブベドチン(glembatumumab vedotin)、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ(gomiliximab)、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ(icrucumab)、イダルシズマブ、イゴボマブ(igovomab)、imab362、イマルマブ(imalumab)、イムシロマブ(imciromab)、イムガツズマブ(imgatuzumab)、インクラクマブ(inclacumab)、インダツキシマブラブタンシン(indatuximab ravtansine)、インデュサツマブベドチン(indusatumab vedotin)、イネビリズマブ(inebilizumab)、インフリキシマブ、インテツムマブ(intetumumab)、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ(iratumumab)、イサツキシマブ(isatuximab)、イトリズマブ(itolizumab)、イキセキズマブ(ixekizumab)、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ランブロリズマブ、ラムパリズマブ(lampalizumab)、ラナデルマブ(lanadelumab)、ランドグロズマブ(landogrozumab)、ラプリツキシマブエムタンシン(laprituximab emtansine)、レブリキズマブ(lebrikizumab)、レマレソマブ(lemalesomab)、レンダリズマブ(lendalizumab)、レンジルマブ(lenzilumab)、レルデリムマブ(lerdelimumab)、レキサツムマブ(lexatumumab)、リビビルマブ(libivirumab)、リファスツズマブベドチン(lifastuzumab vedotin)、リゲリズマブ(ligelizumab)、リロトマブサテトラキセタン(lilotomab satetraxetan)、リンツズマブ、リリルマブ(lirilumab)、ロデルシズマブ(lodelcizumab)、ロキベトマブ(lokivetmab)、ロルボツズマブメルタンシン(lorvotuzumab mertansine)、ルカツムマブ(lucatumumab)、ルリズマブペゴール(lulizumab pegol)、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ(lumretuzumab)、マパツムマブ、マルジェツキシマブ(margetuximab)、マスリモマブ(maslimomab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、マツズマブ、メポリズマブ(mepolizumab)、メテリムマブ(metelimumab)、ミラツズマブ(milatuzumab)、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミルベツキシマブソラブタンシン(mirvetuximab soravtansine)、ミツモマブ(mitumomab)、モガムリズマブ、モナリズマブ(monalizumab)、モロリムマブ(morolimumab)、モタビズマブ(motavizumab)、モキセツモマブパスドトックス(moxetumomab pasudotox)、ムロモナブ-cd3、ナコロマブタフェナトックス(nacolomab tafenatox)、ナミルマブ(namilumab)、ナプツモマブエスタフェナトクス(naptumomab estafenatox)、ナラツキシマブエムタンシン(naratuximab emtansine)、ナルナツマブ(narnatumab)、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ(navicixizumab)、ナビブマブ(navivumab)、ネバクマブ(nebacumab)、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ(nerelimomab)、ネスバクマブ(nesvacumab)、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブメルペンタン(nofetumomab merpentan)、オビルトキサキシマブ(obiltoxaximab)、オビヌツズマブ、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オクレリズマブ、オデュリモマブ(odulimomab)、オファツムマブ、オララツマブ、オロキズマブ(olokizumab)、オマリズマブ、オナルツズマブ(onartuzumab)、オンツキシズマブ(ontuxizumab)、オピシヌマブ(opicinumab)、オポルツズマブモナトクス(oportuzumab monatox)、オレゴボマブ、オルチクマブ(orticumab)、オテリキシズマブ(otelixizumab)、オトレルツズマブ(otlertuzumab)、オキセルマブ(oxelumab)、オザネズマブ(ozanezumab)、オゾラリズマブ(ozoralizumab)、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ(pamrevlumab)、パニツムマブ、パンコマブ(pankomab)、パノバクマブ(panobacumab)、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パスコリズマブ(pascolizumab)、パソツキシズマブ(pasotuxizumab)、パテクリズマブ(pateclizumab)、パトリツマブ(patritumab)、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ(pemtumomab)、ペラキズマブ(perakizumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ(pexelizumab)、ピジリズマ

ブ(pidilizumab)、ピナツズマブベドチン(pinatuzumab vedotin)、ピンツモマブ(pintumomab)、プラクルマブ(placulumab)、プロザリズマブ(plozalizumab)、ポガリズマブ(pogalizumab)、ポラツズマブベドチン(polatuzumab vedotin)、ポネズマブ(ponezumab)、プレザリズマブ(prezalizumab)、プリリキシマブ(priliximab)、プリトキサキシマブ(pritoxaximab)、プリツムマブ(pritumumab)、プロ140、クイリズマブ(quilizumab)、ラコツモマブ(racotumomab)、ラドレツマブ(radretumab)、ラフィビルマブ(rafivirumab)、ラルパンシズマブ(ralpancizumab)、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ(refanezumab)、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ(rinucumab)、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブペゴール(rivabazumab pegol)、ロバツムマブ(robatumumab)、ロレデュマブ(roledumab)、ロモソズマブ(romosozumab)、ロンタリズマブ(rontalizumab)、ロバルピツズマブテシリン(rovalpituzumab tesirine)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、サシツズマブゴビテカン(sacituzumab govitecan)、サマリズマブ(samalizumab)、サペリズマブ(sapelizumab)、サリルマブ、サツモマブペンデチド(satumomab pendetide)、セクキヌマブ、セリバンツマブ(seribantumab)、セトキサキシマブ(setoxaximab)、セビルマブ(sevirumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、sgn-cd19a、sgn-cd33a、シファリムマブ(sifalimumab)、シルツキシマブ、シムツズマブ(simtuzumab)、シプリズマブ(siplizumab)、シルクマブ、ソフィツズマブベドチン(sofituzumab vedotin)、ソラネズマブ、ソリトマブ(solitomab)、ソネプシズマブ(sonepcizumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、スタムルマブ(stamulumab)、スレソマブ(sulesomab)、スビズマブ(suvizumab)、タバルマブ、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ、タムツベトマブ(tamtuvetmab)、タネズマブ、タプリツモマブパプトクス(taplitumomab paptox)、タレクスツマブ(tarextumab)、テフィバズマブ(tefibazumab)、テリモマブアリトクス(telimomab aritox)、テナツモマブ(tenatumomab)、テネリキシマブ(teneliximab)、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ(tesidolumab)、テツロマブ(tetulomab)、テゼペルマブ、tgn1412、チシリムマブ(ticilimumab)(トレメリムマブ)、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チモルマブ(timolumab)、チソツマブベドチン(tisotumab vedotin)、tnx-650、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラリズマブ(toralizumab)、トサトクスマブ(tosatoxumab)、トシツモマブ、トベツマブ(tovetumab)、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、trbs07、トレガリズマブ(tregalizumab)、トレメリムマブ、トレボグルマブ(trevogrumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ(tuvirumab)、ウブリツキシマブ(ublituximab)、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ(utomilumab)、バダスツキシマブタリリン(vadastuximab talirine)、バンドルツズマブベドチン(vandortuzumab vedotin)、バンチクツマブ(vantictumab)、バヌシズマブ(vanucizumab)、バパリキシマブ(vapaliximab)、バルリルマブ(varlilumab)、バテリズマブ(vatelizumab)、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ(vepalimomab)、ベセンクマブ(vesencumab)、ビシリズマブ、ボバリリズマブ(vobarilizumab)、ボロシキシマブ、ボルセツズマブマフォドチン(vorsetuzumab mafodotin)、ボツムマブ(votumumab)、キセンツズマブ(xentuzumab)、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ(zatuximab)、ジラリムマブ(ziralimumab)、ゾリモマブアリトクス(zolimomab aritox)、またはそれらの誘導体が含まれるが、それらに限定されない。
【0265】
ある実施形態では、抗体分子は、KabatまたはChothiaのCDRの定義を使用して、本明細書に記載の抗体分子のVH領域の1つ、2つまたは3つのCDRを含む。ある実施形態では、抗体分子は、KabatまたはChothiaのCDRの定義を使用して、本明細書に記載の抗体分子のVL領域のうちの1つ、2つまたは3つのCDRを含む。ある実施形態では、抗体分子は、KabatまたはChothiaのCDRの定義を使用して、本明細書に記載の抗体分子のVH領域の1または複数の(例えば、2または3の)CDRおよび/またはVL領域の1または複数の(例えば、2または3の)CDRを含む。
【0266】
ある実施形態では、抗体分子は、本明細書に記載の抗体分子のVH領域の1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワークを含む。ある実施形態では、本明細書に記載の抗体分子のVL領域の1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワークを含む。ある実施形態では、抗体分子は、本明細書に記載の抗体分子のVH領域の1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つまたは4つの)フレームワークおよび/またはVL領域の1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つまたは4つの)フレームワークを含む。
【0267】
ある実施形態では、抗体分子は、本明細書に記載された抗体分子の重鎖可変領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する重鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗体分子は、本明細書に記載された抗体分子の軽鎖可変領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗体分子は、重鎖可変領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する重鎖可変領域と、本明細書に記載された抗体分子の軽鎖可変領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0268】
ある実施形態では、抗体分子は、重鎖定常領域、例えば、本明細書に記載された抗体分子の重鎖可変領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する重鎖定常領域をさらに含む。ある実施形態では、抗体分子は、軽鎖定常領域、例えば、本明細書に記載された抗体分子の軽鎖定常領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する軽鎖定常領域をさらに含む。ある実施形態では、抗体分子は、重鎖定常領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する重鎖定常領域と、軽鎖定常領域、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一なアミノ酸配列、または1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ、異なるアミノ酸配列)を有する軽鎖定常領域とをさらに含む。ある実施形態では、抗体分子は、本明細書に記載されているような抗体分子の重鎖定常領域、軽鎖定常領域、ならびに重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。
【0269】
本明細書に記載された抗体分子は、いくつかの有利な特性をもつことができ、それには、所望の(例えば、増加した)半減期が含まれるが、それに限定されない。例えば、抗体分子は、本明細書に記載された障害を有効に、処置し、防止し、または診断するために使用することができる。
【0270】
ある実施形態では、抗体分子は、標的分子または細胞に結合する能力がある。例えば、操作された抗体分子は、親抗体分子と比較して、同じ、または実質的に同じ結合特異性および/またはアフィニティーで、標的分子または細胞に結合する能力がある。ある実施形態では、抗体分子は、高アフィニティーで、例えば、約100nM未満、典型的には約10nM、より典型的には、約10~0.01nM、約5~0.01nM、約3~0.05nM、約1~0.1nMまたはそれより強く、例えば、約80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、または0.01nM未満の解離定数(K)で標的分子または細胞に結合する。ある実施形態では、抗体分子は、1×10-4、5×10-5または1×10-5-1より遅いKoffで標的分子または細胞に結合する。ある実施形態では、抗体分子は、1×10、5×10、1×10または5×10-1-1より速いKonで標的分子または細胞に結合する。
【0271】
ある実施形態では、抗体分子は、標的分子または細胞の生物学的機能を阻害し、または活性化する能力がある。例えば、操作された抗体分子は、例えばIC50、EC50、またはLD50により決定される場合、親抗体分子と比較して、同じ、または実質的に同じレベルの有効性で、標的分子または細胞の生物学的機能を阻害し、または活性化する能力がある。
【0272】
ある実施形態では、抗体分子は、標的分子または細胞上のエピトープに結合する能力がある。例えば、操作された抗体分子は、親抗体分子と比較して、標的分子または細胞上の同じ、または実質的に同じエピトープに結合する能力がある。
【0273】
例示的な融合タンパク質
本明細書に記載された方法は、様々な融合タンパク質、例えば、Fc領域を含有する任意のFc融合タンパク質を操作するために使用することができる。
【0274】
例示的なFc融合タンパク質には、CTLA-4 Fc融合タンパク質(例えば、ベラタセプトまたはアバタセプト)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)Fc融合タンパク質(例えば、VEGFR1/VEGFR2 Fc融合タンパク質、例えば、アフリベルセプトまたはKH902)、IL-1R Fc融合タンパク質(例えば、(リロナセプト)、トロンボポエチン結合ペプチドFc融合タンパク質(例えば、ロミプロスチム)、LFA-3 Fc融合タンパク質(例えば、アレファセプト)、抗CD40L Fc融合タンパク質(例えば、IgG1のFc断片に連結した、CD40リガンド(CD40LまたはCD154)をターゲティングするドメイン抗体(dAb)のC末端を含む二量体融合タンパク質、例えば、BMS-986004またはレトリズマブ(letolizumab))、TNF受容体(TNFR)Fc融合タンパク質(例えば、IgG1 Fcドメインに融合した組換えTNF受容体2(TNFR2)、例えば、OPRX-106またはエタネルセプト)、凝固因子VIII-Fc融合タンパク質(例えば、BIIB031、エフラロクトコグ-α、またはrFVIIIFc)、凝固因子IX-Fc融合タンパク質(例えば、BIIB029またはエフトレノナコグ-α)、第IX因子Fc融合タンパク質(例えば、rFIXFc)、顆粒球コロニー刺激因子Fc融合タンパク質(例えば、F-627)、卵胞刺激ホルモン(FSH)Fc融合タンパク質(例えば、KN015)、アクチビン2B型受容体Fc融合タンパク質(例えば、STM 434)、アクチビン受容体様キナーゼ1(ALK-1)インヒビター受容体Fc融合タンパク質(例えば、ダランテルセプト(dalantercept))、RNアーゼFc融合体(例えば、RSLV-132)、抗アンギオポエチンペプチボディ(例えば、Fc領域に融合している、アンギオポエチン結合特性を有するペプチド、例えば、AMG 386)、組織非特異性アルカリフォスファターゼ(TNSALP)Fc融合タンパク質(例えば、アスホターゼアルファまたはENB-0040)、CD24 Fc融合タンパク質、BAFF-Fc融合タンパク質(例えば、ブリシビモド(blisibimod))、GLP1ペプチド類似体Fc融合タンパク質(例えば、デュラグルチドまたはLY2189265)、エリスロポエチン模倣ペプチドFc融合タンパク質(例えば、エリスロポエチン模倣ペプチド-IgG1 Fcミメティボディ(mimetibody)(例えば、CNTO 528)もしくはエリスロポエチン模倣ペプチド-IgG4 Fc融合タンパク質ミメティボディ(例えば、CNTO 530))、またはCD95 Fc融合体(例えば、APG 101またはアポセプト(apocept))が含まれるが、それらに限定されない。
【0275】
動物モデル
本明細書で記載されるペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、例えば、多様な動物モデルを使用して、in vivoにおいて評価することができる。例えば、動物モデルは、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の、標的分子または細胞の生物学的機能をモジュレートすることにおける有効性を試験するために使用することができる。別の例として、動物モデルはまた、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子)の、本明細書に記載された障害を処置し、防止し、または診断することにおける有効性を試験するために使用することができる。動物モデルはまた、例えば、副作用について調べ、抗体分子の濃度を、in situで測定し、標的分子の機能と本明細書に記載される障害との相関を裏付けるのにも使用することができる。
【0276】
本明細書で記載される他の障害のための例示的な動物モデルはまた、当該技術分野において公知である。本明細書で記載される抗体分子を評価するために使用しうる、例示的な動物の種類は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、およびサルを含むがこれらに限定されない。ヒトFcRnを発現する非ヒト霊長類およびトランスジェニックマウスは、典型的には、PK解析のための最適なモデルとして使用される(Averyら、MAbs. 2016年;8巻(6号):1064~78頁;Fanら、MAbs. 2016年;8巻(5号):848~53頁;Tamら、MAbs. 2013年;5巻(3号):397~405頁)。
【0277】
例えば、ヒト化FcRnマウスは、マウスFcRn遺伝子における欠失を行い、続いて、ヒトFcRn遺伝子を導入する、マウス系統の創出を含む、逐次的方法において、C57BL/6Jバックグラウンドにおいて確立することができる。例示的なマウス系統には、例えば、Tg276およびTg32(Jackson研究所ストック番号004919および014565)が含まれる。さらなる戻し交雑および逐次的変更で、追加の系統を作製することができる。本明細書に記載されたポリペプチドを評価するために使用することができる例示的なマウスモデルには、例えば、Proetzelら、BioDrugs. 2014年;28巻(2号):171~180頁に記載されているような、FcRn-ヌルマウス、ヒト化Tg276 FcRnマウス(例えば、Jackson研究所ストック番号004919を有する、B6.Cg-Fcgrt<tm1Dcr>Tg(CAG-FCGRT)276Dcr/DcrJ)、ヒト化Tg32 FcRnマウス(例えば、Jackson研究所ストック番号014565を有する、B6.Cg-Fcgrt<tm1Dcr>Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ)、免疫不全hFcRnマウス(例えば、Jackson研究所ストック番号021146を有する、B6.Cg-Fcgrt<tm1Dcr>Prkdc<scid>Tg(CAG-FCGRT)276Dcr/DcrJ)、Jackson研究所ストック番号018441を有するB6.Cg-Fcgrt<tm1Dcr>Prkdc<scid>Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ、およびJackson研究所ストック番号16919を有する、B6.Cg-Rag1<tm>Mom<Fcgrt>tm1Dcr[Tg(CAG-FCGRT)276Dcr/DcrJ)が含まれるが、それらに限定されない。
【0278】
医薬組成物およびキット
一部の態様では、本開示は、薬学的に許容される担体と併せて製剤化される、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を含む組成物、例えば、薬学的に許容される組成物を提示する。
【0279】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性である、ありとあらゆる溶媒、分散媒、等張剤、および吸収遅延剤などを含む。担体は、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、非経口投与、直腸投与、脊髄投与、または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適しうる。ある特定の実施形態では、医薬組成物における抗体分子のうち約5%未満、例えば、約4%、3%、2%または1%未満が凝集物として存在する。別の実施形態では、医薬組成物における抗体分子のうち少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%またはそれより多くが単量体として存在する。一部の実施形態では、凝集物または単量体のレベルを、クロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィーサイズ除外クロマトグラフィー(HPLC-SEC)により決定する。
【0280】
本明細書で明示される組成物は、様々な形態でありうる。これらは、例えば、溶液(例えば、注射用溶液および注入用溶液)、分散物または懸濁物、リポソーム、および坐剤など、液体剤形、半固体剤形、および固体剤形を含む。適切な形態は、投与および治療適用の意図される方式に依存する。典型的な適切な組成物は、注射用溶液または注入用溶液の形態でありうる。1つの適切な投与方式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋内)投与方式である。ある実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、静脈内注入または静脈内注射により投与する。別の実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、筋内注射または皮下注射により投与する。
【0281】
本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口投与された」という語句は、通例、注射による、腸内投与および局所投与以外の投与方式を意味し、限定せずに述べると、静脈内注射および静脈内注入、筋内注射および筋内注入、動脈内注射および動脈内注入、髄腔内注射および髄腔内注入、関節包内注射および関節包内注入、眼窩内注射および眼窩内注入、心内注射および心内注入、皮内注射および皮内注入、腹腔内注射および腹腔内注入、経気管注射および経気管注入、皮下注射および皮下注入、表皮下注射および表皮下注入、関節内注射および関節内注入、被膜下注射および被膜下注入、くも膜下注射およびくも膜下注入、脊髄内注射および脊髄内注入、硬膜外注射および硬膜外注入ならびに胸骨内注射および胸骨内注入を含む。
【0282】
治療用組成物は、滅菌であるものとし、製造条件下および保管条件下で安定であるものとすることが典型的である。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散物、リポソーム、または高い抗体濃度に適する、他の秩序化構造として製剤化することができる。滅菌注射用溶液は、要求に応じて、上記で数え上げた成分のうちの1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒中に、要求される量で、活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)を組み込むことに続く、濾過滅菌により調製することができる。一般に、分散物は、活性化合物を、基本分散媒と、上記で数え上げた成分に由来する要求される他の成分とを含有する滅菌ビヒクルへと組み込むことにより調製する。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、有効成分に、あらかじめ滅菌濾過されたその溶液に由来する、任意のさらなる所望の成分を加えた粉末をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適正な流動度は、例えば、レシチンなど、コーティングの使用により維持することができ、分散物の場合は、要求される粒子サイズの維持により維持することができ、界面活性剤の使用により維持することができる。注射用組成物の持続吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組み入れることによりもたらすことができる。
【0283】
本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、様々な方法により投与することができる。当技術分野では、いくつかの方法が公知であり、多くの治療適用、予防適用、または診断適用に適切な投与経路/投与方式は、静脈内注射または静脈内注入である。例えば、抗体分子は、約1~100mg/m、好ましくは、約5~50mg/m、約7~25mg/mの用量に達し、より好ましくは、約10mg/mの用量に達するように、10mg/分未満;好ましくは、5mg/分未満であるかまたはこれと等しい速度での静脈内注入により投与することができる。当業者により察知される通り、投与経路および/または投与方式は、所望される結果に応じて変動するであろう。ある特定の実施形態では、活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤など、化合物を、急速な放出に対して保護する担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生体分解性ポリマー、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法は、特許になっているか、または、一般に、当業者に公知である。例えば、「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems」、J. R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc.、New York、1978年を参照されたい。
【0284】
ある特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、例えば、不活性の希釈剤または同化可能な可食性担体と共に、経口投与することができる。抗体分子(および、所望される場合、他の成分)はまた、硬質シェルまたは軟質シェルのゼラチンカプセルへと封入することもでき、錠剤へと圧縮することもでき、被験体の食餌へと直接組み込むこともできる。治療的経口投与のために、ポリペプチド(例えば、抗体分子)は、賦形剤と共に組み込み、摂取可能な錠剤、口腔用錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップ、ウェハーなどの形態で使用することができる。抗体分子、ADC、または抗微生物性ペプチドを、非経口投与以外で投与するために、化合物をコーティングするか、または化合物を、その不活化を防止する材料と共に共投与することが必要でありうる。治療用組成物、予防用組成物、または診断用組成物はまた、医療デバイスにより投与することもでき、当技術分野では、いくつかが公知である。
【0285】
投薬レジメンは、所望される応答(例えば、治療的応答、予防的応答、または診断的応答)をもたらすように調整される。例えば、単回のボーラスを投与することもでき、いくつかに分けた用量を、ある期間にわたり投与することもでき、治療状況の要求により示されるように用量を比例して低減するか、または増大させることもできる。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、非経口組成物を、単位剤形(dosage unit form)で製剤化することが、とりわけ有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、処置される被験体のための単位投与量として適する、物理的に個別の単位であって、各単位が、要求される医薬担体を随伴させて、所望の治療効果をもたらすように計算された、所定数量の活性化合物を含有する単位を指す。単位剤形についての仕様は、(a)抗体分子の固有の特徴、および、達成される、特定の治療効果、予防効果、または診断上の効果、ならびに(b)当技術分野における固有の限界であって、個体における感受性の処置のために、このような抗体分子を化合させる限界により決定され、かつ、これに直接左右される。
【0286】
抗体分子の治療有効量、予防有効量、または診断有効量についての、例示的で非限定的な範囲は、約0.1~50mg/kg、例えば、約0.1~30mg/kg、例えば、約約1~30、1~15、1~10、1~5、5~10、または1~3mg/kg、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40または50mg/kgである。抗体分子は、約1~100mg/m、例えば、約5~50mg/m、約7~25mg/mの用量に達し、例えば、約10mg/mの用量に達するように、10mg/分未満;例えば、5mg/分未満であるかまたはこれと等しい速度での静脈内注入により投与することができる。投与量値は、緩和される状態の種類および重症度と共に変動しうることに注目すべきである。任意の特定の被験体のために、具体的な投薬レジメンを、ある期間にわたり、個別の必要、および組成物を投与するまたは組成物の投与を管理する人物の職業的判断に従い調整すべきであり、本明細書で明示される投与量範囲は、例示的なものであるに過ぎず、特許請求される組成物についての範囲または実施を限定することを意図するものではないことをさらに理解されたい。
【0287】
本明細書の医薬組成物は、「治療有効量」、「予防有効量」、または「診断有効量」の、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子)を含みうる。
【0288】
「治療有効量」とは、所望される治療結果を達成するのに必要な投与量で、これに必要な期間にわたる有効量を指す。ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに抗体または抗体部分が、個体において所望される応答を誘発する能力などの因子に従い変動しうる。治療有効量はまた、抗体分子の任意の毒性作用または有害作用を、治療的に有益な効果が凌駕するときの量でもある。「治療有効投与量」は、典型的に、測定可能なパラメータを、非処置被験体と比べて、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメータは、例えば、血尿、有色の尿、泡沫状尿、疼痛、手および足における腫脹(浮腫)、または高血圧でありうる。抗体分子が、測定可能なパラメータを阻害する能力を、本明細書に記載される障害の処置、または防止における有効性を予測する動物モデル系において評価することができる。代替的に、組成物のこの特性を、例えば、in vitroアッセイにより、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)が、標的分子または細胞の生物学的機能をモジュレートする能力について検討することにより評価することができる。
【0289】
「予防有効量」とは、所望される予防結果を達成するのに必要な投与量で、これに必要な期間にわたる有効量を指す。予防用量は、被験体において、疾患の前または疾患の早期に使用されるので、予防有効量は、治療有効量未満となることが典型的であろう。
【0290】
「診断有効量」とは、所望される診断結果を達成するのに必要な投与量で、これに必要な期間にわたる有効量を指す。診断有効量とは、障害、例えば、本明細書に記載される障害を、in vitro、ex vivo、またはin vivoにおいて診断しうる量であることが典型的である。
【0291】
また、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を含むキットも、本開示の範囲内にある。キットは、使用のための指示;他の試薬、例えば、標識、治療剤、または抗体分子をキレート化するか、または抗体分子を、標識もしくは治療剤もしくは放射性組成物へと他の形でカップリングするのに有用な薬剤;ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、投与用に調製するためのデバイスまたは他の材料;薬学的に許容される担体;および被験体への投与のためのデバイスまたは他の材料を含む、1つまたは複数の他の要素を含みうる。
【0292】
核酸
本開示はまた、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)、例えば、ポリペプチドのFc領域をコードするヌクレオチド配列を含む核酸も特徴とする。
【0293】
例えば、本開示は、本明細書に記載されたFc領域、例えば、本明細書に記載された変異の1個または複数を含むFc領域をコードする核酸を特色とする。Fc領域は、本明細書に記載された既存のポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)のFc領域から操作することができる。核酸は、本明細書に記載されたポリペプチド(抗体分子または融合タンパク質)のFc領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に同一のヌクレオチド配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な、および/または本明細書に記載されたストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする能力がある配列)を含みうる。
【0294】
ある実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)を有するものをさらに含みうる。別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)をさらに含みうる。さらに別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)をさらに含みうる。
【0295】
ある実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つまたは3つのCDRをコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)をさらに含みうる。別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つまたは3つのCDRをコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)をさらに含みうる。さらに別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)の重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのCDRをコードするヌクレオチド配列、またはこれと実質的に相同なヌクレオチド配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)を含みうる。
【0296】
ある実施形態では、核酸は、本明細書に記載されたヌクレオチド配列の部分を含む。その部分は、例えば、Fc領域、可変領域(例えば、VHまたはVL);1、2、もしくは3個、もしくはそれより多い(例えば、4、5、または6個の)CDR;または1、2、3、もしくは4個、もしくはそれより多いフレームワーク領域をコードしうる。
【0297】
本明細書で開示される核酸は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはこれらの類似体を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もあり、一本鎖は、コード鎖の場合もあり、非コード(アンチセンス)鎖の場合もある。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体など、修飾ヌクレオチドを含みうる。ヌクレオチドの配列は、ヌクレオチド以外の構成要素により中断されうる。ポリヌクレオチドは、標識化構成要素とのコンジュゲーションなどにより、重合の後でさらに修飾することもできる。核酸は、組換えポリヌクレオチドの場合もあり、ゲノム、cDNA、半合成または合成起源のポリヌクレオチドの場合もあり、これらは、天然には存在しないか、または非天然の配置で、別のポリヌクレオチドへと連結される。
【0298】
一部の態様では、適用は、本明細書で記載される核酸を含有する、宿主細胞およびベクターを特徴とする。核酸は、下記でより詳細に記載される通り、同じ宿主細胞内または別個の宿主細胞内に存在する、単一のベクターで存在する場合もあり、別個のベクターで存在する場合もある。
【0299】
ベクター
本開示は、本明細書に記載されているような、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)、例えば、ポリペプチドのFc領域をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを特色とする。
【0300】
例えば、本開示は、本明細書に記載されたFc領域、例えば、本明細書に記載された変異の1個または複数を含むFc領域をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを特色とする。Fc領域は、本明細書に記載された既存のポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)のFc領域から操作することができる。ベクターは、本明細書に記載されたポリペプチド(抗体分子または融合タンパク質)のFc領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に同一のヌクレオチド配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な、および/または本明細書に記載されたストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする能力がある配列)を含みうる。
【0301】
ベクターは、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージ、または酵母人工染色体(YAC)を含むがこれらに限定されない。
【0302】
多数のベクター系を利用することができる。例えば、ベクターの1つのクラスは、例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、MMTV、またはMOMLV)、またはSV40ウイルスなど、動物ウイルスに由来するDNAエレメントを用いる。ベクターの別のクラスは、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、およびフラビウイルスなど、RNAウイルスに由来するRNAエレメントを用いる。
【0303】
加えて、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能とする、1つまたは複数のマーカーを導入することにより、DNAをそれらの染色体へと安定的に組み込んだ細胞を選択することもできる。マーカーは、例えば、栄養要求性宿主に対する原栄養性(prototropy)、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、または銅などの重金属に対する耐性などをもたらしうる。選択用マーカー遺伝子は、発現させるDNA配列へと直接連結することもでき、共形質転換により、同じ細胞へと導入することもできる。mRNAの最適な合成のためには、さらなるエレメントもまた必要とされうる。これらのエレメントは、スプライスシグナルのほか、転写プロモーター、エンハンサー、および終結シグナルも含みうる。
【0304】
発現のために、発現ベクターまたはDNA配列を含有する構築物を調製したら、発現ベクターを、適切な宿主細胞へとトランスフェクトまたは導入することができる。例えば、プロトブラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、電気穿孔、レトロウイルスによる形質導入、ウイルスによるトランスフェクション、遺伝子銃、脂質ベースのトランスフェクション、または他の従来の技法など、多様な技法を利用して、これを達成することができる。プロトブラスト融合の場合、細胞を、培地中で増殖させ、適切な活性についてスクリーニングする。
【0305】
当業者には、結果として得られるトランスフェクトされた細胞を培養し、産生されたポリペプチド(例えば、抗体分子)を回収するための方法および条件が公知であり、本記載に基づき利用される、具体的な発現ベクターおよび哺乳動物の宿主細胞に応じて、変動させるか、または最適化することができる。
【0306】
細胞
本開示はまた、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)をコードする核酸を含む宿主細胞も提示する。ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、本明細書に記載された方法に従って操作することができる。例えば、宿主細胞は、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、本明細書に記載される抗体分子または融合タンパク質)のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこれと実質的に相同な配列(例えば、これと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一であり、および/または本明細書で記載されるストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズすることが可能な配列)、または前記核酸のうちの1つの部分を含みうる。
【0307】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)をコードする核酸を含むように、宿主細胞を遺伝子操作する。
【0308】
ある特定の実施形態では、発現カセットを使用することにより、宿主細胞を遺伝子操作する。「発現カセット」という語句は、このような配列と適合性の宿主における遺伝子の発現に影響を及ぼすことが可能なヌクレオチド配列を指す。このようなカセットは、プロモーター、イントロンを伴うかまたは伴わないオープンリーディングフレーム、および終結シグナルを含みうる。例えば、誘導的プロモーターなど、発現を実施するのに必要または有用な、さらなる因子もまた使用することができる。
【0309】
本開示はまた、本明細書で記載されるベクターを含む宿主細胞も提示する。
【0310】
細胞は、真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞、またはヒト細胞でありうるがこれらに限定されない。適切な真核細胞は、Vero細胞、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞、HEK293細胞、BHK細胞、およびMDCKII細胞を含むがこれらに限定されない。適切な昆虫細胞は、Sf9細胞を含むがこれらに限定されない。
【0311】
ポリペプチドの使用
本明細書で開示されるポリペプチド(例えば、本明細書に記載される抗体分子または融合タンパク質)のほか、本明細書で開示される医薬組成物は、in vitro、ex vivo、およびin vivoにおける、治療的、予防的、および/または診断的有用性を有する。
【0312】
ある実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、標的分子(例えば、タンパク質)または細胞の1つまたは複数の生物学的活性をモジュレート(例えば、低減(例えば、阻害、遮断または中和))するか、または増大(例えば、活性化、開始(initiate)または増強)する。例えば、これらのポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、標的分子または細胞の1つまたは複数の生物学的活性をモジュレートするために、培養物中の細胞に、in vitroもしくはex vivoで、または被験体、例えばヒト被験体に、例えばin vivoで、投与され得る。さらに、ある態様では、本開示は、障害が処置、予防または診断されるように、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を被験体に投与するステップを含む、被験体において障害、例えば、本明細書で記載される障害を処置、予防または診断する方法を提示する。例えば、本開示は、障害、例えば、標的分子または細胞に関連する障害(例えば、本明細書に記載される障害)を処置、予防または診断するために、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、培養物中の細胞と、例えば、in vitroもしくはex vivoで接触させるステップ、または本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を、被験体に、例えばin vivoで投与するステップを含む方法を提示する。
【0313】
本明細書で使用される「被験体」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。一部の実施形態では、被験体は、ヒト被験体、例えば、本明細書で記載される障害を有する、または本明細書で記載される障害を有する危険性があるヒト患者である。「非ヒト動物」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長動物を含む。ある実施形態では、被験体はヒトである。本明細書で記載される方法および組成物は、本明細書で記載される障害を有するヒト患者を処置するために適切である。本明細書で記載される障害を有する患者は、本明細書で記載される障害を発症しているが、(少なくとも一時的に)無症候性である患者、本明細書で記載される障害の症状を示した患者、または本明細書で記載される障害と関連するかもしくは付随する障害を有する患者を含む。
【0314】
障害を処置または防止する方法
本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、障害または状態を処置または防止するために使用することができる。ある実施形態では、ポリペプチドは、障害または状態を処置または防止するのに望ましくありうる、最適な、または改善された半減期を有する。理論により束縛されることを望まないが、ある実施形態では、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、最適な、または改善された半減期を有するポリペプチド)は、同じ、または類似した結合アフィニティーおよび/または特異性を有する別のポリペプチド(例えば、最適な、または改善された半減期を有さず、または有するように操作されていないポリペプチド)を凌ぐ1つまたは複数の利点を提供しうると考えられる。これらの利点には、増加した治療的もしくは防止的有効性、低減した投与量レジメン、または改善した薬物動態学的特性が含まうるが、それらに限定されない。ある実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載された変異型Fc領域を含む。
【0315】
本明細書に記載されたポリペプチドにより処置または防止することができる例示的な障害または状態には、がん(例えば、固形腫瘍または血液がん)、感染性疾患(例えば、細菌感染症またはウイルス感染症)、免疫障害(例えば、自己免疫障害)、炎症性障害、代謝性障害(例えば、糖尿病)、心血管障害、臓器移植拒絶が含まれるが、それらに限定されない。ある実施形態では、障害は慢性障害である。
【0316】
がん
本明細書で記載されるポリペプチによって処置または予防され得る例示的ながんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、カポジ肉腫、エイズ関連リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん(例えば、ユーイング肉腫または骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、中枢神経系生殖細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫または上衣腫)、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(例えば、消化管カルチノイド腫瘍)、心(心臓)腫瘍、胚芽腫、生殖細胞腫瘍、リンパ腫、子宮頸がん、胆管細胞癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、乳管内上皮内癌(DCIS)、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、感覚神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、眼がん(例えば、眼球内黒色腫または網膜芽細胞腫)、ファロピウス管がん、骨の線維性組織球腫、骨肉腫、胆嚢がん、胃(gastric/stomach)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍(例えば、中枢神経系腫瘍、頭蓋外腫瘍、性腺外腫瘍、卵巣がんまたは精巣がん)、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、膵島腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん(例えば、腎細胞がんまたはウィルムス腫瘍)、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、喉頭がん、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)またはヘアリーセル白血病)、口唇および口腔(oral cavity)がん、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)または小細胞肺がん)、リンパ腫(例えば、エイズ関連、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫または原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、男性乳がん、骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫、黒色腫(例えば、眼球内(眼)黒色腫)、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性頸部扁平上皮がん、正中管癌(midline tract carcinoma)、口のがん(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、慢性骨髄増殖性新生物、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、口腔(oral)がん、口唇および口腔(oral cavity)がん、中咽頭がん、骨肉腫および骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん(例えば、上皮卵巣がんまたは生殖細胞卵巣腫瘍)、膵がん、膵神経内分泌腫瘍(膵島腫瘍)、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫(pleuropulmonary blastoma)、腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織肉腫または子宮肉腫)、セザリー症候群、皮膚がん(例えば、黒色腫、メルケル細胞癌または非黒色腫皮膚がん)、小腸がん、扁平上皮癌、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、尿道がん、子宮内膜子宮がん、腟がん、外陰部がん、またはそれらの転移性病変を含むがこれらに限定されない。
【0317】
本明細書に記載されたポリペプチドにより処置または防止することができる例示的な感染性疾患には、Acinetobacter感染症、放線菌症、アフリカ睡眠病(アフリカントリパノソーマ症)、AIDS(後天性免疫不全症候群)、アメーバ症、アナプラズマ症、住血線虫症、アニサキス症、炭疽、arcanobacterium haemolyticum感染症、アルゼンチン出血熱、回虫症、アスペルギルス症、アストロウイルス感染症、バベシア症、bacillus cereus感染症、細菌性肺炎、細菌性腟炎、バクテロイデス感染症、バランチジウム症、バルトネラ症、バイリスアスカリス感染症、BKウイルス感染症、黒色砂毛症、ブラストシスティス症、ブラストミセス症、ボリビア出血熱、ボツリヌス中毒(および乳児ボツリヌス中毒)、ブラジル出血熱、ブルセラ症、腺ペスト、バークホルデリア感染症、ブルーリ潰瘍、calicivirus感染症(norovirusおよびsapovirus)、カンピロバクター症、カンジダ症(モニリア症;鵞口瘡)、毛細虫症、カリオン病、ネコ引っ掻き病、蜂巣炎、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)、軟性下疳、水痘、チクングンヤ熱、クラミジア感染症、chlamydophila pneumoniae感染症(台湾急性呼吸器因子またはtwar)、コレラ、黒色分芽菌症、ツボカビ症、肝吸虫症、clostridium difficile大腸炎、コクシジオイデス症、コロラドダニ熱(CTF)、感冒(急性ウイルス性鼻咽喉炎;急性コリーザ)、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、クリプトコッカス症、クリプトスポリジウム症、皮膚幼虫移行症(CLM)、シクロスポラ症、嚢虫症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、desmodesmus感染症、二核アメーバ症、ジフテリア、裂頭条虫症、メジナ虫症、エボラ出血熱、エキノコックス症、エーリキア症、蟯虫症(蟯虫感染症)、エンテロコッカス感染症、エンテロウイルス感染症、発疹チフス、伝染性紅斑(第五病)、突発性発疹(第六病)、肝蛭症、肥大吸虫症、致死性家族性不眠症(FFI)、フィラリア症、clostridium perfringensによる食中毒、自由生活アメーバ性感染症、フゾバクテリウム感染症、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、ジオトリクム症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、ジアルジア症、鼻疽、顎口虫症、淋病、鼠径肉芽腫(鼠径リンパ肉芽腫症)、A群連鎖球菌感染症、B群連鎖球菌感染症、haemophilus influenzae感染症、手足口病(HFMD)、Hantavirus性肺感染症(HPS)、ハートランドウイルス病、helicobacter pylori感染症、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腎症候性出血熱(HFRS)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペス、ヒストプラスマ症、鉤虫感染症、ヒトボカウイルス感染症、ヒトewingiiエーリキア症、ヒト顆粒球アナプラズマ症(HGA)、ヒトメタニューモウイルス感染症、ヒト単球エーリキア症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ヒトパラインフルエンザウイルス感染症、膜様条虫症、エプスタイン・バーウイルス伝染性単核球症(Mono)、インフルエンザ(flu)、イソスポーラ症、川崎病、角膜炎、kingella kingae感染症、クールー、ラッサ熱、レジオネラ症(レジオネラ病)、レジオネラ症(ポンティアック熱)、リーシュマニア症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病(ライムボレリア症)、リンパ管フィラリア(象皮症)、リンパ性脈絡髄膜炎、マラリア、マールブルグ出血熱(MHF)、麻疹、中東呼吸器症候群(MERS)、類鼻疽(ウィットモア病)、髄膜炎、髄膜炎菌性疾患、横川吸虫症、微胞子虫症、伝染性軟属腫(MC)、サル痘、流行性耳下腺炎、発疹熱(地方性発疹チフス)、Mycoplasma肺炎、菌腫(曖昧性除去)、ハエ幼虫症、新生児結膜炎(新生児眼炎)、(新)異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD、nvCJD)、ノカルジア症、オンコセルカ症(河川盲目症)、オピストルキス症、パラコクシジオイデス症(南アメリカブラストミセス症)、肺吸虫症、パスツレラ症、アタマジラミ寄生症(アタマジラミ)、コロモジラミ寄生症(コロモジラミ)、ケジラミ症(毛ジラミ(pubic lice)、ケジラミ(crab lice))、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳(pertussis)(百日咳(Whooping cough))、ペスト、肺炎球菌感染症、pneumocystis肺炎(PCP)、肺炎、灰白髄炎、プレボテラ感染症、一次アメーバ性髄膜脳炎(PAM)、進行性多巣性白質脳症、オウム病、Q熱、狂犬病、回帰熱、RSウイルス感染症、リノスポリジウム症、ライノウイルス感染症、リケッチア感染症、リケッチア痘症、リフトバレー熱(RVF)、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、ロタウイルス感染症、風疹、サルモネラ症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、疥癬、住血吸虫症、敗血症、細菌性赤痢(shigellosis)(細菌性赤痢(Bacillary dysentery))、帯状疱疹(shingles)(帯状疱疹(Herpes zoster))、天然痘(痘瘡)、スポロトリコーシス、ブドウ球菌食中毒、ブドウ球菌感染症、糞線虫症、亜急性硬化性全脳炎、梅毒、条虫症、テタヌス(開口障害)、白癬性毛瘡(かみそり負け)、頭部白癬(頭皮の白癬)、体部白癬(身体の白癬)、股部白癬(いんきんたむし)、手白癬(手の白癬)、黒癬、足白癬(アスリートフット)、爪白癬(爪真菌症)、癜風(なまず)、トキソカラ症(眼幼虫移行症(OLM))、トキソカラ症(内臓幼虫移行症(VLM))、トラコーマ、トキソプラズマ症、旋毛虫症、トリコモナス症、鞭虫症(鞭虫感染症)、結核、野兎病、腸チフス、発疹チフス、Ureaplasma urealyticum感染症、渓谷熱、ベネズエラウマ脳炎、ベネズエラ出血熱、Vibrio vulnificus感染症、Vibrio parahaemolyticus腸炎、ウイルス性肺炎、ウエストナイル熱、白色砂毛(white piedra)(白色砂毛(Tinea blanca))、Yersinia pseudotuberculosis感染症、エルシニア感染症、黄熱病、ジカ熱、または接合菌症が含まれるが、それらに限定されない。
【0318】
本明細書に記載されたポリペプチドにより処置または防止することができる例示的な免疫障害または状態には、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、軸索型&神経細胞型ニューロパチー(AMAN)、ベーチェット病、類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多病巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎を伴う肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹もしくは妊娠性類天疱瘡(PG)、低ガンマグロブリン血症(hypogammalglobulinemia)、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破壊性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS(Streptococcusに関連した小児自己免疫性神経精神疾患)、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリー・ロンバーグ症候群、毛様体扁平部炎(末梢性ぶどう膜炎)、パーソネージ・ターナー症候群(Parsonnage-Turner syndrome)、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群(多発ニューロパチー、臓器肥大、内分泌疾患、単クローン性ガンマグロブリン血症、皮膚の変化)、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、下肢静止不能症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子および精巣自己免疫、全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トローザ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎、血管炎、白斑症、またはウェゲナー肉芽腫症(多発性血管炎を伴う肉芽腫症(GPA))が含まれるが、それらに限定されない。
【0319】
本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、患者が回復するまで、患者の全身における、ポリペプチドの治療有効レベルを保つ頻度で投与することが典型的である。例えば、ポリペプチドは、少なくとも約1つ、2つ、5つ、10、20、30、または40の、ポリペプチドが、各標的分子または細胞に結合するのに十分な血清濃度を達成する頻度で投与することができる。ある実施形態では、ポリペプチドを、1、2、3、4、5、6、または7日ごと、1、2、3、4、5、または6週ごと、または1、2、3、4、5、または6か月ごとに投与する。
【0320】
当技術分野では、多様なポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)を投与する方法が公知であり、下記でも記載される。使用されるポリペプチドの、適切な投与量は、被験体の年齢および体重と、使用される特定の薬物とに依存するであろう。
【0321】
ポリペプチドは、それら自体で使用することもでき、第2の薬剤、例えば、抗菌剤、毒素、またはタンパク質、例えば、第2のポリペプチドへとコンジュゲートさせることもできる。この方法は、単独であるか、または第2の薬剤へとコンジュゲートさせた、ポリペプチドを、このような処置を要求する被験体に投与するステップを含む。ポリペプチドを使用して、様々な治療剤、例えば、毒素、またはこれらの混合物を送達することができる。
【0322】
組み合わせ療法
ポリペプチド(例えば、抗体分子または融合タンパク質)は、他の治療と組み合わせて使用することができる。例えば、組み合わせ療法は、1つまたは複数のさらなる治療剤、例えば、本明細書に記載の1つまたは複数のさらなる治療剤と共に共製剤化され、かつ/または共投与される、ポリペプチドを含みうる。他の実施形態では、ポリペプチドを、他の治療的処置モダリティー、例えば、本明細書に記載の他の治療的処置モダリティーと組み合わせて投与する。有利には、このような組み合わせ療法は、投与される治療剤の低投与量を用い、これにより、多様な単剤療法と関連する、可能な毒性または合併症を回避しうる。
【0323】
本明細書で使用される「組み合わせで」投与されるとは、2つの(またはこれを超える)異なる処置を、障害への被験体の罹患の前に、またはこの経過中に、被験体に送達することを意味する。ある実施形態では、2つまたはこれを超える処置を、予防的に、例えば、被験体が、障害を有するか、または障害を伴うと診断される前に送達する。別の実施形態では、2つまたはこれを超える処置を、被験体が、障害を発症したか、またはこれを伴うと診断された後で送達する。一部の実施形態では、重複がなされるように、1つの処置の送達は、第2の処置の送達が始まるときに、依然として行われている。本明細書では、場合によって、これを、「同時的送達」または「共時的送達」と称する。他の実施形態では、1つの処置の送達は、他の処置の送達が始まる前に終了する。いずれかの場合の一部の実施形態では、処置は、投与の組み合わせのために、より有効である。例えば、第2の処置を第1の処置の非存在下で投与した場合にみられるものより、第2の処置はより有効である、例えば、より少量の第2の処置により同等の効果が見られるか、もしくは第2の処置が症状を、より大きな程度低減するか、または第1の処置について同様の状況が見られる。一部の実施形態では、送達は、障害と関連する症状または他のパラメータの低減が、他の処置の非存在下で送達された1つの処置により観察される低減を超えるような送達である。2つの処置の効果は、部分的に相加的な場合もあり、完全に相加的な場合もあり、相加性を超える場合もある。送達は、送達される第1の処置の効果が、第2の処置が送達されるときに、なおも検出可能であるような送達でありうる。
【0324】
ある実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載された障害を処置または防止するために、第2の治療(例えば、追加の作用物質)と組み合わせて投与される。ある実施形態では、追加の作用物質は、第2のポリペプチド(例えば、抗体分子)、例えば、第1のポリペプチド(例えば、抗体分子)とは異なるポリペプチド(例えば、抗体分子)である。組み合わせて使用することができる例示的なポリペプチド(例えば、抗体分子)には、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子)の任意の組み合わせが含まれるが、それに限定されない。別の実施形態では、追加の作用物質は、ポリペプチド(例えば、抗体分子)以外である。例えば、追加の作用物質は、小分子または核酸分子でありうる。さらに別の実施形態では、第2の治療は、手術、放射線療法、細胞療法(例えば、幹細胞療法)、または臓器もしくは組織移植から選択される。
【0325】
ある実施形態では、第2の治療は、以下のうちの1つまたは複数から選択される治療を含む:アンドロゲン補充療法、抗ホルモン療法、抗血清療法、自己免疫増強療法、生物療法、血液照射療法、近接照射療法、心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy)、細胞療法、細胞移入療法、キレート療法、化学療法、金療法、コバルト療法、寒冷圧迫療法(cold compression therapy)、寒冷療法、電気痙攣療法、電磁療法(electromagnetic therapy)、電子線治療(electron therapy)、電気療法、酵素補充療法、エピジェネティック療法(epigenetic therapy)、エストロゲン補充療法、体外衝撃波療法、高速中性子療法、フッ化物療法、遺伝子治療、温熱療法(heat therapy)、蠕虫療法、ホルモン療法、ホルモン補充療法、宿主調節療法(host modulatory therapy)、高圧酸素療法、温熱療法(hyperthermia therapy)、免疫抑制療法、免疫療法、術中電子線照射療法(intraoperative electron radiation therapy)、術中照射治療、逆さま療法(inversion therapy)、レーザー療法、光療法、リチウム療法、低レベルレーザー療法、磁気療法(magnet therapy)、磁気共鳴療法(magnetic resonance therapy)、医療ガス療法(medical gas therapy)、医学的栄養療法(medical nutrition therapy)、分子シャペロン療法(molecular chaperone therapy)、分子療法、モノクローナル抗体療法、マイナスイオン療法(negative air ionization therapy)、中性子捕獲療法、中性子療法、経口補水療法、浸透圧療法、酸素療法、オゾン療法、緩和療法、粒子療法、ファージ療法、音素神経学的低クロム療法(phonemic neurological hypochromium therapy)、光線力学的療法、光線療法、光熱療法(photothermal therapy)、理学療法、増殖療法、タンパク質療法、陽子線療法(proton therapy)、パルス電磁場療法(pulsed electromagnetic field therapy)、PUVA療法、放射線療法、補水療法、呼吸療法、サルベージ療法、血清療法、幹細胞療法、定位照射療法、標的化療法、温熱療法(thermotherapy)、TK細胞療法、寛容原性療法(tolerogenic therapy)、経皮持続酸素療法、紫外線療法、またはウイルス療法(virotherapy)。
【0326】
他の障害を処置または防止するために、本明細書に記載されたポリペプチドまたは組成物と組み合わせて使用することができる例示的な治療は、本明細書における「障害を処置または防止する方法」のセクションにも記載されている。
【0327】
診断法
一部の態様では、本開示は、in vitro(例えば、生検または体液(例えば、血液、尿または脳脊髄液)試料中など、生物学的試料中)またはin vivo(例えば、被験体におけるin vivoイメージング)において、標的分子(例えば、タンパク質)または細胞の存在を検出するための診断法を提示する。方法は、(i)試料を、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、本明細書で記載される抗体分子)と接触させるか、または被験体に、ポリペプチド(例えば、抗体分子)を投与するステップと;(任意選択で)(ii)基準試料、例えば、対照試料(例えば、生検または体液(例えば、血液、尿または脳脊髄液)試料など、対照の生物学的試料)または対照の被験体を、本明細書で記載されるポリペプチド(例えば、本明細書で記載される抗体分子)と接触させるステップと;(iii)ポリペプチド(例えば、抗体分子)と、試料もしくは被験体、または対照試料もしくは対照の被験体中の標的分子または細胞との間の複合体の形成を検出するステップとを含み、ここで試料または被験体における複合体の形成の、対照試料または対照の被験体と比べた変化、例えば、統計学的に有意な変化が、試料中の標的分子または細胞の存在を指し示す。ポリペプチド(例えば、抗体分子)は、結合した抗体または結合しなかったポリペプチド(例えば、抗体分子)の検出を容易とするように、検出可能な物質で、直接的に標識することもでき、間接的に標識することもできる。適切な、検出可能な物質は、本明細書に記載するような、多様な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、および放射性材料を含む。
【0328】
細菌を検出するために使用される試料を指す場合の「試料」という用語は、細胞試料、細胞溶解物試料、タンパク質試料、もしくは細胞の膜抽出物試料、血液、尿またはCSFなどの体液試料、または生検などの組織試料を含むがこれらに限定されない。
【0329】
ポリペプチド(例えば、抗体分子)と、標的分子または細胞との複合体の形成は、標的分子または細胞に結合したポリペプチド(例えば、抗体分子)、またはこれらに結合しなかったポリペプチド(例えば、抗体分子)を測定するか、または可視化することにより検出することができる。任意の適切な検出アッセイを使用することができ、従来の検出アッセイは、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または免疫組織化学を含む。ポリペプチドの標識化に対する代替法として、検出可能な物質で標識化した標準物質と、標識化しないポリペプチドとを用いる競合免疫アッセイにより、試料中の標的分子または細胞の存在を、アッセイすることができる。このアッセイでは、生物学的試料と、標識化した標準物質と、ポリペプチドとを組み合わせ、非標識化結合分子に結合した標識化標準物質の量を決定する。試料中の標的分子または細胞の量は、ポリペプチド(例えば、抗体分子)に結合した標識化標準物質の量と反比例する。
【0330】
本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、抗体分子)は、本明細書に記載されたポリペプチドにより処置または防止することができる障害を診断するために使用することができる。本明細書に記載された検出または診断方法は、本明細書に記載された障害を処置または防止するために本明細書に記載された他の方法と組み合わせて使用することができる。
【0331】
本開示は、以下の番号付けした項のいずれかも含む。
項1.
Fc領域を含むポリペプチドであって、前記Fc領域が変異を含み、前記ポリペプチドが、以下の特性:
a)参照ポリペプチドと比較して、6.0から6.5の間のpHにおける新生児型Fc受容体(FcRn)に対する、増加した結合アフィニティーを有する;
b)7.0から7.4の間のpHにおける結合アフィニティーより、6.0から6.5の間のpHにおける、FcRnに対する、より高い結合アフィニティーを有する;
c)6.0から6.5の間のpHにおいてFcRnに、300nMもしくはそれ未満の解離定数(K)で結合する;
d)7.0から7.4の間のpHにおいてFcRnに、50nMもしくはそれより大きいKで結合する;
e)参照ポリペプチドと比較して、Fcγ受容体に対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
f)参照ポリペプチドと比較して、同じ、もしくは実質的に同じ熱安定性を有する;
g)参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
h)参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティーを有する;
i)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、実質的に同じであるか、もしくは増加しているエフェクター機能を有する;
j)参照ポリペプチドと比較して、増加したin vivoでの半減期を有する;
k)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、実質的に同じであるか、もしくは増加している、in vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を有する;
l)参照ポリペプチドと比較して、同じであるか、もしくは実質的に同じである開発可能性特徴を有する;
m)参照ポリペプチドと比較して、エピトープに対する、同じ、実質的に同じ、もしくは増加した結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を有する;または
n)参照ポリペプチドと比較して、粘膜取込みを増加させる;
のうちの3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全部を有し、ならびに、前記ポリペプチドが、少なくとも特性a)、b)と、特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部とを有する、ポリペプチド。
【0332】
項2.
少なくとも特性a)、b)、c)、d)、および特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部を有する、項1に記載のポリペプチド。
【0333】
項3.
少なくとも特性a)、b)と、特性e)、f)、g)、h)、またはi)のうちの1、2、3、4個、または全部と、特性c)、d)、j)、k)、l)、m)、またはn)のうちの1、2、3、4、5、6個、または全部とを有する、項1または2に記載のポリペプチド。
【0334】
項4.
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、pH6.0におけるFcRnに対する結合アフィニティーが、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍増加している、項1から3のいずれかに記載のポリペプチド。
【0335】
項5.
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH6.0におけるFcRnに対する結合アフィニティーが、pH 7.4におけるそれより、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または50倍高い、項1から4のいずれかに記載のポリペプチド。
【0336】
項6.
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH6.0において250nMまたはそれ未満、200nMまたはそれ未満、150nMまたはそれ未満、100nMまたはそれ未満、50nMまたはそれ未満、25nMまたはそれ未満、10nMまたはそれ未満、5nMまたはそれ未満、2nMまたはそれ未満、1nMまたはそれ未満、0.5nMまたはそれ未満、0.2nMまたはそれ未満、0.1nMまたはそれ未満、0.05nMまたはそれ未満、0.02nMまたはそれ未満、0.01nMまたはそれ未満、25nMから0.1nMの間の、20nMから0.5nMの間の、15nMから1nMの間の、10nMから5nMの間の、あるいは20nMから10nMの間の解離定数(K)でFcRnに結合する、項1から5のいずれかに記載のポリペプチド。
【0337】
項7.
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、pH7.4において60nMまたはそれより大きな、80nMまたはそれより大きな、100nMまたはそれより大きな、150nMまたはそれより大きな、200nMまたはそれより大きな、500nMまたはそれより大きな、50nMから500nMの間の、あるいは100nMから250nMの間のKでFcRnに結合する、項1から6のいずれかに記載のポリペプチド。
【0338】
項8.
octetに基づいたアッセイまたは細胞に基づいたアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、FcγRI、FcγRIIa/b、もしくはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、もしくは全部に対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはFcγRI、FcγRIIa/b、もしくはFcγRIIIのうちの1つ、2つ、もしくは全部に対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から7のいずれかに記載のポリペプチド。
【0339】
項9.
syproオレンジアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、融解温度を1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃以下だけ、増加または減少させる、項1から8のいずれかに記載のポリペプチド。
【0340】
項10.
ELISAにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、C1qに対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはC1qに対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から9のいずれかに記載のポリペプチド。
【0341】
項11.
ELISAにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、TRIM21に対する結合アフィニティーを、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはTRIM21に対する結合アフィニティーを、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から10のいずれかに記載のポリペプチド。
【0342】
項12.
参照ポリペプチドと比較して、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、または補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、もしくは抗体依存性細胞内中和(ADIN)のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から11のいずれかに記載のポリペプチド。
【0343】
項13.
動物モデルにおいて決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、in vivoでの半減期が、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍、増加している、項1から12のいずれかに記載のポリペプチド。
【0344】
項14.
参照ポリペプチドと比較して、in vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、またはin vitro、ex vivo、もしくはin vivoでの生物学的機能を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から13のいずれかに記載のポリペプチド。
【0345】
項15.
参照ポリペプチドと比較して、安定性、溶解度、凝集、または発現レベルのうちの1つ、2つ、3つ、または全部を、10%、20%、30%、40%、または50%以下だけ、変化させる、項1から14のいずれかに記載のポリペプチド。
【0346】
項16.
参照ポリペプチドと比較して、結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を、10%、20%、30%、40%、もしくは50%以下だけ、減少させるか、または結合アフィニティー、特異性、もしくはその両方を、少なくとも1.5、2、3、4、もしくは5倍、増加させる、項1から15のいずれかに記載のポリペプチド。
【0347】
項17.
トランスサイトーシスアッセイにより決定される場合、参照ポリペプチドと比較して、粘膜取込みを、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍、増加させる、項1から16のいずれかに記載のポリペプチド。
【0348】
項18.
前記参照ポリペプチドが、野生型Fc領域、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはこれを超えて同一な、もしくは1、2、5、10、もしくは15個以下のアミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を含むFc領域を含む、項1から4、または8から17のいずれかに記載のポリペプチド。
【0349】
項19.
前記変異がCH2ドメイン内の残基においてである、項1から18のいずれかに記載のポリペプチド。
【0350】
項20.
前記変異がCH3ドメイン内の残基においてである、項1から18のいずれかに記載のポリペプチド。
【0351】
項21.
CH2ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異、およびCH3ドメイン内の残基における少なくとも1個の変異を含む、項1から20のいずれかに記載のポリペプチド。
【0352】
項22.
CH2ドメインおよび/またはCH3ドメイン以外の領域内の残基における変異をさらに含む、項1から21のいずれかに記載のポリペプチド。
【0353】
項23.
前記変異が、CH2ドメインとCH3ドメインとの間のリンカー領域のコンフォメーションを変化させないか、または実質的に変化させない、項1から22のいずれかに記載のポリペプチド。
【0354】
項24.
前記変異が、表面領域上に、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多く連続した疎水性または芳香族残基を導入しない、項1から23のいずれかに記載のポリペプチド。
【0355】
項25.
抗体分子を含む、項1から24のいずれかに記載のポリペプチド。
【0356】
項26.
IgGを含む、項1から25のいずれかに記載のポリペプチド。
【0357】
項27.
IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む、項1から26のいずれかに記載のポリペプチド。
【0358】
項28.
重鎖免疫グロブリン可変領域、軽鎖免疫グロブリン可変領域、またはその両方を含む、項1から27のいずれかに記載のポリペプチド。
【0359】
項29.
2つの重鎖免疫グロブリン可変領域と2つの軽鎖免疫グロブリン可変領域の四量体を含む、項1から28のいずれかに記載のポリペプチド。
【0360】
項30.
全長抗体分子を含む、項1から29のいずれかに記載のポリペプチド。
【0361】
項31.
抗体分子の断片を含む、項1から30のいずれかに記載のポリペプチド。
【0362】
項32.
キメラ抗体分子またはマウス抗体分子を含む、項1から31のいずれかに記載のポリペプチド。
【0363】
項33.
ヒト抗体分子またはヒト化抗体分子を含む、項1から32のいずれかに記載のポリペプチド。
【0364】
項34.
融合タンパク質を含む、項1から24のいずれかに記載のポリペプチド。
【0365】
項35.
以下:
(i)FcRnと相互作用する表面領域内の残基における変異;
(ii)Fc-FcRn界面に沿う周辺残基である残基における変異;
(iii)Fc-FcRn結合において非接触残基である残基における変異;
(iv)P247、K248、D249、T250、L251、もしくはM252のうちの1、2、3、4、5個、もしくは全部を含む、ヘリックスのコンフォメーション動力学を増強する、ヘリックス接触残基である残基における変異;または
(v)Fc-FcRn界面に沿ってヒスチジンのpKをモジュレートするか、もしくはFc-FcRn界面に沿ってのヒスチジンの導入である変異
のうちの1、2、3、4個、または全部を含む、項1から34のいずれかに記載のポリペプチド。
【0366】
項36.
FcRnと相互作用する表面領域内の残基における変異を含む、項1から35のいずれかに記載のポリペプチド。
【0367】
項37.
前記変異が、L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基における変異である、項36に記載のポリペプチド。
【0368】
項38.
L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H310、H433、N434、H435、またはY436から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、または全てにおける複数の変異を含む、項1から37のいずれかに記載のポリペプチド。
【0369】
項39.
Fc-FcRn界面に沿う周辺残基である残基における変異を含む、項1から38のいずれかに記載のポリペプチド。
【0370】
項40.
前記変異が、M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基における変異である、項39に記載のポリペプチド。
【0371】
項41.
M252、T256、T307、L309、Q311、H433、N434、Y436、N286、またはK288から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9個、または全てにおける複数の変異を含む、項1から40のいずれかに記載のポリペプチド。
【0372】
項42.
Fc-FcRn結合において非接触残基である残基における変異を含む、項1から41のいずれかに記載のポリペプチド。
【0373】
項43.
前記変異が、A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基における変異である、項42に記載のポリペプチド。
【0374】
項44.
A287、V308、N315、L314、L432、H429、E430、またはA431から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7個、または全てにおける複数の変異を含む、項1から43のいずれかに記載のポリペプチド。
【0375】
項45.
P247、K248、D249、T250、L251、またはM252のうちの1、2、3、4、5個、または全部を含む、ヘリックスのコンフォメーション動力学を増強するヘリックス接触残基である残基における変異を含む、項1から44のいずれかに記載のポリペプチド。
【0376】
項46.
前記変異は、P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基における変異である、項45に記載のポリペプチド。
【0377】
項47.
P244、P245、T250、L251、P247、E380、M428、A378、D376、P257、V308、A287、L306、またはH427から選択される残基のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個、または全てにおける複数の変異を含む、項1から46のいずれかに記載のポリペプチド。
【0378】
項48.
Fc-FcRn界面に沿ってのヒスチジンの導入である変異を含む、項1から47のいずれかに記載のポリペプチド。
【0379】
項49.
表1に記載される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くの変異、あるいは1個または複数の変異の組み合わせを含む、項1から48のいずれかに記載のポリペプチド。
【0380】
項50.
前記変異が、M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、T256E、またはそれらの組合せ以外である、項1から49のいずれかに記載のポリペプチド。
【0381】
項51.
前記変異が、残基M252Y、S254T、T256E、L309N、T250、M428、N434、N434、T307、E380、N434、M252、S254、T256、またはそれらの組合せ以外の残基における変異である、項1から50のいずれかに記載のポリペプチド。
【0382】
項52.
以下の1つまたは複数の変異:
(i)M252Y、S254T、およびT256E;
(ii)L309N;
(iii)T250QおよびM428L;
(iv)M428LおよびN434A;
(v)N434A;
(vi)T307A、E380A、およびN434A;
(vii)M252W;
(viii)V308F;
(ix)V308FおよびN434Y;または
(x)H435A、
のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9個、または全てを有しない、項1から51のいずれかに記載のポリペプチド。
【0383】
項53.
M252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、またはT256Eから選択される第1の変異、およびM252Y、S254T、T256E、L309N、T250Q、M428L、N434S、N434A、T307A、E380A、N434A、M252Y、S254T、およびT256E以外の表1中の変異から選択される第2の変異を含む、項1から52のいずれかに記載のポリペプチド。
【0384】
項54.
エフェクター機能を増加させる、前記Fc領域における変異をさらに含む、項1から53のいずれかに記載のポリペプチド。
【0385】
項55.
前記変異が、S239、A330、I332、F243、G236、またはそれらの組み合わせから選択される残基においてである、項54に記載のポリペプチド。
【0386】
項56.
エフェクター機能を減少させる、前記Fc領域における変異をさらに含む、項1から55のいずれかに記載のポリペプチド。
【0387】
項57.
前記変異が、K322、L234、L235、P331、N297、またはそれらの組み合わせから選択される残基においてである、項56に記載のポリペプチド。
【0388】
項58.
前記Fc領域が、以下:
(a)T256D/Q311V/A378V、H285N/T307Q/N315D、H285D/T307Q/A378V、T307Q/Q311V/A378V、T256D/N286D/T307R/Q311V/A378V、もしくはT256D/T307R/Q311Vから選択される変異の組み合わせのうちの1、2、3、4、5個、もしくは全部;
(b)Fcエフェクター機能を破壊する能力がある変異もしくは変異の組み合わせ、または
(c)(a)と(b)の両方
を含む、項1から57のいずれかに記載のポリペプチド。
【0389】
項59.
(i)T256、Q311、およびA378;
(ii)H285、T307、およびN315;
(iii)H285、T307、およびA378;
(iv)T307、Q311、およびA378;
(v)T256、N286、T307、Q311、およびA378;または
(vi)T256、H285、T307、Q311、およびA378
から選択される残基における変異を含む、項1から58のいずれかに記載のポリペプチド。
【0390】
項60.
(i)T256D、Q311V、およびA378V;
(ii)H285N、T307Q、およびN315D;
(iii)H285D、T307Q、およびA378V;
(iv)T307Q、Q311V、およびA378V;
(v)T256D、N286D、T307R、Q311V、およびA378V;または
(vi)T256D、H285D、T307R、Q311V、およびA378V
から選択される変異を含む、項1から59のいずれかに記載のポリペプチド。
【0391】
項61.
前記Fc領域以外の領域における変異をさらに含む、項1から60のいずれかに記載のポリペプチド。
【0392】
項62.
複数の変異を含み、少なくとも1個の変異が代償性または有益な変異である、項1から61のいずれかに記載のポリペプチド。
【0393】
項63.
単離されたポリペプチドである、項1から62のいずれかに記載のポリペプチド。
【0394】
項64.
合成ポリペプチドである、項1から62のいずれかに記載のポリペプチド。
【0395】
項65.
項1から64のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
【0396】
項66.
薬学的に許容される担体をさらに含む、項65に記載の組成物。
【0397】
項67.
項1から64のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【0398】
項68.
項67に記載の核酸分子を含むベクター。
【0399】
項69.
項67に記載の核酸分子または項68に記載のベクターを含む細胞。
【0400】
項70.
項1から64のいずれかに記載のポリペプチドおよび前記ポリペプチドの使用に関する指示を含むキット。
【0401】
項71.
項1から64のいずれかに記載のポリペプチドを含む容器。
【0402】
項72.
ポリペプチドを生成する方法であって、項69に記載の細胞を、抗体分子の生成を可能にする条件下で培養し、それにより、前記ポリペプチドを生成するステップを含む、方法。
【0403】
項73.
前記ポリペプチドを単離または精製するステップをさらに含む、項72に記載の方法。
【0404】
項74.
障害を処置する方法であって、それを必要としている被験体に、有効量の、項1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項65もしくは66に記載の組成物を投与し、それにより前記障害を処置するステップを含む、方法。
【0405】
項75.
被験体において障害を処置することにおける使用のための、項1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項65もしくは66に記載の組成物。
【0406】
項76.
被験体における障害の処置のための医薬の製造における、項1から64のいずれかに記載のポリペプチドまたは項65もしくは66に記載の組成物の使用。
【0407】
項77.
分子を検出する方法であって、被験体由来の細胞または試料を、項1から64のいずれかに記載のポリペプチドと接触させ、それにより前記分子を検出するステップを含む、方法。
【実施例
【0408】
IgGの複数のFc受容体(例えば、FcRn、C1q、TRIM21、FcγRI、FcγRIIa/b、およびFcγRIIIa)との係合を調べるために、構造およびネットワークに基づいたフレームワークを開発した。このフレームワークを使用して、Fc-FcRn相互作用を支配する特色、およびpH特異的様式でFcRn結合を増強するための複数の異なる経路を同定した。ネットワーク解析により、FcRn最適化変異の遠位FcγRの係合へのアロステリックな影響を研究するためのレンズが提供された。これらの原理を適用して、ロバストな生物物理学的特性および活性化受容体への野生型様結合を有する、FcRn結合を増強する別々のFc改変体のパネルを操作した。これらのFc改変体を有する対照ポリペプチドは、9倍を超える半減期の改善、およびロバストなエフェクター機能、例えば、ADCC、ADCP、CDC、およびTRIM21により媒介されるADINを示している。
【0409】
(実施例1:構造特徴付け、およびFc-FcRn相互作用の分子的特色)
ヒトIgG1のFcドメインおよびヒト血清アルブミンとの複合体内のヒトFcRnタンパク質の共結晶構造が、最近、報告された(Oganesyanら、J Biol Chem、2014年 289巻(11号):7812~2頁)。その構造(図20A)の観察により、FcRn分子のアルファサブユニットとベータサブユニットの両方がFcドメインへの結合に関与して、FcのCH2ドメインとCH3ドメインの両方と接触していることが示されている。主な相互作用は、FcRn側のアルファサブユニットとFc側のCH2ドメインにより媒介されている。結合のpH特異的性質は、310位および435位(Kabatナンバリング)におけるヒスチジン残基により駆動され、そのヒスチジン残基は、酸性pHにおいてプロトン付加を受け、FcRnの115位におけるグルタミン酸および130位におけるアスパラギン酸と重要な接触をなす。2個のヒスチジン残基のいずれかの変異は、FcのFcRnとの結合アフィニティーを有意に低下させる(Oganesyanら、J Biol Chem、2014年 289巻(43号):29874~80頁;Raghavanら、Biochemistry、1995年 34巻(45号):14649~57頁)。H310およびH435に加えて、いくつかの他のFc残基(L251、I253、R255、P257、H285、N286、K288、T307、V308、L309、Q311、L314、H433、N434、およびY436)が、FcRnと分子的に接触するのに関与している。
【0410】
Fcの構造は、異なるpHにおいて解かれている(Crispinら、Proc Natl Acad Sci U S A、2013年 110巻(38号):E3544~6頁;Ahmedら、J Mol Biol、2014年 426巻(18号):3166~79頁;Chenら、ACS Chem Biol、2016年 11巻(7号):1852~61頁)。pH4.0(pdb id 4BYH)および6.5(pdb id 4Q7D)におけるFcの結晶構造の重ね合わせにより、いくつかのわずかな変化が明らかにされ、その変化には、250-ヘリックスの側方変位、およびCH2の相対的配向における違いが含まれる(図20B)。M252およびI253などのFcRn結合性アミノ酸残基が250-ヘリックス上に位置することを考えると、観察された、そのヘリックスの変位は、FcRn結合に影響することが予想される(Oganesyanら、J Biol Chem、2014年 289巻(11号):7812~2頁)。さらに、CH3に対してのCH2の相対的配向における違いは、CH2領域のコンフォメーション柔軟性を強調する(図20B)(Frankら、J Mol Biol、2014年 426巻(8号):1799~811頁)。FcRn-Fc界面がFcのCH2/CH3ドメインの両方にわたって見出されることを考えると、CH2ドメインのコンフォメーション動力学もまた、FcRn結合に影響することが予想される。酸性および中性のpHにおけるFcRnの存在下および非存在下でのFc残基に関する重水素交換研究により、FcRnのFc分子への結合が、その結合性Fc残基に保護を与えることが示された;しかしながら、FcRn分子の非存在下では、酸性pHにおける250-ヘリックス残基は、重水素交換の増強を示し、pH変化が、この領域に関してコンフォメーション変化を誘導することを示唆している(Waltersら、J Biol Chem、2016年 291巻(4号):1817~25頁;Jensenら、Mol Cell Proteomics、2017年 16巻(3号):451~456頁)。
【0411】
酸性pHにおけるFcのFcRnとの係合の強度の解析により、ヒトFcRnがヒトFcドメインに、弱いアフィニティー(>600nM)で結合することが明らかにされる。動態パラメータによりさらに、Fc-FcRn相互作用の会合速度(kon 約10-1-1)が典型的な抗体-抗原相互作用に匹敵するが、より低い結合アフィニティーは、主に、Fc-FcRn相互作用の速い解離速度(koff 約0.1s-1)によることが示される(Suzukiら、J Immunol、2010年 184巻(4号):1968~76頁)。CH2サブドメインのコンフォメーション柔軟性は、FcRn結合の不十分なkoffに寄与すると考えられる。Fc-FcRn相互作用のoff速度を改善することは、半減期の改善にとって鍵となる一面として働きうる(Datta-Mannanら、J Biol Chem、2007年 282巻(3号):1709~17頁)。
【0412】
それに関して、変異がFcRn相互作用および解離速度(koff)に作用しうる、Fc残基の4つのセットを同定した(図21A)。これは、FcRnと直接的に接触する残基、加えて、相互作用表面を修飾する可能性がある、周辺残基および非表面露出残基、および250-ヘリックス動力学に影響する可能性がある残基を含む。実際、これらの位置の一部は、以前、調べられており、M252Y/S254T/T256E(YTE)、M428L/N434S(LS)、T307A/E380A/N434A(AAA)、T250Q/M428L(QL)、V308Pなどの半減期増強性変異体は、列挙された部位における変異の組み合わせを含む。
【0413】
解析において、各残基の役割を、まず、in silicoで調べ、その残基により媒介される相互作用のネットワークを同定した(図21B)。変異の特定のセットを、Fc-FcRn界面における疎水性相互作用を増強するように、およびFc-FcRn界面の周辺における極性および静電気的相互作用を増強するようにデザインした。界面近くの非接触残基の変異は、静電荷相補性、およびkoff速度を低下させることによりアフィニティーを増強することができる(LeeおよびTidor、Protein Sci、2001年 10巻(2号):362~77頁;Whiteheadら、Nat Biotechnol、2012年 30巻(6号):543~8頁)。Fc上のFcRn結合部位は、細胞内受容体TRIM21、抗体精製に使用されるプロテインA、およびCDC活性のためのIgGの六量体化中に形成されるFc-Fc相互作用界面の結合部位と重複を有する。各位置における置換を、TRIM21、プロテインA、およびFcへのこれらの結合への影響について評価した。30個より多い異なる位置が置換のために選択された。個々の変異の組み合わせは、以下のガイド原理に基づいてデザインされた:(a)溶媒イオンへの結合およびIgGの熱安定性への影響を最小限にするために、電荷または疎水性の大きなクラスターの導入を避けること、および(b)静電気的または疎水的だけでなく、相互作用の型の多様性を組み込むこと、(c)CH2ドメインおよびCH3ドメインにわたって変異を含むこと。これらの検討事項に基づいて、150個より多い固有の変異体組み合わせがデザインされ、実験的に評価された。
【0414】
デザインされたFc改変体を、アクトクスマブFabまたはモタビズマブFabのいずれかに組み込んだIgG1を、組換えにより発現させ、以下の2つの異なるプロトコールを使用するバイオレイヤー干渉分光法によりヒトFcRnへの結合について評価した:FcRnはNiNTAバイオセンサー上にあり、IgGを検体とする、およびIgGは抗CH1バイオセンサー上にあり、FcRnを検体とする。そのアッセイを使用して、pH 6.0における結合、続いて、pH 6.0およびpH 7.4における解離、加えて、pH 7.4における結合および解離を定量化した(図11A)。P257およびV308に変異が組み込まれているFc改変体は、pH 6.0において高アフィニティーを有したが、pH 7.4において著しくより遅いoff速度を提示し、さらなる解析には検討されなかった。10個より多い異なる改変体のKが、WT Fcを有するIgGのKと比較して5倍超減少した。さらに、これらの改変体は、koffを、2.5倍超減少させた(図22)。
【0415】
Fcドメイン上のFcRn結合部位は、複合体結晶構造(図27A)から決定されるように、プロテインAおよびTrim21の結合部位とかなり重複する。Fcドメインはまた、C1qに結合して、CDCを媒介するが、C1q結合部位は、Fc上のFcRn結合部位と重複しない。C1qは、天然では、六量体として見出され、Fcドメインのホモ六量体アセンブリが、より良好なC1q結合だけでなく、より良好なCDCも生じることが予想される。ホモ六量体の形成のためのFc-Fc界面は、FcRn結合部位と重複する(図27A)。Fcドメインの結晶構造の重ね合わせにより、これらの構造におけるCH2ドメインの配向が、CH3ドメインに対して様々であることが示され、これはCH2ドメインのコンフォメーション柔軟性を示している(図27B)。FcRn結合部位は、CH2ドメインとCH3ドメインの両方にわたる界面にあるため、このコンフォメーション柔軟性は、その結合にとって重要でありうる。
【0416】
(実施例2:Fc領域変異のpH特異的Fc-FcRn結合への効果)
Fc改変体FcMut008およびFcMut015のFcRn結合アフィニティーを、Octetにより評価した。抗体は、Octetチップ上に、抗CH1抗体により固定化され、FcRnは溶液中にあった。図6に示されているように、FcMut008およびFcMut015は、FcRnに対するアフィニティーを増加させた。結合はpH特異的であり、pH 6.0における結合の増加が観察された。
【0417】
(実施例3:細胞に基づいたFcRn結合競合アッセイ)
細胞に基づいた競合アッセイは、Fc改変体の相対的結合における差を示すための、ロバストで、特異的で、線形のアッセイを提供する。FcRn発現細胞を、FcRnアルファおよびβ2mの一過性トランスフェクションにより得た。細胞を、IgGの希釈物および一定濃度の蛍光標識Fc(Fc-A488)と共にpH 6.0でインキュベートした。細胞に結合した蛍光を、FACSにより読み取った。その結果は図7に示されている。FcMut008およびFcMut015は、pH 6.0においてFcRn結合の改善を示した。
【0418】
(実施例4:Fc領域変異のFcγR係合への効果)
例示的な変異体抗体分子のFcγRIおよびFcγRIIIaへの結合を決定した。図8に示されているように、FcMut008およびFcMut015は、FcγR係合を保持し、場合によっては、それを増強した。
【0419】
(実施例5:Fc領域変異のFc改変体の熱安定性および生物物理学的特徴付けへの効果)
例示的な変異体抗体分子の熱安定性を決定した。熱安定性を、SYPROオレンジにより測定した。図9に示されているように、FcMut008およびFcMut015は高い融解温度を保持した。
【0420】
例示的なFc改変体を組み込むことの生物物理学的特質への影響を実験的に評価した。モタビズマブFabへFc改変体を組み込んだIgGを、SE-HPLCにおいて試験した。全ての試料は、野生型Fcと類似した保持時間で溶出し、きれいな単量体プロファイルを提示し、凝集体は検出されなかった(図23)。IgGをまた、示差走査型蛍光定量法(DSF)により、CH2ドメインおよびCH3ドメインの熱安定性について評価した。示差走査型熱量測定法により測定された場合、野生型ヒトCH2ドメインおよびCH3ドメインの融解温度(T)は、それぞれ、およそ70℃および81.5℃である(Ionescuら、J Pharm Sci、2008年 97巻(4号):1414~26頁)。この実施例におけるDSF実験結果は、同じ様な結果を生じ、それぞれ、68.8℃および80.8℃のCH2およびCH3 Tであった。半減期が延びたFc改変体YTEは、CH2ドメインのTを6.7℃低下させることが報告されている(Majumdarら、MAbs、2015年 7巻(1号):84~95頁)。この実施例に記載された実験において、YTEのCH2ドメインのTは、WTより7.2℃低かった。加えて、247、257、および308における変異は、CH2のTに有意に影響を及ぼした。例示的なFc改変体(FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、FcMut229)は、熱的に安定であり、CH2ドメインのTは64℃より高かった(図23)。
【0421】
(実施例6:トランスジェニックマウスモデルにおけるFc改変体の評価)
Tg32マウスは、ホモ接合体の8週齢の雄であった。被験項目群当たり4匹のマウスであった。被験項目は、CDA1-WT、CDA1-FcMut008、およびCDA1-FcMut015を含んだ。マウスに、10mg/KgでIV投与により投与した。データを、13時点(1時間目、8時間目、1日目、2日目、3日目、4日目、6日目、8日目、10日目、13日目、16日目、19日目、および22日目)において回収した。ヒトIgGを、抗hIgGポリクローナル抗体を使用するELISAにより定量化した。
【0422】
Tg32は、早期評価としての薬物発見、およびモノクローナル抗体のヒト薬物動態の予測において使用することができるヒトFcRnトランスジェニックマウスモデルである。Tg32ホモ接合体マウスにおけるモノクローナル抗体クリアランスは、ヒトにおけるモノクローナル抗体クリアランスと最も強い相関をもつ(Averyら、MAbs.2016年;8巻(6号):1064~78頁)。
【0423】
CDA1(アクトクスマブ)は、ヒトにおいて25日間より長い半減期を有することが公知である。Tg32モデルにおける追加のmAbに関するin vivo評価を実施した。その異なる構築物はまた、IgG改変体間の半減期の差を増加させることが報告されているTg276マウスにおいても評価することができる。結果は表2および図10に示されている。FcMut015は、Tg32マウスにおいてCDA1の半減期を増加させた。
【表2】
【0424】
(実施例7:例示的な抗体のFc操作)
FcRnのIgGとの相互作用は、Fcを通して媒介されると考えられている。FcのFcRnへの結合は、一般的に、pH特異的である(典型的には、pH 7.4におけるわずかな結合または結合なし、および酸性環境における強い結合)。IgG1のFcドメインとの複合体内のFcRnの構造は、公知であり、各FcRn分子はFc単量体に結合する。Fabドメインもまた、IgGのFcRnへの結合に影響しうる。
【0425】
Fc-FcRn複合体のネットワーク解析は、FcRnとの係合におけるH310の重要性を強調する。H310は、複数の他の高度にネットワーク化された残基に高度に相互接続されている。H310クラスターおよび隣接部(結ばれたノード)における変異は、H310ネットワークを強化する可能性がある。サブネットワークの解析は、他のFc残基への影響を最小にしながらの、都合良いFcRn相互作用のための相乗的変異の導入の情報を提供する。
【0426】
pH 6.0におけるFcRnへの結合が改善されたFc改変体を同定するために、様々なFc変異を、IgG1モタビズマブ(motazivumab)(WT)に対して操作した。全ての抗体を、FcRnへの結合について、バイオレイヤー干渉分光法を使用して評価した。略述すると、抗CH1バイオセンサー(ForteBio)に、目的の各抗体をロードした。ロードされたバイオセンサーを、pH 6.0において組換えFcRnタンパク質に曝露して、結合を検出した。飽和後、バイオセンサーを、pH 6.0において緩衝液のみに曝露して、FcRnの各抗体からの解離を測定した。結果は、抗体のon速度とoff速度を表す応答曲線である。これらの速度を、ForteBioソフトウェアを使用して計算し、野生型モタビズマブの速度と比較した。野生型と比較してのon速度における倍数増加(fold increase)およびoff速度における倍数減少(fold decrease)が表に列挙されている。多数の抗体変異は、on速度およびoff速度をそれぞれ、有意に、増加および減少させた(図11A)。6.0~7.4のpH範囲における代表的なFc改変体のFcRnへの結合もまた示されている。FcRnに対するFc変異体抗体のアフィニティーは、pH 6.0において改善するが、pH 7.4などのより高いpHにおいて有意には増強されないことは重要である。図11Bは、この代表的な抗体がなお、pH 7.4におけるFcRnへの弱い結合(所望の特色)を示すことを裏付けている。
【0427】
図11Cは、抗体FcのCH2ドメインのFcRn分子との相互作用を示す。本明細書に記載された操作努力は、形状の相補性(SC)、静電荷の相補性(CC)、および疎水性の相補性(HC)を改善しようと試みた。Fc上の少数の位置は、相互作用にとって重要であると注目される。250ヘリッックスもまた注目される。このヘリックスは、動的であり、環境のpHに依存して動く。これは、pH 6.0でのFcドメインのFcRnへの結合において重要であるが、pH 7.4では重要ではない。
【0428】
例示的なFc改変体を、開発可能性アッセイにおいて試験し、その結果は、図12に要約されている。Syproオレンジ、SDS PAGE、およびSEC-HPLCを含むアッセイを実施した。発現決定について、構築物を、製造会社により記載されているように、ExpiFectamineを使用して、96ウェル培養ディッシュにおいてExpi293細胞へトランスフェクトした。5~7日後、上清を、抗ヒトCH1バイオセンサーを備えたバイオレイヤー干渉分光法(Octet)を使用し、モタビズマブ標準曲線を使用して、定量化した。プロテインA結合評価について、以下を実施した。構築物を、製造会社により記載されているように、ExpiFectamineを使用して、30mL培養物中のExpi293細胞へトランスフェクトした。5~7日後、上清を採取し、抗体を精製した。プロテインAバイオセンサーでのバイオレイヤー干渉分光法を使用して、プロテインAに対するFc修飾抗体アフィニティーを測定し、野生型Fcドメインを含有する抗体と比較した。
【0429】
モタビズマブ抗体の関連において発現した全てのFc改変体を、還元条件下および非還元条件下でSDS-PAGEにより分離した。略述すると、5μLの水における2μgの抗体を、β-メルカプトエタノール(BioRadカタログ#161-0710)を含む、および含まない、5μLのLaemmli試料緩衝液(BioRadカタログ#161-0737)と混合した。試料を、95℃で10分間、煮沸し、その後、軽く遠心分離した。その後、試料を、XCell SureLockゲル電気泳動セル(Novexカタログ#090403-839)において、1×MESランニング緩衝液中、4~12% Bis-Tris NuPAGEゲル(Thermo Scientific #NP0321BOX)上に、SeeBlue Plus2分子量標準(Invitrogenカタログ#LC5925)と並行して、流した。試料を、200Vで35分間、流した。ゲルを、製造会社のプロトコールに従って、SimplyBlue SafeStain(Novex #LC6065)で染色し、BioRad ChemiDoc MPイメージングシステムにおいてイメージングした。
【0430】
HPLCに基づいたサイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)は、タンパク質の見かけのサイズ、単量体純度、およびタンパク質とシリカ系サイジング樹脂との間の非特異的カラム吸着の見かけのレベルを決定するために使用される解析ツールである。Fc変異のIgG溶出プロファイルへの影響を、Phenomenex Biosep 3000sカラム上で評価した。略述すると、様々なFc改変体を有するIgGを、PBS pH 7.4中、1mg/mlへ希釈し、20μLを、カラムへ注入した。溶出時間および純度百分率を記録した。
【0431】
mAbの熱安定性を、示差走査型蛍光定量法(DSF)により決定した。DSFは、タンパク質が、漸増する熱ストレスに曝露される場合のタンパク質のコンフォメーション安定性をモニタリングする。色素、SYPRO(登録商標)オレンジは、熱的に引き起こされたタンパク質アンフォールディングまたは変性中に露出される疎水性コア残基などの疎水性環境において蛍光を発する。蛍光シグナルをモニタリングすることにより、CH2、CH3、およびFabのアンフォールディングをモニタリングすることができる。モタビズマブFabを有する様々なFc改変体を、SYPROオレンジアッセイにおいて評価した。略述すると、15μLの約0.5mg/mLにおけるIgGを、15μLの1:500希釈されたSYPROオレンジ色素と混合し、40℃から99℃までの1℃勾配を使用する蛍光読み取り能力があるサーマルサイクラーにより評価した。未変性状態と最初のアンフォールディング事象との間の中間点が、遷移温度または融解温度(Tm)として報告された。
【0432】
全てのFc変異を、IgG1(m3アロタイプ)重鎖遺伝子へ導入し、pcDNA3.1(C)へクローニングした。軽鎖遺伝子を、pcDNA3.1(A)へクローニングした。全ての場合において、天然シグナルペプチドを、オステオネクチンシグナルペプチド(GenBank受託# AAA60993)と置きかえた。重鎖ベクターおよび軽鎖ベクターの同時発現を、製造会社のプロトコールに従って、Expi293トランスフェクションキット(Thermo Fisherカタログ# A14524)を使用して、Expi293細胞における一過性トランスフェクションにより、実施した。重鎖ベクターおよび軽鎖ベクターは、1:2比で同時トランスフェクトされた。トランスフェクションから5~7日後、細胞培養上清を採取し、AKTA 10 FPLCシステム(GE)において、HiTrap MabSelect SuReプロテインAカラム(GE)を使用して、製造会社の指示に従い、精製した。
【0433】
全ての抗体を、AKTA purifier 10 FPLCシステムを使用するmAb select sureプロテインA樹脂(GEカタログ# 17543801)を充填された1mLカラムを使用して細胞培養上清から精製した。略述すると、滅菌濾過された細胞培養上清を、カラムへ2mL/分の流量でロードした。カラムを、10カラム体積のPBSN(0.05%アジ化ナトリウムを含む1×PBS)で洗浄した。抗体を、10カラム体積の溶出緩衝液(100mMグリシンpH 2.5)で溶出し、17.5% v/vの中和緩衝液(1M Tris、1M NaCl、pH 8.0)の添加により中和し、1mL画分において照合した。280nmにおける吸光度についてのクロマトグラムを使用して、その抗体を含有する溶出画分を同定した。その後、全ての抗体を、10,000ダルトン分子量カットオフカセット(Thermo Fisherカタログ# 66380)を使用して、1×PBSへ透析した。
【0434】
プロテインA結合を、プロテインAカラムを使用するFPLCにより精製される全ての抗体の能力により、機能的に決定した。精製後、プロテインA結合をさらに、Octetデータ取得ソフトウェアと共に提供された標準定量化プロトコールに従って、Octet QKシステムおよびプロテインAバイオセンサー(Pallカタログ# 18-5012)を使用して、既知量の抗体を定量化することにより、評価した。
【0435】
Expi293細胞に、C末端に6×ヒスチジンタグを有するヒトα-FcRnをコードするプラスミド、およびヒトβ2Mをコードするプラスミドを同時トランスフェクトした。トランスフェクションから4日後、細胞培養上清を採取した。FcRnを、HisTrap HPカラム(GEカタログ# 17-5247-01)を用いたAKTA pure FPLCシステムを使用して、細胞培養上清から精製した。精製後、そのタンパク質を、1×PBS pH 6.0へ透析した。
【0436】
スクリーニングアッセイを、Octet QKシステムにおいて抗CH1 Fabバイオセンサーを使用して実施した。略述すると、10μg/mLにおける精製されたIgGを、抗CH1バイオセンサー上へ180秒間、ロードする。1×PBS pH 6.0における60秒間のベースラインステップ後、IgGをロードしたチップを、50μg/mLの濃度でのFcRnに60秒間、曝露し、続いて、PBS pH 6.0において60秒間、およびPBS pH 7.4においてさらに30秒間、解離させた。加えて、FcRn結合を、NiNTAバイオセンサーを使用して実施した。略述すると、5μg/mLにおける組換えヒトFcRnを、NiNTAバイオセンサー上へ180秒間、ロードする。1×PBS pH 6.0における60秒間のベースラインステップ後、FcRnをロードしたチップを、250nM(37.5μg/mL)の濃度でのIgGに60秒間、曝露し、続いて、PBS pH 6.0において60秒間、およびPBS pH 7.4においてさらに30秒間、解離させた。各アッセイのアッセイ完了後、pH 6.0におけるアフィニティー定数(K)の定量的評価を、ForteBio octetソフトウェアを使用して実施し、定性的評価を、時間に対して応答速度をプロットすることにより実施して、pH 6.0におけるIgGのFcRnへの会合、ならびにpH 6.0およびpH 7.4におけるその後の解離の可視化を可能にする。
【0437】
図12に示されているように、全てのFc改変体は、これらの実験の全てにおいて、WT抗体と同等に機能した。
【0438】
(実施例8:操作された抗体の半減期および薬物動態学的解析のin vivo評価)
モタビズマブ野生型を、操作された抗体半減期のin vivo評価において、Fc操作型変異の3個を含有するモタビズマブと比較した。抗体(2~5mg/kg)を、ヒトFcRnについてトランスジェニックなマウスに投与し、毎日、マウス血清の試料を得た(0日目~4日目)。血清中のモタビズマブの量を定量化するために、ELISAを血清に実施した。
【0439】
マウス血清中に存在するヒトIgGの量を、ヒトIgG定量化ELISAキット(Bethyl Labsカタログ# E80-104)を使用して、製造会社のプロトコールに従い、決定した。全ての血清試料を、1:50希釈から始めて1:6400希釈で終わる2倍の系列希釈において滴定した。各ELISAプレートは、二連または三連で、キットと共に提供されたヒト参照標準曲線を含んだ。標準曲線は、以下の濃度を含有する:500.0、250.0、125.0、62.5、31.3、15.6、7.8、および3.9ng/mL。検出の下限は、参照標準における最後から2番目の点について得られるA450nm値であると考えられ、7.8ng/mLであった。血清の開始希釈が1:50であったため、この場合、アッセイの検出のレベルを約0.4μg/mL(7.812ng/mL×50倍希釈)となる。以下の手順に従って、IgGレベルを計算した:(1)標準曲線において4パラメータロジスティック回帰(4PL)を実施する;(2)最大許容A450nmシグナルを標準曲線における3番目の滴定点についての読み取りとして設定する;(3)最小許容A450nmシグナルを標準曲線における7番目の滴定点についての読み取りとして設定する;(4)最大許容シグナルより上、および最小許容シグナルより下に入る全ての試料滴定点をマスクする;(5)参照標準4PL曲線フィットを使用して、許容されるA450シグナルを有する各滴定点についての濃度を計算し、その値にその滴定点の希釈係数を掛ける;(6)各試料滴定について、滴定系列にわたる計算された濃度の平均値を計算する。
【0440】
ELISA結果を、100%を表す0日目の時点に基づいて、残存する抗体のパーセントへ変換した。図13A~13Bに示されているように、全ての3つの抗体改変体は、抗体半減期のこの十分確立されたマウスモデルにおいて半減期の延長を裏付けた。モタビズマブ野生型は、32時間の半減期を有する。FcMut008に基づいて構築されたFcMut043およびFcMut045変異体は、有意な半減期改善を示す。FcMut045変異体は、半減期を5.2倍、増強した(約166時間の半減期)。図13Bにおける半減期、および他のパラメータは、Winonlinソフトウェアを使用して計算された。
【0441】
同様の実験を、モタビズマブの関連における後期Fc改変体を用いて行った。モタビズマブ改変体を5mg/kgの用量で投与した場合、次世代改変体(FcMut171、FcMut183、FcMut186、およびFcMut197)は、FcMut213で観察された半減期を9倍超増加させた、さらに増強した半減期を示した(図14A~14B)。初期デザインと比較しての後期デザインに関して見られた半減期の改善を裏付けるものに、初期改変体のうちの1つ(FcMut045)が含まれた。同様の結果は、モタビズマブ改変体が2mg/kgの用量で投与された場合に観察された(図14C~14D)。
【0442】
Fc改変体のヒトFcRnへの増強した結合が、増加した血清中存続およびより長い循環半減期寿命に変換されたかどうかを評価するために、異なるFc改変体を含有するIgGの薬物動態学的研究を、Tg276トランスジェニックマウスにおいて実施した。ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスモデルは、ヒトFc含有生物学的治療用物質のPKを研究するためにJackson研究所(JAX)により開発されている。Tg276マウスは、マウスFcRnアルファ鎖についてヌルであり、構成的プロモーター(アクチン)のコントロール下でヒトFcRnアルファ導入遺伝子を発現し、マウスβ2ミクログロブリンを使用する。Tg276接合体またはヘミ接合体マウスは、抗体改変体の半減期を区別するために広く使用されている。
【0443】
in vivo研究について、Tg276hemi FcRnトランスジェニックマウスに、2mg/kgまたは5mg/kgのmAbを静脈内に投与した。各mAb群はマウス4匹/群を有した。1時間と21日間の間のいくつかの時点に血液を回収し、IgG力価を、本明細書に記載されているように、定量的ELISAにより決定した。PKパラメータは、Phoenix WinNonlinバージョン7.0(Certera)を使用する非コンパートメントモデルを用いて、マウスの各群について決定された。
【0444】
結果は、図14A~14Dに示されている。
【0445】
(実施例9:操作された抗体の半減期のin vivo評価)
2つのZika抗体(ZVAおよびZVB)、加えて、野生型モタビズマブ(MVZ)を、ヒトFcRnについてトランスジェニックなマウスに2~5mg/kgの用量で投与し、毎日、マウス血清の試料を得た(0日目~4日目)。モタビズマブの量を定量化するためにELISAを血清に実施した。ELISA結果を、100%を表す0日目の時点に基づいて、残存する抗体のパーセントへ変換した。ZVA抗体は、Aシリーズ抗体A-3/2を表す。ZVB抗体は、アフィニティー増強型軽鎖修飾S92Yを含有するAシリーズ抗体A-5/1を表す。図15に示されているように、ZVBは、モタビズマブまたはZVAのどちらよりもはるかに長い半減期を有した(ZVAとZVBのどちらもモタビズマブより長い半減期を有した)。これらの抗体は野生型Fc領域を含有し、それゆえに、ZVB抗体の延びた半減期は、その抗体自体の特性であり、いかなるFc操作の特性ではない。
【0446】
次の実験において、モタビズマブ野生型(MVZ WT)を、ZVB抗体(ZB-1/4、グラフにおけるZKB)、およびFc修飾156を含有するZVB抗体(L234A/L235A(「LALA」)およびT256D/T307R/Q311V(半減期延長)、グラフにおけるZKB-156)、加えて「LS」半減期延長Fc変異を含有するZVB抗体(ZKB-LS)に対して試験した。LSとFc修飾156の両方は、野生型ZVBと比較して、半減期を有意に延ばした(図16)。これらのデータは、Visterra変異が、文献由来のLS変異に匹敵することを裏付け、また、本明細書に記載されたFc操作の努力が、このトランスジェニックマウスモデルにおいて非常に長い半減期をすでに有する抗体の半減期を延長しうることを裏付けている。「ZVB」は図16において「ZKB」として指し示されている。
【0447】
(実施例10:Fc受容体への結合およびエフェクター機能への影響)
例示的なFc改変体を、FcγRI、FcγRIIA(オプソニン化貪食作用のメディエータ)、FcγRIIB、FcγRIIIA(ADCCのメディエータ)、およびC1q(CDCのメディエータ)についての複数のアッセイにおいて評価した。
【0448】
Fcγ受容体I、IIa、IIb、IIIa、およびIIIa V176F(R&D Systemsカタログ# 1257-FC-050、1330-CD-050、1875-CD-050、4325-FC-050、および8894-FC-050)への結合をELISAにより測定した。全てのFc改変体を、モタビズマブ、リツキシマブ、またはアクトクスマブ抗体の関連において試験した。略述すると、Fc受容体を、ELISAプレート(VWRカタログ# 62409-002)上にPBS中1μg/mL(0.1μg/ウェル)でコーティングし、4℃で一晩、保管した。プレートをPBST(1×PBS 0.05% Tween20)で3回、洗浄した。抗体を、100μg/mLから0.05μg/mLまで、PBST-BSA中、3倍で滴定し、100μLをELISAプレートの各ウェルに加え、室温で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで3回、洗浄した。ヤギ抗ヒトFc(Jacksonカタログ# 109-035-098)を、PBST-BSA中、1:5000希釈し、100μLを各ウェルに加え、4℃で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで6回、洗浄した。プレートを、TMB Microwellペルオキシダーゼ基質キット(VWRカタログ# 95059-156)を使用して、発色させた。反応を、10分後、1N硫酸の添加により停止し、450nmにおける吸光度を測定した。抗体濃度(x軸)および450nmにおける吸光度(y軸)の値を、4パラメータロジスティック回帰(4PL)曲線にフィットさせた。その後、曲線フィットを使用して、各Fc改変体のEC50(4PLの中間点)を決定した。
【0449】
Fcγ受容体IIaおよびIIbへの結合を、Octet QKeシステムを使用するバイオレイヤー干渉分光法により測定した。略述すると、FcγIIaおよびFcγIIb(R&D Systemsカタログ# 1330-CD-050および1875-CD-050)をPBS中5μg/mLへ希釈した。その受容体を、C末端6×ヒスチジンタグ(配列番号2)を介してNi-NTAバイオセンサー(Pallカタログ# 18-5101)へ180秒間、固定化し、続いて、PBS中の60秒間ベースラインステップを行った。その後、バイオセンサーを、PBS中50μg/mLの濃度での様々なFc改変体に120秒間、曝露し、続いて、さらに120秒間のPBS中での解離ステップを行った。各改変体についての会合ステップ中の最大結合応答が報告され、野生型Fc応答と比較された。
【0450】
C1qへの結合を、ELISAにより測定した。全てのFc改変体を、モタビズマブ抗体の関連において試験した。略述すると、抗体を、ELISAプレート(VWRカタログ# 62409-002)上にPBS中25μg/mL(2.5μg/ウェル)でコーティングし、4℃で一晩、保管した。プレートをPBST(1×PBS 0.05% Tween20)で3回、洗浄した。精製されたC1q(Quidel Corporationカタログ# A400)を、12.5μg/mLから0.02μg/mLまで、PBST-BSA(1×PBS 0.05% Tween20 1% BSA)中、3倍で滴定し、室温で90分間、インキュベートした。液体をウェルから吸引し、ポリクローナルウサギ抗ヒトC1q(Agilentカタログ# A013602-1)をPBST-BSA中、1μg/mLの最終濃度へ希釈し、100μLを各ウェルに加え、室温で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで3回、洗浄した。ポリクローナルブタ抗ウサギ-HRP(Agilentカタログ# P021702-2)をPBST-BSA中、0.5μg/mLへ希釈し、100μLを各ウェルに加え、室温で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで6回、洗浄した。プレートを、TMB Microwellペルオキシダーゼ基質キット(VWRカタログ# 95059-156)を使用して、発色させた。反応を、10分後、1N硫酸の添加により停止し、450nmにおける吸光度を測定した。抗体濃度(x軸)および450nmにおける吸光度(y軸)の値を、4パラメータロジスティック回帰(4PL)曲線にフィットさせた。その後、曲線フィットを使用して、各Fc改変体のEC50(4PLの中間点)を決定した。
【0451】
結果は図17A~17Dに示されている。
【0452】
(実施例11:操作された抗体のCDC活性)
例示的なFc改変体(リツキシマブFab)の補体依存性細胞傷害(CDC)活性を検討した。
【0453】
CDCアッセイを、CD20+ Raji細胞および低毒性モルモット補体(Cedarlane Laboratories Product # CL4051)を使用して実施した。補体誘導性細胞溶解を、Promega製のCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞傷害アッセイ(カタログ# G1780)を使用して、製造会社のプロトコールに従い、測定した。全てのFc改変体を、抗CD20抗体、リツキシマブの関連において試験した。略述すると、抗体濃度を、20μg/mLから0.005μg/mLまでの範囲で4倍で滴定し、ウェル1つ当たり20,000個の標的細胞と37℃で30分間、インキュベートした。その後、補体を細胞に加え、37℃でさらに2時間、インキュベートした。さらに、CYTOTOXキットと共に提供された細胞溶解緩衝液を対照ウェルに加えて、最大細胞溶解を測定した。陰性対照抗体、モタビズマブを使用して、無関係の抗体のバックグラウンドシグナルを測定した。バックグラウンドシグナルおよび最大溶解シグナルを使用して、各Fc改変体についての細胞溶解のパーセントを計算した。抗体濃度(x軸)および溶解パーセント(y軸)の値を、4パラメータロジスティック回帰曲線にフィットさせた。その後、曲線フィットを使用して、各Fc改変体のEC50(50%溶解を得るために必要とされる濃度)および最大溶解を決定した。
【0454】
結果は、図18に示されている。
【0455】
(実施例12:操作された抗体のADCC活性)
例示的なFc改変体(リツキシマブFab)の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を検討した。
【0456】
ADCCアッセイを、製造会社のプロトコールに従い、Promega製のCD20 WIL2-S標的細胞(カタログ# G7014)でのADCC受容体バイオアッセイを使用して実施した。全てのFc改変体を、抗CD20抗体、リツキシマブの関連において試験した。抗体濃度を、5μg/mLから0.0016μg/mLまでの範囲で5倍で滴定した。抗体濃度(x軸)および発光レポーター遺伝子の倍数誘導(y軸)の値を、4パラメータロジスティック回帰(4PL)曲線にフィットさせた。その後、曲線フィットを使用して、各Fc改変体のEC50(4PLの中間点)および最大誘導を決定した。
【0457】
結果は図19A~19Bに示されている。例示的なFc改変体はADCC活性を保持し、場合によっては、それを増強する。
【0458】
(実施例13:操作された抗体のADIN活性)
TRIM21は、IgGのFcと結合する細胞質受容体である。TRIM21は、Fcに結合したウイルスの細胞内認識および中和を媒介することにおいて役割を果たす。TRIM21媒介性中和は、抗体依存性細胞内中和(ADIN)として公知である。
【0459】
TRIM21への結合をELISAにより測定した。全てのFc改変体を、モタビズマブまたはアクトクスマブ抗体の関連において試験した。略述すると、抗体を、ELISAプレート(VWRカタログ# 62409-002)上にPBS中25μg/mL(2.5μg/ウェル)でコーティングし、4℃で一晩、保管した。プレートをPBST(1×PBS 0.05% Tween20)で3回、洗浄した。TRIM21-GST(Antibodies Onlineカタログ# ABIN1323621)を、12.5μg/mLから0.02μg/mLまで、PBST-BSA(1×PBS 0.05% Tween20 1% BSA)中、3倍で滴定し、室温で90分間、インキュベートした。液体をウェルから吸引し、2つのウサギ抗TRIM21抗体(AbCamカタログ# ab91423およびab96800)を、PBST-BSA中、各1μg/mLの最終濃度で一緒に混合し、100μLを各ウェルに加え、室温で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで3回、洗浄した。ポリクローナルブタ抗ウサギ-HRP(Agilentカタログ# P021702-2)を、PBST-BSA中、0.5μg/mLへ希釈し、100μLを各ウェルに加え、室温で1時間、インキュベートした。プレートをPBSTで6回、洗浄した。プレートを、TMB Microwellペルオキシダーゼ基質キット(VWRカタログ# 95059-156)を使用して、発色させた。反応を、10分後、1N硫酸の添加により停止し、450nmにおける吸光度を測定した。抗体濃度(x軸)および450nmにおける吸光度(y軸)の値を、4パラメータロジスティック回帰(4PL)曲線にフィットさせた。その後、曲線フィットを使用して、各Fc改変体のEC50(4PLの中間点)を決定した。
【0460】
Fc改変体が、TRIM21への結合に影響したかどうかを評価するために、TRIM21結合ELISAを実施した。結果は図26に示されている。Fc改変体FcMut045、FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228は、WT EC50の1.5倍の範囲内であるTRIM21結合EC50を有した。
【0461】
(実施例14:Fc変異による粘膜取込みの増強)
FcRnは、腸および肺胞表面を裏打ちする粘膜上皮などの異なる細胞バリアを横断してIgGを輸送する。FcRn結合の修飾は、免疫防御を与える粘膜局在化を増強する機構を提供する。例示的なFc変異体は、同様の様式で粘膜取込みを増強することが予想される。
【0462】
(実施例15:FcRnアフィニティー増強性変異の、Fc受容体との係合およびエフェクター機能への影響)
FcRnアフィニティー増強性変異の、Fcの他の受容体への結合への影響を実験的に評価した。IgGのFc領域は、多くの異なるFc受容体へ結合する能力があり、多くの治療用抗体についての作用機構は、Fc受容体との係合に依拠している。Fc受容体結合部位から遠い位置における変異でさえも、Fcの、FcγRI、FcγRIIa/b、FcγRIIIa、C1q、TRIM21などの受容体との係合に影響することができる。Fc受容体TRIM21は、CH2-CH3上のFcRn結合部位と重複する部位に結合し、一方、Fcγ受容体およびC1qなどの他の受容体は、二量体CH2により形成される界面で係合する。そのため、半減期を増強するために導入された任意の変異は、他の受容体への結合へのその影響について評価されるべきである。半減期を増強するために導入した変異は。Fc改変体(FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、FcMut229、YTE、LS)を、リツキシマブFabへ組み込み、WTリツキシマブと共に、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、C1q、およびTRIM21への結合について評価した。図24に示されているように、Fc改変体FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、およびFcMut229の導入は、試験されたFc受容体との係合に有意には影響を及ぼさなかった。
【0463】
Fc受容体への結合は、ADCC(FcγRIIIa)、CDC(C1q)、およびADIN(TRIM21)などの活性に必要であるが、それは、これらの活性を媒介することにおいて十分ではない可能性がある。例えば、Fcの六量体アセンブリが、CDC活性を誘発するために必要とされる。Fc六量体アセンブリは、Fc-Fc界面の形成を含み、この界面の形成に関与する残基は、FcRn結合部位と部分的に重複する。それゆえに、Fc変異の、Fc受容体への結合への影響だけでなく、CDCおよびADCCなどの活性への影響も評価することは重要であった。様々なFc改変体(FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、FcMut229、YTE、LS、WT)を有するリツキシマブを、方法セクションにおいて記載されているように、ADCCおよびCDC活性について評価した。結果により、Fc改変体FcMut183、FcMut197、FcMut213、FcMut215、FcMut228、およびFcMut229が、ADCC活性にマイナスに影響せず、実際にはCDC活性にわずかな増強を示すことが確認された。YTEを含有するリツキシマブは、検出可能なCDC活性を生じず、ADCC活性を有意に低下させた。同様に、別の変異体FcMut197は、ADCCおよびCDC活性を低下させた。これらの変異のネットワークマップの観察により、ADCCおよびCDC活性の損失の考えられる理由への洞察が得られる。
【0464】
(実施例16:トランスジェニックマウスの血清における最適化Fc改変体の存続)
Fc改変体のヒトFcRnへの増強した結合が、増加した血清中存続およびより長い循環半減期寿命に変換されたかどうかを評価するために、異なるFc改変体を含有するIgGの薬物動態学的研究を、Tg276トランスジェニックマウスにおいて実施した。ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスモデルは、ヒトFc含有生物学的治療用物質のPKを研究するために使用することができる(Roopenianら、Methods Mol Biol、2010年 602巻:93~104頁;Petkovaら、Int Immunol、2006年 18巻(12号):1759~69頁)。Tg276マウスは、マウスFcRnアルファ鎖についてヌルであり、構成的プロモーター(アクチン)のコントロール下でヒトFcRnアルファ導入遺伝子を発現し、マウスβ2ミクログロブリン(microglobuli)を使用する。Tg276接合体およびヘミ接合体マウスは、抗体改変体の半減期を区別するために使用することができる。PK研究について、Tg276hemi FcRnトランスジェニックマウスに、5mg/kgのIgG(WTまたは修飾型Fc上のモタビズマブFab)を静脈内に投与した。後眼窩血液回収を、いくつかの時点において実施し、IgG力価を、定量的ELISAにより決定した。操作されたFc改変体を含有するIgGは、野生型モタビズマブよりはるかに長く血清中に存続した(図25A)。非コンパートメント解析からの薬物動態学的パラメータにより、Fc改変体を有するモタビズマブが、2分の1未満のクリアランス速度、ならびにβ相消失半減期および曲線下面積(AUC)測定値における有意な増加を有することが指し示された(図25B)。
【0465】
参照による組込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および受託番号は、各個別の刊行物または特許が、参照により組み込まれることが、具体的、かつ、個別に指し示された場合と同じ程度に、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0466】
均等物
本発明の具体的な実施形態について論じてきたが、上記の明細書は、例示的なものであり、限定的なものではない。本明細書および下記の特許請求の範囲を検討すれば、当業者には、本発明の多くの変化形が明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を、それらの均等物の全範囲と共に参照し、本明細書を、このような変化形と共に参照することにより決定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14AB
図14CD
図15
図16
図17AB
図17CD
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
【配列表】
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