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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】釣竿用トリガー及び釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/08 20060101AFI20240402BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20240402BHJP
   A01K 87/04 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A01K87/08 B
A01K87/00 610A
A01K87/00 640B
A01K87/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020014700
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121177
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】牛之濱 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】原田 健二
(72)【発明者】
【氏名】塩田 純也
(72)【発明者】
【氏名】中川 敬介
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018104(JP,A)
【文献】登録実用新案第3117959(JP,U)
【文献】特開2008-113624(JP,A)
【文献】実開昭63-095475(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0276348(US,A1)
【文献】イダ釣り名人,ベイト用トリガーを自作,まもなく龍宮城!,日本,2014年05月07日,[2022年11月14日検索],インターネット<URL:https://www.fimosw.com/u/idaturimeijin/sb6bbgr62cui23>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00 - 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の竿杆を収納する元竿杆を備え、収納された各竿杆を振出式に継合する振出式の釣竿であって、
前記元竿杆に着脱自在に取り付けられて釣竿を握持した手の指が係止可能なトリガーと、
前記元竿杆に対して前記複数の竿杆が突出しないように被着されるカバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、前記元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成し、
前記トリガーは、前記カバー部材を前記元竿杆の後端に装着する際に前記元竿杆に回転可能に軸支されて前記カバー部材と前記元竿杆との間で挟持固定される挟持装着部と、前記挟持装着部から延在して釣竿を握持した手の指が係止可能な指掛け部とを有する、
ことを特徴とする振出式の釣竿。
【請求項2】
前記挟持装着部は、板状に形成されるとともに、前記元竿杆から軸方向に延びる支軸部が挿通されて嵌合する開口を有することを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
【請求項3】
前記挟持装着部は、前記支軸部に嵌合軸支された状態で前記元竿杆の外周面と面一になる外周縁を有することを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
【請求項4】
前記挟持装着部は、前記元竿杆の軸方向に面するその前面及び後面を反転させた状態で挟持固定可能であることを特徴とする請求項又はに記載の振出式の釣竿。
【請求項5】
前記元竿杆は、リールが装着されるリールシートを備え、
前記トリガーは、前記リールシートの前側を構成する移動フードに着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の振出式の釣竿。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記元竿杆に対して軸方向に沿って被せられる筒状体で構成されることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の振出式の釣竿。
【請求項7】
前記筒状体は、前記元竿杆に被せた状態で、元竿杆の基端部で固定されることを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
【請求項8】
前記元竿杆は、リールが装着されるリールシートを備えており、
前記筒状体は、前記元竿杆に被せて前記リールシートを露出させた状態で元竿杆に固定されることを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿の竿元側に着脱自在に取り付けられて釣竿を握持した手の指を係止できる釣竿用トリガー、及び、そのような釣竿用トリガーを備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣竿、特にルアーロッド等のリールを使用する釣竿では、竿を自在に操ることができるように、握持した手の指を係止できる、所謂、トリガーが設けられており、また、このトリガーの後側(竿元側)にグリップ部を設けて握持性を向上させている。そして、このグリップ部を手で握持し、その手の指をトリガーに係止させる(例えば、トリガーを小指と薬指で挟持したり、薬指と中指で挟持する)ことによって手を安定させ、釣竿を自在に操って釣り操作を行なえるようになっている。また、所望のポイントを狙った投擲操作(キャスティング)においても、このグリップ部を手で握持し、その手の指をトリガーに係止させることによって手を安定させ、正確な投擲を可能にしている。
【0003】
このようなトリガーを備えた釣竿は、従来から様々な形態のものが知られており、例えば特許文献1には、魚釣用リールが載置される元竿のリールシートのリール脚載置面と反対側となる裏側で指掛け部が延在するように着脱自在に取り付けられる釣竿用トリガーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3117959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1を含む従来の釣竿用トリガーは、設計上、指を係止させるその指掛け部の方向や位置、形状、及び、大きさが固定されており、使用者である釣人がそれらを変更して使用することができない。したがって、釣況や釣人の操作スタイル等によっては、釣り操作し難かったり、釣り操作に違和感を覚える場合もある。すなわち、従来の釣竿用トリガーは、指掛け部の形態(例えば、湾曲方向、傾斜方向、大きさ、釣竿に対するその周方向位置など)を状況に応じて変えられず(すなわち、姿勢変換や交換を行なうことができず)、良好な指掛け状態を常に確保することが難しい。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、状況に応じて指掛け部の姿勢変換や交換を容易に行なうことができる釣竿用トリガー及び釣竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、釣竿の竿元側に着脱自在に取り付けられて釣竿を握持した手の指が係止可能な釣竿用トリガーであって、前記釣竿の竿元側に回転可能に軸支されて前記釣竿を構成する構成要素間で挟持固定される挟持装着部と、前記挟持装着部から延在し、釣竿を握持した手の指が係止可能な指掛け部とを有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成の釣竿用トリガーは、釣竿の竿元側に着脱自在に取り付けられるとともに、その挟持装着部が釣竿の竿元側に回転可能に軸支されて釣竿構成要素間で挟持固定されるため、例えば、形状(例えば指掛け部の湾曲及び傾斜の方向や形態など)及び/又は大きさが異なるトリガーを複数用意する(後述する実施形態のトリガー50,55参照)ことにより、状況に応じてそれらのトリガーを容易に交換できるとともに、同じトリガーであってもそれを釣竿に対して回転させることにより釣竿に対するその周方向位置を変えて指掛け部の方向/姿勢(したがって、指掛け位置)を変えることができ、釣況や釣人の操作スタイル等に応じた良好な指掛け状態を常に容易に確保することが可能となる。そのため、釣り操作し難い或いは釣り操作に違和感を覚えるなどといった不都合を回避できる。
【0009】
なお、上記構成において、釣竿を構成する「構成要素」とは、竿杆は勿論のこと、ナット/ボルト部材、キャップ(栓)部材など、竿杆に付設されてトリガーの挟持固定に関与する任意の全ての部材を意味するものとする。
【0010】
また、上記構成において、挟持装着部は、板状に形成されるとともに、釣竿の竿元側を形成する竿杆から軸方向に延びる支軸部が挿通されて嵌合する開口を有することが好ましい。これによれば、竿杆に対するトリガーの回転可能な挟持固定を容易に実現できるとともに、開口に対して支軸部を軸方向で挿脱させるだけで釣竿に対するトリガーの着脱を容易に行なうことができる。
【0011】
また、上記構成において、挟持装着部は、支軸部に嵌合軸支された状態で竿杆の外周面と面一になる外周縁を有することが好ましい。これによれば、トリガーが竿元側に挟持固定された状態で挟持装着部が竿杆の外表面から突出しないため、釣竿の竿元側を違和感なく手で握持でき、良好な握持性を確保できる。
【0012】
また、上記構成において、挟持装着部は、竿杆の軸方向に面するその前面及び後面を反転させた状態で挟持固定可能であることが好ましい。これによれば、トリガーを反転させるだけで指掛け位置を逆向きにすることも可能となる。
【0013】
また、本発明は、複数の竿杆を収納する元竿杆を備え、収納された各竿杆を振出式に継合する振出式の釣竿であって、前記元竿杆に着脱自在に取り付けられて釣竿を握持した手の指が係止可能なトリガーと、前記元竿杆に対して前記複数の竿杆が突出しないように被着されるカバー部材とを有し、前記カバー部材は、前記元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成し、前記トリガーは、前記カバー部材を前記元竿杆の後端に装着する際に前記元竿杆に回転可能に軸支されて前記カバー部材と前記元竿杆との間で挟持固定される挟持装着部と、前記挟持装着部から延在して釣竿を握持した手の指が係止可能な指掛け部とを有することを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、前述した釣竿用トリガーの作用効果に加え、元竿杆に収納される複数の竿杆を突出させないカバー部材が、元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成(兼用)するため、実釣時において、カバー部材が紛失するようなことはない。また、元竿杆に対してカバー部材をグリップとして装着する構成であるため、使用時は、元竿杆を長くすることができ、かつ、収納時には、カバー部材となるため、運搬性及び使用時の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、状況に応じて指掛け部の姿勢変換や交換を容易に行なうことができる釣竿用トリガー及び釣竿が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る第1の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着されるようになっている第1の形態に係る釣竿を示す図であり、(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、(b)は収納状態の斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る着脱式の釣竿用トリガーが装着された図1に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した状態(使用状態)を示す斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係る第1の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着された図1に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図。
図4】尻栓の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は部分断面図。
図5】上栓の構成を示す斜視図。
図6】着脱式の釣糸ガイドの構成を示す斜視図。
図7】本発明の一実施形態に係る第1の形状の着脱式の釣竿用トリガーの構成を示す斜視図。
図8】振出式の釣竿セットを構成する保持部材を示す斜視図。
図9】本発明の一実施形態に係る第2の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着されるようになっている第2の形態に係る釣竿を示す図であり、(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、(b)は収納状態の斜視図。
図10】本発明の一実施形態に係る第2の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着された図9に示す第2の形態に係る釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図。
図11】起伏可能な釣糸ガイドの一例を示す図3の(b)に対応する斜視図である。
図12】トリガーの装着形態の他の例を示す図であり、(a)はトリガーが装着されたリールシート付近の竿杆の側面図、(b)はトリガー単体の正面図、(c)は変形例に係るトリガー単体の正面図、(d)はトリガーに選択的に付設されるアダプタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図3は、本発明の一実施形態に係る第1の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着されるようになっている本発明に係る釣竿の第1の形態を示す図であり、図1(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、図1(b)は収納状態の斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係る着脱式の釣竿用トリガーが装着された図1に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した使用状態を示す斜視図、そして、図3は、本発明の一実施形態に係る着脱式の釣竿用トリガーが装着された図1に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図である。
【0018】
本発明の釣竿1は、公知のように、複数の竿杆6a,6b,6c,6d,6e……6Nを順次振り出して、大径の竿杆の先端に小径の竿杆の基端を継合させる振出式に構成されており、複数の竿杆は、大径の竿杆内に順次収納され、全ての竿杆が最も大径の竿杆(元竿杆)5の内部に収納された状態となっている。本発明では、元竿杆5の内部に収納される竿杆の本数(継合本数)については任意であり、N本(竿杆6a~竿杆6N)の竿杆が順次大径の竿杆に収納され、最も小径の竿杆6Nが穂先竿杆となっている。
【0019】
なお、図1(a)及び図2では、収納される竿杆の全てを図示していない。また、図1(a)では、分かりやすくするために、収納される竿杆を示しているが、元竿杆5に後述するカバー部材30が装着されて元竿杆が覆われるため、露出することはない(図1(b)参照)。更に、本実施形態の釣竿は、リールシート及び釣糸ガイドを備えており、スピニングリール及び両軸受リールの両タイプのリールが使用できる構成となっている。このため、スピニングリールを使用する場合、リールシート及び釣糸ガイドが下方側に向くように使用され、両軸受リールを使用する場合、リールシート及び釣糸ガイドが上方側に向くように使用される。
【0020】
本実施形態の釣竿1は、上記したように、スピニングリール、両軸受型リール等のリールを装着して使用可能な構成となっており、各竿杆の先端部分には、リールから繰り出される釣糸を挿通案内させる釣糸ガイド8,8a~8Nが取り付けられ(取着され)ている。この場合、釣糸ガイド8Nは、いわゆる穂先ガイドとなっている。また、図1(a)では、図2において示す元竿杆5に装着される釣糸ガイド8が示されていないが、この釣糸ガイド8は、後述するように着脱式に構成されている。また、釣糸ガイドの一部には遊動ガイドが含まれていても良い。
【0021】
上記した元竿杆5及び元竿杆5に収納される複数の竿杆6a~6Nは、公知のように繊維強化樹脂製の管状体として構成されており、例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂のプリプレグシートを芯金(マンドレル)に巻回し加熱工程を経た後、脱芯するなど、定法に従って形成されている。前記穂先竿杆6Nについては、管状体以外にも、中実ソリッド、或いは、ソリッド体と管状体の組み合わせで構成されていても良い。
【0022】
前記元竿杆5には、リールが装着されるリールシート7が設けられている。リールシート7は、元竿杆5の基端領域に設けられており、公知のように、リール脚が載置されるリール脚載置部7aと、その前後に配設されてリール脚を締め付けるフード部7b,7cとを備えている。本実施形態では、後方側のフード部7cが固定フードとなっており、前方側のフード部7bが軸方向に移動する移動フードとなっている(以下、移動フード7b、固定フード7cと称する)。
【0023】
前記固定フード7cは、元竿杆5の基端部の外周面に固定されており、リール脚載置部7aに向けて開口する受入穴7caを備えている。また、移動フード7bは、リール脚載置部7aに向けて開口する受入穴7baを備えている(受入穴7baは360°に亘って開口していても良い)。前記移動フード7bは、元竿杆5に設けられた雄螺子部に対して螺合する雌螺子部が形成された操作部7bbを備えており、リール脚載置部7aにリール脚を載置しながら後方側を固定フード7cの受入穴7caに嵌入し、操作部7bbを回転操作することで、リール脚は、移動フード7bの受入穴7baと固定フード7cの受入穴7caとで締め付け固定される。なお、リールシートの構成、移動フードの移動機構等については公知であるため、詳細な説明については省略する。
【0024】
元竿杆5は、前記固定フード7cの後端側が軸方向に突出するように延びており、その突出部5aの外周に下栓(尻栓)10が取り付けられている。下栓10は、図4に示すようにキャップ状に形成されており、その後端面10aには空気孔10bが形成されている。下栓10の周壁10cの内面には、前記突出部5aに形成された雄螺子部に螺合する雌螺子部10dが設けられている。この雌螺子部10dは、周壁10cの内面に直接形成しても良いし、図4に示すように、周壁10cに圧入固定される環状体10eの内面に形成されたものであっても良い。また、周壁10cの外周面には、後述するカバー部材30の開口端部を圧入して固定し易いようにリング状の凹凸10fが複数個形成されている(圧入構造が形成されている)。すなわち、下栓10は、元竿杆5の後端の開口を閉塞すると共に、カバー部材30の後端の開口を閉塞する機能を有する。
【0025】
なお、下栓10の内面は、螺合構造ではなく圧入構造であっても良いし、下栓10の外面は、圧入構造ではなく螺合構造であっても良い。
【0026】
前記元竿杆5の後端開口部分には、キャップ部材12が着脱可能に固定されている。このキャップ部材12は、元竿杆5から下栓10を取り外し、これをカバー部材30に取り付けするに際して、収納された竿杆を落下させない機能を有する。このキャップ部材12の後端面には、空気抜き用の開口12aを形成しておくことが好ましい。
【0027】
前記元竿杆5には、従来の振出式の釣竿における保護カバーとしての機能(元竿杆内に収納された複数の竿杆の突出を防止する機能)を果たすカバー部材30が着脱可能に装着されている。このカバー部材30は、元竿杆5から取り外すことができ、元竿杆5の後端部に装着することで、実釣時に握持、保持される、いわゆるグリップとしての機能を兼ね備えている。
【0028】
以下、カバー部材30の構成について具体的に説明する。
本実施形態のカバー部材30は、前記元竿杆5に対して軸方向に沿って被せられるように(元竿杆5を覆うように)筒状体で構成されており、収納状態で棒状になるように構成されている。筒状体の断面形状については、多角形、円、楕円等、特に限定されることはないが、元竿杆5が断面円形の管状体であるため、デザイン及び外観等を考慮して、円筒形状(断面円形)に形成することが好ましい。また、材質についても特に限定されることはなく、例えば、元竿杆5、及び、これに収納される複数の竿杆6a~6Nと同じ材料、アルミ、SUS等の各種金属、樹脂、繊維強化樹脂等で形成されていても良く、必要に応じて塗装や物理的な蒸着、化学的な蒸着などの各種表面処理を施して外観を向上させても良い。或いは、グリップとしての機能を兼ね備えることから、通常のグリップと同様、例えば、EVA、コルク等の柔軟性のある素材を被着して、握持、保持性を向上させても良い。
【0029】
前記円筒形状のカバー部材30は、元竿杆5の先端側から軸方向から被せるように被着することから、カバー部材30と元竿杆5には、カバー部材30を被着した際、両者を固定する固定構造が設けられている。本実施形態のカバー部材30は、元竿杆5に設けられた前記リールシート7を露出させる位置まで被せることが可能に構成されており、固定構造は、カバー部材30を圧入して、元竿杆5との間の摩擦力で固定するよう構成されている。
【0030】
具体的には、前記移動フード7bの外表面、及び、移動フードの操作部7bbの前側に装着されたリング部材の外表面に、それぞれリング状の凹凸5A,5Bを形成し(又はOリング等を設け)、その部分で、カバー部材30の開口内面、及び、先端側の内面が圧入、固定できるように構成されている。このため、カバー部材30を元竿杆5に被着して固定すると、前記リールシート7のリール脚載置部7aが露出した状態となる。
【0031】
なお、カバー部材30と元竿杆5の固定構造、固定位置、固定方法については特に限定されることはなく、螺合構造で固定しても良いし、爪による係止構造等、適宜変形することが可能である。
【0032】
本実施形態のカバー部材30の先端には、上栓40が着脱可能に設けられている。上栓40は、カバー部材30の先端開口に対して圧入可能であり、本実施形態では、図5にも明確に示されるように、上栓40の本体41に雄螺子部41aを形成しておき、この部分をカバー部材30の先端に固定されている雌螺子部材32に螺合することで着脱可能に固定されるようになっている。また、上栓40の本体41には、後述するリング状の保持部材70(図8参照)に係止してセット化できるように、開口係止部41bが形成されている。この開口係止部41bは、保持部材70が挿通できるような構造であれば良く、図8に示すように、リング部材72を介して保持部材70に係止する等、適宜変形することが可能である。
【0033】
なお、上栓40は、カバー部材30の先端の開口内面に圧入して固定する構造であっても良い。また、カバー部材30は、上栓40を設けることなく、複数の竿杆の突出を防止するだけの構造であっても良い。このような構成では、カバー部材30のいずれかに開口係止部を設けておけば良い。
【0034】
上記したカバー部材30は、軸長方向に所定の長さL1を備えており、図2及び図3に示すように、元竿杆5の後端に取り付けることにより、釣竿として、長さL1のグリップを構成する。すなわち、従来の振出式の釣竿では、握持、保持される部分は、長さLの元竿杆5の領域となっていたが、カバー部材30を元竿杆5の後端に取り付けることで、実釣時の釣竿は、カバー部材30の長さL1分だけ伸ばすことが可能となる(操作方法については後述する)。
【0035】
本実施形態の釣竿は、上記したようにリールが装着可能に構成されており、各竿杆には、リールから繰り出される釣糸を挿通させる釣糸ガイドが装着されている。この場合、被着されるカバー部材30は、装着された釣糸ガイドとの間で干渉しないように構成することが好ましい。例えば、両軸受型リールの場合、装着される釣糸ガイドの高さはそれほど高くなくても良いため、前記カバー部材30を元竿杆5に被着しても、カバー部材30と釣糸ガイドは干渉しないようにすることが可能である。或いは、カバー部材30の径を多少、大きくすることで、そのような干渉を防止することも可能である。
【0036】
ただし、スピニングリールを装着する場合、図2及び図3に示すように、釣糸ガイド(特に基端側の釣糸ガイド8)の高さは高くなり、元竿杆5に被着されるカバー部材30との間で干渉する可能性が生じる。上記したように、カバー部材30の径を大径化することで干渉を防ぐことも可能であるが、干渉が生じる釣糸ガイドを竿杆に対して着脱可能に構成することで、カバー部材30を大径化する必要性がなくなる。例えば、元竿杆5の先端に装着される釣糸ガイド8の高さが高い場合、図6に示すように、元竿杆5の先端に差込開口5eを有する膨出部5dを設けておき、この部分に釣糸ガイド8の脚部8Aを圧入して着脱可能な構造とする。すなわち、本実施形態では、カバー部材30を元竿杆5に被着した際にカバー部材30と干渉する釣糸ガイド8が(それ以外の干渉する釣糸ガイドが存在する場合には、その釣糸ガイドも)竿杆(元竿杆5)に対して着脱可能に取着されている。
【0037】
このような着脱式の釣糸ガイド8は、釣糸が挿通される釣糸挿通孔8Bや、場合によっては軽量化を図るための開口8Cが形成されるため、図8に示すように、この部分を利用してリング状の保持部材70に係止することが可能である(すなわち、保持部材70は、着脱自在に取着される釣糸ガイド8を保持可能である)。
【0038】
また、本実施形態の釣竿は、上記したように、スピニングリール及び両軸受リールの両タイプのリールが使用可能であるため、元竿杆5に着脱可能な釣糸ガイド8は、スピニングリール用として高さが高いもの(釣糸ガイド8)、及び、両軸受リール用として高さが低いもの(図8図10に示す釣糸ガイド18)がセット化されている。すなわち、本実施形態において、着脱可能に取着される釣糸ガイドは、竿杆に対して同じ位置に装着可能な高さが異なる複数の釣糸ガイド8,18を含み、それにより、スピニングリール、及び、両軸受リールの両タイプのリールが使用可能となっている。
なお、着脱式に構成される釣糸ガイドは、複数であっても良い。また、干渉する釣糸ガイドを各竿杆に対して着脱する方式にするのではなく、折曲可能な構成にして、収納時にカバー部材30と釣糸ガイドとが干渉しないように構成することも可能である。折曲可能な構成としては、例えば図11に示されるように、釣糸ガイド8を元竿杆5に対して例えばヒンジ等により起伏可能に取着する構成、又は、釣糸ガイド8をその弾性変形によって起伏可能にする構成などを挙げることができる(図11中、実線が起立状態、一点鎖線が倒伏状態を示す)。また、起伏可能な釣糸ガイド8の高さが高い場合、図11に示されるように、釣糸ガイド8は、その高さ方向でスピニングリール仕様の第1のガイド孔81と該第1のガイド孔81よりも小径な両軸受リール仕様の第2のガイド孔82とが並設されていてもよい。
【0039】
上記した釣竿は、釣法等に応じて各種の形態で使用することが可能であり、例えば、ベイトリールを使用するルアーフィッシング等では、リールを装着する部分に対応して指を掛けることが可能なトリガー(釣竿用トリガー)を設けることが好ましい。そのため、本実施形態では、釣竿の竿元側に対して、特に図示の例では元竿杆5に対して、釣竿を握持した手の指が係止可能な本発明の一実施形態に係る第1の形状のトリガー50が着脱式に取り付け固定できるように構成されている(図2図3に示す釣竿及び釣糸ガイドの向きは、スピニングリール対応となっているが、便宜上、トリガー50についても示してある)。
【0040】
トリガー50は、元竿杆5のリールシート7が設けられる位置に対応して、着脱可能に配設することができ、装着されるリール(両軸受型リール)を元竿杆5と共に保持した際に、指が掛けられるように、固定フード7cの部分に装着されることが好ましい(ここでは、リールシート7の基端(竿元)側に装着されるが、後述するように、リールシート7の先端側の位置に装着されてもよい)。具体的には、本実施形態のトリガー50は、図3及び図7に明確に示されるように、釣竿の竿元側に、特に本実施形態では元竿杆5の後端に設けられた支軸部としての前記突出部5aに(図2及び図3の(b)に矢印で示されるように)回転(回動)可能に軸支されて、釣竿を構成する構成要素間で、特に本実施形態では元竿杆5とカバー部材30との間で挟持固定される挟持装着部54と、挟持装着部54から延在し、釣竿を握持した手の指が係止可能な指掛け部52とを有する。この場合、少なくとも挟持装着部54は板状に形成されるが、特に本実施形態では、トリガー50全体が板状に形成されている。そして、挟持装着部54は、突出部5aが挿通されて嵌合する開口51を有する。また、挟持装着部54は、図3の(a)に明確に示されるように、突出部5aに嵌合軸支された状態で元竿杆(突出部5a)の外周面と面一になる外周縁54aを有する。これにより、その外側に設けられるカバー部材30の被着を支障なく行なうことができるとともに、本実施形態のようなカバー部材30の被着を伴わない図示しない他の例においても、このような面一の形態は、トリガー50が竿元側に挟持固定された状態で挟持装着部54が竿杆の外表面から突出しないようにするため、釣竿の竿元側を違和感なく手で握持でき、良好な握持性を確保できるという点で有益である。また、本実施形態によれば、前述した開口51を伴う板状の形態により、挟持装着部54は、竿杆の軸方向に面するその前面及び後面を反転させた状態で挟持固定可能である。
【0041】
このように、トリガー50は、下栓10を元竿杆5から外し、開口51を突出部5aに嵌合させ、この状態でカバー部材30を突出部5aに取り付けることで、カバー部材30と元竿杆5との間に挟持、固定することが可能である。このような着脱構造では、挟持固定を緩めてトリガー50を所望の回転位置まで回転させた後、再び挟持固定し直すことにより、トリガー50の指掛け部52の周方向位置を所望の位置に設定できるため、釣竿の使用態様(釣竿のシェイキング等)に応じて最適な位置でトリガー50を配設することが可能となる。
【0042】
また、トリガー50は、元竿杆の突出部5aに嵌合する開口51が設けられているため、上記した上栓40、釣糸ガイド7と同様、図8に示すように、この部分を利用してリング状の保持部材70に係止してセット化することが可能である。
【0043】
この保持部材70は、実釣時に使用される釣竿、及び、その構成要素(釣糸ガイド、トリガー、上栓、その他の小物類など)に設けられた開口係止部に挿通して、これらを一体化するものであり、実釣時に用いられる釣竿や構成要素を紛失等させることなく、持ち運びが容易となるように用いられる部材である。保持部材70については、リング状の部材、例えば、カラビナ型のフック等で構成することが好ましく、ズボンのベルト装着部分に取り付ける等することで、運搬時及び使用時の取扱性の向上が図れる。特に、モバイル式の釣竿セット(仕舞寸法が30cm程度以下のロッド)では、全長を短くして取扱性が向上するようになる。
【0044】
本実施形態では、釣竿セットの構成として、図8に示すように、保持部材70に対しては、スピニングリール用として高さが高い釣糸ガイド8、及び、両軸受リール用として高さが低い釣糸ガイド18を保持している。この釣糸ガイド18は、釣糸ガイド8と同様、保持部材70を挿通させる釣糸挿通孔18B及び元竿杆5の差込開口5eに圧入する脚部18Aを備えている。また、トリガーについても、図8に示すように、例えば、指掛け部56が多少湾曲した大きめの第2の形状のトリガー55のように、好みに応じてタイプの異なるものを保持しても良い。
【0045】
次に、上記した釣竿1の使用例について説明する。
図1(a)(b)に示すように、未使用状態では、カバー部材30は、元竿杆5に対して被着された状態(リールシート領域を除いて元竿杆の外周面を覆う固定状態)となっており、釣竿としての仕舞寸法は、カバー部材30の軸方向長さL1に加え、露出するリールシート7までの長さ(下栓10を加えた長さ)となる。
【0046】
本実施形態では、リールシート7が露出した構成であることから、竿杆の収納状態となる仕舞寸法でリールを装着したまま運搬等することが可能である。この場合、図8に示すように、上栓40は、保持部材70に係止されており、また、釣糸ガイド8、トリガー50も併せて保持部材70に係止されるため、釣竿セットとしての運搬や取扱性が向上し、釣竿として必要な構成部材を紛失することが防止される。
【0047】
釣竿を使用する際、カバー部材30を元竿杆5から取り外して、そのまま元竿杆5の基端部に取り付ける(図2及び図3参照)。本実施形態では、カバー部材30の先端を元竿杆5の基端部に取り付ける構成であるため、前記上栓40は取り外され、カバー部材30の先端は開口状態にされる。また、元竿杆5に取り付けられている下栓10も元竿杆5の後端から取り外される。下栓10を取り外しても、元竿杆の後端にはキャップ部材12が取り付けられているため、カバー部材の取り付け作業中に収納されている竿杆が脱落することはない。
【0048】
元竿杆5から取り外され、かつ、上栓40が取り外されたカバー部材30は、上記したように、先端側に上栓40と螺合する雌螺子部材32が形成されており、この部分がそのまま元竿杆の突出部5aに形成された雄螺子部に螺合するようになっている。両者が結合されることで、元竿杆5の後端側には、カバー部材30によって、長さL1のグリップが形成される(図2図3参照)。また、元竿杆5の先端に釣糸ガイド8(スピニングリールの場合)、或いは、釣糸ガイド18(両軸受リールの場合;図8参照)が固定されると共に、必要に応じて元竿杆5とカバー部材30との間に第1の形状のトリガー50、或いは、第2の形状のトリガー55が固定され、元竿杆5から取り外された下栓10は、カバー部材30の後端開口の内周面に圧入、固定される(下栓10のリング状の凹凸10fにカバー部材の後端開口が圧入されて、開口縁が段部10f´に当て付いて固定される)。
【0049】
カバー部材30が元竿杆5の後端に取り付けられてグリップとしての機能を果たすことで、従来の保護カバーのように、実釣時に紛失するようなことはない。また、グリップとして元竿杆5に取り付けることで、元竿杆5の長さが長くなり、振出式の釣竿として、仕舞寸法が短くコンパクトな状態にもかかわらず、実際の使用時には、元竿杆が長くなって操作性の向上が図れるようになる。更に、図1に示すように、収納状態がコンパクトになるため、嵩張ることもなく、持ち運びが容易になる。
【0050】
なお、図2及び図3に示す使用状態から図1に示すように収納する場合、グリップ状態となっているカバー部材30を元竿杆5の後端から取り外すと共に、下栓10及び釣糸ガイド8を取り外し、各竿杆を元竿杆5に収納してカバー部材30を軸方向から被着すれば良い。この際、下栓10を元竿杆5の後端に固定してカバー部材30の被着操作を行なっても、上記したように、キャップ部材12の後端面には、空気抜き用の開口12aが形成されており、かつ、下栓10にも空気孔10bが形成されているため、カバー部材30の挿入時に空気が抜け、容易に被着操作を行なうことができる。また、釣糸ガイド8も元竿杆5から取り外されているため(図11の例では、釣糸ガイド8が倒伏されているため)、釣糸ガイド8とカバー部材30とが干渉することもない。
【0051】
上記したカバー部材30と元竿杆5との長さ関係については、適宜、変形することが可能である。例えば、図1に示すように、カバー部材30の寸法L1を長くして、元竿杆5の先端との間で空洞部を長くしても良い。この場合、カバー部材30の内部に柔軟性のある部材(図示せず)を取着しておき、元竿杆5の先端から収納されている竿杆が飛び出さないようにすることが好ましい。或いは、カバー部材30の内部に仕切り構造を設けておき、各種の小物(仕掛け等)を収容できるように構成しても良い。カバー部材30の軸方向の寸法L1については、元竿杆5の軸方向の寸法L以上(L1>L)にすることで、元竿杆5を短くしつつ、グリップ長さを十分確保することができ、コンパクト性と魚釣り操作性を向上することが可能となる。
【0052】
図9及び図10は、本発明の一実施形態に係る第2の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着されるようになっている釣竿の第2の形態を示す図であり、図9(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、図9(b)は収納状態の斜視図、図10は、本発明の一実施形態に係る第2の形状の着脱式の釣竿用トリガーが装着された図9に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、図10(a)は部分断面図、図10(b)は斜視図である。
【0053】
上記した第1の実施形態では、カバー部材30は、リールシート7を露出させるように構成されていたが、本実施形態では、元竿杆5に被せた状態で、元竿杆5の基端部で固定されるようになっている。具体的には、固定フード7cの外表面に、リング状の凹凸5Cを形成しておき、その部分で、カバー部材30の開口内面が圧入、固定できるように構成されている。このため、カバー部材30を元竿杆5に被着して固定すると、前記リールシート7は露出することはなく覆われた状態となる。
【0054】
このような構成では、仕舞寸法を更に短くすることができ、取扱性、運搬性の向上が図れるようになる。なお、この実施形態の釣竿は、両軸受リールが装着されるものとして、元竿杆5には、高さが低い釣糸ガイド18が装着されており、また、大きめの第2の形状のトリガー55が装着されている。
【0055】
また、前述した実施形態では、トリガーがリールシート7よりも後側で着脱自在に取り付けられていたが、図12に示されるようにリールシート7よりも前側にトリガーを装着できるようになっていてもよい。この場合、図示のトリガー50Aは移動フード7b側で挟持されるようになっており、具体的には、この例では、図12の(a)に示されるように、移動フード7bが部品Aと部品Bとに分割され、ネジや圧力等を利用した移動機構により例えば部品Aが部品Bに対して移動し(図12の(a)の実線細矢印参照)、トリガー50Aを部品A,B間で挟持固定できるようになっている。また、この挟持固定に際しては、図12の(a)に白抜き太矢印で示されるように、トリガー50Aを下方から移動フード7bの部品A,B間に挿入できるようにしてもよい。この場合、そのような下方からの挿入を可能にするために、トリガー50Aは、図12の(b)に示されるように、上方に向けて開口した竿杆挿入溝(例えばU字溝)50yを有し、この竿杆挿入溝50y内には移動フード7bの領域に位置される元竿杆5の部位5’が挿入され、このようにして元竿杆5に下側から嵌め付けられた状態でトリガー50Aが部品A,B間に挟持固定される。また、この場合、トリガー50Aは、保持部材70が挿通できる開口係止部50xも有し、この開口係止部50xは、トリガー50Aが元竿杆5に装着された図12の(a)の状態で釣竿を握った手の人差し指をトリガー50Aに係止させた際に、指の腹が当たって食い込むようになっており、それにより、実釣時の握持保持性が良好になる。
また、変形例として、トリガーを下方からではなく横方向から移動フード7b側に装着できるようになっていてもよい。そのような場合、図12の(c)に示されるように、変形例に係るトリガー50Bは、側方に向けて開口した竿杆挿入溝(例えばU字溝)50y’を有し、この竿杆挿入溝50y’内には移動フード7bの領域に位置される元竿杆5の部位5’が挿入される。このような側方からの装着は、移動フード7bによる挟持固定時にトリガー50Bが元竿杆5の部位5’に保持された状態で下方に脱落しないため、装着が容易となる。
【0056】
また、このようなトリガー50A(50B)はリールシート7の前後に選択的に装着可能できる。そのような選択的装着に際し、リールシート7の後側の領域に位置される元竿杆5の部位5”の外径とリールシート7の前側の領域に位置される元竿杆5の部位5’の外径とが異なる場合、具体的には、図12の(a)に示されるように、元竿杆5の部位5”の外径が元竿杆5の部位5’の外径よりも小さくなっている場合には、竿杆挿入溝50y(50y’)の内径よりも小さい内径(外径が小さい元竿杆5の部位5”の外径に対応する内径)を有する開口150aが形成されたアダプタ部材150をトリガー50A(50B)の竿杆挿入溝50y(50y’)に挿入して使用すればよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されることはなく、例えば、以下のように種々変形することが可能である。
上記した実施形態では、リールが装着される釣竿を例示したが、そのような釣竿としては、スピニングリール専用の釣竿、両軸受リール専用の釣竿を挙げることができる。
【0058】
前記カバー部材30については、その先端部分を元竿杆5の基端部に固定する構造としたが、カバー部材の後端部分を元竿杆5の基端部に固定する構造としても良い。
前記カバー部材30の長さについては、適宜変形することができ、例えば、元竿杆5と略同じ長さにして、全長に亘って被着する構造にすることで、釣竿としてコンパクト化(モバイル化)が図れ、かつ、使用時に長くして使用することができ、取扱性の向上が図れる。
【0059】
前記カバー部材30の元竿杆5に対する固定方法については、圧入構造、螺合構造、クランプ等による構造等、適宜変形することが可能であり、その固定位置についても適宜変形することが可能である。
前記カバー部材30の形状については、元竿杆5に収納される竿杆の飛び出しを防止し、元竿杆のグリップとして機能されれば、形状、長さ等適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 釣竿
5 元竿杆
6a~6N 竿杆
7 リールシート
8,8a~8N,18 釣糸ガイド
10 下栓
30 カバー部材
40 上栓
50,55 トリガー
51 開口
52 指掛け部
54 挟持装着部
54a 外周縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12